(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089771
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】電子デバイス
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/42 20060101AFI20220609BHJP
【FI】
H01Q1/42
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189353
(22)【出願日】2021-11-22
(31)【優先権主張番号】17/112,734
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521511601
【氏名又は名称】マイクロエレクトロニクス テクノロジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】チャン ウェン-ファン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ チェン-チア
(72)【発明者】
【氏名】ファン ユー-フイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン トゥン-ファ
【テーマコード(参考)】
5J046
【Fターム(参考)】
5J046AA02
5J046AA03
5J046RA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】RF信号の干渉の抑制及び低損失を可能とする発泡ポリスチレンの絶縁部材を有するレドームを含む電子デバイスを提供する。
【解決手段】電子デバイス100は、レドーム1と、レドーム1に接続されたボトムカバー5と、レドーム1とボトムカバー5との間に配置されたプリント回路基板6と、を含む。レドーム1は、トップシェル2と、絶縁部材3と、少なくとも1つの締結部材4と、を含む。絶縁部材3は、発泡ポリスチレンから作製されており、少なくとも1つの凹部31を有する。締結部材4は、絶縁部材3に埋め込まれている。トップシェル2は、ポリカーボネートを含み、絶縁部材3を覆う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスであって、
発泡ポリスチレン(EPS)から作製された絶縁部材を含み、少なくとも1つの凹部を有するレドームと、
前記レドームに接続されたボトムカバーと、
前記レドームと前記ボトムカバーとの間に配置されたプリント回路基板と
を含む電子デバイス。
【請求項2】
前記レドームが、前記絶縁部材に埋め込まれている少なくとも1つの締結部材をさらに含む請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記レドームが、前記絶縁部材を覆うトップシェルをさらに含む請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記トップシェルがポリカーボネートを含む請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記締結部材がリブ形状をしている請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記締結部材が、2つの挿通部と、連結部とを含み、前記2つの挿通部が、前記連結部の2つの端部に接続されている請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記2つの挿通部のそれぞれが、ディスク部、シリンダ部、及び4つの矩形部を有し、前記ディスク部が、前記連結部の対応する端部に接続され、前記シリンダ部が、前記ディスク部上で前記ディスク部の中心に配置され、前記4つの矩形部が、前記ディスク部上に角方向に配置され、前記シリンダ部を取り囲む請求項6に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記4つの矩形部のうちの1つが、前記連結部の対応する端部に直接接続され、前記前記4つの矩形部のうちの1つと前記連結部の対応する端部との間に弧が形成されている請求項7に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記トップシェルと前記締結部材とが一体的に形成されている請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記トップシェル、前記絶縁部材、及び前記締結部材が一体的に形成されている請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記トップシェルが真空成形により形成されている請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項12】
