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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089213
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】コンクリート製車止め
(51)【国際特許分類】
   E01F 13/02 20060101AFI20220609BHJP
【FI】
E01F13/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201402
(22)【出願日】2020-12-04
(71)【出願人】
【識別番号】000230836
【氏名又は名称】日本興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 綾夫
(72)【発明者】
【氏名】細川 恭平
(72)【発明者】
【氏名】坪内 孝政
(72)【発明者】
【氏名】多田 篤史
【テーマコード(参考)】
2D101
【Fターム(参考)】
2D101CA13
2D101DA01
2D101EA02
2D101FA13
2D101FB02
(57)【要約】
【課題】暴走車や急発進した車であっても、進入を効果的に防止できるコンクリート製車止めを提供する。
【解決手段】支柱部11と支柱部11の下端に連結された台座部12とからなる車止め支柱1を用い、台座部12が地中に埋められ、支柱部11が地上に突出する設置状態で用いられる。支柱部11の周囲の地面に跳ね上り防止板2を置くこともある。支柱部11と台座部12は一体型でも別体の結合型でもよい。車が地上に突出している支柱部11に衝突すると、台座部12が跳ね上ろうとするが地中充填物7(クラッシャラン)で押さえられているので、転倒が抑制される。この結果、車止め支柱1が車の衝突で大きく倒されることがないので、高速で衝突した車であっても進入を防止できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱部と該支柱部の下端に連結された台座部とからなる車止め支柱を含み、
前記台座部が地中に埋められ、前記支柱部が地上に突出する状態で設置される
ことを特徴とするコンクリート製車止め。
【請求項2】
前記車止め支柱における前記台座部が地中に埋められ、前記支柱部が地上に突出する設置状態において、
前記支柱部の周囲の地面に置かれる跳ね上り防止板を含んで構成される
ことを特徴とする請求項1記載のコンクリート製車止め。
【請求項3】
前記跳ね上り防止板が、中央に前記支柱部を通す孔を備えており、
前記孔の内周と前記支柱部の外周との間に緩衝板が挿入されている
ことを特徴とする請求項2記載のコンクリート製車止め。
【請求項4】
前記車止め支柱における前記支柱部と前記台座部が連結部で連結された一体物である
ことを特徴とする請求項1、2または3記載のコンクリート製車止め。
【請求項5】
前記車止め支柱における前記支柱部と前記台座部が別々の部材であり、
前記支柱部の下端が前記台座部に形成された嵌合孔に挿入して固定される
ことを特徴とする請求項1、2または3記載のコンクリート製車止め。
【請求項6】
前記台座部を地面に固定するためのアンカーボルトを含んで構成されている
ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載のコンクリート製車止め。
【請求項7】
前記車止め支柱および前記跳ね上り防止板が、コンクリート製である
ことを特徴とする請求項2、3、4、5または6記載のコンクリート製車止め。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート製車止めに関する。さらに詳しくは、本発明は、急発進した車や暴走車のように高速で突入した車であっても、進入を止めることができるコンクリート製車止めに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の誤進入を止める車止めに関しては、特許文献1~3の従来技術がある。
特許文献1の車止めブロックは、略L字状のブロックであって、基底部から立上る壁部を備えている。壁部の前面は傾斜面に形成され、壁部の垂直高さは地面から車の底面までの高さよりも高くされている。この従来技術では、車止めブロックの壁部を車が乗り越えると、車の底面が壁部で支持されるので、それ以上車が前進するのを防止できる。
