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特開2022-89808導電性ウレタンフォーム、導電性ウレタンフォームの製造方法及び導電ローラ
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  • 特開-導電性ウレタンフォーム、導電性ウレタンフォームの製造方法及び導電ローラ 図1
  • 特開-導電性ウレタンフォーム、導電性ウレタンフォームの製造方法及び導電ローラ 図2
  • 特開-導電性ウレタンフォーム、導電性ウレタンフォームの製造方法及び導電ローラ 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089808
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】導電性ウレタンフォーム、導電性ウレタンフォームの製造方法及び導電ローラ
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20220609BHJP
   G03G 15/02 20060101ALI20220609BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
G03G15/08 221
G03G15/08 235
G03G15/02 101
G03G15/00 551
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197327
(22)【出願日】2021-12-03
(31)【優先権主張番号】P 2020202176
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100119530
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 和幸
(74)【代理人】
【識別番号】100165951
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 憲悟
(72)【発明者】
【氏名】森岡 愛実
【テーマコード(参考)】
2H077
2H171
2H200
【Fターム(参考)】
2H077AC04
2H077AD02
2H077AD06
2H077AE02
2H077FA22
2H077FA25
2H077FA26
2H077FA27
2H171FA26
2H171FA27
2H171FA30
2H171QB03
2H171QB07
2H171QB47
2H171QC03
2H171QC14
2H171UA02
2H171UA03
2H171UA06
2H171UA07
2H171UA10
2H171UA12
2H171UA22
2H171VA02
2H171VA04
2H171VA06
2H171VA09
2H171XA02
2H171XA12
2H200HB12
2H200HB21
2H200HB43
2H200HB45
2H200HB46
2H200HB47
2H200JB10
2H200JB43
2H200JB45
2H200JB46
2H200JB47
2H200MA01
2H200MA02
2H200MA13
2H200MA14
2H200MA20
2H200MB01
2H200MB06
2H200MC11
(57)【要約】
【課題】導電剤の含浸処理に要する負担が少なく、安定した帯電性付与効果が実現された、導電性ウレタンフォーム及び導電性ローラを提供する。
【解決手段】上記課題を解決するべく、本発明の導電性ウレタンフォームは、ウレタンフォーム基材の表層に、導電剤及びバインダー樹脂を含有する含浸液が含浸した導電性ウレタンフォームであって、前記バインダー樹脂が、アクリル樹脂及びシリコーン樹脂のうちから選択される少なくとも一種を含み、前記含浸液が、さらに低分子量のシロキサン化合物を含有することを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタンフォーム基材の表層に、導電剤及びバインダー樹脂を含有する含浸液が含浸した導電性ウレタンフォームであって、
前記バインダー樹脂が、アクリル樹脂及びシリコーン樹脂のうちから選択される少なくとも一種を含み、
前記含浸液が、さらに低分子量のシロキサン化合物を含有することを特徴とする、導電性ウレタンフォーム。
【請求項2】
前記シロキサン化合物の分子量が、500~1,000であることを特徴とする、請求項1に記載の導電性ウレタンフォーム。
【請求項3】
前記含浸液における前記シロキサン化合物の含有量が、2質量%以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の導電性ウレタンフォーム。
【請求項4】
前記バインダー樹脂が、少なくともアクリル樹脂を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の導電性ウレタンフォーム。
【請求項5】
ウレタンフォーム基材の表層に、導電剤及びバインダー樹脂を含有する含浸液を複数回含浸させる工程を具えた導電性ウレタンフォームの製造方法であって、
前記バインダー樹脂が、アクリル樹脂及びシリコーン樹脂のうちから選択される少なくとも一種を含み、
前記含浸液が、さらに低分子量のシロキサン化合物を含有することを特徴とする、導電性ウレタンフォームの製造方法。
【請求項6】
前記ウレタンフォーム基材に前記含浸液を含浸させる回数が、3回以下であることを特徴とする、請求項5に記載の導電性ウレタンフォームの製造方法。
【請求項7】
