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特開2022-89260進捗管理システム、進捗管理装置及び進捗管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089260
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】進捗管理システム、進捗管理装置及び進捗管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20220609BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201511
(22)【出願日】2020-12-04
(71)【出願人】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 ハル
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】作業遅延の発生に事前に備えること。
【解決手段】本システムは、部材置場を撮像する撮像手段と、前記部材置場の撮像結果から部材の減少を認識する画像認識手段と、前記部材の減少の認識結果に基づいて、当該部材に係る工程の進捗を管理する進捗管理手段と、前記進捗に基づいて、前記工程にかかる作業遅延の発生を推定する作業遅延推定手段と、前記作業遅延の推定結果に基づいて、前記部材と前記部材置場との関係を調整する部材置場調整手段と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部材置場を撮像する撮像手段と、
前記部材置場の撮像結果から部材の減少を認識する画像認識手段と、
前記部材の減少の認識結果に基づいて、当該部材に係る工程の進捗を管理する進捗管理手段と、
前記進捗に基づいて、前記工程にかかる作業遅延の発生を推定する作業遅延推定手段と、
前記作業遅延の推定結果に基づいて、前記部材と前記部材置場との関係を調整する部材置場調整手段と、
を備えたことを特徴とする進捗管理システム。
【請求項2】
作業遅延推定手段は、第1の工程の進捗が第2の工程の実行及び/又は準備に影響する場合に、前記作業遅延が発生すると推定することを特徴とする請求項1に記載の進捗管理システム。
【請求項3】
前記部材置場調整手段は、前記作業遅延の発生が推定された場合に、前記第1の工程に係る部材の置き替えと、前記第2の工程に事前に割り当てられていた部材置場の変更とを比較し、負担の少ない方を選択することを特徴とする請求項2に記載の進捗管理システム。
【請求項4】
前記部材置場調整手段は、前記部材の属性と前記部材置場の属性とが適合することを条件に、前記第1の工程に係る部材の置き替えと、前記第2の工程に事前に割り当てられていた部材置場の変更とを比較することを特徴とする請求項3に記載の進捗管理システム。
【請求項5】
前記部材置場調整手段は、前記第2の工程に係る部材について、所定の敷地への搬入日時の維持を優先しつつ、前記置き替えと前記変更とを比較することを特徴とする請求項3に記載の進捗管理システム。
【請求項6】
前記部材置場調整手段は、前記撮像手段により撮像される所定エリアに1又は複数の部材置場を配置することを特徴とする請求項1に記載の進捗管理システム。
【請求項7】
前記部材置場調整手段は、1の所定エリアに複数の部材置場を配置する際に、当該所定エリア内に前記部材の搬送用の動線を確保することを特徴とする請求項6に記載の進捗管理システム。
【請求項8】
部材置場の撮像結果から部材の減少を認識する画像認識手段と、
前記部材の減少の認識結果に基づいて、当該部材に係る工程の進捗を管理する進捗管理手段と、
前記進捗に基づいて、前記工程にかかる作業遅延の発生を推定する作業遅延推定手段と、
前記作業遅延の推定結果に基づいて、前記部材と前記部材置場との関係を調整する部材置場調整手段と、
を備えたことを特徴とする進捗管理装置。
【請求項9】
部材置場を撮像する撮像ステップと、
前記部材置場の撮像結果から部材の減少を認識する画像認識ステップと、
前記部材の減少の認識結果に基づいて、当該部材に係る工程の進捗を管理する進捗管理ステップと、
前記進捗に基づいて、前記工程にかかる作業遅延の発生を推定する作業遅延推定ステップと、
前記作業遅延の推定結果に基づいて、前記部材と前記部材置場との関係を調整する部材置場調整ステップと、
