(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089642
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】網戸の支持構造
(51)【国際特許分類】
E06B 9/52 20060101AFI20220609BHJP
【FI】
E06B9/52 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020202193
(22)【出願日】2020-12-04
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 和彦
(57)【要約】
【課題】取付対象となる枠体の設置状況に関わらず、網戸を着脱すること。
【解決手段】枠体10に対して網戸20を支持させる構造であって、網戸20を構成する網戸縦框24には、見込み方向に沿って延在したフック部42を有するフック部材40が取り付けられ、フック部42には、先端部にフック当接部43が設けられ、縦枠13には、枠体10に対して網戸20を配置した場合にフック部42のフック当接部43に当接可能状態となり、フック部42のフック当接部43に当接した場合に枠体10に対して網戸20が下方及び面外方向へ移動するのを制限するフック受部52Aが設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体に対して網戸を支持させる構造であって、
前記枠体を構成する枠材及び前記網戸を構成する網戸框材のいずれか一方には、見込み方向に沿って延在したフック部を有するフック部材が取り付けられ、
前記フック部には、先端部に曲端部が設けられ、
前記枠材及び前記網戸框材のいずれか他方には、前記枠体に対して前記網戸を配置した場合に前記フック部の曲端部に当接可能状態となり、前記フック部の曲端部に当接した場合に前記枠体に対して前記網戸が下方及び面外方向へ移動するのを制限するフック受部が設けられていることを特徴とする網戸の支持構造。
【請求項2】
前記フック部材は、前記枠体において上下方向に延在する枠材及び前記網戸において上下方向に延在する網戸框材のいずれか一方に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の網戸の支持構造。
【請求項3】
前記フック受部は、前記枠材及び前記網戸框材のいずれか他方に、別体に成形したフック受部材を取り付けることによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の網戸の支持構造。
【請求項4】
前記フック受部材は、見込み方向に向けて漸次高さが異なるように傾斜したフック受面を有したものであり、
前記フック受部は、前記フック受面に前記フック部が挿入可能となる切欠を設けることによって構成されていることを特徴とする請求項3に記載の網戸の支持構造。
【請求項5】
前記フック受部は、前記枠材及び前記網戸框材のいずれか他方の見付け面に前記フック部が挿入可能となる切欠を設けることによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の網戸の支持構造。
【請求項6】
前記枠体の下方部に配置される枠材と、前記網戸の下方部に配置される網戸框材との間には、前記網戸の下方において左右方向に延在する網戸框材を前記枠体の下方において左右方向に延在する枠材に対応して配置した場合に係合することにより前記枠材に対する前記網戸框材の見込み方向に沿った移動を制限する下方係合部が設けられ、
前記枠材及び前記網戸框材のいずれか他方には、前記枠体に対して前記網戸を配置した場合に前記フック部に当接可能状態となり、前記フック部に当接した場合に前記枠体に対する前記網戸の上方への移動を制限する上動規制部が設けられていることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一つに記載の網戸の支持構造。
【請求項7】
前記枠体の上方部及び前記網戸の上方部のいずれか一方には、見付け方向に沿って移動可能となるように上方係合部材が配設され、
前記上方係合部材は、前記枠体の上方において左右方向に延在する枠材と、前記網戸の上方において左右方向に延在する網戸框材とが互いに対向した状態で見付け方向に移動した場合に前記枠体及び前記網戸のいずれか他方に係合し、前記枠材に対する前記網戸框材の見込み方向に沿った移動を制限することを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一つに記載の網戸の支持構造。
【請求項8】
前記網戸を構成する前記網戸框材の室外に臨む見付け面に前記フック部材もしくは前記フック受部が設けられ、
前記網戸の室内に臨む見付け面もしくは前記枠体の室内に臨む見付け面には、前記上方係合部材を操作する操作部が外部に露出した状態で配設されていることを特徴とする請求項7に記載の網戸の支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠体に対して網戸を支持させる支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建具には、いわゆる固定網戸と称される網戸を備えるものがある。固定網戸は、枠体とほぼ同じ大きさの網戸框の内部に網が設けられたものである。固定網戸を枠体に支持させる構造としては、例えば特許文献1に記載のものがある。すなわち、特許文献1では、枠体に軸棒が設けられているとともに、網戸に筒体が設けられており、軸棒に上方から筒体を嵌合させることで枠体に網戸が支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の支持構造で適用する軸棒や筒体は、軸心が上下方向に沿って延在されたものである。このため、枠体に網戸を支持させる場合には、枠体よりも上方となる部分に網戸を近接させた状態で下方にスライドする操作が必要となる。しかしながら、枠体の周囲には、室外であれば庇等の突出物が設けられている場合が多く、室内であれば額縁が突出する状態で設けられる場合が多く、網戸を着脱させることが困難である。