前記シロキサン化合物の分子量が、500~1,000であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の導電性ウレタンフォームの製造方法。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか1項に記載の導電性ウレタンフォームを用いたことを特徴とする、導電ローラ。
【請求項9】
前記導電性ウレタンフォームが、導電ローラの最外層を構成することを特徴とする、請求項8に記載の導電ローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ウレタンフォーム、導電性ウレタンフォームの製造方法及び導電ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置等における現像部には、図1に示すように、静電潜像を保持する感光体等の画像形成体11と、この画像形成体11に当接して表面に担持したトナー20を付着させることにより静電潜像を可視画像化する現像ローラ12と、この現像ローラ12にトナーを供給するためのトナー供給ローラ13とが設けられており、トナー15を、トナー収容部14からトナー供給ローラ13及び現像ローラ12を介して画像形成体11まで搬送する一連のプロセスにより、画像形成が行われる。
【0003】
このうち、トナー供給ローラ13は、接触する現像ローラ12を傷つけないこと、及び、ローラの接触面積を増してグリップ性を確実にすること等の観点から、軸の外周に、接着層を介してウレタンフォーム等の導電性弾性体を形成した構成が挙げられる。トナー供給ローラ13に要求される機能としては、トナー搬送性、トナー帯電性等があり、これらの機能を満足させるために、種々の方策がとられている。
【0004】
例えば、特許文献1~3には、トナー供給ローラを構成するポリウレタン発泡体に導電性カーボンブラック等の導電剤を含有した処理液を含浸させることによって、トナー供給ローラの電気抵抗を下げ、トナー帯電量(Q/M)を落とし、トナー搬送量(M/A)を高めることを可能にする技術が開示されている。
また、特許文献4には、安定した帯電性付与効果を高め、良好な画像を得る(ローラの安定性を向上する)ことを目的として、回転軸に貫通支持される発泡構造のポリウレタンに、導電性の液状シリコーンゴムを含浸させた導電性弾性ローラが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭57―115433号公報
【特許文献2】特開2002―319315号公報
【特許文献3】特開2003―215905号公報
【特許文献4】特開2003―262997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1~4に開示された技術によって、ある程度の帯電性付与効果を高めることが可能となった。しかしながら、特許文献1~4の技術では、いずれもウレタンフォーム中に導電材料を含浸させるための作業を、複数回(6回以上)行う必要がり、製造時の負担が大きくなるという問題があった。
また、特許文献1~4の技術では、ウレタンフォーム中に導電剤を含浸させる作業に時間や手間がかかるため、得られたウレタンフォームの部位によって抵抗のバラツキが生じことがあり、十分な帯電性付与効果が得られないという問題もあった。
【0007】
そのため、本発明の目的は、導電剤の含浸処理に要する負担が少なく、安定した帯電性付与効果が実現された、導電性ウレタンフォーム及び導電性ウレタンフォームの製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、帯電性付与効果が高く、安定性に優れたトナー供給ローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、ウレタンフォーム基材の表層に、導電剤及びバインダー樹脂を含有する含浸液が含浸した導電性ウレタンフォームについて、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、前記バインダー樹脂が、アクリル樹脂及びシリコーン樹脂のうちから選択される少なくとも一種から構成するとともに、前記含浸液に、さらに低分子量のシロキサン化合物を含有させることによって、含浸液のウレタンフォーム基材への浸透速度を高めることができ、含浸処理に要する負担を大幅に低減できること、また、含浸処理をより効率的且つ安定的に実施できるため、得られた導電性ウレタンフォームは、抵抗のバラツキがなく、安定した帯電性付与効果を実現できることを見出した。
【0009】
即ち、本発明の導電性ウレタンフォームは、ウレタンフォーム基材の表層に、導電剤及びバインダー樹脂を含有する含浸液が含浸した導電性ウレタンフォームであって、前記バインダー樹脂が、アクリル樹脂及びシリコーン樹脂のうちから選択される少なくとも一種を含み、前記含浸液が、さらに低分子量のシロキサン化合物を含有することを特徴とする。
上記構成を具えることによって、導電剤の含浸処理に要する負担が少なく、安定した帯電性付与効果を実現できる。
【0010】
また、本発明の導電性ウレタンフォームについては、前記シロキサン化合物の分子量が、500~1,000であることが好ましい。ウレタンフォーム基材からの溶出を防ぎつつ、含浸処理をより効率的且つ安定的に実施できるためである。
【0011】
さらに、本発明の導電性ウレタンフォームについては、前記含浸液における前記シロキサン化合物の含有量が、2質量%以上であることが好ましい。含浸処理をより効率的且つ安定的に実施できるためである。
【0012】
さらにまた、本発明の導電性ウレタンフォームについては、前記バインダー樹脂が、少なくともアクリル樹脂を含むことが好ましい。含浸処理を効率的に実施でき、表層の強度を高めることができるためである。
【0013】
