IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 朝日電装株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-スロットル操作装置 図1
  • 特開-スロットル操作装置 図2
  • 特開-スロットル操作装置 図3
  • 特開-スロットル操作装置 図4
  • 特開-スロットル操作装置 図5
  • 特開-スロットル操作装置 図6
  • 特開-スロットル操作装置 図7
  • 特開-スロットル操作装置 図8
  • 特開-スロットル操作装置 図9
  • 特開-スロットル操作装置 図10
  • 特開-スロットル操作装置 図11
  • 特開-スロットル操作装置 図12
  • 特開-スロットル操作装置 図13
  • 特開-スロットル操作装置 図14
  • 特開-スロットル操作装置 図15
  • 特開-スロットル操作装置 図16
  • 特開-スロットル操作装置 図17
  • 特開-スロットル操作装置 図18
  • 特開-スロットル操作装置 図19
  • 特開-スロットル操作装置 図20
  • 特開-スロットル操作装置 図21
  • 特開-スロットル操作装置 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089534
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】スロットル操作装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 11/02 20060101AFI20220609BHJP
   G01B 7/30 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
F02D11/02 Q
G01B7/30 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020201992
(22)【出願日】2020-12-04
(71)【出願人】
【識別番号】000213954
【氏名又は名称】朝日電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】大城 幸男
【テーマコード(参考)】
2F063
3G065
【Fターム(参考)】
2F063AA35
2F063BA11
2F063BB03
2F063BC04
2F063CA08
2F063DA01
2F063DA05
2F063DC08
2F063DD02
2F063GA52
3G065CA17
3G065CA21
3G065GA46
3G065JA02
3G065JA19
(57)【要約】
【課題】外部からの磁気の影響による検出センサの誤検出を抑制し、スロットルレバーの回転操作角度を精度よく検出することができるスロットル操作装置を提供する。
【解決手段】車両のハンドルバー先端に形成された把持グリップ近傍に固定された固定部材1と、把持グリップを把持しつつ回動操作可能とされたスロットルレバー2と、スロットルレバー2の回転操作に応じて回転可能な磁石Mと、スロットルレバー2に応じて回転する磁石Mの磁気変化に基づいて当該スロットルレバー2の回転操作角度を検出し得る検出センサ11とを具備し、検出センサ11で検出されたスロットルレバー2の回動操作角度に基づき車両の駆動源を制御可能なスロットル操作装置において、固定部材1内に配設され、磁石M及び検出センサ11の周囲を覆って外部からの磁気を遮蔽し得る磁気遮蔽手段(14、15)を具備したことを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のハンドルバー先端に形成された把持グリップ近傍に固定された固定部材と、
前記固定部材から延設して取り付けられ、前記把持グリップを把持しつつ回動操作可能とされたスロットルレバーと、
前記スロットルレバーの回転操作に応じて回転可能な磁石と、
前記スロットルレバーに応じて回転する前記磁石の磁気変化に基づいて当該スロットルレバーの回転操作角度を検出し得る検出センサと、
を具備し、前記検出センサで検出された前記スロットルレバーの回動操作角度に基づき車両の駆動源を制御可能なスロットル操作装置において、
前記固定部材内に配設され、前記磁石及び検出センサの周囲を覆って外部からの磁気を遮蔽し得る磁気遮蔽手段を具備したことを特徴とするスロットル操作装置。
【請求項2】
