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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089752
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】電圧検知回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/06 20060101AFI20220609BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
H02M7/06 Z
H02M3/00 E
H02M7/06 P
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021129658
(22)【出願日】2021-08-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】17/112,000
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521227078
【氏名又は名称】アステック インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ン,ウェン ファイ
【テーマコード(参考)】
5H006
5H730
【Fターム(参考)】
5H006AA01
5H006AA02
5H006DA04
5H006DB01
5H006DC05
5H730AA03
5H730AA18
5H730AS04
5H730BB82
5H730CC01
5H730CC12
5H730FD11
5H730FF01
(57)【要約】
【課題】電圧検知回路を提供する。
【解決手段】電源モジュールは、第1および第2の入力部に結合された電圧コンバータを備える。電圧コンバータは、入力電圧を昇圧するように構成された昇圧回路を備え、第1および第2の入力部を昇圧回路に選択的に接続および切断する入力電圧セレクタ(IVS)を備える。第1の検知回路は、第1の入力部に結合され、第1の入力部に結合された一対の入力部と、整流器アセンブリと、一対の入力部と整流器アセンブリとの間に結合された抵抗器バンクと、整流器アセンブリに結合されたセンス抵抗器と、センス抵抗器に結合された電圧センサとを備える。DCコンバータは、補助電圧を生成し、それを第1の検知回路に供給するように構成される。抵抗器バンクは、DCコンバータから送信された電磁干渉(EMI)信号を、しきい値を下回る値にフィルタリングする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧モジュールであって、
第1の入力電圧を受け取るように構成された第1の入力部と、
第2の入力電圧を受け取るように構成された第2の入力部と、
電源電圧を供給するように構成された出力部と、
前記第1および第2の入力部ならびに前記出力部に結合された電圧コンバータと、を備えており、前記電圧コンバータが、
前記第1の入力電圧および前記第2の入力電圧のうちの1つを昇圧するように構成された昇圧回路と、
前記昇圧回路に結合され、前記第1および前記第2の入力部に結合されて、前記第1および第2の入力部を前記昇圧回路に選択的に接続および切断する入力電圧セレクタ(IVS)と、
前記第1の入力部に結合された第1の検知回路であって、
前記第1の入力部に結合された一対の入力部と、
整流器アセンブリと、
前記一対の入力部と前記整流器アセンブリとの間に結合された抵抗器バンクと、
前記整流器アセンブリに結合されたセンス抵抗器と、
前記センス抵抗器に結合された電圧センサと、を含む、第1の検知回路と、
を備えており、
さらに、前記IVSおよび前記第1の検知回路に結合された制御回路であって、前記第1の検知回路から受信した検知信号に基づいて前記IVSを制御して前記第1の入力部および前記第2の入力部のうちの1つを選択するように構成された制御回路と、
前記昇圧回路に結合され、補助電圧を生成し、該補助電圧を前記第1の検知回路に供給するように構成された直流(DC)コンバータと、を備えており、
前記直流(DC)コンバータから前記第1の検知回路に送信される電磁干渉(EMI)信号が、前記抵抗器バンクによってしきい値を下回る値にフィルタリングされる電源モジュール。
