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特開2022-89174リフロー溶融システムおよび端子製造システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089174
(43)【公開日】2022-06-15
(54)【発明の名称】リフロー溶融システムおよび端子製造システム
(51)【国際特許分類】
   C23C 26/00 20060101AFI20220608BHJP
【FI】
C23C26/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021193855
(22)【出願日】2021-11-30
(31)【優先権主張番号】202011394419.1
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】508079120
【氏名又は名称】タイコ エレクトロニクス (シャンハイ) カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】521523202
【氏名又は名称】タイコ エレクトロニクス (スーチョウ) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ダァイチィォン ダイアナ ヂァン
(72)【発明者】
【氏名】チュンイェン シェリー チョウ
(72)【発明者】
【氏名】ドォンチン ゲイツ パァン
(72)【発明者】
【氏名】ヂィアリィン ヂァン
(72)【発明者】
【氏名】ヂォンシィー ファン
【テーマコード(参考)】
4K044
【Fターム(参考)】
4K044AA01
4K044AB02
4K044BA01
4K044BA10
4K044BB01
4K044BC01
4K044BC14
4K044CA18
4K044CA62
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高い効率、エネルギーの節約、洗練さ、安全性、および安定した品質という特性があり、複数の領域における高精度の選択リフロー溶融、ならびにリフロー溶融のインテリジェントな相互作用と自動化を実現することができる、リフロー溶融システムを提供する。
【解決手段】リフロー溶融システムは、端子上の金属被覆へレーザ光を照射して金属被覆を加熱および溶融するように構成されたレーザヘッド7を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子(14a)の電気接触領域で金属被覆(14b)をリフロー溶融するためのリフロー溶融システムであって、
前記端子(14a)上の前記金属被覆(14b)へレーザ光を照射して前記金属被覆(14b)を加熱および溶融するように構成されたレーザヘッド(7)を備えるリフロー溶融システム。
【請求項2】
前記レーザヘッド(7)が取り付けられたマニピュレータ(6)をさらに備え、
前記マニピュレータ(6)は、前記レーザヘッド(7)を動かして前記端子(14a)上の各金属被覆(14b)を走査および加熱するように構成されている、
請求項1に記載のリフロー溶融システム。
【請求項3】
前記レーザヘッド(7)を制御するために前記レーザヘッド(7)と通信するレーザコントローラ(12)をさらに備える、
請求項2に記載のリフロー溶融システム。
【請求項4】
前記レーザヘッド(7)に電力を供給するために前記レーザヘッド(7)に電気的に接続されたレーザ電源ボックス(13)をさらに備える、
請求項3に記載のリフロー溶融システム。
【請求項5】
前記レーザコントローラ(12)、前記レーザ電源ボックス(13)、および前記レーザヘッド(7)は一体化されており、ともに前記マニピュレータ(6)に設置されている、
請求項4に記載のリフロー溶融システム。
【請求項6】
前記レーザヘッド(7)の作業パラメータならびに前記マニピュレータ(6)の動作パラメータおよびプログラムを設定するために前記マニピュレータ(6)および前記レーザコントローラ(12)と通信する遠隔制御端末(1)をさらに備える、
請求項3に記載のリフロー溶融システム。
【請求項7】
前記レーザヘッド(7)と同期して動くように前記マニピュレータ(6)または前記レーザヘッド(7)に取り付けられた第1の画像センサ(8)をさらに備え、
前記第1の画像センサ(8)は、レーザ光によって加熱および溶融されている前記金属被覆(14b)の画像を実時間で取り込むように構成されており、
