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特開2022-89782プラスチック製プリフォームの滅菌のための設備および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089782
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】プラスチック製プリフォームの滅菌のための設備および方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/42 20060101AFI20220609BHJP
   A61L 2/18 20060101ALI20220609BHJP
   A61L 101/22 20060101ALN20220609BHJP
【FI】
B29C49/42
A61L2/18 102
A61L101:22
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021195162
(22)【出願日】2021-12-01
(31)【優先権主張番号】10 2020 132 324.7
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】508120916
【氏名又は名称】クロネス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルデマール サップス
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン ゲルティンガー
【テーマコード(参考)】
4C058
4F208
【Fターム(参考)】
4C058AA25
4C058BB07
4C058CC04
4C058EE29
4C058JJ07
4C058JJ28
4F208AG07
4F208AH55
4F208LA09
4F208LB01
4F208LG03
4F208LH01
4F208LH06
4F208LH21
4F208LJ14
4F208LJ15
4F208LJ22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プラスチック製プリフォームを処理するための設備を提供する。
【解決手段】プラスチック製プリフォームを加熱するための加熱装置(2)を有し、プラスチック製プリフォーム(10)をプラスチック容器に成形するための成形装置(6)を有し、プラスチック製プリフォーム(10)を滅菌するための滅菌装置(4)を有している、プラスチック製プリフォーム(10)を処理するための設備であって、滅菌装置(4)は、回転可能な搬送キャリア(42)と、この搬送キャリア(42)上に配置され、プラスチック製プリフォームを保持する複数の保持装置(44)と、プラスチック製プリフォーム(10)に作用する複数の第1の適用装置(50)とを有する少なくとも1つの第1の滅菌ユニット(40)を有し、滅菌装置(4)は、第2の滅菌ユニット(60)を有する、設備。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック製プリフォームを加熱するための加熱装置(2)であって、前記プラスチック製プリフォーム(10)を搬送するための搬送装置(202)と、前記プラスチック製プリフォーム(10)を加熱するための少なくとも1つの加熱装置(204)とを有する加熱装置(2)、
前記プラスチック製プリフォーム(10)の搬送方向において前記加熱装置(2)の下流に配置され、前記プラスチック製プリフォーム(10)をプラスチック容器に成形するための成形装置(6)、および
前記プラスチック製プリフォーム(10)を滅菌するための滅菌装置(4)
を有している、プラスチック製プリフォーム(10)を処理するための設備であって、
前記滅菌装置(4)は、回転可能な搬送キャリア(42)と、この搬送キャリア(42)上に配置され、前記プラスチック製プリフォームを保持する複数の保持装置(44)と、流動性の媒体を前記プラスチック製プリフォーム(10)に作用させる複数の第1の適用装置(50)とを有する少なくとも1つの第1の滅菌ユニット(40)を有し、前記滅菌装置は、前記プラスチック製プリフォームの前記搬送方向において前記第1の滅菌装置(40)に続き、回転可能な搬送キャリア(62)と、この搬送キャリア(62)上に配置され、前記プラスチック製プリフォーム(10)を保持する複数の第2の保持装置(64)と、流動性の媒体を前記プラスチック製プリフォーム(10)に作用させる複数の第2の適用装置(70)とを有する第2の滅菌ユニット(60)を有し、前記プラスチック製プリフォームは、前記第1の滅菌ユニット(40)から前記第2の滅菌ユニット(60)へと直接移し換えられる、ことを特徴とする設備。