前記検出センサを内部に収容しつつ前記磁石を回転可能に収容した凹部が形成された収容ケースを具備するとともに、前記磁気遮蔽手段は、前記収容ケースを覆った状態で前記固定部材に取り付けられたことを特徴とする請求項1記載のスロットル操作装置。
【請求項3】
前記磁気遮蔽手段は、一方に開口して内部に収容空間が形成された第1磁気遮蔽手段と、前記第1磁気遮蔽手段の開口を覆う第2磁気遮蔽手段とを有し、前記第2磁気遮蔽手段により閉じられた前記第1磁気遮蔽手段の収容空間に前記収容ケースが配設されたことを特徴とする請求項2記載のスロットル操作装置。
【請求項4】
前記磁石が取り付けられる取付部材と前記スロットルレバーの操作に伴って回転する回転部材とを連結し、前記スロットルレバーの回転操作に連動して前記取付部材を回転させ得る連結部材を具備するとともに、前記第2磁気遮蔽手段は、前記連結部材を挿通して回転自在とする挿通孔が形成されたことを特徴とする請求項3記載のスロットル操作装置。
【請求項5】
前記収容ケース及び前記第2磁気遮蔽手段は、互いに嵌合して位置決め可能な嵌合凸部及び嵌合凹部が形成されたことを特徴とする請求項4記載のスロットル操作装置。
【請求項6】
前記収容ケースと前記第2磁気遮蔽手段との当接面に取り付けられるとともに、当該収容ケース及び第2磁気遮蔽手段の圧接力によりシール可能な第1シール手段と、
前記第2磁気遮蔽手段と前記固定部材との当接面に取り付けられ、当該第2磁気遮蔽手段及び固定部材の圧接力によりシール可能な第2シール手段と、
を具備したことを特徴とする請求項3~5の何れか1つに記載のスロットル操作装置。
【請求項7】
前記収容ケースにおける前記第2磁気遮蔽手段との当接面、及び前記固定部材における前記第2磁気遮蔽手段との当接面にそれぞれ取付溝部が形成され、これら取付溝部に前記第1シール手段及び第2シール手段がそれぞれ嵌合して取り付けられたことを特徴とする請求項6記載のスロットル操作装置。
【請求項8】
前記スロットルレバーの回転操作時に摺動面を摺動することにより摩擦を生じさせて抵抗力を付与し得る抵抗力付与手段を具備するとともに、前記摺動面は、前記磁気遮蔽手段の外周面から成ることを特徴とする請求項1~7の何れか1つに記載のスロットル操作装置。
【請求項9】
前記固定部材の開口を覆うカバー部材が設けられるとともに、当該カバー部材に前記磁気遮蔽手段がインサート成形されたことを特徴とする請求項1~8の何れか1つに記載のスロットル操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出センサで検出されたスロットルレバーの回動操作角度に基づき車両の駆動源を制御可能なスロットル操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ATVや四輪バギー等の車両におけるスロットル開度を操作するための従来のスロットル操作装置として、例えば特許文献1にて開示されているように、把持グリップ近傍に取り付けられたスロットルレバー(サムスロットルレバー)を具備したものが挙げられる。かかる従来のスロットル操作装置は、把持グリップを把持した運転者の手の指をスロットルレバーまで伸ばして回転操作すると、その回転操作角度を検出センサが検出して車両のエンジンを制御し得るよう構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-53836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、スロットルレバーに応じて回転する磁石の磁気変化を検出センサが検出することにより当該スロットルレバーの回転操作角度を検出し得る構成であったため、外部から磁気の影響を受けた場合、検出センサによる誤検出が生じる虞があり、スロットルレバーの回転操作角度を精度よく検出できない虞があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、外部からの磁気の影響による検出センサの誤検出を抑制し、スロットルレバーの回転操作角度を精度よく検出することができるスロットル操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、車両のハンドルバー先端に形成された把持グリップ近傍に固定された固定部材と、前記固定部材から延設して取り付けられ、前記把持グリップを把持しつつ回動操作可能とされたスロットルレバーと、前記スロットルレバーの回転操作に応じて回転可能な磁石と、前記スロットルレバーに応じて回転する前記磁石の磁気変化に基づいて当該スロットルレバーの回転操作角度を検出し得る検出センサとを具備し、前記検出センサで検出された前記スロットルレバーの回動操作角度に基づき車両