(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089772
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】インジウムおよび一種以上の他の金属を含有する膜を製造するための蒸着用原料およびインジウムおよび一種以上の他の金属を含有する膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/40 20060101AFI20220609BHJP
【FI】
C23C16/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189893
(22)【出願日】2021-11-24
(31)【優先権主張番号】P 2020201422
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000143411
【氏名又は名称】株式会社高純度化学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100187506
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 優子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 伸尚
(72)【発明者】
【氏名】水谷 文一
(72)【発明者】
【氏名】東 慎太郎
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030AA11
4K030BA11
4K030BA42
(57)【要約】
【課題】インジウム及び一種以上の他の金属を含有する膜を製造するための化学蒸着用原料であって、安定に長期間保存でき、取り扱いが容易な原料及びその製造方法を提供する。
【解決手段】一般式(1)又は(2)で表される化合物100molに対して、一般式(3)~(6)で表される化合物のいずれか一種以上を0.1mol以上の割合で含有する、インジウム及び一種以上の他の金属を含有する膜を製造するための蒸着用原料。
In(C5H4R) ・・・(1)
In(C5(CH3)4R) ・・・(2)
M1(C5H4R) ・・・(3)
M2(C5H4R)n ・・・(4)
M1(C5(CH3)4R) ・・・(5)
M2(C5(CH3)4R)n ・・・(6)
(一般式(1)~(6)中、Rは各々独立に水素又は炭素数1~6のアルキル基を表し、一般式(3)及び(5)中、M1はインジウム以外の金属を表し、一般式(4)及び(6)中、M2はインジウム以外の金属を表し、nは2~4の整数を表す。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)または一般式(2)で表される化合物100molに対して、下記一般式(3)~一般式(6)で表される化合物のいずれか一種以上を0.1mol以上の割合で含有する、インジウムおよび一種以上の他の金属を含有する膜を製造するための化学蒸着用原料。
In(C5H4R) ・・・(1)
In(C5(CH3)4R) ・・・(2)
M1(C5H4R) ・・・(3)
M2(C5H4R)n ・・・(4)
M1(C5(CH3)4R) ・・・(5)
M2(C5(CH3)4R)n ・・・(6)
(一般式(1)~一般式(6)中、Rはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1以上6以下のアルキル基を表し、一般式(3)および一般式(5)中、M1はインジウム以外の金属を表し、一般式(4)および一般式(6)中、M2はインジウム以外の金属を表し、nは2~4の整数を表す。)
【請求項2】
前記一般式(3)および一般式(5)中、M1はガリウムを表し、前記一般式(4)および一般式(6)中、M2は亜鉛またはスズを表す、請求項1に記載の化学蒸着用原料。
【請求項3】
前記一般式(1)~一般式(6)中のRは同じであって、
前記一般式(1)で表される化合物と、一般式(3)および/または一般式(4)で表される化合物とを含有するか、または、
前記一般式(2)で表される化合物と、一般式(5)および/または一般式(6)で表される化合物とを含有する、請求項1または2に記載の化学蒸着用原料。
【請求項4】
さらに溶媒を含有し、前記化学蒸着用原料中、
一般式(1)または一般式(2)で表される化合物と、一般式(3)~一般式(6)で表される化合物のいずれか一種以上との合計濃度が0.01wt%以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化学蒸着用原料。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の化学蒸着用原料を用いて、化学蒸着法により、インジウム含有酸化膜を形成する、インジウムおよび一種以上の他の金属を含有する膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学蒸着(CVD)により、インジウムおよび一種以上の他の金属を含有する膜を形成するための化学蒸着用原料に関する。
【背景技術】
【0002】
