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特開2022-89599新規フラボバクテリウム科細菌および魚類の保護
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089599
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】新規フラボバクテリウム科細菌および魚類の保護
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20220609BHJP
   A01K 61/13 20170101ALI20220609BHJP
【FI】
C12N1/20 A ZNA
C12N1/20 E
A01K61/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020202121
(22)【出願日】2020-12-04
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2018年度~2020年度 国立研究開発法人科学技術振興機構 未来社会創造事業「微生物パワーによる次世代閉鎖循環式陸上養殖システムの構築」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】304026696
【氏名又は名称】国立大学法人三重大学
(71)【出願人】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100118371
【弁理士】
【氏名又は名称】▲駒▼谷 剛志
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 文美
(72)【発明者】
【氏名】田丸 浩
(72)【発明者】
【氏名】堀 克敏
(72)【発明者】
【氏名】中谷 肇
【テーマコード(参考)】
2B104
4B065
【Fターム(参考)】
2B104AA01
2B104AA02
2B104AA03
2B104AA07
2B104BA13
4B065AA27X
4B065AC20
4B065BA22
4B065CA43
(57)【要約】
【課題】魚類を保護する新たな微生物を提供すること。
【解決手段】一つの局面において、本開示は、魚類を保護する能力を有する微生物を取得するための方法を提供する。一つの局面において、本開示は、魚類を保護する能力を有する微生物またはその生成物、およびこれを含む組成物を提供する。一つの実施形態において、魚類を保護する能力を有する微生物はフラボバクテリウム科の細菌であり得る。一つの局面において、本開示は、魚類を保護する能力を有する微生物またはその生成物、およびこれを含む組成物を使用して魚類を保護する方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚類を保護する能力を有する、フラボバクテリウム科細菌。
【請求項2】
魚類のプロバイオティクスとして機能する能力を有する、請求項1に記載のフラボバクテリウム科細菌。
【請求項3】
魚類の表皮のプロバイオティクスとして機能する能力を有する、請求項1または2に記載のフラボバクテリウム科細菌。
【請求項4】
少なくとも1種の有害微生物を抑制する能力を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のフラボバクテリウム科細菌。
【請求項5】
前記有害微生物が、魚類の皮膚病を引き起こす能力、魚類に対して経皮感染する能力、創傷感染する能力、および接触感染する能力のうちの少なくとも1つの能力を有する、請求項4に記載のフラボバクテリウム科細菌。
【請求項6】
前記有害微生物が、エドワジエラ症、ビブリオ病、せっそう病、非定型エロモナス・サルモニサイダ感染症、エロモナス・ハイドロフィラ感染症、赤点病、アユのシュードモナス病、レッドマウス病、細菌性鰓病、カラムナリス病(えらぐされ、尾ぐされ、ひれぐされ、くちぐされ)、冷水病、滑走細菌症、細菌性腎臓病、ミコバクテリア症、ノカルジア症、および/または連鎖球菌症を引き起こす能力がある、請求項4または5に記載のフラボバクテリウム科細菌。
【請求項7】
前記有害微生物が、Edwardsiella tarda、Edwardsiella ictaluri、Listonella anguillara(Vibrio anguillarum)、Vibrio ordalii、Vibrio ichthyoenteri、Vibrio vulnificus、Vibrio salmonicida、Aeromonas salmonicida、非定型Aeromonas salmonicida、Aeromonas hydrophila、Pseudomonas anguilliseptica、Pseudomonas plecoglossicida、Yersinia ruckeri、Flavobacterium branchiophilum、Flavobacterium columnare、Flavobacterium psychrophilum、Tenacibaculum maritimum、 Renibacterium salmoninarum、Mycobacterium marinum、Mycobacterium fortuitum、Mycobacterium chelonei、Nocardia seriolae、Streptococcus iniae、Lactococcus garvieae、Aeromonas caviaeまたはこれらの組み合わせを含む、請求項4または5に記載のフラボバクテリウム科細菌。
【請求項8】
前記有害微生物が、Edwardsiella tarda、Edwardsiella ictaluriまたはこれらの組み合わせを含む、請求項4または5に記載のフラボバクテリウム科細菌。
【請求項9】
前記魚類の生存率を向上させる能力を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のフラボバクテリウム科細菌。
【請求項10】
前記魚類の飼育環境飼育液に前記フラボバクテリウム科細菌を添加することで前記魚類が保護される、請求項1~9のいずれか一項に記載のフラボバクテリウム科細菌。
【請求項11】
前記魚類が養殖魚である、請求項1~10のいずれか一項に記載のフラボバクテリウム科細菌。
【請求項12】
前記養殖魚が、ナマズ、ウナギ、スズキ、カレイ、ヒラメ、ニシン、ニジマス、アユ、ブリ、マス、タイ、コイ、カンパチ、マグロ、サケ、アジ、ティラピア、フグ、ハマチ、ハタ、サバまたはサンマである、請求項11に記載のフラボバクテリウム科細菌。
【請求項13】
前記養殖魚が、ナマズ、ウナギ、スズキ、カレイ、ヒラメ、ニシン、ニジマスまたはアユである、請求項11に記載のフラボバクテリウム科細菌。
【請求項14】
フラボバクテリウム属(Flavobacterium)またはクリセオバクテリウム属(Chryseobacterium)の細菌である、請求項1~13のいずれか一項に記載のフラボバクテリウム科細菌。
【請求項15】
フラボバクテリウム属細菌の基準株のうち、フラボバクテリウム属のprocerum、resistens、micromati、limicola、reichenbachii、tiangeerense、xueshanense、psychrolimnae、algicola、faecale、frigidarium、omnivorum、fryxellicola、degerlachei、gillisiae、frigoris、sinopsychrotolerans、xinjiangense、およびurumqienseからなる群から選択される種の基準株の16S rRNA塩基配列に対して最も高い相同性または同一性を有する16S rRNA塩基配列を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載のフラボバクテリウム科細菌。
【請求項16】
クリセオバクテリウム属細菌の基準株のうち、クリセオバクテリウム属のvietnamense、aquifrigidense、culicis、nakagawai、jejuense、bernardetii、rhizosphaerae、kwangjuense、elymi、lathyri、oranimense、contaminans、gallinarum、artocarpi、ureilyticum、oncorhynchi、joostei、viscerum、tructae、lactis、rhizoplanae、sediminis、indologenes、gleum、およびarthrosphaeraeからなる群から選択される種の基準株の16S rRNA塩基配列に対して最も高い相同性または同一性を有する16S rRNA塩基配列を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載のフラボバクテリウム科細菌。
【請求項17】
MUCF01(受領番号:NITE AP-03323)、MUCF02(受領番号:NITE AP-03324)またはMUCF03(受領番号:NITE NITE AP-03325)である、フラボバクテリウム科細菌。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載のフラボバクテリウム科細菌を含む、魚類保護剤。
【請求項19】
請求項1~17のいずれか一項に記載のフラボバクテリウム科細菌を含む、魚類のプロバイオティクス剤。
【請求項20】
前記魚類の表皮のプロバイオティクスである、請求項19に記載のプロバイオティクス剤。
【請求項21】
養殖魚の保護剤またはプロバイオティクス剤である、請求項18に記載の魚類保護剤または請求項19または20に記載のプロバイオティクス剤。
【請求項22】
ナマズ、ウナギ、スズキ、カレイ、ヒラメ、ニシン、ニジマス、アユ、ブリ、マス、タイ、コイ、カンパチ、マグロ、サケ、アジ、ティラピア、フグ、ハマチ、ハタ、サバまたはサンマの保護剤またはプロバイオティクス剤である、請求項18に記載の魚類保護剤または請求項19または20に記載のプロバイオティクス剤。
【請求項23】
ナマズ、ウナギ、スズキ、カレイ、ヒラメ、ニシン、ニジマスまたはアユの保護剤またはプロバイオティクス剤である、請求項18に記載の魚類保護剤または請求項19または20に記載のプロバイオティクス剤。
【請求項24】
魚類を保護するための方法であって、前記魚類を請求項1~17のいずれか一項に記載のフラボバクテリウム科細菌と接触させる工程を含む、方法。
【請求項25】
魚類を保護するための方法であって、前記魚類を請求項1~17のいずれか一項に記載のフラボバクテリウム科細菌の存在する水中で前記魚類を生育させる工程を含む、方法。
【請求項26】
フラボバクテリウム科細菌に属する菌株であって、
該菌株は、
(i)NBR2A培地上で、該菌株を直線状に画線し、25℃で24~48時間培養する工程と、
(ii)その後、該菌株に触れないように該菌株から垂直方向に有害微生物を画線し、25℃で24~48時間培養する工程と、
を含む方法において試験した場合に、(ii)の工程の後に、該菌株の該画線から10mm以上の範囲にわたってクリアゾーンが存在することで特徴付けられ、
ここで、該有害微生物は、Edwardsiella sp.(NBRC 12716)、Edwardsiella sp.(NBRC 12717)およびEdwardsiella ictaluri(NBRC 105724)のうちの少なくとも1つを含む、
菌株。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、魚類を保護する能力を有する微生物、このような微生物を取得するための方法およびこのような微生物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
抗生物質は、多剤耐性菌出現や環境汚染への懸念から、低減すべきものとして国際的にも注視されている。養殖魚における病害予防の研究において、抗生物質に代わる手段として、魚病用のワクチン開発が着目されている(非特許文献1)。魚病用のワクチンは効果を上げているものの、特定の魚種の特定の病原体にのみ有効であり、現場で使用が承認されているワクチンの種類が限られているといった点で、この手段だけでは十分とはいえない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】農林水産省、消費・安全局畜水産安全管理課、「水産用医薬品の使用について」、第29報(平成28年1月31日)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、鋭意研究した結果、有害微生物を抑制する能力を有する微生物を取得するための方法を開発し、このようにして得られた微生物が魚類の保護に有用であることを見出した。魚類の保護に有用であり得る微生物にはフラボバクテリウム科細菌の細菌が含まれていた。この微生物は、有害微生物を抑制できることが見出された。そのため、本開示は、このように見出された微生物およびその誘導株、ならびにその使用を提供する。また、本開示は、魚類を保護する能力を有する微生物を取得するための方法も提供する。
【0005】
したがって、本開示は以下を提供する。
(項目1)
魚類を保護する能力を有する、フラボバクテリウム科細菌。
(項目2)
魚類のプロバイオティクスとして機能する能力を有する、上記項目のいずれかのフラボバクテリウム科細菌。
(項目3)
魚類の表皮のプロバイオティクスとして機能する能力を有する、上記項目のいずれかのフラボバクテリウム科細菌。
(項目4)
少なくとも1種の有害微生物を抑制する能力を有する、上記項目のいずれかのフラボバクテリウム科細菌。
(項目5)
前記有害微生物が、魚類の皮膚病を引き起こす能力、魚類に対して経皮感染する能力、創傷感染する能力、および接触感染する能力のうちの少なくとも1つの能力を有する、上記項目のいずれかのフラボバクテリウム科細菌。