を含むことを特徴とする進捗管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、進捗管理システム、進捗管理装置及び進捗管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の異なる工程の干渉を回避するため、特開2014-81862号公報(特許文献1)に記載の技術がある。この公報には、「複数の工程作業の作業エリアの干渉を検出し、前記作業エリアの干渉の解消をサポートする作業エリア干渉調整システムであって、前記複数の工程作業の作業場所と作業内容と作業スケジュールとを含む工程計画情報を格納する工程計画情報処理装置と、前記工程計画情報に基づいて前記工程作業の作業エリアの形状情報を含む工程関連情報を生成するとともに、前記作業エリアの干渉を検出する作業エリア表示演算装置と、前記工程作業が実施される建屋のフロアの3次元データと、前記工程作業の対象製品の3次元データとを格納し、前記工程関連情報に基づいて前記作業エリアと前記建屋のフロアと前記対象製品を含むレイアウトデータを生成する3次元レイアウト情報処理装置と、前記レイアウトデータを表示するとともに、前記工程作業の作業エリアの干渉を解消するためのデータを入力する複数の端末装置とを備えることを特徴とする」という記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-81862
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、部材の容量などの情報と既に置かれている部材の置場利用期間情報に基づいた置場利用期間の適切な設定が可能である。しかし、工程の遅れが他の工程に波及して作業遅延が生じ、予定の変更が迫られた場合には、事後的に対応せざるを得ないという問題があった。
そこで、本発明では、作業遅延の発生に事前に備えることのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の代表的なものの一例を示すと、次の通りである。
本システムは、部材置場を撮像する撮像手段と、前記部材置場の撮像結果から部材の減少を認識する画像認識手段と、前記部材の減少の認識結果に基づいて、当該部材に係る工程の進捗を管理する進捗管理手段と、前記進捗に基づいて、前記工程にかかる作業遅延の発生を推定する作業遅延推定手段と、前記作業遅延の推定結果に基づいて、前記部材と前記部材置場との関係を調整する部材置場調整手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、作業遅延の発生に事前に備えることができる。上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】システム構成の例
図2】サーバの例
図3】部材特徴情報のデータ構成の例
図4】進捗管理情報のデータ構成の例
図5】工程計画情報のデータ構成の例
図6】作業現場と部材置きエリアの位置の例
図7】部材情報入力フォーマットの例
図8】部材特徴情報の例
図9】工程と置場利用スケジュールの例
図10】映像認識結果の例
図11】置場候補情報の例
図12】置場候補表示の例
図13】作業工程作成・変更の全体フローの例
図14】カメラ設置などのフローの例
図15】カメラ映像格納フローの例
図16】カメラ映像格納フローの例
図17】部材置場調整フローの例
【発明を実施するための形態】
【0008】
[概要]
まず、本発明の概要について説明する。
昨今、発電業界では稼働率向上に向けて発電を停止する時間長を短縮する活動が広く行われている。特に、定期検査や各種工事によって、発電所は定期的に停止することになるが、その停止期間を短縮することが大きな命題である。一方で、従来は、ベテラン作業員が多く存在し、計画通りに作業が完了することが想定されたが、昨今は、ベテラン作業員の大量退職や人口減少により、作業スキルの低下が見込まれる。そのため、今までは、ベテラン作業員の暗黙知の経験により、作業変更があったとしてもそのスキルによって遅延を避けることができていたところを補填することができなくなっていくと予想され、発電所停止期間の短縮どころか、長期化が予想される。
【0009】
具体的には、メンテナンス作業が行われる現場、例えば、原子力発電所内のような現場では複数の(委託)業者が敷地に参入し、作業を行う。
その際、個々の委託業者の作業進捗によっては他の委託業者の作業工程に影響を及ぼすことがある。例えば、作業準備を行う際、作業準備を行うために必要なフロア内のエリアに部材を置こうとしたが、当該エリアには無関係の物品が置かれていて作業準備ができず、同委託業者の作業も遅延する、といった遅延連鎖の事態が発生している。