前記レドームが実質的に正方形である請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記トップシェルが凸面を有する請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項14】
前記ボトムカバーが、前記プリント回路基板を受入れるための少なくとも1つの受入れキャビティを有する請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項15】
前記ボトムカバーが複数の冷却フィンを有し、前記冷却フィンが、前記受入れキャビティとは反対側の前記ボトムカバーの一方の側に配置されている請求項14に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月4日に出願された米国特許出願第17/112,734号の優先権の利益を主張する。上記の特許出願の全体は、参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の一部とされる。
【0002】
技術分野
本開示は、電子デバイスに関し、より詳細には、発泡ポリスチレンの絶縁部材を有するレドーム(レーダードーム)を含む電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
理想的には、無線周波数(RF)信号は、レドームを介して損失なく伝送される可能性がある。しかしながら、実際には、この種類のレドームを作ることは不可能である。材料の選択や形状の設計により、損失はできるだけ少なくされる可能性がある。同時に、RF信号の偏波が維持される必要がある。
【0004】
この「背景技術」の節は、背景情報としてのみ提供されている。この「背景技術」の記述は、この節で開示された主題が本開示の先行技術を構成することを認めるものではなく、この「背景技術」の節のいかなる部分も、この「背景技術」の節を含む本願のいずれかの部分が本開示の先行技術を構成することを認めるものとして使用してはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、発泡ポリスチレンの絶縁部材を有するレドームを含む電子デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの態様は、レドームと、このレドームに接続されたボトムカバーと、このレドームとボトムカバーとの間に配置されたプリント回路基板とを含む電子デバイスを提供する。
【0007】
いくつかの実施形態では、上記レドームは、絶縁部材を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、上記絶縁部材は、発泡ポリスチレン(EPS)から作製されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、上記絶縁部材は、少なくとも1つの凹部を有する。
【0010】
いくつかの実施形態では、上記レドームは、少なくとも1つの締結部材をさらに含み、この締結部材は、上記絶縁部材に埋め込まれている。
【0011】
いくつかの実施形態では、上記レドームは、トップシェルをさらに含み、このトップシェルは上記絶縁部材を覆っている。
【0012】
いくつかの実施形態では、上記トップシェルはポリカーボネートを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、上記締結部材はリブ形状をしている。
【0014】
いくつかの実施形態では、上記締結部材は、2つの挿通部と、連結部とを含み、この2つの挿通部は、上記連結部の2つの端部に接続されている。
【0015】
いくつかの実施形態では、上記2つの挿通部のそれぞれは、ディスク部、シリンダ部、及び4つの矩形部を有し、このディスク部は、上記連結部の対応する端部に接続され、上記シリンダ部は、上記ディスク部上でそのディスク部の中心に配置され、4つの矩形部は、上記ディスク部上に角方向に配置され、上記シリンダ部を取り囲む。
【0016】
いくつかの実施形態では、上記4つの矩形部のうちの1つは、上記連結部の対応する端部に直接接続され、その4つの矩形部のうちの1つと上記連結部の対応する端部との間に弧が形成される。
【0017】
いくつかの実施形態では、上記トップシェルと締結部材とは1つのピースとして一体的に形成されている。
【0018】
いくつかの実施形態では、上記トップシェル、絶縁部材、及び締結部材は、1つのピースとして一体的に形成されている。
【0019】
いくつかの実施形態では、上記トップシェルは、低い誘電率及び高温に対する高い耐性を有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、上記絶縁部材は、上記締結部材に機械的支持を提供するための低誘電率を有する。
【0021】
いくつかの実施形態では、上記トップシェルは、真空成形によって形成されている。
【0022】
いくつかの実施形態では、上記レドームは正方形である。
【0023】
