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▶ 西井上 靖代の特許一覧

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  • 特開-マスク装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089060
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】マスク装置
(51)【国際特許分類】
   A62B 18/02 20060101AFI20220608BHJP
   A41D 13/11 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
A62B18/02 Z
A41D13/11 Z
A41D13/11 B
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201282
(22)【出願日】2020-12-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】510232784
【氏名又は名称】西井上 靖代
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】西井上 靖代
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA02
2E185CA03
2E185CB02
2E185CC22
2E185CC32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】飲食などのために口を開放した状態であっても、異物の侵入を確実に阻止することができ、ウイルス感染防止に寄与することができるマスク装置を提供する。
【解決手段】清浄な呼吸用気体を吐出するボンベ2と、通気性を有する不織布から成る第1上カバー部5a1、および、不織布の表面が樹脂によって被覆された非通気性のシート状素材が2層重なって扁平な筒状に構成され複数の透孔7が長手方向に互いに間隔をあけて設けられる第2上カバー部5a2を含む上カバー体5aと、通気性を有する不織布からなる帯状の下カバー体5bと、上カバー部5a1の長手方向両側部および下カバー体5bの長手方向両側部のそれぞれが前記幅方向に隣接した状態で接合される一対の接合部10bと、一対の接合部10bのそれぞれに長手方向両端部が接合された一対の耳掛け紐11bと、第2上カバー部5a2とボンベ2とを接続する管体12と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
清浄な呼吸用気体を供給する気体供給源と、
顔面の上唇から上方の部位を覆う上カバー体であって、通気性を有する不織布から成る帯状の第1上カバー部と、前記第1カバー部に連なって扁平な筒状に構成された、非通気性のシート状素材から成り、前記第1上カバー部とは反対側の側縁部に複数の透孔が前記長手方向に間隔をあけて設けられる第2上カバー部とを含む上カバー体と、
顔面の下唇から下方の部位を覆う下カバー体であって、通気性を有する不織布から成り、前記第2上カバー部の下側縁部に、上側縁部が重なった状態で配置された、帯状の下カバー体と、
前記上カバー体の長手方向両側部および前記下カバー体の長手方向両側部のそれぞれが、該長手方向に垂直な幅方向に並んで配設された状態で接合される一対の接合部と、
前記一対の接合部のそれぞれに長手方向両端部が接合された、可撓性材料から成る一対の耳掛け紐と、
前記第2上カバー部と前記気体供給源とを接続し、前記気体供給源内の前記呼吸用気体を前記第2上カバー部内に導く管体と、を備えていることを特徴とするマスク装置。
【請求項2】
前記管体には、該管体を通過する前記呼吸用気体の流量を制御する流量調整弁が接続されていることを特徴とする請求項1に記載のマスク装置。
【請求項3】
前記呼吸用気体は、加湿空気であることを特徴とする請求項1または2に記載のマスク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食などのために口を開放することができるマスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鼻と口を覆うマスクを着用したままで、飲食などのため口を開放することができる従来技術のマスク装置は、例えば特許文献1に記載されている。この従来技術では、柔軟で折り曲げ可能な素材で鼻と口を覆うマスク本体と、その両側に耳掛け紐を備えたマスクにおいて、上側紐端をマスク本体の側縁の上端から引き出し、耳掛け紐の下側紐端の取り付け位置を、マスク本体側縁の下端部と中間部の位置に変更できるようにし、通常は耳掛け紐を下端部の位置に取り付けて使用し、飲食時などは耳掛け紐を中間部の位置に取り付け、口を覆っているマスク本体の下半部を、鼻を覆っている上半部に重ねて折り曲げることによって、鼻を覆ったままで口を開放できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3113827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に記載される従来技術では、口を覆っているマスク本体の下方部分を、上方に折り返すように構成されるので、鼻と口を覆うマスクを着用した状態のままで、飲食などのために口を開放することはできるが、開放した口に埃などの空中浮遊物、他人から飛来した唾液の飛沫などが直接口に入るおそれがあり、ウイルス感染を阻止することができないという課題を有する。