本発明の導電性ウレタンフォームの製造方法は、ウレタンフォーム基材の表層に、導電剤及びバインダー樹脂を含有する含浸液を複数回含浸させる工程を具えた導電性ウレタンフォームの製造方法であって、前記バインダー樹脂が、アクリル樹脂及びシリコーン樹脂のうちから選択される少なくとも一種を含み、前記含浸液が、さらに低分子量のシロキサン化合物を含有することを特徴とする。
上記構成を具えることによって、高い帯電付与効果及び優れた安定性を実現できる。
【0014】
また、本発明の導電性ウレタンフォームの製造方法については、前記ウレタンフォーム基材に前記含浸液を含浸させる回数が、3回以下であることが好ましい。含浸処理をより効率的に実施できるためである。
【0015】
さらに、本発明の導電性ウレタンフォームの製造方法については、前記シロキサン化合物の分子量が、500~1,000であることが好ましい。ウレタンフォーム基材からの溶出を防ぎつつ、含浸処理をより効率的且つ安定的に実施できるためである。
【0016】
本発明の導電ローラは、上述した本発明の電性ウレタンフォームを用いたことを特徴とする。
上記構成を具えることによって、抵抗のバラツキがなく、安定した帯電性付与効果を実現できる。
【0017】
また、本発明の導電ローラについては、前記導電性ウレタンフォームが、導電ローラの最外層を構成することが好ましい。保護層等の最外層を設けることなく、安定した帯電性付与効果を実現できるためである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、導電剤の含浸処理に要する負担が少なく、安定した帯電性付与効果が実現された、導電性ウレタンフォーム及び導電性ウレタンフォームの製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、帯電性付与効果が高く、安定性に優れたトナー供給ローラを提供することができる。
【0019】
また、本発明の導電性ウレタンフォームの製造方法については、前記ウレタンフォーム基材に前記含浸液を含浸させる回数が、3回以下であることが好ましい。含浸処理をより効率に実施できるためである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】画像形成装置の一例を模式的に示した部分断面図である。
図2】本発明のトナー供給ローラの一実施形態を模式的に示した断面図である。
図3】実施例及び比較例において得られた導電性ウレタンフォームの抵抗値及びそのバラツキを示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について、必要に応じて図面を用いて説明する。
<導電性ウレタンフォーム>
本発明の導電性ウレタンフォームは、ウレタンフォーム基材の表層に、導電剤及びバインダー樹脂を含有する含浸液が含浸したものである。
ウレタンフォーム基材の表層に、導電剤及びバインダー樹脂を含有する含浸液が含浸されていることによって、帯電性付与効果を発現することができ、良好な画像を得ることができる。
【0022】
(ウレタンフォーム基材)
本発明の導電性ウレタンフォームを構成するウレタンフォーム基材については、特に限定はされず、用途や目的に応じて、公知のウレタンフォームを適宜用いることができる。
【0023】
前記ウレタンフォーム基材については、例えば、2個以上の活性水素を有する化合物と2個以上のイソシアネート基を有する化合物を、触媒、発泡剤、整泡剤等の添加剤と共に攪拌混合して発泡・硬化させることにより製造できる。例えば、800~3600の平均分子量差を有する2種類の単一ジオールを含む単一ジオールの混合物を、ポリオール成分に対して総量で50質量%以上含むポリエーテルポリオールと、イソシアネートと、水と、触媒と、発泡剤とを混合し、発泡させ、放置することにより製造することができる。
【0024】
ここで、「単一ジオール」とは、1種のジオール又は平均分子量の差が400以内の2種以上のジオール群を総称する意味に用いられる。また、「平均分子量差」とは、対象となるジオールが各々有する平均分子量の差分を表し、組み合わせが多種類ある場合には、特に、最大の差分を表す意味に用いられる。
【0025】
前記プレポリマーの製造に用いられるポリオール成分としては、例えば、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、酸成分とグリコール成分とを縮合したポリエステルポリオール、カプロラクトンを開環重合したポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール等を用いることができる。
【0026】
本発明において、前記ウレタンフォーム基材を製造する際に用いられるポリエーテルポリオールとしては、例えば、(A)ジエチレングリコールにプロピレンオキサイドのみを付加させたタイプのポリエーテルポリオール、また、(B)ジエチレングリコールにプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドをブロック又はランダムに付加させたタイプのポリエーテルポリオール、さらに、(C)前記(A)又は(B)に例えばアクリルニトリルやスチレンをグラフトしたタイプのポリエーテルポリオール、等が挙げられる。その中でも、より効果を発揮するためには、(A)タイプのポリエーテルポリオールであることが好ましい。
【0027】
前記ポリエーテルポリオールを製造するために用いられる開始剤としては、多価アルコール、多価フェノール、モノ若しくはポリアミン、その他のものが挙げられるが、好ましくは多価アルコール及び多価フェノールであり、さらに好ましくは多価アルコールであり、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール等が含まれ、この中でもジエチレングリコールが特に好ましい。