透明導電膜は、導電性、および可視光線に対する優れた光線透過性を有することから、太陽電池、液晶表示素子、その他各種受光素子の電極等に利用され、さらに、近赤外線領域での反射吸収特性を活かして、自動車や建築物の窓ガラス等に用いられる反射膜や各種の帯電防止膜等にも利用されている。
【0003】
前記透明導電膜には、一般に、アルミニウム、ガリウム、インジウムまたはスズをドーパントとして含む酸化亜鉛や、スズ、タングステンまたはチタンをドーパントとして含む酸化インジウム等が利用されている。特に、スズをドーパントとして含む酸化インジウム膜はITO膜といわれ、低抵抗の透明導電膜として工業的に広く利用されている。最近では、インジウム、ガリウムおよび亜鉛の複合酸化物膜であるIGZOと呼ばれる結晶性の酸化物半導体が、液晶パネル向けの薄膜トランジスタ(TFT)に実装されている。
【0004】
前記のITO膜やIGZO膜は、物理蒸着(PVD)や化学蒸着(CVD)によって成膜されている。特に化学蒸着(CVD)のひとつである原子層堆積(ALD)によれば、フレキシブルな有機基板に、原子レベルで均一な厚さの被膜を凹凸のある表面に形成することができる(例えば、非特許文献1)。
【0005】
このような成膜プロセスに供されるインジウム材料としては、その供給温度において固体状態である材料が多く知られるが、供給が容易で均一な濃度で蒸気を供給しやすいという観点では固体材料よりも液体材料のほうが好適である。特許文献1には、アルキルシクロペンタジエニル骨格を有するインジウム化合物とオゾンを使用して、高温でのALD法で、高スループットのインジウム含有膜が成膜可能な酸化インジウム(In2O3)膜の成膜方法が開示されている。特許文献1では、シクロペンタジエニル配位子に分岐構造を有する炭化水素基を置換基として導入することで、光安定性および熱安定性が向上することが開示されている。
【0006】
酸化インジウム膜を成膜するための液体原料に関しては、いくつかの報告がある。特許文献2では、原料であるアルキルシクロペンタジエニルインジウム(I)は不安定であるが、密封容器に充填する前に、微量の酸素に接触させると安定化し、長期に渡る保存が可能となることが開示されている。
【0007】
また、アルキルシクロペンタジエニルインジウム(I)を主成分とし、副成分として、アルキルシクロペンタジエン、ジアルキルシクロペンタジエン、トリスアルキルシクロペンタジエニルインジウム(III)およびトリスシクロペンタジエニルインジウム(III)のいずれか一種以上を共存させることで、アルキルシクロペンタジエニルインジウム(I)を安定化させることができるという報告もある(特許文献3)。
【0008】
特許文献1のように、シクロペンタジエニル基に分岐構造を有するアルキル置換基を導入すれば、インジウム化合物を安定化することができる。しかしながら、特許文献1で報告されたインジウム化合物については、例えば、実施例1に記載の化合物では熱重量分析(TGA)において、200℃までに99.4%蒸発し、残渣は0.6%であり、熱分解は起こらないとしているが、無視できない量の残渣が存在している。このことは、このインジウム化合物が、徐々に、不均化のような残渣を発生させる反応を起こしていることを示している。したがって、成膜原料としての安定性としては充分ではなく、もっと長期の安定性が必要である。また、特許文献1に示されたS、GeまたはNを含むインジウム化合物やCを多く含むシクロペンタジエニル系ではない配位子を持つインジウム化合物は、それらの元素が残留するおそれがある。
【0009】
特許文献2および特許文献3で開示された方法は、調整方法が煩雑であるという問題があり、酸素やトリスアルキルシクロペンタジエニルインジウム(III)などが残留した場合、他の金属の原料と反応するおそれもある。
【0010】
また、IGZO膜などの複合酸化膜を形成するには、複数の金属原料をそれぞれ加える必要があり、成膜プロセスが複雑になるとともに装置も大掛かりである。このような成膜プロセスを簡素化するためにも、保管、取り扱いおよび供給が容易な化学蒸着用の液体材料が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2020-143316号公報
【特許文献2】特開2018-90855号公報
【特許文献3】国際公開第2018/225668号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】IEEE Transactions on Electron Devices,2019,66, 4, 1783-1788
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、化学蒸着によりインジウムおよび一種以上の他の金属を含有する膜を製造するための原料であって、安定に長期間保存することができ、取り扱いが容易な化学蒸着用原料およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の化学蒸着用原料は、化学蒸着法により、インジウムおよび一種以上の他の金属を含有する膜を製造するための原料であって、下記一般式(1)または一般式(2)で表される化合物100molに対して、下記一般式(3)~一般式(6)で表される化合物のいずれか一種以上を0.1mol以上の割合で含有することを特徴とする。
In(C5H4R) ・・・(1)
In(C5(CH3)4R) ・・・(2)
M1(C5H4R) ・・・(3)
M2(C5H4R)n ・・・(4)
