(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089245
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】処理装置および処理方法
(51)【国際特許分類】
A23N 7/00 20060101AFI20220609BHJP
A23N 12/02 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
A23N7/00 B
A23N12/02 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201476
(22)【出願日】2020-12-04
(71)【出願人】
【識別番号】591100563
【氏名又は名称】栃木県
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 功一
【テーマコード(参考)】
4B061
【Fターム(参考)】
4B061AA02
4B061BB07
4B061BB13
4B061CA13
4B061CA36
4B061CB07
4B061CB16
4B061CB23
(57)【要約】
【課題】消費する圧縮ガスGの量を抑えつつ、そぐりに代表される野菜類の処理を効率よくできる処理装置を提供すること。
【解決手段】本発明の処理装置1は、処理対象であるニラ100を所定の搬送方向Lに搬送する搬送部50と、搬送部50を搬送されるニラ100の処理部位に向けて圧縮ガスGを吐出するガス吐出部10と、を備える。搬送部50は、植物が載せられる搭載面52と、搬送方向Lに間隔を空けて搭載面52に設けられる、搬送方向Lに交差する向きに延びる複数の第1仕切54と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象である植物を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部を搬送される前記植物の処理部位に向けて圧縮ガスを吐出するガス吐出部と、を備え、
前記搬送部は、
前記植物が載せられる搭載面と、
前記搭載面に設けられる、前記搬送方向に交差する幅方向に延びる複数の第1仕切と、を備える、
ことを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記搬送部は、
隣接する前記第1仕切の間に設けられ、前記第1仕切と同じ向きに延びる単数または複数の第2仕切を備え、
前記第2仕切は、
前記搭載面からの突出寸法が前記第1仕切よりも小さい、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記処理部位に前記圧縮ガスが吐出される際に、前記処理部位から離れる非処理領域において前記植物との間で摩擦を生じさせる摩擦保持部を備える、
請求項1または請求項2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記摩擦保持部は、
前記植物に接触すると前記植物に応じて変形する接触面を備える、
請求項3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記ガス吐出部と前記摩擦保持部は、
相対的な位置関係を維持しながら同期して移動するか、または、
各々が独立して移動する、
請求項3または請求項4に記載の処理装置。
【請求項6】
前記搭載面は、
前記植物の全長より幅方向の寸法が大きい、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項7】
搭載面に載せられる処理対象である植物を搬送方向に搬送しながら、前記植物の処理部位に向けて圧縮ガスを吐出して処理する方法であって、
前記搭載面に設けられる、前記搬送方向に交差する向きに延びる複数の第1仕切の間に置かれる前記植物を対して前記圧縮ガスが吐出される、
ことを特徴とする処理方法。
【請求項8】
隣接する前記第1仕切の間に設けられ、前記第1仕切と同じ向きに延びる単数または複数の第2仕切を備え、
前記第2仕切は、
前記搭載面からの高さが前記第1仕切よりも小さく、
隣接する前記第2仕切の間および/または前記第1仕切と前記第2仕切の間に置かれる前記植物に対して前記圧縮ガスが吐出される、
請求項7に記載の処理方法。
【請求項9】
前記処理部位に前記圧縮ガスが吐出される際に、前記植物の前記処理部位から離れる非処理領域において、前記植物は、接触する摩擦体との間で摩擦が生じている、
請求項7または請求項8に記載の処理方法。
【請求項10】
前記摩擦体は、
前記植物と接触する摩擦面が変形している、
請求項9に記載の処理方法。
【請求項11】
前記植物は、根本から先端に亘って前記搭載面に接触するように、前記搭載面に載せられる、
請求項7から請求項10のいずれか一項に記載の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、葉菜類、例えばニラ、ネギの根本に付いている不要な葉や汚れを除去するのに好適な植物の処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