【請求項2】
前記抵抗器バンクが、
前記整流器アセンブリと前記一対の入力部の第1の入力部との間に結合された1つ以上の抵抗器と、
前記整流器アセンブリと前記一対の入力部の第2の入力部との間に結合された1つ以上の抵抗器とを備える、請求項1に記載の電源モジュール。
【請求項3】
前記整流器アセンブリが、全波ブリッジ整流器構成で配置された4つのダイオードを備える、請求項1に記載の電源モジュール。
【請求項4】
前記電源モジュールには、前記整流器アセンブリと前記第1の入力部との間にEMIを低減するためのトロイダル巻きの誘導コイルが存在しない、請求項1に記載の電源モジュール。
【請求項5】
前記第2の入力部に結合されている第2の検知回路をさらに備えており、第2の検知回路をさらに備えており、
前記第2の入力部に結合された一対の入力部と、
整流器アセンブリと、
前記第2の検知回路の前記一対の入力部と前記第2の検知回路の前記整流器アセンブリとの間に結合された抵抗器バンクと、
前記第2の検知回路の前記整流器アセンブリに結合されたセンス抵抗器と、
前記第2の検知回路の前記センス抵抗器に結合された電圧センサと,
を備える、請求項1に記載の電源モジュール。
【請求項6】
前記第1の検知回路が、前記電圧センサおよび前記制御回路に結合されたアイソレータをさらに備え、該アイソレータが、前記第1の検知回路を前記制御回路から電気的に絶縁するように構成された、請求項1に記載の電源モジュール。
【請求項7】
前記昇圧回路が、前記第1の入力電圧を交流(AC)電圧からDC電圧に変換するように構成された力率改善回路を備える、請求項1に記載の電源モジュール。
【請求項8】
前記DC電圧をさらに低い出力DC電圧に変換するように構成されたDC/DCコンバータをさらに備える、請求項7に記載の電源モジュール。
【請求項9】
電源ユニットであって、
複数の電圧源のそれぞれから電源電圧を受け取るように構成された電源電圧入力と、
電源電圧を供給するように構成された電源電圧出力と、
前記電源電圧入力および前記電源電圧出力に結合された1つ以上の電源モジュールと、を備える電源ユニットであって、各電源モジュールが、
前記電源電圧入力に結合された一対の電圧入力部と、
前記電源電圧出力に結合された出力部と、
電圧コンバータと、を備え、該電圧コンバータが、
前記一対の電圧入力部に結合された入力電圧セレクタ(IVS)であって、前記複数の電圧源のうちの1つからの電源電圧を送信するように構成されているIVSと、
前記IVSに結合され、前記複数の電圧源のうちの1つからの電源電圧を昇圧するように構成された昇圧回路と、
第1の検知回路であって、
前記一対の電圧入力部の第1の入力部に結合されたセンサ入力部と、
整流器アセンブリと、
前記センサ入力部と前記整流器アセンブリとの間に結合された複数の抵抗器と、
前記整流器アセンブリに結合されたセンス抵抗器と、
前記センス抵抗器に結合された電圧センサと、を有する第1の検知回路と、
を含んでおり、
さらに、前記IVSおよび前記第1の検知回路に結合された制御回路であって、前記第1の検知回路から受信した検知信号に基づいて前記IVSを制御して前記一対の電圧入力部のうちの一方を選択するように構成された制御回路と、
前記昇圧回路に結合され、第1の補助電圧を生成し、該第1の補助電圧を前記第1の検知回路に供給するように構成された直流(DC)コンバータと、を備えており、
前記直流(DC)コンバータから前記第1の検知回路に送信された電磁干渉(EMI)信号が前記複数の抵抗器によってしきい値を下回る値にフィルタリングされる、電源ユニット。
【請求項10】
前記センサ入力部が、
前記一対の電圧入力部のうちの前記第1の入力部の第1の入力接続に結合された第1のセンサ入力部と、
前記一対の電圧入力部のうちの前記第1の入力部の第2の入力接続に結合された第2のセンサ入力部と、を備え、
前記複数の抵抗器が、
前記整流器アセンブリと前記第1のセンサ入力部との間に結合された1つ以上の抵抗器と、
前記整流器アセンブリと前記第2のセンサ入力部との間に結合された1つ以上の抵抗器とを備える、請求項9に記載の電源ユニット。
【請求項11】
前記第1の入力接続が、前記一対の電圧入力部のうちの前記第1の入力部の線電圧を備え、
前記第2の入力接続が、前記一対の電圧入力部のうちの前記第1の入力部の中性線電圧を備える、請求項10に記載の電源ユニット。
【請求項12】
