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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089091
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】蓄熱装置及び蓄熱装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/16 20060101AFI20220608BHJP
   F28D 20/02 20060101ALI20220608BHJP
   F28F 21/08 20060101ALI20220608BHJP
   F28D 7/16 20060101ALI20220608BHJP
   F28F 23/02 20060101ALI20220608BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20220608BHJP
   B23K 1/18 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
F28F9/16
F28D20/02 D
F28F21/08 A
F28D7/16 A
F28F23/02 Z
B23K1/00 330H
B23K1/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201337
(22)【出願日】2020-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000152826
【氏名又は名称】株式会社日本クライメイトシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100163463
【弁理士】
【氏名又は名称】西尾 光彦
(72)【発明者】
【氏名】椎 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】菅野 恒
(72)【発明者】
【氏名】仲村 達也
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 隆一
(72)【発明者】
【氏名】濱本 浩
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 洋一
(72)【発明者】
【氏名】山口 博志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 敬
(72)【発明者】
【氏名】新谷 嘉宏
【テーマコード(参考)】
3L065
3L103
【Fターム(参考)】
3L065CA17
3L103AA01
3L103DD03
3L103DD44
(57)【要約】
【課題】潜熱蓄熱材の過冷却の安定性の観点から有利な蓄熱装置を提供する。
【解決手段】蓄熱装置1は、第一空間2と、第二空間3と、第三空間と4を含む内部空間を有するシェル5を備える。第三空間4には、潜熱蓄熱材6が収容されている。伝熱管7は、第三空間4に接する外面70を有し、第一空間2と第二空間4とを連通させている。第一ヘッダー部材8は、第一空間2と第三空間4とを仕切っている。第一接合材10は、第一ヘッダー部材8と伝熱管7の外面70との間の第一接合部84に少なくとも存在している。第一空間2に接している第一接合材10の面積は、第三空間4に接している第一接合材10の面積より大きい。伝熱管7及び第一ヘッダー部材8は、アルミニウム又はアルミニウム合金を主材として含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一空間と、前記第一空間から離れている第二空間と、前記第一空間と前記第二空間との間に形成された第三空間とを含む内部空間を有し、前記第一空間、前記第三空間、及び前記第二空間が基準平面に沿ってこの順に配置されているシェルと、
前記第三空間に収容された潜熱蓄熱材と、
前記第三空間に接する外面を有し、前記第一空間と前記第二空間とを連通させている、アルミニウム又はアルミニウム合金を主材として含む伝熱管と、
前記第一空間と前記第三空間とを仕切っている、アルミニウム又はアルミニウム合金を主材として含む第一ヘッダー部材と、
前記第一ヘッダー部材と前記伝熱管の前記外面との間の第一接合部に少なくとも存在している第一接合材と、を備え、
前記第一空間に接している前記第一接合材の面積は、前記第三空間に接している前記第一接合材の面積より大きい、
蓄熱装置。
【請求項2】
前記第一接合部は、前記第一ヘッダー部材と前記伝熱管の前記外面との間を充填している部分において、前記第一空間から前記第三空間に向かって減少する厚みを有する、請求項1に記載の蓄熱装置。
【請求項3】
前記伝熱管の前記外面は、前記第三空間から前記第一空間に向かって形成された第一テーパー部を有し、前記第一接合部は、前記第一テーパー部の周りに形成されている、請求項1又は2に記載の蓄熱装置。
【請求項4】
前記第一ヘッダー部材は、前記第一接合部に沿って、前記第一空間から前記第三空間に向かって又は前記第三空間から前記第一空間に向かって、突出している第一突出部を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
【請求項5】
前記第一接合材は、ロウ材を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
【請求項6】
アルミニウム又はアルミニウム合金を主材として含み、貫通孔を有する第一ヘッダー部材をシェルの内部空間に配置して前記内部空間を仕切ることと、
アルミニウム又はアルミニウム合金を主材として含む伝熱管の長手方向の一端部を前記第一ヘッダー部材の前記貫通孔に挿入することと、
前記内部空間の前記一端部が存在している第一空間において、前記第一ヘッダー部材と前記伝熱管との間の接合予定部にフラックスを付着させつつ、前記接合予定部の周囲を加熱及び冷却して、前記第一ヘッダー部材と前記伝熱管とをロウ付けにより接合させることと、を含む、