の駆動源を制御可能なスロットル操作装置において、前記固定部材内に配設され、前記磁石及び検出センサの周囲を覆って外部からの磁気を遮蔽し得る磁気遮蔽手段を具備したことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のスロットル操作装置において、前記検出センサを内部に収容しつつ前記磁石を回転可能に収容した凹部が形成された収容ケースを具備するとともに、前記磁気遮蔽手段は、前記収容ケースを覆った状態で前記固定部材に取り付けられたことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のスロットル操作装置において、前記磁気遮蔽手段は、一方に開口して内部に収容空間が形成された第1磁気遮蔽手段と、前記第1磁気遮蔽手段の開口を覆う第2磁気遮蔽手段とを有し、前記第2磁気遮蔽手段により閉じられた前記第1磁気遮蔽手段の収容空間に前記収容ケースが配設されたことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のスロットル操作装置において、前記磁石が取り付けられる取付部材と前記スロットルレバーの操作に伴って回転する回転部材とを連結し、前記スロットルレバーの回転操作に連動して前記取付部材を回転させ得る連結部材を具備するとともに、前記第2磁気遮蔽手段は、前記連結部材を挿通して回転自在とする挿通孔が形成されたことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のスロットル操作装置において、前記収容ケース及び前記第2磁気遮蔽手段は、互いに嵌合して位置決め可能な嵌合凸部及び嵌合凹部が形成されたことを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項3~5の何れか1つに記載のスロットル操作装置において、前記収容ケースと前記第2磁気遮蔽手段との当接面に取り付けられるとともに、当該収容ケース及び第2磁気遮蔽手段の圧接力によりシール可能な第1シール手段と、前記第2磁気遮蔽手段と前記固定部材との当接面に取り付けられ、当該第2磁気遮蔽手段及び固定部材の圧接力によりシール可能な第2シール手段とを具備したことを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項6記載のスロットル操作装置において、前記収容ケースにおける前記第2磁気遮蔽手段との当接面、及び前記固定部材における前記第2磁気遮蔽手段との当接面にそれぞれ取付溝部が形成され、これら取付溝部に前記第1シール手段及び第2シール手段がそれぞれ嵌合して取り付けられたことを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項1~7の何れか1つに記載のスロットル操作装置において、前記スロットルレバーの回転操作時に摺動面を摺動することにより摩擦を生じさせて抵抗力を付与し得る抵抗力付与手段を具備するとともに、前記摺動面は、前記磁気遮蔽手段の外周面から成ることを特徴とする。
【0014】
請求項9記載の発明は、請求項1~8の何れか1つに記載のスロットル操作装置において、前記固定部材の開口を覆うカバー部材が設けられるとともに、当該カバー部材に前記磁気遮蔽手段がインサート成形されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、固定部材内に配設され、磁石及び検出センサの周囲を覆って外部からの磁気を遮蔽し得る磁気遮蔽手段を具備したので、外部からの磁気の影響による検出センサの誤検出を抑制し、スロットルレバーの回転操作角度を精度よく検出することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、検出センサを内部に収容しつつ磁石を回転可能に収容した凹部が形成された収容ケースを具備するとともに、磁気遮蔽手段は、収容ケースを覆った状態で固定部材に取り付けられたので、磁石及び検出センサの位置決めを収容ケースにて保持しつつ磁気遮蔽手段により外部からの磁気の影響を抑制することができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、磁気遮蔽手段は、一方に開口して内部に収容空間が形成された第1磁気遮蔽手段と、第1磁気遮蔽手段の開口を覆う第2磁気遮蔽手段とを有し、第2磁気遮蔽手段により閉じられた第1磁気遮蔽手段の収容空間に収容ケースが配設されたので、磁気遮蔽手段の内部に収容ケースを容易に配設することができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、磁石が取り付けられる取付部材とスロットルレバーの操作に伴って回転する回転部材とを連結し、スロットルレバーの回転操作に連動して取付部材を回転させ得る連結部材を具備するとともに、第2磁気遮蔽手段は、連結部材を挿通して回転自在とする挿通孔が形成されたので、スロットルレバーの回転操作に伴う磁石の回転を円滑に行わせることができるとともに、磁気遮蔽手段による磁気の遮蔽を維持することができる。
