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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089265
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】飲食用フェイスシールド
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220609BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201529
(22)【出願日】2020-12-04
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】520478493
【氏名又は名称】株式会社HIRASAWA
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100206656
【弁理士】
【氏名又は名称】林 修身
(72)【発明者】
【氏名】平澤 浩一
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185CC32
2E185CC36
(57)【要約】
【課題】飲食中における飛沫の飛散を効果的に防止すること。
【解決手段】装着者の頭部に装着可能な装着部と該装着によって装着者の側頭位置から顔面前方位置に張り出す張出部とが形成された装着フレームと、張出部に取付け可能なフィルムであって、装着者の顔面のうち少なくとも口部の前方領域を覆うことが可能な所定形状とされたシールドフィルムと、を有し、シールドフィルムと装着者の口部との間に形成される空間にて飲食を行うことが可能な飲食用フェイスシールドの装着フレームに、張出部から導出されて装着者の鼻部に当接可能な鼻フレーム部を形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の頭部に装着可能な装着部と該装着部の装着によって装着者の側頭位置から顔面前方位置に張り出す張出部とが形成された装着フレームと、前記張出部に取付け可能なフィルムであって、装着者の顔面のうち少なくとも口部の前方領域を覆うことが可能な所定形状とされたシールドフィルムと、を有し、前記シールドフィルムと装着者の口部との間に形成される空間にて飲食を行うことが可能な飲食用フェイスシールドであって、
前記装着フレームは、前記張出部から導出されて装着者の鼻部に当接可能な鼻フレーム部を含む、
ことを特徴とする飲食用フェイスシールド。
【請求項2】
前記シールドフィルムは、前記張出部に装着可能な第1フィルムと、前記張出部と装着者の顔面との間に形成される空間の少なくとも一部を覆う第2フィルムと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の飲食用フェイスシールド。
【請求項3】
前記第2フィルムは、装着されたときに装着フレームから遠方なる特定辺に繋がる破断部を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の飲食用フェイスシールド。
【請求項4】
前記第1フィルムは、前記装着フレームに対して上下方向に移動自在に取付けられている、
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の飲食用フェイスシールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着しながら飲食を行うことが可能な飲食用フェイスシールドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フェイスシールドとして、透明の可撓性シールド部材の上端部に装着バンドが取付けられ、装着バンドを頭部周囲に装着することによって可撓性シールド部材が装着者Sの顔面全体を覆うようになるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、頭部に装着可能な本体フレームに回動可能に取付けられた透明シールド部材を、頭上方向に回動させることによって飲食を行うことが可能となるものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-287561号公報