前記遠隔制御端末(1)は、前記レーザヘッド(7)の前記作業パラメータおよび前記マニピュレータ(6)の前記動作パラメータを最適化し、前記金属被覆(14b)の溶融効果を改善するように、前記第1の画像センサ(8)によって取り込まれた前記画像に応じて、前記レーザヘッド(7)の前記作業パラメータおよび前記マニピュレータ(6)の前記動作パラメータを実時間で調整する、
請求項6に記載のリフロー溶融システム。
【請求項8】
レーザ光によって溶融された前記金属被覆(14b)の画像を取り込むように構成された第2の画像センサ(11)をさらに備え、
前記遠隔制御端末(1)は、前記レーザヘッド(7)の前記作業パラメータおよび前記マニピュレータ(6)の前記動作パラメータを最適化し、前記金属被覆(14b)の溶融効果を改善するように、前記第2の画像センサ(11)によって取り込まれた前記画像に応じて、前記レーザヘッド(7)の前記作業パラメータおよび前記マニピュレータ(6)の前記動作パラメータを実時間で調整する、
請求項7に記載のリフロー溶融システム。
【請求項9】
少量の蒸発した被覆金属が再び冷却されて溶融金属被覆の表面に凝縮するのを防止するために、前記蒸発した被覆金属を吸引によって除去するように構成された負圧除塵装置(9)をさらに備える、
請求項1に記載のリフロー溶融システム。
【請求項10】
圧縮ガスを前記金属被覆に噴射して前記金属被覆上の粉塵を除去するように構成された吹付け保護装置(10)をさらに備える、
請求項9に記載のリフロー溶融システム。
【請求項11】
前記圧縮ガスは、圧縮空気または圧縮不活性ガスである、
請求項10に記載のリフロー溶融システム。
【請求項12】
前記レーザヘッド(7)内のレーザの長期的に安定した動作を確実にするために、前記レーザヘッド(7)内のレーザポンプを冷却するように構成されたレーザ冷却装置(5)をさらに備える、
請求項1に記載のリフロー溶融システム。
【請求項13】
前記レーザ冷却装置(5)は、水冷装置、空冷装置、または水冷/空冷混合装置である、
請求項12に記載のリフロー溶融システム。
【請求項14】
前記端子(14a)上の前記金属被覆(14b)は、スズ被覆、インジウム被覆、ビスマス被覆、または鉛被覆である、
請求項1に記載のリフロー溶融システム。
【請求項15】
前記端子(14a)上の前記金属被覆(14b)の形状は、円形、矩形、または楕円形である、
請求項1に記載のリフロー溶融システム。
【請求項16】
端子ストリップ(14)であって、前記端子ストリップ(14)の長さ方向に沿って配置された複数の端子(14a)が形成されている、端子ストリップ(14)と、
前記端子(14a)の電気接触領域に金属被覆(14b)を形成するように構成された電気めっき装置(4)と、
前記端子(14a)の前記電気接触領域に形成された前記金属被覆(14b)をリフロー溶融するように構成された、請求項1から15のいずれか一項に記載のリフロー溶融システムと
を備えた端子製造システム。
【請求項17】
前記電気めっき装置(4)および前記リフロー溶融システムを連続的に通過するように前記端子ストリップ(14)を搬送するように構成された送出装置(2、3、15)をさらに備える、
請求項16に記載の端子製造システム。
【請求項18】
前記送出装置(2、3、15)は、
前記金属被覆(14b)が形成されていない前記端子ストリップ(14)が巻き取られた送出リール(3)と、
溶融および再結晶された前記金属被覆(14b)を有する前記端子ストリップ(14)が巻き取られた回収リール(15)とを備え、
前記回収リール(15)は、所定の速度で回転し、前記端子ストリップ(14)を引っ張って前記送出リール(3)から前記回収リール(15)へ動かす、
請求項17に記載の端子製造システム。
【請求項19】
前記送出装置(2、3、15)は、
前記送出リール(3)および前記回収リール(15)にそれぞれ位置する2つの押圧ローラ(2)をさらに備え、
前記2つの押圧ローラ(2)は、前記送出リール(3)および前記回収リール(15)それぞれに前記端子ストリップ(14)を押圧するように構成されている、
請求項18に記載の端子製造システム。
【請求項20】
前記金属被覆(14b)は、前記端子(14a)の表面および裏面にそれぞれ形成され、
前記リフロー溶融システムは、前記端子(14a)の前記表面および前記裏面で前記金属被覆(14b)を同時にリフロー溶融するように適合されている、
請求項16に記載の端子製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、開示全体が参照により本明細書に組み込まれている、中国国家知識産権局に2020年12月3日に出願された中国特許出願第CN202011394419.1号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、リフロー溶融システム、およびリフロー溶融システムを備えた端子製造システムに関する。
