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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089104
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/01 20060101AFI20220608BHJP
   G02B 19/00 20060101ALI20220608BHJP
   G02B 21/06 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
G01N21/01 D
G02B19/00
G02B21/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201371
(22)【出願日】2020-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】593160529
【氏名又は名称】応用電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136928
【弁理士】
【氏名又は名称】高宮 章
(72)【発明者】
【氏名】松永 昭史
(72)【発明者】
【氏名】尾倉 俊二
(72)【発明者】
【氏名】山田 芳彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 良蔵
【テーマコード(参考)】
2G059
2H052
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB16
2G059BB20
2G059GG03
2G059JJ11
2G059JJ13
2G059JJ22
2G059JJ25
2G059JJ26
2G059KK01
2G059KK04
2G059LL04
2G059NN05
2H052AC14
2H052AC25
2H052AC27
2H052BA02
2H052BA03
2H052BA09
(57)【要約】
【課題】広照野を高い均一性で照明できる照明装置において、例えば、可視光域から近赤外光域までの広い波長域の光を略同一条件で1台の装置で照明することができる照明装置を提供する。
【解決手段】照射する光の波長が異なる複数の光源(20、22)を有する光源部12と、光源部12からの光の強度分布を均一化し、照射対象に該均一化した光を照射する光学系部14と、を備え、光源部12は、該光学系部14に入射させる光源(20、22)を選択する光源選択機構16と、それぞれの光源(20、22)から該光学系部14に入射される光の広がり角度を含む入射光の条件を調整する光源調整手段18と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射する光の波長が異なる複数の光源を有する光源部と、
光源部からの光の強度分布を均一化し、照射対象に該均一化した光を照射する光学系部と、を備え、
光源部は、該光学系部に入射させる光源を選択する光源選択機構と、
それぞれの光源から該光学系部に入射される光の広がり角度を含む入射光の条件を調整する光源調整手段と、を有することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
光源部は、可視光域の波長の光を照射する可視光源と、
近赤外光域の波長の光を照射する近赤外光源と、を含むことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
光学系部の光路中間位置には、迷光となる反射光を抑えて迷光防止用とした反射防止膜を有する光路折り曲げ手段が設置されたことを特徴とする請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項4】
光路折り曲げ手段は、複数のミラー部材を組み合わせて設けられたことを特徴とする請求項3記載の照明装置。
【請求項5】
光路折り曲げ手段は、該光学系の光路を90°折り曲げるように反射防止膜を有する反射面どうしを所定の傾斜角度で対向させる2つのミラー部材を組み合わせて設けられ、
第1ミラー部材は、光路折り曲げ位置より光源部側の光学系部の光軸に対して反射面が67.5°傾斜して設定されるとともに、
第2ミラー部材は、光軸に対して反射面が22.5°傾斜して設定されたことを特徴とする請求項3又は4記載の照明装置。
【請求項6】
光源調整手段は、所定の光源からの光の広がり角度を拡大しうるレンズ拡散板を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の照明装置。
【請求項7】
光学系部を構成する一部又は全ての光学素子には、迷光となる反射光を抑えて迷光防止用とした反射防止膜が施されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の照明装置。
