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特開2022-89737印刷回路基板及びこれに用いられる絶縁フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089737
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】印刷回路基板及びこれに用いられる絶縁フィルム
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/03 20060101AFI20220609BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
H05K1/03 610R
H05K1/03 630B
H05K3/46 T
H05K3/46 N
H05K3/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049836
(22)【出願日】2021-03-24
(31)【優先権主張番号】10-2020-0168785
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シン、ドン ジョー
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA12
5E316AA38
5E316AA43
5E316CC02
5E316CC04
5E316CC08
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC31
5E316CC32
5E316CC33
5E316CC34
5E316CC37
5E316CC38
5E316CC39
5E316DD02
5E316DD03
5E316DD25
5E316DD32
5E316DD33
5E316EE33
5E316FF05
5E316FF07
5E316FF08
5E316FF09
5E316FF10
5E316FF15
5E316GG17
5E316HH16
5E316HH40
(57)【要約】
【課題】低熱膨張係数及び高誘電率を有することができる絶縁層及びこれを含む印刷回路基板を提供する。
【解決手段】
本発明は、絶縁樹脂、及び上記絶縁樹脂内に分散する第1フィラーを含む絶縁層と、上記絶縁層上に配置される配線層と、を含み、上記第1フィラーは、コア、及び上記コアの表面にコーティングされたシェルを含み、上記シェルの誘電率(Dielectric Constant)が上記コアの誘電率よりも高い印刷回路基板に関する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁樹脂、及び前記絶縁樹脂内に分散する第1フィラーを含む絶縁層と、
前記絶縁層上に配置される配線層と、を含み、
前記第1フィラーは、コア、及び前記コアの表面にコーティングされたシェルを含み、
前記シェルの誘電率(Dielectric Constant)が前記コアの誘電率よりも高い、印刷回路基板。
【請求項2】
前記シェルの熱膨張係数(Coefficient of ThermalExpansion)は前記コアの熱膨張係数よりも大きい、請求項1に記載の印刷回路基板。
【請求項3】
前記コアは、シリカ(SiO)及びアルミナ(Al)のうち少なくとも一つ以上を含む第1無機酸化物を含む、請求項2に記載の印刷回路基板。
【請求項4】
前記シェルは、BaTiO、BaSrTiO、PbZrTiO、PdLaTiO、PdLaTiO、PdLaZrTiO、PdMgNbO、及びCaCuTiOのうち少なくとも一つ又はこれらの混合物からなる群より選択される第2無機酸化物を含む、請求項3に記載の印刷回路基板。
【請求項5】
前記絶縁樹脂は複数層で構成され、
前記絶縁層は、複数層の前記絶縁樹脂の間に配置される絶縁シートをさらに含む、請求項4に記載の印刷回路基板。
【請求項6】
前記絶縁シートは、シリカ系無機酸化物及びチタン酸バリウム系無機酸化物を含む第2フィラーを含む、請求項5に記載の印刷回路基板。
【請求項7】
前記絶縁シート内部の単位体積当たりの前記第2フィラーの密度は、前記絶縁樹脂内部の単位体積当たりの前記第1フィラーの密度よりも高い、請求項6に記載の印刷回路基板。
【請求項8】
前記絶縁層及び前記配線層は複数層で構成されて交互に配置され、
複数層の前記絶縁層の少なくとも一つを貫通し、且つ複数層の前記配線層を電気的に連結するビア層をさらに含む、請求項7に記載の印刷回路基板。
【請求項9】
複数層の絶縁層と、
前記複数層の絶縁層上に、又はその間に配置される複数層の配線層と、
前記複数層の絶縁層のうち少なくとも一つを貫通し、且つ前記複数層の配線層を電気的に連結するビア層と、を含み、
前記複数層の絶縁層のうち少なくとも一つの層は、絶縁シート、及び前記絶縁シートの両面に配置される絶縁樹脂を含み、
前記絶縁樹脂及び絶縁シートはそれぞれ、第1及び第2フィラーを含み、
前記絶縁シート内部の単位体積当たりの前記第2フィラーの密度は、複数層の前記絶縁樹脂のそれぞれの内部の単位体積当たりの前記第1フィラーの密度よりも高い、印刷回路基板。
【請求項10】
前記第1及び第2フィラーはそれぞれ、コアと、前記コアの表面にコーティングされたシェルと、を含む、請求項9に記載の印刷回路基板。
【請求項11】
前記シェルの誘電率が前記コアの誘電率よりも高い、請求項10に記載の印刷回路基板。
【請求項12】
前記シェルの熱膨張係数は前記コアの熱膨張係数よりも大きい、請求項11に記載の印刷回路基板。
【請求項13】
前記コアの誘電率が前記シェルの誘電率よりも高く、
前記コアの熱膨張係数は前記シェルの熱膨張係数よりも大きい、請求項10に記載の印刷回路基板。
【請求項14】
前記複数層の絶縁層の絶縁シートはそれぞれ、複数層で構成され、
前記複数層の絶縁樹脂及び複数層の絶縁シートは交互に配置される、請求項13に記載の印刷回路基板。
【請求項15】
前記コアは、シリカ(SiO)及びアルミナ(Al)のうち少なくとも一つ以上を含む第1無機酸化物を含み、
前記シェルは、BaTiO、BaSrTiO、PbZrTiO、PdLaTiO、PdLaTiO、PdLaZrTiO、PdMgNbO、及びCaCuTiOのうち少なくとも一つ又はこれらの混合物からなる群から選択される第2無機酸化物を含む、請求項12に記載の印刷回路基板。
【請求項16】
絶縁樹脂と、
前記絶縁樹脂内に分散し、コア、及び前記コアの表面にコーティングされたシェルを含むフィラーと、を含み、
前記シェルの誘電率が前記コアの誘電率よりも高く、
前記シェルの熱膨張係数は前記コアの熱膨張係数よりも大きい、絶縁フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷回路基板及びこれに用いられる絶縁フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル電子製品の小型化、多機能化に合わせて先端部品の機能も向上しつつある。PCB(Printed Circuit Board)の場合も同様に、高仕様に対応するための薄膜化及び高集積化の段階及び微細回路についての開発が進行中であり、特に5Gアンテナ基板の場合には、高速通信に適した基板材料の低収縮率や高誘電率などの特性が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明のいくつかの目的のうちの一つは、低熱膨張係数を有することができる絶縁層及びこれを含む印刷回路基板を提供することである。