【背景技術】
【0003】
スズめっき、インジウムめっき、ビスマスめっき、鉛めっき、および他の低融点金属被覆は、金めっき、白金、および他の貴金属ほど導電性が高くないが、これらの金属、特にスズめっきは、ほとんどの金属の中で最も重要な位置にある。そのような金属は、低い融点、良好な延性、および低価格のため、電気コネクタとその相互端子において広く使用されている。端子圧着技術が急速に発展し、車両などの自動車用途が増大するにつれて、電気コネクタの接続の堅実性に対する要件も、それに対応して厳しくなっている。より多くの圧着アプリケーションが、複雑な溶接に取って代わっている。しかし、それに付随する課題は、振動によって引き起こされる接続の緩みを防止するのに十分な圧着保持力(引き抜き力)を維持し、接触抵抗を十分に低く保つために、圧着の挿入力が必然的に大きくなりすぎることである。これらの課題のうちの1つは、組立ておよび挿入の問題、ならびに嵌合の両端におけるスズ被覆の過度の損傷である。第2の課題は、挿入の損傷がスズ被覆におけるスズウィスカの成長を悪化させ、隣接する端子またはPCB線に重なり短絡(lap short circuit)を引き起こすことである。
【0004】
上記の課題を解決するために、リフロースズ技術が適用される。この原理は、スズ層が溶融後に冷却されて再結晶し、自由な溶融スズが底層または中間被覆を有する金属間化合物を形成することであり、同じ圧力下で硬度の増加、耐摩耗性の減少、表面粗さの減少、摩擦係数の減少、および挿入力の減少が得られる。同時に、スズ層の内部応力が再溶融後に解放され、スズウィスカのリスクがさらに低減される。現在のところ、リフロースズ溶融では、電気炉/赤外ベーキングおよび誘導溶融が一般に使用される。
【0005】
現在のところ、リフロースズ溶融には3つの一般的な方法がある。
1)高温ベーキング法:最も成熟した方法はSMTリフロー溶接機であり、主にPCB溶接およびPCBスズめっき層に対して、スズを溶融してスズウィスカを防止するために使用される。しかし、この方法には次の欠点がある。
低効率:リフロースズ溶融を完了するのに少なくとも7分かかり、材料伝達速度は0.5m/分未満である。
品質安定性を制御するのが困難であること:溶接はいくつかの温度区間に分割されており、各温度区間を精密に制御しなければならず、そうでない場合、スズの流れ、スズの蓄積、引け、酸化変色、および微小割れなどの問題が生じ、挿入力および接触抵抗が増大する。
インテリジェンスと自動化が十分ではないこと:機器が巨大であり、現在のところ約5m×2m×2mという大きな面積を占めており、自動化を実現するには加工物を動かすことしかできない。
高いエネルギー消費、強力な加熱、火災の危険。
不活性ガスの量が多く、スズを高温酸化から保護するためにほとんどのSMTリフロースズは不活性ガスで充填される。
局所的な高精度の選択的スズ溶融が不可能であること:ほとんどのコネクタ端子またはPCB基板は、局所的に選択的なスズめっき、ニッケル、金、および他の機能領域であり、全体的な高温のベーキングおよび加熱により、他の被覆の劣化または非金属成分の変形に拍車がかかる。全体的なスズめっき端子の中には、プラスチック部品と部分的に組み合わせるべきものがあり、接触領域は特定の粗さに達し、プラスチックで封止すべきであるため、スズ溶融は好適でない。したがって、局所的に溶融するスズを選択する必要がある。
2)簡単なリフロースズ溶融機構による高温ベーキング法:SMTリフロー溶接機と同じであり、3~4つの温度区間のみを有し、その温度はSMTより高く、したがってスズ溶融速度も速い。この方法は、主にスズめっき後の端子のスズ溶融に使用され、毎分10メートルのスズめっき速度に整合することができ、その欠点は、上記の高温ベーキング法と同じである。
3)電磁誘導コイルを使用して交流電流を交流磁界に変化させる誘導溶融:磁界内に生成される表面渦電流ループによって、スズめっきされた加工物が急速に加熱される。この方法は、高い加熱効率を有するが、交流電流の周波数および電力を調整して、熱の量を大まかに制御することしかできない。この方法は、加工物および誘導コイルの位置によって大きく影響され、スズ溶融の安定性は非常に乏しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した欠点の少なくとも1つの態様を克服または軽減するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、端子の電気接触領域で金属被覆をリフロー溶融するためのリフロー溶融システムが提供され、リフロー溶融システムは、端子上の金属被覆へレーザ光を照射して金属被覆を加熱および溶融するように構成されたレーザヘッドを備える。