蓄熱装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄熱装置及び蓄熱装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、潜熱蓄熱材を用いた蓄熱装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、過冷却が可能である潜熱蓄熱材が充填された容器を備えた蓄熱装置が記載されている。容器の材料として、酸化アルミニウムが適用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4714923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、アルミニウム又はアルミニウム合金を主材とする部材の接合によって形成された、潜熱蓄熱材を収容するための空間を有しつつ、潜熱蓄熱材の過冷却の安定性の観点から有利な蓄熱装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、
第一空間と、前記第一空間から離れている第二空間と、前記第一空間と前記第二空間との間に形成された第三空間とを含む内部空間を有し、前記第一空間、前記第三空間、及び前記第二空間が基準平面に沿ってこの順に配置されているシェルと、
前記第三空間に収容された潜熱蓄熱材と、
前記第三空間に接する外面を有し、前記第一空間と前記第二空間とを連通させている、アルミニウム又はアルミニウム合金を主材として含む伝熱管と、
前記第一空間と前記第三空間とを仕切っている、アルミニウム又はアルミニウム合金を主材として含む第一ヘッダー部材と、
前記第一ヘッダー部材と前記伝熱管の前記外面との間の第一接合部に少なくとも存在している第一接合材と、を備え、
前記第一空間に接している前記第一接合材の面積は、前記第三空間に接している前記第一接合材の面積より大きい、
蓄熱装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、アルミニウム又はアルミニウム合金を主材とする部材の接合によって形成された、潜熱蓄熱材を収容するための空間を有しつつ、潜熱蓄熱材の過冷却の安定性の観点から有利である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る蓄熱装置を示す断面図である。
図2図2は、図1に示す蓄熱装置の一部を拡大した断面図である。
図3図3は、図1に示す蓄熱装置の別の一部を拡大した断面図である。
図4図4は、蓄熱装置の製造方法の一部を示す断面図である。
図5図5は、蓄熱装置の製造方法の別の一部を示す断面図である。
図6図6は、蓄熱装置の製造方法のさらに別の一部を示す断面図である。
図7図7は、蓄熱装置の製造方法のさらに別の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見)
蓄熱装置において、アルミニウム又はアルミニウム合金を主材とする部材の接合によって、潜熱蓄熱材を収容するための空間を形成することが考えられる。この場合、部材の接合のためにフラックス等の助剤が使用されることがある。本発明者らの検討によれば、フラックス等の助剤の使用により、蓄熱装置に収容されている潜熱蓄熱材の過冷却の安定性が損なわれる場合があることが新たに分かった。
【0010】
アルミニウム又はアルミニウム合金を主材とする部材から潜熱蓄熱材へアルミニウムイオンが溶出すると、アルミニウムイオンが核となって潜熱蓄熱材の結晶化が促されうる。その結果、潜熱蓄熱材の過冷却の安定性が損なわれやすい。部材から潜熱蓄熱材へのアルミニウムイオンの溶出を抑制するために、アルマイト処理及びベーマイト処理等の処理によって部材の表面を不働態にすることが考えられる。一方、部材の表面において、部材の接合に用いられたフラックス等の助剤が付着した箇所は不働態になりにくい。この場合、振動等によりフラックス等の助剤が部材から離れると、不働態ではない部材の表面が潜熱蓄熱材に露出する。その結果、その表面から潜熱蓄熱材にアルミニウムイオンが溶出し、潜熱蓄熱材の過冷却の安定性が損なわれる可能性がある。そこで、本発明者らは、アルミニウム又はアルミニウム合金を主材とする部材の接合のために使用されるフラックス等の助剤が潜熱蓄熱材に接触しにくい蓄熱装置の構成について鋭意検討を重ねた。その結果、本開示の蓄熱装置を遂に案出した。
【0011】
(本開示に係る一態様の概要)
本開示の第1態様に係る蓄熱装置は、
第一空間と、前記第一空間から離れている第二空間と、前記第一空間と前記第二空間との間に形成された第三空間とを含む内部空間を有し、前記第一空間、前記第三空間、及び前記第二空間が基準平面に沿ってこの順に配置されているシェルと、
前記第三空間に収容された潜熱蓄熱材と、
前記第三空間に接する外面を有し、前記第一空間と前記第二空間とを連通させている、アルミニウム又はアルミニウム合金を主材として含む伝熱管と、
前記第一空間と前記第三空間とを仕切っている、アルミニウム又はアルミニウム合金を主材として含む第一ヘッダー部材と、
前記第一ヘッダー部材と前記伝熱管の前記外面との間の第一接合部に少なくとも存在している第一接合材と、を備え、
前記第一空間に接している前記第一接合材の面積は、前記第三空間に接している前記第一接合材の面積より大きい。
【0012】
第1態様によれば、蓄熱装置の製造において、第三空間をなすべき空間でフラックス等の助剤を供給しなくても、第一空間をなすべき空間でフラックス等の助剤を供給して第一接合部を形成しやすい。これにより、第三空間にフラックス等の助剤が存在しにくい。このため、第1態様に係る蓄熱装置は、潜熱蓄熱材の過冷却の安定性の観点から有利である。
【0013】