しかしながら、この従来技術では大きさが異なる全てに対処することはできない。大型車であって底面の高い車は壁部に接触せず、そのまま前進することがあるので、車止め機能を完全に果すことはできない。
【0003】
特許文献2の車止めは、金属製のポールとこのポールの根元に円板状の台座部が取付けられた構造である。設置された状態では、台座部は地中に埋め込まれポールの上端から略半分までが地上に突出するように設置される。この従来技術では、車がポールに衝突したとき、ポールが押し倒されるのと同時に、地中の台座部がはね起きて車の底面に当たり、車の底を下から支える。この動作によって車の前輪が浮き上るので、車の前進が止められることになる。
しかるにこの従来技術では、車の衝突時に地中に埋められた台座部が、実際には重い土をはねのけて起き上ることはなく、衝撃によって、ポールと台座部の結合部分が破損するだけに終わる。よって、車止めとして機能することはない。
【0004】
特許文献3の車止めは、支柱の基部をコンクリート基礎の内部に収め、かつ支柱の基部と基礎との間にゴムを充満させたものである。この従来技術では、車が支柱に当たるとゴムが変形するので、支柱に弾性を与えなくても支柱の損傷を防止できる、というものである。
しかるにこの従来技術では、車が衝突するとゴムが変形して簡単に支柱が倒れるので、急発進した車や暴走車を止めることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-115422号公報
【特許文献2】特許第4866487号公報
【特許文献3】特開平10-1919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、暴走車や急発進した車であっても、進入を効果的に防止できるコンクリート製車止めを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明のコンクリート製車止めは、支柱部と該支柱部の下端に連結された台座部とからなる車止め支柱を含み、前記台座部が地中に埋められ、前記支柱部が地上に突出する状態で設置されることを特徴とする。
第2発明のコンクリート製車止めは、第1発明において、前記車止め支柱における前記台座部が地中に埋められ、前記支柱部が地上に突出する設置状態において、前記支柱部の周囲の地面に置かれる跳ね上り防止板を含んで構成されることを特徴とする。
第3発明のコンクリート製車止めは、第2発明において、前記跳ね上り防止板が、中央に前記支柱部を通す孔を備えており、前記孔の内周と前記支柱部の外周との間に緩衝板が挿入されていることを特徴とする。
第4発明のコンクリート製車止めは、第1、第2または第3発明において、前記車止め支柱における前記支柱部と前記台座部が連結部で連結された一体物であることを特徴とする。
第5発明のコンクリート製車止めは、第1、第2または第3発明において、前記車止め支柱における前記支柱部と前記台座部が別々の部材であり、前記支柱部の下端が前記台座部に形成された嵌合孔に挿入して固定されることを特徴とする。
第6発明のコンクリート製車止めは、第1、第2、第3、第4または第5発明において、前記台座部を地面に固定するためのアンカーボルトを含んで構成されていることを特徴とする。
第7発明のコンクリート製車止めは、第2、第3、第4、第5または第6発明において、前記車止め支柱および前記跳ね上り防止板が、コンクリート製であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、車が地上に突出している支柱部に衝突すると、台座部が跳ね上ろうとするが地中に埋められているので、跳ね上りが抑制される。この結果、支柱が車の衝突で倒されることがないので、高速で衝突した車であっても進入を防止できる。
第2発明によれば、車が地上に突出している支柱部に衝突すると、台座部が跳ね上ろうとするが地中にあることと跳ね上り防止板で押さえられているので、その跳ね上りも抑制される。この結果、支柱が車の衝突で倒されることがないので、たとえ高速で衝突した車であっても進入を防止できる。
第3発明によれば、支柱部と跳ね上り防止板の間の緩衝板が、車が支柱部に衝突して倒れそうになったときの衝撃を吸収するので、跳ね上り防止板自体の跳ね上りを防止でき、車止め支柱の倒れ込みを抑制できる。このため、たとえ高速で衝突した車であっても進入を防止できる。
第4発明によれば、車止め支柱が一体物であるため組立ての必要がなく設置作業が簡易になり、コンクリートで製造する場合の製造工程も簡単となる。