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、取付対象となる枠体の設置状況に関わらず、網戸を着脱することのできる網戸の支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る網戸の支持構造は、枠体に対して網戸を支持させる構造であって、前記枠体を構成する枠材及び前記網戸を構成する網戸框材のいずれか一方には、見込み方向に沿って延在したフック部を有するフック部材が取り付けられ、前記フック部には、先端部に曲端部が設けられ、前記枠材及び前記網戸框材のいずれか他方には、前記枠体に対して前記網戸を配置した場合に前記フック部の曲端部に当接可能状態となり、前記フック部の曲端部に当接した場合に前記枠体に対して前記網戸が下方及び面外方向へ移動するのを制限するフック受部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フック部の延在方向に沿って網戸を移動させれば、曲端部が枠体のフック受部に当接可能状態となるため、枠体の周囲に庇や額縁等の突出物が設けられている状況下であっても枠体に対して網戸を着脱することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態1である支持構造を適用して枠体に網戸を支持させた建具を室内側から見た図である。
【
図2】
図1に示した建具の一部を破断した縦断面図である。
【
図3】
図1に示した建具の一部を破断した横断面図である。
【
図4】
図1に示した建具の全高を示す縦断面図である。
【
図5】
図1に示した建具の枠体に対して網戸を支持させる状態を例示した縦断面図である。
【
図6】
図1に示した建具の網戸に適用するコーナーブロックを例示するもので、(a)は係合部材を突出させた状態の図、(b)は係合部材を退行させた状態の図である。
【
図7】
図1に示した建具の枠体に網戸を支持させる場合に適用するフック部材及びフック受部材を示すもので、(a)はフック部材をフック受部材に貫通させる以前の状態を示す分解側面図、(b)は(a)の斜視図、(c)はフック部材をフック受部材に貫通させた状態を示す側面図、(d)は(c)の斜視図である。
【
図8】本発明の実施の形態2である支持構造を適用して枠体に網戸を支持させた建具の縦断面図である。
【
図9】
図8に示した建具の要部を示すもので、(a)は枠体に網戸を支持させる以前の状態を示す要部横断面図、(b)は枠体に網戸を支持させた状態の要部横断面図である。
【
図10】実施の形態2で適用するフック部材及びフック受部材を示すもので、(a)はフック部材の側面図、(b)は(a)の平面図、(c)はフック受部材の側面図、(d)は(c)の平面図である。
【
図11】本発明の実施の形態3である支持構造を適用して枠体に網戸を支持させた建具の縦断面図である。
【
図12】
図11に示した建具の要部を示すもので、(a)は枠体に網戸を支持させる以前の状態を示す要部横断面図、(b)は枠体に網戸を支持させた状態の要部横断面図である。
【
図13】実施の形態3で適用するフック部材及びフック受部材を示すもので、(a)はフック部材の側面図、(b)は(a)の平面図、(c)はフック受部材の側面図、(d)は(c)の平面図である。
【
図14】本発明の実施の形態4である支持構造を適用して枠体に網戸を支持させた建具の縦断面図である。
【
図15】
図14に示した建具の要部を示すもので、(a)は枠体に網戸を支持させる以前の状態を示す要部横断面図、(b)は枠体に網戸を支持させた状態の要部横断面図である。
【
図16】実施の形態4で適用するフック部材を示すもので、(a)はフック部材の側面図、(b)は(a)の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る網戸の支持構造の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下においては便宜上、見込み方向及び見付け方向という用語を用いる。見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。見付け方向とは、下枠等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。後述する縦枠13や網戸縦框24等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0010】
(実施の形態1)
図1~
図5は、本発明の実施の形態1である支持構造を適用して枠体10に網戸20を支持させた建具を示すものである。ここで例示する建具は、横すべり出し窓と称されるもので、枠体10に対して障子30が室外側に向けて面外方向に突出するように開放するものである。枠体10は、上枠11、下枠12及び左右の縦枠13を四周枠組みすることによって構成したものである。障子30は、長方形状を成す複層ガラス等の面材31の四周に上框32、下框33及び左右の縦框34を装着することによって構成したもので、枠体10を閉塞することのできる大きさに形成してある。枠体10を構成する上枠11、下枠12、左右の縦枠13(以下、これらを総称する場合に枠材という)は、それぞれ室外側に配置される外方枠構成要素10Aと、室内側に配置される内方枠構成要素10Bとを備えて構成したものである。外方枠構成要素10Aは、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、内方枠構成要素10Bは、樹脂によって成形した押し出し形材である。これら外方枠構成要素10A及び内方枠構成要素10Bは、それぞれが長手に沿った全長にわたってほぼ一様の断面形状を有するように構成してある。枠材11,12,13は、これら外方枠構成要素10A及び内方枠構成要素10Bを互いに係合することで一体的に構成してあり、個々の外方枠構成要素10Aを介して躯体Bに取り付けてある。
【0011】
同様に、障子30を構成する上框32、下框33、左右の縦框34(以下、これらを総称する場合に框材という)は、それぞれ室外側に配置される外方框構成要素30Aと、室内側に配置される内方框構成要素30Bとを備えて構成してある。外方框構成要素30Aは、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、内方框構成要素30Bは、樹脂によって成形した押し出し形材である。これら外方框構成要素30A及び内方框構成要素30Bは、それぞれが長手に沿った全長にわたってほぼ一様の断面形状を有するように構成してある。框材32,33,34は、これら外方框構成要素30A及び内方框構成要素30Bを互いに係合することで一体的に構成してあり、互いの間に面材31の縁部を収容している。