【請求項8】
反射防止膜は、可視光域から近赤外光域まで光の反射率の変動が少なく、かつ安定して低反射率であることを特徴とする請求項7記載の照明装置。
【請求項9】
反射防止膜は、MgFとZrOとSiOとAlのそれぞれを材料として成膜された光学薄膜を積層して設けられたことを特徴とする請求項7又は8記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、固体撮像素子等の光学デバイスのテストや、顕微鏡、その他広い波長域で照明しうる光源として利用可能な照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CCDやCMOS等の半導体の集積回路で設けられる固体撮像素子(イメージセンサ)は、光を電気信号に変換する特性を利用して、デジタルスチルカメラやビデオカメラ、携帯電話、自動車の先進運転支援システム等の各種センサ、その他種々の産業機器等に広く活用されている。固体撮像素子は、ウエハ完成後や製品出荷前にその光電特性が正常か否かの検査が必要であるが、固体撮像素子の検査を行うための照明光を照射する照明装置が種々開発されており、本出願人も先の出願で光源装置として提案している(特許文献1参照)。従来の照明装置は、光源と、光源からの光を照度分布の均一な光として生成する多数のレンズやフィルタを有した照明光学系と該照明光学系を通過した照明光を検査対象の固体撮像素子に対して投影する投影光学系とを含む光学系と、を有しており、検査対象の固体撮像素子の受光面に均一な照明光を照射するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5181174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従前の固体撮像素子であるイメージセンサは、主として可視光域で利用されるものが多かったことから、該イメージセンサの光学テスト用の照明装置の光源としては、可視光域で太陽光と近似した分光スペクトルが得られるハロゲンランプが多く使用されていた。一方で、近年では、監視カメラ(防犯カメラ)や、デジタルスチルカメラの測距、又は車載用カメラ等では、波長が750~1500nmの近赤外光域で利用可能なイメージセンサが利用されている。さらに、例えば、自動車関連産業では安全性の向上や自動運転技術等の開発に伴って、車載用センサは可視光域による画像とともに、近赤外光域での画像や距離の検出が求められている。このようにイメージセンサの分野では可視光域に加えて近赤外光域を利用することの重要度も増大しており、可視光域から近赤外光域までの広い帯域の撮像が可能なイメージセンサが開発され、実用化されている。
【0005】
可視光域と近赤外光域の両方の光を撮像可能なイメージセンサについての光学テストでは、可視光域での光学テストと、近赤外光域での光学テストを行う必要がある。しかしながら、従来では、可視光域での光学テストではハロゲンランプ等の可視光源を有する可視光域専用の照明装置が使用され、近赤外光域での光学テストでは近赤外発光ダイオード等の近赤外光源を有する近赤外光域専用の照明装置が使用されていた。すなわち、光学テストに少なくとも2台以上の照明装置が必要であった。その結果、コストが高くつくとともに、光学テストを行うための照明装置を設置する場所が広く必要となるうえ、光学テストを行う工程も煩雑で手間がかかる問題が生じている。
【0006】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、広照野を高い均一性で照明できる照明装置において、例えば、可視光域から近赤外光域までの広い波長域の光を略同一条件で1台の装置で照明することができる照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、照射する光の波長が異なる複数の光源(20、22)を有する光源部12と、光源部12からの光の強度分布を均一化し、照射対象に該均一化した光を照射する光学系部14と、を備え、光源部12は、該光学系部14に入射させる光源(20、22)を選択する光源選択機構16と、それぞれの光源(20、22)から該光学系部14に入射される光の広がり角度を含む入射光の条件を調整する光源調整手段18と、を有する照明装置10から構成される。
【0008】
また、光源部12は、可視光域の波長の光を照射する可視光源(20)と、近赤外光域の波長の光を照射する近赤外光源(22)と、を含むこととしてもよい。可視光源は、1個又は複数個設けることとしてもよい。また、近赤外光源は、1個又は複数個設けることとしてもよい。
【0009】
また、光学系部14の光路中間位置には、迷光となる反射光を抑えて迷光防止用とした反射防止膜を有する光路折り曲げ手段56が設置されたこととしてもよい。
