(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089160
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】電子機器におけるファンノイズを再形成するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G10K 11/175 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
G10K11/175
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021176643
(22)【出願日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】17/111,130
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.JAVASCRIPT
3.SWIFT
(71)【出願人】
【識別番号】593096712
【氏名又は名称】インテル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シャンタヌ ディー.クルカミ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフ ク
(72)【発明者】
【氏名】スモッド チェルッカテ
(72)【発明者】
【氏名】トンギャン ジャイ
(72)【発明者】
【氏名】スリカンス ポトルリ
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン イー.マスロフ
【テーマコード(参考)】
5D061
【Fターム(参考)】
5D061FF05
(57)【要約】
【課題】
電子機器のファンのファンノイズを再形成するためのシステム、装置、製造物品、方法が開示される。
【解決手段】
例示的なシステムは、ファンノイズを含む第1音響信号を検出するためのマイクロフォンを含む。例示的なシステムは、また、第1音響信号におけるトーンを特定し、かつ、トーンをマスクするために第1音響信号に対して加えるゲインを決定するプロセッサを含む。加えて、例示的なシステムは、ゲインを含む第2音響信号を提示するための音響トランスデューサを含む。
【選択図】
図4E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器のファンのファンノイズを再形成するシステムであって、
ファンノイズを含む第1音響信号を検出するためのマイクロフォンと、
プロセッサであり、
前記第1音響信号におけるトーンを特定し、かつ、
前記トーンをマスクするために、前記第1音響信号に対して加えるゲインを決定する、
ためのプロセッサと、
前記ゲインを含む第2音響信号を提供するための音響トランスデューサと、
を含む、システム。
【請求項2】
前記マイクロフォンは、前記電子機器の内部で前記ファンのハウジングに結合されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記マイクロフォンは、前記ファンの水切り領域またはその近傍に置かれている、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記マイクロフォンは、第1マイクロフォンであり、かつ、
前記システムは、前記第1音響信号を検出するための第2マイクロフォンを含む、
請求項1乃至3いずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記音響トランスデューサは、前記電子機器の内部で前記ファンのハウジングに結合されている、
請求項1乃至4いずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記音響トランスデューサは、ダイナミックスピーカである、
請求項1乃至5いずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記音響トランスデューサは、バランスドアーマチュアである、
請求項1乃至5いずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記トーンに隣接する臨界帯域を特定し、
前記トーンについてプロミネンス率を計算し、かつ、
前プロミネンス率に基づいて、前記ゲインを決定する、
請求項1乃至7いずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記トーンに隣接する第1臨界帯域を特定し、
前記トーンに隣接する第2臨界帯域を特定し、
第1臨界帯域および第2臨界帯域に基づいて、前記トーンについてのプロミネンス率を計算し、
前記プロミネンス率を閾値と比較し、かつ、
前記プロミネンス率が前記閾値を満足しない場合に、前記ゲインを追加するように決定し、
前記ゲインは、前記第1臨界帯域における前記第2音響信号に対する第1ゲイン、および、前記第2臨界帯域における前記第2音響信号に対する第2ゲインを含んでいる、
請求項1乃至7いずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記ゲインは、前記ファン、前記マイクロフォン、または、前記音響トランスデューサのうち少なくとも1つの位置に基づいて調整される、
請求項1乃至9いずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記ゲインは、前記ファン、前記マイクロフォン、および、前記音響トランスデューサの間の相対的な位置決めに基づいて調整される、
請求項1乃至10いずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記ゲインは、カラードノイズを変化させるように調整される、
請求項1乃至11いずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記プロセッサは、
前記電子機器の近くに人間が存在することを示すデータにアクセスし、かつ、
前記存在に基づいて、前記トーンを特定する、
請求項1乃至12いずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記プロセッサは、
前記電子機器のスピーカが使用されている場合を示すデータにアクセスし、前記スピーカは、前記電子機器のユーザに対して音声コンテンツを提供するように配置されており、かつ、
前記スピーカが使用されていない場合に基づいて、前記トーンを特定する、
請求項1乃至13いずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
電子機器のファンのファンノイズを再形成する方法であって、
第1音響信号におけるトーンを特定するステップであり、前記第1音響信号はファンノイズを含んでいる、ステップと、
前記トーンをマスクするために、前記第1音響信号に対して加えるゲインを決定するステップと、
前記ゲインを含む第2音響信号を提供するステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記方法は、さらに、
前記トーンに隣接する臨界帯域を特定するステップと、
前記トーンについてプロミネンス率を計算するステップと、
前プロミネンス率に基づいて、前記ゲインを決定するステップと、
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、さらに、
前記トーンに隣接する第1臨界帯域を特定するステップと、
前記トーンに隣接する第2臨界帯域を特定するステップと、
前1臨界帯域および第2臨界帯域に基づいて、前記トーンについてのプロミネンス率を計算するステップと、
前記プロミネンス率を閾値と比較するステップと、かつ、
前記プロミネンス率が前記閾値を満足しない場合に、前記ゲインを追加するように決定するステップと、
を含み、
前記ゲインは、前記第1臨界帯域における前記第2音響信号に対する第1ゲイン、および、前記第2臨界帯域における前記第2音響信号に対する第2ゲインを含んでいる、
請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は、さらに、
前記ファン、前記第1音響信号を検出するマイクロフォン、または、音響トランスデューサのうち少なくとも1つの位置に基づいて、前記ゲインを調整するステップ、を含む、
請求項15乃至17いずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は、さらに、
前記ファン、前記第1音響信号を検出するマイクロフォン、および、音響トランスデューサの間の相対的な位置決めに基づいて、前記ゲインを調整するステップ、を含む、
請求項15乃至18いずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、さらに、
カラードノイズを変化させるように前記ゲインを調整するステップ、を含む、
請求項15乃至19いずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記方法は、さらに、
前記電子機器の近くに人間が存在することを示すデータにアクセスするステップと、
前記存在に基づいて、前記トーンを特定するステップと、を含む、
請求項15乃至20いずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記方法は、さらに、
前記電子機器のスピーカが使用されている場合を示すデータにアクセスするステップであり、前記スピーカは、前記電子機器のユーザに対して音声コンテンツを提供するように配置されている、ステップと、
前記スピーカが使用されていない場合に基づいて、前記トーンを特定するステップと、を含む、
請求項15乃至21いずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
命令を含むマシン読取り可能記憶媒体であって、
前記命令が実行されると、1つ以上のプロセッサに、請求項15乃至22いずれか一項に記載の方法を実施させる、
マシン読取り可能記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ノイズ減少に関する。そして、より特定的には、電子機器におけるファンノイズを再形成するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの電子機器は、より大きく、より静かな送風機を用いた、より厚いファンを使用することよって、ファンの騒音を低減している。また、いくつかの電子機器は、より低い冷却必要性を要求するように電子機器のパフォーマンスをキャッピング(capping)することにより、ファンによって生成されるノイズレベルを低減している。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】
図1は、一つの例示的な電子機器の概略図である。
【
図2】