【0019】
請求項5の発明によれば、収容ケース及び第2磁気遮蔽手段は、互いに嵌合して位置決め可能な嵌合凸部及び嵌合凹部が形成されたので、第2磁気遮蔽手段に対する収容ケースの位置決めを精度よく行わせることができ、磁石及び検出センサが所定の相対位置となるよう容易に組み付けることができる。
【0020】
請求項6の発明によれば、収容ケースと第2磁気遮蔽手段との当接面に取り付けられるとともに、当該収容ケース及び第2磁気遮蔽手段の圧接力によりシール可能な第1シール手段と、第2磁気遮蔽手段と固定部材との当接面に取り付けられ、当該第2磁気遮蔽手段及び固定部材の圧接力によりシール可能な第2シール手段とを具備したので、磁気遮蔽手段を利用して第1シール手段及び第2シール手段によるシール力を保持することができる。
【0021】
請求項7の発明によれば、収容ケースにおける第2磁気遮蔽手段との当接面、及び固定部材における第2磁気遮蔽手段との当接面にそれぞれ取付溝部が形成され、これら取付溝部に第1シール手段及び第2シール手段がそれぞれ嵌合して取り付けられたので、第1シール手段及び第2シール手段を取付溝部に安定して保持させることができるとともに、磁気遮蔽手段において第1シール手段及び第2シール手段を嵌合するための取付溝部を不要とすることができる。
【0022】
請求項8の発明によれば、スロットルレバーの回転操作時に摺動面を摺動することにより摩擦を生じさせて抵抗力を付与し得る抵抗力付与手段を具備するとともに、摺動面は、磁気遮蔽手段の外周面から成るので、磁気遮蔽手段の外周面を利用して抵抗力付与手段により抵抗力を付与することができる。
【0023】
請求項9の発明によれば、固定部材の開口を覆うカバー部材が設けられるとともに、当該カバー部材に磁気遮蔽手段がインサート成形されたので、カバー部材及び磁気遮蔽手段を一体化して一部品として扱うことができ、組み付け作業を容易に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係るスロットル操作装置を示す全体斜視図
図2】同スロットル操作装置を示す3面図
図3図2のIII-III線断面図
図4図3のA部拡大図
図5図2のV-V線断面図
図6】同スロットル操作装置の固定部材を示す3面図
図7】同スロットル操作装置の収容ケースを示す4面図
図8図7のVIII-VIII線断面図
図9】同スロットル操作装置のスロットルレバー及びスロットルレバーと共に回転する一体構成部品を示す斜視図
図10】同スロットル操作装置のスロットルレバー及びスロットルレバーと共に回転する一体構成部品を示す3面図
図11図10のXI-XI線断面図
図12】同スロットル操作装置の回転部材を示す3面図
図13】同スロットル操作装置の一体構成部品の組み付け状態を示す分解斜視図
図14】同スロットル操作装置の磁気遮蔽手段(第1磁気遮蔽手段)を示す4面図
図15】同スロットル操作装置の磁気遮蔽手段(第2磁気遮蔽手段)を示す3面図
図16】同スロットル操作装置の固定部材、収容ケース及び磁気遮蔽手段の組み付け状態を示す分解斜視図
図17】同スロットル操作装置の固定部材、収容ケース及び磁気遮蔽手段の組み付け状態を示す分解斜視図
図18】本発明の他の実施形態に係るスロットル操作装置を示す全体斜視図
図19】同スロットル操作装置を示す3面図
図20図19のXX-XX線断面図
図21】同スロットル操作装置のカバー部材に一体形成された磁気遮蔽手段を示す4面図
図22】同スロットル操作装置のカバー部材に一体形成された磁気遮蔽手段を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るスロットル操作装置は、ATVやバギー等の車両が具備するハンドルバーに固定されて当該車両のエンジン(駆動源)を制御可能とされたものであり、図1~5に示すように、固定部材1と、所謂サムレバーと称されるスロットルレバー2と、カバー部材3と、回転部材5と、抵抗力付与手段7と、検出センサ11と、収容ケース13と、磁気遮蔽手段(14、15)と、リターンスプリングSと、磁石Mとを有して構成されている。
【0026】