【0004】
本発明のいくつかの目的のうちの他の一つは、高誘電率を有する絶縁層及びこれを含む印刷回路基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一例による印刷回路基板は、絶縁樹脂、及び上記絶縁樹脂内に分散する第1フィラーを含む絶縁層と、上記絶縁層上に配置される配線層と、を含み、上記第1フィラーは、コア、及び上記コアの表面にコーティングされたシェルを含み、上記シェルの誘電率(Dielectric Constant)が上記コアの誘電率よりも高くてもよい。
【0006】
又は、一例による印刷回路基板は、複数層の絶縁層と、上記複数層の絶縁層上に、又はその間に配置される複数層の配線層と、上記複数層の絶縁層のうち少なくとも一つを貫通し、且つ上記複数層の配線層を電気的に連結するビア層と、を含み、上記複数層の絶縁層のうち少なくとも一つの層は、絶縁シート、及び上記絶縁シートの両面に配置される絶縁樹脂を含み、上記絶縁樹脂及び絶縁シートはそれぞれ、第1及び第2フィラーを含み、上記絶縁シート内部の単位体積当たりの上記第2フィラーの密度は、上記複数層の絶縁樹脂のそれぞれの内部の単位体積当たりの上記第1フィラーの密度よりも高くてもよい。
【0007】
又は、一例による絶縁フィルムは、絶縁樹脂と、上記絶縁樹脂内に分散し、且つコア、及び上記コアの表面にコーティングされたシェルを含むフィラーと、を含み、上記シェルの誘電率が上記コアの誘電率よりも高く、上記シェルの熱膨張係数は上記コアの熱膨張係数よりも大きくてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のいくつかの効果のうちの一つとして、低熱膨張係数を有することができる絶縁層及びこれを含む印刷回路基板を提供することができる点が挙げられる。
【0009】
本発明のいくつかの効果のうちの他の一つとして、高誘電率を有する絶縁層及びこれを含む印刷回路基板を提供することができる点が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】電子機器システムの例を概略的に示すブロック図である。
図2】電子機器の一例を概略的に示す斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態による印刷回路基板を概略的に示す断面図である。
図4】本発明の第2実施形態による印刷回路基板を概略的に示す断面図である。
図5】本発明の第3実施形態による印刷回路基板を概略的に示す断面図である。
図6】本発明の第4実施形態による印刷回路基板を概略的に示す断面図である。
図7】本発明の第1実施形態による印刷回路基板の絶縁層の製造に用いられることができる絶縁フィルムを概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して、本発明について詳細に説明する。図面における要素の形状及びサイズなどは、より明確な説明のために誇張又は縮小されることができる。
【0012】
図1は電子機器システムの例を概略的に示すブロック図である。
図1を参照すると、電子機器1000は、メインボード1010を収容する。メインボード1010には、チップ関連部品1020、ネットワーク関連部品1030、及びその他の部品1040が物理的及び/又は電気的に連結されている。これらは、後述する他の電子部品とも結合されて、様々な信号ライン1090を形成する。
【0013】
チップ関連部品1020としては、揮発性メモリ(例えば、DRAM)、不揮発性メモリ(例えば、ROM)、フラッシュメモリなどのメモリチップ;セントラルプロセッサ(例えば、CPU)、グラフィックプロセッサ(例えば、GPU)、デジタル信号プロセッサ、暗号化プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラーなどのアプリケーションプロセッサチップ;アナログ-デジタルコンバータ、ASIC(application-specific IC)などのロジックチップなどが含まれるが、これらに限定されるものではなく、これら以外にも、その他の形態のチップ関連部品が含まれ得る。また、これらチップ関連部品が互いに組み合わされてもよい。チップ関連部品1020は、上述のチップを含むパッケージの形であってもよい。
【0014】
ネットワーク関連部品1030としては、Wi-Fi(登録商標)(IEEE 802.11ファミリなど)、WiMAX(IEEE 802.16ファミリなど)、IEEE 802.20、LTE(long term evolution)、Ev-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM(登録商標)、GPS、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth(登録商標))、3G、4G、5G、及びそれ以降のものとして指定された任意の他の無線及び有線プロトコルが含まれるが、これらに限定されるものではなく、これら以外にも、その他の多数の無線又は有線標準やプロトコルのうち任意のものが含まれ得る。また、ネットワーク関連部品1030が、チップ関連部品1020とともに互いに組み合わされてパッケージの形で提供されることもできる。
【0015】
その他の部品1040としては、高周波インダクタ、フェライトインダクタ、パワーインダクタ、フェライトビーズ、LTCC(Low Temperature Co-Firing Ceramics)、EMI(Electro Magnetic Interference)フィルター、MLCC(Multi-Layer Ceramic Condenser)などが含まれるが、これらに限定されるものではなく、これら以外にも、その他の様々な用途のために用いられるチップ部品形態の受動部品などが含まれ得る。また、その他の部品1040が、チップ関連部品1020及び/又はネットワーク関連部品1030とともに互いに組み合わされてパッケージの形で提供されることもできる。
【0016】
電子機器1000の種類に応じて、電子機器1000は、メインボード1010に物理的及び/又は電気的に連結されているか、又は連結されていない他の電子部品を含むことができる。他の電子部品としては、例えば、カメラ1050、アンテナ1060、ディスプレイ1070、電池1080などが挙げられる。但し、これらに限定されるものではなく、オーディオコーデック、ビデオコーデック、電力増幅器、羅針盤、加速度計、ジャイロスコープ、スピーカー、大容量記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ)、CD(compact disk)、及びDVD(digital versatile disk)などであってもよい。また、これら以外にも、電子機器1000の種類に応じて様々な用途のために用いられるその他の部品などが含まれ得ることは言うまでもない。
