IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノンファインテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-シート処理装置及び画像形成システム 図1
  • 特開-シート処理装置及び画像形成システム 図2
  • 特開-シート処理装置及び画像形成システム 図3
  • 特開-シート処理装置及び画像形成システム 図4
  • 特開-シート処理装置及び画像形成システム 図5
  • 特開-シート処理装置及び画像形成システム 図6
  • 特開-シート処理装置及び画像形成システム 図7
  • 特開-シート処理装置及び画像形成システム 図8
  • 特開-シート処理装置及び画像形成システム 図9
  • 特開-シート処理装置及び画像形成システム 図10
  • 特開-シート処理装置及び画像形成システム 図11
  • 特開-シート処理装置及び画像形成システム 図12
  • 特開-シート処理装置及び画像形成システム 図13
  • 特開-シート処理装置及び画像形成システム 図14
  • 特開-シート処理装置及び画像形成システム 図15
  • 特開-シート処理装置及び画像形成システム 図16
  • 特開-シート処理装置及び画像形成システム 図17
  • 特開-シート処理装置及び画像形成システム 図18
  • 特開-シート処理装置及び画像形成システム 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089235
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】シート処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 45/18 20060101AFI20220609BHJP
   B65H 37/06 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
B65H45/18
B65H37/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201457
(22)【出願日】2020-12-04
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】特許業務法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】窪田 秀行
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108AA01
3F108AB01
3F108BA09
3F108BB17
3F108CD05
3F108GA01
(57)【要約】
【課題】
シートに複数回の折り処理を実行する際に、第1の折り位置がずれたり、崩れたりすることを抑制する。
【解決手段】
搬送路に搬送されたシートに回転体対22により1回目の折り処理を施し、当該1回目の折り処理がされた折り処理済シートを第1折り目を開きながらシートを前記搬送路に戻し、前記搬送路に戻された前記折り処理済みシートに前記回転体対により2回目の折り処理を施し、前記第1折り目を開いた状態で排出する。
【選択図】 図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の搬送方向に搬送されるシートを案内する搬送路と、
前記搬送路に搬送されるシートを、前記搬送路に対して前記搬送方向及び前記搬送方向とは反対の方向に移動してシートの位置を調整する位置調整手段と、
前記搬送路に搬送されるシートの面に対向する位置に配置され、前記搬送路に搬送されるシートの前記搬送方向と交差するシート幅方向に延びる第1の折り位置と、前記第1の折り位置とは異なる位置で、前記シート幅方向に延びる第2の折り位置とをニップして折り処理を施すニップ部を有する折り回転体対であって、前記折り処理を施す第1方向と前記第1方向とは反対の前記搬送路にシートを戻す第2方向とに回転可能な折り回転体対と、
前記位置調整手段により調整された前記第1の折り位置と前記第2の折り位置とを前記折り回転体対の前記ニップ部に向けて付勢する付勢手段と、
前記折り回転体対を前記第1方向に回転することにより、前記付勢手段により付勢されたシートの前記第1の折り位置に第1折り目を形成した後、シートの前記搬送方向における上流側端縁と下流側端縁のうち、前記第1折り目に近い端縁が前記搬送路にある間に前記折り回転体対の回転を停止し、前記第2方向に回転することにより、前記折り処理された前記第1折り目を開きながらシートを前記搬送路に戻し、前記位置調整手段により調整され、前記付勢手段により付勢された前記第2の折り位置に対して、前記折り回転体対を前記第1方向に回転することにより前記第2の折り位置に折り処理を施す開き折り処理を実行するために、前記位置調整手段、前記折り回転体対、前記付勢手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記搬送路に搬送されるシートの前記第1の折り位置と、前記第1の折り位置よりも前記搬送方向の下流側に位置する前記第2の折り位置とに前記折り処理が施されるべく、前記位置調整手段、前記折り回転体対、前記付勢手段を制御することを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記搬送路に搬送されるシートの前記第1の折り位置と、前記第1の折り位置よりも前記搬送方向の上流側に位置する前記第2の折り位置とに前記折り処理が施されるべく、前記位置調整手段、前記折り回転体対、前記付勢手段を制御することを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記位置調整手段は、前記搬送路に搬送されるシートの搬送方向下流側端部が当接する位置決め部材と、前記位置決め部材を前記搬送路に沿って移動可能な移動手段とを有することを特徴とするせい請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記位置調整手段は、前記搬送路に搬送されたシートをニップして搬送可能な搬送ローラ対であって、前記搬送方向において前記折り回転体対よりも上流側に配置された第1の搬送ローラ対と、前記搬送方向において前記折り回転体対よりも下流側に配置された第2の搬送ローラ対とで構成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記回転体対における前記ニップ部の圧接力を変更可能な圧変更手段を有し、
