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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089262
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】携帯型電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/02 20060101AFI20220609BHJP
   H04M 1/22 20060101ALI20220609BHJP
   H04M 1/23 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
H04M1/02 C
H04M1/22
H04M1/23 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201517
(22)【出願日】2020-12-04
(71)【出願人】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】植田 健一郎
【テーマコード(参考)】
5K023
【Fターム(参考)】
5K023AA07
5K023BB04
5K023GG04
5K023HH07
5K023HH08
5K023LL01
5K023QQ05
(57)【要約】
【課題】携帯型電子機器において、比重の重いゴム部品の使用量を少なくし樹脂化することで軽量化し、しかも、その樹脂化部がキー部分の導光板の機能も有するようにして部品点数の減及びコストダウンを図り、フローティングとコストダウンを両立する。
【解決手段】スイッチ素子10を押圧動作させるゴム製の操作キー部材6と、液晶パネル7と、そのバックライト用樹脂製の導光板8と、液晶パネル7、導光板8及びスイッチ素子10を搭載した基板9と、を備え、操作キー部材6は、スイッチ素子10を押圧動作させるキー作用部62を可動に保持するキー保持部63を有し、導光板8は、スイッチ素子10の有る位置まで延設され、キー保持部63を支持し得るように基板9に対して台座形状とされ、当該台座内を空洞構造87とした。
【選択図】図5


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内部を水密に構成した携帯型電子機器において、
筐体の操作窓に臨む操作部を有してスイッチ素子を押圧動作させるゴム製の操作キー部材と、
前記操作部に隣接して筐体の表示窓に臨む液晶パネルと、
前記液晶パネルのバックライト用樹脂製の導光板と、
筐体内部に固定され、前記液晶パネル、前記導光板及び前記スイッチ素子が搭載された制御回路基板(以下、基板という)と、を備え、
前記操作キー部材は、前記スイッチ素子を押圧動作させるキー作用部を可動に保持するキー保持部を有し、
前記導光板は、前記スイッチ素子の有る位置まで延設され、前記キー保持部を支持し得るように前記基板に対して台座形状とされ、当該台座内を空洞構造としたことを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項2】
前記操作キー部材のキー保持部は、前記キー作用部よりも当該操作キー部材の高さ方向において短く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯型電子機器。
【請求項3】
前記導光板の延設された台座形状は、前記キー保持部を保持する天板と、前記導光板を前記基板に保持させるための脚部とを有し、前記天板には前記キー作用部を挿通させるための筒状部が形成されており、
前記導光板は、前記台座形状の天板及び筒状部を介して前記操作キー部材のキー作用部に光を導光して前記操作部を照光することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯型電子機器。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中に落としても、水面に浮く携帯型電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の携帯型電子機器において、電子機器の筐体内部に空気層を形成したことによって、電子機器を水中に落としても浮力を付与するフローティング構造とした携帯型通信装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3718497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されるような携帯型電子機器にあって、空気層は単なる空間が設けられているだけであるので、携帯型電子機器を小型軽量化したいとの要請に十分に応えるものにはなっていない。