(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089502
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】フェイスシールド
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220609BHJP
【FI】
A41D13/11 L
A41D13/11 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201939
(22)【出願日】2020-12-04
(71)【出願人】
【識別番号】518104740
【氏名又は名称】ドクエン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】下村 勝
(57)【要約】
【課題】会話時に発生する飛沫の付着や飛散を抑制しつつ、飲食時に両手を飲食の動作に専念させることができるフェイスシールドを提供すること。
【解決手段】使用者の頭部に装着されて、使用者の顔の前方を覆うフェイスシールド1は、光透過性のシート面11を有するシールド部10と、シート面11の一端側において、シールド部10を回動自在に支持する支持部20と、シールド部10を支持した支持部20を、使用者の頭部に固定するための固定部30と、を備え、フェイスシールド1が使用者に装着された場合において、シールド部10は、使用者の頭部の傾きに応じてシート面11が水平方向に対して略垂直となるように支持部20により回動する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の頭部に装着されて、使用者の顔の前方を覆うフェイスシールドであって、
光透過性のシート面を有するシールド部と、
前記シート面の一端側において、前記シールド部を回動自在に支持する支持部と、
前記シールド部を支持した前記支持部を、使用者の頭部に固定するための固定部と、を備え、
前記フェイスシールドが使用者に装着された場合において、前記シールド部は、使用者の頭部の傾きに応じて前記シート面が水平方向に対して略垂直となるように前記支持部により回動するフェイスシールド。
【請求項2】
前記支持部は、前記シールド部が回動した際に、前記シート面と使用者の顔との間隔を保持する回り止め部を備える請求項1に記載のフェイスシールド。
【請求項3】
前記固定部は、使用者の頭部に装着される装着部と、前記シールド部と前記装着部との間を連結するアームと、前記アームの前記装着部に対する角度を調節可能な角度調節部と、を備え、
前記支持部は、前記アームと前記シールド部との間に設けられる請求項1又は2に記載のフェイスシールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェイスシールドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、花粉やウィルスの飛沫から使用者の顔を保護したり、飛沫の飛散を抑制したりするために、フェイスシールドが用いられている。従来の一般的なフェイスシールドを使用者が装着すると、シールド部(透明シート)は、使用者の顔の前方に固定された状態となる。そのため、使用者がフェイスシールドを装着したまま飲食をする場合、食べ物や飲み物を口に運ぶたびにフェイスシールドを外す必要があり、着脱が煩雑になるという課題がある。
従来技術として、シールド部を回動可能に構成したフェイスシールドが提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3224635号公報
【特許文献2】実用新案登録第3227844号公報
【特許文献3】実用新案登録第3227908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のフェイスシールドは、シールド部が使用者の顔の前方にある状態から上方に回動させる場合や、上方に回動させたシールド部を使用者の顔の前方に戻す際に、手を使ってシールド部を回動させる必要がある。そのため、会話時に発生する飛沫の飛散を抑制しつつ、飲食時に両手を飲食の動作に専念できるようにすることが求められている。
【0005】