図2は、一つの例示的な電子機器のファンの例に係る例示的なノイズスペクトルのプロットである。
【
図3】
図3は、異なるカラードノイズ(color of noise)を説明する周波数の関数としての、例示的なパワースペクトル密度のプロットである。
【
図4A】
図4Aは、
図1の電子機器に係る一つの例示的なファンの上面斜視図であり、一つの例示的な音響トランスデューサの位置を示している。
【
図4B】
図4Bは、
図4Aのファンの上面図であり、例示的なファンハウジングにおける2個の例示的なマイクロフォンを示している。
【
図4C】
図4Cは、
図4Aのファンの上面図であり、ファンハウジングにおける6個の例示的なマイクロフォンを示している。
【
図4D】
図4Dは、
図4Aのファンの上面図であり、トッププレートが取り外され、かつ、1個の例示的な音響トランスデューサを示している。
【
図5A】
図5Aは、
図1の電子機器の例示的なファンの上面斜視図であり、代替の例示的な音響トランスデューサの位置を示している。
【
図5B】
図5Bは、
図4Aのファンの上面図であり、トッププレートが取り外され、かつ、2個の例示的なマイクロフォンを示している。
【
図5C】
図5Cは、
図5Aのファンの上面図であり、トッププレートが取り外され、かつ、代替的な音響トランスデューサを示している。
【
図6】
図6は、この開示の教示に従って、電子機器のファンノイズを再形成するための一つの例示的なシステムのブロック図である。
【
図7A】
図7Aは、高トーンをスムーズ化するために一つの例示的な音響信号に付加された例示的なエネルギを示しているプロットである。
【
図7B】
図7Bは、カラードノイズを変更するために一つの例示的な音響信号に付加された例示的なエネルギを示しているプロットである。
【
図8】
図8は、
図6の例示的なノイズ再形成ジェネレータおよびシステムを実施するために実行することができるマシンで読取り可能な命令を表すフローチャートである。
【
図9】
図9は、
図6の例示的なノイズ再形成ジェネレータおよびシステムを実施するために、
図8の命令を実行するように構成された一つの例示的な処理プラットフォームのブロック図である。
【0004】
図は縮尺通りではない。代わりに、層または領域の厚さを図面で拡大することができる。図は、クリーンな線および境界を有する層および領域を示すが、これらの線及び/又は境界の一部または全部を理想化することができる。実際には、境界及び/又は線は観察不能であり、混合され、かつ/あるいは、不規則である可能性がある。一般に、同一の参照番号は、図面及び添付の書面による説明の全体を通じて、同一又は類似の部分を参照するために使用されている。ここにおいて使用されるように、特に断りのない限り、「上(“above”)」という用語は、地球(Earth)に対する2個の部分の関係を表す。第2部分が地球と第1部分の間に少なくとも1つの部分を有する場合、第1部分は第2部分の上にある。同様に、ここにおいて使用される場合、第1部分が第2部分より地球に近い場合、第1部分は第2部分の「下(“below”)」にある。上述のように、第1部分は、第2部分の上または下にあり得るが、第2部分は、第2部分の間に他の部分がなく、第1部分と第2部分が接触しているか、または、第1部分と第2部分が互いに直接接触していない、のうちの1つ以上を有し得る。この特許において使用されているように、任意の部品(例えば、層、フィルム、面積、領域、または、プレート)が、他の部品上に何らかの方法で配置されている(例えば、上に位置している(positioned)、上に置かれている(located)、上に配置されている(disposed)、または上に形成されている(formed))ことは、参照部品が他の部品と接触しているか、または、参照部品が他の部品の間に1つ以上の中間部品が配置されている他の部品の上にあることを示している。ここにおいて使用される場合、接続参照(connection reference)(例えば、取り付けられ(attached)、結合され(coupled)、接続され(connected)、および、接合される(joined))は、他に示されない限り、接続参照によって参照される要素間の中間部材、及び/又は、それらの要素間の相対的移動を含んでよい。かくして、接続参照は、必ずしも2個の要素が直接的に接続されている、かつ/あるいは、互いに固定された関係にあるとは推論しない。ここにおいて使用されるように、いずれかの部品が他の部品と「接触(“contact”)」していることを記述することは、2個の部品の間に中間の部品が存在しないことを意味すると定義されている。
【0005】
特に指示のない限り、「第1(“first”)」、「第2(“second”)」、「第3(“third”)」といった、記述子は、優先、物理的順序、リスト内の配置、及び/又は、任意の方法の順序を補足すること(imputing)、または、そうでなければ指示することなく、ここにおいて使用されている。しかし、それらは、開示された実施例を容易に理解するために要素を区別するためのラベル、及び/又は、任意の名称として単に使用されているだけである。いくつかの例において、記述子「第1」は、詳細な説明における要素を参照するために使用され得る。一方で、同じ要素は、「第2」または「第3」といった異なる記述子を用いて請求項において参照され得る。そのような場合に、そうした記述子は、例えば、そうでなければ同じ名前を共有する可能性がある、それらの要素を明確に識別するためにのみ単に使用されていることが理解されるべきである。ここにおいて使用されるように、「概ね(“approximately”)」および「約(“about”)」は、製造公差及び/又は他の実世界の不完全性のせいで、正確ではないことがある寸法を指す。ここにおいて使用されるように、「実質的にリアルタイム(“substantially real time”)」は、時間、送信、等のために実世界の遅延が存在し得ることを認識して、瞬間に近い方法における発生を指す。従って、特に指示のない限り、「実質的にリアルタイム」とは、実時間+/-1秒を指す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
ラップトップまたはノートブックといった電子機器は、例えば、冷却のためにファン(fan)またはブロア(blower)を使用し、これにより、システムは、より高い電力で動作し、かつ、より高いパフォーマンスを達成することができる。しかしながら、ファンは音響ノイズ(acoustic noise)を発生する。電子機器のユーザは、特に、電子機器がファンの動作を増加させる重いワークロードを実行しているときには、しばしば、非常にいらいらさせるファンの音響ノイズを感じる。
【0007】
問題であり、または、いらいらさせる音響ノイズの態様は、ノイズのレベル(またはボリューム)およびノイズの厳しさ(または品質)を含む。加えて、カラードノイズ(color of noise)のプロファイルに基づいて、人間のノイズの知覚も、また、変化する。
【0008】
ここにおいて開示される例は、電子機器のファンによって生成される音響ノイズを修正する。ノイズを修正するこの特許のコンテキストでは、電子機器内のファンによって生成されるノイズを、低減し、混合し、キャンセルし、平坦化し、制御し、削減し、スムーズ化し、拡大し、減算し、マスキングし、再形成し、再び色付けし、または、他の方法で変化させることが含まれる。これらの用語は、全体を通して互換的に使用することができる。これらの例は、人間の知覚を改善するためにファンのノイズ特性を制御する。ファンノイズが制御されるので、ここにおいて開示される実施例は、人間のユーザに不快感を与えることなく、増大したファン動作およびノイズを伴い、電子機器をより高い電力で動作させることを可能にする。従って、ノイズ特性の制御は、より高いシステムパフォーマンスを可能にする。
【0009】
図1は、一つの例示的な電子機器100の概略図である。
図1の電子機器100は、ラップトップまたはノートブックコンピュータである。他の例において、電子機器100は、ファンまたはブロワー、もしくはノイズを発生させる他のタイプのデバイスまたはコンポーネントを含む任意のタイプの電子機器であってよい。図示された例の電子機器100は、2個のファン102を含んでいる。
図1は、電子機器100の内部におけるファン102の位置を示す。2個のファン102が示されているが、他の例において、例えば、1個、3個、等を含む異なる数のファンが存在し得る。加えて、ファン102の位置は、電子機器100内の任意の位置にあってよい。
【0010】
電子機器100は、また、例示的なマイクロフォン104も含んでいる。マイクロフォン104は、標準、システム、またはメインのマイクロフォンである。これらのメインマイクロフォン104は、例えば、話しているユーザからの音響信号(acoustic signals)を検出するために使用される。
図1の図示された例において、2個のメインマイクロフォン104が示されているが、他の例において、例えば1個、3個、等を含む異なる数のメインマイクロフォンが存在し得る。加えて、メインマイクロフォン104の位置は、電子機器100内の任意の位置にあってよい。
【0011】
電子機器100は、また、例示的なスピーカ106も含んでいる。スピーカ106は、標準、システム、シャーシ、またはメインスピーカである。これらのメインスピーカ106は、例えば、ユーザによる使用のための音響媒体を含み、電子機器100からの音響信号を提示し、配信し、または、そうでなければ出力するために使用される。
図1の図示された例において、2個のメインスピーカ106が示されているが、他の例において、例えば、1個、3個、等を含む異なる数のメインスピーカが存在し得る。加えて、メインスピーカ106の位置は、電子機器100内の任意の位置にあってよい。
【0012】
図2は、一つの例示的な電子機器のファンの例に係る例示的なノイズスペクトルのプロットである。例えば、
図1の電子機器100のファン102の一方または両方は、
図2のプロットに示す音響信号を生成し得る。
図2のプロットにおいて、バックグラウンドノイズ202は、プロットの底部に沿って、概ね-10デシベル(dB)付近に示されている。典型的なファンノイズが、例示的な音響信号204で示されている。このファンノイズは、例えば、電子機器100のファン102によって生成され得る。この例において、約1000ヘルツ(Hz)と約2000Hzの間の音響信号204において現れる高ピッチトーン(high pitch tones)が存在している。このような高ピッチトーンは、人間をいらいらさせる(irritating)。他の例において、音響信号204は、人間をいらいらさせる低ピッチトーン(low pitch tones)を有し得る。例えば、約10Hzから約200Hzまでの低ピッチトーンは、人をいらいらさせることがある。低ピッチトーンは、電子機器100のコンポーネントのうちの1つ以上によって生成され得る。ここにおいて開示されているいくつかの例は、高トーンをマスクする観点から説明されているが、これらの例は、音響信号を平坦化(flatten)し、かつ、高ピッチトーン及び/又は低ピッチトーンをマスクするために使用され得る。
【0013】