前記電源モジュールには、前記整流器アセンブリと前記一対の電圧入力部の前記第1の入力部との間にEMIを低減するためのトロイダル巻きの誘導コイルが存在しない、請求項9に記載の電源ユニット。
【請求項13】
前記第1の検知回路が、前記電圧センサおよび前記制御回路に結合された光アイソレータをさらに備え、該光アイソレータが、前記検知信号を前記制御回路に送信するように構成された、請求項9に記載の電源ユニット。
【請求項14】
前記昇圧回路が、前記複数の電圧源のうちの1つからの電源電圧を交流(AC)電圧からDC電圧に変換するように構成された力率改善回路を備え、
前記電圧コンバータが、前記DC電圧をさらに低い出力DC電源電圧に変換するように構成されたDC/DCコンバータをさらに備える、請求項9に記載の電源ユニット。
【請求項15】
第2の検知回路をさらに備え、該第2の検知回路が、
前記一対の電圧入力部の第2の入力部に結合されたセンサ入力部と、
整流器アセンブリと、
前記第2の検知回路の前記センサ入力部と前記第2の検知回路の前記整流器アセンブリとの間に結合された複数の抵抗器と、
前記第2の検知回路の前記整流器アセンブリに結合されたセンス抵抗器と、
前記第2の検知回路の前記センス抵抗器に結合された電圧センサと、を備える、請求項9に記載の電源ユニット。
【請求項16】
前記1つ以上の電源モジュールが、
前記複数の電圧源のうちの第1の電圧源からの電源電圧の第1相を受け取り、前記複数の電圧源のうちの第2の電圧源からの電源電圧の第1相を受け取るように構成された第1の電源モジュールと、
前記複数の電圧源のうちの前記第1の電圧源からの電源電圧の第2相を受け取り、前記複数の電圧源のうちの前記第2の電圧源からの電源電圧の第2相を受け取るように構成された第2の電源モジュールと、
前記複数の電圧源のうちの前記第1の電圧源からの電源電圧の第3相を受け取り、前記複数の電圧源のうちの前記第2の電圧源からの電源電圧の第3相を受け取るように構成された第3の電源モジュールと、を備える、請求項9に記載の電源ユニット。
【請求項17】
電源モジュールを製造する方法であって、
センサ入力部およびセンサ出力部を有する第1の検知回路を形成することであって、前記第1の検知回路を形成することが、
抵抗器バンクを前記センサ入力部に結合することと、
整流器アセンブリを前記抵抗器バンクに結合することであって、前記抵抗器バンクが、前記センサ入力部と前記整流器アセンブリとの間で直列に結合されることと、
センス抵抗器を前記整流器アセンブリに結合することと、
電圧センサを前記整流器アセンブリに結合することと、を含んでおり、
それぞれの入力電圧を受け取るように構成された少なくとも2つの入力部を有する電圧コンバータを形成し、且つ、
入力電圧セレクタ(IVS)を前記少なくとも2つの入力部に結合することと、
昇圧回路を前記IVSに結合することであって、前記昇圧回路が前記入力電圧を昇圧するように構成されることと、
直流(DC)コンバータを前記昇圧回路に結合することであって、前記直流(DC)コンバータが補助電圧を供給するように構成されることと、
前記第1の検知回路を前記少なくとも2つの入力部のうちの1つおよび前記直流(DC)コンバータに結合することと、
制御回路を前記IVSおよび前記第1の検知回路に結合することと、を含んで電圧コンバータを形成することとを含み、前記制御回路が、
前記第1の検知回路から第1の検知信号を受信し、
該第1の検知信号に基づいて、前記IVSを制御して前記それぞれの入力電圧の1つを前記昇圧回路に選択的に送信するように構成され、
前記第1の検知回路が、
前記直流(DC)コンバータから前記補助電圧を受け取り、
前記直流(DC)コンバータから送信された電磁干渉(EMI)信号を前記抵抗器バンクによりしきい値を下回る値に低減するように構成されていることを特徴とする方法。
【請求項18】
前記第1の検知回路の前記センサ入力部が、第1のセンサ入力部および第2のセンサ入力部を含み、
前記抵抗器バンクを結合することが、
1つ以上の抵抗器を前記第1のセンサ入力部に結合することと、
1つ以上の抵抗器を前記第2のセンサ入力部に結合することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
センサ入力部およびセンサ出力部を有する第2の検知回路を形成することをさらに含み、前記第2の検知回路を形成することが、
抵抗器バンクを前記第2の検知回路の前記センサ入力部に結合することと、