【0010】
また、光路折り曲げ手段56は、複数のミラー部材(66、68)を組み合わせて設けられたこととしてもよい。
【0011】
また、光路折り曲げ手段56は、該光学系の光路を90°折り曲げるように反射防止膜を有する反射面どうしを所定の傾斜角度で対向させる2つのミラー部材を組み合わせて設けられ、第1ミラー部材66は、光路折り曲げ位置より光源部側の光学系部14の光軸Xに対して反射面が67.5°傾斜して設定されるとともに、第2ミラー部材68は、同光軸Xに対して反射面が22.5°傾斜して設定されたこととしてもよい。
【0012】
また、光源調整手段18は、所定の光源(20)からの光の広がり角度を拡大しうるレンズ拡散板40を含むこととしてもよい。
【0013】
また、光学系部を構成する一部又は全ての光学素子には、迷光となる反射光を抑えて迷光防止用とした反射防止膜が施されることとしてもよい。
【0014】
また、反射防止膜は、可視光域から近赤外光域まで光の反射率の変動が少なく、かつ安定して低反射率であることとしてもよい。
【0015】
また、反射防止膜は、MgFとZrOとSiOとAlのそれぞれを材料として成膜された光学薄膜を積層して設けられたこととしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の照明装置によれば、照射する光の波長が異なる複数の光源を有する光源部と、光源部からの光の強度分布を均一化し、照射対象に該均一化した光を照射する光学系部と、を備え、光源部は、該光学系部に入射させる光源を選択する光源選択機構と、それぞれの光源から該光学系部に入射される光の広がり角度を含む入射光の条件を調整する光源調整手段と、を有することから、異なる波長の光を照射する光源を切り替えて同一の光路となる光学系部に入射させて照射することにより、1台の装置で広帯域の波長の光を照射する照明装置を実現できる。さらに、異なる光源を利用する光源部の構成であっても、光源調整手段により、同一光路の光学系部に入射させる光の広がり角度等の光の条件を調整することで、光源を切り替えても光学系部から照射される照明光の均一性を保持できる。
【0017】
また、光源部は、可視光域の波長の光を照射する可視光源と、近赤外光域の波長の光を照射する近赤外光源と、を含む構成とすることにより、1台の装置で可視光域から近赤外光域までの広帯域を均一性が高い光で照明することができる。その結果、可視光域と近赤外光域の両方を撮像可能なイメージセンサの光学テスト等でも実用できる照明装置を提供できる。
【0018】
また、光学系部の光路中間位置には、迷光となる反射光を抑えて迷光防止用とした反射防止膜を有する光路折り曲げ手段が設置された構成とすることにより、迷光を極力抑えることで均一性が高い光を照明できる光学系部を高い自由度で設計できる。
【0019】
また、光路折り曲げ手段は、複数のミラー部材を組み合わせて設けられた構成とすることにより、複数のミラー部材の組み合わせによって反射防止膜が施された反射面での光の入射角度を調整することにより、光学系部が光路を折り曲げる構成であっても高い均一性を保持した光を照射することができる。
【0020】
また、光路折り曲げ手段は、該光学系の光路を90°折り曲げるように反射防止膜を有する反射面どうしを所定の傾斜角度で対向させる2つのミラー部材を組み合わせて設けられ、第1ミラー部材は、光路折り曲げ位置より光源部側の光学系部の光軸に対して反射面が67.5°傾斜して設定されるとともに、第2ミラー部材は、光軸に対して反射面が22.5°傾斜して設定された構成とすることにより、例えば、可視光域から近赤外光域までの広帯域であっても反射による迷光を安定的に減少させうるとともに、光学系部が光路を折り曲げる構成であっても高い均一性を保持した光を照射することができる照明装置を具体的に実現できる。
【0021】
また、光源調整手段は、所定の光源からの光の広がり角度を拡大しうるレンズ拡散板を含む構成とすることにより、簡単な構造で具体的に光源調整手段を実現でき、低コストで照明装置を製造することができる。
【0022】
また、光学系部を構成する一部又は全ての光学素子には、迷光となる反射光を抑えて迷光防止用とした反射防止膜が施される構成とすることにより、照度ムラ等の原因となる迷光を極力抑えることができるので、光学系部から高い均一性の光を確実に照射することができる。
【0023】
また、反射防止膜は、可視光域から近赤外光域まで光の反射率の変動が少なく、かつ安定して低反射率である構成とすることにより、光源部の光源の波長を可視光域や近赤外線域に切り替えても、光学系部からの照射範囲や均一性を保持して照射対象に照射することができる結果、光学系部を同一光路として利用することができ、1台の装置だけで広帯域の波長を照射できる照明装置を提供できる。
【0024】
