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特開2022-89255検眼制御プログラムおよび自覚式検眼システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089255
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】検眼制御プログラムおよび自覚式検眼システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/028 20060101AFI20220609BHJP
【FI】
A61B3/028
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201490
(22)【出願日】2020-12-04
(71)【出願人】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】島崎 有彩
(72)【発明者】
【氏名】寺部 尋久
(72)【発明者】
【氏名】堀野 妙子
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA13
4C316FA01
4C316FB06
4C316FB08
4C316FB09
4C316FB15
4C316FB16
4C316FC14
4C316FY05
4C316FZ01
(57)【要約】
【課題】 セルフ検眼の状況を把握して、補助すべき検査を容易に開始する。
【解決手段】 自覚式検眼システムの第1情報処理装置によって実行される検眼制御プログラムであって、セルフ検眼プログラムが第1情報処理装置の制御部によって実行されることで、セルフ検眼進行ステップと、セルフ検眼の進行を補助するための補助動作を実行するセルフ検眼補助ステップと、 が第1情報処理装置によって実行される検眼制御プログラムであって、 セルフ検眼補助ステップは、複数の検査項目を検査の進行手順で配列した検査フローを表示装置に表示する表示制御ステップと、表示装置に表示された前記検査フローに対して、所定の検査項目を選択する指示である選択指示入力を、操作者から受け付ける選択受付ステップと、 受け付けられた選択指示入力に基づいて、所定の検査項目に対応する検査を実行する選択実行ステップと、を含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼に呈示される視標光束の光学特性を変化させる矯正光学系と、被検眼に視標を呈示する視標呈示部を有し、被検眼の光学特性を自覚的に測定するために使用される自覚式検眼装置と、
前記自覚式検眼装置に接続される第1情報処理装置と、
を備えた自覚式検眼システムの前記第1情報処理装置によって実行される検眼制御プログラムであって、
被検者によって入力された回答に基づいて検眼を自動的に進行させるセルフ検眼プログラムを含み、
前記セルフ検眼プログラムが前記第1情報処理装置の前記制御部によって実行されることで、
少なくとも、自動的に進行されるセルフ検眼の進行手順に基づいて、複数の検査項目を実行するために、前記矯正光学系と前記視標呈示部とを制御するセルフ検眼進行ステップと、
前記セルフ検眼の進行に問題が生じた場合に、前記セルフ検眼の進行を補助するための補助動作を実行するセルフ検眼補助ステップと、
が前記第1情報処理装置によって実行される検眼制御プログラムであって、
前記セルフ検眼補助ステップは、
前記複数の検査項目を検査の進行手順で配列した検査フローを表示装置に表示する表示制御ステップと、
前記表示装置に表示された前記検査フローに対して、所定の検査項目を選択する指示である選択指示入力を、操作者から受け付ける選択受付ステップと、
受け付けられた前記選択指示入力に基づいて、前記所定の検査項目に対応する検査を実行する選択実行ステップと、
を含むことを特徴とする検眼制御プログラム。
【請求項2】
請求項1の検眼制御プログラムにおいて、
前記セルフ検眼補助ステップは、
前記操作者である検者を呼び出す呼出動作を実行するための指示である呼出実行指示の入力を受け付ける呼出受付ステップと、
前記呼出受付ステップにおいて受け付けられた前記呼出実行指示に基づいて呼出動作を実行する呼出実行ステップと、
を含み、
前記呼出実行指示が入力されるまでは、前記自覚式検眼装置を前記検者が操作するための操作部による前記選択指示入力を制限し、前記呼出実行指示が入力された場合に、前記操作部からの操作入力の制限を解除することを特徴とする検眼制御プログラム。
【請求項3】
請求項1又は2の検眼制御プログラムにおいて、
前記表示制御ステップは、前記検眼フローとして前記表示装置に表示する検査項目を、少なくとも検査実施中の実施検査項目を含んだ所定の検査項目に制限して表示することを特徴とする検眼制御プログラム。
【請求項4】
請求項3の検眼制御プログラムにおいて、
前記表示制御ステップは、前記検眼フローとして前記表示装置に表示する前記所定の検査項目として、前記実施検査項目の次に実施される検査項目と、前記実施検査項目の前に実施された検査項目と、の少なくともいずれかの検査項目をさらに含んだ前記所定の検査項目に制限して表示することを特徴とする検眼制御プログラム。
【請求項5】
請求項3又は4の検眼制御プログラムにおいて、
前記表示制御ステップは、前記所定の検査項目に制限して表示されている場合で、前記呼出実行指示が入力された場合に、前記検眼フローにおける検査項目の表示の制限を解除することを特徴とする検眼制御プログラム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかの検眼制御プログラムにおいて、
前記表示制御ステップは、前記検眼フローにおいて、少なくとも検査実施中の実施検査項目が識別可能な識別表示を行うことを特徴とする検眼制御プログラム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかの検眼制御プログラムにおいて、
前記セルフ検眼補助ステップについて、前記複数の検査項目と前記進行手順の少なくともいずれかは、前記操作者によって入力される指示に応じて変更可能であって、
前記表示制御ステップは、前記操作者によって入力された変更された前記複数の検査項目と前記進行手順の少なくともいずれかに基づいて、前記検査フローを変更して前記表示装置に表示することを特徴とする検眼制御プログラム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかの検眼制御プログラムにおいて、
前記選択実行ステップは、前記検眼フローに対する、前記選択指示入力に基づいて、選択された前記所定の検査項目に対応する検査から前記セルフ検眼を再開させることを特徴とする検眼制御プログラム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかの検眼制御プログラムにおいて、
前記セルフ検眼補助ステップが、前記第1情報処理装置に対してネットワークを介して接続された他の情報処理装置である第2情報処理装置に入力される指示に応じて実行されることを特徴とする検眼制御プログラム。
【請求項10】
被検眼に呈示される視標光束の光学特性を変化させる矯正光学系と、被検眼に視標を呈示する視標呈示部を有し、被検眼の光学特性を自覚的に測定するために使用される自覚式検眼装置と、
前記自覚式検眼装置に接続される第1情報処理装置と、
を備えた自覚式検眼システムであって、
前記第1情報処理装置は、
被検者によって入力された回答に基づいて検眼を自動的に進行させるセルフ検眼プログラムを実行可能とし、
前記セルフ検眼プログラムは、
少なくとも、自動的に進行されるセルフ検眼の進行手順に基づいて、複数の検査項目を実行するために、前記矯正光学系と前記視標呈示部とを制御するセルフ検眼進行ステップと、
前記セルフ検眼の進行に問題が生じた場合に、前記セルフ検眼の進行を補助するための補助動作を実行するセルフ検眼補助ステップと、
を実行し、
前記セルフ検眼補助ステップは、
前記複数の検査項目を検査の進行手順で配列した検査フローを表示装置に表示する表示制御ステップと、
前記表示装置に表示された前記検査フローに対して、所定の検査項目を選択する指示である選択指示入力を、操作者から受け付ける選択受付ステップと、
受け付けられた前記選択指示入力に基づいて、前記所定の検査項目に対応する検査を実行する選択実行ステップと、
を含むことを特徴とする自覚式検眼システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自覚式検眼システムにおいて実行される検眼制御プログラム、および自覚式検眼システムに関する。
【背景技術】
【0002】
被検者の眼前に光学素子を配置し、光学素子を通じて検査視標を被検眼に呈示することで、被検眼の眼屈折力等の光学特性を測定する自覚式検眼装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の自覚式検眼装置は、眼屈折力測定ユニット、視標呈示ユニット、およびコントローラを備える。眼屈折力測定ユニットは、矯正光学系が備える複数の光学素子のうち、検眼窓に配置する光学素子を、駆動部によって切り替える。視標呈示ユニットは、被検眼に呈示する検査視標を切り替える。コントローラは、操作パネルに対するユーザの操作を検出し、検出した操作に基づいて、眼屈折力測定ユニットおよび視標呈示ユニットに駆動信号を送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-18712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、このような自覚式検眼装置を用いて、検者の負担を軽減させつつ円滑に自覚式の検眼を実行するために、被検者自身が検査を行っていくセルフ検眼が検討されている。このような、セルフ検眼を行っていく中で、セルフ検眼の進行に問題が生じた場合に、検者等の操作者がセルフ検眼の進行を補助することが必要となる。しかしながら、被検者がセルフ検眼を実行してきた中で、操作者がセルフ検眼の状況を把握して、補助すべき検査を容易に開始することは困難であった。
【0005】
本開示は、上記従来技術に鑑み、セルフ検眼の状況を把握して、補助すべき検査を容易に開始することができる検眼制御プログラム、および自覚式検眼システムを提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0007】
(1) 本開示の第1態様に係る検眼制御プログラムは、被検眼に呈示される視標光束の光学特性を変化させる矯正光学系と、被検眼に視標を呈示する視標呈示部を有し、被検眼の光学特性を自覚的に測定するために使用される自覚式検眼装置と、前記自覚式検眼装置に接続される第1情報処理装置と、を備えた自覚式検眼システムの前記第1情報処理装置によって実行される検眼制御プログラムであって、被検者によって入力された回答に基づいて検眼を自動的に進行させるセルフ検眼プログラムを含み、前記セルフ検眼プログラムが前記第1情報処理装置の前記制御部によって実行されることで、少なくとも、自動的に進行されるセルフ検眼の進行手順に基づいて、複数の検査項目を実行するために、前記矯正光学系と前記視標呈示部とを制御するセルフ検眼進行ステップと、前記セルフ検眼の進行に問題が生じた場合に、前記セルフ検眼の進行を補助するための補助動作を実行するセルフ検眼補助ステップと、 が前記第1情報処理装置によって実行される検眼制御プログラムであって、 前記セルフ検眼補助ステップは、前記複数の検査項目を検査の進行手順で配列した検査フローを表示装置に表示する表示制御ステップと、前記表示装置に表示された前記検査フローに対して、所定の検査項目を選択する指示である選択指示入力を、操作者から受け付ける選択受付ステップと、 受け付けられた前記選択指示入力に基づいて、前記所定の検査項目に対応する検査を実行する選択実行ステップと、を含むことを特徴とする。
(2) 本開示の第2態様に係る自覚式検眼システムは、被検眼に呈示される視標光束の光学特性を変化させる矯正光学系と、被検眼に視標を呈示する視標呈示部を有し、被検眼の光学特性を自覚的に測定するために使用される自覚式検眼装置と、前記自覚式検眼装置に接続される第1情報処理装置と、を備えた自覚式検眼システムであって、前記第1情報処理装置は、被検者によって入力された回答に基づいて検眼を自動的に進行させるセルフ検眼プログラムを実行可能とし、前記セルフ検眼プログラムは、少なくとも、自動的に進行されるセルフ検眼の進行手順に基づいて、複数の検査項目を実行するために、前記矯正光学系と前記視標呈示部とを制御するセルフ検眼進行ステップと、前記セルフ検眼の進行に問題が生じた場合に、前記セルフ検眼の進行を補助するための補助動作を実行するセルフ検眼補助ステップと、 を実行し、前記セルフ検眼補助ステップは、前記複数の検査項目を検査の進行手順で配列した検査フローを表示装置に表示する表示制御ステップと、前記表示装置に表示された前記検査フローに対して、所定の検査項目を選択する指示である選択指示入力を、操作者から受け付ける選択受付ステップと、 受け付けられた前記選択指示入力に基づいて、前記所定の検査項目に対応する検査を実行する選択実行ステップと、を含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】自覚式検眼システム100の概略構成を示すブロック図である。