【0012】
上枠11及び左右の縦枠13を構成する内方枠構成要素10Bには、それぞれの内周側となる部分に中空部10cが設けてあり、さらに中空部10cの外周側となる部分には室内に向けて額縁支持片部10dが設けてある。中空部10cは、上枠11及び左右の縦枠13において最も内周側に突出したもので、それぞれの突出端部に内方見込み面10eを構成しているとともに、室外側となる部分に外方見付け面10fを構成している。内方見込み面10eは、見込み方向に沿って延在する平面である。外方見付け面10fは、見付け方向に沿った平面であり、障子30を閉じた場合に障子30の外周縁部に対向するように構成してある。額縁支持片部10dは、薄板状を成すもので、それぞれ見込み方向に沿って延在している。図からも明らかなように、内方枠構成要素10Bは、額縁支持片部10dを介して額縁Gにネジを螺合することにより、額縁Gを介して躯体Bに取り付けてある。額縁Gは、躯体Bに設けた開口部の内周面において室内側となる部分の四周に設けたもので、枠体10よりも室内側に突出するように配設してある。
【0013】
これに対して下枠12を構成する内方枠構成要素10Bには、内方枠本体10g、額縁支持片部10h、係合片部10jが設けてある。内方枠本体10gは、見付け方向に延在した平板状を成すものである。この内方枠本体10gは、室内に臨む見付け面に障子30を開閉するための操作ハンドルHが取り付けられる部分である。額縁支持片部10hは、上枠11の内方枠構成要素10Bに設けたものと同様、薄板状を成し、内方枠本体10gの外周側となる縁部から見込み方向に沿って室内に延在している。係合片部10jは、内方枠本体10gの内周側となる部分から内周側に延長するように設けたもので、内方枠本体10gよりも大きな板厚を有するように構成してある。
【0014】
上述の枠体10に取り付けられる網戸20は、長方形状を成す網21の四周に網戸上框22、網戸下框23及び左右の網戸縦框24(以下、これらを総称する場合に網戸框材という)を装着することによって構成したものである。網戸框材22,23,24は、それぞれアルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、長手に沿った全長にわたってほぼ一様の断面形状を有するように構成してある。本実施の形態1の網戸20では、網戸框材22,23,24として、それぞれ中空の筒状を成すものを適用している。網戸20の外形寸法は、外周側の縁部が枠体10の四周を構成する4つの内方枠構成要素10Bの見付け面に同時に当接することのできる大きさに設定してある。
【0015】
網戸20の四隅となる部分には、それぞれ樹脂によって成形したコーナーブロック25が設けてある。コーナーブロック25は、例えば
図6に示すように、直方体状を成すブロック本体25aの隣接する2つの側面にそれぞれ嵌合突部25bを有した構成したL字状を成すもので、個々の嵌合突部25bに網戸上框22の端部、網戸下框23の端部、左右の網戸縦框24の端部をそれぞれ嵌合することによって網戸20の四隅に配置してある。コーナーブロック25のブロック本体25aには、それぞれ係合部材25cが配設してある。係合部材25cは、ブロック本体25aの表面に設けた操作部25dを操作することにより、
図6(a)に示すように、ブロック本体25aの側面から突出した状態と、
図6(b)に示すように、ブロック本体25aの内部に退行した状態とに移動するものである。図には明示していないが、ブロック本体25aの内部には、係合部材25cを突出した状態に維持することのできるラッチ機構が設けてある。このコーナーブロック25は、係合部材25cが網戸20の網戸上框22から上方に向けて突出し、かつ網戸下框23から下方に向けて突出することが可能となるように網戸20の四周に設けてある。
図5に示すように、係合部材25cとブロック本体25aとの間には、下枠12の内方枠構成要素10Bに設けた係合片部10jの板厚に相当する隙間25eが確保してある。
【0016】
これらのコーナーブロック25は、枠体10の室内側となる部分に網戸20を配置し、かつそれぞれの係合部材25cを外周側に突出させることで、枠体10に対して網戸20を取り付けた状態に維持することが可能である。すなわち、網戸20の下隅に設けた2つのコーナーブロック25においては、係合部材(下方係合部)25cを突出させた場合、下枠12の係合片部10jに係合させることができ、枠体10の下枠12に対する網戸下框23の下方への移動及び見込み方向に沿った面外方向の移動を制限することが可能となる。一方、枠体10の上枠11には、内方枠構成要素10Bの中空部10cにおいて係合部材25cに対応する部分に係合孔10kが設けてある。これにより、網戸上框22を上枠11の見付け面に当接させた状態で係合部材25cを上方に突出させた場合には、係合部材25cが係合孔10kに嵌合した状態となり、枠体10の上枠11に対する網戸上框22の見込み方向に沿った面外方向の移動を制限することが可能となる。
【0017】
さらに、網戸20の左右の網戸縦框24には、それぞれフック部材40が取り付けてあるとともに、枠体10の左右の縦枠13には、それぞれフック受部材50が取り付けてある。これらフック部材40及びフック受部材50は、網戸縦框24及び縦枠13とは別体の金属板によって成形したもので、枠体10及び網戸20の上方部、特に本実施の形態1では、
図4に示すように、枠体10及び網戸20の全高に対して上方からほぼ1/6となる部分に配設してある。
【0018】
フック部材40は、左右で共通の構成を有するもので、
図7に示すように、略長方形の平板状を成すフック取付板部41と、フック取付板部41の一端部からほぼ直角方向に屈曲もしくは湾曲して延在したフック部42と、フック部42の延在端部からほぼ直角方向に屈曲もしくは湾曲して延在したフック当接部(曲端部)43とを一体に成形したものである。図示の例では、フック取付板部41、フック部42、フック当接部43がすべて同一の幅となるように構成してある。フック当接部43の延在方向は、フック部42に対してフック取付板部41の延在方向とは反対方向である。
【0019】
このフック部材40は、
図2~
図5に示すように、フック取付板部41の下方にフック部42が位置し、かつフック部42が見込み方向に沿ってほぼ水平に延在する状態でフック取付板部41を介して網戸縦框24の室外に臨む見付け面24aに固定してある。フック部材40を網戸縦框24に固定する方法としては、例えば、フック取付板部41を介して網戸縦框24に取付ネジを螺合すれば良い。網戸縦框24の内部において取付ネジを螺合する部分には、裏板として金属板44が配設してある。