【0005】
したがって本発明の目的は、口を開放した状態であっても、口への他人の飛沫などの異物の侵入を確実に阻止することができ、ウイルス感染防止に寄与することができるマスク装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、清浄な呼吸用気体を供給する気体供給源と、
顔面の上唇から上方の部位を覆う上カバー体であって、通気性を有する不織布から成る帯状の第1上カバー部と、前記第1カバー部に連なって扁平な筒状に構成された、非通気性のシート状素材から成り、前記第1上カバー部とは反対側の側縁部に複数の透孔が前記長手方向に間隔をあけて設けられる第2上カバー部とを含む上カバー体と、
顔面の下唇から下方の部位を覆う下カバー体であって、通気性を有する不織布から成り、前記第2上カバー部の下側縁部に、上側縁部が重なった状態で配置された、帯状の下カバー体と、
前記上カバー体の長手方向両側部および前記下カバー体の長手方向両側部のそれぞれが、該長手方向に垂直な幅方向に並んで配設された状態で接合される一対の接合部と、
前記一対の接合部のそれぞれに長手方向両端部が接合された、可撓性材料から成る一対の耳掛け紐と、
前記第2上カバー部と前記気体供給源とを接続し、前記気体供給源内の前記呼吸用気体を前記第2上カバー部内に導く管体と、を備えていることを特徴とするマスク装置である。
【0007】
また本発明の前記管体には、該管体を通過する前記呼吸用気体の流量を制御する流量調整弁が介在されていることを特徴とする。
【0008】
また本発明の前記呼吸用気体は、加湿空気であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、気体供給源内の呼吸用気体は管体を通って第2上カバー部内へ供給され、供給された呼吸用気体の圧力によって、非通気性の第2上カバー部が膨らみ、各透孔から呼吸用気体が放出され、口の直前をいわゆるエアーカーテン等の噴射流を形成して口腔内への異物の侵入を防止することができる。装着者が口を開かない状態では、第2上カバー部の下側縁部と下カバー体の上側縁部とは重なっており、飲食などのために口を開くと、それに追従して上カバー体と下カバー体との間には開口が形成されるが、この開口が前述のエアーカーテンによって覆われ、飛沫や空中浮遊物などの異物の口腔内への侵入を阻止することができる。
【0010】
また本発明によれば、管体には、該管体を通過する前記呼吸用気体の流量を制御する流量調整弁が介在されているので、呼吸用気体の第2上カバー部内への供給圧力を使用者が適切な風の有無などに応じて圧力に調整することができ、より適切な風量の噴射流を形成して、より確実に口腔内への異物の侵入を阻止することができる。
【0011】
また本発明によれば、前記呼吸用気体は、加湿空気であるので、使用者の口の直前に加湿空気の噴射流が形成されるので、口腔内の乾きを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態のマスク装置1を示す斜視図であり
図2図1の切断面線II-IIから見た拡大断面図である。
図3】マスク装置1のマスク本体1aの正面図である。
図4】管継ぎ手部13付近の斜視図である。
図5】本発明の他の実施形態のマスク装置1aに用いられる携帯型空気供給装置30の構成を簡素化して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明のマスク装置の実施形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態のマスク装置1を示す斜視図であり、図2図1の切断面線II-IIから見た拡大断面図である。図3は、マスク装置1のマスク本体1aの正面図である。本実施形態のマスク装置は、清浄な呼吸用気体が圧縮された状態で充填された気体供給源としてのボンベ2と、顔面3の上唇4aから上方の部位を覆う上カバー体5aであって、通気性を有する不織布から成る帯状の第1上カバー部5a1、および、不織布の表面が樹脂によって被覆された非通気性のシート状素材が2層重なって扁平な筒状に構成され、第1上カバー部5a1とは反対側の側縁部6に複数の透孔7が長手方向に互いに間隔をあけて設けられる第2上カバー部5a2を含む上カバー体5と、顔面3の下唇4bから下方の部位を覆う下カバー体5bであって、通気性を有する不織布から成り、第2上カバー部5a2の幅方向の第1上カバー部5a1とは反対側の下側縁部8に、第2上カバー部5a2側の上側縁部9が重なった状態で配置され、第2上カバー部5a1の長手方向に沿って延びる帯状の下カバー体5bと、上カバー部5a1の長手方向両側部および下カバー体5bの長手方向両側部のそれぞれが前記幅方向に隣接した状態で接合される一対の接合部10a,10bと、一対の接合部10a,10bのそれぞれに長手方向両端部が接合された、可撓性材料から成る一対の耳掛け紐11a,11bと、第2上カバー部5a2とボンベ2とを接続し、ボンベ2内の呼吸用気体を第2上カバー部5a2内に導く管体12と、を備えている。上カバー体5aと下カバー体5bと含んでマスク本体1aが構成される。
【0015】
