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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089356
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】薬剤供給装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20220609BHJP
【FI】
A61J3/00 310Z
A61J3/00 310E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201690
(22)【出願日】2020-12-04
(71)【出願人】
【識別番号】593129342
【氏名又は名称】株式会社タカゾノ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】薗田 將人
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA22
4C047AA25
4C047CC15
4C047CC16
4C047JJ02
4C047JJ05
4C047JJ08
4C047JJ31
4C047KK25
(57)【要約】
【課題】短い時間で必要な数量の薬剤を供給できる薬剤供給装置を提供する。
【解決手段】全数シート保管部10は、全数シート110を保管する。全数シート110には、複数個の薬剤が個別に収容されている。端数シート保管部20は、全数シート110の一部が切りとられた端数シート120を複数保管する。取出部30は、供給されるべき薬剤の個数に応じて、全数シート110と端数シート120との組み合わせを保管部から取り出す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の薬剤を個別に収容する薬剤シートを複数保管し、前記薬剤シートの一部が切りとられた端数シートを複数保管する、保管部と、
供給されるべき薬剤の個数に応じて、前記薬剤シートと前記端数シートとの組み合わせを前記保管部から取り出す、取出部と、を備える、薬剤供給装置。
【請求項2】
前記保管部は、複数の前記薬剤シートを保管する薬剤シート保管部と、複数の前記端数シートを保管する端数シート保管部と、を別個に有する、請求項1に記載の薬剤供給装置。
【請求項3】
前記取出部は、前記薬剤シートの取り出しと前記端数シートの取り出しとを並行して実行可能である、請求項2に記載の薬剤供給装置。
【請求項4】
前記端数シート保管部は、前記端数シートを一時的に保管する保管室を複数有し、
第1の種類の薬剤を収容する前記端数シートを保管する前記保管室が空になった後に、前記第1の種類とは異なる第2の種類の薬剤を収容する前記端数シートを保管可能である、請求項2または請求項3に記載の薬剤供給装置。
【請求項5】
前記保管部は、種類毎に薬剤を収容する薬剤容器を複数有し、
前記薬剤容器は、複数の前記薬剤シートを収容可能な第1収容部と、複数の前記端数シートを収容可能な第2収容部と、を有する、請求項1に記載の薬剤供給装置。
【請求項6】
前記保管部から取り出された前記薬剤シートを切断して前記端数シートとする切断部と、
前記端数シートが2個以上の薬剤を含むように前記切断部を制御する制御部と、をさらに備える、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の薬剤供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2011-193986号公報(特許文献1)には、PTP(Press Through Package)包装した薬剤を収容する薬品収容部と、薬剤を薬品収容部から出し入れする薬品移載機構と、薬剤を薬品移載機構から受けて切断する薬品切断機構と、を備えた装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-193986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数個の薬剤を個別に収容する薬剤シートの一部が切り取られた端数シートは、切られた角の部分が鋭利である。そのため、薬剤を端数シートから取り出さずに、端数シートに収容されたままの薬剤を誤って服用するという不具合を未然に防止することが求められる。特に、1個の薬剤が収容された端数シートの形態にしてしまうと、端数シートの大きさが小さくなり、誤飲する可能性が生じる。また、端数シートの大きさを小さくすることで、端数シートを紛失する可能性が高まることになる。
【0005】
また、薬剤供給装置では、調剤作業の効率化のために、より短い時間で必要な数量の薬剤を供給できることが求められている。
【0006】
本開示では、短い時間で必要な数量の薬剤を供給できる、薬剤供給装置が提案される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に従うと、保管部と、取出部とを備える、薬剤供給装置が提案される。保管部は、薬剤シートを保管する。薬剤シートには、複数個の薬剤が個別に収容されている。保管部はまた、薬剤シートの一部が切りとられた端数シートを複数保管する。取出部は、供給されるべき薬剤の個数に応じて、薬剤シートと端数シートとの組み合わせを保管部から取り出す。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る薬剤供給装置によれば、短い時間で必要な数量の薬剤を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る薬剤供給装置の模式的な正面図である。
図2】薬剤容器の変形例の模式的な正面図である。
図3】薬剤を供給する処理全体の流れを示すフロー図である。
図4】切り取り処理の流れを示す第1のフロー図である。
図5】切り取り処理の流れを示す第2のフロー図である。
図6】端数シートに含まれる薬剤の個数が1個多い場合の薬剤の供給について示す模式図である。
図7】端数シートに含まれる薬剤の個数が1個少ない場合の薬剤の供給について示す模式図である。
