IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 貴州省人民医院の特許一覧 ▶ 貴陽市婦幼保健院の特許一覧

特開2022-89125骨肉腫を治療するための蠕動機能を備えた非対称マイクロ波アブレーション針
<>
  • 特開-骨肉腫を治療するための蠕動機能を備えた非対称マイクロ波アブレーション針 図1
  • 特開-骨肉腫を治療するための蠕動機能を備えた非対称マイクロ波アブレーション針 図2
  • 特開-骨肉腫を治療するための蠕動機能を備えた非対称マイクロ波アブレーション針 図3
  • 特開-骨肉腫を治療するための蠕動機能を備えた非対称マイクロ波アブレーション針 図4
  • 特開-骨肉腫を治療するための蠕動機能を備えた非対称マイクロ波アブレーション針 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089125
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】骨肉腫を治療するための蠕動機能を備えた非対称マイクロ波アブレーション針
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/18 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
A61B18/18 100
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021025920
(22)【出願日】2021-02-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-15
(31)【優先権主張番号】202011412226.4
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521076856
【氏名又は名称】貴州省人民医院
(71)【出願人】
【識別番号】521076867
【氏名又は名称】貴陽市婦幼保健院
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】聶瑛潔
(72)【発明者】
【氏名】聶玉潔
(72)【発明者】
【氏名】潘潤桑
(72)【発明者】
【氏名】張湘燕
(72)【発明者】
【氏名】陳輝
(72)【発明者】
【氏名】孫立
(72)【発明者】
【氏名】譚詩生
(72)【発明者】
【氏名】譚洪文
(72)【発明者】
【氏名】江蕾薇
(72)【発明者】
【氏名】王▲ち▼
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JK02
4C160JK10
4C160LL21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マイクロ波治療装置の技術分野に関し、骨肉腫を治療するための蠕動機能を備えた非対称マイクロ波アブレーション針を提供する。
【解決手段】ハンドル1に取り付けられたアブレーション針2はアブレーションアンテナ21およびアブレーションアンテナ21の一端に配置された蠕動針頭22を含み、蠕動針頭は、スネークボーンフレームおよびカットヘッドから構成され、スネークボーンフレームは複数の可動ユニットを可動溝で接続して形成される非対称マイクロ波アブレーション針2は、蠕動針頭22を使用してアブレーションアンテナ21を病変に正確に引きずることができ、また挿入角度および挿入経路は柔軟に調整可能であり、臓器、血管および神経を効果的に回避することができ、また非対称マイクロ波アブレーション技術によって病変を治療する際には、アブレーション中、周囲の正常組織への熱損傷がわずかである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル(1)および前記ハンドル(1)に取り付けられたアブレーション針(2)から
構成される非対称マイクロ波アブレーション針であって、
前記アブレーション針(2)は、アブレーションアンテナ(21)および前記アブレーシ
ョンアンテナ(21)の一端に配置された蠕動針頭(22)を含み、
前記蠕動針頭(22)は、スネークボーンフレーム(221)および前記スネークボーン
フレーム(221)に取り付けられたカットヘッド(222)で構成され、
前記スネークボーンフレーム(221)は、複数の可動ユニット(2211)を可動溝(
2212)で接続して形成され、