収穫したニラやネギを出荷するにあたって、一般に、その根本に付いている枯れた葉などの不要葉や汚れを、除去する作業が行われる。このそぐりと称される作業は、手作業で行われることもあれば、調整装置で行われることもある。
【0003】
例えば、特許文献1には、圧縮空気を用いて調整を行う装置が開示されている。特許文献1の装置は、上下に対向して圧縮空気を吐出する一対のノズルが配置される。このノズルは、円筒形の外筒と、外筒の内部に配置され、内部に圧縮空気が供給され、外筒の内部で回転する円筒形の内筒とを有する。外筒には、側壁を貫通する複数の噴射口が軸線方向に沿って形成される。内筒には、噴射口と略同じ配置の圧縮空気通過口が、側壁を貫通して少なくとも1箇所設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の調整装置は、上下に対向して配置される一対のノズルから圧縮空気が供給される。しかも、特許文献1の調整装置は、ノズルの軸線方向に形成された複数の吐出口から圧縮空気がニラ、ネギなどの処理部位に供給される。
特許文献1の調整装置を含め、圧縮空気を供給して調整する装置は、圧縮空気が処理部位に吹付けられると、処理部位が圧縮空気から逃げてしまう。これでは、必要とされる処理が行われないおそれがある。
【0006】
そこで本発明は、圧縮空気が処理部位に吹付けられても、必要とされる処理を効果的に行うことのできる処理装置および処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の処理装置は、処理の対象である植物を搬送方向に搬送する搬送部と、搬送部を搬送される植物の処理部位に向けて圧縮ガスを吐出するガス吐出部と、を備える。
搬送部は、植物が載せられる搭載面と、搬送方向に交差する向きに延び、搭載面に設けられる複数の第1仕切りと、を備える。
【0008】
本発明に係る搬送部は、好ましくは、隣接する第1仕切の間に設けられ、第1仕切と同じ向きに延びる単数または複数の第2仕切を備える。この第2仕切は、搭載面からの突出寸法が第1仕切よりも小さい。
【0009】
本発明に係る処理装置は、好ましくは、処理部位に圧縮ガスが吐出される際に、処理部位から離れる非処理領域において植物との間で摩擦を生じさせる摩擦保持部を備える。
【0010】
本発明に係る摩擦保持部は、好ましくは、植物に接触すると植物に応じて変形する接触面を備える。
本発明に係るガス吐出部と摩擦保持部は、好ましくは、相対的な位置関係を維持しながら、同期して移動する。また、本発明に係るガス吐出部と摩擦保持部は、好ましくは、各々が独立して移動する。
【0011】
本発明に係る搭載面は、好ましくは、植物の全長より幅方向の寸法が大きい。
【0012】
本発明は、搭載面に載せられる処理対象である植物を搬送方向に搬送しながら、植物の処理部位に向けて圧縮ガスを吐出して処理する方法を提供する。
この処理方法は、搭載面に設けられる、搬送方向に交差する向きに延びる複数の第1仕切の間に置かれる植物に対して圧縮ガスが吐出される。
【0013】
本発明の処理方法において、好ましくは、隣接する第1仕切の間に設けられ、第1仕切と同じ向きに延びる単数または複数の第2仕切を備える。この第2仕切は、搭載面からの高さが第1仕切よりも小さい。
本発明の処理方法は、隣接する第2仕切の間および/または第1仕切と第2仕切の間に置かれる植物に対して圧縮ガスが吐出される。
【0014】
本発明の処理方法において、好ましくは、処理部位に圧縮ガスが吐出される際に、植物の処理部位から離れる非処理領域において、植物は接触する摩擦体との間で摩擦が生じる。
【0015】
本発明の処理方法において、好ましくは、摩擦体は、植物と接触する摩擦面が変形している。
【0016】
本発明の処理方法において、好ましくは、植物は、根本から先端に亘って搭載面に接触するように、搭載面に載せられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の処理装置によれば、搭載面に設けられ、幅方向に延びる複数の第1仕切を備える。相当数の処理対象物である植物を、隣接する第1仕切と第1仕切の間の搭載面に載せれば、処理部位に圧縮ガスを供給しても、第1仕切が植物の搬送方向への位置ずれを押さえる。ここで、第1仕切は搬送部に予め設けられており、作業者は植物を載せるだけで足りるので、処理作業に当たって付加的な動作は必要とされない。したがって、本発明によれば、圧縮ガスが処理部位に吹付けられても、必要とされる処理を効果的に行うことのできる処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る野菜の処理装置の概略構成を示す平面図である。
【
図2】
図1の処理装置の一部を除いて示す側面図である。
【
図3】
図1の処理装置における押圧部の一例を示す正面図である。
【
図4】
図1の処理装置において、第1仕切との関係でそぐりの動作を示す図である。
【
図5】
図1の処理装置において、押圧部との関係でそぐりの動作を示す図である。
【
図6】
図1の処理装置における変形例を示し、隣接する第1仕切の間に第2仕切が設けられる例を示す図である。