図8】第二実施形態の切り取り処理の流れの一部を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて実施形態について説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、実施形態に係る薬剤供給装置1の模式的な正面図である。実施形態に係る薬剤供給装置1は、多数の薬剤を保管する。実施形態では、薬剤供給装置1は、複数個の薬剤を個別に収容する薬剤シート100を保管する。
【0012】
薬剤シート100は、たとえば、PTPシートであってもよい。PTPシートは、平坦なシート部102と、シート部102の表面から突出する凸状のポケット部104とを有し、ポケット部104を手指で押圧することでポケット部104内に収容された薬剤を取り出すように構成されている。薬剤シート100の他の例としては、SP(Strip Package)シートなどが挙げられる。
【0013】
薬剤シート100は、規定の包装単位の薬剤を収容する。薬剤シート100は、たとえば10個の薬剤を収容してもよい。薬剤シート100は、14個または21個の薬剤を収容するウイークリーシートであってもよい。薬剤シート100は、6個、8個または12個など他の数量の薬剤を収容してもよい。薬剤シート100に収容される薬剤は、錠剤またはカプセル剤などの固形製剤であってもよい。
【0014】
薬剤供給装置1は、規定の包装単位の薬剤を含む薬剤シート100(本明細書中では、全数シート110と称する)を保管する全数シート保管部10と、薬剤シート100の一部が切り取られたもの(本明細書中では、端数シート120と称する)を保管する端数シート保管部20とを有している。全数シート保管部10と端数シート保管部20とは、薬剤シート100を保管する保管部を構成している。保管部は、全数シート保管部10と端数シート保管部20とを別個に有している。全数シート110の保管場所と端数シート120の保管場所とが、薬剤供給装置1の別の場所とされている。
【0015】
全数シート保管部10は、複数の薬剤容器12を備えている。各薬剤容器12は、上下方向および左右方向に並ぶ。図1では、上下方向に薬剤容器12が5列並び、左右方向に薬剤容器12が4列並び、薬剤供給装置1内に設けられる薬剤容器12の個数は20個である。実際の薬剤供給装置1においては、薬剤容器12の個数はもっと多くてもよい。薬剤容器12の個数は、100個程度であってもよく、200個程度または300個程度であってもよく、さらに多くてもよい。
【0016】
薬剤容器12は、全数シート110を収容する。1つの薬剤容器12には、一種類の全数シート110が収容される。1つの薬剤容器12には、複数枚の全数シート110が収容される。薬剤容器12は、種類毎に薬剤を収容する。複数の薬剤容器12に、同じ種類の薬剤を収容する全数シート110が収容されていてもよい。
【0017】
各全数シート110は、薬剤容器12に、整列状態で収容される。各全数シート110は、倒伏状態で、上下方向に積み重ねられる。各全数シート110におけるポケット部104がある面は、上または下を向いている。各全数シート110におけるポケット部104がある面は、積み重ねられた順に交互に上または下を向いている。
【0018】
薬剤容器12における全数シート110の収容形態は、特に限定されない。各全数シート110におけるポケット部104がある面は、すべて上を向いていてもよく、または、すべて下を向いていてもよい。各全数シート110におけるポケット部104がある面は、無作為に上または下を向いていてもよい。各全数シート110は、起立状態で、水平方向に並べられてもよい。各全数シート110は、薬剤容器12に、非整列状態で収容されてもよい。
【0019】
各薬剤容器12には、その薬剤容器12に収容される薬剤を識別するための識別部が設けられる。識別部は、たとえば、RFID(Radio Frequency Identification)タグによって実現される。RFIDタグには、薬剤容器12に収容される薬剤の種類、数量および使用期限を識別するための識別情報が記憶されている。このような識別情報は、後述の制御部50が有している記憶部に、各薬剤容器12の位置情報とともに記憶されていてもよく、この場合、RFIDタグは、必ずしも各薬剤容器12に設けられなくてもよい。識別部は、バーコードなどの一次元コードであってもよく、二次元コードであってもよい。
【0020】
端数シート保管部20は、複数の保管室22を有している。図1では、上下方向に保管室22が10列並び、左右方向に保管室22が5列並び、端数シート保管部20に設けられる保管室22の数は50である。保管室22の数は、特に限定されない。保管室22の数は、薬剤容器12の個数の2倍とされてもよい。保管室22の数は、薬剤容器12の個数の2倍よりも少なくてもよい。
【0021】
保管室22は、端数シート120を一時的に保管する。1つの保管室22に、1つの端数シート120が収容される。端数シート保管部20が複数の保管室22を有しており、各保管室22に1枚の端数シート120が収容されていることで、保管部は全体として複数の端数シート120を保管している。図1においては、端数シート120におけるポケット部104がある面は、上を向いている。端数シート120におけるポケット部104がある面は、下を向いていてもよい。端数シート120は、起立状態で保管室22に収容されてもよい。
【0022】
各保管室22には、その保管室22に収容される薬剤を識別するための識別部が設けられる。識別部は、たとえば、RFID(Radio Frequency Identification)タグによって実現される。RFIDタグには、保管室22に収容される薬剤の種類、数量および使用期限を識別するための識別情報が記憶されている。このような識別情報は、後述の制御部50が有している記憶部に、各保管室22の位置情報とともに記憶されていてもよく、この場合、RFIDタグは、必ずしも各保管室22に設けられなくてもよい。識別部は、バーコードなどの一次元コードであってもよく、二次元コードであってもよい。
【0023】
薬剤の種類毎に、保管室22が割り当てられていてもよい。たとえば、1種類の薬剤に対して2つの保管室22が割り当てられて、特定の2つの保管室22には対応する種類の薬剤のみが保管されるようにしてもよい。
【0024】