(項目6)
前記有害微生物が、エドワジエラ症、ビブリオ病、せっそう病、非定型エロモナス・サルモニサイダ感染症、エロモナス・ハイドロフィラ感染症、赤点病、アユのシュードモナス病、レッドマウス病、細菌性鰓病、カラムナリス病(えらぐされ、尾ぐされ、ひれぐされ、くちぐされ)、冷水病、滑走細菌症、細菌性腎臓病、ミコバクテリア症、ノカルジア症、および/または連鎖球菌症を引き起こす能力がある、上記項目のいずれかのフラボバクテリウム科細菌。
(項目7)
前記有害微生物が、Edwardsiella tarda、Edwardsiella ictaluri、Listonella anguillara(Vibrio anguillarum)、Vibrio ordalii、Vibrio ichthyoenteri、Vibrio vulnificus、Vibrio salmonicida、Aeromonas salmonicida、非定型Aeromonas salmonicida、Aeromonas hydrophila、Pseudomonas anguilliseptica、Pseudomonas plecoglossicida、Yersinia ruckeri、Flavobacterium branchiophilum、Flavobacterium columnare、Flavobacterium psychrophilum、Tenacibaculum maritimum、 Renibacterium salmoninarum、Mycobacterium marinum、Mycobacterium fortuitum、Mycobacterium chelonei、Nocardia seriolae、Streptococcus iniae、Lactococcus garvieae、Aeromonas caviaeまたはこれらの組み合わせを含む、上記項目のいずれかのフラボバクテリウム科細菌。
(項目8)
前記有害微生物が、Edwardsiella tarda、Edwardsiella ictaluriまたはこれらの組み合わせを含む、上記項目のいずれかのフラボバクテリウム科細菌。
(項目9)
前記魚類の生存率を向上させる能力を有する、上記項目のいずれかのフラボバクテリウム科細菌。
(項目10)
前記魚類の飼育環境飼育液に前記フラボバクテリウム科細菌を添加することで前記魚類が保護される、上記項目のいずれかのフラボバクテリウム科細菌。
(項目11)
前記魚類が養殖魚である、上記項目のいずれかのフラボバクテリウム科細菌。
(項目12)
前記養殖魚が、ナマズ、ウナギ、スズキ、カレイ、ヒラメ、ニシン、ニジマス、アユ、ブリ、マス、タイ、コイ、カンパチ、マグロ、サケ、アジ、ティラピア、フグ、ハマチ、ハタ、サバまたはサンマである、上記項目のいずれかのフラボバクテリウム科細菌。
(項目13)
前記養殖魚が、ナマズ、ウナギ、スズキ、カレイ、ヒラメ、ニシン、ニジマスまたはアユである、上記項目のいずれかのフラボバクテリウム科細菌。
(項目14)
フラボバクテリウム属(Flavobacterium)またはクリセオバクテリウム属(Chryseobacterium)の細菌である、上記項目のいずれかのフラボバクテリウム科細菌。
(項目15)
フラボバクテリウム属細菌の基準株のうち、フラボバクテリウム属のprocerum、resistens、micromati、limicola、reichenbachii、tiangeerense、xueshanense、psychrolimnae、algicola、faecale、frigidarium、omnivorum、fryxellicola、degerlachei、gillisiae、frigoris、sinopsychrotolerans、xinjiangense、およびurumqienseからなる群から選択される種の基準株の16S rRNA塩基配列に対して最も高い相同性または同一性を有する16S rRNA塩基配列を有する、上記項目のいずれかのフラボバクテリウム科細菌。
(項目16)
クリセオバクテリウム属細菌の基準株のうち、クリセオバクテリウム属のvietnamense、aquifrigidense、culicis、nakagawai、jejuense、bernardetii、rhizosphaerae、kwangjuense、elymi、lathyri、oranimense、contaminans、gallinarum、artocarpi、ureilyticum、oncorhynchi、joostei、viscerum、tructae、lactis、rhizoplanae、sediminis、indologenes、gleum、およびarthrosphaeraeからなる群から選択される種の基準株の16S rRNA塩基配列に対して最も高い相同性または同一性を有する16S rRNA塩基配列を有する、上記項目のいずれかのフラボバクテリウム科細菌。
(項目17)
MUCF01(受領番号:NITE AP-03323)、MUCF02(受領番号:NITE AP-03324)またはMUCF03(受領番号:NITE NITE AP-03325)である、フラボバクテリウム科細菌。
(項目18)
上記項目のいずれかのフラボバクテリウム科細菌を含む、魚類保護剤。
(項目19)
上記項目のいずれかのフラボバクテリウム科細菌を含む、魚類のプロバイオティクス剤。
(項目20)
前記魚類の表皮のプロバイオティクスである、上記項目のいずれかのプロバイオティクス剤。
(項目21)
養殖魚の保護剤またはプロバイオティクス剤である、上記項目のいずれかの魚類保護剤またはプロバイオティクス剤。
(項目22)
ナマズ、ウナギ、スズキ、カレイ、ヒラメ、ニシン、ニジマス、アユ、ブリ、マス、タイ、コイ、カンパチ、マグロ、サケ、アジ、ティラピア、フグ、ハマチ、ハタ、サバまたはサンマの保護剤またはプロバイオティクス剤である、上記項目のいずれかの魚類保護剤またはプロバイオティクス剤。
(項目23)
ナマズ、ウナギ、スズキ、カレイ、ヒラメ、ニシン、ニジマスまたはアユの保護剤またはプロバイオティクス剤である、上記項目のいずれかの魚類保護剤またはプロバイオティクス剤。
(項目24)
魚類を保護するための方法であって、前記魚類を上記項目のいずれかのフラボバクテリウム科細菌と接触させる工程を含む、方法。
(項目25)
魚類を保護するための方法であって、前記魚類を上記項目のいずれかのフラボバクテリウム科細菌の存在する水中で前記魚類を生育させる工程を含む、方法。
(項目26)
フラボバクテリウム科細菌に属する菌株であって、
該菌株は、
(i)NBR2A培地上で、該菌株を直線状に画線し、25℃で24~48時間培養する工程と、
(ii)その後、該菌株に触れないように該菌株から垂直方向に有害微生物を画線し、25℃で24~48時間培養する工程と、
を含む方法において試験した場合に、(ii)の工程の後に、該菌株の該画線から10mm以上の範囲にわたってクリアゾーンが存在することで特徴付けられ、
ここで、該有害微生物は、Edwardsiella sp.(NBRC 12716)、Edwardsiella sp.(NBRC 12717)およびEdwardsiella ictaluri(NBRC 105724)のうちの少なくとも1つを含む、
菌株。
【0006】
本開示において、上記1または複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供されうることが意図される。本開示のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
【発明の効果】
【0007】
本開示の微生物は、養殖など魚の育成における抗生物質の代替となり得るので、抗生物質の使用を低減し環境負荷を低下させ得る。また、本開示の魚類を保護する微生物を取得する方法は、新たな有用微生物を提供し、より安定、廉価、高生産かつ/または多様な魚類の生育を達成し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例2のCross-streak法による阻害試験の結果を示す。MUCF01の結果である。横方向の画線は、それぞれ、Edwardsiella sp.(NBRC 12716)、Edwardsiella ictaluri(NBRC 105724)、およびEdwardsiella sp.(NBRC 12717)のものである。
図2】実施例2のCross-streak法による阻害試験の結果を示す。MUCF02の結果である。横方向の画線は、それぞれ、Edwardsiella sp.(NBRC 12716)、Edwardsiella ictaluri(NBRC 105724)、およびEdwardsiella sp.(NBRC 12717)のものである。
図3】実施例2のCross-streak法による阻害試験の結果を示す。MUCF03の結果である。横方向の画線は、それぞれ、Edwardsiella sp.(NBRC 12716)、Edwardsiella ictaluri(NBRC 105724)、およびEdwardsiella sp.(NBRC 12717)のものである。
図4】実施例2のCross-streak法による阻害試験の結果を示す。Edwardsiella抑制能を呈さない株の結果である。横方向の画線は、それぞれ、Edwardsiella sp.(NBRC 12716)、Edwardsiella ictaluri(NBRC 105724)、およびEdwardsiella sp.(NBRC 12717)のものである。
図5】実施例3のMUCF01(MUCF02も同様)の16S rRNA塩基配列に基づく分子系統樹を示す。左下の線はスケールバーを示す。系統樹の分岐箇所の数字はブートストラップ値を示す。
図6】実施例3のMUCF03の16S rRNA塩基配列に基づく分子系統樹を示す。左下の線はスケールバーを示す。系統樹の分岐箇所の数字はブートストラップ値を示す。
図7】実施例3のフラボバクテリウム属細菌の各種の基準株との16S rRNA塩基配列に基づく分子系統樹におけるMUCF01(MUCF02も同様)を含むクラスタを示す。系統樹の分岐箇所の数字はブートストラップ値を示す。
図8】実施例3のクリセオバクテリウム属細菌の各種の基準株との16S rRNA塩基配列に基づく分子系統樹におけるMUCF03を含むクラスタを示す。系統樹の分岐箇所の数字はブートストラップ値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を最良の形態を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本開示の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0010】
以下に本明細書において特に使用される用語の定義および/または基本的技術内容を適宜説明する。
【0011】
(定義等)
本明細書において「魚類」とは、脊椎動物亜門(Vertebrata)に属する生物であり四肢動物を除く生物を指す。魚類には、食用に供される養殖魚類、鑑賞・愛玩用の魚類などが含まれるがこれらに限定されない。1つの実施形態では、魚類は表皮を有するものであれば本開示の対象になり得る。
【0012】
本明細書において、「微生物」とは、真正細菌および古細菌の他にも、小型の(例えば、1mm以下の、または0.1mm以下の、あるいは肉眼で見えない)藻類、原生生物、菌類(カビ、真菌など)、酵母、動物(原生動物、後生動物など)も含まれる生物を意味する。
【0013】
本明細書において、「有害微生物」とは、魚類の生存、健康状態、肉質、傷害の回復および/または感染状態を悪化させる、または悪化させるおそれのある微生物を意味する。有害微生物には、日和見感染菌も含まれ得る。
【0014】
本明細書において、微生物の「抑制」(日本語では「阻害」とも称されるが、両者は本明細書では同義である。)とは、微生物の減少および/または死滅、ならびに/あるいは微生物の増殖速度の低下を意味し、微生物の生育や増殖を低下させること、微生物を殺傷することなども含まれる。微生物の抑制は、例えば、微生物を植菌した培地の透明度および透明な培地面積などに基づいて評価することができる。微生物が有害微生物を抑制または阻害する能力は、例えば、以下の試験で測定し、同定することができる。また、いずれか1つの試験で阻害効果を示す結果が出た場合、本明細書において阻害の範囲に入ることが理解される。
・候補微生物を培地上に添加して、その後、同じ培地上に有害微生物を添加して培地の透明度および/または透明な培地面積を確認する試験。
・候補微生物と有害微生物とを同一の培地上で増殖させ、候補微生物の付近の有害微生物が生育できない生育阻止ゾーン(クリアゾーン)を観察する試験。
・候補微生物の培養上清を、有害微生物を植菌した液体培地に添加することで、有害微生物の増殖が低下することを確認する試験。
・候補微生物の培養液または培養上清の含侵物を培地上に置くか、候補微生物の培養液または培養上清を小さな底なし円筒内に入れ、同培地上全体に植菌した有害微生物の生育がその周りで抑制されることを確認する試験。
・候補微生物と有害微生物とを同じ液体培地内で培養した後、両微生物を区別して微生物の増殖を比較し、有害微生物が抑制されることを確認する試験。
【0015】
本明細書において、魚類の「表皮」とは、魚類の体(体表)、眼、鱗、ひれ、えら、口、肛門、および生殖器の表面を意味する。魚類の体表の表皮は、鱗タイプ(鱗タイプの魚類)と、粘膜タイプ(粘膜タイプの魚類)とに分類され得る。
【0016】
本明細書において、魚類の「保護」とは、魚類の生存、健康状態、肉質、傷害の回復および/または感染状態(易感染性を含む)を向上させることを意味する。魚類の保護は、例えば、傷害のある魚類を有害微生物と接触させた場合の生存率の向上などによって評価することができる。例えば、魚類の飼育環境(例えば、飼育液、飼育水など)に前記フラボバクテリウム科細菌を添加することで魚類が保護される。ここで、飼育環境とは、魚類生物の任意の生育環境をいい、通常飼育液であるが魚卵状態の場合は水分が少ないこともあるため、必ずしもそれに限定されない。微生物が魚類を保護する能力は、例えば、以下の試験で測定し、同定することができる。