図2】第1情報処理装置2Aが実行する検眼制御処理のフローチャートである。
図3】本実施形態で使用されるセルフ検眼補助画面の一例を示す図である。
図4】検眼制御処理中に実行されるセルフ検眼補助処理のフローチャートである。
図5】検眼フローを表示した表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<概要>
以下、典型的な実施形態の1つについて、図面を参照して説明する。図1図5は本実施形態に係る自覚式検眼システムについて説明するための図である。なお、以下の<>にて分類された項目は、独立又は関連して利用されうる。
【0010】
本開示で例示する自覚式検眼システム(例えば、自覚式検眼システム100)は、自覚式検眼装置(例えば、自覚式検眼装置1)と第1情報処理装置(第1情報処理装置2A)を備える。自覚式検眼装置は、被検眼に呈示される視標光束の光学特性を変化させる矯正光学系(矯正光学系11)と、被検眼に視標を呈示する視標呈示部(視標呈示部16)を有し、被検眼の光学特性を自覚的に測定するために使用される。第1情報処理装置は、自覚式検眼装置に接続される情報処理装置である(以下、第1情報処理装置を「接続装置」という場合もある)。本開示に係る検眼制御プログラムは、セルフ検眼プログラムを含む。セルフ検眼プログラムは、被検者によって入力された回答に基づいて、検眼を自動的に進行させるためのプログラムである。
【0011】
例えば、本実施形態において、セルフ検眼プログラムが、第1情報処理装置の制御部によって実行されることで、セルフ検眼進行ステップ、回答取得ステップ、矯正値記憶ステップ、およびセルフ検眼補助ステップが、第1情報処理装置によって実行される。セルフ検眼進行ステップでは、第1情報処理装置は、少なくとも、自動的に進行されるセルフ検眼の進行手順に基づいて(つまり、進行手順に沿って)、被検者への視標の呈示動作を指示する複数の呈示指示信号を、自覚式検眼装置に順に出力する。なお、セルフ検眼進行ステップでは、第1情報処理装置は、自動的に進行されるセルフ検眼の進行手順に基づいて、複数の検査項目を実行するために矯正光学系と視標呈示部を制御してもよい。回答取得ステップでは、第1情報処理装置は、呈示された視標を視認した被検者によって入力される回答を取得する。矯正値記憶ステップでは、第1情報処理装置は、回答取得ステップにおいて取得された回答と、回答取得時に自覚式検眼装置によって呈示されていた視標および視標光束の光学特性とに基づいて取得される、被検眼の光学特性の矯正値を記憶する。セルフ検眼補助ステップでは、第1情報処理装置は、セルフ検眼の進行に問題が生じた場合に、セルフ検眼の進行を補助するための補助動作を実行する。
【0012】
本開示に係る自覚式検眼システムによると、セルフ検眼プログラムが実行されることで、検者が検眼を進行させなくても適切に被検者の検眼が行われる。さらに、セルフ検眼の進行に問題が生じた場合に、セルフ検眼の進行を補助するための補助動作が実行される。つまり、セルフ検眼プログラムの機能の中に、セルフ検眼の進行を補助する機能が組み込まれている。従って、例えば、セルフ検眼プログラムが実行されている間に、例えば、検者からのアドバイス等によるセルフ検眼の補助動作の少なくともいずれかが実行される。よって、検者の負担が軽減された状態で、自覚式の検眼が適切に実行される。
【0013】
なお、検眼制御プログラムを実行する第1情報処理装置には、種々のデバイスを使用することができる。例えば、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」という)が、1情報処理装置として使用されてもよい。また、サーバ、携帯端末、またはスマートフォン等が、第1情報処理装置として使用されてもよい。
【0014】
また、第1情報処理装置は、複数のデバイスが組み合わされることで構成されていてもよい。例えば、第1情報処理装置は、パーソナルコンピュータ等のデバイスと、コントローラおよび記憶装置を備えた専用コントローラとによって構成されていてもよい。もちろん、専用コントローラ自体に、CPUを備えるパーソナルコンピュータ等のデバイスとしての機能が設けられ、第1情報処理装置として構成されてもよい。
【0015】
また、検眼制御プログラムを記憶する記憶装置も適宜選択できる。例えば、検眼制御プログラムは、第1情報処理装置に内蔵された記憶装置に記憶されていてもよいし、第1情報処理装置に対して着脱可能な記憶装置に記憶されていてもよい。検眼制御プログラムは、前述した専用コントローラに内蔵された記憶装置に記憶されていてもよい。また、検眼制御プログラムは、複数の記憶装置に記憶されていてもよい。
【0016】
セルフ検眼補助ステップでは、実行されているセルフ検眼の状況が所定の条件を満たした場合、または、補助動作の実行指示が入力された場合に、セルフ検眼の進行を補助するための補助動作が実行されてもよい。この場合には、被検者がセルフ検眼を実行できない状況等が生じた際に、セルフ検眼の補助動作が適切に行われる。
【0017】
なお、補助動作を実行する際の、セルフ検眼の状況の条件は、適宜選択できる。例えば、制御部は、被検者からの回答が入力されることなく所定時間が経過した場合に、補助動作の実行条件が満たされたと判断してもよい。また、制御部は、被検者によって入力された回答が不適切である場合に、補助動作の実行条件が満たされたと判断してもよい。回答が不適切であるか否かを判断する方法は、適宜選択できる。例えば、制御部は、入力された回答が、予め定められた回答条件を満たさない場合(例えば、被検者に要求している回答の候補とは異なる回答が入力された場合、同一の回答が所定回数以上連続して入力された場合、または、被検者に要求している回答の回数よりも多い回数の回答が入力された場合等)に、入力された回答が不適切であると判断してもよい。
【0018】
セルフ検眼補助ステップにおいて実行される補助動作には、検者を呼び出す呼び出し動作が含まれていてもよい。この場合には、セルフ検眼の進行に問題が生じた際に検者が呼び出されるので、その後の検眼が適切に行われる。
【0019】
セルフ検眼補助ステップは、進行手順の少なくとも一部を進行させるための呈示指示信号を、検者によって入力される指示に応じて自覚式検眼装置に出力する手動進行ステップを含んでいてもよい。この場合、検者は、セルフ検眼によって進行する予定であった進行手順のうち、問題が生じた検査等を、手動で進行させることができる。よって、被検者に対する検眼がより適切に補助される。
【0020】
セルフ検眼補助ステップは、セルフ検眼によって記憶された1つまたは複数の矯正値の少なくともいずれかを、検者によって入力される指示に応じて修正する矯正値修正ステップを含んでいてもよい。この場合、例えば、セルフ検眼による測定が失敗した矯正値が存在する場合等であっても、検者の判断によって矯正値が修正される。よって、被検者に対する検眼が円滑に進行する。
【0021】
セルフ検眼補助ステップは、進行手順の少なくとも一部を、検者によって入力される指示に応じて省略するテスト省略ステップを含んでいてもよい。この場合、検者は、予め定められている進行手順のうち、不要と判断した手順を省略することができる。よって、被検者に対する検眼が円滑に進行する。
【0022】
進行手順の少なくとも一部を省略するための、検者による指示の入力方法は、適宜選択できる。例えば、検者は、進行手順に沿って実行される複数のテストのうち、省略するテストの選択指示を、第1情報処理装置に入力してもよい。この場合、第1情報処理装置の制御部は、選択されたテストを進行手順から省略してもよい。また、検者は、一旦停止されたセルフ検眼を再開させるタイミングを、省略する手順よりも後のタイミングとして第1情報処理装置に入力してもよい。この場合、第1情報処理装置の制御部は、入力されたタイミングからセルフ検眼を再開させることで、一部の手順を省略してもよい。
【0023】
セルフ検眼補助ステップは、代理回答取得ステップを含んでいてもよい。代理回答取得ステップでは、制御部は、セルフ検眼進行ステップによって被検者に視標が進行手順に従って呈示された際に、呈示された視標を視認した被検者の回答を、検者によって入力される指示に応じて取得する。この場合、検者は、セルフ検眼の進行手順に沿って視標が順に被検者に対して呈示される過程で、視標を視認した被検者から回答を聞き取り、聞き取った回答を自ら入力することができる。従って、セルフ検眼における回答方法等を被検者が把握できていない場合等であっても、検者は、被検者から聞き取った回答を入力することで、適切にセルフ検眼を補助することができる。
【0024】
セルフ検眼補助ステップは、進行手順のうち、既に検眼が完了した手順(例えば、完了したテスト等)の次の手順から、一旦停止されたセルフ検眼を再開させる継続再開ステップを含んでいてもよい。この場合、進行手順のうち、既に完了した手順の次の手順からセルフ検眼が再開される。よって、セルフ検眼の補助が終了した後も、セルフ検眼の続きが進行手順に沿って適切に行われる。
【0025】
セルフ検眼補助ステップは、進行手順のうち、検者によって指定された手順(例えば、指定されたテスト等)から、一旦停止されたセルフ検眼を再開させる指定再開ステップを含んでいてもよい。この場合、検者は、セルフ検眼中に発生した問題が解消された場合等に、検者が指定した手順からセルフ検眼を再開させることができる。よって、検者が検眼を補助するための負担が過度に増大することが抑制される。
【0026】
セルフ検眼の進行手順は、被検者に対して実行される複数のテスト(検査)と、複数のテストの実行順を定めていてもよい。セルフ検眼進行ステップでは、進行手順に従って複数のテストが順に実行されてもよい。この場合、被検眼に対する複数のテストが適切に自動的に進行する。さらに、検者は、複数のテストのうち、補助が必要と判断したテスト(例えば、セルフ検眼では良好な矯正値が取得されなかったテスト等)に対して、適切に補助を行うことができる。
【0027】
セルフ検眼補助ステップは、進行手順を表示装置に表示させる手順表示ステップを含んでいてもよい。表示装置は、検者が待機する拠点に配置されていればよく、自覚式検眼装置が配置された拠点とは異なる拠点に配置されていてもよいし、自覚式検眼装置が配置された拠点と同じ拠点に配置されていてもよい。指定再開ステップでは、表示装置によって表示された進行手順上で、セルフ検眼を再開させる手順(以下、「再開手順」という)の指定指示の入力が受け付けられてもよい。この場合、検者は、進行手順の詳細および進捗状況等を、表示された進行手順によって適切に把握した状態で、セルフ検眼を再開させる再開手順を指定することができる。
【0028】
なお、再開手順の入力を、表示された進行手順上で受け付けるための具体的な方法は、適宜選択できる。例えば、表示装置の表示領域にタッチパネルが設けられていてもよい。この場合、制御部は、表示された進行手順のうち、タッチパネルが操作された位置に対応する手順(例えば、特定のテスト等)を、検者によって指定された再開手順として処理してもよい。また、表示装置の表示領域内でポインタを移動させるためのマウス等が設けられていてもよい。この場合、制御部は、表示された進行手順上のうち、ポインタの位置に対応する手順を、検者によって指定された再開手順として処理してもよい。
【0029】
また、制御部は、進行手順全体(例えば、進行手順に含まれる複数のテスト等)のうち、その時点で行われている手順、および、進行に問題が生じた際に行われていた手順等の少なくともいずれかを、進行手順上で表示してもよい。この場合、検者は、セルフ検眼の進行状況を、表示される進行手順によって適切に把握することができる。
【0030】
以上のように、一旦停止されたセルフ検眼を再開させることで、種々のメリットが生じる。例えば、自覚式検眼システムによって行われるテストの1つであるクロスシリンダ―テストでは、被検者に対して視標(例えば、点群視標)が2つ呈示される。しかし、矯正光学系の検査窓と被検眼の間の相対位置がずれてしまうと、被検者は、2つの点群視標(点群)のうちの一方しか視認できない場合がある。この場合、被検者はセルフ検眼を実行することができない。しかし、本開示に係る自覚式検眼システムによると、検者は、セルフ検眼を一旦停止させている間に、検査窓に対する被検眼の位置を調整するようにアドバイス等を行い、クロスシリンダ―テストの進行を補助した後に、被検者が単独で行うセルフ検眼を再開させることができる。このように、一旦停止されたセルフ検眼を再開させる場合には、検者および被検者の双方にとって有用な効果が得られる。