【0010】
また、作業は、それぞれ独立で行われる場合と作業と作業が連動して行われる、つまり、或る作業が完了した時点で次の作業が行える、といった場合もある。
この場合、或る作業が遅延すると、そこに紐づく全ての作業が遅延することになる。また、委託業者は、発注元には作業進捗を申告するが、発注元が作業進捗、特に日々の進捗を委託業者横断で共有できていない。時には、部材の置き場所等で委託業者間での問題が発生した時に初めて調整するため、作業が遅延する。置き場所を探しても見つからない場合、少しでも作業を進めるためにモノ置き禁止区域に置いてしまい、安全に関わる問題に結びついてしまう可能性もある。
【0011】
上記を解決するために、例えば、作業進捗情報を一元化し、管理者が一覧可能にする必要がある。また、委託業者が相互に作業を見ずとも作業進捗を認識でき、その結果からそれぞれの作業への影響を推測することを可能にする必要がある。さらには、現状はパトロール隊が作業現場を見回ることで部材の置場チェックを行っているが人工がかかるため頻度高く確認ができないため、自動で確認できる必要がある。
【0012】
しかしながら、従来の技術は、部材置場のスケジューリング方法、作業中に部材を搬入する時間を組み込む方法、計画と実態との差分のみを算出する方法等に留まる。
それらに対して本発明は、計画された複数の作業工程それぞれが、時々刻々と進捗しているプロセスを認識し、作業が実施されている間に次の作業が計画通り行われる可能性を推定することを可能にする。
さらに、計画値と進捗に或る一定の乖離が見られた際には、当該乖離を縮小するために、部材の仕様、作業場と部材置場候補との距離から最適な部材の置場を抽出し、作業の遅延短縮を可能にする。
また、構内にある大型装置が適切な置場にあるかを、全ての置場にカメラを置き、置場範囲にある装置を認識することで、確認することを可能にする。
このような効果は、発電業界に限らず、建築関係等、複数の工程の進捗に相関関係が生ずる場合に本発明を適用することで得ることができる。
【実施例0013】
[システム構成]
本発明の一実施例になる作業進捗管理システムは、図1に示すように、各種データを制御、管理するサーバ01100と、各種データを送受信するためのネットワーク01200と、データ入力用PC01300、データ収集用PC01400、データ表示用PC10500、各現場に設置するカメラ01601、01602、01603、を備える。
【0014】
前記サーバは、図2に示すように、データを制御する手段として、現場作業進捗管理機能01101、作業遅延推定機能01102、部材置場調整機能01103、画像認識機能01104を有しており、データ格納領域であるデータベースには、工程計画情報01111、進捗管理情報01112、作業遅延推定情報01113、置場候補情報01114、部材特徴情報01115、映像情報01116、といったデータ格納領域がある。
【0015】
部材特徴情報01115は、図3に示すように、部材の種類データ01115-1、部材の搬送方法記述データ01115-2を含む。
進捗管理情報01112は、図4に示すように、各工程進捗データ01112-1、工程単位部材置場位置データ01112-2を含む。
工程計画情報01111は、図5に示すように、全体工程データ01111-1、各部署の工程データ01111-2、部材置場データ0111103を含む。
【0016】
本発明の対象領域は、作業現場であり、図6に示すように、作業現場06003上に部材設置エリア06002が設定されている。当該部材設置エリアの上に同エリア内での部材状態を認識することを目的として、各エリア設置カメラ01301が置かれている。
これらのシステムの利用者は、例えば作業現場を管理する管理者である。管理者は、本システムを利用して全ての工程を統合管理し、各工程を担当者する業者に委託して実際の作業を行わせることになる。
【0017】
本発明では、作業管理者が入力した部材置場計画情報を参照しながら、当該カメラで撮像され、認識される部材置場における部材の減少傾向等から、工程進捗を推定し、当該推定結果によって複数の工程に作業遅延の可能性があるとシステムが判断した場合、部材置場の変更を迅速に行うことによって工程変更による遅延を短縮することが可能になる。
【0018】
ここで、作業遅延とは、作業自体の遅延と、部材の輻輳を含む。