【請求項2】
前記プラスチック製プリフォーム(10)が、前記第1の滅菌ユニット(40)の保持装置(44)から前記第2の滅菌ユニット(60)の保持装置(64)へと直接移し換えられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の設備(1)。
【請求項3】
前記滅菌装置は、前記プラスチック製プリフォームの前記搬送方向において前記加熱装置(2)と前記成形装置(6)との間に配置される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の設備(1)。
【請求項4】
回転可能な搬送キャリア(42)と、この搬送キャリア(42)上に配置され、プラスチック製プリフォームを保持する複数の第1の保持装置(44)と、流動性の滅菌媒体を前記プラスチック製プリフォーム(10)に作用させる複数の第1の適用装置(50)とを有する少なくとも1つの第1の滅菌ユニット(40)、および
前記プラスチック製プリフォームの前記搬送方向において前記第1の滅菌装置(40)に続き、回転可能な搬送キャリア(62)と、この搬送キャリア(62)上に配置され、前記プラスチック製プリフォーム(10)を保持する複数の第2の保持装置(64)と、流動性の滅菌媒体を前記プラスチック製プリフォーム(10)に作用させる複数の第2の適用装置(70)とを有する第2の滅菌ユニット(60)
を有する、プラスチック容器、とくにはプラスチック製プリフォーム(10)を滅菌するための滅菌装置(4)であって、
前記プラスチック製プリフォームを、前記第1の滅菌ユニット(40)から前記第2の滅菌ユニット(60)へと直接移し換えることができる、ことを特徴とする滅菌装置(4)。
【請求項5】
正確に1つの第1の適用装置(50)が、各々の第1の保持装置(44)に割り当てられ、かつ/または正確に1つの第2の適用装置(70)が、各々の第2の保持装置(64)に割り当てられる、
ことを特徴とする請求項4に記載の滅菌装置(4)。
【請求項6】
前記第1の適用装置(50)および/または前記第2の適用装置(70)は、回転可能なキャリア(42、62)上に配置される、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の滅菌装置。
【請求項7】
回転可能な搬送キャリア(82)と、この搬送キャリア(82)上に配置され、プラスチック製プリフォームを保持する複数の保持装置(84)と、流動性の滅菌媒体を前記プラスチック製プリフォーム(10)に作用させる複数の適用装置(90)とを備える第3の滅菌ユニット(80)を備える、
ことを特徴とする請求項4~6のいずれか一項に記載の滅菌装置。
【請求項8】
前記第1の適用装置(50)または前記第1の適用装置(50)の構成要素は、前記プラスチック製プリフォームの長手方向(L)に関して第1の位置(P1)に配置され、前記第2の適用装置(70)または前記第2の適用装置(70)の構成要素は、前記プラスチック製プリフォームの前記長手方向(L)に関して第2の位置(P2)に配置され、前記第1および第2の位置は異なる、
ことを特徴とする請求項4~7のいずれか一項に記載の滅菌装置。
【請求項9】
前記第1の適用装置(50)および/または前記第2の適用装置(70)は、滅菌剤を前記容器の口部領域へと分配する分配要素(52、72)を有し、前記分配要素は、滅菌対象の前記容器の口部の断面よりも大きい断面を有する、
ことを特徴とする請求項4~8のいずれか一項に記載の滅菌装置。
【請求項10】
前記第1の適用装置(50)および/または前記第2の適用装置(70)は、滅菌対象の前記容器に対して前記容器の長手方向に可動である、
ことを特徴とする請求項4~9のいずれか一項に記載の滅菌装置。
【請求項11】
前記第1の保持手段(44)は、前記プラスチック製プリフォームの長手方向(L)に関して第1の位置(P11)に配置され、前記第2の保持手段は、プラスチック製プリフォームの長手方向(L)に関して第2の位置(P12)に配置され、前記第1および第2の位置は異なる、
ことを特徴とする請求項4~10のいずれか一項に記載の滅菌装置。
【請求項12】
回転可能な搬送キャリア(42)と、前記搬送キャリア(42)上に配置され、プラスチック製プリフォームを保持する複数の第1の保持装置(44)と、流動性の媒体を前記プラスチック製プリフォーム(10)に作用させる複数の第1の適用装置(50)とを有する少なくとも第1の滅菌ユニット(40)、および