【0031】
セルフ検眼補助ステップが、第1情報処理装置に対してネットワークを介して接続された他の情報処理装置である第2情報処理装置に入力される指示に応じて実行されてもよい。この場合、被検者の場所とは異なる遠隔地に検者がいる場合でも、検者は、第2情報処理装置に指示を入力することで、被検者によるセルフ検眼を遠隔地から適切に補助することができる。
【0032】
なお、セルフ検眼の進行に問題が生じた場合(例えば、補助動作の実行指示が入力された場合等)には、第1情報処理装置の制御部は、検者を呼び出す呼び出し動作の実行指示を、第2情報処理装置に対して出力してもよい。この場合、被検者の場所とは異なる遠隔地に検者がいる場合でも、検者は、セルフ検眼の進行に問題が生じたことを把握し易い。
【0033】
ただし、セルフ検眼補助ステップは、第1情報処理装置に直接入力される指示(例えば、第1情報処理装置の操作部に入力される指示)に応じて実行されてもよい。つまり、自覚式検眼装置および第1情報処理装置が設置された場所にいる検者が、セルフ検眼補助ステップを実行させるための指示を入力してもよい。この場合、例えば、検者からの指示入力に用いられる第1情報処理装置の操作部としては、自覚式検眼装置に設けられた専用のコントローラであってもよいし、マウス、タブレット等の汎用のユーザーインターフェースであってもよい。
【0034】
また、第2情報処理装置が用いられる場合には、第2情報処理装置の数は1つでもよいし、2つ以上であってもよい。また、第2情報処理装置には、第1情報処理装置と同様に、種々のデバイス(例えば、PC、携帯端末、またはスマートフォン等)を使用できる。第2情報処理装置は、セルフ検眼が実行される際に既に第1情報処理装置に接続されていてもよいし、セルフ検眼に問題が生じた後に第1情報処理装置に接続されてもよい。
【0035】
また、第2情報処理装置が用いられる場合には、第1情報処理装置および第2情報処理装置の各々の制御部は、少なくとも音声データ(音声データと画像データの両方であってもよい)を相互に送受信させることで、検者と被検者の会話を補助する遠隔会話ステップを実行してもよい。この場合、遠隔地にいる検者は、会話によって被検者の状況を把握することで、セルフ検眼を適切に補助することが可能である。
【0036】
<検眼フローチャート表示>
なお、セルフ検眼補助ステップとして、検眼フロー(検眼フローチャート)(例えば、検眼フロー60)を用いて、セルフ検眼を補助するようにしてもよい。以下、検眼フローを用いる構成について説明する。
【0037】
例えば、本実施形態において、セルフ検眼プログラムが、第1情報処理装置の制御部によって実行されることで、セルフ検眼進行ステップ、およびセルフ検眼補助ステップが、第1情報処理装置によって実行されるようにしてもよい。例えば、セルフ検眼進行ステップでは、第1情報処理装置は、少なくとも、自動的に進行されるセルフ検眼の進行手順に基づいて(つまり、進行手順に沿って)、複数の検査項目を実行するために、矯正光学系と視標呈示部とを制御する。例えば、セルフ検眼補助ステップでは、第1情報処理装置は、セルフ検眼の進行に問題が生じた場合に、セルフ検眼の進行を補助するための補助動作を実行する。
【0038】
また、例えば、セルフ検眼補助ステップは、表示制御ステップと、選択受付ステップと、選択実行ステップと、を含むようにしてもよい。例えば、表示制御ステップは、複数の検査項目を検査の進行手順で配列した検査フローを表示装置に表示する。例えば、選択受付ステップは、表示装置に表示された検査フローに対して、所定の検査項目を選択する指示である選択指示入力を、操作者(例えば、検者と被検者との少なくともいずれか)から受け付ける。また、例えば、 選択実行ステップは、受け付けられた選択指示入力に基づいて、所定の検査項目に対応する検査を実行する。
【0039】
このような構成によって、例えば、表示装置によって表示された検眼フローを確認することで、進行手順や進捗状況等のセルフ検眼の状況を把握して、操作者が補助したい検査項目を選択することができる。このため、例えば、操作者は、進行手順の詳細および進捗状況等のセルフ検眼の状況を、表示された検眼フローによって適切に把握した状態で、補助すべき検査項目を選択でき、補助が必要となる検査の開始を容易に行うことができる。また、例えば、セルフ検眼時において、操作者が被検者の傍に常時滞在し、セルフ検眼の状況を把握していない状態であった場合においても、補助が必要となる検査の開始を容易に行うことができる。
【0040】
例えば、本実施形態における検眼フローを用いる構成は、種々の構成で用いることができる。例えば、セルフ検眼の実施中において、セルフ検眼の補助を行うために、検査フローに対して、所定の検査項目を選択し、選択した検査項目に対応する検査の補助を行うようにしてもよい。
【0041】
また、例えば、セルフ検眼を再開させる際に、検査フローに対して所定の検査項目を選択し、選択した検査項目からセルフ検眼が再開されるようにしてもよい。この場合、例えば、選択実行ステップは、検眼フローに対する、選択指示入力に基づいて、選択された所定の検査項目に対応する検査からセルフ検眼を再開させるようにしてもよい。このような構成によって、表示装置によって表示された検眼フローを確認しながら、セルフ検眼を再開させる検査項目の指示を行うことができる。このため、操作者は、進行手順の詳細および進捗状況等を、表示された検眼フローによって適切に把握した状態で、セルフ検眼を再開させる検査工程を指定することができる。
【0042】
なお、選択された検査項目における検査を実行する場合に、検査を開始する際の開始状態の設定方法は、任意の方法を設定できる。例えば、選択された検査項目における検査を実行する場合、セルフ検眼補助ステップは、選択指示入力を受け付けた時点での検査状態となるように自覚式装置本体を制御してもよい。この場合、例えば、選択指示入力を受け付けた時点での視標を視標呈示部に呈示させてもよいし、選択指示入力を受け付けた時点での矯正値を矯正光学系に設定させてもよい。これにより、検査の状態を維持した状態で検査を開始できるため、検査についての設定を最初から行う必要がなくなり、検査をスムーズに行うことができる。なお、この場合、視標の呈示と矯正値の設定の両方を行うことで、選択指示入力を受け付けた時点での検査状態をより再現できるが、視標の呈示と矯正値の設定の一方が行われてよい。
【0043】
また、例えば、選択された検査項目における検査を実行する場合、セルフ検眼補助ステップは、選択指示入力を受け付けた時点での検査項目における初期状態(初期値を設定した状態)となるように自覚式装置本体を制御してもよい。この場合、例えば、選択指示入力を受け付けた時点での検査項目における検査開始時の視標を視標呈示部に呈示させてもよいし、選択指示入力を受け付けた時点での検査項目における検査開始時の矯正値を矯正光学系に設定させてもよい。これにより、例えば、選択指示入力を受け付けた時点での検査の初期状態からの検査を行うことができるので、選択指示入力を受け付けた時点での検査が不適切に行われたような場合において、検査を一旦リセットすることができ、検査開始時点から検査を行えることで、結果的に、当該検査をスムーズに行うことができる。視標の呈示と矯正値の設定の両方を行うことで、選択指示入力を受け付けた時点での検査における検査の初期状態をより再現できるが、視標の呈示と矯正値の設定の一方が行われてよい。
【0044】
例えば、選択指示入力を受け付けた時点での検査状態となるように自覚式装置本体を制御する第1の制御と、選択指示入力を受け付けた時点での検査項目における初期状態となるように自覚式装置本体を制御する第2の制御と、が選択的に実行されてもよい。この場合、操作部において、第1の制御と、第2の制御とが、検者によって選択できるようにしてもよい。これにより、例えば、検者は、検査状況のヒアリング等を行った上で、選択指示入力を受け付けた時点での検査の状況に応じて、検者による補助を行う際の装置設定を選択することができる。
【0045】
なお、初期状態として設定される初期値としては、他覚式測定データと、前眼鏡データと、過去の自覚式測定データと、の少なくともいずれかのデータに基づいて、設定されてもよい。もちろん、例えば、初期値としては、上記データとは異なる初期値を用いてもよい。この場合、例えば、任意の値(例えば、デフォルトの値(例えば、0等))を初期値として設定するようにしてもよい。
【0046】
例えば、他覚式測定データとしては、被検眼の光学特性を他覚的に測定したデータであってもよい。この場合、例えば、他覚的に測定される被検眼の光学特性としては、眼屈折力(例えば、球面度数、乱視度数、乱視軸角度等)、偏光特性、瞳孔間距離等が挙げられる。また、例えば、前眼鏡データとしては、被検者が装用していた眼鏡の光学特性を測定したデータであってもよい。この場合、例えば、眼鏡の光学特性としては、屈折力(例えば、球面度数、乱視度数、乱視軸角度等)、偏光特性、瞳孔間距離等が挙げられる。また、例えば、過去の自覚式測定データとしては、自覚式の測定を行う被検者の過去の自覚式の測定結果である自覚式測定データであってもよい。例えば、自覚式測定データとしては、被検眼の光学特性を自覚的に測定したデータであってもよい。この場合、例えば、自覚的に測定される被検眼の光学特性としては、眼屈折力(例えば、球面度数、乱視度数、乱視軸角度等)、偏光特性、瞳孔間距離等が挙げられる。
【0047】
例えば、表示装置は、任意の位置に配置することができる。例えば、表示装置は、操作者が待機する拠点に配置されていればよく、自覚式検眼装置が配置された拠点とは異なる拠点に配置されていてもよいし、自覚式検眼装置が配置された拠点と同じ拠点に配置されていてもよい。例えば、一例として、自覚式検眼装置が配置された拠点とは異なる拠点に配置されている場合、第2情報処理装置と接続された表示部(例えば、表示部35B)が表示装置として用いられるようにしてもよい。また、例えば、一例として、自覚式検眼装置が配置された拠点と同じ拠点に配置されている場合、第1情報処理装置と接続された表示部(例えば、表示部35A)が表示装置として用いられるようにしてもよい。もちろん、表示装置として用いる構成は、上記構成に限定されず、異なる表示部が用いられるようにしてもよい。
【0048】
例えば、表示装置に表示された検査フローに対して、所定の検査項目を選択する指示である選択指示入力は、適宜選択できる。例えば、操作者は、操作部を用いて、所定の検査項目を選択する指示である選択指示入力を行うようにしてもよい。例えば、操作部は、任意の位置に配置することができる。例えば、操作部は、操作者が待機する拠点に配置されていればよく、自覚式検眼装置が配置された拠点とは異なる拠点に配置されていてもよいし、自覚式検眼装置が配置された拠点と同じ拠点に配置されていてもよい。例えば、一例として、自覚式検眼装置が配置された拠点とは異なる拠点に配置されている場合、第2情報処理装置と接続された操作部(例えば、操作部34B)が操作部として用いられるようにしてもよい。また、例えば、一例として、自覚式検眼装置が配置された拠点と同じ拠点に配置されている場合、第1情報処理装置と接続された操作部(例えば、操作部34A)が操作部として用いられるようにしてもよい。もちろん、操作部として用いる構成は、上記構成に限定されず、異なる操作部が用いられるようにしてもよい。
【0049】
例えば、操作部としては、タッチパネル、マウス、ジョイスティック、キーボード、マイク等の少なくともいずれかのユーザーインターフェイスを用いるようにしてもよい。なお、例えば、操作部としてタッチパネルが用いられる場合に、操作部と表示装置との少なくとも一部が兼用されるようにしてもよい。すなわち、表示装置の表示領域にタッチパネルが設けられ、タッチパネルが操作部として用いられるようにしてもよい。
【0050】
一例として、例えば、表示装置の表示領域にタッチパネルを用いる場合、タッチパネルが操作されることによって、表示装置に表示された検査フローに対して、所定の検査項目を選択する指示である選択指示入力が行われるようにしてもよい。一例として、表示装置に表示された検査フローに対して、タッチパネルが操作された位置に対応する検査項目が、操作者によって選択された所定の検査項目として、選択指示入力が行われるようにしてもよい。
【0051】
また、一例として、例えば、マウス等を用いる場合に、表示装置の表示領域内で検査項目を選択するための標識(例えば、ポインタやアイコン等)が表示される構成であってもよい。例えば、標識は、操作者による操作部の操作位置を強調するための情報であってもよい。この場合、例えば、操作者によってマウス等の操作部が操作されると、操作部の操作に連動して、ポインタ等の標識が移動される。例えば、検眼フロー上のうち、ポインタ等の標識の位置に対応する検査項目が、操作者によって選択された所定の検査項目として、選択指示入力が行われるようにしてもよい。なお、例えば、標識は、上記構成に限定されず、種々の標識を用いることができる。線や図形が描画され、表示されてもよい。
