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特開2022-89147パワートランジスタと静電放電保護回路とを別々の基板に搭載した電力増幅器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089147
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】パワートランジスタと静電放電保護回路とを別々の基板に搭載した電力増幅器
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/52 20060101AFI20220608BHJP
   H03F 3/20 20060101ALI20220608BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20220608BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20220608BHJP
【FI】
H03F1/52 220
H03F3/20
H01L27/06 311B
H01L27/06 311C
H01L27/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021149860
(22)【出願日】2021-09-15
(31)【優先権主張番号】17/110,568
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504199127
【氏名又は名称】エヌエックスピー ユーエスエイ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NXP USA,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ジェラード シュルツ
(72)【発明者】
【氏名】ユー-ティン デイビッド ウー
(72)【発明者】
【氏名】ニック ヤン
【テーマコード(参考)】
5F038
5F048
5J500
【Fターム(参考)】
5F038BH05
5F038BH07
5F038BH12
5F038BH13
5F038DF02
5F038EZ01
5F038EZ02
5F038EZ20
5F048AA02
5F048BA15
5F048CC06
5F048CC08
5F048CC15
5F048CC16
5F048CC18
5J500AA01
5J500AA41
5J500AC57
5J500AF16
5J500AH09
5J500AH25
5J500AH29
5J500AH33
5J500AK29
5J500PG01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】GaNの高いウェハコストを考慮して、GaNFETのゲート酸化物を静電放電ESDイベントから保護する電力増幅器及びトランジスタを提供する。
【解決手段】2段増幅器100は、半導体ダイと、半導体ダイとは異なる基板と、を備えている。半導体ダイは、III-V族半導体基板と、第1RF信号入力端子102と、第1RF信号出力端子104と、トランジスタ(例えばGaNFET)140と、を備えている。トランジスタは、第1RF信号入力端子に電気的結合された制御端子144と、第1RF信号出力端子に電気的結合された電流伝導端子146と、を有している。また基板は、第2RF信号入力端子と、第2RF信号出力端子と、第2RF信号入力端子と第2RF信号出力端子との間に結合された回路と、ESD保護回路と、を備えている。また増幅器は、ESD保護回路とトランジスタの制御端子との間に電気的結合された接続部を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
III-V族半導体基板と、第1無線周波数(RF)信号入力端子と、第1RF信号出力端子と、第1トランジスタとを備えている第1半導体ダイであって、前記第1トランジスタは、前記第1RF信号入力端子に電気的結合された制御端子と、前記第1RF信号出力端子に電気的結合された電流伝導端子とを備えている、前記第1半導体ダイと、
前記第1半導体ダイとは異なる基板であって、前記基板は第2RF信号入力端子と、第2RF信号出力端子と、前記第2RF信号入力端子と前記第2RF信号出力端子との間に結合された回路と、および第1静電放電(ESD)保護回路とを備えている、前記基板と、および
前記第1ESD保護回路と前記第1トランジスタの前記制御端子との間に電気的結合された第1接続部と、
を備えている、増幅器。
【請求項2】
前記第1トランジスタは、ディプレッションモードの窒化ガリウム電界効果トランジスタであり、
前記制御端子はゲート端子であり、
前記電流伝導端子はドレイン端子である、
請求項1に記載の増幅器。
【請求項3】
前記基板はさらに、前記第1ESD保護回路に結合された第1バイアス電圧制御回路を備えており、
前記第1バイアス電圧制御回路は、外部バイアス電圧源に結合されるように構成されたバイアス入力端子と、前記第1トランジスタの前記制御端子に結合されるように構成されたバイアス出力端子とを備えており、動作中、前記バイアス出力端子は、前記第1接続部を介して前記第1トランジスタの前記制御端子にDCバイアス電圧を伝達する、
請求項1に記載の増幅器。
【請求項4】
前記第1バイアス電圧制御回路は、前記バイアス入力端子と前記バイアス出力端子との間に電気的結合された直流-直流(DC-DC)電圧変換器を備えており、
前記DC-DC電圧変換器は、前記バイアス入力端子に供給される直流電圧を、前記バイアス出力端子において負の直流電圧に変換するように構成されている、
請求項3に記載の増幅器。
【請求項5】
前記第1ESD保護回路は、
アノードとカソードを有するダイオードであって、前記アノードは前記第1バイアス電圧制御回路の前記入力端子に電気的結合されている、前記ダイオードと、
前記カソードに結合された静電放電ESD電圧クランプ回路と、
を備えている、請求項3に記載の増幅器。
【請求項6】
前記基板はシリコン基板であり
前記ダイオードは、前記シリコン基板のポリシリコン層から少なくとも部分的に形成されたP-N接合ポリシリコンダイオードからなる、
請求項5に記載の増幅器。
【請求項7】
前記静電放電ESD電圧クランプ回路は、ゲート端子とソース端子が接地ノードに結合され、ドレイン端子が前記ダイオードに結合された、第2トランジスタを備えている、
請求項5に記載の増幅器。
【請求項8】
前記第2トランジスタは、接地ゲート(gg)型のnチャネルMOSFETである、
請求項7に記載の増幅器。
【請求項9】
前記基板は、前記第1半導体ダイとは異なる半導体材料から形成された第2半導体ダイであり、
前記第2RF信号入力端子と前記第2RF信号出力端子との間に結合された前記回路は、第2制御端子および第2電流伝導端子を有する1つまたは複数の第2トランジスタを備えており、
前記第2制御端子は前記第2RF信号入力端子に電気的結合されており、
前記第2電流伝導端子は前記第2RF信号出力端子に電気的結合されている、
請求項1に記載の増幅器。
【請求項10】
前記第2半導体ダイはさらに、前記第2トランジスタの前記第2制御端子に結合された第2ESD回路を備えている、
請求項9に記載の増幅器。
【請求項11】
前記増幅器はさらにデカップリングコンデンサを備えており、前記デカップリングコンデンサは、前記第2電流伝導端子に電気的結合された第1端子と、前記第2RF信号出力端子に電気的結合された第2端子とを備えている、
請求項9に記載の増幅器。
【請求項12】
前記基板は集積受動デバイスであり、
前記第2RF信号入力端子と前記第2RF信号出力端子との間に結合された前記回路は、インピーダンス整合回路を備えている、
請求項1に記載の増幅器。
【請求項13】
前記基板の前記第2RF信号出力端子と、前記第1半導体ダイの前記第1RF信号入力端子とは、前記第1接続部を介して一緒に電気的結合されている、
請求項1に記載の増幅器。
【請求項14】
前記第1接続部は、1つまたは複数のワイヤボンディングからなる、
請求項1に記載の増幅器。
【請求項15】
前記増幅器はさらに、前記基板の前記第2RF信号出力端子と、前記第1半導体ダイの前記第1RF信号入力端子との間に電気的結合された第2接続部を備えている、
請求項1に記載の増幅器。
【請求項16】
第1無線周波数(RF)信号入力端子と、第1RF信号出力端子と、第1トランジスタと、静電放電(ESD)保護回路とを備えている第1半導体ダイであって、前記第1トランジスタは、前記第1RF信号入力端子に電気的結合された制御端子と、前記第1RF信号出力端子に電気的結合された電流伝導端子とを有する、前記第1半導体ダイと、
第2RF信号入力端子、第2RF信号出力端子、および窒化ガリウム(GaN)トランジスタを備えている第2半導体ダイであって、前記GaNトランジスタは、前記第2RF信号入力端子に電気的結合された制御端子と、前記第2RF信号出力端子に電気的結合された電流伝導端子とを有する、前記第2半導体ダイと、および
前記ESD保護回路と、前記GaNトランジスタの前記制御端子との間に電気的結合された第1接続部と、
を備えている増幅器。
【請求項17】
前記第1半導体ダイは、シリコン基板、シリコンゲルマニウム(SiGe)基板、シリコンオンインシュレータ(SOI)基板、およびSiGeオンインシュレータ(SGOI)基板から選択される、
請求項16に記載の増幅器。
【請求項18】
前記第2半導体ダイは、GaN基板、GaNオンシリコン基板、およびGaNオンシリコンカーバイド基板から選択される、
請求項16に記載の増幅器。
【請求項19】
前記増幅器はドハーティ電力増幅器であり、前記ドハーティ電力増幅器は主増幅器と、ピーキング増幅器と、前記主増幅器の出力および前記ピーキング増幅器の出力に結合された和算ノードとを備えており、
前記主増幅器は前記第1半導体ダイおよび前記第2半導体ダイを備えており、
前記第1半導体ダイの前記第1RF信号入力端子は、主増幅器入力に対応しており、
前記第2半導体ダイの前記第2RF信号出力端子は、主増幅器出力に対応する、
請求項16に記載の増幅器。
【請求項20】
前記増幅器はさらに、
前記主増幅器および前記ピーキング増幅器が結合された基板と、および
前記第2RF信号出力端子と前記和算ノードとの間に電気的結合された、位相シフトおよびインピーダンス反転素子と
を備えている、請求項19に記載の増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載されている主題の実施形態は、一般的に、静電放電回路を備えた電力増幅器およびトランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウム(GaN)電界効果トランジスタ(FET)は、効率と動作帯域幅を向上させるために、セルラー基地局やその他のシステムの大電力増幅回路で益々利用されている。GaNFET(GaN-FET)は、シリコンベースのFETと比較して、比較的高い電力密度と比較的高い単位電流利得周波数とによって、高い増幅器性能を発揮することが実証されている。電力密度が高いので、一定の出力レベルであれば、ダイ周辺部を小さくすることができる。これによって、シリコンデバイスと比較して、より低いドレイン-ソース間の静電容量CDSと、および広い出力帯域幅を持つより高い出力インピーダンスとが得られる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6465768号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
使用される半導体技術(例えば、シリコンまたはGaN)にかかわらず、FETトランジスタのゲート酸化物は、過渡的な静電放電(ESD)イベントによって損傷する可能性がある。そのため、ESD保護回路をパワートランジスタのダイに、FETのゲートと一緒に組み込むことがある。しかし、GaNのウェハコストは比較的高いので、GaNFETダイに追加の回路を組み込むことは、多くの場合、コスト的に厳しい。そのため、ESD回路は通常、GaNFETゲートと一緒には実装されず、GaNFETゲートの敏感なゲート酸化物は、製造中やその後、例えばGaNFETがフィールドに展開されたときなどに発生する可能性のある高電位の静電放電ESDイベントに晒されることになる。そのため、GaNの高いウェハコストを考慮して、GaNFETのゲート酸化物を静電放電ESDイベントから保護する方法と回路が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
主題のより完全な理解は、以下の図と併せて考慮される詳細な説明および特許請求の範囲を参照することで得られるであろう。ここで、同様の参照番号は、図全体を通して同様の要素を指す。様々な図の間で対応する構成要素(すなわち、類似または同一の特性および/または機能を有する構成要素)は、同一の参照番号を有するか、または最後の2つの数字が同じであることに留意すべきである(例えば、図1図2、および図4図8の構成要素120、220、420、520、620、720、および820は、「対応する構成要素」である)。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】例示的な実施形態による、ドライバ段ダイと、窒化ガリウム(GaN)トランジスタを有する最終段ダイと、およびドライバ段ダイ上のGaNトランジスタ入力のための静電放電(ESD)回路とを有する、2段増幅器の簡略化されたブロック図。
図2】例示的な実施形態に従った、ドライバ段ダイと、GaNトランジスタを有する最終段ダイと、およびGaNトランジスタ入力用のドライバ段ダイ上のESD回路とを有する、2段のカスケード増幅器の回路図。
図3】例示的な実施形態に従った、図2のESD回路の電流対電圧応答を示すチャート。
図4】例示的な実施形態に従った、シリコンカスコードドライバ段ダイと、GaNトランジスタを備えた最終段ダイと、およびGaNトランジスタ入力のためのドライバ段ダイ上のESD回路とを備えた、2段のカスケード増幅器の回路図。
図5】例示の実施形態に従った、集積受動デバイス(IPD:インテグレイテッドパッシブデバイス)上に実装された入力回路と、GaNトランジスタを有する増幅器ダイと、および集積受動デバイスIPD上のGaNトランジスタ入力用のESD回路とを有する、単段増幅器の回路図。
図6】実施例に従った、大電力パッケージにパッケージされた2段の増幅器を備えている、RF増幅器デバイスの一例の上面図。
図7】例示の実施形態に従って、クワッドフラットノーリードパッケージにパッケージされた2段の増幅器を備えている、RF増幅器デバイスの例を示す上面図。
図8】実施形態例に従った、ドハーティ電力増幅器モジュールに2段の主増幅器を備えている、RF増幅器デバイスの例の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の主題の様々な実施形態は、窒化ガリウム(GaN)電界効果トランジスタ(FET)のゲート酸化物を、静電放電(ESD)イベントから保護する方法および回路を備えている。様々な実施形態は、具体的には、第1基板(例えば、ドライバ段ダイまたは集積受動デバイス(IPD))と、GaNFETを有する増幅器ダイと、GaNFETの入力を静電放電ESDイベントから保護するように構成された第1基板上のESD保護回路とを備えている増幅器を備えている。ここで開示されている増幅器およびESD保護回路の構成は、ESD保護回路のために貴重なGaNダイの面積を利用することなく、GaNFETのゲート酸化物に関して静電放電ESDイベントの保護を提供する。さらに、いくつかの実施形態では、GaNFETは、負のゲートバイアス電圧を用いて動作するように構成されたディプレッションモードのノーマリーオンFETである。ESD保護回路は、負のゲートバイアスを乱さないように構成され、一方で、高い正の静電放電ESD電位電圧をクランプし、ESD保護回路が接続されているGaNFETから静電放電ESDエネルギーを短絡させる。
【0008】
GaNFETは一般的に、ディプレッションモードのノーマリーオンデバイスであり、当該デバイスをピンチオフするために負のゲート電圧を生成するバイアス電圧制御回路を利用する。ディプレッションモードのGaNFETを有するGaNダイを備えているいくつかの実施形態によれば、上記第1基板(例えば、ドライバ段ダイまたは集積受動デバイスIPD)は、集積されたGaNバイアス電圧制御回路を備えており、このバイアス電圧制御回路は、GaNダイに電気的結合され、GaNFETをピンチオフするために負のゲート電圧を提供するように構成されている。より具体的には、そのような実施形態では、GaNバイアス電圧制御回路は、GaN負のDCバイアス回路(例えば、第1(正または負の)DC電圧を、GaNバイアス電圧として使用される負のDC電圧に変換(コンバート)するように構成された直流-直流(DC-DC)電圧変換器)であると考えてよい。以下でより詳細に説明するように、ESD保護回路の実施形態も第1基板上に備えられ、GaNバイアス電圧制御回路およびGaNFETゲートに結合されている。ESD保護回路は、一実施形態によれば、ダイオードと静電放電ESD電圧クランプ回路を備えている。ダイオードは、静電放電ESD電圧クランプ回路を負のゲートバイアス電圧から分離するが、静電放電ESDイベントに関連する高い正の電圧を静電放電ESD電圧クランプ回路に通過させ、静電放電ESDエネルギーをGaNFETゲートから遠ざける(シャントする)。GaNバイアス電圧制御回路およびESD保護回路を、GaNダイとは対照的に、第1基板に集積することは、GaNダイの面積(エリア)と比較して第1基板の面積が低コストであることを考慮すると、大幅なコスト削減につながる可能性がある。