また、反射防止膜は、MgFとZrOとSiOとAlのそれぞれを材料として成膜された光学薄膜を積層して設けられた構成とすることにより、可視光域から近赤外光域まで光の反射率の変動が少なく、かつ安定して低反射率である反射防止膜を具体的に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1の実施形態に係る照明装置の概略説明図である。
図2図1の照明装置の光源部の一部を拡大した概略説明図である。
図3】反射防止膜の入射角度特性を示すグラフ図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る照明装置の概略説明図である。
図5図4の照明装置の光路折り曲げ手段の概略説明図である。
図6図5に対する比較例の光路折り曲げ手段の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下添付図面を参照しつつ本発明の照明装置の実施形態について説明する。本発明に係る照明装置は、例えば、固体撮像素子であるイメージセンサ等の光学デバイスをテストするための照明光や、顕微鏡の照明光、その他照射する光の波長を変更させながら照明することができる照明光として利用できる光源装置である。図1図2は、本発明の照明装置の第1の実施形態を示している。図1に示すように、本実施形態に係る照明装置10は、複数の光源を有する光源部12と、光源部12から入射された光を均一化して照射対象に照射する光学系部14と、を備え、光源部12は、光源選択機構16と光源調整手段18とを有する。本実施形態では、照明装置10は、例えば、CCDやCMOS等の固体撮像素子であるイメージセンサの光学テストに利用される光学テスト用照明装置の態様で説明する。
【0027】
光源部12は、異なる波長の光を照射する複数の光源(20、22)を有している。本実施形態では、光源部12は、波長が380~750nmの可視光域の光を照射する可視光源である第1の光源20と、波長が750~1500nmの近赤外光域の光を照射する近赤外光源である第2の光源22と、を含む。第1の光源20は、例えば、可視光域に連続スペクトルを放射するハロゲンランプ(又は可視光域発光ダイオード)からなる。第2の光源22は、例えば、中心波長が940nmで、ある波長幅(スペクトル幅)を有する近赤外発光ダイオードからなる。なお、光源の数は任意にしてもよく、例えば、可視光域で波長が異なる光を照射する光源を複数個、又は近赤外光域で波長が異なる光を照射する光源を複数個、備えた構成とすることとしてもよい。
【0028】
光源選択機構16は、光源部12において光学系部14に入射させる光源を選択する光源切替手段である。すなわち、光源選択機構16により、第1の光源20からの光を光学系部14に入射するか、第2の光源22からの光を光学系部14に入射するか、を選択的に切り替える。本実施形態では、光源選択機構16は、例えば、複数のレンズ、ミラーやシャッター等の光学素子を組み合わせて構成され、並設された第1の光源20と第2の光源22に対応して設けられる。
【0029】
具体的には、第1の光源20は、例えば、後述の光学系部14の光軸Xと離隔した位置に設置され、該光学系部14の光軸Xと平行方向となる横方向に向けて光を照射するように設定されている。第1の光源20の光の進行方向側には、該第1の光源20の光軸X1に対して45°傾斜した第1のダイクロイックミラー24が設置されている。第1のダイクロイックミラー24は、例えば、750nmよりも短い波長の光を反射し、750nmよりも長い波長の光を通過するように設定されており、第1の光源20から照射される波長380~750nmの可視光を90°折り曲げるように反射する。図1上、第1のダイクロイックミラー24の下方側には、光を集める第1のコレクタレンズ26が設置されている。第1のコレクタレンズ26の下方には、該第1のコレクタレンズ26の光軸に対して45°傾斜した第2のダイクロイックミラー28が設置されている。第2のダイクロイックミラー28は、第1のダイクロイックミラー24と同様に例えば、750nmよりも短い波長の光を反射し、750nmよりも長い波長の光を通過するように設定されており、第1の光源20から照射される波長380~750nmの可視光を90°折り曲げて光学系部14へ向けて反射する。第2のダイクロイックミラー28からの光は、光学系部14への入射用コレクタレンズ30を介して光学系部14に入射される。これにより、第1の光源20からの光は、第1のダイクロイックミラー24、第2のコレクタレンズ26、第2のダイクロイックミラー28、入射用コレクタレンズ30の順で進行するような光源部12内での第1の光路L1を形成して、光学系部14に入射される。さらに、第1の光源20と第1のダイクロイックミラー24との中間位置には、光路を開閉する第1のシャッター32が設置されており、第1のシャッター32の開閉操作により、第1の光源20からの光の通過・遮蔽を切り替える。
【0030】