または、空いている保管室22に、端数シート120を適宜保管するようにしてもよい。別の種類の薬剤が、時間をずらして、同じ1つの保管室22に保管されてもよい。第1の種類の薬剤を収容する第1の端数シート120がある特定の保管室22に保管されている場合に、その特定の保管室22が空になった後に、第1の種類とは異なる第2の種類の薬剤を収容する第2の端数シート120を、その特定の保管室22に保管してもよい。このようにすれば、端数シート保管部20のスペース効率を向上できるので、薬剤供給装置1の全体としての小型化が可能である。保管室22に保管されている薬剤の種類を識別部に記憶させておくことで、薬剤の種類を取り違えることが回避されている。
【0025】
図1に示すように、薬剤供給装置1は、取出部30と、切断部40と、制御部50と、入出力部60とをさらに備えている。
【0026】
取出部30は、保管部から薬剤シート100を取り出す。取出部30は、全数シート保管部10から全数シート110を取り出す全数シート取出部31と、端数シート保管部20から端数シート120を取り出す端数シート取出部32とを有している。
【0027】
全数シート取出部31は、図1中の上下方向および左右方向に移動可能である。全数シート取出部31は、いずれかの薬剤容器12に接近して、その薬剤容器12に保管されている全数シート110を取り出す。全数シート取出部31は、たとえば薬剤容器12を図1の紙面垂直方向などに移動させて、薬剤容器12を全数シート保管部10から取り出した後に、薬剤容器12から全数シート110を取り出してもよい。全数シート取出部31は、全数シート保管部10に収容された状態の薬剤容器12から、全数シート110を直接取り出してもよい。
【0028】
全数シート取出部31は、薬剤容器12に設けられている識別部を読み取る読取部を有している。読取部は、たとえばRFIDリーダライタによって実現され、薬剤容器12の識別部を構成するRFIDタグから、薬剤容器12に収容される薬剤の種類、数量および使用期限を識別するための識別情報を読み取る。読取部はまた、識別情報を更新する。
【0029】
端数シート取出部32は、図1中の上下方向および左右方向に移動可能である。端数シート取出部32は、いずれかの保管室22に接近して、その保管室22に保管されている端数シート120を取り出したり、端数シート120をその保管室22に保管したりする。
【0030】
端数シート取出部32は、保管室22に設けられている識別部を読み取る読取部を有している。読取部は、たとえばRFIDリーダライタによって実現され、保管室22の識別部を構成するRFIDタグから、保管室22に収容される薬剤の種類、数量および使用期限を識別するための識別情報を読み取る。読取部はまた、識別情報を更新する。
【0031】
全数シート取出部31と端数シート取出部32とは、独立して動作可能である。全数シート取出部31は、端数シート取出部32による端数シート120を取り出す動作の状況に関わらず、全数シート保管部10からの全数シート110の取り出しが可能である。端数シート取出部32は、全数シート取出部31による全数シート110を取り出す動作の状況に関わらず、端数シート保管部20からの端数シート120の取り出しが可能である。
【0032】
したがって取出部30は、全数シート取出部31による全数シート110の取り出しと、端数シート取出部32による端数シート120の取り出しとを、並行して実行可能である。全数シート110と端数シート120とを同時に取り出せるようにされているので、薬剤供給装置1から薬剤を払い出す速度が高められている。
【0033】
切断部40は、薬剤シート100を切断する。切断部40は、全数シート取出部31によって全数シート保管部10から取り出された全数シート110を切断して、端数シート120とする。切断部40は、全数シート110を切断して二分割して、一方の端数シート120と他方の端数シート120とにする。一方の端数シート120は、薬剤供給装置1によって供給されるものとされ、薬剤供給装置1の外部へ払い出される。他方の端数シート120は、端数シート保管部20の保管室22に保管される。
【0034】
切断部40はまた、端数シート取出部32によって端数シート保管部20から取り出された端数シート120を切断して、元の端数シート120よりも薬剤の数量の少ない2つの端数シート120とする。切断部40は、端数シート120を切断して二分割して、一方の端数シート120と他方の端数シート120とにする。一方の端数シート120は、薬剤供給装置1によって供給されるものとされ、薬剤供給装置1の外部へ払い出される。他方の端数シート120は、端数シート保管部20の保管室22に保管される。
【0035】
端数シート取出部32が、他方の端数シート120を、切断部から保管室22に搬送する。端数シート取出部32は、端数シート120を収容する保管室22に設けられている識別部の識別情報を、収容される端数シート120に含まれる薬剤の種類、数量および使用期限に従って、更新する。
【0036】
制御部50は、薬剤供給装置1の全体の動作を制御する。制御部50は、取出部30に制御信号を出力して、取出部30による薬剤シート100を取り出す動作を制御する。制御部50は、切断部40に制御信号を出力して、切断部40による薬剤シート100を切断する動作を制御する。
【0037】
制御部50は、記憶部を有している。記憶部は、薬剤供給装置1の各種の動作を実行するためのプログラムを記憶するとともに、必要な情報を記憶する。記憶部は、薬剤供給装置1を用いて薬剤を供給するために必要な情報を記憶する。制御部50は、記憶部に記憶されているプログラム、および薬剤供給装置1から薬剤を供給するために必要な情報に基づいて、薬剤供給装置1の動作を制御する。
【0038】
入出力部60は、薬剤供給装置1から薬剤を供給するために必要な情報を受け付ける。この必要な情報としては、処方箋に基づく処方箋情報、および種々の設定情報が挙げられる。これらの情報は、薬剤供給装置1を操作する操作者によって入出力部60に入力されてもよく、外部のコンピュータから無線または有線の通信回線を介して入出力部60に入力されてもよい。入出力部60は、入力された情報を、制御部50に出力する。
【0039】