【0020】
フック受部材50は、左右で互いに対称形状となるもので、
図7に示すように、平板状を成す受取付板部51と、受取付板部51の一端部からほぼ直角方向に屈曲もしくは湾曲して延在した受面板部(フック受面)52とを一体に成形したものである。受面板部52には、フック部材40のフック部42及びフック当接部43が挿通可能となる大きさの角孔(切欠)52aが形成してある。角孔52aは、横長の長方形状を成す貫通孔であり、受面板部52のほぼ中央となる位置に形成してある。より具体的に説明すると、角孔52aは、長手に沿った寸法がフック部42の左右に沿った幅よりも大きく構成してある。角孔52aの短手に沿った寸法は、フック当接部43の延在長さとほぼ同一となるように形成してある。
【0021】
このフック受部材50は、
図2~
図5に示すように、受面板部52が室外に向けて漸次上方となるように傾斜した状態で受取付板部51を介して縦枠13の内方見込み面10eに固定してあり、角孔52aよりも下方となる部分にフック受部52Aを構成するとともに、角孔52aよりも上方となる部分に上動規制部52Bを構成している。フック受部材50を縦枠13に固定する方法としては、例えばフック取付板部41を介して縦枠13に取付ネジを螺合すれば良い。縦枠13の中空部10cにおいて取付ネジを螺合する部分には、裏板として金属板53が配設してある。フック受部材50を固定する位置は、下方の係合部材25cを下枠12の係合片部10jに係合させた状態で網戸20をほぼ鉛直方向に沿って配置した場合(以下、この状態を「網戸20を取付位置に配置した場合」という)に、受面板部52において角孔52aよりも下方に位置するフック受部52Aがフック部材40のフック当接部43に対向する位置となるように設定してある。
【0022】
ここで、フック受部材50の受面板部52に形成した角孔52aは、上動規制部52Bからフック受部52Aまでの距離がフック当接部43の上下に沿った寸法とほぼ同じとなるように形成してある。しかしながら、受面板部52が傾斜した状態でフック受部材50が縦枠13に固定してある。このため、縦枠13に固定した状態においては、上動規制部52Bとフック受部52Aとの間の上下に沿った寸法が、フック当接部43の寸法よりもわずかに短い状態となる。本実施の形態1では、網戸20を取付位置に配置した場合、
図7(b)に示すように、上動規制部52Bがフック部42の上面よりもわずかに上方に位置し、かつフック受部52Aがフック当接部43の下端よりもわずかに上方に位置した状態でフック部42が受面板部52を貫通した位置となるように、フック部材40及びフック受部材50の固定位置が予め調整してある。
【0023】
フック部42をフック受部材50の角孔52aに貫通させるには、まず、
図5の右方に示すように、網戸20の下隅に設けた2つのコーナーブロック25の係合部材25cを突出させる一方、網戸20の上隅に設けた2つのコーナーブロック25の係合部材(上方係合部材)25cを退行させる。この状態から、
図5中の左方に示すように、例えば網戸20を斜めの姿勢として下隅の係合部材25cを先に下枠12の係合片部10jに係合させる。下隅の係合部材25cが下枠12の係合片部10jに係合した状態においては、上述したように、下枠12に対する網戸下框23の下方への移動及び見込み方向に沿った面外方向の移動が制限されるため、そのまま網戸20の上方部を枠体10に近接させるように姿勢を変更すれば、網戸20に設けたフック部材40のフック部42が枠体10のフック受部材50に対して見込み方向に移動することになり、フック部42がフック受部材50の角孔52aに貫通されることになる。その際、角孔52aを設けた受面板部52が傾斜しているため、フック部42と角孔52aとの高さが多少ずれていたとしても、受面板部52がガイドとなってフック部42を角孔52aに挿入することが可能である。フック部42がフック受部材50の角孔52aを貫通した後においては、網戸20の上隅に設けた2つのコーナーブロック25の係合部材25cを上方に移動させれば、上枠11の係合孔10kに嵌合された状態となり、網戸20が枠体10に支持された状態となる。
【0024】
図には明示していないが、上下すべての係合部材25cを退行した状態とし、網戸20を鉛直方向に沿った姿勢のまま見込み方向に移動させることによっても、フック部42をフック受部材50の角孔52aに貫通させることは可能である。フック部42がフック受部材50の角孔52aを貫通した後において係合部材25cをそれぞれ突出した状態に操作すれば、網戸20を枠体10に支持させることができる。
【0025】
いずれにおいても、上述した建具においては、枠体10に対して網戸20をフック部42の延在方向に沿って移動させれば、換言すれば網戸20を見込み方向に移動させれば、フック当接部43が角孔52aを貫通してフック受部52Aに当接可能状態となる。従って、枠体10の室内側に額縁Gが突出した状態で配置されている状況下であっても、網戸20を室内側から操作すれば、枠体10に対して容易に着脱することが可能となる。
【0026】
上述したように、フック部42がフック受部材50の角孔52aを貫通した状態においては、フック受部52Aがフック当接部43の下端よりもわずかに上方に位置した状態となる。従って、網戸20を枠体10に支持させる際に、仮に上方の係合部材25cを上方に移動する操作を忘れてしまったとしても、あるいは上方に突出した状態の係合部材25cが衝撃や振動によって下方に移動してしまったとしても、フック部42のフック当接部43がフック受部52Aに当接するため、枠体10に対して網戸20が下方に移動したり室内側に向けて面外方向へ移動することはなく、網戸20が脱落する事態を防止することが可能となる。さらに、上動規制部52Bがフック部42の上面よりもわずかに上方に位置しているため、枠体10に対して網戸20の上方への移動が制限されることになる。これにより、例えば枠体10に対して網戸20が上方に移動することで上方の係合部材25cが下方に押し下げられる事態を未然に防止することができるようになる。
【0027】
(実施の形態2)
上述した実施の形態1では、網戸20にフック部材40を設ける一方、枠体10にフック受部材50を設けるようにしているが、
図8~
