(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089278
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】嵩上げ部材、及び嵩上げ部材を備えるかごドア装置
(51)【国際特許分類】
B66B 13/08 20060101AFI20220609BHJP
【FI】
B66B13/08 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201557
(22)【出願日】2020-12-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】柏倉 寛
【テーマコード(参考)】
3F307
【Fターム(参考)】
3F307CB11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】かごドアの高さ寸法を抑えることが可能な嵩上げ部材、及び該嵩上げ部材を備えるかごドア装置を提供する。
【解決手段】本発明は、昇降路を昇降するかごの出入口の上方に配置されるフレームであって、かごドア3を開閉方向に案内するレール22とかごドアの開閉駆動に用いられるプーリ23a,23bとを有するフレームの上端部に取り付け可能な嵩上げ部材本体を備え、嵩上げ部材本体は、フレームに連結可能な基部と、ベルトを介してプーリ23aを駆動させるモータ4を基部に対して上方に間隔をあけた位置で支持可能な支持部と、を有する、ことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路を昇降するかごの出入口の上方に配置されるフレームであって、かごドアを開閉方向に案内するレールと前記かごドアの開閉駆動に用いられるプーリとが配置されるフレームの上端部に取り付け可能な嵩上げ部材本体を備え、
前記嵩上げ部材本体は、前記フレームに連結可能な基部と、ベルトを介して前記プーリを駆動させるモータを前記基部に対して上方に間隔をあけた位置で支持可能な支持部と、を有する、嵩上げ部材。
【請求項2】
前記嵩上げ部材本体は、前記プーリと前記モータとの間隔を調整可能な間隔調整部を有する、請求項1に記載の嵩上げ部材。
【請求項3】
前記嵩上げ部材本体は、
前記基部と該基部から上方向に延びる起立部とを有する第一部材と、
前記支持部と該支持部から下方に延びる垂下部とを有し、該垂下部が水平方向から見て前記起立部と重なった状態で前記第一部材に固定される第二部材と、有し、
前記間隔調整部は、
前記起立部が有し且つ上下方向に延びる第一長穴と、
前記垂下部が有し且つ前記第一長穴と少なくとも一部が重なる位置において上下方向に延びる第二長穴と、
前記第一長穴と前記第二長穴とを挿通することによって前記起立部に対して前記垂下部を上下に相対移動可能に係合させ、且つ、前記第一長穴及び前記第二長穴に基づく範囲内での任意の相対位置で前記垂下部を前記起立部に固定可能な固定部材と、を有する、請求項2に記載の嵩上げ部材。
【請求項4】
前記第一長穴と前記第二長穴と前記固定部材との組は、水平方向に間隔をあけて複数組配置されている、請求項3に記載の嵩上げ部材。
【請求項5】
前記嵩上げ部材本体の前記基部に連結可能な延長部を備え、
前記起立部と前記垂下部とのそれぞれは、互いに平行な状態で重なる平板状であり、
前記延長部は、前記フレームと連結可能な第一連結部と、該第一連結部から上方に延びる延設部と、該延設部の先端部に配置され且つ前記基部と連結可能な第二連結部と、を有し、
前記延設部は、上下方向から見て、前記起立部及び前記垂下部と交差する方向に広がる平板状である、請求項3又は4に記載の嵩上げ部材。
【請求項6】
昇降路を昇降するかごの出入口を開閉するかごドアと、
前記かごの出入口の上方に配置されるフレーム、該フレームに配置され且つ前記かごドアを開閉方向に案内するレール、及び該フレームに配置され且つ前記かごドアの開閉駆動に用いられるプーリを有するフレーム部と、
請求項1~5のいずれか1項に記載の嵩上げ部材と、
前記嵩上げ部材に支持され且つベルトを介して前記プーリを駆動させるモータと、を備える、かごドア装置。
【請求項7】
前記フレームは、
前記かごの前記出入口の上方で上下方向及び前記開閉方向に広がる板状で且つ上端が前記開閉方向に沿って直線状に延びるフレーム本体と、
前記フレーム本体の前記上端から前記開閉方向及び前記かごの後方側に広がる板状のフランジ部と、を有し、
前記嵩上げ部材は、
前記フランジ部に沿って広がる第一部位と前記フレーム本体に沿って広がる第二部位とを含む断面L字状のアングル部、及び前記第一部位と前記第二部位とを接続して該第一部位に対する該第二部位の角度を維持するリブ、を有するブラケットと、
前記第一部位と前記嵩上げ部材の前記基部との間に前記フランジ部を挟み込んだ状態で該第一部位と該基部とを連結する第一連結部材と、
前記第二部位と前記フレーム本体とを連結する第二連結部材と、を有する、請求項6に記載のかごドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かごの出入口の上方に配置されるフレームの上方に該フレームと間隔をあけてモータを配置するための嵩上げ部材、及び該嵩上げ部材を備えるかごドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、かごの出入口に配置されて該出入口を開閉するかごドア装置が知られている(特許文献1参照)。具体的に、このかごドア装置は、
図7に示すように、ドアパネル101を吊り下げた状態で保持するドアハンガー102と、ドアハンガー102をドアパネル101の開閉方向に案内するレール103、及びドアハンガー102が接続された第一の無端ベルト104が巻き掛けられる一対のプーリ105a、105bが配置されるフレーム106と、一対のプーリ105a、105bのうちの一方のプーリ105aを、第二の無端ベルト107を介して駆動するモータ108と、を備える。このかごドア装置100では、モータ108もフレーム106に取り付けられている。
【0003】