整流器アセンブリを前記第2の検知回路の前記抵抗器バンクに結合することであって、前記第2の検知回路の前記抵抗器バンクが前記第2の検知回路の前記センサ入力部と前記第2の検知回路の前記整流器アセンブリとの間で直列に結合されることと、
センス抵抗器を前記第2の検知回路の前記整流器アセンブリに結合することと、
電圧センサを前記第2の検知回路の前記整流器アセンブリに結合することと、を含んでおり、
且つ、
前記第2の検知回路を前記少なくとも2つの入力部のうちの他方および前記直流(DC)コンバータに結合することをさらに含み、
前記制御回路を結合することが、前記制御回路を前記第2の検知回路に結合することを含み、
前記制御回路が、さらに、
前記第2の検知回路から第2の検知信号を受信し、
前記IVSを制御して、前記第1の検知信号および前記第2の検知信号に基づいて前記それぞれの入力電圧のうちの1つを前記昇圧回路に選択的に送信するように構成されることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記電圧コンバータには、前記整流器アセンブリと前記少なくとも2つの入力部との間にEMIを低減するためのトロイダル巻きの誘導コイルが存在しない、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源の技術分野に関し、詳細には電圧検知回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電源は、通常、入力電圧を異なる出力電圧に変換する。例えば、交流(AC)入力電圧を、電子機器で使用するためにDC電圧に変換することができる。電源は、冗長動作のためにそれぞれの電圧供給源に結合された複数の入力部を使用することができる。第1の入力部の1次電源が望ましくなくなるシナリオでは、電源は第2の入力部の代替電源に切り替えて出力電力を供給し続けることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
入力電源がAC電源の場合、電磁干渉(EMI)によるノイズを最小化または除去すること考慮して、コモンモードチョーク(common-mode choke)などのEMIブロッカを使用することになる場合がある。しかし、コモンモードチョークは、プリント回路基板(PCB)上で大きなスペースを占める比較的大きなデバイスになることがあり、高い入力電力密度要件のある電源内の電圧検知回路の上流では望ましくない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
一態様によれば、電源モジュールは、第1の入力電圧を受け取るように構成された第1の入力部と、第2の入力電圧を受け取るように構成された第2の入力部と、電源電圧を供給するように構成された出力部と、第1の入力部および第2の入力部ならびに出力部に結合された電圧コンバータとを備える。電圧コンバータは、第1の入力電圧および第2の入力電圧のうちの1つを昇圧するように構成された昇圧回路と、昇圧回路に結合され、第1の入力部および第2の入力部に結合されて、第1の入力部および第2の入力部を昇圧回路に選択的に接続および切断する入力電圧セレクタ(input voltage selector,IVS)と、第1の入力部に結合された第1の検知回路と、IVSおよび第1の検知回路に結合された制御回路と、昇圧回路に結合された直流(DC)コンバータとを備える。第1の検知回路は、第1の入力部に結合された一対の入力部と、整流器アセンブリと、一対の入力部と整流器アセンブリとの間に結合された抵抗器バンク(resistor bank)と、整流器アセンブリに結合されたセンス抵抗器(sense resistor)と、センス抵抗器に結合された電圧センサとを備える。制御回路は、第1の検知回路から受信した検知信号に基づいて、IVSを制御して第1の入力部および第2の入力部のうちの1つを選択するように構成される。DCコンバータは、補助電圧(auxiliary voltage)を生成し、補助電圧を第1の検知回路に供給するように構成される。DCコンバータから第1の検知回路に送信された電磁干渉(EMI)信号は、抵抗器バンクによってしきい値を下回る値にフィルタリングされる。
【0005】