この種の携帯型電子機器にあって、より一層の小型軽量化を図るべく、電子機器の操作キー部に着目すると、従来、表示部と操作部の構造は別々に構成されているが、部品点数削減のため操作キーをゴム製のキーだけで構成する場合、軽量化のため可能な限りゴム製のキーの肉厚を薄く(肉ヌスミ)するが、必要な機械強度確保のため構造的には限界があり、大幅な軽量化は困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、比重の重いゴム部品の使用量を少なくし樹脂化することで軽量化を図り、しかも、その樹脂化部がキー部分の導光板(表示部)の機能も有するようにして部品点数の削減及びコストダウンを図り、フローティングとコストダウンを両立し得る携帯型電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、筐体内部を水密に構成した携帯型電子機器において、
筐体の操作窓に臨む操作部を有してスイッチ素子を押圧動作させるゴム製の操作キー部材と、
前記操作部に隣接して筐体の表示窓に臨む液晶パネルと、
前記液晶パネルのバックライト用樹脂製の導光板と、
筐体内部に固定され、前記液晶パネル、前記導光板及び前記スイッチ素子が搭載された制御回路基板(以下、基板という)と、を備え、
前記操作キー部材は、前記スイッチ素子を押圧動作させるキー作用部を可動に保持するキー保持部を有し、
前記導光板は、前記スイッチ素子の有る位置まで延設され、前記キー保持部を支持し得るように前記基板に対して台座形状とされ、当該台座内を空洞構造としたことを特徴とする。
【0007】
上記携帯型電子機器において、前記操作キー部材のキー保持部は、前記キー作用部よりも当該操作キー部材の高さ方向において短く形成されていることが望ましい。
【0008】
上記携帯型電子機器において、前記導光板の延設された台座形状は、前記キー保持部を保持する天板と、前記導光板を前記基板に保持させるための脚部とを有し、前記天板には前記キー作用部を挿通させるための筒状部が形成されており、前記導光板は、前記台座形状の天板及び筒状部を介して前記操作キー部材のキー作用部に光を導光して前記操作部を照光するものとすることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、液晶パネルの導光板がスイッチ素子の有る位置まで延設され、台座形状として空洞構造を持たせたので、全体形状を大きくすることなく、浮力を付与するための空間を有効に形成でき、しかも、操作キー部材の厚みを薄くできフローティングのための軽量化を図ることができる。特に、この効果は、導光板が樹脂製で、操作キー部材が比重の重いゴム製の場合に顕著となる。また、液晶パネルの導光板の延設された部分で操作キー部材のキー保持部を支持することで、部品点数と組立工程を削減してコストダウンが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るハンディ無線機の前面図。
図2】同ハンディ無線機の外観斜視図。
図3】同ハンディ無線機の筐体に内蔵される各種部品が搭載された基板ブロックを示す斜視図。
図4図3において操作キー部材を導光板上に位置させた状態の斜視図。
図5】上記基板ブロックの断面図。
図6】(a)は操作キー部材を前面側から見た斜視図、(b)は操作キー部材を裏面側から見た斜視図。
図7】同ハンディ無線機の筐体に内蔵される液晶パネル及び導光板を前面側から見た斜視図。
図8】同ハンディ無線機の縦断面図。
図9】(a)は操作キー部材のキー作用部分の拡大断面図、(b)は本実施例を採用していない場合のキー作用部分の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
以下、本発明の携帯型電子機器の一実施形態に係るハンディ無線機について図面を参照して説明する。図1及び図2は、ハンディ無線機の外観構成を示している。これらの図において、ハンディ無線機1は、筐体内部を水密に構成され、かつ、水中に落としても水面に浮くように軽量化されている。ハンディ無線機1は、樹脂等で成形された筐体2が外装となり、筐体2は前面筐体21および背面筐体22から成り、これらはシール部材を挟んで篏合固定される。前面筐体21には、複数の操作キー窓3、これら操作キー窓3に隣接配置された表示窓4、スピーカ及びマイク部5等が設けられている。本明細書において、ハンディ無線機1の前面の操作キー窓3に対し表示窓4が配置されている方向を上方向と言う。