本発明の目的は、会話時に発生する飛沫の付着や飛散を抑制しつつ、飲食時に両手を飲食の動作に専念させることができるフェイスシールドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、使用者の頭部に装着されて、使用者の顔の前方を覆うフェイスシールドであって、光透過性のシート面を有するシールド部と、前記シート面の一端側において、前記シールド部を回動自在に支持する支持部と、前記シールド部を支持した前記支持部を、使用者の頭部に固定するための固定部と、を備え、前記フェイスシールドが使用者に装着された場合において、前記シールド部は、使用者の頭部の傾きに応じて前記シート面が水平方向に対して略垂直となるように前記支持部により回動するフェイスシールドに関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るフェイスシールドによれば、会話時に発生する飛沫の付着や飛散を抑制しつつ、飲食時に両手を飲食の動作に専念させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態のフェイスシールド1を前方向から見たときの斜視図である。
【
図2】実施形態のフェイスシールド1を後方向から見たときの斜視図である。
【
図3】(A)~(C)は、アーム34の角度を0°としたフェイスシールド1の使用形態1を説明する図である。
【
図4】(A)~(C)は、アーム34の角度を45°上向きとしたフェイスシールド1の使用形態2を説明する図である。
【
図5】(A)~(C)は、フェイスシールド1の他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るフェイスシールドの実施形態について説明する。なお、本明細書に添付した図面は、いずれも模式図であり、理解しやすさ等を考慮して、各部の形状、縮尺、縦横の寸法比等を、実物から変更又は誇張している。
本明細書等において、形状、幾何学的条件、これらの程度を特定する用語、例えば、「直交」、「方向」等の用語については、その用語の厳密な意味に加えて、ほぼ直交等とみなせる程度の範囲、概ねその方向とみなせる範囲を含む。
【0010】
また、
図1及び
図2には、説明と理解とを容易にするために、XYZの直交座標系を設けた。この座標系では、使用者Pがフェイスシールド1を装着した状態を正面から見たときの左右方向をX(X1-X2)方向、高さ方向又は上下方向をY(Y1-Y2)方向、前後方向をZ(Z1-Z2)方向とする。なお、本明細書においては、「~方向」を適宜に「~側」ともいう。
【0011】
図1は、実施形態のフェイスシールド1を前方向から見たときの斜視図である。
図2は、実施形態のフェイスシールド1を後方向から見たときの斜視図である。
図1及び
図2に示すように、フェイスシールド1は、シールド部10、支持部20及び固定部30を備えている。
シールド部10は、使用者がフェイスシールド1を装着したときに、使用者の顔の前方を覆う透明なシート状の部材である。シールド部10は、上下方向(Y方向)に縦長な略矩形状に形成され、光透過性を有するシート面11を備えている。シールド部10を構成する材料としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)等の樹脂を用いることができる。
【0012】
支持部20は、シールド部10を回動自在に支持する部分である。支持部20は、
図1及び
図2に示すように、シールド固定板21と、アーム受け部22により構成されている。シールド固定板21は、シート面11の上側(Y1側)の一端を固定するための板状の部材である。シールド固定板21は、上下方向(Y方向)から見たときに略円弧状となるように形成されている。そのため、シールド部10をシールド固定板21に沿って固定すると、シールド部10のシート面11は、上下方向から見たときに同じ円弧状となる。シールド部10は、シールド固定板21に接着材により固定されている。シールド固定板21及びアーム受け部22(後述)を構成する材料としては、例えば、PET、ポリ塩化ビニル等の樹脂を用いることができる。
【0013】
アーム受け部22は、固定部30のアーム34及び35(後述)と係合する部材である。アーム受け部22は、シールド固定板21と一体に形成されている。
図1及び
図2に示すように、アーム受け部22は、側板23及び24を備えている。側板23は、アーム受け部22において、右側(X1側)に設けられる部材である。側板23には、孔部23a及び回り止め部23bが形成されている。孔部23aは、固定部30のアーム34とリベット40(後述)により連結される貫通孔である。回り止め部23bは、アーム34に設けられた回り止め突起34a(後述)と係合する略L字形の部分である。回り止め部23b及び24b(後述)は、シールド部10がX軸回りに回動した際に、シート面11と使用者の顔との間隔を規制するために設けられている。
【0014】