第5発明によれば、支柱部と台座部が別々であると、それぞれは軽いので設置作業時の扱いが容易となる。
第6発明によれば、アンカーボルトで台座部を地面に固定できるので、車への衝突抗力を大きくできる。
第7発明によれば、支柱部も台座部もコンクリート製であるので、高い強度を与えることができ、しかも安価に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係るコンクリート製車止めAの説明図であって、(A)は平面図、(B)は(A)図のb-b線断面図である。
図2図1に示す車止め支柱1の説明図であって、(A)は平面図、(B)は(A)図のb-b線断面図である。
図3図1に示す跳ね上り防止板2と緩衝板3の説明図であって、(A)は跳ね上り防止板2の平面図、(B)は(A)図のb-b線断面図、(C)は緩衝板3の平面図、(D)は(C)図のd-d線断面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係るコンクリート製車止めBの一部断面側面図である。
図5図4に示すコンクリート製車止めBの説明図であって、(A)図は支柱部11bの側面図、(B)図は台座部12bの断面図である。
図6】衝突時における車止め作用の説明図である。
図7】衝突実験装置の説明図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
(第1実施形態)
図1に基づき、第1実施形態のコンクリート製車止めAの基本構成を説明する。
コンクリート製車止めA(以下、車止めAということがある)は、車止め支柱1を用いて構成される。また、跳ね上り防止板2と緩衝板3を付加して構成されることもある。
【0011】
車止め支柱1は、コンクリート製であり、プレキャスト品が代表的である。跳ね上り防止板2もコンクリート製であるが、製法は任意であり、工場で鋳型を用いてコンクリートを流し込んで得たプレキャスト品でもよく、現場で型枠を用いてコンクリートを流し込んで得た現場打ち品でもよい。さらに複数板のブロックを目地部で噛み合わせたインターロッキングブロックで構成してもよい。緩衝板3は、弾性材料製であり、弾性材料としてはゴムが代表的に用いられるが、それ以外の材料であってもよい。
【0012】
車止め支柱1は、図2に示すように、支柱部11と台座部12と連結部13とからなる。第1実施形態における支柱部11と台座部12と連結部13は、コンクリートで一体物とされたプレキャスト品である。
支柱部11は丸棒状の部材であり、台座部12は円盤状の部材である。連結部13は支柱部11と台座部12とを連結する部位であり、その形状は円錐台状である。
【0013】
台座部12には、アンカーボルト5を挿通する挿通孔14が設けられている。挿通孔14の数は、図示の例では4個であるが、2個や3個であってもよく、5個以上であってもよい。
【0014】
図3(A)、(B)は跳ね上り防止板2を示している。図示の跳ね上り防止板2は、平面視で四角形のコンクリート製厚板であるが、円形のコンクリート製厚板であってもよい。中央には、支柱部11を通すための開孔21が形成されている。
【0015】
図3の(C)、(D)は緩衝板3を示している。緩衝板3は、平面視で円形のゴム板である。緩衝板3の中央には、支柱部11を挿入するための開口31が形成されている。開口31は、車止め支柱1の連結部13の斜面に沿うよう、下方に向かって広がるテーパ面に形成されている。なお、開口31が支柱部11の円柱部分に接触する場合は、開口31の内面は鉛直面であってよい。緩衝板3の外周は跳ね上り防止板2の開口21に嵌る大きさの円形になっている。
【0016】
本実施形態における車止めAの設置状態を、図1に基づき説明する。
地面Gを掘り下げて設置用凹所6を形成し、その設置用凹所6の底面に車止めAの台座部12が置かれている。台座部12と連結部13が地面Gより下になり、支柱部11が地面Gより上に出るようにされる。設置用凹所6の内部において台座部12と連結部13の周囲には充填材7が充填される。充填材7としては、土砂、砕石、クラッシャランなどが用いられる。クラッシャランは粒度が大小に異なる細石からなるので、充填したとき隙間が少なくなり、充填密度が高くなるという利点がある。充填された充填材7の上面は地面Gとほぼ同じレベルである。
台座部12にはアンカーボルト5が通され、アンカーボルト5は地中に打ち込まれる。なお、アンカーボルト5を用いないものも本発明に含まれる。
【0017】