前記可動ユニット(2211)のそれぞれは、対向して配置された2つの取付プレート(
22111)を含み、前記2つの取付プレート(22111)には、共通の軸中心を起点
として、軸中心から離れる半径方向を正方向として、順に1ターンのメモリー合金ワイヤ
ーハーネス(22113)と1ターンの弾性金属シート(22112)が接続され、
前記取付プレート(22111)のそれぞれは、その中心位置に第1の線穴(22114
)が開設され、前記線穴(22114)を中心として4つのステアリング線穴(2211
5)が90°間隔で配置され、
前記線穴(22114)には、各取付プレート(22111)を接続するためのワイヤー
ハーネスが配置され、
各可動ユニット(2211)を順に接続した後、4本のメモリー合金ワイヤーハーネス(
22113)を各取付プレート(22111)のステアリング線穴(22114)に順次
通過させ、スネークボーンフレーム(221)の先端と末端を接続する、
ことを特徴とする骨肉腫を治療するための蠕動機能を備えた非対称マイクロ波アブレーシ
ョン針。
【請求項2】
前記スネークボーンフレーム(221)の外部に、保護軟膜(223)で被覆され、前記
保護軟膜(223)の表面にスパイラルパターン(2231)が刻印される、ことを特徴
とする請求項1に記載の骨肉腫を治療するための蠕動機能を備えた非対称マイクロ波アブ
レーション針。
【請求項3】
前記アブレーションアンテナ(21)は軸中心を起点として、軸中心から離れる半径方向
を正方向として、順次同軸ケーブル(211)、進水管(212)および外管(213)
が配置され、
前記同軸ケーブル(211)はフレキシブル同軸内部導体(2111)とフレキシブル同
軸外部導体(2112)で構成され、前記フレキシブル同軸外部導体(2112)の一方
側の長さがフレキシブル同軸内部導体(2111)よりも長く、他方側に半円形のスリッ
ト(21121)が環状カットされ、
前記進水管(212)のパイプ壁と同軸ケーブル(211)のパイプ壁によって形成され
る空洞は、冷却水を循環させるための供水空洞(215)であり、
前記外管(213)は、ハンドル(1)から蠕動針頭(22)に向かう方向に、順次、非
可動領域(2131)と可動領域(2132)に分割され、前記可動領域(2132)の
曲げ長さは40~50mmであり、最大曲げ角度は50°であり、
前記進水管(212)と、外管(213)の蠕動針頭(22)に近い端のパイプ壁の間に
チョークコイル(214)が配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の骨肉腫を治
療するための蠕動機能を備えた非対称マイクロ波アブレーション針。
【請求項4】
前記外管(213)の非アブレーション区域(B)に面する側に半円形のパイプスリーブ
(216)が配置され、前記半円形のパイプスリーブ(216)の内部に複数の第2の線
穴(2161)が配置される、ことを特徴とする請求項3に記載の骨肉腫を治療するため
の蠕動機能を備えた非対称マイクロ波アブレーション針。
【請求項5】
前記半円形のパイプスリーブ(216)内に、アブレーションアンテナ(21)の蠕動針
頭(22)に近い端を起点として、チョークコイル(214)の位置を終点として、ワイ
ヤーブレード層(2162)が配置される、ことを特徴とする請求項3に記載の骨肉腫を
治療するための蠕動機能を備えた非対称マイクロ波アブレーション針。
【請求項6】
前記ハンドル(1)のアブレーション針(2)から離れる一端に、同軸ケーブル(211
)に接続された無線周波数同軸コネクタ(11)が配置され、
前記ハンドル(1)の内部に循環水分離キャビティ(12)が設けられ、前記循環水分離
キャビティ(12)の外部に外部進水管(121)および外部排出管(122)が接続さ
れ、前記外部進水管(121)はアブレーションアンテナ(21)内の進水管(212)
と連通し、前記外部排出管(122)はアブレーションアンテナ(21)内の供水空洞(
215)と連通する、ことを特徴とする請求項3に記載の骨肉腫を治療するための蠕動機
能を備えた非対称マイクロ波アブレーション針。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨肉腫マイクロ波治療装置の技術分野に関し、具体的には、骨肉腫を治療する
ための蠕動機能を備えた非対称マイクロ波アブレーション針に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波アブレーション技術(MWA)を使用して臓器にある腫瘍組織を治療する場合