前記制御手段は、シートが前記折り回転体対の前記ニップ部を通過することにより折り処理が施された第1の折り位置が、再度前記ニップ部を通過するときに前記ニップ部の圧接力を前記折り処理が施されるときよりも小さくなるように前記圧変更手段を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記折り回転体対は、回転体周面までの半径が一定で前記ニップ部において互いに当接し折り処理を行う第1の周面と、前記第1の周面の半径よりも小さい半径で前記ニップ部において互いに当接しない第2の周面とを有し、
前記制御手段は、シートに折り処理を施すときの前記折り回転体のニップ部は前記第1の周面が対向し、第1折り目が形成された前記第1の折り位置が前記ニップ部を通過するときは前記第2の周面が対向するように前記折り回転体対の回転を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記折り回転体対により折り処理されるシートが所定枚数以下のときに前記開き折り処理を実行することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項9】
シートに画像形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置から送られたシートを折り処理するシート処理装置と、
を有し、
前記シート処理装置は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシート処理装置であることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば画像形成装置から送られたシートを折り処理するためのシート処理装置及びこれを備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機器等の画像形成装置から排出されるシートの後処理として、シート束を冊子状に折り処理するシート処理装置が提供されている。例えば、画像形成装置からシートスタッカに搬出されるシートの所定位置を突き板で折り曲げて折りローラ対のニップ部に押し込み、該折りローラ対で搬送しながら二つ折りにするシート処理装置が知られている。
【0003】
シートに折り処理を行うシート処理装置の中には、二つ折りのみならず、シートの異なる2箇所に折り処理を施し、シートの一方側の端部が折られたシートの内側にあるように折る内三つ折り処理を実行するシート処理装置がある(特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-184140号
【特許文献2】特開2012-56674号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、特許文献2に記載のシート処理装置はそれぞれ構成が異なるものの、どちらの装置においてもシートに内三つ折りを施す技術が開示されている。しかしこれらの装置において内三つ折り処理が施されたシートは、シートが搬送されるシート搬送方向の長さが、見かけ上、折り処理を施す前のシートに対し3分の1程度の長さになる。そのため、図19にも示されているように、内三つ折り処理を施したシートSを積載トレイ200に排出して積み重ねると不安定な状態となり、排出整列性が悪化したり積載したシートの束が崩れたりするおそれがある。
【0006】
そこで本発明の目的は、折り処理を実行しつつ積載トレイに排出されて積載されるシートの整列性を向上するシート処理装置及びこれを備えた画像形成システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る代表的な構成は、所定の搬送方向に搬送されるシートを案内する搬送路と、前記搬送路に搬送されるシートを、前記搬送路に対して前記搬送方向及び前記搬送方向とは反対の方向に移動してシートの位置を調整する位置調整手段と、前記搬送路に搬送されるシートの面に対抗する位置に配置され、前記搬送路に搬送されるシートの前記搬送方向と交差するシート幅方向に延びる第1の折り位置と、前記第1の折り位置とは異なる位置で、前記シート幅方向に延びる第2の折り位置とをニップして折り処理を施すニップ部を有する折り回転体対であって、前記折り処理を施す第1方向と前記第1方向とは反対の前記搬送路にシートを戻す第2方向とに回転可能な折り回転体対と、前記位置調整手段により調整された前記第1の折り位置と前記第2の折り位置とを前記折り回転体対の前記ニップ部に向けて付勢する付勢手段と、前記折り回転体対を前記第1方向に回転することにより、前記付勢手段により付勢されたシートの前記第1の折り位置に第1折り目を形成した後、シートの前記搬送方向における上流側端縁と下流側端縁のうち、前記第1折り目に近い端縁が前記搬送路にある間に前記折り回転体対の回転を停止し、前記第2方向に回転することにより、前記折り処理された前記第1折り目を開きながらシートを前記搬送路に戻し、前記位置調整手段により調整され、前記付勢手段により付勢された前記第2の折り位置に対して、前記折り回転体対を前記第1方向に回転することにより前記第2の折り位置に折り処理を施す開き折り処理を実行するために、前記位置調整手段、前記折り回転体対、前記付勢手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明にあっては、シートの異なる2か所に折り処理を施すにあたり、1か所目には折り目を付ける処理、2か所目には折りたたむ処理を実行する。これにより、2つの異なる箇所に折り処理を施されたシートは、1か所は折り目を付ける処理だけが施されているため、シートの一部がシートの内側に折り込まれた状態で装置から排出される。このため、折処理が施されて排出されるシートは、既に排出されたシートの折り目に倣って新たに排出されるシートの折り目が積み重なるため、排出されるシートの整列性が好適な状態となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の画像形成システムの全体構成の説明図