【特許文献2】特開2015-205105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のフェイスシールドにあっては、可撓性シールド部材と顔面との距離が短く、装着しながら飲食することができないため、飲食を行うには、フェイスシールドをいちいち外す必要があり、飲食中における飛沫の飛散を防ぐことができない。そのため、装着しながら飲食を可能とするために、可撓性シールド部材と顔面との間の空間を広くするために可撓性シールド部材と顔面との距離を大きくすると、可撓性シールド部材と装着部との距離が大きくなることによるモーメント力の増大によって、装着バンドにねじれ等が生じて可撓性シールド部材の下端部が顔面に近づいてしまい、可撓性シールド部材と顔面との間に飲食が可能な良好な空間を形成することが難しいという問題がある。
【0006】
また、引用文献2のフェイスシールドにあっては、シールド部材を頭上方向に回動させて持ち上げることで、フェイスシールド装着しながら飲食を行うことが可能ではあるものの、特許文献1と同じく、シールド部材と顔面との距離が短いので、シールド部材を下ろした状態においては飲食することができない。そのため、シールド部材を下ろした状態において飲食を可能とするために、シールド部材と顔面との間の空間を広くするためにシールド部材と顔面との距離を大きくすると、シールド部材と装着部との距離が大きくなることによるモーメント力の増大によって、本体フレームにねじれ等が生じてシールド部材の下端部が顔面に近づいてしまい、シールド部材と顔面との間に飲食が可能な良好な空間を形成することが難しいという問題がある。
【0007】
つまり、引用文献1や引用文献2のフェイスシールドにあっては、装着状態やシールド部材を下ろした状態においては飲食することができないとともに、装着状態やシールド部材を下ろした状態において飲食を可能とする空間を形成することも困難であるので、飲食中における飛沫の飛散を効果的に防ぐことができないという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、飲食中における飛沫の飛散を効果的に防ぐことのできる飲食用フェイスシールドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の飲食用フェイスシールドは、
装着者の頭部に装着可能な装着部と該装着部の装着によって装着者の側頭位置から顔面前方位置に張り出す張出部とが形成された装着フレームと、前記張出部に取付け可能なフィルムであって、装着者の顔面のうち少なくとも口部の前方領域を覆うことが可能な所定形状とされたシールドフィルムと、を有し、前記シールドフィルムと装着者の口部との間に形成される空間にて飲食を行うことが可能な飲食用フェイスシールドであって、
前記装着フレームは、前記張出部から導出されて装着者の鼻部に当接可能な鼻フレーム部を含む、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、張出部と装着者の鼻とに跨がる鼻フレーム部を有することで、張出部の装着フレームが変形して装着者の口部とシールドフィルムとの間に形成される空間が狭くなってしまうことを防ぐことが可能となるため、フェイスシールドを装着した状態のままで飲食できるようになるので、飲食中における飛沫の飛散を効果的に防ぐことができる。
【0010】
本発明の請求項2に記載の飲食用フェイスシールドは、請求項1に記載の飲食用フェイスシールドであって、
前記シールドフィルムは、前記張出部に装着可能な第1フィルムと、前記張出部と装着者の顔面との間に形成される空間の少なくとも一部を覆う第2フィルムと、を含む、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、張出部と装着者の顔面との間に形成される空間が広くなっても、該空間上方側からの飛沫の飛散を防ぐことができるので、装着したままの飲食を可能としつつ、飲食中における飛沫の飛散をより効果的に防ぐことができる。
【0011】
本発明の請求項3の飲食用フェイスシールドは、請求項2に記載の飲食用フェイスシールドであって、
前記第2フィルムは、装着されたときに装着フレームから遠方なる特定辺に繋がる破断部を有する、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、特定辺に繋がる破断部を有しているため、第2フィルムに飲食物や飲食物容器が当接しても第2フィルムが容易に変形できるようになるので、第2フィルムが破損や装着フレームからの脱落を防ぐことができる。
【0012】
本発明の請求項4の飲食用フェイスシールドは、請求項2または請求項3に記載の飲食用フェイスシールドであって、
