IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社テイエルブイの特許一覧

<>
  • 特開-ドレン排出システム 図1
  • 特開-ドレン排出システム 図2
  • 特開-ドレン排出システム 図3
  • 特開-ドレン排出システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089444
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】ドレン排出システム
(51)【国際特許分類】
   F22B 37/48 20060101AFI20220609BHJP
   F16K 1/30 20060101ALI20220609BHJP
   F16K 51/00 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
F22B37/48 Z
F16K1/30
F16K51/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201845
(22)【出願日】2020-12-04
(71)【出願人】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山本 滉
(72)【発明者】
【氏名】▲蔭▼山 遼太
【テーマコード(参考)】
3H052
3H066
【Fターム(参考)】
3H052AA01
3H052BA14
3H052CC03
3H052CD07
3H052EA05
3H066AA01
3H066BA05
(57)【要約】
【課題】運転開始時においてドレントラップの排出流量が不十分な場合でもドレンをいち早く排出すること。
【解決手段】ドレン排出システム1は、蒸気使用機器Sに蒸気が供給される供給管2と、蒸気使用機器Sで蒸気の凝縮によって発生したドレンが排出される排出管3と、排出管3に設けられ、ドレンの排出孔を有するドレントラップ4と、排出孔よりも孔径が大きいドレンの多量排出孔33が設けられた弁室、弁室に収容され、多量排出孔33を開閉する弁体31を有する多量排出機構30とを備える。多量排出機構30は、供給管2に設けられており、弁室の圧力が所定の閉弁圧力まで上昇すると、変形して弁体31を開弁状態から閉弁状態に変位させるバネ34を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気使用機器に蒸気が供給される供給管と、
前記蒸気使用機器で蒸気の凝縮によって発生したドレンが排出される排出管と、
前記排出管に設けられ、ドレンの排出孔を有するドレントラップと、
前記排出孔よりも孔径が大きいドレンの多量排出孔が設けられた弁室、前記弁室に収容され、前記多量排出孔を開閉する弁体を有する多量排出機構とを備え、
前記多量排出機構は、前記ドレントラップまたは前記ドレントラップよりも上流側の位置に設けられており、前記弁室の圧力が所定の閉弁圧力まで上昇すると、変形して前記弁体を開弁状態から閉弁状態に変位させる変形部材を有している
ことを特徴とするドレン排出システム。
【請求項2】
請求項1に記載のドレン排出システムにおいて、
前記多量排出機構に接続され、前記多量排出機構からドレンを大気に排出する多量排出管をさらに備え、
前記多量排出機構は、前記多量排出機構から大気までの前記多量排出管の配管長さに応じて前記所定の閉弁圧力が変化するように構成されている
ことを特徴とするドレン排出システム。
【請求項3】
請求項2に記載のドレン排出システムにおいて、
前記多量排出管は、前記配管長さが互いに異なる選択切換可能な複数の経路を有し、
前記多量排出機構は、前記複数の経路を選択切換することによって前記所定の閉弁圧力が変化するように構成されている
ことを特徴とするドレン排出システム。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載のドレン排出システムにおいて、
前記多量排出機構は、前記供給管に設けられている
ことを特徴とするドレン排出システム。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載のドレン排出システムにおいて、
前記閉弁圧力と前記配管長さとの関係を示すグラフ、前記閉弁圧力と前記多量排出機構の排出流量との関係を示すグラフ、前記ドレントラップの上下流の圧力差と前記ドレントラップの排出流量との関係を示すグラフが同時に視認可能な総合グラフをさらに備えている
ことを特徴とするドレン排出システム。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載のドレン排出システムにおいて、
流体の流入路および流出路が形成されたケーシング、前記ケーシング内に設けられ、前記流入路から前記流出路に流れる流体中の異物を捕捉するスクリーンを有し、前記供給管に設けられるストレーナ装置をさらに備え、
前記多量排出機構は、前記ストレーナ装置に設けられ、前記スクリーンを通過したドレンが前記多量排出孔から排出されるように構成されている
ことを特徴とするドレン排出システム。
【請求項7】
請求項1に記載のドレン排出システムにおいて、
