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▶ 稲葉 朗の特許一覧

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  • 特開-発光装飾容器及びその製造方法 図1
  • 特開-発光装飾容器及びその製造方法 図2
  • 特開-発光装飾容器及びその製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089120
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】発光装飾容器及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47G 19/00 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
A47G19/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020212952
(22)【出願日】2020-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】520475850
【氏名又は名称】稲葉 朗
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 朗
【テーマコード(参考)】
3B001
【Fターム(参考)】
3B001AA40
3B001BB10
3B001CC01
3B001CC40
3B001DA01
3B001DB20
(57)【要約】
【課題】 本発明は、容器全体の発光を生じさせるとともに、電子回路への水分による悪影響を極力避けるための発光容器を提供することを目的とする。
【解決手段】 光透過性を有する材料により作られ底部に凹部が形成される、光透過性を有する物を収容することができる容器に、前記容器の底部に前記容器内に向けて光を照射することができるよう光源部を装着し、前記容器底部の凹部に装着したときにできる空隙部を固化時に半透明状となる充填剤で満たし、固化させ、容器全体を光るようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有する材料により作られ底部に凹部が形成される、光透過性を有する物を収容することができる容器と、前記容器の底部に装着され、前記容器の底部から前記容器内に向けて光を照射することができる光源部よりなり、前記光源部を、前記容器底部の凹部に装着したときにできる空隙部を固化時に半透明状となる充填剤で満たし、固化させた充填物よりなることを特徴とする発光装飾容器。
【請求項2】
前記容器の底部は、前記容器内に向けて凹む凹部であり、前記光源部において少なくとも光が出射される部分が前記凹部に挿入され、それが容器底面より突出しないように配置されたことを特徴とする請求項1に記載の発光装飾容器。
【請求項3】
前記容器の底部の凹部形状が底面に対し、光源部側の壁が30から80度の角度を有し、その壁面の厚さが2から8ミリメートルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光装飾容器。
【請求項4】
光透過性を有する物を収容することができる容器は、びん又はコップ又はカップ状の形態であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の発光装飾容器。
【請求項5】
前記光源部は、一個以上のLEDと、これらLEDへの通電をON/OFFするスイッチと、これらLEDの発光を制御する制御部とを有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の発光装飾容器。
【請求項6】
前記光源部を、前記容器底部の凹部に装着したときにできる空隙部の充填に用いる半透明状となる充填剤がホットメルト樹脂であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の発光装飾容器。
【請求項7】
前記ホットメルト樹脂は、固化させたときに半透明状となるエチレン酢酸ビニル系接着剤であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の発光装飾容器。
【請求項8】
光透過性を有する材料により作られ底部に凹部が形成される、光透過性を有する物を収容することができる容器に、前記容器の底部に前記容器内に向けて光を照射することができるよう光源部を装着し、前記容器底部の凹部に装着したときにできる空隙部を固化時に半透明状となる充填剤で満たし、固化させ、容器全体を光るようにする発光装飾容器の製造方法。
【請求項9】