【
図9】摩擦保持部の第2変形例および第3変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら、ニラのそぐり作業を例にして本発明の処理装置および処理方法の一実施形態を説明する。
本実施形態に係る処理装置1(
図1参照)は、搬送部50により連続的に搬送されるニラ100に対してノズルからなるガス吐出部10が圧縮ガスGを吐出する。しかも、処理装置1は、搬送部50のコンベアベルト51の搭載面52に、搬送方向Lに間隔を空け、かつ、搬送方向Lに交差する方向、具体的には幅方向Wに延びる複数の第1仕切54を設ける。これにより、圧縮ガスGが吹き付けられたニラ100が搬送方向に逃げないでそぐりを続けることができる。また、処理装置1は、コンベアベルト51の搭載面52に載せられるニラ100との間で摩擦を生じさせる摩擦保持部60を設ける。これにより、圧縮ガスGが吹き付けられたニラ100が幅方向Wに位置ずれするのを押さえてそぐりを続けることができる。
【0020】
[処理装置1の全体構成:
図1および
図2]
処理装置1は、
図1および
図2に示すように、圧縮ガスGを吐出するガス吐出部10と、ガス吐出部10から吐出される圧縮ガスGをガス吐出部10に供給するガス供給部20と、を備える。また、処理装置1は、ガス吐出部10を保持するとともに、ガス吐出部10を動作させる動作部40と、処理の対象となるニラ100を搬送する搬送部50と、搬送部50で搬送されるニラ100との間で摩擦を生じさせる摩擦保持部60と、を備える。加えて、処理装置1は、ガス供給部20、動作部40および搬送部50の動作を制御する制御部70を備えている。なお、
図2は搬送部50のみを示している。
【0021】
処理装置1は、制御部70によるガス供給部20、動作部40および搬送部50の動作を制御しながら、概略、以下のようにしてそぐりを行う。
搬送部50で連続的に搬送されてくるニラ100のそぐり処理部位に向けてガス吐出部10から圧縮ガスGを吐出する。そぐり対象部位にガス吐出部10からの圧縮ガスGが当たるように、動作部40がガス吐出部10および摩擦保持部60を移動させる。このガス吐出部10の移動は、搬送部50によるニラ100の搬送による移動も考慮して行われる。以下、処理装置1の各要素について説明した後に、処理装置1によるニラ100のそぐり動作をより具体的に説明する。
【0022】
[ガス吐出部10:
図1]
処理装置1のガス吐出部10には、図示を省略するが、内部を圧縮ガスGが流れる流路が形成される筒状の形態をなす簡易な構造を適用できる。このガス吐出部10は、先細りとされる先端に吐出口が形成され、この吐出口からニラ100のそぐり処理部位に向けて圧縮ガスGが吐出される。
図1においては、最小の構成として一つのガス吐出部10だけを示しているが、複数のガス吐出部10を設ければ、高い効率でそぐりを行うことができる。
ガス吐出部10は、動作部40に保持されており、動作部40によりそぐりを行うのに適した位置に動作される。この動作の過程においても、ガス吐出部10からニラ100に向けて圧縮ガスGが吐出されてもよい。なお、本実施形態において、動作とは、ガス吐出部10などの直線的または曲線的な移動に加えて、ガス吐出部10の向きを変えることを含む。
【0023】
[ガス供給部20:
図1]
ガス供給部20は、制御部70からの指示に基づいて、圧縮ガスGをガス吐出部10に供給する。
ガス供給部20は、
図1に示すように、圧縮機21と、圧縮機21で生成される圧縮ガスGをガス吐出部10まで送り届ける流路が内部に形成される配管23と、を備える。また、ガス供給部20は、配管23の流路を開閉する開閉弁25と、開閉弁25よりも配管23の下流側に設けられる減圧弁27と、開閉弁25と制御部70を繋ぐ信号線29と、を備える。なお、ガス供給部20において、上流および下流は、圧縮ガスGが流れる向きを基準にして定められる。また、ガス供給部20において、圧縮ガスとして例示されるのは圧縮ガスGであるが、例えば圧縮された窒素ガスなどの不活性ガスを圧縮ガスとして用いることもできる。
【0024】
処理装置1においてニラ100のそぐりを行っている最中には、開いている開閉弁25を通って圧縮ガスGはガス吐出部10に供給される。圧縮ガスGはその途中で減圧弁27を通ることで所定の圧力に減圧される。これにより、圧縮ガスGはガス吐出部10から、例えば200~300kPaの範囲の安定した圧力の圧縮ガスGが吐出される。
処理装置1においてニラ100のそぐりを停止する際には、開閉弁25が閉じられる。ニラ100のそぐりを再開するには、開閉弁25が開かれる。開閉弁25の開閉動作は、制御部70の指示により行われる。
【0025】
[動作部40:
図1および
図3]
動作部40は、ガス吐出部10および摩擦保持部60を保持するとともに、ガス吐出部10および摩擦保持部60を移動、または向きを変えさせる。この移動および向きを変えるといった動きの全体を動作と称している。
動作部40は、
図1および
図3に示すように、マニュピレータ41と、マニュピレータ41に支持されるとともにガス吐出部10および摩擦保持部60を保持するハンド43と、マニュピレータ41と制御部70を接続する信号線45と、を備える。