前記変形部材は、前記弁体を開弁方向に付勢するバネであり、
前記多量排出機構は、前記弁室の圧力が前記所定の閉弁圧力まで上昇すると、前記閉弁圧力によって前記弁体が前記バネの付勢力に抗して前記多量排出孔を閉鎖するように構成されている
ことを特徴とするドレン排出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ドレン排出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されているように、ドレンを排出するドレントラップが、蒸気使用機器の下流側に設けられた蒸気システムが知られている。このような蒸気システムの運転開始時には、システム内に残存している低温ドレンに蒸気が混合することによって発生し得るウォーターハンマーを防止する観点から、残存している多量のドレンをドレントラップによっていち早く排出する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-193881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したような蒸気システムでは、システム内に残存するドレンの量が想定以上に多い場合があり、そのため、ドレントラップのドレン排出流量(排出容量)が不十分になる。また、ドレントラップの設置スペースの制限により、ドレントラップのドレン排出流量を増大させることが困難な場合がある。そうすると、蒸気システムの運転開始時にドレンをいち早く排出することが困難になる虞がある。
【0005】
本願に開示の技術は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、運転開始時において、ドレントラップの排出流量が不十分な場合でもドレンをいち早く排出することができるドレン排出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示の技術は、供給管と、排出管と、ドレントラップと、多量排出機構とを備えたドレン排出システムである。前記供給管は、蒸気使用機器に蒸気が供給されるものである。前記排出管は、前記蒸気使用機器で蒸気の凝縮によって発生したドレンが排出されるものである。前記ドレントラップは、前記排出管に設けられ、ドレンの排出孔を有するものである。前記多量排出機構は、前記排出孔よりも孔径が大きいドレンの多量排出孔が設けられた弁室、前記弁室に収容され、前記多量排出孔を開閉する弁体を有するものである。そして、前記多量排出機構は、前記ドレントラップまたは前記ドレントラップよりも上流側の位置に設けられており、前記弁室の圧力が所定の閉弁圧力まで上昇すると、変形して前記弁体を開弁状態から閉弁状態に変位させる変形部材を有している。
【発明の効果】
【0007】
本願に開示の技術によれば、運転開始時においてドレントラップの排出流量が不十分な場合でもドレンをいち早く排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るドレン排出システムを示す概略構成図である。
図2図2は、ストレーナ装置の一状態を示す断面図である。
図3図3は、ドレンの排出流量に関する総合グラフである。
図4図4は、ストレーナ装置の一状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本願の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本願に開示の技術、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0010】
本実施形態のドレン排出システム1は、蒸気システムに設けられ、蒸気システム内で発生したドレンを排出するものである。図1に示すように、ドレン排出システム1は、供給管2と、排出管3と、ドレントラップ4と、多量排出機構30とを備えている。
【0011】
供給管2は、蒸気使用機器Sに蒸気が供給されるものである。具体的に、供給管2は、蒸気使用機器Sに接続されており、ボイラー等の蒸気生成部で生成された蒸気を蒸気使用機器Sに供給する。蒸気使用機器Sでは、供給管2から供給された蒸気が対象物と熱交換することによって、対象物は加熱され、蒸気は凝縮してドレンとなる。
【0012】
排出管3は、蒸気使用機器Sで蒸気の凝縮によって発生したドレンが排出されるものである。排出管3は、蒸気使用機器Sに接続されており、蒸気使用機器Sからドレンが排出される。ドレントラップ4は、排出管3に設けられている。ドレントラップ4は、ドレンが流入してきた場合にはドレンを排出する一方、蒸気が流入してきた場合には蒸気の流出を阻止する。
【0013】
ドレントラップ4は、例えば、フロート式のドレントラップである。図示しないが、ドレントラップ4は、弁室(ドレンの貯留室ともいう)が形成されたケーシングを有している。そして、ドレントラップ4は、弁室に設けられたドレンの排出孔と、弁室に収容された弁体としてのフロートとを有している。ドレントラップ4では、弁室におけるドレンの水位が低い場合は、フロートによって排出孔が閉鎖され、蒸気の流出が阻止される。また、弁室におけるドレンの水位が高くなると、フロートが浮上して排出孔が開放され、ドレンが排出孔から排出される。なお、ドレントラップ4は、フロート式以外のドレントラップであってもよい。