光透過性を有する材料により作られ底部に凹部が形成される、光透過性を有する物を収容することができる容器に、前記容器の底部に前記容器内に向けて光を照射することができるよう光源部を装着し、前記容器底部の凹部に装着したときにできる空隙部を前記容器底部の凹部と光源部の発光面側のそれぞれに固化時に半透明状となる充填剤を塗布し、素早く両者を接合し、固化させ、容器全体を光るようにする発光装飾容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ワインやジュース等の飲み物や、小粒のおつまみやスナック菓子等の食物を入れる、化粧品用の容器とするなど、使用される透明のガラス製や樹脂製のびん、コップ、グラス等の底部に発光部を装着し、発光させることで装飾を容器側に施す発光装飾容器に関する。
【背景技術】
【0002】
イベントなど多くの人が集う場所、あるいは酒類を提供する飲食業などでは、光を様々な演出として利用し、よりその場の雰囲気を高めている。特に飲食物を個々の手に保持したり、口に運ぶなど、飲食物を一時的に収容する容器は重要な位置付けとなる。そこで、特許文献1は、コップの底に、LEDと電池よりなる発光部を装着し、その出射部に拡散部を設けることで容器等の光による装飾効果が得られるようにしている。また、特許文献2では、装置の構成は前文献と同様にして、さらに調光パターンに重点を置いたものが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3153607号
【特許文献2】実用新案登録第3216988号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これらの発光容器は、特に容器全体を光らせたり、容器を水浸させたり水滴への対応については十分な配慮がなされているとはいえない。特に、後者については、容器底面の凹部に発光部を装着した状態では空間ができ、容器が冷却されていると水滴などによる電子回路への影響や、防水性の点から氷水に浸漬することが困難など問題点を有する。本発明は、容器全体の発光を生じさせるとともに、電子回路への水分による悪影響を極力避けるための発光容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、光透過性を有する材料により作られ底部に凹部が形成される、光透過性を有する物を収容することができる容器と、前記容器の底部に装着され、前記容器の底部から前記容器内に向けて光を照射することができる光源部よりなり、前記光源部を、前記容器底部の凹部に装着したときにできる空隙部を固化時に半透明状となる充填剤で満たし、固化させた充填物よりなることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発光装飾容器の底部は、前記容器内に向けて凹む凹部であり、前記光源部において少なくとも光が出射される部分が前記凹部に挿入され、それが容器底面より突出しないように構成されたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発光装飾容器の底部の凹部形状が底面に対し、光源部側の壁が30から80度の角度を有し、その壁面の厚さが2から8ミリメートルであることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3に記載の発光装飾容器が、びん又はコップ又はカップ状の形態であることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4に記載の発光装飾容器の光源部は、一個以上のLEDと、これらLEDへの通電をON/OFFするスイッチと、これらLEDの発光を制御する制御部とを有することを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5に記載の発光装飾容器の光源部を、前記容器底部の凹部に装着したときにできる空隙部の充填に用いる半透明状となる充填剤がホットメルト樹脂であることを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし5に記載の発光装飾容器に用いるホットメルト樹脂は、固化させたときに半透明状となるエチレン酢酸ビニル系接着剤であることを特徴とする。
【0012】
請求項8に記載の発明は、光透過性を有する材料により作られ底部に凹部が形成される、光透過性を有する物を収容することができる容器に、前記容器の底部に前記容器内に向けて光を照射することができるよう光源部を装着し、前記容器底部の凹部に装着したときにできる空隙部を固化時に半透明状となる充填剤で満たし、固化させ、容器全体を光るようにする発光装飾容器の製造方法である。
【0013】
請求項9に記載の発明は、光透過性を有する材料により作られ底部に凹部が形成される、光透過性を有する物を収容することができる容器に、前記容器の底部に前記容器内に向けて光を照射することができるよう光源部を装着するにあたり、前期容器底部の凹部と光源部の発光面側のそれぞれに固化時に半透明状となる充填剤をそれらの空隙を満たす量を塗布し、素早く両者を接合し、固化させ、容器全体を光るようにする発光装飾容器の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、光透過性を有する材料により作られ底部に凹部が形成された光透過性を有する物を収容することができる容器に、その容器底部に容器内に向けて光を照射することができる光源部を装着し、そのときにできる空隙部に固化時に半透明状となる充填剤を充填し、固化させることにより、容器全体の発光を生じさせるとともに、電子回路への水分による悪影響を極力排除し、かつ樹脂を熱溶解することで光源部の交換が容易にできるような装飾発光容器を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】 本発明の実施形態に係る発光装飾容器の斜視図。