いくつかの実施形態では、上記トップシェルは凸面を有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、上記ボトムカバーは、プリント回路基板を受入れるための少なくとも1つの受入れキャビティを有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、上記ボトムカバーは複数の冷却フィンを有し、この冷却フィンは、上記受入れキャビティとは反対側のボトムカバーの一方の側に配置されている。
【0026】
本開示の電子デバイスの設計により、レドームは、発泡ポリスチレン(EPS)から作製される絶縁部材と、低い誘電率及び高温に対する高い耐性を有するトップシェルとを有するため、本開示のレドームを介して伝送されるRF信号の放射パターンは、レドームなしで直接伝送されるRF信号の放射パターンに近いものとなる。すなわち、レドームを介して伝送されるRF信号の損失が可能な限り低減される可能性がある。加えて、上記レドームは、絶縁部材に埋め込まれた少なくとも1つの締結部材をさらに含むので、レドームの形状が維持される可能性があり、上記レドームが変形しないように強固である。
【0027】
上述の内容は、以下の本開示の詳細な説明がよりよく理解されるために、本開示の特徴及び技術的利点をかなり大まかに概説したものである。本開示の追加の特徴及び利点は、以下で説明され、本開示の特許請求の範囲の主題を形成する。開示された構想及び特定の実施形態は、本開示の同じ目的を遂行するための他の構造又はプロセスを改変又は設計するための基礎として容易に利用されてもよいことが、当業者には理解されるはずである。また、そのような同等の構造は、添付の特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び射程から逸脱しないことも、当業者には理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本開示の態様は、添付の図と合わせて読むと、以下の詳細な説明から最もよく理解される。業界の標準的な慣行に従い、様々な特徴は縮尺通りに描かれていないことに留意すべきである。実際には、様々な特徴部の寸法は、議論を明確にするために任意に増加又は減少されていることがある。
【0029】
【
図1】
図1は、本開示の1つの実施形態に係る電子デバイスの分解図である。
【
図2】
図2は、本開示の1つの実施形態に係る電子デバイスの別の分解図である。
【
図3】
図3は、本開示の1つの実施形態に係る電子デバイスの斜視図である。
【
図4】
図4は、本開示の1つの実施形態に係る電子デバイスの別の斜視図である。
【
図11】
図11は、本開示の1つの実施形態に係る電子デバイスのレドームの分解図である。
【
図12】
図12は、レドームが締結部材を含んだ状態の、本開示の1つの実施形態に係る電子デバイスのレドームの斜視図である。
【
図13】
図13は、レドームが締結部材を含まない状態の、本開示の1つの実施形態に係る電子デバイスのレドームの斜視図である。
【
図14】
図14は、本開示の1つの実施形態に係る電子デバイスのレドームの締結部材の斜視図である。
【
図17】
図17は、レドームなしで直接送信されるRF信号と比較して、RF信号が本開示のレドームを介して送信されるときの放射パターンを示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の開示は、提供される主題の様々な特徴部を実装するための多くの異なる実施形態、又は例を提供する。構成要素及び配置の特定の例が、本開示を単純化するために以下で説明される。もちろん、これらは単なる例であり、限定することを意図したものではない。例えば、以下の説明における第2の特徴部にわたって又は第2の特徴部の上に第1の特徴部を形成することは、第1及び第2の特徴部が直接接触して形成される実施形態を含んでもよく、また、第1及び第2の特徴部の間に追加の特徴部が形成されてもよく、このため第1及び第2の特徴部が直接接触していなくてもよい実施形態も含んでもよい。加えて、本開示では、様々な例において参照数字及び/又は参照文字を繰り返すことがある。この繰り返しは、単純化及び明確化を目的としたものであり、それ自体が、議論された様々な実施形態及び/又は構成の間の関係を指示するものではない。
【0031】
さらに、本明細書では、図に示されている1つの要素又は特徴部と別の要素(複数可)又は特徴部(複数可)との関係を記述するための説明を容易にするために、「~の下部に」、「~の下方に」、「下方の」、「~の上方に」、「上方の」等の空間的に相対的な用語が使用されることがある。これらの空間的に相対的な用語は、図に描かれている向きに加えて、使用時又は動作時における装置の異なる向きを包含することを意図している。装置は他の向き(90度回転した状態、又は他の向き)であってもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子も同様に、それに応じて解釈されてよい。
【0032】
要素又は層が別の要素又は層に「接続されている」又は「結合されている」と言及される場合、その要素又は層は別の要素又は層に直接接続又は結合することができ、又は介在する要素又は層が存在してもよいことを理解されたい。
【0033】