【0052】
例えば、セルフ検眼補助ステップは、呼出受付ステップと、 呼出実行ステップと、を含むようにしてもよい。例えば、呼出受付ステップは、操作者である検者を呼び出す呼出動作を実行するための指示である呼出実行指示の入力を受け付けるようにしてもよい。例えば、呼出実行ステップは、呼出受付ステップにおいて受け付けられた呼出実行指示に基づいて呼出動作を実行するようにしてもよい。例えば、セルフ権限補助ステップは、呼出実行指示が入力されるまでは、自覚式検眼装置を検者が操作するための操作部による選択指示入力を制限し、呼出実行指示が入力された場合に、操作部からの操作入力の制限を解除するようにしてもよい。このような構成によって、例えば、検者が用いる操作部からの選択操作が制限されることで、検者が操作部に触れてしまい、セルフ検査での検査に干渉してしまうことを回避できる。
【0053】
例えば、表示制御ステップは、検眼フローとして表示装置に表示する検査項目を、少なくとも検査実施中の実施検査項目を含んだ所定の検査項目に制限して表示するようにしてもよい。このような構成によって、例えば、セルフ検眼において実施する複数の検査項目について、検眼フローとして表示数が多い場合であって確認がしづらい状況であっても、現在の検査項目及びその他の検査項目について一定の範囲での検眼フローを確認しやすくなり、現在の検査状況が把握しやすくなる。
【0054】
この場合、例えば、表示制御ステップは、検眼フローとして表示される複数の検査項目が所定の検査項目数を超える場合に、検眼フローとして表示装置に表示する検査項目を、少なくとも検査実施中の実施検査項目を含んだ所定の検査項目に制限して表示するようにしてもよい。また、この場合、例えば、表示制御ステップは、検眼フローとして表示される複数の検査項目が表示装置において表示可能な検査項目数を超える場合に、検眼フローとして表示装置に表示する検査項目を、少なくとも検査実施中の実施検査項目を含んだ所定の検査項目に制限して表示するようにしてもよい。このような構成によって、例えば、セルフ検眼において実施する複数の検査項目について、検眼フローとして表示可能な検査項目数を超えるような検査項目が多い場合であっても、現在の検査項目及びその他の検査項目について一定の範囲での検眼フローを確認することが可能となり、検眼フローによって、現在の検査状況が把握しやすくなる。
【0055】
例えば、検眼フローとして表示装置に表示する検査項目を所定の検査項目に制限して表示している場合に、操作者の操作によって、表示が制限されている他の検査項目(表示されていない検査項目)が表示されるようにしてもよい。一例として、例えば、操作者が操作部を操作して、スクロール操作(例えば、上下方向のスクロール操作、左右方向のスクロール操作等)をすることによって、制限されている検査項目が表示されるようにしてもよい。もちろん、表示が制限されている他の検査項目を表示する方法としては、上記構成に限定されず、種々の方法にて実施することができる。なお、操作者の操作によって、表示が制限されている他の検査項目を表示させて、表示させた他の検査項目について選択指示入力が行われることで、選択指示入力された検査項目の検査が実行されるようにしてもよい。
【0056】
例えば、表示制御ステップは、検眼フローとして表示装置に表示する所定の検査項目として、実施検査項目の次に実施される検査項目と、実施検査項目の前に実施された検査項目と、の少なくともいずれかの検査項目をさらに含んだ所定の検査項目に制限して表示するようにしてもよい。このような構成によって、例えば、実施中の検査項目に加え、次(1つ後)に実施される検査項目が確認できることで、今後の検査を踏まえた検眼の検討(例えば、検査に係るの残り時間を想定した検討、セルフ検眼を行っている被検者について次の検査でも補助が必要となりそうかの検討、等)を容易に行うことができる。また、例えば、実施中の検査項目に加え、実施中の検査項目の前(1つ前)に実施された検査項目が確認できることで、過去の検査状況を踏まえた検眼の検討(現在の検査状況を考慮した過去の検眼のやり直しの検討、過去の検査進行状況に基づくセルフ検査の手順を変更の検討等)を容易に行うことができる。また、例えば、実施中の検査項目に加え、実施中の検査項目の前後の検査項目が確認できることで、現在、セルフ検眼に関する検査状況をより把握しやすくなり、検査に関するより詳細な検討を容易に行うことができる。
【0057】
例えば、表示制御ステップは、所定の検査項目に制限して表示されている場合で、呼出実行指示が入力された場合に、検眼フローにおける検査項目の表示の制限を解除するようにしてもよい。このような構成によって、例えば、検者を呼び出した際に、セルフ検眼において実施するより多くの検査項目の検眼フローが表示されるため、検者はセルフ検眼における検査状況をより容易に把握することが可能となる。これによって、セルフ検眼についての現在の状況をより把握しやすくなり、セルフ検眼の補助を容易に行うことができる。
【0058】
例えば、表示の制限を解除する場合に、制限されている所定の検査項目の数よりも多くの検査項目の数が表示されるようにすればよい。一例として、例えば、制限されている所定の検査項目に加えて、1つの検査項目が表示されるように、表示の制限が解除されるようにしてもよい。また、一例として、例えば、複数の検査項目における全検査項目が表示されるように、表示の制限が解除されるようにしてもよい。例えば、全体の検査項目が検眼フローで確認できることで、より検査状況が把握しやすくなる。
【0059】
例えば、表示制御ステップは、検眼フローにおいて、少なくとも検査実施中の実施検査項目が識別可能な識別表示を行うようにしてもよい。このような構成によれば、例えば、現在、実施中の検査を容易に把握することができ、検査に関する検討(例えば、検査のやり直しの必要性、検査の手順を変更する必要性)を容易に行うことができる。
【0060】
例えば、識別表示としては、検査実施中の実施検査項目が強調される表示であればよい。一例として、例えば、実施検査項目の位置にポインタやアイコン等が表示される構成であってもよい。また、一例として、例えば、実施検査項目の位置における背景が変更される構成であってもよい。また、一例として、例えば、実施検査項目のサイズや色等が変更される構成であってもよい。また、一例として、例えば、実施検査項目を除く他の検査項目の表示が変更されることで、実施検査項目が強調されるようにしてもよい。もちろん、例えば、識別表示としては、上記構成に限定されず、種々の表示方法を用いることができる。
【0061】
例えば、識別可能な識別表示を行う検査項目としては、実施検査項目のみに識別表示が行われてもよい。また、例えば、識別可能な識別表示としては、実施検査項目を含む他の検査項目(例えば、実施検査項目の次に実施される検査項目と、実施検査項目の前に実施された検査項目と、の少なくともいずれかの検査項目、等)に識別表示が行われてもよい。
【0062】
例えば、セルフ検眼補助ステップについて、複数の検査項目と進行手順の少なくともいずれかは、操作者によって入力される指示に応じて変更可能であって、表示制御ステップは、操作者によって入力された変更された複数の検査項目と進行手順の少なくともいずれかに基づいて、検査フローを変更して表示装置に表示するようにしてもよい。例えば、複数の検査項目の変更は、任意の検査項目を追加と、任意の検査項目の削除と、の少なくともいずれかであってもよい。例えば、このような構成によって、適宜、検査項目と進行手順を変更できるとともに、進行手順の変更に対応した検眼フローを表示することが可能となるため、検者の考えを考慮したセルフ検眼が可能となる。また、例えば、被検者に応じたセルフ検眼が可能となり、検眼を円滑に進行させることが可能になる。
【0063】
なお、例えば、検査フローにおける複数の検査項目について、各検査項目に関する情報を変更するようにしてもよい。例えば、検査項目における検査項目名を変更する構成であってもよい。また、例えば、検査項目における検査実施時に使用する視標や矯正光学系を変更するようにしてもよい。もちろん、例えば、検査項目に関する情報の変更は、上記構成に限定されず、検査項目(検査項目において実施される検査)に関する任意の設定を変更することができる。
【0064】
例えば、セルフ検眼補助ステップが、第1情報処理装置に対してネットワークを介して接続された他の情報処理装置である第2情報処理装置に入力される指示に応じて実行されてもよい。このような構成によって、被検者の場所とは異なる遠隔地に検者がいる場合でも、検者は、第2情報処理装置に指示を入力することで、被検者によるセルフ検眼を遠隔地から適切に補助することができる。
【0065】
なお、セルフ検眼の進行に問題が生じた場合(例えば、補助動作の実行指示が入力された場合等)には、第1情報処理装置の制御部は、検者を呼び出す呼び出し動作の実行指示を、第2情報処理装置に対して出力してもよい。この場合、被検者の場所とは異なる遠隔地に検者がいる場合でも、検者は、セルフ検眼の進行に問題が生じたことを把握し易い。
【0066】
ただし、セルフ検眼補助ステップは、第1情報処理装置に直接入力される指示(例えば、第1情報処理装置の操作部に入力される指示)に応じて実行されてもよい。つまり、自覚式検眼装置および第1情報処理装置が設置された場所にいる検者が、セルフ検眼補助ステップを実行させるための指示を入力してもよい。
【0067】
また、第2情報処理装置が用いられる場合には、第2情報処理装置の数は1つでもよいし、2つ以上であってもよい。また、第2情報処理装置には、第1情報処理装置と同様に、種々のデバイス(例えば、PC、携帯端末、またはスマートフォン等)を使用できる。第2情報処理装置は、セルフ検眼が実行される際に既に第1情報処理装置に接続されていてもよいし、セルフ検眼に問題が生じた後に第1情報処理装置に接続されてもよい。
【0068】
また、第2情報処理装置が用いられる場合には、第1情報処理装置および第2情報処理装置の各々の制御部は、少なくとも音声データ(音声データと画像データの両方であってもよい)を相互に送受信させることで、検者と被検者の会話を補助する遠隔会話ステップを実行してもよい。この場合、遠隔地にいる検者は、会話によって被検者の状況を把握することで、セルフ検眼を適切に補助することが可能である。
【0069】
<実施例>
以下、本開示における典型的な実施例の1つについて、図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施例の自覚式検眼システム100は、自覚式検眼装置1および第1情報処理装置2Aを備える。自覚式検眼装置1は、被検眼の光学特性を自覚的に測定するために使用される。本実施例の自覚式検眼装置1によって測定される被検眼の光学特性は、眼屈折力である。測定される眼屈折力は、被検眼の球面度数、円柱度数、および乱視軸角度等の少なくともいずれかであってもよい。第1情報処理装置2Aは、自覚式検眼装置1に接続される。以下では、第1情報処理装置2Aを接続装置と言う場合もある。また、第1情報処理装置2Aは、ネットワーク5を介して、他の情報処理装置である第2情報処理装置2Bに接続される。つまり、本実施例の第1情報処理装置2Aは、第2情報処理装置2Bによってリモートアクセスされる場合がある。以下、各装置について詳細に説明する。
【0070】
自覚式検眼装置1について説明する。自覚式検眼装置1は、眼屈折力測定ユニット10、視標呈示ユニット15、および中継部19を備える。
【0071】
眼屈折力測定ユニット10は、矯正光学系11と駆動部12を備える。矯正光学系11は、被検眼に呈示される視標光束の光学特性を変化させる。つまり、矯正光学系11は、視標光束の球面度数、円柱度数、乱視軸角度、偏光特性、および収差量等の少なくともいずれかを変化させる。一例として、本実施例の矯正光学系11は、複数の光学素子のうち、被検眼の眼前の検査窓に配置する光学素子を切り替えることで、視標光束の光学特性を変化させる。本実施例の矯正光学系11では、複数の光学素子が同一円周上に配置された、左眼用のレンズディスクと右眼用のレンズディスクが用いられている。左眼用のレンズディスクおよび右眼用のレンズディスクの各々は、1枚でもよいし複数枚でもよい。光学素子には、例えば、球面レンズ、円柱レンズ、クロスシリンダレンズ、ロータリプリズム、および波面変調素子等の少なくともいずれかが用いられてもよい。駆動部12は、矯正光学系11を駆動することで、視標光束の光学特性を変化させる。本実施例の駆動部12は、左眼用のレンズディスクおよび右眼用のレンズディスクの各々を回転させて、検査窓に配置する光学素子を切り替えることで、矯正光学系11を駆動する。駆動部12には、例えばステップモータ等を使用できる。駆動部12は、駆動信号に応じて駆動される。
【0072】