前記第1フィルムは、前記装着フレームに対して上下方向に移動自在に取付けられている、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、飲食物や飲食物容器を誤って第1フィルムに当接させてしまっても、第1フィルムが上方に移動することで第1フィルムの破損を防ぐことができるとともに、飲食物や飲食物容器の当接が解消されたときに自動的に第1フィルムが下方に移動するようになるため、第1フィルムの戻し忘れを防ぐことができるので、飲食中における飛沫の飛散をより確実に防ぐことができる。
【0013】
手段1の飲食用フェイスシールドは、請求項2または請求項3に記載の飲食用フェイスシールドであって、
前記第2フィルムは、透明フィルムである、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、第2フィルムを透して飲食物や飲食物容器の位置を視認できるようになるため、飲食動作を行い易くできる。
【0014】
手段2の飲食用フェイスシールドは、請求項1~4、手段1のいずれかに記載の飲食用フェイスシールドであって、
前記装着部が、装着者の耳部に装着可能な湾曲状とされている、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、シールドフィルムの大きさを小型にできるとともに、容易に着脱ができるようになるので、装着性を向上できる。
【0015】
手段3の飲食用フェイスシールドは、手段2に記載の飲食用フェイスシールドであって、
前記湾曲状とされた装着部に、該装着部における配置位置を変更可能であって弾性部材から成る弾性体を有する、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、装着者自身が弾性体の配置位置を自身の耳型等に応じて調整することで、装着フレームの耳部からの脱落を防ぐことができる。
【0016】
手段4の飲食用フェイスシールドは、請求項1~4、手段1~3のいずれかに記載の飲食用フェイスシールドであって、
前記装着フレームは、耐熱性ポリプロピレン樹脂にて成型されている、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、飲食物を提供する飲食店が有する食器洗浄機において、装着フレームを飲食物容器や食器等と同様に洗浄、乾燥して再使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の飲食用フェイスシールドの装着状態を示す斜視図である。
図2】(a) は、本発明の飲食用フェイスシールドを構成する装着フレームを示す上面図であり、(b) は、本発明の飲食用フェイスシールドを構成する装着フレームを示す下面図であり、(c) は、本発明の飲食用フェイスシールドを構成するシールドフィルムを示す正面図である。
図3】(a)~(c)は、本発明の飲食用フェイスシールドの組み立ての流れを示す説明図である。
図4】(a)~(c)は、本発明の飲食用フェイスシールドの飲食時の状態を示す説明図である。
図5】変形例の飲食用フェイスシールドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る飲食用フェイスシールドを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0019】
図1は、本実施例の飲食用フェイスシールド1を装着者Sが装着した装着状態を示す図であり、図2は、本発明の飲食用フェイスシールド1を構成する装着フレーム22とシールドフィルムを構成する第1シールドフィルム3と第2シールドフィルム4とを示す図である。
【0020】
本実施例の飲食用フェイスシールド1は、図1図2に示すように、主に、装着者Sの耳部に装着できるように、耳部に沿うように下方に湾曲されている本発明の装着部となる耳掛部21と該耳掛部21を耳に装着したときに装着者Sの側頭位置から顔面前方位置に張り出す張出部22(図2の一点鎖線の紙面上方側の装着フレーム部分)とが形成され、上面視が円弧状とされた樹脂成型棒状体である装着フレーム2と、該装着フレーム2の張出部22の外周面に沿うように該張出部22に取付けられることによって装着者Sの口部の前方領域K(図2参照)を覆うことが可能となる所定幅(成人頭部の縦長さの約半分に対応する長さである8cm)の帯状(方形状)とされた高透明フィルムから成る第1シールドフィルム3と、張出部22の下面に取付けられることによって張出部22と装着者Sの顔面との間に形成される空間Lをほぼ塞ぐようになる扇状とされた高透明フィルムから成る第2シールドフィルム4とから構成されている。
【0021】
本実施例の装着フレーム2には、図1図2に示すように、張出部22の耳掛部21に近い所定位置に、第1シールドフィルム3を回動可能に取り付けるための2つの第1取付突起部23が形成されているとともに、張出部22の下面には、第2シールドフィルム4を不動に固定するための4つの第2取付突起部24が略同一間隔にて形成されている。