別の態様によれば、電源ユニットは、複数の電圧源の各々から電源電圧を受け取るように構成された電源電圧入力と、電源電圧を供給するように構成された電源電圧出力と、電源電圧入力および電源電圧出力に結合された1つ以上の電源モジュールとを備える。各電源モジュールは、電源電圧入力に結合された一対の電圧入力部と、電源電圧出力に結合された出力部と、電圧コンバータとを備える。電圧コンバータは、一対の電圧入力部に結合され、複数の電圧源のうちの1つから電源電圧を送信するように構成された入力電圧セレクタ(IVS)と、IVSに結合され、複数の電圧源のうちの1つからの電源電圧を昇圧するように構成された昇圧回路と、第1の検知回路と、IVSおよび第1の検知回路に結合された制御回路と、昇圧回路に結合された直流(DC)コンバータとを備える。第1の検知回路は、一対の電圧入力部のうちの第1の入力部に結合されたセンサ入力部と、整流器アセンブリと、センサ入力部と整流器アセンブリとの間に結合された複数の抵抗器と、整流器アセンブリに結合されたセンス抵抗器と、センス抵抗器に結合された電圧センサとを備える。制御回路は、第1の検知回路から受信した検知信号に基づいて、IVSを制御して一対の電圧入力部のうちの一方を選択するように構成される。DCコンバータは、第1の補助電圧を生成し、第1の補助電圧を第1の検知回路に供給するように構成される。DCコンバータから第1の検知回路に送信された電磁干渉(EMI)信号は、複数の抵抗器によってしきい値を下回る値にフィルタリングされる。
【0006】
別の態様によれば、電源モジュールを製造する方法は、センサ入力部およびセンサ出力部を有する第1の検知回路を形成することと、それぞれの入力電圧を受け取るように構成された少なくとも2つの入力部を有する電圧コンバータを形成することとを含む。第1の検知回路を形成することは、抵抗器バンクをセンサ入力部に結合することと、整流器アセンブリを抵抗器バンクに結合することと、センス抵抗器を整流器アセンブリに結合することと、電圧センサを整流器アセンブリに結合することとを含む。抵抗器バンクは、センサ入力部と整流器アセンブリとの間に直列に結合される。電圧コンバータを形成することは、入力電圧セレクタ(IVS)を少なくとも2つの入力部に結合することと、昇圧回路をIVSに結合することと、直流(DC)コンバータを昇圧回路に結合することと、第1の検知回路を少なくとも2つの入力部のうちの1つおよびDCコンバータに結合することと、制御回路をIVSおよび第1の検知回路に結合することとを含む。昇圧回路は、入力電圧を昇圧するように構成され、DCコンバータは、補助電圧を供給するように構成される。制御回路は、第1の検知回路から第1の検知信号を受信し、第1の検知信号に基づいて、IVSを制御してそれぞれの入力電圧のうちの1つを昇圧回路に選択的に送信するように構成される。第1の検知回路は、DCコンバータから補助電圧を受け取り、DCコンバータから送信された電磁干渉(EMI)信号を、抵抗器バンクによりしきい値を下回る値に低減するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面は、本開示の実施形態を実施するために現在検討されている実施例を示している。
【0008】
図面は、下記の通りである。
【0009】
図1】本開示の一実施形態による電源ユニットのブロック図である。
【0010】
図2】本開示の一実施形態による電圧コンバータのブロック図である。
【0011】
図3】本開示の一実施形態による検知回路の概略ブロック図である。
【0012】
図4】本開示の一実施形態による電圧センサの一部の概略ブロック図である。
【0013】
図5】本開示の一実施形態による、図2のDCコンバータの一部の例示的な概略ブロック図を示す。
【0014】
図6】本開示の別の実施形態による電圧コンバータの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は様々な修正形態および代替形態が可能であるが、その特定の実施形態が、例として図面に示されており、本明細書で詳細に説明される。しかし、本明細書における特定の実施形態の説明が、本開示を開示された特定の形態に限定することを意図するものではなく、逆に、本開示の趣旨および範囲内にあるすべての変更形態、均等物、および代替形態を網羅することが意図されていることを理解されたい。図面のうちのいくつかの図を通して、対応する参照番号は対応する部分を示すことに留意されたい。
【0016】
詳細な説明