、腫瘍組織は一般に球形であるため、高度に球形のアブレーション領域を追求する必要が
ある。しかしながら、骨に付着した骨肉腫病変の特殊性により、一般的なアブレーション
針を使用すると、その球形のアブレーション領域では、骨肉腫を消滅する同時に骨肉腫周
囲の健康な組織に必然的に損傷を与えるため、骨肉腫が重要な臓器周囲の骨にある場合、
MWAによる治療はできなくなる。
【発明の概要】
【0003】
上記の問題を解決するために、本発明は、骨肉腫を治療するための蠕動機能を備えた非対
称マイクロ波アブレーション針を設計し、蠕動針頭によりアブレーションアンテナを正確
に病変に引きずることができ、非対称マイクロ波アブレーション技術を使用して病変を治
療し、アブレーション中、周囲の正常組織への熱損傷はわずかである。具体的な技術的解
決策は以下の通りである。
【0004】
一、蠕動機能を備えた非対称マイクロ波アブレーション針の構造
本発明によって設計された骨肉腫を治療するための蠕動機能を備えた非対称マイクロ波ア
ブレーション針は、ハンドルおよび前記ハンドルに取り付けられたアブレーション針で構
成される。
前記アブレーション針は、アブレーションアンテナおよび前記アブレーションアンテナの
一端に設けられた蠕動針頭を含む。
前記蠕動針頭は、スネークボーンフレームおよび前記スネークボーンフレームに取り付け
られたカットヘッドで構成され、前記カットヘッドはセラミック材料で作られたピラミッ
ド型のカットヘッドである。
前記スネークボーンフレームは、複数の可動ユニットを可動溝で接続して形成される。
前記各可動ユニットは、対向して配置された2つの取付プレートを含み、前記2つの取付
プレートには、共通の軸中心を起点として、軸中心から離れる半径方向を正方向として、
順次1ターンのメモリー合金ワイヤーハーネスおよび1ターンの弾性金属シートが接続さ
れ、前記弾性金属シートは取付プレートの縁に取り付けられ、前記弾性金属シートとメモ
リー合金ワイヤーハーネスの取付ピッチは0.2~0.3mmである。前記メモリー合金
ワイヤーハーネスの材料は、通電すると収縮するニッケルチタンメモリー合金ワイヤーで
あり、前記弾性金属シートはステンレス鋼ばね鋼板である。
前記各取付プレートには、その中心位置に第1の線穴が開設され、前記線穴を中心として
、4つのステアリング線穴が90°間隔で配置される。
前記線穴内に、各取付プレートを接続するためのワイヤーハーネスが設けられる。
各可動ユニットを順次取り付けた後、4本のメモリー合金ワイヤーハーネスを順次各取付
プレート上のステアリング線穴に通過させ、スネークボーンフレームの先端と末端を接続
する。前記メモリー合金ワイヤーハーネスは、ニッケルチタンメモリー合金ワイヤーであ
る。
【0005】
さらに、前記スネークボーンフレームの外部に、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン
(PEEK)材料で作られた保護軟膜で被覆され、前記保護軟膜の表面にスパイラルパタ
ーンがポジティブに刻印(carved in relief)され、スパイラルパターンは、蠕動針頭の
病変周囲組織での移行に寄与する。
【0006】
さらに、前記アブレーションアンテナには、軸中心を起点として、軸中心から離れる半径
方向を正方向として、順次同軸ケーブル、進水管および外管が配置される。
前記同軸ケーブルは、フレキシブル同軸内部導体とフレキシブル同軸外部導体で構成され
、前記フレキシブル同軸外部導体の一側の長さがフレキシブル同軸内部導体よりも大きく
、他方側に半円形のスリットが環状カットされる。
前記進水管のパイプ壁と同軸ケーブルのパイプ壁によって形成される空洞は、冷却水を循
環させるための供水空洞である。
前記外管は、ハンドルから蠕動針頭に向かう方向に、順次非可動領域と可動領域に分割さ
れ、前記可動領域の調製材料は高温安定性に優れ、毒性のなく、自己潤滑性および半屈曲
性を有するポリテトラフルオロエチレン(PTEF)であり、曲げ状態で穿刺する時のア
ブレーションアンテナの靭性と弾性要件を満たすことができる。
前記可動領域の曲げ長さは40~50mmであり、最大曲げ角度は50°であり、骨肉腫
マイクロ波治療手術の場合、40~50mmの曲げ長さと50°の曲げ角度ではほとんど
の患者の手術要件を満たすことができる。
前記進水管と、外管の蠕動針頭端に近いパイプ壁の間に金属銅で作られたチョークコイル