回転可能な搬送キャリア(62)と、この搬送キャリア(62)上に配置され、前記プラスチック製プリフォーム(10)を保持する複数の第2の保持装置(64)と、流動性の媒体を前記プラスチック製プリフォーム(10)に作用させる複数の第2の適用装置(70)とを有し、前記第1の滅菌ユニット(40)によって滅菌された後の前記プラスチック製プリフォームを滅菌する第2の滅菌ユニット(60)
を備える第1の滅菌装置(4)によってプラスチック容器を滅菌する、プラスチック容器、とくにはプラスチック製プリフォーム(10)の滅菌のための方法であって、
前記プラスチック製プリフォームは、前記第1の滅菌ユニット(40)から前記第2の滅菌ユニット(60)へと直接移し換えられる、ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器、とくにはプラスチック容器、およびとくにはプラスチック製プリフォームを滅菌するための設備および方法に関する。そのようなプラスチック製プリフォームは、加熱され、その後にプラスチック瓶などのプラスチック容器へと形成されるように、先行技術において使用されている。
【背景技術】
【0002】
これらのプラスチック製プリフォームを滅菌するためのさまざまな手順が、先行技術から知られている。例えば、電子放射線またはX線放射線またはUV放射線などの放射線によってプラスチック製プリフォームを滅菌することが知られている。別の考え方においては、プラスチック製プリフォームが、過酢酸または過酸化水素などの滅菌物質で処理される。
【0003】
この目的のために、容器を搬送スターホイール上に配置し、搬送の最中にこの搬送スターホイールにおいて滅菌媒体を作用させることが、先行技術において知られている。先行技術においては、例えば、これらの搬送スターホイールのいくつかが連続して使用される。通常は、プラスチック製プリフォームが処理される第1の搬送スターホイールが設けられ、その後に、プラスチック製プリフォームを単に搬送するさらなる搬送スターホイールが続き、この搬送スターホイールに、プラスチック製プリフォームの搬送および適用の両方が行われる搬送スターホイールが続く。これらの手順は、技術的に有用であることが明らかになっているが、容器処理システムにおいて比較的大量の空間を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、そのようなシステムのための空間および/または設置空間を縮小するという目的に基づく。さらに、そのような処理をより効率的にする手段を提供することも意図される。本発明によれば、これは、独立特許請求項の主題によって達成される。好都合な実施形態およびさらなる発展が、従属請求項の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
プラスチック製プリフォームを処理するための本発明による設備は、プラスチック製プリフォームを加熱するための加熱装置を有し、加熱装置は、プラスチック製プリフォームを搬送するための搬送装置と、プラスチック製プリフォームを加熱するための少なくとも1つの加熱装置とを有する。さらに、設備は、プラスチック製プリフォームの搬送方向において加熱装置の下流に配置され、プラスチック製プリフォームをプラスチック容器に成形するための成形装置と、プラスチック製プリフォームを滅菌するための滅菌装置とを備える。
【0006】
本発明によれば、滅菌装置は、回転可能な搬送キャリアと、この搬送キャリア上に配置され、プラスチック製プリフォームを保持する複数の第1の保持装置と、流動性の媒体をプラスチック製プリフォームに作用させる複数の第1の適用装置とを備える第1の滅菌ユニットを少なくとも備える。
【0007】
さらに、滅菌装置は、プラスチック製プリフォームの搬送方向において第1の滅菌ユニットに隣接し、回転可能な搬送キャリアと、この搬送キャリア上に配置され、プラスチック製プリフォームを保持する複数の第2の保持装置とを有する第2の滅菌ユニットを有する。さらに、この第2の滅菌ユニットは、流動性の媒体をプラスチック製プリフォームに作用させる複数の第2の適用装置を有し、プラスチック製プリフォームは、第1の滅菌ユニットから第2の滅菌ユニットに直接移し換えられる。
【0008】
したがって、本発明の文脈において、滅菌装置を、プラスチック製プリフォームを第1の滅菌ユニットから第2の滅菌ユニットに直接移し換えるように構成することが提案される。とくに、これは、プラスチック製プリフォームが、例えば、第1の滅菌ユニットの保持装置から第2の滅菌ユニットの保持装置に直接移し換えられる一方で、技術水準においては、プラスチック製プリフォームが、最初に第1の滅菌ユニットから搬送装置に移し換えられ、その後に搬送装置から第2の滅菌ユニットに移し換えられることを意味する。
【0009】