例えば、第1の工程の終了後に第2の工程を開始する予定である場合に、第1の工程の遅れにより第2の工程の開始が遅れたり、第1の工程と第2の工程を並行して実行せざるを得なくなるなど、工程の作業が他の工程の作業に波及することをいう。
部材の輻輳とは、例えば、第1の工程の終了後に第2の工程を開始する予定である場合に、第1の工程の遅れにより、部材の置場が予定通りに空かず、他の部材を置くスペースがなくなって部材置場の変更を余儀なくされることをいう。
部材の輻輳は、工程の作業自体に関連性が低い場合であっても、同一の作業置場を使用する工程であれば、発生しうる。
なお、本実施例において部材とは、作業により加工される材料、消費される消耗品などに限らず、作業に使用する機材などをも含むものである。
【0019】
本システムにおいて、例えば、サーバ01100、データ収集用PC01400、及びカメラ01601、01602、01603は本作業を統括する事業者、或いは本サービスの提供者が管理し、PC01300とPC01500は、利用者すなわち作業を管理する当事者が使用する。
【0020】
サーバ01100は、PC01300、01400、01500を端末として、工程作成の処理、同工程を変更する場合の変更処理、工程変更に伴った作業説明データの選択・付与処理を実行する。具体的には、サーバ01100は、プロセッサ、メモリ及び記憶装置(磁気ディスク等)を備え、プロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行することによって、現場作業進捗管理機能01101、作業遅延推定機能01102、部材置場調整機能01103、画像認識機能01104として動作する。
【0021】
画像認識機能01104は、カメラによる部材置場の撮像結果から部材の減少を認識する機能である。
現場作業進捗管理機能01101は、部材の減少の認識結果に基づいて、当該部材に係る工程の進捗を管理する機能である。
作業遅延推定機能01102は、進捗に基づいて、工程にかかる作業遅延の発生を推定する。具体的には、作業遅延推定機能01102は、第1の工程の進捗が第2の工程の実行及び/又は準備に影響する場合に、作業遅延が発生すると推定する機能である。
【0022】
部材置場調整機能01103は、作業遅延の推定結果に基づいて、部材と部材置場との関係を調整する機能である。部材置場調整機能01103は、部材の設置状況から作業遅延の発生が推定された場合に、第1の工程に係る部材の置き替えと、第2の工程に事前に割り当てられていた部材置場の変更とを比較し、負担の少ない方を選択する。
このとき、部材置場調整機能01103は、部材の属性と部材置場の属性とが適合することを条件とする。部材の属性とは、例えば、重量、寸法材質が当該置場に適切であるか否かなどである。部材置場の属性は、広さ、天井高、何階であるか、保管可能な材質などである。
【0023】
さらに、部材置場調整機能01103は、第2の工程に係る部材について、所定の敷地への搬入日時の維持を優先しつつ、置き替えと前記変更とを比較する。敷地の外部からの搬入には事前に申請をするなどの処理が必要など敷地内部での部材の置き換えよりも負担が大きくなるためである。
【0024】
なお、部材置場調整機能01103は、カメラにより撮像される所定エリアに1又は複数の部材置場を配置することができる。1の所定エリアに複数の部材置場を配置する際には、部材置場調整機能01103は、当該所定エリア内に部材の搬送用の動線を確保する。
【0025】
[動作説明]
本発明の現作業進捗管理システムの動作について、以下、図面を参照しながら説明する。
【0026】
本システムを起動すると、現場作業進捗管理機能01101が起動し、以下のプロセスを実行する。データ入力用PC01300を起動すると、01101を構成するサブ機能であるデータ入力手段01101-1が起動し、図7に示すような部材情報入力フォーマットが表示される。管理者或いは管理者からの委託者は、当該フィーマットに必要な情報を入力する。
【0027】
このフォーマットは、部材置場毎に作成される。70001-1のシートには、部材の属性の入力を受け付けるための領域が設けられている。部材の属性には、部材名、各部材の全重量、手運び、台車利用、クレーン利用、フォークリフト利用といった運搬方法、部材単位別重量、運搬に必要な人工、スケジュール上の部材量の減少予定量、減少しない部材については、同部材の利用回数、例えば、部材置場から持ち去り、戻す回数が含まれる。
【0028】