【0022】
また、本実施例の装着フレーム2には、図1図2に示すように、張出部22において装着者Sの顔面から一番離れた最遠部分である円弧の頂点部22’に、該頂点部22’と装着者Sの鼻部とに跨がるような形状とされた鼻フレーム部25が形成されている。
【0023】
鼻フレーム部25は、図1に示すように、張出部22における装着フレーム2から一旦上方に向けて伸びた後に装着者Sの鼻部に向けて伸びている形状、つまり、上方に向けて湾曲された略弓状とされており、このように、張出部22との接続部である頂点部22’に近い部分を一旦上方に向けて伸ばした形状とすることによって、鼻フレーム部が上方側に湾曲されることなく装着者Sの鼻部に向けて直線的に伸びている場合に比較して、張出部22との接続部に近い鼻フレーム部25の部分によって飲食物の視認が遮られてしまうことによって飲食がし難くなってしまうことを防ぐことができるようになっている。
【0024】
また、鼻フレーム部25の端部は、図1図2に示すように、二股形状部26とされていることで、装着者Sの鼻に密着するとともに、鼻フレーム部25の鼻からのズレ落ちを防ぐことができるようになっている。
【0025】
尚、張出部22と頂点部22’と装着者Sの鼻との距離は、装着者Sの体格が異なることによって違う場合があるので、これらの体格の違いに対応するために、例えば、鼻フレーム部25を頂点部22’側の第1部分と二股形状部26側の第2部分とで構成し、第2部分を第1部分に対して段階的にスライド可能に取り付けることにより、鼻フレーム部25の長さを装着者Sが自分の体格に応じて調整できるようにしてもよい。
【0026】
これら鼻フレーム部25を含む装着フレーム2は、耐熱性ポリプロピレン樹脂のインジェクション成形により成形されていることで、防汚性と耐熱性と量産性とを備えていることにより、飲食物を提供する飲食店が有する食器洗浄機等において、装着フレーム2を食器と同様に洗浄、乾燥して繰り返し再使用することができるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、耐熱性ポリプロピレン樹脂以外の樹脂、例えば、4フッ化エチレン樹脂等の熱可塑性フロン樹脂や、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂等を使用してもよい。
【0027】
また、これら装着フレーム2に異なる色(例えば、7色)に着色するようにしてもよく、会食等で自分が使用した飲食用フェイスシールド1の色を覚えておくことによって、複数の人が同時に離席した場合等において、どの飲食用フェイスシールド1が自分の使用したものであるのかを容易に判断できるようにしてもよい。
【0028】
次に、装着フレーム2に取付けられる本実施例の第1シールドフィルム3と第2シールドフィルム4について説明する。本実施例の第1シールドフィルム3並びに第2シールドフィルム4は、いずれも厚みが約0.2mmの高透明ポリプロピレン樹脂フィルムにて形成されており、高透明性を有することで、飲食用フェイスシールド1の装着時において第1シールドフィルム3および第2シールドフィルム4を通して飲食物や飲食物容器を視認できることにより、飲食物や飲食物容器の位置を把握して飲食動作を行い易くなり、楽に飲食を行うことができるようになっている。
【0029】
尚、第2シールドフィルム4は、第1シールドフィルム3と顔面との間に形成される空間における飲食物や飲食物容器と第1シールドフィルム3との相対位置を把握できるようにするために高い透明性を有するものであることが好ましいが、第1シールドフィルム3については、例えば、第2シールドフィルム4よりも透明性が低いフィルムを使用することで、第1シールドフィルム3の存在位置を、第2シールドフィルム4を通して把握し易くしつつ、第1シールドフィルム3の先に置かれている飲食物の位置も把握可能な適度な透明性や半透明性を有するものとしてもよい。
【0030】
第1シールドフィルム3は、図2(b)に示すように、小さい丸みとされた2つの角部と、大きな丸みとされた2つの角部を有する略方形状の帯状フィルムとされており、小さい丸みとされた2つの角部の近傍には、該第1シールドフィルム3を装着フレーム2の第1取付突起部23に嵌入して回動可能に取付けるための装着孔31が形成されている。
【0031】
また、小さい丸みとされた2つの角部を結ぶ辺(上端辺)の近傍所定位置には、折曲げることで第1シールドフィルム3表面から突出した状態となるストッパー部32が形成されており、後述するように、該ストッパー部32が装着フレーム2の張出部22上面に当接することにより、第1シールドフィルム3が所定の配置位置よりも下方にずれ落ちてしまうことを防ぐことができるようになっている。