図2】画像形成システムにおけるシート処理装置の全体構成の説明図
図3】シート処理装置の折り処理装置を示す断面図
図4】シート折り処理装置を示す平面図
図5】折りローラ対の押圧力調整構成の説明図
図6】折り処理制御構成のブロック図
図7】三つ折り処理手順を示すフローチャート
図8】(a)(b)第1実施形態に係るはシートの開き折り動作の断面説明図
図9】(a)(b)第1実施形態に係るはシートの開き折り動作の断面説明図
図10】(a)(b)第1実施形態に係るはシートの開き折り動作の断面説明図
図11】(a)は第1実施形態に係る開き折り処理したシートの斜視図、(b)は開き折り処理したシートの積載図
図12】内三つ折りしたシートの斜視図
図13】(a)(b)内三つ折りしたシートの折り動作の断面説明図
図14】(a)(b)第2実施形態に係るはシートの開き折り動作の断面説明図
図15】(a)(b)第2実施形態に係るはシートの開き折り動作の断面説明図
図16】(a)(b)第2実施形態に係るはシートの開き折り動作の断面説明図
図17】第2実施形態に係る開き折り処理したシートの斜視図
図18】半径が異なる周面を有する折りローラ対の説明図
図19】内三つ折り処理したシートの積載図
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔第1実施形態〕
次に図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態に係るシート処理装置及びこれを備えた画像形成システムについて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るシート処理装置を備えた画像形成システムの全体構成を概略的に示している。同図に示すように、画像形成システム100は、画像形成装置Aと、これに併設されるシート処理装置Bとから構成される。
【0011】
<画像形成装置の全体構成>
画像形成装置Aは、画像形成ユニットA1とスキャナユニットA2とフィーダーユニットA3とで構成される。画像形成ユニットA1は、装置ハウジング1の内部に給送部2と画像形成部3と排出部4とデータ処理部5とを備えている。
【0012】
給送部2は、それぞれ異なるサイズの画像形成用シートを収納する複数のカセット機構2a,2b,2cで構成され、図示しない本体制御部から指定されたサイズのシートを給送経路2fに繰り出す。各カセット機構2a,2b,2cは給送部2から着脱可能に設置され、それぞれ内部のシートを1枚ずつ分離する分離機構と、シートを繰り出す給送機構とが内蔵されている。給送経路2fには、各カセット機構2a,2b,2cから供給されるシートを下流側に給送する搬送ローラと、経路端部には各シートを先端揃えするレジストレイションローラ対とが設けられている。
【0013】
給送経路2fには、大容量カセット2dと、手差しトレイ2eとが接続されている。大容量カセット2dは、大量に消費するサイズのシートを収納するオプションユニットで構成される。手差しトレイ2eは、分離給送が困難な厚紙シート、コーティングシート、フィルムシートなどの特殊シートを供給可能なように構成される。
【0014】
画像形成部3は、本実施形態では電子写真方式を用いて構成されており、回転する感光ドラム3aと、その周囲に配置された、光学ビームを発光する発光器3b、現像器3c、クリーナ(図示せず)とを備えている。図示のものはモノクロ印刷機構であり、周面を一様に帯電した感光ドラム3aに発光器3bにより画信号に応じた光照射をして光学的に潜像を形成し、この潜像に現像器3cでトナーを付着させることでトナー像を形成する。
【0015】
上記感光ドラム3aに画像形成するタイミングに合わせて、給送経路2fからシートを画像形成部3に送り、転写帯電器3dから転写バイアスを印加することによって感光ドラム3aに形成したトナー像をシート上に転写する。トナー像が転写されたシートは、定着器6を通過するときに加熱、加圧されてトナー像が定着され、排出ローラ4aにより排出口4bから排出され、後述するシート処理装置Bに搬送される。
【0016】
スキャナユニットA2は、画像原稿を載置するプラテン7aと、このプラテン7aに沿って往復動するキャリッジ7bと、光電変換手段7cと、前記キャリッジ7bによるプラテン7a上の原稿からの反射光を光電変換手段7cに案内する縮小光学系7dとを備える。光電変換手段7cは、縮小光学系7dからの光学出力を画像データに光電変換して、電気信号として画像形成部3へ出力する。
【0017】
また、スキャナユニットA2は、フィーダーユニットA3から送られてくるシートを読み取るために、走行プラテン7eを備えている。フィーダーユニットA3は、原稿シートを積載する給送トレイ8aと、この給送トレイ8aから送り出した原稿シートを走行プラテン7eに案内する給送経路8bと、走行プラテン7eを通過した原稿シートを収納する排出トレイ8cで構成される。給送トレイ8aからの原稿シートは、走行プラテン7eを通過する際に、キャリッジ7bと縮小光学系7dとで読み取られる。
【0018】
<シート処理装置の全体構成>
次に画像形成装置Aから送られてくるシートを後処理するシート処理装置Bの全体構成について説明する。
【0019】
図2は本実施形態に係るシート処理装置Bの構成説明図である。シート処理装置Bは、画像形成装置Aからのシートを導入するための搬入口10を設けた装置ハウジング11を備える。装置ハウジング11は、搬入口10を画像形成装置Aの排出口4bに連通させるように、画像形成装置Aのハウジング1に位置を合わせて配置される。
【0020】
シート処理装置Bは、搬入口10から導入されるシートを搬送するシート搬入経路12と、シート搬入経路12から分岐される第1排出パス13a、第2排出パス13b及び第3排出パス13cと、第1経路切換手段14aと、第2経路切換手段14bとを備える。第1経路切換手段14a及び第2経路切換手段14bは、それぞれシート搬入経路12を搬送されるシートの搬送方向を変更するフラッパガイドで構成されている。