好ましくは、第1の適用装置がプラスチック製プリフォームに作用させる流動性の媒体は、滅菌媒体および/または洗浄媒体である。とくには、流動性の媒体は、液体の媒体であり、とくには液体のHおよび/またはHプロセスガスとの空気混合物である。しかしながら、過酢酸も使用可能であると考えられる。
【0010】
好ましくは、第2の適用装置がプラスチック製プリフォームに作用させる流動性の媒体は、滅菌媒体および/または洗浄媒体である。とくには、流動性の媒体は、液体の媒体であり、とくには過酸化水素または過酢酸である。
【0011】
本発明の文脈において、滅菌ユニットが参照される。しかしながら、滅菌ユニットに加え、あるいは滅菌ユニットに代えて、洗浄媒体をプラスチック製プリフォームに適用する洗浄ユニットであってもよいことに留意されたい。しかしながら、好ましくは、ユニットは滅菌ユニットである。滅菌装置は、その全体が洗浄装置であってもよいが、好ましくは滅菌装置である。
【0012】
第1および第2の滅菌ユニットは、同じ滅菌媒体および/または洗浄媒体を容器に作用させることができる。しかしながら、第1および第2の滅菌ユニットが同じ滅菌媒体および/または洗浄媒体をプラスチック製プリフォームに適用することも可能であると考えられる。
【0013】
好都合には、加熱装置は、赤外線加熱装置、とくには赤外線オーブンである。好ましくは、この加熱装置の加熱要素または加熱装置は、不動に配置され、プラスチック製プリフォームが、これらの加熱装置を過ぎて搬送される。しかしながら、加熱装置は、マイクロ波放射線を作用させることによってプラスチック製プリフォームを加熱する電子レンジであってもよい。
【0014】
さらに、加熱装置は、プラスチック製プリフォームを長手方向に対して回転させるための回転装置を備える。このようにして、より均一な加熱が達成される。
【0015】
さらなる好都合な実施形態において、成形装置は、ブロー成形機、とくにはストレッチブロー成形機である。好ましくは、この成形装置は、複数の成形ステーションを有し、プラスチック製プリフォームは、成形ステーションへと供給され、成形ステーションにおいて、加圧された媒体によって、とくにはブロー空気の助けにより、さらに随意により対応する飲料によっても、容器に成形される。
【0016】
さらに好ましい実施形態において、成形装置は、プラスチック製プリフォームを長手方向に膨張させるために、プラスチック製プリフォームへと挿入可能な複数の棒状体(いわゆる、ストレッチロッド)を備える。好ましくは、成形装置の成形ステーションは、このようにしてプラスチック製プリフォームを膨張させるために、好ましくはプラスチック製プリフォームの口部に適用可能ないわゆるブローノズルをさらに備える。
【0017】
プラスチック製プリフォームを保持するための上述の保持装置は、とくには、プラスチック製プリフォームを例えばいわゆる支持リングの下方または上方などの所定の領域において保持する把持クランプである。
【0018】
好ましい実施形態においては、プラスチック製プリフォームを、第1の滅菌ユニットの保持装置から第2の滅菌ユニットの保持装置へと直接移し換えることができる。
【0019】
本出願の文脈において、滅菌装置は、容器を滅菌および/または洗浄するように機能する装置全体であると理解される。滅菌ユニットは、この装置の個々の集合体であり、すなわち、とくには保持装置および適用装置が配置された搬送スターホイールである。
【0020】
好ましい実施形態において、滅菌ユニットは、処理スターホイールとして設計され、すなわち、好ましくは、保持装置および/または適用装置が配置される回転可能なキャリアを有する。これらの滅菌ユニットは、プラスチック製プリフォームの内部を滅菌剤、とくには過酸化水素で満たし、かつ/または充てんする特別なノズルを備えることが可能である。
【0021】
さらなる好都合な実施形態において、滅菌装置は、プラスチック製プリフォームの搬送方向において加熱装置と成形装置との間に配置される。これは、プラスチック製プリフォームが最初にオーブンで加熱され、次いでこの加熱された状態で滅菌され、その後にプラスチック容器へと成形され、例えばブローされることを意味する。
【0022】
滅菌装置を加熱装置の前に配置すること、すなわちプラスチック製プリフォームを最初に滅菌し、次いで加熱することも考えられる。
【0023】
さらに、本発明は、プラスチック容器、とくにはプラスチック製プリフォームを滅菌するための滅菌装置に関し、滅菌装置は、回転可能な搬送キャリアと、この搬送キャリア上に配置され、プラスチック製プリフォームを保持する複数の第1の保持装置と、流動性の滅菌媒体をプラスチック製プリフォームに作用させる複数の第1の適用装置とを備える少なくとも第1の滅菌ユニットを備え、滅菌装置は、プラスチック製プリフォームの搬送方向において第1の滅菌ユニットに続き、回転可能な搬送キャリアと、この搬送キャリア上に配置され、プラスチック製プリフォームを保持する複数の第2の保持装置と、流動性の滅菌媒体をプラスチック製プリフォームに作用させる複数の第2の適用装置とを有する第2の滅菌ユニットを備える。
