(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089284
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】空気調和機の室外機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/24 20110101AFI20220609BHJP
【FI】
F24F1/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201565
(22)【出願日】2020-12-04
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100083404
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 拓也
(72)【発明者】
【氏名】滝 英司
(57)【要約】
【課題】制御基板が小さいシングル型の室外機としてだけでなく、制御基板が大きいマルチ型の室外機にも適用できる空気調和機の室外機を提供する。
【解決手段】直方体形状の筐体を有し、上記筐体内に制御基板70が配置される空気調和機の室外機において、上記制御基板71を、冷却を要する発熱部品が搭載される第1基板(インバータ基板)710と、冷却を要しない非発熱部品が搭載される第2基板(メイン基板)730の2枚構成とし、放熱用のヒートシンク711を配置した上記第1基板710を支持する第1支持部(基板ホルダ)712と、同第1支持部と離間して上記第2基板を支持する第2支持部(支持ブラケット)740とを備える。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体形状の筐体を有し、上記筐体内に制御基板が配置される空気調和機の室外機において、
上記制御基板を、冷却を要する発熱部品が搭載される第1基板と、冷却を要しない非発熱部品が搭載される第2基板の2枚構成とし、放熱用のヒートシンクを配置した上記第1基板を支持する第1支持部と、同第1支持部と離間して上記第2基板を支持する第2支持部とを設けたことを特徴とする空気調和機の室外機。
【請求項2】
上記筐体内が仕切板によって熱交換器および送風機が配置される送風機室と圧縮機が配置される機械室とに区画されており、上記第2支持部は上記仕切板と、同仕切板と対向する上記筐体の側面パネルとをつなぐように配置されることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室外機。
【請求項3】
上記第1基板が上記機械室の上部に配置され、上記第2基板が上記筐体の前面パネルと対向する位置に配置されているとを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和機の室外機に関し、さらに詳しく言えば、複数台の室内機が接続されるマルチ型の室外機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室外機(以下、単に「室外機」ということがある)には、圧縮機(多くの場合インバータ制御による可変速型の圧縮機)や膨張弁、四方弁等が搭載されている。そのため、室外機内には、これらの機器を制御する制御部や、室内機との通信を行うための入出力回路等を有する制御基板が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、空気調和機の室外機には、1台の室内機が接続されるシングル型の室外機と複数台の室内機が接続されるマルチ型の室外機とが知られている。複数台の室内機が接続されるマルチ型の室外機の場合、例えば接続される室内機が5台であるとすると、室内機との通信を行うための入出力回路が、シングル型の室外機に比べて、5倍必要となり、制御基板が大型化してしまう。
【0004】
このような場合、制御基板が小さいシングル型の室外機を制御基板が大きいマルチ型の室外機に適用できれば、室外機に用いる部品が共通化できるため、それぞれの室外機の製造コストを下げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、制御基板が小さいシングル型の室外機としてだけでなく、制御基板が大きいマルチ型の室外機にも適用できる空気調和機の室外機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、直方体形状の筐体を有し、上記筐体内に制御基板が配置される空気調和機の室外機において、