視標呈示ユニット15は、被検眼に検査視標(例えば、ランドルト環視標、および文字等の少なくともいずれか)を呈示すると共に、被検眼に呈示する検査視標を切り替える。詳細には、視標呈示ユニット15は、視標呈示部16と駆動部17を備える。視標呈示部16は、被検眼に検査視標を呈示する。視標呈示部16には、例えば、凹面ミラーを介して検査視標を被検眼に投影する省スペース型の視標投影装置、スクリーンに検査視標を投影するチャートプロジェクタ、および、検査視標を表示するディスプレイ等の少なくともいずれかを採用できる。視標呈示部16は、被検眼からの距離が光学的に所定の距離となるように、眼屈折力測定ユニット10と略同じ高さに配置される。駆動部17は、視標呈示部16を駆動することで、被検眼に呈示する検査視標を切り替える。駆動部17は、駆動信号に応じて駆動される。
【0073】
中継部19は、第1情報処理装置2Aと駆動部12,17の間で駆動信号を中継する。また、本実施例では、第1情報処理装置2Aから出力される駆動信号の系統と、駆動部12,17の少なくとも一方を制御可能な駆動信号の系統とが異なる。本実例の中継部19は、第1情報処理装置2Aから受信した駆動信号を、駆動部12,17を制御可能な駆動信号に変換して、駆動部12,17に送信する。さらに、一例として本実施例の中継部19は、2つの駆動部12,17を共に駆動させるための1つの駆動信号を第1情報処理装置2Aから受信した場合に、受信した1つの駆動信号を、2つの駆動部12,17の各々を駆動させるための2つの駆動信号に変換して、2つの駆動部12,17の各々に送信する。
【0074】
第1情報処理装置2Aおよび第2情報処理装置2Bについて説明する。第1情報処理装置2Aおよび第2情報処理装置2Bには、各種情報を処理可能な種々の情報処理装置の少なくともいずれかを採用できる。一例として、本実施例の第1情報処理装置2Aおよび第2情報処理装置2Bには、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」という)が用いられる。しかし、本実施例の第1情報処理装置2Aおよび第2情報処理装置2Bとして機能できる情報処理装置は、PCに限定されない。例えば、サーバ、携帯端末、またはスマートフォン等が、第1情報処理装置2Aおよび第2情報処理装置2Bの少なくともいずれかとして使用されてもよい。第1情報処理装置2Aおよび第2情報処理装置2Bの少なくともいずれかは、複数のデバイスによって構成されていてもよい。例えば、第1情報処理装置2Aは、コントローラおよび記憶装置を備えた専用コントローラと、パーソナルコンピュータによって構成されていてもよい。
【0075】
第1情報処理装置2Aと第2情報処理装置2Bは、ネットワーク(例えばインターネット等)5を介して通信可能な状態で接続される。図1に示す例では、1つの第1情報処理装置2Aに対して複数の第2情報処理装置2Bが接続される場合を例示する。しかし、1つの第1情報処理装置2Aに対して1つの第2情報処理装置2Bが接続されてもよい。また、1つの第2情報処理装置2Bが複数の第1情報処理装置2Aに接続されてもよい。
【0076】
第1情報処理装置2Aは、被検者に対する自覚式の検眼が行われる拠点(例えば、眼鏡店または病院等)に配置される。第1情報処理装置2Aは、CPU21Aと記憶装置22Aを備える。CPU21Aは、第1情報処理装置2Aの制御を司る制御部(コントローラ)である。記憶装置22Aは、プログラムおよび各種データ等を記憶することができる。本実施形態では、検眼制御プログラムは記憶装置22Aに記憶されている。
【0077】
第1情報処理装置2Aは、自覚式検眼装置1(詳細には、自覚式検眼装置1の中継部19)に対して通信可能な状態で接続されている。第1情報処理装置2Aと自覚式検眼装置1の接続規格には、例えばLAN等の種々の規格を採用できる。また、第1情報処理装置2Aは、他覚式検眼装置3に対して通信可能な状態で接続されている。他覚式検眼装置3は、被検眼の光学特性(例えば、球面度数、円柱度数、および乱視軸角度等の少なくともいずれか)を、他覚的に測定する。第1情報処理装置2Aと他覚式検眼装置3の接続規格には、例えばLAN等の種々の規格を採用できる。なお、他覚式検眼装置3は、中継部19に接続されていてもよい。他覚式検眼装置3による測定結果は、中継部19が備える記憶装置に記憶されてもよい。
【0078】
第1情報処理装置2Aには、カメラ31A、マイク32A、スピーカ33A、操作部34A、および表示部35Aが接続されている。カメラ31Aは、画像を撮影する。特に、本実施形態のカメラ31Aは、被検者の動画像を撮影するために使用される。マイク32Aは、音を音声信号に変換して出力する。スピーカ33Aは、音声信号を音に変換する。操作部34Aは、ユーザ(例えば被検者等)が各種指示を入力するために、ユーザによって操作される。操作部34Aには、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等の少なくともいずれかが使用されてもよい。また、操作部34Aとして、自覚式の検眼の回答の入力に適した専用の操作部(例えばジョイスティック等)が使用されてもよい。表示部35Aは、各種画像を表示する。表示部35Bには、画像を表示可能な種々のデバイス(例えば、モニタ、ディスプレイ、およびプロジェクタ等の少なくともいずれか)を使用できる。
【0079】
第2情報処理装置2Bは、自覚式検眼装置1による検眼を進行させることが可能な検者(例えば、自覚式検眼装置1による検眼に精通した眼鏡店の店員、医師、または看護師等)の拠点に配置される。第2情報処理装置2Bは、CPU21Bと記憶装置22Bを備える。CPU21Bは、第2情報処理装置2Bの制御を司る制御部(コントローラ)である。記憶装置22Aは、プログラムおよび各種データ等を記憶することができる。
【0080】
第2情報処理装置2Bには、カメラ31A、マイク32A、スピーカ33A、操作部34A、および表示部35Aが接続されている。これらのデバイスには、前述した第1情報処理装置2Aに接続されるデバイスと同様に、種々のデバイスを使用できる。
【0081】
<プログラム・検眼方法>
本実施例の第1情報処理装置2Aにインストールされるプログラムについて説明する。前述したように、第1情報処理装置2Aが備える記憶装置22Aには、検眼制御処理(図2参照)を実行するための検眼制御プログラムが記憶されている。検眼制御プログラムには、駆動制御を実行するための駆動制御プログラムと、セルフ検眼を実行するためのセルフ検眼プログラムとが含まれる。駆動制御プログラムは、自覚式検眼装置1の駆動を制御する制御信号を、自覚式検眼装置1に送信する。セルフ検眼プログラムは、被検者によって入力された回答に基づいて、自覚式検眼装置1による検眼を自動的に進行させる。なお、駆動制御を実行するための駆動制御プログラムと、セルフ検眼を実行するためのセルフ検眼プログラムは、別々に構築されて用意されていてもよいし、1つのプログラムの中に組み込まれていてもよい。
【0082】
本実施例の自覚式検眼システム100によって実行することが可能な自覚式の検眼方法について説明する。本実施例の自覚式検眼システム100は、セルフ検眼と遠隔検眼を実行することができる。セルフ検眼とは、セルフ検眼プログラムによって実行される検眼である。つまり、セルフ検眼では、基本的には、被検者によって入力された回答に基づいて、自動的に検眼が進行する。また、本実施例の自覚式検眼システム100では、セルフ検眼の進行に問題が生じた場合に、セルフ検眼の進行を補助するためのセルフ検眼補助処理が実行される。セルフ検眼補助処理は、遠隔地の第2情報処理装置2Bに入力される指示信号に応じて実行することも可能である。従って、セルフ検眼の進行に問題が生じた場合でも、検眼が円滑に行われ易い。また、遠隔検眼は、第2情報処理装置2Bに入力される指示信号に応じて行われる検眼である。以下では、セルフ検眼の説明を重点的に行う。
【0083】
<検眼制御処理>
図2から図4を参照して、本実施例の自覚式検眼システム100の第1情報処理装置2Aが実行する検眼制御処理の一例について説明する。検眼制御処理では、例えば、セルフ検眼を制御する処理、セルフ検眼を補助する処理等が実行される。被検眼に対する自覚式の検眼を開始させる指示が、第1情報処理装置2Aに入力されると、第1情報処理装置2AのCPU21Aは、検眼制御プログラムに従って、図2に例示する検眼制御処理を実行する。
【0084】
一例として、本実施例の検眼制御処理は、1つまたは複数の第2情報処理装置2Bの、第1情報処理装置2Aに対する通信(例えばリモートアクセス等)が確立している状態で実行される。しかし、第1情報処理装置2Aと第2情報処理装置2Bの間の通信は、検眼制御処理の実行中(例えば、図4に示すセルフ検眼補助処理の開始時等)に確立されてもよい。また、第1情報処理装置2Aと第2情報処理装置2Bの間の通信方法も、適宜選択できる。例えば、RAS(リモートアクセスサービス)が利用されることで、第1情報処理装置2Aに対する第2情報処理装置2Bのリモートアクセスが確立されてもよい。
【0085】
まず、CPU21Aは、他覚式による検眼結果を取得する(S1)。一例として、本実施例の第1情報処理装置2Aは、LANまたは中継部19等を介して接続された他覚式検眼装置3(図1参照)から、同一の被検者に対する他覚式の検眼の結果を取得する。しかし、CPU21Aは、例えば、着脱可能なメモリ、またはネットワーク5等を介して、同一の被検者に対する他覚式の検眼結果を取得してもよい。また、他覚式の検眼結果は、操作部34A等を介してユーザによって入力されてもよい。同一の被検者に対する他覚式の検眼結果が存在しない場合には、S1の処理は省略されてもよい。
【0086】
次いで、CPU21Aは、セルフ検眼の進行手順を設定する(S3)。図3の進行手順表示欄52には、本実施例の自覚式検眼システム100で使用されるセルフ検眼の進行手順の一例の一部分(図3では、右眼に対する進行手順のみ)が表示されている。図3で例示するように、本実施例で使用される進行手順は、被検者に対して実行される複数のテスト(複数の検査)と、複数のテストの実行順を定める。一例として、図3に示す進行手順では、被検者の右眼に対するR/Gテスト(S)、クロスシリンダ―テスト(A)、クロスシリンダ―テスト(C)、R/Gテスト、およびVAテストが行われた後、被検者の左眼に対するR/Gテスト(S)、クロスシリンダ―テスト(A)、クロスシリンダ―テスト(C)、R/Gテスト、およびVAテストが行われる。R/Gテスト(S)では、被検眼の球面度数が測定される。クロスシリンダ―テスト(A)では、被検眼の乱視軸角度が測定される。クロスシリンダ―テスト(C)では、被検眼の乱視度数が測定される。その後のR/Gテストでは、実行済みのテストにおいて被検眼による調節が働いていたか否かが確認される。VAテストでは、被検眼の最大視力が測定される。
【0087】
S1において、同一の被検者に対する他覚式の検眼の結果が取得されている場合には、S3では、他覚式の検眼の結果(例えば、同一の被検眼について測定された眼屈折力(球面度数、乱視度数、および乱視軸角度の少なくともいずれか))に応じて、セルフ検眼の進行手順が設定される。例えば、進行手順に含まれる各テストにおいて、矯正光学系11の検査窓に最初に配置させる光学素子、および、視標呈示部16に呈示させる視標の種類および大きさ等が、他覚式の検眼の結果に応じて設定されてもよい。また、他覚式の検眼によって得られた乱視度数が閾値以下であれば、乱視に関するテスト(例えば、クロスシリンダ―テスト(A)およびクロスシリンダ―テスト(C))を省略した進行手順が設定されてもよい。また、S1において、他覚式の検眼の結果が取得されていない場合には、S3では、デフォルトの進行手順が設定されてもよい。
【0088】
次いで、CPU21Aは、S3で設定した進行手順と、セルフ検眼の進捗状況に従って、自覚式検眼装置1に対して次に実行させる視標の呈示動作を決定し、決定した呈示動作を実行させるための呈示指示信号(駆動信号)を、自覚式検眼装置1に出力する(S5)。詳細には、本実施形態のS5では、矯正光学系11の検査窓に配置させる光学素子、および、視標呈示部16に呈示させる視標の少なくともいずれかが、次の呈示動作として決定される。決定された動作を実行させるための、駆動部12および駆動部17の少なくともいずれかに対する駆動信号が、自覚式検眼装置1に送信される。なお、CPU21Aは、駆動信号を自覚式検眼装置1に送信する際に、検査内容に応じた案内音声をスピーカ33Aから出力させる。従って、被検者は、検査内容を適切に把握したうえで、呈示された検査視標を見ることができる。
【0089】
本実施例では、駆動信号は、前述した中継部19(図1参照)を介して、第1情報処理装置2Aから駆動部12,17に送信される。従って、第1情報処理装置2Aから送信される信号が、専用のコントローラ等を介する必要が無い。よって、専用のコントローラ等による信号の処理が省略されるので、より円滑に検眼が実行される。
【0090】