【0009】
特定の実施形態によれば、2段増幅器は、GaNFETゲート用のESD保護回路を備えている異なる半導体技術(例えば、シリコン、シリコンゲルマニウム、SOI、SGOI、または他の適切な技術)のドライバ段ダイに接続されたGaNFET最終段ダイを備えている。例えば、様々な実施形態において、GaNFET最終段ダイは、シリコン横方向拡散金属酸化物半導体FET(LDMOS FET)を備えているドライバ段ダイに接続されるか、またはシリコンもしくはシリコンゲルマニウム(SiGe)相補型金属酸化物半導体(CMOS)トランジスタ(例えば、FET、BJT、および/またはヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT))のスタックを備えているドライバ段ダイに接続され、ドライバ段ダイは、GaNFETゲート用のESD保護回路も備えている。さらに別の具体的な実施形態によれば、単段増幅器は、GaNFETゲート用のESD保護回路を備えている集積受動デバイスIPDに接続されたGaNFETダイを備えている。これらの実施形態は、以下でより詳細に説明される。
【0010】
以下の詳細な説明は、本質的に単なる例示であり、主題の実施形態またはそのような実施形態の適用および使用を限定することを意図していない。本明細書で使用される場合、「exemplary」(例示的)および「example」(一例)という言葉は、「serving as an example, instance, or illustration」(一例、具体例、またはイラストとしての役割)を意味する。本明細書で例示的または一例として記載されている任意の実施態様は、必ずしも他の実施態様よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。さらに、先行する技術分野、背景、または以下の詳細な説明で提示された、明示的または暗示的な理論に拘束される意図はない。
【0011】
本明細書で使用する場合、用語「トランジスタ」は、電界効果トランジスタ(FET)、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)、または他のタイプのトランジスタを意味する。例えば、「FET」は、金属-酸化物-半導体FET(MOSFET)、横方向に拡散したMOSFET(LDMOS FET)、エンハンスメントモードまたはディプレッションモードの高電子移動度トランジスタ(HEMT)、または別のタイプのFETであってもよい。以下の説明では、トランジスタは、制御端子と2つの電流伝導(通電)端子を備えているものとする。例えば、FETに関連する用語を使用すると、「制御端子」はトランジスタのゲート端子を意味し、第1および第2電流伝導端子はトランジスタのドレインおよびソース端子(またはその逆)を意味する。以下の説明では、FETデバイスに関連して一般的に使用される用語を使用することがあるが、様々な実施形態は、FETデバイスを利用する実施形態に限定されるものではなく、代わりに、BJTデバイス、HBTデバイス、または他のタイプのトランジスタを利用する実施形態にも適用されることを意味する。
【0012】
「ダイ」という用語は、内部に1つまたは複数の回路構成要素(例えば、トランジスタ、受動デバイスなど)が集積されるかおよび/または直接物理的に接続された、単一の別個の半導体ダイを意味する。「シリコン・・・ダイ」(例えば、「シリコンドライバ段ダイ」)とは、1つまたは複数のシリコンベースまたはSiGeベースのパワートランジスタを備えている集積回路ダイを意味する。例えば、「シリコン・・・ダイ」とは、シリコン基板、SiGe基板、SOI(シリコン-オン-インシュレータ)基板、SGOI(SiGe-オン-インシュレータ)基板、または他の適切なシリコンベース基板またはSiGeベース基板の中および/または上に形成された、パワートランジスタ(例えば、FET、BJT、HBT、または他のタイプのシリコントランジスタ)を備えているダイのことである。「シリコントランジスタ」とは、主要(プライマリ)な電流伝導チャネルが主にシリコンまたはSiGe半導体材料から形成されているトランジスタを意味する。「GaN・・・ダイ」(例えば、「GaN最終段ダイ」のように)とは、GaNパワートランジスタを備えている集積回路ダイを意味する。例えば、「GaN・・・ダイ」とは、GaN基板、GaN-on-シリコン基板、GaN-オン-シリコンカーバイド(SiC)基板、GaN-オン-AlN(窒化アルミニウム)基板、GaN-オン-サファイア基板、GaN-オン-ダイアモンド基板、または他の適切なGaNベースのヘテロエピタキシーおよび基板配置の中および/または上に形成されたGaNパワートランジスタを備えているダイである。また、「GaNトランジスタ」または「GaNFET」とは、主要な電流伝導チャネルが主にGaN半導体材料から形成されているトランジスタを意味する。
【0013】
図1は、例示的な実施形態に従って、RF信号入力端子102とRF信号出力端子104との間に、カスケード配列でシリコンドライバ段ダイ(ドライバステージダイ)110とGaN最終段ダイ180とが電気的結合された2段増幅器100の簡略化されたブロック図である。ドライバ段ダイ110は、シリコンダイ入力端子120と、シリコンダイ出力端子122と、入力インピーダンス整合回路130と、シリコントランジスタ140と、段間(インタステージ)インピーダンス整合回路150の集積部と、ドライバ段バイアス電圧制御回路134(以下、「ドライバ段バイアス回路」という)と、最終段バイアス電圧制御回路160(「最終段バイアス回路」)と、ドライバ段ESD保護回路138(「ドライバ段ESD回路」)と、最終段ESD保護回路162(「最終段ESD回路」)と、および高調波(ハーモニック)制御回路170(「最終段高調波制御回路」)とを、実施形態では備えている。最終段バイアス回路160、最終段ESD保護回路162、および最終段高調波制御回路170は、本明細書では、ドライバ段ダイ110に集積されているという点で、ドライバ段ダイ110の「2次回路」と呼ばれることがあるが、それらの機能は、後でより詳細に説明するように、それぞれGaNトランジスタ182に対するバイアス電圧、静電放電ESD保護、または高調波制御に影響を与えることに関連している。
【0014】
順方向(前方)増幅経路に沿って、RF信号入力端子102は、接続部(コネクション)103(例えば、ワイヤボンド、ワイヤボンドアレイ、または他の電気的接続)を介してシリコンダイ入力端子120に電気的結合され、シリコンダイ入力端子120は、入力インピーダンス整合回路130への入力に結合され、入力インピーダンス整合回路130の出力は、シリコントランジスタ140の入力144(制御端子)に結合され、シリコントランジスタ140の出力146(電流伝導端子)は、段間インピーダンス整合回路150への入力に結合され、段間インピーダンス整合回路150の出力は、シリコンダイ出力端子122に結合されている。
【0015】
シリコンダイ出力端子122は、接続部174(例えば、ワイヤボンドアレイまたは他のDC結合導電接続部)を介して、最終段ダイ180のGaNダイ入力端子190に電気的結合される。接続部174は、シリコントランジスタ140の出力(例えば、ドレイン)と、GaNトランジスタ182の入力(例えば、ゲート)との間の段間整合回路の非集積部を表している。より具体的には、接続部174は、シリコントランジスタ140を、ゲート-ソース間の静電容量Cgsが小さいGaNトランジスタ182の最終インピーダンスに整合させるために、回路内の低入力インピーダンス点に配置する。一実施形態では、接続部174は、ワイヤボンドアレイなどの誘導接続である。他の実施形態では、他のタイプのDC-結合接続が実装されてもよい。例えば、代替の実施形態では、ダイ110、180は、フリップチップダイであってもよく、または、DCバイアスおよびRF信号は、基板とは異なるワイヤボンドまたは他の電気的接続を介して搬送されるのではなく、ダイ110、180が結合されている基板を介して搬送可能であるように構成またはパッケージ化されてもよい。
【0016】
最終段ダイ180は、実施形態では、GaNダイ入力端子190と、GaNダイ出力端子192と、GaNトランジスタ182とを備えている。順方向増幅経路に沿って続けて、GaNダイ入力端子190は、GaNトランジスタ182の入力184(制御端子)に結合され、GaNトランジスタ182の出力186(電流伝導端子)は、GaNダイ出力端子192に結合される。GaNダイ出力端子192は、接続部179(例えば、ワイヤボンドアレイまたは他の電気的接続部)を介して、RF信号出力端子104に電気的結合されている。
【0017】
動作中、RF信号入力端子102およびシリコンダイ入力端子120を介して受け取られたRF信号は、入力インピーダンス整合回路130を介して伝えられ、この入力インピーダンス整合回路130は、増幅器100のインピーダンスをより高いインピーダンスレベル(例えば、50オームまたは別のインピーダンスレベル)に上げて、周波数帯全体の利得平坦性および電力伝達を強化するように構成される。次に、得られたRF信号は、シリコントランジスタ140によって増幅される(すなわち、シリコントランジスタ140は、RF信号に第1利得を適用する、すなわちRF信号を「前置増幅」(プレアンプ)するドライバ増幅器として機能する)。例えば、シリコントランジスタ140は、約10デシベル(dB)~約25dB(例えば、いくつかの実施形態では、約20dB)の範囲の利得をRF信号に適用してもよいが、シリコントランジスタ140によって適用される利得は、より低くても高くてもよい。シリコントランジスタ140の出力146で生成された増幅されたRF信号は、次に、段間インピーダンス整合回路150の集積部を介して伝えられる。出力端子122で生成された結果のRF信号は、次に、接続部174を介して、最終段ダイ180のGaNダイ入力端子190に伝えられる。段間インピーダンス整合回路150の集積部と、ダイ110,180の間の接続部174とが一緒になって、シリコントランジスタ140の出力インピーダンス(またはドレインインピーダンス)をGaNトランジスタ182の入力インピーダンスに整合させることで、周波数帯全体の利得平坦性と電力伝達を高めるように構成されている。いくつかの実施形態では、接続部174は、シリコン増幅器140の出力とGaN増幅器182の入力184との間の段間整合回路における、非集積型の直列誘導構成要素である。
【0018】
GaNダイ入力端子190で受け取られた事前増幅されたRF信号は、GaNトランジスタ182によって増幅される(すなわち、GaNトランジスタ182は、RF信号に第2利得を適用する最終増幅器として機能する)。例えば、GaNトランジスタ182は、約10dB~約15dBの範囲の利得(例えば、一部の実施形態では、約14dB)をRF信号に適用し、約20dB~約40dBの範囲のデバイス100を介した総利得(例えば、一部の実施形態では、約35dB)を得ることができるが、GaNトランジスタ182によって適用される利得および/またはデバイス100の総利得は、同様に、より低くても高くてもよい。GaNトランジスタ182の出力186で生成された増幅されたRF信号は、次に、GaNダイ出力端子192および接続部179を介してRF信号出力端子104に伝達される。
【0019】
上述したように、ドライバ段ダイ110はさらに、集積されたドライバ段バイアス電圧制御回路134を備えており、この集積されたドライバ段バイアス電圧制御回路134は、ドライバ段ダイ110のシリコントランジスタ140の入力144(例えば、ゲート端子)に正のバイアス電圧を伝えるように構成されている。したがって、シリコントランジスタ140への入力144は、DCバイアス電圧の上および下の電圧スイングを生成するRF信号を伴う、正のDCバイアス電圧を受け取る。ドライバ段ダイ110は、より具体的には、第1バイアス電圧制御回路入力端子139(単に「バイアス入力端子」と称する)と、バイアス入力端子139とシリコントランジスタ140のゲートとの間に電気的結合されたドライバ段バイアス回路134とを備えている。ドライバ段バイアス回路134は、一実施形態では、DC-DC変換器(コンバータ)回路である。様々な実施形態において、ドライバ段バイアス回路134は、以下のように構成されてもよい。(1)正の直流バイアス電圧を、異なる電圧レベルの別の正の直流バイアス電圧に変換する、または、(2)負の直流バイアス電圧を正の直流バイアス電圧に変換する。バイアス入力端子139は、外部バイアス回路(例えば、+VDDまたは-VDDのDCバイアス電圧を生成する外部電圧源137)からバイアス入力端子139を介してバイアス電圧を受け取るように構成されており、ドライバ段バイアス回路139は、受け取られたバイアス電圧をDC-DC変換してドライバ段ゲートバイアス電圧を生成し、このドライバ段ゲートバイアス電圧をドライバ段ダイ110のシリコントランジスタ140のゲートに供給する。一実施形態によれば、シリコントランジスタ140は、正のDCバイアス電圧を用いて動作するように構成されている。動作中、集積バイアス電圧制御回路134によって外部バイアス電圧源137からバイアス入力端子139を介して受け取られたバイアス電圧は、集積バイアス電圧制御回路134によって調整され(例えば、フィルタリングされ)、シリコントランジスタ140の入力144に伝えられる。
【0020】
一実施形態によれば、ドライバ段ダイ110はさらに、集積された最終段バイアス電圧制御回路160を備えており、この最終段バイアス電圧制御回路160は、最終段ダイ180のGaNトランジスタ182の入力184(例えば、ゲート端子)に負のバイアス電圧を伝えるように構成される。したがって、GaNトランジスタ182への入力184は、DCバイアス電圧の上および下の電圧スイングを生成するRF信号を伴う、負のDCバイアス電圧を受け取る。ドライバ段ダイ110は、より具体的には、バイアス電圧制御回路入力端子158(単に「バイアス入力端子」と称する)と、バイアス入力端子158とバイアス出力端子123との間に電気的結合された最終段バイアス回路160とを備えている。最終段バイアス回路160は、一実施形態では、DC-DC変換器(コンバータ)回路である。様々な実施形態において、最終段バイアス回路160は、以下のように構成されてもよい。(1)正のDCバイアス電圧を負のDCバイアス電圧に変換する、または、(2)負のDCバイアス電圧を異なる電圧レベルの別の負のDCバイアス電圧に変換する。バイアス入力端子158は、外部バイアス回路(例えば、+VDDまたは-VDDのDCバイアス電圧を生成する外部バイアス電圧源164)からバイアス入力端子158を介してバイアス電圧を受け取るように構成されており、最終段バイアス回路160は、受け取られたバイアス電圧をDC-DC変換して最終段ゲートバイアス電圧を生成し、これを最終段ダイ180のGaNトランジスタ182のゲートに供給する。一実施形態によれば、GaNトランジスタ182は、ディプレッションモードのノーマリーオンデバイスであり、受け取られて伝達されたバイアス電圧は、GaNトランジスタ182をピンチオフするように機能する負のDCバイアス電圧である。
【0021】
一実施形態によれば、最終段バイアス回路160は、ドライバ段ダイ110のバイアス出力端子123と、接続部175(例えば、1つまたは複数のワイヤボンドまたは他の導電性接続部)と、および最終段ダイ180のバイアス入力端子191とを介して、GaNトランジスタ182のゲートに結合される。別の実施形態によれば、そして、最終段バイアス回路160と出力端子122との間の破線の接続部(コネクタ)175′で示されるように、最終段バイアス回路160を、バイアス出力端子123と、接続部175と、およびバイアス入力端子191とを介してGaNトランジスタ182に結合するのではなく、最終段バイアス回路160は、代替的に、接続部175′と、出力端子122と、接続部174(例えば、1つまたは複数のワイヤボンドまたは他の導電性接続部)と、および最終段ダイ180の入力端子190とを介して、GaNトランジスタ182に結合されてもよい。
【0022】
最終段バイアス回路160および接続部175(または接続部175′プラス接続部174)は一緒になって、DCバイアス電圧をフィルタリングし、その結果得られるバイアス電圧信号を入力端子191(または190)で生成するように構成されている。入力端子191(または190)は、順に、GaNトランジスタ182の入力184(例えば、ゲート端子)に電気的結合される。動作中、最終段バイアス回路160によって外部バイアス電圧源164からバイアス入力端子158を介して受け取られたバイアス電圧は、最終段バイアス回路160によって調整され(例えば、フィルタリングされ)、ドライバ段ダイ110の出力端子123(または122)と、接続部175(または接続部175′プラス接続部174)と、および最終段ダイ180のバイアス入力端子191(または190)とを介して、GaNトランジスタ182の入力184に伝達される。
【0023】