図3は、異なるカラードノイズ(color of noise)を説明する周波数の関数としての、例示的なパワースペクトル密度のプロットである。カラードノイズは、ノイズ信号のパワースペクトルを指す。異なるカラードノイズは、人の耳に対して異なって響く。ここにおいて開示された例は、より良好な人間の知覚のために、ピンクのノイズに向かって音響信号を、再カラー化(recolor)、または、そうでなければ変更するために使用することができる。いくつかの例において、ここにおいて開示されているように、音響信号204を再カラー化するために、エネルギが音響信号204に加えられる。
【0014】
図4Aは、
図1の電子機器100に係る一つの例示的なファンの上面斜視図であり、一つの例示的な音響トランスデューサの位置を示している。ファン102は、例示的なカバーまたはトッププレート404、および、例示的なハウジング406を含んでいる。いくつかの例において、ファンのトッププレート404は、約0.5ミリメートル(mm)の厚さを有している。ファン102は、また、ファンブレード408も含んでいる。トップカバー404およびハウジング406は、ファンブレード408を、例えば、ほこり(dust)といった異物から保護し、または、ファンブレード408に対する異物の影響を最小限にする。ファンブレード408は、電子機器100のコンポーネントによって生成される熱を消散させるために、回転するとエアフロー(air flow)を生成する。
【0015】
ファン102は、また、ファン102を電子機器100の他のコンポーネントに接続するリード線も含んでいる。
図4Aの図示された例において、リード線は、フレキシブルプリント回路(PFC)410上に具現化されている。PFC410は、ファン102を、例えば、
図6のコンポーネントのうちの1つ以上といった、例えば、処理コンポーネントに対して通信可能に結合する。
【0016】
図4Bは、
図4Aのファン102の上面図であり、トッププレート404内の2個の例示的なマイクロフォン412を示している。メインマイクロフォン104を区別するために、ファン102のトッププレート404内のマイクロフォン412は、この説明ではファンマイクロフォン(fan microphone)として参照される。しかしながら、請求項において、コンポーネントは、マイクロフォンとして参照され得る。ファンマイクロフォン412は、ファン102からの音響信号を収集する。いくつかの例において、ファンマイクロフォン412は、マイクロフォンボード414に結合されており、マイクロフォンボードは、ファンマイクロフォン412をPFC410に結合するフレキシブル回路ボードである。図示された例において、ファンマイクロフォン412は、ファン102の水切り機構(cutwater feature)または領域416に配置されている(
図4Eも参照のこと)。水切り領域416は、ファン102における舌状機構(tongue feature)である。水切り領域416は、空気圧縮に使用され、そして、ファンノイズが主に生成される場所である。いくつかの例において、水切り領域416は、最大またはピークノイズが観測される場所である。いくつかの例において、ファンマイクロフォン412は、また、例えば、ファンノイズパターンがほこり又はロータ故障のせいで異常である場合といった、電子機器100のシャーシの内側のシステムコンポーネントノイズを監視(monitor)するために使用されている。いくつかの例において、ファンマイクロフォン412は、電子機器100内の他の高周波ノイズを測定する。例えば、ファンマイクロフォン412は、例えば、鳴っている(singing)コンデンサ、電源、といったシステムノイズ、及び/又は、ノイズ、もしくは、メインマイクロフォン104の信号対ノイズ比を劣化させる他のコンポーネントを聞くことができる。従って、ファンマイクロフォン412によって集められた音響信号の分析および操作は、メインマイクロフォン104の品質の改善を促進する。
【0017】
図4Bの例においては、2個のファンマイクロフォン412が示されているが、他の例において、例えば、1個、3個、4個、等、他の数のファンマイクロフォン412が使用されてよい。他の例において、もっと多くてよいだろう。例えば、
図4Cの例におけるファン102は、トッププレート404に6個のファンマイクロフォンを含んでいる。
図4Cの例においては、ファンマイクロフォン412がファンブレード408の周囲に配置されている。いくつかの例においては、1個以上のファンマイクロフォン412が、ファンブレード408の接線方向に配置されている。ファンマイクロフォン412の他の配置および配向を実施することができる。
【0018】
図4Dは、トッププレート404を取り外した
図4Aのファン102の上面図である。
図4Dのビューは、音響トランスデューサ402を示している。図示された例において、音響トランスデューサ402は、例えば、ダイナミックスピーカまたはスピーカドライバといったスピーカである。音響トランスデューサ402は、ファンノイズを再形成するために、音響エネルギまたは信号を送出する。いくつかの例において、音響トランスデューサ402は、例示的なスピーカの周囲またはスポンジ418に隣接し、かつ/あるいは、囲まれている。スピーカスポンジ418は、音響トランスデューサ402が動作するときに、振動の影響を緩和し、または、減衰させる。
【0019】
以下に開示されるように、ファンマイクロフォン412は、ファンノイズを検出し、ファンノイズは、高ピッチトーン、または、ノイズ及び/又は酷いノイズを特定するために解析される。この解析は、より良い人間の知覚のために、高ピッチノイズをブレンドし、拡散し、または、再形成するために使用され得る、ノイズ再形成信号を生成するためのアルゴリズムの適用を含んでいる。ファンノイズを再形成するために使用されるノイズ再形成信号は、音響トランスデューサ402によって生成される。再形成されたファンノイズは、高ピッチトーンをマスクし、そして、ユーザにとってより審美的に快適である。図示された例において、音響トランスデューサ402は、水切り領域416内に配置され、発生源におけるノイズを制御し、キャンセルし、かつ/あるいは、再形成するために、水切り領域内のノイズ発生源においてノイズ再形成信号を誘導することを促進する。
【0020】
図4Eは、
図4Aのファン102の分解図である。トッププレート404は、ファンマイクロフォン412およびマイクロフォンボード414を収容する凹部(recess)420を含んでいる。図示された例においては、2個のファンマイクロフォン412を収容する1個の凹部420存在している。他の例においては、凹部420内に含まれる追加のファンマイクロフォンが存在している。他の例において、各ファンマイクロフォン412は、それ自身の凹部420を有している。ファン102は、また、ボトムプレート422を含んでいる。いくつかの例において、ファンマイクロフォン412およびマイクロフォンボード414は、ボトムプレート422に結合されているか、または、ボトムプレート422内に配置されている。
【0021】
ファンハウジング406は、音響トランスデューサ402のための凹部424を含んでいる。この例において、凹部424は、音響トランスデューサ402がファンノイズの発生源、もしくは、ファンノイズの主発生源または領域に近接するように、水切り領域416内にある。加えて、図示された例において、ファンハウジング406の水切り領域416は、非機能性プラスチックの壁で構成されている。いくつかの例において、音響トランスデューサ402を水切り領域416内に配置することは、ファン102のサイズを大きくすることを必要としない。いくつかの例において、ファン102は、3-5mmの幅の増加を有し得る。他の例において、音響トランスデューサ402のサイズは、ファン102の幅の変化を避けるために小さくされる。また、いくつかの例において、音響トランスデューサ402は、ファン102の外部に、かつ、隣接して配置されてもよい。
【0022】
図5Aは、
図1の電子機器100の例示的なファン102の上面斜視図であり、代替の例示的な音響トランスデューサ502の位置500を示している。
図5Bは、
図4Aのファン102の上面図であり、トッププレート404が取り外され、かつ、音響トランスデューサ502に対する2個の例示的なファンマイクロフォン412の位置を示している。
図5Cは、
図5Aのファン102の上面図であり、トッププレート404が取り外され、かつ、代替的な音響トランスデューサ502を示している。この例において、音響トランスデューサ502は、バランスドアーマチュア(balanced armature)である。バランスドアーマチュア502は、小型化されたサイズを有し、ファン102のサイズを増加させることなく、ファン102の中へ容易に組み込まれる。
【0023】
バランスドアーマチュア502は、
図5A-
図5Dの例において、水切り領域416に配置されている。
図5Dは、
図5Aのファン102の分解図であり、かつ、バランスドアーマチュア502を保持するためのファンハウジング406内の凹部504を示している。他の例において、バランスドアーマチュア502は、ファン102内の異なる位置に配置されてよく、または、ファン102に隣接して、かつ/あるいは、外部に配置されてもよい。ここにおいて開示される例は、例えば、ダイナミックスピーカ及び/又はバランスドアーマチュアといった音響トランスデューサを含んでいる。他の例においては、他の音響トランスデューサが、例えば、代替的または追加的に、例えば、水切り領域でノイズを差し引き、または、再形成するのに十分に強力な他のタイプの音響トランスデューサとして使用されてよい。
【0024】
図6は、この開示の教示に従って、電子機器のファンノイズを再形成するための一つの例示的なシステム600のブロック図である。例示的なシステム600は、電子機器100の中に組み込まれてよい。例示的なシステムは、1つ以上の例示的な人間存在センサ602と、1つ以上のメインスピーカ106と、1つ以上の音響トランスデューサ402、502と、1つ以上のメインマイクロフォン104と、1つ以上のファンマイクロフォン412と、そして、例示的なノイズ再形成信号発生器604と、を含んでいる。ノイズ再形成信号発生器604は、例示的なトランシーバ606、例示的なアナライザ608、例示的なデータベース610、例示的な比較器612、例示的なトーン識別器614、例示的な計算器616、および、例示的な信号調整器618を含んでいる。
【0025】
人間存在センサ602は、電子機器100に人間が存在しているかを検出する。人間存在センサ602は、人間の存在または不存在を示す信号及び/又はデータを生成する。人間が存在しない場合、ノイズ再形成信号発生器604は、ファンノイズによっていらいらさせられる人間が存在しないので、ファンノイズを再形成するように動作しない。いくつかの例において、人間存在センサ602は、電子機器100の蓋が開いた位置または閉じた位置を検出する。そうした例において、人間の存在は、蓋の開放位置に基づいて仮定され得る。いくつかの例において、人間存在センサ602は、人がカメラの視野内に存在するか否かを検出するユーザ対向カメラを含んでいる。いくつかの例において、人間存在センサ602は、ユーザ対向カメラの隣にカメラを含んでいる。いくつかの例において、人間存在センサ602は、低解像度カメラを含んでいる。いくつかの例において、人間存在センサ602は、時間を追跡するためのクロックを含んでいる。人間存在センサ602は、人間存在センサ602が人間の存在をもはや検出しない閾値時間の後で、人間が存在しないことを示すことができる。ノイズ再形成信号発生器604は、トランシーバ606を介して、人間存在センサ602からの信号及び/又はデータを受信する。