セルフ検眼では、被検者は、案内音声によって検査内容を把握したうえで、自覚式検眼装置1によって呈示された検査視標を視認し、視認した結果の回答を第1情報処理装置2Aに入力する。一例として、本実施例では、自覚式の検眼の回答の入力に適した専用の操作部34Aが、被検者によって操作されることで、回答が入力される。しかし、一般的な操作部34A(例えば、マウス、タッチパネル、またはキーボード等)によって回答が入力されてもよい。また、マイク32Aが変換する音声信号によって回答が入力されてもよい。
【0091】
CPU21Aは、被検者からの回答が入力されたか否かを判断する(S7)。回答が入力されると(S7:YES)、入力された回答と、被検眼の光学特定の矯正値(測定値)が、記憶装置22Aに記憶される(S8)。被検眼の光学特性の矯正値は、S7で入力された回答、回答が入力された際に被検眼に呈示されていた視標、および、矯正光学系11の検査窓に配置されていた光学素子の光学特性(つまり、視標光束の光学特性)に基づいて取得される。
【0092】
次いで、一連のセルフ検眼が未だ完了していなければ(S9:NO)、処理はS5に戻り、セルフ検眼が進行手順に沿って継続される。一例として、本実施例のVAテストでは、CPU21Aは、S7で取得された被検者からの回答が正答の場合には、視標呈示部16に呈示させる視標を、前回呈示させた視標よりも1段階高い視力値の視標(例えば、サイズが1段階小さい視標)とするように、次の視標呈示動作を決定する。また、CPU21Aは、S7で取得された被検者からの回答が誤答の場合には、視標呈示部16に呈示させる視標を、前回呈示させた視標よりも1段階低い視力値の視標(例えば、サイズが1段階大きい視標)とするように、次の視標呈示動作を決定する。また、CPU21Aは、視標の切り替えと共に、矯正光学系11の検査窓に配置させる光学素子の矯正度数等を、次の視標呈示動作として決定してもよい。
【0093】
なお、S7~S9の処理が繰り返し実行されて、一連のセルフ検眼が無事完了すると(S9:YES)、検眼制御処理はそのまま終了する。
【0094】
被検者からの回答が入力されていない場合には(S7:NO)、セルフ検眼の状況が、不適切である可能性が高い所定の条件を満たしているか否かが判断される(S11)。一例として、本実施形態では、S5で呈示指示信号が送信された以後、被検者からの回答が入力されることなく所定時間が経過した場合に、所定の条件が満たされたと判断される。また、被検者によって入力された回答が不適切である場合(例えば、被検者が要求している回答の候補とは異なる回答が入力された場合、同一の回答が所定回数以上連続して入力された場合、または、被検者に要求している回答の回数よりも多い回数の回答が入力された場合等)にも、所定の条件が満たされたと判断される。所定の条件が満たされたと判断されると(S11:YES)、セルフ検眼補助処理が実行される(S13)。
【0095】
また、被検者からの回答が入力されておらず(S7:NO)、且つ、セルフ検眼の条件が条件を満たしていない場合には(S11:NO)、CPU21Aは、セルフ検眼の補助動作の実行指示が被検者によって入力されたか否かを判断する(S12)。一例として、本実施形態では、被検者は、専用のコントローラ34Aに設けられたヘルプボタン70、または、表示部35Aに表示されたヘルプボタン等を操作することで、セルフ検眼の補助動作の実行指示を入力することができる。入力されていなければ(S12:NO)、処理はS7へ戻る。補助動作の実行指示が入力されると(S12:YES)、セルフ検眼補助処理が実行される(S13)。
【0096】
図4を参照して、セルフ検眼補助処理の詳細について説明する。まず、CPU21Aは、検者呼び出し処理を実行する(S21)。一例として、本実施形態のS21では、CPU21Aは、第1情報処理装置2Aに対するリモートアクセスが確立されている1つまたは複数の第2情報処理装置2Bに、ネットワーク5を介して検者呼び出し指示を送信する(S4)。検者呼び出し指示とは、セルフ検眼の補助を検者に依頼するために、検者の呼び出し動作を第2情報処理装置2Bに実行させる指示である。呼び出し動作は、例えば、音声の出力および画像表示等の少なくともいずれかの方法で行われればよい。呼び出し動作が行われることで、第2情報処理装置2Bのユーザ(検者)は、セルフ検眼の補助(本実施形態では遠隔補助)が必要である旨を適切に把握することができる。
【0097】
次いで、CPU21Aは、第2情報処理装置2Bのユーザである検者からの応答があったか否かを判断する(S22)。いずれの第2情報処理装置2Bからも検者による応答がなければ(S22:NO)、検者によるセルフ検眼の補助を実行することは不可能であるため、S22の判断が繰り返されて待機状態となる。いずれかの第2情報処理装置2Bのユーザが、セルフ検眼を補助することが可能な状態であり、応答指示を第2情報処理装置2Bに入力すると(S22:YES)、処理はS23へ移行する。
【0098】
次いで、CPU21Aは、セルフ検眼を補助する検者が使用する第2情報処理装置2Bとの間で、音声データの送受信を開始することで、通話処理を開始する(S23)。その結果、被検者と検者が会話できる状態で、以後説明するセルフ検眼の補助処理が実行される。詳細には、CPU21Aは、マイク32Aによって入力された音声データを、第2情報処理装置2Bに送信する。また、CPU21Aは、マイク32Bを介して第2情報処理装置2Bに入力された音声データを受信し、スピーカ33Aに出力させる。なお、CPU21Aは、音声データと共に、画像データを第2情報処理装置2Bとの間で送受信してもよい。この場合、CPU21Aは、カメラ31Aによって入力された画像データを第2情報処理装置2Bに送信してもよい。また、CPU21Aは、カメラ32Bを介して第2情報処理装置2Bに入力された画像データを受信し、表示部35Aに表示させてもよい。
【0099】
次いで、CPU21Aは、セルフ検眼補助画面(図3参照)を、セルフ検眼を補助する検者が使用する第2情報処理装置2Bの表示部35Bに表示させる(S24)。図3に示すように、本実施例におけるセルフ検眼補助画面には、操作画像領域50および進行手順表示領域51が含まれている。
【0100】
操作画像領域50には、被検眼に呈示させる視標光束の光学特性の情報を含む操作画像が表示される。本実施例の操作画像には、被検眼に呈示される視標光束の光学特性に関する値が、光学特性の種類毎に表示されている。検者は、操作画像領域50上の各種ボタンおよび値等を、タッチパネルまたはマウス等の操作部を介して操作することで、複数の光学特性の種類(球面度数、円柱度数、および乱視軸角度等)のうち、所望の種類についての値を指示することができる。なお、検眼が適切に実行されると、操作画像に表示されている光学特性の矯正値は、被検眼の光学特性の測定値となる。
【0101】
本実施例では、進行手順表示領域51は、第2情報処理装置2Bに接続された表示部35Bに加えて、第1情報処理装置2Aに接続された表示部35Aにも表示される。本実施例の進行手順表示領域51には、進行手順表示欄52、経過時間表示欄54、左右眼表示欄55、ヘルプボタン56、およびトップボタン57が設けられている。前述したように、進行手順表示欄52には、実行中のセルフ検眼に関して設定された進行手順の検眼フローチャート(以下、検眼フローと記載)60表示される(詳細は後述する)。なお、図3に示す例では、進行手順全体(つまり、進行手順に含まれる複数のテスト)のうち、その時点で行われている手順(検査実施中の実施検査項目)が、識別可能な識別表示がされている。本実施例では、識別表示として、実施検査項目が矢印53および太枠によって、進行手順上で表示される。
【0102】
経過時間表示欄54には、実行中のセルフ検眼が開始された以後の経過時間が表示される。左右眼表示欄55には、進行手順全体のうち、その時点で行われている手順が、被検者の左眼および右眼のいずれに対して実行される手順であるかが表示される。ヘルプボタン56は、セルフ検眼の補助動作の実行指示を被検者が入力する際に、被検者によって操作される。トップボタン57は、進行手順表示領域51に表示されている画面を、セルフ検眼プログラムのトップ画面に戻す際に操作される。
【0103】
以後説明するセルフ検眼の補助中(S24~S43)には、前述したように、マイク32Aから第1情報処理装置2Aに入力された音声信号が、第2情報処理装置2Bのスピーカ33Bによって音声に変換される。また、マイク32Bから第2情報処理装置2Bに入力された音声信号が、第1情報処理装置2Aのスピーカ33Aによって音声に変換される。従って、検者と被検者は、セルフ検眼の補助中に会話を行うことができる。また、セルフ検眼の補助中には、第2情報処理装置2Bを使用する検者は、操作部34Bおよびマイク32Bの少なくともいずれかによって、セルフ検眼を補助するための各種指示を入力することができる。
【0104】
次いで、CPU21Aは、検者による手動補助の実行中であるか否かを判断する(S26)。本実施例では、検者がセルフ検眼を補助する方法として、間接補助と手動補助のいずれかが選択される。間接補助とは、セルフ検眼プログラムによって行われるセルフ検眼を、S3で設定された進行手順に沿って進行させつつ、検者がセルフ検眼を間接的に補助する方法である。手動補助とは、進行手順に沿って行われるセルフ検眼の進行の代わりに、検者が入力する指示に応じて検眼を進行させることで、セルフ検眼を補助する方法である。
【0105】
検者は、種々の方法で、間接補助および手動補助のいずれかを第1情報処理装置2Aに実行させることができる。一例として、本実施例では、セルフ検眼補助処理の開始時には間接補助が先に実行されるように、予め設定されている。また、自覚式検眼装置1に対する動作指示、矯正値の修正指示、または手順の省略指示が、操作画像領域50上の各種ボタン等を介して入力されることで、間接補助から手動補助に切り替えられる。しかし、間接補助と手動補助を切り替える方法は、適宜選択できる。例えば、間接補助と手動補助を切り替えるためのボタンが、セルフ検眼補助画面上に設けられていてもよい。
【0106】
間接補助の実行中であれば(S26:NO)、CPU21Aは、呈示された視標を視認した被検者の回答が、検者または被検者によって入力されたか否かを判断する(S27)。本実施例では、間接補助の実行中には、被検者は、第2情報処理装置2Bに接続された操作部34Bを操作することで、被検者から聞き取った回答を第2情報処理装置2Bに入力することができる。第2情報処理装置2Bに入力された回答は、第2情報処理装置2Aに送信される。従って、セルフ検眼における回答方法等を被検者が把握できていない場合等であっても、セルフ検眼の進行が適切に補助される。また、本実施例では、間接補助の実行中であっても、前述したS7(図2参照)と同様に、検者は、視標を視認した結果の回答を自ら入力することも可能である。よって、被検者は、検者からアドバイスを受けて回答方法を把握した場合等には、回答を自ら入力して検眼手順を進行させることも可能である。ただし、間接補助の実行中には、第1情報処理装置2Aおよび第2情報処理装置2Bの一方が回答を受け付けてもよい。
【0107】
被検者の回答が、第1情報処理装置2Aおよび第2情報処理装置2Bのいずれにも入力されていない場合には(S27:NO)、処理はそのままS38へ移行する。被検者の回答が、第1情報処理装置2Aまたは第2情報処理装置2Bに入力されると(S27:YES)、S8(図2参照)と同様に、入力された回答と、被検眼の光学特定の測定値が、記憶装置22Aに記憶される(S28)。次いで、CPU21Aは、S3(図2参照)で設定された進行手順と、その時点における進行状況に従って、自覚式検眼装置1に対して次に実行させる視標の呈示動作を決定し、決定した呈示動作を実行させるための呈示指示信号(駆動信号)を、自覚式検眼装置1に出力する(S29)。つまり、セルフ検眼プログラムによって実行される、進行手順に沿ったセルフ検眼が、以後も継続される。その後、処理はS38へ移行する。
【0108】
また、間接補助でなく手動補助の実行中であれば(S26:YES)、CPU21Aは、進行手順の少なくとも一部を検者が手動で進行させるための動作指示が、検者によって入力されたか否かを判断する(S31)。検者は、例えば、セルフ検眼補助画面(図3参照)の表示内容、または、被検者との間の会話に基づいて、自覚式検眼装置1に対する動作指示(つまり、矯正光学系11における光学素子の配置動作の指示、および、視標呈示部16における視標の呈示動作の指示の少なくともいずれか)を決定することができる。この場合、検者は、決定した動作指示を、操作部34B等を介して第2情報処理装置2Bに入力する。入力された動作指示は、ネットワーク5を介して第1情報処理装置2Aによって取得される。動作指示が入力および取得されると(S31:YES)、CPU21Aは、指示された動作を自覚式検眼装置1に実行させるための呈示指示信号(駆動信号)を、自覚式検眼装置1に送信する(S32)。
【0109】