M1(C5(CH3)4R) ・・・(5)
M2(C5(CH3)4R)n ・・・(6)
【0015】
一般式(1)~一般式(6)中、Rはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1以上6以下のアルキル基を表し、一般式(3)および一般式(5)中、M1はインジウム以外の金属を表し、一般式(4)および一般式(6)中、M2はインジウム以外の金属を表し、nは2~4の整数を表す。なお、上記の(C5H4R)および(C5(CH3)4R)は金属に対する配位子を表している。
【0016】
前記一般式(3)および一般式(5)中、M1はガリウムであることが好ましく、前記一般式(4)および一般式(6)中、M2は亜鉛またはスズであることが好ましい。
【0017】
前記化学蒸着用原料は、一般式(1)~一般式(6)中のRが同じであって、一般式(1)で表される化合物と、一般式(3)および/または一般式(4)で表される化合物とを含有するか、または、一般式(2)で表される化合物と、一般式(5)および/または一般式(6)で表される化合物とを含有することが好ましい。このとき、配位子交換のおそれがあるので、異なる配位子を持つ化合物は含有しないことが好ましい。
【0018】
前記化学蒸着用原料は、一般式(1)または一般式(2)で表される化合物と、一般式(3)~一般式(6)で表される化合物のいずれか一種以上とに加えて、さらに溶媒を含有することが好ましい。その場合、一般式(1)または一般式(2)で表される化合物と、一般式(3)~一般式(6)で表される化合物のいずれか一種以上との合計濃度は、蒸着用原料中、0.01wt%以上であることが好ましい。
【0019】
本発明の製造方法は、前記化学蒸着用原料を用いて、化学蒸着法により、インジウムおよび一種以上の他の金属を含有する膜を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、一般式(1)または一般式(2)で表される化合物に、一般式(3)~一般式(6)で表される化合物のうちいずれか一種以上を混合することで、得られる蒸着用原料を数日間から数ヶ月の間、室温(23℃)下、安定に保存することができる。本発明によれば、インジウムとインジウム以外の金属とを含む複合酸化膜を容易に成膜することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のインジウムおよび一種以上の他の金属を含有する膜を製造するための化学蒸着用原料(以下単に「蒸着用原料」という。)は、1価のインジウム化合物である、下記一般式(1)または一般式(2)で表される化合物100molに対して、一般式(3)~一般式(6)で表される化合物のいずれか一種以上を0.1mol以上の割合で含有する。本発明のインジウムおよび一種以上の他の金属を含有する膜は、酸化物であることがとくに好ましい。
In(C5H4R) ・・・(1)
In(C5(CH3)4R) ・・・(2)
M1(C5H4R) ・・・(3)
M2(C5H4R)n ・・・(4)
M1(C5(CH3)4R) ・・・(5)
M2(C5(CH3)4R)n ・・・(6)
【0022】
一般式(1)~一般式(6)中、Rは水素原子または炭素数1以上6以下のアルキル基を表す。
炭素数1以上6以下のアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、s-ペンチル基、3-ペンチル基、t-ペンチル基、n-ヘキシル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2,2-ジメチルブチル基および2,3-ジメチルブチル基等である。これらのアルキル基のうち、メチル基、エチル基およびn-プロピル基等が好ましく、エチル基およびn-プロピル基がより好ましく、n-プロピル基が特に好ましい。
【0023】
一般式(3)および一般式(5)中、M1はインジウム以外の金属を表す。M1は、1価の金属であり、第13族の金属であることが好ましく、ガリウムが特に好ましい。
【0024】
一般式(4)および一般式(6)中、nは2~4の整数を表し、M2はインジウム以外の金属を表す。M2は、2価、3価、または4価の金属であり、配位子による立体障害の観点から、価数が低い方が好ましく、2価の金属であることが好ましい。M2には特に制限はないが、第12族、第13族、および第14族が好ましく、その中では、第2周期、第3周期、および第4周期の金属が好ましい。具体的には、ガリウム、亜鉛、ゲルマニウムおよびスズ等である。これらのうち、亜鉛およびスズが好ましい。
【0025】
一般式(1)で表される化合物の具体例は、シクロペンタジエニルインジウム(I)、メチルシクロペンタジエニルインジウム(I)、エチルシクロペンタジエニルインジウム(I)、n-プロピルシクロペンタジエニルインジウム(I)、イソプロピルシクロペンタジエニルインジウム(I)、およびt-ブチルシクロペンタジエニルインジウム(I)等であり、メチルシクロペンタジエニルインジウム(I)およびエチルシクロペンタジエニルインジウム(I)がより好ましく、エチルシクロペンタジエニルインジウム(I)が特に好ましい。