固定部材1は、ハンドルバーHに固定されてスロットルレバー2を回動自在に支持するものであり、車両のハンドルバーHの先端に形成された把持グリップ近傍に固定されるようになっている。かかる固定部材1は、図6に示すように、上方が開口して内部に収容凹部が形成されるとともに、挟持部材4が取り付けられており、当該挟持部材4にてハンドルバーHを挟持して固定可能とされている。
【0027】
また、固定部材1は、その外側の所定位置において互いに所定寸法離間して形成された一対の規制部1a-1aが形成されるとともに、内部に形成された収容凹部の底面には、第2シール部材9b(図3~5参照)を嵌合して位置決めする取付溝1b、軸部材Lを挿通してスロットルレバー1の回転操作を許容する貫通孔1c、及びリターンスプリングSの他端Sb(図10、11参照)を係止する係止部1dがそれぞれ形成されている。なお、固定部材3における上部には、カバー部材3が取り付けられている。このカバー部材3は、固定部材3の上部の開口を覆った状態にて取付ネジNaにより固定されている。
【0028】
スロットルレバー2は、固定部材1の下部から延設して取り付けられ、運転者が車両の把持グリップを把持しつつ回動操作可能とされたものであり、図3、5に示すように、軸部材Lに連結されている。かかる軸部材Lは、スロットルレバー2の回転操作に応じて軸廻りに回転するもので、その先端部には、取付ネジNb及びワッシャWによって回転部材5が固定されている。なお、スロットルレバー2は、図2、9、10に示すように、側方に突出した突出部2aが形成されており、固定部材1に組み付けられた状態で突出部2aが一対の規制部1a-1aの間に位置するよう構成されている。これにより、スロットルレバー2及び軸部材Lは、その回転角度が所定範囲に規制されるようになっている。
【0029】
回転部材5は、スロットルレバー2の回動操作に応じて回転可能とされるとともに、図12、13に示すように、抵抗力付与手段7及びコイルスプリング8(図13参照)を取り付け可能な取付部5aと、軸部材Lの先端部を挿通可能な貫通孔5bと、リターンスプリングSの一端Sa(図11、13参照)を係止する係止部5cがそれぞれ形成されている。しかるに、回転部材5は、リターンスプリングSの一端Saが回転部材5の係止部5cに係止され、且つ、他端Sbが固定部材1の係止部1dに係止されて組み付けられるので、スロットルレバー1を回転操作して軸部材L及び回転部材5が回転すると、リターンスプリングSによって初期位置に向かって付勢されるようになっている。
【0030】
さらに、回転部材5は、図13に示すように、一対の取付ネジnによって連結部材12が取り付けられるとともに、当該連結部材12には、取付部材6が取り付けられている。取付部材6は、磁石Mを保持するもので、図13に示すように、磁石Mを嵌入可能な収容凹部6aと、収容凹部6aの開口縁部において互いに対向して形成された一対の係止爪6bとを有して構成されている。
【0031】
磁石Mは、取付部材6の収容凹部6aに嵌合して取り付けられ、スロットルレバー2の回転操作に応じて軸部材Lと共に回転可能なもので、図13に示すように、貫通孔Maと、上面縁部に形成された切欠き部Mbとを有して構成されている。そして、磁石Mは、取付部材6の収容凹部6a内に収容されるとともに、係止爪6bを切欠き部Mbに押圧させることにより抜け止めがされている。
【0032】
連結部材12は、図4、13に示すように、磁石Mが取り付けられる取付部材6とスロットルレバー2の操作に伴って回転する回転部材5とを連結し、スロットルレバー2の回転操作に連動して取付部材6を回転させ得るもので、突端部で取付部材6を嵌合して固定するための凸部12aが一体形成されている。この凸部12aは、所定高さ寸法に設定され、図4に示すように、第2磁気遮蔽手段15の挿通孔15bに挿通し得るようになっている。
【0033】
このように、本実施形態は、スロットルレバー2、軸部材L、回転部材5、連結部材12、取付部材6、磁石M及びリターンスプリングSが組み付けられ、図9~11に示すように、一体構成部品Yを構成している。したがって、一体構成部品Yは、スロットルレバー2を回転操作することにより、固定部材1に対して回転するとともに、当該一体構成部品YがリターンスプリングSによって初期位置に向かって付勢されているので、スロットルレバー2に対する操作力を緩めることにより、スロットルレバー2が初期位置に戻るようになっている。
【0034】