【0024】
本発明によれば、プラスチック製プリフォームを、第1の滅菌ユニットから第2の滅菌ユニットへと直接移し換えることができる。
【0025】
さらに、保持装置が配置される第1の回転可能なキャリアと、適用装置が設けられる第2の回転可能なキャリアとが設けられてもよい。好ましくは、これらの2つの回転可能なキャリアは、同じ回転軸を中心にして回転可能である。好ましくは、これらの2つの搬送キャリアは互いに平行でもある。
【0026】
さらなる好ましい実施形態においては、滅菌媒体を適用装置へと供給する供給ラインが、各々の適用装置に関連付けられる。さらなる好都合な実施形態において、設備は、個々の供給ラインおよび/または個々の適用装置に滅菌媒体を分配する分配装置を有する。
【0027】
さらなる好都合な実施形態において、分配装置は、リザーバから出発して、滅菌媒体を個々の適用装置へと分配する回転分配器として設計される。
【0028】
好ましい実施形態においては、各々の第1の保持装置に、正確に1つの第1の適用装置が割り当てられ、かつ/または各々の第2の保持装置に、正確に1つの第2の適用装置が割り当てられる。好ましくは、保持装置は、適用装置の下方に配置される。
【0029】
したがって、さらなる好ましい実施形態において、第1の適用装置は、第1の保持装置と同じ回転軸を中心にして回転する。好ましくは、第2の適用装置も、第2の保持装置と同じ回転軸を中心にして回転する。
【0030】
好ましくは、第1および/または第2の滅菌ユニットは、少なくとも10個、好ましくは少なくとも20個、好ましくは少なくとも30個の適用装置および/または保持装置を備える。さらなる好ましい実施形態において、第1および/または第2の滅菌ユニットは、最大100個、好ましくは最大90個、好ましくは最大80個の適用装置および/または保持装置を備える。
【0031】
さらなる好ましい実施形態において、第1の適用装置および/または第2の適用装置は、回転可能なキャリア上に配置される。これは、保持装置も配置される同じ回転可能なキャリアであってもよい。しかしながら、好ましくは、適用装置は、保持装置とは異なる回転可能なキャリアに配置される。
【0032】
さらなる好ましい実施形態において、滅菌装置は、回転可能な搬送キャリアと、この搬送キャリア上に配置され、プラスチック製プリフォームを保持する複数の保持手段と、流動性の滅菌媒体をプラスチック製プリフォームに作用させる複数の適用装置とを備える第3の滅菌ユニットを備える。
【0033】
好ましくは、この第3の滅菌ユニットは、第2の滅菌ユニットに続く。とくに好ましくは、プラスチック製プリフォームを、第2の滅菌ユニットから第3の滅菌ユニットに直接移し換えることができ、かつ/または厳密に言えば、第2の滅菌ユニットの保持装置から第3の滅菌ユニットの保持装置に直接移し換えることができる。
【0034】
さらなる好ましい実施形態において、第1の適用装置は、プラスチック製プリフォームの長手方向に関して第1の位置に配置され、第2の適用装置は、プラスチック製プリフォームの長手方向に関して第2の位置に配置され、好ましくは第1および第2の位置は互いに異なり、あるいは別個である。
【0035】
したがって、好ましくは、第1および第2の適用装置ならびに/または第1および第2の適用装置の構成要素は、異なる高さおよび位置に配置される。このようにして、第1および第2の適用装置が、(とくにはプラスチック製プリフォームを第1の滅菌ユニットから第2の滅菌ユニットに移し換える移し換え領域において)互いに衝突する可能性がない。したがって、好ましくは、適用装置の要素が異なる高さに配置される。
【0036】
さらなる好ましい実施形態において、第3の滅菌ユニットの適用装置および/または保持装置も、第2の滅菌ユニットの適用装置および/または保持装置とは異なるプラスチック製プリフォームの(長手方向における)高さに配置される。
【0037】
さらなる好ましい実施形態において、第1の適用装置および/または第2の適用装置および/または第3の適用装置は、滅菌剤をプラスチック製プリフォームの口部領域へと分配する分配要素を有し、これらの分配要素は、好ましくは、滅菌対象の容器またはプラスチック製プリフォームの口部の断面よりも大きい断面を有する。
【0038】
このようにして、プラスチック製プリフォームの外部および内部の両方を、とくには口部の領域において滅菌することができる。とくに好ましくは、これらの分配要素は、円形の断面を有する。さらなる好ましい実施形態において、これらの分配要素は、(プラスチック製プリフォームの方向に開口部を有する)釣り鐘の形状である。