図10に示す実施の形態2のように、網戸20にフック受部材150を設ける一方、枠体10にフック部材140を設けるように構成することも可能である。以下、実施の形態2について実施の形態1と相違する部分を主に詳述し、実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付して説明する。
【0028】
枠体10に設けたフック部材140は、左右で互いに対称形状となるもので、フック取付板部141、連結板部142、フック部143、フック当接部(曲端部)144を一体に成形したものである。フック取付板部141は、略長方形状の平板状を成すものである。連結板部142は、フック取付板部141の一方の側縁部からほぼ直角方向に屈曲もしくは湾曲して延在した平板状を成すものである。連結板部142の延在長さは、フック取付板部141よりも大きく、フック取付板部141の一方の端部から突出している。フック部143は、連結板部142においてフック取付板部141から突出した部分の縁部からほぼ直角方向に屈曲もしくは湾曲して延在した平板状を成すものである。図からも明らかなように、フック部143は、連結板部142のほぼ1/2の幅を有し、連結板部142の突出縁部においてフック取付板部141から間隔を確保した位置に設けてある。フック部143の延在方向は、連結板部142に対してフック取付板部141と同じ方向である。フック当接部144は、フック部143の延在縁部からほぼ直角方向に屈曲もしくは湾曲して延在した平板状を成すもので、フック部143と同じ幅に構成してある。フック当接部144の延在方向は、フック部143に対して連結板部142と同じ方向である。
【0029】
このフック部材140は、フック部143が連結板部142の下方において見込み方向に延在し、かつフック当接部144が室内側となる状態でフック取付板部141を介して縦枠13の内方見込み面10eに取付ネジを螺合することによって縦枠13に固定してある。縦枠13の中空部10cにおいて取付ネジを螺合する部分には、裏板として金属板145が配設してある。
【0030】
フック受部材150は、左右で共通の構成を有するもので、平板状を成す受取付板部151と、受取付板部151の一端部からほぼ直角方向に屈曲もしくは湾曲して延在した連絡板部152と、連絡板部152の一端部から屈曲もしくは湾曲して傾斜延在した受面板部(フック受面)153とを一体に成形したものである。受取付板部151と連絡板部152とは、互いにほぼ同一の幅を有し、受面板部153は、これら受取付板部151及び連絡板部152よりも大きな幅を有するように構成してある。受面板部153には、フック部材140のフック部143及びフック当接部144が挿通可能となる大きさの角孔(切欠)153aが形成してある。角孔153aは、横長の長方形状を成す貫通孔であり、長手に沿った寸法がフック部143の左右に沿った幅よりも大きく構成してある。角孔153aの短手に沿った寸法は、フック当接部144の延在長さとほぼ同一となるように形成してある。
【0031】
このフック受部材150は、受面板部153が室外に向けて漸次上方となるように傾斜した状態で受取付板部151を介して網戸縦框24の室外に臨む見付け面24aに取付ネジを螺合することによって網戸縦框24に固定してある。網戸縦框24に固定した状態のフック受部材150は、角孔153aよりも上方となる部分にフック受部153Aを構成するとともに、角孔153aよりも下方となる部分に上動規制部153Bを構成している。網戸縦框24の内部において取付ネジを螺合する部分には、裏板として金属板154が配設してある。フック受部材150を固定する位置は、網戸20を上述した取付位置に配置した場合に、受面板部153の角孔153aよりも上方に位置するフック受部153Aがフック部材140のフック当接部144に対向する位置となるように設定してある。
【0032】
ここで、フック受部材150の受面板部153に形成した角孔153aは、フック受部153Aから上動規制部153Bまでの距離がフック当接部144の上下に沿った寸法とほぼ同じとなるように形成してある。しかしながら、受面板部153が傾斜した状態でフック受部材150が網戸縦框24に固定してある。このため、網戸縦框24に固定した状態においては、上動規制部153Bとフック受部153Aとの間の上下に沿った寸法が、フック当接部144の寸法よりもわずかに短い状態となる。
【0033】
本実施の形態2では、網戸20を取付位置に配置した場合、
図8中の拡大部分に示すように、フック受部153Aがフック当接部144の上縁よりもわずかに下方に位置し、かつ上動規制部153Bがフック部143の下面よりもわずかに下方に位置した状態でフック部143が受面板部153を貫通した位置となるように、フック部材140及びフック受部材150の固定位置が予め調整してある。
【0034】
フック部143をフック受部材150の角孔153aに貫通させる場合には、実施の形態1と同様の操作を行えば良い。すなわち、枠体10に対して網戸20をフック部143の延在方向に沿って移動させれば、換言すれば網戸20を見込み方向に移動させれば、フック当接部144が角孔153aを貫通してフック受部153Aに当接可能状態となる。従って、枠体10の室内側に額縁Gが突出した状態で配置されている状況下であっても、網戸20を室内側から操作すれば、枠体10に対して容易に着脱することが可能となる。フック部143がフック受部材150の角孔153aを貫通した状態においては、網戸20の四隅に設けたコーナーブロック25の係合部材25cをそれぞれ外方に移動させれば、網戸20が枠体10に支持された状態となる。
【0035】
上述したように、フック部143がフック受部材150の角孔153aを貫通した状態においては、フック受部153Aがフック当接部144の上端よりもわずかに下方に位置した状態となる。従って、網戸20を枠体10に支持させる際に、仮に上方の係合部材25cを上方に移動する操作を忘れてしまったとしても、あるいは上方に突出した状態の係合部材25cが衝撃や振動によって下方に移動してしまったとしても、フック部材140のフック当接部144がフック受部153Aに当接するため、枠体10に対して網戸20が下方に移動したり室内側に向けて面外方向へ移動することはなく、網戸20が脱落する事態を防止することが可能となる。さらに、上動規制部153Bがフック部143の下面よりもわずかに下方に位置しているため、枠体10に対して網戸20の上方への移動が制限されることになる。これにより、例えば枠体10に対して網戸20が上方に移動することで上方の係合部材25cが下方に押し下げられる事態を未然に防止することができるようになる。