制御部50は、演算部を有している。演算部は、制御部50に入力された処方箋情報に基づいて、薬剤供給装置1から供給されるべき薬剤の個数を求める。演算部は、供給されるべき薬剤の個数に応じて、保管部から取り出される全数シート110と端数シート120との組み合わせを特定する。制御部50は、その特定の結果に基づいて、取出部30および切断部40を制御する。
【0040】
図2は、薬剤容器12の変形例の模式的な正面図である。図1を参照して説明した薬剤容器12は、全数シート110のみを収容しており、端数シート120は薬剤容器12ではなく端数シート保管部20に収容されている。これに対し、図2に示される変形例の薬剤容器12は、第1収容部15と第2収容部16とを有している。第1収容部15と第2収容部16とは隔壁14によって仕切られている。
【0041】
第1収容部15には、全数シート110が収容されている。第1収容部15は、複数の全数シート110を収容可能である。第2収容部16には、端数シート120が収容されている。第2収容部16は、複数の端数シート120を収容可能である。第2収容部16は1つまたは複数(図2では2つ)の隔壁14aによって複数の部屋に仕切られており、各部屋に1つの端数シート120が収容される。第2収容部16が複数の部屋を有しており、各部屋に端数シート120が収容されていることで、第2収容部16は複数枚(図2では3枚)の端数シート120を収容している。
【0042】
図2に示される変形例の薬剤容器12を複数有する薬剤供給装置1では、各薬剤容器12に、種類毎に薬剤が収容される。1つの薬剤容器12内に全数シート110と端数シート120との両方を収容できる構成とすることで、薬剤の種類毎の管理が容易とされている。
【0043】
第1収容部15内における全数シート110の収容形態は、図1の説明と同様に任意であり、全数シート110におけるポケット部104がある面は、上を向いていても下を向いていてもよい。第2収容部16における端数シート120の収容形態もまた任意であり、端数シート120におけるポケット部104がある面は、上を向いていても下を向いていてもよい。
【0044】
図2では、薬剤容器12の上部に第1収容部15が設けられ薬剤容器12の下部に第2収容部16が設けられているが、薬剤容器12における第1収容部15と第2収容部16との配置も任意である。第2収容部16が第1収容部15の上に配置されていてもよく、第1収容部15の上と下との両方に分かれて第2収容部16が配置されていてもよい。
【0045】
以上の構成を備える薬剤供給装置1における、必要な数量の薬剤を供給する処理について、以下説明する。図3は、薬剤を供給する処理全体の流れを示すフロー図である。
【0046】
ステップS1において、指示数、すなわち、処方箋情報に従って薬剤供給装置1によって供給されるべき薬剤の個数が、全数シート110に含まれる薬剤の個数で割り切れるか否かが判断される。
【0047】
たとえば、全数シート110が10錠の錠剤を含む10錠シートである場合、指示数が10の倍数であれば、指示数が全数シート110の薬剤数で割り切れることになる。全数シート110が10錠シートである場合、指示数が10の倍数でなければ、指示数を全数シート110の薬剤数で割る計算において、整数を商として割り切ることができず余りが生じることになる。
【0048】
指示数が全数シート110の薬剤数で割り切れるのであれば(ステップS1においてYES)、ステップS2に進み、指示数を全数シート110の薬剤数で割る計算の商に相当する枚数の全数シート110を薬剤供給装置1から払い出す。これにより必要な数量の薬剤が供給されるので、処理を終了する(図3の終了)。
【0049】
指示数が全数シート110の薬剤数で割り切れないのであれば(ステップS1においてNO)、ステップS3に進み、次に、指示数を全数シート110の薬剤数で割る計算の余りに一致する個数の薬剤を含む端数シート120があるか否かが判断される。そのような端数シート120があれば(ステップS3においてYES)、ステップS4に進み、その端数シート120を払い出すとともに、計算の商に相当する枚数の全数シート110を薬剤供給装置1から払い出す。これにより必要な数量の薬剤が供給されるので、処理を終了する(図3の終了)。
【0050】
指示数を全数シート110の薬剤数で割る計算の余りに一致する個数の薬剤を含む端数シート120がないのであれば(ステップS3においてNO)、ステップS5に進み、次に、指示数を全数シート110の薬剤数で割る計算の余りに一致する個数の薬剤を含む端数シート120の組み合わせがあるか否かが判断される。
【0051】
たとえば、計算の余りが8である場合に、3個の薬剤を含む端数シート120と5個の薬剤を含む端数シート120とが端数シート保管部20に保管されていれば、薬剤数の合計が8になり計算の余りと一致するので、端数シート120の組み合わせがあると判断される。またたとえば、計算の余りが8である場合に、2個の薬剤を含む端数シート120が2つと4個の薬剤を含む端数シート120とが端数シート保管部20に保管されていれば、薬剤数の合計が8になり計算の余りと一致するので、端数シート120の組み合わせがあると判断される。
【0052】
薬剤数の合計が計算の余りに一致する端数シート120の組み合わせが複数ある場合には、端数シート120の枚数が多い組み合わせを優先して供給してもよいし、端数シート120の枚数が少ない組み合わせを優先して供給してもよい。または、使用期限までの残存期間が短い端数シート120を含む組み合わせを優先して供給してもよい。
【0053】
端数シート120の組み合わせがあれば(ステップS5においてYES)、ステップS6に進み、その端数シート120の組み合わせを払い出すとともに、計算の商に相当する枚数の全数シート110を薬剤供給装置1から払い出す。これにより必要な数量の薬剤が供給されるので、処理を終了する(図3の終了)。
【0054】
ステップS1~S6に示されるように、保管されている全数シート110および端数シート120の組み合わせによって指示数分の薬剤を供給できるか否かをまず判断して、供給できるのであれば適宜の薬剤シート100の組み合わせを払い出す。薬剤シート100を切断する処理には時間がかかるので、薬剤シート100を切断する処理をできるだけ少なくすることで、薬剤供給装置1から薬剤を払い出す速度を向上できる。