本開示の例を、添付図面を参照してより詳しく説明する。以下の説明は、本来単なる例示であり、本開示、応用、または用途を限定することを意図するものではない。
【0017】
例示的な実施形態は、本開示が徹底したものであり当業者に範囲を十分に伝えるように、提供される。本開示の実施形態の完全な理解が得られるよう、特定の構成要素、装置、および方法の例など、多数の特定の詳細が説明される。特定の詳細が用いられる必要がないこと、例示的な実施形態が多くの異なる形態で具体化され得ること、およびそのいずれもが本開示の範囲を限定するように解釈されるべきではないことは、当業者には明らかであろう。いくつかの例示的な実施形態では、周知のプロセス、周知のデバイス構造、および周知の技術は詳細には説明されない。
【0018】
本明細書の開示は、当業者が本発明を実施することを可能にするために詳細かつ正確であるが、本明細書に開示される物理的な実施形態は、他の一定の構造で具体化され得る本発明を例示するにすぎない。好ましい実施形態を説明したが、特許請求の範囲によって定められた本発明から逸脱することなく、詳細を変更することができる。
【0019】
図1は、本開示の一実施形態による電源ユニット100のブロック図を示す。電源ユニット100は、入力電力を出力電力に変換するように構成された1つ以上の電源モジュール102,104,106を含む。図示するように、電源ユニット100は、3つの電源モジュール102,104,106を含むが、本開示の実施形態は、3つより多いまたは少ないモジュールを含んでもよい。
【0020】
各電源モジュールは、第1の電源112からと第2の電源114からの電力をそれぞれ受け取るための一対の電源入力部108,110を含む。一実施形態では、第1および第2の電源112,114は、電力系統、発電機などの1つ以上の交流(AC)電源から電力を供給するAC電源である。代替として、第1と第2の電源112,114の一方または両方は、電池、コンデンサバンクなどの1つ以上の直流(DC)電源から電力を供給するDC電源でもよい。一例では、第1の電源112は三相AC電源であり、各電源モジュールが電源112から異なる相を受け取るように、それからデフォルトのAC給電が別々の相で電源モジュール102,104,106に供給される。この同じ例では、第2の電源114は、もう一つの別の三相AC電源であってもよく、そこからバックアップAC給電が別々の相で電源モジュール102,104,106に供給される。
【0021】
各電源モジュールはまた、第1および第2の電源112,114の1つからの電圧を別の形に変換し、変換された電圧を出力部118に供給するように構成された電圧コンバータ116を含む。例えば、電圧コンバータ116は、それぞれの電源入力部108,110から受け取った単相AC電圧を、出力部118から電圧バス120に供給されるDC出力電圧に変換するように構成されてもよい。電圧バス120から、DC出力電圧が電源ユニット100の出力部122に供給されてもよい。
【0022】
図2は、本開示の一実施形態による電圧コンバータ200のブロック図を示す。電圧コンバータ200は、図1に示す電圧コンバータ116のいずれも表すことができる。第1および第2の電源112,114からの入力電圧は、変換される電圧/電力を選択するためのリレー(図示せず)を含む入力電圧セレクタ(IVS)202に供給される。例えば、図示のように、IVS202は、電圧コンバータ200によって変換されるべき第1の電源112からの電圧/電力を結合している。IVS202を介して送信されたEMIが、下流の電圧変換ブロックに伝搬することを遮断するために、電磁干渉(EMI)ブロッカ204をIVS202の出力に結合することができる。
【0023】
力率改善(power factor correction,PFC)回路206などの昇圧回路は、IVS202からの入力電圧を整流し昇圧するように構成される。したがって、PFC回路206は、IVS202からのAC電圧を整流し、整流された電圧を昇圧してDC高電圧208を供給することができる。PFC回路206は、純粋なDC電圧を含む任意の形状の電圧波形を受け取り、DC高電圧208を出力部することができる。DC高電圧208がPFC回路206から一時的に失われた場合に、PFC回路206の出力部に結合された大容量コンデンサ210を使用してDC高電圧208を短い保持時間の間維持することができる。
【0024】