収容ケース13は、検出センサ11を内部に収容しつつ磁石Mを回転可能に収容した凹部13bが形成された樹脂成形部品から成るもので、図7、8に示すように、検出センサ11及び基板10を収容する収容部13aと、磁石Mを保持した取付部材6を収容しつつ当該磁石M及び取付部材6の回転を許容する凹部13bと、凹部13bの開口縁部に沿って形成された取付溝部13cと、底面側の所定位置に複数(本実施形態においては3つ)形成された嵌合凸部13dとを有して構成されている。
【0035】
収容部13aは、収容ケース13の側方に向かって開口した内部空間から成り、検出センサ11が形成された基板10を収容するとともに、所定の樹脂が充填されることにより検出センサ11及び基板10の防水が図られている。凹部13bは、収容ケース13の底面側に開口した円筒形状の空間から成り、磁石Mを保持した取付部材6を収容しつつ当該磁石M及び取付部材6の回転を許容し得るよう構成されている。
【0036】
すなわち、本実施形態は、一体構成部品Y(図9~11参照)を固定部材1に組み付けて取付部材6が凹部13b内に挿通されると、収容部13に収容された検出センサ11が取付部材6に保持された磁石Mの回転軸線上に位置することとなる。これにより、本実施形態は、スロットルレバー2を回転操作した際、磁石Mの回転に伴う磁気変化を精度よく検出することができるので、回転操作角度をより正確に検出することができる。
【0037】
検出センサ11は、スロットルレバー2の回転操作角度を検出し得るもので、本実施形態においては、磁石Mの磁気変化を検出してその回転角度を検出する角度センサから成る。すなわち、本実施形態は、スロットルレバー2の回転操作に伴って磁石Mが回転すると、その回転による磁石Mの磁気変化を検出センサ11が検知してスロットルレバー2の回転操作角度を検出することができるのである。
【0038】
そして、本実施形態は、検出センサ11がスロットルレバー2の回転操作角度を検出すると、その検出信号が基板10に接続された配線hを介して車両が具備するECU(エンジン・コントロール・ユニット)に送信され、当該スロットルレバー2の回転操作角度に基づいて車両のエンジン(駆動源)が制御されるよう構成されている。
【0039】
ここで、本実施形態においては、磁石M及び検出センサ11の周囲を覆って外部からの磁気を遮蔽し得る磁気遮蔽手段(第1磁気遮蔽手段14及び第2磁気遮蔽手段15)を具備している。かかる磁気遮蔽手段は、固定部材1内に配設されるとともに、図3~5に示すように、ケース状の第1磁気遮蔽手段14及び板状の第2磁気遮蔽手段15にて構成されるとともに、収容ケース13を覆った状態で固定部材1にネジ止めされて取り付けられている。
【0040】
具体的には、本実施形態に係る磁気遮蔽手段は、図14に示すように、一方(本実施形態においては下方)に開口して内部に収容空間14aが形成された鉄等の強磁性体から成第1磁気遮蔽手段14と、図15に示すように、第1磁気遮蔽手段14の開口を覆う鉄等の強磁性体から成る第2磁気遮蔽手段15とを有して構成されている。そして、磁気遮蔽手段は、図16、17に示すように、第1磁気遮蔽手段14の開口を第2磁気遮蔽手段15で塞いで収容空間14aを閉じた状態とすることにより、収容空間14aに収容ケース13が収容されるようになっている。なお、収容ケース13、第1磁気遮蔽手段14及び第2磁気遮蔽手段15は、それぞれ固定部材1にネジ止めにて固定されるようになっている。
【0041】
また、第2磁気遮蔽手段15は、図15に示すように、収容ケース13に形成された嵌合凸部13dを嵌合可能な嵌合凹部15aと、連結部材12の凸部12a(図5参照)を挿通して回転自在とする挿通孔15bとを有して構成されている。挿通穴15bは、図3~5に示すように、一体構成部品Y(図9~11参照)を固定部材1に組み付ける際、連結部材12の凸部12aを挿通可能とされ、スロットルレバー2の回転操作に応じて当該一体構成部品Yを回転可能とするものである。
【0042】
嵌合凹部15aは、嵌合凸部13dに対応した位置に形成された孔から成り、第2磁気遮蔽手段15の一方の面Xに収容ケース13の底面が当接した状態において、収容ケース13の嵌合凸部13をそれぞれ嵌合して位置決め可能とされている。なお、本実施形態においては、収容ケース13に嵌合凸部13が形成されるとともに、第2磁気遮蔽手段15に嵌合凹部15aが形成されているが、収容ケース13に嵌合凹部が形成されるとともに、第2磁気遮蔽手段15に嵌合凸部が形成されて位置決めするようにしてもよい。
【0043】
さらに、本実施形態においては、図16、17に示すように、収容ケース13と第2磁気遮蔽手段15との当接面に取り付けられてシール可能な第1シール部材9aと、第2磁気遮蔽手段15と固定部材1との当接面に取り付けられてシール可能な第2シール部材9bとがそれぞれ取り付けられている。