上記制御基板を、冷却を要する発熱部品が搭載される第1基板と、冷却を要しない非発熱部品が搭載される第2基板の2枚構成とし、放熱用のヒートシンクを配置した上記第1基板を支持する第1支持部と、同第1支持部と離間して上記第2基板を支持する第2支持部とを設けたことを特徴としている。
【0008】
本発明には、上記筐体内が仕切板によって熱交換器および送風機が配置される送風機室と圧縮機が配置される機械室とに区画されており、上記第2支持部は上記仕切板と、同仕切板と対向する上記筐体の側面パネルとをつなぐように配置される態様が含まれる。
【0009】
また、上記第1基板が上記機械室の上部に配置され、上記第2基板が上記筐体の前面パネルと対向する位置に配置される態様も本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、制御基板が小さいシングル型の室外機としてだけでなく、制御基板が大きいマルチ型の室外機にも適用できる空気調和機の室外機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る空気調和機の室外機を示す外観斜視図。
【
図2】上記室外機から前面、側面および上面の各パネルを外してその内部構造を示す斜視図。
【
図4】上記室外機の側面に配置される電源端子盤と配管接続ユニットを示す側面図。
【
図5】上記電源端子盤に電源コードを接続した状態を示す
図4と同様な側面図。
【
図6】
図5における上記電源端子盤に対する電源コード接続部の拡大図。
【
図8】上記電源端子盤に端子盤カバーを取り付けた状態を示す斜視図。
【
図9】上記端子盤カバー、延焼防止用の金属カバーおよび側面パネルを分離して示す斜視図。
【
図10】上記室外機が備えるコードクランプを示す斜視図。
【
図14】上記室外機が備える緩衝ブロックを熱交換器に取り付けた状態を前面側から見た斜視図。
【
図15】上記緩衝ブロックを熱交換器から外した状態を前面側から見た斜視図。
【
図17】上記室外機が備える制御基板を下方から見た斜視図。
【
図19】上記制御基板に含まれているメイン基板と支持ブラケットを分離した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照しながら、本発明のいくつかの実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0013】
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る室外機1は、直方体形状の筐体10を備えている。すなわち、筐体10は底面、前面、背面、左側面、右側面および上面の6面を有し、
図1には、このうちの前面と左側面に配置される前面パネル11、右側面と背面の一部に配置される右側面パネル12(
図2参照)および上面に配置される上面パネル13が示されている。
【0014】
図2には、筐体10の底面に配置されるベース基板14が示されている。室外機1の内部はベース基板14に立設された仕切板16によって、圧縮機171やアキュムレータ172等が収納される機械室17と、熱交換器180および送風ファン190を有する送風機室18とに区画されている。
【0015】
図1ないし
図4を参照して、筐体10の側面パネル12側に、配管接続ユニット20が配置されている。また、側面パネル12には、後述する基板収納部30の開口(以下、開口面301ともいう)が設けられている。配管接続ユニット20と基板収納部30の開口面301は、配管カバー15にて覆われている。配管カバー15は取り外し可能である。
【0016】
なお、配管接続ユニット20と基板収納部30は、筐体10の左側面側に配置されてもよく、いずれにしても、配管接続ユニット20と基板収納部30とを筐体10の同じ側面側に近接して配置する態様は、当該室外機1の小型化に寄与するとともに、メンテナンス等を行いやすくなる。
【0017】
この室外機1は、図示しない5台の室内機が接続可能なマルチ型の室外機である。そのため、配管接続ユニット20には室内機5台分の接続弁等が設けられている。また、基板収納部30には、電源端子盤31と表示基板33とが収納されている。電源端子盤31と表示基板33は、基板収納部30の開口面301から視認できるように配置(以下、開口面301と対向するように配置、ともいう)されている。従って、作業者は基板収納部30の開口面301から電源端子盤31にアクセスすることができ、表示基板33を操作することもできる。
【0018】
電源端子盤31には、6つの端子台32(32a~32f)が設けられている。
図5と
図7を参照して、このうち、端子台32aが当該室外機1の主電源コードMCが接続される主電源用の端子台で、残りの端子台32b~32fが室内機の電源コードSC(SC1~SC5)が接続される室内機用の端子台である。主電源コードMCは図示しない外部から室外機1に電力を供給する。