このように構成されるかごドア装置100において、ドアハンガー102にドアパネル101が吊り下げられた状態で、フレーム106がかご109の出入口109aの上方に配置される。このかごドア装置100では、モータ108の出力軸108aと一方のプーリ105aとが第二の無端ベルト107を巻き掛けられるため、フレーム106から、かご109の後方側に向けてモータ108が突出している。このため、かごドア装置100は、通常、モータ108がかご109の天板より上側に位置するように配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のかごドア装置100では、天井の高いかごに配置される場合、かごの出入口の高さが天井近くまでない場合でも、かごの天板より上側にモータ108が位置するように、モータ108の取り付けられているフレーム106がかごの上端部に配置される。この場合、ドアハンガー102を案内するレール103もフレーム106に配置されているため、ドアパネル101の高さ寸法が大きくなって質量が増し、これにより、モータ108が大型化する。その結果、かごドア装置100の配置スペース及びコストが増大する。
【0006】
そこで、本発明は、かごドアの高さ寸法を抑えることが可能な嵩上げ部材、及び該嵩上げ部材を備えるかごドア装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の嵩上げ部材は、
昇降路を昇降するかごの出入口の上方に配置されるフレームであって、かごドアを開閉方向に案内するレールと前記かごドアの開閉駆動に用いられるプーリとが配置されるフレームの上端部に取り付け可能な嵩上げ部材本体を備え、
前記嵩上げ部材本体は、前記フレームに連結可能な基部と、ベルトを介して前記プーリを駆動させるモータを前記基部に対して上方に間隔をあけた位置で支持可能な支持部と、を有する。
【0008】
かかる構成によれば、嵩上げ部材の基部がフレームの上端部に取り付けられた状態で該嵩上げ部材の支持部がモータを支持することで、基部と支持部との間隔に相当する距離だけモータがフレームに対して高い位置に配置されるため、モータをかごの天板より上側に配置しても、かごにおけるフレームの配置位置を低くすることができ、これにより、かごドアの高さ寸法を抑えることができる。
【0009】
前記嵩上げ部材では、
前記嵩上げ部材本体は、前記プーリと前記モータとの間隔を調整可能な間隔調整部を有してもよい。
【0010】
かかる構成によれば、嵩上げ部材がフレームに取り付けられてモータを支持した状態でもプーリとモータとの間隔を調整することができ、これにより、モータの回転動力をプーリに伝達するベルトの緩みの解消や、モータのフレームに対する高さ位置の微調整等を行うことができる。
【0011】
また、前記嵩上げ部材では、
前記嵩上げ部材本体は、
前記基部と該基部から上方向に延びる起立部とを有する第一部材と、
前記支持部と該支持部から下方に延びる垂下部とを有し、該垂下部が水平方向から見て前記起立部と重なった状態で前記第一部材に固定される第二部材と、有し、
前記間隔調整部は、
前記起立部が有し且つ上下方向に延びる第一長穴と、
前記垂下部が有し且つ前記第一長穴と少なくとも一部が重なる位置において上下方向に延びる第二長穴と、
前記第一長穴と前記第二長穴とを挿通することによって前記起立部に対して前記垂下部を上下に相対移動可能に係合させ、且つ、前記第一長穴及び前記第二長穴に基づく範囲内での任意の相対位置で前記垂下部を前記起立部に固定可能な固定部材と、を有してもよい。
【0012】
かかる構成によれば、係合状態で第一部材と第二部材とを相対移動させる、即ち、フレーム(プーリ)とモータとの間隔を調整することができ、これにより、フレーム(プーリ)とモータとの間隔の調整時にモータ又は第二部材の落下等を防ぐことができる。
【0013】
また、前記嵩上げ部材では、
前記第一長穴と前記第二長穴と前記固定部材との組は、水平方向に間隔をあけて複数組配置されてもよい。
【0014】
このように、上下方向に延びる第一長穴と第二長穴とに固定部材が挿通された組が水平方向に間隔をあけて複数組配置されていることで、第一部材(即ち、第一部材が連結されたフレーム)に対する姿勢を維持しつつ第二部材(即ち、第二部材に支持されたモータ)を上下動(相対移動)させることができる。
【0015】
また、前記嵩上げ部材は、前記嵩上げ部材本体の前記基部に連結可能な延長部を備え、
前記起立部と前記垂下部とのそれぞれは、互いに平行な状態で重なる平板状であり、
前記延長部は、前記フレームと連結可能な第一連結部と、該第一連結部から上方に延びる延設部と、該延設部の先端部に配置され且つ前記基部と連結可能な第二連結部と、を有し、
前記延設部は、上下方向から見て、前記起立部及び前記垂下部と交差する方向に広がる平板状であってもよい。
【0016】
このように、嵩上げ部材本体(板状の起立部及び垂下部)の広がる方向と交差する方向に、延長部(板状の延設部)が広がることで、嵩上げ部材本体に延長部が連結された状態の嵩上げ部材において強度を確保することができる。
【0017】
また、本発明のかごドア装置は、
昇降路を昇降するかごの出入口を開閉するかごドアと、
前記かごの出入口の上方に配置されるフレーム、該フレームに配置され且つ前記かごドアを開閉方向に案内するレール、及び該フレームに配置され且つ前記かごドアの開閉駆動に用いられるプーリを有するフレーム部と、
上記いずれかの嵩上げ部材と、
前記嵩上げ部材に支持され且つベルトを介して前記プーリを駆動させるモータと、を備える。
【0018】
かかる構成によれば、嵩上げ部材の基部がフレームの上端部に取り付けられた状態で該嵩上げ部材の支持部がモータを支持していることで、基部と支持部との間隔に相当する距離だけモータがフレームに対して高い位置に配置されるため、モータをかごの天板より上側に配置しても、かごにおけるフレームの配置位置を低くすることができ、これにより、ドアの高さを抑えることができる。
【0019】
前記かごドア装置では、
前記フレームは、
前記かごの前記出入口の上方で上下方向及び前記開閉方向に広がる板状で且つ上端が前記開閉方向に沿って直線状に延びるフレーム本体と、
前記フレーム本体の前記上端から前記開閉方向及び前記かごの後方側に広がる板状のフランジ部と、を有し、
前記嵩上げ部材は、
前記フランジ部に沿って広がる第一部位と前記フレーム本体に沿って広がる第二部位とを含む断面L字状のアングル部、及び前記第一部位と前記第二部位とを接続して該第一部位に対する該第二部位の角度を維持するリブ、を有するブラケットと、
前記第一部位と前記嵩上げ部材の前記基部との間に前記フランジ部を挟み込んだ状態で該第一部位と該基部とを連結する第一連結部材と、
前記第二部位と前記フレーム本体とを連結する第二連結部材と、を有してもよい。
【0020】