【0008】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、リフロー溶融システムは、レーザヘッドが取り付けられたマニピュレータをさらに備え、マニピュレータは、レーザヘッドを動かして端子上の各金属被覆を走査および加熱するように構成されている。
【0009】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、リフロー溶融システムは、レーザヘッドを制御するためにレーザヘッドと通信するレーザコントローラをさらに備える。
【0010】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、リフロー溶融システムは、レーザヘッドに電力を供給するためにレーザヘッドに電気的に接続されたレーザ電源ボックスをさらに備える。
【0011】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、レーザコントローラ、レーザ電源ボックス、およびレーザヘッドは一体化されており、ともにマニピュレータに設置されている。
【0012】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、リフロー溶融システムは、レーザヘッドの作業パラメータならびにマニピュレータの動作パラメータおよびプログラムを設定するためにマニピュレータおよびレーザコントローラと通信する遠隔制御端末をさらに備える。
【0013】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、リフロー溶融システムは、レーザヘッドと同期して動くようにマニピュレータまたはレーザヘッドに取り付けられた第1の画像センサをさらに備え、第1の画像センサは、レーザ光によって加熱および溶融されている金属被覆の画像を実時間で取り込むように構成されており、遠隔制御端末は、レーザヘッドの作業パラメータおよびマニピュレータの動作パラメータを最適化し、金属被覆の溶融効果を改善するように、第1の画像センサによって取り込まれた画像に応じて、レーザヘッドの作業パラメータおよびマニピュレータの動作パラメータを実時間で調整する。
【0014】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、リフロー溶融システムは、レーザ光によって溶融された金属被覆の画像を取り込むように構成された第2の画像センサをさらに備え、遠隔制御端末は、レーザヘッドの作業パラメータおよびマニピュレータの動作パラメータを最適化し、金属被覆の溶融効果を改善するように、第2の画像センサによって取り込まれた画像に応じて、レーザヘッドの作業パラメータおよびマニピュレータの動作パラメータを実時間で調整する。
【0015】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、リフロー溶融システムは、少量の蒸発した被覆金属が再び冷却されて溶融金属被覆の表面に凝縮するのを防止するために、蒸発した被覆金属を吸引によって除去するように構成された負圧除塵装置をさらに備える。
【0016】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、リフロー溶融システムは、圧縮ガスを金属被覆に噴射して金属被覆上の粉塵を除去するように構成された吹付け保護装置をさらに備える。
【0017】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、圧縮ガスは、圧縮空気または圧縮不活性ガスである。
【0018】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、リフロー溶融システムは、レーザヘッド内のレーザの長期的に安定した動作を確実にするために、レーザヘッド内のレーザポンプを冷却するように構成されたレーザ冷却装置をさらに備える。
【0019】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、レーザ冷却装置は、水冷装置、空冷装置、または水冷/空冷混合装置である。
【0020】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、端子上の金属被覆は、スズ被覆、インジウム被覆、ビスマス被覆、または鉛被覆である。
【0021】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、端子上の金属被覆の形状は、円形、矩形、または楕円形である。