一般式(2)で表される化合物の具体例は、テトラメチルシクロペンタジエニルインジウム(InC5H(CH3)4)、ペンタメチルシクロペンタジエニルインジウム(InC5(CH3)5)、テトラメチル-エチルシクロペンタジエニルインジウム(InC5(CH3)4(C2H5))、テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニルインジウム(InC5(CH3)4(n-C3H7))、テトラメチル-イソプロピルシクロペンタジエニルインジウム(InC5(CH3)4(iso-C3H7))、およびテトラメチル-n-ブチルシクロペンタジエニルインジウム(InC5(CH3)4(n-C4H9))等であり、ペンタメチルシクロペンタジエニルインジウム(InC5(CH3)5)およびテトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニルインジウム(InC5(CH3)4(n-C3H7))がより好ましく、テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニルインジウム(InC5(CH3)4(n-C3H7))が特に好ましい。
【0026】
一般式(3)で表される化合物の具体例は、シクロペンタジエニルガリウム(I)、メチルシクロペンタジエニルガリウム(I)、エチルシクロペンタジエニルガリウム(I)、n-プロピルシクロペンタジエニルガリウム(I)、イソプロピルシクロペンタジエニルガリウム(I)、およびt-ブチルシクロペンタジエニルガリウム(I)等である。
【0027】
一般式(4)で表される化合物の具体例は、ビス(シクロペンタジエニル)亜鉛、ビス(メチルシクロペンタジエニル)亜鉛、ビス(エチルシクロペンタジエニル)亜鉛、ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)亜鉛、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)亜鉛、ビス(t-ブチルシクロペンタジエニル)亜鉛、ビス(シクロペンタジエニル)スズ、ビス(メチルシクロペンタジエニル)スズ、ビス(エチルシクロペンタジエニル)スズ、ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)スズ、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)スズ、およびビス(t-ブチルシクロペンタジエニル)スズ等であり、ビス(エチルシクロペンタジエニル)亜鉛およびビス(エチルシクロペンタジエニル)スズが好ましい。
【0028】
一般式(5)で表される化合物の具体例は、テトラメチルシクロペンタジエニルガリウム(GaC5H(CH3)4)、ペンタメチルシクロペンタジエニルガリウム(GaC5(CH3)5)、テトラメチル-エチルシクロペンタジエニルガリウム(GaC5(CH3)4(C2H5))、テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニルガリウム(GaC5(CH3)4(n-C3H7))、テトラメチル-イソプロピルシクロペンタジエニルガリウム(GaC5(CH3)4(iso-C3H7))およびテトラメチル-n-ブチルシクロペンタジエニルガリウム(GaC5(CH3)4(n-C4H9))等であり、ペンタメチルシクロペンタジエニルガリウム(GaC5(CH3)5)およびテトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニルガリウム(GaC5(CH3)4(n-C3H7))が好ましい。
【0029】
一般式(6)で表される化合物の具体例は、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)亜鉛(Zn[C5H(CH3)4]2)、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)亜鉛(Zn[C5(CH3)5]2)、ビス(テトラメチル-エチルシクロペンタジエニル)亜鉛(Zn[C5(CH3)4(C2H5)]2)、ビス(テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニル)亜鉛(Zn[C5(CH3)4(n-C3H7)]2)、ビス(テトラメチル-イソプロピルシクロペンタジエニル)亜鉛(Zn[C5(CH3)4(iso-C3H7)]2)、ビス(テトラメチル-n-ブチルシクロペンタジエニル)亜鉛(Zn[C5(CH3)4(n-C4H9)]2)、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)スズ(Sn[C5H(CH3)4]2)、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)スズ(Sn[C5(CH3)5]2)、ビス(テトラメチル-エチルシクロペンタジエニル)スズ(Sn[C5(CH3)4(C2H5)]2)、ビス(テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニル)スズ(Sn[C5(CH3)4(n-C3H7)]2)、ビス(テトラメチル-イソプロピルシクロペンタジエニル)スズ(Sn[C5(CH3)4(iso-C3H7)]2)、およびビス(テトラメチル-n-ブチルシクロペンタジエニル)スズ(Sn[C5(CH3)4(n-C4H9)]2)等であり、ビス(テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニル)亜鉛(Zn[C5(CH3)4(n-C3H7)]2)、およびビス(テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニル)スズ(Sn[C5(CH3)4(n-C3H7)]2)が好ましい。