各部材名を入力し、部材情報確定ボタンを押下すると、部材置場調整機能01103は、各部材の置場領域アイコン70001-5を生成し、エリアへの部材置場記入フォーマット70001-2に配置する。置場領域アイコン70001-5は、表示領域が伸縮するボタンとなっており、伸縮により部材置場の大きさを指定することができる。部材が複数ある場合には、前述の入力プロセスを部材毎に行う。すべての部材情報を70001-1に入力後、70001-2のシートにおいて、生成された部材ボタン70001-3を伸縮させ、当該エリア中に対する部材の置場所を位置データとして入力する。実行ボタン70001-4が押下されると、部材情報、部材置き場所位置情報入力が終了となる。入力された上記各種データは、図8に示すような部材情報データテーブルに部材特徴情報として格納される。
【0029】
図9は、工程と置場利用のスケジュールの例である。同図では、「1-A」を作業場所として工程aを行った後、「1-A」を作業場所として工程bの作業を行うことが示されている。また、「1-A」を部材置場として工程aの部材を置き、その後、「1-A」を部材置場として工程bの部材を置くことが示されている。
【0030】
図10は、各部材置場における各部材の挙動を認識した結果である。同認識は、画像認識機能01104によって行われる。まず、各カメラ01601にて撮像された部材置場の映像は、データ収集用PC01400を介してサーバ01100のデータベースに映像情報01116として格納されている。また、図8に示す部材情報データテーブルに、部材に関する情報が格納されている。画像認識機能01104は、これらを照合することで、各カメラが撮像した部材、減少量、利用回数、減少率を特定し、進捗管理情報として格納する。
【0031】
作業遅延推定機能01102は、図8で設定した各部材の置場所にある部材とその容量と図10の同領域にある部材の容量減少率、及び利用タイミングと同タイミングにおける減少量のデータから、現在行われている工程である「1-A」の「工程a」と後工程「1-A」の「工程b」との工事期間重複の可能性を推定する。例えば、計画された減少量と現場の減少量との相関が低く、かつ工程aの減少率の方が計画値よりも低い場合は、工事期間重複の可能性が高いと判断し、作業遅延推定情報として格納する。
【0032】
作業遅延の可能性が高いと判断された場合、部材置場調整機能01103が部材置場の調整を行う。ここで、部材置場をどのように調整するかについて、現工程、例えば工程aにて利用している部材を移動するケースと、次の工程である工程bにて利用する予定の部材を別の部材置場に移動するケースが考えられる。部材置場調整機能01103は、図8のデータテーブルと図11の置場候補情報01114とを用いて、置場利用を決定する。置場候補情報には、部材置場と作業場所との距離を示すデータと、各部材の置場毎の制約情報(部材置場の属性)が記述されている。例えば、防火のための可燃物の設置不可や機器が近辺で稼働している場合に設置不可等の情報が記述されている。当該情報、特に機器の稼働・不稼働の情報は、常に更新され、この稼働・不稼働のデータから当該置場が各部材にとって置場候補となるかの判断が為される。
【0033】
部材置場調整機能01103は、置場候補の選択に際し、例えば、工程aの部材を移動させる場合、置場Aに現在全ての部材が設置されているとすると、まず置場候補情報中の置場A以外の置場を対象として、現在の作業場所と置場との距離や通行困難度から、部材の運搬の負担を評価した運搬評価値を求め、置場候補情報の優先順位を設定する。ここで、例えば、置場Bが優先順位第一位となった場合、置場Bに置くことになる部材群中に設置不可の部材の有無を確認する。当該部材群に部材2が含まれていない場合は、置場Bに部材を移動することになる。
【0034】
一方で、工程bが置場を変更する場合、例えば、搬入口と置場との運搬距離や通路等による通行困難度から運搬評価値を求め、運搬評価値が最も小さい置場の優先順位第一位とおく。例えば、置場Cの優先順位が第一位であったとすると、さらに部材毎の各置場への設置可否を確認し、部材3が当該部材群中に存在しなければ、置場Cに部材を移動することになる。
【0035】
なお、通行困難度は、部材の属性と、通路の属性との関係で定めるものであり、通路の属性は幅や天井高等を含む。例えば、置場までの運搬において、通路が狭い、嵩がある部材であるために周辺機器を回避しながら運搬する必要がある、などの場合には、通行困難度が大きくなるよう、その度合いを設定しておく。
【0036】