【0022】
本発明の別の態様によれば、端子ストリップであって、端子ストリップの長さ方向に沿って配置された複数の端子が形成されている、端子ストリップと、端子の電気接触領域に金属被覆を形成するように構成された電気めっき装置と、端子の電気接触領域に形成された金属被覆をリフロー溶融するように構成された上記のリフロー溶融システムとを備えた端子製造システムが提供される。
【0023】
本発明の例示的な実施形態によれば、端子製造システムは、電気めっき装置およびリフロー溶融システムを連続的に通過するように端子ストリップを搬送するように構成された送出装置をさらに備える。
【0024】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、送出装置は、金属被覆が形成されていない端子ストリップが巻き取られた送出リールと、溶融および再結晶された金属被覆を有する端子ストリップが巻き取られた回収リールとを備え、回収リールは、所定の速度で回転し、端子ストリップを引っ張って送出リールから回収リールへ動かす。
【0025】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、送出装置は、送出リールおよび回収リールにそれぞれ位置する2つの押圧ローラをさらに備え、2つの押圧ローラは、送出リールおよび回収リールそれぞれに端子ストリップを押圧するように構成されている。
【0026】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、金属被覆は、端子の表面および裏面にそれぞれ形成され、リフロー溶融システムは、端子の表面および裏面で金属被覆を同時にリフロー溶融するように適合されている。
【0027】
本発明の上記の様々な例示的な実施形態では、レーザ光を使用した金属被覆の加熱および溶融には、高い効率、エネルギーの節約、洗練さ(dexterity)、安全性、および安定した品質という特性があり、複数の領域における高精度の選択リフロー溶融、ならびにリフロー溶融のインテリジェントな相互作用と自動化を実現することができる。
【0028】
本発明の上記およびその他の特徴は、添付の図面を参照して本発明の例示的な実施形態について詳細に説明することによってさらに明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の例示的な実施形態による端子製造システムの概略図である。
図2】本発明の例示的な実施形態による端子ストリップの概略図である。
図3】本発明の別の例示的な実施形態による端子ストリップの概略図である。
図4a】リフロー溶融されていない金属被覆の電子顕微鏡写真である。
図4b】ベーキングリフローによって溶融された金属被覆の電子顕微鏡写真である。
図4c】本発明によるレーザリフローによって溶融された金属被覆の電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本開示の例示的な実施形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。図面では、同様の参照番号が同様の要素を指す。しかし本開示は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろこれらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全になるように提供されており、本開示の概念を当業者に完全に伝えるものである。
【0031】
以下の詳細な説明では、説明の目的で、開示する実施形態の徹底的な理解を提供するために、多数の特有の詳細について記載する。しかし、これらの特有の詳細がなくても、1つまたは複数の実施形態を実施することができることは明らかである。他の例では、図面を簡略化するために、よく知られている構造および装置は概略的に示す。
【0032】
本発明の一般概念によれば、端子の電気接触領域で金属被覆をリフロー溶融するためのリフロー溶融システムが提供され、リフロー溶融システムは、端子上の金属被覆へレーザ光を照射して金属被覆を加熱および溶融するように構成されたレーザヘッドを備える。
【0033】
本発明の別の一般概念によれば、端子ストリップであって、端子ストリップの長さ方向に沿って配置された複数の端子が形成されている、端子ストリップと、端子の電気接触領域に金属被覆を形成するように構成された電気めっき装置と、端子の電気接触領域に形成された金属被覆をリフロー溶融するように構成された上記のリフロー溶融システムとを備えた端子製造システムが提供される。
【0034】
図1は、本発明の例示的な実施形態による端子製造システムの概略図を示す。