【0030】
一般式(1)で表される化合物には、一般式(3)および/または一般式(4)で表される化合物を添加することが好ましく、一般式(2)で表される化合物には、一般式(5)および/または一般式(6)で表される化合物を添加することが好ましい。なお、このとき、一般式(1)と一般式(3)および一般式(4)とで、または、一般式(2)と一般式(5)および一般式(6)とで、Rは同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
【0031】
M1がガリウムである場合は、一般式(3)で表される構造より一般式(5)であらわされる構造のほうが安定なため好ましい。
【0032】
本発明の蒸着用原料は、一般式(1)または一般式(2)で表される化合物100molに対して、一般式(3)~一般式(6)で表される化合物のいずれか一種以上を0.1mol以上、好ましくは50~1000mol、さらに好ましくは、100~500molの割合で含有する。一般式(3)~一般式(6)で表される化合物のいずれか一種以上を前記範囲で含有することにより、一般式(1)または一般式(2)で表される化合物を安定化することができる。
【0033】
本発明の蒸着用原料は、さらに溶媒を含有していてもよい。前記溶媒は、CVD用液体材料気化供給システムで好適に使用できるものであれば特に制限はないが、In原料の安定化の観点から低極性の有機溶媒が好ましく、テトラヒドロフラン(THF)、エチルシクロヘキサン、およびトルエンなどがより好ましく、さらには芳香族性を有さない有機溶媒が好ましい。このとき、一般式(1)または一般式(2)で表される化合物と、一般式(3)~一般式(6)で表される化合物のいずれか一種以上との合計濃度は、蒸着用原料全量中、0.01wt%以上とすることが好ましく、1wt%以上がより好ましい。
【0034】
本発明の蒸着用原料中、一般式(1)または一般式(2)で表される化合物と、一般式(3)~一般式(6)で表される化合物のいずれか一種以上とは、以下のような構造をとって安定化していると考えられる。ただし、このとき、下記構造式におけるnは0~3の整数である。下記構造式中、MはM
1またはM
2を表す。
【化1】
【0035】
ここで、一般式(1)で表される化合物を用いた以下の例を挙げて、本発明の蒸着用原料の安定化のメカニズムを説明する。一般式(1)で表される化合物は、1価のインジウム化合物であり、室温下では、光や熱によって、以下に示すように、金属インジウムと3価のインジウム化合物とに不均化する。
3(InC5H4R)→2In+In(C5H4R)3
ここに、一般式(3)または一般式(4)で表される化合物として、例えば、1価のガリウム化合物を添加して、蒸着用原料中で共存させることで、前記不均化反応の進行を抑制する効果を発揮し、一般式(1)で表される化合物を安定化することができる。
【0036】
本発明の蒸着用原料は、例えば、熱CVD法、有機金属化学気相蒸着(MOCVD)、低圧気相蒸着(LPCVD)、プラズマ強化気相蒸着(PECVD)、または原子層蒸着(ALD)などの化学蒸着に使用すると、インジウムおよび一種以上の他の金属を含有する膜を形成することができる。
【0037】
これらの化学蒸着法で薄膜を形成するには、低温でも蒸発しやすい化合物を前駆体に用いる必要がある。この点で、例えば、テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニルインジウム(InC5(CH3)4(n-C3H7))、テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニルガリウム(GaC5(CH3)4(n-C3H7))およびビス(テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニル)亜鉛(Zn[C5(CH3)4(n-C3H7)]2)はいずれも室温(23℃)で液体であり、低温でも高い蒸気圧を有することからCVDに好適である。
【0038】
一例として、InC5(CH3)4(n-C3H7)およびGaC5(CH3)4(n-C3H7)を含有する蒸着用原料を使用し、化学蒸着(CVD)により薄膜を形成する方法を説明する。CVDでは、前記蒸着用原料を充填した原料容器を加熱して気化させ、反応室に供給する。気化は、CVDにおける通常の有機金属化合物の気化方法で行うことができ、例えば、CVD装置の原料容器中を加熱や減圧をする。蒸着用原料を反応室中の基板まで供給するためには、原料容器から反応室までの配管および反応室は、原料であるInC5(CH3)4(n-C3H7)およびGaC5(CH3)4(n-C3H7)が熱分解せず、気体の状態を保つ温度、すなわち、原料容器の温度(原料を気化させる温度)よりも高く、原料の熱分解温度よりも低くしておく。前記蒸着用原料を用いる場合、加熱温度は、23~200℃程度である。成膜温度(基板温度)設定の自由度を高くするには、原料容器の温度はできるだけ低い方がよい。