【0044】
第1シール手段9aは、収容ケース13における第2磁気遮蔽手段15との当接面に形成された取付溝部13c(図7、17参照)に嵌合して取り付け可能なOリングから成るとともに、収容ケース13及び第2磁気遮蔽手段15の圧接力によりシール可能とされている。また、第2シール手段9bは、固定部材1における第2磁気遮蔽手段15との当接面に形成された取付溝部1b(図6、16参照)に嵌合して取り付け可能なOリングから成るとともに、固定部材1及び第2磁気遮蔽手段15の圧接力によりシール可能とされている。
【0045】
またさらに、本実施形態に係るスロットル操作装置は、スロットルレバー2の回転操作時に摩擦を生じさせて抵抗力を付与し得る抵抗力付与手段7を具備している。かかる抵抗力付与手段7は、図13に示すように、回転部材5の取付部5aに取り付けられ、コイルスプリング8により上方に向かって付勢された樹脂製部材から成るとともに、スロットルレバー2の回転操作に伴って回転部材5が回転すると、当該回転部材5と共に回動し得るようになっている。
【0046】
具体的には、抵抗力付与手段7は、同図に示すように、突端面7aと、ボス部7bと、突出部7cとが一体形成されている。突端面7aは、抵抗力付与手段7の突端に形成された平面から成り、第2磁気遮蔽手段15の外周面(図15における摺動面Z)を摺動することにより摩擦を生じさせ得るようになっている。ボス部7bは、抵抗力付与手段7の下面に形成された突出形状から成り、コイルスプリング8を保持し得るものとされている。また、突出部7cは、抵抗力付与手段7の側面に形成された一対の膨出部から成り、回転部材5の取付部5aに形成された保持溝5aa(図13参照)に合致することにより、抵抗力付与手段7を位置決めするとともに、抵抗力付与手段7の変位が案内され得るようになっている。
【0047】
しかるに、抵抗力付与手段7は、コイルスプリング8により第2磁気遮蔽手段15の摺動面Z(外周面)に向かって付勢され、図3、4に示すように、突端面7aが摺動面Zに接触した状態とされるとともに、スロットルレバー2の回転操作に伴って回転部材5が回転し、当該回転部材5と共に回動すると、突端面7aが摺動面Z上を摺動し得るよう構成されている。
【0048】
本実施形態によれば、固定部材1内に配設され、磁石M及び検出センサ11の周囲を覆って外部からの磁気を遮蔽し得る磁気遮蔽手段(14、15)を具備したので、外部からの磁気の影響による検出センサ11の誤検出を抑制し、スロットルレバー2の回転操作角度を精度よく検出することができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、検出センサ11を内部に収容しつつ磁石Mを回転可能に収容した凹部13bが形成された収容ケース13を具備するとともに、磁気遮蔽手段(14、15)は、収容ケース13を覆った状態で固定部材1に取り付けられたので、磁石M及び検出センサ11の位置決めを収容ケース13にて保持しつつ磁気遮蔽手段(14、15)により外部からの磁気の影響を抑制することができる。
【0050】
さらに、本実施形態に係る磁気遮蔽手段(14、15)は、一方に開口して内部に収容空間が形成された第1磁気遮蔽手段14と、第1磁気遮蔽手段14の開口を覆う第2磁気遮蔽手段15とを有し、第2磁気遮蔽手段15により閉じられた第1磁気遮蔽手段14の収容空間14aに収容ケース13が配設されたので、磁気遮蔽手段(14、15)の内部に収容ケース13を容易に配設することができる。
【0051】
またさらに、本実施形態によれば、磁石Mが取り付けられる取付部材6とスロットルレバー2の操作に伴って回転する回転部材5とを連結し、スロットルレバー2の回転操作力を取付部材6に伝達して磁石Mを回転させ得る連結部材12を具備するとともに、第2磁気遮蔽手段15は、連結部材12を挿通して回転自在とする挿通孔15bが形成されたので、スロットルレバー2の回転操作に伴う磁石Mの回転を円滑に行わせることができるとともに、磁気遮蔽手段(14、15)による磁気の遮蔽を維持することができる。
【0052】
加えて、本実施形態に係る収容ケース13及び第2磁気遮蔽手段15は、互いに嵌合して位置決め可能な嵌合凸部13d及び嵌合凹部15aが形成されたので、第2磁気遮蔽手段15に対する収容ケース13の位置決めを精度よく行わせることができ、磁石M及び検出センサ11が所定の相対位置となるよう容易に組み付けることができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、収容ケース13と第2磁気遮蔽手段15との当接面に取り付けられるとともに、当該収容ケース13及び第2磁気遮蔽手段15の圧接力によりシール可能な第1シール手段9aと、第2磁気遮蔽手段15と固定部材1との当接面に取り付けられ、当該第2磁気遮蔽手段5及び固定部材1の圧接力によりシール可能な第2シール手段9bとを具備したので、磁気遮蔽手段(14、15)を利用して第1シール手段9a及び第2シール手段9bによるシール力を保持することができる。