【0039】
さらなる好ましい実施形態において、分配要素は、プラスチック製プリフォームの内部へ滅菌剤を導入するための偏向要素を備える。
【0040】
さらなる好ましい実施形態において、第1の適用装置および/または第2の適用装置は、滅菌対象の容器に対して容器の長手方向に可動である。このようにして、滅菌剤の適用をより効率的にするために、適用装置を例えばプラスチック製プリフォームの口部のより近くに案内することが可能である。これを、適用装置をプラスチック製プリフォームの長手方向に移動させることによって行うことができ、あるいはプラスチック製プリフォーム自体を移動させることによって行うことができる。さらに、2つの動きの組み合わせも考えられる。
【0041】
さらなる好ましい実施形態において、第1の保持手段は、プラスチック製プリフォームの長手方向に関して第1の位置に配置され、第2の保持手段は、プラスチック製プリフォームの長手方向に関して第2の位置に配置され、第1および第2の位置は異なる。例えば、プラスチック製プリフォームを、最初に支持リングの下方で第1の保持手段によって把持し、次いで支持リングの上方で第2の保持手段によって把持することができる。
【0042】
これも、(プラスチック製プリフォームの移し換え領域における)保持装置の衝突を防止する。さらに、第3の保持装置(すなわち、第3の滅菌ユニットの保持装置)も、好ましくは、第2の滅菌ユニットの保持装置に対して異なる高さ位置に配置される。このようにして、第2の保持装置と第3の保持装置との間の衝突が生じる可能性がない。
【0043】
さらに、滅菌ユニットは、好ましくは、少なくとも1つの弁装置、好ましくは複数の弁装置を備える。好ましくは、各々の個別のプラスチック製プリフォームへの流動性の媒体の供給を別々に制御することができるように、少なくとも1つの弁装置が各々の適用装置に関連付けられる。これらの弁装置を、適用装置の領域に配置することができ、あるいは回転分配器の近傍などの他の領域に配置することもできる。
【0044】
さらなる好ましい実施形態において、滅菌装置はクリーンルームを有し、クリーンルーム内にプラスチック製プリフォームが搬送される。このクリーンルームは、プラスチック製プリフォームの滅菌時にプラスチック製プリフォームの搬送経路を(非滅菌)環境から分離する。すべての滅菌ユニットをこのクリーンルーム内に配置することが可能である。しかしながら、好ましくは、プラスチック製プリフォームを加熱するための加熱装置は、クリーンルームの外部に配置される。
【0045】
このクリーンルームは、互いに対して移動可能であり、クリーンルームを画定する2つの壁を有することができる。
【0046】
さらなる好ましい実施形態において、滅菌装置は、とくには搬送されるプラスチック製プリフォームの間のピッチを変更し、とくには大きくするために適し、かつそのように意図されたピッチ分配スターホイールなど、少なくとも1つのピッチ分配装置を備える。好ましくは、この第1のピッチ分配装置は、プラスチック製プリフォームの搬送方向において第1の滅菌ユニットの上流に配置される。
【0047】
さらなる好ましい実施形態において、設備は、やはりプラスチック製プリフォームのピッチを変更し、とくには大きくするために適し、かつそのように意図された第2のピッチ分配装置、および好ましくは第2のピッチ分配スターホイールを備える。好ましくは、この第2のピッチ分配スターホイールは、プラスチック製プリフォームの搬送方向において最後の滅菌ユニットの後に配置され、例えば第3の滅菌ユニットの後に配置される。
【0048】
さらに、本発明は、プラスチック容器、とくにはプラスチック製プリフォームを滅菌するための方法に関し、プラスチック製プリフォームは、回転可能な搬送キャリアと、この搬送キャリア上に配置され、プラスチック製プリフォームを保持する複数の第1の保持装置と、流動性の媒体をプラスチック製プリフォームに作用させる複数の第1の適用装置とを備える第1の滅菌ユニットを少なくとも備える第1の滅菌装置によって滅菌される。
【0049】
さらに、滅菌装置は、第1の滅菌ユニットによる滅菌後にプラスチック製プリフォームを滅菌する第2の滅菌ユニットを備え、第2の滅菌ユニットは、(第2の)回転可能な搬送キャリアと、この搬送キャリア上に配置され、プラスチック製プリフォームを保持する複数の第2の保持装置と、流動性の媒体をプラスチック製プリフォームに作用させる複数の第2の適用装置とを備える。
【0050】
本発明によれば、プラスチック製プリフォームは、第1の滅菌ユニットから第2の滅菌ユニットへと直接移し換えられる。
【0051】