【0028】
また、前記ポリエーテルポリオール成分には、ジオール以外のポリオール成分も含み得る。このようなポリオール成分としては、通常、ウレタンフォーム基材の製造に使用される3官能の、例えば、グリセリンベースにプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させたもの、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイド等の2種のアルキレンオキサイドをランダム若しくはブロックで付加させたもの等が挙げられ、多官能のものとしては、例えば、サッカロースベースに前記と同様のものを付加させたポリエーテルポリオール、等が挙げられる。
【0029】
エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオールとしては、例えば、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、メチルグルコシド、芳香族ジアミン、ソルビトール、ショ糖、リン酸等を出発物質とし、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したものを挙げることができるが、特に、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールを出発物質としたものが好適である。付加するエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの比率やミクロ構造については、エチレンオキサイドの比率が好ましくは2~95質量%、より好ましくは5~90質量%であり、末端にエチレンオキサイドが付加しているものが好ましい。また、分子鎖中のエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの配列は、ランダムであることが好ましい。
【0030】
なお、かかるポリエーテルポリオールの分子量としては、水、プロピレングリコール、エチレングリコールを出発物質とする場合は2官能となり、重量平均分子量で300~6000の範囲のものが好ましく、3000~5000の範囲のものがより好ましい。また、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールを出発物質とする場合は3官能となり、重量平均分子量で900~9000の範囲のものが好ましく、4000~8000の範囲のものがより好ましい。さらに、2官能のポリオールと3官能のポリオールとを適宜ブレンドして用いることもできる。
【0031】
また、ポリテトラメチレンエーテルグリコールは、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合によって得ることができ、重量平均分子量が400~4000の範囲、特には、650~3000の範囲にあるものが好ましく用いられる。また、分子量の異なるポリテトラメチレンエーテルグリコールをブレンドすることも好ましい。さらに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを共重合して得られたポリテトラメチレンエーテルグリコールを用いることもできる。
【0032】
さらに、ポリテトラメチレンエーテルグリコールと、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオールとを、ブレンドして用いることも好ましい。この場合、これらのブレンド比率が、質量比で95:5~20:80の範囲、特には90:10~50:50の範囲となるように用いることが好適である。
【0033】
また、前記ポリオール成分とともに、ポリオールをアクリロニトリル変性したポリマーポリオール、ポリオールにメラミンを付加したポリオール、ブタンジオール等のジオール類、トリメチロールプロパン等のポリオール類やこれらの誘導体を併用することもできる。
【0034】
前記ポリイソシアネート成分としては、芳香族イソシアネート又はその誘導体、脂肪族イソシアネート又はその誘導体、脂環族イソシアネート又はその誘導体が用いられる。これらの中でも芳香族イソシアネート又はその誘導体が好ましく、特に、トリレンジイソシアネート(TDI)又はその誘導体、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)又はその誘導体、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート又はその誘導体が好適に用いられ、単体若しくは混合して使用される。
【0035】
トリレンジイソシアネート又はその誘導体としては、粗製トリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネートと2,6-トリレンジイソシアネートとの混合物、これらのウレア変性物、ビュレット変性物、カルボジイミド変性物、ポリオール等で変性したウレタン変性物等が用いられる。ジフェニルメタンジイソシアネート又はその誘導体としては、例えば、ジアミノジフェニルメタン又はその誘導体をホスゲン化して得られたジフェニルメタンジイソシアネート又はその誘導体が用いられる。ジアミノジフェニルメタンの誘導体としては多核体等があり、ジアミノジフェニルメタンから得られた純ジフェニルメタンジイソシアネート、ジアミノジフェニルメタンの多核体から得られたポリメリック・ジフェニルメタンジイソシアネート等を用いることができる。ポリメリック・ジフェニルメタンジイソシアネートの官能基数については、通常、純ジフェニルメタンジイソシアネートと様々な官能基数のポリメリック・ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物が用いられ、平均官能基数が好ましくは2.05~4.00、より好ましくは2.50~3.50のものが用いられる。また、これらのジフェニルメタンジイソシアネート又はその誘導体を変性して得られた誘導体、例えば、ポリオール等で変性したウレタン変性物、ウレチジオン形成による二量体、イソシアヌレート変性物、カルボジイミド/ウレトンイミン変性物、アロハネート変性物、ウレア変性物、ビュレット変性物等も用いることができる。また、数種類のジフェニルメタンジイソシアネートやその誘導体をブレンドして用いることもできる。