【0026】
マニュピレータ41は、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の三次元の動作ができることが求められるが、その具体的な種類は問われない。例えば、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のそれぞれに駆動される可動体を組み合わせた直動式のマニュピレータを用いることができる。また、回転関節あるいは直動関節で接続されるリンクを備えるマニュピレータを用いることができる。マニュピレータ41は、例えば移動範囲が定まっていることがあり、この場合には移動の始点から終点までかけてそぐりを終えると、始点まで戻って次のそぐりを行うことができる。
動作部40は、制御部70からの指示に基づいてそぐりが行われるニラ100の搬送およびそぐりの進行に追従して、ガス吐出部10および摩擦保持部60を移動させる。ガス吐出部10は、
図3に示すように、可動子47を介してハンド43に回動可能に取り付けられており、処理部位に対して適切な角度をなすように調整される。
【0027】
[搬送部50:
図1および
図2]
搬送部50は、処理の対象となるニラ100が搬入される位置(IN)から処理済みのニラ100が搬出される位置(OUT)までニラ100を搬送する。搬送部50においてニラ100が搬入されかつ搬出されるまでに搬送される経路を搬送路という。ニラ100が搬送路を搬送される過程で、ガス吐出部10から圧縮ガスGをそぐり処理部位に向けて吐出することで、そぐりが行われる。
【0028】
搬送部50として、
図1および
図2に示すように、コンベア式の搬送装置が適用され、無限循環帯であるコンベアベルト51と、コンベアベルト51が掛け回される駆動プーリ53および従動プーリ55と、駆動プーリ53を回転駆動させる電動モータ57と、電動モータ57と制御部70を繋ぐ信号線59と、を備える。
【0029】
コンベアベルト51の搭載面52には、搭載面52から一例として垂直に立ち上がる複数の第1仕切54が設けられる。第1仕切54は、コンベアベルト51の一方の側の縁から他方の側に向けて延びている。
それぞれの第1仕切54において、例えば、搭載面52からその先端までの高さ寸法SHは5~25mmの範囲にあり、幅方向Wの寸法SPはコンベアベルト51の幅寸法SWよりも小さい50~150mmの範囲にある。
高さ寸法SHが小さすぎるとニラ100が逃げるのを阻止するという仕切りの効果が薄れる一方、高さ寸法SHが大きすぎると仕切りの機能の効果は得られるもののニラ100を置いたり取り除いたりする際にニラ100が突き当たって邪魔になるおそれがある。また、圧縮ガスGの威力はガス圧力(0.1~0.3Pa)で約4cm以内に離れた距離であれば有効だが、それよりも離れるとガス圧力が弱まりそぐりの効果が低下する。したがって、高さ寸法SHが大きすぎると第1仕切54が邪魔をしてガス吐出部10の先端がそぐり部位に近づくことができなくなることがある。
幅寸法SWが小さすぎると仕切りの効果が薄れる一方、幅寸法SWが大きすぎると、仕切りの機能の効果は得られるものの、ニラ100を置いたり取り除いたりする際にニラ100が突き当たって邪魔になるおそれがある。幅寸法SWは、後述するそぐり領域A1と同等とみなすことができる。
【0030】
また、隣接する第1仕切54と第1仕切54の間隔SIは、例えば50~100mmの範囲にある。第1仕切54,54は、前述したように、圧縮ガスGが吹き付けられたニラ100が搬送方向に逃げないでそぐりを続けることを主たる目的とするが、その間隔SIはニラ100のそぐりの一単位を特定する意味もある。つまり、そぐりの一単位を10束とすると、間隔SIを隔てた第1仕切54と第1仕切54の間に10束のニラ100を置く。
ただし、ここで指摘した寸法SH、寸法SWおよび間隔SIはあくまでニラ100を対象とする場合の一例であり、他の植物を対象とする場合には他の寸法および間隔を採用することができる。
【0031】
制御部70の指示にしたがって電動モータ57が所定の回転速度で回転されることにより、駆動プーリ53を介してコンベアベルト51が所定速度で走行する。これに伴ってコンベアベルト51の第1仕切54と第1仕切54の間に載せられるニラ100は所定速度で搬送路を搬送される。所定速度は、例えば3~10cm/sec.とされる。
【0032】
[摩擦保持部60:
図1,
図3]
次に、摩擦保持部60について、
図1,
図3を参照して説明する。
摩擦保持部60は、ガス吐出部10から圧縮ガスGを吐出してそぐりを行っている間に、ニラ100に接触しニラ100との間で摩擦を生じさせることで、ニラ100の位置を保持することを目的とする。摩擦保持部60は、マニュピレータ41のハンド43に取り付けられており、圧縮ガスGが吐出されるまでは、ガス吐出部10の近傍においてガス吐出部10に同期して移動する。摩擦保持部60は、ニラ100の中でそぐりの対象とならずにそぐり領(処理領域)A1から離れる非そぐり領域(非処理領域)A2(
図5)において、ニラ100に接触するが、ニラ100の中でそぐりの対象となる処理領域A1(