本開示の第2態様において、例えば、第1態様に係る蓄熱装置では、前記第一接合部は、前記第一ヘッダー部材と前記伝熱管の前記外面との間を充填している部分において、前記第一空間から前記第三空間に向かって減少する厚みを有していてもよい。第2態様によれば、伝熱管の外面又は第一ヘッダー部材の第二主面に含まれている主材から潜熱蓄熱材にアルミニウムイオンが溶出することがより確実に防止される。
【0014】
本開示の第3態様において、例えば、第1又は第2態様に係る蓄熱装置では、前記伝熱管の前記外面は、前記第三空間から前記第一空間に向かって形成された第一テーパー部を有していてもよい。加えて、前記第一接合部は、前記第一テーパー部の周りに形成されていてもよい。第3態様によれば、蓄熱装置の製造において、第一ヘッダー部材に伝熱管を挿入しやすい。加えて、第一接合部は、第一空間から第三空間に向かって減少する厚みを有しやすい。
【0015】
本開示の第4態様において、例えば、第1から第3態様のいずれか1つに係る蓄熱装置では、前記第一ヘッダー部材は、前記第一接合部に沿って、前記第一空間から前記第三空間に向かって又は前記第三空間から前記第一空間に向かって、突出している第一突出部を有していてもよい。第4態様によれば、第一接合部が大きくなりやすく、第一ヘッダー部材と伝熱管の外面とが良好に接合されやすい。
【0016】
本開示の第5態様において、例えば、第1から第4態様のいずれか1つに係る蓄熱装置では、前記第一接合材は、ロウ材を含んでいてもよい。第5態様によれば、第一ヘッダー部材と伝熱管の外面とが良好に接合されやすい。
【0017】
本開示の第6態様に係る蓄熱装置の製造方法は、
アルミニウム又はアルミニウム合金を主材として含み、貫通孔を有する第一ヘッダー部材をシェルの内部空間に配置して前記内部空間を仕切ることと、
アルミニウム又はアルミニウム合金を主材として含む伝熱管の長手方向の一端部を前記第一ヘッダー部材の前記貫通孔に挿入することと、
前記内部空間の前記一端部が存在している第一空間において、前記第一ヘッダー部材と前記伝熱管との間の接合予定部にフラックスを付着させつつ、前記接合予定部の周囲を加熱及び冷却して、前記第一ヘッダー部材と前記伝熱管とをロウ付けにより接合させることと、を含む。
【0018】
第6態様によれば、伝熱管の一端部が存在している第一空間においてフラックスの付着がなされるので、伝熱管の一端部が存在していない空間に潜熱蓄熱材を収容することによって、潜熱蓄熱材が収容された空間にフラックスが存在しにくい。そのため、潜熱蓄熱材が収容された空間において、伝熱管の外面、シェルの内面、及び第一ヘッダー部材から潜熱蓄熱材にアルミニウムイオンが溶出することが防止される。その結果、潜熱蓄熱材の過冷却が安定しやすい蓄熱装置を製造できる。
【0019】
本開示の第7態様に係る蓄熱装置は、
第一空間と、前記第一空間から離れている第二空間と、前記第一空間と前記第二空間との間に形成された第三空間とを含む内部空間を有し、前記第一空間、前記第三空間、及び前記第二空間が基準平面に沿ってこの順に配置されているシェルと、
前記第三空間に収容された潜熱蓄熱材と、
前記第三空間に接する外面を有し、前記第一空間と前記第二空間とを連通させている、アルミニウム又はアルミニウム合金を主材として含む伝熱管と、
前記第一空間に接している第一主面と、前記第三空間に接している第二主面と、前記伝熱管が嵌め合わされた貫通孔と、前記伝熱管の長さ方向に平行な方向に向かって突出するように前記貫通孔の周りに設けられた筒状のカラーとを有し、前記第一空間と前記第三空間とを仕切っている、アルミニウム又はアルミニウム合金を主材として含む第一ヘッダー部材と、
前記伝熱管と前記第一ヘッダー部材とを接合するように前記カラーと前記伝熱管との間に設けられたロウ付け接合部と、を備える。
【0020】
本開示の第8態様において、例えば、第7態様に係る蓄熱装置では、前記ロウ付け接合部は、前記伝熱管の長さ方向に垂直な方向における断面積が前記第一空間側から前記第三空間側に向かって連続的又は段階的に減少している部分を含んでいてもよい。
【0021】
本開示の第9態様において、例えば、第7又は第8態様に係る蓄熱装置では、前記第一空間に面する前記ロウ付け接合部の面積は、前記第三空間に面する前記ロウ付け接合部の面積より大きくてもよい。
【0022】
本開示の第10態様において、例えば、第7から第9態様のいずれか1つに係る蓄熱装置では、前記カラーが前記第三空間に向かって突出していてもよい。加えて、前記カラーの先端の位置を基準として、前記ロウ付け接合部が前記第一空間側にのみ設けられていてもよい。
【0023】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本開示は、以下の実施形態に限定されない。
【0024】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る蓄熱装置1を示す断面図である。図2は、図1に示す蓄熱装置1の一部を拡大した断面図である。図1に示すとおり、蓄熱装置1は、シェル5を備えている。シェル5は、第一空間2と、第二空間3と、第三空間4とを含む内部空間を有している。第二空間3は、第一空間2から離れている。第三空間4は、第一空間2と第二空間3との間に形成されている。第一空間2、第三空間4、及び第二空間3は、基準平面に沿ってこの順に配置されている。潜熱蓄熱材6は、第三空間4に収容されている。蓄熱装置1は、伝熱管7を備えている。伝熱管7は、第三空間4に接する外面70を有している。伝熱管7は、第一空間2と第二空間3とを連通させている。蓄熱装置1は、第一ヘッダー部材8を備えている。第一ヘッダー部材8は、第一空間2と第三空間4とを仕切っている。第一ヘッダー部材8は、例えば、第一主面81と、第二主面82とを有する。第一主面81は、例えば、第一空間2に接している。第二主面82は、例えば、第三空間4に接している。第一ヘッダー部材8は、例えば、板状の部材である。第一主面81は、例えば、第一ヘッダー部材8の厚み方向において第二主面82とは反対側に位置する。本明細書において、「主面」は、例えば、板状の部材において相対的に広い面積を有する互いに平行な一対の面を意味し、各主面は、例えば、ひと続きの面である。伝熱管7及び第一ヘッダー部材8は、アルミニウム又はアルミニウム合金を主材として含む。本明細書において、「主材」は、質量基準で最も多く含まれる物質を意味する。