【0036】
前記プレポリマー化の方法としては、ポリオールとイソシアネートを適切な容器に入れて十分に攪拌し、30~90℃、より好ましくは40~70℃で、6~240時間、より好ましくは24~72時間保温する方法が挙げられる。この場合、ポリオールとイソシアネートとの分量の比率は、得られるプレポリマーのイソシアネート含有率が4~30質量%となるように調節することが好ましく、より好ましくは6~15質量%である。イソシアネートの含有率が4質量%未満であると、プレポリマーの安定性が損なわれ、貯蔵中にプレポリマーが硬化してしまい、使用に供することができなくなるおそれがある。また、イソシアネートの含有率が30質量%を超えると、プレポリマー化されていないイソシアネートの含有量が増加し、このポリイソシアネートは、後のポリウレタン硬化反応において用いるポリオール成分との、プレポリマー化反応を経ないワンショット製法に類似の反応機構により硬化するため、プレポリマー法を用いる効果が薄れる。
【0037】
なお、前記ウレタンフォーム基材の硬化反応に用いる触媒としても、特に限定はされない。例えば、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン等のモノアミン類、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルプロパンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン等のジアミン類、ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、テトラメチルグアニジン等のトリアミン類、トリエチレンジアミン、ジメチルピペラジン、メチルエチルピペラジン、メチルモルホリン、ジメチルアミノエチルモルホリン、ジメチルイミダゾール等の環状アミン類、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、メチルヒドロキシエチルピペラジン、ヒドロキシエチルモルホリン等のアルコールアミン類、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、エチレングリコールビス(ジメチル)アミノプロピルエーテル等のエーテルアミン類、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫メルカプチド、ジブチル錫チオカルボキシレート、ジブチル錫ジマレエート、ジオクチル錫メルカプチド、ジオクチル錫チオカルボキシレート、フェニル水銀プロピオン酸塩、オクテン酸鉛等の有機金属化合物等が挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
(バインダー樹脂)
そして、本発明の導電性ウレタンフォームでは、表層に含浸する前記含浸液がバインダー樹脂を含有し、該バインダー樹脂は、アクリル樹脂及びシリコーン樹脂のうちから選択される少なくとも一種を含む。
これらの樹脂を、バインダー樹脂として用いることによって、前記ウレタンフォーム基材へ含浸させた後のウレタンフォーム基材への含浸を効率的に行うことができ、さらにウレタンフォームの硬度及び反発弾性の変化を抑えることもできる。
【0039】
ここで、前記ウレタンフォーム基材の表層とは、前記ウレタンフォームの骨格に、導電剤及びバインダー樹脂を含有する含浸液がコーティングされることにより、形成された層のことである。本発明では、少なくとも表面に、前記含浸液が含浸していれば一定の帯電性付与効果を奏することができるため、表層(含浸液が含浸した層)の厚みについては特に限定されない。
また、前記含浸液は、前記ウレタンフォームの少なくとも一部の表層に含浸させればよいが、ウレタンフォームの硬度及び反発弾性の変化を最小限に抑える観点からは、前記ウレタンフォーム基材全体の表層に含浸させることが好ましい。
【0040】
ここで、前記バインダー樹脂に含まれるアクリル樹脂及びシリコーン樹脂のうちから選択される少なくとも一種の含有量は、前記ウレタンフォーム基材の表層への含浸処理を行うことができれば特に限定はされない。例えば、アクリル樹脂及びシリコーン樹脂のうちから選択される少なくとも一種の含有量(合計含有量)を、前記バインダー樹脂中の50質量%以上、70質量%以上又は100質量%とすることができる。
また前記含浸液中の前記バインダー樹脂の含有量についても特に限定はされない。例えば、20~30質量%程度とすることができる。
【0041】
また、本発明の導電性ウレタンフォームにおけるアクリル樹脂及びシリコーン樹脂のうちから選択される少なくとも一種の含有量については、前記ウレタンフォームの基材100質量部に対して、0.3~20質量%であることが好ましく、5~10質量%であることがより好ましい。ウレタンフォームの硬度及び反発弾性の変化をより抑えることができるためであり、前記シリコーン樹脂の含有量が前記ウレタンフォームの基材100質量部に対して0.3質量部未満の場合は、カーボンがウレタンフォームに接着できず脱落するおそれがあり、20質量%を超える場合には、導電性ウレタンフォームの物性が変化し、硬度及び反発弾性の変化を十分に抑えることができないおそれがある。