【0026】
メインスピーカ106は、また、トランシーバ606を介してノイズ再形成信号発生器604に対して通信可能に結合されている。アナライザ608は、メインスピーカ106が使用されているか否かを判定する。例えば、アナライザ608は、メインスピーカ106がユーザに音声コンテンツ(audio content)を出力しているか否かを決定する。メインスピーカ106がユーザに音声コンテンツを出力している場合、ノイズ再形成信号発生器604は、ファンノイズを再形成するように動作しない。なぜなら、ファンノイズは、メインスピーカ106から発生する音声コンテンツによって不明瞭にされ、または、おそらく不明瞭にされるからである。この動作モードでは、ファンノイズは、ユーザをいらいらさせない可能性が高い。
【0027】
ノイズ再形成信号発生器604がファンノイズを再形成するように動作すると、ファンマイクロフォン412は、ファン102からファンノイズを含む音響信号を収集し、そして、トランシーバ606を介して、信号をノイズ再形成信号発生器604に通信する。いくつかの例において、メインマイクロフォン104は、また、ファンノイズを含み得る音響信号も収集する。このような例において、メインマイクロフォン104は、トランシーバ606を介して、信号をノイズ再形成信号発生器604に通信する。
【0028】
ノイズ再形成動作のために、アナライザ608は、電子機器100のワークロード入力を決定する。例えば、アナライザ608は、中央処理ユニット(CPU)の電力レベルを決定またはアクセスする。いくつかの例において、アナライザ608は、基本入力/出力システム(BIOS)テーブル、または、ファンノイズをパルス幅変調(PWM)測定値と相関させる他のデータ構造にアクセスする。このデータまたはテーブルは、PWM設定(ファン速度設定)に対するラフ(rough)ノイズレベルの事前較正(pre-calibration)によって生成される。このテーブルは、電子機器100で予想されるラフノイズレベルを与える。例示的なテーブルは、以下を含んでいる。
【表1】
CPUのパワーレベルは、ワークロードに基づいて動的に設定される。パワーレベルが高いほど、ファンの速度が速くなり、ノイズが多くなる。この情報を用いて、アナライザ608は、ベースラインファンノイズを推定する。アナライザ608は、また、メインマイクロフォン104及び/又はファンマイクロフォン412から受信した信号に基づいて、バックグラウンドまたは環境ノイズを決定する。
【0029】
比較器612は、推定された環境ノイズとベースラインファンノイズとを比較する。アナライザ608は、比較に基づいて、システムの問題または異常があるか否かを判定する。他の例において、アナライザ608は、比較に基づいて、再形成のためのノイズ信号を特定する。例えば、環境ノイズを超えるファンノイズは、再形成のためのノイズ信号の候補となり得る。
【0030】
トーン識別器614は、ファンノイズにおける高ピッチトーンを識別する。信号に対しする高ピッチトーンの例が
図2に示されている。高ピッチトーンは、再形成のためのノイズ信号の候補である。従って、いくつかの例においては、全てのファンノイズが再形成されるべきである。いくつかの例においては、環境ノイズを超えるファンノイズが再形成される。いくつかの例においては、高ピッチトーンが再形成されるべきである。上記に開示したように、これらの実施例は、また、低ピッチトーンにも適用可能である。
【0031】
計算器616は、信号を再形成し、ノイズによって生じるいらだちを緩和するように信号を再形成し、かつ、ノイズをブレンドするために、ファンノイズ信号に対して追加するゲインを決定する。計算器616によって決定されたゲインを伴う信号は、音響トランスデューサ402、502によって生成される。いくつかの例において、この信号は、ファンマイクロフォン412(及び/又は、メインマイクロフォン104)から収集された信号の高速フーリエ変換(FFT)の関数であり、かつ、ターゲットノイズ応答である。いくつかの例において、ターゲットノイズ応答は、ピンクノイズまたはホワイトノイズである。いくつかの例において、計算器616は、元の振幅と、ファンマイクロフォン412(及び/又は、メインマイクロフォン104)から集められた信号のBIOSテーブルデータ、システム電力、およびFFTの関数との積としてゲイン(振幅(amplitude))を計算する。
【0032】
いくつかの例において、アナライザ608は、高ピッチトーンの周りの臨界帯域(critical band)を特定する。計算器616は、プロミネンス率(prominence ratio、PR)プロミネンス率を計算する。PRは、トーンが顕著であるか否かを示すパラメータである。すなわち、PRは、周囲のトーンと比較したトーンの相対レベルを示している。このパラメータは、マシン(例えば、電子機器100のファン102)によって放射される、例えば、中間周波数トーンまたは高周波数トーン(例えば、1000Hzを超える)といったトーンが、ユーザに迷惑になり得る場合に、決定または判断するために使用される。いくつかの例において、PRは式1に基づいて決定される。
【数1】
ここで、AとCは、特定されたトーンBを取り囲む臨界帯域である。言い換えれば、プロミネンス率は、トーン臨界帯域レベル(B)と平均化された隣接する臨界帯域(AとC)とのデシベル差である。
【0033】
比較器612は、PRを閾値レベルと比較する。PRが、閾値を超えているか、または、閾値を満たしていない場合、特定されたトーンはユーザに迷惑をかける可能性がある。いくつかの例において、閾値は9dBである。例えば、問題のあるバンド(B)が隣接するバンド(AとC)よりも9dB以上のレベルを有する場合、そのバンドはユーザを不快にさせることになる。
【0034】
PRが閾値デシベルレベル未満である場合、アナライザ608は、ファンノイズの再形成が必要とされないと判断することができる。PRが閾値よりも大きい場合、計算器616は、PRが閾値よりも小さくなるように、臨界帯域の少なくとも1つのゲインを決定する。いくつかの例において、アナライザ608は、ファン102の位置及び/又は音響トランスデューサ402、502の位置に基づいて、ゲインを調整する。例えば、ゲインは、ファン102、音響トランスデューサ402、502、及び/又は。ファンマイクロフォン412(及び/又は、メインマイクロフォン104)のうちの2個以上の間の相対位置に基づいて調整され得る。
【0035】
いくつかの例において、アナライザ608は、許容可能なノイズ閾値を考慮する。許容可能なノイズ閾値は、ユーザにとって許容可能か、または、いらいらさせないノイズのレベルである。いくつかの例において、許容可能なノイズ閾値は、ファン102、マイクロフォン104、スピーカ106、ファンマイクロフォン412、音響トランスデューサ402、502、及び/又は、電子機器102の他のコンポーネントのうちの1個以上の相対的な位置、動作能力、および動作状態に基づく、音響信号の正味の(net)ゲインに基づいている。アナライザ608は、許容可能なノイズ閾値に基づいて、ゲイン、またはマスキングノイズ、もしくはエネルギを調整することができる。従って、いくつかの例において、電子機器100のファンノイズを再形成するシステム600は、ユーザに許容可能なノイズ閾値に基づいて、電子機器100のパフォーマンスを最適化することができる。例えば、より高い許容可能なノイズ閾値が存在する場合、電子機器100は、より高いパフォーマンスで動作することができる。
【0036】
信号調整器618は、ファンノイズを再形成するために生成されるべきゲイン、またはマスキングノイズ、もしくはエネルギのための信号または命令を生成する。ノイズ再形成信号発生器604は、トランシーバ606を介して、ゲイン、またはマスキングノイズ、もしくはエネルギの信号または命令を音響トランスデューサ402、502に送信する。音響トランスデューサ402、502は、ゲインを含む音響信号を生成し、ファンノイズを再形成する。いくつかの例において、メインスピーカ106は、ノイズを再形成する音響信号を生成するために、音響トランスデューサ402、502に加えて、または、代替として使用される。音響トランスデューサ402、502およびメインスピーカ106の両方を使用する場合、ノイズ再形成信号発生器604は、一方のセットのスピーカ(例えば、ファン102の上または近傍の音響トランスデューサ402、502)、または他方のセットのスピーカ(例えば、システムシャーシのメインスピーカ106)、もしくは両方のセットを使用することによって、異なるレベルの微調整を達成することができる。
【0037】
従って、例示的なシステム600は、ファンマイクロフォン412及び/又はメインマイクロフォン104、および、音響トランスデューサ402、502及び/又はメインスピーカ106を使用して、意図的に形成された音響波形を生成し、既存のファンノイズの中へブレンドする。その結果として生じる音響信号は、人間のより良い知覚のために、より不快でないノイズである。ノイズは再形成され得るので、ここにおいて開示された実施例は、より多くのファンノイズを可能にし、それは、電子機器100のより高いパフォーマンスを可能にする。
【0038】
図7Aは、高トーンをスムーズ化するために一つの例示的な音響信号に付加された例示的なエネルギを示しているプロットである。
図7Bは、カラードノイズを変更するために一つの例示的な音響信号に付加された例示的なエネルギを示しているプロットである。これらの実施例に示されるように、音響トランスデューサ402、502によって付加されるエネルギは、高ピッチトーンをブレンドまたは拡散する。
図7Aは、ファンノイズを示しており、高ピッチトーン(約1000Hz)は、人間の知覚に対していらいらさせるノイズである。これらの実施例において、メインマイクロフォン104及び/又はファンマイクロフォン412を含むシステム600は、ファンノイズを検出する。アナライザ608は、関心対象の高ピッチノイズを特定するためにここにおいて開示されるアルゴリズムを使用する。そして、計算器616は、この高ピッチ信号をブレンドして平坦化するために必要な信号を決定する。より良好な人間の知覚のために、音響トランスデューサ402、502及び/又はメインスピーカ106は、信号を出力し、かつ、追加の周波数信号を含むことができ、または、カラードノイズ(
図7B)をピンクノイズに向けてプッシュ(push)する。
【0039】