【0025】
図2に示すとおり、蓄熱装置1は、第一接合材10を備えている。第一接合材10は、第一接合部84に少なくとも存在している。第一接合部84は、第一ヘッダー部材8と伝熱管7の外面70との間に存在している。第一空間2に接している第一接合材10の面積は、第三空間4に接している第一接合材10の面積より大きい。第一接合部84は、例えば、第一ヘッダー部材8と伝熱管7の外面70とを接合している。第一接合材10は、例えば、第二主面82から離れている。第一接合部84は、例えば、第二主面82に形成されていない。
【0026】
蓄熱装置1は、例えば、第二接合材を備えている。第二接合材は、例えば、第二接合部に少なくとも存在している。第二接合部は、例えば、第一ヘッダー部材8の周縁部とシェル5の内面との間に存在している。第一空間2に接している第二接合材の面積は、例えば、第三空間4に接している第二接合材の面積より大きい。第二接合部は、例えば、第一ヘッダー部材8の周縁部とシェル5の内面とを接合している。第二接合材は、例えば、第二主面82から離れている。第二接合部は、例えば、第二主面82に形成されていない。シェル5は、アルミニウム又はアルミニウム合金を主材として含んでいてもよい。このような構成によれば、蓄熱装置1の製造において、第三空間4をなすべき空間でフラックス等の助剤を供給しなくても、第一空間2をなすべき空間でフラックス等の助剤を供給して第一接合部84を形成しやすい。これにより、第三空間4にフラックス等の助剤が存在しにくい。そのため、第三空間4において、シェル5の内面、伝熱管7の外面70、及び第一ヘッダー部材8から潜熱蓄熱材6にアルミニウムイオンが溶出することが防止される。その結果、潜熱蓄熱材6の過冷却が安定しやすい。加えて、シェル5の内面、伝熱管7の外面70、及び第一ヘッダー部材8には、典型的には、酸化皮膜が形成されている。各部材の接合において、フラックス等の助剤が接触した部分では、酸化皮膜が除去される。上記した構成によれば、フラックス等の助剤は、第三空間4をなすべき空間で使用されなくてもよい。その結果、第三空間4をなすべき空間に形成された酸化皮膜は除去されにくいので、第三空間4をなすべき空間にアルマイト処理及びベーマイト処理等の処理が施されていなくてもアルミニウムイオンの溶出を防止できる。これにより、蓄熱装置1の製造において、コストが抑制されうる。
【0027】
図1に示すとおり、蓄熱装置1は、例えば、供給口14及び排出口15をさらに備えている。供給口14は、第一空間2に開口している。熱媒体は、例えば、蓄熱装置1の外部から供給口14を通って第一空間2に導かれる。排出口15は、第二空間3に開口している。第一空間2に導かれた熱媒体は、伝熱管7の内部を通過して第二空間3に導かれる。その後、熱媒体は、第二空間3から排出口15を通って蓄熱装置1の外部に導かれる。
【0028】
図2に示すとおり、第一接合部84は、例えば、第一空間2から第三空間4に向かって減少する厚みを有する。第一接合部84は、例えば、第一ヘッダー部材8と伝熱管7の外面70との間を充填している部分を含む。第一接合部84の厚みは、第一ヘッダー部材8と第一接合部84とが接合している面と、第一接合部84と伝熱管7の外面70とが接合している面との間の距離を意味する。第一接合部84の厚みは、例えば、伝熱管7の長手方向に直交する方向に沿って測定される。このような構成によれば、例えば、蓄熱装置1の製造において、第一接合部84をなすべき空間が第一空間2から第三空間4に向かって減少する厚みを有するように各部材を配置しやすい。この場合、蓄熱装置1の製造において、第一空間2をなすべき空間でフラックス等の助剤を供給して第一接合部84を形成させても、助剤が第三空間4をなすべき空間に到達しにくい。その結果、第三空間4において、伝熱管7の外面70及び第一ヘッダー部材8から潜熱蓄熱材6にアルミニウムイオンが溶出することが抑制され、潜熱蓄熱材6の過冷却がより確実に安定しやすい。
【0029】
図2に示すとおり、第一ヘッダー部材8は、第一突出部20を有していてもよい。第一突出部20は、例えば、第一接合部84に沿って第一空間2から第三空間4に向かって突出している。ただし、第一突出部20は、図2とは逆方向、すなわち第一接合部84に沿って第三空間4から第一空間2に向かって突出していてもよい。このような構成によれば、例えば、第一接合部84が大きくなりやすく、第一ヘッダー部材8と伝熱管7の外面70とが良好に接合されやすい。その結果、蓄熱装置1は、優れた耐久性を有しやすい。第一突出部20の先端は、伝熱管7の外面70に接触していてもよい。第一ヘッダー部材8における第一突出部20は、バーリング加工によって形成されてもよい。
【0030】
図2に示すとおり、伝熱管7の外面70は、第一テーパー部71を有していてもよい。第一テーパー部71は、例えば、伝熱管7の長手方向において、第三空間4から第一空間2に向かって形成されている。第一接合部84は、例えば、第一テーパー部71の周りに形成されている。このような構成によれば、例えば、蓄熱装置1の製造において、第一接合部84をなすべき空間が第一空間2から第三空間4に向かって減少する厚みを有するように各部材を配置しやすい。この場合、蓄熱装置1の製造において、第一空間2をなすべき空間でフラックス等の助剤を供給して第一接合部84を形成させても、助剤が第三空間4をなすべき空間に到達しにくい。その結果、第三空間4において、伝熱管7の外面70及び第一ヘッダー部材8から潜熱蓄熱材6にアルミニウムイオンが溶出することが抑制され、潜熱蓄熱材6の過冷却がより確実に安定しやすい。加えて、このような構成によれば、例えば、第一ヘッダー部材8に伝熱管7を挿入しやすいので、蓄熱装置1を容易に製造できる。
【0031】