図5)をガス吐出部10に対して開放する。なお、ここでは摩擦保持部60はハンド43に取り付けられガス吐出部10と同期して移動することにしているが、摩擦保持部60とガス吐出部10とがそれぞれ独立して移動してもよい。また、そぐりが行われている間については、摩擦保持部60は定位置にいるが、ガス吐出部10は摩擦保持部60とは独立して移動しながらニラ100の適所に圧縮ガスGを吐出する。
【0033】
摩擦保持部60は、
図1および
図3に示すように、一例として直方体状の外観を有しており、摩擦体61と、摩擦体61の上面に固定される支持体65と、を備える。摩擦保持部60は、より好ましくは、支持体65とハンド43とを繋ぐ連結体67を備える。
摩擦体61は、ウレタンフォーム、エアキャップなど、緩衝材、クッション材などとして用いられる素材から構成されることが好ましい。つまり、ニラ100に押し付けられてもニラ100を傷つけるおそれが低い材料から構成される。摩擦体61の形態は、直方体に限るものではなく、球形などの他の形態であってもよい。摩擦体61はニラ100に接触する接触面63を備え、摩擦体61はこの接触面63がニラ100に接触すると、接触面63が変形することが好ましい。そうすると、ニラ100に対する接触面積が増え、摩擦力が高められること、さらに、接触面積が大きければ圧力は相対的に下がるので、ニラ100への影響を小さくできる。接触面63がニラ100を押し付けるのは、ニラ100の中でそぐりの必要がない非そぐり領域(非処理領域)A2(
図5)である。
【0034】
支持体65は、摩擦体61と比べて剛性が高く、例えばステンレス鋼からなる金属板からなる。支持体65はこのように高い剛性を有していることから、摩擦体61によるニラ100の押し付けを実現する。支持体65の上に錘を載せることで、摩擦体61がニラ100を押し付ける力を調整することができる。
連結体67は、一例として高い弾性を有するばね、ゴムなどの素材から構成される。これにより、摩擦体61の素材とも相まって、摩擦体61はニラ100に柔軟に接触される。連結体67の他の例としては、摩擦体61および支持体65を単純に吊り下げることができる部材、例えば鎖またはピアノ線のようなワイヤであってもよい。この場合、摩擦体61および支持体65の自重によって、ニラ100との間で摩擦が生じる。
【0035】
摩擦保持部60は一例としてガス吐出部10とともにハンド43に取り付けられている。したがって、ガス吐出部10の回動の分を除けば、摩擦保持部60とガス吐出部10の相対的な位置は一定である。つまり、摩擦保持部60はガス吐出部10との相対的な位置関係を保ちながら、移動することができる。ただし、前述としたように、そぐりが行われている間については、摩擦保持部60は定位置にいる一方、ガス吐出部10は摩擦保持部60とは独立して移動することができる。そうすることにより、ガス吐出部10からニラ100の適所に圧縮ガスGを吐出できる。
【0036】
摩擦保持部60は、以下説明するように、前述した第1仕切54と関係する。
ニラ100が第1仕切54と第1仕切54の間に置かれると、ニラ100の葉の部分が第1仕切54の上面に乗り上げることがある。摩擦保持部60でニラ100を押え付けようとすると、この乗り上げたニラ100に摩擦保持部60が突き当たり、葉を傷めるおそれがある。この摩擦保持部60がニラ100の葉を痛めるのを避けるには、摩擦保持部60と第1仕切54が干渉しないようにすればよい。そのためには、第1仕切54の幅寸法SWをその目的が達成できる最小限に抑えることが望まれ、そうすれば摩擦保持部60がニラ100の葉の部分およびコンベアベルト51と接触する面積を稼ぐことができる。このように接触面積が大きくなれば、ニラ100が圧縮ガスGにより位置ずれする方向の摩擦力が大きくなるので、摩擦保持部60の小さい押圧力でニラ100を抑えることができる。仮に第1仕切54の上面でニラ100を抑えるとなると、隣接する第1仕切54と第1仕切54の間には隙間があるので、接触面積が減り、摩擦保持部60による押圧力が低くなる。
【0037】
[制御部70:
図1]
制御部70は、ガス供給部20の開閉弁25の開閉動作と、動作部40のマニュピレータ41の移動動作と、搬送部50の電動モータ57の回転動作と、を制御する。以上の機能を発揮する制御部70は、
図1に示すように、送受信部71と、記憶部73と、入力部75と、を構成要素として備える。制御部70は、CPU(Central Processing Unit)、メモリなどを備えるコンピュータ装置から構成される。
【0038】
送受信部71は、開閉弁25の開閉動作、マニュピレータ41の移動動作および電動モータ57の回転動作のための制御信号を、それぞれ信号線29、信号線45および信号線59を介して送る。
【0039】
記憶部73は、開閉弁25の開閉動作、マニュピレータ41の移動動作および電動モータ57の回転動作のための制御信号を構成するコンピュータプログラムを記憶できる。
【0040】
入力部75は、データおよび命令を入力するためのキーボード、マウス、およびライトペン等の入力装置を含む。
【0041】
[そぐり動作:
図4および
図5]
次に、図面を参照しながら、本実施形態に係る特徴的なそぐり動作を説明する。