本明細書では、様々な要素を説明するために第1、第2等の用語が使用されることがあるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。別段の記載がない限り、これらの用語は、ある要素を別の要素から区別するためにのみ使用される。従って、例えば、以下で説明する第1の要素、第1の構成要素、又は第1のセクションは、本開示の教示から逸脱しない範囲で、第2の要素、第2の構成要素、又は第2のセクションと呼ぶことができよう。
【0034】
文脈と矛盾しない限り、配向、レイアウト、位置、形状、サイズ、量、又は他の尺度に言及する際に本明細書で使用される「同じ」、「等しい」、「平面状」、又は「同一平面上」等の用語は、必ずしも完全に同一の配向、レイアウト、位置、形状、サイズ、量、又は他の尺度を意味するものではなく、例えば製造プロセスに起因して発生しうる許容可能な変動の範囲内で、ほぼ同一の配向、レイアウト、位置、形状、サイズ、量、又は他の尺度を包含することを意図している。本明細書では、この意味を込めて「実質的に」という用語が使用されてもよい。例えば、「実質的に同じ」、「実質的に等しい」、又は「実質的に平面状」と記載されている項目は、全く同じ、等しい、若しくは平面的であってもよいし、又は、例えば製造プロセスに起因して発生しうる許容可能な変動の範囲内で、同じ、等しい、又は平面的であってもよい。
【0035】
本開示の説明において、上方(又は上方向)は、方向Zの矢印の方向に対応し、下方(又は下方向)は、方向Zの矢印の反対方向に対応することに留意されたい。
【0036】
図1は、本開示の1つの実施形態に係る電子デバイスの分解図である。
図2は、本開示の1つの実施形態に係る電子デバイスの別の分解図である。
図3は、本開示の1つの実施形態に係る電子デバイスの斜視図である。
図4は、本開示の1つの実施形態に係る電子デバイスの別の斜視図である。
図5は、線A-Aに沿った
図3の断面図である。
図6は、線B-Bに沿った
図3の断面図である。
図7は、線C-Cに沿った
図3の断面図である。
図8は、線D-Dに沿った
図3の断面図である。
図9は、線E-Eに沿った
図3の断面図である。
図10は、線F-Fに沿った
図3の断面図である。
【0037】
図1~
図10を参照すると、電子デバイス100は、レドーム1と、ボトムカバー(底カバー)5と、プリント回路基板6とを含んでいてもよい。ボトムカバー5は、レドーム1に接続されている。プリント回路基板6は、レドーム1とボトムカバー5の間に配置されている。
【0038】
いくつかの実施形態では、レドーム1は正方形である。それゆえ、レドーム1の構造は対称的であり、そして、RF信号は均等に伝送されてもよい。
【0039】
図11は、本開示の1つの実施形態に係る電子デバイスのレドームの分解図である。
図12は、レドームが締結部材(固定部材、留め具部材)を含んだ状態の、本開示の1つの実施形態に係る電子デバイスのレドームの斜視図である。
図13は、レドームが締結部材を含まない状態の、本開示の1つの実施形態に係る電子デバイスのレドームの斜視図である。
【0040】
図11~
図13を参照すると、レドーム1は、トップシェル(頂部シェル)2と、絶縁部材3と、少なくとも1つの締結部材4とを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、締結部材4の数量は、説明のために8個であるが、これに限定されない。
【0041】
図11及び
図12を参照すると、トップシェル2は、絶縁部材3を覆っている。いくつかの実施形態では、トップシェル2は、凸面21を有する。いくつかの実施形態では、トップシェル2は、ポリカーボネートを含む。それゆえ、レドーム1を介して伝送されるRF信号(図示せず)が干渉されない可能性があり、損失が可能な限り低減される可能性がある。
【0042】
いくつかの実施形態では、絶縁部材3は、発泡ポリスチレン(EPS)から作製されている。断熱部材3は、少なくとも1つの凹部31を有していてもよい。いくつかの実施形態では、凹部31の数量は9個であり、9個の凹部31はマトリクス(行列)状に配置されているが、これに限定されるものではない。
【0043】
図1~
図13を参照すると、締結部材4は、絶縁部材3に埋め込まれている(固定されている)。いくつかの実施形態では、締結部材4は、リブ形状をしている。
【0044】
図14は、本開示の1つの実施形態に係る電子デバイスのレドームの締結部材の斜視図である。
図15は、線G-Gに沿った
図14の断面図である。
図16は、線H-Hに沿った
図14の断面図である。
【0045】
図14~
図16を参照すると、締結部材4は、2つの挿通部41と、連結部42とを含む。2つの挿通部41は、連結部42の2つの端部に接続されている。いくつかの実施形態では、2つの挿通部41のそれぞれは、ディスク部43と、シリンダ部44と、4つの矩形部45とを有する。ディスク部43は、連結部42の対応する端部に接続されている。シリンダ部44は、ディスク部42上でそのディスク部42の中心に配置されている。4つの矩形部45は、ディスク部42上に角方向に(周方向に間隔を空けて)配置され、シリンダ部44を取り囲んでいる。