側板24は、アーム受け部22において、左側(X2側)に設けられる部材である。側板24には、孔部(不図示)及び回り止め部24bが形成されている。側板24の孔部は、固定部30のアーム35とリベット40により連結される貫通孔である。回り止め部24bは、アーム35に設けられた回り止め突起35a(後述)と係合する略L字形の部分である。なお、
図1及び
図2には、回り止め部24bを図示していないが、回り止め部24bは、側板23に形成された回り止め部23bと同一形状である。
図2では、回り止め部24bが形成されている位置を符号付きの矢印で示している。
【0015】
固定部30は、シールド部10を支持した支持部20を、使用者の頭部に固定する部分である。固定部30は、装着部31、アーム34及び35、角度調節部36を備えている。固定部30において、装着部31、アーム34及び35、角度調節部36を構成する材料としては、例えば、PET、ポリ塩化ビニル等の樹脂を用いることができる。
【0016】
装着部31は、使用者の頭部に装着される部分である。装着部31は、頭部用台座32及び固定用バンド33を備えている。頭部用台座32は、使用者の頭部の前額部に当接する湾曲した板材である。頭部用台座32を構成する材料としては、例えば、PET等の樹脂を用いることができる。固定用バンド33は、頭部用台座32の両端部に連結される部材である。固定用バンド33は、例えば、伸縮性を有する幅広のゴム紐により構成される。使用者は、フェイスシールド1の装着部31を頭部から被り、シールド部10が所望の高さとなるように位置合わせすることにより、フェイスシールド1を頭部に装着することができる。使用者がフェイスシールド1を頭部に装着することにより、使用者の顔の前方は、シート面11(シールド部10)で覆われる。
【0017】
アーム34及び35は、それぞれシールド部10と固定部30との間を連結する板状の部材である。
アーム34の前側(Z1側)には、アーム受け部22の側板23に形成された孔部23aと連通する孔部(不図示)及び回り止め突起34aが形成されている。アーム34と側板23は、アーム34の孔部と側板23の孔部23aとを貫通するリベット40により回動自在に連結されている。ここで、「リベット40により回動自在に連結されている」とは、アーム34の傾きに応じて、シールド部10が自重により回動して、シート面11がほぼ垂直になる程度の摩擦力でリベット40により締結されていることをいう。後述するアーム35と側板24を連結するリベット40についても同様である。回り止め突起34aは、アーム受け部22の側板23に形成された回り止め部23bと係合する部分である。また、アーム34の後側(Z2側)には、角度調節部36のアーム支持部37に形成された孔部37a(後述)と連通する孔部(不図示)が形成されている。
【0018】
アーム35の前側(Z1側)には、アーム受け部22の側板24に形成された孔部(不図示)と連通する孔部35b及び回り止め突起35aが形成されている。アーム35と側板24は、アーム35の孔部35bと側板24の孔部とを貫通するリベット40により回動自在に連結されている。また、アーム35の後側(Z2側)には、角度調節部36のアーム支持部38に形成された孔部(不図示)と連通する孔部35cが形成されている。
【0019】
角度調節部36は、アーム34及び35の装着部31に対する角度を調節する部分である。角度調節部36は、アーム支持部37及び38を備えている。アーム支持部37は、角度調節部36において、右側(X1側)に設けられる略L字形の部材である。アーム支持部37の前側(Z1側)には、アーム34の後側に形成された孔部(不図示)と連通する孔部37aが形成されている。アーム34とアーム支持部37は、アーム34の孔部(不図示)とアーム支持部37の孔部37aとを貫通するプラスチックネジ50により回動自在に連結されている。アーム支持部37の後側(Z2側)は、装着部31の頭部用台座32に接着材により接合されている。
【0020】
アーム支持部38は、角度調節部36において、左側(X2側)に設けられる略L字形の部材である。アーム支持部38の前側(Z1側)には、アーム35の後側に形成された孔部35cと連通する孔部(不図示)が形成されている。アーム35とアーム支持部38は、アーム35の孔部35cとアーム支持部38の孔部(不図示)とを貫通するプラスチックネジ50により回動自在に連結されている。アーム支持部38の後側(Z2側)は、装着部31の頭部用台座32に接着材により接合されている。
【0021】