【0019】
本実施形態において、電源端子盤31は上下2段配置となっており、下段には4つの端子台32a~32dが横並びに配置された端子台列を有する。また、上段には2つの端子台32e,32fが横並びに配置された端子台列を有している。
【0020】
このほか、電源端子盤31の上段には、端子台32fの脇に表示基板33が配置されている。表示基板33は実質的な機能設定基板で、例えば静粛運転、省エネ運転、試運転等の運転モードを室外機1に設定するためのスイッチ群331を備えている。また、この表示基板33には、運転モード等を表示するLED等の表示器332が設けられている。
【0021】
〔端子盤カバー〕
表示基板33は作業者によって操作される。室外機1の小型化に伴って、表示基板33と端子台32は近接して配置されると両者の間隔が狭くなり、表示基板33の操作時に誤って高電圧がかかる主電源コード等が接続される端子台32に接触するおそれがある。
【0022】
そこで、この室外機1は
図8,
図9に示す端子盤カバー40を備えている。この端子盤カバー40は、端子台32(32a~32f)を覆うように、側面パネル12に設けられるが、端子盤カバー40の一部分に切欠部41が形成されている。端子盤カバー40が設けられていても、この切欠部41が形成されていることにより、作業者は端子盤カバー40を外すことなく表示基板33を操作することができる。
【0023】
本実施形態において、端子盤カバー40の下部の左右2箇所に側面パネル12側に形成されている係合溝122に係合する係合爪421が設けられているとともに、端子盤カバー40の一方の側辺にはネジ挿通孔422が穿設されている。
【0024】
これにより、端子盤カバー40は、前記係合爪421を前記係合溝122に係合してネジ挿通孔422の部分を雄ネジ423でネジ止めすることにより、電源端子盤31を覆い側面パネル12に取り付けられるが、表示基板33へは切欠部41を介してアプローチ可能である。
【0025】
したがって、表示基板33を操作する際、誤って端子台32に接触することを防止することができる。なお、端子台32を操作する場合には、雄ネジ423を外すだけで、端子盤カバー40を簡単に取り外すことができる。
【0026】
端子盤カバー40は板金製で、端子台32に対応する部分に通風用のルーバー424が形成されていることが好ましい。
【0027】
図1に示すように、配管接続ユニット20と基板収納部30の開口面301は、配管カバー15によって覆われるが、
図9に示すように、配管カバー15の内面で端子盤カバー40に対応する部分には延焼防止用の金属カバー430が設けられる。
【0028】
より具体的には、金属カバー430は端子盤カバー40の切欠部41に対応する部分(切欠覆い部432)が設けられ、切欠部41を覆うように設けられる。端子盤カバー40は端子台32(32a~32f)を覆うとともに、基板収納部30の開口面301も覆う。しかし、端子盤カバー40には切欠部41が設けられているため、開口面301全体を覆うことできない。一方、金属カバー430は切欠部41を覆うため、切欠部カバーとしての機能も持つ。従って、端子盤カバー40と切欠部カバーである金属カバー430とで、基板収納部30の開口面301全体を覆うことができる。
【0029】
これにより、端子盤カバー40を難燃性の材料(例えば金属)で形成すれば、金属カバー430と合わせて延焼防止用のカバーを構成できる。なお、端子盤カバー40は側面パネル12から所定の距離だけ離れるように、係合爪421などが設けられた箇所から立ち上がるように形成され、これにより、端子台32(32a~32f)を覆いつつ、電源コードとの絶縁距離が保たれる。
【0030】
なお、配管カバー15には通風用の開口部151が形成されているとともに、金属カバー430にも通風用の開口部431が設けられている。これによれば、送風ファン190の運転により外気が通風用の開口部151,431および端子盤カバー40のルーバー424を通って電源端子盤31側に流れて、電源端子盤31の冷却が行われる。
【0031】
〔コードクランプ〕
上記したように、電源端子盤31には、主電源コードMCの他に、室内機5台分の電源コードSC(SC1~SC5)が接続されるため、これら室内機の5本の電源コードSCをコードクランプにて束ねて所定部位(電源端子盤31もしくはその近傍)に固定する必要があるが、当該室外機1の小型化に寄与するため、コードクランプはその長さがより短いことが好ましい。
【0032】
図10ないし
図13を参照して、そのためのコードクランプとして、この室外機1ではコードクランプ50を用いる。なお、このコードクランプ50は室内機の電源コードSC用で、主電源コードMCについては例えば
