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  • 特開-皮膚を治療するための組成物及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022008966
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】皮膚を治療するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/071 20100101AFI20220106BHJP
【FI】
C12N5/071
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021165694
(22)【出願日】2021-10-07
(62)【分割の表示】P 2019172492の分割
【原出願日】2014-06-18
(31)【優先権主張番号】61/836,634
(32)【優先日】2013-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515221565
【氏名又は名称】レプリセル ライフ サイエンシーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン ロルフ
(72)【発明者】
【氏名】マケルウィー ケヴィン ジョン
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065BA30
4B065BD14
(57)【要約】
【課題】皮膚損傷を含む皮膚の治療及び修復や、皮膚の老化を予防し、様々な化粧的及び審美的用途に使用できる、自家的(autologous)又は同種的な(allogeneic)非球形真皮鞘(NDBS)細胞を含む組成物を提供する。
【解決手段】有効成分として、単離された非球形真皮鞘(NBDS)細胞を含み、この非球形真皮鞘(NBDS)細胞は、例えば、毛髪を開裂して、毛包球を取出し、非球形真皮鞘組織を単離し、この単離非球形真皮鞘組織を培養して、得ることができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非球形真皮鞘(NBDS)細胞を単離する方法であって、以下の工程、
(a) 生きている毛髪を準備する工程、
(b) 工程(a)において準備された毛髪を開裂して、毛包球を取出す工程、
(c) 非球形真皮鞘組織を単離する工程、及び
(d) 該単離非球形真皮鞘組織を培養して、NBDS細胞を製造する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記生きている毛髪が、患者の頭皮上の毛髪から生検により得られる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
単離NBDS細胞が、自家的又は同種的の何れかで使用し得る、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記毛髪を、マイクロマニピュレータ及び外科用メス、又はハサミを用いて開裂する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
更に前記単離非球形真皮鞘組織の酵素消化を行う工程をも含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記酵素消化を、コラーゲナーゼヒアルロニダーゼ、DNアーゼ、エラスターゼ、パパイン、プロテアーゼタイプXIV、トリプシン、及びディスパーゼを用いて実施する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記NBDS細胞が、多数回の継代に渡り継代培養される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載の方法に従って調製された、単離非球形真皮鞘細胞を含む、組成物。
【請求項9】
単離非球形真皮鞘細胞を含む組成物。
【請求項10】
更に血清血漿又は血小板に富む血漿(PRP)をも含む、請求項8又は9記載の組成物。
【請求項11】
更にフィブリン及び/又はヒアルロン酸をも含む、請求項8又は9記載の組成物。
【請求項12】
更に、細胞外マトリックスの成分、サイトカイン、ケモカイン及び治療薬をも含む、請求項8又は9記載の組成物。
【請求項13】
前記細胞外マトリックスの成分が、グリコサミノグリカン(GAG)、ヘパリンサルフェート、コンドロイチン硫酸、ケラチン硫酸、ヒアルロン酸、エラスチン、コラーゲン、フィブロネクチン及びラミニンからなる群から選択される、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
更に、足場をも含む、請求項8又は9記載の組成物。
【請求項15】
前記足場が、生分解性の足場である、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
前記サイトカインが、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)及びそのイソ型、インシュリン-様成長因子(IGF)及びそのイソ型、顆粒球-マクロファージコロニー-刺激因子(GM-CSF)、副甲状腺ホルモン-関連タンパク質、肝細胞増殖因子/散乱因子(HGF/SF)、マクロファージ刺激タンパク質(MSP)、上皮成長因子(EGF)、インターロイキン6(IL-6)、間質細胞由来因子1(SDF-1)、血小板由来成長因子(PDGF)及び繊維芽細胞増殖因子(FGF)からなる群から選択される、請求項12記載の組成物。
【請求項17】
前記治療薬が、鎮痛薬、抗炎症薬、抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬、及び免疫調節薬からなる群から選択される、請求項12記載の組成物。
【請求項18】
患者の皮膚に、請求項8~17の何れか1項に記載の組成物を投与する工程を含む、皮膚の治療方法。
【請求項19】
前記患者が、ヒト、ウマ、イヌ及びネコからなる群から選択される哺乳動物である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記治療が、皮膚損傷によるものである、請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記皮膚損傷が、急性又は慢性創傷又は瘢痕である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記皮膚損傷が、外科手術、火傷、放射線、又は事故により被った外傷性創傷である、請求項18記載の方法。
【請求項23】
前記皮膚損傷が、四肢における一時的な又は誘発された挫傷傾向である、請求項18記載の方法。
【請求項24】
前記皮膚が、老化した皮膚である、請求項18記載の方法。
【請求項25】
前記老化した皮膚が、微細な又は粗い皺、減じられた皮膚の厚み、減じられた弾力性及び堅さからなる群から選択される一つの状態を被っている、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記皮膚が、顔、首及び手からなる群から選択される、ヒト患者皮膚の下方位置である、請求項18記載の方法。
【請求項27】