それゆえ、低温で十分な蒸気圧を持つInC5(CH3)4(n-C3H7)およびGaC5(CH3)4(n-C3H7)は、CVDに好適であるといえる。また、上記のような熱CVDで、インジウムおよび一種以上の他の金属を含有する膜を成膜する場合、通常は、それぞれの金属の原料を別々に用意し、目的とする組成の膜ができるように、それぞれの原料の気化速度や流量を調整して、混合ガスを反応室に供給する必要があったが、本発明の原料の場合、あらかじめ組成を調整しておけば、別々に気化速度や流量を調整しなくても良いので、管理が容易である。さらに、CVDで大量生産を行う場合は、液体材料を液体状態で直接流量制御し、必要量だけを気化供給する方式であるインジェクション方式が採用されることが多いが、本発明の原料の場合、二種以上の金属を含有する膜の成膜でも、気化器は一つで良いというメリットがある。固体材料にインジェクション方式を用いる場合、溶媒に溶解させる必要があるが、本発明の原料は溶媒に溶解させても安定性を損なうことがなく、好適である。
【0039】
また、本発明の原料は、CVDの中でも、一層ずつ積み重ねる方法である原子層堆積(ALD)法にも適用できる。ALDで、インジウムおよび一種以上の他の金属を含有する膜を成膜する場合、通常は、それぞれの金属の原料を別々に用意し、目的とする組成の膜ができるようにALDサイクルを調整する、いわゆるスーパーサイクル法を用いることが多く、どうしても組成が層状になってしまうという問題があったが、本発明の原料では、常に一定の混合組成のガスを供給できるので、膜質を制御しやすいというメリットがあり、特に好適である。また、スーパーサイクル法を用いず、熱CVDと同様に、それぞれの金属の原料を別々に用意し、目的とする組成の膜ができるように、それぞれの原料の気化速度や流量を調整して、混合ガスを反応室に供給することも可能であるが、CVDと同様に管理が容易ではないという問題がある。
【実施例0040】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は下記実施例により制限されるものではない。
[合成例1]テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニルインジウム(InC5(CH3)4(n-C3H7))の合成
1Lの四口フラスコにヘキサン400mL、n-ブチルリチウムヘキサン溶液82mL(1.6mol/L、0.13 mol)およびテトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエン29.04g(0.17mol)を入れ、室温で20時間反応させた後、40℃で減圧留去し、C5(CH3)4(n-C3H7)Liを得た。
得られたC5(CH3)4(n-C3H7)Liに-78℃でトルエン400mL、塩化インジウム(I)(InCl)17.84g(0.12mol)を加え、室温で20時間攪拌した後、濾過した。得られた溶液を、40℃で減圧留去し溶液を得た。
得られた溶液を単蒸留装置に仕込み、60℃、0.2 torrで真空蒸留を2回行ったところ、黄色の液体が得られた。収量は20.06g(0.07mol)、収率60%(InCl基準)であった。
得られた試料について1H NMRおよび13C NMRの分析を行ったところ、InC5(CH3)4(n-C3H7)と認識された。
【0041】
1H NMR
測定条件(装置:AVANCE NEO 500(500MHz)、Bruker BioSpin、溶媒:THF-d8、方法:1D)
2.45(2H,triplet)ppm、2.06(6H,singlet)ppm、2.05(6H,singlet)ppm、1.41(2H,sextet)ppm、0.93(3H,triplet)ppm
【0042】
13C NMR
測定条件(装置:AVANCE NEO 500(125MHz),Bruker BioSpin,溶媒THF-d8、方法:1D)
120.39、113.41、28.11、27.93、14.53、10.26ppm
【0043】
[合成例2]テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニルガリウム(GaC5(CH3)4(n-C3H7))の合成の合成
1Lの四口フラスコにトルエン500mL、金属カリウム15.72g(0.40mol)およびテトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエン70.61g(0.43mol)を入れ、室温で3日間反応させた後、100℃で減圧留去し、C5(CH3)4C3H7Kを得た。
300mL三口フラスコに金属ガリウム25.01g(0.36mol)およびI2 45.72g(0.18mol)を入れ、加熱還流で二日間反応させ、GaIの懸濁液を得た。
得られたC5(CH3)4C3H7Kに-78℃でトルエン300mLおよびGaIの懸濁液を加え、室温で19時間攪拌した後、濾過した。得られた溶液を、40℃で減圧留去し溶液を得た。
得られた溶液を単蒸留装置に仕込み、60℃、0.2torrで真空蒸留を2回行ったところ、黄色の液体が得られた。収量は44.63g(0.19mol)、収率53%(Ga基準)であった。
得られた試料について1H NMRおよび13C NMRの分析を行ったところ、GaC5(CH3)4(n-C3H7)と認識された。
【0044】
1HNMR