【0014】
ドレン排出システム1は、多量排出機構30が設けられたストレーナ装置100をさらに備えている。多量排出機構30は、ストレーナ装置100に流入してきたドレンを多量に排出可能となっている。また、ドレン排出システム1は、多量排出機構30に接続され、ドレンを大気に排出する多量排出管5をさらに備えている。
【0015】
ストレーナ装置100は、蒸気システム等に設けられ、流入してきたドレンまたは蒸気の中に含まれる異物を捕捉除去し、異物が除去された後のドレンまたは蒸気を下流側に流出させる。図2に示すように、ストレーナ装置100は、ケーシング10と、スクリーン20と、多量排出機構30とを備え、供給管2に設けられている。つまり、多量排出機構30は、ドレントラップ4よりも上流側に位置する供給管2に設けられている。
【0016】
ケーシング10には、流体の流路が形成されている。具体的に、流路は、流入路11、流出路12、捕捉路13および排出路14によって形成されている。流路は、流入してきたドレンを下流側に流出させるための第1流路と、流入してきたドレンをケーシング10の外部(大気)に排出するための第2流路とを有している。第1流路は、流入路11、捕捉路13および流出路12によって形成されている。第2流路は、流入路11、捕捉路13および排出路14によって形成されている。
【0017】
流入路11および流出路12には、それぞれ供給管2が接続されている。つまり、流入路11は、供給管2からドレンが流入してくる流路であり、流出路12は、ドレンが供給管2に流出していく流路である。流入路11および流出路12は、互いに同軸に且つ水平に延びる流路である。つまり、流入路11および流出路12は、互いに対向しており、水平に延びる共通の軸心X1を有している。流入路11および流出路12の流路径は、互いに同じである。なお、軸心X1は流路の流路軸であり、後述する軸心X2も同様である。
【0018】
捕捉路13は、流入路11と流出路12とに接続され、スクリーン20が設けられる流路である。つまり、流入路11と流出路12とは、捕捉路13を介して連通している。
【0019】
より詳しくは、捕捉路13は、流入路11から斜め下方に延びており、捕捉路13の側部が流出路12に接続されている。つまり、捕捉路13の軸心X2は、流出路12側にいくに従って軸心X1に対し下方に傾いている。捕捉路13の一端(流入端)は流入路11に接続され、捕捉路13の他端は後述するスクリーンホルダ21によって閉塞されている。
【0020】
排出路14は、捕捉路13の下方に位置して捕捉路13と連通している。排出路14は、本願の請求項に係る多量排出機構30の弁室に相当する。より詳しくは、排出路14は、上下方向(即ち、鉛直方向)に延びている。つまり、排出路14は、流入路11および流出路12に対しては垂直となる方向に延びており、捕捉路13に対しては傾斜する方向に延びている。排出路14は、一端が捕捉路13の側部に連通し、他端が多量排出管5を介してケーシング10の外部(大気)に連通している。
【0021】
ケーシング10には、捕捉路13と排出路14とを仕切る仕切壁15が設けられている。仕切壁15には、捕捉路13と排出路14とを連通させる連通孔16が設けられている。つまり、捕捉路13の側部と排出路14の一端とは、連通孔16を介して連通している。こうして構成された排出路14には、捕捉路13からドレンが連通孔16を通じて流入(流下)する。
【0022】
スクリーン20は、ケーシング10内に設けられ、流入路11から流出路12に流れるドレン中の異物を捕捉するフィルタ部材である。具体的に、スクリーン20は、捕捉路13に設けられている。スクリーン20は、捕捉路13の軸心X2方向に延びる円筒状に形成され、捕捉路13と同軸に設けられている。スクリーン20の一端は、流入路11に向かって開口しており、スクリーン20の他端は、捕捉路13の他端に螺合されたスクリーンホルダ21によって保持されている。
【0023】
捕捉路13は、流入路11から流入したドレンが、スクリーン20を通過するように構成されている。つまり、捕捉路13では、流入路11からのドレンが、スクリーン20の内部に流入し、スクリーン20の内部から周壁を通過する。こうしてドレンがスクリーン20を通過する際に、ドレン中の異物が捕捉される。スクリーンホルダ21には、ブロー弁22が設けられている。ブロー弁22は、開弁することにより、スクリーン20に捕捉された異物をドレンの流れによってケーシング10の外部に排出する。流入路11、流出路12および捕捉路13(スクリーン20を含む)は、実質、いわゆるY型ストレーナを構成している。
【0024】
多量排出機構30は、第2流路を開閉するものである。具体的に、多量排出機構30は、排出路14から多量排出管5を介してケーシング10外(大気)にドレンを排出する一方、排出路14から多量排出管5(ケーシング10外)への蒸気の流出を阻止する。
【0025】
多量排出機構30は、排出路14(弁室)、弁体31、弁座32、バネ34および邪魔板35を有している。
【0026】