緩衝板3が支柱部11の下端の周り(連結部13の上端の周りの場合もある)に置かれ、緩衝板3の周りに跳ね上り防止板2が置かれる。緩衝板3は支柱部11(連結部13の上端の外周の場合もある)に接触し、かつ跳ね上り防止板2の開口21の内周に接触している。跳ね上り防止板2と緩衝板3は、充填材7の上面に置かれ、それらの上面は、地面Gと同じレベルにされる。
通常の状態では、車止めAは図1に図示の状態で設置され使用される。
【0018】
(第2実施形態)
図4は第2実施形態に係る車止めBを示している。
車止め支柱1bは、支柱部11bと台座部12からなる。この支柱部11bと台座部12は、二つの部品からなる別体物であり、いずれもコンクリート製である。
【0019】
図5(A)に示すように、支柱部11bは円柱状であり、下端部には、3本の円環状の溝16が形成されている。図示の例では溝16は3本であるが、2本以下でもよく、4本以上であってもよい。
支柱部11bの上端部には、平坦な頂面をもつ頭部17が形成されている。頭部17のデザインは任意であり、半球状その他の形状を任意に採用できる。
【0020】
図5(B)に示すように、台座部12bは大径の基部21とそれより小径の軸部22とからなり、中心部に嵌合孔23が形成されている。
嵌合孔23の内径は支柱部11bの下端部の外径よりやや大きくされている。
台座部12bの平面形状は代表的には円形であるが、四角形その他の形状であってもよい。
【0021】
第2実施形態の車止めBは、台座部12bの嵌合孔23に支柱部11bの下端部を嵌め、隙間にモルタル25を充填して、使用される。
モルタル25は、支柱部11bの外周と嵌合孔23との間の隙間および支柱部11bの溝16の中に充填されると、それが固化することで、支柱部11bが台座部12bに嵌められた状態で一体化する。
【0022】
第2実施形態の車止めBにおいても、跳ね上り防止板2を用いてもよく用いなくてもよい。また、アンカーボルト5を用いてもよく用いなくてもよい。
【0023】
(車止め作用)
図6は、第1実施形態の車止めAにおける車Cの衝突時の車止め作用を示している。
暴走車や急発進した高速の車Cは、その前端が車止め支柱1に衝突すると、車止め支柱1が車Cの進行方向に倒されようとする。このとき台座部12も上向きに起こされようとする。しかしながら、台座部12の上方にある充填材7が重しとなることと、車止め支柱1の傾きによって緩衝板3が撓められて、衝撃を吸収するので、跳ね上り防止板2は大きく跳ね上がらない。跳ね上り防止板2が跳ね上らないと充填材7も跳ね上らないので、車止めAは多少傾いても転倒することはなく、車Cを止めることができる。
【0024】
図6には、跳ね上り防止板2および緩衝板3を用いた車止めAを示しているが、跳ね上り防止板2と緩衝板3を用いないものも、本発明に含まれる。
跳ね上り防止板2を用いない場合であっても、暴走車や急発進した高速の車Cは、その前端が車止め支柱1に衝突すると、車止め支柱1が車Cの進行方向に倒されようとする。このとき台座部12も上向きに起こされようとする。しかしながら、台座部12の上方にある充填材7が重しとなり、充填材7も跳ね上らないので、車止めAは多少傾いても転倒することはなく、車Cを止めることができる。
【0025】
このとき、アンカーボルト5を地中に打ち込んでいれば、アンカーボルト5が台座部12の跳ね上りに抵抗を加えるので、車止めAの転倒抑止効果はより高くなる。しかし、アンカーボルト5を用いてなくても、跳ね上り防止板2の跳ね上りは充分に抑制される。
このため、車止めAは多少は傾斜しても転倒しないで立った姿勢を維持する。よって、高速で突進してくる暴走車や急発進車であっても、進入が阻止される。
【0026】
第2実施形態の車止めBは、支柱部11bと台座部12bが別々であり、それぞれは軽いので設置作業時の取扱いが容易となる。しかも、支持部11bと台座部12bは使用時には一体化されているので、第1実施形態と同様に車の進入阻止効果を発揮することができる。
【0027】
(効果確認試験)
第1実施形態に係る車止めAの車止め効果を、以下の実験により確認した。
(試験例1)
車止めAの仕様は以下のとおりである。
車止め支柱1の高さ:1300mm
支柱部11の高さ:800mm
連結部13と台座部12を含めた高さ:500mm
支柱部11の平均直径:330mm
台座部12の直径:1030mm
跳ね上り防止板2(四角形)の一辺の長さ:1300mm
跳ね上り防止板2の厚さ:60mm
緩衝板3の直径:680mm
緩衝板3の厚さ:60mm
設置用凹所6(四角形)の一辺の長さ:2020mm
設置用凹所6の深さ:500mm
充填材7はクラッシャラン