NBDS細胞上澄を含む組成物。
【請求項28】
請求項1~7の何れか1項に記載の方法に従って培養されたNBDS細胞から作られた、NBDS細胞上澄を含む組成物。
【請求項29】
前記組成物が、希釈され、又は濃縮される、請求項27又は28記載の組成物。
【請求項30】
更に、賦形剤をも含む、請求項27~29の何れか1項に記載の組成物。
【請求項31】
前記賦形剤が、ポリマーである、請求項30記載の組成物。
【請求項32】
軟膏、クリーム又はゲルに形成された、請求項30記載の組成物。
【請求項33】
請求項27~32の何れか1項に記載の組成物の、皮膚を治療するための使用。
【請求項34】
患者の皮膚に、請求項27~32の何れか1項に記載の組成物を投与する工程を含む、皮膚を治療する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互引照)
本件特許出願は、2013年6月18日付で出願された米国仮特許出願第61/836,634号の、35 U.S.C. § 119(e)に基く利益を請求するものである。この特許出願を、全体として、言及することによりここに組入れる。
【0002】
本発明は、皮膚を治療するための、同様に様々な化粧的及び審美的目的のための組成物及び方法に係り、またより具体的には、例えば皮膚損傷を含む皮膚の治療及び修復において使用し、及び皮膚の老化を予防し、並びに様々な化粧的及び審美的目的のための、自家的(autologous)又は同種的な(allogeneic)非球形真皮鞘(NDBS)細胞を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
皮膚は複雑な器官であり、また少なくとも3つの別々の層、即ち表皮、真皮及び皮下組織に分けることができる。該皮膚内の殆どの繊維質結合組織は、真皮線維芽細胞によって形成され、これらは様々な型のコラーゲン(例えば、タイプ1、3及びその他)を分泌して、該皮膚に堅さを与え、表皮を保持し、また更には様々なオートクリン及びパラクリン因子を分泌する。
皮膚は、例えば外的な傷害(外科的処置を含む)、瘢痕(scar)を引起すアクネ及びその他の炎症性反応、脆弱な皮膚をもたらす固有の疾患、例えば慢性の創傷を伴う表皮(epidermolyis)水疱症ジストロフィー、慢性自己免疫性炎症性疾患、例えば強皮症及びバリアント、ボレリア(Borelliosis)感染症、エリテマトーデス(erythematosis)及びバリアント、扁平苔癬、喫煙及びUV-光の負の効果(外因性老化)及び一般的な老化(内因性老化)を介する様式を包含する、多数の様式で老化しあるいは傷付けられる可能性がある。
皮膚の老化は、多因子性であり、かつ固有/遺伝的メカニズムに加えて、喫煙及びUV-光が、皮膚に対して有害な効果を有している。長年に渡って、真皮コラーゲンは分解し、またそれにより線維芽細胞に対するコラーゲンの接触(例えば、インテグリン)は、減少する。結果として、老化線維芽細胞は、紡錘形の多重結合した若い線維芽細胞とは対照的に、寧ろ丸みを帯びた形状を示す。経時により、これは、臨床的には顔面、手、前腕(lower arms)、デコルテ及びその他の何処かにおける微細な又はしばしばより顕著な皺として見られる、皮膚のたるみを引起す。
皮膚を治療するのに使用し得る、数多くの外科的及び非外科的方法があるが、その何れの技術も、老化する皮膚における機能性線維芽細胞の細胞欠損に係る問題を検討してはいない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、皮膚の老化及び損傷を治療するための新規な組成物及び方法を開示し、また更にその他の関連する利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
簡単に言えば、本発明は、毛包由来の非球形真皮鞘(Non-Bulbar Dermal Sheath)(「NDBS」)細胞を利用する、皮膚の老化又は皮膚損傷を治療又は予防するための組成物及び方法を提供する。本発明の一局面においては、(a) 生命のある(vital)(即ち、「生きている」)毛髪を準備する工程;及び(b) NBDS細胞集団を得ることができるように、該生きている毛髪(vital hair)を、培養する工程を含む方法が提供される。好ましい態様において、該NBDS細胞は単離される。
本発明の一局面においては、NBDS細胞を単離する方法が提供され、該方法は、(a) 生きている毛髪を準備する工程;(b) 工程(a)において準備された毛髪を開裂して(cleaving)、毛包球(hair follicle bulb)(これは、真皮鞘カップ及び真皮乳頭細胞を含む)を取り出す工程;(c) 非球形真皮鞘組織を単離する工程;及び(d) 該単離した非球形真皮鞘組織を培養して、NBDS細胞を製造する工程を含む。本発明の一態様において、該生きている毛髪は、患者の後頭部頭皮から生検により得られる。もう一つの態様において、該毛髪は、マイクロマニピュレータ及び外科用メス(scalpel)を用いて開裂される。更に別の態様において、ここにおいて与えられる該方法は、更に該単離された非球形真皮鞘組織の酵素消化を、場合により例えばコラーゲン消化酵素、例えばコラーゲナーゼ、ディスパーゼ及びロイペプチン等を用いて実施する工程をも含む。更なる態様において、該細胞は、多数回の継代に渡り継代培養される。
本発明の他の局面において、単離されたNBDS細胞が提供され、これは場合により上述の方法に従って製造され、ここで該細胞は、1種又はそれ以上のCD90、CD73及びCD49bに対して主として陽性であり、及び/又は1種又はそれ以上のCD34、CD45及びKRT14に対して主として陰性である(場合により培養前又はその後)個体群を供するために単離される。好ましい態様において、該単離されたNBDS細胞は、上記した正のマーカーの1又はそれ以上に対して、少なくとも70%、80%、90%、95%、98%又は100%陽性であり、及び/又は上記した負のマーカーの一つに対して少なくとも80%、90%、95%、又は98%陰性である。
【0006】
本発明の好ましい態様において、単離されたNBDS細胞は、その細胞集団内に15%、10%、5%、又は1%未満のケラチノサイト、及び/又はその細胞集団内に15%、10%、5%、又は1%未満のメラノサイトを含んでいる。しかし、更なる態様において、該単離されたNBDS細胞集団は、真皮細胞の集団を由来(好ましくは、毛包を由来)とするものであり、これは、例えばその細胞集団内に少なくとも1、5、10、0.01%、0.1%、又は1%のケラチノサイト、及び/又は少なくとも5、10、0.1%、0.01%のメラノサイトを包含する、幾分かの混入細胞型を含んでいる。本発明の更なる態様において、該単離されたNBDS細胞は、少なくとも95%純粋であり、また該細胞集団内に、少なくとも1種の混入細胞型(例えば、少なくとも1種のケラチノサイト)を含んでいる。