【0054】
またさらに、本実施形態によれば、収容ケース13における第2磁気遮蔽手段15との当接面、及び固定部材1における第2磁気遮蔽手段15との当接面にそれぞれ取付溝部(13c、1b)が形成され、これら取付溝部(13c、1b)に第1シール手段9a及び第2シール手段9bがそれぞれ嵌合して取り付けられたので、第1シール手段9a及び第2シール手段9bを取付溝部(13c、1b)に安定して保持させることができるとともに、磁気遮蔽手段(本実施形態においては第2磁気遮蔽手段15)において第1シール手段9a及び第2シール手段9bを嵌合するための取付溝部を不要とすることができる。
【0055】
さらに、スロットルレバー2の回転操作時に摺動面Zを摺動することにより摩擦を生じさせて抵抗力を付与し得る抵抗力付与手段7を具備するとともに、摺動面Zは、磁気遮蔽手段(本実施形態においては第2磁気遮蔽手段15)の外周面から成るので、磁気遮蔽手段(第2磁気遮蔽手段15)の外周面を利用して抵抗力付与手段7により抵抗力を付与することができる。なお、スロットルレバー2の回転操作時に摩擦を生じさせて抵抗力を付与し得る抵抗力付与手段7を具備することにより、操作ワイヤを介してスロットルレバーの操作をエンジン側に伝達する従来のものに比べ、操作感を類似させることができ、スロットルレバー2の回転操作時の操作性を向上させることができる。
【0056】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば図18~22に示すように、固定部材1の開口を覆うカバー部材3が設けられるとともに、当該カバー部材3に磁気遮蔽手段14がインサート成形されたものであってもよい。すなわち、かかるスロットル操作装置は、図18~20に示すように、磁石M及び検出センサ11の周囲を覆って外部からの磁気を遮蔽し得る磁気遮蔽手段(14、15)を具備するものである。なお、先の実施形態と同様の構成部品には、同一の符号を付してある。
【0057】
そして、図21、22に示すように、カバー部材3において第1磁気遮蔽手段14の側面寸法及び側面形状に倣った突出部3aが形成されており、カバー部材3の成形時に第1磁気遮蔽手段14がインサート成形されて一体化されている。このように、固定部材1の開口を覆うカバー部材3が設けられるとともに、当該カバー部材3に第1磁気遮蔽手段14がインサート成形されたので、カバー部材3及び第1磁気遮蔽手段14を一体化して一部品として扱うことができ、組み付け作業を容易に行わせることができる。
【0058】
さらに、本実施形態は、上記実施形態には限定されず、抵抗力付与手段7を具備しないものとしてもよく、或いは抵抗力付与手段7が第2磁気遮蔽手段15とは相違する他の部位の面(例えば、別個に配設された金属製部材の表面等)を摺動するようにしてもよい。また、第1磁気遮蔽手段14及び第2磁気遮蔽手段15の寸法や形状を上記実施形態とは異なるものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明と同様の趣旨であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 固定部材
1a 規制部
1b 取付溝部
1c 貫通孔
1d 係止部
2 スロットルレバー
2a 突出部
3 カバー部材
4 挟持部材
5 回転部材
5a 取付部
5aa 保持溝
5b 貫通孔
5c 係止部
6 取付部材
6a 収容凹部
6b 係止爪
7 抵抗力付与手段
7a 突端面
7b ボス部
7c 突出部
8 コイルスプリング(付勢手段)
9a 第1シール部材
9b 第2シール部材
10 基板
11 検出センサ
12 連結部材
12a 凸部
13 収容ケース
13a 収容部
13b 凹部
13c 取付溝部
13d 嵌合凸部
14 第1磁気遮蔽手段
14a 収容空間
15 第2磁気遮蔽手段
15a 嵌合凹部
15b 挿通孔
H ハンドルバー
L 軸部材
M 磁石
Ma 貫通孔
Mb 切欠き部
S リターンスプリング
Sa 一端
Sb 他端
Na 取付ネジ
Nb 取付ネジ
W ワッシャ
n 取付ネジ
Y 一体構成部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22