【0012】
操作キー窓3の各々には、操作キー部材6の複数の操作部61が臨み、露出する。表示窓4には、液晶パネル7が臨んで設けられる。複数の操作部61は、ユーザが液晶パネル7に表示された画面内のアイテムを選択し、カーソルをスクロールする等の操作指示を行うためのものである。なお、筐体2の上面にはアンテナ13が設けられ、背面筐体22の側面には、電源スイッチや、ハンディ無線機1の水没検知用電極11が設けられ、背面筐体22の背面にはバッテリパック収納蓋23が設けられている。水没検知用電極11は、ハンディ無線機1の水没時に水没を検知し、内蔵の検知回路が動作して液晶パネル7等を発光させるためのものである。
【0013】
(基板ブロック構成)
図3乃至図5は、筐体2に内蔵される各種部品が搭載された基板ブロックを示す。基板ブロックは、液晶パネル7と、液晶パネル7のバックライト用の導光板8と、導光板8を搭載した制御回路基板9(以下、基板という)とを備える。操作キー部材6は、図4では、導光板8の上に載置されたように表れているが、複数の操作部61が前面筐体21の各々の操作キー窓3に臨むように内面側から嵌め込まれる。操作キー部材6はゴム製で一体に形成されている。
【0014】
液晶パネル7は、その周辺が導光板8の枠体82に囲まれた状態で導光板8の上に搭載され、枠体82の周囲にはシールド兼固定用の金属パネル枠71が設けられている。液晶パネル7は、基板9に設けられたソケットにフレクシブルケーブル72により電気的に接続される。
【0015】
導光板8は、液晶パネル7を裏面側から照光する平面状のバックライト部81と、液晶パネル7の周辺を囲む枠体82と、基板9上のスイッチ素子10の有る位置まで延設された延出部83とを有している。枠体82は、バックライト部81の裏面に空間(空洞)を形成し、この空間は基板9上に搭載された部品との干渉をなくしている。導光板8は、樹脂製で透明樹脂にて一体形成されている。延出部83は、操作キー部材6を支持し得るように基板9に対して台座形状とされ、台座内を空洞構造87としている。
【0016】
基板9には、電子機器の制御回路のほか、操作キー部材6により押圧動作される複数のスイッチ素子10、導光板8に光を入射させる発光素子としてのLED12、水没検知用電極11と接触される受け端子等が搭載されている。各種部品が搭載された状態の基板9は、前面筐体21の内側に固定される。LED12は、導光板8の枠体82の下側端面に対向して設けられ、LED12による発光を導光板8に入射させる。導光板8に入射された光は、バックライト部81や延出部83に導光される。
【0017】
(実施形態による作用効果)
上記構成のハンディ無線機1においては、液晶パネル7の導光板8が、スイッチ素子10の有る位置まで延設され、台座形状として空洞構造87を形成している。このため、無線機の全体形状を大きくすることなく、浮力を付与するための空間を有効に形成できる。さらには、導光板8の台座形状の上に操作キー部材6のキー保持部63を支持させるので、キー保持部63の厚みを薄くでき、フローティングのための軽量化を図ることができる。この効果は、導光板8が樹脂製で、操作キー部材6が比重の重いゴム製の場合に顕著である。
【0018】
また、導光板8の一体化して延設された延出部83でもって操作キー部材6のキー保持部63を支持するので、部品点数と組立工程を削減でき、コストダウンを図ることができる。また、導光板8の延設された台座形状の部分が、操作キー部材6の保持と操作キー部材6への導光板の機能を持つので、操作キー部材6の操作部61の照光に、液晶パネル7のLED12を共用でき、その数量削減によりコストダウンを図れる。
【0019】
(操作キー部材の実施例構成)
操作キー部材6の実施例構成を説明する。図6(a)(b)はそれぞれ操作キー部材6の前面側及び裏面側から見た図である。操作キー部材6は、透光性を有するゴム材により全体が一体形成され、前面側に、複数の操作部61と枠部65とを有し、裏面側に、複数のキー作用部62と、キー保持部63と、キー撓み部64とを有している。操作キー部材6の前面側は筐体2の色と同等の色に着色され、操作部61のキー表示部分は照光可能とされている。枠部65は、前面筐体21の内壁面に設けられた周溝内に水密に篏合される。