【0017】
電子機器1000は、スマートフォン(smart phone)、携帯情報端末(personal digital assistant)、デジタルビデオカメラ(digital video camera)、デジタルスチルカメラ(digital still camera)、ネットワークシステム(network system)、コンピューター(computer)、モニター(monitor)、タブレット(tablet)、ラップトップ(laptop)、ネットブック(netbook)、テレビジョン(television)、ビデオゲーム(video game)、スマートウォッチ(smart watch)、オートモーティブ(Automotive)などであることができる。但し、これらに限定されるものではなく、これら以外にも、データを処理する任意の他の電子機器であってもよいことは言うまでもない。
【0018】
図2は電子機器の一例を概略的に示す斜視図である。
図2を参照すると、電子機器は、例えば、スマートフォン1100であってもよい。スマートフォン1100の内部には、メインボード1110が収容されており、かかるメインボード1110には、様々な電子部品1120が物理的及び/又は電気的に連結されている。また、カメラモジュール1130及び/又はスピーカー1140などが内部に収容されている。電子部品1120のうち一部は、上述したチップ関連部品であることができ、例えば、電子部品内蔵基板1121であってもよいが、これに限定されるものではない。電子部品内蔵基板1121は、多層印刷回路基板内に電子部品が内蔵された形であってもよいが、これに限定されるものではない。一方、電子機器は、必ずしもスマートフォン1100に限定されるものではなく、上述のように、他の電子機器であってもよいことは言うまでもない。
【0019】
図3は本発明の第1実施形態による印刷回路基板を概略的に示す断面図である。
第1実施形態による印刷回路基板100Aは、絶縁樹脂110、及び上記絶縁樹脂110内に分散した第1フィラー120を含む絶縁層101と、ビルドアップ絶縁層102と、上記絶縁層101、102上に配置される配線層201と、を含む。このとき、第1フィラー120は、コア121と、コア121の表面にコーティングされたシェル122と、を含む。上述した印刷回路基板100Aがアンテナ基板である場合には、アンテナパターン301を含むこともできる。
【0020】
以下、第1実施形態による印刷回路基板100Aのそれぞれの構成についてより詳細に説明する。
【0021】
絶縁樹脂110としては、電気絶縁性を有する材料であれば、制限されずに用いられることができる。例えば、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂やポリイミドのような熱可塑性樹脂を用いることができる。また、これら樹脂に、本発明の第1フィラー120のように、シリカなどの無機フィラーやガラス繊維などの補強材が含まれるものを用いることもできる。例えば、プリプレグ(prepreg)が用いられることができ、感光性材料(Photo Imageable Dielectric、PID)が用いられることができる。感光性材料(PID)を用いる場合、機械的加工などを用いる場合よりも、絶縁層110に微細パターンを形成することが容易であるため、高密度回路基板の製作に有利である。また、ABF(Ajinomoto Build-up Film)が用いられることもできる。この場合、ABFは、RCC(Resin Coated Copper)の形で提供されることができるが、これに限定されるものではない。
【0022】
配線層201の材料としては、金属材料を用いることができ、金属材料としては、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、又はこれらの合金などを用いることができる。配線層201は、設計デザインに応じて、様々な機能を行うことができる。例えば、グランドパターン、パワーパターン、信号パターンなどを含むことができる。これらパターンはそれぞれ、ライン(line)、平面(plane)、又はパッド(pad)の形を有することができる。配線層201はそれぞれ、AP(Additive Process)、SAP(Semi AP)、MSAP(Modified SAP)、TT(Tenting)などのめっき工程で形成されることができ、結果として、それぞれ無電解めっき層であるシード層と、かかるシード層を基礎に形成される電解めっき層と、を含むことができる。
【0023】
一方、本発明による第1~第4実施形態による印刷回路基板100A、100B、100C、100Dの場合、絶縁層101は、複数層で構成され、絶縁層101上に複数のビルドアップ絶縁層102がビルドアップされた構造を有することができる。
【0024】
以下、絶縁層101を基準にした説明は、本発明の図3に示された絶縁層101及びビルドアップ絶縁層102にともに適用されることができる。
【0025】
一方、絶縁層101及びビルドアップ絶縁層102は、便宜上、絶縁本体100と称することができる。絶縁本体100は、絶縁層101及びビルドアップ絶縁層102を含む概念として用いることができ、ビルドアップ絶縁層102が含まれない場合、絶縁本体100は、絶縁層101のみを指すことができる。
【0026】
絶縁本体100のうち少なくとも一つの層は、上述した第1フィラー120が分散した絶縁樹脂110を含むことができる。
【0027】
絶縁樹脂110を含まない絶縁本体100内の他の絶縁層の材料としては、絶縁材料を用いることができる。絶縁材料としては、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂やポリイミドのような熱可塑性樹脂を用いることができる。また、これら樹脂にガラス繊維などの補強材が含まれるものを用いることもできる。例えば、絶縁樹脂110を含まない絶縁本体100内の他の絶縁層の材料としては、プリプレグが用いられることができるが、これに限定されるものではない。また、ガラス繊維などの補強材が含まれない材料として、例えば、ABFなどが用いられることができる。必要に応じて、PID(Photo Imageable Dielectric)のような感光性絶縁材料が用いられることもできる。
【0028】
ビルドアップ絶縁層102のうち最外層に配置されるビルドアップ絶縁層102は、半田レジスト層として機能することができ、配線層201の少なくとも一部を外部に露出させる開口部を有することができる。
【0029】
ビア401は、絶縁本体100の少なくとも一部を貫通し、配線層201間を電気的に連結することができる。ビア401の材料としては、金属材料を用いることができる。金属材料としては、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、又はこれらの合金などを用いることができる。ビア401は、設計デザインに応じて、信号用ビア、グランド用ビア、パワー用ビアなどを含むことができる。ビア401はそれぞれ、ビアホールが金属材料で完全に充填されたものであってもよく、又は金属材料がビアホールの壁面に沿って形成されたものであってもよい。ビア401も、めっき工程、例えば、AP、SAP、MSAP、TTなどの工程で形成されることができ、無電解めっき層であるシード層と、かかるシード層を基礎に形成される電解めっき層と、を含むことができる。ビアはそれぞれ、下面の幅が上面の幅よりも大きいテーパー状、又は上面の幅が下面の幅よりも大きいテーパー状を有することができる。