【0032】
また、第2シールドフィルム4は、図2(b)に示すように、装着フレーム2の張出部22に対応した大きさの扇形とされていることで、張出部22と装着者Sとの顔面との間に形成される空間のほぼ全体を塞ぐことができるようになっている。このように、第2シールドフィルム4を、塞ぐことができる大きさと形状とすることは、これら張出部22と装着者Sとの顔面との間に形成される空間からの飛沫の飛散を防ぐ効果を向上できることから好ましが、本発明は、これに限定されるものではなく、これら第2シールドフィルム4の大きさや形状は、少なくとも張出部22と装着者Sとの顔面との間に形成される空間の少なくとも一部を覆うことが可能であればよい。
【0033】
また、第2シールドフィルム4の中央部には、図2(b)に示すように、本発明の特定辺となる扇型の弧辺に繋がるように破断部42が形成されており、これら破断部42が形成されていることによって、第2シールドフィルム4に飲食物や飲食物容器が当接しても第2シールドフィルム4が容易に変形できるようになるため、第2シールドフィルム4がこれら当接によって破損または装着フレーム2から脱落してしまうことを防ぐことができるになっている。尚、これら破断部42は、必須なものではなく、例えば、第2シールドフィルム4の厚みが十分に薄いことで飲食物や飲食物容器の当接によって容易に変形できる場合には、これら破断部42を有しないものとしてもよい。
【0034】
また、本実施例では、第2シールドフィルム4に1の破断部42のみを設けた形態としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら破断部42の形状や数等は、使用するフィルムの厚みや特性に応じて適宜に決定すればよい。
【0035】
また、第1シールドフィルム3並びに第2シールドフィルム4は、難接着樹脂であるポリプロピレン樹脂を用いていることにより、仮に飲食物を第1シールドフィルム3や第2シールドフィルム4に直接触れさせてしまったとしても、これら飲食物が付着し難いとともに、仮に付着したとしても付着した飲食物を容易に除去できるようになっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらポリプロピレン樹脂フィルム以外の樹脂フィルムを使用するようにしてもよい。
【0036】
具体的には、付着防止の表面処理加工を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムとしてもよいし、本実施例においては、第1シールドフィルム3並びに第2シールドフィルム4を使用都度毎に交換する使い捨てフィルムとしているので、例えば、生分解性樹脂から成る透明フィルムを使用するようにしてもよい。
【0037】
また、本実施例では、第1シールドフィルム3並びに第2シールドフィルム4の厚みを同一とした形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1シールドフィルム3は、後述するように、飲食物容器であるビールジョッキ等と接触することで、回動によって頭上方向に移動するので、これら飲食物容器との接触によってフィルムが屈曲してしまうことがないように、第1シールドフィルム3の厚みを第2シールドフィルム4の厚みよりも厚くするようにしてもよい。
【0038】
次に、本実施例の飲食用フェイスシールド1の組み立ての流れについて、図3を用いて説明すると、まず、図3(a)に示すように、第2シールドフィルム4を、第2シールドフィルム4の円弧状の部分が装着フレーム2の張出部22に対応するように配置して、4つの装着孔41を順次、4つの第2取付突起部24に嵌入して、装着フレーム2の下面側に取り付ける。
【0039】
第2取付突起部24は、図3(a)の拡大図に示すように、下端の径が装着孔41の径よりもやや大きな径とされているとともに垂直方向の中間位置の径が装着孔41の径よりもやや小径とされることで段部が形成されている円柱形状とされており、第2取付突起部24の下端部を、第2シールドフィルム4の装着孔41を変形させて小径部分まで押し込むことで、装着孔41が該段部に係止されることで保持される。尚、第2シールドフィルム4は、4つの第2取付突起部24に装着孔41が押し込まれることにより、移動不能に装着フレーム2に取付けられる。
【0040】
次に、第1シールドフィルム3の2つのストッパー部32を、装着フレーム2側となる内面側に折り曲げて、第1シールドフィルム3の取付け準備をした後、図3(b)に示すように、第1シールドフィルム3の2つの装着孔31を、装着フレーム2の第1取付突起部23に押し込んで第1シールドフィルム3を装着フレーム2に取付ける。