各透孔7の流路断面は円形であってもよく、細長い長円形状スリット状であってもよく、口腔内へ侵入しようとする異物の進行を阻止し得る適度の流速および流量の噴射流を確保できれば、その他の形状であってもよく、パンチング等によって容易に形成することができる形状が好ましいい。
【0016】
各接合部10a,10bは、例えば熱可塑性樹脂から成る細幅のテープによって実現されてもよい。このような接合部10a,10b上に上カバー部5a1の長手方向両側部および下カバー体5bの長手方向両側部のそれぞれを重ねた状態で、加圧・加熱して熱融着されてもよい。他の実施形態では、前述の細幅のテープを用いすに、上カバー部5a1の長手方向両側部および下カバー体5bの長手方向両側部の各一部を互いに重ね、ホットメルト接合してもよい。
【0017】
12管体には、管体12を通過する呼吸用気体の流量を制御する流量調整弁V2が接続される。
【0018】
不織布としては、ポリプロピレンスパンボンド、ポリエチレンスパンボンド、ナイロンスパンボンド等が挙げられる。マスク本体1aの大きさの一例としては、左右方向に120mm~210mmであってもよく、上下方向に70mm~100mmであってもよい。呼吸用気体は、加湿空気であることが好ましい。これによって、飲食、会話などのために使用者が口を開いている時間が長い場合であっても、第2上カバー部5a2の各透孔7から放出される呼吸用気体の噴射流が加湿空気であるので、口腔内の乾燥を抑制することができる。
【0019】
ボンベ2は、アルミニウム合金などの軽量な金属から成る小型の携帯用圧力容器であり、ヘッド部には内部の呼吸用気体である圧縮空気を外部へ適切な放出圧力に圧力調整して放出可能な容器弁V1が設けられている。管体12には流量調整弁V1が介在され、管体12は、この流量調整弁V2によって分割された2つの部分12a,12bから成る。第2上カバー部5a2の長手方向一側部には、圧縮空気を第2上カバー部5a2によって規定される内部空間内へ導入し、図4に示されるように、管体12の下流側の部分12bの端部を着脱可能に接続することができる管継ぎ手部13が設けられる。管体12の素材としては、可撓性を有する樹脂、例えばナイロンチューブであってもよい。
【0020】
上カバー部5aは、不織布の表面が樹脂によって被覆することによって非通気性を達しするように構成されてもよい。このような第2上カバー部5a2は、扁平な筒状に構成されるので、呼吸用気体が供給されることによって、膨張し、これによってマスク本体1aの曲げ剛性が高くなり、第2上カバー部5a2は適度の内圧を保ち、これによって各透孔7から呼吸用気体を安定して放出することができる。
【0021】
通気性を有する第1上カバー部5a1および下カバー部5bの通気度としては、JISP8117(2009年改正版)によって測定される値であり、一定の圧力のもとで100mlの空気が6.42cmの面積を通過する時間として定義される。したがって、通気度の数値が大きいことは空気の通過に時間がかかること、即ち通気性が低いことを意味している。逆に、通気度の数値が小さいことは通気性が高いことを意味している。このように、通気度の数値の大小と通気性の高低とは逆の関係を示す。このような通気度は、王研式通気度計で計測することができる。本実施形態では、通気度が30000秒/100mL以上となるものを「難通気」、80000秒/100mL以上となるものを「非通気」であってもよく、したがって第1上カバー部5a1および下カバー体5bの通気度は、難通気の値未満であり、第2上カバー部5a2の通気度は非通気の値であってもよい。
【0022】
上カバー体5aおよび下カバー体5bの表面には、防カビ剤または抗菌剤が塗布またコーティング等の手法で被覆されてもよい。防かび剤および抗菌剤の種類は、防カビまたは抗菌効果を有するものであれば特に限定されないが、例えば、5-クロロ-N-メチルイソチアゾロン、メチレンビスチオシアネート、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、グルタルアルデヒド、ヨードプロピニルブチルカーバメート、ピリジンチオール-N-オキシドの亜鉛塩、1,2-ベンゾイソチアゾロン、1,2-ジブロモ-2,4-ジシアノブタン、グルコン酸クロルヘキシジン、2-イソプロピル-5-メチルフェノール、3-メチル-4-イソプロピルフェノール、オルトフェニルフェノール、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラクロロメタキシレノール、パラクロロタクレゾール、ポリリジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、N-n-ブチルベンゾイソチアゾロン、N-オクチルイソチアゾロン、2-(4-チアゾリル)ベンズイミダゾール、2-ベンズイミダゾリルカルバミン酸メチル、テトラクロロイソフタロニトリル、ジヨードメチルパラトリルスルホン、パラクロロフェニル-3-ヨードプロパギルホルマール、2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メチルスルホニル)ピリジン、脂肪酸グリセリンエステル、ヒノキチオール等の中からえらばれた1種を用いることができる。
【0023】
他の実施形態では、マスク本体1aの保湿機能を向上するために、不織布にセルロースナノファイバーを塗布してもよい。セルロースファイバーとは、パルプ繊維を解繊して得られる微細なセルロース繊維をいい、一般的に平均繊維幅がナノサイズ( 1 n m 以上、1 0 0 0 n m 以下) のセルロース微細繊維を含むセルロース繊維をいう。