・魚類にストレスを与え、この魚類に有害微生物を添加する対照群と、この魚類に有害微生物および候補微生物を添加する処置群との間で比較を行い、処置群における魚類の生存率の向上を確認する試験。
・あらかじめ魚類を候補微生物存在下で一定期間以上飼育する前処置を行った後、有害微生物を添加する処置群と、前記前処置を行わずに有害微生物を添加する対照群との間で比較を行い、処置群における魚類の生存率の向上を確認する試験。
【0017】
本明細書において「プロバイオティクス」とは、生物学的成分(例えば、微生物全体またはその一部)を含む組成物であって、有害微生物に作用する、魚類において有用微生物フローラを形成する、魚類の表皮の健康状態を維持または向上する、および/または魚類の免疫力を賦活する等の機能を有する微生物またはその生物学的成分自体、あるいはこれらを含む組成物を指す。微生物がプロバイオティクスとして機能する能力は、例えば、以下の試験で測定し、同定することができる。
・魚類を候補微生物の存在下で一定期間以上飼育した場合に、候補微生物の非存在下で飼育した場合と比較して、魚類の生存率が向上することを確認する試験。
・魚類を候補微生物の存在下で一定期間以上飼育した後、サイトカインの分泌量の増大および免疫関連遺伝子の発現量の向上など、魚類の免疫活性の増強を示す兆候を確認する試験。
・魚類を候補微生物の存在下で一定期間以上飼育することで、魚類の微生物フローラ中の有害微生物のポピュレーションが減少することを確認する試験。
・魚類を候補微生物の存在下で一定期間以上飼育する前処置を行った後、有害微生物を飼育水に添加して飼育する処置群と、前処置を行わずに有害微生物を添加した対照群とを比較して、処置群の魚類の微生物フローラにおける前記有害微生物のポピュレーションが、対照群より低いことを確認する試験。
【0018】
本明細書において「定着」とは、微生物が対象に接着したままある期間生存する(例えば、増殖する)ことを指す。微生物が魚類に定着する能力は、例えば、以下の試験で測定し、同定することができる。
・候補微生物を添加した飼育水中で魚類を飼育し、飼育した魚類から取得される候補微生物の数または量を確認する試験。
・候補微生物を添加した飼育水中で魚類を飼育した後、魚類を顕微鏡下で観察し、魚類(魚類の表皮上など)における候補微生物の存在を確認する試験。
・候補微生物を添加した飼育水中で魚類を飼育した後、魚類(魚類の表皮上など)の微生物フローラを解析して、フローラ中の候補微生物の存在を確認する試験。
【0019】
本明細書において「魚類保護剤」とは、本開示の微生物を有効成分とする、魚類の保護を可能とする製剤を指す。
【0020】
本明細書において「プロバイオティクス剤」とは、本開示の微生物を有効成分とする、プロバイオティクスとしての機能を発揮することができる製剤を指す。
【0021】
本明細書で使用される「誘導株」、「類似株」または「変異株」は、好ましくは、限定を意図するものではないが、対象となる微生物のDNAに実質的に相同な領域を含む遺伝子(例えば、16S rDNA)を含み、このような株は、種々の実施形態において、当該分野で公知のコンピュータ相同性プログラムによってアラインメントを行って元となる株の全ゲノムの配列と比較した際、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または99%同一である全ゲノム配列を有する。これは、遺伝子の変異、置換、欠失および/または付加によって改変された微生物であり、その誘導株がなお元の微生物の生物学的機能を、必ずしも同じ度合いでなくてもよいが示す微生物を意味する。例えば、遺伝子の変異は、任意の公知の変異剤、UV、プラズマ、ゲノム編集技術などを使用して導入することができる。一つの実施形態では、「誘導株」、「類似株」または「変異株」は、元の株と同じ属および/または種である株である。例えば、本明細書において記載されあるいは当該分野で公知の適切で利用可能なin vitroアッセイによって、このような微生物の生物学的機能を調べることが可能である。
【0022】
本明細書において「精製された」生物学的因子(例えば、特定の株の生物または細胞内成分)とは、その生物学的因子に天然に随伴する因子の少なくとも一部が除去されたものをいう。従って、通常、精製された生物学的因子におけるその生物学的因子の純度は、その生物学的因子が通常存在する状態よりも高い(すなわち濃縮されている)。本明細書中で使用される用語「精製された」は、好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも85重量%、よりさらに好ましくは少なくとも95重量%、そして最も好ましくは少なくとも98重量%の、同型の生物学的因子(例えば、特定の生物株)が存在することを意味する。
【0023】
本明細書において遺伝子または塩基配列の「相同性」とは、2以上の遺伝子配列の、互いに対する同一性の程度をいい、一般に「相同性」を有するとは、同一性または類似性の程度が高いことをいう。従って、ある2つの遺伝子の相同性が高いほど、それらの配列の同一性または類似性は高い。2種類の遺伝子が相同性を有するか否かは、配列の直接の比較、または核酸の場合ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション法によって調べられ得る。2つの遺伝子配列を直接比較する場合、その遺伝子配列間でDNA配列が、代表的には少なくとも50%同一である場合、好ましくは少なくとも70%同一である場合、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である場合、それらの遺伝子は相同性を有する。本明細書において遺伝子または塩基配列の「類似性」は、2以上の遺伝子配列の、互いに対する類似性の程度をいい、同一性の他配列の類似の程度が高いことをいう。「類似性」は、同一性に加え、類似の塩基についても計算に入れた数値であり、ここで類似の塩基とは、混合塩基(例えば、R=A+G、M=A+C、W=A+T、S=C+G、Y=C+T、K=G+T、H=A+T+C、B=G+T+C、D=G+A+T、V=A+C+G、N=A+C+G+T)において、一部が一致する場合をいう。
【0024】
アミノ酸は、その一般に公知の3文字記号か、またはIUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される1文字記号のいずれかにより、本明細書中で言及され得る。ヌクレオチドも同様に、一般に認知された1文字コードにより言及され得る。本明細書では、アミノ酸配列および塩基配列の類似性、同一性および相同性の比較は、配列分析用ツールであるBLASTを用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。同一性の検索は例えば、NCBIのBLAST2.7.1(2017.10.19発行)を用いて行うことができる。本明細書における「同一性」の値は通常は上記BLASTを用い、デフォルトの条件でアラインした際の値をいう。ただし、パラメータの変更により、より高い値が出る場合は、最も高い値を同一性の値とする。複数の領域で同一性が評価される場合はそのうちの最も高い値を同一性の値とする。「類似性」は、同一性に加え、類似のアミノ酸についても計算に入れた数値である。
【0025】
「同一性」は、2つもしくは複数間の塩基配列において相同な塩基数の割合を、上述したような公知の方法に従って算定される。具体的に説明すると、割合を算定する前には、比較する塩基配列群の塩基配列を整列させ、同一塩基核酸の割合を最大にするために必要である場合は塩基配列の一部に間隙を導入する。整列のための方法、割合の算定方法、比較方法、およびそれらに関連するコンピュータプログラムは、当該分野で従来からよく知られている(例えば、上述したBLAST等)。本明細書において「同一性」は、特に断りのない限りNCBIのBLASTによって測定された値で表すことができる。BLASTで塩基配列を比較するときのアルゴリズムには、Blastpをデフォルト設定で使用できる。測定結果はPositivesまたはIdentitiesとして数値化される。この場合、「同一性」に代えて「類似性」という場合は、本明細書に記載される「類似」する「塩基」の定義に該当するものも考慮した数値である。
【0026】
本明細書において「生物学的機能」とは、ある微生物について言及するとき、その微生物が有し得る特定の機能をいい、これには、例えば、魚類の保護(例えば、魚類の生存率の向上)等を挙げることができるがそれらに限定されない。本開示においては、例えば、魚類の生存率の向上のほか、有害微生物の抑制などを挙げることができるがそれらに限定されない。本明細書において、生物学的機能は、対応する「生物学的活性」によって発揮され得る。本明細書において「生物学的活性」とは、ある微生物が、ある環境において有し得る活性のことをいい、種々の機能(例えば、魚類の生存率の向上)を発揮する活性が包含される。このような生物学的活性は、当該分野において周知の技術によって測定することができる。従って、「活性」は、応答に影響する(すなわち、いくらかの曝露または刺激に応答する測定可能な影響を有する)、種々の測定可能な指標をいい、例えば、本開示の微生物のいくつかの刺激後または事象後の上流または下流のタンパク質の量あるいは他の類似の機能の尺度も含まれ得る。
【0027】
本明細書で使用されるとき、試料中の分析物の「量」は、一般には、試料の体積中で検出し得る分析物の質量を反映する絶対値を指す。しかし、量は、別の分析物量と比較した相対量も企図する。例えば、試料中の分析物の量は、試料中に通常存在する分析物の対照レベルまたは正常レベルより大きい量であってもよい。
【0028】
本明細書において、用語「約」は、特に別の定義が示されない限り、示された値プラスまたはマイナス10%を指す。
【0029】
本明細書において「キット」とは、通常2つ以上の区画に分けて、提供されるべき部分(例えば、本開示の微生物を含む組成物、追加的な成分、緩衝液、説明書など)が提供されるユニットをいう。安定性等のため、混合されて提供されるべきでなく、使用直前に混合して使用することが好ましいような組成物の提供を目的とするときに、このキットの形態は好ましい。そのようなキットは、好ましくは、提供される部分(例えば、微生物を含む組成物、追加的な成分)などをどのように使用するか、あるいは、どのように処理すべきかを記載する指示書または説明書を備えていることが有利である。本明細書においてキットが使用される場合、キットには、通常、本開示の微生物や組成物等の使い方などを記載した指示書などが含まれる。
【0030】
本明細書において「指示書」は、本開示を使用する方法を使用者に対する説明を記載したものである。この指示書は、本開示の使用方法を指示する文言が記載されている。この指示書は、必要な場合は、本開示が実施される国の監督官庁(例えば、日本であれば厚生労働省または農林水産省等、米国であれば食品医薬品局(FDA)、農務省(USDA)など)が規定した様式に従って作成され、その監督官庁により承認を受けた旨が明記される。指示書は、紙媒体で提供され得るが、それに限定されず、例えば、電子媒体(例えば、インターネットで提供されるホームページ、電子メール)のような形態でも提供され得る。
【0031】
本明細書において「魚類の養殖用の成分」は、養殖しようとする魚類に対して本開示の微生物の効果を奏するとは期待されていないが、本開示の微生物と組み合わせた場合に一定の役割を果たす任意の成分をいい、例えば、キャリア(水も含まれる)、塩、界面活性剤、担体、乾燥保護剤、防腐剤、抗菌剤、賦形剤、強化剤、酸化防止剤、安定化剤、希釈剤、緩衝剤、結合剤、分散剤、凝集剤、他の微生物などを挙げることができる。
【0032】
本明細書において「魚類の養殖用の液」は、魚類の養殖用の成分のうち流体であるものを指し、溶液であっても懸濁液であってもよく、流体成分と固体成分(溶解されていてもいなくてもよい)との混合物であってもよい。典型的には、魚類の養殖用の液は、河川、海洋、湖など魚類が棲息する環境を模した液またはその濃縮液であり得る。
【0033】
本明細書において「保護養殖液」は、本開示の微生物と、魚類の養殖用の液とを含む魚類の保護用の流体を指す。典型的には、保護養殖液または任意の倍率で希釈(例えば、約2~1000000倍希釈)された液の中で魚類が飼育される。
【0034】
(好ましい実施形態)
以下に本開示の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本開示のよりよい理解のために提供されるものであり、本開示の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本開示の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。また、本開示の以下の実施形態は単独でも使用されあるいはそれらを組み合わせて使用することができることが理解される。
【0035】
(有用微生物)
一つの局面において、本開示は、魚類を保護する能力を有する、および/または有害微生物を抑制する能力を有する新たな微生物を提供する。特に、本開示の微生物は、魚類の生存率を向上させる能力を有する、魚類(例えば、表皮)に定着する能力を有する、および/または有害微生物を抑制する能力を有するものである。一つの実施形態では、魚類の飼育環境(例えば、飼育液、飼育水など)飼育水に本開示の微生物を添加することで魚類は保護され得る。本開示の微生物は、有害微生物に対する直接作用、魚類(例えば、その表皮)における微生物フローラの形成、魚類(例えば、その表皮)の健康状態の維持および/または改善、魚類の免疫力の賦活などの効果を奏することも期待される。また、本開示の微生物を魚類の卵および/または稚魚の段階で適用することで、孵化率の向上および/または稚魚の生存率の向上が期待される。