いくつかの例において、ファンノイズスペクトルで1000Hzより大きい1つの支配的な周波数は、ブレード通過周波数(blade passing frequency、BPF)である。BPFはファンのブレード数と1秒間の回転数の積である。ここにおいて開示される例は、ファン102の速度からBPFを追跡し、臨界帯域AおよびCを特定し、次いで、PRが9dB未満になるように、臨界帯域のレベルを最適レベルまで上げることができる。
【0040】
図6の例示的な実施例において、システム600は、音響信号を処理するための手段を含む。この例において、処理手段は、ソフトウェアまたはファームウェアを実行することによって、対応する動作を実行するように構成された任意のプロセッサにより、もしくは、ソフトウェアまたはファームウェアを実行することなく、対応する動作を実行するように構成されたハードウェア回路(例えば、個別及び/又は集積アナログ及び/又はデジタル回路、FPGA、PLD、FPLD、ASIC、比較器、演算増幅器(オペアンプ)、論理回路、等)よって実装されるが、他の構造も同様に適切である。いくつかの例において、ノイズ再形成信号発生器604は、処理手段を実装する。
【0041】
ノイズ再形成信号発生器604を実施する例示的な方法が
図6に示されているが、
図6に示された要素、プロセス、及び/又は、デバイスのうちの1つ以上は、任意の他の方法で組み合わされ、分割され、再配置され、省略され、除去され、かつ/あるいは、実施され得る。さらに、
図6の例示的な人間存在センサ602、例示的なトランシーバ606、例示的なアナライザ608、例示的な比較器612、例示的なトーン識別器614、例示的な計算器616、例示的な信号調整器618、及び/又は、より一般的には、例示的なノイズ再形成信号発生器604は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又は、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアの任意の組み合わせによって実装され得る。従って、例えば、例示的な人間存在センサ602、例示的なトランシーバ606、例示的なアナライザ608、例示的な比較器612、例示的なトーン識別器614、例示的な計算器616、例示的な信号調整器618、及び/又は、より一般的には、例示的なノイズ再形成信号発生器604は、1つ以上のアナログまたはデジタル回路、論理回路、プログラマブルプロセッサ、プログラマブルコントローラ、グラフィックス処理ユニット(GPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、及び/又は、フィールドプログラマブル論理デバイス(FPLD)によって実装され得る。純粋にソフトウェア及び/又はファームウェアの実装をカバーするために、この特許に係る装置またはシステムの請求項のいずれかを読む場合、例示的な人間存在センサ602、例示的なトランシーバ606、例示的なアナライザ608、例示的な比較器612、例示的なトーン識別器614、例示的な計算器616、例示的な信号調整器618、及び/又は、例示的なノイズ再形成信号発生器604のうちの少なくとも1つは、メモリ、デジタル多用途ディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、等といった、非一時的なコンピュータ読取り可能なストレージ装置または記録ディスクを含むように、ここに明示的に定義されており、ソフトウェア及び/又はファームウェアを含んでいる。さらに、なおも、
図6の例示的なノイズ再形成信号発生器604は、
図6に示されたものに加えて、または、その代わりに、1つ以上の要素、プロセス、及び/又は、デバイスを含んでよく、かつ/あるいは、図示された要素、プロセス、およびデバイスのいずれか1つ、または、全てを含んでよい。ここにおいて使用されるように「通信において(“in communication”)」という語句は、その変形を含めて、直接通信、及び/又は、1つ以上の中間コンポーネントを介した間接通信を包含しており、そして、直接的な物理的(例えば、有線)通信及び/又は常時通信を必要としないが、むしろ、周期的な間隔(インターバル)、スケジュールされた間隔、非周期的な間隔、及び/又は、1回限りのイベントでの選択的通信を追加的に包含する。
【0042】
図6のシステム600を実施するための例示的なハードウェア論理、マシン読取り可能命令、ハードウェア実装状態機械、及び/又は、それらの任意の組み合わせに係るフローチャートが、
図8に示されている。マシン読取り可能命令は、コンピュータプロセッサ及び/又はプロセッサ回路による実行のための実行可能プログラムの1つ以上の実行可能プログラムまたは部分、例えば、
図9に関連して後述する例示的なプロセッサプラットフォーム900に示されるプロセッサ912であってよい。プログラムは、CD-ROM、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードドライブ、DVD、ブルーレイ(登録商標)ディスク、またはプロセッサ912に関連するメモリといった非一時的コンピュータ読取り可能な記憶媒体上に保管されたソフトウェアで実現することができるが、プログラム全体及び/又はその一部は、代わりに、プロセッサ912以外のデバイスによって実行され、かつ/あるいは、ファームウェアまたは専用ハードウェアで実装され得る。さらに、例示的なプログラムは、
図8に示すフローチャートを参照して説明されているが、例示的なシステム600及び/又はノイズ再形成信号発生器604を実施する多くの他の方法を代替的に使用することもできる。例えば、ブロックの実行順序は変更されてよく、かつ/あるいは、説明したブロックのいくつかは変更、削除、または組み合わせされてよい。追加的または代替的に、ブロックの一部または全部は、ソフトウェアまたはファームウェアを実行することなく、対応する動作を実行するように構成された1つ以上のハードウェア回路(例えば、個別及び/又は集積アナログ及び/又はデジタル回路、FPGA、ASIC、比較器、演算増幅器(オペアンプ)、論理回路、等)によって実装されてよい。プロセッサ回路は、異なるネットワーク位置に分散されていてよく、かつ/あるいは、1つ以上のデバイス(例えば、単一マシンにおけるマルチコアプロセッサ、サーバラックにわたり分散された複数プロセッサ、等)にローカルに分散されていてもよい。
【0043】
ここにおいて説明されるマシン読取り可能命令は、圧縮フォーマット、暗号化フォーマット、フラグメント化フォーマット、コンパイルされたフォーマット、実行可能フォーマット、パッケージ化フォーマット、等のうちの1つ以上に保管されてよい。ここにおいて説明されるマシン読取り可能命令は、データ、または、マシン実行可能な命令を作成、製造、及び/又は、生成するために利用され得るデータ構造(例えば、命令の部分、コード、コードの表現、等)として保管され得る。例えば、マシン読取り可能命令は、フラグメント化され、そして、ネットワークまたはネットワークの集合(例えば、クラウド、エッジデバイス、等)の同一または異なる場所に配置された1つ以上のストレージ装置及び/又はコンピューティングデバイス(例えば、サーバ)に保管され得る。マシン読取り可能命令は、コンピュータデバイス及び/又は他のマシンによって直接的に読取り可能、解釈可能、及び/又は、実行可能にするために、インストール、修正、適応、更新、組合せ、補足、構成、復号、解凍、展開、配布、再割当て、コンパイル、等のうちの1つ以上を必要とし得る。例えば、マシン読取り可能命令は、個別に圧縮され、暗号化され、そして、別々のコンピューティングデバイスに保管される、複数の部分に保管されてよい。ここで、その部分は、復号され、解凍され、組合わされたときに、一緒にここにおいて説明されたようなプログラムを形成することができる1つ以上の機能を実装する実行可能命令のセットを形成する。
【0044】
別の例において、マシン読取り可能命令は、それらがプロセッサ回路によって読み取られ得る状態で保管されてよいが、特定のコンピューティングデバイスまたは他のデバイス上で命令を実行するために、ライブラリ(例えば、ダイナミックリンクライブラリ(DLL))、ソフトウェア開発キット(SDK)、アプリケーション・プログラミング・インターフェイス(API)、等の追加を必要とする。別の例において、マシン読取り可能命令(例えば、保管された設定、データ入力、記録されたネットワークアドレス、等)は、マシン読取り可能命令及び/又は対応するプログラムが、全体的または部分的に実行される前に、構成される必要がある場合がある。従って、ここにおいて使用されるマシン読取り可能媒体は、保管されるか、もしくは、それでなければ静止時または輸送中の場合に、マシン読取り可能命令及び/又はプログラムの特定のフォーマットまたは状態にかかわらず、マシン読取り可能命令及び/又はプログラムを含むことができる。
【0045】
ここにおいて説明されるマシン読取り可能命令は、過去、現在、または将来の命令言語、スクリプト言語、プログラミング言語、等によって表すことができる。例えば、マシン読取り可能命令は、C、C++、Java、C#、Perl、Python、JavaScript、Hyper Text Markup Language(HTML)、構造化照会言語(SQL)Swift、等のいずれかの言語を使用して表すことができる。
【0046】
上述のように、
図8の例示的なプロセスは、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、リードオンリーメモリ、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ、及び/又は、情報が任意の持続期間(例えば、延長された期間について、永久に、短いインスタンスのために、一時的なバッファリングのために、及かつ/あるいは、情報をキャッシュするために)保管される任意の他のストレージデバイスまたは記録ディスクといった、非一時的コンピュータ及び/又はマシン読取り可能媒体に保管される実行可能な命令(例えば、コンピュータ及び/又はマシン読取り可能命令)を使用して実施されてよい。ここにおいて使用されるように、用語「非一時的コンピュータ読取り可能媒体(non-transitory computer readable medium)」は、任意のタイプのコンピュータ読取り可能ストレージ装置及び/又は記録ディスクを含み、そして、伝搬信号を排除し、かつ、伝送媒体を排除するように明確に定義されている。
【0047】