【0046】
いくつかの実施形態では、4つの矩形部45のうちの1つが、連結部42の対応する端部に直接接続され、その4つの矩形部45のうちの1つと連結部42の対応する端部との間に弧(円弧)46が形成される。
【0047】
いくつかの実施形態では、トップシェル2は、真空成形によって形成される。次いで、トップシェル2及び締結部材4がEPSモールドキャビティ(図示せず)内に配置され、EPS発泡プロセスが行われる。EPSが発泡している間に、トップシェル2と締結部材4とが結合されて、一体型レドーム1が形成される。
【0048】
いくつかの実施形態では、トップシェル2は、低い誘電率及び高温に対する高い耐性を有する。絶縁部材3は、締結部材4に機械的支持を提供するための低誘電率を有する。トップシェル2、絶縁部材3及び締結部材4は、接着剤を用いることなく1つのピースとして一体的にレドーム1を形成してもよい。それゆえ、レドーム1の形状が維持されてもよく、レドーム1は変形しないように強固である。
【0049】
図1~
図4を参照すると、ボトムカバー5は、プリント回路基板6を受入れるための少なくとも1つの受入れキャビティ51を有する。いくつかの実施形態では、別の受入れキャビティ51’が、アンテナプレート200を受入れてもよい。複数のアンテナ210がアンテナプレート200に取り付けられている。
【0050】
図1~
図10を参照すると、ボトムカバー5は、複数の冷却フィン52を有している。冷却フィン52は、受入れキャビティ51、51’とは反対側のボトムカバー5の一方の側に配置されている。それゆえ、プリント回路基板6及び/又はアンテナプレート200から発生する熱が放熱されてもよい。
【0051】
図17は、レドームなしで直接伝送されるRF信号と比較して、RF信号が本開示のレドームを介して送信されるときの放射パターンを示すチャートである。
【0052】
図17を参照すると、実線で示す放射パターンP1は、本開示のレドームを介して伝送されるRF信号を表し、破線で示す放射パターンP2は、レドームなしで直接伝送されるRF信号を表す。横軸は放射角(シータ、θ)を示し、縦軸は振幅(dB)を示す。放射角0、25、40での放射パターンP1は放射パターンP2に近い、すなわち、RF信号は、本開示のレドームを介して実質的に損失なく伝送されることが明らかに示されている。
【0053】
本開示の電子デバイスの設計により、レドーム1は、発泡ポリスチレン(EPS)から作製される絶縁部材3と、低い誘電率及び高温に対する高い耐性を有するトップシェル2とを有するため、本開示のレドーム1を介して伝送されるRF信号の放射パターンP1は、レドームなしで直接伝送されるRF信号の放射パターンP2に近い。すなわち、レドーム1を介して伝送されるRF信号の損失が可能な限り低減される可能性がある。加えて、レドーム1は、絶縁部材3に埋め込まれた少なくとも1つの締結部材4をさらに含むので、レドーム1の形状が維持される可能性があり、レドーム1が変形しないように強固である。
【0054】
本開示の1つの態様は、レドームと、このレドームに接続されたボトムカバーと、このレドームとボトムカバーとの間に配置されたプリント回路基板とを含む電子デバイスを提供する。
【0055】
本開示及びその利点を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって定められる本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本開示において様々な変更、置換、及び改変を行うことができることを理解すべきである。例えば、上述したプロセスの多くは、異なる方法論で実施し、他のプロセスに置き換えることができ、又はそれらの組み合わせが可能である。
【0056】
さらに、本願の範囲は、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法及び工程の特定の実施形態に限定されることを意図されていない。当業者であれば、本開示から容易に理解できるように、本明細書に記載された対応する実施形態と実質的に同じ機能を果たすか又は実質的に同じ結果を達成する、現在存在するか又は後に開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、又は工程が、本開示に従って利用されてもよい。従って、添付の特許請求の範囲は、その範囲内にそのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、及び工程を含むことが意図されている。
【符号の説明】
【0057】
100 電子デバイス
1 レドーム
2 トップシェル
3 絶縁部材
4 締結部材
5 ボトムカバー
6 プリント回路基板
21 凸面
31 凹部
41 挿通部
42 連結部
43 ディスク部
44 シリンダ部
45 矩形部
46 弧
51、51’ 受入れキャビティ
52 冷却フィン
200 アンテナプレート
210 アンテナ
P1 本開示のレドーム1を介して伝送されるRF信号の放射パターン
P2 レドームなしで直接伝送されるRF信号の放射パターン