が配置される。前記チョークコイルの長さは有効波長の1/4であり、フレキシブル外部
導体から流れる逆電流を抑制し、アブレーションアンテナの先端に電磁波をより集中させ
、逆加熱効果を低減することができる。
【0007】
さらに、前記外管の非アブレーション領域Bに面する側に、PEEK材料で作られた半円
形のパイプスリーブが設けられ、前記半円形のパイプスリーブ内部に複数の第2の線穴が
設けられる。
【0008】
さらに、前記半円形のパイプスリーブ内に、アブレーションアンテナの蠕動針頭に近い端
を起点として、チョークコイルの位置を終点として、ワイヤーブレード層が配置され、前
記ワイヤーブレード層の材料はステンレス鋼ワイヤーである。ワイヤーブレード層の主な
作用は電磁波の放射を増強し、マイクロ波アブレーション針エネルギーの偏向率を高め、
電磁エネルギーをアブレーション領域により集中させることである。
【0009】
さらに、前記ハンドルのアブレーション針から離れた一端に、同軸ケーブルに接続された
無線周波数同軸コネクタが設けられる。
前記ハンドル内部に循環水分離キャビティが設けられ、前記循環水分離キャビティの外部
に、外部進水管および外部排出管が接続され、前記外部進水管はアブレーションアンテナ
内の進水管と連通し、前記外部排出管はアブレーションアンテナ内の供水空洞と連通する

さらに、前記外管上に、半円形のパイプスリーブの反対側で、アブレーション領域Aに面
する他方側に温度センサが設けられ、温度を即時で正確に監視し、過度の温度が正常組織
および管に損傷を与えるのを防止する。温度が設定値を超えると、フィードバック制御シ
ステムはマイクロ波の出力を遮断する。
【0010】
さらに、前記ハンドルにはレギュレータが設けられ、前記レギュレータには、蠕動針頭の
蠕動動作を制御するためのスイッチ、蠕動針頭を四方向に回転させるためのロッカー、電
気接続ポート、コントローラーおよび電源が設けられる。
【0011】
さらに、前記ワイヤーハーネス、メモリー合金ワイヤーハーネス、温度センサ、スイッチ
、ロッカー、電気接続ポート、コントローラーは、それぞれ電源に電気的に接続される。
【0012】
二、蠕動機能を備えた非対称マイクロ波アブレーション針の使用方法
S1、患者の病歴を尋ね、抗凝固薬を1週間中止し、適切な術前検査を実施し、患者また
はその法定代理人に、患者の病状、治療目標、治療リスク、現在の治療状況と代替治療方
法を十分に通知し、手術前に治療情報に基づく同意書に署名させる。
S2、 時間以上の術前絶食をして、静脈アクセスを確立する。
S3、患者は仰臥位にして、鼻酸素チューブで酸素を吸入させ、通常消毒およびドレープ
を行い、病変の特定の場所に応じて、超音波即時誘導の下で %のリドカインまたはその
希釈剤で局所浸潤麻酔を行う。
S4、隔離液で重要な臓器や神経を隔離する。
S5、最初に、鋭い刃が皮膚を mm切開し、超音波即時誘導の下で、血管と神経を避け
てアブレーション針の位置を調整し、アブレーション領域を胸椎に向け、非アブレーショ
ン領域を臓器に向けて、リモートセンシングを介して蠕動針頭の曲げ角度を °に調整し
、最後に蠕動針頭のスイッチをオンにして、皮膚を穿刺する。
S51、蠕動針頭の4つの可動ユニットを、カットヘッドの近くから、順次第1、第2、
第3、第4の可動ユニットと番号を付ける。
S52、第1、第3の可動ユニットのメモリー合金ワイヤーハーネスは通電すると収縮し
、弾性金属シートが押圧され、可動ユニットは短く粗い状態になり、スパイラルパターン
が組織表面に固定され、第2、第4の可動ユニットのメモリー合金ワイヤーハーネスは電
源を切ると弛緩し、弾性金属シートは弛緩し、可動ユニットは細かい状態になり、スパイ
ラルパターンが組織の表面から離脱する。
S53、第1、第3の可動ユニットのメモリー合金ワイヤーハーネスは電源を切ると弛緩
し、弾性金属シートは弛緩し、可動ユニットは細い状態になり、スパイラルパターンは離
脱し、第2、第4の可動ユニットのメモリー合金ワイヤーハーネスは通電すると収縮し、
弾性金属シートが押圧され、可動ユニットは短く粗い状態になり、スパイラルパターンが
組織表面に固定される。
S54、第2、第4の可動ユニットのメモリー合金ワイヤーハーネスは電源を切ると弛緩
し、弾性金属シートは弛緩し、可動ユニットは細い状態になり、スパイラルパターンは離
脱し、第1、第3の可動ユニットのメモリー合金ワイヤーハーネスは通電すると収縮し、
弾性金属シートが押圧され、可動ユニットは短く粗い状態になり、スパイラルパターンが