【0055】
ステップS3の判断と、ステップS5の判断との順序が入れ替えられてもよい。ステップS1の判断、ステップS3の判断およびステップS5の判断のいずれか1つの処理または全ての処理が省略されてもよい。どの判断を省略するかを、入出力部60(図1)を用いて作業者が選択できるようにしてもよい。
【0056】
ステップS5の判断において、端数シート120の組み合わせがなければ(ステップS5においてNO)、ステップS7に進み、端数シート120および/または全数シート110を切断部40で切断する切り取り処理が実行される。
【0057】
図4は、切り取り処理の流れを示す第1のフロー図である。図5は、切り取り処理の流れを示す第2のフロー図である。図4,5に従って、薬剤シート100を切断する切り取り処理について説明する。
【0058】
ステップS11において、未判定の端数シート120があるか否かが判断される。たとえば制御部50は、端数シート保管部20に保管されている端数シート120の各々について、未判定フラグを設定する。制御部50は、各端数シート120について、以下説明する切り取り処理の判定に係る一連の処理が行われると、その端数シート120の未判定フラグをクリアして、その端数シート120について一連の処理を実行済みとする。ステップS11の判断では、その判断の時点で未判定フラグが設定されている端数シート120があるか否かが判断される。
【0059】
未判定の端数シート120があると判断されると(ステップS11においてYES)、ステップS12に進み、切り取り処理に係る判定の対象である端数シート120を決定する。未判定の端数シート120が1枚だけある場合には、その端数シート120が対象の端数シート120とされる。未判定の端数シート120が2枚以上ある場合、端数シート120の優先順位付けがされて、対象の端数シート120が決定される。
【0060】
この優先順位付けは、端数シート120の薬剤数に従って行なわれてもよい。たとえば、端数シート120に含まれる薬剤の数量が小さいほど優先順位を高くすることができる。薬剤数の小さい端数シート120を優先的に薬剤供給装置1から払い出すように処理が行なわれることで、薬剤供給装置1に保管される端数シート120の数を効率的に減らすことができる。または優先順位付けは、薬剤の使用期限に従って行なわれてもよい。使用期限までの残存期間が短い端数シート120を優先的に薬剤供給装置1から払い出すように処理が行なわれることで、使用期限までの残存期間がより長い薬剤を安定的に供給することが可能になる。
【0061】
優先順位付けの設定、たとえば、端数シート120の薬剤数に従って優先順位付けをするか、薬剤の使用期限に従って優先順位付けをするか、またはその他の任意の判断基準に従って優先順位付けをするか、などを、入出力部60(図1)を用いて作業者が選択できるようにしてもよい。
【0062】
対象の端数シート120が決定されると、その対象の端数シート120に含まれる薬剤の個数から指示数を減ずる計算を行ない、その差を求める。
【0063】
ステップS12の計算の結果、差が0であれば、ステップS13に進み、対象の端数シート120を薬剤供給装置1から払い出し、切り取り処理を終了する(図4の終了)。これにより必要な数量の薬剤が供給されるので、処理を終了する(図3の終了)。
【0064】
ステップS12の計算の結果、差が+2以上であれば、ステップS14に進み、対象の端数シート120を切断部40で切断して、指示数分の薬剤を含む端数シート120と残りの端数シート120とに二分割する。指示数分の薬剤を含む端数シート120を薬剤供給装置1から払い出し、残りの端数シート120を端数シート保管部20に保管して、切り取り処理を終了する(図4の終了)。これにより必要な数量の薬剤が供給されるので、処理を終了する(図3の終了)。
【0065】
ステップS12の計算の結果、差が-2以下であれば、ステップS15に進み、対象の端数シート120を払い出す。続いてステップS16において、払い出された端数シート120に含まれる薬剤の個数を、指示数から減じる計算を行ない、計算の結果を新たな指示数とする、指示数の更新を行なう。なお、この場合、指示数は2以上に更新されることになる。そして、ステップS11の判断に戻る。
【0066】
ステップS12の計算の結果、差が+1であれば、ステップS17に進み、対象の端数シート120に含まれる薬剤の個数が3個または4個であるか否かが判断される。
【0067】
図6は、端数シート120に含まれる薬剤の個数が1個多い場合の薬剤の供給について示す模式図である。図6では、対象の端数シート120から指示数分の薬剤を切り取ろうとすると、切り取られた残りが1個の薬剤を含む端数シート120になる場合に、端数シート120と全数シート110とをどのように組み合わせ、切断し、供給すれば、薬剤1個分に切り取られた端数シート120を生じさせずに指示数分の薬剤を供給できるのかが、指示数毎に示されている。
【0068】
たとえば、指示数が2であり対象の端数シート120の薬剤数が3である場合に、ステップS12の計算の結果が+1になる。このとき、端数シート120から2個の薬剤を含む端数シート120を切り出すと、1個の薬剤を含む端数シート120が残ることになり好ましくない。そのため、指示数である2個の薬剤を、対象の端数シート120からは供給せずに、他のシートから供給するようにする。
【0069】
また、指示数が3であり対象の端数シート120の薬剤数が4である場合に、ステップS12の計算の結果が+1になる。このとき、対象の端数シート120から3個の薬剤を含む端数シート120を切り出すと、1個の薬剤を含む端数シート120が残ることになり好ましくない。他方、対象の端数シート120から2個の薬剤を供給することにすると、指示数分の薬剤を供給するには残り1個の薬剤を他のシートから切り出すことになり好ましくない。そのため、指示数である3個の薬剤を、対象の端数シート120からは供給せずに、他のシートから供給するようにする。
【0070】
したがって、ステップS17の判断でYESであれば、対象の端数シート120を切断する処理は行なわれない。対象の端数シート120の未判定フラグをクリアして、ステップS11の判断に戻る。
【0071】