測定条件(装置:AVANCE NEO 500(500MHz),BrukerBioSpin,溶媒THF-d8、方法:1D)
2.40(2H,triplet)ppm、2.00(6H,singlet)ppm、1.99(6H,singlet)ppm、1.43(2H,sextet)ppm、0.93(3H,triplet)ppm
【0045】
13C NMR
測定条件(装置:AVANCE NEO 500(125MHz),Bruker BioSpin,溶媒THF-d8、方法:1D)
119.96、113.71、113.66、27.54、26.61、14.42、9.79、9.77ppm
【0046】
混合による安定化の効果を調べるために、テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニルインジウム、テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニルガリウム、ビス(テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニル)亜鉛、テトラヒドロフラン、エチルシクロヘキサンおよびトルエンを表1に示す割合で混合し、以下の基準により、その安定性を評価した。
優良:3日目に観測すると、色の変化や沈殿が観測されなかった。
良:3日目に観測すると溶液の色は黄色だが、わずかな固体の析出していた。
不良:3日目に観測すると、溶液の色が褐色に変化し、灰色の固体が析出していた。
【0047】
【0048】
エチルシクロペンタジエニルインジウム、ビス(エチルシクロペンタジエニル)スズ、およびテトラヒドロフランを表2に示す割合で混合し、以下の基準により、その安定性を評価した。
優良:3日目に観測すると、色の変化や沈殿が観測されなかった。
不良:3日目に観測すると、灰色の固体が析出していた。
【0049】
【0050】
実施例1~11および比較例1~4の蒸着用原料の調製方法および評価結果を以下に示す。
[実施例1]
テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニルインジウム(InC5(CH3)4(n-C3H7))(0.10g、0.36mmol)、テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニルガリウム(GaC5(CH3)4(n-C3H7))(0.06g、0.26mmol)、およびテトラヒドロフラン(THF)(0.16g、2.2mmol)を混合した。混合した溶液をガラス容器に入れ、溶封した後、30℃で保存し、様子を観察した。
6日以上経っても、色の変化や沈殿は観測されなかった。
【0051】
[実施例2]
テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニルインジウム(0.10g、0.36mmol)、テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニルガリウム(0.04g、0.17mmol)およびテトラヒドロフラン(THF)(0.14g、1.9mmol)を混合した。混合した溶液をガラス容器に入れ、溶封した後、30℃で保存し、様子を観察した。
一週間以上経っても溶液の色は黄色から変化しなかったが、わずかな固体の析出が観測された。
【0052】
[実施例3]
テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニルインジウム(0.10g、0.36mmol)、ビス(テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニル)亜鉛(Zn[C5(CH3)4(n-C3H7)]2)(0.15g、0.38mmol)、およびテトラヒドロフラン(0.25g、3.5mmol)を混合した。混合した溶液をガラス容器に入れ、溶封した後、30℃で保存し、様子を観察した。
6日以上経っても、色の変化や沈殿は観測されなかった。
【0053】
[実施例4]
テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニルインジウム(0.10g、0.36mmol)、ビス(テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニル)亜鉛(0.11g、0.28mmol)およびテトラヒドロフラン(0.21g、2.9mmol)を混合した。混合した溶液をガラス容器に入れ、溶封した後、30℃で保存し、様子を観察した。
一週間以上経っても溶液の色は黄色から変化しなかったが、わずかな固体の析出が観測された。
【0054】
[実施例5]
テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニルインジウム(0.44g、1.6mmol)、テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニルガリウム(0.38g、1.6mmol)およびビス(テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニル)亜鉛(0.63g、1.6mmol)を混合した。混合した溶液をガラス容器に入れ、溶封した後、30℃で保存し、様子を観察した。