DC/DCコンバータ212は、PFC回路206からDC高電圧208を受け取り、DC高電圧208を12Vdc、5VdcなどのDC低電圧出力214に変換するように結合される。DC/DCコンバータ212は、分離を提供し、電圧変換機能の一部を形成するトランスを含む。主制御回路216は、IVS202、PFC回路206、およびDC/DCコンバータ212に結合され、それらの動作のための制御信号を供給する。制御回路216は、各々がそれぞれの入力電源112,114に結合された一対の検知回路218,220から信号を受信するように構成される。検知回路218,220は、入力電源112,114からの入力電圧Vin1 222およびVin2 224を検知し、検知信号226,228を制御回路216に供給するように動作し、制御回路は、入力電圧222,224が動作要件およびしきい値を満たすかどうかを判定する。この判定に基づいて、制御回路216は、どの入力電源112,114を使用するかを決定し、それに応じてIVS202を制御する。例えば、入力電源112,114がともにパラメータ内で動作している場合、第1の電源112を、そのパラメータが入力電圧しきい値を満たす限り、デフォルト電源としてのその指定に基づいて常に選択することができる。しかし、第1の電源112からの電圧222が規格外になるか、あるいは動作しきい値および/または動作限界外になる場合、制御回路216は、第2の入力検知回路220からの検知信号228がその電源が動作パラメータ内にあることを示すのであれば、第2の電源114からのバックアップ入力電圧224を使用するようにIVS202を制御してもよい。第1の電源112からの電圧入力222が、また適切な動作パラメータを満たし始めた後、その電圧を、制御回路216によるIVS202の制御を通じて使用されるべき電圧として再び選択されてもよい。
【0025】
図3は、一実施形態による検知回路218,220の概略ブロック図を示す。一対の電圧入力部230,232は、第1または第2の電源112,114の入力に直接結合され、検知回路がどの電源112,114に結合されているかに応じてVin1 222またはVin2 224を受け取る。電圧入力部230は、例えば、入力電圧がACである実施形態において、線電圧を受け取ることができ、電圧入力部232は、中性線電圧を受け取ることができる。抵抗器バンク234は、電圧入力部230,232に結合され、各電圧入力部230,232に結合された1つ以上の抵抗器を有する。図示のように、例えば、抵抗器バンク234は、電圧入力部230に結合された2つの抵抗器236,238、および電圧入力部232に結合された2つの抵抗器240,242を有する。抵抗器236~242は、大きな値の抵抗器(例えば、330Kオーム)でよく、大きな電圧(例えば、400V)を処理することができるため、組み合わせて、悪影響なしに高い差動モード電圧サージ(例えば、1600V)に耐えることができる。より高い差動モード電圧サージ要件(例えば、2000V)用に、例えば、追加の抵抗器を直列に結合してもよい。
【0026】
入力電圧222,224は、抵抗器バンク234から、入力電圧222,224を整流する(例えば、ACからDCへ)整流器244に進み、整流された電圧をセンス抵抗器246に供給し、センス抵抗器は、電圧センサ248に供給される検知電圧Vsenseを生成する。一例では、整流器244は、全波ブリッジ整流器の構成で配置された4つのダイオード250を含む。図4を参照すると、図3の電圧センサ248の一部の概略ブロック図が示されている。電圧センサ248は、検知電圧Vsenseのための第1の入力部254を有し、基準電圧Vrefのための第2の入力部256を有する比較器252を含む。検知電圧と基準電圧とを比較することでスイッチ回路258を制御して入力電圧222,224の状態を示すように、基準電圧Vrefは設計されていている。入力電圧222,224が入力電圧しきい値のパラメータを満たしていることを示すために、スイッチ回路258を、例えば、オンに切り替えるか、または導通状態に切り替えてもよい。スイッチ回路258をオフに切り替えるかまたは非導通状態に切り替えると、許容入力電圧222,224に対して設定されたパラメータのうちの1つ以上を満たしていない入力電圧222,224を示すことができる。しかし、図4に示される電圧センサ248は、検知回路の一例に過ぎず、本開示の範囲から逸脱することなく他の実施形態を使用してもよい。図3および図4を参照すると、どの電源112,114を使用するかを決定するために制御回路216に送信されるそれぞれの検知信号226,228を生成するための光アイソレータなどのアイソレータ260(isolator,断路器)に、スイッチ回路258の出力を供給してもよい。