【0021】
第1経路切換手段14aは、図示しない駆動手段によって、搬入口10からのシートをそのまま横方向に搬送する第1排出パス13a及び下方へ搬送する第2排出パス13bの方向に案内するモードと、上方へ搬送する第3排出パス13cに案内するモードとに切り換える。第1排出パス13aと第2排出パス13bとは、一旦第1排出パス13aに導入されたシートを、搬送方向を反転させて第2排出パス13bにスイッチバック搬送することが可能なように連通している。
【0022】
第2経路切換手段14bは、シート搬入経路12を搬送されるシートの搬送方向に関して、第1経路切換手段14aの下流側に配置されている。第2経路切換手段14bは、同じく図示しない駆動手段によって、第1経路切換手段14aを通過したシートを第1排出パス13aに導入するモードと、一旦第1排出パス13aに導入されたシートを第2排出パス13bにスイッチバック搬送するモードとに切り換える。
【0023】
シート処理装置Bは、それぞれ異なる後処理を行う第1処理部B1、第2処理部B2、第3処理部B3を備える。更にシート搬入経路12には、搬入されたシートにパンチ穴を穿孔するパンチユニット15が配置されている。
【0024】
第1処理部B1は、シート搬入経路12を搬送されるシートの搬送方向に関して、第1排出パス13aの下流端の排出口16aから搬出された複数のシートを集積し、部揃えして綴じ処理し、装置ハウジング11の外側に設けられた積載トレイ16bに排出する綴じ処理部である。また、第1処理部B1は、シート又はシート束を搬送するシート搬送装置16cと、シート束を綴じ処理する綴じ処理ユニット16dとを備える。第1排出パス13aの下流端には、排出口16aからシートを排出するため、及び第1排出パス13aから第2排出パス13bにスイッチバック搬送するための排出ローラ対16eが設けられている。
【0025】
第2処理部B2は、第2排出パス13bからスイッチバック搬送されてくるシート又は複数のシートを重ねてシート束にし、該シート又はシート束を綴じ処理した後、折り処理を行う折り処理部である。後述するように、第2処理部B2は、搬入されたシート又はシート束を折り処理する折り処理装置Fと、第2排出パス13bに搬送されるシートのシート搬送方向に沿って該折り処理装置Fの直ぐ上流側に配置されて、シート束を綴じ処理する綴じ処理ユニット17aとを備える。折り処理されたシート又はシート束は、排出ローラ17bによって、装置ハウジング11の外側に設けられた積載トレイ17cに排出される。
【0026】
第3処理部B3は、第3排出パス13cから送られてくるシートを、搬送方向に直交するシート幅方向に所定量オフセットさせて集積するグループと、オフセットさせることなく集積するグループとに区分けするジョグ仕分けを行う。ジョグ仕分けしたシートは、装置ハウジング11の外側に設けられた積載トレイ18に排出され、オフセットされたシート束とオフセットされないシート束とが積み上げられる。
【0027】
<折り処理装置>
【0028】
図3は、第2処理部B2の全体構成を概略的に示している。上述したように、第2処理部B2は、第2排出パス13bから搬入され、集積したシート又は複数のシートを集積して部揃えしたシート束を2つ折りに折り処理する折り処理装置Fと、折り処理前のシート束を綴じ処理する綴じ処理ユニット17aとを備える。図示される綴じ処理ユニット17aは、ステープル針を打ち込んでシート束を綴じるステープラ装置である。
【0029】
折り処理装置Fにシートを搬入するために、第2排出パス13bにシート搬送路20が接続されている。第2排出パス13bから中間トレイ21に搬送されるシートの搬送方向に関して、シート搬送路20の下流側には、該シート搬送路の一部を構成する中間トレイ21が、折り処理するシートを位置決めして積載するために設けられている。中間トレイ21の直ぐ上流側には、シート搬送路20を挟んで綴じ処理ユニット17aとその針受け部17dとが対向位置に設けられている。
【0030】
中間トレイ21のシートの厚み方向に於ける一方の側には、折り回転体対としての折りローラ対22が、前記中間トレイ21に搬送されるシート又はシート束の一方の面に対向するように配設されている。折りローラ対22は、互いに円形のローラ面を圧接させた一対の折りローラ22a,22bからなり、その圧接部であるニップ部22cが中間トレイ21に向けて配置されている。折りローラ22a,22bは、中間トレイ21に上方の上流側から下方の下流側へ搬送されるシートの搬送方向に沿って上流側と下流側に、それぞれ中間トレイ21との間隔を略等しくして並置されている。なお、本発明において、前記折り回転体対の回転部は、本実施形態の折りローラ22a,22bに限定されず、回転ベルトなどで構成することができる。更に、折りローラ対22は、各折りローラ22a,22bの軸方向に沿ってそれぞれ複数の折りローラ(回転体)を直列に連続配置して構成することができる。
【0031】
前記折りローラ対22は、通常のシート搬送等に用いるローラのローラ面と同様に、摩擦係数が比較的高いゴム材料等で形成されている。
【0032】
中間トレイ21を挟んで折りローラ対22の反対側には、シートを折りローラ対22へ付勢する付勢手段としての折りブレード23が配置されている。折りブレード23は、その先端を折りローラ対22のニップ部22cに向けて、ブレードキャリア24に担持されている。ブレードキャリア24は、カム部材等で構成した移動手段によって中間トレイ21を略直角に横断する向きに、即ち第2排出パス13bから中間トレイ21に搬送されるシートの搬送方向と交差する向きに、走行可能に設けられている。
【0033】
図3における前後方向、即ち前記折りローラの軸線方向に、ブレードキャリア24を挟んでその両側には、一対の互いに鏡面対称の偏心カムからなるカム部材25(図中には、一方のみを表示)が対向位置に設けられている。カム部材25は、その偏心位置に設けられた回転軸25aを中心に、駆動モータ等の駆動手段によって回動する。カム部材25には、その外周縁に沿ってカム溝25bが形成されている。
【0034】
ブレードキャリア24には、カムフォロワとして、カム溝25bに摺動自在に嵌合するカムピン24cが設けられている。