なお、プラスチックネジ50は、アーム34とアーム支持部37との間に適度な摩擦力が生じる程度にアーム34とアーム支持部37とを締結している。具体的には、プラスチックネジ50による締結は、使用者がアーム34の角度を変えるために力を加えた場合にはアーム34が回動するが、使用者が力を加えていない状態では、シールド部10の自重によりアーム34が回動しない程度の摩擦力をアーム34とアーム支持部37との間に生じさせている。そのため、使用者は、使用状況等に応じて、装着部31に対するアーム34の角度を無段階に調節することができる。同じプラスチックネジ50により締結されるアーム35とアーム支持部38についても同様である。なお、装着部31に対するアーム34及び35の角度は、水平方向から上向きに0~45°程度の範囲とすることが望ましい。以下の説明では、装着部31に対するアーム34及び35の角度を適宜に「アーム34の角度」ともいう。また、アーム34及び35を総称して「アーム34」ともいう。
【0022】
次に、本実施形態のフェイスシールド1の使用形態ついて説明する。
(使用形態1)
図3(A)~(C)は、アーム34の角度を0°としたフェイスシールド1の使用形態1を説明する図である。
図3及び
図4(後述)では、フェイスシールド1の構成を適宜に簡略化している。また、
図3及び
図4(後述)においては、使用者Pの頭部の回転中心となる位置を、仮想的に符号Cで示している。
【0023】
まず、会話時の状態について説明する。
図3(A)に示すように、使用者Pの頭部の角度θが水平方向から90°(垂直)になる場合として、例えば、使用者Pが対面にいる相手と会話する場合が想定される。ここで、アーム34の取付け位置A1(プラスチックネジ50の中心)からシールド部10の回転中心A2(リベット40の中心)までの距離をL0とし、使用者Pの前額部と口が垂直方向においてほぼ同じ位置にあると仮定すると、シールド部10と口との距離L1は、ほぼ距離L0と同じとなる。例えば、距離L0を60mmとすると、シールド部10と口との距離L1は約60mmとなる。そのため、会話時において、会話相手からの飛沫の付着や会話相手への飛沫の飛散を抑制することができる。
【0024】
次に、飲食時の状態について説明する。
図3(B)に示すように、飲食時において、使用者Pは、目前にある食べ物や飲み物に頭部を近付けるため、頭部が前方へ傾くことが想定される。フェイスシールド1は、使用者Pの頭部が前方に傾いた場合、シールド部10が自重で回動するため、シート面11はほぼ垂直となる。ここで、使用者Pの頭部の角度θが45°となった場合のシールド部10と口との距離L2は、アーム34の取り付け位置A1と口までの距離をL3とすると、L2=(L0+L3)/√2で求められる。本例の場合、距離L2は、約150mmとなるため、シールド部10と使用者Pの口との間に、飲食をするための十分なスペースを確保することができる。
【0025】
また、会話時や飲食時等において、
図3(C)に示すように、使用者Pが頭部を後方へ傾けた場合(θ>90°)、アーム受け部22に形成された回り止め部23b及び24b(
図2参照)により、シールド部10が使用者Pに向かう方向の回動が規制される。これにより、シールド部10と口との距離L4は、
図3(A)の距離L1と同じく約60mmに保持されるため、シールド部10が口や鼻等に接触することを抑制することができる。
【0026】
(使用形態2)
図4(A)~(C)は、アーム34の角度を45°上向きとしたフェイスシールド1の使用形態2を説明する図である。
まず、会話時の使用形態について説明する。
図4(A)に示すように、アーム34の角度αを45°上向きとした場合、シールド部10と口との距離L1は、L1=L0/√2で求められる。ここで、アーム34の取付け位置A1からシールド部10の回転中心A2までの距離L0を90mmとすると、距離L1は約60mmとなる。そのため、会話時において、会話相手からの飛沫の付着や会話相手への飛沫の飛散を抑制することができる。
【0027】
次に、飲食時の状態について説明する。
図4(B)に示すように、アーム34の角度αを45°上向きとしたフェイスシールド1においても、使用者Pの頭部が前方に傾いた場合、シールド部10が自重で回動するため、シート面11はほぼ垂直となる。ここで、使用者Pの頭部の角度θが45°となった場合のシールド部10と口との距離L2は、L2=L3/√2で求められる。本例の場合、距離L2は、約190mmとなる。そのため、使用形態1のようにアーム34の角度を0°とした場合よりも、シールド部10と使用者Pの口との間に、飲食をするためのより広いスペースを確保することができる。
【0028】
また、会話時や飲食時等において、
図4(C)に示すように、使用者Pが頭部を後方へ傾けた場合(θ>90°)、アーム受け部22に形成された回り止め部23b及び24b(