かかる構成によれば、フレームが薄板状であっても、上端部(フランジ部)の折れ曲がった部位にブラケットが配置されることでフレームの強度を確保することができ、これにより、かごの前後方向におけるかごドア装置(フレーム及びその周辺部位)の寸法を抑えることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上より、本発明によれば、かごドアの高さ寸法を抑えることが可能な嵩上げ部材、及び該嵩上げ部材を備えるかごドア装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るエレベータの模式図である。
【
図2】
図2は、嵩上げ部材を備えたかごドア装置において一部の構成を省略した状態の正面図である。
【
図4】
図4は、嵩上げ部材及びその周辺の部材の分解斜視図である。
【
図6】
図6は、他実施形態に係る嵩上げ部材及びその周辺の部材の正面図である。
【
図7】
図7は、従来のかごドア装置が取り付けられたかごの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について、
図1~
図5Bを参照しつつ説明する。
【0024】
図1に示すように、エレベータ用のかごドア装置1は、昇降路6を昇降するかご7の出入口70に配置される。具体的に、かごドア装置1は、かご7の出入口70の上方に配置されるフレーム部2と、かご7の出入口70を開閉するかごドア3と、かごドア3を開閉駆動するモータ4と、モータ4を支持する嵩上げ部材5と、を備える。本実施形態のかごドア装置1は、二つのかごドア3を有する、いわゆるセンターオープン式(両開き式)のかごドア装置である。
【0025】
フレーム部2は、
図2~
図5Bにも示すように、かご7の前壁71の外面における出入口70の上方位置に配置されるフレーム21と、かごドア3を開閉方向(以下、単に「開閉方向」とも称する。)に案内するレール22と、開閉方向に間隔をあけてフレーム21に配置される一対のプーリ23a、23bと、一対のプーリ23a、23bに巻き掛けられる第一の無端ベルト24と、を有する。
【0026】
フレーム21は、上下方向及び開閉方向に広がる板状で且つ上端211tが開閉方向に沿って直線状に延びるフレーム本体211と、フレーム本体211の上端211tからかご7の出入り方向(以下、単に「出入り方向」とも称する。)の後方側に延びるフランジ部212と、を有する。本実施形態のフレーム21では、一枚の金属板の端部が折り曲げられることで、フレーム本体211とフランジ部212とが形成されている。
【0027】
フレーム本体211は、上端211tが開閉方向に沿って直線状に延びた板状の部位である。本実施形態のフレーム本体211は、開閉方向に長尺な矩形の板状である。このフレーム本体211には、少なくともレール22と一対のプーリ23a、23bとが取り付けられている。
【0028】
また、フレーム本体211は、上部に、開閉方向に間隔をあけて並ぶ複数の穴211aを有する。各穴211aは、開閉方向に延びる長穴である。これら複数の穴211aは、開閉方向におけるフレーム本体211の中央より一方の端部側に寄った位置と、他方の端部側に寄った位置と、に配置されている。
【0029】
本実施形態のフレーム本体211は、三つの穴211aを組211Aとして二つの組を有し、これら二つの組211Aは、開閉方向におけるフレーム本体211の中央より一方の端部側に寄った位置と他方の端部側に寄った位置とに配置されている。フレーム本体211において、開閉方向における各組211Aの中央からの距離は、同じである。また、各組211Aを構成する複数の穴211aは、開閉方向に等間隔で並んでいる。
【0030】
フランジ部212は、フレーム本体211の上端211tから開閉方向及び出入り方向の後方側に広がる板状の部位である。このフランジ部212は、開閉方向の各位置における出入り方向の寸法(幅)が一定又は略一定で且つ開閉方向に長尺な帯板状である。本実施形態のフランジ部212の幅は、50mm~90mm程度であり、開閉方向の寸法(長さ)は、フレーム本体211より短い。
【0031】
また、フランジ部212は、開閉方向に間隔をあけて並ぶ複数の穴212aを有する。各穴212aは、開閉方向に延びる長穴である。本実施形態のフランジ部212は、二つの穴212aを組212Aとして二つの組を有し、これら二つの組212Aのそれぞれは、フレーム本体211の組211Aが配置されている領域と開閉方向において対応する領域(位置)に配置されている。即ち、二つの組212Aは、開閉方向におけるフレーム本体211の中央より一方の端部側に寄った位置と他方の端部側に寄った位置とに配置されている。
【0032】
レール22は、フレーム21のフレーム本体211(詳しくは、フレーム本体211の下端部)に配置されている。このレール22は、かご7の出入口70の上方位置において開閉方向に延びている。本実施形態のレール22は、二つのかごドア3のそれぞれを案内する。
【0033】
一対のプーリ23a、23bは、フレーム本体211におけるレール22の上方位置において開閉方向に間隔をあけて配置されている。より具体的には、各プーリ23a、23bは、フレーム本体211において、出入り方向に延びる回転軸231が同じ高さ位置で且つ開閉方向における出入口70より外側の位置に配置されている。また、各プーリ23a、23bは、回転軸231周りに回動自在な状態でフレーム本体211に取り付けられている。本実施形態の一対のプーリ23a、23bのうちの一方のプーリ23aは、無端ベルト24、45が巻き掛けられる被巻き掛け部位を二つ有する、いわゆる二段プーリであり、これら二つの被巻き掛け部位の径は互いに異なっている。この一方のプーリ23aは、開閉方向において、嵩上げ部材5より外側に配置されている。また、他方のプーリ23bの被巻き掛け部の径は、一方のプーリ23aにおける径の小さい方の被巻き掛け部の径と同じである。
【0034】
二つのかごドア3のそれぞれは、矩形板状のドアパネル31と、ドアパネル31を吊り下げた状態でレール22に案内されるドアハンガー32と、ドアハンガー32とドアパネル31とを接続する中間部材33と、を有する。本実施形態のドアパネル31は、上下方向に長尺な矩形状である。また、各ドアハンガー32は、第一の無端ベルト24に接続されている。具体的に、二つのかごドア3のうちの一方のかごドア3のドアハンガー32は、一対のプーリ23a、23b間に架け渡された上下二つのベルト(第一の無端ベルト24の一部)のうちの上側のベルト24に接続され、他方のかごドア3のドアハンガー32は、下側のベルト24に接続されている。これにより、二つのかごドア3は、連動して開閉する。即ち、一方のかごドア3が開閉移動すると、この開閉移動に伴って(同期して)他方のかごドア3も開閉移動する。