図2】 発光装飾容器の縦断面図。
図3】 発光部の構成図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る発光装飾容器(以後、「容器」という。)について、実施形態を図面に基づいて説明する。本発明は、光透過性の素材で底部が容器内に向けてドーム状や円錐台を成す窪みを有しているびん容器、コップ、グラス、カップなどについてのものであり、かつ内容物も光透過性がある場合に利用することができる。特に、容器の外表面がすりが入っているとより効果がある。なお、容器や内容物への着色は差し支えないが着色の程度が高いものは光透過性が十分ではないため不適である。
【0017】
前記容器の底部に装着され、前記容器の底部から前記容器内に向けて光を照射する光源部は、少なくとも、一個以上のLEDと、これらLEDへの通電をON/OFFするスイッチと、これらLEDの発光を制御する制御部をパッケージ化したもので、必要な光量と色相が得られ、容器底部の凹部に収まるものであればよい。なお、3色のLEDを組み合わせ色調の変化を与えるものを用いてもよい。
【0018】
光源部を容器底部の凹部に装着したときにできる空隙部への充填剤は、充填時に易動性と浸透性があり、充填後固化させたときに半透明であればよいが、装飾物として必要とされる程度の透明度が得られるようなものを選択する必要がある。特に好ましいものとして、半透明タイプのエチレン酢酸ビニル系接着剤であるホットメルト樹脂がある。代表的なものとしてスティック状のものが多く市販されているが、複数の粉末状樹脂をコンポーネントとしてそれらを混合し溶融し充填してもよい。
【実施例0019】
市販のLED3個を搭載した照明モジュールと調光器、ON/OFFスイッチを簡易防水容器に収納して回路を組み光源部3とした。なお、多くの市販品は、光源部の底部が一般に電池を収納する構造となっており、ON/OFFスイッチとともに軽防水となっている物を選ぶ必要がある。これを底部がドーム状に窪み(ドームの底面との成す角度約45度、壁の厚み約3ミリメートル)、外面がすりとなっているワインボトル2の窪みに図1及び図2のように配置し、エチレン酢酸ビニル系接着剤のホットメルト樹脂である藤原産業製ホットボンドスティックGS100L(商品名)をホットガンに装着し、温度80℃で溶融し、容器の底の窪みと光源部の隙間に光源部の高さの1/2程度まで充填、約30秒放置し、固化させた。その時の充填した樹脂部は溶融前の樹脂の乳白度(半透明の度合い)とほぼ同様で拡散層4としても機能していた。この状態では、光源部の脱落はもちろんのことスイッチのON/OFF時でも光源部が移動することはなかった。このように形成させた発光装飾容器は光源部が底面より突出しないので本来の容器の安定性を保つことができるとともに、従来品の発光部に底板を設けそれを粘着テープによりワインボトルの底に固定するものに比べ防水性は高く、ワインクーラーなどに浸漬する程度であれば支障なく使用できた。瓶の発光の状態は全体的に均一であり、グラディエイションも光拡散フィルムを使用した場合より、厚みがある拡散層のため滑らかなものとなった。
【0020】
また、より確実な防水の為、光源部全体をON/OFFスイッチ部だけを残し、瓶の底部まで樹脂を充填することも可能で、電池交換や故障の際の発光部の交換が必要となったときは、ホットガン等で加熱し、樹脂を溶融し、除去することで容易に脱着、交換することができた。
【実施例0021】
実施例1と同様のワインボトル及び光源部を準備し、ホットガンにより80℃で溶融した藤原産業製ホットボンドスティックGS100L(商品名)をワインボトルの底の窪みと光源部の発光側に分けて空隙を埋めるために十分な量を塗布し素早く接着状態とし、これにより、気泡の封入などがほとんどなくなり均一な樹脂の半透明性(乳白性)が得られ、かつ作業性も向上した。この時、光源部側の容器の壁が底面に対し30から80度の角度で、その壁面の厚さが2から8ミリメートルであれば容器全体の光の映え具合が好ましいものであった。
【実施例0022】
実施例1のワインボトルに変えて、外面が平滑で底に円錐台状のくぼみを有するグラスとし、同様にして発光装飾容器を作製した。外面が平滑なため発光の度合いや均一性はすりのあるものに及ばないものの空隙部に樹脂を充填することで厚みのある半透明の拡散層により容器全体が発光しているように表現することができた。なお、この時の容器窪みの底面に対しての立ち上がり角度が70度、その壁面の厚さが3から5ミリメートルであり、全体の発光が得られた。
【符号の説明】
【0023】
1 発光装飾容器
2 容器
3 発光部
4 拡散層
5 LEDケース
6 電池ケース
7 ON OFFスイッチ
8 LED基盤
図1
図2
図3