【0035】
ブレードキャリア24は、駆動モータによりカム部材25を回転させると中間トレイ21に接近又は離反する向きに往復走行する。これによって、折りブレード23の先端が中間トレイ21のガイド面21aにより形成されるシート搬送路に進入していない位置である初期位置と、図3に示すように、折りローラ対22のニップ部22cに挟まれる最大突き出し位置との間で、前記両位置を結ぶ突き出し経路に沿って、折りブレード23を直線状に進退自在に移動させることができる。
【0036】
中間トレイ21の下端には、搬送されたシートの搬送方向の先端を当接させて規制してシート搬送路の中で前記搬送方向及び前記搬送方向とは反対の方向に移動して中間トレイ21に対してシートの位置を調整する位置調整手段となる規制ストッパ26が配置されている。規制ストッパ26は、シート昇降機構27によって、中間トレイ21に沿って昇降可能に設けられている。
【0037】
本実施形態のシート昇降機構27は、中間トレイ21の裏側で折りブレード23の先端が中間トレイ21により形成されるシート搬送路に進入していない位置である初期位置にある時のブレードキャリア24の下方に配置され、該中間トレイ21に沿ってその上端及び下端付近に配置された一対のプーリ27a,27bと、前記両プーリに巻き掛けられた伝動ベルト27cとからなるコンベアベルト機構である。規制ストッパ26は、伝動ベルト27c上に固定されている。駆動側のプーリ27a又は27bを駆動モータ等の駆動手段により回転させることによって、規制ストッパ26が、図3に示す下端位置と所望の高さ位置との間を昇降し、それにより中間トレイ21に沿ってシート又はシート束を移動させ、所望の高さで位置決めすることができる。
【0038】
また、本実施形態の折り処理装置Fは、中間トレイ21に搬入されるシートの、シート搬送方向と交差する幅方向の端縁にあたる側部を揃えて整合させるためのシート側部整合機構を更に備えている。このシート側部整合機構は、図4に示すように、中間トレイ21のシート幅方向(シート搬送方向と直交する方向)の両側に対称に配置された一対のシート側部整合部材28a,28bを有する。なお、図4は折り処理装置Fを上方から見た平面模式図である。前記シート側部整合部材28a,28bは、シート幅方向に相対的に接近離反し得るように移動可能に保持されている。中間トレイ21に搬送され、先端が規制ストッパ26に突き当たったシートに対し、前記シート側部整合部材28a,28bを移動させることでシートの幅方向の位置が整合されるものである。
【0039】
上記のように、折りブレード23によって付勢されたシートを折りローラ対22のニップ部22cを通過させることによって押圧して折り処理を行うが、本実施形態の折り処理装置Fは折りローラ22a,22bの回転軸22a1,22b1の間隔を変更可能に構成され、圧力変更モータの駆動により前記間隔を変更することによりニップ部22cの押圧力を調整できるようになっている。
【0040】
本実施形態のニップ部22cの押圧力を変更可能な圧変更手段は、図5に示すように、折りローラ22a,22bがそれぞれアーム部材90a,90bの一方側端部に回動自在に取り付けられており、アーム部材90a,90bの他方側端部は共通の回動支点91によって支持されいる。前記折りローラ22a,22bがアーム部材90a,90bに係止された引張バネ92によって圧接し、ローラニップ部22cを通過するシートに対して所定の押圧力を付与するようになっている。
【0041】
一方、回動支点91の近傍には、楕円形の偏心カム93が圧力変更モータ69によって回動可能に取り付けられ、それぞれのアーム部材90a,90bには前記偏心カム93の長径部と係合可能なピン95a,95bが設けられている。偏心カム93がピン95a,95bに当接していないときは折りローラ22a,22bは圧接しているが、偏心カム93を回動させるとピン95a,95bと係合して押し出す。これにより、アーム部材90a,90bが回動支点91を中心に回動して折りローラ22a,22bが離間する。
【0042】
<制御部>
次にシートの折り処理をするときの駆動系の制御構成について説明する。図6のブロック図に示すように、制御部60は各種検出センサからの検出信号や各種処理信号を入力し、入力信号に応じて各種駆動モータ等の駆動を制御する。例えば、規制ストッパ26がホームポジションにあるか否かを検出する規制ストッパHPセンサ61、折りブレード23がホームポジションにあるか否かを検出する折りブレードHPセンサ62、偏心カム93のホームポジションを検出する偏心カムHPセンサ63等からの検出信号を入力する。
【0043】
そして、制御部60は、入力した信号に応じて図7に示すフローチャートの手順に従うように規制ストッパ26を昇降させるシート昇降機構27を駆動する規制ストッパモータ65、ブレードキャリア24を動作させるためのカム部材25を駆動するカムモータ66、折りローラ対22を駆動回転させる折りローラモータ67を駆動制御する。さらに、制御部60は、シート搬送手段となる排出ローラ17bを駆動回転させる排出ローラモータ68、折りローラ22a,22bの回転軸22a1,22b1を移動可能な圧力変更モータ69を駆動制御する。
【0044】
<折り処理動作>
図7は中間トレイ21に搬送されたシートを折り処理装置Fにより三つ折り処理するときの各部材の動作手順を示すフローチャートである。なお、三つ折り処理とは、1回目の折り処理によってシートを二つ折りし、そのシートに対して最初の折り位置とは異なる箇所で2回目の折り処理をするものである。そして、前記1回目の折処理によって折られたシートの一方側の端部を2回目の折り処理によって折られるシートの内側に折り込むことにより内三つ折りが可能となる。
【0045】
ここで、前述したように三つ折り処理をするときに、前記内三つ折りをした状態で排出して積み重ねると不安定な状態となる。そこで、本実施形態の折り処理装置Fにあっては、三つ折り排出処理を実行するにあたり、1回目の折り処理をしたときに、その折り目でシートを折りたたむことなく開いた状態のまま2回目の折り処理を行い、そのまま排出する開き折り処理を行うようにしている。
【0046】