ステップS17の判断でNO、すなわち対象の端数シート120に含まれる薬剤の個数が5個以上であれば、ステップS18に進む。
【0072】
図6に示されるように、指示数が4であり対象の端数シート120の薬剤数が5である場合に、ステップS12の計算の結果が+1になる。このとき、5個の薬剤を含む対象の端数シート120からは2個の薬剤を払い出すこととし、残りの2個の薬剤を他のシートから供給するようにする。
【0073】
指示数が5であり対象の端数シート120の薬剤数が6である場合に、ステップS12の計算の結果が+1になる。このとき、6個の薬剤を含む対象の端数シート120からは3個の薬剤を払い出すこととし、残りの2個の薬剤を他のシートから供給するようにする。
【0074】
指示数が6であり対象の端数シート120の薬剤数が7である場合に、ステップS12の計算の結果が+1になる。このとき、7個の薬剤を含む対象の端数シート120からは4個の薬剤を払い出すこととし、残りの2個の薬剤を他のシートから供給するようにする。
【0075】
なお図6において、対象の端数シート120の薬剤数が2である場合に斜線が引かれて消されているのは、本実施形態の思想を適用するならば、指示数が1になる場合がないためである。
【0076】
このように、ステップS18の処理では、対象の端数シート120から3個分を除いた部分を切り取って払い出し、残った部分(3個分)は端数シート保管部20に保管する。続いてステップS19において、払い出された、対象の端数シート120から切り出された薬剤の個数を、指示数から減じる計算を行ない、計算の結果を新たな指示数とする、指示数の更新を行なう。なお、この場合、指示数が2に更新されることになる。
【0077】
そして、対象の端数シート120の未判定フラグをクリアして、ステップS11の判断に戻る。
【0078】
ステップS12の計算の結果、差が-1であれば、ステップS20に進み、対象の端数シート120に含まれる薬剤の個数が2個または3個であるか否かが判断される。
【0079】
図7は、端数シート120に含まれる薬剤の個数が1個少ない場合の薬剤の供給について示す模式図である。図7では、対象の端数シート120から指示数分の薬剤を供給しようとすると薬剤が1個不足する場合に、端数シート120と全数シート110とをどのように組み合わせ、切断し、供給すれば、薬剤1個分に切り取られた端数シート120を生じさせずに指示数分の薬剤を供給できるのかが、指示数毎に示されている。
【0080】
たとえば、指示数が3であり対象の端数シート120の薬剤数が2である場合に、ステップS12の計算の結果が-1になる。このとき、対象の端数シート120を切断せずに払い出すことにすると、指示数分の薬剤を供給するには残り1個の薬剤を他のシートから切り出すことになり好ましくない。他方、対象の端数シート120を切断すると、1個の薬剤を含む端数シート120が形成されるため好ましくない、そのため、指示数である3個の薬剤を、対象の端数シート120からは供給せずに、他のシートから供給するようにする。
【0081】
また、指示数が4であり対象の端数シート120の薬剤数が3である場合に、ステップS12の計算の結果が-1になる。このとき、対象の端数シート120を切断せずに払い出すことにすると、指示数分の薬剤を供給するには残り1個の薬剤を他のシートから切り出すことになり好ましくない。他方、対象の端数シート120を切断すると、1個の薬剤を含む端数シート120が形成されるため好ましくない。そのため、指示数である4個の薬剤を、対象の端数シート120からは供給せずに、他のシートから供給するようにする。
【0082】
したがって、ステップS20の判断でYESであれば、対象の端数シート120を払い出したり切断したりする処理は行なわれない。対象の端数シート120の未判定フラグをクリアして、ステップS11の判断に戻る。
【0083】
ステップS20の判断でNO、すなわち対象の端数シート120に含まれる薬剤の個数が4個以上であれば、ステップS21に進む。
【0084】
図7に示されるように、指示数が5であり対象の端数シート120の薬剤数が4である場合に、ステップS12の計算の結果が-1になる。このとき、4個の薬剤を含む対象の端数シート120からは2個の薬剤を払い出すこととし、残りの3個の薬剤を他のシートから供給するようにする。
【0085】
指示数が6であり対象の端数シート120の薬剤数が5である場合に、ステップS12の計算の結果が-1になる。このとき、5個の薬剤を含む対象の端数シート120からは3個の薬剤を払い出すこととし、残りの3個の薬剤を他のシートから供給するようにする。
【0086】
このとき、対象の端数シート120から2個の薬剤を払い出すことも可能であるが、端数シート120をできるだけ残さないようにするため、端数シート120から払い出し得る最大数の薬剤を払い出すことにしている。端数シート120を優先的に処理し、保管される端数シート120の数をできるだけ少なくすることで、1個の薬剤を含む端数シート120が形成される可能性を低減できる。
【0087】
指示数が7であり対象の端数シート120の薬剤数が6である場合に、ステップS12の計算の結果が-1になる。このとき、6個の薬剤を含む対象の端数シート120からは4個の薬剤を払い出すこととし、残りの3個の薬剤を他のシートから供給するようにする。
【0088】
なお図7において、指示数が2である場合に斜線が引かれて消されているのは、本実施形態の思想を適用するならば、薬剤数が1の端数シート120が形成されることがないためである。
【0089】
このように、ステップS21の処理では、対象の端数シート120から2個分を除いた部分を切り取って払い出し、残った部分(2個分)は端数シート保管部20に保管する。続いてステップS22において、払い出された、対象の端数シート120から切り出された薬剤の個数を、指示数から減じる計算を行ない、計算の結果を新たな指示数とする、指示数の更新を行なう。なお、この場合、指示数が3に更新されることになる。
【0090】
そして、対象の端数シート120の未判定フラグをクリアして、ステップS11の判断に戻る。
【0091】