排出路14(弁室)には、後述する多量排出孔33が設けられている。弁体31は、円板状(ディスク形)に形成されている。弁体31は、軸心が上下方向に延びる状態で排出路14に収容されている。弁体31は、上下動自在に設けられている。弁体31は、多量排出孔33の上方に配置され、上下動することによって多量排出孔33を開閉する。
【0027】
ケーシング10には、排出路14(弁室)を形成する略円筒状の流路壁が設けられており、流路壁の内周面には、ガイド部17が設けられている。ガイド部17は、流路壁の内周面から径方向内方へ突出し、且つ、上下方向に延びている。ガイド部17は、流路壁の周方向において互いに間隔を置いて複数設けられている。弁体31は、複数のガイド部17の内側に設けられており、ガイド部17に沿って上下動する。
【0028】
弁座32は、排出路14の他端(図2において下側の端部)に設けられている。弁座32には、弁孔であるドレンの多量排出孔33が形成されている。つまり、多量排出機構30は、捕捉路13でスクリーン20を通過したドレンが多量排出孔33から排出されるように構成されている。多量排出孔33は、排出路14において上下方向に開口している。多量排出孔33は、排出路14と多量排出管5(ケーシング10外)とを連通させている。多量排出孔33は、ドレントラップ4における排出孔よりも孔径が大きい。そのため、多量排出機構30は、ドレントラップ4よりも多量のドレンを排出可能である。
【0029】
バネ34は、弁体31を開弁方向に付勢するものであり、コイルバネにより構成されている。バネ34は、排出路14における弁体31の下方に設けられ、弁体31を上方へ付勢している。つまり、バネ34は、弁体31と弁座32との間に設けられている。バネ34は、排出路14(弁室)の圧力が所定の閉弁圧力まで上昇すると、変形して弁体31を開弁状態から閉弁状態に変位させる変形部材の一例である。
【0030】
バネ34は、一端が弁体31の下面に接続されて弁体31を支持している。より詳しくは、バネ34の一端は、弁体31の下面に形成された環状の凹部31aに嵌め込まれて接続されている。バネ34の他端は、弁座32によって支持されている。より詳しくは、バネ34の他端は、弁座32の上流側端面における多量排出孔33の周囲に形成された環状の凹部32aに嵌め込まれている。
【0031】
邪魔板35は、捕捉路13から連通孔16を通じて排出路14に流下するドレンが弁体31の上面に当たるのを阻止するものである。邪魔板35は、排出路14における弁体31の上方に設けられている。
【0032】
邪魔板35は、略円錐面状に形成された板部材である。邪魔板35は、円錐面の軸心が上下方向に延びる状態で設けられ、円錐面の頂点が上側に位置する状態で設けられている。邪魔板35は、円錐面の最大直径が弁体31の直径と略同じであり、弁体31と同軸に設けられている。つまり、邪魔板35は弁体31の上面を覆うように設けられている。弁体31は、開弁時にはバネ34の付勢力によって邪魔板35に押し付けられている。
【0033】
邪魔板35は、自身の上方に位置する仕切壁15に固定されている。具体的に、邪魔板35は、円錐面の頂点に相当する部分がねじ36によって仕切壁15に固定されている。仕切壁11aに対するねじ36のねじ込み長さを変えることで、邪魔板35の上下方向の位置が変更される。つまり、邪魔板35は、開弁時の弁体31の上限位置を規制する規制部材としても機能する。
【0034】
そして、多量排出機構30は、排出路14(弁室)の圧力が所定の閉弁圧力まで上昇すると、その閉弁圧力によって弁体31がバネ34の付勢力に抗して多量排出孔33を閉鎖するように構成されている。つまり、多量排出機構30は、排出路14の圧力に応じて弁体31が変位(上昇下降)し多量排出孔33を開閉するように構成されている。閉弁圧力は、弁体31がバネ34の付勢力に抗して閉弁するために必要な排出路14(弁室)の圧力である。
【0035】
具体的に、多量排出機構30では、排出路14の圧力が所定の閉弁圧力Pcよりも低下すると、バネ34の付勢力によって弁体31が上昇して弁座32から離座し、多量排出孔33が開放される。また、多量排出機構30では、排出路14の圧力が所定の閉弁圧力Pcまで上昇すると、閉弁圧力Pcによって弁体31がバネ34の付勢力に抗して下降し弁座32に着座する。これにより、多量排出孔33が閉鎖される。こうして、多量排出孔33が開閉されることにより、第2流路が開閉される。
【0036】
より詳しくは、蒸気システムの運転時には、多量排出孔33の上流側の圧力は所定値(以下、運転時の圧力Paとも言う)まで上昇する。即ち、多量排出孔33の上下流において圧力差(上流側である排出路14の圧力と、下流側である多量排出管5の圧力との差)が生じる。一方、運転開始時(運転立ち上げ時)では、多量排出孔33の上流側の圧力は直ぐには上昇しないため、多量排出孔33の上流側の圧力は運転時の圧力Paよりも低い圧力(以下、運転開始時の圧力Pbとも言う)となる。即ち、運転開始時の多量排出孔33における圧力差は運転時よりも小さくなる。上述した閉弁圧力Pcは、運転時の圧力Paよりも低く、運転開始時の圧力Pbよりも高い値に設定される。
【0037】