これらNBDS細胞(又は増殖させた、又は単離されたNBDS細胞)は、例えば血清血漿、フィブリン、及び/又はヒアルロン酸等の他の成分と共に、組成物内に含めることができる。他の態様において、該NBDS細胞(又は増殖させた、又は単離されたNBDS細胞)は、注射に適した組成物、例えば乳酸リンゲル液又は緩衝生理食塩溶液内の構成成分となり得る。本発明の組成物を形成するのに利用し得るその他の成分は、例えば細胞外マトリックスの成分(例えば、グリコサミノグリカン(GAGs)、ヘパリンサルフェート(heparin sulfate)、コンドロイチン硫酸、ケラチン硫酸、ヒアルロン酸、アルブミン(例えば、ヒトアルブミン)、エラスチン、フィブロネクチン及びラミニン)、サイトカイン及びケモカイン(例えば、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)及びそのイソ型、インシュリン-様成長因子(IGF)及びそのイソ型、顆粒球-マクロファージコロニー-刺激因子(GM-CSF)、副甲状腺-ホルモン-関連タンパク質、肝細胞増殖因子/散乱因子(HGF/SF)、マクロファージ刺激タンパク質(MSP)、上皮成長因子(EGF)、インターロイキン6(IL-6)、間質細胞由来因子1(SDF-1)、血小板由来成長因子(PDGF)及び繊維芽細胞増殖因子(FGF)及び/又は様々な治療薬(例えば、鎮痛薬、抗炎症薬及び免疫調節薬)を含む。しかし、その他の態様において、NBDS細胞(及び単離されたNBDS細胞)は、上記成分(例えば、血清又は血漿を含む)の何れをも含まない組成物の状態で与えられる。
【0007】
本発明の更に別の局面においては、患者の皮膚を治療する方法が提供され、該方法は、ここに記載されたようなNBDS細胞を含む組成物を、患者の皮膚に投与する工程を含む。一態様において、該患者は、ヒト、ウマ、イヌ及びネコからなる群から選択される哺乳動物である。様々な態様において、該治療は皮膚損傷によるものである。特定の態様において、該皮膚損傷は、外的な傷害(例えば、外科的処置又は創傷、火傷、放射線、又は事故)又は急性又は慢性の傷又は瘢痕に起因するものであり得る。その他の態様において、該皮膚損傷は、四肢(extremities)における一時的な又は誘発された挫傷傾向(predisposition)である。更に別の態様において、該皮膚損傷は、瘢痕をもたらすアクネ及び/又はその他の炎症性反応、脆弱な皮膚を伴う固有の疾患、例えば真正糖尿病、動脈硬化症又は静脈瘤症のために被った慢性的創傷を伴う表皮水疱症(epidermolyis bullosa)ジストロフィー又は他の固有のあるいは後天性の水疱症、急性又は慢性のウイルス、真菌又はバクテリア感染、慢性の自己免疫性炎症性疾患、例えば強皮症及びバリアント、ボレリア(Borelliosis)感染症、エリテマトーデス(Lupus erythematosis)及びバリアント、扁平苔癬、喫煙及びUV-光の負の効果(外因性老化)及び一般的な老化(内因性老化)によるものである。更なる他の態様において、該皮膚はヒト身体全体、あるいは該身体の選択された部分(例えば、手、顔、及び首上にある。他の態様において、該皮膚は、日光(UV-光)又は喫煙により老化/損傷を受ける可能性がある。関連する態様において、該老化した皮膚は、微細な又は粗い皺、減じられた皮膚の厚み、減じられた弾力性及び堅さからなる群から選択される状態を被っている。他の態様において、該皮膚は、化粧の目的で(例えば、セルライトの外観を軽減するために)処置される。更に他の態様において、皮膚に対して現状では見ることのできる損傷又は外傷はないが、それにも拘らず該皮膚は、正常な老化の発生を抑制し又は遅延させるために、あるいは正常な皮膚の外観(及び肌理)を改善するために処置することができる。
【0008】
本発明のもう一つの局面においては、NBDS細胞培養上澄を含む組成物が提供される。一態様において、該NBDS細胞培養上澄は、ここに記載された如き培養されたNBDS細胞から調製される。他の態様において、該NBDS細胞培養上澄は、凍結、凍結乾燥、又はその他の適当な方法により保存することができる。該NBDS細胞培養上澄は、例えば局所的適用、注射(例えば、皮膚又は他の身体部分への少量注射)等を包含する、様々な方法で利用することができる。
様々な態様において、上記NBDS細胞培養上澄は、調製し、かつそのまま(例えば、濾過後に)使用され、適当なバッファー又は賦形剤で希釈され、濃縮され、あるいは分離された様々な成分(これらは別途使用することができる(例えば幹細胞因子、wnt-因子、他の成長因子、サイトカイン又はケモカイン)と共に使用することができる。一態様において、該NBDS細胞培養上澄は、そのまま、希釈又は濃縮され、また投与に適した配合物又は組成物(例えば、ゲル、クリーム、又はポリマーベースの組成物)と組合せて又はこれらと混合して利用される。代表的な例は、ヒアルロン酸、コラーゲン、細胞外マトリックス、足場、ポリマーベースの組成物(例えば、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、及びポリカプロラクトン)を含む。該NBDS細胞培養上澄にとって適した他の担体は、軟膏、及び化粧品工業において使用されている他の液体(例えば、エマルション、ラッカー、トニック、シャンプー、スプレイ)を含む。他の態様において、該NBDS細胞培養上澄は、製造され又は収穫された細胞外マトリックス中に配置することができる(例えば、US 20100047305又はUS 20100124573を参照のこと)。他の態様において、該細胞は、医療デバイスにおいて使用でき、あるいは非-生分解性又は生分解性足場、又はその他の構造において、あるいはその内部に配置することができる。特に好ましい足場又は構造は、生分解性足場(例えば、メッシュ等のコラーゲンベースの足場)を含む。適当な足場の代表的例は、例えば米国特許第5,736,372号、同第5,759,830号、同第8,039,258号、及び同第8,105,380号を含み、これら米国特許全てを、そのまま、言及することにより組入れる。
1又はそれ以上の態様の詳細は、以下の説明において明記する。その他の特徴、目的及び利点は該説明、図面及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。更に、ここにおいて言及される全ての特許及び特許出願の開示事項を、そのまま、言及することにより組入れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、ヒト毛包の解剖標本を示す。図1Aは、単離されたヒト毛包を示し、これは、単離真皮鞘(図1B参照)を得るために、毛根の球状部分の上部(即ち、真皮乳頭及び真皮鞘カップ細胞の上部、即ち終末球(end bulbs)の上部)であるが、皮脂腺管の基部下方で開裂し得る。図1Bに描写された構造は、図1C及び1Dに示した如き、少なくとも2つの別々の部分に分離することができる。図1Cは、毛髪繊維及び主としてケラチノサイトを含む、結合した内毛根鞘、及び外毛根鞘を描写しており、及び図1Dは、NBDS細胞を含む該真皮鞘(同様に、時には結合組織鞘、上部真皮鞘又は余り正確ではないが単に真皮鞘とも呼ばれる)である。真皮鞘カップ細胞(DSC)及び真皮乳頭(DP)とは対照的に、NBDS細胞は、コラーゲン-Iマーカーに対して高度に陽性であり、かつアルカリホスファターゼ及びステロイドスルファターゼに対しては弱い程度にのみ陽性である。更に、これらの細胞はCD90等のマーカー及び他の幹細胞マーカーを発現する。
図2図2は、真皮乳頭(「DP」)細胞、真皮鞘カップ(「DSC」)細胞、及び非球形真皮鞘(「NBDS」)細胞の起源を描写する、毛包の例示である。