第2の光源22は、例えば、該第2の光源22の光軸X2が光学系部14の光軸Xと同じ直線上に設定されている。第2の光源22の光の進行方向側には、光を集める第2のコレクタレンズ34が設置されており、第2の光源22からの光は、第2のコレクタレンズ34を介して第2のダイクロイックミラー28に入射される。第2の光源22からの光は、波長940nmの近赤外光であるので、第2のダイクロイックミラー28を通過し、入射用コレクタレンズ30を介して光学系部14に入射される。すなわち、第2の光源22からの光は、第2のコレクタレンズ34、第2のダイクロイックミラー28、入射用コレクタレンズ30の順で進行するような第2の光路L2を形成して、光学系部14に入射される。さらに、第2の光源22と第2のコレクタレンズ34との中間位置には、第2のシャッター36が設置されており、第2のシャッター36の開閉操作により、第2の光源22からの光の通過・遮蔽を切り替える。よって、本実施形態では、光源選択機構16は、第1、第2のシャッター32,36の開閉操作により、第1の光源20と第2の光源22のいずれかの光を選択して、同一の光路Lとなる光学系部14に入射する。なお、光源選択機構16は、光源の数や位置等に応じてレンズやミラー等の組み合わせを任意に構成することとしてもよい。
【0031】
光源調整手段18は、それぞれの光源から光学系部14に入射される光の条件を調整する調整手段である。上述のように、光源部12を構成する複数の光源(光源20、22)は、可視光を照射するハロゲンランプや近赤外発光ダイオード等のように異なる光源体でそれぞれ構成されることから、例えば、光の広がる角度(配光角)等を含む諸条件が異なっている。光源調整手段18は、これらの複数の光源でそれぞれ異なる光の広がり角度等の条件を同一又は略同一となるように調整して光学系部14に入射させるように調整する。例えば、第1、第2の光源20、22からの光がそれぞれ異なった広がり角度で光学系部14に入射されると、光学系部14に入射される光束の断面積が変わることとなり、選択した光源によって光学系部14からの光の照射範囲や、均一性すなわち光の強度が均一化された範囲が変わることとなる。その結果、照射対象面Fに設置したテスト対象のイメージセンサへの照射範囲や均一性が変わることとなり、適切なテストを行えない問題が生じる。これに対し、本実施形態では、光源調整手段18を設けることにより、第1、第2の光源20、22のいずれを選択しても同一又は略同一な照射範囲、光の均一性の条件を満たすことができる。
【0032】
本実施形態では、例えば、第1の光源20であるハロゲンランプの光の広がり角度(配光角)は該光源の中心照度の半値全角で15°に設定されている。一方、第2の光源22である近赤外発光ダイオードの光の広がり角度(配光角)は該光源の中心照度の半値全角で90°に設定されている。光源調整手段18は、光の広がり角度が狭い第1の光源20を、光の広がり角度が広い第2の光源22と同一化するために第1の光源20の広がり角度を拡大する広がり角度調整手段(配光角調整手段)38を有する。広がり角度調整手段38は、例えば、第1の光源20からの光の広がり角度を拡大しうるレンズ拡散板40を含む。本実施形態では、レンズ拡散板40は、周知のレンズ拡散板(Light Shaping Diffuser)からなり、図2に示すように、レンズ拡散板40の拡散角をβ、第1の光源20の配光角をαとすると、該レンズ拡散板40で拡散させた合計の拡散角θは、θ=α+βの関係となる。よって、例えば、ハロゲンランプからなる第1の光源20に対して拡散角β≒88.7°のレンズ拡散板40を第1の光路L1に挿入させて、該第1の光源20の光をレンズ拡散板40に通過させることにより拡散角θ≒90°の光が得られることとなり、第2の光源22の広がり角度90°と略同一の広がり角度の光束として光学系部14に入射することができる。なお、広がり角度調整手段38は、例えば、拡散角が異なるレンズ拡散板をそれぞれの光源に設置して、それぞれのレンズ拡散板から照射される拡散光の広がり角度を同一とするような構成としてもよい。また、光源調整手段18は、レンズ拡散板を含む構成に限らず、種々のレンズや絞り、フィルタ、その他の光学素子で所定の光源の光の広がり角度を広げたり又は狭めたりすることにより光の広がり角度を調整する構造としてもよい。また、光源調整手段18は、光の広がり角度の調整に加えて、照度や強度、その他の条件等を調整する手段を備えることとしてもよい。
【0033】
本実施形態では、光学系部14は、複数のレンズ等の光学素子を組み合わせて構成され、図示しない遮光性の筐体内に収容されており、光源部12からの光を均一化して照射対象に向けて均一化した光を照射する。光学系部14は、光源部12からの光の強度分布を均一化する均一化光学系部42と、該均一化光学系部で均一化された光を照射対象面Fに照射する投影光学系部44と、を含む。
【0034】