さらなる実施形態によれば、ドライバ段ダイ110はさらに、集積された第1および第2ESD保護回路138,162(それぞれ「ドライバ段ESD回路」および「最終段ESD回路」)を備えている。ドライバ段ESD回路138は、バイアス入力端子139と、ドライバ段バイアス回路134と、およびシリコントランジスタ140の入力144(例えば、ゲート端子)とに結合されている。ドライバ段ESD回路138は、シリコンFET140のゲート酸化物の静電放電ESDイベントに対する保護を行うように構成されている。逆に、最終段ESD回路162は、バイアス入力端子158と、最終段バイアス回路160と、およびGaNトランジスタ182の入力184(例えば、ゲート端子)とに結合されている。
【0024】
ドライバ段ESD回路138は、シリコントランジスタ140のゲート酸化物に関して、静電放電ESDイベントに対する保護を行うように構成されている。より具体的には、ドライバ段ESD回路138は、十分に正または負の電圧条件が発生したときに、シリコントランジスタ140の入力144からエネルギーを分流(シャント)するために「オン」になるように構成される。同様に、最終段ESD回路162は、GaNトランジスタ182のゲート酸化物の静電放電ESDイベントに対する保護を行うように構成されている。より具体的には、最終段ESD回路162は、十分に正または負の電圧条件が発生したときに、GaNトランジスタ182の入力184からエネルギーを分流するために「オン」になるように構成される。ドライバ段ESD回路および最終段ESD回路138、162の例示的な回路構成については、図2および図3と併せて後ほど詳しく説明する。しかしながら、重要なことに、実施形態によれば、GaNトランジスタ182に提供される負のゲートバイアスを乱すことを避ける(例えば、シャントする)べく備えられる、少なくとも1つの追加の構成要素(例えば、ダイオード266、図2)を最終段ESD回路162が備えているという点で、ドライバ段ESD回路および最終段ESD回路138,162は互いに異なる構成となっている。シリコントランジスタ140には正のゲートバイアスが供給されるので、最終段ESD回路162の追加構成要素は、ドライバ段ESD回路138に備えられる必要はない。
【0025】
図1に示すように、最終段ESD回路162は、ドライバ段ダイ110上に実装される。最終段ESD回路162をドライバ段ダイ110上に備えている(含める)ことは、最終段ダイ180上の貴重な領域を利用することなく、GaNFET182のゲート酸化物に関して静電放電ESDイベントに対する保護を提供するという点で、特に有利であることに留意すべきである。
【0026】
さらなる実施形態によれば、ドライバ段ダイ110はさらに、増幅器100が動作するように構成されている基本周波数(f)の1つまたは複数の高調波周波数(例えば、第2高調波周波数(2f)、第3高調波周波数(3f)など)の信号に対して、外部接地基準128への低インピーダンス経路を提供するように構成された集積された高調波制御回路170(または「最終段高調波制御回路」)を備えている。より具体的には、ドライバ段ダイ110は、高調波制御回路入力端子171と、高調波制御回路入力端子171と外部接地基準128との間に電気的結合された集積された高調波制御回路170とを備えている。高調波制御回路入力端子171は、接続部178(例えば、1つまたは複数のワイヤボンディングまたは他の導電性接続部)を介して、最終段ダイ180の高調波信号出力端子194に電気的結合される。高調波信号出力端子194は、順に、GaNトランジスタ182の入力端子184(例えば、ゲート端子)に電気的結合される。動作中、1つまたは複数の高調波周波数でGaNトランジスタ182の入力端子184で生成された信号エネルギーは、高調波信号出力端子194から接続部178を介して高調波制御回路入力端子171に伝えられ、最終段高調波制御回路170は、高調波周波数の信号エネルギーを外部接地基準128に分流(シャント)するように機能する。
【0027】
図1の装置100は、従来の装置に比べていくつかの利点を有することができる。概念的には、ドライバ段ダイ110は、最終段ダイ180への入力をバッファリングするように機能する。より具体的には、ドライバ段ダイ110の利用は、最終段ダイ180の動的入力を分離(アイソレイト)し、これによって、デバイス100は、広帯域アプリケーションに適している可能性がある。さらに、ドライバ段ダイ110と最終段ダイ180との間の相互作用によって、AM/PM応答およびAM/AM応答のより良いシェーピングが可能になる場合がある。さらに、ドライバ段ダイ110は、GaNウェーブシェーピングのための適切な入力高調波負荷を提供することができる。さらになお、ドライバ段ダイ110の様々な実施形態は、様々な高性能の最終段ダイ180と柔軟に嵌合(メイティッド)することができる標準オプションとして提供されてもよく、したがって、2段デバイスの市場へのより迅速な導入を可能にする。
【0028】
次に、増幅器100のより具体的な実施形態の描写を備えている回路図を、図2と併せてより詳細に説明する。より具体的には、図2は、例示的な実施形態による、シリコンドライバ段およびGaN最終段を有する2段のカスケード増幅器200を示す回路図である。増幅器200は、シリコンドライバ段ダイ210(例えば、シリコンダイ110、図1)と、GaN最終段ダイ280(例えば、GaNダイ180、図1)とを備えており、これらは、RF信号入力端子202(例えば、入力端子102、図1)とRF信号出力端子204(例えば、出力端子104、図1)との間で、カスケード配置で電気的結合されている。それぞれが受動的および/または能動的な電気構成要素の配置を備えている複数の回路は、ドライバ段ダイ210および最終段ダイ280内に集積されている。
【0029】
ドライバ段ダイ210および最終段ダイ280の以下の説明では、コンデンサ、インダクタ、および/または抵抗器を備えている様々な回路が参照される。コンデンサ(キャパシタ)は、例えば、様々な実施形態において、ビルドアップ層内に形成された集積化された金属-絶縁体-金属(MIM)コンデンサ、および/または、ダイの上面に結合された小型チップコンデンサ(ディスクリート(単体)のコンデンサ)であってもよい。抵抗器は、例えば、集積抵抗器(例えば、ポリシリコンから形成されたもの)、またはダイの上面に結合された小型の単体抵抗器であってもよい。インダクタは、集積されたスパイラルインダクタであってもよいし、ワイヤボンディングや他の誘導構成要素から形成された単体のインダクタやインダクタンスであってもよい。
【0030】
ドライバ段ダイ210は、シリコンダイ内に集積された複数の回路を備えている。一実施形態では、ドライバ段ダイ210の集積回路は、入力端子220(例えば、入力端子120、図1)と、出力端子222(例えば、出力端子122、図1)と、第1DCブロック/ACデカップリングコンデンサ224と、第2DCブロック/ACデカップリングコンデンサ226と、入力インピーダンス整合回路230(例えば、回路130、図1)と、パワートランジスタ240(例えば、トランジスタ140、図1)と、段間インピーダンス整合回路250(例えば、回路150、図1)の集積部と、第1バイアス電圧制御回路234(例えば、回路134、図1)と、第2バイアス電圧制御回路260(例えば、回路160、図1)と、ドライバ段ESD回路238(例えば、回路138、図1)と、最終段ESD回路262(例えば、回路162、図1)と、および高調波制御回路270(例えば、回路170、図1)の集積部とを、実施形態では備えている。
【0031】
ドライバ段ダイ210は、シリコン基板(例えば、シリコン、SOI、SiGe、およびSGOI基板を備えている)と、シリコン基板の上面上の複数のビルドアップ層とを備えている。複数のビルドアップ層は、例えば、インターリーブされた複数の誘電体層およびパターン化された導電層を備えていることができる。異なるパターン化された導電層の一部は、導電性ビアで電気的結合される。さらに、導電性の基板貫通ビア(TSV:スルーサブストレートビア)(例えば、ビア269′)は、シリコン基板の上面と下面との間に導電性経路を提供することができる。一実施形態によれば、シリコン基板の底面上の導電層は、ドライバ段ダイ210の接地ノードとして機能する(例えば、接地ノード228、図2に対応する)。図2には示されていないが、導電層は、後述するように、ドライバ段ダイ210が取り付けられている別の基板の接地ノードに物理的および電気的結合されてもよい。
【0032】
パワートランジスタ240は、ドライバ段ダイ210の主要な増幅構成要素である。一実施形態では、パワートランジスタ240は、入力/ゲート端子244(制御端子)と、ドレイン端子246(第1電流伝導端子)と、およびソース端子248(第2電流伝導端子)とを有するシリコンFETを備えている。ソース端子248は、接地ノード228に電気的結合されている(例えば、ソース端子248は、1つまたは複数の貫通基板ビアTSVを介して、シリコンダイ210の底面上の導電層に電気的結合されている)。
【0033】
RF信号入力端子202は、接続部203(例えば、複数のワイヤボンディングまたは別の電気的接続部)を用いて、ドライバ段ダイ210の入力端子220に電気的結合される。第1DCブロック/ACデカップリングコンデンサ224は、入力端子220に電気的結合された第1端子と、入力インピーダンス整合回路230に電気的結合された第2端子とを有する。第1DCブロック/ACデカップリングコンデンサ224は、いくつかのインピーダンス変換(トランスフォーメーション)を提供してもよいが、ドライバ段ゲートバイアス電圧Vg1(例えば、最大約3.2ボルトまたはそれ以上)が入力端子220に伝達されるのを遮断(ブロック)するという主要な機能を有する。
【0034】
入力インピーダンス整合回路230は、DCブロック/ACデカップリングコンデンサ224の第2端子と、パワートランジスタ240の入力/ゲート端子244との間に電気的結合されている。入力インピーダンス整合回路230は、第1DCブロック/ACデカップリングコンデンサ224と、第2コンデンサ231と、第1インダクタ232と、第1抵抗器233と、および第1バイアス電圧制御回路234の構成要素を備えているシャント回路とを備えている。より具体的には、第1バイアス電圧制御回路234の構成要素は、第2抵抗器235と、第2インダクタ236と、および第3コンデンサ237との直列の組み合わせを備えている。
【0035】
第2コンデンサ231は、DCブロック/ACデカップリングコンデンサ224の第2端子に結合された第1端子と、接地ノード228に結合された第2端子とを備えている。第1インダクタ232は、DCブロック/ACデカップリングコンデンサ224の第2端子に(および第2コンデンサ231の第1端子に)結合された第1端子と、第1抵抗器233を介してパワートランジスタ240の入力/ゲート端子244に結合された第2端子とを備えている。シャント回路は、パワートランジスタ240の入力/ゲート端子244と接地ノード228との間に直列に電気的結合された、第2抵抗器235と、第2インダクタ236と、および第3コンデンサ237(例えば、DCブロックコンデンサ)とを備えている。代替実施形態では、第2抵抗器235と、第2インダクタ236と、および第3コンデンサ237との順序は、図2に描かれている順序とは異なっていてもよい。
【0036】
入力インピーダンス整合回路230は、増幅器200のインピーダンスを上昇させるとともに、最終段ダイ280のGaNトランジスタ282によって付与(インパート)される振幅および位相の歪みとは逆の振幅および位相の歪みをRF信号に付与するように機能する。いくつかの実施形態では、入力インピーダンス整合回路230(それ自体で、または段間インピーダンス整合回路250と組み合わせて)は、トランジスタ240、282の負の利得勾配を補完してフラットなRF利得応答を作り出す正の損失勾配によって特徴付けられてもよい。入力インピーダンス整合回路230は、様々な実施形態において、ローパス回路、ハイパス回路、バンドパス回路、またはそれらの組み合わせを備えてもよい。入力インピーダンス整合回路230は、特定の構成を有するように図2に示されているが、他の実施形態では、入力インピーダンス整合回路230は、実質的に同じ機能を実行する一方で、異なる構成であってもよい。
【0037】
パワートランジスタ240のための正のゲートバイアス電圧Vg1は、実施形態では、ドライバ段バイアス回路234(例えば、ドライバ段バイアス回路134、図1)によって、入力インピーダンス整合回路230のシャント回路を介して、パワートランジスタ240の入力/ゲート端子244に供給される。より詳細には、ゲートバイアス電圧は、シャント回路のノード(例えば、第2インダクタ236と第3コンデンサ237との間のノード)に電気的結合された入力端子239(例えば、端子139、図1)を介して提供されてもよい。例えば、ゲートバイアス電圧は、外部電圧源によって提供されてもよく、約3.2ボルト以上までの値を有してもよいが、ゲートバイアス電圧は、より低くても高くてもよい。
【0038】
一実施形態によれば、ドライバ段ESD回路238は、バイアス入力端子239と、ドライバ段バイアス回路234と、およびシリコントランジスタ240の入力/ゲート端子244とに結合される。ドライバ段ESD回路238は、シリコンFET240のゲート酸化物に関して静電放電ESDイベントに対する保護を提供するように構成される。
【0039】
一実施形態によれば、ドライバ段ESD回路238は、バイアス入力端子239と接地228との間に結合された(すなわち、バイアス入力端子239とトランジスタ240の入力/ゲート端子244との間に結合された)静電放電ESDクランプを備えている。より具体的には、ドライバ段ESD回路238は、ESD回路入力243および静電放電ESDトランジスタ242を備えており、これらはいずれもドライバ段ダイ210に集積されている。静電放電ESDトランジスタ242は、静電放電ESDイベントに関連するエネルギーを接地228にシャントするように、したがってシリコントランジスタ240の入力/ゲート端子244から遠ざける(シャントする)ように構成されている。トランジスタ240の入力/ゲート端子244において、バイアス入力端子239を介して受け取った正のバイアス電圧と、トランジスタ240の入力/ゲート端子244に印加されたRF信号との組み合わせから生じる電圧は、入力/ゲート端子244において正および負の電圧スイングをもたらし、RF信号の大きさがバイアス電圧を超えたときに負の電圧のエクスカーションが発生する可能性があることに留意すべきである。しかし、LCフィード(インダクタ236とコンデンサ237で構成される)は、ドライバ段ESD回路238を、RF信号に関連する電圧スイングから分離(アイソレイト)するように構成されている。
【0040】
別の実施形態によれば、ドライバ段ESD回路238はさらに、静電放電ESDトランジスタ242に直列結合されたダイオード241(ダイオード241を破線で描いて任意であることを示している)を備えてもよい。より具体的には、ダイオード241は、備えられる場合、ESD回路入力243に結合されたアノードと、静電放電ESDトランジスタ242のドレインに結合されたカソードとを有する。基本的に、ダイオード241は、ESD回路入力243で発生する負の電圧(すなわち、LCフィードがRF信号の電圧変動を分離するのに十分でない場合に、バイアス入力端子239を介して受け取られるバイアス電圧と、トランジスタ240の入力/ゲート端子244に印加されるRF信号との組み合わせから生じる電圧)から静電放電ESDトランジスタ242を分離する一方で、高い正の電圧(例えば、静電放電ESDイベント)に関連するエネルギーを静電放電ESDトランジスタ242に渡す。
【0041】
静電放電ESDトランジスタ242は、静電放電ESD機能を実行するための任意の適切なデバイスであってよく、一実施形態では、静電放電ESDトランジスタ242は、共通のソース/本体(ボディ)を有する接地ゲート(gg)nチャネルMOSFET(「ggNMOSFET」)であってよい。より具体的には、静電放電ESDトランジスタ242のゲート端子、ソース端子、および基板端子は接地され(例えば、接地ノード228に結合され)、静電放電ESDトランジスタ242のドレイン端子は、備えられる場合にはダイオード241、およびESD回路入力243を介して、バイアス入力端子239と、ドライバ段バイアス回路234と、およびシリコントランジスタ240の入力/ゲート端子244とに結合される。
【0042】
ドライバ段ESD回路238の基本的な機能は、最終段ESD回路262の機能と類似しているが、回路トポロジー、構成要素特性、および/または機能にはいくつかの違いがあるかもしれない。例えば、いくつかの実施形態では、ドライバ段ESD回路238はダイオード241を備えないことがあり、一方、最終段ESD回路262はダイオード266を備えている。最終段ESD回路262は、本発明の重要な特徴に更に関連しているので、ESD回路238および262の動作は、最終段バイアス回路260の説明と併せて、後で詳細に説明する。
【0043】