車止め支柱1と跳ね上り防止板2は、コンクリート製
緩衝板3はゴム製
アンカーボルトの使用はなし
【0028】
(試験例2)
試験例1のものに、アンカーボルト5を4本地中に打ち込んだものを試験例2とした。
【0029】
(試験要領)
図7に示すように、フック31と車止め支柱1の支柱部11との間にワイヤロープ32を掛け渡し、ワイヤロープ32にはレバーホイスト33と荷重計34とを介装した。フック31は、架台35の上面に取付けた。架台35は重量1.35トンのコンクリート製ブロックを反力とて設置している。
ワイヤロープ32の引張り側に対して反対側の跳ね上り防止板2の上面には土のう袋36を置いた。土のう袋36は車の前輪荷重相当の重量となるよう20kg×10袋を用いた。
試験は、レバーホイスト33を操作してワイヤロープ32に張力をかけ車止め支柱1を倒す方向の力をかけ、荷重計34の示す荷重を読み取った車止め支柱1の計測点は、以下の3点である。
P1:車止め支柱1の頂点
P2、P3:跳ね上り防止板2における車衝突側の左右2点
【0030】
(試験結果)
(1)試験例1
荷重を0から16KN(最大荷重)まで順々に増加させた。
試験例1では、P1(支柱部11の頂点)は8KNから緩やかに上方変位が増加し、14KNで6mm持ち上り、16KNで17mm持ち上った。
また、P2とP3(跳ね上り防止板2の車衝突側)は8KNから緩やかに上方変位が増加し、12KNで6mm持ち上り、14KNで13mm持ち上り、16KNで45mm持ち上った。
16KNで車止め支柱1の傾斜は、4°となる。
上記の結果により、試験例1の車止めAは進入車の進入阻止効果が高いことが分かる。
【0031】
(2)試験例2
アンカーボルト5を用いて荷重を0から18KN(最大荷重)まで順々に増加させた試験例2の結果は、以下のとおりであった。
試験例2では、P1(支柱部11の頂点)は10KNから緩やかに上方変位が増し、12KNで2mm持ち上り、14KNで6mm持ち上り、16KNで13mm持ち上り、18KNで35mm持ち上った。
18KNで車止め支柱の傾斜は4°位となる。
上記の結果により、アンカーボルト5による引き抜き抵抗が働いていることが分かる。そのため、試験例2の車止めAは試験例1のものより、車の進入阻止効果が少し高いことが分かる。
【実施例0032】
(衝突実験)
実施例1は上記試験例1(アンカーボルトなし)の車止めAを用い、実施例2は上記試験例2(アンカーボルトあり)の車止めAを用いて実車による衝突実験を行った。ただし、実施例1、2とも跳ね上り防止板2と緩衝板3は用いなかった。実験結果は以下のとおりである。
【0033】
(1)実施例1
実車衝突試験の条件は以下のとおり。
車の重量は1.4tで車速30km/hで衝突させた。
衝突エネルギーは48kJであった。
【0034】
(2)実施例2
実施例2は上記試験例2の車止めAを用いた。車止め支柱1の仕様は、アンカーボルトを4本用いた以外は、前記試験例1と同様である。
実車衝突試験の条件は、車の重量は2.0tで車速30km/hで衝突させた。衝突エネルギーは70kJであった。
【0035】
(実験の結果)
実施例1(アンカーボルトなし)では、車止め支柱1は約34度まで転倒し、支柱部11の根元にひび割れが発生したが、車Cを止めることができた。この結果から、本発明の車止めAは暴走車や急発進車の車止めに効果があることが分かる。
実施例2(アンカーボルトあり)では、車止め支柱1は約84度まで転倒し支柱部11の根元にひび割れが発生したが、車Cが支柱に乗り上げ後輪付近まで追加したところで支柱に乗り上げ停止した。この結果から本発明の車止めAは暴走車や急発進車の車止めに効果があることが分かる。
上記実施例1、2とも跳ね上り防止板2を用いれば、さらに高い車止め効果を奏するものである。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の車止めは、暴走車や急発進車の侵入防止に効果的なものであるが、当然に通常に走行している車への進入禁止警告や進入阻止にも使用できる。
本発明の車止めは、道路と歩道の境や公園の入口、交差点横断歩道部、店舗入口前などに設置することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 車止め支柱
2 跳ね上り防止板
3 緩衝板
5 アンカーボルト
7 充填材
11 支柱部
12 台座部
13 連結部
A コンクリート製車止め
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7