第二接合部は、例えば、第一空間2から第三空間4に向かって減少する厚みを有する。第二接合部は、例えば、第一ヘッダー部材8とシェル5の内面との間を充填している部分を含む。第二接合部の厚みは、第一ヘッダー部材8の周縁部と第二接合部とが接合している面と、第二接合部とシェル5の内面とが接合している面との間の距離を意味する。第二接合部の厚みは、例えば、シェル5の内面に直交する方向に沿って測定される。このような構成によれば、例えば、蓄熱装置1の製造において、第二接合部をなすべき空間が第一空間2から第三空間4に向かって減少する厚みを有するように各部材を配置しやすい。この場合、蓄熱装置1の製造において、第一空間2をなすべき空間でフラックス等の助剤を供給して第二接合部を形成させても、助剤が第三空間4をなすべき空間に到達しにくい。その結果、第三空間4において、シェル5の内面及び第一ヘッダー部材8から潜熱蓄熱材6にアルミニウムイオンが溶出することが防止され、潜熱蓄熱材6の過冷却がより確実に安定しやすい。
【0032】
第一ヘッダー部材8は、第二突出部を有していてもよい。つまり、第一ヘッダー部材8の周縁部に第二突出部が設けられていてもよい。第二突出部は、例えば、第二接合部に沿って第一空間2から第三空間4に向かって突出している。ただし、第二突出部は、逆方向、すなわち第二接合部に沿って第三空間4から第一空間2に向かって突出していてもよい。このような構成によれば、例えば、第二接合部が大きくなりやすく、第一ヘッダー部材8の周縁部とシェル5の内面とが良好に接合されやすい。その結果、蓄熱装置1は、優れた耐久性を有しやすい。第二突出部の先端は、シェル5の内面に接触していてもよい。
【0033】
第一ヘッダー部材8と伝熱管7の外面70とを接合できる限り、第一接合材10に含まれる材料は、特定の材料に限定されない。第一ヘッダー部材8とシェル5の内面とを接合できる限り、第二接合材に含まれる材料は、特定の材料に限定されない。第一接合材10に含まれる材料及び第二接合材に含まれる材料の種類は、同じであってもよく、異なっていてもよい。第一接合材10及び第二接合材は、例えば、ロウ材を含む。第一接合材10及び第二接合材は、例えば、ロウ付けによって形成されている。第一ヘッダー部材8、シェル5、及び伝熱管7には、例えば、ロウ材層を有するクラッド材を使用できる。ロウ材は、例えば、アルミニウムとシリコンとの共晶を含んでいる。これにより、第一ヘッダー部材8と伝熱管7の外面70とが良好に接合されやすい。加えて、第一ヘッダー部材8とシェル5の内面とが良好に接合されやすい。
【0034】
第一接合材10及び第二接合材には、例えば、フラックス等の助剤が含まれていてもよい。フラックスは、例えば、カリウムと、アルミニウムと、フッ素とを含有している。フラックスは、例えば、KAlF4とK3AlF6との共晶を含んでいる。第一接合材10及び第二接合材において、フラックス等の助剤は洗浄により除去されていてもよい。
【0035】
蓄熱装置1において、第三空間4をなすべき空間にロウ材層が形成されていなくてもよい。第一ヘッダー部材8において、ロウ材層を含む接合材が第二主面82に形成されていなくてもよい。これにより、第一接合材10及び第二接合材が第一空間2側に形成されやすい。加えて、第一接合部84及び第二接合部は、第三空間4に存在しにくい。この場合、蓄熱装置1の製造において、第一空間2をなすべき空間でフラックス等の助剤を供給して第一接合部84及び第二接合部を形成させても、助剤が第三空間4をなすべき空間に到達しにくい。その結果、第三空間4において、シェル5の内面、伝熱管7の外面70、及び第一ヘッダー部材8から潜熱蓄熱材6にアルミニウムイオンが溶出することが防止され、潜熱蓄熱材6の過冷却がより確実に安定しやすい。
【0036】
潜熱蓄熱材6は、特定の潜熱蓄熱材に限定されない。潜熱蓄熱材6は、例えば、金属塩又は金属塩の水和物を主成分として含有している。これにより、潜熱蓄熱材6が所望の過冷却安定性を有しやすい。本明細書において「主成分」とは、質量基準で最も多く含まれる成分を意味する。
【0037】
金属塩の例は、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、鉄の塩、及びアルミニウム塩である。
【0038】
潜熱蓄熱材6は、酢酸ナトリウムを主成分として含有していてもよい。これにより、潜熱蓄熱材6が所望の過冷却安定性をより確実に有しやすい。
【0039】
潜熱蓄熱材6の主成分は、所定の水和物であってもよい。例えば、上記の金属塩の水和物であってもよい。水和物の例は、硫酸ナトリウム十水和物、硫酸水素ナトリウム一水和物、塩素酸リチウム三水和物、過塩素酸リチウム三水和物、フッ化カリウム二水和物、フッ化カリウム四水和物、塩化カルシウム二水和物、塩化カルシウム四水和物、塩化カルシウム六水和物、硝酸リチウム三水和物、硫酸ナトリウム十水和物、炭酸ナトリウム七水和物、炭酸ナトリウム十水和物、臭化カルシウム二水和物、リン酸水素二ナトリウム二水和物、リン酸水素二ナトリウム七水和物、リン酸水素二ナトリウム十二水和物、塩化鉄四水和物、塩化鉄六水和物、チオ硫酸ナトリウム五水和物、硫酸マグネシウム七水和物、酢酸リチウム二水和物、水酸化ナトリウム一水和物、水酸化バリウム一水和物、水酸化バリウム八水和物、ピロリン酸ナトリウム十水和物、リン酸三ナトリウム六水和物、リン酸三ナトリウム八水和物、及びリン酸三ナトリウム十二水和物である。
【0040】
潜熱蓄熱材6は、安定剤及び水等の他の成分をさらに含んでいてもよい。
【0041】
図1に示すとおり、蓄熱装置1は、例えば、第二ヘッダー部材9をさらに備えている。第二ヘッダー部材9は、例えば、第二空間3と第三空間4とを仕切っている。図3は、図1に示す蓄熱装置1の別の一部を拡大した断面図である。図3に示すとおり、第二ヘッダー部材9は、例えば、第三主面91と、第四主面92とを有する。第三主面91は、例えば、第二空間3に接している。第四主面92は、例えば、第三空間4に接している。第二ヘッダー部材9は、例えば、板状の部材である。第三主面91は、例えば、第二ヘッダー部材9の厚み方向において、第四主面92とは反対側に位置する。
【0042】