端数シート保管部20に保管されているすべての端数シート120について判定が実行され、未判定フラグが設定されている端数シート120がなくなり、未判定の端数シート120がないと判断されると(ステップS11においてNO)、全数シート110の処理に移る。結合子Aを介して図5のステップS23に進み、全数シート保管部10に全数シート110が保管されているか否かが判断される。
【0092】
全数シート110が保管されていないと判断されると(ステップS23においてNO)、ステップS33のエラー処理が行なわれる。たとえば入出力部60(図1)を用いて、薬剤供給装置1を用いて薬剤の供給作業をしている作業者に、全数シート110が保管されていないことの通知がされ、作業者に全数シート110の補充を促す。全数シート110が補充されるまで、ステップS23の判断が繰り返される。
【0093】
全数シート110が保管されていると判断されると(ステップS23においてYES)、ステップS24に進み、切り取り処理に係る判定の対象である全数シート110に含まれる薬剤の個数から指示数を減ずる処理を行ない、その差を求める。
【0094】
ステップS24の計算の結果、差が0であれば、ステップS25に進み、対象の全数シート110を薬剤供給装置1から払い出し、結合子Dを介して図4に戻り、切り取り処理を終了する(図4の終了)。これにより必要な数量の薬剤が供給されるので、処理を終了する(図3の終了)。
【0095】
ステップS24の計算の結果、差が+2以上であれば、ステップS26に進み、対象の全数シート110を切断部40で切断して、指示数分の薬剤を含む端数シート120と残りの端数シート120とに二分割する。指示数分の薬剤を含む端数シート120を薬剤供給装置1から払い出し、残りの端数シート120を端数シート保管部20に保管して、結合子Dを介して図4に戻り、切り取り処理を終了する(図4の終了)。これにより必要な数量の薬剤が供給されるので、処理を終了する(図3の終了)。
【0096】
ステップS24の計算の結果、差が-2以下であれば、ステップS27に進み、対象の全数シート110を払い出す。続いてステップS28において、払い出された全数シート110に含まれる薬剤の個数を、指示数から減じる計算を行ない、計算の結果を新たな指示数とする、指示数の更新を行なう。そして、ステップS23の判断に戻る。
【0097】
ステップS24の計算の結果、差が+1であれば、ステップS29に進み、対象の全数シート110から3個分を除いた部分を切り取って払い出し、残った部分(3個分)は端数シート保管部20に保管する。続いてステップS30において、払い出された、対象の全数シート110から切り出された薬剤の個数を、指示数から減じる計算を行ない、計算の結果を新たな指示数とする、指示数の更新を行なう。この場合、指示数が2に更新されることになる。そして、ステップS23の判断に戻る。
【0098】
ステップS24の計算の結果、差が-1であれば、ステップS31に進み、対象の全数シート110から2個分を除いた部分を切り取って払い出し、残った部分(2個分)は端数シート保管部20に保管する。続いてステップS32において、払い出された、対象の全数シート110から切り出された薬剤の個数を、指示数から減じる計算を行ない、計算の結果を新たな指示数とする、指示数の更新を行なう。この場合、指示数が3に更新されることになる。そして、ステップS23の判断に戻る。
【0099】
以上説明した実施形態の薬剤供給装置1によれば、図4~7に示されるように、制御部50(図1)は、端数シート120が2個以上の薬剤を含むように切断部40を制御する。薬剤1個分に切り取られた端数シート120を生じさせずに指示数分の薬剤を供給することができるので、端数シート120の誤飲および紛失の可能性を低減することができる。
【0100】
図4,7に示されるように、対象の端数シート120に含まれる薬剤の個数が指示数よりも1個少なく、対象の端数シート120に含まれる薬剤の個数が2個または3個である場合、対象の端数シート120からは薬剤を供給せず、別の端数シート120、または全数シート110から、薬剤を供給する。これにより、薬剤1個分に切り取られた端数シート120が生じることを回避できる。
【0101】
図4,7に示されるように、対象の端数シート120に含まれる薬剤の個数が指示数よりも1個少なく、対象の端数シート120に含まれる薬剤の個数が4個以上である場合、対象の端数シート120を2個の薬剤を含む一方と残りの他方とに切断して、一方を端数シート保管部20に保管するとともに他方を供給する。指示数に対して不足する分の薬剤を、別の端数シート120または全数シート110から供給する。これにより、薬剤1個分に切り取られた端数シート120が生じることを回避できる。
【0102】
図5に示されるように、対象の全数シート110に含まれる薬剤の個数が指示数よりも1個少ない場合、対象の全数シート110を2個の薬剤を含む一方と残りの他方とに切断して、一方を端数シート保管部20に保管するとともに他方を供給する。指示数に対して不足する分の薬剤を、別の全数シート110から供給する。これにより、薬剤1個分に切り取られた端数シート120が生じることを回避できる。
【0103】
図4,5に示されるように、全数シート110よりも端数シート120を優先して供給することにより、保管されている端数シート120を効率的に減らすことができ、薬剤1個分に切り取られた端数シート120が生じる可能性を低減することができる。
【0104】
図4,6に示されるように、対象の端数シート120に含まれる薬剤の個数が指示数よりも1個多く、対象の端数シート120に含まれる薬剤の個数が3個または4個である場合、対象の端数シート120からは薬剤を供給せず、別の端数シート120、または全数シート110から、薬剤を供給する。これにより、薬剤1個分に切り取られた端数シート120が生じることを回避できる。
【0105】
図4,6に示されるように、対象の端数シート120に含まれる薬剤の個数が指示数よりも1個多く、対象の端数シート120に含まれる薬剤の個数が5個以上である場合、対象の端数シート120を3個の薬剤を含む一方と残りの他方とに切断して、一方を端数シート保管部20に保管するとともに他方を供給する。指示数に対して不足する分の薬剤を、別の端数シート120または全数シート110から供給する。これにより、薬剤1個分に切り取られた端数シート120が生じることを回避できる。
【0106】