図6に示すように1本のコード用のコードクランプ501が用いられる。
【0033】
本実施形態に係るコードクランプ50は、電源端子盤31もしくはその近傍に取り付けられる下部クランプ510と、下部クランプ510との間で電源コードSCを挟持するように下部クランプ510に押しつけられる上部クランプ530とを備えている。下部クランプ510と上部クランプ530はともに長尺形状でほぼ同じ長さである。
【0034】
下部クランプ510と上部クランプ530との間は、仕切用の脚部550によって複数のコード挟持部に区画されているが、本実施形態では、その脚部550の数を減らすことによってよりコードクランプ50の長手方向(以下、コードクランプ50の左右ともいう)の長さを短くしている。
【0035】
5本用のコードクランプを例にして説明すると、従来では5つのコード挟持部を形成するため、仕切用の脚部550を4つ必要としているが、本実施形態では、仕切用の脚部550を2つとして、脚部の数を半分にすることにより、その分、コードクランプの長さを短くしている。
【0036】
すなわち、本実施形態に係るコードクランプ50では、下部クランプ510と上部クランプ530との間に、1本の電源コードSCを挟持する1本用挟持部51aを1つと、2本の電源コードSCを横に並べた状態で同時に束ねる2本用挟持部51bを2つ設けている。これによれば、仕切用の脚部550は2つで足りることから、脚部550の2個分の幅だけコードクランプ50の左右の長さが短くなる。
【0037】
下部クランプ510の両端には、ネジ挿通孔511,511が穿設されている。また、下部クランプ510の両端には、係止爪513,513が設けられている。下部クランプ510の両端に設けたネジ挿通孔511,511の間の部分(以下、下部クランプ510の中間部分ともいう)で脚部550,550に対応する部分には脚部挿通用の開口部512,512が形成されている。
【0038】
上部クランプ530の両端には、前記ネジ挿通孔511,511と同軸に位置合わせされるネジ挿通孔531,531が穿設されている。また、上部クランプ530の両端には、側面パネル12に係止される係止爪532,532が設けられている。
【0039】
脚部550,550は、それぞれ、前記開口部512内に入り込む小径の頭部551aと、頭部551aよりも大径で前記開口部512の周縁に当接する当接部551bとを含む固定部551を備えている。固定部551には、ネジ挿通孔552が穿設されている。
【0040】
図12,13に示すように、コードクランプ50が取り付けられる側面パネル12には、前記ネジ挿通孔511,511およびネジ挿通孔552,552に対応する部位にそれぞれ雌ネジ孔121が形成されている。
【0041】
また、側面パネル12には、前記下部クランプ510の係止爪513の相手となる係止孔123が形成されている。なお、側面パネル12には、前記上部クランプ530の係止爪532の相手となる係止孔も形成されているが、これについては図示が省略されている。
【0042】
コードクランプ50の取り付けにあたっては、まず、下部クランプ510の係止爪513を側面パネル12の係止孔123に係止させて下部クランプ510を側面パネル12に仮固定し、電源コードSCを所定の挟持部に配線する。
【0043】
次に、上部クランプ530を下部クランプ510にあてがい、ネジ挿通孔511とネジ挿通孔531とを位置合わせするとともに、脚部550の頭部551aと開口部512とを位置合わせして、係止爪532にて側面パネル12に仮固定した後、4本の雄ネジ502を両端のネジ挿通孔511,531と固定部551のネジ挿通孔552に挿通して各雄ネジ502を雌ネジ孔121にねじ込む。これにより、下部クランプ510が上部クランプ530とともに側面パネル12に固定される。
【0044】
次に、
図5と
図6により、電源コードSCの好ましい配線の仕方について説明する。前記したように、本実施形態に係るコードクランプ50は、1つの1本用挟持部51aと、2つの2本用挟持部51bを備えている。なお、
図5と
図6において、一方の左側の2本用挟持部を51bL,他方の右側の2本用挟持部を51bRとする。
【0045】
1本用挟持部51aには、直近の端子台32dに接続される電源コードSC3を挿通する。2本用挟持部51bには、上段側の端子台に接続される電源コードと、下段側の端子台に接続される電源コードを一対として挿通する。
【0046】
本実施形態では、左側の2本用挟持部51bLには、下段側で直近の端子台32cに接続される電源コードSC2と、上段側の端子台32e,32fのうち、左側に配置されている端子台32fに接続される電源コードSC5を挿通する。
【0047】