【0030】
第1実施形態による印刷回路基板100Aにおいて、絶縁樹脂110内に分散した第1フィラー120は、粉末(Powder)の形で絶縁樹脂110内に分散して配置されることができ、コア-シェル(core-shell)構造を有することができる。第1フィラー120を絶縁樹脂110内に含ませることにより、絶縁本体100の物性を補強することができる。
【0031】
上記第1フィラー120は、コア121及びシェル122を含むコア-シェル構造を有することができ、コア121として用いられる材料の例としては、代表的にシリカ(SiO)やアルミナ(Al)などが挙げられる。したがって、第1実施形態による印刷回路基板100A内の第1フィラー120のコア121は、シリカ(SiO)及びアルミナ(Al)のうち少なくとも一つ以上を含む第1無機酸化物を含むことができる。
【0032】
本発明の全般にわたって、「酸化物」という用語は、1つ以上の酸素原子及び他の元素を含有し、炭素を含有しない化合物を示す。
【0033】
上述した第1無機酸化物のうちシリカ(SiO)は、熱膨張係数(Coefficient of Thermal Expansion、CTE)が約0.5ppm/Kと相当低いレベル値を有するため、熱膨張係数の低減に大きく寄与することができる。コア121として上記のような低熱膨張係数を有する材料が用いられるため、本発明による印刷回路基板100Aの絶縁層101が低熱膨張係数を有するようになり、反り(Warpage)制御及び他の構成との熱膨張に関連する不良防止において有利となり得る。
【0034】
上述のように、コア121の材料として低い熱膨張係数(CTE)を有する材料が含まれることができることから、コア121の熱膨張係数は、シェル122の熱膨張係数よりも比較的低くてもよい。
【0035】
一方、第1フィラー120のシェル122として用いられる材料は、誘電率(Dielectric constant、Dk)が高い材料であってもよい。シェル122は、1種以上の強誘電性材料を含むことができる。例えば、BaTiO、BaSrTiO、PbZrTiO、PdLaTiO、PdLaTiO、PdLaZrTiO、PdMgNbO、及びCaCuTiOのうち少なくとも一つ又はこれらの混合物を含む第2無機酸化物が用いられることができる。
【0036】
一例として、チタン酸バリウム(BaTiO)が第1フィラー120のシェル122として用いられる場合、チタン酸バリウムの高誘電率により、第1実施形態による印刷回路基板100Aの絶縁層101は、高誘電率を有することができる。このように、シェル122の場合、コア121に比べて誘電率(Dk)が比較的高い材料を含むことができる。
【0037】
結果として、第1実施形態による印刷回路基板100Aの絶縁本体100の少なくとも一部は、シェル122の誘電率がコア121の誘電率よりも高い特徴の第1フィラー120が絶縁樹脂110内に分散した構造を有することができる。
【0038】
このように、低熱膨張係数のコア121及び高い誘電率のシェル122を含む第1フィラー120が絶縁樹脂110内に分散することにより、第1実施形態による印刷回路基板100Aは、高誘電率(High Dk)の特性を有することができる。
【0039】
したがって、絶縁本体100と配線層201の間、又は絶縁本体100とアンテナパターン301の間の熱膨張係数の差により、基板の反り(Warpage)現象が発生することを抑制するとともに、高い誘電率(DK)を有することができることから、高周波信号の伝送時における信号の損失を防止することができる。
【0040】
また、第1実施形態による印刷回路基板100Aが、アンテナ基板のように高周波信号の伝送時に使用できる基板に用いられる場合には、アンテナパターン301の面積を減らすことができるため、基板の小型化及び信号の損失を減らすことができるという面において優れた特性を有することができる。
【0041】
第1実施形態による印刷回路基板100Aの絶縁本体100の少なくとも一部は、上述したコア-シェル構造の第1フィラー120の絶縁樹脂110内に分散した含有量を調整することで、熱膨張係数(CTE)及び誘電率(Dk)を必要性及び設計に合わせて調整することができる。
【0042】
したがって、より多くの量の第1フィラー120が含まれるほど、低熱膨張係数及び高誘電率を有する絶縁本体100が製造されることができ、必要に応じて、その含有量を調整することで、絶縁本体100及び印刷回路基板100Aの物性を調整することもできる。
【0043】
第1実施形態による印刷回路基板100Aの絶縁本体100において、コア121の表面上に形成されるシェル122のコーティングは、任意の数の溶液組成物から形成された酸化物材料をコア121上に沈殿させることによって形成されることができるため湿式処理とも称される。また、コア121の表面コーティングは、蒸気相沈着を介して形成されることもできる。
【0044】
上述した湿式処理又はコーティングは、導電性金属箔(Foil)上に、噴霧コーティング法、スピンコーティング法、浸漬コーティング法、グラビアコーティング法、ドクターブレード(Doctor Blade)法、ドローダウンロッド(Draw down Rod)法、ワイヤー巻きロッド(Wire Wound Rod)法、キャスティングナイフ(Casting Knife)法、エアナイフ(Air knife)法、ロール法、ブラシ法、スクイズロール(Squeeze Roll)法、キスロール(kiss roll)法、カレンダリング法、粉末コーティング法、静電気コーティング法、蒸気沈着法、及びスパッタリング(Sputtering)法のうち少なくとも一つ以上の方法を介して行われることができる。
【0045】
溶媒からのキャスティング又はコーティング過程において、凝集又は蒸発工程を用いることで溶媒を除去することができる。ポリアミック酸又はエポキシのような一部の重合体は、最終化合物を達成するか、又は好ましいレベルの物理的特性に達するようにするために、硬化工程がさらに必要になり得る。硬化工程は、コーティング/キャスティング工程と順に行われるか、又は独立した段階で行われることができる。後者の場合、いわゆる、グリーン(Green)又はB-ステージフィルム/コーティングが先に製造される。
【0046】
最終構造における絶縁樹脂110は、伸張、取込、幅出し(tentering)のような一般の方法を介して単軸又は二軸配向されるようにすることができるが、これに制限されない。
【0047】
以上、第1実施形態による印刷回路基板100Aにおいて、第1フィラー120が絶縁樹脂110内に分散した構造を有する絶縁本体100を基準に説明した。但し、これは、絶縁本体100内のすべての絶縁層101及びビルドアップ絶縁層102に必ず適用されるものではない。例えば、絶縁本体100の少なくとも一部にのみ上述したコア-シェル(Core-Shell)構造を有する第1フィラー120が適用されることもできる。