ここに、多量排出孔33の上流側の圧力は、流入路11、流出路12、捕捉路13および排出路14(弁室)の圧力とも言え、スクリーン20を通過したドレンの圧力、即ち排出路14内のドレンの圧力とも言える。
【0038】
弁体31には、運転時の圧力Paおよび運転開始時の圧力Pbによって閉弁方向の力(以下、閉弁力とも言う)が作用する。言い換えれば、多量排出孔33において圧力差が生じることによって、弁体31に閉弁力が作用する。なお、当然であるが、弁体31は、運転開始時の圧力Pbによる閉弁力よりも運転時の圧力Paによる閉弁力が大きい。つまり、多量排出孔33における圧力差が大きくなるほど、弁体31の閉弁力は大きくなる。
【0039】
バネ34の付勢力は、運転開始時の圧力Pbによる弁体31の閉弁力よりも大きく設定される一方、閉弁圧力Pcによる弁体31の閉弁力よりも小さく設定されている。また、当然であるが、バネ34の付勢力は、運転時の圧力Paによる弁体31の閉弁力よりも小さく設定されている。そのため、多量排出機構30は、運転開始時には、排出路14の圧力が運転開始時の圧力Pbまで低下するので開弁し、その後の運転時には、排出路14の圧力が運転時の圧力Paまで(閉弁圧力Pc以上に)上昇するので閉弁する。
【0040】
多量排出管5は、多量排出機構30における多量排出孔33の下流側に接続される一方、大気に開放している。多量排出管5は、多量排出孔33からのドレンを大気に排出する。多量排出管5は、多量排出機構30から大気までの配管長さが互いに異なる複数(この例では、3つ)の経路5a,5b,5cを有している。
【0041】
具体的に、多量排出管5は、第1経路5a、第2経路5bおよび第3経路5cを有している。この例では、第1経路5aの配管長さが最も短く、第3経路5cの配管長さが最も長い。より詳しくは、多量排出管5は、1つの主管51と、主管51から分岐する3つの枝管52,53,54とを有している。つまり、第1経路5aは主管51と第1枝管52とで形成され、第2経路5bは主管51と第2枝管53とで形成され、第3経路5cは主管51と第3枝管54とで形成されている。
【0042】
多量排出管5では、3つの経路5a,5b,5cが選択切換可能になっている。より詳しくは、3つの枝管52,53,54のそれぞれには、開閉弁55が設けられている。多量排出管5では、3つの開閉弁55を開閉することにより、3つの経路5a,5b,5cの選択切換が行われる。例えば、第1経路5aをドレンの排出経路として選択したい場合、第1枝管52の開閉弁55を開く一方、第2枝管53および第3枝管54の開閉弁55を閉じる。
【0043】
そして、多量排出機構30は、多量排出機構30から大気までの多量排出管5の配管長さに応じて上述した閉弁圧力Pcが変化するように構成されている。具体的に、多量排出機構30は、3つの経路5a,5b,5cを選択切換することによって閉弁圧力Pcが変化するように構成されている。
【0044】
より詳しくは、多量排出管5の配管長さが長くなると、閉弁圧力Pcは大きくなる。つまり、多量排出管5の配管長さが長くなると、多量排出管5における圧力損失が増加するので、多量排出孔33における圧力差が小さくなる。多量排出孔33における圧力差が小さくなると、弁体31の閉弁力が小さくなるので、弁体31を閉弁させるために必要な閉弁圧力Pcは大きくなる。
【0045】
また、ドレン排出システム1は、ドレンの排出流量に関する情報として図3に示す総合グラフをさらに備えている。この総合グラフは、ドレントラップ4による排出流量と、多量排出機構30による排出流量とが視認可能に示されている。
【0046】
この総合グラフは、3つのグラフ(第1グラフG1、第2グラフG2および第3グラフG3)が一緒に表示されている。第1グラフG1は、多量排出管5の配管長さLと閉弁圧力Pcとの関係を示すグラフである。第2グラフG2は、閉弁圧力Pcと多量排出機構30の排出流量Vaとの関係を示すグラフである。第3グラフG3は、ドレントラップ4の作動圧力差Pdとドレントラップ4の排出流量Vbとの関係を示すグラフである。ドレントラップ4の作動圧力差Pdは、ドレントラップ4の上下流の圧力差であり、実質、閉弁圧力Pcと同じである。
【0047】
なお、第1グラフG1では、多量排出管5の配管長さLがゼロの場合、即ち多量排出管5が省略されて多量排出孔33からドレンが直接大気に排出される場合に対応した閉弁圧力Pcも設定されている。つまり、閉弁圧力Pcとしては、配管長さLがゼロの場合の閉弁圧力Pcが最小値となる。
【0048】
〈運転開始時の動作〉
蒸気システムの運転開始時(運転立ち上げ時)における上述したドレン排出システム1の動作について説明する。運転開始時は、多量排出孔33の上流側の圧力は低い状態となっており、蒸気システムの配管等には低温低圧のドレンが残留している。つまり、捕捉路13や排出路14の圧力が運転開始時の圧力Pbまで低下している。
【0049】
多量排出機構30では、バネ44の付勢力が、運転開始時の圧力Pbによる弁体31の閉弁力よりも大きいため、弁体31が弁座32から離座し、多量排出孔33が開放されている(図2参照)。つまり、多量排出機構30は開弁している。また、この例では、多量排出管5において、第2経路5bがドレンの排出経路として選択されている。つまり、多量排出管5では、第2枝管53の開閉弁55が開いている一方、第1枝管52および第3枝管54の開閉弁55が閉じられている。