図3図3は、培養液中のNBDS細胞に係る顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上述の通り、本発明は、哺乳動物における皮膚老化及び皮膚損傷の治療又は予防において使用するための、毛包由来の非球形真皮鞘(NDBS)細胞を提供する。しかし、本発明を明らかにするのに先立って、以下において使用する特定の用語の定義を先ず明らかにすることが、本発明の理解に役立つかもしれない。
非球形真皮鞘細胞、即ち「NBDS」細胞は、真皮由来の細胞(又はより具体的には、毛包由来の)を言う。好ましい態様において、該鞘細胞は、毛根の球状部分の上部(即ち、真皮乳頭及び真皮鞘カップ細胞の上部)であるが、皮脂腺管の基部下方の、毛包の外真皮鞘から得られる。本発明の特に好ましい態様において、NBDS細胞は、UV-ナイーブ細胞であり、即ちこれらは実際的なUV暴露に曝されていない(例えば、鼻又はいわゆる手の甲と比較して)。NBDS細胞は、以下においてより詳細に記載されるようにして、増殖及び単離することができる。
NBDS細胞は、例えば調製及び培養法(以下に記載されるような);形態学(例えば、図3を参照のこと);並びに細胞特異的マーカー(例えば、培養前又はその後の何れかにおいて、NBDS細胞は、CD 90、CD73及びCD49bに対して主として陽性であり、及び/又はCD34、CD45及びKRT14に対して主として陰性である)等を包含する多数の方法によって容易に同定し得る。しかし、何れにしても、該細胞は真皮起源のものである必要があり、あるいはより好ましい態様では、毛包由来のものである必要がある。
増殖された非球形真皮鞘細胞、即ち「eNBDS細胞」は、培養液中で数回の継代に渡り増殖されているが、コラーゲン(例えば、タイプIコラーゲン)並びに様々なサイトカイン、ケモカイン及びホルモンを生産する能力を保持しているNBDS細胞を言う。上記の如く、予想外にも、該eNBDS細胞は、また免疫調節性でもあり得る。好ましい態様において、該細胞は培養液中で、1、2、3、4、5、10、20又はそれ以上の継代に渡り増殖させることが可能である。
【0011】
「単離された」NBDS細胞は、70%、80%、85%、90%、95%、98%、又は100%を超えるNBDS細胞の細胞集団を言う。NBDS細胞は、コラーゲン(例えば、タイプIコラーゲン)並びに様々なサイトカイン及びケモカインを生産する能力を持つ。予想外のことに、該NBDS細胞は、また免疫調節性でもあって、これは、該細胞を、皮膚損傷の治療にとって特に適したものとする(例えば、あらゆる炎症性応答の抑制を支援することにより)。
本発明の特定の態様において、微視的なスケールにて細胞を可視化するのに利用し得るソフトウエア又はその他の可視化技術が、視野内の多数の細胞のサイズ、形状、生存能力及び粒度を評価し、またNBDS細胞(これらは、図3に示されている如く、ケラチノサイト、メラノサイトDSCs、及び異なる形態を持つものである他の細胞型とは対照的に、線維芽細胞-様である)の数を確認するのに利用できる。従って、本発明の態様の一つにおいては、NBDS細胞を単離するための方法が提供され、該方法は、NBDS細胞の単離された集団が生産されるように、毛包由来の細胞を、1、2、3、4、5、6、10又は20回の継代に渡り培養する工程を含む。好ましい態様において、該細胞は、該NBDS細胞の接着を可能とする皿又はフラスコ内に配置され、また各継代に関して、非接着性細胞が除去され、また残された接着性細胞が剥離され(例えば、トリプシン処理により)、引続き新鮮な培地が添加される。このような態様においては、NBDS以外の細胞に対するNBDS細胞の数を評価するために、該細胞培養物中の該細胞を可視化することにより、単離されたNBDS細胞の十分な集団が、何時得られるかを決定することができる。可視化技術は直接的顕微鏡的可視化、マーカーに対する該細胞の染色(又はマーカーなしに、例えばケラチンの欠乏に対して)、及び異なる細胞型の回折パターンを調査するための光/レーザー解析(一般的には、「レーザー走査型顕微鏡法及び神経組織の定量的画像解析(Laser Scanning Microscopy and Quantitative Image Analysis of Neuronal Tissue)」, Lidia Bakota及びRoland Brandt編, ヒューマナプレス(Humana Press), 2014を参照のこと;同様に、「生細胞の撮像及び分光分析:光学的及び分光学的技術(Imaging and Spectroscopic Analysis of Living Cells: Optical and Spectroscopic Techniques)」, Conn編, アカデミックプレス(Academic Press), 2012をも参照のこと)を含むが、これらに限定されない。
【0012】
他の態様において、細胞特異的マーカー(例えば、NBDS細胞はCD90、CD73及びCD49bに対して主として陽性であり、及び/又はCD34、CD45及びKRT14に対して主として陰性である(場合によっては、培養前又はその後)が、混入細胞型に対するNBDS細胞の程度を評価するために利用することができる。「幹細胞研究及び組織再生におけるフローサイトメトリーの利用(Applications of Flow Cytometry in Stem Cell Research and Tissue Regeneration)」, Krishan, Krishnamurthy, & Totey編, ウイリーブラックウエル(Wiley-Blackwell), 2010。例えば、単離NBDS細胞は、a) 1種又はそれ以上の生きた毛包を得;b) 該毛包から細胞を遊離させ(例えば、酵素を使用して、あるいは該毛包からの成長細胞を培養することにより);c) 該細胞を選別して(例えば、フローサイトメトリーにより、又は磁性ビーズの使用により)、単離NBDS細胞集団を得ることにより製造し得る。本発明の特定の態様において、この方法の任意の段階における細胞は、場合によっては上記のように培養することができ(例えば、細胞は、上記の如く、少なくとも1、2、3、4、5、6、10又は20回の継代に渡り培養することができ、また更に、得られた該細胞を、例えばフローサイトメトリー又は磁性ビーズにより単離することができる。
好ましい態様において、上記単離NBDS細胞は、上記した正のマーカーの1種又はそれ以上に対して、少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、98%、又は100%陽性であり、及び/又は上記した負のマーカーの1種に対して、少なくとも80%、90%、95%、又は98%陰性である。
【0013】
本発明の更なる好ましい態様において、上記NBDS細胞は紫外線ナイーブ組織から、及び特に毛髪で覆われている小胞から単離され、またその結果として例えば手又は前腕上の真皮細胞よりも低程度に紫外線暴露及び/又は損傷を受けている。
本発明の好ましい態様において(及びここに記載された任意の技術を利用して)、単離NBDS細胞は、その細胞集団内に15%、10%、5%、又は1%未満のケラチノサイト及び/又はその細胞集団内に15%、10%、5%、又は1%未満のメラノサイトを含む。しかし、更なる態様において、該単離NBDS細胞集団は、例えば該細胞集団内に少なくとも1、5、10、0.01%、0.1%、又は1%のケラチノサイト及び/又は少なくとも5、10、0.1%、0.01%のメラノサイトを含む、幾分かの混入細胞型を含む真皮細胞集団(好ましくは毛包由来の)から誘導される。本発明の更なる態様において、該単離NBDS細胞集団は、純度少なくとも95%であり、また該細胞集団内に少なくとも1種の混入細胞型(例えば、少なくとも1種のケラチノサイト)を含む。