【0041】
尚、第1取付突起部23は、詳細については図示しないが、第2取付突起部24と同様に、外側に位置する先端部の径が装着孔31の径よりもやや大きな径とされているとともに水平方向の中間位置の径が装着孔31の径よりもやや小径とされることで段部が形成されている円柱形状とされており、第1取付突起部23の先端部を、第1シールドフィルム3の装着孔31を変形させて小径部分まで押し込むことで、装着孔31が該段部に係止されることで保持される。このように、第1シールドフィルム3は、装着フレーム2の外周方向に向けて突出するように形成された2つの第1取付突起部23に装着孔31が押し込まれて保持されることにより、これら2つの第1取付突起部23を支点として回動可能に装着フレーム2に取付けられることになるとともに、図3(b)の拡大図に示すように、予め折曲げられているストッパー部32が、装着フレーム2の上面に当接することで、第1シールドフィルム3の上辺と装着フレーム2の上面とがほぼ平行となる所定位置に第1シールドフィルム3が位置するように保持される。
【0042】
このようにして組み立てた飲食用フェイスシールド1を装着者Sが装着するときは、図3(c)の拡大図に示すように、耳掛部21において配置位置を変更可能に挿入されている弾性部材であるシリコーンゴムからなる環状のゴムストッパー27を、自分の体格に合わせて配置位置を変更して調整して装着することで、飲食用フェイスシールド1が顔面前方に変位(ズレ)して、鼻フレーム部25が装着者Sの鼻から離れてしまうことによって、装着フレーム2が鼻フレーム部25によって支持されなくなってしまうことにより、第1シールドフィルム3と装着者Sの口部との間の空間が狭くなってしまうことを防ぐことができる。
【0043】
本実施例では、ゴムストッパー27を耐熱性ゴムであるシリコーンゴムとすることで、これらゴムストッパー27も、装着フレーム2とともに食器洗浄機等で洗浄、乾燥して再利用できるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、シリコーンゴム以外の弾性部材を使用し、使い捨てるようにしてもよい。
【0044】
以上のように組み立てた飲食用フェイスシールド1を装着した場合は、図4(a)に示すように、飲食をしていないときには、会話等をしても、第1シールドフィルム3と第2シールドフィルム4によって、飛沫の飛散が抑えられる。
【0045】
そして、装着者Sが飲食する場合は、図4(b)に示すように、鼻フレーム部25によって装着フレーム2が支持されているため、第1シールドフィルム3と装着者Sの口部との間に広い空間が形成されているので、第1シールドフィルム3を頭上方向に移動させることなく、該空間を通じて口部に飲食物を運んで飲食を行うことができる。
【0046】
また、ビールジョッキ等の比較的大きな飲食物容器等によって飲食を行う場合は、図4(c)に示すように、飲食用フェイスシールド1を装着していないときの通常の飲食と同じように、ビールジョッキ等の飲食物容器を持ち上げて口部に運ぶことにより、飲食物容器であるビールジョッキが第1シールドフィルム3と当接することで第1シールドフィルム3が頭上方向に自動的に移動するようになるため、第1シールドフィルム3が邪魔となることなく、飲食物容器であるビールジョッキを使用した飲食を楽に行うことができるとともに、飲食を終えて飲食物容器であるビールジョッキを口から離して下方に下ろした場合には、該飲食物容器であるビールジョッキの下方への移動に連動して第1シールドフィルム3も自動的に回動して下方に移動し、ストッパー部32が装着フレーム2の張出部22の上面に当接している図4(a)の状態に戻ることで、装着者Sがいちいち、第1シールドフィルム3を上下させる必要がないので、飲食中における飛沫の飛散をより確実に防ぐことができる。
【0047】
以上、本実施例の飲食用フェイスシールド1によれば、張出部22を支えることが可能な鼻フレーム部25を有することで、第1シールドフィルム3と装着者Sの口部との間に形成される空間を広くすることが可能となるため、第1シールドフィルム3を装着した状態のままで飲食できるようになるので、飲食中における飛沫の飛散を効果的に防ぐことができる。
【0048】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0049】
例えば、上記実施例では、鼻フレーム部25を一本状とした形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、鼻フレーム部を複数本にて形成してもよいし、鼻フレーム部の途中で頂点部22’に近い部分が2本に分岐している形状とすることで、鼻フレーム部によって飲食物や飲食物容器の視認が妨げられてしまうことがないようにしてもよい。