【0050】
運転開始時には、蒸気システムの残留ドレンがストレーナ装置100に流入する。ストレーナ装置100では、図2に矢印で示すように、流入路11に流入したドレンが、スクリーン20を通過した後、連通孔16を通じて排出路14に流れ、開放されている多量排出孔33から多量排出管5(第2経路5b)を介してケーシング10外(大気)に排出される。こうして、運転開始時には、蒸気システム内に残留している低温ドレンが多量排出機構30(ストレーナ装置100)からいち早く外部に排出される。なお、排出路14に流れたドレンは、隣り合うガイド部17とガイド部17との間を流通して多量排出孔33へ流れる。
【0051】
ここで、多量排出機構30による排出流量Vaについて説明する。総合グラフの第1グラフG1により、多量排出管5(即ち、第2経路5b)の配管長さLに応じた閉弁圧力Pcが導出される。続いて、第2グラフG2により、導出された閉弁圧力Pcに応じた多量排出機構30の排出流量Vaが導出される。こうして、運転開始時の多量排出機構30による排出流量Vaを把握することができる。
【0052】
また、多量排出機構30による排出流量Vaよりも多量のドレンが流入路11に流入してくる場合がある。その場合、排出流量Vaを超える分のドレンは、流出路12から供給管2に流出し、蒸気使用機器Sおよび排出管3を介してドレントラップ4から排出される。このときのドレントラップ4による排出流量Vbは、総合グラフの第3グラフG3により導出される。つまり、第3グラフG3において、作動圧力差Pd(即ち、閉弁圧力Pc)に応じた排出流量Vbが導出される。こうして、運転開始時のドレントラップ4による排出流量Vbを把握することができる。なお、多量排出機構30による排出流量Vaは、ドレントラップ4による排出流量Vaよりも非常に多いことが分かる。このように、運転開始時では、多量排出機構30による排出流量Vaと、ドレントラップ4による排出流量Vbとを合わせた排出流量を一つの総合グラフから把握することができる。
【0053】
また、排出路14が、流入路11から斜め下方に延びる捕捉路13の下方に位置しているため、流入路11から捕捉路13に流入したドレン、即ちスクリーン20を通過したドレンは、流出路12よりも排出路14へ流れ易くなる。そのため、多量排出孔33からケーシング10外へのドレンの排出が促進される。
【0054】
また、排出路14にはスクリーン20を通過したドレンが流入するため、ドレン中に含まれる異物に起因して発生し得る多量排出機構30の作動不良が抑制される。
【0055】
また、ドレンが捕捉路13から連通孔16を通じて排出路14へ流下する際、ドレンが弁体31の上面に当たることを邪魔板35によって阻止することができる。そのため、ドレンが弁体31の上面に当たることによって発生し得る弁体31の揺れが防止される。さらに、弁体31は、バネ34によって邪魔板35に押し付けられているため、これによっても、ドレンが当たることに起因する弁体31の揺れが防止される。
【0056】
〈運転時の動作〉
蒸気システムの運転時における上述したドレン排出システム1の動作について説明する。運転時は、多量排出孔33の上流側の圧力は高い状態となり、高温高圧の蒸気がストレーナ装置100に流入してくる。つまり、捕捉路13や排出路14の圧力が運転時の圧力Paまで(閉弁圧力Pc以上に)上昇する。
【0057】
多量排出機構30では、バネ34の付勢力が、運転時の圧力Pa(閉弁圧力Pc)による弁体31の閉弁力よりも小さいため、図4に示すように、運転時の圧力Paによって弁体31が弁座32に着座し、多量排出孔33が閉鎖される。厳密には、閉弁圧力Pcが運転時の圧力Paよりも低く設定されているため、排出路14の圧力が閉弁圧力Pcまで上昇した時点で、その閉弁圧力Pcによって弁体31が弁座32に着座する。つまり、多量排出機構30は閉弁する。
【0058】
そのため、ストレーナ装置100に流入してきた蒸気が、多量排出孔33から大気に流出することを阻止することができる。ストレーナ装置100に流入してきた蒸気は、図4に矢印で示すように、流入路11から捕捉路13に流入し、流出路12から供給管2へ流出していく。供給管2に流出した蒸気は、蒸気使用機器Sに供給されて凝縮する。蒸気の凝縮によって発生した高温ドレンは、排出管3を介してドレントラップ4に流入し排出される。
【0059】
このように、運転時には、ストレーナ装置100に流入した蒸気は、多量排出機構30から流出することなく、異物が捕捉された後、蒸気使用機器Sへ供給される。
【0060】
蒸気システムの運転が停止すると、多量排出孔33の上流側の圧力は次第に低下していく。そして、排出路14の圧力が運転開始時の圧力Pbまで低下すると、弁体31はバネ34の付勢力によって上昇し弁座32から離座する。こうして、多量排出機構30が開弁することで、排出路14に溜まっていたドレンが多量排出孔33から多量排出管5を介してケーシング10外に排出される。多量排出機構30は、次回の運転開始時まで開弁状態に維持される。
【0061】
〈閉弁圧力および排出流量の変更〉