【0035】
モータ4は、モータ本体41と、モータ本体41から突出し、回転動力を出力する出力軸42と、出力軸42に取り付けられたプーリ43と、を有する。このモータ4は、出力軸42を出入り方向の前方側に向け且つ該出力軸42の延びる方向がかご7の出入り方向(前後方向)と一致するように配置されている。また、モータ4のプーリ43と、フレーム21に配置されているプーリ23aとには、第二の無端ベルト(ベルト)45が巻き掛けられている。これにより、モータ4の出力軸42から出力された回転動力は、第二の無端ベルト45を介してフレーム21のプーリ23aに伝達される。
【0036】
本実施形態のかごドア装置1では、一対のプーリ23a、23bと第一の無端ベルト24とモータ4と第二の無端ベルト45とによって、かごドア3の駆動機構を構成している。
【0037】
嵩上げ部材5は、フレーム21の上端部に取り付け可能な嵩上げ部材本体50を備え、この嵩上げ部材本体50は、フレーム21に連結可能な基部511と、第二の無端ベルト(ベルト)45を介してプーリ23aを駆動させるモータ4を基部511に対して上方に間隔をあけた位置で支持可能な支持部521と、を有する。
【0038】
具体的に、嵩上げ部材5は、モータ4を支持する嵩上げ部材本体50と、フレーム21と嵩上げ部材本体50との間に配置可能な少なくとも一つの延長部55と、を備える。本実施形態の嵩上げ部材5は、嵩上げ部材本体50又は延長部55をフレーム21に固定すると共に該フレーム21の強度を確保可能なブラケット56も備える。また、嵩上げ部材5は、各部材同士を連結するための複数の連結部材57も備える。本実施形態の連結部材57は、ボルト571、又は、ボルト571及び該ボルト571に螺合するナット572を有する。
【0039】
嵩上げ部材本体50は、プーリ23aとモータ4との間隔、詳しくは、プーリ23aとモータ4のプーリ43との間隔を調整可能な間隔調整部5Aを有する。具体的に、嵩上げ部材本体50は、フレーム21に連結可能な第一部材51と、第一部材51に対して相対移動可能な第二部材52と、第二部材52を第一部材51に固定する固定部材53と、を有する。本実施形態の嵩上げ部材本体50は、モータ4と第二部材52とを連結するモータ連結部材54を有する。また、本実施形態の嵩上げ部材本体50は、第一部材51に対して第二部材52を上方に押上げ可能な押上げ部材Bを有する。
【0040】
第一部材51は、フレーム21に連結可能な基部511と、基部511から上方に延びる起立部512と、を有する。本実施形態の基部511は、延長部55を介してフレーム21と連結されている。即ち、基部511は、延長部55と連結されている。また、第一部材51は、起立部512の先端からかご7の後方側に向けて延びる鍔部513も有する。
【0041】
基部511は、開閉方向及び出入り方向に広がる板状の部位であり、上下方向に貫通する複数の穴511aを有する。これら複数の穴511aは、開閉方向に間隔をあけて配置され、各穴511aは、開閉方向に延びる長穴である。本実施形態の基部511は、開閉方向に長尺な矩形の板状であり、二つの穴511aを有する。
【0042】
起立部512は、基部511から上方に延びる板状(平板状)の部位である。具体的に、起立部512は、開閉方向及び上下方向に広がる矩形の板状であり、厚さ方向に貫通し且つ上下方向に延びる第一長穴512aを有する。この起立部512は、基部511の出入り方向の前方側の端部から上方に延びている。本実施形態の起立部512は、複数の第一長穴512aを有し、これら複数の第一長穴512aは、開閉方向に間隔をあけて配置されている。より具体的に、起立部512は、二つの第一長穴512aを有する。
【0043】
鍔部513は、開閉方向及び出入り方向に広がる板状の部位であり、上下方向に貫通する複数の穴513aを有する。これら複数の穴513aは、開閉方向に間隔をあけて配置されている。本実施形態の鍔部513は、開閉方向に長尺な矩形の板状であり、二つの穴513aを有する。この鍔部513は、起立部512の上端部から出入り方向の後方側に延びている。また、二つの穴513aのそれぞれは、内周面に雌ネジが形成されているネジ穴(タップ穴)である。
【0044】
第二部材52は、モータ4を支持する支持部521と、支持部521から下方に延びる垂下部522と、を有し、垂下部522が水平方向から見て起立部512と重なった状態で第一部材51に固定されている。
【0045】
支持部521は、開閉方向及び出入り方向に広がる板状であり、上下方向に貫通する複数の穴521aを有する。この支持部521では、出入り方向に複数(本実施形態の例では二つ)の穴521aが並ぶ列が、開閉方向に間隔をあけて複数列(本実施形態の例では二列)配置されている。各列を構成する複数の穴521aのそれぞれは、出入り方向に延びる長穴である。これら複数の穴521aのそれぞれは、上下方向から見て、第一部材51の鍔部513の各穴513aと重ならない位置に配置されている。
【0046】
垂下部522は、支持部521から下方に延びる板状(平板状)の部位であり、第一部材51の起立部512と互いに平行な状態で重なる。具体的に、垂下部522は、開閉方向及び上下方向に広がる矩形の板状であり、厚さ方向に貫通する第二長穴522aを有する。この第二長穴522aは、起立部512の第一長穴512aと少なくとも一部が重なる位置において上下方向に延びる。より具体的には、第二長穴522aは、対応する(共通の固定部材53が挿通される)第一長穴512aと開閉方向において同じ位置で且つ上下方向において少なくとも一部が重なる位置に配置されている。本実施形態の垂下部522は、複数の第一長穴512aと対応する位置のそれぞれに第二長穴522aを有する。即ち、垂下部522において、複数の第二長穴522aが開閉方向に間隔をあけて配置されている。より具体的には、垂下部522は、二つの第二長穴522aを有する。
【0047】
固定部材53は、第一長穴512aと、該第一長穴512aと対応する(重なる)第二長穴522aとを挿通することによって起立部512に対して垂下部522を上下に相対移動可能に係合させ、且つ、第一長穴512a及び第二長穴522aに基づく範囲内での任意の相対位置で垂下部522を起立部512に固定可能である。
【0048】