次いで、CPU21Aは、セルフ検眼によってS8(図2参照)またはS28で記憶された矯正値の修正指示が入力されたか否かを判断する(S33)。検者は、セルフ検眼補助画面(図3参照)に表示された矯正値(測定値)の修正が必要と判断した場合に、修正が必要な矯正値の修正指示を、操作部34B等を介して第2情報処理装置2Bに入力する。入力された修正指示は、ネットワーク5を介して第1情報処理装置2Aによって取得される。修正指示が入力および取得されると(S33:YES)、CPU21Aは、指示に応じて矯正値を修正する(S34)。
【0110】
次いで、CPU21Aは、進行手順の少なくとも一部(本実施形態では、複数のテストの少なくともいずれか)の省略指示が入力されたか否かを判断する(S35)。CPU21Aは、第2情報処理装置2Bおよびネットワーク5を介して省略指示を入力すると(S35:YES)、進行手順に含まれる複数のテストのうち、指示されたテストを、進行手順から省略する(S36)。その後、処理はS38へ移行する。
【0111】
次いで、CPU21Aは、被検者に対する一連の検眼が完了したか否かを判断する(S38)。例えば、CPU21Aは、進行手順に沿って実行されるセルフ検眼が完了した場合に、一連の検眼が完了したと判断してもよい。また、CPU21Aは、被検者に対する検眼を終了させる指示が入力された場合に、一連の検眼が完了したと判断してもよい。一連の検眼が完了した場合には(S38:YES)、処理は終了する。
【0112】
次いで、CPU21Aは、セルフ検眼の継続再開指示が入力されたか否かを判断する(S39)。継続再開指示とは、S3(図2参照)で設定された進行手順のうち、既に検眼が完了した手順の次の手順から、セルフ検眼を再開させる指示である。例えば、CPU21Aは、継続再開ボタン(図示せず)が被検者によって操作された場合等に、継続再開指示が入力されたと判断してもよい。第2情報処理装置2Bおよびネットワーク5を介して継続再開指示が入力されると(S39:YES)、CPU21Aは、セルフ検眼を再開させる再開手順を、進行手順のうち、既に検眼が完了した手順の次の手順に設定し(S40)、処理は検眼制御処理(図2参照)へ戻る。その後のS5~S9の処理では、S40で設定された再開手順からセルフ検眼が再開される。継続再開指示が入力されていない場合には(S39:NO)、処理はそのままS42へ移行する。
【0113】
次いで、CPU21Aは、セルフ検眼の指定再開指示が入力されたか否かを判断する(S42)。指定再開指示とは、S3(図2参照)で設定された進行手順のうち、検者によって指定された手順から、セルフ検眼を再開させる指示である。本実施形態では、検者は、セルフ検眼補助画面の進行手順表示欄52(図3参照)に表示された進行手順上で、セルフ検眼を再開させる再開手順を指定することで、指定再開指示を入力することができる。一例として、本実施例では、検者は、マウスまたはタッチパネル等を用いて、指定再開指示の入力を行う。なお、例えば、検眼フローを用いて、セルフ検眼を再開させる再開手順を指定するようにしてもよい(詳細は後述する)。なお、進行手順に沿って既に行われたセルフ検眼の結果を消去し、進行手順の最初からセルフ検眼をやり直すための指定再開指示ボタン(リセットボタン)が、セルフ検眼補助画面等に設けられていてもよい。第2情報処理装置2およびネットワーク5を介して指定再開指示が入力されると(S42:YES)、CPU21Aは、セルフ検眼を再開させる再開手順を、進行手順のうち、指定再開指示によって指定された手順に設定し(S43)、処理は検眼制御処理(図2参照)へ戻る。その後のS5~S9の処理では、S43で設定された再開手順からセルフ検眼が再開される。
【0114】
上記実施例で開示された技術は一例に過ぎない。従って、上記実施例で例示された技術を変更することも可能である。例えば、上記実施例で例示された技術の一部のみを実行することも可能である。一例として、上記実施例の自覚式検眼システム100は、セルフ検眼に問題が生じた場合に(S11:YES、またはS12:YES)、検者呼び出し処理(S21)、および、検者によるセルフ検眼の補助処理(S23~S43)を共に実行する。しかし、自覚式検眼システム100は、検者呼び出し処理、および、検者による補助処理の一方のみを実行してもよい。例えば、検者呼び出し処理によって検者が呼び出されるだけでも、セルフ検眼は適切に補助される。
【0115】
上記実施例では、第2情報処理装置2Bが第1情報処理装置2Aに接続された状態で、セルフ検眼が開始される。しかし、セルフ検眼の進行に問題が生じた後に(S11:YES、またはS12:YES)、第2情報処理装置2Bが第1情報処理装置2Aに接続されてもよい。
【0116】
本実施例のセルフ検眼補助処理(図4参照)は、遠隔地に配置された第2情報処理装置2Bに入力される指示に応じて実行される。しかし、セルフ検眼補助処理は、第1情報処理装置2Aに直接入力される指示(例えば、検者が操作部34Aを操作することで第1情報処理装置2Aに入力される指示等)に応じて実行されてもよい。つまり、自覚式検眼装置1が設置された場所にいる検者が、セルフ検眼を補助するための指示を入力してもよい。また、第1情報処理装置2Aおよび第2情報処理装置2Bのうちの両方が、セルフ検眼を補助するための指示の入力を受け付けてもよい。この場合、検者は、自覚式検眼装置1が設置された場所、および遠隔地のいずれでも、セルフ検眼を補助することが可能である。なお、セルフ検眼を補助するための指示が、第1情報処理装置2Aを介して入力される場合には、S21(図4参照)で検者を呼び出す処理は、第1情報処理装置2Aにおいて実行されてもよいし、第1情報処理装置2Aおよび第2情報処理装置2Bの両方において実行されてもよい。
【0117】
なお、図2のS5および図4のSS29において、進行手順に基づいて呈示指示信号を自覚式検眼装置1に出力する処理は、「セルフ検眼進行ステップ」の一例である。図2のS7および図4のS27で被検者からの回答を取得する処理は、「回答取得ステップ」の一例である。図2のS8および図4のS28で矯正値を記憶する処理は、「矯正値記憶ステップ」の一例である。図4に示すセルフ検眼補助処理は、「セルフ検眼補助ステップ」の一例である。図4のS31,S32で動作指示に応じて呈示指示信号を出力する処理は、「手動進行ステップ」の一例である。図4のS33,S34で矯正値を修正する処理は、「矯正値修正ステップ」の一例である。図4のS35,S36で進行手順を省略する処理は、「手順省略ステップ」の一例である。図4のS27で、検者によって入力される指示に応じて被検者の回答を取得する処理は、「代理回答取得ステップ」の一例である。図4のS39,S40でセルフ検眼を次の手順から再開させる処理は、「継続再開ステップ」の一例である。図4のS42,S43で、検者によって指定された手順からセルフ検眼を再開させる処理は、「指定再開ステップ」の一例である。図4のS33、S34でセルフ検眼を再開させる処理は、「セルフ検眼再開ステップ」の一例である。図4のS24で進行手順を表示させる処理は、「手順表示ステップ」の一例である。
【0118】
<検眼フローに基づくセルフ検眼補助>
以下、セルフ検眼補助画面(図3参照)を用いた補助動作を行う際の一例について説明する。初めに、セルフ検眼補助を行うための動作について説明する。例えば、ヘルプボタン56が、被検者によって操作されると、CPU21Aは、呼出実行指示の入力を受け付け、検者呼出動作を実行する。
【0119】
CPU21Aは、検者呼出動作として、例えば、検者を呼び出すための呼出表示を表示装置(例えば、表示部35Aと表示部35Bの少なくともいずれか)に表示するようにしてもよい。呼出表示の表示形態としては、例えば、検者を呼び出すためのメッセージ(例えば、HELP表示)、検者を呼び出すためのマーク等であってもよい。また、これらに限定されず、表示画面を点滅させたり、表示画面の背景を変化させる等、の種々の変容が可能である。
【0120】
この場合、呼出表示を表示するための表示装置としては、表示部35A、表示部35Bに限定されるものではなく、検眼装置本体を有する施設内に設置された据置型のディスプレイ(表示部35Aとは別のディスプレイ)であってもよいし、施設内のスタッフが保有するタブレット、スマートフォンのディスプレイ(表示部35Aとは別のディスプレイ)であってもよい。もちろん、遠隔地で用いられる表示部35Bとは別のディスプレイであっても、本実施例の適用は可能である。なお、表示装置としては、汎用のディスプレイではなく、検者によって操作される専用の検者用コントローラに設けられたディスプレイであってもよいことは言うまでもない。
【0121】
また、CPU21Aは、検者呼出動作として、例えば、検者を呼び出すための呼出音声を音声発生部を介して発生させるようにしてもよい。音声の形態としては、例えば、特定の検者の名前を呼び出す旨の音声であってもよいし、自覚式検眼装置本体に検者が移動する旨の音声であってもよい。また、これに限定されず、呼出実行指示に応じて、単なるビープ音が出力されてもよい。
【0122】
例えば、検者によって補助動作が行われる手順としては、例えば、検者により検者を呼び出すための報知動作が行われ、当該被検者に対する検眼補助を検者が実行可能な状態となると、検者は、検眼補助に対応する旨の応答スイッチを操作する。応答スイッチが押されると、CPU21Aは、検者呼出動作を終了する。例えば、応答スイッチとしては、図3のようにヘルプスイッチ56を兼用してもよく、ヘルプボタン56がタッチされたとき、検者による応答信号が入力されてもよい。もちろん、応答スイッチの形態としては、これに限定されず、物理的なスイッチが設けられてもよい。
【0123】
例えば、応答スイッチが操作されることで、検者が自覚式検眼装置1を操作できる状態となる。もちろん、呼出実行指示の入力を受け付けるとともに、検者が自覚式検眼装置1を操作できる状態とするようにしてもよい。
【0124】
なお、以下の説明においては、セルフ検眼補助を行うための操作部として、第2情報処理装置2Bと接続された操作部34Bが用いられる場合を例に挙げて説明する。もちろん、例えば、セルフ検眼補助を行うための操作部として、第1情報処理装置2Aと接続された操作部34Aが用いられるようにしてもよい。もちろん、操作部として用いる構成は、上記構成に限定されず、異なる操作部が用いられるようにしてもよい。
【0125】
例えば、応答スイッチが操作されることで、CPU21Aは、セルフ検眼補助画面(図3参照)を、セルフ検眼を補助する検者が使用する第2情報処理装置2Bの表示部35Bに表示させる。
【0126】
図3に示すように、例えば、本実施例では、進行手順表示欄52に、実行中のセルフ検眼に関して設定された進行手順の検眼フロー60が表示される。例えば、検眼フロー60は、複数の検査項目を検査の進行手順で配列したグラフィックを表示したものである。
【0127】
また、本実施例において、進行手順全体のうち、その時点で行われている手順(検査実施中の実施検査項目)が、識別可能な識別表示がされている。本実施例では、識別表示として、実施検査項目が矢印53および太枠によって、進行手順上で表示される。このような構成によって、現在、実施中の検査を容易に把握することができ、検査に関する検討(例えば、検査のやり直しの必要性、検査の手順を変更する必要性)を容易に行うことができる。
【0128】
本実施例において、表示された検査フロー60に対して、検者又は被検者である操作者によって所定の検査項目が選択されることで、CPU21Aは、所定の検査項目を選択する指示である選択指示入力を、操作者から受け付ける。次いで、CPU21Aは、受け付けた選択指示入力に基づいて、所定の検査項目に対応する検査を実行する。つまり、検査フロー60上における操作者の操作によって、操作者が所望する検査を実行することができる。
【0129】
図5は、検眼フローを表示した表示画面の一例を示す図である。図5を用いて、検眼フローを用いた、より詳細な動作について説明する。本実施例において、例えば、CPU21Aは、検眼フロー60として表示部35Bに表示する検査項目を、少なくとも検査実施中の実施検査項目を含んだ所定の検査項目に制限して表示するようにしてもよい。図5における検眼フロー60は、図3における検査項目(つまり、設定されている検査項目全体)を、実施検査項目61を含んだ所定の検査項目に制限して表示している。このような構成によって、例えば、セルフ検眼において実施する複数の検査項目について、検眼フローとして表示数が多い場合であって確認がしづらい状況であっても、現在の検査項目及びその他の検査項目について一定の範囲での検眼フローを確認しやすくなり、現在の検査状況が把握しやすくなる。
【0130】