次に、上述した運転開始時の多量排出機構30による排出流量Vaの変更について説明する。例えば、蒸気システムの残留ドレンの量が通常よりも多い場合は、多量排出機構30による排出流量Vaを増大させる必要がある。総合グラフの第2グラフG2によれば、多量排出機構30の排出流量Vaを増大させるためには、閉弁圧力Pcを大きくすればよいことが分かる。そして、第1グラフG1によれば、閉弁圧力Pcを大きくするためには、多量排出管5の配管長さLを長くすればよいことが分かる。したがって、この場合、ドレンの排出流路として、第2経路5bよりも配管長さLが長い第3経路5cを選択する。つまり、多量排出管5では、第3枝管54の開閉弁55が開く一方、第1枝管52および第2枝管53の開閉弁55が閉じられる。
【0062】
また、蒸気システムの残留ドレンの量が通常よりも少ない場合は、多量排出機構30による排出流量Vaを減少させることができる。総合グラフの第2グラフG2によれば、多量排出機構30の排出流量Vaを減少させるためには、閉弁圧力Pcを小さくすればよいことが分かる。そして、第1グラフG1によれば、閉弁圧力Pcを小さくするためには、多量排出管5の配管長さLを短くすればよいことが分かる。したがって、この場合、ドレンの排出流路として、第2経路5bよりも配管長さLが短い第1経路5aを選択する。つまり、多量排出管5では、第1枝管52の開閉弁55が開く一方、第2枝管53および第3枝管54の開閉弁55が閉じられる。
【0063】
このように、ドレン排出システム1では、多量排出管5の配管長さLを変更することによって閉弁圧力Pcを変更することができる。そして、閉弁圧力Pcを変更することによって、多量排出機構30による排出流量Vaを変更することができる。しかも、配管長さL、閉弁圧力Pcおよび排出流量Va,Vbの互いの相関を示した一つの総合グラフを用いるため、これら排出流量Va等の変更作業が容易となる。
【0064】
以上のように、ドレン排出システム1は、蒸気使用機器Sに蒸気が供給される供給管2と、蒸気使用機器Sで蒸気の凝縮によって発生したドレンが排出される排出管3と、排出管3に設けられ、ドレンの排出孔を有するドレントラップ4と、前記排出孔よりも孔径が大きいドレンの多量排出孔33が設けられた排出路14(弁室)、排出路14に収容され、多量排出孔33を開閉する弁体31を有する多量排出機構30とを備える。多量排出機構30は、ドレントラップ4よりも上流側の位置に設けられており、排出路14の圧力が所定の閉弁圧力Pcまで上昇すると、変形して弁体31を開弁状態から閉弁状態に変位させるバネ34(変形部材)を有している。
【0065】
上記の構成によれば、多量排出機構30は、ドレントラップ4の排出孔よりも孔径が大きい多量排出孔33を有するので、ドレントラップ4よりも多量のドレンを排出することができる。そして、多量排出機構30では、排出路14の圧力が閉弁圧力Pcよりも低くなる運転開始時には開弁させ、排出路14の圧力が閉弁圧力Pc以上に上昇する運転時には閉弁させることができる。そのため、運転開始時において、ドレントラップ4による排出流量が不十分な場合でも、蒸気システム内に残留している多量の低温ドレンをいち早く排出することができる。
【0066】
また、ドレン排出システム1は、多量排出機構30に接続され、多量排出機構30からドレンを大気に排出する多量排出管5をさらに備えている。そして、多量排出機構30は、多量排出機構30から大気までの多量排出管5の配管長さLに応じて所定の閉弁圧力Pcが変化するように構成されている。
【0067】
上記の構成によれば、多量排出管5の配管長さLを変更することにより、閉弁圧力Pcを変更することができる。具体的には、多量排出管5の配管長さLが長くなるほど、閉弁圧力Pcは大きくなる。そして、閉弁圧力Pcが大きくなると、多量排出機構30によるドレンの排出流量Vaは増大する(図3参照)。このように、多量排出管5の配管長さLを変更することによって、多量排出機構30による排出流量Vaを変更することができる。
【0068】
さらに、多量排出管5は、配管長さLが互いに異なる選択切換可能な複数(3つ)の経路5a,5b,5cを有している。多量排出機構30は、複数(3つ)の経路5a,5b,5cを選択切換することによって所定の閉弁圧力Pcが変化するように構成されている。
【0069】
上記の構成によれば、複数(3つ)の経路5a,5b,5cを選択切換することによって閉弁圧力Pcが変化するので、閉弁圧力Pcひいては多量排出機構30による排出流量Vaを簡易に変更することができる。
【0070】
また、多量排出機構30は、供給管2に設けられている。即ち、多量排出機構30は、蒸気使用機器Sよりも上流側の位置に設けられている。
【0071】
上記の構成によれば、多量排出機構30を蒸気使用機器Sよりも下流側の位置(例えば、排出管3)に設ける場合と比べて、運転開始時に残留ドレンが蒸気使用機器Sに滞留することを抑制することができる。そのため、運転時に移行した際、蒸気使用機器Sへの蒸気の供給を十分に行うことができるので、蒸気使用機器Sにおける熱交換量の低下を抑制することができる。
【0072】