組織表面に固定される。
S6、蠕動針頭の引きずりと手動キャリブレーションの下で、アブレーションアンテナを
正確に病変の下に配置して、マイクロ波アブレーション治療を実行する。
S7、手術後30分間患者の状態を観察し、異常がなければ患者が病棟に戻る。
【0013】
発明の効果
従来のマイクロ波アブレーション針と比較すると、本発明は以下のような有利な効果を有
する。
(1)本発明によって設計された蠕動機能を備えた非対称マイクロ波アブレーション針は
、蠕動針頭を介してアブレーションアンテナを正確に病変まで引きずることができ、挿入
角度および挿入経路を柔軟に調整可能であり、臓器、血管と神経を効果的に回避すること
ができる。
(2)本発明によって設計された蠕動機能を備えた非対称マイクロ波アブレーション針は
、非対称マイクロ波アブレーション技術を使用して病変を治療し、アブレーション中、周
囲の正常組織への熱損傷はわずかである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の外観の概略図である。
図2】本発明のアブレーションアンテナの構造の概略図である。
図3】本発明の蠕動針頭の動作原理の概略図である。
図4】本発明の蠕動針頭の可動ユニットの構造の概略図である。
図5】本発明によって設計されたマイクロ波アブレーション針と市售マイクロ波アブレーション針のアブレーション深さの比較図である。
【0015】
[符号の説明]
1 ハンドル
11 無線周波数同軸コネクタ
12 循環水分離キャビティ
121 外部進水管
122 外部排出管
13 レギュレータ
131 スイッチ
132 ロッカー
133 電気接続ポート
2 アブレーション針
21 アブレーションアンテナ
211 同軸ケーブル
2111 フレキシブル同軸内部導体
2112 フレキシブル同軸外部導体
21121 スリット
212 進水管
213 外管
2131 非可動領域
2132 可動領域
214 チョークコイル
215 供水空洞
216 半円形のパイプスリーブ
2161 第2の線穴
2162 ワイヤーブレード層
217 温度センサ
22 蠕動針頭
221 スネークボーンフレーム
2211 可動ユニット
22111 取付プレート
22112 弾性金属シート
22113 メモリー合金ワイヤーハーネス
22114 第1の線穴
22115 ステアリング線穴
2212 可動溝
222 カットヘッド
223 保護軟膜
2231 スパイラルパターン
A アブレーション領域
B 非アブレーション領域
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明によって達成される方法および効果をさらに説明するために、以下、本発明の技術
的解決策を、添付の図面と併せて明確かつ完全に説明する。
【0017】
実施例1
実施例1の主な作用は、本発明によって設計されたマイクロ波アブレーション針の具体的
な構造を説明することであり、具体的な内容は以下の通りである。
図1~4に示すように、骨肉腫を治療するための蠕動機能を備えた非対称マイクロ波アブ
レーション針は、ハンドル1および前記ハンドル1に取り付けたアブレーション針2で構
成され、その具体的な構造は以下の通りである。
前記アブレーション針2は、アブレーションアンテナ21および前記アブレーションアン
テナ21の一端に設けられた蠕動針頭22を含む。
前記蠕動針頭22は、スネークボーンフレーム221と、前記スネークボーンフレーム2
21に取り付けたカットヘッド222で構成され、前記カットヘッド222はセラミック
材料で作られたピラミッド型のカットヘッドである。
前記スネークボーンフレーム221は、4つの可動ユニット2211を可動溝2212で
接続して形成される。
前記各可動ユニット2211は、対向して配置された2つの取付プレート22111を含
み、前記2つの取付プレート22111には、共通の軸中心を起点として、軸中心から離
れる半径方向を正方向として、順次1ターンのメモリー合金ワイヤーハーネス22113
及び1ターンの弾性金属シート22112が接続され、前記弾性金属シート22112は
取付プレート22111の縁に取り付けられ、前記弾性金属シート22112とメモリー
合金ワイヤーハーネス22113の取付ピッチは、0.3mmであることが好ましい。前
記メモリー合金ワイヤーハーネス22113の材料は、通電すると収縮するニッケルチタ
ンメモリー合金ワイヤーであり、前記弾性金属シート22112はステンレス鋼ばね鋼板