【0035】
図1に示すように、一実施形態では、端子製造システムは主に、端子ストリップ14、電気めっき装置4、およびリフロー溶融システムを備える。
【0036】
図2は、本発明の例示的な実施形態による端子ストリップ14の概略図を示し、図3は、本発明の別の例示的な実施形態による端子ストリップ14の概略図を示す。
【0037】
図1図3に示すように、一実施形態では、複数の端子14aが端子ストリップ14に形成され、端子ストリップ14の長さ方向に沿って配置されている。電気めっき装置4は、端子14aの電気接触領域に金属被覆14bを形成するように構成されている。リフロー溶融システムは、端子14aの電気接触領域に形成された金属被覆14bをリフロー溶融するように構成されている。
【0038】
図1図3に示すように、一実施形態では、端子製造システムは、送出装置2、3、15をさらに備える。送出装置2、3、15は、電気めっき装置4およびリフロー溶融システムを連続的に通過するように端子ストリップ14を搬送するように構成されている。このようにして、送出装置2、3、15は、端子14aの連続的な電気めっきおよびリフロー溶融を実現することができる。
【0039】
図1図3に示すように、一実施形態では、送出装置2、3、15は主に、送出リール3および回収リール15を備える。金属被覆14bが形成されていない端子ストリップ14が、送出リール3に巻き取られている。溶融および再結晶された金属被覆14bを有する端子ストリップ14が、回収リール15に巻き取られている。回収リール15は、所定の速度で回転し、端子ストリップ14を引っ張って送出リール3から回収リール15へ動かすように駆動される。
【0040】
図1図3に示すように、一実施形態では、送出装置2、3、15は、2つの押圧ローラ2をさらに備える。2つの押圧ローラ2は、送出リール3および回収リール15にそれぞれ位置する。2つの押圧ローラ2は、送出リール3および回収リール15それぞれに端子ストリップ14を押圧するように構成されている。
【0041】
図1図3に示すように、一実施形態では、金属被覆14bは、端子14aの表面および裏面にそれぞれ形成される。リフロー溶融システムは、端子14aの表面および裏面で金属被覆14bを同時にリフロー溶融するように適合されている。このようにして、製造効率を改善することができる。
【0042】
以下、本発明の例示的な実施形態によるリフロー溶融システムについて、図面を参照して詳細に説明する。
【0043】
図1図3に示すように、一実施形態では、リフロー溶融システムは主に、端子14aの電気接触領域で金属被覆14bをリフロー溶融するために使用される。リフロー溶融システムは主に、レーザヘッド7を備える。レーザヘッド7は、端子14a上の金属被覆14bへレーザ光を照射して金属被覆14bを加熱および溶融するように構成されている。溶融金属被覆14bは、冷却後に再結晶し、それにより金属被覆14bの性能が大きく改善される。
【0044】
概して、レーザヘッド7は、レーザ、ビームエクスパンダ、フィールドミラー、検流計などを備えており、本発明は、市販のレーザとその支持設備を使用することができ、一般的な低融点金属被覆に使用することができる。したがって、レーザヘッド7の特有の構造および組成について、ここで詳細には説明しない。
【0045】
図1図3に示すように、一実施形態では、リフロー溶融システムは、マニピュレータ6をさらに備えることができる。レーザヘッド7は、マニピュレータ6に取り付けられる。マニピュレータ6は、レーザヘッド7を動かして端子14a上の各金属被覆14bを走査および加熱するように構成されている。
【0046】
図1図3に示すように、一実施形態では、リフロー溶融システムは、レーザコントローラ12をさらに備えることができる。レーザコントローラ12は、レーザヘッド7を制御するためにレーザヘッド7と通信する。
【0047】
図1図3に示すように、一実施形態では、リフロー溶融システムは、レーザ電源ボックス13をさらに備えることができる。レーザ電源ボックス13は、レーザヘッド7に電力を供給するためにレーザヘッド7に電気的に接続される。
【0048】
図1図3に示すように、一実施形態では、レーザコントローラ12、レーザ電源ボックス13、およびレーザヘッド7は一体化されており、ともにマニピュレータ6に設置されている。
【0049】
図1図3に示すように、一実施形態では、リフロー溶融システムは、遠隔制御端末1をさらに備えることができる。遠隔制御端末1は、レーザヘッド7の作業パラメータならびにマニピュレータ6の動作パラメータおよびプログラムを設定するためにマニピュレータ6およびレーザコントローラ12と通信する。遠隔制御端末1は、レーザパラメータ(電力、周波数、焦点ぼけ、走査速度、走査パターンなど)およびマニピュレータ動作プログラム(異なる溶融領域の選択、異なる溶融面の切換えなど)を設定することができ、品質記録の監視および追跡のために、溶融物体の高精細度写真をオンラインで出力することもでき、レーザおよびマニピュレータの動作を自動的に補正することができる。