具体的に、この固定部材53は、第一長穴512a及び第二長穴522aに挿通されるボルト531と、該ボルト531に螺合されるナット532と、を有する。このボルト531が、出入り方向から見て重なっている第一長穴512aと第二長穴522aとに挿通されることで、起立部512に対して垂下部522を上下方向(第一長穴512a又は第二長穴522aの延びる方向)に相対移動可能に、起立部512と垂下部522とが係合される。このとき、起立部512に対して垂下部522が上下に相対移動できる範囲(距離)は、第一長穴512aと第二長穴522aとの上下方向の寸法によって規定される。そして、起立部512に対して垂下部522が所定の位置になったときに、ボルト531に螺合されているナット532が締め付けられることで、該位置において垂下部522が起立部512に固定される。尚、二つのナット532は、二つのネジ穴(タップ穴)を有するプレートナットであってもよい。
【0049】
本実施形態の嵩上げ部材本体50(嵩上げ部材5)では、互いに重なっている第一長穴512a及び第二長穴522aと、これら第一長穴512a及び第二長穴522aに挿通されている固定部材53とによって、間隔調整部5Aが構成されている。また、本実施形態の嵩上げ部材本体50では、重なっている第一長穴512aと第二長穴522aとに、二つの固定部材53(詳しくは、ボルト531)が挿通されている。そして、この二つの固定部材53と、これら二つの固定部材53が挿通されている第一長穴512a及び第二長穴522aとの組が、水平方向に間隔をあけて複数組配置されている。より具体的には、二つの前記組が、開閉方向に間隔をあけて配置されている。
【0050】
モータ連結部材54は、開閉方向及び出入り方向に広がる板状の支持部連結部541と、支持部連結部541における出入り方向の前方側の端部から上方に延びるモータ連結部542と、支持部連結部541とモータ連結部542とを接続する補強部543と、を有する。
【0051】
支持部連結部541は、矩形板状であり、出入り方向の後方側の端部が下方に向けて屈曲している。この支持部連結部541は、第二部材52の支持部521の各穴521aと対応する位置に穴541aを有する。即ち、支持部連結部541では、出入り方向に複数(本実施形態の例では二つ)の穴541aが並ぶ列が、開閉方向に間隔をあけて複数列(本実施形態の例では二列)配置されている。各列を構成する複数の穴541aのそれぞれは、出入り方向に延びる長穴である。この支持部連結部541は、第二部材52の支持部521と重ねられた状態で、各穴541aと、対応する支持部521の穴521aとに挿通された連結部材57(ボルト571及びナット572)によって、該支持部521に連結(固定)されている。
【0052】
モータ連結部542は、上下方向及び開閉方向に広がる矩形板状であり、中央部に穴542aを有する。また、モータ連結部542は、穴542aの周囲に複数の穴452bも有する。中央部の穴542aの径は、該穴542aの周囲に配置された各穴542bの径より大きい。
【0053】
補強部543は、開閉方向の端部において、支持部連結部541の上部とモータ連結部542の後部とを接続する。本実施形態の補強部543は、支持部連結部541とモータ連結部542とのそれぞれに対して傾斜する方向に延びる帯板状である。
【0054】
このモータ連結部材54には、モータ連結部542の穴542aを通じて出力軸42を出入り方向の前方側に突出させた状態で、モータ連結部542の各穴542bに挿通された連結部材57(ボルト571:
図3参照)によってモータ4の前面(出力軸42が突出する面)がモータ連結部542に連結されている。この状態において、出入り方向における第二部材52の支持部521の後端は、モータ本体41の中央位置より前方側に位置している。即ち、出入り方向において、嵩上げ部材5からモータ4の後部が大きく突出するように、モータ4がモータ連結部材54によって嵩上げ部材本体50に連結(配置)されている。尚、
図4及び
図5Aにおいては、図を見やすくするために、モータ4をモータ連結部542に連結するための連結部材57(ボルト571)の記載を省略している。
【0055】
押上げ部材Bは、第一部材51の鍔部513の穴513aに上方に向けて挿通されているジャッキアップボルトである。固定部材53が緩められて第一部材51に対する第二部材52の固定が解除された上で、周面に雄ネジが形成されている軸の先端を第二部材52の支持部521に当接させたままで該押上げ部材Bが軸周りに回転させられることで、第一部材51に対する第二部材52の上下方向の位置(鍔部513と支持部521との上下方向の間隔)が調整できる。
【0056】
具体的には、モータ4を上げるときには、第一部材51に対する第二部材52の固定が解除された状態で、各押上げ部材Bを軸周りに回転させて上昇させることで、該押上げ部材Bの先端が支持部521(第二部材52)に当接した状態で該支持部521を押し上げる。これにより、モータ4が上昇する。一方、モータ4を下げるときには、第一部材51に対する第二部材52の固定が解除された状態で、各押上げ部材Bを軸周りに回転(モータ4を上げるときと逆回転)させて下降させることで、モータ4、モータ連結部材54、支持部521の自重により、支持部521が押上げ部材Bの先端に支持されつつ(当接した状態のままで)該押上げ部材Bと共に下降する。これにより、モータ4が下降する。
【0057】
そして、第二部材52が第一部材51に対して所望の高さ位置(相対位置)になったときに、固定部材53(ボルト531及びナット532)が締め付けられることで、第二部材52が第一部材51に対して固定される。また、押上げ部材Bと螺合する締付部材(本実施形態の例では、ナット)Nが締め付けられることで、押上げ部材Bも固定される。即ち、締付部材Nは、ダブルナット的な役割を果たす。
【0058】
延長部55は、フレーム21と連結可能な第一連結部551と、第一連結部551から上方に延びる延設部552と、延設部552の先端部に配置され且つ嵩上げ部材本体50の基部511と連結可能な第二連結部553と、を有する。本実施形態の延長部55は、開閉方向に間隔をあけて複数(本実施形態の例では、二つ)配置されている。また、本実施形態の延長部55の上下方向の寸法は、第一部材51の上下方向の寸法と同じである。
【0059】
第一連結部551は、開閉方向及び出入り方向に広がる板状の部位である。本実施形態の第一連結部551は、矩形板状であり、上下方向に貫通する少なくとも一つの穴551aを有する。この少なくとも一つの穴551aは、出入り方向に延びる長穴である。また、第一連結部551の出入り方向の寸法は、フレーム21のフランジ部212の出入り方向の寸法と同じである。