なお、上段側の端子台32fは下段側の端子台32bよりも左側で、かつ、端子台32cよりも右側に配置される。このため、電源コードSC5は2本用挟持部51bLに挿通した後に電源コードSC2や電源コードSC1と交差せずに配線できる。また、端子台32cよりも右側に端子台32fが上段側に配置されることで、電源コードSC5を過度に曲げることなく配線できる。
【0048】
右側の2本用挟持部51bRには、下段側で直近の端子台32bに接続される電源コードSC1と、上段側で右側に配置されている端子台32eに接続される電源コードSC4を挿通する。なお、上段側の端子台32eは下段側の端子台32aよりも左側で、かつ、端子台32bよりも右側に配置される。このため、電源コードSC4は2本用挟持部51bRに挿通した後に電源コードSC1や電源コードMCと交差せずに配線できる。また、端子台32bよりも右側に端子台32eが上段側に配置されることで、電源コードSC4を過度に曲げることなく配線できる。
【0049】
このように配線することにより、5本の電源コードSCを交差させることなく端子台に接続できる。また、2本用挟持部51bに挿通した電源コードを過度な曲げることなく整然と配線することができる。なお、電源コード以外の通信線のような電気コードであってもよい。また、電源コードを強固に挟持できればよく、3本以上を挟持するようにしてもよい。
【0050】
〔緩衝ブロック〕
再び
図2を参照して、この室外機1は、最大で5台の室内機が接続されることから、大きな空調能力が要求される。そのため、熱交換器180には、多列構成、本実施形態では外側列、中間列および内側列の3列構成の熱交換器が用いられている。各列の熱交換器はともに冷媒配管を板状のフィンに挿通して構成されたフィンチューブ型熱交換器である。
【0051】
外側列の熱交換器を181,中間列の熱交換器を182,内側列の熱交換器を183として、各列ともに、筐体10内の背面から側面に沿うようにL字状に形成されているが、側面に沿った幅Wは、外側列の熱交換器181と中間列の熱交換器182はほぼ同じであるが、
図2と
図15に示すように、内側列の熱交換器183の幅Wは、外側列の熱交換器181や中間列の熱交換器182よりも短い。
【0052】
そのため、筐体10の前面に対して内側列の端部183aが外側列や中間列の端部181a,182aよりも距離的に離れている。すなわち、筐体10の前面から見て、内側列の端部183aは外側列や中間列の各端部181a,182aよりも奥まった所に位置している。各列の端部181a,182a,183aには、それぞれ、U字管181b,182b,183bが設けられている。
【0053】
このように、熱交換器180を多列構成とする場合、これらを一体化して強度を上げる必要がある。そのため、通常では各列の先端部分(端部)を結束バンド等のバインダーや固定具で固定するようにしているが、前記のように各列の端部に段差があると、その固定作業が難しい作業となる。
【0054】
そこで、
図14ないし
図16を参照して、単に各列の熱交換器181,182,183の端部181a,182a,183aに嵌め込むだけで、各列の熱交換器181,182,183を一体化することができる緩衝ブロック60を備える。
【0055】
本実施形態において、緩衝ブロック60は発泡スチロール製で、前面パネル11の裏面と熱交換器180の端部との間に配置される。緩衝ブロック60は、一方の面に前面パネル11の裏面に対する当接面610を有し、他方の面側に、外側列の熱交換器181および中間列の熱交換器182の各端部181a,182aに対向する第1対向面(第1係合面)621と、内側列の熱交換器183の端部183aに対向する第2対向面(第2係合面)622とを備えている。緩衝ブロック60は、多列の熱交換器のうち、幅Wが長い熱交換器と嵌合する第1嵌合溝と、幅Wが短い熱交換器と嵌合する第2嵌合溝とを備える。
【0056】
図16に示すように、第1対向面621には、第1嵌合溝として、外側列の熱交換器181の端部181aに設けられているU字管181bが嵌合する嵌合溝631と、中間列の熱交換器182の端部182aに設けられているU字管182bが嵌合する嵌合溝632とが形成されている。また、第2対向面622には、第2嵌合溝として、内側列の熱交換器183の端部183aに設けられているU字管183bが嵌合する嵌合溝633が形成されている。
【0057】
熱交換器180の各列をL字状に折り曲げ加工する際、