以下に本実施形態の折り処理装置Fにより三つ折り処理をするときの動作について、図7のフローチャート及び三つ折り処理を実行したときのシートSの流れに沿った各部の動きを示す図8乃至図11の断面模式図を参照して説明する。なお、ここでは等間隔の三つ折り処理を例に挙げる。また、シート束に代えて1枚のシートSに関して説明するが、以下の処理は、複数枚のシートを束ねたシート束に対しても同様に実行され得ることは勿論である。
【0047】
図8(a)に示すように、本実施形態の中間トレイ21は鉛直方向に対して傾いて形成されており、シートSは一方側の面が中間トレイ21の搬送路を形成するガイド面21aにガイドされながら下流側端縁E1を下に、上流側端縁E2が上になって落下するように搬送され、下流側端縁E1が規制ストッパ26に付き当てられて停止する。このとき、規制ストッパ26の位置は、シート下流側端縁E1が突き当てられたシートSへの1回目の折り位置(第1の折り位置)が折りブレード23と対向する位置となるように移動している(S1)。
【0048】
前記第1の折り位置は、中間トレイ21に搬送されたシートSの下流側端縁E1が規制ストッパ26に当接したときに、折り処理前のシートSの搬送方向長さの前記下流側端縁E1から2/3の長さに対応する位置が折りブレード23と対向する位置において、中間トレイ21の搬送路に搬送されるシートSの前記搬送方向と交差するシート幅方向に延びる位置である。
【0049】
折りブレード23は、中間トレイ21のガイド面21aの側から、折りローラ対22に向かってシートSを突き出す位置に配置されている。言い換えると、中間トレイ21のガイド面21aと折りローラ対22とは、シートSを挟んで対応する位置となるように配置されている。
【0050】
折り処理が実行が開始されると、図8(b)に示すように、カムモータ66が駆動してブレードキャリア24が折りローラ対22の方向に移動し、折りブレード23がシートSの第1の折り位置F1に当接してニップ部22cへと突き出す。これと同時に折りローラモータ67が駆動して折りローラ対22が第1方向である正転方向(ここでは折りローラ22aが時計回り、折りローラ22bが反時計回りする方向を正転方向とする)に正転駆動する(S2)。ここでは、折りブレード23の動作開始と折りローラ対22の回転開始を同時に行うとしたが、折りブレード23の動作開始から所定時間経過、もしくは所定パルスカウント後に折りローラ対22の回転を開始しても良い。前記各モータにパルスモータを用いる場合、モータを駆動させるとその駆動パルス数がカウンタによりカウントされる。また、前記各モータにDCモータを用いる場合、モータの回転軸上に取り付けたコードホイール(スリット板)のスリットをセンサで読み取り、その数がカウンタによりカウントされる。なお、第1の折り位置F1がニップ部22cを通過したか否かの判別は、モータの回転をカウントする構成以外の他の構成、例えばシートSをセンサによって検出し、その検出結果に応じてモータの駆動を制御するようにしてもよい。
【0051】
カム部材25の回転により、折りブレード23はシートSの1回目の折り部を折りローラ対22のニップ部22cまで突き出す所定量突出すると、進行方向が逆転して戻し方向へ移動してホームポジションへと戻る。
【0052】
上記折りブレード23の突き出しにより、折りローラ対22の圧接したニップ部22cへ突き出されたシートSは、折りローラ対22で挟持搬送される間に所定の押圧力で押圧されて折り処理がなされ、第1の折り処理が施される。
【0053】
そして、前記第1の折り位置F1が前記ニップ部22cを所定量通過した時点で折りローラ対22の駆動を停止する(S4)。この折りローラ対22の停止は、シートSの前記搬送方向における下流側端縁E1と上流側端縁E2のうち、第1折り位置F1に近い端縁(本実施形態にあっては上流側端縁E2)が前記中間トレイ21の搬送路にある間に停止するように設定している。停止タイミングとしては、折りブレード23を動作させるカムモータ66の駆動開始からの駆動パルスをカウントする(S3)ことにより制御可能である。
【0054】
次に折りローラ対22を、前記第1方向とは反対の方向となる第2方向に逆回転させて第1の折り目が付けられたシートSを中間トレイ21へ戻す(S5)。このとき、シートSの両端縁E1、E2は中間トレイ21が形成するシート搬送路内にあるため、図9(a)に示すように、シート搬送路内に第1の折り目が開かれるようにして戻され、ニップ部22cによるニップが解除されたシートSは下流側端縁E1が規制ストッパ26に当接するまで落下してシート搬送路に戻される(S6)。
【0055】
次に2回目の折処理を行うために、規制ストッパモータ65を駆動して図9(b)に示すように規制ストッパ26を上昇させ(S7)、シートSの下流側端縁E1が突き当てられたシートSへの2回目の折り位置(第2の折り位置)が折りブレード23と対向する位置となるように移動させる(S8)。
【0056】
前記第2の折り位置は、シートSの搬送方向長さの前記下流側端縁E1から1/3の長さに対応する位置が折りブレード23と対向する位置において、中間トレイ21の搬送路に搬送されるシートの前記搬送方向と交差するシート幅方向に延びる位置である。
【0057】
この状態でカムモータ66を駆動して再度折りブレード23を動作させ、図10(a)に示すように、シートSを折りローラ対22のニップ部へ突き出す(S9)。
【0058】
上記カムモータ66の駆動と同期して折りローラモータ67、排出ローラモータ68を正転駆動する。これにより、折りブレード23の突き出しによって折りローラ対22へ送られたシートSは、第1ローラ面22a2,22b2が対向したニップ部22cを通過することで2回目の折り位置(第2の折り位置)F2に押圧力が付与されて2回目の折り処理が施される(S10)。
【0059】
2回目の折り処理が施されたシートSは、図10(b)に示すように、第2の折り位置F2で2つ折りされ、第1の折り位置F1は開いた状態で折りローラ対22及び排出ローラ17bによって積載トレイ17cへ排出される。このとき、第2の折り位置F2がニップ部22cを通過した後であって、第1の折り位置F1がニップ部22cを通過する前(本実施形態にあっては第2の折り位置F2がニップ部22cを通過した直後(S10)に圧力変更モータ69を動作させてニップ部22cの圧接力を弱める(S11)。このため、第1の折り目が開いた状態でニップ部22cを通過するときに、第1の折り目がつぶされることによる折り目保持力の低下を防ぐことができる。