トランジスタ240の出力側では、段間インピーダンス整合回路250の集積部が、パワートランジスタ240のドレイン端子246と、出力端子222との間に電気的結合されている。段間インピーダンス整合回路250の集積部は、第1インダクタ251と、シャント回路と、第2DCブロック/ACデカップリングコンデンサ226とを備えている。第1インダクタ251は、パワートランジスタ240のドレイン端子246に結合された第1端子と、第2DCブロック/ACデカップリングコンデンサ226の第1端子に結合された第2端子とを備えている。シャント回路は、第1インダクタ251の第2端子(および第2DCブロック/ACデカップリングコンデンサ226の第1端子)と接地ノード228との間に電気的結合された、第2インダクタ252および第1コンデンサ253(例えば、DC遮断コンデンサ)の直列結合を備えている。
【0044】
段間インピーダンス整合回路250は、接続部274と結合して、パワートランジスタ240のドレイン端子246と、トランジスタ282の入力/ゲート端子284とのインピーダンスを整合させて、周波数帯域にわたって適切な電力伝送を行うように機能する。加えて、段間インピーダンス整合回路250は、最終段ダイ280への入力RF波形を整形(ウェイブシェーピング)するように機能する。上に示したように、段間インピーダンス整合回路250(それ自体または入力インピーダンス整合回路230と組み合わせて)は、トランジスタ140,182の負の利得勾配を補完して平坦なRF利得応答を作り出す正の損失勾配を特徴とすることができる。例えば、トランジスタ140,182が1オクターブあたりXdB(例えば、1オクターブあたり6dBまたは何らかの他の値)のロールオフを特徴とする場合、入力および/または段間インピーダンス整合回路230,250は、1オクターブあたりXdB(例えば、1オクターブあたり6dBまたは何らかの他の値)の正の傾斜を有するように設計されてもよい。これは、相補的な利得応答を生成し、全体的に平坦な利得を提示してもよい。
【0045】
段間インピーダンス整合回路250(プラス接続部274)は、様々な実施形態において、ローパス回路、ハイパス回路、バンドパス回路、またはそれらの組み合わせを備えてもよい。段間インピーダンス整合回路250は、特定の構成を有するように図2に示されているが、他の実施形態では、段間インピーダンス整合回路250は、実質的に同じ機能を実行する一方で、異なる構成であってもよい。
【0046】
第2DCブロック/ACデカップリングコンデンサ226は、いくつかのインピーダンス変換を提供してもよいが、最終段ダイ280のパワートランジスタ282のために、ゲートバイアス電圧Vg2からドレインバイアス電圧Vd1をブロックするという主要な機能を有する。パワートランジスタ240のためのドレインバイアス電圧Vd1は、実施形態では、段間インピーダンス整合回路250のシャント回路を介して、パワートランジスタ240のドレイン端子246に供給される。より詳細には、ドレインバイアス電圧は、シャント回路のノード(例えば、第2インダクタ252と第1コンデンサ253との間のノード)に電気的結合された入力端子257を介して、提供されてもよい。例えば、ドレインバイアス電圧は、外部電圧源によって提供されてもよく、約3ボルトから約48ボルトの範囲内の値を有してもよいが、ドレインバイアス電圧は、より低くても高くてもよい。このように、第1シャント回路の少なくとも一部は、ドライバ段バイアス制御回路として、より具体的には、ドライバ段ドレインバイアス電圧制御回路として機能する。
【0047】
一実施形態によれば、最終段ダイ280のパワートランジスタ282のためのゲートバイアス電圧Vg2は、ドライバ段ダイ210に集積されているバイアス回路を介して提供される。より具体的には、ドライバ段ダイ210に集積されている最終段バイアス回路260の一部は、実施形態では、バイアス入力端子258(例えば、端子158、図1)、抵抗器254、およびバイアス出力端子223(例えば、端子123、図1)を備えている。最終段バイアス回路260の非集積部は、接続部275(例えば、接続部175、図1)およびバイアス入力端子291(例えば、端子191、図1)を備えている。バイアス入力端子29lは、順に、最終段ダイ280のパワートランジスタ282の入力/ゲート端子284に電気的結合される。動作中、負のDC電圧が、入力端子258を介して(例えば、外部バイアス電圧源164、図1などの外部電圧源によって)提供されてもよい。そして、ゲートバイアス電圧回路260は、受け取った電圧を、GaNトランジスタ282のための負のDCゲートバイアス電圧Vg2に変換する。例えば、ゲートバイアス電圧は、約-5ボルトと約-2ボルトの間の値を有していてもよいが、ゲートバイアス電圧は、より低くても高くてもよい。
【0048】
注目すべきは、最終段ダイ280のパワートランジスタ282のためのゲートバイアス電圧Vg2のためのゲートバイアス電圧制御回路260(または「最終段バイアス回路」)が、ドライバ段ダイ210に集積されていることである。ゲートバイアス電圧制御回路260を、最終段ダイ280ではなく、ドライバ段ダイ210に備えることは、シリコンダイ領域対GaNダイ領域のコストが著しく低いことに起因して、大幅なコスト削減をもたらす可能性がある。
【0049】
一実施形態によれば、最終段ESD回路262は、バイアス入力端子258と、最終段バイアス回路260と、およびGaNトランジスタ282の入力/ゲート端子284とに結合される。最終段ESD回路262は、GaNトランジスタ282のゲート酸化物の静電放電ESDイベントに対する保護を行うように構成されている。一実施形態によれば、最終段ESD回路262は、バイアス入力端子258と接地228との間の静電放電ESDクランプに直列結合されたダイオードを備えている。より具体的には、最終段ESD回路262は、ESD回路入力263と、ダイオード266と、静電放電ESDトランジスタ268とを備えており、これらはすべてドライバ段ダイ210に集積されている。
【0050】
基本的に、ダイオード266は、ESD回路入力263で提供される負の電圧(すなわち、バイアス入力端子258を介して受け取られるバイアス電圧と、トランジスタ282の入力/ゲート端子284に印加されるRF信号との組み合わせから生じる電圧)から静電放電ESDトランジスタ268を分離し、一方で、高い正の電圧(例えば、静電放電ESDイベント)に関連するエネルギーを静電放電ESDトランジスタ268に渡す。静電放電ESDトランジスタ268は、今度は、静電放電ESDイベントに関連するエネルギーを接地228に分流(シャント)し、従ってGaNトランジスタ282の入力/ゲート端子284から遠ざけるようにシャントする。基本的に、ダイオード266は、GaNトランジスタ282の入力/ゲート端子284上の比較的小さな大きさの-Vgs条件がダイオード266に電流を伝導させないように選択され、その結果、静電放電ESDトランジスタ268をそのような電圧から分離することができる。しかし、ESD回路入力263に正の電圧が存在する場合には、ダイオード266を介して電流を伝導することができる。GaNトランジスタ282の(入力/ゲート端子284の)ゲート酸化物を損傷するのに十分な正電圧を有する静電放電ESDイベントは、ダイオード266を介して静電放電ESDトランジスタ268に伝えられ、静電放電ESDトランジスタ268は導通を開始し、このような静電放電ESDイベントに関連するエネルギーをGaNトランジスタ282から遠ざける(シャントする)。ダイオード266は、実施形態では、ドライバ段ダイ210の半導体の本体(ボディ)から絶縁(アイソレイテッド)されており、したがって、「絶縁ダイオード」(アイソレイテッドダイオード)と呼ばれることがある。
【0051】
ダイオード266は、ESD回路入力263と接地ノード228との間で、静電放電ESDトランジスタ268に直列結合される。より詳細には、ダイオード266のアノードは、抵抗器254、バイアス出力端子223(例えば、端子123、図1)、接続部275(例えば、接続部175、図1)、およびバイアス入力端子291(例えば、端子191、図1)を介して、GaNトランジスタ282の入力/ゲート端子284に結合される。あるいは、ダイオード266のアノードは、抵抗器254、接続部275′(例えば、接続部175′、図1)、出力端子222(例えば、端子122、図1)、接続部274(例えば、接続部174、図1)、および入力端子290(例えば、端子190、図1)を介して、GaNトランジスタ282の入力/ゲート端子284に結合されてもよい。ダイオード266のカソードは、静電放電ESDトランジスタ268のドレイン端子に結合されている。
【0052】
ダイオード266は、最終段ESD回路262の所望の性能に応じて(例えば、ダイオード266の所定の降伏条件(ブレークダウン条件)に応じて)決定される固有の抵抗を有する。一実施形態によれば、ダイオード266は、約-5ボルトから約-10ボルトの範囲のブレークダウン電圧を有するように構成されているが、ブレークダウン電圧は、より低くても高くてもよい。
【0053】
一実施形態によれば、静電放電ESDトランジスタ268は、ggNMOSFET、または別の適切なトランジスタ構成であってもよい。より具体的には、静電放電ESDトランジスタ268のゲート端子、ソース端子、および基板端子は、接地され(例えば、接地ノード228に結合され)、静電放電ESDトランジスタ268のドレイン端子は、ダイオード266を介して、バイアス入力端子258と、最終段バイアス回路260と、およびGaNトランジスタ282の入力/ゲート端子284とに結合される。静電放電ESDイベントの間、ダイオード266が電流を伝導し、静電放電ESDトランジスタ268のドレイン電圧が上昇すると、静電放電ESDトランジスタ268のドレイン-基板接合部は逆バイアスされる。十分に高い電圧下では、アバランシェブレークダウンが発生し、ソース-基板接合部が順方向にバイアスされ、その結果、ドレイン電流は接地ノード228に分流(シャント)され、最終段バイアス回路260およびGaNトランジスタ282の入力/ゲート端子284から遠ざかるように分流(シャント)される。特定のタイプの静電放電ESDトランジスタ268が図2に描かれ、上述されているが、様々な実施形態では、静電放電ESDトランジスタ268は、静電放電ESD機能を実行するための任意の適切なデバイスであり得る。
【0054】
集積された最終段ESD回路262のレイアウトの上面図の例示描写が、図2のボックス262′に示されている。一実施形態によれば、ダイオード266は、ドライバ段ダイ210に一体的に形成されるP-N接合ポリシリコンダイオード266′として実装されてもよい(例えば、P-N接合ポリシリコンダイオードは、シリコン基板のポリシリコン層から少なくとも部分的に形成される)。より具体的には、ダイオード266′の一実施形態は、オーバーレイした長尺コンタクトを介してアノードマニホールド/端子263′に結合された複数の長尺p型半導体領域と、オーバーレイした長尺コンタクトを介してカソードマニホールド/端子267′に結合された複数のn型半導体領域とを備えており、p型半導体領域およびn型半導体領域(およびそれらの関連するコンタクト)はインターリーブされている。アノードマニホールド/端子263′はESD回路入力263に対応しており、カソードマニホールド/端子267′は、静電放電ESDトランジスタ268′のドレインに結合されている。
【0055】
図2に描かれているように、いくつかの実施形態では、静電放電ESDトランジスタ268′は、例えば、トランジスタゲートによって囲まれた内部拡散(例えば、ドレイン領域)と、外部拡散(例えば、ソース領域)とを有する封入型レイアウトのトランジスタであってもよい。カソードマニホールド/端子267′は、内部拡散(例えば、ドレイン領域)に結合され、外部拡散(例えば、ソース領域)は、基板貫通ビア269′を用いて、ドライバ段ダイ210の底部にある接地面(図示せず)に結合されてもよい。他の実施形態では、静電放電ESDトランジスタ268、268′は、他の構成を有してもよい。
【0056】
トランジスタのみのESD回路300と、ポリダイオード回路310と、および最終段ESD回路262の一例との電流対電圧応答は、図3のチャート302、312、314にそれぞれ描かれている。各チャート302,312,314において、横軸は、回路300,310,262の端子間の電圧の大きさを表し、縦軸は、回路300,310,262を介して伝導される電流の大きさを表す。
【0057】
まず、トランジスタのみのESD回路300およびチャート302の動作を参照すると、トランジスタのみのESD回路300は、約0ボルトから約18ボルトの間の範囲の電圧(すなわち、トランジスタの降伏電圧)に対して本質的に非導電性であり、トランジスタのみのESD回路300は、負の電圧と約18ボルトを超える電圧とに対して急速にオンになる(すなわち、電流を伝導する)。従って、トランジスタのみのESD回路300は、比較的高い正の電圧に対しては良好な保護を提供するが、比較的小さな負の電圧(例えば、トランジスタ282についての負のバイアス電圧、図2)がESD回路をオンにすべきではない用途にはESD回路300は不向きである。
【0058】
次にポリダイオード回路310およびチャート312の動作を参照すると、ポリダイオード回路310は、約-5ボルト(すなわち、ポリダイオードの降伏電圧)と約0ボルトとの間の範囲の電圧については本質的に非導電性であり、ポリダイオード回路310は、正電圧および約-5ボルト以下の負電圧については、オンになり始める(すなわち、電流を流す)。
【0059】
ここで、最終段ESD回路262の動作と、回路300,310の動作を組み合わせたチャート314とを参照すると、ポリダイオード266は、負の電圧の場合にはチャート312に従って最終段ESD回路262の動作を制御し、静電放電ESDトランジスタ268は、正の電圧の場合にはチャート310に従って最終段ESD回路262の動作を制御している。したがって、最終段ESD回路262は、約-5ボルトと約18ボルトとの間の範囲の電圧については本質的に非導電性であり、この範囲以下の電圧およびこの範囲以上の電圧についてはオンになる(すなわち、電流を導通させる)。したがって、最終段ESD回路262は、負のバイアス電圧(例えば、約-5ボルトと約-2ボルトとの間の範囲のバイアス電圧)がESD回路入力263に存在する場合には、負のバイアス電圧以下およびそれ以上に振れる(スイングする)RF信号によって変調されても、非導電性を維持することができる。
【0060】
再び、最終段ESD回路262を、最終段ダイ280ではなく、ドライバ段ダイ210に備えることは、シリコンダイ領域対GaNダイ領域のコストが著しく低いことに起因して、大幅なコスト削減をもたらす可能性がある。
【0061】
この時点で、実施形態によれば、ESD回路262および238は、少なくとも、シリコントランジスタ240の入力/ゲート端子244に提供される正のバイアス電圧と、GaNトランジスタ282の入力/ゲート284に提供される負のバイアス電圧とを考慮して、ダイオード241および266の降伏電圧が異なっているという点で、互いに異なる構成になっていてもよいことに留意すべきである。したがって、ESD回路238、262の回路トポロジーは、類似または同一に見えるかもしれないが、ダイオードの異なる降伏電圧(ブレークダウン電圧)によって、ドライバ段ESD回路238が電流を流し始める負電圧(静電放電ESD入力243において)よりも、最終段ESD回路262が著しく負の電圧(静電放電ESD入力263において)で電流を流し始めることがある。例えば、最終段ESD回路262は、ドライバ段ESD回路238が電流を伝導し始める電圧よりも少なくとも3ボルト負の電圧で、電流を伝導し始めてもよい(例えば、ドライバ段ESD回路238では電流伝導(通電)が-5ボルトで始まる可能性があり、一方、最終段ESD回路262では電流伝導が-2ボルトで始まる可能性がある)。
【0062】
上で示したように、ドライバ段ダイ210はさらに、最終段ダイ280のパワートランジスタ282の入力/ゲート端子284に電気的結合される高調波制御回路270(または「最終段高調波制御回路」)の集積部を備えていることができる。より具体的には、高調波制御回路270の集積部は、入力端子271と、実施形態では、入力端子271と接地ノード228との間に電気的結合されているコンデンサ272とを備えている。入力端子271は、接続部278を介して、最終段ダイ280の端子294に電気的結合されている。端子294は、順に、最終段ダイ280のパワートランジスタ282の入力/ゲート端子284に電気的結合される。いくつかの実施形態では、接続部278は、誘導性接続(例えば、ワイヤボンド、ワイヤボンドアレイ、または他の誘導性接続)であり、接続部278とコンデンサ272との直列の組み合わせによって、増幅器200の中心動作周波数fの第2高調波2fにおける信号エネルギーのための接地ノード228への低インピーダンス経路が提供される。繰り返しになるが、高調波制御回路270の一部を最終段ダイ280ではなく、ドライバ段ダイ210に備えることで、シリコンダイ面積対GaNダイ面積のコストが大幅に低下していることに起因して、大幅なコスト削減が可能となる。
【0063】
上述したように、ドライバ段ダイ210(例えば、シリコンダイ110、図1)は、最終段ダイ280(例えば、GaNダイ180、図1)に電気的結合される。一実施形態では、ドライバ段ダイ210は、ドライバ段ダイ210の出力端子222と最終段ダイ280の入力端子290との間の接続部274を介して、最終段ダイ280に電気的結合される。例えば、接続部274は、ワイヤボンドアレイなどの誘導接続を備えていてもよく、あるいは、別のタイプのDC-結合接続(例えば、マイクロストリップライン、プリントコイル、並列結合された抵抗器/コンデンサ回路などを備えている)を備えていてもよい。接続部274は、段間インピーダンス整合回路250の非集積部を提供する。