である。
前記各取付プレート22111は、その中心位置に第1の線穴22114が開設され、前
記線穴22114を中心として、4つのステアリング線穴22115が90°間隔で配置
される。
前記線穴22114に各取付プレート22111のワイヤーハーネスが接続される。
各可動ユニット2211を順次取り付けた後、4本のメモリー合金ワイヤーハーネス22
113を順次各取付プレート22111上のステアリング線穴22114に通過させ、ス
ネークボーンフレーム221の先端と末端を接続し、前記メモリー合金ワイヤーハーネス
22113は、ニッケルチタンメモリー合金ワイヤーである。
具体的には、前記アブレーションアンテナ21には、軸中心を起点として、軸中心から離
れる半径方向を正方向として、順次同軸ケーブル211、進水管212、および外管21
3が設けられる。
前記同軸ケーブル211は、フレキシブル同軸内部導体2111とフレキシブル同軸外部
導体2112で構成され、前記フレキシブル同軸外部導体2112の一側長さはフレキシ
ブル同軸内部導体2111よりも大きく、他方側に半円形のスリット21121が環状カ
ットされる。
前記進水管212のパイプ壁と同軸ケーブル211のパイプ壁によって形成される空洞は
、冷却水を循環させるための供水空洞215である。
前記外管213は、ハンドル1から蠕動針頭22に向かう方向に、順次非可動領域213
1と可動領域2132に分割され、前記可動領域2132の調製材料は、温度安定性が優
れ、毒性がなく、自己潤滑性および半屈曲性を有するポリテトラフルオロエチレン(PT
EF)であり、曲げ状態で穿刺する時のアブレーションアンテナ21の靭性と弾性要件を
満たすことができる。
前記可動領域2132の曲げ長さは50mmであり、最大曲げ角度は50°であることが
好ましく、骨肉腫マイクロ波治療手術では、40~50mmの曲げ長さと50°の曲げ角
度ではほとんどの患者の手術要件を満たすことができる。
前記進水管212と、外管213の蠕動針頭22に近い端のパイプ壁の間に金属銅で作ら
れたチョークコイル214が配置される。前記チョークコイル214の長さは有効波長の
1/4であり、フレキシブル外部導体2112から流れる逆電流を抑制し、アブレーショ
ンアンテナ21の先端に電磁波をより集中させ、逆加熱効果を低減することができる。
具体的には、前記外管213の非アブレーション領域Bに向かう側にPEEK材料で作ら
れた半円形のパイプスリーブ216が設けられ、前記半円形のパイプスリーブ216の内
部に複数の第2の線穴2161が設けられる。
具体的には、前記ハンドル1のアブレーション針2から離れた一端に、同軸ケーブル21
1に接続された無線周波数同軸コネクタ11が配置される。
前記ハンドル1の内部に循環水分離キャビティ12が設けられ、前記循環水分離キャビテ
ィ12の外部に、外部進水管121および外部排出管122が接続され、前記外部進水管
121はアブレーションアンテナ21内の進水管212と連通し、前記外部排出管122
はアブレーションアンテナ21内の供水空洞215と連通する。
【0018】
実施例2
実施例2は、以下の内容を除いて実施例1と同じであり、スパイラルパターン2231の
有無による蠕動針頭22の性能に対する影響を比較する。
前記スネークボーンフレーム221の外部に、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(
PEEK)材料で作られた保護軟膜223で被覆され、前記保護軟膜223の表面にスパ
イラルパターン2231がポジティブに刻印され、スパイラルパターン2231は、蠕動
針頭22の病変の周囲組織での移行に寄与する。
その後の動物実験によると、スパイラルパターン2231は、蠕動針頭22と挿入部分の
組織間の摩擦力を増加させることができ、蠕動針頭22の病変周囲組織での移行に寄与す
る。
【0019】
実施例3
実施例3は、以下の内容を除いて実施例2と同じであり、スパイラルパターン2231の
有無により蠕動針頭22の性能に対する影響を比較する。
前記半円形のパイプスリーブ216内に、アブレーションアンテナ21の蠕動針頭22に
近い端を起点として、チョークコイル214の位置を終点として、ワイヤーブレード層2
162が配置され、前記ワイヤーブレード層2162の材料はステンレス鋼ワイヤーであ
る。
その後の動物実験によると、ワイヤーブレード層2162の主な作用は、アブレーション
領域Aのマイクロ波エネルギーを増強し、強い電磁場を形成し、非アブレーション領域B