部材置場調整機能01103は、次に、工程aの部材移動候補置場第一位と工程bの部材移動候補置場第一位を比較し、工程bの置場候補第一位の運搬評価値が、工程aの置場候補第一位の運搬評価値よりも小さい場合は、工程aの置場を候補置場に移動し、工程bは当初の予定通りの置場に部材を設置する。
【0037】
また、部材毎に設置場所を設定する場合には、上記のような工程a、工程bといった単位ではなく、部材毎に置場候補情報と部材別置場制約情報から置場所を設定する。
【0038】
上記のように移動すべき置場が設定され、データ表示用PC01500を起動すると、図12に示すような部材移動経路等が表示される。当該表示では、左側の部材選択領域で、例えば、「全表示」を選択すると、部材全種類の移動経路が表示される。また個別の部材を選択すると、各部材の移動経路、運搬に必要な人員数、台車、フォークリフト、手持ち、といった運搬手段が表示される。
【0039】
図13は、作業工程作成・変更の全体フローの例である。まず、部材置場として用いることのできる各エリアに映像情報を取得するためのカメラが設置される(12100)。各エリアのカメラからサーバに、例えばネットワークを介して映像情報が送信される(12200)。
【0040】
画像認識機能01104は、既に登録されている各エリアの部材設置スケジュールを参照し、スケジュール上に記載されている各部材の置場所および画像特徴量と当該映像情報とのマッチングを行う(12300)。
【0041】
現場作業進捗管理機能01101は、現場作業進捗管理手段と工程計画情報、および上記マッチング結果を用いて、進捗を推定する(12400)。
作業遅延推定機能01102は、推定された進捗と工程計画情報、作業遅延推定手段を用いて、作業遅延の可能性を推定する(12500)。
部材置場調整機能01103は、作業遅延の可能性が高いと判断された場合、置場候補情報と部材置場調整手段、及び該当する部材の特徴量、例えば、運搬手段情報を用いて部材置場の調整情報を抽出する(12600)。そして、当該調整情報を工程管理者に提供し(12700)、処理を終了する。
【0042】
図14は、カメラ設置などのフローの例である。すなわち、図14は、図13の12100の詳細を示している。具体的には、タイムスタンプを付与可能かつ広角なカメラを準備し(12101)、各エリアに、例えば1台の360度カメラを設置し(12102)、設置したカメラによって常時録画し(12103)、12200に移行する。
【0043】
図15は、カメラ映像格納フローの例である。すなわち、図15は、図13の12200の詳細を示している。具体的には、まず、各エリアに設置されたカメラにて撮像された映像情報がネットワークを介してサーバに送信される(12201)。その後、サーバに送信された当該映像情報は、各エリア単位に映像情報に付与されているタイムスタンプ情報とともにデータベースに格納され(12202)、12300に移行する。
【0044】
図16は、カメラ映像格納フローの例である。すなわち、図16は、図13の12300、12400、12500の詳細を示している。具体的には、まず、現場作業進捗管理機能01101は、部材情報(搬入部材名・重量・容積・搬入方法情報など)の入力を受け付ける(12301)。さらに、現場作業進捗管理機能01101は、部材の工程上での使用情報(タイミング・期間)を受け付け(12302)、部材の置き場所の指定を受け付ける(12303)。そして、現場作業進捗管理機能01101は、減少する予定の部材について、タイミング毎の部材減少量の推定値を計算し、格納する(12304)。
【0045】
また、現場作業進捗管理機能01101は、搬入完了直後の撮像情報を基本データとして格納し(12311)、基本データと12303で指定された部材の置き場所を関連付けて(12312)、部材の嵩、持ち出し、戻しを画像認識する(12313)。
【0046】
作業遅延推定機能01102は、12304で得られた部材減少量の推定値と、12313で認識した部材の減少量とを比較する(12401)。
比較した結果、減少量の推定値と実値の差が、例えば2日分であったと推定される場合には、作業遅延推定機能01102は、作業遅延が発生すると推定し(12501)、12600に進む。なお、作業遅延が発生すると推定する前に、現場への確認によって作業遅延回避が可能であるかの確認ステップをさらに設けてもよい。
【0047】
図17は、部材置場調整フローの例である。すなわち、図17は、図13の12600の詳細を示している。具体的には、作業遅延推定機能01102は、作業遅延の可能性が高いと判断された場合、置場候補情報及び該当する部材の特徴量、例えば、運搬手段情報を用いて部材置場の調整情報を抽出する(12601)。