【0064】
最終段ダイ280は、GaN基板と、GaN基板の上面を覆う複数のビルドアップ層とを備えている。複数のビルドアップ層は、例えば、インターリーブされた複数の誘電体層およびパターン化された導電層を備えていることができる。異なるパターン化された導電層の一部は、導電性ビアで電気的結合される。さらに、導電性基板貫通ビアTSVは、GaN基板の上面と下面の間に導電性経路を提供してもよい。一実施形態によれば、GaN基板の底面上の導電層は、ダイ280の接地ノードとして機能する(例えば、接地ノード296、図2に対応する)。図2には示されていないが、導電層は、後述するように、最終段ダイ280が取り付けられている別の基板の接地ノードに物理的および電気的結合されてもよい。
【0065】
最終段ダイ280は、最終段ダイ280内に集積された様々な回路を備えている。一実施形態では、最終段ダイ280の集積回路は、入力端子290(例えば、入力端子190、図1)と、出力端子292(例えば、出力端子192、図1)と、およびパワートランジスタ282(例えば、トランジスタ182、図1)とを備えている。
【0066】
パワートランジスタ282は、最終段ダイ280の主要な増幅構成要素である。実施形態において、パワートランジスタ282は、入力/ゲート端子284(制御端子)、ドレイン端子286(第1電流伝導端子)、およびソース端子288(第2電流伝導端子)を有するFETを備えている。入力端子290は、GaNトランジスタ282の入力/ゲート端子284に結合されている。GaNトランジスタ282のドレイン端子286は、出力端子292に結合されており、GaNトランジスタ282のソース端子288は、接地ノード296に電気的結合されている(例えば、ソース端子288は、1つまたは複数の基板貫通ビアTSVを介して、最終段ダイ280の底面の導電層に電気的結合されている)。出力端子292は、接続部279(例えば、ワイヤボンドアレイまたは他の電気的接続部)を介して、増幅器200のRF信号出力端子204に電気的結合される。
【0067】
多段式増幅器の代替実施形態が図4に描かれており、この図は、例示的な実施形態による、カスコードスタックドライバ段およびGaN最終段を有する2段式のカスコード増幅器400の回路図である。より具体的には、増幅器400は、カスケード配列で一緒に電気的結合されたシリコンドライバ段ダイ410(例えば、ドライバ段ダイ110、図1)とGaN最終段ダイ280(例えば、最終段ダイ180、図1)とを備えている。ドライバ段ダイ410および最終段ダイ280内には、それぞれが受動的および/または能動的な電気構成要素の配置を備えている複数の回路が集積されている。
【0068】
図4の実施形態では、集積回路構成要素の多くは、図2の実施形態の対応する構成要素と類似または同一であってもよい。例えば、図4では、図4のGaN最終段ダイ280は、図2のGaN最終段ダイ280に実質的に類似していてもよい。さらに、シリコンドライバ段ダイ410において、入力および段間インピーダンス整合回路430、450は、図2の増幅器200の入力および段間インピーダンス整合回路230、250に実質的に類似していてもよい。簡潔にするために、図2の実施形態において同様の対応物を有する図4の構成要素および回路の多くは、以下で詳細に説明しない。図2に関連して上述した対応する構成要素の詳細は、図4に関連して以下に説明する対応する構成要素にも適用することを意図している。
【0069】
ここで図4を参照すると、ドライバ段ダイ410は、シリコンダイ内に集積された複数の回路を備えている。一実施形態では、ドライバ段ダイ410の集積回路は、入力端子420(例えば、入力端子120、図1)、出力端子422(例えば、出力端子122、図1)、第1DCブロック/ACデカップリングコンデンサ424、第2DCブロック/ACデカップリングコンデンサ426、入力インピーダンス整合回路430(例えば、回路130、図1)、カスコードスタック配置で一緒に結合された複数のパワートランジスタ440、441、442、443、444、段間インピーダンス整合回路450(例えば、回路150、図1)の集積部、最終段バイアス電圧制御回路460(例えば、回路160、図1)、最終段ESD回路462(例えば、回路162、図1)、および高調波制御回路470(例えば、回路170、図1)の集積部を、一実施形態では備えている。図4には示されていないが、ドライバ段ダイ410はさらに、ドライバ段ESD回路(例えば、回路138、図1)を備えてもよい。
【0070】
RF信号入力端子402は、接続部403(例えば、複数のワイヤボンディングまたは他の電気的接続部)を用いて、ドライバ段ダイ410の入力端子420に電気的結合される。第1DCブロック/ACデカップリングコンデンサ424は、入力端子420に電気的結合された第1端子と、入力インピーダンス整合回路430に電気的結合された第2端子とを有する。第1DCブロック/ACデカップリングコンデンサ424は、いくつかのインピーダンス変換を提供してもよいが、ゲートバイアス電圧Vg1を入力端子420からブロック(遮断)するという主要な機能を有する。
【0071】
入力インピーダンス整合回路430は、第1DCブロック/ACデカップリングコンデンサ424の第2端子とパワートランジスタ440のゲート端子445との間で、電気的結合されている。図4では、入力インピーダンス整合回路430は、ブロックとして描かれている。様々な実施形態において、入力インピーダンス整合回路430は、上で詳細に説明した入力インピーダンス整合回路230(図2)の実施形態の構造と類似または同一の構造を有していてもよい。簡潔にするために、入力インピーダンス整合回路430の詳細は、図4に描かれておらず、詳細に説明されていない。図2に関連して上述した入力インピーダンス整合回路230の詳細は、図4の入力インピーダンス整合回路430にも適用されることが意図されている。
【0072】
パワートランジスタ440~444のカスコードスタックは、ドライバ段ダイ410の主要な増幅構成要素である。図4には、5つのトランジスタからなるカスコードスタックが図示されているが、他の実施形態は、カスコードスタック配置で接続されたより少ないまたはより多くのトランジスタ(例えば、2~10個以上のトランジスタ)を備えてもよい。さらに、他の実施形態は、図4に描かれたトポロジーとは異なるカスコードトポロジーを備えてもよい。
【0073】
一実施形態では、パワートランジスタ440~444のそれぞれは、ゲート端子(例えば、ゲート端子445)、ドレイン端子(例えば、ドレイン端子446)、およびソース端子(例えば、ソース端子448)を有するCMOS FETを備えている。スタック内の最下位のトランジスタ440のゲート端子445は、入力インピーダンス整合回路430に電気的結合されている。スタック内で最も低いトランジスタ440のソース端子448は、接地ノード428に電気的結合される(例えば、ソース端子448は、1つまたは複数の基板貫通ビアTSVを介して、ドライバ段ダイ410の底面上の導電層に電気的結合される)。スタック内の最下位のトランジスタ440からスタック内の最上位のトランジスタ444に進むと、図4に示されるように、各低いトランジスタ440~443のドレイン端子は、隣接する各高いトランジスタ441~444のソース端子に電気的結合される。スタック内の最上位のトランジスタ444のドレイン端子446は、以下でより詳細に説明するように、出力端子422に電気的結合される。本質的に、ドライバ段ダイ410のトランジスタ440~444は、実施形態では、CMOSカスコードスタックとして一緒に接続される。いくつかの実施形態では、ドライバ段ダイ410は、シリコン基板、SOI基板、SiGe基板、またはSGOI基板を用いて実装されるが、ドライバ段ダイ410は、他の実施形態では、他のタイプの基板を用いて実装されてもよい。
【0074】
パワートランジスタ440~444のためのゲートバイアス電圧Vg1は、実施形態では、電圧ラダー(梯子)ネットワーク432を介して、パワートランジスタ440~444のゲート端子に提供される。より詳細には、ゲートバイアス電圧は、電圧ラダーネットワーク432に電気的結合されている入力端子437を介して提供されてもよい。電圧ラダーネットワーク432を介して、最下位のトランジスタ440から最上位のトランジスタ444を介して、連続して高いゲートバイアス電圧が提供されてもよい。例えば、ゲートバイアス電圧は、外部電圧源によって入力端子437に提供されてもよく、約3ボルトから約10ボルトの範囲内の値を有してもよいが、ゲートバイアス電圧は、より低くても高くてもよい。一実施形態によれば、ゲートバイアス電圧のAC成分は、コンデンサネットワーク434を介して接地ノード428にバイパスされてもよい。代替実施形態では、コンデンサネットワーク434は、回路から除外されてもよい。
【0075】
段間インピーダンス整合回路450の集積部は、最上位の電力トランジスタ444のドレイン端子446と、出力端子422との間に電気的結合されている。段間インピーダンス整合回路450の集積部は、第1インダクタ451と、シャント回路と、第2DCブロック/ACデカップリングコンデンサ426とを備えている。第1インダクタ451は、パワートランジスタ444のドレイン端子446に結合された第1端子と、第2DCブロック/ACデカップリングコンデンサ426の第1端子に結合された第2端子とを備えている。シャント回路は、第1インダクタ451の第2端子(および第2DCブロック/ACデカップリングコンデンサ426の第1端子)と接地ノード428との間に電気的結合された、第2インダクタ452と第1コンデンサ453(例えば、DCブロックコンデンサ)との直列結合を備えている。
【0076】
第2DCブロック/ACデカップリングコンデンサ426は、いくらかのインピーダンス変換を提供してもよいが、GaN最終段ダイ280のパワートランジスタ282のためのゲートバイアス電圧Vg2からドレインバイアス電圧Vd1を遮断するという主要な機能を有する。パワートランジスタ444のためのドレインバイアス電圧Vd1は、実施形態では、段間インピーダンス整合回路450のシャント回路を介して、パワートランジスタ444のドレイン端子446に供給される。より詳細には、ドレインバイアス電圧は、シャント回路のノード(例えば、第2インダクタ452と第1コンデンサ453との間のノード)に電気的結合された入力端子457を介して提供されてもよい。例えば、ドレインバイアス電圧は、外部電圧源によって提供されてもよく、約3ボルトの値を有してもよいが、ドレインバイアス電圧は、より低くても高くてもよい。
【0077】
一実施形態によれば、最終段ダイ280のパワートランジスタ282のためのゲートバイアス電圧Vg2は、ドライバ段ダイ410に集積されたバイアス回路を介して提供される。より具体的には、ドライバ段ダイ410に集積されている最終段バイアス回路460の一部は、実施形態では、バイアス入力端子458(例えば、端子158、図1)、抵抗器454、およびバイアス出力端子423(例えば、端子123、図1)を備えている。最終段バイアス回路460の非集積部は、接続部475(例えば、接続部175、図1)およびバイアス入力端子291(例えば、端子191、図1)を備えている。バイアス入力端子29lは、順に、最終段ダイ280のパワートランジスタ282の入力/ゲート端子284に電気的結合される。あるいは、バイアス入力端子458は、抵抗器454、接続部475′(例えば、接続部175′、図1)、出力端子422(例えば、端子122、図1)、接続部474(例えば、接続部174、図1)、および入力端子290(例えば、端子190、図1)を介して、パワートランジスタ282の入力/ゲート端子284に結合されてもよい。いずれにしても、動作中、入力端子458を介して(例えば、外部バイアス電圧源164、図1のような外部電圧源によって)負のDC電圧が供給されてもよい。そして、ゲートバイアス電圧回路460は、受け取った電圧を、GaNトランジスタ282のための負のDCゲートバイアス電圧Vg2に変換する。例えば、ゲートバイアス電圧は、約-5ボルトと約-2ボルトとの間の値を有してもよいが、ゲートバイアス電圧は、より低くても高くてもよい。
【0078】
注目すべきは、最終段ダイ280のパワートランジスタ282のためのゲートバイアス電圧Vg2のためのゲートバイアス電圧制御回路460(または「最終段バイアス回路」)が、ドライバ段ダイ410に集積されていることである。ゲートバイアス電圧制御回路460を、最終段ダイ280ではなく、ドライバ段ダイ410に備えることで、シリコンダイ領域対GaNダイ領域のコストが大幅に低下していることに起因して、大幅なコスト削減を実現することができる。
【0079】
一実施形態によれば、最終段ESD回路462は、バイアス入力端子458と、最終段バイアス回路460と、およびGaNトランジスタ282の入力/ゲート端子284とに結合される。最終段ESD回路462は、GaNトランジスタ282のゲート酸化物の静電放電ESDイベントに対する保護を行うように構成されている。一実施形態によれば、最終段ESD回路462は、バイアス入力端子458と接地428との間の静電放電ESDクランプに直列結合された順方向バイアスダイオードを備えている。より具体的には、最終段ESD回路462は、ESD回路入力463、ダイオード466、および静電放電ESDトランジスタ468を備えており、これらはすべてドライバ段ダイ410に集積されている。最終段ESD回路462の機能および構成要素は、最終段ESD回路262(図2)の機能および構成要素に実質的に類似または同一である。繰り返しを避けるために、最終段ESD回路262の機能および構成要素の詳細は、最終段ESD回路462のこの説明に組み込まれる。
【0080】
上に示したように、ドライバ段ダイ410はさらに、GaN最終段ダイ280のパワートランジスタ282のゲート端子284に電気的結合される高調波制御回路470(または「最終段高調波制御回路」)の集積部を備えてもよい。より具体的には、高調波制御回路470の集積部は、実施形態では、入力端子471と、入力端子471と接地ノード428との間に電気的結合されているコンデンサ472とを備えている。入力端子471は、接続部478を介して、GaN最終段ダイ280の端子294に電気的結合されている。端子294は、順に、GaN最終段ダイ280のパワートランジスタ282のゲート端子284に電気的結合される。いくつかの実施形態では、接続部478は、誘導性接続(例えば、ワイヤボンド、ワイヤボンドアレイ、または他の誘導性接続)であり、一緒に、接続部478とコンデンサ472の直列の組み合わせは、増幅器400の中心動作周波数fの第2高調波2fでの信号エネルギーのために、接地ノード428への低インピーダンス経路を提供する。ここでも、高調波制御回路470の一部を、GaN最終段ダイ280ではなく、ドライバ段ダイ410に備えることで、大幅なコスト削減を実現することができる。
【0081】
図2の増幅器の実施形態と同様に、ドライバ段ダイ410(例えば、シリコンダイ110、図1)は、最終段ダイ280(例えば、GaNダイ180、図1)に電気的結合される。一実施形態では、ドライバ段ダイ410は、ドライバ段ダイ410の出力端子422と最終段ダイ280の入力端子290との間の接続部474を介して、最終段ダイ280に電気的結合される。例えば、接続部474は、ワイヤボンドアレイなどの誘導接続を備えていてもよいし、別のタイプのDC-結合接続を備えていてもよい。先に説明した実施形態と同様に、接続部474は、段間インピーダンス整合回路450の非集積部を提供するように機能してもよい。
【0082】
図4のGaN最終段ダイ280は、図2のGaN最終段ダイ280と同一または実質的に類似していてもよい。簡潔にするために、図2のGaN最終段ダイ280の詳細はここでは繰り返さない。図2に関連して上述したGaN最終段ダイ280の詳細は、図4のGaN最終段ダイ280にも適用することを意図している。
【0083】
上述した実施形態はそれぞれ、第1ダイ上に実装された第1増幅段と、第2ダイ上に実装された第2増幅段とを有する2段式増幅器を備えている。本発明の主題はまた、シングル段(単段)の増幅器、または2つよりも多くの段を有する増幅器に実装されてもよい。
【0084】
例えば、図5は、例示的な実施形態による、集積受動デバイス(IPD)510上に実装された入力回路と、GaNトランジスタ282を有する増幅器ダイ280と、集積受動デバイスIPD510上のGaNトランジスタ入力用のESD回路562とを有する単段増幅器500の回路図である。より具体的には、増幅器500は、直列配置で一緒に電気的結合された集積受動デバイスIPD510およびGaN増幅器ダイ280を備えている。受動的および/または能動的な電気構成要素の配置をそれぞれ備えている複数の回路が、集積受動デバイスIPD510および増幅器ダイ280内に集積されている。
【0085】
図5の実施形態では、集積回路構成要素の多くは、図2の実施形態の対応する構成要素と類似または同一であってもよい。例えば、図5では、GaN増幅器ダイ280は、図2のGaN増幅器ダイ280に実質的に類似していてもよい。簡潔にするために、図2の実施形態において同様の対応物を有する図5の構成要素および回路の多くは、以下で詳細に説明しない。図2に関連して上述した対応する構成要素の詳細は、図5に関連して下述した対応する構成要素にも適用されることを意図している。