【0036】
(実施の形態3)
上述した実施の形態1及び実施の形態2では、いずれもフック受部材50,150に角孔52a,153aを設けることによってフック受部52A,153Aを形成するようにしているが、本発明は必ずしも角孔52a,153a等のように閉じた切欠を設ける必要はない。例えば、
図11~
図13に示す実施の形態3のように、フック受部材250には、側面に開放するように切欠溝(切欠)253aを設けることによってフック受部253Aを構成するようにしても良い。以下、実施の形態3について、実施の形態1と相違する部分を主に詳述し、実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付して説明する。
【0037】
枠体10に設けたフック部材240は、左右で互いに対称形状となるもので、フック取付板部241、フック部242、フック当接部(曲げ端部)243を一体に成形したものである。フック取付板部241は、略長方形状の平板状を成すものである。フック部242は、フック取付板部241の一方の端部からほぼ直角方向に屈曲もしくは湾曲して延在した平板状を成すもので、延在縁部の一方の側縁のみが突出して幅広となっている。フック当接部243は、フック部242の幅広となった突出縁部からほぼ直角方向に屈曲もしくは湾曲して延在した平板状を成すものである。フック当接部243の延在方向は、フック部242に対してフック取付板部241の延在方向と同じである。
【0038】
このフック部材240は、フック部242がフック取付板部241の下方において見込み方向に延在し、かつフック当接部243が室内側となる状態でフック取付板部241を介して縦枠13の内方見込み面10eに取付ネジを螺合することによって縦枠13に固定してある。縦枠13の中空部10cにおいて取付ネジを螺合する部分には、裏板として金属板244が配設してある。
【0039】
フック受部材250は、左右で共通の構成を有するもので、平板状を成す受取付板部251と、受取付板部251の一端部からほぼ直角方向に屈曲もしくは湾曲して延在した連絡板部252と、連絡板部252の一端部から屈曲もしくは湾曲して傾斜延在した受面板部(フック受面)253とを一体に成形したものである。受取付板部251と連絡板部252とは、互いにほぼ同一の幅を有し、受面板部253は、これら受取付板部251及び連絡板部252よりも大きな幅を有するように構成してある。受面板部253には、フック部材240のフック部242及びフック当接部243が挿通可能となる大きさの切欠溝253aが形成してある。切欠溝253aは、横長の長方形状を成し、かつ一方の側部が開放した貫通孔であり、長手に沿った寸法がフック部242の左右に沿った幅よりも大きく構成してある。切欠溝253aの短手に沿った寸法は、フック当接部243の延在長さとほぼ同一となるように形成してある。
【0040】
このフック受部材250は、受面板部253が室外に向けて漸次上方となるように傾斜し、かつ切欠溝253aが外周側に開口した状態で受取付板部251を介して網戸縦框24の室外に臨む見付け面24aに取付ネジを螺合することによって網戸縦框24に固定してある。網戸縦框24に固定した状態のフック受部材250は、切欠溝253aよりも上方となる部分にフック受部253Aを構成するとともに、切欠溝253aよりも下方となる部分に上動規制部253Bを構成している。網戸縦框24の内部において取付ネジを螺合する部分には、裏板として金属板254が配設してある。
【0041】
ここで、フック受部材250の受面板部253に形成した切欠溝253aは、フック受部253Aから上動規制部253Bまでの距離がフック当接部243の上下に沿った寸法とほぼ同じとなるように形成してある。しかしながら、受面板部253が傾斜した状態でフック受部材250が網戸縦框24に固定してある。このため、網戸縦框24に固定した状態においては、上動規制部253Bとフック受部253Aとの間の上下に沿った寸法が、フック当接部243の寸法よりもわずかに短い状態となる。
【0042】
本実施の形態3では、網戸20を取付位置に配置した場合、
図11中の拡大部分に示すように、フック受部253Aがフック当接部243の上縁よりもわずかに下方に位置し、かつ上動規制部253Bがフック部242の下面よりもわずかに下方に位置した状態でフック部242が受面板部253を貫通した位置となるように、フック部材240及びフック受部材250の固定位置が予め調整してある。
【0043】
フック部242をフック受部材250の切欠溝253aに貫通させる場合には、実施の形態1と同様の操作を行えば良い。すなわち、枠体10に対して網戸20をフック部242の延在方向に沿って移動させれば、換言すれば網戸20を見込み方向に移動させれば、フック当接部243が切欠溝253aを貫通してフック受部253Aに当接可能状態となる。従って、枠体10の室内側に額縁Gが突出した状態で配置されている状況下であっても、網戸20を室内側から操作すれば、枠体10に対して容易に着脱することが可能となる。フック部242がフック受部材250の切欠溝253aに貫通した状態においては、網戸20の四隅に設けたコーナーブロック25の係合部材25cをそれぞれ外方に移動させれば、網戸20が枠体10に支持された状態となる。
【0044】
上述したように、フック部242がフック受部材250の切欠溝253aに貫通した状態においては、フック受部253Aがフック当接部243の上端よりもわずかに下方に位置した状態となる。従って、網戸20を枠体10に支持させる際に、仮に上方の係合部材25cを上方に移動する操作を忘れてしまったとしても、あるいは上方に突出した状態の係合部材25cが衝撃や振動によって下方に移動してしまったとしても、フック部材240のフック当接部243がフック受部253Aに当接するため、枠体10に対して網戸20が下方に移動したり室内側に向けて面外方向へ移動することはなく、網戸20が脱落する事態を防止することが可能となる。さらに、上動規制部253Bがフック部242の下面よりもわずかに下方に位置しているため、枠体10に対して網戸20の上方への移動が制限されることになる。これにより、例えば枠体10に対して網戸20が上方に移動することで上方の係合部材25cが下方に押し下げられる事態を未然に防止することができるようになる。
【0045】
(実施の形態4)