【0048】
この場合、残りのコア-シェル(Core-Shell)構造の第1フィラー120が適用されない絶縁本体100は一般の絶縁材料を含むことができる。絶縁材料としては、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂、又はポリイミドのような熱可塑性樹脂を用いることができる。また、これら樹脂にシリカなどの無機フィラーやガラス繊維などの補強材が含まれるものを用いることもできる。例えば、プリプレグ(prepreg)が用いられることができるが、これに限定されるものではない。例えば、ABF(Ajinomoto Build-up Film)が用いられることもできる。ABFは、RCC(Resin Coated Copper)の形で提供されることができるが、これに限定されるものではない。必要に応じて、PID(Photo Imageable Dielectric)などの感光性材料が用いられることができる。
【0049】
図4は本発明の第2実施形態による印刷回路基板を概略的に示す断面図である。
第2実施形態による印刷回路基板100Bは、絶縁本体100の少なくとも一部の構造において差がある。具体的には、第2実施形態による印刷回路基板100Bの絶縁本体100の少なくとも一部は、上述した第1実施形態による印刷回路基板100Aに用いられる絶縁樹脂110が複数層の第1及び第2絶縁樹脂111、112を含むように配置され、第1及び第2絶縁樹脂111、112の間に絶縁シート130がさらに配置された構成を開示する。
【0050】
したがって、絶縁本体100の少なくとも一部の内部に含まれる絶縁樹脂110、及び絶縁樹脂110内に分散した第1フィラー120についての説明は、上述した第1実施形態による印刷回路基板100Aについての説明が同一に適用されることができる。以下、第1実施形態による印刷回路基板100Aと比較して異なる点を中心に説明する。
【0051】
第2実施形態による印刷回路基板100Bの絶縁本体100の少なくとも一部は、第1及び第2絶縁樹脂111、112の間に配置される絶縁シート130をさらに含むことができる。このとき、図4の拡大図に示すように、絶縁シート130が印刷回路基板100Bのそれぞれの絶縁層101又はビルドアップ絶縁層102内においてコア(Core)として機能することができ、絶縁層101又はビルドアップ絶縁層102内において複数層の絶縁シート130と複数層の絶縁樹脂110とが交互に配置される構造を有することもできる。また、図4には、2層構造の第1及び第2絶縁樹脂111、112ならびに単層構造の絶縁シート130を含む印刷回路基板100Bの構成が示されているが、これよりも多くの数の絶縁樹脂又は絶縁シートがさらに含まれてもよい。これについては、後述する第4実施形態についての説明でより詳細に説明する。
【0052】
第1及び第2絶縁樹脂111、112はそれぞれ、内部に分散した第1フィラー120を含むことができる。第1フィラー120は、コア121と、コア121の表面にコーティングされたシェル122と、を含み、コア121は、低い熱膨張係数(CTE)を有する材料、例えば、シリカ(SiO)を含むことができ、シェル122は、高い誘電率(DK)を有する材料、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)を含むことができる。
【0053】
このように、低熱膨張係数のコア121及び高誘電率のシェル122を含む第1フィラー120が絶縁樹脂110内に分散することにより、第2実施形態による印刷回路基板100Bは、高誘電率(High Dk)の特性を有することができる。
【0054】
したがって、絶縁本体100と配線層201の間、又は絶縁本体100とアンテナパターン301の間の熱膨張係数の差により、基板の反り(Warpage)現象が発生することを抑制するとともに、高い誘電率(DK)を有することにより、高周波信号の伝送時における信号の損失を防止することができる。
【0055】
絶縁シート130は、セラミック粉末(Powder)、バインダー、及び溶剤を混合してスラリー(Slurry)を製造した後、上記スラリーをドクターブレード法を介して数マイクロメートルの厚さを有するシート(Sheet)状に製作することができる。
【0056】
上記絶縁シート130に含まれるセラミック粉末(Powder)は、第2フィラー140と称することができる。上記第2フィラー140は、絶縁樹脂110に分散した第1フィラー120と同様の成分及び形態を有することができる。すなわち、第2フィラー140も、コア-シェル(Core-Shell)構造を有することができる。したがって、第2フィラー140も、コア141と、コア141の表面にコーティングされたシェル142と、を有することができる。
【0057】
絶縁シート130内の第2フィラー140は、シリカ系無機酸化物及びチタン酸バリウム系無機酸化物を含むことができる。本発明の全般にわたって、シリカ系無機酸化物とは、シリカ(SiO)を含む無機酸化物を意味し、チタン酸バリウム系無機酸化物とは、チタン酸バリウム(BaTiO)を含む無機酸化物を意味する。具体的には、第2フィラー140のコア141は、シリカ系無機酸化物を含むことができ、シェル142は、チタン酸バリウム系無機酸化物を含むことができる。
【0058】
また、第2フィラー140の材料は、上述したシリカ系無機酸化物に限定されるものではない。具体的には、第2フィラー140のコア141は、第1フィラー120のコア121の材料として用いられるシリカ(SiO)及びアルミナ(Al)のうち少なくとも一つ以上を含む第1無機酸化物を含むことができる。
【0059】
また、第2フィラー140のシェル141の材料は、上記チタン酸バリウム系無機酸化物に限定されず、第1フィラー120のシェル122として用いられる材料である、1種以上の強誘電性材料として誘電率(Dk)が高い他の材料をさらに含むことができる。例えば、BaTiO、BaSrTiO、PbZrTiO、PdLaTiO、PdLaTiO、PdLaZrTiO、PdMgNbO、及びCaCuTiOのうち少なくとも一つ又はこれらの混合物からなる群より選択される第2無機酸化物を含むことができる。
【0060】
このように、絶縁シート130の第2フィラー140は、上述した第1フィラー120と同一の成分を含むことができる。このとき、絶縁シート130は、上述した第1及び第2無機酸化物を含む第2フィラー140を用いてスラリー(Slurry)を製作し、これをフィルム(Film)状に製作するため、第1フィラー120を含む絶縁樹脂110に比べて比較的高密度のチタン酸バリウム(BaTiO)系酸化物及びシリカ(SiO-)を含むことができる。
【0061】
本発明の全般にわたって、密度とは、単純に物理学的用語の密度(体積/質量)の意味よりは、単位体積内において該当構成が占める体積を意味することができる。換言すると、該当構成が属する他の構成との体積比に該当することができる。
【0062】
或いは、密度とは、該当構成がその構成が属する他の構成と比較したときの充填率を意味することもできる。