【0086】
ここで図5を参照すると、集積受動デバイスIPD510は、半導体基板(例えば、シリコン、SOI、SiGe、SGOI、ガリウムヒ素(GaAs)、または別の適切な半導体基板)内に集積されたおよび/または半導体基板に結合された複数の回路を備えている。実施形態では、集積受動デバイスIPD510の集積回路は、入力端子520と、出力端子522と、入力インピーダンス整合回路530と、DCブロック/ACデカップリングコンデンサ526と、増幅器バイアス電圧制御回路560と、静電放電ESD回路562と、および高調波制御回路570の集積部とを備えている。
【0087】
RF信号入力端子502は、集積受動デバイスIPD510の入力端子520に接続部503(例えば、複数のワイヤボンディングまたは他の電気的接続部)で電気的結合されている。入力インピーダンス整合回路530は、入力端子520と、DCブロック/ACデカップリングコンデンサ526との間で電気的結合されている。図5では、入力インピーダンス整合回路530は、ブロックとして描かれている。様々な実施形態において、入力インピーダンス整合回路530は、上で詳細に説明した入力インピーダンス整合回路230(図2)の実施形態の構造と類似または同一の構造を有してもよい。簡潔にするために、入力インピーダンス整合回路530の詳細は、図5に描かれておらず、詳細に説明されていない。図2に関連して上述した入力インピーダンス整合回路230の詳細は、図5の入力インピーダンス整合回路530にも適用されることが意図されている。
【0088】
DCブロック/ACデカップリングコンデンサ526は、入力インピーダンス整合回路530に電気的結合された第1端子と、出力端子522に電気的結合された第2端子とを有する。DCブロック/ACデカップリングコンデンサ526は、いくつかのインピーダンス変換を提供してもよいが、GaNトランジスタ282のゲートバイアス電圧Vgを入力端子520から遮断(ブロック)するという主要な機能を有する。
【0089】
一実施形態によれば、増幅器ダイ280のパワートランジスタ282のためのゲートバイアス電圧Vgは、集積受動デバイスIPD510に集積されたバイアス回路を介して提供される。より具体的には、集積受動デバイスIPD510に集積されている増幅器バイアス回路560の一部は、実施形態では、バイアス入力端子558、抵抗器554、およびバイアス出力端子523を備えている。増幅器バイアス回路560の非集積部は、接続部575およびバイアス入力端子291(例えば、端子191、図1)を備えている。バイアス入力端子29lは、順に、増幅器ダイ280のパワートランジスタ282の入力/ゲート端子284に電気的結合される。あるいは、バイアス入力端子558は、抵抗器554、接続部575′、出力端子522、接続部574、および入力端子290を介して、パワートランジスタ282の入力/ゲート端子284に結合されてもよい。いずれにしても、動作中、入力端子558を介して(例えば、外部バイアス電圧源164、図1のような外部電圧源によって)負のDC電圧が提供されてもよい。そして、ゲートバイアス電圧回路560は、受け取った電圧を、GaNトランジスタ282のための負のDCゲートバイアス電圧Vgに変換する。例えば、ゲートバイアス電圧は、約-5ボルトと約-2ボルトの間の値を有していてもよいが、ゲートバイアス電圧は、より低くても高くてもよい。
【0090】
注目すべきは、増幅器ダイ280のパワートランジスタ282のためのゲートバイアス電圧Vgのためのゲートバイアス電圧制御回路560(または「増幅器バイアス回路」)が、集積受動デバイスIPD510に集積されていることである。ゲートバイアス電圧制御回路560を、増幅器ダイ280ではなく、集積受動デバイスIPD510に備えることは、GaNダイエリアに対して集積受動デバイスIPDダイエリアのコストが著しく低いことに起因して、大幅なコスト削減をもたらす可能性がある。
【0091】
一実施形態によれば、増幅器ESD回路562は、バイアス入力端子558、増幅器バイアス回路560、およびGaNトランジスタ282の入力/ゲート端子284に結合される。増幅器ESD回路562は、GaNトランジスタ282のゲート酸化物の静電放電ESDイベントの保護を行うように構成されている。一実施形態によれば、増幅器ESD回路562は、バイアス入力端子558と接地428(528)との間の静電放電ESDクランプに直列結合された順方向バイアスダイオードを備えている。より具体的には、増幅器ESD回路562は、ESD回路入力563、ダイオード566、および静電放電ESDトランジスタ568を備えており、これらはすべて、集積受動デバイスIPD510にまたは集積受動デバイスIPD510上に集積される。増幅器ESD回路562の機能および構成要素は、増幅器ESD回路262(図2)の機能および構成要素に実質的に類似または同一である。繰り返しを避けるために、増幅器ESD回路262の機能性および構成要素の詳細は、増幅器ESD回路562のこの説明に組み込まれる。
【0092】
集積受動デバイスIPD510はさらに、GaN増幅器ダイ280のパワートランジスタ282のゲート端子284に電気的結合されている高調波制御回路570(または「増幅器高調波制御回路」)の集積部を備えてもよい。より具体的には、高調波制御回路570の集積部は、実施形態では、入力端子571と、入力端子571と接地ノード528との間に電気的結合されているコンデンサ572とを備えている。入力端子571は、接続部578を介して、GaN増幅器ダイ280の端子294に電気的結合されている。端子294は、順に、GaN増幅器ダイ280のパワートランジスタ282のゲート端子284に電気的結合される。いくつかの実施形態では、接続部578は、誘導性接続(例えば、ワイヤボンド、ワイヤボンドアレイ、または他の誘導性接続)であり、接続部578とコンデンサ572との直列の組み合わせは、増幅器500の中心動作周波数fの第2高調波2fにおける信号エネルギーのために、接地ノード528への低インピーダンス経路を提供する。ここでも、高調波制御回路570の一部を、GaN増幅器ダイ280ではなく、集積受動デバイスIPD510に備えることで、大幅なコスト削減を実現することができる。
【0093】
図2の増幅器の実施形態と同様に、集積受動デバイスIPD510は、増幅器ダイ280(例えば、GaNダイ180、図1)に電気的結合される。一実施形態では、集積受動デバイスIPD510は、集積受動デバイスIPD510の出力端子522と増幅器ダイ280の入力端子290との間の接続部574を介して、増幅器ダイ280に電気的結合される。例えば、接続部574は、ワイヤボンドアレイのような誘導接続を備えてもよく、あるいは、別のタイプのDC-結合接続を備えてもよい。接続部574は、入力インピーダンス整合回路530の非集積部を提供するように機能してもよい。
【0094】
図5のGaN増幅器ダイ280は、図2のGaN増幅器ダイ280と同一または実質的に類似していてもよい。簡潔にするために、図2のGaN増幅器ダイ280の詳細はここでは繰り返さない。図2に関連して上述したGaN増幅器ダイ280の詳細は、図5のGaN増幅器ダイ280にも適用されることを意図している。
【0095】
次に、本発明の主題が備えられ得る装置および回路の様々な物理的実施例を、図6図8と併せて説明する。最初に図6に目を向けると、例示的な実施形態に従って、大電力(ハイパワー)半導体デバイスパッケージにパッケージ化された2段の増幅器を備えている、パッケージ化されたRF増幅器デバイス600の一例の上面図が図示されている。より具体的には、デバイス600は、大電力半導体デバイスパッケージに収容された2つの並列増幅経路を備えている。簡潔にするために、図1図2図4、および図5の実施形態において同様の対応物を有する図6の構成要素および回路の多くは、以下で詳細に説明しない。図1図2図4、および図5に関連して上述した対応する構成要素の詳細は、図6に関連して下述した対応する構成要素にも適用されることを意図している。
【0096】
各増幅経路は、例示的な実施形態に従って、基板606の上面に物理的接続されたドライバ段ダイまたは集積受動デバイスIPD610と、GaN増幅器ダイ680とを備えている。さらに、増幅経路の各々は、入力リード602と出力リード604との間(例えば、入力102,202,402,502と、出力104,204,404,504とにそれぞれ対応する)で電気的結合される。バイアスリード637、657、658は、ゲートおよびドレインバイアス電圧を受け取るために外部バイアス回路(例えば、外部バイアス電圧源137、164)に結合されてもよく、以下でより詳細に議論されるように、バイアス電圧をデバイス600の内部の回路に伝えるためにデバイス600に結合されてもよい。
【0097】
一実施形態によれば、デバイス600は、密閉された空気キャビティ内にダイ/集積受動デバイスIPD610,680が配置されている空気キャビティパッケージに組み込まれてもよい。基本的に、空気キャビティは、基板606と、基板606の上面に取り付けられた隔離構造608と、隔離構造608およびリード602、604、637、657、658を覆って接触しているキャップ(図示せず)とによって境界が定められている。入力、出力、およびバイアスリード602、604、637、657、658は、中央開口部の対向する側同士で、隔離構造606の上面に取り付けられる。他の実施形態では、デバイスは、オーバーモールドパッケージ(すなわち、アクティブデバイス領域内の電気構成要素が非導電性成形化合物によって封入され、リード602、604、637、657、658の一部も成形化合物によって包含されてもよいパッケージ)に組み込まれてもよい。
【0098】
いずれにしても、基板606は、上面および底面(図6では上面のみが見える)と、デバイス600の周囲に対応する実質的に矩形の周囲とを有する。一実施形態では、基板606はフランジを備えており、このフランジは、固体導電性材料から形成された剛性の高い導電性基板であり、デバイス600の電気構成要素および要素のための構造的支持を提供するのに十分な厚さを有している。さらに、フランジは、フランジ上に実装(マウント)された増幅器ダイ/集積受動デバイスIPD610、680および他のデバイスのためのヒートシンクとして機能してもよい。あるいは、基板606は、上面の下に1つまたは複数の非導電性材料の層を有していてもよい。いずれにしても、基板606は、導電性の上面を有する。
【0099】
以下の説明では、第1増幅経路の1つをより詳細に説明する。第2増幅経路は、第1増幅経路と同一または実質的に類似していてもよいことを理解されたい。しかしながら、他の実施形態では、第2増幅経路は、第1増幅経路とは異なる構成であってもよい。さらに、他の実施形態では、2つよりも多くの増幅経路が、大電力(高出力)半導体装置のパッケージに一緒に収容されていてもよい。
【0100】
第1増幅経路は、ドライバ段ダイまたは入力集積受動デバイスIPD610(例えば、ドライバ段ダイ110、210、410または集積受動デバイスIPD510、図1図2図4、および図5)と、GaN増幅器ダイ680(例えば、ダイ180、280、図1図2図4、および図5)とを備えており、これらは、RF信号入力リード602(例えば、入力102、202、402、502、図1図2図4、および図5)とRF信号出力リード604(例えば、出力104、204、404、504、図1図2図4、および図5)との間で、カスケード配列で一緒に電気的結合されている。
【0101】
ドライバ段ダイまたは集積受動デバイスIPD610は、複数の集積回路を備えている。いくつかの実施形態によれば、素子610がドライバ段ダイ(例えば、ドライバ段ダイ110、210、410、図1図2、および図4)である場合、ドライバ段ダイ610の集積回路は、入力端子620(例えば、入力端子120、220、420)と、出力端子622(例えば、出力端子122、222、422)と、入力インピーダンス整合回路630(例えば、回路130、230、430)と、1つまたは複数のドライバ段トランジスタ640(例えば、トランジスタ(複数)140、240、440~444)と、段間インピーダンス整合回路650(例えば、回路150、250、450)の集積部と、バイアス電圧制御回路660(例えば、回路160、260、460)と、ESD保護回路662(例えば、回路162、262、462)と、および、いくつかの実施形態では、高調波制御回路670(例えば、回路170、270、470)の集積部とを備えている。図6に示された実施形態では、ドライバ段トランジスタ640は、2つの並列セクションで実装される。他の実施形態では、ドライバ段トランジスタ640は、単一のセクションで実装されてもよいし、2つよりも多くのセクションで実装されてもよい。他の実施形態によると、素子610が集積受動デバイスIPD(例えば、集積受動デバイスIPD510、図5)である場合、集積受動デバイスIPD610の集積回路は、入力端子620(例えば、入力端子520)と、出力端子622(例えば、出力端子522)と、入力インピーダンス整合回路630(例えば、回路530)と、バイアス電圧制御回路660(例えば、回路560)と、ESD保護回路662(例えば、回路562)と、および、いくつかの実施形態では、高調波制御回路670(例えば、回路570)の集積部とを備えている。ドライバ段ダイまたは集積受動デバイスIPD610内の様々な回路および構成要素は、図1図2図4、および図5に関連して先に説明したように構成され一緒に電気的結合されてもよい。
【0102】
RF信号入力リード602は、1つまたは複数のワイヤボンドまたは他の電気的接続(例えば、接続部103、203、403、503に対応する)を介して、ドライバ段ダイまたは集積受動デバイスIPD610の入力端子620に電気的結合される。バイアスリード637、657、658は、それぞれ、シリコントランジスタのゲートに接続された対応するバイアス電圧制御回路に、シリコントランジスタのドレインに接続されたバイアス電圧制御回路に、およびGaNトランジスタ用のバイアス電圧制御回路660に、(例えば、端子139、158、239、257、258、437、457、458、558を介して)電気的結合される。少なくとも1つの実施形態によれば、バイアスリード658は、ドライバ段ダイまたは集積受動デバイスIPD610と一体的に形成されているおよび/またはドライバ段ダイまたは集積受動デバイスIPD610に結合されているゲートバイアス電圧回路660(例えば、回路160、260、460、560)に、1つまたは複数のワイヤボンディングを介して電気的結合される。上で詳細に説明したように、ゲートバイアス電圧回路660は、順に(例えば、ワイヤボンド接続部675(例えば、接続部175、275、475、575、図1図2図4図5)を介して)、GaN増幅器ダイ680に一体的に形成されたGaN増幅器682(例えば、増幅器182、282、図1図2図4図5)の入力/ゲート端子(例えば、端子184、284、図1図2図4図5)に接続されている。さらに、ゲートバイアス電圧回路660は、ESD保護回路662(例えば、ESD保護回路162、262、462、562)に電気的結合されており、このESD保護回路662は、GaN増幅器ダイ680上のGaNトランジスタ682のゲート酸化物を、静電放電ESDイベントに関連するエネルギーから保護するように構成されている。
【0103】
最終段ダイ680は、複数の集積回路を備えている。一実施形態では、最終段ダイ680の集積回路は、入力端子690(例えば、入力端子190、290)、出力端子692(例えば、出力端子192、292)、およびGaNパワートランジスタ682(例えば、トランジスタ182、282)を備えている。最終段ダイ680内の様々な回路および構成要素は、図1図2図4、および図5に関連して前述したように構成され一緒に電気的結合されてもよい。
【0104】
ドライバ段ダイまたは集積受動デバイスIPD610の出力端子622は、ワイヤボンドアレイ674(例えば、接続部174、274、474、574に対応する)を介して、最終段ダイ680の入力端子690に電気的結合される。入力端子690は、GaNパワートランジスタ682のゲートに電気的結合されている。GaNパワートランジスタ682のゲートはさらに、1つまたは複数のワイヤボンド678(例えば、接続部178、278、478、578に対応する)を介して、ドライバ段ダイまたは集積受動デバイスIPD610内の高調波制御回路670(例えば、回路170、270、470、570)の集積部に電気的結合されてもよい。最終段ダイ680の出力端子692は、ワイヤボンドアレイ679(例えば、接続部179、279に対応する)を介して、出力リード604に電気的結合される。
【0105】
次に図7に目を向けると、パッケージ化されたRF増幅器デバイス700の一例の上面図が図示されており、このRF増幅器デバイス700は、例示的な実施形態に従って、QFN(クワッドフラットノーリード)半導体デバイスパッケージにパッケージ化された2段の増幅器を備えている。より具体的には、デバイス700は、クワッドフラットノーリードQFN半導体デバイスパッケージに収容された2つの並列増幅経路を備えている。簡潔にするために、図1図5の実施形態において同様の対応物を有する図7の構成要素および回路の多くは、以下では詳細に説明しない。図1図2図4、および図5に関連して上述した対応する構成要素の詳細は、図7に関連して下述した対応する構成要素にも適用されることを意図している。