【0036】
一つの実施形態では、本開示のフラボバクテリウム科細菌は、特定の菌株であって、該菌株は、(i)NB寒天培地上で、該菌株を直線状に画線し、28℃で一晩培養する工程と、(ii)その後、該菌株に触れないように該菌株から垂直方向に有害微生物を画線し、28℃で一晩培養する工程と、を含む方法において試験した場合に、(ii)の工程の後に、該菌株の該画線から例えば、3mm以上(例えば、3mm以上、4mm以上、5mm以上、6mm以上、7mm以上、8mm以上、9mm以上、10mm以上)の範囲にわたってクリアゾーンが存在することで特徴付けられることができ、ここで、該有害微生物は、Edwardsiella tardaおよびEdwardsiella ictaluriからなる群より選択される少なくとも1種を含む。
【0037】
一つの実施形態では、本開示の微生物は、フラボバクテリウム科(Flavobacteriaceae)の細菌である。フラボバクテリウム科の微生物は、真正細菌であり、大部分が好気性である。フラボバクテリウム科には、Aequorivita、Aestuariicola、Aestuariibaculum、Algibacter、Aquibacter、Aquimarina、Arenibacter、Bergeyella、Bizionia、Capnocytophaga、Cellulophaga、Chryseobacterium、Cloacibacterium、Coenonia、Confluentibacter、Costertonia、Croceibacter、Croceitalea、Croceivirga、Cruoricaptor、Dokdonia、Donghaeana、Elizabethkingia、Empedobacter、Epilithonimonas、Flagellimonas、Flaviramulus、Flavobacterium、Formosa、Gaetbulibacter、Galbibacter、Gelidibacter、Gillisia、Gilvibacter、Gramella、Joostella、Kaistella、Kordia、Krokinobacter、Leeuwenhoekiella、Lutibacter、Lutimonas、Mangrovimonas、Maribacter、Mariniflexile、Marixanthomonas、Mesonia、Moheibacter、Muricauda、Myroides、Nonlabens、Ornithobacterium、Pibocella、Polaribacter、Psychroflexus、Psychroserpens、Riemerella、Robiginitalea、Sabulilitoribacter、Salegentibacter、Salinimicrobium、Sandarakinotalea、Sediminibacter、Sediminicola、Sejongia、Spongiimonas、Stenothermobacter、Subsaxibacter、Subsaximicrobium、Tamlana、Tenacibaculum、Ulvibacter、Vitellibacter、Wautersiella、Weeksella、Winogradskyella、Yeosuana、Zeaxanthinibacter、Zhouia、ZobelliaおよびZunongwangiaの属が含まれる。一つの実施形態では、本開示の微生物は、フラボバクテリウム属(Flavobacterium)またはクリセオバクテリウム属(Chryseobacterium)の細菌である。
【0038】
フラボバクテリウム属の微生物は、グラム陰性の非運動性または運動性の桿菌である。フラボバクテリウム属には、acidificum、aciduliphilum、acidurans、ahnfeltiae、algicola、anatoliense、anhuiense、antarcticum、aquaticum、akiainvivens、aquatile、aquicola、aquidurense、araucananum、arcticum、arsenatis、arsenitoxidans、aureus、banpakuense、beibuense、branchiarum、branchiicola、branchiophilum、breve、brevivitae、buctense、caeni、cauense、ceti、cheniae、cheonanense、cheonhonense、chilense、chungangense、chungbukense、chungnamense、collinsense、collinsii、columnare、compostarboris、crassostreae、croceum、cucumis、cutihirudinis、daejeonense、daemonensis、dankookense、defluvii、degerlache、denitrificans、devorans、dispersum、dongtanense、eburneum、endophyticum、enshiense、faecale、ferrugineum、filum、flaviflagrans、flevense、fluvii、fontis、frigidarium、frigidimaris、Ffrigoris、fryxellicola、fulvum、gelidilacus、gillisiae、ginsengisoli、ginsenosidimutans、glaciei、glycines、granuli、halmophilum、haoranii、hauense、hercynium、hibernum、humicola、hydatis、indicum、inkyongense、jejuense、johnsoniae、jumunjinense、koreense、kyungheense、lacunae、lacus、limicola、limnosediminis、lindanitolerans、longum、luticocti、lutivivi、macrobrachii、maotaiense、marinum、maris、micromati、mizutaii、myungsuense、multivorum、nitratireducens、nitrogenifigens、noncentrifugens、notoginsengisoli、oceanosedimentum、omnivorum、oncorhynchi、okeanokoites、orientale、oryzae、palustre、paronense、pectinovorum、pedocola、phragmitis、piscis、plurextorum、ponti、procerum、psychrolimnae、psychrophilum、qiangtangense、rakeshii、reichenbachii、resistens、rivuli、saccharophilum、saliperosum、sasangense、segetis、salegens、seoulense、sinopsychrotolerans、soli、spartansii、squillarum、suaedae、subsaxonicum、succinans、suncheonense、suzhouense、swingsii、tegetincola、terrae、terrigena、terriphilum、thermophilum、tiangeerense、tilapiae、tistrianum、tructae、tyrosinilyticum、ummariense、urocaniciphilum、urumqiense、verecundum、vireti、weaverense、xanthum、xinjiangense、xueshanense、yanchengense、yonginenseなどの種が含まれる。一つの実施形態では、本開示の微生物は、フラボバクテリウム属細菌の基準株のうち、フラボバクテリウム属のprocerum、resistens、micromati、limicola、reichenbachii、tiangeerense、xueshanense、psychrolimnae、algicola、faecale、frigidarium、omnivorum、fryxellicola、degerlachei、gillisiae、frigoris、sinopsychrotolerans、xinjiangense、およびurumqienseからなる群から選択される種の基準株の16S rRNA塩基配列に対して最も高い相同性または同一性を有する16S rRNA塩基配列を有する。一つの実施形態では、本開示の微生物は、フラボバクテリウム属細菌の基準株のうち、フラボバクテリウム属のprocerumまたはresistensの基準株の16S rRNA塩基配列に対して最も高い相同性または同一性を有する16S rRNA塩基配列を有する。
【0039】
クリセオバクテリウム属の微生物は、典型的には黄橙色のコロニーを形成する有機栄養性のグラム陰性桿菌である。クリセオバクテリウム属には、aahli、angstadtii、antarcticum、anthropi、aquaticum、aquifrigidense、arachidiradicis、arachidis、arthrosphaerae、artocarpi、balustinum、bernardetii、bovis、caeni、camelliae、carnipullorum、carnis、chaponense、cucumeris、contaminans、culicis、daecheongense、daeguense、defluvii、echinoideorum、endophyticum、elymi、flavum、formosense、frigidisoli、frigidum、gallinarum、gambrini、geocarposphaerae、ginsengiterrae、ginsengisoli、ginsenosidimutans、glaciei、gleum、greenlandense、gregarium、gwangjuense、hagamense、haifense、halperniae、hispalense、hispanicum、hominis、humi、hungaricum、indologenes、indoltheticum、jejuense、jeonii、joostei、koreense、kwangjuense、limigenitum、lactis、lathyri、lineare、luteum、marinum、montanum、molle、nakagawai、nematophagum、nepalense、oleae、oncorhynchi、oranimense、pallidum、palustre、piperi、piscicola、piscium、polytrichastri、profundimaris、psychrotolerans、reticulitermitis、rhizoplanae、rhizosphaerae、rigui、salipaludis、sediminis、scophthalmum、shandongense、shigense、soldanellicola、solani、soli、solincola、taeanense、taichungense、taihuense、taiwanense、takakiae、taklimakanense、tenax、treverense、tructae、ureilyticum、vietnamense、viscerum、vrystaatense、wanjuense、xinjiangense、xixisoli、yonginense、zeaeなどの種が含まれる。一つの実施形態では、本開示の微生物は、クリセオバクテリウム属細菌の基準株のうち、クリセオバクテリウム属のvietnamense、aquifrigidense、culicis、nakagawai、jejuense、bernardetii、rhizosphaerae、kwangjuense、elymi、lathyri、oranimense、contaminans、gallinarum、artocarpi、ureilyticum、oncorhynchi、joostei、viscerum、tructae、lactis、rhizoplanae、sediminis、indologenes、gleum、およびarthrosphaeraeからなる群から選択される種の基準株の16S rRNA塩基配列に対して最も高い相同性または同一性を有する16S rRNA塩基配列を有する。一つの実施形態では、本開示の微生物は、クリセオバクテリウム属細菌の基準株のうち、クリセオバクテリウム属のvietnamense、aquifrigidense、culicis、nakagawai、jejuense、bernardetii、rhizosphaerae、およびkwangjuenseからなる群から選択される種の基準株の16S rRNA塩基配列に対して最も高い相同性または同一性を有する16S rRNA塩基配列を有する。
【0040】
本発明者は、有害微生物の抑制能を調べることでフラボバクテリウム属およびクリセオバクテリウム属の新たな微生物を見出し、それぞれ、MUCF01、MUCF02およびMUCF03と命名した。これらの株を独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターにこれを寄託し、2020年11月27日に受領された。受領番号はそれぞれNITE AP-03323(NUCF01)、NITE AP-03324(NUCF02)およびNITE AP-03325(NUCF03)である。一つの実施形態では、本開示の微生物は、MUCF01(受領番号:NITE AP-03323)、MUCF02(受領番号:NITE AP-03324)またはMUCF03(受領番号:NITE AP-03325)であるか、またはその誘導株である。