一週間以上経っても溶液の色は黄色から変化せず、沈殿も析出しなかった。
【0055】
[実施例6]
テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニルインジウム(1.46g、5.3mmol)、テトラメチル-n-プロピル-シクロペンタジエニルガリウム(1.26g、5.4mmol)、ビス(テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニル)亜鉛(2.11g、5.4mmol)およびテトラヒドロフラン(25.17g、349mmol)を混合した。混合した溶液をガラス容器に入れ、溶封した後、30℃で保存し、様子を観察した。
一週間以上経っても溶液の色は黄色から変化せず、沈殿も析出しなかった。
【0056】
[実施例7]
テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニルインジウム(1.46g、5.3mmol)、テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニルガリウム(1.26g、5.4mmol)、ビス(テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニル)亜鉛(2.11g、5.4mmol)、およびエチルシクロヘキサン(25.17g、224mmol)を混合した。混合した溶液を蒸留し、蒸発分を全量回収した。回収した溶液の一部をガラス容器に入れ、溶封した後、30℃で保存し、様子を観察した。
3か月以上経っても、色の変化や沈殿は観測されなかった。
【0057】
[実施例8]
テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニルインジウム(1.46g、5.3mmol)、テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニルガリウム(1.26g、5.4mmol)、ビス(テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニル)亜鉛(2.11g、5.4mmol)およびトルエン(25.17g、273mmol)を混合した。混合した溶液をガラス容器に入れ、溶封した後、30℃で保存し、様子を観察した。
一週間以上経っても溶液の色は黄色から変化しなかったが、わずかな固体の析出が観測された。
【0058】
[実施例9]
エチルシクロペンタジエニルインジウム(InEtCp)(0.11g、0.53mmol)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)スズ(Sn(EtCp)2)(0.16g、0.52mmol)を混合した。混合した溶液をガラス容器に入れ溶封した後、30℃で保存し様子を観察した。
3日以上経っても、色の変化や沈殿は観測されなかった。
【0059】
[実施例10]
エチルシクロペンタジエニルインジウム(InEtCp)(0.10g、0.48mmol)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)スズ(Sn(EtCp)2)(0.15g、0.48mmol)およびテトラヒドロフラン(0.25g、3.4mmol)を混合した。混合した溶液をガラス容器に入れ溶封した後、30℃で保存し様子を観察した。
3日以上経っても、色の変化や沈殿は観測されなかった。
【0060】
[実施例11]
実施例7と同様に混合した溶液の一部を湿式分解して得られた液のICP発光分光分析の結果、In、Ga、Znの含有量はそれぞれ1.78%、1.10%、1.05%であった(理論値In:2.01%、Ga:1.26%、Zn:1.17%)。
混合した溶液を蒸留し、揮発分を全回収した。回収した溶液を湿式分解して得られた液のICP発光分光分析の結果In、Ga、Znの含有量はそれぞれ1.85%、1.15%、1.09%であった。
これらの結果は混合材料の割合が揮発前後で変わらないことを示しており、化学蒸着用の材料として適していると言える。
【0061】
[比較例1]
テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニルインジウム(0.10g、0.36mmol)をガラス容器に入れ、溶封した後、30℃で保存し、様子を観察した。
一日経つと、溶液の色が茶色になるとともに、灰色の固体が析出していた。
【0062】
[比較例2]
テトラメチル-n-プロピルシクロペンタジエニルインジウム(0.10g、0.36mmol)とテトラヒドロフラン(0.10g、1.39mmol)をガラス容器に入れ、溶封した後、30℃で保存し、様子を観察した。
数分のうちに溶液の色が黒色になった。一日経つと、溶液の色が黒色のままであり、灰色の固体が析出していた。
【0063】
[比較例3]
エチルシクロペンタジエニルインジウム(InEtCp)(0.30g、1.44mmol)をガラス容器に入れ溶封した後、30℃で保存し様子を観察した。
一日経つと、灰色の固体が析出していた。
【0064】
[比較例4]
エチルシクロペンタジエニルインジウム(InEtCp)(0.34g、1.63mmol)およびテトラヒドロフラン(0.34g、4.72mmol)をガラス容器に入れ溶封した後、30℃で保存し様子を観察した。
一日経つと、灰色の固体が析出していた。