【0106】
クワッドフラットノーリードQFNパッケージは、導電性基板706と、非導電性封止材708で一緒に物理的結合された複数の周囲ランド(例えば、ランド(land)702、704、737、757、758)とを備えている。各増幅経路は、例示的な実施形態に従って、基板706の上面に物理的接続されたドライバ段ダイまたは集積受動デバイスIPD710とGaN増幅器ダイ780とを備えている。さらに、増幅経路の各々は、入力ランド702と出力ランド704との間(例えば、入力102,202,402,502と、出力104,204,404,504とにそれぞれ対応する)で電気的結合される。バイアスランド737、757、758は、ゲートおよびドレインバイアス電圧を受け取るために外部バイアス回路(例えば、外部バイアス電圧源137、164)に結合されてもよく、以下でより詳細に議論されるように、バイアス電圧をデバイス700の内部の回路に伝えるためにデバイス700に結合されてもよい。
【0107】
一実施形態では、基板706はフランジを備えており、このフランジは、固体導電性材料から形成された剛性の高い導電性基板であり、デバイス700の電気構成要素および要素のための構造的支持を提供するのに十分な厚さを有している。加えて、フランジは、フランジ上に装着(マウント)された増幅器ダイまたは集積受動デバイスIPD710、780および他のデバイスのためのヒートシンクとして機能してもよい。
【0108】
以下の説明では、第1増幅経路の1つをより詳細に説明する。なお、第2増幅経路は、第1増幅経路と同一または実質的に類似していてもよいことを理解されたい。しかしながら、他の実施形態では、第2増幅経路は、第1増幅経路とは異なる構成であってもよい。さらに、他の実施形態では、2つよりも多くの増幅経路が、クワッドフラットノーリードQFN半導体デバイスパッケージに一緒に収容されてもよい。
【0109】
第1増幅経路は、ドライバ段ダイまたは入力集積受動デバイスIPD710(例えば、ドライバ段ダイ110、210、410または集積受動デバイスIPD510、図1図2図4、および図5)と、GaN増幅器ダイ780(例えば、ダイ180、280、図1図2図4、および図5)とを備えており、これらは、RF信号入力ランド702(例えば、入力102、202、402、502、図1図2図4、および図5)とRF信号出力ランド704(例えば、出力104、204、404、504、図1図2図4、および図5)との間で、カスケード配置で電気的結合されている。
【0110】
ドライバ段ダイまたは集積受動デバイスIPD710は、複数の集積回路を備えている。いくつかの実施形態によれば、素子710がドライバ段ダイ(例えば、ダイ110、210、410、図1図2、および図4)である場合、ドライバ段ダイ710の集積回路は、入力端子720(例えば、入力端子120、220、420)と、出力端子722(例えば、出力端子122、222、422)と、入力インピーダンス整合回路730(例えば、回路130、230、430)と、1つまたは複数のドライバ段トランジスタ740(例えば、トランジスタ(複数)140、240、440~444)と、段間インピーダンス整合回路750(例えば、回路150、250、450)の集積部と、バイアス電圧制御回路760(例えば、回路160、260、460)と、ESD保護回路762(例えば、回路162、262、462)と、および、いくつかの実施形態では、高調波制御回路770(例えば、回路170、270、470)の集積部とを備えている。他の実施形態によると、素子710が集積受動デバイスIPD(例えば、集積受動デバイスIPD510、図5)である場合、集積受動デバイスIPD710の集積回路は、入力端子720(例えば、入力端子520)と、出力端子722(例えば、出力端子522)と、入力インピーダンス整合回路730(例えば、回路530)と、バイアス電圧制御回路760(例えば、回路560)と、ESD保護回路762(例えば、回路562)と、および、いくつかの実施形態では、高調波制御回路770(例えば、回路570)の集積部とを備えている。ドライバ段ダイまたは集積受動デバイスIPD710内の様々な回路および構成要素は、図1図2図4、および図5に関連して先に説明したように構成され一緒に電気的結合されてもよい。
【0111】
RF信号入力ランド702は、1つまたは複数のワイヤボンドまたは他の電気的接続(例えば、接続部103、203、403、503に対応する)を介して、ドライバ段ダイまたは集積受動デバイスIPD710の入力端子720に電気的結合される。バイアスランド737、757、758は、それぞれ、シリコントランジスタのゲートに接続された対応するバイアス電圧制御回路に、シリコントランジスタのドレインに接続されたバイアス電圧制御回路に、およびGaNトランジスタ用のバイアス電圧制御回路760に、(例えば、端子139、158、239、257、258、437、457、458、558を介して)電気的結合されている。少なくとも1つの実施形態によれば、バイアスランド758は、ドライバ段ダイまたは集積受動デバイスIPD710に一体的に形成されている、および/またはドライバ段ダイまたは集積受動デバイスIPD710に結合されているゲートバイアス電圧回路760(例えば、回路160、260、460、560)に、1つまたは複数のワイヤボンディングを介して電気的結合されている。上で詳細に説明したように、ゲートバイアス電圧回路760は、今度は(例えば、ワイヤボンド接続部775(例えば、接続部175、275、475、575、図1図2図4、および図5)を介して)、GaN増幅器ダイ780に一体的に形成されたGaN増幅器782(例えば、増幅器182、282、図1図2図4、および図5)の入力/ゲート端子(例えば、端子184、284、図1図2図4、および図5)に電気的結合されている。さらに、ゲートバイアス電圧回路760は、ESD保護回路762(例えば、ESD保護回路162、262、462、562)に電気的結合されており、このESD保護回路762は、GaN増幅器ダイ780上のGaNトランジスタ782のゲート酸化物を、静電放電ESDイベントに関連するエネルギーから保護するように構成されている。
【0112】
最終段ダイ780は、複数の集積回路を備えている。一実施形態では、最終段ダイ780の集積回路は、入力端子790(例えば、入力端子190、290)、出力端子792(例えば、出力端子192、292)、およびGaNパワートランジスタ782(例えば、トランジスタ182、282)を備えている。最終段ダイ780内の様々な回路および構成要素は、図1図2図4、および図5に関連して先に説明したように構成され、一緒に電気的結合されてもよい。
【0113】
ドライバ段ダイまたは集積受動デバイスIPD710の出力端子722は、ワイヤボンドアレイ774(例えば、接続部174、274、474、574に対応する)を介して、最終段ダイ780の入力端子790に電気的結合される。入力端子790は、GaNパワートランジスタ782のゲートに電気的結合されている。また、GaNパワートランジスタ782のゲートは、1つまたは複数のワイヤボンド778(例えば、接続部178、278、478、578に対応する)を介して、ドライバ段ダイまたは集積受動デバイスIPD710内の高調波制御回路770(例えば、回路170、270、470、570)の集積部に電気的結合されてもよい。最終段ダイ780の出力端子792は、ワイヤボンドアレイ779(例えば、接続部179、279に対応する)を介して、出力ランド704に電気的結合される。
【0114】
図6および図7に描写されているデバイス600、700はそれぞれ、RF入力信号を独立して増幅して別々の増幅されたRF出力信号を生成する2つの並列増幅経路を備えている。他の実施形態では、2つよりも多くの増幅経路(例えば、3つ、4つ、または他の数の経路)を備えてもよい。いくつかの実施形態では、複数の増幅経路は、マルチ経路増幅器システムの一部として一緒に電気的結合されてもよい。例えば、図1図2図4、および図5に関連して説明したデバイスの実施形態は、ドハーティ電力増幅器に実装されてもよい。2方向(2ウェイ)ドハーティ電力増幅器は、RF信号を受け取るように構成されたRF入力と、入力RF信号を第1および第2入力RF信号に分割するように構成された信号分配器(シグナルスプリッタ)と、第1RF信号を増幅するように構成された主増幅経路と、第2入力RF信号を増幅するように構成されたピーキング増幅経路と、主増幅経路およびピーキング増幅経路からの増幅された出力信号同士を結合するように構成された信号結合器と、結合されて増幅されたRF出力信号を出力するように構成されたRF出力とを備えている。さらに、2ウェイのドハーティ電力増幅器は、様々な位相遅延およびインピーダンス変換要素を備えており、ドハーティ電力増幅器の正しい動作を可能にする。いくつかのドハーティ電力増幅器の構成は、複数のピーキング増幅器経路を備えていることがあり、そのようなドハーティ電力増幅器は、ピーキング増幅器経路の数が「N-1」に等しい場合、Nウェイドハーティ電力増幅器と呼ばれる。
【0115】
様々な実施形態において、シリコンドライバ段ダイ(または入力集積受動デバイスIPD)およびGaN最終段ダイを有する2段増幅器が、ドハーティ電力増幅器モジュールの1つまたは複数の増幅経路に組み込まれる。例えば、そのような2段増幅器は、主増幅路に、ピーキング増幅路に、複数のピーキング増幅路に、または主増幅路とピーキング増幅路の任意の組み合わせに組み込まれてもよい。それぞれがドライバ段ダイとGaN最終段ダイを備えた2段増幅器を、主増幅経路とピーキング増幅経路に組み込む実施形態の例を、図8に示す。当業者であれば、本明細書の説明に基づいて、他の実施形態が2段増幅器を備えてもよく、2段増幅器では主増幅経路および複数のピーキング増幅経路に、ドライバ段ダイおよびGaN最終段ダイを有してもよいことを理解するであろう。さらに他の実施形態は1段増幅器を備えてもよく、1段増幅器では主増幅器経路およびピーキング増幅器経路のそれぞれが、入力集積受動デバイスIPDおよびGaN増幅器ダイを備えている。
【0116】
より具体的には、図8は、主増幅経路およびピーキング増幅経路を有するドハーティ電力増幅器を備えているRF増幅装置800の一例の上面図であり、主増幅経路は、例示的な実施形態に従って、ドライバ段ダイ810およびGaN最終段ダイ880を備えており、ピーキング増幅経路も、ドライバ段ダイ811およびGaN最終段ダイ881を備えている。RF増幅器デバイス800は、以下では代替的に、「ドハーティ電力増幅器モジュール」と呼ばれる。簡潔にするために、図1図2図4、および図5の実施形態において同様の対応物を有する図8の構成要素および回路の多くは、以下では詳細に説明しない。図1図2図4、および図5に関連して上述した対応する構成要素の詳細は、図8に関連して以下に説明する対応する構成要素にも適用することを意図している。
【0117】
ドハーティ電力増幅器モジュール800は、多層のプリント基板PCB806の形態の基板を備えており、この基板は、少なくとも1つの誘電体層(例えば、FR-4、セラミック、または他のプリント基板PCB誘電体材料から形成される)と、および2つ以上の導電層とを備えている。一実施形態では、プリント基板PCB806の上面の導電層は、パターン化された導電層である。上面のパターン化された導電層の一部から形成された様々な導電性特徴(例えば、導電性パッドおよびトレース)は、ダイ810、811、880、881および他の単体構成要素のためのアタッチメントポイントとして機能してもよく、また、ダイ810、811、880、881および他の単体構成要素の間の電気的接続性を提供してもよい。別の導電層は、接地基準面として機能してもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の追加のパターン化された導電層が、ダイ810、811、880、881、単体構成要素、および接地基準面の間の導電接続を提供してもよい。一実施形態によれば、底部導電層は、外部からアクセス可能な導電性ランディングパッドを提供するために利用され、いくつかの例示的なランディングパッド801、809、858、859の位置が、図8において破線のボックスで示されている。これらのランディングパッド(特に、図示せず)は、RFシステムの他の部分への電気的接続を提供する別の基板(図示せず)へのドハーティ電力増幅器モジュール800の表面実装を可能にする。モジュール800は、ランドグリッドアレイ(LGA)モジュールとして描かれているが、代わりに、モジュール800は、ピングリッドアレイモジュール、クワッドフラットノーリードQFNモジュール、または他のタイプのパッケージとしてパッケージ化されてもよい。
【0118】
ドハーティ電力増幅器モジュール800はさらに、RF信号入力端子と、電力分配器802と、カスケード結合されたドライバ段ダイ810およびGaN最終段ダイ880を備えている2段の主増幅器と、カスケード結合されたドライバ段ダイ811およびGaN最終段ダイ881を備えている2段のピーキング増幅器と、様々な位相シフトおよびインピーダンス整合素子と、ならびに結合器(コンバイナ)とを備えている。プリント基板PCB806の下面に露出した導電性ランディングパッド801は、モジュール800のRF信号入力端子として機能する。1つまたは複数の導電性構造(例えば、ビア、トレース、および/またはワイヤボンド)を介して、ランディングパッド801は、電力分配器802への入力に電気的結合される。
【0119】
プリント基板PCB806の実装面に結合されている電力分配器(パワースプリッタ)802は、図8では単一の要素として表されているが、1つまたは複数の個別(離散的、ディスクリート)なダイおよび/または構成要素を備えていることができる。電力分配器802は、入力端子と2つの出力端子とを備えている。入力端子は、1つまたは複数の導電性構造(例えば、ビア、トレース、および/またはワイヤボンディング)を介してランディングパッド801に電気的結合され、入力RF信号を受け取る。電力分配器802の出力端子は、1つまたは複数の導電性構造(例えば、ビア、トレース、および/またはワイヤボンズ)を介して、主増幅器およびピーキング増幅器のための入力820,821にそれぞれ電気的結合される。
【0120】
電力分配器802は、ランディングパッド801を介して受け取られた入力RF信号の電力を、電力分配器802の出力端子同士で生成される第1および第2RF信号に分割するように構成される。さらに、電力分配器802は、出力端子同士で提供されるRF信号同士の間に約90度の位相差を付与するように構成された1つまたは複数の位相シフト要素を備えてもよい。電力分配器802の出力同士で生成される第1および第2RF信号は、等しいかまたは不均等な電力を有してもよい。
【0121】
電力分配器の第1出力は、主増幅器経路(すなわち、主増幅器へ)に電気的結合され、電力分配器の第2出力は、ピーキング増幅器経路(すなわち、ピーキング増幅器へ)に電気的結合される。図示の実施形態では、第2電力分配器出力で生成されるRF信号は、第1電力分配器出力で生成されるRF信号から約90度遅れて(ディレイして)いる。言い換えれば、ピーキング増幅器経路に提供されるRF信号は、主増幅器経路に提供されるRF信号から約90度遅延している。
【0122】
電力分配器802によって生成された第1RF信号は、ドライバ段ダイ810、GaN最終段ダイ880、および位相シフトおよびインピーダンス反転要素803(本明細書では単に「位相シフト要素」と称する)を備えている主増幅器経路を介して増幅される。電力分配器802によって生成された第2RF信号は、ドライバ段ダイ811とGaN最終段ダイ881とを備えているピーキング増幅器経路を通じて増幅される。
【0123】
主増幅器経路のドライバ段ダイ810およびGaN最終段ダイ880は、ドライバ段ダイ810の入力端子820(主増幅器入力に対応)とGaN最終段ダイ880の出力端子892(主増幅器出力に対応)との間で、カスケード配置で一緒に電気的結合されている。ドライバ段ダイ810は、複数の集積回路を備えている。一実施形態では、ドライバ段ダイ810の集積回路は、入力端子820(例えば、入力端子120、220、420、520)と、出力端子822(例えば、出力端子122、222、422、522)と、入力インピーダンス整合回路830(例えば、回路130、230、430、530)と、シリコンパワートランジスタ840(例えば、トランジスタ140、240、440~444)と、段間インピーダンス整合回路850(例えば、回路150、250、450)の集積部と、バイアス電圧制御回路860(例えば、回路160、260、460、560)と、ESD保護回路862(例えば、回路162、262、462、562)と、および高調波制御回路870(例えば、回路170、270、470、570)の集積部とを、実施形態では備えている。ドライバ段ダイ810内の様々な回路および構成要素は、図1図2図4、および図5と関連して前述したように構成され、一緒に電気的結合されてもよい。
【0124】