図3に示すとおり、蓄熱装置1は、例えば、第三接合材12を備えている。第三接合材12は、例えば、第三接合部94に少なくとも存在している。第三接合部94は、例えば、第二ヘッダー部材9と伝熱管7の外面70との間に存在している。第二空間3に接している第三接合材12の面積は、例えば、第三空間4に接している第三接合材12の面積より大きい。第三接合部94は、例えば、第二ヘッダー部材9と伝熱管7の外面70とを接合している。第三接合材12は、例えば、第四主面92から離れている。第三接合部94は、例えば、第四主面92に形成されていない。
【0043】
蓄熱装置1は、例えば、第四接合材を備えている。第四接合材は、例えば、第四接合部に少なくとも存在している。第四接合部は、例えば、第二ヘッダー部材9の周縁部とシェル5の内面との間に存在している。第二空間3に接している第四接合材の面積は、例えば、第三空間4に接している第四接合材の面積より大きい。第四接合部は、例えば、第二ヘッダー部材9の周縁部とシェル5の内面とを接合している。第四接合材は、例えば、第四主面92から離れている。第四接合部は、例えば、第四主面92に形成されていない。第二ヘッダー部材9は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金を主材として含む。このような構成によれば、例えば、蓄熱装置1の製造において、第三空間4をなすべき空間でフラックス等の助剤を供給しなくても、第二空間3をなすべき空間でフラックス等の助剤を供給して第三接合部94及び第四接合部を形成しやすい。これにより、第三空間4にフラックス等の助剤が存在しにくい。そのため、第三空間4において、シェル5の内面、伝熱管7の外面70、及び第二ヘッダー部材9から潜熱蓄熱材6にアルミニウムイオンが溶出することが防止される。その結果、潜熱蓄熱材6の過冷却がより確実に安定しやすい。加えて、第二ヘッダー部材9には、典型的には、酸化皮膜が形成されている。各部材の接合において、フラックス等の助剤が接触した部分では、酸化皮膜が除去される。上記した構成によれば、フラックス等の助剤は、第三空間4をなすべき空間で使用されなくてもよい。その結果、第三空間4をなすべき空間に形成された酸化皮膜は除去されにくいので、第三空間4をなすべき空間にアルマイト処理及びベーマイト処理等の処理が施されていなくてもアルミニウムイオンの溶出を防止できる。これにより、蓄熱装置1の製造において、コストが抑制されうる。
【0044】
図3に示すとおり、第三接合部94は、例えば、第二空間3から第三空間4に向かって減少する厚みを有する。第三接合部94は、例えば、第二ヘッダー部材9と伝熱管7の外面70との間を充填している部分を含む。第三接合部94の厚みは、第二ヘッダー部材9と第三接合部94とが接合している面と、第三接合部94と伝熱管7の外面70とが接合している面との間の距離を意味する。第三接合部94の厚みは、例えば、伝熱管7の長手方向に直交する方向に沿って測定される。このような構成によれば、例えば、蓄熱装置1の製造において、第三接合部94をなすべき空間が第二空間3から第三空間4に向かって減少する厚みを有するように各部材を配置しやすい。この場合、蓄熱装置1の製造において、第二空間3をなすべき空間でフラックス等の助剤を供給して第三接合部94を形成させても、助剤が第三空間4をなすべき空間に到達しにくい。その結果、第三空間4において、伝熱管7の外面70及び第二ヘッダー部材9から潜熱蓄熱材6にアルミニウムイオンが溶出することが抑制され、潜熱蓄熱材6の過冷却がより確実に安定しやすい。
【0045】
図3に示すとおり、第二ヘッダー部材9は、第三突出部22を有していてもよい。第三突出部22は、例えば、第三接合部94に沿って第二空間3から第三空間4に向かって突出している。ただし、第三突出部22は、図4とは逆方向、すなわち第三接合部94に沿って第三空間4から第二空間3に向かって突出していてもよい。このような構成によれば、例えば、第三接合部94が大きくなりやすく、第二ヘッダー部材9と伝熱管7の外面70とが良好に接合されやすい。その結果、蓄熱装置1は、優れた耐久性を有しやすい。第三突出部22の先端は、伝熱管7の外面70に接触していてもよい。第二ヘッダー部材9における第三突出部22は、バーリング加工によって形成されてもよい。
【0046】
図3に示すとおり、伝熱管7の外面70は、例えば、第二テーパー部72を有する。第二テーパー部72は、例えば、伝熱管7の長手方向において、第三空間4から第二空間3に向かって形成されている。第三接合材12は、例えば、第二テーパー部72の周りに形成されている。このような構成によれば、例えば、蓄熱装置1の製造において、第三接合部94をなすべき空間が第二空間3から第三空間4に向かって減少する厚みを有するように各部材を配置しやすい。この場合、蓄熱装置1の製造において、第二空間3をなすべき空間でフラックス等の助剤を供給して第三接合部94を形成させても、助剤が第三空間4をなすべき空間に到達しにくい。その結果、伝熱管7の外面70及び第二ヘッダー部材9から潜熱蓄熱材6にアルミニウムイオンが溶出することが抑制され、潜熱蓄熱材6の過冷却がより確実に安定しやすい。加えて、このような構成によれば、第二ヘッダー部材9に伝熱管7を挿入しやすいので、蓄熱装置1を容易に製造できる。
【0047】
第四接合部は、例えば、第二空間3から第三空間4に向かって減少する厚みを有する。第四接合部は、例えば、第二ヘッダー部材9とシェル5の内面との間を充填している部分を含む。第四接合部の厚みは、第二ヘッダー部材9の周縁部と第四接合部とが接合している面と、第四接合部とシェル5の内面とが接合している面との間の距離を意味する。第四接合部の厚みは、例えば、シェル5の内面に直交する方向に沿って測定される。このような構成によれば、例えば、蓄熱装置1の製造において、第四接合部をなすべき空間が第二空間3から第三空間4に向かって減少する厚みを有するように各部材を配置しやすい。この場合、蓄熱装置1の製造において、第二空間3をなすべき空間でフラックス等の助剤を供給して第四接合部を形成させても、助剤が第三空間4をなすべき空間に到達しにくい。その結果、第三空間4において、シェル5の内面及び第二ヘッダー部材9から潜熱蓄熱材6にアルミニウムイオンが溶出することが防止され、潜熱蓄熱材6の過冷却がより確実に安定しやすい。