「皮膚損傷」とは、外部又は内部トラウマ(external or internal trauma)による皮膚損傷を言う。例えば、皮膚損傷は、瘢痕又は創傷を引起すアクネ及び/又はその他の炎症性反応、脆弱な皮膚を伴う固有の疾患又は水疱形成疾患、例えば慢性の創傷を伴う表皮水疱症ジストロフィー、慢性自己免疫性炎症性疾患、例えば強皮症及びバリアント、ボレリア感染症及び他の感染症、エリテマトーデス及びバリアント、扁平苔癬、乾癬、アトピー性皮膚炎、掻痒症によって引起される可能性がある。皮膚損傷は、また外科的処置又は創傷及び事故によるものであり得る。創傷は、糖尿病及び静脈又は動脈機能不全を含む多数の因子によって引起される可能性がある。皮膚損傷は、また火傷、風邪、放射線、又は様々な薬物治療によって誘発されるものを含む多数の因子に起因するものであり得る。皮膚損傷は、また「皮膚の老化」によるものであり得、これは、例えば喫煙、UV-光(外因性老化)及び一般的老化(内因性老化)等を包含する、様々な因子の負の効果に関連している。
【0014】
NBDS細胞の調製
上述のように、本発明は、NBDS細胞を単離する方法を提供する。本発明の一局面において、このような方法は、(a) 生きている毛髪を準備する工程;及び(b) NBDS細胞集団を得ることができるように、該生きている毛髪を培養する工程を含む。工程(a)に関連して、広範囲に及ぶ方法が、生きている毛髪を得るのに利用でき、該方法は、例えば様々な毛包を(皮膚と共に)取出すための外科的方法、又は患者から直接1又はそれ以上の毛包を引抜くことにより取出す方法を含む。
一旦上記生きている毛髪を得たら、NBDS細胞の成長を可能とし、及び該成長を選択的に促進する条件の下で、これを培養することができる。好ましい態様において、この培養は、線維芽細胞-様細胞が増殖し得る条件の下で行われる。好ましい態様において、該培養工程は、血清を含まない培地を用いて行われる。数回の継代(例えば、少なくとも2、3、4、5、10又はそれ以上の継代)の後、該培養細胞は、十分な量のNBDS細胞が存在するか否か、及び該細胞が混入細胞から十分に分離されているか否かを確認するために、上述のように分析される。
本発明の他の局面においては、(a) 生きている毛髪を準備する工程;(b) 工程(a)において準備された該毛髪を開裂させて、その毛包球(これが、真皮鞘カップ及び真皮乳頭を含んでいる)を取出す工程;(c) 非球形真皮鞘組織を単離する工程;及び(d) 該単離された非球形真皮鞘組織を培養して、NBDS細胞を生成する工程を含む方法が提供される。
【0015】
生命のある(又は「生きた」)毛髪を準備するために、サンプルを、典型的には与えられた患者(例えば、ヒト、ウマ、ブタ、ネコ、イヌ、ウサギ、モルモット、ラット又はマウス等の哺乳動物)から得る。該サンプルは、様々な部位(例えば、頭皮後頭部領域、胸部又は大腿部、及びウマの場合にはタテガミ又は尾)から得ることができる。該サンプルは、生検又はその他の適当な手段(例えば、「引抜」、又は切開術)を介して得ることができる。好ましくは、発育の成長期における毛包が選択されるが、発育の他の段階(例えば、退行期)も利用することができる。
一度上記サンプルが上記患者から得られたら、次に該サンプルを、典型的にはマイクロマニピュレータ及び外科用メスを用いて分離し、その毛包を単離するが、針等のその他の器具を使用することも可能である。特定の態様において、図1Aに示されているような該単離された毛包は、単離された真皮鞘(図1B参照)を得るために、毛根の球状部分の上部(即ち、真皮乳頭及び真皮鞘カップ細胞上部)であるが、皮脂腺管の基部下方にて、更に開裂することができる。図1Bに描写された構造は、図1C及び1Dに示されているように、少なくとも2つの別々の構成要素に分離することができる。図1Cは、毛髪繊維及び結合した内毛根鞘、及び主としてケラチノサイトを含む外毛根鞘を描写しており、また図1DはNBDS細胞を含む真皮鞘(同様に、場合によっては結合組織鞘とも呼ばれる)である。
上記真皮鞘(図1D)は、特定の態様においては、例えば一方の側に沿って縦に切断することにより、あるいは酵素消化(例えば、コラーゲナーゼ、ディスパーゼ及びロイペプチン等のコラーゲン分解酵素を用いた)等の技術を用いることにより、更に分離することができる。
【0016】
NBDS細胞を含有する上記真皮鞘、又は該分離されたNBDS細胞は、次に細胞増殖を促進する培地(血清を含み又は含まない)内で培養することができる(例えば、図3を参照のこと)。適当な培地は、例えば繊維芽細胞増殖因子(FGF)、牛胎児/牛血清及び抗生物質を補充したDMEM/Hams F12を含む。あるいはまた、細胞は、血清を含まない方法で複製することができ、この方法においては、血清を含まない培地と栄養補助剤との様々な組合せが利用される。血清を含まない培地の例は、血清補給物及び/又はヒト由来の血小板抽出物を含有する、X-ビボ(X-VivoTM)及びテラピーク(TheraPEAKTM) FGM-CDTMを含む。3~5日後に、典型的には新鮮な増殖培地を該培地に添加する。その後、該培地を2~4日毎に交換することができる。該培養物が約80~90%のコンフルエンスに至った際に、該細胞を、例えばトリプシン処理によって該培養フラスコから剥離させ、より大きな組織培養フラスコに播種する。この工程は、凡そ5×106~1×108個の細胞が得られるまで、多数回の継代(例えば、2、4、又は6回)に渡り繰返される。
本発明の特定の態様において、上記細胞は、低い酸素張力(oxygen tension)(例えば、米国特許公開No. US 2013/0177537に記載されているように;これを全体として言及により組入れる)の条件の下で培養することができる。
一旦上記所望の数の細胞が得られたら、該細胞を数回洗浄し、トリプシン処理に掛け、細胞輸送培地(CTM)内に再懸濁するが、該培地は乳酸リンゲル液、10~20%のヒト血清アルブミン(HAS)及び2~5%のジメチルスルホキシド(DMSO)で構成されている。細胞を計数し、かつ最終濃度2×107細胞/mLを与えるように調節し、液体窒素中で保存する。
全ての細胞培養物上澄は、棄却されることはないであろう。その理由は、これらがその親細胞により作られた個々の成長因子、マトリックス分子、幹細胞因子を含んでいるからである。細胞培養物上澄は、特定の用途にとって適したものとすべく、凍結され、凍結乾燥されあるいは任意の他の保存法であろう。
【0017】
NBDS細胞を含む組成物の製造