【0060】
延設部552は、上下方向から見て、起立部512及び垂下部522と交差する方向に広がる板状(平板状)である。具体的に、延設部552は、出入り方向及び上下方向に広がる板状である。即ち、延設部552は、上下方向から見て、起立部512及び垂下部522と直交する方向に広がる板状である。この延設部552は、第一連結部551の開閉方向の端部から上方に延びている。本実施形態の延設部552は、上下方向に長尺な矩形状であり、開閉方向における第一連結部551の内側(もう一方の延長部55側)の端部から上方に延びている。この延設部552の出入り方向の寸法は、第一連結部551の出入り方向の寸法と同じである。
【0061】
第二連結部553は、開閉方向及び出入り方向に広がる板状の部位である。本実施形態の第二連結部553は、延設部552の上端部から外側(もう一方の延長部55と反対側)に延びる矩形板状であり、上下方向に貫通する少なくとも一つの穴553aを有する。この少なくとも一つの穴553aは、出入り方向に延びる長穴である。第二連結部553の出入り方向の寸法は、延設部552の出入り方向の寸法と同じである。この第二連結部553は、第一部材51の基部511と重ねられた状態で、穴553aと、対応する基部511の穴511aとに挿通された連結部材57(ボルト571及びナット572)によって、該基部511に連結(固定)されている。
【0062】
ブラケット56は、開閉方向に延びるアングル部560と、アングル部560に配置される複数のリブ565と、を有する。このブラケット56は、フレーム21の上端部、詳しくは、フレーム本体211の上端部とフランジ部212とに沿ってフレーム21の内側(かご7側)に配置される(
図3参照)。
【0063】
アングル部560は、フランジ部212に沿って広がる第一部位561と、フレーム本体211に沿って広がる第二部位562と、を含む断面L字状の部位である。本実施形態の第一部位561と第二部位562とのそれぞれは、開閉方向に長尺な矩形の板状である。
【0064】
第一部位561は、フレーム21のフランジ部212が有する穴212aの数と対応する数(複数)の穴561aを有する。これら複数の穴561aは、開閉方向に間隔をあけて配置されている。具体的に、複数の穴561aのそれぞれは、フランジ部212の各穴212aと対応する位置に配置されている。各穴561aは、出入り方向に延びる長穴である。開閉方向に隣り合う二つの穴561aの中心間の距離は、フランジ部212において開閉方向に隣り合う二つの穴212aの中心間の距離と同じである。
【0065】
この第一部位561は、延長部55の第一連結部551との間にフランジ部212を挟み込んだ状態で上下方向から見て重なる第一連結部551の穴551aとフランジ部212の穴212aと第一部位561の穴561aとに挿通された連結部材(第一連結部材)57(ボルト571及びナット572)によって、第一連結部551と連結されている。
【0066】
第二部位562は、フレーム21のフレーム本体211が有する穴211aの数と対応する数(複数)の穴562aを有する。これら複数の穴562aは、開閉方向に間隔をあけて配置されている。具体的に、複数の穴562aのそれぞれは、フレーム本体211の各穴211aと対応する位置に配置されている。各穴561aは、上下方向に延びる長穴である。開閉方向に隣り合う二つの穴562aの中心間の距離は、フレーム本体211において開閉方向に隣り合う二つの穴211aの中心間の距離と同じである。
【0067】
この第二部位562は、フレーム本体211と重った状態で出入り方向から見て重なるフレーム本体211の穴211aと第二部位562の穴562aとに挿通された連結部材(第二連結部材)57(ボルト571及びナット572)によって、フレーム本体211と連結されている。
【0068】
複数のリブ565は、交差する方向に広がる板状の第一部位561と第二部位562とを接続する部位であり、第一部位561に対する第二部位562の角度を維持する。各リブ565は、上下方向及び出入り方向に広がる板状である。
【0069】
以上の嵩上げ部材5、及び嵩上げ部材5を備えたかごドア装置1によれば、嵩上げ部材5の第一連結部551がフレーム21の上端部(フランジ部212)に取り付けられた状態で該嵩上げ部材5の支持部521がモータ4を支持することで、第一連結部551と支持部521との間隔(即ち、嵩上げ部材本体50及び延長部55の上下方向における合計寸法)に相当する距離だけモータ4がフレーム21に対して高い位置に配置される。このため、モータ4をかご7の天板より上側に配置しても、かご7におけるフレーム21の配置位置を低くすることができ、その結果、かごドア3の高さ寸法を抑えることができる。即ち、かご7の出入口70の上端からかご7の天板までの間隔αを大きくすることができる(
図1参照)。
【0070】
しかも、モータ4が嵩上げ部材5を介してフレーム21に接続されているため、振動や温度変化等に起因するかご7とフレーム21との相対位置の変化が生じた場合でも、モータ4のプーリ43とフレーム21に取り付けられたプーリ23aとの間隔が変わらないため、モータ4とプーリ23aとを繋ぐベルト45の緩み等を防ぐことができる。
【0071】
また、フレーム21の配置位置を低くすることで、かごドア3の高さを抑えることができ、これにより、かごドア3の重心を低くすることができる。その結果、本実施形態のかごドア装置1のように、無端ベルト24によってかごドア3の上部を駆動して該かごドア3を開閉させる駆動方式において、かごドア3を安定して高速開閉させることが可能となる。
【0072】
本実施形態の嵩上げ部材5では、嵩上げ部材本体50がプーリ23aとモータ4(詳しくは、モータ4のプーリ43)との間隔を調整可能な間隔調整部5Aを有している。このため、嵩上げ部材5がフレーム21に取り付けられてモータ4を支持した状態でもプーリ23aとモータ4との間隔を調整することができ、これにより、モータ4の回転動力をプーリ23aに伝達する第二の無端ベルト45の緩みの解消や、モータ4のフレーム21に対する高さ位置の微調整等を行うことができる。
【0073】