電力分配器802の第1出力は、様々な導電性トレースと、回路と、およびワイヤボンドまたは他の種類の電気的接続(例えば、接続部203、303、403、503に対応する)とを介して、ドライバ段ダイ810の入力端子820に電気的結合される。バイアスランド858は、追加の導電性構造と、ワイヤボンド(または他のタイプの電気的接続)と、および端子(例えば、端子158、258、458または558)とを介して、GaNトランジスタ882のための対応するバイアス電圧制御回路860に電気的結合される。さらに、バイアスランド858は、ESD保護回路862(例えば、回路162、262、462、562)に電気的結合されており、このESD保護回路862は、静電放電ESDイベントに関連するエネルギーからGaNトランジスタ882のゲート酸化物を保護するように構成されている。図8には示されていないが、追加のバイアスランドは、シリコントランジスタのゲートおよびドレインのための、バイアス電圧制御回路に電気的結合されてもよい。
【0125】
GaN最終段ダイ880は、複数の集積回路を備えている。一実施形態では、GaN最終段ダイ880の集積回路は、入力端子890(例えば、入力端子190、290、490、590)と、出力端子892(例えば、出力端子192、292、492、592)と、およびGaNパワートランジスタ882(例えば、トランジスタ182、282、482、582)とを備えている。GaN最終段ダイ880内の様々な回路および構成要素は、図1図2図4、および図5に関連して先に説明したように構成され、一緒に電気的結合されてもよい。
【0126】
ドライバ段ダイ810の出力端子822は、ワイヤボンドアレイ874または他の種類の電気的接続(例えば、接続部174、274、474、574に対応する)を介して、GaN最終段ダイ880の入力端子890に電気的結合される。入力端子890は、GaNパワートランジスタ882のゲートに電気的結合されている。GaNパワートランジスタ882のゲートは、ドライバ段ダイ810上のバイアス電圧制御回路860およびESD保護回路862に、1つまたは複数のワイヤボンド(番号なし)を介して電気的結合されている。また、GaNパワートランジスタ882のゲートは、1つまたは複数のワイヤボンド878または別のタイプの電気的接続(例えば、接続部178、278、478、578に対応する)を介して、ドライバ段ダイ810の高調波制御回路870の集積部に電気的結合される。
【0127】
増幅された第1RF信号は、GaN最終段ダイ880の出力端子892で生成される。一実施形態によれば、出力端子892は、位相シフト要素803に(例えば、ワイヤボンド879または別のタイプの電気的接続を介して)電気的結合される。一実施形態によれば、位相シフト要素803は、GaN最終段ダイ880の出力端子892に近接する第1端部と、GaN最終段ダイ881の出力端子893に近接する第2端部とを有する。例えば、位相シフト要素803は、位相シフト要素803の第1端部と第2端部との間に延びるλ/4(λ/4)伝送線(例えば、90度の電気長を有するマイクロストリップ伝送線)で実装されてもよい。位相シフト素子803は、増幅された第1RF信号が位相シフト素子の第1端部から第2端部へと移動する際に、増幅された第1RF信号に約90度の相対的な位相シフトを付与してもよい。
【0128】
上述したように、電力分配器802によって生成された第2RF信号は、ドライバ段ダイ811およびGaN最終段ダイ881を備えているピーキング増幅器経路を介して、増幅される。ピーキング増幅器経路のドライバ段ダイ811およびGaN最終段ダイ881は、ドライバ段ダイ811の入力端子821(ピーキング増幅器入力に対応)とGaN最終段ダイ881の出力端子893(ピーキング増幅器出力に対応)との間で、カスケード配列で一緒に電気的結合されている。ドライバ段ダイ811は、複数の集積回路を備えている。一実施形態では、ドライバ段ダイ811の集積回路は、入力端子821(例えば、入力端子120、220、420、520)と、出力端子823(例えば、出力端子122、222、422、522)と、入力インピーダンス整合回路831(例えば、回路130、230、430、530)と、シリコンパワートランジスタ841(例えば、トランジスタ140、240、440~444)と、段間インピーダンス整合回路851(例えば、回路150、250、450)の集積部と、バイアス電圧制御回路861(例えば、回路160、260、460、560)と、ESD保護回路863(例えば、回路162、262、462)と、および高調波制御回路871(例えば、回路170、270、470、570)の集積部とを、実施形態では備えている。ドライバ段ダイ811内の様々な回路および構成要素は、図1図2図4、および図5に関連して先に説明したように構成され、一緒に電気的結合されてもよい。
【0129】
電力分配器802の第2出力は、様々な導電性トレース、回路、およびワイヤボンドまたは別のタイプの電気的接続(例えば、接続部203、403、503に対応する)を介して、ドライバ段ダイ811の入力端子821に電気的結合される。バイアスランド859は、追加の導電性構造、ワイヤボンド(または別のタイプの電気的接続)、および端子(例えば、端子158、258、458または558)を介して、GaNトランジスタ883のための対応するバイアス電圧制御回路861に電気的結合される。さらに、バイアスランド859は、ESD保護回路863(例えば、回路162、262、462、562)に電気的結合されており、このESD保護回路863は、静電放電ESDイベントに関連するエネルギーからGaNトランジスタ883のゲート酸化物を保護するように構成されている。図8には示されていないが、追加のバイアスランドは、シリコントランジスタのゲートおよびドレインのためのバイアス電圧制御回路に電気的結合されてもよい。
【0130】
GaN最終段ダイ881は、複数の集積回路を備えている。一実施形態では、GaN最終段ダイ881の集積回路は、入力端子891(例えば、入力端子190、290)と、出力端子893(例えば、出力端子192、292)と、およびGaNパワートランジスタ883(例えば、トランジスタ182、282)とを備えている。GaN最終段ダイ881内の様々な回路および構成要素は、図1図2図4、および図5に関連して先に説明したように構成され、一緒に電気的結合されてもよい。
【0131】
ドライバ段ダイ811の出力端子823は、ワイヤボンドアレイ875または他のタイプの電気的接続(例えば、接続部174、274に対応する)を介して、GaN最終段ダイ881の入力端子891に電気的結合される。入力端子891は、GaNパワートランジスタ883のゲートに電気的結合されている。GaNパワートランジスタ883のゲートは、ドライバ段ダイ811上のバイアス電圧制御回路861およびESD保護回路863に、1つまたは複数のワイヤボンド(番号なし)を介して電気的結合されている。また、GaNパワートランジスタ883のゲートは、ドライバ段ダイ811の高調波制御回路871の集積部に、1つまたは複数のワイヤボンド877または別のタイプの電気的接続(例えば、接続部178、278、478、578に対応する)を介して電気的結合される。
【0132】
カスケード結合されたピーキング増幅器ダイ811,881を通る信号経路は、RF入力端子821からRF出力端子893に延びる方向にあり、この方向は矢印813で示されている。逆に、カスケード結合された主増幅器ダイ810、880を通る信号経路は、ドライバ段ダイ入力端子820からGaN最終段ダイ出力端子892まで延びる方向であり、この方向は矢印815で示される。図8に見られるように、カスケード結合されたピーキング増幅器ダイ811、881を通る信号経路と、カスケード結合された主増幅器ダイ810、880を通る信号経路とは、著しく異なる方向に延びており、より詳細には、図8の実施形態では信号経路同士は直交している。別の言い方をすれば、ダイ811,881を通るRF信号経路は、ダイ810,880を通るRF信号経路に対して直交している。ダイ810、811、880、881が比較的近接して配置されていても、それらの直交する向きは、主増幅器経路およびピーキング増幅器経路によって運ばれて増幅される信号同士間の結合を大幅に低減することができる。
【0133】
いずれにしても、増幅された第2RF信号は、RF出力端子893においてGaN最終段ダイ881によって生成される。一実施形態によれば、RF出力端子893は、位相シフト素子803の第2端部に(例えば、ワイヤボンド804または別のタイプの電気的接続を介して)電気的結合される。したがって、GaN最終段ダイ880によって生成された増幅された第1RF信号は、RF出力端子893に伝達され、出力端子893は、増幅された第1および第2RF信号のための和算ノード(サミングノード)805として機能する。第1及び第2RF信号に別々に付与された様々な位相シフトが実質的に等しい場合、増幅された第1及び第2RF信号は、和算ノード805において実質的に同位相で結合する。
【0134】
RF出力端子893(及び従って和算ノード805)は、出力ネットワーク808に(例えば、ワイヤボンド807又は別のタイプの電気的接続を介して)電気的結合され、この出力ネットワーク808は、主増幅器及びピーキング増幅器ダイ880、881のそれぞれに適切な負荷インピーダンスを提示するように機能する。さらに、出力ネットワーク808は、図示のように、デカップリングコンデンサを備えてもよい。詳細は図8に示されていないが、出力ネットワーク808は、所望のインピーダンス整合(マッチング)を提供するために、様々な導電性トレース、追加の単体構成要素、および/または集積構成要素(例えば、コンデンサ、インダクタ、および/または抵抗器)を備えてもよい。出力ネットワーク808は、プリント基板PCB806を介して、プリント基板PCB806の底面に露出した導電性ランディングパッド809に電気的結合されている。ランディングパッド809は、ドハーティ電力増幅器モジュール800のRF出力ノードとして機能する。
【0135】
増幅器の一実施形態は、第1半導体ダイと、第1半導体ダイとは異なる基板とを備えている。第1半導体ダイは、III-V族半導体基板と、第1RF信号入力端子と、第1RF信号出力端子と、第1トランジスタとを備えている。第1トランジスタは、第1RF信号入力端子に電気的結合された制御端子と、第1RF信号出力端子に電気的結合された電流伝導端子(通電端子)とを有している。また、基板は、第2RF信号入力端子と、第2RF信号出力端子と、第2RF信号入力端子と第2RF信号出力端子との間に結合された回路と、静電放電(ESD)保護回路とを備えている。また、増幅器は、ESD保護回路と第1トランジスタの制御端子との間に電気的結合された接続部を備えている。
【0136】
さらなる実施形態によれば、第1トランジスタは、ディプレッションモードのGaNFETであり、制御端子はゲート端子であり、電流伝導端子はドレイン端子である。別のさらなる実施形態によれば、静電放電ESD保護は、アノードとカソードとを有するダイオードと、カソードに結合された静電放電ESD電圧クランプ回路とを備えている。アノードは、基板上のバイアス電圧制御回路の入力端子に電気的結合されている。別のさらなる実施形態によれば、基板は、第1半導体ダイとは異なる半導体材料から形成された第2半導体ダイであり、第2RF信号入力端子と第2RF信号出力端子との間に結合された回路は、第2制御端子と第2電流伝導端子とを有する1つまたは複数の第2トランジスタを備えている。第2制御端子は第2RF信号入力端子に電気的結合され、第2電流伝導端子は第2RF信号出力端子に電気的結合される。別のさらなる実施形態によれば、基板は集積受動デバイス(IPD)であり、第2RF信号入力端子と第2RF信号出力端子との間に結合された回路は、インピーダンス整合回路を備えている。
【0137】
増幅器の別の実施形態は、第1および第2半導体ダイを備えている。第1半導体ダイは、第1RF信号入力端子と、第1RF信号出力端子と、第1トランジスタと、静電放電(ESD)保護回路とを備えている。第1トランジスタは、第1RF信号入力端子に電気的結合された制御端子と、第1RF信号出力端子に電気的結合された電流伝導端子とを有している。第2半導体ダイは、第2RF信号入力端子と、第2RF信号出力端子と、窒化ガリウム(GaN)トランジスタとを備えている。GaNトランジスタは、第2RF信号入力端子に電気的結合された制御端子と、第2RF信号出力端子に電気的結合された電流伝導端子とを有している。前記増幅器はさらに、前記ESD保護回路と前記GaNトランジスタの制御端子との間に電気的結合された接続部を備えている。
【0138】
さらなる実施形態によれば、第1半導体ダイは、シリコン基板、シリコンゲルマニウム(SiGe)基板、シリコンオンインシュレータ(SOI)基板、およびSiGeオンインシュレータ(SGOI)基板から選択される。別のさらなる実施形態によれば、第2半導体ダイは、GaN基板、GaNオンシリコン基板、およびGaNオンシリコンカーバイド基板から選択される。
【0139】
さらに別のさらなる実施形態によれば、増幅器はドハーティ電力増幅器であり、ドハーティ電力増幅器は主増幅器と、ピーキング増幅器と、主増幅器の出力およびピーキング増幅器の出力に結合された和算ノードとを備えている。主増幅器は、第1半導体ダイおよび第2半導体ダイを備えており、第1半導体ダイの第1RF信号入力端子は、主増幅器入力に対応し、第2半導体ダイの第2RF信号出力端子は、主増幅器出力に対応している。さらに別のさらなる実施形態によれば、増幅器は、主増幅器およびピーキング増幅器が結合された基板と、第2RF信号出力端子と和算ノードとの間に電気的結合された位相シフトおよびインピーダンス反転素子とをも備えている。
【0140】
先の詳細な説明は、本質的に単なる例示であり、主題の実施形態またはそのような実施形態の適用および使用を制限することを意図していない。例えば、上記の説明では、様々な実施形態におけるGaNダイに集積されたGaNFETの使用について説明したが、他の実施形態では、他のタイプのIII-V族半導体ダイ(例えば、GaAsダイ、InP(リン化インジウム)ダイなど)に集積された他のタイプのIII-V族トランジスタ(例えば、GaAsトランジスタ、リン化インジウム(InP)トランジスタなど)を電力増幅器ダイとして使用することができる。
【0141】
本明細書で使用される「例示的」という言葉は、「一例、例、またはイラストとしての役割」(serving as an example, instance, or illustration)という意味である。本明細書で例示的に記載されている実装は、必ずしも他の実装よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。さらに、先行する技術分野、背景、または詳細な説明で提示された明示的または暗示的な理論に拘束される意図はない。
【0142】
本明細書に備えられる様々な図に示されている接続線は、様々な要素の間の例示的な機能的関係および/または物理的結合を表すことを意図している。多くの代替的または追加的な機能関係または物理的接続が、主題の実施形態に存在し得ることに留意すべきである。さらに、本明細書では、特定の用語も参照のみを目的として使用されることがあり、したがって、限定を意図するものではなく、構造体を指す「第1」、「第2」およびその他のそのような数値用語は、文脈によって明確に示されない限り、順序または順番を意味するものではない。
【0143】
本明細書で使用される「ノード」とは、所与の信号、論理レベル、電圧、データパターン、電流、または量が存在する、任意の内部または外部の参照点、接続点、接合部、信号線、導電性要素などを意味する。さらに、2つ以上のノードが1つの物理的要素によって実現されることもある(また、2つ以上の信号は、共通のノードで受け取られまたは出力されても、多重化、変調、またはその他の方法で区別することができる)。
【0144】
前述の説明では、要素またはノードまたは機能が「接続」(コネクテッド)または「結合」(カップルド)されていることに言及している。本明細書で使用される場合、他に明示的に述べられていない限り、「接続されている」とは、ある要素が他の要素に直接接合(ジョインド)されている(または直接通信している)ことを意味し、必ずしも機械的に接合されている必要はない。同様に、明示的に別段の記載がない限り、「結合」(カップルド)とは、ある要素が別の要素に直接または間接的に接合(ジョインド)されている(または、電気的またはその他の方法で直接または間接的に通信している)ことを意味し、必ずしも機械的に接合されている必要はない。したがって、図に示された概略図は、要素の1つの例示的な配置を描いているが、描かれた主題の実施形態において、追加の介在する要素、装置、特徴、または構成要素が存在してもよい。
【0145】
前述の詳細な説明で少なくとも1つの例示的な実施形態を示したが、膨大な数のバリエーションが存在することを理解すべきである。また、本明細書に記載された例示的な実施形態または実施形態は、請求された主題の範囲、適用性、または構成をいかなる方法でも限定することを意図していないことを理解すべきである。むしろ、前述の詳細な説明は、記載された実施形態または実施形態を実施するための便利なロードマップを当業者に提供するものである。本特許出願時の既知の均等物および予見可能な均等物を備えている特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく、要素の機能および配置に様々な変更を加えることができることを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】