また、ドレン排出システム1は、閉弁圧力Pcと多量排出管5の配管長さLとの関係を示す第1グラフG1、閉弁圧力Pcと多量排出機構30の排出流量Vaとの関係を示す第2グラフG2、ドレントラップ4の作動圧力差Pd(上下流の圧力差)とドレントラップ4の排出流量Vbとの関係を示す第3グラフG3が一緒に表示された総合グラフをさらに備えている。
【0073】
上記の構成によれば、第1グラフG1により、多量排出管5の配管長さLに応じた閉弁圧力Pcが導出され、第2グラフG2により、閉弁圧力Pcに応じた排出流量Vaが導出される。こうして、運転開始時の多量排出機構30による排出流量Vaを把握することができる。さらに、第3グラフG3により、作動圧力差Pd(即ち、閉弁圧力Pc)に応じた排出流量Vbが導出される。こうして、運転開始時のドレントラップ4による排出流量Vbを把握することができる。したがって、運転開始時におけるドレン排出システム1の排出流量(多量排出機構30による排出流量Vaとドレントラップ4による排出流量Vbとを合わせた排出流量)を一つの総合グラフから容易に把握(確認)することができる。
【0074】
また、ドレン排出システム1は、流体の流入路11および流出路12が形成されたケーシング10、ケーシング10内に設けられ、流入路11から流出路12に流れる流体中の異物を捕捉するスクリーン20を有し、供給管2に設けられるストレーナ装置100をさらに備えている。そして、多量排出機構30は、ストレーナ装置100に設けられ、スクリーン20を通過したドレンが多量排出孔33から排出されるように構成されている。
【0075】
上記の構成によれば、例えば、蒸気使用機器Sに供給される蒸気中の異物をスクリーン20で除去することができる。また、運転開始時では、スクリーン20を通過したドレンを多量排出孔33から排出させるため、ドレン中に含まれる異物に起因して発生し得る多量排出機構30の作動不良を抑制することができる。
【0076】
また、多量排出機構30において、変形部材は、弁体31を開弁方向に付勢するバネ34である。そして、多量排出機構30は、排出路14(弁室)の圧力が所定の閉弁圧力Pcまで上昇すると、閉弁圧力Pcによって弁体31がバネ34の付勢力に抗して多量排出孔33を閉鎖するように構成されている。
【0077】
上記の構成によれば、簡易な構成で、運転開始時には多量排出機構30を開弁さ、運転時には多量排出機構30を閉弁させることができる。
【0078】
(その他の実施形態)
本願に開示の技術は、上記実施形態において以下のような構成としてもよい。
【0079】
例えば、上記実施形態では、多量排出機構30を供給管2に設けるようにしたが、これに限らず、多量排出機構30をドレントラップ4よりも上流側の排出管3に設けるようにしてもよいし、ドレントラップ4に設けるようにしてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、多量排出機構30を供給管2にストレーナ装置100を介して設けるようにしたが、供給管2に直接設けるようにしてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、多量排出機構30をストレーナ装置100に設けるようにしたが、減圧弁や気液分離器等に設けるようにしてもよい。
【0082】
また、多量排出管5は省略するようにしてもよい。
【0083】
また、多量排出管5における経路の数は、1つまたは3つ以外の複数であってもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、多量排出管5における3つの経路5a,5b,5cのうち、1つの経路を排出流路として選択したが、2つまたは全ての経路を選択するようにしてもよい。その場合、第1グラフG1における配管長さLは、選択した経路の配管長さを合算した長さとなる。
【0085】
また、バネ34を弁体31の下方に設けたが、弁体の上方に設けるようにしてもよい。その場合、バネは、弁体を開弁方向(上方)に付勢する引っ張りバネとして構成される。
【0086】
また、上記実施形態において、弁体31は、円板状(ディスク形)以外の形式のものを設けるようにしてもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、変形部材としてバネ34を用いたが、例えば、バイメタル等の温度応動部材を用いるようにしてもよい。その場合、温度応動部材は、温度が上述した閉弁圧力Pcに相当する温度まで上昇すると、変形して弁体31を開弁状態から閉弁状態に変位させる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本願に開示の技術は、ドレン排出システムについて有用である。
【符号の説明】
【0089】
1 ドレン排出システム
2 供給管
3 排出管
4 ドレントラップ
5 多量排出管
5a 第1経路
5b 第2経路
5c 第3経路
10 ケーシング
11 流入路
12 流出路
14 排出路(弁室)
20 スクリーン
30 多量排出機構
31 弁体
33 多量排出孔
34 バネ(変形部材)
Pc 閉弁圧力
L 配管長さ
Va 排出流量
Vb 排出流量
G1 第1グラフ(総合グラフ)
G2 第2グラフ(総合グラフ)
G3 第3グラフ(総合グラフ)
100 ストレーナ装置
図1
図2
図3
図4