図5に示されるように、対象の全数シート110に含まれる薬剤の個数が指示数よりも1個多い場合、対象の全数シート110を3個の薬剤を含む一方と残りの他方とに切断して、一方を端数シート保管部20に保管するとともに他方を供給する。指示数に対して不足する分の薬剤を、別の全数シート110から供給する。これにより、薬剤1個分に切り取られた端数シート120が生じることを回避できる。
【0107】
実施形態の薬剤供給装置1は、図1に示されるように、全数シート保管部10は、複数個の薬剤を個別に収容する全数シート110を複数保管する。端数シート保管部20は、全数シート110の一部が切り取られた端数シート120を複数保管する。図3に示されるように、供給されるべき薬剤の個数に応じて、全数シート110と端数シート120との組み合わせを、保管部から取り出す。1枚または複数枚の全数シート110に含まれる薬剤の数量と、1枚または複数枚の端数シート120に含まれる薬剤の数量と、の合計が供給されるべき薬剤の個数に一致する組み合わせを見出し、その全数シート110と端数シート120との組み合わせを払い出すことで、薬剤供給装置1は、必要な数量の薬剤を短時間で供給することができる。
【0108】
図1に示されるように、全数シート保管部10と端数シート保管部20とが別個に設けられていることで、全数シート110および端数シート120の管理が容易になる。
【0109】
図1に示されるように、全数シート取出部31による全数シート110の取り出しと、端数シート取出部32による端数シート120の取り出しとは、並行して実行可能である。必要な薬剤シート100の取り出しおよび切断を同時並行で実行できることで、薬剤供給装置1から薬剤を払い出す速度をより向上することができる。
【0110】
図1に示されるように、端数シート保管部20は、端数シート120を一時的に保管する保管室22を複数有している。保管室22が空になった後に、それまで保管されていた薬剤とは種類の異なる薬剤を収容する端数シート120を、その保管室22に保管可能である。これにより、端数シート保管部20のスペース効率を向上できるので、薬剤供給装置1の全体としての小型化が可能である。
【0111】
図2に示されるように、薬剤容器12は、複数の全数シート110を収容可能な第1収容部15と、複数の端数シート120を収容可能な第2収容部16とを有し、種類毎に薬剤を収容するように設けられている。各薬剤容器12に種類毎に薬剤が収容され、1つの薬剤容器12内に全数シート110と端数シート120との両方が収容されていることで、薬剤の種類毎の管理が容易とされている。
【0112】
図4~7に示されるように、制御部50は、端数シート120が2個以上の薬剤を含むように切断部40を制御する。薬剤1個分に切り取られた端数シート120を生じさせずに指示数分の薬剤を供給することができるので、端数シート120の誤飲および紛失の可能性を低減することができる。
【0113】
[第2実施形態]
図8は、第二実施形態の切り取り処理の流れの一部を示すフロー図であり、図4に示される処理の流れの変形例を示すものである。図8に示される処理では、ステップS12の計算の結果、差が+1であれば、対象の端数シート120からは薬剤を供給せずに、ステップS34において対象の端数シート120の未判定フラグをクリアして、ステップS11の判断に戻る。ステップS12の計算の結果、差が-1であれば、対象の端数シート120からは薬剤を供給せずに、ステップS35において対象の端数シート120の未判定フラグをクリアして、ステップS11の判断に戻る。
【0114】
対象の端数シート120に含まれる薬剤の個数が指示数よりも1個多い場合、および、対象の端数シート120に含まれる薬剤の個数が指示数よりも1個少ない場合に、対象の端数シート120からは薬剤を供給せず、別の端数シート120、または全数シート110から、薬剤を供給することになる。このようにしても、第1実施形態と同様に、薬剤1個分に切り取られた端数シート120が生じることを回避することができる。
【0115】
これまでの実施形態の説明においては、制御部50が取出部30および切断部40を制御することにより、指示数分の個数の薬剤を供給することができる薬剤供給装置1について説明した。この例に替えて、取出部30および切断部40を備えない装置構成としてもよい。図3~7に示される処理に従って、制御部(演算部)が、供給されるべき薬剤の個数に応じて、保管部から取り出される全数シート110と端数シート120との組み合わせを特定し、その特定の結果が入出力部60によって出力される装置構成としてもよい。この場合、薬剤シート100の取り出しおよび切断は、作業者が行なうことになる。
【0116】
演算部による特定の結果を出力する入出力部60は、たとえば、ディスプレイを有していてもよく、プリンタを有していてもよい。作業者は、ディスプレイの表示またはプリンタで印刷された印刷物を見て、全数シート110と端数シート120との組み合わせをどのように取り出し、必要に応じて切断し、切断の残りを保管するようにすれば、薬剤1個分に切り取られた端数シートを生じさせずに指示数分の薬剤を供給できるのかを、容易に認識することができる。
【0117】
薬剤シート100を保管する保管部と、保管部から取り出される薬剤シート100の組み合わせを特定する演算部と、演算部による特定の結果を出力する出力部とが、1つの調剤指示装置を構成してもよい。または、保管部、演算部および出力部が、1つの装置として構成されなくてもよい。保管部、演算部および出力部が、別々の装置として設けられ、1つの調剤指示システムを構成してもよい。
【0118】
以上のように実施形態について説明を行なったが、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0119】
1 薬剤供給装置、10 全数シート保管部、12 薬剤容器、14,14a 隔壁、15 第1収容部、16 第2収容部、20 端数シート保管部、22 保管室、30 取出部、31 全数シート取出部、32 端数シート取出部、40 切断部、50 制御部、60 入出力部、100 薬剤シート、102 シート部、104 ポケット部、110 全数シート、120 端数シート。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8