図1に示すように、均一化光学系部42は、ロッドインテグレータ46と、第1リレーレンズ48と、フライアイインテグレータ50と、第2リレーレンズ52と、第3リレーレンズ54と、を含む。ロッドインテグレータ46は、例えば、一方に長い柱状に設けられ、両端面を光の入出射面とし、かつ断面形状が四角形状や六角形状等の対向する側面が互いに平行な面となる形状に設けられている。光源部12の入射用コレクタレンズ30からの光がロッドインテグレータ46の入口面から入射すると、ロッド側面で全反射を繰り返すことで、出口面での強度分布の均一性が高い光が出射される。第1リレーレンズ48は、2つのレンズを組み合わせて構成されており、ロッドインテグレータ46からの光をフライアイインテグレータ50の入口面に結像させるように光束をリレーする。フライアイインテグレータ50は、複数個のレンズをハエの眼のようなマトリクス状に組付けて構成されたレンズ体であり、その後側焦点面でマトリクス状に配列されたレンズの数だけ光源像が生成される。フライアイインテグレータ50で生成された複数の光源像は、第2リレーレンズ52及び第3リレーレンズ54によって、投影光学系部44の前側焦点面に結像される。第2リレーレンズ52は、例えば、2つのレンズを組み合わせて構成されている。さらに、第2リレーレンズ52を構成する2つのレンズの中間位置には、光路折り曲げ手段56である折り曲げミラー58が配置されている。折り曲げミラー58は、反射面が光学系部14の入射面側からの光軸Xに対して45°傾斜して設置されており、光路を90°折り曲げている。第3リレーレンズ54は、例えば、2つのレンズを組み合わせて構成されている。
【0035】
投影光学系部46は、鏡筒内に複数の投影レンズ系が収容されており、均一化光学系部42からの光を外部への照射光として照射対象面Fに向けて投影する。投影光学系部44により、ロッドインテグレータ46の後面側の像すなわちフライアイインテグレータの前面の像が照射対象面Fに投影されることとなり、該照射対象面Fには広照野で均一性が高い照明光が照射される。照射対象面Fには、検査対象のイメージセンサが設置されて、該イメージセンサの光電特性検査等の光学テストを行えるようになっている。なお、光学系部14の構成は、上記の構成に限らず、例えば、上述の各光学系部の他に種々のレンズ、フィルタ等の光学素子を有することとしてもよい。
【0036】
さらに、本実施形態では、図1に示すように、光源部12と光学系部14との間には、該光学系部14へ入射する光の量を調整する光量調整装置60が設置されている。光量調整装置60は、例えば、複数の減光フィルタが中心軸周りに配置されたターレット62と、該ターレット62の光源部12側に設置された角型可変絞り64と、を含む。光量調整手段60により、光学系部14から照射される光の強度を連続的に変更できるようになっている。なお、角型可変絞り64に替えてリニア光学濃度可変楔型フィルタや回転型光学濃度連続可変フィルタ等を設置することとしてもよい。
【0037】
なお、光学系部14のレンズやミラー等の光学素子には、迷光となる反射光を極力抑えて迷光防止用となる反射防止膜が施されていてもよい。反射防止膜は、所定の一部の光学素子だけに施す構成でもよいが、光学系部を構成するレンズ、フィルタ、ミラー等の全ての光学素子に施す方が、より効果的である。反射防止膜としては、例えば、可視光域と近赤外域の広帯域で安定してフラットな低い反射率のものが好適である。反射防止膜は、例えば、光の波長400nm~1300nmの範囲では、光が膜面に垂直に入射した場合の反射率(0deg)が、好適には0.5%程度から2%以下、より好適には0.5%程度から1.5%以下の範囲で安定して変化が比較的少ないものがよい。本実施形態では、反射防止膜は、例えば、MgFとZrOとSiOとAl等で構成され、レンズやミラー等にコーティングされる。図3に示すように、反射防止膜は、膜面に入射される光の角度(入射角度)が異なると反射率が異なるとともに、入射角度が膜面に対して垂直となる角度を0°とすると入射角度が大きくなるほど反射率が大きくなる。すなわち、反射防止膜の膜面に対して入射角度が大きくなると、迷光が生じやすくなる。
【0038】
本実施形態の照明装置10を用いてイメージセンサの光学テストを実施する場合には、照射対象面Fにイメージセンサを設置する。まず可視光域の光を照射して光学テストを行う場合には、光源部12の光源選択機構16により、ハロゲンランプからなる第1の光源20からの可視光を光学系部14に入射し、均一化した光をイメージセンサに照射する。可視光域での光学テストが終了したら、光源部12の光源選択機構16により、近赤外発光ダイオードからなる第2の光源22に切り替えて近赤外光を光学系部14に入射し、均一化した近赤外光をイメージセンサに照射する。これらの第1の光源20からの光と第2の光源22からの光は、光源調整手段18により、少なくとも光の広がり角度が同一(又は略同一)となるように光の条件が調整されることにより、異なる光源であっても、光学系部14から照射光の照射範囲や均一性を同条件に保持しながら、照明を行うことができる。