「含む(“including”)」および「有する(comprising)」(および、その全ての形式とテンス(tense))は、ここにおいて、オープンエンドの用語として使用されている。従って、請求項が「含む」または「有する」(例えば、comprise、includes、comprising、including、having、等)のいずれかの形式をプリアンブルとして、または、あらゆるタイプの請求項の記載(recitation)内で使用する場合、追加的な要素、用語、等は、対応する請求項または記載の範囲を超えることなく存在し得ることが理解される。ここにおいて使用されるように、例えば、請求項のプリアンブルにおいて「少なくとも(“at least”)」という用語が遷移項(transition term)として使用される場合、「含む」および「有する」という用語がオープンエンドであるのと同じ方法でオープンエンドとされる。用語「及び/又は(“and/or”)」は、例えば、A、B、及び/又はCといった形式で使用される場合、(1)A単独、(2)B単独、(3)C単独、(4)AとB、(5)AとC、(6)BとC、そして、(7)AとBとC、といったA、B、Cの任意の組合せ又はサブセットを指す。ここにおいて使用されるように、構造、コンポーネント、アイテム、オブジェクト、及び/又は物を記述するコンテキストにおいて、「AおよびBのうちの少なくとも1つ(“at least one of A and B”)」という用語は、(1)少なくとも1つのA、(2)少なくとも1つのB、そして、(3)少なくとも1つのAおよび少なくとも1つのB、のうちのいずれかを含む実装を指すように意図されている。同様に、ここにおいて使用されるように、構造、コンポーネント、アイテム、オブジェクト、及び/又は物を記述するコンテキストにおいて、「AまたはBのうちの少なくとも1つ(“at least one of A or B”)」という用語は、(1)少なくとも1つのA、(2)少なくとも1つのB、そして、(3)少なくとも1つのAおよび少なくとも1つのB、のうちのいずれかを含む実装を指すように意図されている。ここにおいて使用されるように、プロセス、命令、アクション、動作、及び/又はステップの実行または実行を記述するコンテキストにおいて、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」という用語は、(1)少なくとも1つのA、(2)少なくとも1つのB、そして、(3)少なくとも1つのAおよび少なくとも1つのB、のうちのいずれかを含む実装を指すように意図されている。同様に、ここにおいて使用されるように、プロセス、命令、アクション、動作、及び/又はステップの実行または実行を記述するコンテキストにおいて、「AまたはBのうちの少なくとも1つ」という用語は、(1)少なくとも1つのA、(2)少なくとも1つのB、そして、(3)少なくとも1つのAおよび少なくとも1つのB、のうちのいずれかを含む実装を指すように意図されている。
【0048】
ここにおいて使用されるように、単数形の参照(例えば、「一つ(“a”、“an”)」、「第1(“first”)」、「第2(“second”)」、等)は、複数を除外しない。用語「一つ(“a”または“an”)」は、ここにおいて使用されるように、そのエンティティの1つ以上を指す。用語「一つ(“a”)」(または、「一つ(“an”)」)、「1つ以上(“one or more”)」、および「少なくとも1つ(“at least one”)」は、ここにおいては互換的に使用され得る。さらに、個々に列挙されているが、複数の手段、要素、または方法動作は、例えば、単一のユニットまたはプロセッサによって、実装され得る。加えて、個々の特徴は、異なる実施例または請求項に含まれ得るが、これらは、組み合わされ得るものであり、そして、異なる実施例または請求項に含まれることは、特徴の組み合わせが実行可能及び/又は有利でないことを意味するものではない。
【0049】
図8のプログラム800は、電子機器100の前に人間が存在するか否かを検出する(ブロック802)の人間存在センサ602を含む。電子機器100における人間は、
図6の例示的なシステム600が、いらいらさせるファンノイズをマスクすることによってユーザの体験を向上させるために、ファンノイズを再形成するように実装され得ることを示している。いくつかの例において、アナライザ608は、ノイズ再形成信号発生器604に提供された、または、収集されたデータに基づいて、人間が存在するか否かを決定する。人間が存在しない場合、ノイズ再形成信号発生器604およびシステム600は、一般的に、再成形ファンノイズに対して何の動作もしない(ブロック804)。
【0050】
人間が存在する場合(ブロック802)、アナライザ608は、電子機器100のメインスピーカ106のうちの1つ以上が使用されているか否かを判断する(ブロック806)。1つ以上のメインスピーカ106が使用されている場合、電子機器100のユーザは、おそらく、音響メディアを消費しており、そして、ファンノイズが不明瞭にされるだろう。メインスピーカ106が使用されている場合、ノイズ再形成信号発生器604およびシステム600は、一般的に、再成形ファンノイズに対して何も動作しない(ブロック804)。
【0051】
メインスピーカ106が使用されていない場合、アナライザ608は、電子機器100のワークロード、動作電力レベル、またはCPU電力レベルにアクセスする(ブロック808)。アナライザ608は、電子機器100のワークロードまたは動作電力レベルに基づいて、ベースラインファンノイズを推定する(ブロック810)。
【0052】
ファンマイクロフォン412は、環境ノイズを検出する(ブロック812)。例えば、ファンマイクロフォン412は、ファン102におけるバックグラウンドノイズを検出する。いくつかの例において、メインマイクロフォン104は、ファンマイクロフォン412から収集されたデータを補足する。他の例においては、メインマイクロフォン104が、ファンマイクロフォン412の代わりに使用されている。
【0053】
比較器612は、環境ノイズをベースラインファンノイズと比較する(ブロック814)。トーン識別器614は、高ピッチトーンを特定する(ブロック816)。いくつかの例において、トーン識別器614は、ファンノイズ信号の高ピッチトーンを特定する。いくつかの例において、トーン識別器614は、ファンノイズと、環境ノイズまたはバックグラウンドノイズとの比較において、高ピッチトーンを特定する。
【0054】
アナライザ608は、特定された高ピッチトーンの周りの臨界帯域を特定する(ブロック818)。計算器616は、特定された高ピッチトーンおよび臨界帯域に基づいてプロミネンス率を計算する(ブロック820)。いくつかの例において、計算器616は、式1を使用して、PRを決定する。
【0055】
比較器612は、PRを閾値と比較する(ブロック822)。PRが閾値以下であるか、または、そうでなければ閾値を満たさない場合、アナライザ608は、ファンノイズ信号が再形成されないと判断することができる。例示的なプロセス800は、続行し、アナライザ608は、別の高ピッチトーンが特定されるべきかを判断する(ブロック824)。別の高ピッチトーンが特定されるべきである場合、トーン識別器は、別の高ピッチトーンを特定して(ブロック816)、プロセス800は、上述のように進行する。アナライザ608が、別のトーンが特定されないと判断した場合、プロセス800は終了する。
【0056】
PRが閾値を上回るか、そうでなければ満たす場合(ブロック822)、計算器は、PRが閾値を下回るように、臨界帯域の少なくとも1つについてゲインを決定する(ブロック826)。いくつかの例において、アナライザ608は、ファン位置及び/又は音響トランスデューサ位置に基づいてゲインを調整すべきかを決定する(ブロック828)。ゲインは調整されるべきであり、アナライザ608は、ファン102の位置及び/又は音響トランスデューサ402、502の位置に基づいてゲインを調整する(ブロック830)。
【0057】
アナライザ608が、ゲインが調整されるべきでないと判断した場合(ブロック828)、または、ゲインが調整された後(ブロック830)で、信号調整器618は、生成されるゲイン、またはマスキングノイズ、もしくはエネルギについて信号または命令を生成し、ファンノイズを再形成する。音響トランスデューサ402、502は、ゲインを含む音響信号であるマスキングノイズを生成し、ファンノイズを再形成する(ブロック832)。
【0058】
例示的なプロセス800は、続行し、アナライザ608は、別の高ピッチトーンが特定されるべきかを決定する(ブロック824)。別の高ピッチトーンが特定されるべきである場合、トーン識別器は、別の高ピッチトーンを識別し(ブロック816)、そして、プロセス800は上述のように進行する。アナライザ608が、別のトーンは特定されないと判断した場合、プロセス800は終了する。
【0059】
図9は、
図6のシステムを実装するために
図8の命令を実行するように構成された一つの例示的なプロセッサプラットフォーム900のブロック図である。プロセッサプラットフォーム900は、例えば、サーバ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、自己学習マシン(例えば、ニューラルネットワーク)、モバイルデバイス(例えば、携帯電話、スマートフォン、iPad
TMといったタブレット)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、インターネットアプライアンス、DVDプレーヤ、CDプレーヤ、デジタルビデオレコーダ、ブルーレイプレーヤ、ゲームコンソール、パーソナルビデオレコーダ、セットトップボックス、ヘッドセット、または、その他のウェアラブルデバイス、もしくは、その他の任意のタイプのコンピュータデバイスであり得る。
【0060】
図示された例のプロセッサプラットフォーム900は、プロセッサ112を含んでいる。図示された例のプロセッサ912はハードウェアである。例えば、プロセッサ912は、1つ以上の集積回路、論理回路、マイクロプロセッサ、GPU、DSP、もしくは、任意の所望のファミリーまたは製造業者からのコントローラによって実装され得る。ハードウェアプロセッサは、半導体ベース(例えば、シリコンベース)のデバイスであり得る。この例において、プロセッサ912は、ノイズ再形成信号発生器604、トランシーバ606、アナライザ608、比較器612、トーン識別器614、計算器616、および、信号調整器618を実行する。
【0061】
図示された例のプロセッサ912は、ローカルメモリ913(例えば、キャッシュ)を含んでいる。図示された例のプロセッサ912は、バス918を介して、揮発性メモリ914および不揮発性メモリ916を含むメインメモリと通信している。揮発性メモリ914は、シンクロナス・ダイナミック・ランダムアクセスメモリ(SDRAM)、ダイナミック・ランダムアクセスメモリ(DRAM)、RAMBUS(D)ダイナミック・ランダムアクセスメモリ(RDRAM(D))、及び/又は、任意の他のタイプのランダムアクセスメモリ・デバイスによって実装され得る。不揮発性メモリ916は、フラッシュメモリ、及び/又は、任意の他の所望のタイプのメモリデバイスによって実装され得る。メインメモリ914、916へのアクセスは、メモリコントローラによって制御される。
【0062】
図示された例のプロセッサプラットフォーム900は、また、インターフェイス回路920を含んでいる。インターフェイス回路920は、イーサネットインターフェイス、ユニバーサルシリアルバス(USB)、ブルートゥース(登録商標)インターフェイス、近接場通信(NFC)インターフェイス、及び/又は、PCI Expressインターフェイスといった、任意のタイプのインターフェイス規格によって実装され得る。
【0063】