【0060】
中間トレイ21に排出されるシートSは、図11(a)(b)に示すように、第2の折り位置F2においてシートの3分の1がシートの内側に折り込まれ、第1の折り位置F1は開いた状態で排出される(S12)。そして、第1の折り位置F1で折り目がつけられたシートは、既に排出されたシートの折り目に倣って新たに排出されるシートの折り目が積み重なる。このため、排出されるシートの整列性が好適な状態となる。
【0061】
また、本実施形態にあっては、最初に折り処理を実行する第1の折り位置F1に対して、次に折り処理される第2の折り位置F2が中間トレイ21へのシート搬送方向下流側に位置しているため、第2の折り位置F2で折り込まれて排出されるシートSは、図11(a)(b)に示すように、シートSの内側に向けて折り畳まれた片方の端縁がシートSの下側になるように積載される。このため、シートの自重により折り畳まれた方片が開きづらい状態で積載され、更に後続のシートが排出されても既に排出されているシートを押し出すことがなく、排出された後の積載性がよい。
【0062】
また、前記のようにシートSに対して搬送方向上流側の第1の折り位置F1に折り目を付けたシートを中間トレイ21に戻した後、規制ストッパ26を上昇させてシートの第2の折り位置を折りブレード23の位置へ搬送するときに、規制ストッパ26に当接したシート下流側端縁E1と第2の折り位置F2の間に折り目が施された箇所がないために、折りブレード23の移動によって第2の折り位置F2を折りブレード23と対向する位置へと精度よく移動させることができる。
【0063】
上記のようにして排出されたシートSは、第1の折り目にしたがって折りたたむことにより、図12に示すように、シートSを内三つ折りした状態にすることが容易になしえる。
【0064】
また、本実施形態にあっては折り処理装置Fによって内三つ折りされた状態で排出する場合よりも、シート搬送距離を短くして折り処理時間を短縮することができる。これを具体的に説明すると、折り処理装置Fによって内三つ折りされた状態で排出しようとした場合、図13(a)に示すように、第1の折り処理をした後、シートSの端縁E2が中間トレイ21の搬送路から折りローラ対22の方向へ搬送された後に折りローラ対22を逆回転させ、図13(b)に示すように、シート端縁E2が中間トレイ21の搬送路の下流側へ案内されるように搬送する必要がある。これに対して本実施形態にあっては、前述のように第1の折り処理をした後、シート端縁E2が中間トレイ21の搬送路を抜ける前に折りローラ対22を逆回転させて前記搬送路へ戻すためにシート搬送距離が短くなり、全体の折り処理時間を短縮することが可能となる。
【0065】
なお、上記説明では1枚のシートを搬送して折り処理を実行する例を示したが、中間トレイ21へ複数枚のシートを搬送し、それぞれのシートの下流側端縁E1が規制ストッパ26において順次スタックするとともに、この規制ストッパ26を移動させることで複数枚のシートを同時に移動させて折り処理を実行するようにしてもよい。これにより、複数枚のシートに対して同時に折り処理を実行して生産効率を上げることができる。
【0066】
もっとも、上記のように複数枚のシートを同時に折り処理する場合、所定枚数以下のときに本実施形態のように第1の折り目を開いた状態で排出する開き折り処理をするのが好ましい。すなわち、開き折り処理をして排出されたシートを内三つ折りにする場合は、排出後に第1の折り目に沿って折り込む必要がある。そのため、同時折り処理するシートが所定枚数以上のときは、図12に示すように、折り処理装置Fによって内三つ折りされた状態で排出したほうが、その後の折り込み処理の手間がかからない。したがって、前記所定枚数はいずれが生産効率がよいかで設定するとよい。
【0067】
〔第2実施形態〕
次に排出積載性を向上させたシートの三つ折り処理の第2実施形態について説明する。前述した実施形態では、中間トレイ21へのシート搬送方向に対し、第1の折り位置F1が第2の折り位置F2よりも上流側に位置する例を示したが、第1の折り位置F1が第2の折り位置F2よりも下流側に位置するようにして三つ折り処理をしても排出積載性を向上させることができる。
【0068】
具体的には、図14(a)に示すように、中間トレイ21へ搬送されたシートは下流側端縁E1が規制ストッパ26に付き当てられて停止する。このとき、規制ストッパ26の位置は、中間トレイ21に搬送されたシートの下流側端縁E1が規制ストッパ26に当接したときに、折り処理前のシートSの搬送方向長さの前記下流側端縁E1から1/3の長さに対応する位置が折りブレード23と対向する位置である。すなわち、本実施形態では第1の折り位置F1が下流側端縁E1からシート長さ1/3の位置である。
【0069】
上記状態からカムモータ66及び折りローラモータ67が駆動して第1の折り位置F1において折り処理を実行する(図14(b))。そして、前記第1の折り位置F1が前記ニップ部22cを所定長さ通過した時点で折りローラ対22の駆動を停止する。この折りローラ対22の停止は、シートSの下流側端縁E1と上流側端縁E2のうち、第1折り位置F1に近い下流側端縁E1が前記中間トレイ21の搬送路にある間に停止するように設定している。
【0070】
次に折りローラ対22を逆回転させて第1の折り目が付けられたシートSを中間トレイ21へ戻すと、第1実施形態の場合と同様に、シートSの両端縁E1、E2は中間トレイ21が形成するシート搬送路内にあるため、図15(a)に示すように、シート搬送路内に第1の折り目が開かれるようにして戻され、ニップ部22cによるニップが解除されたシートSは下流側端縁E1が規制ストッパ26に当接するまで落下してシート搬送路に戻される。
【0071】
次に2回目の折処理を行うために、規制ストッパモータ65を駆動して図15(b)に示すように規制ストッパ26を下降させ、シートSの下流側端縁E1が突き当てられたシートSへの第2の折り位置F2の折り位置が折りブレード23と対向する位置となるように移動させる。この第2の折り位置F2は、シートSの搬送方向長さの前記下流側端縁E1から2/3の長さに対応する位置が折りブレード23と対向する位置である。