上述のように、NBDS細胞は、他の成分、例えば血清又は血漿、血小板に富む血漿(PRP)、フィブリン、及び/又はヒアルロン酸等と共に、組成物内に含めることができる。他の市販品として入手できる製品も適当な組成物を製造するのに利用することができ、その例は、ティッシール(TISSEEL)及びコシール(COSEAL)(バクスター(Baxter)から入手できる)、ティッスコル(TISSUCOL)、ベリプラスト(BERIPLAST)、キクシル(QUIXIL)、タコシル(TACHOSIL)、及びエビセル(EVICEL)を含む。その他のポリマーベースの組成物も使用することができ、例えばポリエチレングリコール、ポリ乳酸、及びポリカプロラクトンを含む。他の態様において、該細胞は、製造され又は収穫された細胞外マトリックス(例えば、US20100047305又はUS20100124573を参照のこと)の何れかの中に配置し得る。他の態様において、該細胞は、非-生分解性、又は生分解性足場、又はその他の構造体内に配置することができる。特に好ましい足場又は構造体は、生分解性足場(例えば、コラーゲンベースの足場、例えばメッシュ等)を含む。適当な足場の代表的な例は、例えば米国特許第5,736,372号、同第5,759,830号、同第8,039,258号、及び同第8,105,380号を含む。これら特許全てを、全体として言及することにより組入れる。
その他の好ましい態様において、上記組成物は、自由に流動しかつ注射可能な、1又は2又はそれ以上の部品(例えば、成分を混合するダブルバレル式(double barrelled)注射器、又は2-又は多-チャンネルカートリッジにより)によって与えられる。このような注射器の代表的な例は、米国特許第5,750,657号及び同第8,039,021号に記載されているものを含む。これら両特許は、全体として、言及により組入れられる。
【0018】
その他の成分も、これら組成物に含めることができ、例えば細胞外マトリックスの成分(例えば、グリコサミノグリカン(GAGs)、ヘパリンサルフェート(heparin sulfate)、コンドロイチン硫酸、ケラチン硫酸、ヒアルロン酸、エラスチン、コラーゲン、フィブロネクチン及びラミニン)、サイトカイン及びケモカイン(例えば、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)及びそのイソ型、インシュリン-様成長因子(IGF)及びそのイソ型、顆粒球-マクロファージコロニー-刺激因子(GM-CSF)、副甲状腺ホルモン-関連タンパク質、肝細胞増殖因子/散乱因子(HGF/SF)、マクロファージ刺激タンパク質(MSP)、上皮成長因子(EGF)、インターロイキン6(IL-6)、幹細胞因子(SCF)間質細胞由来因子1(SDF-1)、血小板由来成長因子(PDGF)及び繊維芽細胞増殖因子(FGF)及び/又は様々な治療薬(例えば、鎮痛薬、抗炎症薬、抗生物質、抗真菌薬、抗ウイルス薬及び免疫調節薬)を含む。
NBDS細胞を使用する皮膚治療方法
皮膚老化又は皮膚損傷を治療し又は予防する方法も提供され、該方法は、上述のようなNBDS細胞を含有する組成物を患者に投与する工程を含む。典型的に、細胞は注射により投与されるが、様々な態様においては、外科的方法が使用される限りにおいて、該細胞は、開いた創傷内、その近傍又はその下方に直接与えることができる。
線維芽細胞は、皮膚真皮における主な細胞型である。これらは高度に生物学的に活性であり、また細胞の多層、3-次元ネットワークに対しては、コラーゲンと混じり合い、かつインテグリン等の表面レセプタを介して結合している。MMP´s(マトリックスメタロプロテイナーゼ)等の酵素による、コラーゲン繊維の絶え間ない再生及び分解があり、該酵素は、該皮膚の体積及び堅さを調節している。老化、UV-暴露又は喫煙に伴って、コラーゲンは劣化し、また老化した線維芽細胞によっては交換され得ない。該線維芽細胞は、かなり不活性でより丸みを帯びた外観となり、かつコラーゲンをあまり生産しない。このことは、結果としてより低い引張強さを持つ薄い皮膚をもたらす。最後には、これは、鼻唇溝、額、頬及びその他の場所において見られるように、小さな皺線ばかりかより大きな皺を持つ老化した皮膚をもたらす。
【0019】
従って、上述の如く、本開示は、患者の皮膚を治療するための組成物及び方法を提供するものであり、該方法は、本明細書において記載した如きNBDS細胞を含む組成物を、患者の皮膚に投与する工程を含む。一態様において、該患者は、ヒト、ウマ、イヌ及びネコからなる群から選択される哺乳動物である。様々な態様において、該治療は、皮膚損傷によるものである。特定の態様において、該皮膚損傷は、外的外傷(例えば、外科的処置又は創傷、火傷、放射線、又は事故)、又は急性又は慢性的創傷又は瘢痕に起因するものであり得る。他の態様において、該皮膚損傷は、四肢における一時的な又は誘発された挫傷傾向である。更に別の態様において、該皮膚損傷は、瘢痕を引起すアクネ及び/又はその他の炎症性反応、脆弱な皮膚を伴う固有の疾患、例えば表皮水疱症ジストロフィー又は真正糖尿病、動脈硬化症又は静脈瘤症のために被った慢性的創傷を伴う他の固有のあるいは後天性の水疱症、急性又は慢性のウイルス、真菌又はバクテリア感染、慢性の自己免疫性炎症性疾患、例えば強皮症及びバリアント、ボレリア感染症、エリテマトーデス及びバリアント、扁平苔癬、喫煙及びUV-光の負の効果(外因性老化)及び一般的な老化(内因性老化)によるものである。更なる他の態様において、該皮膚は、ヒト身体全体、あるいは該身体の選択された部分(例えば、手、顔、及び首上にある。他の態様において、該皮膚は、日光(UV-光)又は喫煙により老化/損傷を受ける可能性がある。関連する態様において、該老化した皮膚は、微細な又は粗い皺、減じられた皮膚の厚み、減じられた弾力性及び堅さからなる群から選択される状態を被っている。他の態様において、該皮膚は、化粧の目的で(例えば、セルライトの外観を軽減するために)処置される。更に他の態様において、皮膚に対して現状では見ることのできる損傷又は外傷はないが、それにも拘らず該皮膚を、正常な老化の発生を抑制し又は遅延させるために、あるいは正常な皮膚の外観(及び肌理)を改善するために処置することができる。
【0020】
本発明の様々な態様において、NBDS細胞は、PCT公開No. WO 2013/113121に記載されているようなデバイスによって投与することができる。該PCT公開を、全体として言及により組入れる。
例えばヒト、ウマ、イヌ及びネコ等の哺乳動物を含む多数の種を、ここに与られたNBDS細胞及び組成物により治療することができる。
NBDS細胞又はその細胞培養物上澄を用いた化粧/審美的処置
上記の如く、皮膚老化の様々な兆候を、NBDS細胞の皮内(i.c.)、真皮内又は皮下(s.c.)注射により、容易に治療及び/又は予防することができる。他の態様において、患者の皮膚は、NBDS細胞培養上澄を含む組成物で治療することができる。本発明の様々な態様において、患者(例えば、ヒト患者)の皮膚全体を治療し得るが、より一層特定の態様においては、化粧及び審美的処置を、該患者に提供することができる。このような処置の代表例は、頬、鼻、耳、額、鼻唇線、瞼、目の周り(カラスの足)、口唇の周り、顎、こめかみ、首、デコルテ、胸部、胴体、手及び腕、脚及び足における微細な又は粗い皺を含むが、これらに限定されない。UV-損傷される傾向を持つ可能性のある皮膚の本質的に全ての部分が、このような治療から利益を受け得る。更に、体積損失を被るこれら身体部分は、NBDS細胞の注射により治療することができ、その理由は、この注射が細胞及び結果としてコラーゲンの添加により、あるいはNBDS細胞培養上澄を含有する組成物の使用により、体積を増すであろうからである。従って、耳、耳朶、鼻、口唇、頬、首、デコルテ、胸部、乳首、生殖器の組織増大は、もう一つの態様である。
【0021】