また、本実施形態の嵩上げ部材では、間隔調整部5Aが、第一部材51の起立部512において上下方向に延びる第一長穴512aと、第二部材52の垂下部522における第一長穴512aと少なくとも一部が重なる位置において上下方向に延びる第二長穴522aと、第一長穴512aと第二長穴522aとを挿通することによって起立部512に対して垂下部522を上下に相対移動可能に係合させ、且つ、第一長穴512a及び第二長穴522aに基づく範囲内での任意の相対位置で垂下部522を起立部512に固定可能な固定部材53と、を有している。このため、係合状態で第一部材51と第二部材52とを相対移動させる、即ち、フレーム21(プーリ23a)とモータ4との間隔を調整することができる。これにより、フレーム21(プーリ23a)とモータ4との間隔の調整時等にモータ4又は第二部材52の落下等を防ぐことができる。
【0074】
また、本実施形態の嵩上げ部材5では、二つの固定部材53と、これら二つの固定部材53が挿通されている第一長穴512a及び第二長穴522aとの組が、水平方向に間隔をあけて複数組配置されている。このため、第一部材51(即ち、第一部材51が連結されたフレーム21)に対する姿勢を維持しつつ第二部材52(即ち、第二部材52に支持されたモータ4)を上下動(相対移動)させることができる。
【0075】
また、本実施形態の嵩上げ部材5では、起立部512と垂下部522とのそれぞれが互いに平行な状態で重なる平板状であり、前記延長部55の延設部552が、上下方向から見て、起立部512及び垂下部522と交差する方向に広がる平板状である。このように、嵩上げ部材本体50(板状の起立部512及び垂下部522)の広がる方向と交差する方向に、延長部55(板状の延設部)が広がることで、嵩上げ部材本体50に延長部55が連結された状態の嵩上げ部材5において十分な強度を確保することができる。
【0076】
また、本実施形態のかごドア装置1では、フレーム21の内側に配置されたブラケット56の第一部位561と嵩上げ部材5の第一連結部551との間にフランジ部212が挟み込まれた状態で、連結部材(第一連結部材)57によって第一部位561と第一連結部551とが連結されると共に、ブラケット56の第二部位562とフレーム本体211とが重なった状態で、連結部材(第二連結部材)57によって第二部位562とフレーム本体211とが連結される。このように、フレーム21が薄板状であっても、上端部(フランジ部212)の折れ曲がった部位にブラケット56が配置されることでフレーム21の強度を確保することができ、これにより、かご7の出入り方向(前後方向)におけるかごドア装置1(フレーム21及びその周辺部位)の寸法を抑えることができる。
【0077】
尚、本発明の嵩上げ部材、及び嵩上げ部材を備えたかごドア装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0078】
上記実施形態のかごドア装置1は、かごドア3が二枚のセンターオープン式のかごドア装置であるが、この構成に限定されない。かごドア装置1は、いわゆる片開きのかごドア装置であってもよい。また、かごドア装置1が備えるかごドア3(ドアパネル31)の数も限定されない。
【0079】
また、上記実施形態の嵩上げ部材5は、延長部55を有しているが、この構成に限定されない。嵩上げ部材5は、
図6に示すように、延長部55のない構成、即ち、嵩上げ部材本体50がフレーム21に、直接、取り付けられる構成でもよい。この場合、嵩上げ部材本体50(第一部材51)の基部511が、ブラケット56の第一部位561との間にフレーム21のフランジ部212を挟み込んだ状態で、重なっている基部511の穴511aとフランジ部212の穴212aと第一部位561の穴561aに挿通された連結部材57(ボルト571及びナット572)によって締め付けられることで、該ブラケット56(第一部位561)と連結され、これにより、嵩上げ部材本体50がフレーム21の上端部に連結(固定)される。
【0080】
かかる構成によっても、嵩上げ部材5の基部511がフレーム21の上端部に取り付けられた状態で該嵩上げ部材5の支持部521がモータ4を支持することで、基部511と支持部521との間隔に相当する距離だけモータ4がフレーム21に対して高い位置に配置されるため、モータ4をかご7の天板より上側に配置しても、かご7におけるフレーム21の配置位置を低くすることができ、これにより、かごドア3の高さ寸法を抑えることができる。
【0081】
また、上記実施形態の嵩上げ部材5では、上下方向における第一部材51の寸法と延長部55の寸法とが同じであるが、異なっていてもよい。
【0082】
また、上記実施形態の嵩上げ部材5は、二つの延長部55を有しているが、この構成に限定されない。嵩上げ部材5は、一つの延長部55、又は三つ以上の延長部55を有していてもよい。
【0083】
また、上記実施形態の嵩上げ部材5は、間隔調整部5Aを有しているが、無くてもよい。この場合、例えば、嵩上げ部材本体50は、基部511と、支持部521と、上下方向に延びて基部511と支持部521とを接続する接続部と、を有する構成であってもよい。
【0084】
また、間隔調整部5Aの具体的な構成は限定されない。即ち、第一部材51の起立部512に係合した状態で第二部材52の垂下部522が上下に相対移動可能であり、且つ、所望の相対位置で垂下部522を起立部512に固定可能な構成であればよい。
【0085】
また、上記実施形態の嵩上げ部材5では、間隔調整部5Aを構成する第一長穴512aと第二長穴522aとに、二つの固定部材53(ボルト531)が挿通されているが、この構成に限定されない。出入り方向から見て重なっている第一長穴512aと第二長穴522aとに、一つ又は三つ以上の固定部材53が挿通される構成でもよい。また、上記実施形態の嵩上げ部材5では、第一長穴512aと、第二長穴522aと、これら第一長穴512a及び第二長穴522aに挿通される固定部材53との組は、二つであるが、一つ又は三つ以上でもよい。
【0086】
また、上記実施形態の嵩上げ部材5では、第一部材51の起立部512及び第二部材52の垂下部522の広がる方向と、延長部55の延設部552の広がる方向とが、上下方向から見て直交しているが、この構成に限定されない。強度の観点からは、起立部512及び垂下部522の広がる方向と、延設部552の広がる方向とが、上下方向から見て交差していればよい。また、嵩上げ部材本体50及び延長部55において十分な強度がそれぞれ確保されている等の場合には、起立部512及び垂下部522の広がる方向と、延設部552の広がる方向とは、上下方向から見て平行であってもよい。
【0087】