[第1仕切54に関して]
はじめに、
図4を参照して、第1仕切54に関するそぐりの動作を説明する。なお、ここでは摩擦保持部60については触れずに、第1仕切54に焦点を当てる。
図4において、(a)~(d)の順にそぐりが進行する。また、
図4(a)~(d)のそれぞれにおいて、コンベアベルト51の中で隣接する2つの第1仕切54,54の間だけが平面視されている。2つの第1仕切54,54の間には、一例として3本のニラ100A,100B,100Cが置かれおり、ニラ100A、ニラ100Bおよびニラ100Cの順にそれぞれの不要葉101A、不要葉101Bおよび不要葉101Cを取り除くそぐりが行われる。
ここで、隣接する第1仕切54,54の間において、ニラ100A,100B,100Cは根本Rから先端Tまでの全長がコンベアベルト51に載せられている。つまり、ニラ100A,100B,100Cは、全長に亘ってコンベアベルト51の搭載面52に接している。ただし、これは好ましい一形態であり、本発明において、コンベアベルト51に載せられたニラ100の一部が搭載面52からはみ出すことを許容する。
【0042】
図4(a)に示すように、ニラ100Aの不要葉101Aに向けてガス吐出部10から圧縮ガスGを吐出する。そうすると、不要葉101Aは圧縮ガスGによりそぐられ、ニラ100Aから取り除かれる。なお、ガス吐出部10の搭載面52に対して30~45度の角度を有することが好ましい。
【0043】
このとき、ニラ100Aに加えてニラ100Bおよびニラ100Cが第1仕切54,54の間に敷き詰められている。したがって、不要葉101Aに圧縮ガスGが吹き付けられたとしても、ニラ100A,100B,100Cがコンベアベルト51の搬送方向Lに対する位置ずれが抑えられる。これにより、不要葉101Aは、ガス吐出部10に対して搬送方向Lのほぼ定位置に置かれたままで圧縮ガスGを受けることができる。しかも、本実施形態においては、ニラ100Aの全長が搭載面52に接しているので、ニラ100A,100B,100Cは幅方向Wにも位置ずれが起きにくい。したがって、不要葉101Aは、ガス吐出部10に対して幅方向Wにもほぼ定位置に置かれたままで圧縮ガスGを受けることができる。
【0044】
次に、
図4(b)に示すように、ガス吐出部10をニラ100Bの不要葉101Bに対向するように移動させる。これは相対的な移動を含み、ガス吐出部10およびコンベアベルト51の一方または双方を移動させることにより実現される。以下も同様である。
ガス吐出部10がニラ100Bの不要葉101Bに対向したならば、ニラ100Bの不要葉101Bに向けてガス吐出部10から圧縮ガスGを吐出する。そうすると、不要葉101Aのときと同様に不要葉101Bは圧縮ガスGによりそぐられ、ニラ100Bから取り除かれる。
【0045】
次に、
図4(c)に示すように、ガス吐出部10をニラ100Cの不要葉101Cに対向するように移動させる。ガス吐出部10がニラ100Cの不要葉101Cに対向したならば、ニラ100Cの不要葉101Cに向けてガス吐出部10から圧縮ガスGを吐出する。そうすると、不要葉101A,101Bのときと同様に不要葉101Cは圧縮ガスGによりそぐられ、ニラ100Cから取り除かれる。
【0046】
以上の動作が、コンベアベルト51で連続的に搬送されるニラ100に対して行われる。なお、例えば、ニラ100Aのそぐりを終えてニラ100Bのそぐりのためにガス吐出部10が移動する間は、ガス吐出部10からの圧縮ガスGの吐出を続けてもよいし、圧縮ガスGの吐出を停止してもよい。圧縮ガスGの吐出を停止する代わりに、ガス吐出部10を上向きにするなど、圧縮ガスGを吐出してもニラ100A,100Bに吹き付けられないようにすることもできる。
【0047】
[摩擦保持部60に関して]
次に、
図5を参照して、摩擦保持部60のそぐりのときの動作を説明する。なお、ここでは第1仕切54については触れずに、摩擦保持部60に焦点を当てる。
図5において、(a)~(c)の順に、1本のニラ100についてそぐりが進行する。また、
図5(a)~(c)において、摩擦保持部60が搬送方向Lに正面視されている。
【0048】
図5(a)に示すように、ガス吐出部10および摩擦保持部60をそぐりの対象となるニラ100に対応するそぐり位置に移動させる。そぐり位置において、摩擦保持部60はそぐりの必要がない長い葉の部分に対応し、ガス吐出部10の先端は不要葉101に向いている。ただし、摩擦保持部60はコンベアベルト51の上方の不要葉101に接しない高さにある。
【0049】
ガス吐出部10および摩擦保持部60がそぐり位置に移動した後に、摩擦保持部60が降下し、摩擦体61でニラ100をコンベアベルト51に向けて押し付ける。したがって、そぐりが行われようとするニラ100は幅方向Wへの位置ずれが抑えられる。これにより、不要葉101は、ガス吐出部10に対して幅方向Wにもほぼ定位置に置かれたままで圧縮ガスGを受けることができる。
【0050】
[効 果]
以下、処理装置1が奏する効果を説明する。
[第1仕切54による効果]