様々な態様において、上記NBDS細胞は注射によって送達でき、該注射は、局部的又は全身的な鎮痛又は鎮静と共に、あるいはこれらなしに行うことができる。これは、単針又は多針デバイスを用いて行うことができる。更に、これは、ボーラスとして1回の注射により、あるいはクリス-クロス(criss-cross)、フェザーリング(feathering)又はその他等の様々な技術を用いた、多数回の多層注射(multilayered injections)の何れかにより実施し得る。該送達される体積/細胞数は、効能及び治療すべき領域に大きく依存する。典型的な用量は、0.01mL程度の低い値から数mLまでの量で開始することができる。本発明の特定の局面において、該注射される細胞数は、10~数十億個の細胞、より好ましくは100、1,000、10,000、100,000、1,000,000及び/又は10,000,000~1×109又はこれを超える数の細胞に及ぶ範囲であり得る。該注射される細胞数は、とりわけ、治療すべき領域の大きさ、利用可能な細胞の全数及び注入される体積、並びに効能の所望の程度に依存するであろう。
更に、急性又は慢性的創傷内、その周り、又はその下部へのNDBS細胞の注入は、創傷の治癒にとって役立つであろう。創傷は、ここにおいて規定された疾患に起因する可能性がある。
本発明の更に別の局面において、NDBS細胞培養上澄は、適当な化粧品の状態で与えられる。具体的には、細胞培養上澄は、それのみで皮膚に適用し、あるいは濃縮されかつ化粧品として使用するのに適した他の成分と混合し得る。適当な賦形剤は、例えば米国特許第8,343,466号、同第8,343,520号、及び同第8,349,338号に、及びMichael Ashによる「化粧品の処方集(A Formulary of Cosmetic Preparations)」, 1977において記載されており、これら文献全てを、全体として言及することにより組入れる。
【0022】
このようなNBDS細胞培養上澄を含む組成物は、正常な皮膚並びに様々な皮膚損傷両者を処置するのに使用できる。上においてより詳細に論じたように、皮膚損傷は、外的外傷(例えば、外科的処置又は創傷、火傷、放射線、又は事故)、又は急性又は慢性的創傷又は瘢痕の結果として生じる可能性がある。他の態様において、該皮膚損傷は、四肢における一時的な又は誘発された挫傷傾向である。更に別の態様において、該皮膚損傷は、瘢痕を引起すアクネ及び/又はその他の炎症性反応、脆弱な皮膚を伴う固有の疾患、例えば表皮水疱症ジストロフィー又は真正糖尿病、動脈硬化症又は静脈瘤症のために被った慢性的創傷を伴う他の固有のあるいは後天性の水疱症、急性又は慢性のウイルス、真菌又はバクテリア感染、慢性の自己免疫性炎症性疾患、例えば強皮症及びバリアント、ボレリア感染症、エリテマトーデス及びバリアント、扁平苔癬、喫煙及びUV-光の負の効果(外因性老化)及び一般的な老化(内因性老化)によるものである。更なる他の態様において、該皮膚は、ヒト身体全体、あるいは該身体の選択された部分(例えば、手、顔、及び首上にある。他の態様において、該皮膚は、日光(UV-光)又は喫煙により老化/損傷を受ける可能性がある。関連する態様において、該老化した皮膚は、微細な又は粗い皺、減じられた皮膚の厚み、減じられた弾力性及び堅さからなる群から選択される状態を被っている。他の態様において、該皮膚は、化粧の目的で(例えば、セルライトの外観を軽減するために)処置される。更に他の態様において、皮膚に対して現状では見ることのできる損傷又は外傷はないが、それにも拘らず該皮膚を、正常な老化の発生を抑制し又は遅延させるために、あるいは正常な皮膚の外観(及び肌理)を改善するために処置することができる。
【実施例0023】
以下の実施例は、本発明を例示するものであり、本発明の範囲を限定するものと理解すべきではない。
実施例1:組織のサンプリング
頭皮の後頭部領域からの皮膚生検材料を、以下のようにして患者から得る。簡単に言えば、一旦該頭皮の適当な領域を選択し、これをバリカンで剃り、確実に幾らかの刈り株を残す。次いで、該生検領域を、十分に消毒し、かつ麻酔する。一旦麻酔が効果を発揮したら、深さ1~10mmのパンチ又は摘出生検材料を、穏やかに該生検部位から取出し、縫合糸で切開部を閉じ、該縫合糸は、8~16日後に除去し得る。該皮膚の生検材料を、次に無菌条件の下で、輸送培地を含むプレラベル生検材料チューブ内に包装する。
実施例2:NBDS細胞の単離及び培養
上記生検材料が輸送されてきた培地について無菌テストを行って、上記サンプルが確実に雑菌混入のないものとし、あるいはまた該サンプルが汚染されている場合には、抗生物質を含む培地が、確実にその後において使用されるようにする。次いで、該生検材料を数回洗浄して、該生検材料輸送用培地及びあらゆるデブリを除去して、後に処理するための組織を調製する。毛包を、滅菌した外科用メスで該皮膚上皮を切取り、かつ無菌鉗子を用いて周辺の真皮組織から全毛包単位を「引き離し」又は切離すことにより、Hams F10内で処理する。該毛包を、該皮膚表面にできる限り近接して鉗子で挟み、かつ該毛包単位内で毛髪上に引張上げることにより、該毛包を露呈させる。成長期(可視の外毛根鞘によって示される、毛髪成長サイクル及び毛球のDSCの成長段階)における毛包が、更なる処理のために選択される。
【0024】
NBDSの単離は、先ず微細な無菌の小型外科用メス又は針を用いて、上記毛包の残りから小胞状の真皮鞘カップ細胞及び乳頭を分離することにより、Hams F10内で行われ、処分される。NBDS細胞を含む該真皮鞘カップを取出し、また該組織を培養するために調製する。
6~10個の真皮鞘組織を穏やかに3%ヒアルロン酸ゲル中に配置し、細胞増殖促進培地、例えばFGF、10%FCS及び抗生物質を補充したDMEM/Hams F12等で覆う。3~5日後に、新鮮な増殖培地を、該培養組織に添加する。その後、該培地を2~4日毎に交換する。該培養組織が約80~90%コンフルエンスに達した際に、該細胞を、トリプシン処理によって該培養フラスコから剥離させ、より大きな組織培養フラスコに播種する。この工程は、約1×108個の細胞が得られるまで、4回の継代に渡り繰返される。
一旦約1×108個の細胞が得られたら、該細胞をPBSで洗浄し、トリプシン処理しかつ細胞輸送培地(Cell Transportation Medium)(CTM:10%のヒト血清アルブミン及び5%のジメチルスルホキシドを含む乳酸リンゲル液)中に再懸濁させる。該細胞は、遠心分離により沈降させ、一緒にプールされる。その上澄を吸引し、かつ該細胞ペレットをCTM中に再懸濁させる。2つの細胞サンプル/アリコートを品質管理及び細胞計数のために、該細胞-CTM混合物から取出す。該細胞を計測した後に、該細胞を遠心分離によりもう一度沈降させ、及び得られるペレットをCTM中に再度懸濁させて、2×107細胞/mLという最終濃度を得る。該最終的細胞生成物は、輸送まで液体窒素中で-130℃以下にて保存される。
【0025】
実施例3:NBDS細胞の調製及び皮膚への投与
先ず、約1時間に渡る、局所鎮痛薬(例えば、EMLA-クリーム)の適用により、顔面上の皮膚を注射のために整える。その後、該皮膚を洗浄し、かつ消毒する。次に、所望の治療域の全表面を覆うように、上記の如く製造したNMDS細胞を反復的様式で該皮膚に注射する。該皮膚を、必要に応じて氷で冷やすことができる。
実施例4:化粧品における細胞培養上澄の使用
補助、フォローアップ(follow-up)として又はスタンドアロン(stand alone)治療として、細胞培養上澄を、皮膚構造、肌理、外観、潤い、厚み及び堅さに対して有益な効果を示すように使用することができる。