また、上記実施形態のかごドア装置1では、部材同士が、ボルト571、又はボルト571及びナット572によって連結されているが、リベット等の他の連結部材によって連結されてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1…かごドア装置、2…フレーム部、21…フレーム、211…フレーム本体、211A…組、211a…穴、211t…上端、212…フランジ部、212A…組、212a…穴、22…レール、23a、23b…プーリ、231…回転軸、24…第一の無端ベルト、3…かごドア、31…ドアパネル、32…ドアハンガー、33…中間部材、4…モータ、41…モータ本体、42…出力軸、43…プーリ、45…第二の無端ベルト、5…嵩上げ部材、5A…間隔調整部、50…嵩上げ部材本体、51…第一部材、511…基部、511a…穴、512…起立部、512a…第一長穴、513…鍔部、513a…穴、52…第二部材、521…支持部、521a…穴、522…垂下部、522a…第二長穴、53…固定部材、531…ボルト、532…ナット、54…モータ連結部材、541…支持部連結部、541a…穴、542…モータ連結部、542a、542b…穴、543…補強部、55…延長部、551…第一連結部、551a…穴、552…延設部、553…第二連結部、553a…穴、56…ブラケット、560…アングル部、561…第一部位、561a…穴、562…第二部位、562a…穴、565…リブ、57…連結部材、571…ボルト、572…ナット、6…昇降路、7…かご、70…出入口、71…前壁、100…かごドア装置、101…ドアパネル、102…ドアハンガー、103…レール、104…第一の無端ベルト、105a、105b…プーリ、106…フレーム、107…第二の無端ベルト、108…モータ、108a…出力軸、108b…モータ本体、109…かご、109a…出入口、B…押上げ部材、N…締付部材
【手続補正書】
【提出日】2021-03-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路を昇降するかごの出入口の上方に配置されるフレームであって、かごドアを開閉方向に案内するレールと前記かごドアの開閉駆動に用いられるプーリとが配置されるフレームの上端部に取り付け可能な嵩上げ部材本体を備え、
前記嵩上げ部材本体は、
前記フレームに連結可能な基部と該基部から上方向に延びる起立部とを有する第一部材と、
ベルトを介して前記プーリを駆動させるモータを前記基部に対して上方に間隔をあけた位置で支持可能な支持部と該支持部から下方に延びる垂下部とを有し、該垂下部が水平方向から見て前記起立部と重なった状態で前記第一部材に固定される第二部材と、
前記プーリと前記モータとの間隔を調整可能な間隔調整部と、を有し、
前記間隔調整部は、
前記起立部が有し且つ上下方向に延びる第一長穴と、
前記垂下部が有し且つ前記第一長穴と少なくとも一部が重なる位置において上下方向に延びる第二長穴と、
前記第一長穴と前記第二長穴とを挿通することによって前記起立部に対して前記垂下部を上下に相対移動可能に係合させ、且つ、前記第一長穴及び前記第二長穴に基づく範囲内での任意の相対位置で前記垂下部を前記起立部に固定可能な固定部材と、を有する、嵩上げ部材。
【請求項2】
前記第一長穴と前記第二長穴と前記固定部材との組は、水平方向に間隔をあけて複数組配置されている、請求項1に記載の嵩上げ部材。
【請求項3】
前記嵩上げ部材本体の前記基部に連結可能な延長部を備え、
前記起立部と前記垂下部とのそれぞれは、互いに平行な状態で重なる平板状であり、
前記延長部は、前記フレームと連結可能な第一連結部と、該第一連結部から上方に延びる延設部と、該延設部の先端部に配置され且つ前記基部と連結可能な第二連結部と、を有し、
前記延設部は、上下方向から見て、前記起立部及び前記垂下部と交差する方向に広がる平板状である、請求項1又は2に記載の嵩上げ部材。
【請求項4】
昇降路を昇降するかごの出入口を開閉するかごドアと、
前記かごの出入口の上方に配置されるフレーム、該フレームに配置され且つ前記かごドアを開閉方向に案内するレール、及び該フレームに配置され且つ前記かごドアの開閉駆動に用いられるプーリを有するフレーム部と、
請求項1~3のいずれか1項に記載の嵩上げ部材と、
前記嵩上げ部材に支持され且つベルトを介して前記プーリを駆動させるモータと、を備える、かごドア装置。
【請求項5】
前記フレームは、
前記かごの前記出入口の上方で上下方向及び前記開閉方向に広がる板状で且つ上端が前記開閉方向に沿って直線状に延びるフレーム本体と、
前記フレーム本体の前記上端から前記開閉方向及び前記かごの後方側に広がる板状のフランジ部と、を有し、
前記嵩上げ部材は、
前記フランジ部に沿って広がる第一部位と前記フレーム本体に沿って広がる第二部位とを含む断面L字状のアングル部、及び前記第一部位と前記第二部位とを接続して該第一部位に対する該第二部位の角度を維持するリブ、を有するブラケットと、
前記第一部位と前記嵩上げ部材の前記基部との間に前記フランジ部を挟み込んだ状態で該第一部位と該基部とを連結する第一連結部材と、
前記第二部位と前記フレーム本体とを連結する第二連結部材と、を有する、請求項4に記載のかごドア装置。
【請求項6】
昇降路を昇降するかごの出入口を開閉するかごドアと、
前記かごの出入口の上方に配置されるフレーム、該フレームに配置され且つ前記かごドアを開閉方向に案内するレール、及び該フレームに配置され且つ前記かごドアの開閉駆動に用いられるプーリを有するフレーム部と、
前記フレームの上端部に取り付けられる嵩上げ部材本体を有する嵩上げ部材と、
前記嵩上げ部材に支持され且つベルトを介して前記プーリを駆動させるモータと、を備え、
前記嵩上げ部材本体は、前記フレームに連結可能な基部と、ベルトを介して前記プーリを駆動させるモータを前記基部に対して上方に間隔をあけた位置で支持可能な支持部と、を有し、
前記フレームは、
前記かごの前記出入口の上方で上下方向及び前記開閉方向に広がる板状で且つ上端が前記開閉方向に沿って直線状に延びるフレーム本体と、
前記フレーム本体の前記上端から前記開閉方向及び前記かごの後方側に広がる板状のフランジ部と、を有し、
前記嵩上げ部材は、
前記フランジ部に沿って広がる第一部位と前記フレーム本体に沿って広がる第二部位とを含む断面L字状のアングル部、及び前記第一部位と前記第二部位とを接続して該第一部位に対する該第二部位の角度を維持するリブ、を有するブラケットと、
前記第一部位と前記嵩上げ部材の前記基部との間に前記フランジ部を挟み込んだ状態で該第一部位と該基部とを連結する第一連結部材と、
前記第二部位と前記フレーム本体とを連結する第二連結部材と、を有する、かごドア装置。