【0048】
第二ヘッダー部材9は、第四突出部を有していてもよい。つまり、第二ヘッダー部材9の周縁部に第四突出部が設けられていてもよい。第四突出部は、例えば、第四接合部に沿って第二空間3から第三空間4に向かって突出している。ただし、第四突出部は、逆方向、すなわち第四接合部に沿って第三空間4から第二空間3に向かって突出していてもよい。このような構成によれば、例えば、第四接合部が大きくなりやすく、第二ヘッダー部材9の周縁部とシェル5の内面とが良好に接合されやすい。その結果、蓄熱装置1は、優れた耐久性を有しやすい。第四突出部の先端は、シェル5の内面に接触していてもよい。
【0049】
第二ヘッダー部材9と伝熱管7の外面70とを接合できる限り、第三接合材12に含まれる材料は、特定の材料に限定されない。第二ヘッダー部材9とシェル5の内面とを接合できる限り、第四接合材に含まれる材料は、特定の材料に限定されない。第三接合材12に含まれる材料及び第四接合材に含まれる材料の種類は、同じであってもよく、異なっていてもよい。第三接合材12及び第四接合材は、例えば、ロウ材を含む。第三接合材12及び第四接合材は、例えば、ロウ付けによって形成されている。第二ヘッダー部材9には、例えば、ロウ材層を有するクラッド材を使用できる。ロウ材は、例えば、上記したロウ材が使用できる。これにより、第二ヘッダー部材9と伝熱管7の外面70とが良好に接合されやすい。加えて、第二ヘッダー部材9とシェル5の内面とが良好に接合されやすい。
【0050】
第二ヘッダー部材9において、ロウ材層を含む接合材が第四主面92に形成されていなくてもよい。これにより、第三接合部94及び第四接合部が第二空間3側に形成されやすい。加えて、第三接合部94及び第四接合部は、第三空間4に存在しにくい。この場合、蓄熱装置1の製造において、第二空間3をなすべき空間でフラックス等の助剤を供給して第三接合部94及び第四接合部を形成させても、助剤が第三空間4をなすべき空間に到達しにくい。その結果、第三空間4において、シェル5の内面、伝熱管7の外面70、及び第二ヘッダー部材9から潜熱蓄熱材6にアルミニウムイオンが溶出することが防止され、潜熱蓄熱材6の過冷却がより確実に安定しやすい。
【0051】
第三接合材12及び第四接合材には、例えば、上記したフラックスが含まれていてもよい。第三接合材12及び第四接合材において、フラックス等の助剤は洗浄により除去されていてもよい。
【0052】
蓄熱装置1は、例えば、過冷却解除装置(図示省略)をさらに備えていてもよい。過冷却解除装置の働きにより、潜熱蓄熱材6の過冷却を所望のタイミングで解除できる。過冷却解除装置の構成は、潜熱蓄熱材6の過冷却を解除できる限り、特定の構成に限定されない。過冷却解除装置は、例えば、潜熱蓄熱材6の過冷却を解除するための物理的な作用を生じさせる。物理的な作用は、所定の物体の移動又は振動であってもよく、電気的な作用であってもよい。
【0053】
蓄熱装置1の製造方法の一例について説明する。
【0054】
図4は、蓄熱装置1の製造方法の一部を示す断面図である。まず、シェル5の内部空間に、第一ヘッダー部材8を配置してシェル5の内部空間を仕切る。第一ヘッダー部材8は、例えば、板状の部材である。第一ヘッダー部材8は、貫通孔80を有する。伝熱管7の長手方向の一端部を第一ヘッダー部材8の貫通孔80に挿入する。図4に示すとおり、伝熱管7を、例えば、第三空間4をなすべき空間から第一ヘッダー部材8の貫通孔80に挿入させる。これにより、例えば、第一ヘッダー部材8から伝熱管7の長手方向の一端部を貫通孔80から突出させる。このようにして、シェル5の内部空間において、伝熱管7の長手方向の一端部が存在している第一空間2が形成される。第一ヘッダー部材8及び伝熱管7は、アルミニウム又はアルミニウム合金を主材として含む。シェル5は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金を主材として含む。
【0055】
図5は、蓄熱装置1の製造方法の別の一部を示す断面図である。図5に示すとおり、第一ヘッダー部材8は、例えば、ロウ材層30を有する。ロウ材層30は、例えば、第一ヘッダー部材8において第一主面81及び内周面83に形成されている。内周面83は、例えば、第一主面81に隣接する面を含む。ロウ材層30は、例えば、第二主面82に形成されていない。第一接触部31の近くでフラックス33の付着がなされる。第一接触部31は、例えば、第一ヘッダー部材8と伝熱管7の外面70との間に形成されている。第一接触部31は、例えば、第一ヘッダー部材8の先端と伝熱管7の外面70とが接触する部分を含む。第一接触部31は、例えば、第一空間2に含まれる。第一接触部31の近くは、例えば、第一接合予定部である。第一接合予定部は、第一ヘッダー部材8と伝熱管7の外面70との間に存在する。第一接合予定部において、フラックス33は、例えば、ロウ材層30と伝熱管7の外面70との間に付着される。第一接合予定部にフラックス33が付着している状態で、第一接合予定部の周囲を加熱及び冷却する。これにより、フラックス33に含まれる成分が流動し、第一ヘッダー部材8及び伝熱管7の外面70において酸化皮膜が除去される。その後、ロウ材層30に含まれるロウ材が溶解して、第一ヘッダー部材8と伝熱管7の外面70とが接合される。これにより、第一接合部84が形成される。その後、第三空間4に潜熱蓄熱材6が収容され、蓄熱装置1が得られる。
【0056】