【0063】
したがって、上記絶縁シート130の内部の単位体積当たりの第2フィラー140が上記絶縁シート130を充電する割合とは、上記絶縁樹脂110の内部の同一の単位体積当たりの第1フィラー120が上記絶縁樹脂110を充填する割合よりも大きい値を有することを意味することができる。
【0064】
或いは、上記絶縁シート130の内部の一定の体積又は体積内において第2フィラー140が占める体積比又は体積分率とは、同一のサイズ又は体積の上記絶縁樹脂110内において、第1フィラー120が占める体積比又は体積分率よりも大きい値を有することを意味することができる。上記密度についての説明は、後述する密度についての説明に適用されることができる。
【0065】
このように、低熱膨張係数のコア141及び高誘電率のシェル142を含む第2フィラー140が絶縁シート130内に分散することにより、第2実施形態による印刷回路基板100Bはより高誘電率(High Dk)の特性を有することができる。
【0066】
したがって、絶縁本体100と配線層201の間、又は絶縁本体100とアンテナパターン301の間の熱膨張係数の差により、基板の反り(Warpage)現象が発生することを抑制するとともに、高い誘電率(DK)を有することにより、高周波信号の伝送時における信号の損失を防止することができる。
【0067】
また、上述のように、上記絶縁シート130の内部の単位体積当たりの第2フィラー140の密度は、上記絶縁樹脂110の内部の同一の単位体積当たりの第1フィラー120の密度よりも高くてもよい。
【0068】
したがって、第2実施形態による印刷回路基板100Bの絶縁本体100は、比較的高密度の無機フィラーを含む絶縁シート130が絶縁樹脂110の間に配置される構造を有することができる。
【0069】
スラリーは、セラミック粉末(セラミック原料)及び電気的特性を左右する添加剤及び焼結助剤を、有機溶剤、粘結剤、分散剤、及びバインダー樹脂と均一に混合して製造されることができる。上記セラミック原料としては、チタン酸バリウム系酸化物(BaTiO)を主成分として用いており、添加剤及び焼結助剤としては、シリカ(SiO-)、ガラス、金属酸化物が用いられることができる。
【0070】
上記バインダーとしては、ポリアミノ酸(Poly Amino Acid)セルロール(cellulose)、ポリビニルブチラール(PVB、polyvinyl butyral)、ポリメチルメタクリレート(PMMA、polymethyl methacrylate)、ポリアクリル酸エステル(polyacryl esters)、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されたいずれか一つを含むものが用いられることができる。
【0071】
上記分散剤は、魚油(fish oil)、ポリエチレングリコール(PEG)、アルコールポリオキシエチレンエーテル(AE)、モノグリセリド(Monoglyceride)、ソルビタンエステル(Sorbitanester)、非イオン系界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される非イオン系分散剤であってもよい。
【0072】
このように、セラミック粉末をスラリー化して絶縁シート130を製作することにより、絶縁シート130は、同一の体積内に、上述した絶縁樹脂110よりも高密度のチタン酸バリウム系酸化物(BaTiO)及びシリカ(SiO-)を含む第2フィラー140を含むことができる。
【0073】
これにより、印刷回路基板100Bが低熱膨張係数(Low CTE)及び高誘電率(High Dk)の特性を有するようにすることを目的とする場合、上記のように絶縁シート130を含むように構成することで、印刷回路基板100Bの該当特性を高めることができる。
【0074】
一方、第2実施形態による印刷回路基板100Bの場合、絶縁本体100は、同一の熱膨張係数(CTE)及び誘電率(Dk)の特性を維持しながらも、第1及び第2絶縁樹脂111、112の間に絶縁シート130を配置することにより、絶縁樹脂110内の第1フィラー120の量を減少させることができる。
【0075】
印刷回路基板100Bの内部の絶縁層101、102に含まれる第1フィラー120の含有量が大きいほど、より低い熱膨張係数(CTE)及び高い誘電率(DK)の特性の実現が可能であるが、第1フィラー120の含有量が特定の値以上に増加すると、絶縁層101、102の表面に露出した第1フィラー120の量が増加し、表面に配置される他の回路パターン又は配線層との密着力が減少するという現象が発生する可能性がある。
【0076】
これに関連して、第2実施形態による印刷回路基板100Bの絶縁本体100のうち少なくとも一部に高密度のセラミック原料を含む絶縁シート130を含ませることにより、絶縁樹脂110の表面に比較的少量の第1フィラー120が露出することができる。
【0077】
結果として、絶縁本体100のうち上述した絶縁シート130を含む層は、より低い熱膨張係数(CTE)及び高い誘電率(Dk)を維持しながらも、印刷回路基板100Bの表面に露出する第1フィラー120の量を減らすことにより、絶縁本体100内の絶縁層101又はビルドアップ絶縁層102の表面に配置される回路パターン又は金属材料との密着力を確保することができる。
【0078】
また、第1フィラー120の含有量が多すぎる場合には、脆性(Brittleness)が高くなって壊れやすくなる可能性がある。しかし、第2実施形態による印刷回路基板100Bの場合には、絶縁本体100のうち絶縁樹脂110の間に高密度の第2フィラー140を含む絶縁シート130を配置させることにより、絶縁樹脂110内に比較的少量の第1フィラー120が含まれても、同一の誘電率(Dk)及び熱膨張係数(CTE)を維持することができる。これにより、絶縁本体100の脆性による印刷回路基板100Bの損傷の問題を防止することができる。
【0079】
一方、絶縁シート130に高密度の第2フィラー140を含ませることにより、絶縁樹脂110内に含まれる第1フィラー120の量を減らして密着力を確保するとともに、高周波信号の伝送時における信号の損失を減らすことができる。さらに、高速送信時においても、低い収縮率及び高誘電率を維持することができ、アンテナ基板のアンテナパターンが配置されるアンテナ領域に用いられる際にはアンテナパターンの小型化が可能である。
【0080】
図5は本発明の第3実施形態による印刷回路基板を概略的に示す断面図である。
第3実施形態による印刷回路基板100Cは、上述した第2実施形態による印刷回路基板100Bと比較して説明すると、絶縁樹脂110の内部の第1フィラー120の構造が異なる構成を開示する。
【0081】
したがって、絶縁樹脂110及び絶縁シート130の配置についての説明は、上述した第2実施形態による印刷回路基板100Bについての説明が同一に適用されることができる。以下、第2実施形態による印刷回路基板100Bと比較して異なる点を中心に説明する。
【0082】