図2参照)により、シールド部10が使用者Pに向かう方向の回動が規制される。これにより、シールド部10と口との距離L4は、
図4(A)の距離L1と同じく約60mmに保持されるため、シールド部10が口や鼻等に接触することを抑制することができる。
【0029】
なお、本形態のように、アーム34の角度αを大きくした場合、距離L2をより長くすることはできるが、アーム34の角度αを大きくすると、シールド部10の下側(Y2側)が飲食物等に近づき過ぎてしまうことも予想される。そのため、アーム34の角度αは、5~30°程度が好ましく、15~25°程度がより好ましい。なお、使用者Pの前額部は、個人差はあるが、側面視において後側に傾斜していることが多い。そのため、アーム34の角度αを0°とした場合であっても、フェイスシールド1を使用者Pの頭部に装着する位置によっては、アーム34の角度を実質的に10~30°程度にすることができる。そのため、使用者Pにとって最適なアーム34の角度は、実際にフェイスシールド1を頭部に装着した時点で調節することが望ましい。
【0030】
以上説明したように、本実施形態のフェイスシールド1によれば、会話時において、
図3(A)や
図4(A)に示すように、使用者Pの顔の前方がシールド部10で覆われため、会話相手からの飛沫の付着や会話相手への飛沫の飛散を抑制することができる。また、飲食時において、使用者Pの頭部が前方に傾いた場合、シールド部10が自重で回動するため、フェイスシールド1のシート面11はほぼ垂直となる。そのため、
図3(B)や
図4(B)に示すように、シールド部10と使用者Pの口との間に、飲食をするための十分なスペースを確保することができる。これによれば、使用者Pが食べ物や飲み物を口に運ぶたびにフェイスシールド1を外す必要がなく、また、手を使ってシールド部10を回動させる必要もない。そのため、使用者Pは、両手を飲食の動作に専念することができる。したがって、本実施形態のフェイスシールド1によれば、会話時に発生する飛沫の付着や飛散を抑制しつつ、飲食時に両手を飲食の動作に専念させることができる。
【0031】
本実施形態のフェイスシールド1は、会話時や飲食時等において、
図3(C)や
図4(C)に示すように、使用者Pが頭部を後方へ傾けた場合、アーム受け部22に形成された回り止め部23b及び24bにより、シールド部10が使用者Pの顔に向けて回動することが規制される。そのため、使用者Pが頭部を後方へ傾けた場合において、シールド部10が使用者Pの口や鼻等に接触することを抑制することができる。
本実施形態のフェイスシールド1は、角度調節部36(
図2参照)を備えるため、使用者は、使用状況等に応じて、装着部31に対するアーム34の角度を無段階に調節することができる。
【0032】
本実施形態のフェイスシールド1において、シールド部10のシート面11は、上下方向(Y方向)から見たときに円弧状となるため、会話相手の正面からの飛沫だけでなく、側面からの飛沫の付着を抑制することができる。また、外観的にも、使用者の装着しているフェイスシールド1が飛沫の飛散を抑制している印象を与えることができるため、会話相手や周囲の人に安心感を与えることができる。
【0033】
次に、フェイスシールド1の他の実施形態について説明する。
図5(A)~(C)は、フェイスシールド1の他の実施形態を示す図である。なお、
図5(A)~(C)では、フェイスシールド1の構成を適宜に簡略化している。また、以下に説明する実施形態の図面において、先に説明した実施形態と同等の部材等には、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0034】
図5(A)に示すフェイスシールド1は、装着部31の頭部用台座32に、固定用ベルト51と面ファスナー52が取り付けられている。使用者Pは、自身の前額部に頭部用台座32を押し当てながら、面ファスナー52で頭部回りの締め具合を調節することにより、フェイスシールド1を頭部により確実に装着することができる。なお、
図5(A)では、面ファスナー52を手前側にのみ示しているが、面ファスナー52は、頭部の反対側にも設けられている。
【0035】
図5(B)に示すフェイスシールド1は、装着部31の頭部用台座32の端部に、略U字形となるようにゴム紐53が取り付けられている。使用者Pは、自身の前額部に頭部用台座32を押し当てながら、ゴム紐53を耳の後側に引っ掛けることにより、フェイスシールド1を頭部に簡単に装着することができる。なお、
図5(B)では、ゴム紐53を手前側にのみ示しているが、ゴム紐53は、頭部用台座32の両端部に設けられている。本形態では、頭部用台座32が下側(Y2側)にずれ易いため、頭部用台座32を前額部よりも更に上側(Y1側)で装着することが望ましい。その場合、アーム34の角度αを、例えば、-5°程度とすることにより、シールド部10と使用者Pの口までを適切な距離に保つことができる。