【0024】
セルロースファイバーの製造に使用可能なパルプ繊維としては、広葉樹パルプ(LBKP)、針葉樹パルプ(NBKP)等の化学パルプ、晒サーモメカニカルパルプ(BTMP)、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)等の機械パルプ、茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙、更紙古紙等から製造される古紙パルプ、古紙パルプを脱墨処理した脱墨パルプ(DIP)などが挙げられる。
【0025】
本実施形態によれば、ボンベ2内の呼吸用気体は管体12を通って第2上カバー部5a2内へ供給され、供給された呼吸用気体の圧力によって、非通気性の第2上カバー部5a2が膨らみ、各透孔7から呼吸用気体が放出され、口の直前をいわゆるエアーカーテン等の噴射流を形成して口腔内への異物の侵入を防止することができる。装着者が口を開かない状態では、第2上カバー部5a2の下側縁部8と下カバー体5bの上側縁部9とは重なっており、飲食などのために口を開くと、それに追従して上カバー体5aと下カバー体5bとの間には開口が形成されるが、この開口が前述のエアーカーテンによって覆われ、飛沫や空中浮遊物などの異物の口腔内への侵入を阻止することができる。
【0026】
また本実施形態によれば、管体12には、該管体12を通過する前記呼吸用気体の流量を制御する流量調整弁V2が介在されているので、呼吸用気体の第2上カバー部a2内への供給圧力を使用者が適切な風の有無などに応じて圧力に調整することができ、より適切な風量の噴射流を形成して、より確実に口腔内への異物の侵入を阻止することができる。
【0027】
また本実施形態によれば、呼吸用気体は、加湿空気であるので、使用者の口の直前に加湿空気の噴射流が形成され、これによって口腔内の乾きを抑制することができる。低温低湿環境による咽喉、鼻の乾燥感の緩和、鼻づまり等による不快感が低減され、リラックス効果が得られ、心地良くなることができる。また、入眠感も誘発される。さらに、鼻腔の粘膜が加温加湿されるため、異物排出機能が高まり、風邪などの予防効果が期待できる。
【0028】
図5は本発明の他の実施形態のマスク装置1aに用いられる携帯型空気供給装置30の構成を簡素化して示す断面図である。本実施形態では、前述のボンベ2に代えて、気体供給源である携帯型空気供給装置30が用いられる。ボンベ2は使用者が携帯で可能大きさおよび重量に制限がるため、長時間使用できる空気の充填量が少なく、短時間、例えば20~30分程度で新たなものと交換を要するため、長時間連続使用可能な空気供給源として使用に供することができる携帯型空気供給装置30を提案する。この空気供給装置30は、使用者の衣服のポケットなどに収容して携帯可能とするため、例えば150mm×70mm×40mm程度の立方体形状とされる。空気供給装置30は、合成樹脂製の中空直方体状のハウジング31と、ハウジング31の内面から突出する、弁孔32を有する正面視形状が四角形の隔壁33と、隔壁33によって規定された開口を塞ぐように周縁部が隔壁33に固定されたダイヤフラム34と、ダイヤフラム34を振動させる電磁ソレノイド35と、殺菌灯36と、除塵フィルタ37と、電磁ソレノイド35に駆動電力を供給する電源である電池38と、ハウジング31に設けられる管継ぎ手42と、を含んで構成される。
【0029】
ハウジング31内の空間は、前述の隔壁33およびダイヤフラム34によって第1空間39と第2空間40とに仕切られ、第1空間に前述の電磁ソレノイド35、殺菌灯36おおよび除塵フィルタ37が設けられる。殺菌灯36はいわゆるUVランプであり、紫外線を発生する。第1空間39に除塵フィルタを通過して流入した空気には、殺菌灯36から発生される紫外線が照射され、第1空間36内の空気中にウイルスが存在してもそのウイルスを死滅させることができる。
【0030】
第1空間36内で紫外線によって殺菌された清浄な空気は、ダイヤフラム34の振動に伴う吸引動作によって弁孔32を通って第2空間40へ流入する。隔壁33には、弁孔32が第2空間40側から塞がれるように逆止弁41が設けられる。逆止弁41は、例えば軟質樹脂シートから成ってもよい。逆止弁41によって、ダイヤフラム34が電磁ソレノイド35によって駆動されている状態で、弁孔32を介して第1空間39から第2空間40への空気の流れを許容し、第2空間40から第1空間39への空気の流れを遮断し、第2空間40内を正圧に維持することができる。これによって管体12が接続される管継ぎ手42を経て、マスク本体1aに第2空間40内の清浄な加圧空気を長時間にわたって連続して供給することができる。
【0031】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、また、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。上記各実施形態をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0032】
1 マスク装置
1a マスク本体
2 ボンベ
3 顔面
4a 上唇
5a 上カバー体
5a1 第1上カバー部
6 側縁部
7 透孔
5a2 第2上カバー部
5 上カバー体
4b 下唇
5b 下カバー体
5a2 第2上カバー部
8 下側縁部
9 上側縁部
10a,10b 接合部
11a,11b 耳掛け紐
12 管体
図1
図2
図3
図4
図5