図2に示すように、内側列の熱交換器183は外側列の熱交換器181よりも曲がり具合がきつくなる(言い換えれば、内側列の熱交換器の曲率が外側列の熱交換器181の曲率よりも大きくなる)。従って、曲げ加工する際に内側列の熱交換器183の曲げ部分に生じる応力(圧縮応力と引張応力)も大きくなり、曲げ加工後に元に戻ろうと曲げ部分が開く、いわゆるスプリングバックが起きやすい。そこで、内側列の熱交換器183はスプリングバックを考慮して曲げ部分の角度を90度よりも小さな角度になるまで折り曲げられる。その結果、内側列の熱交換器183のU字管183bは、曲げ部のスプリングバックの程度により、曲げ加工後の位置がバラツキやすい。これに対応するため、嵌合溝633の溝幅Waを他の嵌合溝631,632の幅Wbよりも大きくしている。
【0058】
また、前記第2対向面622から当接面610までの距離L2は、第1対向面621から当接面610までの距離L1よりも長く形成される。これにより、内側列の熱交換器183の端部183aが外側列の熱交換器181や中間列の熱交換器182の各端部181a,182aよりも背面側に奥まった所に位置していても、緩衝ブロック60により各列の熱交換器181,182,183を一体化することができる。
【0059】
また、距離L2が長いことで、室外機1の搬送時などに誤って室外機1が前面パネル11側を下にするように倒れた場合でも熱交換器183(特にU字管)を保護できる。室外機1が前面パネル11側を下にするように倒れた場合、各熱交換器181~183は、内側列の熱交換器183を下にして、外側列の熱交換器181と中間列の熱交換器182の背面側部分がその上に重なるように倒れることになる。このとき、内側列の熱交換器183には外側列と中間列の熱交換器181,182の重量が加わり、緩衝部材60の第2対向面622側には大きな衝撃が加わる。ここで、第2対向面622から当接面610までの距離L2が長く形成されることにより、緩衝部材60の体積が増え、その衝撃を吸収することができ、熱交換器183(特にU字管)が保護される。
【0060】
この緩衝ブロック60によれば、単に熱交換器180の端部に嵌合するだけの作業で、外側列、中間列および内側列の各熱交換器181,182,183を一体化することができる。また、製造工程での例えば搬送時の衝撃等により熱交換器180が前面側に倒れ込んでも管端のU字管を保護することができる。
【0061】
〔制御基板〕
本実施形態に係る室外機1は、シングル型の室外機をベースとして室内機を例えば5台まで接続可能としたマルチ型の室外機である。シングル型の室外機の場合には、インバータ制御部と、膨張弁や通信系等を制御するメイン制御部を1枚の制御基板内に収めることができる。
【0062】
しかしながら、室内機の接続台数が増えると、その分、特にメイン制御部の入出力が増えるため基板サイズが大型になる。制御基板の配置構造を新たに作り直すには、その設置場所を含めて設計変更を要するためコストアップとなる。そのため、本発明では、シングル型の室外機の制御基板の配置構造を利用して共通化をはかり、コストアップを最小限にとどめる。
【0063】
共通化を図るにあたり、制御基板を少なくとも2つの基板に分割する。具体的にはヒートシンクによる冷却が必要な発熱部品を搭載する第1基板と、ヒートシンクによる冷却が必要ない部品(非発熱部品)を搭載する第2基板とに分割する。第1基板は第1支持部で支持される。そして、第2支持部は第1支持部と離間して配置する。
【0064】
図2および
図3を参照して、本実施形態において、制御基板70は機械室17の上部に配置される。制御基板70は、第1基板としてのインバータ基板710と、第2基板としてのメイン基板730の2枚の基板を備えている。インバータ基板710は、シングル型室外機で用いられているインバータ基板とサイズ的に同じ基板であり、基板の支持構造や発熱部品の放熱構造は共通化しているが、搭載される部品はシングル型室外機と必ずしも同じではない。メイン基板730が、マルチ型用として新たに用意された基板である。
【0065】
図17ないし
図20を併せて参照して、インバータ基板710には、IPM(インテリジェントパワーモジュール)や整流用の大型電解コンデンサ等の冷却を要する発熱部品が搭載される。そのため、インバータ基板710には、ヒートシンク711が設けられている。
図3において、ヒートシンク711はインバータ基板710の左端(後端)側に配置され、インバータ基板710の右端(前端)側には電源端子盤31が配置されている。このインバータ基板710は室外機に搭載される圧縮機171を駆動するための基板である。
【0066】
インバータ基板710は、シングル型室外機と同じく仕切板16の上端で支えられ、第1支持部としての基板ホルダ712により支えられる。インバータ基板710は、発熱部品が載置される面(以下、表面)を下にした状態で、基板ホルダ712に支持される。基板ホルダ712はインバータ基板710の外周縁を爪部7121で押さえて支持する。基板ホルダ712は仕切板16および送風ファン190のモータブラケット191にネジ止めされる。その際、ヒートシンク711はその放熱効果を高めるうえで仕切板16を乗り越えて送風機室18内に配置される。また、電源端子盤31は基板収納部30内に配置される。