したがって、方法の側面において、プラスチック製プリフォームを第1の滅菌ユニットまたは第1の滅菌ユニットの保持装置から第2の滅菌ユニットの保持装置へと直接移し換えることがやはり提案される。
【0052】
好ましい方法において、プラスチック製プリフォームは、最初に加熱装置において加熱される。次いで、好ましくは、プラスチック製プリフォームのピッチが変更され、とくには大きくされる。
その後に、プラスチック製プリフォームは、第1の滅菌ユニットによって滅菌され、とくにはHプロセスガスで処理または処置される。このプロセスにおいて、プラスチック製プリフォームを、例えば支持リングの下方で把持することができる。さらなるステップにおいて、プラスチック製プリフォームは、好ましくはHプロセスガスで実施される第2の滅菌ユニットによって処理される。好ましくは、プラスチック製プリフォームは、支持リングの上方で把持される。
【0053】
次いで、好ましくは、プラスチック製プリフォームは、第3の滅菌ユニットで処理され、ここでも好ましくはHプロセスガスで処理が実行される。好ましくは、プラスチック製プリフォームは、再び支持リングの下方で把持される。
【0054】
続いて、プラスチック製プリフォームのピッチが、とくにはさらなる工程におけるストレッチブロー成形機などの成形装置へとプラスチック製プリフォームを移し換えるために、随意により第2のピッチ分配装置によって再びさらに変更され、とくにはさらに増やされる。
【0055】
さらなる利点および実施形態が、添付の図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】容器を取り扱うための設備の概略図を示している。
図2】滅菌ユニットの概略図を示している。
図3】適用装置の図を示している。
図4】移し換え領域内の2つの適用装置の断面図を示している。
図5】1つの滅菌ユニットから別の滅菌ユニットへのプラスチック製プリフォームの移し換えのさらなる図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1が、容器を製造するための設備1の図を示している。この場合、プラスチック製プリフォーム10が、最初に、クロックイン(clock-in)スターホイールなどの供給装置215によって、全体が2として示されているオーブンへと供給される。このオーブン2は、プラスチック製プリフォームの搬送経路に沿って不動に配置された複数の加熱装置204を有する。プラスチック製プリフォーム10は、搬送装置202および保持要素222によってこれらの加熱装置204を過ぎて案内され、加熱装置204によって加熱される。
【0058】
この加熱装置2の後に、ピッチ分配スターホイール30の形態の第1の搬送装置が続く。これは、個々のプラスチック製プリフォームの間のピッチ、すなわち互いの距離を大きくする。このピッチ分配スターホイールは、プラスチック製プリフォームを保持するための複数の保持装置34が配置された回転可能なキャリアを有する。したがって、これらは、好ましくは、プラスチック製プリフォーム10の間のピッチが変更され、とくには増やされ、あるいは拡大されるようなやり方で移動可能である。したがって、このピッチ分配スターホイールは、好ましくは、図示されていないクリーンルーム内にすでに配置されており、好ましくは滅菌モジュールの構成要素でもある。好ましくは、プラスチック製プリフォームは、ピッチ分配スターホイールによって時計回りに搬送される。
【0059】
この第1の搬送装置に、全体が4として示されている滅菌装置が続く。この滅菌装置は、第1の滅菌ユニット40を備える。この第1の滅菌ユニット40は、プラスチック製プリフォームを保持するための複数の保持装置44が配置された回転可能なキャリア42を有する。さらに、過酸化水素などの滅菌媒体をプラスチック製プリフォームに作用させるための複数の適用装置(全体が50によって示されている)が設けられる。好ましくは、プラスチック製プリフォームは、第1の滅菌ユニット40によって反時計回りに搬送される。
【0060】
第1の滅菌ユニット40に、第2の滅菌ユニット60が続く。この第2の滅菌ユニット60も、回転可能な搬送キャリア62と、やはりプラスチック製プリフォームを保持するように機能する複数の保持装置64とを有する。さらに、この第2の滅菌ユニット60は、やはり(とくには流動性の)滅菌媒体でプラスチック製プリフォームを加圧する複数の適用装置70(1つだけが図示されている)を備える。好ましくは、プラスチック製プリフォームは、第2の滅菌ユニット60によって時計回りに搬送される。
【0061】