【0042】
また、前記バインダー樹脂は、少なくともアクリル樹脂を含むことが好ましい。含浸処理を効率的に実施でき、表層の強度を高めることができるためである。
ここで、前記アクリル樹脂については、アクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルの重合体であれば、特に限定はされないが、アクリロニトリル・アクリル酸アルキル共重合体を用いるが好ましい。さらにまた、前記アクリル樹脂は、市販のアクリル樹脂を用いることができ、一種単独で用いることもできるし、複数種を混合して用いることもできる。
【0043】
さらに、前記バインダー樹脂中に含まれるシリコーン樹脂の種類については、シロキサン結合による主骨格をもつ高分子化合物であれば特に限定はされず、目的や用途に応じて、適宜シリコーン樹脂を選択して用いることができる。例えば、前記シリコーン樹脂を前記ウレタンフォーム基材に含浸させるための、加工性や密着性を向上させる観点からは、前記シリコーン樹脂として、液状シリコーンゲルの主剤と、硬化剤とから構成されるシリコーン樹脂であることが好ましい。そのようなシリコーン樹脂としては、例えば、付加反応型液状シリコーン樹脂、過酸化物を加硫に用いる熱加硫型ミラブルタイプのシリコーン樹脂等が挙げられる。
さらにまた、前記シリコーン樹脂については、ウレタンフォームの硬度及び反発弾性の変化をより抑えることができる観点からは、過酸化物硬化シリコーン、縮合型熱硬化シリコーン、付加型熱硬化シリコーン及びカチオン型UV硬化シリコーンからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
なお、前記シリコーン樹脂については、シロキサン結合による主骨格をもつ高分子化合物であり、後述する低分子量のシロキサン化合物とは異なるものである。
【0044】
また、前記バインダー樹脂については、上述したアクリル樹脂及びシリコーン樹脂以外にも、本発明の効果を阻害しない範囲で、アクリル酸-スチレン共重合体樹脂、アクリル酸-酢酸ビニル共重合体樹脂等のアクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリ塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ブタジエン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、クロロプレンゴム等をさらに含有することができる。これらの成分は、単独で、又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0045】
なお、前記含浸液については、前記バインダー樹脂に加えて、適量の水や、トルエン、酢酸エチル等の溶媒を、さらに添加して用いることができる。なお、前記溶媒は、前記含浸液の粘度が5~300cps(25℃)程度となるように添加することが好ましい。前記含浸液の粘度を上記範囲内とすることにより含浸付着作業がさらに容易になる。
【0046】
(導電剤)
また、前記含浸液は、さらに導電剤を含有する。前記導電剤とは、前記バインダー樹脂を介して前記ウレタンフォーム基材中に含浸することで、ウレタンフォーム基材に導電性を付与できる材料である。具体的には、カーボン導電剤、イオン導電剤、電子導電剤等が挙げられ、これらを単独又は複数混合して用いることができる。
また、上述した導電剤の中でも、カーボン導電剤を用いることが好ましい。コストを抑えつつも、優れた帯電性付与効果が得られるためである。
【0047】
前記カーボン導電剤については、例えば、デンカブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のガスブラック、インクブラックを含むオイルファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ランプブラック等が挙げられる。
【0048】
さらに、本発明の導電性ウレタンフォームにおける前記カーボン導電剤の含有量は、前記ウレタンフォームの基材100質量部に対して、5~25質量部であることが好ましく、10~20質量部であることが特に好ましい。良好な導電性を付与しつつ、ウレタンフォームの硬度及び反発弾性の変化をより抑制できるためである。
【0049】
なお、前記イオン導電剤については、例えば、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム(例えば、ステアリルトリメチルアンモニウム)、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、アルキル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等のアンモニウム塩、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩等が挙げられる。
【0050】
また、前記電子導電剤の例としては、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属等を挙げることができる。
【0051】
(シロキサン化合物)
そして、本発明の導電性ウレタンフォームは、前記含浸液が、さらに低分子量のシロキサン化合物を含有することを特徴とする。
前記含浸液が低分子量のシロキサン化合物を含有することで、表面張力を下げることができるため、前記含浸液の前記ウレタンフォーム基材への浸透速度を高め、含浸処理の効率化を図ることできる結果、含浸処理に要する負担を低減できる。また、含浸処理が安定的且つ効率的に行われるため、得られた本発明の導電性ウレタンフォームは、抵抗のバラツキがなく、安定した帯電性付与効果を奏することができる。