【0041】
一つの実施形態では、本開示の微生物は、MUCF01(受領番号:NITE AP-03323)、MUCF02(受領番号:NITE AP-03324)またはMUCF03(受領番号:NITE AP-03325)の誘導株である。ここで、誘導株とは、MUCF01、MUCF02またはMUCF03を元として得られた株であることは必要とせず、MUCF01、MUCF02またはMUCF03の生物学的機能を、必ずしも同じ度合いでなくてもよいが示す微生物を指す。一つの実施形態では、本開示の誘導株である微生物は、MUCF01、MUCF02またはMUCF03と同様に、魚類を保護する能力、魚類(例えば、表皮)に定着する能力を有する、および有害微生物を抑制する能力から選択される生物学的機能を示すが、その生物学的機能の程度はMUCF01、MUCF02またはMUCF03と異なっていてもよい。一つの実施形態では、本開示の誘導株である微生物は、フラボバクテリウム属またはクリセオバクテリウム属の細菌であり得る。一つの実施形態では、本開示の微生物(MUCF01、MUCF02またはMUCF03の誘導株を含む)が魚類を保護する能力、有害微生物を抑制または阻害する能力、魚類に定着する能力、およびプロバイオティクスとして機能する能力は、それぞれの能力を確認するための本明細書に記載される試験のいずれかまたはその改変によって確認され得る。
【0042】
一つの実施形態では、本開示の微生物(MUCF01、MUCF02またはMUCF03の誘導株を含む)は、有害微生物を抑制する能力を有し、この能力は、寒天培地上で形成された本開示の微生物のコロニーを1白金耳分(φ2.7mmディスポループを使用)分取して、これをNBR2A培地(NB培地+R2A培地)に直線状に画線し、25℃で24~28時間培養し、その後、寒天培地上で形成された有害微生物のコロニーを1白金耳分(φ2.7mmディスポループを使用)分取して、これを本開示の微生物に触れないように該画線から垂直方向に画線し、25℃で24~28時間培養した場合に、0.1mm以上、0.2mm以上、0.5mm以上、0.7mm以上、1mm以上、2mm以上、3mm以上、4mm以上、5mm以上、6mm以上、7mm以上、8mm以上、9mm以上、10mm以上、12mm以上、15mm以上、17mm以上、20mm以上、25mm以上、30mm以上、35mm以上、または40mm以上のクリアゾーンが観察されることで確認され得る。一つの実施形態では、有害微生物は、Edwardsiella属細菌(例えば、Edwardsiella sp.(NBRC 12716)、Edwardsiella sp.(NBRC 12717)またはEdwardsiella ictaluri(NBRC 105724))であり得る。クリアゾーンの判定は、当業者であれば目視で行うことができる。
【0043】
当業者は、上記の判定基準を適当に使用してMUCF01、MUCF02またはMUCF03の誘導株を試験して、上記の生物学的機能(およびその程度)を有する誘導株を取得することができる。
【0044】
一つの実施形態では、本開示の微生物(MUCF01、MUCF02またはMUCF03の誘導株を含む)は、以下で説明する微生物を取得する方法で取得される微生物である。
【0045】
別の局面では、本開示は、フラボバクテリウム科細菌に属する菌株であって、該菌株は、(i)NBR2A培地上で、該菌株を直線状に画線し、25℃で24~48時間培養する工程と、(ii)その後、該菌株に触れないように該菌株から垂直方向に有害微生物を画線し、25℃で24~48時間培養する工程と、を含む方法において試験した場合に、(ii)の工程の後に、該菌株の該画線から10mm以上の範囲にわたってクリアゾーンが存在することで特徴付けられ、ここで、該有害微生物は、Edwardsiella sp.(NBRC 12716)、Edwardsiella sp.(NBRC 12717)およびEdwardsiella ictaluri(NBRC 105724)を含む、菌株を提供する。これらの菌株が有すべき条件(能力)およびその試験のための条件については、本明細書および実施例に提供されており、当業者は適宜公知の情報を参照して、この菌株を特定することができる。
【0046】
(有用微生物を取得する方法)
一つの局面において、本開示は、魚類を保護する能力を有する微生物を取得するための方法を提供する。この方法は、(a)魚類の表皮から候補微生物を取得する工程、(b)候補微生物を有害微生物を含有する培地に添加する工程、(c)培地における有害微生物の抑制を確認する工程、および(d)培地における有害微生物の抑制が確認された場合に、この候補微生物を魚類を保護する能力を有する微生物として取得する工程を含み得る。水中で直接的に微生物と接触する機会が多い魚類では、皮膚感染症が多いことから、魚類表皮の微生物をターゲットとすることが魚類を保護する能力を有する微生物の効率的な取得に有用であり得る。元々魚類表皮に存在した微生物を使用することで、安全、簡単かつ/または低環境負荷に魚類の保護が可能であり得る。候補微生物を取得する魚類の表皮は、体、眼、うろこ、ひれ、えら、口、肛門、および生殖器のうちのいずれの表面でもよく、一つの実施形態では、体の表面である。
【0047】
一つの実施形態では、(c)の確認する工程は、本開示の微生物(MUCF01、MUCF02またはMUCF03の誘導株を含む)が魚類を保護する能力、有害微生物を抑制または阻害する能力、魚類に定着する能力、およびプロバイオティクスとして機能する能力を確認するための本明細書に記載される試験またはその改変のいずれかによって確認することで実施され得る。一つの実施形態では、(c)の確認する工程は、培地上での有害微生物の抑制を確認することで実施され得る。一つの実施形態では、(c)の確認する工程は、候補微生物と有害微生物とを同一の培地上で増殖させ、候補微生物の付近に有害微生物が生育できない生育阻止ゾーン(クリアゾーン)を確認することで実施され得る。一つの実施形態では、(c)の確認する工程は、候補微生物またはその培養上清および有害微生物を含む液体培地における有害微生物の抑制を確認することで実施され得る。一つの実施形態では、(c)の確認する工程は、有害微生物を全体に植菌した寒天培地またはそれと同等の培地(例えば、ジェランガムなど)上に、候補微生物の培養液または培養上清の含浸物または培養液または培養上清を入れた底なし円筒を配置し、含浸物または円筒の周辺における有害微生物の抑制を確認することで実施され得る。一つの実施形態では、(c)の確認する工程は、候補微生物および有害微生物を含む液体培地をインキュベートした後、候補微生物および有害微生物の増殖を比較して、有害微生物の増殖がより抑制されることを確認することで実施され得る。一つの実施形態では、(c)の確認する工程は、有害微生物を全体に植菌した寒天培地またはそれと同等の培地(例えば、ジェランガムなど)上、または有害微生物が全体に生えた状態の寒天培地またはそれと同等の培地(例えば、ジェランガムなど)上に、候補微生物を植菌し、候補微生物がコロニーを形成するとともに、その周辺に有害微生物の生育阻止円又は死滅によるクリアゾーンが観察されることを確認することで実施され得る。同じ液体培地中で培養した異なる種類の微生物は、コロニーの形状、色、選択培地の使用などの手段によって区別され得る。例えば、区別してポピュレーションを調べる方法には、コロニーの色または形が異なる場合はプレート培養によりそれぞれのコロニーを計数する方法、顕微鏡で異なる形態が観察される場合は、顕微鏡下で各微生物を直接計数する方法、各微生物を区別できる遺伝子プライマーを設計し、リアルタイムPCRを行う方法、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)法などがある。顕微鏡下で候補微生物を確認する方法としては、公知のFISH法、候補微生物に予め導入した蛍光タンパク質の蛍光を利用する方法などが挙げられる。
【0048】
一つの実施形態では、候補微生物は、魚類の表皮(例えば、体表)の擦り取り物(例えば、綿棒で擦り取ったもの)を植菌した培地上で形成されたコロニーから取得され得る。1種または複数種の微生物を、魚類を保護する能力を有する微生物として取得することができる。一つの実施形態では、ナマズ(例えば、Silurus asotus、Ictalurus punctatus)の表皮から魚類を保護する能力を有する微生物が取得され得る。一つの実施形態では、粘液タイプの魚類の表皮から魚類を保護する能力を有する微生物が取得され得る。
【0049】
一つの実施形態では、抑制を確認するための有害微生物として、魚類(例えば、養殖魚)に対して皮膚病をもたらす能力、経皮感染する能力、創傷感染する能力、および接触感染する能力の少なくとも1つを有すると推定される微生物を選択することができる。例えば、魚類(例えば、養殖魚)に対して皮膚病をもたらす能力、経皮感染する能力、創傷感染する能力、および/または接触感染する能力を有する微生物は、「魚病学」(監修:児玉洋、緑書房(東京)、2012年)、および「魚介類の感染症・寄生虫病」(若林、室賀編著、小川和夫著、恒星社厚生閣(東京)、2004年)などを参照することにより当業者は適宜選択することができる。
【0050】
一つの実施形態では、有害微生物として、エドワジエラ症、ビブリオ病、せっそう病、非定型エロモナス・サルモニサイダ感染症、エロモナス・ハイドロフィラ感染症、エドワジエラ症、赤点病、アユのシュードモナス病、レッドマウス病、細菌性鰓病、カラムナリス病(えらぐされ、尾ぐされ、ひれぐされ、くちぐされ)、冷水病、滑走細菌症、細菌性腎臓病、ミコバクテリア症、ノカルジア症、および/または連鎖球菌症を引き起こす能力がある微生物を選択することができる。それぞれの魚類の疾患について、代表的な原因微生物は以下の通りである:エドワジエラ症(Edwardsiella tarda、Edwardsiella ictaluri);ビブリオ病(Listonella anguillara(旧名Vibrio anguillarum)、Vibrio ordalii、Vibrio ichthyoenteri、Vibrio vulnificus、Vibrio salmonicida);せっそう病(Aeromonas salmonicida);非定型エロモナス・サルモニサイダ感染症(Aeromonas salmonicida);エロモナス・ハイドロフィラ感染症(Aeromonas hydrophila);赤点病(Pseudomonas anguilliseptica);アユのシュードモナス病(Pseudomonas plecoglossicida);レッドマウス病(Yersinia ruckeri);細菌性鰓病(Flavobacterium branchiophilum);カラムナリス病(えらぐされ、尾ぐされ、ひれぐされ)(Flavobacterium columnare);冷水病(Flavobacterium psychrophilum);滑走細菌症(Tenacibaculum maritimum);細菌性腎臓病(Renibacterium salmoninarum);ミコバクテリア症(Mycobacterium marinum、Mycobacterium fortuitum、Mycobacterium chelonei);ノカルジア症(Nocardia seriolae);連鎖球菌症(Streptococcus iniae)。スズキ目魚類、ウナギ目魚類、カレイ目魚類(ヒラメなど)、ニシン目魚類(アユなど)、ニジマスなどの魚類においてエドワジエラ症が問題となっている。一つの実施形態では、有害微生物は、Edwardsiella tarda、Edwardsiella ictaluriまたはこれらの組み合わせを含み得る。
【0051】
(微生物を含む組成物)
一つの局面において、本開示は、本開示の微生物を含む組成物を提供する。本開示の微生物は、任意の適当な方法により培養することで製造することができる。一つの実施形態では、組成物は魚類保護剤である。一つの実施形態では、組成物は魚類(例えば、その表皮)のプロバイオティクス剤である。本開示の魚類保護剤またはプロバイオティクス剤を使用することで、魚類の生存、健康状態、肉質、傷害の回復および感染状態(易感染性を含む)のうちの少なくとも1つが向上し得る。
【0052】
(適用対象)
一つの実施形態では、本開示の微生物または組成物を適用する魚類として、例えば、養殖魚、観賞魚などが挙げられるが、これらに限定されない。養殖魚としては、例えば、ナマズ、ウナギ、スズキ、カレイ、ヒラメ、ニシン、ニジマス、アユ、ブリ、マス、タイ、コイ、カンパチ、マグロ、サケ、アジ、ティラピア、フグ、ハマチ、ハタ、サバ、サンマなどが挙げられるが、これらに限定されない。本開示の微生物は、魚類の表皮から取得され得、かつ/または魚類の表皮に適用され得るが、魚類の表皮には鱗タイプおよび粘液タイプがあり、例えば、粘液タイプの魚類としてウナギおよびナマズが挙げられる。一つの実施形態では、本開示の微生物または組成物を適用する魚類は、ナマズ、ウナギ、スズキ、カレイ、ヒラメ、ニシン、ニジマスまたはアユであり得る。本開示の微生物または組成物は、魚類の任意の生育段階、例えば、卵、孵化魚、稚魚、成魚、性的成熟魚などの段階で使用することができる。
【0053】
(使用形態)
本開示の微生物または組成物の形態としては、例えば、液体状態、固体状態などが挙げられる。液体状態の微生物または組成物としては、微生物の培養液、培養液から微生物を遠心分離などにより集菌した後、水や緩衝液或いは培養液などに再度分散させたものなどが例示される。固体状態の微生物または組成物としては、遠心分離やプレス圧縮等により脱水したもの、固体と液体の中間のようなペースト状態・マヨネーズ状態のもの、乾燥(例えば、減圧乾燥、凍結乾燥)した乾燥体などが例示される。固体の形状として、例えば、粉末、顆粒、錠剤などが挙げられる。また、組成物は、微生物または培養上清が担体に固定された状態で提供されてもよい。
【0054】