第2の滅菌ユニット60に、第3の滅菌ユニット80が続く。これも、搬送キャリア82と、この搬送キャリア82上に配置された複数の保持装置84とを有する。加えて、ここでもやはり、滅菌媒体をプラスチック製プリフォームに作用させる複数の適用装置90(1つだけが図示されている)が設けられている。好ましくは、プラスチック製プリフォームは、第3の滅菌ユニット80によって反時計回りに搬送される。
【0062】
好ましくは、第3の滅菌ユニット80に、第2のピッチ分配スターホイール9の形態のさらなる搬送装置9が隣接する。この第2のピッチ分配スターホイールも、プラスチック製プリフォームを保持するための複数の保持装置94が配置された回転可能なキャリア92を有する。この第2のピッチ分配スターホイールも、プラスチック製プリフォームの間のピッチを増加させる。この点に関して、第2のピッチ分配スターホイール9も、依然として滅菌装置4の一部であってよく、クリーンルーム(図示せず)内に配置されてよい。好ましくは、プラスチック製プリフォームは、第2のピッチ分配スターホイール9によって時計回りに搬送される。
【0063】
とくにはストレッチブロー成形機などの成形装置6が、滅菌装置4に続く。これも、搬送キャリア162と、複数の成形ステーション120とを有し、複数の成形ステーション120の各々が、この場合には圧縮空気を適用することによって、プラスチック製プリフォームをプラスチック容器に成形する。
【0064】
図2が、滅菌ユニット40、60、80の図を示している。これらの滅菌ユニットは、実質的に同じ設計であってよい。滅菌ユニット40、60、80は、複数の適用装置50、70、90を有する。滅菌剤は、これらの各々に、供給ライン32を介して供給される。参照符号34が、滅菌媒体を個々の適用装置50、70、90へと分配する回転分配器などの分配装置を示している。
【0065】
参照符号51が、個々の適用装置が取り付けられた搬送スターホイール(部分的にのみ図示されている)を示している。この搬送スターホイールを、図1に示したキャリア42、62、82に順番に固定することが可能であるが、図2には示されていないさらなる別個のキャリア、とくには円板状のキャリアを設けることも、可能であると考えられる。
【0066】
図3が、供給ライン54を有する滅菌ユニット50を示しており、供給ライン54は、接続部58上に配置され、滅菌媒体を偏向部56を介して分配装置52へと供給する。この分配装置は、滅菌媒体をプラスチック製プリフォームの口部領域へと案内する。
【0067】
図4が、プラスチック製プリフォーム10を第1の滅菌ユニット40などの滅菌ユニットから別の滅菌ユニットへと移動させる移し換え領域において案内されているプラスチック製プリフォーム10の図を示している。ここで、符号Lは、プラスチック製プリフォームの長手方向を指している。この長手方向Lにおいて、2つの適用装置50および70が、互いに衝突する可能性がないように、互いに上下にオフセットさせた様相で配置されていることを、見て取ることができる。また、2つの滅菌ユニットに関連する保持装置44および64も、プラスチック製プリフォーム10を、一方では支持リング10aの下方で把持することができ、他方では支持リングの上方で把持することができるように、異なる高さに配置(オフセット)されている。このようにして、保持装置の衝突の可能性も存在しない。
【0068】
加えて、動作時に、適用装置50または70は、とくには図示の移し換え領域の外部の領域において、長手方向Lに変位可能であってもよい。2つの適用装置のうちの一方のみ、および2つの保持装置のうちの一方のみが、移し換え領域の外部に設けられることを、考慮すべきである。適用装置をプラスチック製プリフォームに近づける目的で、例えば、プラスチック製プリフォーム10を上昇させることができ、あるいは反対に、適用装置50または70を下降させることができる。
【0069】
図5が、或る滅菌ユニットからさらなる滅菌ユニットへのプラスチック製プリフォームの移し換えのさらなる図を示している。ここでもやはり、それぞれの適用装置50、70が配置された2つのキャリア51が示されている。この移し換え領域において、適用装置間の衝突が存在しないことを、見て取ることができる。
【0070】
本出願の出願人は、本出願書類に開示したあらゆる特徴を、それらが個別または組み合わせにて先行技術と比べて新規である限りにおいて、本発明に不可欠であると主張する権利を留保する。さらに、個々の図が、単独でも好都合であり得る特徴も記載していることを、指摘しておく。当業者であれば、図に記載された特定の特徴が、その図からのさらなる特徴を採用しなくても好都合であり得ることを、直ちに理解できるであろう。さらに、当業者であれば、個々の図または異なる図に示されたいくつかの特徴の組み合わせからも利点がもたらされ得ることを、理解できるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】