のマイクロ波エネルギーを弱め、強い電磁場を形成し、つまりマイクロ波エネルギーの偏
向率を増加させて、電磁エネルギーをアブレーション領域Aにより集中させ、正常組織へ
の熱損傷を低減する。
【0020】
実施例4
実施例4は、以下の内容を除いて、実施例3と同じである。
前記外管213上に、半円形のパイプスリーブ215の反対側で、アブレーション領域A
に向かう他方側に温度センサ217が設けられ、温度を即時かつ正確に監視し、過度の温
度による正常組織および管材への損傷を防止する。
温度センサ217は主に監視作用を果たし、温度が設定値を超えると、フィードバック制
御システムはマイクロ波の出力を遮断し、過熱による外管213の溶融に起因して、冷却
水漏れによる医療事故を防止する。
【0021】
実施例5
実施例5は、以下の内容を除いて、実施例4と同じである。
前記ハンドル1にレギュレータ13が設けられ、前記レギュレータ13に蠕動針頭22の
蠕動動作を制御するためのスイッチ131、蠕動針頭22を四方向に回転させるためのロ
ッカー132、電気接続ポート133、コントローラーおよび電源が設けられる。前記ワ
イヤーハーネス、メモリー合金ワイヤーハーネス22113、温度センサ217、スイッ
チ131、ロッカー132、電気接続ポート133、コントローラーは、それぞれ電源に
電気的に接続される。
【0022】
応用例
本応用例は、実施例5の構造を基に記載され、本発明の使用方法を明らかにすることを目
的としている。
本応用例では、胸椎に位置し人体内側の石灰化骨肉腫をアブレーション対象としているが
、一般的なマイクロ波アブレーション針で治療する場合、複数の針で位置を決定するだけ
でなく、臓器に近いため、球形のアブレーション領域Aは臓器周りに不可避に損傷を与え
るが、本発明によって設計されたマイクロ波アブレーション針では、そのような問題がな
くなり、以下の具体的な実施過程により上記の結論を証明する。
S1、患者の病歴を尋ね、抗凝固薬を1週間中止し、適切な術前検査を実施し、患者また
はその法定代理人に、患者の病状、治療目標、治療リスク、現在の治療状況と代替治療方
法を十分に通知し、手術前に治療情報に基づく同意書に署名させる。
S2、6時間以上の術前絶食をして、静脈アクセスを確立する。
S3、患者は仰臥位にして、鼻酸素チューブで酸素を吸入させ、通常消毒およびドレープ
を行い、病変の特定の場所に応じて、超音波即時誘導の下で2%のリドカインまたはその
希釈剤で局所浸潤麻酔を行う。
S4、隔離液で重要な臓器や神経を隔離する。
S5、最初に、鋭い刃が皮膚を3~4mm切開し、超音波即時誘導の下で、血管と神経を
避けてアブレーション針2の位置を調整し、アブレーション領域を胸椎に向け、非アブレ
ーション領域を臓器に向けて、リモートセンシング132を介して蠕動針頭22の曲げ角
度を30°に調整し、最後に蠕動針頭22のスイッチ131をオンにして、皮膚を穿刺す
る。
S51、図3を参照すると、蠕動針頭22の4つの可動ユニット2211を、カットヘッ
ド222の近くから、順次第1、第2、第3、第4の可動ユニット2211と番号を付け
る。
S52、第1、第3の可動ユニット2211のメモリー合金ワイヤーハーネス22113
は通電すると収縮し、弾性金属シート22112が押圧され、可動ユニット2211は短
く粗い状態になり、スパイラルパターン2231が組織表面に固定され、第2、第4の可
動ユニット22112のメモリー合金ワイヤーハーネス22113は電源を切ると弛緩し
、弾性金属シート22112は弛緩し、可動ユニット2211は細かい状態になり、スパ
イラルパターン2231が組織表面から離脱する。
S53、第1、第3の可動ユニット2211のメモリー合金ワイヤーハーネス22113
は電源を切ると弛緩し、弾性金属シート22112は弛緩し、可動ユニット2211は細
い状態になり、スパイラルパターン2231は離脱し、第2、第4の可動ユニット221
1のメモリー合金ワイヤーハーネス22113は通電すると収縮し、弾性金属シート22
112が押圧され、可動ユニット2211は短く粗い状態になり、スパイラルパターン2
231が組織表面に固定される。
S54、第2、第4の可動ユニット2211のメモリー合金ワイヤーハーネス22113
は電源を切ると弛緩し、弾性金属シート22112は弛緩し、可動ユニット2211は細
い状態になり、スパイラルパターン2231は離脱し、第1、第3の可動ユニット221