【0036】
図5(C)に示すフェイスシールド1は、固定部30のアーム34及び35(不図示)の後側(Z2側)が、眼鏡60のテンプル(つる)61に固定されている。本形態によれば、フェイスシールド1を、より簡単に頭部の近傍に装着することができる。このように、本明細書において、「頭部」とは、使用者Pの頭部のみならず、使用者Pが頭部に装着している眼鏡のほか、ゴーグル、ヘルメット等も含まれる。すなわち、本明細書において、「頭部」とは、頭部又は頭部の近傍の範囲が含まれる。なお、本形態において、固定部30は、アーム34及び35により構成されている。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内に含まれる。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述の実施形態及び後述する変形形態は、適宜に組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0038】
(変形形態)
実施形態では、シールド部10として、光透過性を有する透明樹脂を用いる例について説明したが、これに限定されない。シールド部10は、光透過性を有していればよく、例えば、半透明であってもよいし、着色されていてもよい。また、シールド部10の一部分、例えば、使用者の眼の前方のみが光透過性を有していてもよい。
【0039】
実施形態では、シールド部10をシールド固定板21に接着材により固定する例について説明したが、これに限定されない。シールド部10をシールド固定板21にネジにより固定してもよいし、ハトメ、リベット等により固定してもよい。
また、シールド部10をシールド固定板21対して着脱可能に構成してもよい。このような構成とすることにより、フェイスシールド1から飛沫等の付着したシールド部10を取り外して洗剤等で洗浄したり、除菌処理を行ったりすることができる。また、シールド固定板21から取り外したシールド部10を、高さ方向(Y方向)の長さの異なる他のシールド部10に付け替えることもできる。これにより、使用者は、顔の大きさや使用目的に合わせたシールド部10を取り付けることができる。
【0040】
実施形態では、固定部30にアーム34及び35の角度調節部36を設けた例について説明したが、これに限定されない。固定部30に角度調節部36を設けずに、アーム34及び35を、頭部用台座32に対して特定の角度(例えば、15°)で直接取り付けるようにしてもよい。
【0041】
実施形態では、角度調節部36において、装着部31に対するアーム34の角度を無段階に調節できるように構成した例について説明したが、これに限定されない。角度調節部36において、装着部31に対するアーム34の角度を段階的に調節できるように構成してもよい。また、実施形態に示した角度調節部の構成は一例であり、本発明における角度調節部の構成は、実施形態の例に限定されない。
【0042】
実施形態では、アーム受け部22に回り止め部23b及び24b(
図2参照)を形成し、使用者が頭部を後方へ傾けた場合に、シールド部10が使用者の顔に向けて回動することを規制する例について説明したが、これに限定されない。使用者が頭部を前方へ傾けた場合に、シールド部10が使用者の顔から離れる方向に回動することを規制するようにしてもよい。また、アーム受け部22に回り止め部23b及び24bを形成しない構成としてもよい。
【0043】
実施形態では、シールド部10のシート面11を、上下方向(Y方向)から見たときに円弧状となるように構成した例について説明したが、これに限定されない。シールド部10のシート面11は、例えば、平板状であってもよし、上下方向から見たときに略凹形状であってもよい。また、シールド部10は、上下方向に縦長な略矩形状(
図1参照)に限らず、フェイスシールドとしての機能を果たすことができれば、どのような形状であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 フェイスシールド
10 シールド部
11 シート面
20 支持部
21 シールド固定板
22 アーム受け部
23,24 側板
23a,24a 孔部
23b,24b 回り止め部
30 固定部
31 装着部
32 頭部用台座
33 固定用バンド
34,35 アーム
34a,35a 突起
36 角度調節部
37,38 アーム支持部
40 リベット
50 プラスチックネジ
51 固定用ベルト
52 面ファスナー
53 ゴム紐