一つの実施形態において、本開示の微生物または組成物は、約1×10細胞/mL、約1×10細胞/mL、約1×10細胞/mL、約1×10細胞/mL、約1×10細胞/mL、約1×10細胞/mL、約1×10細胞/mLまたは約10細胞/mLの密度となるように飼育水に添加されて、魚類に使用され得る。
【0055】
(適用環境)
本開示の微生物または組成物は、任意の好適な環境下で使用できる。
一つの実施形態において、本開示の微生物または組成物は、0~100℃、5~70℃、10~50℃、15~40℃、20~35℃、70℃未満、60℃未満、50℃未満、40℃未満、30℃未満、25℃未満、20℃未満、15℃未満、10℃未満、5℃未満、0℃未満、約70℃、約60℃、約50℃、約40℃、約30℃、約25℃、約15℃、約10℃、約5℃または約0℃などの任意の温度環境で使用され得る。
【0056】
一つの実施形態において、本開示の微生物または組成物は、pH3~13、pH4~12、pH5~11、pH6~10、pH7~9、pH5.5~8.5、約pH3、約pH4、約pH5、約pH6、約pH7、約pH8、約pH9、約pH10、約pH11、約pH12または約pH13などの任意のpH環境で使用され得る。
【0057】
一つの実施形態において、本開示の微生物または組成物は、約0.05mg/L、約0.1mg/L、約0.5mg/L、約1mg/L、約1.5mg/L、約2mg/L、約3mg/L、約5mg/L、約8mg/Lまたは約10mg/Lなどの任意の溶存酸素濃度(DO)の環境で使用され得、一つの実施形態では、飽和に近い約8mg/Lまでのあるいは魚類の飼育に適した溶存酸素濃度(DO)の環境で使用され得る。
【0058】
一つの実施形態において、本開示の微生物または組成物は、約0g/L、約0.05g/L、約0.1g/L、約0.5g/L、約0.7g/L、約1g/L、約1.5g/L、約2g/L、約2.5g/L、約3g/L、約4g/L、約5g/L、約7g/L、または約10g/Lなどの任意の塩(例えば、塩化ナトリウム)濃度の環境で使用され得る。
【0059】
一つの実施形態において、本開示の微生物または組成物は、塩、界面活性剤、光、電流、撹拌操作、ばっ気操作、またはこれらの任意の組み合わせが存在する条件で使用されてもよい。
【0060】
一つの実施形態において、本開示の微生物または組成物は、微生物を固定できる担体とともに使用されてもよい。このような担体を使用することでウォッシュアウトが効果的に避けられ得る。担体の材質としては、微生物を固定できるものであれば特に制限なく、例えば、炭素繊維(PAN系、ピッチ系、フェノール樹脂系等)、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレングリコール樹脂、アクリル樹脂、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、デキストリン、セラミックス、シリコン、金属、木炭、活性炭、鉱物(ゼオライト、珪藻土等)、ガラス、ガラスくず、これらの複合体などが挙げられる。微生物の固定化率及び微生物の作用効率を高めるために、多孔質又は繊維状の担体を用いることが好ましい。また、ゲル状担体に微生物を包含させてもよい。担体の形状は、例えば、立方体状、直方体状、円柱状、球状、円板状、シート状、膜状などが挙げられる。微生物の固定化技術については、例えば、「微生物固定化法による排水処理(須藤隆一編著、産業用水調査会)」や「微生物固定化法による水処理―担体固定化法 包括固定化法 生物活性炭法(新しい水処理シリーズ(1))(望月 和博、堀 克敏、立本英機(著)、株式会社エヌ・ティー・エス)」などを参照のこと。
【0061】
一つの実施形態において、本開示の微生物または組成物は、担体を使用せずに単独または他の微生物と組み合わせて微生物自体にフロックやグラニュールを形成させるように使用されてもよい。さらに、フロックやグラニュールの形成を促進するような核となる資材や微生物を使用してもよい。
【0062】
(追加成分)
一つの実施形態において、本開示の微生物または組成物は、追加の成分と組み合わされて使用してもよい。一つの実施形態において、追加の成分は、組成物に添加されていてもよいし、微生物または組成物とは別個に使用されてもよく、別個に使用される場合には、キットとして提供されてもよい。
【0063】
一つの実施形態において、追加の成分として、使用する微生物の活性を高める成分、界面活性剤、乾燥保護剤、微生物を長期間維持するための成分、防腐剤、賦形剤、強化剤、酸化防止剤、分散剤、凝集剤、他の微生物が挙げられるが、これらに限定されず任意の好適な成分を使用することができる。
【0064】
別の実施形態において、追加の成分として、魚類の養殖用の液、魚類の養殖用の成分等の魚類に接触または付与する際に利用され得る任意の成分を含んでいてもよい。このような追加の成分を含む場合、魚類の養殖に使用する際、そのまま使用することができ、魚類を保護しつつ飼育することができる。魚類の養殖用の液、魚類の養殖用の成分等は、組成物に含まれて提供されてもよく、微生物または組成物とは別個に使用されてもよく、キットとして提供されてもよい。
【0065】
(微生物を使用する方法)
一つの局面において、本開示は、本開示の微生物または組成物を魚類と接触させる工程を含む、魚類を保護するための方法を提供する。一つの実施形態において、魚類を保護するための方法は、本開示の微生物の存在する水中で魚類を飼育する工程を含む。保護する魚類は、本開示の微生物または組成物を適用することができる任意の本明細書に記載される魚類であり得る。一つの実施形態において、本開示の微生物または組成物は、この微生物を表皮から取得した魚類と同じ種類の魚類に適用されてもよいし、異なる種類の魚類に適用されてもよい。一つの実施形態において、本開示の微生物または組成物は、この微生物を表皮から取得した魚類が飼育されていた環境(例えば、養殖場)と同じ環境で飼育される魚類に適用されてもよいし、異なる環境で飼育される魚類に適用されてもよい。本開示の魚類を保護するための方法は、本開示の微生物または組成物を適用することができる任意の本明細書に記載される環境において実施することができる。本開示の魚類を保護するための方法では、本開示の微生物または組成物と組み合わせて使用され得る任意の本明細書に記載される追加成分を使用することができる。
【0066】
一つの実施形態では、本開示の方法は、魚類の疾患または疾病を治療または予防することを含む。あるいは、本開示の方法は魚類の表皮を保護することを含む。対象とし得る魚類の疾患または疾病は、例えば、皮膚病、感染症などを含み得、エドワジエラ症、ビブリオ病、せっそう病、非定型エロモナス・サルモニサイダ感染症、エロモナス・ハイドロフィラ感染症、赤点病、アユのシュードモナス病、レッドマウス病、細菌性鰓病、カラムナリス病(えらぐされ、尾ぐされ、ひれぐされ、くちぐされ)、冷水病、滑走細菌症、細菌性腎臓病、ミコバクテリア症、ノカルジア症、および/または連鎖球菌症が対象であり得る。
【0067】
ある実施形態において、本開示の微生物または組成物は、有効量の本開示のフラボバクテリウム科細菌を含むか、あるいは、接触時に有効量となるように提供される。一つの実施形態では、本開示の微生物または組成物は、有効量の本開示のフラボバクテリウム科細菌の存在する水中で提供され、その中で魚類を生育させてもよい。
【0068】
このように、本開示の微生物または組成物が有効量提供されることにより、魚類は、少なくとも1種の有害微生物から保護される。本開示の方法で保護し得る有害微生物は、本明細書に記載される任意のものであり得、例えば、魚類の皮膚病を引き起こす能力、魚類に対して経皮感染する能力、創傷感染する能力、および接触感染する能力のうちの少なくとも1つの能力を有する微生物であり得、具体的な例としては、エドワジエラ症、ビブリオ病、せっそう病、非定型エロモナス・サルモニサイダ感染症、エロモナス・ハイドロフィラ感染症、赤点病、アユのシュードモナス病、レッドマウス病、細菌性鰓病、カラムナリス病(えらぐされ、尾ぐされ、ひれぐされ、くちぐされ)、冷水病、滑走細菌症、細菌性腎臓病、ミコバクテリア症、ノカルジア症、および/または連鎖球菌症を引き起こす能力がある有害微生物が例示される。このような有害微生物は、Edwardsiella tarda、Edwardsiella ictaluri、Listonella anguillara(Vibrio anguillarum)、Vibrio ordalii、Vibrio ichthyoenteri、Vibrio vulnificus、Vibrio salmonicida、Aeromonas salmonicida、非定型Aeromonas salmonicida、Aeromonas hydrophila、Pseudomonas anguilliseptica、Pseudomonas plecoglossicida、Yersinia ruckeri、Flavobacterium branchiophilum、Flavobacterium columnare、Flavobacterium psychrophilum、Tenacibaculum maritimum、Renibacterium salmoninarum、Mycobacterium marinum、Mycobacterium fortuitum、Mycobacterium chelonei、Nocardia seriolae、Streptococcus iniae、Lactococcus garvieae、Aeromonas caviaeまたはこれらの組み合わせ等であり得る。
【0069】
したがって、本開示の微生物または組成物を魚類と接触させる工程または本開示の微生物の存在する水中で魚類を飼育する工程を含む、魚類を保護するための方法は、微生物または組成物を魚類と接触させるまたはこれとともに魚類を飼育する前またはその間あるいはその後に、当該魚類が、どのような有害微生物に罹患しているかを検査する工程を含んでいてもよい。このような有害微生物の罹患の検査は、当該分野で公知の手法で実施することができ、魚類から直接検体を採取してもよく、飼育中の飼育液から検体を採取してもよい。
【0070】
好ましい実施形態では、一旦、どのような有害微生物に罹患しているかを検査し、当該有害微生物について確認した後、投与すべき本開示の微生物または組成物について、最適条件を決めるために、予備的実験を行ってもよい。そのような予備的実験としては、例えば、存在する有害微生物に対する有効性を確認することや、有効濃度などを確認することを含む。また、投与すべき本開示の微生物または組成物について、保護する対象である魚類に対する安全性を事前に確認することを含んでいてもよい。このような安全性の確認は、許容濃度やその他の投与条件を調べることを含み得、当該分野で公知の任意の手法を用いることができる。このような許容濃度などの条件が判明した場合、適切な投与条件と適切な有効濃度などの条件を考慮して、実際の接触や飼育を行ってもよい。
【0071】
別の実施形態では、本開示の微生物または組成物を魚類と接触させる工程または本開示の微生物の存在する水中で魚類を飼育する工程を含む、魚類を保護するための方法においては、魚類の表皮に定着するのに十分な条件で本開示のフラボバクテリウム科細菌が提供される。魚類の表皮に定着するのに十分な条件は予め調べていてもよく、その場合は、その条件を用いて接触または飼育を行う。あるいは、接触または飼育の際に、魚類の表皮に定着するのに十分な条件を決定するための予備的実験を行ってもよく、当該分野で公知の任意の手法を用いることができる。
【0072】
(一般技術)
本明細書において用いられる分子生物学的手法、生化学的手法、微生物学的手法は、当該分野において周知であり慣用されるものであり、例えば、Savli, H., Karadenizli, A., Kolayli, F., Gundes, S., Ozbek, U., and Vahaboglu, H. 2003. Expression stability of six housekeeping genes: A proposal for resistance gene quantification studies of Pseudomonas aeruginosa by real-time quantitative RT-PCR. J. Med. Microbiol. 52:403-408.、Marie-Ange Teste, Manon Duquenne, Jean M Francois and Jean-Luc Parrou 2009. Validation of reference genes for quantitative expression analysis by real-time RT-PCR in Saccharomyces cerevisiae. BMC Molecular Biology 10:99, Bergey’s Manual of Systematic Bacteriology, Bergey’s Manual of Systematic of Archaea and Bacteriaなどに記載されており、これらは本明細書において関連する部分(全部であり得る)が参考として援用される。
【0073】
(注記)
本明細書において「または」は、文章中に列挙されている事項の「少なくとも1つ以上」を採用できるときに使用される。「もしくは」も同様である。本明細書において「2つの値」の「範囲内」と明記した場合、その範囲には2つの値自体も含む。
【0074】
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。以上、本開示を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。
【0075】
以下に、実施例に基づいて本開示を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供したのではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【実施例0076】