【0050】
図1図3に示すように、一実施形態では、リフロー溶融システムは、第1の画像センサ8をさらに備えることができる。第1の画像センサ8は、レーザヘッド7と同期して動くようにマニピュレータ6またはレーザヘッド7に取り付けられる。第1の画像センサ8は、レーザ光によって加熱および溶融されている金属被覆14bの画像を実時間で取り込むように構成されている。遠隔制御端末1は、レーザヘッド7の作業パラメータおよびマニピュレータ6の動作パラメータを最適化し、金属被覆14bの溶融効果を改善するように、第1の画像センサ8によって取り込まれた画像に応じて、レーザヘッド7の作業パラメータおよびマニピュレータ6の動作パラメータを実時間で調整する。
【0051】
図1図3に示すように、一実施形態では、リフロー溶融システムは、第2の画像センサ11をさらに備えることができる。第2の画像センサ11は、レーザ光によって溶融された金属被覆14bの画像を取り込むように構成されている。遠隔制御端末1は、レーザヘッド7の作業パラメータおよびマニピュレータ6の動作パラメータを最適化し、金属被覆14bの溶融効果を改善するように、第2の画像センサ11によって取り込まれた画像に応じて、レーザヘッド7の作業パラメータおよびマニピュレータ6の動作パラメータを実時間で調整する。
【0052】
図1図3に示すように、一実施形態では、リフロー溶融システムは、負圧除塵装置9をさらに備えることができる。負圧除塵装置9は、少量の蒸発した被覆金属が再び冷却されて溶融金属被覆の表面に凝縮するのを防止するために、蒸発した被覆金属を吸引によって除去するように構成されている。
【0053】
図1図3に示すように、一実施形態では、リフロー溶融システムは、吹付け保護装置10をさらに備えることができる。吹付け保護装置10は、圧縮ガスを金属被覆に噴射して金属被覆上の粉塵を除去するように構成されている。
【0054】
図1図3に示すように、一実施形態では、圧縮ガスは、圧縮空気または圧縮不活性ガスを含むことができる。圧縮不活性ガスは、たとえば、圧縮アルゴンまたは窒素とすることができる。
【0055】
図1図3に示すように、一実施形態では、リフロー溶融システムは、レーザ冷却装置5をさらに備えることができる。レーザ冷却装置5は、レーザヘッド7内のレーザの長期的に安定した動作を確実にするために、レーザヘッド7内のレーザポンプを冷却するように構成されている。
【0056】
図1図3に示すように、一実施形態では、レーザ冷却装置5は、水冷装置、空冷装置、または水冷/空冷混合装置を構成することができる。
【0057】
図1図3に示すように、一実施形態では、端子14a上の金属被覆14bはスズ被覆である。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、端子14a上の金属被覆14bはまた、インジウム被覆、ビスマス被覆、鉛被覆、または任意の他の好適な金属被覆とすることができる。
【0058】
図1図3に示すように、一実施形態では、端子14a上の金属被覆14bの形状は、円形、矩形、楕円形、または任意の他の好適な形状とすることができる。
【0059】
図4aは、リフロー溶融されていない金属被覆の電子顕微鏡写真を示し、図4bは、ベーキングリフローによって溶融された金属被覆の電子顕微鏡写真を示し、図4cは、本発明によるレーザリフローによって溶融された金属被覆の電子顕微鏡写真を示す。
【0060】
図4a、図4b、および図4cに示すように、レーザリフロー溶融後の金属被覆の品質は非常に安定して確実であり、これは明らかに、ベーキングリフロー溶融後の金属被覆の品質より良好である。
【0061】
本発明は、特定の範囲内の赤外レーザのパルス幅および振動周波数を利用して、原子エネルギーよりはるかに大きい熱エネルギーを変換し、レーザ電力および走査速度を調整し、各点(直径20~50ミクロン)のエネルギーを精密に制御して、スズを溶融および再結晶させる。レーザリフロー溶融システムは、1つまたは複数のレーザヘッドを備える。各レーザヘッドは、加工物(端子)の異なる領域に独立してまたは同時に作用することができるマニピュレータを備える。加工物は、静止または可動とすることができる。レーザは、飛行追跡機能(flight tracking function)を有する。レーザシステムは、気吹集塵機能(dust extraction and blowing function)を備えており、これは原子エネルギーによって気化した少量のスズを除去するために使用される。吹付けガスは、スズの酸化を低減させるために使用される圧縮空気または不活性ガスとすることができる。レーザヘッドは、オンライン検出のために、同軸CCD顕微鏡(第1の画像センサ8)またはCCD顕微鏡(第2の画像センサ11)を備える。検出結果をレーザソフトウェアに相互接続して、レーザパラメータおよび溶融スズの寸法をオンラインで同期して自動的に補正することができる。レーザリフロー溶融システムは、独立して使用することができ、または高速スズめっきプロセスに組み込むことができる。