【0052】
前記シロキサン化合物は、低分子量であることを要するが、具体的には、300~1,500であることが好ましく、500~1,000であることがより好ましい。前記シロキサン化合物の分子量が300以上の場合には、前記ウレタンフォーム基材から含浸液が溶出することがなく、前記シロキサン化合物の分子量が1,500以下の場合には、表面張力をより下げることができるため、含浸処理をより効率的且つ安定的に行える。
【0053】
ここで、前記シロキサン化合物については、シロキサン結合を有するものであればよく、また、未変性のものでもよいし、変性させたものであってもよい。前記シロキサン化合物としては、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリメチルアルキルシロキサン等が挙げられる。
なお、これらのシロキサン化合物については、一種を単独で用いることもできるし、複数種を混合して用いることもできる。
【0054】
また、前記含浸液における前記シロキサン化合物の含有量は、含浸処理をより効率的且つ安定的に行える観点から、2質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、8質量%以上であることがさらに好ましい。さらに、前記含浸液における前記シロキサン化合物の含有量は、効果の飽和を防ぐ観点から、40質量%以下であることが好ましい。
【0055】
なお、前記含浸液については、必要に応じて、前記含浸液中にその他の添加剤をさらに含有することもできる。前記添加剤については、消泡剤、界面活性剤、荷電制御剤等が挙げられる。これらの添加剤の含有量については、前記含浸液100質量部に対して、0.001~10質量部であることが好ましく、0.001~1質量部の範囲であることがより好ましい。
【0056】
<導電性ウレタンフォームの製造方法>
次に、本発明の導電性ウレタンフォームの製造方法について説明する。
本発明の導電性ウレタンフォームの製造方法は、ウレタンフォーム基材の表層に、導電剤及びバインダー樹脂を含有する含浸液を複数回含浸させる工程を具えた導電性ウレタンフォームの製造方法であって、
前記バインダー樹脂が、アクリル樹脂及びシリコーン樹脂のうちから選択される少なくとも一種を含み、前記含浸液が、さらに低分子量のシロキサン化合物を含有することを特徴とする。
前記バインダー樹脂が、アクリル樹脂及びシリコーン樹脂のうちから選択される少なくとも一種から構成するとともに、前記含浸液に、さらに低分子量のシロキサン化合物を含有させることによって、含浸液のウレタンフォーム基材への浸透速度を高めることができ、含浸処理に要する負担を大幅に低減できることに加え、含浸処理をより効率的且つ安定的に実施できる結果、得られた導電性ウレタンフォームは、抵抗のバラツキがなく、安定した帯電性付与効果が実現される。
【0057】
なお、前記ウレタンフォーム基材、前記導電剤、前記バインダー樹脂、前記シロキサン化合物等の条件については、上述した本発明の導電性ウレタンフォームの中で説明した内容と同様である。
【0058】
また、本発明の導電性ウレタンフォームの製造方法は、上述したように、含浸処理に要する負担を大幅に低減できる、つまり、前記含浸液の前記ウレタンフォーム基材への含浸処理の回数を減らすことができる。具体的には、より効率的に含浸処理を実施し、負担を低減する観点から、3回以下であることが好ましく、2回以下であることがより好ましい。
【0059】
<導電ローラ>
本発明のトナー導電ローラは、上述した本発明の導電性ウレタンフォームを用いたことを特徴とする。
本発明の導電性ウレタンフォームを用いることによって、帯電性付与効果が高く、安定性に優れたトナー供給ローラを実現できる。
【0060】
前記導電ローラについては、導電性を有し、帯電性付与効果を奏するローラ部材であり、例えば、トナー供給ローラ、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ等が挙げられる。これらの中でも、本発明の導電ローラは、トナー供給ローラとして用いることが好ましい。
【0061】
前記トナー供給ローラとは、例えば、図1に示すように、現像ローラ12へとトナー15を供給するためのローラ13であり、導電性を有する。
また、図2は、本発明のトナー供給ローラの一例を模式的に示したものである。図2では、本発明のトナー供給ローラが、軸1の外周に、接着層2を介して、本発明の導電性ウレタンフォーム3を担持してなる。
【0062】
なお、前記トナー供給ローラに用いられる軸1としては、特に制限はなく、いずれのものも使用し得るが、例えば、硫黄快削鋼等の鋼材にニッケルや亜鉛等のめっきを施したものや、鉄、ステンレススチール、アルミニウム等の金属製の中実体からなる芯金、内部を中空にくりぬいた金属製円筒体等の金属製シャフトを用いることができる。なお、本発明においては、かかる軸1の径をφ6mm未満、例えば、5.0mmとし、かつ、本発明の導電性ウレタンフォーム3の厚みを4.5mm未満、例えば、4.0mmとすることが好適である。これにより、ローラの軽量化を図ることができるとともに、本発明の導電性ウレタンフォーム3の薄層化によりマクロで見た時のウレタンフォームの弾性率が上がり、トナー掻き取り性が向上する。また、本発明の導電性ウレタンフォーム3の薄層化によるウレタンフォームの体積減少により、印字耐久時に本発明の導電性ウレタンフォーム3が含むトナー量が減少し、トナー燃費を抑制することができる。
【0063】