以下に実施例を記載する。必要な場合、以下の実施例で用いる生物の取り扱いは、必要な場合、名古屋大学や三重大学、監督官庁およびカルタヘナ法において規定される基準を遵守した。試薬類は具体的には実施例中に記載した製品を使用したが、他メーカー(Sigma-Aldrich、富士フイルム、和光純薬、ナカライ、R&D Systems、USCN Life Science INC、関東化学、フナコシ、東京化成、Merck等)の同等品でも代用可能である。
【0077】
(実施例1:ナマズ表皮からの微生物の単離)
ナマズ(Silurus asotus)の成魚を三重大学の水槽(3個体)および和歌山県内のナマズ養殖場(4個体)から取得し、霞ケ浦のアメリカナマズ(Ictalurus punctatus)を(3個体(+1部位(体表(表皮)))取得した。
【0078】
これらのナマズの表皮を滅菌スワブで拭き取り、滅菌食塩水に懸濁し、R2A寒天培地に播種した。培養条件は、25℃、24~168時間であった。
【表1】
【0079】
三重大学の水槽のナマズから36株、和歌山県内のナマズ養殖場のナマズから78株、アメリカナマズから20株の細菌株を分離した。
【0080】
(実施例2:Cross Streak法による有用細菌のスクリーニング)
病原性細菌としてEdwardsiella sp.(NBRC 12716)、Edwardsiella ictaluri(NBRC 105724)、およびEdwardsiella sp.(NBRC 12717)を使用した。
【0081】
Cross Streak法はTothらの方法(Erika M. Toth, Andrea K. Borsodi, Tamas Felfoeldi, Balazs Vajna, Rita Sipos, Karoly Marialigeti. 2013. Practical Microbiology: based on the Hungarian practical notes entitled "Mikrobiologiai Laboratoriumi Gyakorlatok". Marialigeti EMTaK, editor. Budapest: Eoetvoes Lorand University.)を参考にして行った。実施例1の各分離株の候補微生物をNBR2A培地(NB培地+R2A培地)に直線状に画線し、25℃で24~28時間培養し、その後、候補微生物に触れないように候補微生物の画線から垂直方向に病原性細菌を画線し、25℃で24~28時間培養した。培養後に生育阻止範囲(クリアゾーン)が存在するかどうかに基づき生育阻害能力を判定した。この際、寒天培地上の各コロニー(病原性細菌および候補微生物)から1白金耳分(φ2.7mmディスポループを使用)を分取し、試験用の寒天培地に接種した。
【表2】
【0082】
その結果、合計134の分離株のうち3株がEdwardsiellaに対する生育阻害を示した。これらの3株(それぞれMUCF01、MUCF02およびMUCF03と命名した)は特に優れたEdwardsiella抑制能を有した(図1図2図3)。Edwardsiella抑制能を示さなかった株(図4)と比較して顕著である。
【0083】
(実施例3:有用細菌の同定)
16S Ribosomal RNA(rRNA)によるMUCF01、MUCF02およびMUCF03の種同定を以下の通り実施した。
MUCF01、MUCF02およびMUCF03の各コロニーを寒天平板から取り出し、TE緩衝剤に再懸濁し、96℃で5分間加熱し、アリコートをPCRチューブに添加した。PCRは16S rRNA遺伝子プライマーを用いて実施し、27F-W:5’-AGRGTTTGATCMTGGCTCAG-3’(配列番号1)及び1492R-W:5’-GGYTACCTTGTTACGACTT-3’(配列番号2)であった。サイクル条件は、98℃で30秒(1サイクル)、98℃で10秒、50℃で30秒、72℃で90秒(30サイクル)であった。PCR反応は、2μLのテンプレート溶液、EmeraldAmp PCRマスターミックス(タカラバイオ、日本)、0.2μM 27F-W及び1492R-Wプライマーを含有した。増幅した遺伝子断片について通常の方法を用いて塩基配列決定した。
塩基配列決定により得られた配列を、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/およびhttps://www.ezbiocloud.net/identifyで入手可能なオンライン配列データベースを使用して他の細菌の16S rRNA遺伝子配列との相同性について比較した。
【0084】
データベースとしてEzBioCloud database 2020.05.13を使用した。
【0085】
ナマズ(Silurus asotus)の別の個体から単離されたMUCF01およびMUCF02の16S rRNA配列は100%同一であり、以下の通り決定された。
【化1】
【0086】
表3にMUCF01およびMUCF02の16S rRNA配列を、他の細菌の16S rRNA遺伝子配列と相同性比較した結果を示す。MUCF01およびMUCF02は、Flavobacterium plurextorum(CCUG 60112)に対して98.05%の相同性を示し、フラボバクテリウム属であると同定された。98.7%以上の相同性を同種の基準とすると(Int J Syst Evol Microbiol. 2018 Jan;68(1):461-466.)、MUCF01およびMUCF02は、Flavobacterium plurextorumと近縁の新種であり得る。
【表3】
【0087】
MUCF01およびMUCF02の16S rRNA塩基配列に基づく分子系統樹を図5に示す。分子系統樹は、基準株の情報のみを使用して作成した。
【0088】
アメリカナマズ(Ictalurus punctatus)から単離されたMUCF03の16S rRNA配列は以下の通り決定された。
【化2】
【0089】
表4にMUCF03の16S rRNA配列を、他の細菌の16S rRNA遺伝子配列と相同性比較した結果を示す。MUCF03は、Chryseobacterium vietnamenseと予想されるCP018786_sに対して99.78%の相同性を示し、クリセオバクテリウム属であると同定された。MUCF03は、Chryseobacterium vietnamenseと予想される。
【表4】
【0090】
MUCF03の16S rRNA塩基配列に基づく分子系統樹を図6に示す。分子系統樹は、基準株の情報のみを使用して作成した。
【0091】
さらに、The Ribosomal Database Project(RDP)(Nucleic Acids Res. 1994 Sep;22(17):3485-7.)(RDP Release 11.5)に登録されているフラボバクテリウム属およびクリセオバクテリウム属の基準株のデータから、塩基配列長が1200塩基超かつ品質がgood qualityのデータを選択した。その結果、148株のフラボバクテリウム属細菌、および105株のクリセオバクテリウム属細菌のデータを得た。MUCF01またはMUCF02の16S rRNA塩基配列、およびMUCF03の16S rRNA塩基配列を、それぞれ、このフラボバクテリウム属およびクリセオバクテリウム属のデータに加え、近隣結合法で分子系統樹を作成した。
【0092】
MUCF01(MUCF02)およびMUCF03が含まれるクラスタの拡大図を図7および図8に示す。MUCF01(MUCF02)およびMUCF03は、それぞれ以下の株とクラスタを形成した。
・MUCF01(MUCF02)
S004473868 Flavobacterium procerum (T) T3 KF857168
S000942420 Flavobacterium resistens (T) BD-b365 EF575563
S000263970 Flavobacterium micromati (T) type strain: LMG 21919 AJ557888
S000121350 Flavobacterium limicola (T) ST-82 AB075230
S000623909 Flavobacterium reichenbachii (T) type strain: WB 3.2-61 AM177616
S000903062 Flavobacterium tiangeerense (T) 0563 EU036219
S002352122 Flavobacterium xueshanense (T) Sr22 HQ436466
S000539443 Flavobacterium psychrolimnae (T) type strain: LMG 22018 AJ585428
S001187274 Flavobacterium algicola (T) TC2 ( NBRC 102673 CIP 109574) AB455265
S004049298 Flavobacterium faecale (T) WV33 KF214259
S000388383 Flavobacterium frigidarium (T) A2i ATCC 700810 NCIMB 13737 AF162266
S000394137 Flavobacterium omnivorum (T) AS 1.2747 JCM 11313 AF433174
S000539636 Flavobacterium fryxellicola (T) type strain: LMG 22022 AJ811961
S000263802 Flavobacterium degerlachei (T) type strain: LMG 21915 AJ557886
S000438605 Flavobacterium gillisiae (T) IC001 U85889
S000264514 Flavobacterium frigoris (T) type strain: LMG 21922 AJ557887
S001329026 Flavobacterium sinopsychrotolerans (T) 0533 FJ654474
S000394136 Flavobacterium xinjiangense (T) AS 1.2749 JCM 11314 AF433173
S002352123 Flavobacterium urumqiense (T) Sr25 HQ436467
・MUCF03
S002227137 Chryseobacterium vietnamense (T) GIMN1.005 HM212415
S000893188 Chryseobacterium aquifrigidense (T) CW9 EF644913
S001611617 Chryseobacterium culicis (T) type strain: R4-1A FN554975
S003613221 Chryseobacterium nakagawai (T) G41 JX100822
S000871528 Chryseobacterium jejuense (T) JS17-8 EF591303
S003613215 Chryseobacterium bernardetii (T) G229 JX100816
S000721937 Chryseobacterium rhizosphaerae (T) RSB3-1 DQ673670
S000330373 Chryseobacterium kwangjuense (T) KJ1R5 AY514021
S000721938 Chryseobacterium elymi (T) RHA3-1 DQ673671
S000721941 Chryseobacterium lathyri (T) RBA2-6 DQ673674
S000965788 Chryseobacterium oranimense (T) H8 EF204451
S003922571 Chryseobacterium contaminans (T) C-26 KF652079
S004008497 Chryseobacterium gallinarum (T) 100 KC494697
S004056704 Chryseobacterium artocarpi (T) UTM-3 KF751867
S000651736 Chryseobacterium ureilyticum (T) type strain: F-Fue-04IIIaaaa AM232806
S002157006 Chryseobacterium oncorhynchi (T) 701B-08 FN674441
S000134119 Chryseobacterium joostei (T) LMG 18212 AJ271010
S002907085 Chryseobacterium viscerum (T) type strain: 687B-08 FR871426
S002907088 Chryseobacterium tructae (T) type strain: 1084-08 FR871429
S003613220 Chryseobacterium lactis (T) KC1864 JX100821
S004453705 Chryseobacterium rhizoplanae (T) JM-534 KP033261
S004488660 Chryseobacterium sediminis (T) IMT-174 KR349467
S000690525 Chryseobacterium indologenes (T) LMG 8337 AM232813
S000690524 Chryseobacterium gleum (T) CCUG 14555 AM232812
S001575200 Chryseobacterium arthrosphaerae (T) CC-VM-7 FN398101