簡単に言えば、実施例2に記載の如き、上記成長中のNBDS細胞から採取された細胞培養上澄は、単独で使用でき、濃縮し、又は典型的な化粧品用賦形剤中に溶解し、かつ老化した又は損傷を受けた皮膚に適用できる。
【0026】
本開示は、以下のような特定の態様を提供し、これら態様は、本発明に制限を及ぼすものではないが、ここに開示された態様の模範的な例である。
1) NBDS細胞を単離する方法であって、以下の諸工程を含む:
(a) 生きている毛髪を準備し;
(b) 工程(a)において準備した毛髪を開裂して、毛包球を取り出し;
(c) 非球形真皮鞘組織を単離し;及び
(d) 該単離した非球形真皮鞘組織を培養して、NBDS細胞を製造する。
2) 前記生きている毛髪が、患者の頭皮上の毛髪から生検により得られる、態様1記載の方法。
3) 単離されたNBDS細胞が、自家的又は同種的の何れかで使用し得る、態様1又は2の何れか1つに記載の方法。
4) 前記毛髪をマイクロマニピュレータ及び外科用メス、又はハサミを用いて開裂する、態様1~3の何れか1つに記載の方法。
5) 更に、前記単離された非球形真皮鞘組織の酵素消化を行う工程をも含む、態様1~4の何れか1つに記載の方法。
6) 前記酵素消化を、コラーゲナーゼヒアルロニダーゼ、DNアーゼ、エラスターゼ、パパイン、プロテアーゼタイプXIV、トリプシン、及びディスパーゼを用いて実施する、態様5に記載の方法。
7) 前記NBDS細胞が、多数回の継代に渡り継代培養される、態様1~6の何れか1つに記載の方法。
8) 態様1~7の何れか1つの方法に従って製造された、単離された非球形真皮鞘細胞を含む組成物。
【0027】
9) 単離された非球形真皮鞘細胞を含む組成物。
10) 更に、血清血漿又は血小板に富む血漿(PRP)をも含む、態様8又は9記載の組成物。
11) 更に、フィブリン及び/又はヒアルロン酸をも含む、態様8~10の何れか1つに記載の組成物。
12) 更に、前記細胞外マトリックスの成分、サイトカイン、ケモカイン及び治療薬をも含む、態様8~11の何れか1つに記載の組成物。
13) 前記細胞外マトリックスの成分がグリコサミノグリカン(GAGs)、ヘパリンサルフェート、コンドロイチン硫酸、ケラチン硫酸、ヒアルロン酸、エラスチン、コラーゲン、フィブロネクチン及びラミニンからなる群から選択される、態様12に記載の組成物。
14) 更に、足場をも含む、態様8~13の何れか1つに記載の組成物。
15) 前記足場が、生分解性の足場である、態様14に記載の組成物。
16) 前記サイトカインがトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)及びそのイソ型、インシュリン-様成長因子(IGF)及びそのイソ型、顆粒球-マクロファージコロニー-刺激因子(GM-CSF)、副甲状腺ホルモン-関連タンパク質、肝細胞増殖因子/散乱因子(HGF/SF)、マクロファージ刺激タンパク質(MSP)、上皮成長因子(EGF)、インターロイキン6(IL-6)、間質細胞-由来因子1(SDF-1)、血小板-由来成長因子(PDGF)及び繊維芽細胞増殖因子(FGF)からなる群から選択される、態様12に記載の組成物。
17) 前記治療薬が、鎮痛薬、抗炎症薬、抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬、及び免疫調節薬からなる群から選択される、態様12に記載の組成物。
18) 患者の皮膚に、態様8~17の何れか1つに記載の組成物を投与する工程を含む、皮膚の治療方法。
【0028】
19) 前記患者が、ヒト、ウマ、イヌ及びネコからなる群から選択される哺乳動物である、態様18に記載の方法。
20) 前記治療が、皮膚損傷によるものである、態様18又は19記載の方法。
21) 前記皮膚損傷が、急性又は慢性の創傷又は瘢痕である、態様20に記載の方法。
22) 前記皮膚損傷が、外科手術、火傷、放射線、又は事故により被った外傷性創傷である、態様18に記載の方法。
23) 前記皮膚損傷が、四肢における一時的な又は誘発された挫傷傾向である、態様18に記載の方法。
24) 前記皮膚が、老化した皮膚である、態様18に記載の方法。
25) 前記老化した皮膚が微細な又は粗い皺、減じられた皮膚の厚み、減じられた弾力性及び堅さからなる群から選択される一つの状態を被っている、態様24に記載の方法。
26) 前記皮膚が、顔、首及び手からなる群から選択される、ヒト患者の皮膚の下方位置である、態様18に記載の方法。
27) NBDS細胞上澄を含む組成物。
28) 態様1~7の何れか1つに記載の方法に従って培養された、NBDS細胞によって作られた、NBDS細胞上澄を含む組成物。
29) 前記組成物が希釈され、又は濃縮されている、態様27又は28に記載の組成物。
30) 更に、賦形剤をも含む、態様27~29の何れか1つに記載の組成物。
31) 前記賦形剤がポリマーである、態様30に記載の組成物。
32) 軟膏、クリーム又はゲルに形成された、態様30に記載の組成物。
33) 態様27~32の何れか1つに記載の組成物の、皮膚治療のための使用。
34) 患者の皮膚に、態様27~32の何れか1つに記載の組成物を投与する工程を含む、皮膚の治療方法。
【0029】
上記の様々な態様は、更なる態様を与えるべく組合せることができる。本件明細書において言及されている及び/又は出願データシートに掲載された全ての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、及び特許以外の刊行物を、全体として、言及することによりここに組入れる。該態様の観点は、必要ならば、該様々な特許、出願及び刊行物の概念を利用するように変更して、更に別の態様を提供することができる。
これらの及びその他の変更は、上記詳細な説明に照らして、上記態様に対して行うことができる。一般に、添付した特許請求の範囲において、使用されている用語は、該特許請求の範囲を、本件明細書及び特許請求の範囲において開示されている特定の態様に限定するものと解釈されるべきではなく、このような特許請求の範囲が権利を持つ等価物の全範囲と共に、あらゆる可能な態様を含むものと解釈すべきである。従って、特許請求の範囲は、上記開示により限定されない。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-11-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非球形真皮鞘(NBDS)細胞を調製する方法であって、以下の工程、
(a) 生きている毛髪を、毛根の球状部分の上部(即ち、真皮乳頭及び真皮鞘カップ細胞の上部、即ち、終末球(end bulbs)の上部)でかつ皮脂腺管の基部下方で開裂して、毛包球を除去する工程、
(b) 非球形真皮鞘(NBDS)組織を単離する工程、
(c) 該単離された非球形真皮鞘(NBDS)組織を培養して、非球形真皮鞘(NBDS)細胞を生成する工程、及び
(d) 前記非球形真皮鞘(NBDS)細胞を少なくとも4回継代する工程、
を含み、
前記単離された非球形真皮鞘(NBDS)細胞が、少なくとも95%の純度であり、該細胞集団内に少なくとも1種の混入細胞型を有し、そして、
前記非球形真皮鞘(NBDS)細胞が、紫外線ナイーブ組織から単離されることを特徴とする方法。
【外国語明細書】