【0020】
操作キー部材6のキー作用部62は、操作部61に対応して設けられ、スイッチ素子10を押圧動作させる凸部である。キー保持部63は、導光板8の延出部83の台座上に当接して操作キー部材6を支持しつつ、キー作用部62を可動に保持する。キー保持部63の厚み(高さ)は、基板9の上に支持させる場合に比べて延出部83の台座の高さ分だけ薄いものとすることができ、軽量化に寄与する。キー撓み部64は、キー作用部62の周縁にあって薄肉(肉ヌスミ)とされ、撓んでキー作用部62を可動にする。
【0021】
(導光板の実施例構成)
導光板8の実施例構成を説明する。図7は、液晶パネル7及び導光板8を前面側から見た図である。導光板8は、上述したように、バックライト部81と、液晶パネル7の周辺を囲む枠体82と、延設された延出部83とを有している。延出部83は、台座形状とされ、台座内を空洞構造87としており、キー保持部63を支持する天板84と、導光板8を基板9に保持させるための脚部85とを有する。天板84には、操作キー部材6の複数のキー作用部62を挿通させるための筒状部86が形成されている。また、導光板8は、枠体82に下方に延設した複数の係止爪88を有し、図3等に示したように、係止爪88を基板9に設けた切欠き91、スリット92に係合させることで固定される。
【0022】
上記構成により、導光板8は、台座形状の天板84及び筒状部86を介して操作キー部材6のキー作用部62に光を導光して操作部61を照光する。このため、操作キー部材6の操作部61の照光用に別途にLEDを必要としなくなる。また、導光板8は、キーを照光させるための樹脂パーツと液晶パネル7の導光板とを一体化したものであって、一体化した樹脂パーツ(導光板8の延出部83の台座形状)によりキーを嵩上げすることで、浮力を付与するための空気層を形成することとができる。
【0023】
(ハンディ無線機の実施例構成)
図8は、ハンディ無線機1の縦断面図である。筐体2内において、導光板8の延出部83は、操作キー部材6を嵩上げして支持し得るように基板9に対して台座形状とされ、台座内を空洞構造87として軽量化を図っている。この空洞構造87は、ハンディ無線機1の前面側に近い領域に設けられ、背面側の下方寄りに重量のあるバッテリパックを収納するパック収納部24が設けられている。
【0024】
上記のように構成されているため、ハンディ無線機1が水中落下したとしても、ハンディ無線機1は前面側を上に、しかも表示窓4のある方を上方にして水面上にフローティングする。このため、水中落下時に、水没検知用電極11により水没が検知されると、液晶パネル7等が発光し、水面上にハンディ無線機1を視認し易いものとなる。
【0025】
(作用効果の対比)
次に、本実施形態に係る構成の採用の有無による作用効果の相違を説明する。図9(a)は本実施形態による操作キー部材6のキー作用部分を示し、図9(b)は本実施形態を採用していない場合のキー作用部分を示す。図9(a)において、操作キー部材6のキー保持部63は、導光板8の台座形状部分があることで、操作キー部材6の高さ方向においてキー作用部62よりも短く形成されている。
【0026】
一方、図9(b)に示すように、導光板8の台座形状部分がない構成においては、キー保持部63は、基板9上に支持されるため、操作キー部材6の高さ方向において厚みのあるものとなる。このように、本実施形態によれば、操作キー部材6が嵩上げされ、全体として操作キー部材6の厚みを薄くすることができ、軽量化を図ることができる。
【0027】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 ハンディ無線機
10 スイッチ素子
11 水没検知用電極
12 LED
13 アンテナ
2 筐体
21 前面筐体
22 背面筐体
23 バッテリパック収納蓋
24 パック収納部
3 操作キー窓
4 表示窓
5 スピーカ及びマイク部
6 操作キー部材
61 操作部
62 キー作用部
63 キー保持部
64 キー撓み部
65 枠部
7 液晶パネル
71 金属パネル枠
72 フレクシブルケーブル
8 導光板
81 バックライト部
82 枠体
83 延出部
84 天板
85 脚部
86 筒状部
87 空洞構造
88 係止爪
9 制御回路基板
91 切欠き
92 スリット

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9