なお、所定の検査項目に制限して表示を行う場合に、CPU21Aは、検眼フロー60として表示装置に表示する所定の検査項目として、実施検査項目の次に実施される検査項目と、実施検査項目の前に実施された検査項目と、の少なくともいずれかの検査項目をさらに含んだ所定の検査項目に制限して表示するようにしてもよい。例えば、図5では、検眼フロー60として、実施検査項目61の前に実施される検査項目62、実施検査項目61の次に実施される検査項目63、を表示部35Bに表示するように、検査項目が制限されている。このような構成によって、例えば、実施中の検査項目に加え、次(1つ後)に実施される検査項目が確認できることで、今後の検査を踏まえた検眼の検討(例えば、検査に係るの残り時間を想定した検討、セルフ検眼を行っている被検者について次の検査でも補助が必要となりそうかの検討、等)を容易に行うことができる。また、例えば、実施中の検査項目に加え、実施中の検査項目の前(1つ前)に実施された検査項目が確認できることで、過去の検査状況を踏まえた検眼の検討(現在の検査状況を考慮した過去の検眼のやり直しの検討、過去の検査進行状況に基づくセルフ検査の手順を変更の検討等)を容易に行うことができる。また、例えば、実施中の検査項目に加え、実施中の検査項目の前後の検査項目が確認できることで、現在、セルフ検眼に関する検査状況をより把握しやすくなり、検査に関するより詳細な検討を容易に行うことができる。
【0131】
例えば、検眼フロー60として表示部35Bに表示する検査項目を所定の検査項目に制限して表示している場合に、検者の操作によって、表示が制限されている他の検査項目(表示されていない検査項目)が表示されるようにしてもよい。一例として、例えば、検者が操作部34Bを操作して、スクロール操作(例えば、上下方向のスクロール操作)をすることによって、制限されている検査項目が表示部35Bに表示されるようにしてもよい。もちろん、表示が制限されている他の検査項目を表示する方法としては、上記構成に限定されず、種々の方法にて実施することができる。
【0132】
なお、本実施例において、呼出実行指示が入力された場合に、所定の検査項目に制限している表示を解除するようにしてもよい。例えば、CPU21Aは、所定の検査項目に制限して表示されている場合で、呼出実行指示が入力された場合に、検眼フロー60における検査項目の表示の制限を解除するようにしてもよい。つまり、例えば、CPU21Aは、図5における検眼フロー60の制限表示を解除して、図3に示す検眼フロー60(設定されている検査項目全体)の表示へと変更するようにしてもよい。このような構成によれば、例えば、検者を呼び出した際に、セルフ検眼において実施する複数の検査項目の全体の検眼フローが表示されるため、検者はセルフ検眼における検査状況をより容易に把握することが可能となる。これによって、セルフ検眼についての現在の状況をより把握しやすくなり、セルフ検眼の補助を容易に行うことができる。
【0133】
例えば、本実施例において、検眼フロー60上における操作は、セルフ検眼補助のための検者の呼出があるまで、制限されるようにしてもよい。例えば、CPU21Aは、呼出実行指示の入力を受け付けつけるまで、操作部34Bからの入力を制限するようにしてもよい。もちろん、操作部34Aからの入力を制限するようにしてもよい。
【0134】
例えば、CPU21Aは、操作者である検者を呼び出す呼出動作を実行するための指示である呼出実行指示の入力を受け付け、 呼出実行指示を受け付けた場合に、呼出実行指示に基づいて呼出動作を実行するようにしてもよい。また、例えば、CPU21Aは、呼出実行指示が入力されるまでは、自覚式検眼装置1を検者が操作するための操作部による選択指示入力を制限し、呼出実行指示が入力された場合に、操作部からの操作入力の制限を解除するようにしてもよい。このような構成によって、例えば、検者が用いる操作部からの選択操作等が制限されることで、検者が操作部に触れてしまい、セルフ検査での検査に干渉してしまうことを回避できる。
【0135】
例えば、呼出実行指示が入力された場合、操作部34Bからの操作入力の制限が解除されることで、操作部34Bの操作が有効となる。これによって、検者は、操作部34Bを操作して、被検者に対する検眼の補助を行うことが可能となる。そこで、例えば、検者は、検眼フロー60上での検査項目の選択を行った後、被検者の口頭での回答を検者用コントローラに入力したり、視標を変更したり、矯正値を変更することができる。
【0136】
なお、例えば、操作部34Bからの入力制限を行う場合、操作部34Bからの入力信号を遮断してもよいし、回答自体は受け付けてもセルフ検眼の進行に関与させない(無視する)ようにしてもよい。なお、操作部34Bの全ての操作が制限される必要は必ずしもなく、例えば、検者による補助を強制的に行うための強制補助の入力を受けるための入力部、被検者に対して音声、文字等により助言を行うための入力部、等は、呼出実行指示が入力されるよりも前段階においても、入力が制限される必要は必ずしもない。
【0137】
なお、CPU21Aは、呼出実行指示の入力を受け付けた場合、操作部34Bからの操作入力の制限を即座に解除させることで、検眼の補助を素早く行うことができる。ただし、これに限定されない。例えば、CPU21Aは、呼出実行指示の入力を受け付けた時点から所定時間経過後に、操作部34Bからの操作入力の制限を解除させてもよい。また、CPU21Aは、例えば、検眼補助に対応する旨の応答が検者からあった場合、操作部34Bからの操作入力の制限を解除させてもよい。
【0138】
例えば、検者は、表示部35Bの表示画面に表示された検査フロー60を確認しながら、所望の検査項目を操作部35Bによって選択することで、検眼補助を行う検査項目を容易に選択できる。これにより、検者は、選択された検査項目での検査を行うことが可能となる。
【0139】
例えば、所定の検査項目が選択された場合、選択された検査項目について検査を開始するための設定が行われる。例えば、CPU21Aは、選択された検査項目に対応付けされた、視標呈示部16による視標の設定と矯正光学系11による矯正値の設定との少なくともいずれかの設定を行う。
【0140】
図5において、例えば、検者によって操作部35Bが操作され、実施検査項目61の検査項目でクロスシリンダ―テスト(C)が選択されると、CPU21Aは、クロスシリンダ―テスト(C)を開始させる。例えば、選択された検査項目について検査を開始する場合に、検査を開始する際の開始状態の設定として、CPU21Aは、選択指示入力を受け付けた時点での検査状態となるように視標呈示部16と矯正光学系11の少なくともいずれかを制御してもよい。この場合、例えば、呼出実行指示が入力された時点での検査状態(例えば、矯正値及び視標)が維持され、CPU21Aは、維持された検査状態を初期状態として検査を開始するようにしてもよい。
【0141】
なお、例えば、検査開始状態は上記の構成に限定されず、種々の設定を行うことができる。例えば、CPU21Aは、選択指示入力を受け付けた時点での検査項目における初期状態(初期値を設定した状態)となるように視標呈示部16と矯正光学系11の少なくともいずれかを制御してもよい。この場合、例えば、選択指示入力を受け付けた時点での検査項目における検査開始時の視標を視標呈示部16に呈示させてもよいし、選択指示入力を受け付けた時点での検査項目における検査開始時の矯正値を矯正光学系11に設定させてもよい。これにより、例えば、選択指示入力を受け付けた時点での検査の初期状態からの検査を行うことができるので、選択指示入力を受け付けた時点での検査が不適切に行われたような場合において、検査を一旦リセットすることができ、検査開始時点から検査を行えることで、結果的に、当該検査をスムーズに行うことができる。
【0142】
また、例えば、CPU21Aは、デフォルト状態(例えば、矯正量ゼロの状態等)となるように、視標呈示部16と矯正光学系11の少なくともいずれかを制御してもよい。
【0143】
例えば、検者の補助によるクロスシリンダ―テスト(C)完了した後、セルフ検眼を再開させるようにしてもよい。この場合、例えば、検者は、クロスシリンダ―テスト(C)の検査を完了した後、検眼フロー60に対して、検者によって操作部35Bが操作され、セルフ検眼を再開させる検査項目を選択する。つまり、検者によって、選択された検査項目からセルフ検眼が再開される。
【0144】
例えば、クロスシリンダ―テスト(C)完了した後、検者によって操作部35Bが操作され、検査項目63のR/Gテストが選択されると、CPU21Aは、R/Gテストを開始させ、その後、進行手順の通りに、セルフ検眼を実行していく。なお、例えば、検者によって操作部35Bが操作され、検査項目62のクロスシリンダ―テスト(A)が選択された場合には、CPU21Aは、クロスシリンダ―テスト(A)を開始させ、その後、進行手順の通りに、セルフ検眼を実行していく。
【0145】
以上のように、例えば、本実施例における自覚式検眼システムは、被検眼に呈示される視標光束の光学特性を変化させる矯正光学系と、被検眼に視標を呈示する視標呈示部を有し、被検眼の光学特性を自覚的に測定するために使用される自覚式検眼装置と、自覚式検眼装置に接続される第1情報処理装置と、を備える。また、例えば、第1情報処理装置は、被検者によって入力された回答に基づいて検眼を自動的に進行させるセルフ検眼プログラムを有する。例えば、セルフ検眼プログラムは、少なくとも、自動的に進行されるセルフ検眼の進行手順に基づいて、複数の検査項目を実行するために、矯正光学系と視標呈示部とを制御するセルフ検眼進行ステップと、セルフ検眼の進行に問題が生じた場合に、セルフ検眼の進行を補助するための補助動作を実行するセルフ検眼補助ステップと、を実行する。また、例えば、セルフ検眼補助ステップは、複数の検査項目を検査の進行手順で配列した検査フローを表示装置に表示する表示制御ステップと、表示装置に表示された検査フローに対して、所定の検査項目を選択する指示である選択指示入力を、操作者から受け付ける選択受付ステップと、 受け付けられた前記選択指示入力に基づいて、所定の検査項目に対応する検査を実行する選択実行ステップと、を含む。このような構成によって、例えば、表示装置によって表示された検眼フローを確認することで、進行手順や進捗状況等のセルフ検眼の状況を把握して、操作者が補助したい検査項目を選択することができる。このため、例えば、操作者は、進行手順の詳細および進捗状況等のセルフ検眼の状況を、表示された検眼フローによって適切に把握した状態で、補助すべき検査項目を選択でき、補助が必要となる検査の開始を容易に行うことができる。また、例えば、セルフ検眼時において、操作者が被検者の傍に常時滞在し、セルフ検眼の状況を把握していない状態であった場合においても、補助が必要となる検査の開始を容易に行うことができる。
【0146】
また、例えば、選択実行ステップは、検眼フローに対する、選択指示入力に基づいて、選択された所定の検査項目に対応する検査からセルフ検眼を再開させるようにしてもよい。このような構成によって、表示装置によって表示された検眼フローを確認しながら、セルフ検眼を再開させる検査項目の指示を行うことができる。このため、操作者は、進行手順の詳細および進捗状況等を、表示された検眼フローによって適切に把握した状態で、セルフ検眼を再開させる検査工程を指定することができる。
【0147】
また、例えば、セルフ検眼補助ステップが、第1情報処理装置に対してネットワークを介して接続された他の情報処理装置である第2情報処理装置に入力される指示に応じて実行されるようにしてもよい。このような構成によって、被検者の場所とは異なる遠隔地に検者がいる場合でも、検者は、第2情報処理装置に指示を入力することで、被検者によるセルフ検眼を遠隔地から適切に補助することができる。
【0148】
なお、本実施例において、検眼フロー60における複数の検査項目と進行手順との少なくともいずれかを変更するようにしてもよい。この場合、例えば、検者によって、操作部35Bが操作され、複数の検査項目と進行手順の少なくともいずれかが変更される。例えば、CPU21Aは、検者によって変更された複数の検査項目と進行手順の少なくともいずれかに基づいて検眼フロー60の表示を変更する。例えば、このような構成によって、適宜、進行手順を変更できるとともに、進行手順の変更に対応した検眼フローを表示することが可能となるため、検者の考えを考慮したセルフ検眼が可能となる。また、例えば、被検者に応じたセルフ検眼が可能となり、検眼を円滑に進行させることが可能になる。
【0149】
なお、上記説明においては、呼出実行指示として、検者を呼び出す呼出動作を実行するものとしたが、操作者を呼び出す呼出動作であればよい。操作者としては、例えば、自覚検査を行う検者の他、検査を行わないスタッフ、被検者の付添い等も含まれる。スタッフ、付き添いに対する呼出が行われる場合であっても、検眼の補助が必要である旨が報知されるので、自覚検査を行うことができる検者を、当該スタッフ等を介して呼び出すことができる。また、スタッフであっても、検眼装置本体と被検者との位置関係を調整する等の、一定の助言が期待できる。
【符号の説明】
【0150】
1 自覚式検眼装置
2A 第1情報処理装置
2B 第2情報処理装置
5 ネットワーク
10 眼屈折力測定ユニット
11 矯正光学系
15 視標呈示ユニット
16 視標呈示部
21A,21B CPU
22A,22B 記憶装置
60 検眼フロー
100 自覚式検眼システム
図1
図2
図3
図4
図5