【0072】
上記状態からカムモータ66及び折りローラモータ67を駆動して、2回目の折り処理を実行し(図16(a))、そのまま積載トレイ17cへと排出する(図16(b))。これにより、図17に示すように、第2の折り位置F2においてシートの3分の1がシートの上側に折り込まれ、第1の折り位置F1は開いた状態で排出される。
【0073】
上記のように折り処理を実行した場合も、第1の折り位置F1で折り目がつけられたシートは、既に排出されたシートの折り目に倣って新たに排出されるシートの折り目が積み重なるため、排出されるシートの整列性が好適な状態となる。また、本実施形態のように第1の折り位置F1が第2の折り位置F2よりも下流側に位置するようにして三つ折り処理した場合には、第1の折り処理をしたシートSを中間トレイ21へ戻した後、第2の折り位置が折りブレード23の対向位置へくるように移動させるとき、シートをスイッチバックさせる必要がないため、中間トレイ21内での搬送の方向が逆転しない。これにより折り処理全体にかかる処理時間を前述した折り処理動作よりも短縮することが可能となる。
【0074】
なお、本実施形態の折り処理にあっても、第1実施形態と同様に、折り目がつけられた第1の折り位置F1がニップ部22cを再度通過するときに、ニップ圧を低下させるように構成してもよい。
【0075】
〔第3実施形態〕
前述した実施形態では折り目がつけられた第1の折り位置F1がニップ部22cを再度通過するときに、ニップ圧を低下させるために、ローラ対の軸間距離を変化可能にした例を示した。しかし、ローラ軸間距離は固定したまま、ローラ径を変化させることでニップ圧を変化させるようにしてもよい。
【0076】
例えば、図18に示すように、折りローラ対22の各折りローラ22a,22bは、そのローラ周面が、それぞれ回転軸22a1,22b1の回転軸心を中心に半径R1が一定である第1ローラ面(第1の周面)22a2,22b2と、前記回転軸の回転軸心からの距離が前記第1ローラ面の半径R1より小さい第2ローラ面(第2の周面)22a3,22b3とを有するローラで構成する。なお、本実施形態では第1ローラ面22a2,22b2は、通常のシート搬送等に用いるローラのローラ面と同様に、摩擦係数が比較的高いゴム材料等で形成し、第2ローラ面22a3,22b3は、摩擦係数が第1ローラ面22a2,22b2より小さいプラスチック樹脂材料等で形成している。
【0077】
折りローラ22a,22bの回転軸22a1,22b1は、共通の駆動モータ等の駆動手段によって回転駆動される。それにより、互いに第1ローラ面22a2,22b2相互及び第2ローラ面22a3,22b3相互が対向するように回転位置を常に同期させることができるように構成されている。
【0078】
そして、第1ローラ面22a2,22b2が対向したときはニップ部22cが所定の押圧力で圧接しており、このニップ部22cを二つ折りされたシートSが通過することによってシートに折り目が付けられる。一方、第2ローラ面22a3,22b3が対向したときはニップ部22cは当接せずに僅かに隙間を有するように構成されている。このため、第2ローラ面22a3,22b3が対向するときは、ニップ部22cを通過するシートに押圧力は付与されないことになる。
【0079】
上記のように構成することで、折りローラ対22は、ニップ部22cを通過するシートに所定の押圧力を付与して折り処理を施す場合と、折り処理が施された第1の折り位置が再度折りローラ対22を通過するときに前記折り処理を施すときよりも押圧力を下げた状態でシートを通過させる場合が可能となり、ニップ部22cの押圧力を調整可能となる。そして、本実施形態にあっては前述した第1実施形態の場合のようにローラ軸間を変化させる構成が不要となり、折りローラの回転制御のみで押圧力を変更することが可能となる。
【0080】
〔他の実施形態〕
前述した実施形態では中間トレイ21に形成された搬送路へ搬送されたシートSを搬送方向及び前記搬送方向とは反対の方向に移動させる位置調整手段として、規制ストッパ26を上下に移動させる構成を示したが、規制ストッパ26以外の構成であってもよい。例えば、前記シート搬送方向において折りローラ対22の上流側と下流側にそれぞれシートを挟持搬送し得る上流側搬送ローラ対(第1の搬送ローラ対)及び下流側搬送ローラ対(第2の搬送ローラ対)を設け、これら搬送ローラ対を正逆回転させることによってシートを任意の位置へ搬送するようにしてもよい。
【0081】
上記のように搬送ローラ対によりシートの位置を調整可能とした場合、シートの位置を調整する主要な部材を折りローラ対22の周辺に集中して配置することができ、装置を小型化することが容易となる。さらに、搬送ローラ対は常にシートをニップしてシートの搬送ができるため、シートを各折り位置に精度良く位置調整することができる。
【0082】
そして、上記のように搬送ローラ対によりシートを任意の位置に移動させる構成にした場合、前述した第1実施形態では付勢手段として折りブレード23を用いたが、これを用いることなく、シートをニップ部へ押し出すようにすることも可能である。例えば、上流側搬送ローラ対と下流側搬送ローラ対を互いに逆方向に回転させることで、折り位置でシートがループを形成するように弛みをつくることでシートSの折り位置を折りローラ対22に押し出してニップさせることが可能となる。この場合は、第1実施形態における折りブレード23及びこれを移動させるカム部材等が不要となるため、より装置を小型化することが可能となる。
【符号の説明】
【0083】
A …画像形成装置
A1 …画像形成ユニット
B …シート処理装置
F …折り処理装置
F1 …第1の折り位置
F2 …第2の折り位置
S …シート
17b …排出ローラ
17c …積載トレイ
21 …中間トレイ
21a …ガイド面
22 …折りローラ対
22a,22b …折りローラ
22c …ニップ部
23 …折りブレード
24 …ブレードキャリア
25 …カム部材
26 …規制ストッパ
60 …制御部
100 …画像形成システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19