図示された例においては、1つ以上の入力装置922が、インターフェイス回路920に接続される。入力装置922は、データ及び/又はコマンドをユーザがプロセッサ1012へ入力することを可能にする。入力装置は、例えば、音響センサ、マイクロフォン、カメラ、キーボード、ボタン、マウス、タッチスクリーン、トラックパッド、トラックボール、アイソポイント、及び/又は、音声認識システムによって実装され得る。
【0064】
1つ以上の出力装置924も、また、図示された例のインターフェイス回路920に接続されている。出力装置1024は、例えば、表示装置(例えば、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、液晶ディスプレイ(LCD)、ブラウン管(CRT)、イン・プレイン(in-plane)スイッチング(IPS)ディスプレイ、タッチスクリーン、等)、触覚出力装置、プリンタ、及び/又は、スピーカによって実装され得る。従って、図示された例のインターフェイス回路920は、典型的には、グラフィックスドライバカード、グラフィックスドライバチップ、及び/又は、グラフィックスドライバプロセッサを含んでいる。
【0065】
図示された例のインターフェイス回路920は、また、外部マシン(例えば、任意のタイプのコンピューティングデバイス)とのデータの交換を促進するために、ネットワーク926を介して、送信器、受信器、トランシーバ、モデム、住宅(residential)ゲートウェイ、無線アクセスポイント、及び/又は、ネットワークインターフェイスといった通信装置を含んでいる。通信は、例えば、イーサネット接続、デジタル加入者回線(DSL)接続、電話回線接続、同軸ケーブルシステム、衛星システム、ライン・オブ・サイト(line-of-site)無線システム、セルラー電話システム、等を介するものであり得る。
【0066】
図示された例のプロセッサプラットフォーム900は、また、ソフトウェア及び/又はデータを保管するための1つ以上の大容量ストレージ装置928を含んでいる。そうした大容量ストレージ装置1028の例は、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、ハードディスクドライブ、コンパクトディスクドライブ、ブルーレイ(登録商標)ディスクドライブ、独立ディスクの冗長アレイ(RAID)システム、および、デジタル多用途ディスク(DVD)ドライブを含む。
【0067】
図8のマシン実行可能命令932は、大容量ストレージ装置928内、揮発性メモリ914内、不揮発性メモリ916内、及び/又は、CDまたはDVDといったリムーバブル非一時的コンピュータ読取り可能記憶媒体上に保管され得る。
【0068】
以上から、電子機器内のファンによって生成される音響ノイズを、軽減し、キャンセルし、低減し、再形成し、または、マスクする例示的なシステム、デバイス、製造物品、および、方法が開示されてきたことが理解されるだろう。これらの例は、改善された人間の知覚のためにファンのノイズ特性を制御する。ここにおいて開示される例示的なファンのハードウェア設計は、ファンの発生源(source)におけるノイズをキャンセルする。ここにおいて開示される例は、より大きな送風機を備えたより厚い設計を使用することなく、ノイズを再形成し、かつ、軽減することを可能にする。ここにおいて開示されるこれらの実施例は、また、冷却ファン自体の再設計を必要としない。ここにおいて開示される実施例は、また、電子機器100のワークロードまたは電力レベルのパフォーマンスを制限しない。ファンノイズが制御されるので、ここにおいて開示される実施例は、人間のユーザに不快感を与えることなく、増大したファン動作およびノイズで、電子機器をより高い電力で動作させることを可能にする。従って、ここにおいて開示される例を使用するノイズ特性の制御は、改善された熱制御を用いてより高いシステムパフォーマンスを可能にすることによって、コンピューティングデバイスの動作を改善する。
【0069】
典型的に、ファンのパフォーマンスは、そのノイズによって制限される。例えば、ファンは、10立方フィート/分(CFM)のオープンエア流量まで供給することができるが、このファン速度でのノイズレベルは、50dBに達し得るものであり、これは、オリジナルのデバイス製造業者の大部分の仕様(約40dBから約45dBまでの範囲)よりもはるかに高い。ここにおいて開示される実施例では、ファンノイズを数デシベル低減することができ、これは、ファンが、拘束されずに実施し、かつ、動作するのに十分である。これらの例は、また、システムオンチップ電力およびシステムパフォーマンスを増加させる。最大ファン速度において数デシベルのノイズを低減することは、電子機器を、システムノイズに譲歩することなく、より強力に、または、より薄く、そして、より軽くすることができるので、ユーザにとって有益である。
【0070】
実施例1は、電子機器のファンのファンノイズを再形成するシステムを含む。システムは、ファンノイズを含む第1音響信号を検出するためのマイクロフォンを含む。システムは、また、プロセッサであり、前記第1音響信号におけるトーンを特定し、かつ、
前記トーンをマスクするために、前記第1音響信号に対して加えるゲインを決定する、ためのプロセッサ、を含む。システムは、また、前記ゲインを含む第2音響信号を提供するための音響トランスデューサを含む。
【0071】
実施例2は、実施例1のシステムを含み、そして、任意的に、前記電子機器の内部で前記ファンのハウジングに結合されている、前記マイクロフォンを含む。
【0072】
実施例3は、実施例1-2いずれかのシステムを含み、そして、任意的に、前記ファンの水切り領域またはその近傍に置かれている、前記マイクロフォンを含む。
【0073】
実施例4は、実施例1-3いずれかのシステムを含み、そして、任意的に、第1マイクロフォンである前記マイクロフォンを含み、かつ、前記システムは、前記第1音響信号を検出するための第2マイクロフォンを含む。
【0074】
実施例5は、実施例1-4いずれかのシステムを含み、そして、任意的に、前記電子機器の内部で前記ファンのハウジングに結合されている、前記音響トランスデューサを含む。
【0075】
実施例6は、実施例1-5いずれかのシステムを含み、そして、任意的に、ダイナミックスピーカである、前記音響トランスデューサを含む。
【0076】
実施例7は、実施例1-6いずれかのシステムを含み、そして、任意的に、バランスドアーマチュアである、前記音響トランスデューサを含む。
【0077】
実施例8は、実施例1-7いずれかのシステムを含み、そして、任意的に、前記トーンに隣接する臨界帯域を特定し、前記トーンについてプロミネンス率を計算し、かつ、前プロミネンス率に基づいて、前記ゲインを決定する、前記プロセッサを含む。
【0078】
実施例9は、実施例1-8いずれかのシステムを含み、そして、任意的に、前記トーンに隣接する第1臨界帯域を特定し、前記トーンに隣接する第2臨界帯域を特定し、第1臨界帯域および第2臨界帯域に基づいて、前記トーンについてのプロミネンス率を計算し、前記プロミネンス率を閾値と比較し、かつ、前記プロミネンス率が前記閾値を満足しない場合に、前記ゲインを追加するように決定する、前記プロセッサを含む。前記ゲインは、前記第1臨界帯域における前記第2音響信号に対する第1ゲイン、および、前記第2臨界帯域における前記第2音響信号に対する第2ゲインを含んでいる。
【0079】
実施例10は、実施例1-9いずれかのシステムを含み、そして、任意的に、前記ファン、前記マイクロフォン、または、前記音響トランスデューサのうち少なくとも1つの位置に基づいて調整されている、前記ゲインを含む。
【0080】
実施例11は、実施例1-10いずれかのシステムを含み、そして、任意的に、前記ファン、前記マイクロフォン、および、前記音響トランスデューサの間の相対的な位置決めに基づいて調整されている、前記ゲインを含む。
【0081】
実施例12は、実施例1-11いずれかのシステムを含み、そして、任意的に、カラードノイズを変化させるように調整されっている、前記ゲインを含む。
【0082】
実施例13は、実施例1-12いずれかのシステムを含み、そして、任意的に、前記電子機器の近くに人間が存在することを示すデータにアクセスし、かつ、前記存在に基づいて、前記トーンを特定する、前記プロセッサを含む。
【0083】
実施例14は、実施例1-13いずれかのシステムを含み、そして、任意的に、前記電子機器のスピーカが使用されている場合を示すデータにアクセスし、前記スピーカは、前記電子機器のユーザに対して音声コンテンツを提供するように配置されており、かつ、
前記スピーカが使用されていない場合に基づいて、前記トーンを特定する、前記プロセッサを含む。
【0084】
実施例15は、電子機器のファンのファンノイズを再形成するシステムを含む。システムは、ファンノイズを含む第1音響信号を検出する手段を含む。システムは、前記音響信号を処理する手段を含み、前記音響信号におけるトーンを特定し、かつ、前記トーンをマスクするために、前記音響信号に対して加えるゲインを決定する。システムは、また、前記ゲインを含む第2音響信号を生成する手段を含む。
【0085】
実施例16は、実施例15のシステムを含み、そして、任意的に、前記電子機器の内部で前記ファンのハウジングに結合されている、前記検出する手段を含む。
【0086】
実施例17は、実施例15-16いずれかのシステムを含み、そして、任意的に、前記ファンの水切り領域またはその近傍に置かれている、前記検出する手段を含む。
【0087】
実施例18は、実施例15-17いずれかのシステムを含み、そして、任意的に、前記第1音響信号を検出するために2個のマイクロフォンを含んでいる、前記検出する手段を含む。
【0088】
実施例19は、実施例15-18いずれかのシステムを含み、そして、任意的に、前記電子機器の内部で前記ファンのハウジングに結合されている、前記生成する手段を含む。
【0089】
実施例20は、実施例15-19いずれかのシステムを含み、そして、任意的に、ダイナミックスピーカを含んでいる、前記生成する手段を含む。
【0090】
実施例21は、実施例15-20いずれかのシステムを含み、そして、任意的に、バランスドアーマチュアを含んでいる、前記生成する手段を含む。
【0091】
実施例22は、実施例15-21いずれかのシステムを含み、そして、任意的に、前記トーンに隣接する臨界帯域を特定し、前記トーンについてプロミネンス率を計算し、かつ、前プロミネンス率に基づいて、前記ゲインを決定する、前記処理する手段を含む。
【0092】
実施例23は、実施例15-22いずれかのシステムを含み、そして、任意的に、前記トーンに隣接する第1臨界帯域を特定し、前記トーンに隣接する第2臨界帯域を特定し、第1臨界帯域および第2臨界帯域に基づいて、前記トーンについてのプロミネンス率を計算し、前記プロミネンス率を閾値と比較し、かつ、前記プロミネンス率が前記閾値を満足しない場合に、前記ゲインを追加するように決定する、前記処理する手段を含み、前記ゲインは、前記第1臨界帯域における前記第2音響信号に対する第1ゲイン、および、前記第2臨界帯域における前記第2音響信号に対する第2ゲインを含んでいる。
【0093】
実施例24は、実施例15-23いずれかのシステムを含み、そして、任意的に、