【0050】
また、上記実施例では、第2シールドフィルム4を設けた形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、張出部22の形状等によっては、これら第2シールドフィルム4を設けないものとしてもよい。
【0051】
また、上記実施例では、装着者Sの耳部に装着可能とすることで、第1シールドフィルム3の大きさを小型、軽量にでき、第1シールドフィルム3を自動的に回動し易くできるとともに、着脱が容易となるので、飲食用フェイスシールド1の装着性を向上できることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、装着部の形状を、頭部頂部に装着可能な環状形状としてもよく、この場合には、第1シールドフィルム3の大きさを、顔面全体を覆う大きさとすればよい。
【0052】
また、上記実施例では、ゴムストッパー27を設けた形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、装着部の形状によっては、ゴムストッパー27を設けないようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施例では、構造の簡素化による低コスト化を図るために、第1シールドフィルム3を回動によって上下方向に移動可能とした形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、スライド機構を設けることによって、第1シールドフィルム3を上下方向にスライド移動可能としてもよい。
【0054】
また、上記実施例では、第1シールドフィルム3と第2シールドフィルム4とを個別のフィルムとした形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図5の変形例に示すシールドフィルム100のように、第1シールドフィルム3と第2シールドフィルム4とを一体化したものとして打ち抜きを行うことで低コスト化を図るようにしてもよい。尚、図5において、上記実施例と共通する部分には、同一の符号を付していることで、説明を省略する。
【0055】
具体的には、図5に示すように、第2シールドフィルム4’の頂点部と第1シールドフィルム3’の上辺中央部とが折曲げ部Mで繋がった状態とし、第2シールドフィルム4’の2つの角部近傍位置に、略T字状の係合突起部45を形成するとともに、該係合突起部45を挿通可能な挿通孔33を、第1シールドフィルム3’の対応する位置に穿設する。
【0056】
また、第2シールドフィルム4’には、鼻フレーム部25を挿通可能な長孔43を設けるとともに、二股形状部26を挿通しやすくするための破断部44を形成する。
【0057】
また、第1シールドフィルム3’には、ストッパー部32と同様に、シールドフィルム100が上方に移動したときに、上方位置で保持できるようにするための上方位置用ストッパー部34を設けておく。
【0058】
そして、折曲げ部Mを折曲げるとともに、係合突起部45を挿通孔33に挿通して係合させることで、断面視が半円状であって下方が開放された箱形のシールドフィルム100とする。
【0059】
そして、第2シールドフィルム4’の長孔43に鼻フレーム部25を挿通しつつ装着フレーム2の上側から箱形のシールドフィルム100を被せて装着することで、上記実施例と同様の飲食用フェイスシールドを構成することができるとともに、シールドフィルム100を必要に応じて上部位置に保持することができる機能も付与することができる。
【0060】
尚、上記変形例における上方位置用ストッパー部34を、実施例の飲食用フェイスシールド1の第1シールドフィルム3に適用してもよいことは、いうまでもない。
【0061】
また、ストッパー部32や上方位置用ストッパー部34の形状や数等は、上記した実施例や変形例に限定されるものではなく、第1シールドフィルム3やシールドフィルム100を所定の位置に保持機能なものであれば、任意の形状や数とすることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 飲食用フェイスシールド
2 装着フレーム
3 第1シールドフィルム
4 第2シールドフィルム
21 耳掛部
22 張出部
23 第1取付突起部
24 第2取付突起部
25 鼻フレーム部
26 二股形状部
27 ゴムストッパー
31 装着孔
32 ストッパー部
41 装着孔
42 破断部
S 装着者
図1
図2
図3
図4
図5