処理装置1は、コンベアベルト51に複数の第1仕切54が設けられており、隣接する第1仕切54,54の間に複数束のニラ100が置かれた状態でそぐりが行われる。したがって、複数本、例えば3本のニラ100が隣接する第1仕切54,54の間の搭載面52に敷き詰められていれば、3本の中の1本にガス吐出部10から圧縮ガスGを吹き付けたとしても、搬送方向Lに対して3本のニラ100が位置ずれするおそれが小さい。したがって、不要葉101は、ガス吐出部10に対して搬送方向Lのほぼ定位置に置かれたままで圧縮ガスGを受けることができる。これにより、処理装置1によれば、圧力の低い圧縮ガスGによっても、効率よく不要葉101を取り除くことができる。
【0051】
[ニラ100の全長支持による効果]
本実施形態においては、ニラ100の全長が搭載面52に接しているので、ニラ100は幅方向Wにも位置ずれしにくい。したがって、不要葉101は、ガス吐出部10に対して幅方向Wにもほぼ定位置に置かれたままで圧縮ガスGを受けることができる。
【0052】
[摩擦保持部60による効果]
処理装置1は、ガス吐出部10および摩擦保持部60がそぐり位置に移動した後に、摩擦保持部60が降下し、摩擦体61がコンベアベルト51に載せられたニラ100に接触し、ニラ100と摩擦体61の間に摩擦力が生じる。したがって、そぐりが行われようとするニラ100は幅方向Wへの位置ずれが抑えられる。これにより、不要葉101は、ガス吐出部10に対して幅方向Wにも定位置に置かれたままで圧縮ガスGを受けて不要葉101の部分がめくりあげられるような動作となるので、効率よく不要葉101を取り除くことができる。
【0053】
また、摩擦体61が柔軟な素材で構成されるので、ニラ100を傷つけるおそれが小さい。
さらに、摩擦保持部60はガス吐出部10と同期して移動するので、摩擦保持部60を移動させる操作が容易である。
【0054】
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【0055】
[処理対象・処理作業]
処理装置1は、ニラを例にして説明したが、本発明の処理装置はニラ以外の野菜、その他の植物に広く適用され得る。例えば、ネギ、ホウレンソウ、小松菜などの葉茎菜類、ゴボウ、ニンジンなどの根菜類などを本発明の処理装置による処理対象にすることができる。
また、処理装置1は、そぐりを例にして説明したが、本発明の処理装置が行う処理の作業に制限はなく、そぐり以外の作業に適用され得る。例えば、農産物、花類などの根元、窪みなどに付着する土、害虫など、商品として取り除くことが要求される物を排除するのに本発明の処理装置を用いることができる。
【0056】
[そぐり効率の向上]
以上説明した実施形態においては、一台の搬送部50に対し、一対のガス吐出部10および摩擦保持部60を設ける例を説明したが、本発明はこれに限らない。一台の搬送部50に対し、複数対のガス吐出部10および摩擦保持部60を設けることにより、単位時間当たりにそぐりを行うことができるニラの本数を増やすことができる。
【0057】
[コンベアベルト51の走行速度]
以上説明した実施形態においては、コンベアベルト51は一定の速度で走行することを前提としているが、本発明はこれに限らず、速度を変えてコンベアベルト51を走行させることができる。例えば、ニラ100のそぐりを行っている最中は一定の速度V1でコンベアベルト51を走行させるが、先行するニラ100のそぐりを終えて後続のニラ100に対峙するまでは速度V1よりも速い速度V2でコンベアベルト51を走行させることができる。
【0058】
また、コンベアベルト51を間欠的に搬送させることもできる。つまり、未だそぐりを終えていないニラ100が収容されている第1仕切54が、そぐり位置に達したならば、コンベアベルト51の走行を停止する。コンベアベルト51が停止した状態で、ガス吐出部10から圧縮ガスGを所定時間だけ吐出してそぐり作業を終えると、次にそぐりを行うニラ100が収容されている第1仕切54が、そぐり位置に達するまでコンベアベルト51を走行させる。以後は、これらの動作を繰り返すことにより、コンベアベルト51を間欠的に搬送させながら、そぐり作業を続けて行うことができる。
【0059】
[第1仕切54の変形例]
上述した実施形態の第1仕切54は、コンベアベルト51の搭載面52から立ち上がる形態を有しているが、本発明の仕りはこの形態に限らない。例えば、コンベアベルト51の搭載面52を掘り下げることで複数の収容窪みを搬送方向Lに所定間隔を開けて形成してもよい。隣接する収容窪みと収容窪みの間には、収容窪み56の底面から立ち上がる代替仕切が形成される。この代替仕切によっても上述した第1仕切54と同様の効果を奏することができる。
【0060】
また、上述した実施形態においては、隣接する第1仕切54と第1仕切54の間における搭載面52は平坦であるが、本発明はこれに限らない。例えば、
図6に示すように、隣接する第1仕切54と第1仕切54の間に、第1仕切54よりも搭載面52からの突出寸法の小さい複数の第2仕切58を設けることができる。第2仕切58は、隣接する第1仕切54と第1仕切54の間において、ニラ100が搬送方向Lに移動するのを拘束する。
もし背の低い第2仕切58がない場合には、背の高い隣接する第1仕切54と第1仕切54の間隔S