図5を参照すると、第3実施形態による印刷回路基板100Cは、上述した第1及び第2実施形態による印刷回路基板100A、100Bと同様に、絶縁樹脂110内に第1フィラー120が含まれて、粉末状に分散した構造を有することができる。このとき、第3実施形態による印刷回路基板100C内に含まれる第1フィラー120は、第1及び第2実施形態の場合と同様に、コア121と、コア121の表面にコーティングされたシェル122と、を含むコア-シェル構造の構成を有することができるが、その具体的な構成において、第1及び第2実施形態による印刷回路基板100A、100Bとは異なる。
【0083】
図5の第3実施形態による印刷回路基板100Cの場合、第1フィラー120は、第1及び第2実施形態による印刷回路基板100A、100Bに比べて、コア121とシェル122の材料が反転された構造を有する。
【0084】
具体的には、第3実施形態による印刷回路基板100Cの絶縁本体100のうち少なくとも一部に含まれる第1フィラー120の場合、第1フィラー120内に含まれるコア121は、高い誘電率(Dk)を有する材料で構成されることができる。例えば、コア121は、BaTiO、BaSrTiO、PbZrTiO、PdLaTiO、PdLaTiO、PdLaZrTiO、PdMgNbO、及びCaCuTiOのうち少なくとも一つ又はこれらの混合物からなる群より選択される第2無機酸化物を含むことことができる。
【0085】
一方、第3実施形態による印刷回路基板100Cの絶縁本体100のうち少なくとも一部の第1フィラー120に含まれ、上記コア121の表面にコーティングされたシェル122は、低い熱膨張係数(CTE)を有する材料を含むことができる。例えば、シェル122は、シリカ(SiO)及びアルミナ(Al)のうち少なくとも一つ以上を含む第1無機酸化物を含むことができる。
【0086】
上述のように、第3実施形態による印刷回路基板100Cの絶縁層101、102も、低い熱膨張係数(CTE)を有する材料及び高い誘電率(Dk)を有する材料を含む第1フィラー120が絶縁樹脂110内に分散した構造を有することにより、第3実施形態による印刷回路基板100Cは、低熱膨張係数(Low CTE)及び高誘電率(High Dk)の特性を有することができる。
【0087】
したがって、絶縁本体100と配線層201の間、又は絶縁本体100とアンテナパターン301の間の熱膨張係数の差により、基板の反り(Warpage)現象が発生することを抑制するとともに、高い誘電率(DK)を有することにより、高周波信号の伝送時における信号の損失を防止することができる。
【0088】
また、高誘電率(High-Dk)特性を有することから、高周波信号の伝送時における信号伝送に有利な特性を有することができる。また、アンテナ基板に用いられる場合には、アンテナパターンの小型化に有利となり得る。
【0089】
上記のように、第3実施形態による印刷回路基板100Cは、第1及び第2実施形態による印刷回路基板100A、100Bに比べて絶縁樹脂110内の第1フィラー120のコア-シェル構造が反転された形を有することができる。
【0090】
したがって、同一の絶縁層101、102の同一体積の絶縁樹脂110内に同一の含有量の第1フィラー120が含まれる場合には、第1及び第2実施形態による印刷回路基板100A、100Bに比べて比較的高い誘電率(Dk)の特性を有することができる。
【0091】
これは、シェル122としてコア121の表面に薄くコーティングされた高誘電率材料である第1及び第2実施形態100A、100Bにおけるチタン酸バリウム系無機酸化物が、第3実施形態100Cでは第1フィラー120のコア121として機能することができるためである。
【0092】
また、第3実施形態による印刷回路基板100Cは、第2実施形態による印刷回路基板100Bの構造と同様に、複数層で構成された絶縁樹脂110の間に絶縁シート130が配置される。絶縁シート130についての説明は、上述した第2実施形態100Bで記述された内容が同一に適用されることができ、結果として、第3実施形態による印刷回路基板100Cは、高密度の第2フィラー140を含む絶縁層を有することができる。上記第2フィラー140は、高誘電率及び低熱膨張係数を有する材料を含むことができ、絶縁シート130の内部に高密度に分布している。
【0093】
絶縁シート130の第2フィラー140には、上述した第1フィラー120と同一の成分が含まれることができる。このとき、絶縁シート130は、上述した第1及び第2無機酸化物を含む第2フィラー140を用いてスラリー(Slurry)を製作し、これをフィルム(Film)に製作する。これにより、第1フィラー120を含む絶縁樹脂110に比べて比較的高密度のチタン酸バリウム(BaTiO)系酸化物及びシリカ(SiO-)を含むことができる。
【0094】
したがって、上記絶縁シート130の内部の単位体積当たりの第2フィラー140の密度は、上記絶縁樹脂110の内部の同一の単位体積当たりの第1フィラー120の密度よりも高くてもよい。結果として、第3実施形態による印刷回路基板100Cの絶縁本体100も、比較的高密度の無機フィラーを含む絶縁シート130が絶縁樹脂110の間に配置される構造を有することができる。
【0095】
上述した第3実施形態100Cの構造により、絶縁樹脂110内における第1フィラー120の含有量を減らしても、絶縁シート130によって高誘電率及び低熱膨張係数の特性を維持することができる。
【0096】
また、第1フィラー120の含有量を減らすことにより、印刷回路基板100Cの表面に露出する第1フィラー120の量を減らすことができる。結果として、外部の他の回路パターン又は配線層と印刷回路基板100Cとの密着力を確保することができる。
【0097】
図6は本発明の第4実施形態による印刷回路基板を概略的に示す断面図である。
第4実施形態による印刷回路基板100Dは、図4の第2実施形態による印刷回路基板100Bの絶縁本体100と比較して説明すると、絶縁シート130の構造が異なる。
【0098】
したがって、絶縁本体100内の絶縁樹脂110及び第1フィラー120のそれぞれの構造又は物性についての説明は、上述した第2実施形態による印刷回路基板100Bについての説明が同様に適用されることができる。以下、第2実施形態による印刷回路基板100Bと比較して異なる点を中心に説明する。
【0099】
図6を参照すると、第4実施形態による印刷回路基板100Dの場合、第2実施形態100Bと比較して説明すると、絶縁本体100のうち少なくとも一部は、内部に絶縁シート130が複数層で構成され、第1及び第2絶縁シート131、132を含むことができ、絶縁樹脂110も、複数層の第1~第3絶縁樹脂111、112、113を含むことができる。
【0100】
したがって、図4及び図5のそれぞれの絶縁層101又はビルドアップ絶縁層102の内部において、絶縁シート130が第1及び第2絶縁樹脂111、112の間に配置され、コア(Core)層として機能することができることと比較して説明すると、第4実施形態100Dは、絶縁層101又はビルドアップ絶縁層102の内部に絶縁樹脂111、112、113と絶縁シート131、132とが交互に積層された構造を有することができる。
【0101】