【0062】
現在のところ、ベーキング法が広く使用されている。スズ溶融の熱は、電気加熱ワイヤまたは赤外灯管から生じる。熱作用モードは、熱放射によるベーキングであり、低い効率、高いエネルギー消費、困難な品質安定制御、および巨大な機器を伴う。したがって、スズ溶融ツールとスズ溶融加工物との間の相互作用のインテリジェンスと自動化を実現するのは不可能であり、局所的な高精度の選択的スズ溶融は得られない。
【0063】
現在のところ、簡単な構造を有する少数の平面端子には、誘導溶融法も使用されている。誘導溶融法の熱源は交流電磁界であり、熱作用モードは、磁界内に生成される表面渦電流回路によって、スズめっきされた加工物が急速に加熱されることである。この方法は、高い加熱効率を有するが、交流電流の周波数および電力を調整して、熱の量を大まかに制御することしかできない。この方法は、加工物および誘導コイルの位置によって大きく影響され、スズ溶融の安定性は非常に乏しい。
【0064】
本発明のスズ溶融熱源はレーザであり、熱作用モードは、スズ層が光子エネルギーを吸収し、高速走査をパルス化し、スズ溶融領域が高速で段階的に蓄積することであり、スズ溶融領域またはパターンは、機能領域に従って事前設定することができ、したがって高い選択性を有し、スズ溶融の寸法の精度を50ミクロンの範囲内で制御することができる。エネルギー点の密度および各点におけるエネルギーの均一性のため、溶融スズの品質は非常に安定して確実である(図4a、図4b、および図4cに示すように、高倍率の電子顕微鏡下で元の結晶状態を見ることができないベーキング法と比較すると、完全な溶融および再結晶が得られる)。単一レーザの速度は、毎秒3~10平方ミリメートルに到達することができ、これは、現在のスズめっき速度に完全に整合することができる。スズ溶融が瞬時に完了し、空気中で即座に酸化および冷却するための時間がないため、スズの表面酸化物層は極めて薄く、接触抵抗はベーキング法の接触抵抗よりはるかに低い。溶融再結晶後、耐摩耗性が増大し、摩擦係数が減少し、業界標準のSMTリフロー方法と同等になる。
【0065】
一実施形態では、本発明には次の利点がある。
エネルギーの節約、安全性:高電力の加熱ベーキングではなく、火災の危険がないレーザによるスズ溶融。
高い効率およびインテリジェンス:本発明は、スズ溶融を効率的かつインテリジェントに完了するために、加工物スズ溶融領域の設計図、レーザスズ溶融レーザ、および機械アームをソフトウェアによって接続することができる。
高精度のスズ溶融:本発明の精度は、50μmの範囲内で制御することができる。
安定した品質:レーザの即座に完了する溶融、均一の再結晶、ほぼゼロの酸化、低い接触抵抗、強化された耐摩耗性、低い摩擦係数。
【0066】
上記の実施形態は限定ではなく例示を意図したものであることを、当業者には理解されたい。たとえば、構成または原理上矛盾することなく、当業者であれば上記の実施形態に多くの修正を加えることができ、異なる実施形態に記載した様々な機構を互いに自由に組み合わせることができる。
【0067】
いくつかの例示的な実施形態について図示および説明したが、これらの実施形態では、本開示の原理および趣旨から逸脱することなく、様々な変更または修正を加えることができることが、当業者には理解されよう。本開示の範囲は、特許請求の範囲およびその均等物に定義される。
【0068】
本明細書で使用される場合、「a」または「an」という単語に続いて単数形で示される要素は、特に明記しない限り、複数の前記要素またはステップを除外しないと理解されたい。さらに、本発明の「一実施形態」への言及は、記載の機構をやはり組み込む追加の実施形態の存在を除外すると解釈されることを意図したものではない。さらに、特に明記しない限り、特定の特性を有する要素または複数の要素を「備える」または「有する」実施形態は、その特性を有していない追加の要素を含むこともできる。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
【外国語明細書】