【0067】
メイン基板730には、膨張弁や四方弁等の制御回路、冷媒配管のサーミスタによる測温回路や室内機との通信回路等が設けられている。メイン基板730はヒートシンクによる冷却を要しない部品(非発熱部品)が搭載された基板である。また、メイン基板730には、差し込み式のコネクタ731が設けられている。
【0068】
メイン基板730は、第2支持部としての支持ブラケット740で支持される。メイン基板730のインバータ基板710に対する取り付け位置は、メンテナンス性を考慮してサービスパネル側、本実施形態では前面パネル11側とする。メイン基板730を前面パネル11に対向するように配置することによりメイン基板730のメンテナンス性を高めることができる。具体的には、前面パネル11を取り外すことにより、メイン基板730に容易にアプローチすることができる。
【0069】
詳しくは図示されていないが、支持ブラケット740は、その上部の左右2箇所でインバータ基板710にネジ止めされ、インバータ基板710と一体として扱われる。
【0070】
支持ブラケット740は仕切り板16と側面パネル12をつなぐように配置される。支持ブラケット740は、
図17において左側(
図18,19において右側)に仕切板16に対する係止爪742とネジ止め部743とを有し、
図3に示すように、係止爪742を仕切板16に形成されている図示しない係止溝に係止し、ネジ止め部743を仕切板16にネジ止めされる。支持ブラケット740は、
図20おいて側面パネル12にネジ止めされる。このようにすることにより、支持ブラケット740は仕切り板16と側面パネル12をつなぐように配置されるため、支持ブラケット740自体が筐体10の内部で強固に固定される。従って、差し込み式のコネクタ731の操作時にメイン基板730が撓まないように、その全体が強固に固定される。なお、支持ブラケット740が仕切り板16と側面パネル12をつなぐように配置されることで、筐体10の内部の強度も高められる。つまり、支持ブラケット740は筐体10の補強部材としても機能する。
【0071】
図19はメイン基板730と支持ブラケット740とを
図18と同じく180゜反転した状態で分離して示す斜視図であり、これによると、支持ブラケット740の基板支持面740a側には、メイン基板730を支持ブラケット740に対して所定の間隔をもって固定するスペーサ兼用の基板固定具744と、メイン基板730と支持ブラケット740との間隔を保持するスペーサ745とが設けられている。
【0072】
本実施形態において、基板固定具744はメイン基板730の四隅に対応した4箇所に配置されており、スペーサ745はその複数個(この例では6個)がメイン基板730の裏面に当接するように配置されている。スペーサ745の配置は任意に選択されてよい。
【0073】
メイン基板730の四隅には、基板固定具744の頭部が嵌合して係止される係止孔732が穿設されている。
図19には右側の2つの係止孔732のみが示されており、左側の係止孔は図示されていない。
【0074】
これによれば、メイン基板730は、その四隅が支持ブラケット740に対して基板固定具744により所定の間隔をもって固定されるとともに、中央部分と支持ブラケット740との間隔がスペーサ745によって保持される。
【0075】
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。当業者であるならば上記実施形態に加えられる変更もしくは改良も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1 室外機
10 筐体
11 前面パネル
12 側面パネル
13 上面パネル
14 ベース基板
15 部品取付基板
16 仕切板
17 機械室
18 送風機室
180(181,182,183) 熱交換器
20 配管接続ユニット
30 基板収納部
31 電源端子盤
32(32a~32f) 端子台
33 表示基板
40 端子盤カバー
41 切欠部
430 延焼防止用の金属カバー
50 コードクランプ
51a 1本用挟持部
51b(51bL,51bR)2本用挟持部
510 下部クランプ
530 上部クランプ
550 脚部
60 緩衝ブロック
631,632,633 嵌合溝
70 制御基板
710 第1基板(インバータ基板)
712 第1支持部(基板ホルダ)
730 第2基板(メイン基板)
740 第2支持部(支持ブラケット)