また、前記トナー供給ローラにおいては、図2に示すように、軸1と荷電制御された導電性ウレタンフォーム3との間に、接着層2を設けることが好ましい。接着層2に用いる接着剤としては、融点120℃以上、特には130℃以上200℃以下のアジペート系ポリウレタン樹脂を主成分とする熱溶融型高分子接着剤を好適に用いることができる。
かかる接着剤の性状としては、フィルムやペレット等、いかなる形態であってもよい。また、接着層2の厚みは、好適には20~300μmであり、薄すぎると接着不良が発生し、厚すぎると好適なローラ抵抗が得られないため、いずれも好ましくない。なお、接着時における接着剤の溶融温度は、100℃以上、特には130℃以上200℃以下であって、接着剤の融点よりも低い温度とすることが好ましい。これにより、接着層2が半溶融状態となり、5V印加時のローラ抵抗を10~10Ω、100V印加時のローラ抵抗を10~10Ωと電圧依存性をコントロールすることがより容易になり、印字耐久初期の濃度を上げることが可能となる。
【0064】
なお、前記トナー供給ローラ13は、例えば、軸1の外周に、所望に応じ接着剤を介して本発明の導電性ウレタンフォーム3を形成した後、軸1と本発明の導電性ウレタンフォーム3とを所定の温度で加熱接着することにより製造することができる。
例えば、まず、バインダー樹脂、添加剤を混合してなる含浸液を調製し、この含浸液を満たした浴中に、ブロック状(16mm×1000mm×2000mm)の除膜処理を施していないウレタンフォームを浸漬し、2本のロール間で圧縮した後、開放して含浸液にウレタンフォームを含浸する。これを浴上に導いて、ニップロールに通して余分な含浸液を絞り、除去した後110℃の熱風炉にて10分間加熱乾燥し、荷電制御されたウレタンフォーム3を作製する。この方法により成形できる本発明の導電性ウレタンフォーム3は、機械的なガス封入により得られるものと比べて低硬度、具体的にはアスカーF硬度で30~90°の発泡体となる。
【0065】
また、軸1の外周には、フィルム状接着剤を巻回するか、またはペレット状接着剤を溶融、塗布することにより、接着剤の膜を形成する。その後、本発明の導電性ウレタンフォーム3に孔をあけて、この孔に接着剤付きの軸1を挿入する。その後、所定温度で加熱を行って、軸1と本発明の導電性ウレタンフォーム3とを接着層2を介して一体化させ、本発明の導電性ウレタンフォーム3の表面を研磨して所望の円筒形状とし、さらに、本発明の導電性ウレタンフォーム3の端部を裁断して所定形状とすることで、前記トナー供給ローラ13を得ることができる。
【実施例0066】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0067】
(サンプル1~8)
表1に示すような条件で、ウレタンフォーム基材((株)ブリヂストン製、密度55kg/m、硬度80(Ask-F)、通気性100cc/cm/sec)の表層に、18質量%の導電剤(カーボンブラック:御国色素(株)製「PSMブラックA898」、固形分40%)7質量%のバインダー樹脂(アクリル樹脂(アクリルニトリル・アクリル酸アルキル共重合体エマルジョン):エネックス(株)製「BS-050301-1」、固形分50%)、及び、表1に示す条件の添加剤を含有する含浸液を含浸させることで、導電性ウレタンフォームのサンプルを作製した。なお、含浸処理を行った回数は、表1に示す。
その後、作製した実施例及び比較例の導電性ウレタンフォームの各サンプルについて、以下の評価を行った。
【0068】
(帯電性付与効果の評価)
導電性ウレタンフォームの各サンプルについて、(株)三菱ケミカルアナリテック製「ロレスタGX MCP-T700」を用いて、印加電圧90Vの条件で、抵抗値(LogΩ・cm)を測定した。測定は、サンプルごとに5回測定し、平均値を図3に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
*1 ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「レオコールSC-90」、分子量:923
*2 ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、BYK社製「BYK349」、分子量:901~1640
*3 ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、BYK社製「BYK3450」、分子量:808
*4 ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、BYK社製「BYK3451」、分子量:941
【0071】
表1及び図3の結果から、各実施例の導電性ウレタンフォームは、比較例1の導電性ウレタンフォームに比べて、いずれも、2回の含浸作業にも関わらず、抵抗が低く、導電性に優れることがわかった。一方、比較例の各サンプルでは、9回の含浸作業を行うこと(サンプル2)で一定の導電性が得られるものの、2回の含浸作業ではいずれも良好な導電性が得られないことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明によれば、導電剤の含浸処理に要する負担が少なく、安定した帯電性付与効果が実現された、導電性ウレタンフォーム及び導電性ウレタンフォームの製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、帯電性付与効果が高く、安定性に優れたトナー供給ローラを提供することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 軸
2 接着層
3 導電性ウレタンフォーム
11 画像形成体
12 現像ローラ
13 トナー供給ローラ
14 トナー収容部
15 トナー
図1
図2
図3