上述した実施の形態1~実施の形態3では、いずれも別体のフック受部材50,150,250を枠材13や網戸框材24に取り付けることによってフック受部52A,153A,253Aを構成しているが、必ずしもこれに限定されず、枠材11,12,13や網戸框材22,23,24に直接切欠を設けることによってフック受部を構成することも可能である。
図14~
図16は、左右の網戸縦框24にそれぞれ直接角孔(切欠)24bを設けることによってフック受部24Aを構成した本発明の実施の形態4を示すものである。以下、実施の形態4について、実施の形態1と相違する部分を主に詳述し、実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付して説明する。
【0046】
枠体10に設けたフック部材340は、左右で互いに対称形状となるもので、フック取付板部341、フック部342、フック当接部(曲端部)343を一体に成形したものである。フック取付板部341は、略長方形状の平板状を成すものである。フック部342は、フック取付板部341の一方の端部からほぼ直角方向に屈曲もしくは湾曲して延在した平板状を成すもので、延在縁部の一方の側縁のみが突出して幅広となっている。図からも明らかなように、実施の形態4のフック部342は、フック取付板部341の幅のほぼ2倍の長さを有している。フック当接部343は、フック部342の幅広となった突出縁部からほぼ直角方向に屈曲もしくは湾曲して延在した平板状を成すものである。フック当接部343の延在方向は、フック部342に対してフック取付板部341の延在方向と同じである。
【0047】
このフック部材340は、フック部342がフック取付板部341の下方において見込み方向に延在し、かつフック当接部343が室内側となる状態でフック取付板部341を介して縦枠13の内方見込み面10eに取付ネジを螺合することによって縦枠13に固定してある。縦枠13の中空部10cにおいて取付ネジを螺合する部分には、裏板として金属板344が配設してある。
【0048】
網戸20の左右に配置される網戸縦框24には、それぞれ室外に臨む見付け面24aに角孔24bを設けることにより、角孔24bよりも上方となる部分にフック受部24Aが構成してあるとともに、角孔24bよりも下方となる部分に上動規制部24Bが構成してある。角孔24bは、長方形状を成すもので、左右に沿った寸法がフック部342の左右に沿った幅よりも大きく、上下に沿った寸法がフック当接部343の延在長さよりもわずかに大きくなるように形成したものである。角孔24bを設ける位置は、網戸20を上述した取付位置に配置した場合に、角孔24bよりも上方に位置するフック受部24Aがフック部材340のフック当接部343に対向する位置となるように設定してある。より詳細には、網戸20を取付位置に配置した場合、
図14中の拡大部分に示すように、フック受部24Aがフック当接部343の上縁よりもわずかに下方に位置し、かつ上動規制部24Bがフック部342の下面よりもわずかに下方に位置した状態でフック部342が角孔24bを貫通した位置となるように、フック部材340の固定位置及び角孔24bの形成位置が予め調整してある。なお、この角孔24bは、網戸縦框24の室内に臨む見付け面には貫通していない。
【0049】
フック部342を網戸縦框24の角孔24bに貫通させる場合には、実施の形態1と同様の操作を行えば良い。すなわち、枠体10に対して網戸20をフック部342の延在方向に沿って移動させれば、換言すれば網戸20を見込み方向に移動させれば、フック当接部343が角孔24bを貫通してフック受部24Aに当接可能状態となる。従って、枠体10の室内側に額縁Gが突出した状態で配置されている状況下であっても、網戸20を室内側から操作すれば、枠体10に対して容易に着脱することが可能となる。フック部342が網戸縦框24の角孔24bを貫通した状態においては、網戸20の四隅に設けたコーナーブロック25の係合部材25cをそれぞれ外方に移動させれば、網戸20が枠体10に支持された状態となる。
【0050】
上述したように、フック部342が網戸縦框24の角孔24bを貫通した状態においては、角孔24bの上方に位置するフック受部24Aがフック当接部343の上端よりもわずかに下方に位置した状態となる。従って、網戸20を枠体10に支持させる際に、仮に上方の係合部材25cを上方に移動する操作を忘れてしまったとしても、あるいは上方に突出した状態の係合部材25cが衝撃や振動によって下方に移動してしまったとしても、フック部材340のフック当接部343がフック受部24Aに当接するため、枠体10に対して網戸20が下方に移動したり室内側に向けて面外方向へ移動することはなく、網戸20が脱落する事態を防止することが可能となる。さらに、角孔24bの下方に位置する上動規制部24Bがフック部342の下面よりもわずかに下方に位置しているため、枠体10に対して網戸20の上方への移動が制限されることになる。これにより、例えば枠体10に対して網戸20が上方に移動することで上方の係合部材25cが下方に押し下げられる事態を未然に防止することができるようになる。
【0051】
因に、角孔を設けてフック受部を構成する場合、必ずしも網戸框材22,23,24である必要はなく、枠材11,12,13に設けるようにしても良い。この場合、フック部の曲端部が下方に延在するフック部材を網戸框材22,23,24に設ければ良い。
【0052】
なお、上述した実施の形態1~4では、網戸が支持される建具として横すべり出し窓を例示しているが、枠体に障子が開閉可能に設けられた建具であれば、その他の建具に網戸を支持させる場合にももちろん適用可能である。また、障子よりも室内側に網戸を支持させるものを例示しているが、障子よりも室外に網戸を支持する場合にも適用可能である。さらに、枠材及び框材としてそれぞれが金属製の部分と樹脂製の部分とを有したものを例示しているが、必ずしもこれに限らない。またさらに、フック部材及びフック受部を上下方向に延在する縦枠や網戸縦框に設けるようにしているが、上枠、網戸上框や下枠、網戸下框に設けるようにしても良い。
【0053】
また、上述した実施の形態1~4では、下方係合部として網戸の下方に突出し、下枠に係合するものを例示しているが、網戸の下方部において縦枠に係合するように下方係合部を設けても良い。なお、下方に突出する下方係合部としては、必ずしも退行した状態となる必要はない。また、上方係合部材として網戸の上方に突出し、上枠に係合するものを例示しているが、網戸の上方部において縦枠に係合するように上方係合部材を設けても良い。さらに、下方係合部及び上方係合部材としては、必ずしも網戸に設ける必要はなく、枠体に設けても構わない。