ロウ材層30は、第一ヘッダー部材8において第一主面81及び周縁部に形成されていてもよい。例えば、第二接触部の近くでフラックス33の付着がなされる。第二接触部は、例えば、第一ヘッダー部材8の周縁部とシェル5の内面との間に形成されている。第二接触部は、例えば、第一ヘッダー部材8の先端とシェル5の内面とが接触する部分を含む。第二接触部は、例えば、第一空間2に含まれる。第二接触部の近くは、例えば、第二接合予定部である。第二接合予定部は、例えば、第一ヘッダー部材8とシェル5の内面との間に存在する。第二接合予定部において、フラックス33は、例えば、ロウ材層30とシェル5の内面との間に付着される。第二接合予定部にフラックス33が付着している状態で、第二接合予定部の周囲を加熱及び冷却する。これにより、フラックス33に含まれる成分が流動し、第一ヘッダー部材8及びシェル5の内面において酸化皮膜が除去される。その後、ロウ材層30に含まれるロウ材が溶解して、第一ヘッダー部材8とシェル5の内面とが接合される。これにより、第二接合部が形成される。
【0057】
このような製造方法によれば、伝熱管7の一端部が存在している第一空間2においてフラックス33の付着がなされる。そのため、伝熱管7の一端部が存在していない空間に潜熱蓄熱材6を収容することにより、潜熱蓄熱材6が収容された空間にフラックス33が存在しにくい。そのため、潜熱蓄熱材6が収容された空間において、シェル5の内面、伝熱管7の外面70、及び第一ヘッダー部材8から潜熱蓄熱材6にアルミニウムイオンが溶出することが防止される。その結果、潜熱蓄熱材6の過冷却が安定しやすい蓄熱装置1を製造できる。
【0058】
図6は、蓄熱装置1の製造方法のさらに別の一部を示す断面図である。図6に示すとおり、例えば、シェル5の内部空間に、第二ヘッダー部材9を配置してシェル5の内部空間を仕切る。第二ヘッダー部材9は、例えば、板状の部材である。第二ヘッダー部材9は、貫通孔90を有する。伝熱管7の長手方向の他端部を第二ヘッダー部材9の貫通孔90に挿入する。図6に示すとおり、蓄熱装置1の製造方法において、伝熱管7を、例えば、第三空間4をなすべき空間から第二ヘッダー部材9の貫通孔90に挿入させる。これにより、例えば、第二ヘッダー部材9から伝熱管7の長手方向の他端部を貫通孔90から突出させる。このようにして、シェル5の内部空間において、伝熱管7の長手方向の他端部が存在している第二空間3が形成される。第二ヘッダー部材9は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金を主材として含む。
【0059】
図7は、蓄熱装置1の製造方法のさらに別の一部を示す断面図である。図7に示すとおり、第二ヘッダー部材9は、例えば、ロウ材層40を有する。ロウ材層40は、例えば、第二ヘッダー部材9において第三主面91及び内周面93に形成されている。内周面93は、例えば、第三主面91に隣接する面を含む。ロウ材層40は、例えば、第四主面92に形成されていない。第三接触部41の近くでフラックス43の付着がなされる。第三接触部41は、例えば、第二ヘッダー部材9と伝熱管7の外面70との間に形成されている。第三接触部41は、例えば、第二ヘッダー部材9の先端と伝熱管7の外面70とが接触する部分を含む。第三接触部41は、例えば、第二空間3に含まれる。第三接触部41の近くは、例えば、第三接合予定部である。第三接合予定部は、例えば、第二ヘッダー部材9と伝熱管7の外面70との間に存在する。第三接合予定部において、フラックス43は、例えば、ロウ材層40と伝熱管7の外面70との間に付着される。第三接合予定部にフラックス43が付着している状態で、第三接合予定部の周囲を加熱及び冷却する。これにより、フラックス43に含まれる成分が流動し、第二ヘッダー部材9及び伝熱管7の外面70において酸化皮膜が除去される。その後、ロウ材層40に含まれるロウ材が溶解して、第二ヘッダー部材9と伝熱管7の外面70とが接合される。これにより、第三接合部94が形成される。
【0060】
ロウ材層40は、第二ヘッダー部材9において第三主面91及び周縁部に形成されていてもよい。例えば、第四接触部の近くでフラックス43の付着がなされる。第四接触部は、例えば、第二ヘッダー部材9の周縁部とシェル5の内面との間に形成されている。第四接触部は、例えば、第二ヘッダー部材9の先端とシェル5の内面とが接触する部分を含む。第四接触部は、例えば、第二空間3に含まれる。第四接触部の近くは、例えば、第四接合予定部である。第四接合予定部は、例えば、第二ヘッダー部材9とシェル5の内面との間に存在する。第四接合予定部において、フラックス43は、例えば、ロウ材層40とシェル5の内面との間に付着される。第四接合予定部にフラックス43が付着している状態で、第四接合予定部の周囲を加熱及び冷却する。これにより、フラックス43に含まれる成分が流動し、第二ヘッダー部材9及びシェル5の内面において酸化皮膜が除去される。その後、ロウ材層40に含まれるロウ材が溶解して、第二ヘッダー部材9とシェル5の内面とが接合される。これにより、第四接合部が形成される。このような製造方法によれば、伝熱管7の他端部が存在している第二空間3においてフラックス43の付着がなされる。そのため、伝熱管7の他端部が存在していない空間に潜熱蓄熱材6を収容することにより、潜熱蓄熱材6が収容された空間にフラックス43が存在しにくい。そのため、潜熱蓄熱材6が収容された空間において、シェル5の内面、伝熱管7の外面70、及び第二ヘッダー部材9から潜熱蓄熱材6にアルミニウムイオンが溶出することが防止される。その結果、潜熱蓄熱材6の過冷却が安定しやすい蓄熱装置1をより確実に製造できる。
【符号の説明】
【0061】
1 蓄熱装置
2 第一空間
3 第二空間
4 第三空間
5 シェル
6 潜熱蓄熱材
7 伝熱管
8 第一ヘッダー部材
9 第二ヘッダー部材
10 第一接合材
12 第三接合材
14 供給口
15 排出口
20 第一突出部
22 第三突出部
30 ロウ材層
31 第一接触部
33 フラックス
40 ロウ材層
41 第三接触部
43 フラックス
70 伝熱管の外面
71 第一テーパー部
72 第二テーパー部
80 貫通孔
81 第一主面
82 第二主面
83 内周面
84 第一接合部
90 貫通孔
91 第三主面
92 第四主面
93 内周面
94 第三接合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7