1のメモリー合金ワイヤーハーネス22113は通電すると収縮し、弾性金属シート22
112が押圧され、可動ユニット2211は短く粗い状態になり、スパイラルパターン2
231が組織表面に固定される。
S6、蠕動針頭22の引きずりと手動キャリブレーションの下で、アブレーションアンテ
ナ21を正確に病変の下に配置して、マイクロ波アブレーション治療を実行する。
S7、手術後30分間患者の状態を観察し、異常がなければ患者が病棟に戻る。
【0023】
実験例
本実験例は、上記の応用例の使用方法を基に記載され、具体的な試験例を使用して本発明
の実際の効果を実証することを意図している。
1、実験細胞と動物
骨肉腫の標本は、中国貴陽市母子保育サービスセンターから購入し、中国貴陽市母子保育
サービスセンター論理委員会によって承認された。
検査機関の実験動物保護使用委員会によって承認された後、中国貴陽医学院の実験動物セ
ンターからニュージーランドのウサギを購入した。
標準の規定下でニュージーランドのウサギを育る。
2、ニュージーランドのウサギ骨肉腫モデルを確立する
骨肉腫細胞を収集し、無血清DMEMを使用して濃度1×10/mLの骨肉腫細胞懸濁
液を調整した。ニュージーランドのウサギの膝関節の皮膚を準備し、膝関節の皮膚を切開
し、長さ約1cmの切開を行い、脛骨結節を露出させ、電気ドリルで直径約2mmの骨欠
損をドリルし、5mLの注射器で1mLの骨髓を抽出し、次にその1mを濃度1×10
/mLの骨肉腫細胞懸濁液に注射した。約1週間後、移植部位での腫瘍形成後腫瘍組織を
取り出し、体積0.5mmの15個の腫瘍組織に分割し、ニュージーランドのウサギ骨
肉腫モデルを確立するために移植する腫瘍組織として使用した。
約1.5kgのニュージーランドのウサギを3%ペントバルビタール1.5mlの耳静脉
注射で麻酔し、ニュージーランドのウサギの左膝関節の皮膚を準備し、大腿骨の皮膚を切
開し、長さ約lcmの切開を行い、左大腿顆を露出させ、電気ドリルで直径5mm、深さ
約5mmの骨欠損をドリルし、体積0.5mmの腫瘍組織を移植し、欠損を骨ワックス
で密封し、筋膜と皮膚を層ごとに縫合した。
3、実験
実験組:ランダムに20匹のニュージーランドのウサギを、本発明によって設計されたマ
イクロ波アブレーション針を使用してマイクロ波アブレーション手術を行った。
対照組:別の20匹のニュージーランドのウサギを、市販のマイクロ波アブレーション針
を使用してマイクロ波アブレーション手術を行った。
4、実験の観察
実験組と対照組のニュージーランドのウサギを、手術後直後に写真を撮り、手術周囲の組
織の熱損傷状況を観察し、具体的なデータを図5に示した。
図5のデータから分かるように、同じ電力(50W)およびアブレーション時間(3mi
n)の下で、本発明によって設計されたマイクロ波アブレーション針は、市販のマイクロ
波アブレーション針と比較して、アブレーション領域Aにおける熱損失の深さが約3~4
mm増加し、非アブレーション領域Bにおける熱損失の半径が約4~6mm減少し、これ
は、本発明によって設計されたマイクロ波アブレーション針は、アブレーション領域Aの
マイクロ波エネルギーを増強し、強い電磁場を形成し、非アブレーション領域Bのマイク
ロ波エネルギーを弱め、強い電磁場を形成して、非対称の冠状アブレーション領域を形成
したことを示した。
電力50Wと3minの連続アブレーションの下で、本発明は常に弱磁場側のアブレーシ
ョン深さを3.5mm以内に制御することができ、非対称マイクロ波アブレーションの治
療効果を大幅に改善し、正常組織への熱損傷を低減し、手術後の回復に寄与する。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2021-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
マイクロ波アブレーション技術(MWA)を使用して臓器にある腫瘍組織を治療する場合
、腫瘍組織は一般に球形であるため、高度に球形のアブレーション領域を追求する必要が
ある。しかしながら、骨に付着した骨肉腫病変の特殊性により、一般的なアブレーション
針を使用すると、その球形のアブレーション領域では、骨肉腫を消滅する同時に骨肉腫周
囲の健康な組織に必然的に損傷を与えるため、骨肉腫が重要な臓器周囲の骨にある場合、
MWAによる治療はできなくなる。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]中国特許公開第113100926A号公報