前記ゲインは、前記ファン、前記検出する手段、または、前記生成する手段のうち少なくとも1つの位置に基づいて調整されている。
【0094】
実施例25は、実施例15-24いずれかのシステムを含み、そして、任意的に、前記ゲインは、前記ファン、前記検出する手段、および、前記生成する手段の間の相対的な位置決めに基づいて調整されている。
【0095】
実施例26は、実施例15-25いずれかのシステムを含み、そして、任意的に、 前記ゲインは、カラードノイズを変化させるように調整されている。
【0096】
実施例27は、実施例15-26いずれかのシステムを含み、そして、任意的に、前記電子機器の近くに人間が存在することを示すデータにアクセスし、かつ、前記存在に基づいて、前記トーンを特定する、前記処理する手段を含む。
【0097】
実施例28は、実施例15-27いずれかのシステムを含み、そして、任意的に、前記電子機器のスピーカが使用されている場合を示すデータにアクセスし、前記スピーカは、前記電子機器のユーザに対して音声コンテンツを提供するように配置されており、かつ、前記スピーカが使用されていない場合に基づいて、前記トーンを特定する、前記処理する手段を含む。
【0098】
実施例29は、電子機器のファンのファンノイズを再形成する装置を含む。装置は、メモリ、および、プロセッサ回路であり、命令を実行すると、検出された第1音響信号におけるトーンを特定し、前記トーンをマスクするために、前記第1音響信号に対して加えるゲインを決定し、かつ、音響トランスデューサに、前記ゲインを含む第2音響信号を生成させる、プロセッサ回路、を含む。
【0099】
実施例30は、実施例29の装置を含み、そして、任意的に、前記トーンに隣接する臨界帯域を特定し、前記トーンについてプロミネンス率を計算し、かつ、前プロミネンス率に基づいて、前記ゲインを決定する、前記プロセッサ回路を含む。
【0100】
実施例31は、実施例29-30いずれかの装置を含み、そして、任意的に、前記トーンに隣接する第1臨界帯域を特定し、前記トーンに隣接する第2臨界帯域を特定し、第1臨界帯域および第2臨界帯域に基づいて、前記トーンについてのプロミネンス率を計算し、前記プロミネンス率を閾値と比較し、かつ、前記プロミネンス率が前記閾値を満足しない場合に、前記ゲインを追加するように決定する、前記プロセッサ回路を含み、前記ゲインは、前記第1臨界帯域における前記第2音響信号に対する第1ゲイン、および、前記第2臨界帯域における前記第2音響信号に対する第2ゲインを含んでいる。
【0101】
実施例32は、実施例29-31いずれかの装置を含み、そして、任意的に、前記ファン、前記第1音響信号を検出するマイクロフォン、または、前記音響トランスデューサのうち少なくとも1つの位置に基づいて、前記ゲインを調整する、前記プロセッサ回路を含む。
【0102】
実施例33は、実施例29-32いずれかの装置を含み、そして、任意的に、前記ファン、前記第1音響信号を検出するマイクロフォン、および、前記音響トランスデューサの間の相対的な位置決めに基づいて、前記ゲインを調整する、前記プロセッサ回路を含む。
【0103】
実施例34は、実施例29-32いずれかの装置を含み、そして、任意的に、カラードノイズを変化させるように前記ゲインを調整する、前記プロセッサ回路を含む。
【0104】
実施例35は、実施例29-34いずれかの装置を含み、そして、任意的に、前記電子機器の近くに人間が存在することを示すデータにアクセスし、かつ、前記存在に基づいて、前記トーンを特定する、前記プロセッサ回路を含む。
【0105】
実施例36は、実施例29-35いずれかの装置を含み、そして、任意的に、前記電子機器のスピーカが使用されている場合を示すデータにアクセスし、前記スピーカは、前記電子機器のユーザに対して音声コンテンツを提供するように配置されており、かつ、
前記スピーカが使用されていない場合に基づいて、前記トーンを特定する、前記プロセッサ回路を含む。
【0106】
実施例37は、命令を含む非一時的コンピュータ読取り可能記憶媒体を含む。前記命令が実行されると、1つ以上のプロセッサに、少なくとも、検出された第1音響信号におけるトーンを特定し、前記トーンをマスクするために、前記第1音響信号に対して加えるゲインを決定し、かつ、音響トランスデューサに、前記ゲインを含む第2音響信号を生成させる、ようにする。
【0107】
実施例38は、実施例37の媒体を含み、そして、任意的に、前記1つ以上のプロセッサに、前記トーンに隣接する臨界帯域を特定し、前記トーンについてプロミネンス率を計算し、かつ、前プロミネンス率に基づいて、前記ゲインを決定する、ようにさせる前記命令を含む。
【0108】
実施例39は、実施例37-38いずれかの媒体を含み、そして、任意的に、前記1つ以上のプロセッサに、前記トーンに隣接する第1臨界帯域を特定し、前記トーンに隣接する第2臨界帯域を特定し、第1臨界帯域および第2臨界帯域に基づいて、前記トーンについてのプロミネンス率を計算し、前記プロミネンス率を閾値と比較し、かつ、前記プロミネンス率が前記閾値を満足しない場合に、前記ゲインを追加するように決定する、ようにさせる前記命令を含み、前記ゲインは、前記第1臨界帯域における前記第2音響信号に対する第1ゲイン、および、前記第2臨界帯域における前記第2音響信号に対する第2ゲインを含んでいる。
【0109】
実施例40は、実施例37-39いずれかの媒体を含み、そして、任意的に、前記1つ以上のプロセッサに、ファン、前記第1音響信号を検出するマイクロフォン、または、前記音響トランスデューサのうち少なくとも1つの位置に基づいて、前記ゲインを調整する、ようにさせる前記命令を含む。
【0110】
実施例41は、実施例37-40いずれかの媒体を含み、そして、任意的に、前記1つ以上のプロセッサに、ファン、前記第1音響信号を検出するマイクロフォン、および、前記音響トランスデューサの間の相対的な位置決めに基づいて、前記ゲインを調整する、ようにさせる前記命令を含む。
【0111】
実施例42は、実施例37-41いずれかの媒体を含み、そして、任意的に、前記1つ以上のプロセッサに、カラードノイズを変化させるために、前記ゲインを調整する、ようにさせる前記命令を含む。
【0112】
実施例43は、実施例37-42いずれかの媒体を含み、そして、任意的に、前記1つ以上のプロセッサに、電子機器の近くに人間が存在することを示すデータにアクセスし、かつ、前記存在に基づいて、前記トーンを特定する、ようにさせる前記命令を含む。
【0113】
実施例44は、実施例37-43いずれかの媒体を含み、そして、任意的に、前記1つ以上のプロセッサに、電子機器のスピーカが使用されている場合を示すデータにアクセスし、前記スピーカは、前記電子機器のユーザに対して音声コンテンツを提供するように配置されており、かつ、前記スピーカが使用されていない場合に基づいて、前記トーンを特定する、ようにさせる前記命令を含む。
【0114】
実施例45は、電子機器のファンのファンノイズを再形成する方法を含む。方法は、プロセッサを用いて命令を実行することによって、第1音響信号におけるトーンを特定するステップであり、前記第1音響信号はファンノイズを含んでいる、ステップと、前記プロセッサを用いて命令を実行することによって、前記トーンをマスクするために、前記第1音響信号に対して加えるゲインを決定するステップと、前記ゲインを含む第2音響信号を提供するステップと、を含む。
【0115】
実施例46は、実施例45の方法を含み、そして、任意的に、前記プロセッサを用いて命令を実行することによって、前記トーンに隣接する臨界帯域を特定するステップと、前記プロセッサを用いて命令を実行することによって、前記トーンについてプロミネンス率を計算するステップと、前記プロセッサを用いて命令を実行することによって、前プロミネンス率に基づいて、前記ゲインを決定するステップと、を含む。
【0116】
実施例47は、実施例45-46いずれかの方法を含み、そして、任意的に、前記プロセッサを用いて命令を実行することによって、前記トーンに隣接する第1臨界帯域を特定するステップと、前記プロセッサを用いて命令を実行することによって、前記トーンに隣接する第2臨界帯域を特定するステップと、前記プロセッサを用いて命令を実行することによって、第1臨界帯域および第2臨界帯域に基づいて、前記トーンについてのプロミネンス率を計算するステップと、前記プロセッサを用いて命令を実行することによって、前記プロミネンス率を閾値と比較するステップと、かつ、前記プロセッサを用いて命令を実行することによって、前記プロミネンス率が前記閾値を満足しない場合に、前記ゲインを追加するように決定するステップと、を含み、前記ゲインは、前記第1臨界帯域における前記第2音響信号に対する第1ゲイン、および、前記第2臨界帯域における前記第2音響信号に対する第2ゲインを含んでいる。
【0117】
実施例48は、実施例45-47いずれかの方法を含み、そして、任意的に、前記プロセッサを用いて命令を実行することによって、前記ファン、前記第1音響信号を検出するマイクロフォン、または、音響トランスデューサのうち少なくとも1つの位置に基づいて、前記ゲインを調整するステップ、を含む。
【0118】
実施例49は、実施例45-48いずれかの方法を含み、そして、任意的に、前記プロセッサを用いて命令を実行することによって、前記ファン、前記第1音響信号を検出するマイクロフォン、および、音響トランスデューサの間の相対的な位置決めに基づいて、前記ゲインを調整するステップ、を含む。
【0119】
実施例50は、実施例45-49いずれかの方法を含み、そして、任意的に、前記プロセッサを用いて命令を実行することによって、カラードノイズを変化させるように前記ゲインを調整するステップ、を含む。
【0120】
実施例51は、実施例45-50いずれかの方法を含み、そして、任意的に、前記電子機器の近くに人間が存在することを示すデータにアクセスするステップと、前記プロセッサを用いて命令を実行することによって、前記存在に基づいて、前記トーンを特定するステップと、を含む。
【0121】
実施例52は、実施例45-50いずれかの方法を含み、そして、任意的に、前記電子機器のスピーカが使用されている場合を示すデータにアクセスするステップであり、前記スピーカは、前記電子機器のユーザに対して音声コンテンツを提供するように配置されている、ステップと、前記プロセッサを用いて命令を実行することによって、前記スピーカが使用されていない場合に基づいて、前記トーンを特定するステップと、を含む。
【0122】
実施例1-52のいくつかにおいて、トーンは、高ピッチトーンである。実施例1-52のいくつかにおいて、トーンは、低ピッチトーンである。実施例1-52のいくつかにおいて、トーンは、高ピッチ及び/又は低ピッチを含むトーンの組み合わせである。
【0123】
所定の例示的な方法、装置、および、製造物品がここにおいて開示されてきたが、この特許の保護範囲はそれに限定されるものではない。反対に、この特許は、公正に本特許請求の範囲内にある全ての方法、装置、および、製造物品をカバーする。
【0124】
以降の請求項は、参照により、この詳細な説明に組み込まれており、各請求項は、本開示の別個の実施形態として、自立している。
【外国語明細書】