【0039】
次に、図4図5を参照しつつ本発明の照明装置の第2の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の実施形態と同一部材には同一符号を付しその詳細な説明を省略する。図4に示すように、本実施形態にかかる照明装置10-2は、第1実施形態と同様に、複数の光源20、22を有する光源部12と、光学系部14と、を備え、光源部12は、光源選択機構16と、光源調整手段18と、を有する。
【0040】
本実施形態では、光学系部14の光路中間位置には、光路折り曲げ手段56が設けられている。光路折り曲げ手段56は、第1の実施形態とは異なり、第1ミラー部材66と第2ミラー部材68との組み合わせにより、光路を90°折り曲げるように構成されている。第1ミラー部材66、第2ミラー部材68のそれぞれの反射面には、迷光防止用の反射防止膜が施されている。図5に示すように、第1ミラー部材66は、その反射面が光学系部14の光の入射面側からの光軸Xに対して67.5°傾斜して設置されている。第2ミラー部材68は、その反射面が第1ミラー部材66の反射面に対して45°の角度で設定されている。すなわち第2ミラー部材68の反射面は、光学系部14の光の入射面側からの光軸Xに対して22.5°傾斜して設置されている。
【0041】
図3に示すように、反射防止膜の膜面に対する光の入射角度により反射率が異なることから、該反射防止膜が施されたミラー部材では、反射面において光の角度により反射率が異なって反射されることとなる。例えば、第1の実施形態のように光学系部14の光路を90°折り曲げるように光軸Xに対して45°傾斜した一つの折り曲げミラー58が設置される構成では、光軸Xに対して対称的に傾斜した角度で入射される光は、それぞれ反射面に入射される角度が異なることから反射率が異なることとなる結果、光の均一性が悪化する。図6に示すように、光軸Xに対して上方にα°傾斜して入射される光は、折り曲げミラー58の反射面の中心軸(光軸X位置)より上方側では(45-α)°で入射されて反射することとなる。一方、光軸Xに対して下方にα°傾斜して入射される光は、同折り曲げミラー58の反射面の中心軸(光軸X位置)より下方側で(45+α)°で入射されることとなる。その結果、反射面の上方側と下方側で入射される光の入射角度が大きく異なり、それらの反射率が異なることから、折り曲げミラー58で反射された光の均一性が悪化し、最終的に投影光学系部44から照射される照射光の均一性が悪化する。これに対し、本実施形態では、図5に示すように、第1ミラー部材66と第2ミラー部材68を組み合わせた構成では、光軸Xに対して上方にα°傾斜して入射される光は、第1ミラー部材66の反射面の中心軸より上方側では(22.5+α)°で入射され反射するとともに、その反射光は第2ミラー部材68の中心軸より右側で(22.5-α)°で入射されて反射されることとなる。一方、光軸Xに対して下方にα°傾斜して入射される光は、第1ミラー部材66の反射面の中心軸より下方側では(22.5-α)°で入射され反射するとともに、その反射光は第2ミラー部材68の中心軸より左側で(22.5+α)°で入射されて反射されることとなる。すなわち、第1、第2ミラー部材66、68で、2回反射することにより、最終的な反射光は、反射率が同じとなる結果、光路折り曲げ手段56でも光の均一性が保持される。その結果、最終的に投影光学系部44から照射される照射光の均一性が保持され、良好にイメージセンサの光学テストを行える。なお、光路折り曲げ手段56は、第1ミラー部材66と第2ミラー部材68の光軸Xに対する傾斜角度は任意に変更することとしてもよい。また、光路折り曲げ手段56は、2つ以上のミラー部材を組み合わせて設けられることとしてもよい。また、光路折り曲げ手段56は、任意の方向に光学系部14の光路を折り曲げる構成としてもよい。
【0042】
以上説明した本発明の照明装置は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の照明装置は、例えば、例えば、固体撮像素子であるイメージセンサ等の光学デバイスのテスト用の照明や、顕微鏡等の光学機器類の照明、製品の異常や異物等を検査するための各種検査装置の照明、その他種々の照明装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
10 照明装置
12 光源部
14 光学系部
16 光源選択機構
18 光源調整手段
20 第1の光源
22 第2の光源
40 レンズ拡散板
56 光路折り曲げ手段
66 第1ミラー部材
68 第2ミラー部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6