Iに置かれたニラ100は、圧縮ガスGを吹き付けられると、この間隔S
Iの範囲で位置ずれを起こすおそれがある。この位置ずれを防ぐために背の低い第2仕切58を第1仕切54,54の間に設ける。第2仕切58の高さ方向の寸法は、2~10mmの範囲から選択され、幅方向の寸法は第1仕切54と同等されるのが好ましい。
例えば、第1仕切54,54の間にニラ100を多めに置いたとすると、ニラ100が高さ方向に重ねて置かれることもある。そうすると、下側のニラ100は、背の低い第2仕切58で搬送方向への位置ずれが防止される。また、上側に置かれるニラ100は下側のニラ100の表面の凹凸により位置ずれが抑制されるが、圧縮ガスGの一部がコンベアベルト51に突き当たって跳ね返り、上側に置かれるニラ100の位置ずれを起こさせるおそれがある。この位置ずれを最後で止めるのが背の高い第1仕切54である。
【0061】
[摩擦保持部60の第1変形例]
前述したように、摩擦保持部60の連結体67をワイヤで構成することができる。
図7を参照してその例を説明する。なお、
図3、
図5と同じ構成要素については、
図7に
図3、
図5と同じ符号を付けて説明を省略する。
図7に示すように、摩擦体61は支持体65を介して金属細線からなるワイヤで支持される。ガス吐出部10と摩擦保持部60を定位置から摩擦体61がニラ100に接触するように降下させる(
図7(a),(b))。摩擦体61がニラ100に接触すると摩擦保持部60はそれを超えて降下することができないが、ガス吐出部10は動作部40のハンド43とともにさらに降下できる(
図7(b),(c))。このときワイヤからなる連結体67は撓むので、ガス吐出部10の降下の妨げにはならない。そぐりに必要な部位までガス吐出部10を移動させた後に、ガス吐出部10から圧縮ガスGを吐出させる(
図7(d))。
【0062】
以上のように、連結体67が撓む材料から構成すると、ガス吐出部10は、摩擦保持部60を牽引することができるとともに、摩擦体61がニラ100に接触した後には摩擦保持部60と独立して移動することができる。
【0063】
[摩擦保持部60の第2変形例:
図8,
図9(a)]
次に、摩擦保持部60のさらなる変形例について、
図8および
図9(a)を参照して説明する。なお、
図8に示される搬送部50は
図6に示されたものと同様であり、ガス吐出部10は記載されているが、動作部40などの記載は省かれている。第2変形例に係るガス吐出部10と摩擦保持部60は、当初より各々が独立して移動する。
第2変形例に係る摩擦保持部60は、空転軸62を中心にして回転自在とされる回転体からなる摩擦体61を備える。摩擦体61の材質は前述したものと同様とされるのが好ましい。
図8および
図9(a)に示すように、ニラ100と接触する範囲を確保するために、ここでは3つの摩擦体61を平面視して千鳥状に配列している。3つの摩擦体61は、図示を省略する保持アームにより保持され、一体となってコンベアベルト51の搭載面52に載せられるニラ100に接触する位置に配置される。つまり、3つの摩擦体61は、自重と保持アームの重量により、ニラ100との間で摩擦を生じさせる。3つの摩擦体61は、一連のそぐり作業を終えると、保持アームによって搭載面52から退避する待機位置に移動される。
【0064】
そぐりが行われている間、
図8(a),(b),(c)に示すように、白抜き矢印で示されるように、ニラ100を載せたコンベアベルト51は移動する。これに対して、3つの摩擦体61は定位置において、それぞれがニラ100および搭載面52との間で生ずる摩擦によって回転しながらニラ100を搭載面52に向けて押し付ける。
【0065】
[摩擦保持部60の第3変形例:
図9(b)]
回転体からなる他の形態の摩擦保持部60として、
図9(b)に示すように、複数の空転輪64と、複数の空転輪64の周囲に巻き回される無端状のベルトからなる摩擦体61と、を備える、いわゆる無限機動機構を採用できる。
この摩擦保持部60は定位置において、無端状ベルトからなる摩擦体61が搭載面52に載せられるニラ100をおよび搭載面52との間で生ずる摩擦によって回転しながらニラ100を搭載面52に向けて押し付ける。
【0066】
[圧縮ガス]
圧縮ガスは、空気に限らず不活性ガスなどの他の気体を含むことを先に述べたが、本発明における圧縮ガスこの圧縮ガスの中に微小量の液体を含むことができる。この液体としては、例えば害虫を取り除くことを目的とする場合には液状の薬剤が掲げられる。
また、本発明において圧縮ガスの流体形態は層流および乱流の両者を含み、処理の対象によって層流または乱流が選択されるのが好ましい。
【符号の説明】
【0067】
1 処理装置
10 ガス吐出部
20 ガス供給部
21 圧縮機
23 配管
25 開閉弁
27 減圧弁
29 信号線
40 動作部
41 マニュピレータ
43 ハンド
45 信号線
47 可動子
50 搬送部
51 コンベアベルト
52 搭載面
53 駆動プーリ
54 第1仕切
55 従動プーリ
57 電動モータ
58 第2仕切
59 信号線
60 摩擦保持部
61 摩擦体
62 空転軸
63 接触面
64 空転輪
65 支持体
67 連結体
70 制御部
71 送受信部
73 記憶部
75 入力部