【0093】
さらに、MUCF01(MUCF02)およびMUCF03は、それぞれ以下の株とより規模の小さいクラスタを形成した。
・MUCF01(MUCF02)
S004473868 Flavobacterium procerum (T) T3 KF857168
S000942420 Flavobacterium resistens (T) BD-b365 EF575563
・MUCF03
S002227137 Chryseobacterium vietnamense (T) GIMN1.005 HM212415
S000893188 Chryseobacterium aquifrigidense (T) CW9 EF644913
S001611617 Chryseobacterium culicis (T) type strain: R4-1A FN554975
S003613221 Chryseobacterium nakagawai (T) G41 JX100822
S000871528 Chryseobacterium jejuense (T) JS17-8 EF591303
S003613215 Chryseobacterium bernardetii (T) G229 JX100816
S000721937 Chryseobacterium rhizosphaerae (T) RSB3-1 DQ673670
S000330373 Chryseobacterium kwangjuense (T) KJ1R5 AY514021
【0094】
16S rRNA塩基配列がこれらの種の基準株と高い相同性を示す細菌は、MUCF01、MUCF02またはMUCF03と類似の性質を示す可能性が高いと考えられる。
【0095】
また、MUCF01、MUCF02およびMUCF03はナマズの表皮から分離された株なので、魚類の表皮に定着する能力を有し得る。
【0096】
(実施例4)
類縁株の取得
上記実施例に示されるようなスクリーニングを、分離源として別の場所に生息するナマズを使用して実施することで、MUCF01、MUCF02およびMUCF03の類縁株が取得され得る。
【0097】
他の実施形態
(実施例5)
本開示の有用微生物について養殖魚への定着性確認試験および魚類保護試験を行う。飼育水槽を1基ずつ用いて実験区1および実験区2、対照区とし、そのそれぞれに若いナマズ(体長約6cm)を10尾ずつ無作為に割り当てて放ち、2週間飼育する。その後、実験区1ではEdwardsiella ictaluriの懸濁液(1x10細胞/mL)に30分間浸漬する。実験区2ではMUCF01、MUCF02またはMUCF03の懸濁液(1x10細胞/mL)に30分間浸漬した後に、Edwardsiella ictaluriの懸濁液(1x10細胞/mL)に30分間浸漬する。その後、25℃で飼育を継続し、ナマズ体表の菌叢解析により定着性を確認するとともに各水槽での死亡率を測定する。
【0098】
(注記)
以上のように、本開示の好ましい実施形態を用いて本開示を例示してきたが、本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願及び他の文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本開示は、魚類を保護する微生物および魚類を保護する方法を提供し、そうすることでより安定、廉価、高生産かつ/または多様な魚類の生育を達成し、かつ/または既存の薬物使用などの低減により環境負荷を低下させることができる。
【受託番号】
【0100】
MUCF01(受領番号:NITE AP-03323)
MUCF02(受領番号:NITE AP-03324)
MUCF03(受領番号:NITE AP-03325)
【配列表フリーテキスト】
【0101】
・配列番号1:16S rRNA遺伝子プライマー(フォワード)
AGRGTTTGATCMTGGCTCAG
・配列番号2:16S rRNA遺伝子プライマー(リバース)
GGYTACCTTGTTACGACTT
・配列番号3:MUCF01の16S rRNA配列
AGAGTTTGATCATGGCTCAGGATGAACGCTAGCGGCAGGCTTAACACATGCAAGTCGAGGGGTATATGTCTTCGGATATAGAGACCGGCGCACGGGTGCGTAACGCGTATGCAATCTACCTTTTACAGAGGGATAGCCCAGAGAAATTTGGATTAATACCTCATAGTATAACACAATCGCATGATTGAGTTATTAAAGTCACAACGGTAAAAGATGAGCATGCGTCCCATTAGCTAGTTGGTAAGGTAACGGCTTACCAAGGCTACGATGGGTAGGGGTCCTGAGAGGGAGATCCCCCACACTGGTACTGAGACACGGACCAGACTCCTACGGGAGGCAGCAGTGAGGAATATTGGACAATGGGCGCAAGCCTGATCCAGCCATGCCGCGTGCAGGATGACGGTCCTATGGATTGTAAACTGCTTTTGTACGAGAAGAAACACCTCTACGTGTAGAGGCTTGACGGTATCGTAAGAATAAGGATCGGCTAACTCCGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGGAGGATCCAAGCGTTATCCGGAATCATTGGGTTTAAAGGGTCCGTAGGCGGTTTAGTAAGTCAGTGGTGAAAGCCCATCGCTCAACGGTGGAACGGCCATTGATACTGCTGAACTTGAATTATTAGGAAGTAACTAGAATATGTAGTGTAGCGGTGAAATGCTTAGAGATTACATGGAATACCAATTGCGAAGGCAGGTTACTACTAATGGATTGACGCTGATGGACGAAAGCGTGGGTAGCGAACAGGATTAGATACCCTGGTAGTCCACGCCGTAAACGATGGATACTAGCTGTTGGGAGCAATTTCAGTGGCTAAGCGAAAGTGATAAGTATCCCACCTGGGGAGTACGTTCGCAAGAATGAAACTCAAAGGAATTGACGGGGGCCCGCACAAGCGGTGGAGCATGTGGTTTAATTCGATGATACGCGAGGAACCTTACCAAGGCTTAAATGTAGTTTGACCGATTTGGAAACAGATCTTTCGCAAGACAAATTACAAGGTGCTGCATGGTTGTCGTCAGCTCGTGCCGTGAGGTGTCAGGTTAAGTCCTATAACGAGCGCAACCCCTGTTGTTAGTTGCCAGCGAGTAGTGTCGGGAACTCTAACAAGACTGCCAGTGCAAACTGTGAGGAAGGTGGGGATGACGTCAAATCATCACGGCCCTTACGCCTTGGGCTACACACGTGCTACAATGGCCGGTACAGAGAGCAGCCACTGTGTGAGCAGGAGCGAATCTATAAAGCCGGTCACAGTTCGGATCGGAGTCTGCAACTCGACTCCGTGAAGCTGGAATCGCTAGTAATCGGATATCAGCCATGATCCGGTGAATACGTTCCCGGGCCTTGTACACACCGCCCGTCAAGCCATGGAAGCTGGGGGTGCCTGAAGTCGGTGACCGCAAGGAGCTGCCTAGGGTAAAACTGGTAACTAGGGCTAAGTCGTAACAAGGTAACC
・配列番号4:MUCF02の16S rRNA配列
CGTATGCAATCTACCTTTTACAGAGGGATAGCCCAGAGAAATTTGGATTAATACCTCATAGTATAACACAATCGCATGATTGAGTTATTAAAGTCACAACGGTAAAAGATGAGCATGCGTCCCATTAGCTAGTTGGTAAGGTAACGGCTTACCAAGGCTACGATGGGTAGGGGTCCTGAGAGGGAGATCCCCCACACTGGTACTGAGACACGGACCAGACTCCTACGGGAGGCAGCAGTGAGGAATATTGGACAATGGGCGCAAGCCTGATCCAGCCATGCCGCGTGCAGGATGACGGTCCTATGGATTGTAAACTGCTTTTGTACGAGAAGAAACACCTCTACGTGTAGAGGCTTGACGGTATCGTAAGAATAAGGATCGGCTAACTCCGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGGAGGATCCAAGCGTTATCCGGAATCATTGGGTTTAAAGGGTCCGTAGGCGGTTTAGTAAGTCAGTGGTGAAAGCCCATCGCTCAACGGTGGAACGGCCATTGATACTGCTGAACTTGAATTATTAGGAAGTAACTAGAATATGTAGTGTAGCGGTGAAATGCTTAGAGATTACATGGAATACCAATTGCGAAGGCAGGTTACTACTAATGGATTGACGCTGATGGACGAAAGCGTGGGTAGCGAACAGGATTAGATACCCTGGTAGTCCACGCCGTAAACGATGGATACTAGCTGTTGGGAGCAATTTCAGTGGCTAAGCGAAAGTGATAAGTATCCCACCTGGGGAGTACGTTCGCAAGAATGAAACTCAAAGGAATTGACGGGGGCCCGCACAAGCGGTGGAGCATGTGGTTTAATTCGATGATACGCGAGGAACCTTACCAAGGCTTAAATGTAGTTTGACCGATTTGGAAACAGATCTTTCGCAAGACAAATTACAAGGTGCTGCATGGTTGTCGTCAGCTCGTGCCGTGAGGTGTCAGGTTAAGTCCTATAACGAGCGCAACCCCTGTTGTTAGTTGCCAGCGAGTAGTGTCGGGAACTCTAACAAGACTGCCAGTGCAAACTGTGAGGAAGGTGGGGATGACGTCAAATCATCACGGCCCTTACGCCTTGGGCTACACACGTGCTACAATGGCCGGTACAGAGAGCAGCCACTGTGTGAGCAGGAGCGAATCTATAAAGCCGGTCACAGTTCGGATCGGAGTCTGCAACTCGACTCCGTGAAGCTGGAATCGCTAGTAATCGGATATCAGCCATGATCCGGTGAATACGTTCCCGGGCCTTGTACA
・配列番号5:MUCF03の16S rRNA配列
CCGAGCGGTAGAGATTCTTCGGGATCTTGAGAGCGGCGTACGGGTGCGGAACACGTGTGCAACCTGCCTTTATCAGGGGGATAGCCTTTCGAAAGGAAGATTAATACCCCATAATATATTGAATGGCATCATTTAATATTGAAAACTCCGGTGGATAGAGATGGGCACGCGCAAGATTAGATAGTTGGTGAGGTAACGGCTCACCAAGTCTACGATCTTTAGGGGGCCTGAGAGGGTGATCCCCCACACTGGTACTGAGACACGGACCAGACTCCTACGGGAGGCAGCAGTGAGGAATATTGGACAATGGGTGCGAGCCTGATCCAGCCATCCCGCGTGAAGGACGACGGCCCTATGGGTTGTAAACTTCTTTTGTATAGGGATAAACCTAGATACGTGTATCTAGCTGAAGGTACTATACGAATAAGCACCGGCTAACTCCGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGGAGGGTGCAAGCGTTATCCGGATTTATTGGGTTTAAAGGGTCCGTAGGCGGATTTGTAAGTCAGTGGTGAAATCTCACAGCTTAACTGTGAAACTGCCATTGATACTGCAAGTCTTGAGTGTTGTTGAAGTAGCTGGAATAAGTAGTGTAGCGGTGAAATGCATAGATATTACTTAGAACACCAATTGCGAAGGCAGGTTACTAAGCAACAACTGACGCTGATGGACGAAAGCGTGGGGAGCGAACAGGATTAGATACCCTGGTAGTCCACGCCGTAAACGATGCTAACTCGTTTTTGGAGCGCAAGCTTCAGAGACTAAGCGAAAGTGATAAGTTAGCCACCTGGGGAGTACGAACGCAAGTTTGAAACTCAAAGGAATTGACGGGGGCCCGCACAAGCGGTGGATTATGTGGTTTAATTCGATGATACGCGAGGAACCTTACCAAGGCTTAAATGGGAAATGACAGGTTTAGAAATAGACTTTTCTTCGGACATTTTTCAAGGTGCTGCATGGTTGTCGTCAGCTCGTGCCGTGAGGTGTTAGGTTAAGTCCTGCAACGAGCGCAACCCCTGTCACTAGTTGCCATCATTAAGTTGGGGACTCTAGTGAGACTGCCTACGCAAGTAGAGAGGAAGGTGGGGATGACGTCAAATCATCACGGCCCTTACGCCTTGGGCCACACACGTAATACAATGGCCGGTACAGAGGGTAGCTACACTGCGAAGTGATGCAAATCTCGAAAGCCGGTCTCAGTTCGGATTGGAGTCTGCAACTCGACTCTATGAAGCTGGAATCGCTAGTAATCGCGCATCAGCCATGGCGCGGTGAATACGTTCCCGGGCCTTGTACACACCGCCCGTCAAGCCATGGAAGTCTGGGGTACCTGAAGTCGGTGACCGTAACAG
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
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