【0027】
抵抗器バンク234により、電源112,114に起因するEMI効果を処理するための誘導EMIチョークを検知回路218,220の入力部に配置することが不要になる。代わりに、抵抗器バンク234は、任意のEMIノイズをしきい値を下回る値に効果的にフィルタリングする。抵抗器236~242の使用により、同等のEMIフィルタリング容量の誘導EMIチョーク(例えば、トロイド巻線インダクタ(toroid wound inductor))と比べ、プリント回路基板(PCB)上の面積の省スペース化およびコスト削減を実現することが可能になる。
【0028】
図2に戻って参照すると、電圧コンバータ200はまた、DC高電圧208の一部を電圧コンバータ200全体で使用するための1つ以上の補助電圧264,266,268,270に変換するためのDCコンバータ262を含む。図5を参照すると、図示のように、一対の電圧入力部272,274は、PFC回路206に結合されて、そこからDC高電圧208の一部を受け取る。トランス276は、スイッチ制御部282によって制御されるトランジスタなどのスイッチ280に結合されて、2次巻線284,286,288,290に誘導電圧を発生させて補助電圧264,266,268,270を生成する1次巻線278を有する。図示の例は4つの補助電圧を示しているが、本開示の実施形態では、それより多いまたはより少ない補助電圧をDCコンバータ262が供給することができると考えられている。
【0029】
図2に戻って参照すると、第1および第2の補助電圧264,266を、それぞれ検知回路218,220(図3に示す)に供給することができる。第3の補助電圧268をPFC回路206およびDC/DCコンバータ212に供給することができる。第4の補助電圧270を制御回路216に供給することができる。DCコンバータ262が遭遇するかまたはそこで生成されたEMI292,294が、補助電圧264,266と共にそれぞれの検知回路218,220に転送されることがある。不十分な減衰で、検知回路218,220が、整流器244および電圧入力部230,232を介してEMIを電源112,114に戻すことがあり、望ましいことではない。しかし、本開示の実施形態によれば、本明細書で開示される検知回路218,220は、抵抗器バンク234によりDCコンバータ262からのEMIを、EMIが電源112,114に到達する前にしきい値を下回る値レベルまで効果的にフィルタリングする。したがって、トロイダル巻きの誘導コイルなどの大型で高価なEMIブロッキング/フィルタリング構成要素を検知回路で回避することができるため、EMIをブロッキングするための誘導コイルを、検知回路218,220の整流器244と電源入力部108,110との間に配置しなくてもよい。しきい値は、業界で許容されるEMIの量を定める1つ以上の規制規則によって決定することができる。例えば、しきい値を超えるEMI値は、通常、EMIブロッキング対策に失敗しているとラベル表示される。
【0030】
図6は、本開示の別の実施形態による電圧コンバータ600のブロック図を示す。電圧コンバータ600は、図3に示す検知回路に対して同様の構成要素が図示されているが、整流器244は半波整流器として示されている。図3に示す全波整流信号に対して半波整流信号を使用することに基づき、基準電圧Vrefの適切な選択を利用して、入力電圧222,224の挙動を示すことができる。
【0031】
本発明を限られた数の実施形態のみに関して詳細に説明してきたが、本発明はこのような開示された実施形態に限定されないことは容易に理解される。むしろ、本発明を、これまで記載されていないが、本開示の精神および範囲に相応する任意の数の変形、変更、代用または等価な構成を組み込むように修正することができる。さらに、本開示の様々な実施形態を説明したが、本開示の態様が、説明した実施形態の一部のみを含むことができることを理解されたい。したがって、本発明は、前述の説明によって限定されると見なされるべきではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】