【0054】
さらに、上述した実施の形態1~4では、上動規制部を設けるようにしているが、必ずしも上方規制部を設ける必要はない。なお、上動規制部を設ける場合に上述した実施の形態1~3では、フック受部材と一体に設けるようにしているが、フック受部材とは別の部材として上動規制部を設けるようにすることも可能である。
【0055】
以上のように、本発明に係る網戸の支持構造は、枠体に対して網戸を支持させる構造であって、前記枠体を構成する枠材及び前記網戸を構成する網戸框材のいずれか一方には、見込み方向に沿って延在したフック部を有するフック部材が取り付けられ、前記フック部には、先端部に曲端部が設けられ、前記枠材及び前記網戸框材のいずれか他方には、前記枠体に対して前記網戸を配置した場合に前記フック部の曲端部に当接可能状態となり、前記フック部の曲端部に当接した場合に前記枠体に対して前記網戸が下方及び面外方向へ移動するのを制限するフック受部が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、フック部の延在方向に沿って網戸を移動させれば、曲端部が枠体のフック受部に当接可能状態となるため、枠体の周囲に庇や額縁等の突出物が設けられている状況下であっても、これらが障害となることはなく枠体に対して網戸を着脱することが可能となる。しかも、枠体の一方の表面側から網戸を配置する操作を行えば、フック部の曲端部がフック受部に当接可能となって枠体に対する網戸の下方及び面外方向への移動を制限することができる。従って、枠体の他方の表面側から操作を行う必要がないため、網戸の着脱操作を容易化することができる。
【0056】
また本発明は、上述した網戸の支持構造において、前記フック部材は、前記枠体において上下方向に延在する枠材及び前記網戸において上下方向に延在する網戸框材のいずれか一方に取り付けられていることを特徴としている。
この発明によれば、フック部材を取り付ける高さ方向の位置を調整することができ、例えば網戸の大きさが異なる場合にも取付作業を容易化することが可能となる。
【0057】
また本発明は、上述した網戸の支持構造において、前記フック受部は、前記枠材及び前記網戸框材のいずれか他方に、別体に成形したフック受部材を取り付けることによって構成されていることを特徴としている。
この発明によれば、枠材もしくは網戸框材に追加の加工を施すことなくフック受部を設けることが可能となる。
【0058】
また本発明は、上述した網戸の支持構造において、前記フック受部材は、見込み方向に向けて漸次高さが異なるように傾斜したフック受面を有したものであり、前記フック受部は、前記フック受面に前記フック部が挿入可能となる切欠を設けることによって構成されていることを特徴としている。
この発明によれば、上下方向の高さを抑えてフック部が挿入可能となる切欠を形成することができ、フック部との隙間を小さく設定することが可能となる。
【0059】
また本発明は、上述した網戸の支持構造において、前記フック受部は、前記枠材及び前記網戸框材のいずれか他方の見付け面に前記フック部が挿入可能となる切欠を設けることによって構成されていることを特徴としている。
この発明によれば、部品点数を増やすことなくフック受部を構成することが可能となる。
【0060】
また本発明は、上述した網戸の支持構造において、前記枠体の下方部に配置される枠材と、前記網戸の下方部に配置される網戸框材との間には、前記網戸の下方において左右方向に延在する網戸框材を前記枠体の下方において左右方向に延在する枠材に対応して配置した場合に係合することにより前記枠材に対する前記網戸框材の見込み方向に沿った移動を制限する下方係合部が設けられ、前記枠材及び前記網戸框材のいずれか他方には、前記枠体に対して前記網戸を配置した場合に前記フック部に当接可能状態となり、前記フック部に当接した場合に前記枠体に対する前記網戸の上方への移動を制限する上動規制部が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、フック部が上動規制部に当接するため、枠体に対する網戸の上方への移動が制限され、下方係合部が不用意に解除される事態を防止することができる。下方係合部としては、操作が必要な可動式である必要はなく、また網戸下框や下枠に一体に設けるようにしても良い。操作が必要な可動式のものであれば、網戸縦框の下方部や縦枠の下方部に下方係合部を設けることも可能である。
【0061】
また本発明は、上述した網戸の支持構造において、前記枠体の上方部及び前記網戸の上方部のいずれか一方には、見付け方向に沿って移動可能となるように上方係合部材が配設され、前記上方係合部材は、前記枠体の上方において左右方向に延在する枠材と、前記網戸の上方において左右方向に延在する網戸框材とが互いに対向した状態で見付け方向に移動した場合に前記枠体及び前記網戸のいずれか他方に係合し、前記枠材に対する前記網戸框材の見込み方向に沿った移動を制限することを特徴としている。
この発明によれば、枠体に対して網戸を隙間なく支持させることが可能となる。上方係合部材としては、必ずしもコーナーブロックに設けられている必要はなく、網戸上框や上枠に設けても良いし、網戸縦框の上方部や縦枠の上方部に設けるようにしても良い。
【0062】
また本発明は、上述した網戸の支持構造において、前記網戸を構成する前記網戸框材の室外に臨む見付け面に前記フック部材もしくは前記フック受部が設けられ、前記網戸の室内に臨む見付け面もしくは前記枠体の室内に臨む見付け面には、前記上方係合部材を操作する操作部が外部に露出した状態で配設されていることを特徴としている。
この発明によれば、室内側からの操作により、枠体に対して網戸を隙間なく支持させることが可能となる。
【符号の説明】
【0063】
10 枠体、11,12,13 枠材、20 網戸、21 網、22,23,24 網戸框材、24A,52A,153A,253A フック受部、24B,52B,153B,253B 上動規制部、25 コーナーブロック、25c 係合部材、25d 操作部、30 障子、40,140,240,340 フック部材、42,143,242,342 フック部、43,144,243,343 フック当接部、50,150,250 フック受部材、52,153,253 受面板部、24b,52a,153a 角孔、253a 切欠溝