第1及び第2絶縁シート131、132については、上述した第2及び第3実施形態100B、100Cの絶縁シート130と同一の説明が適用されることができる。したがって、第1及び第2絶縁シート131、132はそれぞれ、低い熱膨張係数(CTE)を有する材料、例えば、シリカ(SiO)及び高い誘電率(DK)を有する材料、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)がスラリーの形で混合された後、フィルム状を有するように製作されることができる。
【0102】
第4実施形態による印刷回路基板100Dが絶縁本体100のうち少なくとも一つの層において第1~第3絶縁樹脂111、112、113の間に第1及び第2絶縁シート131、132が配置されるようにすることにより、印刷回路基板100D内により高密度の第2フィラー140を含ませることができる。
【0103】
したがって、より高密度の低熱膨張係数の材料及び高誘電率材料を含むことができるようになり、それに応じて、第1~第3絶縁樹脂111、112、113内に比較的少ない含有量の第1フィラー120が含まれたとしても、第1及び第2絶縁シート131、132内の第2フィラー140によって低熱膨張係数及び高誘電率の特性を発揮させることができる。
【0104】
また、図4の第2実施形態による印刷回路基板100Bの絶縁本体100と比較して説明すると、図6の第4実施形態による印刷回路基板100Dの場合、複数層の第1及び第2絶縁シート131、132が含まれることができるため、第2実施形態による印刷回路基板100Bと同様の誘電率及び熱膨張係数を維持しながらも、内部の第1フィラー120の含有量を減らすことができる。
【0105】
したがって、図6に示すように、複数層の第1~第3絶縁樹脂111、112、113はそれぞれ、第2実施形態による印刷回路基板100Bの絶縁樹脂111、112よりも内部の第1フィラー120の密度が低くてもよい。
【0106】
これにより、絶縁本体100の外部表面に露出する第1フィラー120の量をさらに減少させることができ、絶縁本体100の表面に配置される配線層201又はアンテナパターン301との密着力をさらに増加させるという効果を奏することができる。
【0107】
一方、図6には、絶縁本体100のうち少なくとも一つの層に3層の第1~第3絶縁樹脂111、112、113の間に2層の第1及び第2絶縁シート131、132が含まれる構造が示されているが、これよりも多くの数の絶縁樹脂110及び/又は絶縁シート130が含まれてもよく、より少ない数の絶縁樹脂110及び/又は絶縁シート130が含まれてもよい。
【0108】
このように、追加的な絶縁シート130が配置されることにより、絶縁樹脂110の内部の第1フィラー120の含有量をさらに減らすことができる。これにより、絶縁本体100と配線層201/アンテナパターン301の間の密着力をさらに確保することができる。
【0109】
図7は本発明の第1実施形態による印刷回路基板の絶縁層の製造に用いられることができる絶縁フィルムを概略的に示す断面図である。
図7の絶縁フィルム100Eは、保護層として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などで形成された保護フィルムが絶縁フィルム100Eの上部/下部に配置されて保護されることができる。後で、印刷回路基板などの構造に絶縁フィルム100Eが積層される場合には、上記保護フィルムが除去されることができる。
【0110】
絶縁フィルム100Eは、絶縁樹脂110と、上記絶縁樹脂110内に粉末の形で分散した第1フィラー120と、を含むことができる。このとき、第1フィラー120は、上述のように、低い熱膨張係数を有する材料を含むコア121と、上記コア121の表面にコーティングされ、高誘電率を有する材料を含むシェル122と、を含むことができる。
【0111】
それに応じて、絶縁フィルム100Eは、低い熱膨張係数(CTE)の値を有することにより、後で印刷回路基板内において絶縁層と配線層の間の熱膨張係数の差による基板の反りの発生を抑制することができ、高い誘電率(DK)を有することにより、高周波信号の伝送時における信号の損失を防ぐことができる。
【0112】
また、絶縁フィルム100Eがアンテナ基板に用いられる場合には、アンテナパターンを含むことができ、信号特性を維持しながらも、アンテナパターンのパッチ面積を減らすことができることから、アンテナパターンの小型化及び薄型化にさらに有利となり得る。
【0113】
その他の内容は、上述の内容と実質的に同一であるため、重複する内容を省略する。
【0114】
本発明において、「側部」や「側面」などの表現は、便宜上、図面を基準に左/右方向又はその方向における面を意味するものとして用いられ、「上側」、「上部」、「上面」などの表現は、便宜上、図面を基準に上の方向又はその方向における面を意味するものとして用いられ、「下側」、「下部」、「下面」などの表現は、便宜上、下の方向又はその方向における面を意味するものとして用いられる。加えて、「側部、上側、上部、下側、又は下部に位置する」というのは、対象の構成要素が基準となる構成要素及び該当構成要素の方向に直接接触する場合だけでなく、該当構成要素の方向に位置し、且つ直接接触しない場合も含む概念として用いられる。但し、これは、説明の便宜上、方向を定義したもので、特許請求の範囲の権利範囲がかかる方向の記載によって特に限定されるものではなく、上/下の概念などはいつでも変わり得る。
【0115】
本発明において「連結される」というのは、直接的に連結された場合だけでなく、接着剤層などを介して間接的に連結された場合を含む概念である。また、「電気的に連結される」というのは、物理的に連結された場合と、連結されていない場合をともに含む概念である。尚、「第1」や「第2」などの表現は、一つの構成要素と他の構成要素を区分するために用いられるもので、該当する構成要素の順序及び/又は重要度などを限定しない。場合によっては、本発明の範囲を外れずに、第1構成要素は第2構成要素と命名されることもでき、類似して第2構成要素は第1構成要素と命名されることもできる。
【0116】
本発明で用いられた「一例」という表現は、互いに同一の実施形態を意味せず、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されるものである。しかし、上記提示された一例は、他の一例の特徴と結合して実現されることを排除しない。例えば、特定の一例で説明された事項が他の一例で説明されていなくても、他の一例でその事項と反対であるか矛盾する説明がない限り、他の一例に関連する説明であると理解されることができる。
【0117】
尚、本発明で用いられた用語は、一例を説明するために説明されたものであるだけで、本発明を限定しようとする意図ではない。このとき、単数の表現は文脈上明確に異なる意味でない限り、複数を含む。
【符号の説明】
【0118】
100A、100B、100C、100D 印刷回路基板
110、111、112、113 絶縁樹脂
120 第1フィラー
140 第2フィラー
121、141 コア
122、142 シェル
130、131、132 絶縁シート
201 配線層
301 アンテナパターン
401 ビア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7