【0048】
次に、作業遅延推定機能01102は、作業遅延が発生すると推定された場合、先に置き場所を利用していた作業者の部材の移動(置き替え)と次に利用予定の作業者の部材の置き場所変更の工数をそれぞれ、個々の作業に用いる部材名・搬入方法と置場候補情報、作業位置情報、移動人工情報を用いて計算する(12602)。なお、置場候補情報は置場環境情報も包含しており、環境変化による各部材の設置可/不可を判断することができる。
作業遅延推定機能01102は、計算されたふたつの工数から工数が少ない変更を選択し(12603)、12700に進む。
【0049】
上述してきたように、本実施例に係るシステムは、部材置場を撮像する撮像手段(01601等)と、前記部材置場の撮像結果から部材の減少を認識する画像認識手段(01104)と、前記部材の減少の認識結果に基づいて、当該部材に係る工程の進捗を管理する進捗管理手段(01101)と、前記進捗に基づいて、前記工程にかかる作業遅延の発生を推定する作業遅延推定手段(01102)と、前記作業遅延の推定結果に基づいて、前記部材と前記部材置場との関係を調整する部材置場調整手段(01103)と、を備える。
【0050】
このため、開示のシステムは、複数の作業現場での作業進捗を映像認識による部材置場の状態遷移抽出によって確認でき、かつ抽出された当該状態遷移結果と作業計画との差分から部材置場の調整を自動で行うことを可能にする機能を提供することができる。さらに、各部材置場の状態遷移から、本来各置場に置いてあるべき部材の有無を抽出し、部材の正しい設置が行われているか否かを確認する機能をも提供する。具体的には、従来は、作業遅延が発生してから対処が開始されることが多く、作業遅延を招いていたが、作業遅延推定機能により、作業遅延が生じる前に予定変更が可能となり、作業遅延発生による遅延を極小化できる。従来は、作業遅延が発生した場合、遅延を最小限に抑えるための調整を行なうための人的コストが発生していたが、開示のシステムの機能により、これらのコストが削減されるため、作業遅延発生によって増大する人的コストを抑制することができる。
【0051】
具体的には、作業遅延推定手段は、第1の工程の進捗が第2の工程の実行及び/又は準備に影響する場合に、作業遅延が発生すると推定する。この作業遅延は、部材の置場に係る輻輳を含み、工程の作業自体に関連がなくとも、同一の置場に部材を置くことで生じる問題に対処することができる。
【0052】
また、部材置場調整手段は、作業遅延の発生が推定された場合に、第1の工程に係る部材の置き替えと、第2の工程に事前に割り当てられていた部材置場の変更とを比較し、負担の少ない方を選択する。
ここで、部材置場調整手段は、前記部材の属性と前記部材置場の属性とが適合することを条件に、前記第1の工程に係る部材の置き替えと、前記第2の工程に事前に割り当てられていた部材置場の変更とを比較する。
さらに、部材置場調整手段は、前記第2の工程に係る部材について、所定の敷地への搬入日時の維持を優先しつつ、前記置き替えと前記変更とを比較する。
このため、作業の詳細に精通していない利用者に対しても、どのように置場を変更すべきかを提示することができる。
【0053】
さらに、部材置場調整手段は、撮像手段により撮像される所定エリアに1又は複数の部材置場を配置する。
そして、部材置場調整手段は、1の所定エリアに複数の部材置場を配置する際に、当該所定エリア内に前記部材の搬送用の動線を確保する。
このため、開示のシステムは、広大な敷地に自由度の高い配置を行う現場に対応し、柔軟な対応を行うことができる。
【0054】
なお、上述の実施例は、本発明を限定するものではなく、本発明には様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例等は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、かかる構成の削除に限らず、構成の置き換えや追加も可能である。
【符号の説明】
【0055】
01110…サーバ(ホストコンピュータ)、01101…現場作業進捗管理機能、01102…作業遅延推定機能、01103…部材置場調整機能、01104…画像認識機能、01200…ネットワーク、01300…データ入力用PC、01400…データ収集用PC、01500…データ表示用PC、01601~01603…カメラ
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