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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089811
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】耐水蒸気性透明ポリアミド
(51)【国際特許分類】
   C08G 69/36 20060101AFI20220609BHJP
   C08L 77/06 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
C08G69/36
C08L77/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021197504
(22)【出願日】2021-12-06
(31)【優先権主張番号】20211736.2
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】521247869
【氏名又は名称】エムス-ヒェミー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】トマス ウィーデマン
(72)【発明者】
【氏名】エティエンヌ アエプリ
【テーマコード(参考)】
4J001
4J002
【Fターム(参考)】
4J001DA01
4J001DB04
4J001DC15
4J001EA16
4J001EA17
4J001EB09
4J001EB10
4J001EB36
4J001EB37
4J001EB46
4J001EC16
4J001FA03
4J001FB06
4J001FC03
4J001FD01
4J001GA13
4J001GB02
4J001GB03
4J001GB05
4J001JA02
4J001JA13
4J001JB09
4J001JB18
4J001JB31
4J001JB42
4J001JC02
4J002CL002
4J002CL051
4J002DA016
4J002DA026
4J002DA036
4J002DE136
4J002DE236
4J002DG046
4J002DL006
4J002EG036
4J002EG046
4J002EP006
4J002FA046
4J002FA086
4J002FD016
4J002FD066
4J002FD076
4J002FD096
4J002FD136
4J002FD176
4J002GC00
4J002GG01
4J002GM00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】脂環式ジアミン、芳香族ジカルボン酸、さらに脂肪族構造単位をベースとし、水蒸気に対する高い耐性を示す透明成形コンパウンドを提供すること。
【解決手段】少なくともポリアミド単位AB/AC/Dから形成される少なくとも1種のコポリアミドを含む、ポリアミド成形コンパウンド。ここで(A)が、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)および/またはビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)であり、(B)が、イソフタル酸(I)、ナフタレンジカルボン酸、およびテレフタル酸(T)の群から選択され、(C)が炭素数10~16の直鎖脂肪族ジカルボン酸であり、(D)が炭素数11または12の直鎖α,ω-アミノカルボン酸またはそのラクタムである。また、単位AB/AC/Dの構成割合がそれぞれ特定の範囲内である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともポリアミド単位AB/AC/Dから形成される少なくとも1種のコポリアミドを含むポリアミド成形コンパウンドであって、
(A)が、少なくとも1種の脂環式ジアミンとして、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)およびビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)の群から選択され、
(B)が、少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸として、イソフタル酸(I)、ナフタレンジカルボン酸、およびテレフタル酸(T)の群から選択され、
(C)が、少なくとも1種の脂肪族ジカルボン酸として、デカン二酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸の群から選択され、
(D)が、少なくとも1種のラクタム又は1種のα,ω-アミノカルボン酸として、ラウロラクタム(LC12)、ウンデカノラクタム(LC11)、12-アミノドデカン酸、および11-アミノウンデカン酸の群から選択され、
ポリアミド単位ABの割合が30~45mol%の範囲にあり、
ポリアミド単位ACの割合が30~40mol%の範囲にあり、
ポリアミド単位Dの割合が20~32mol%の範囲にあり、
ポリアミド単位AB、ACおよびDの合計が100mol%である、
ポリアミド成形コンパウンド。
【請求項2】
脂肪族ポリアミド単位ACおよびDの合計が55~65mol%の範囲、好ましくは58~64mol%の範囲にあり、及びポリアミド単位ABの割合が35~45mol%の範囲にあるか又は36~42mol%の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド成形コンパウンド。
【請求項3】
ポリアミド単位ACの割合が31~38mol%の範囲、好ましくは32~35mol%の範囲にあり、
及び/又は、ポリアミド単位Dの割合が22~31mol%の範囲、好ましくは25~30mol%の範囲にある
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリアミド成形コンパウンド。
【請求項4】
(A)が専ら、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)として選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のポリアミド成形コンパウンド。
【請求項5】
(B)が、イソフタル酸(I)およびテレフタル酸(T)の混合物として選択され、テレフタル酸(T)に対するイソフタル酸(I)の比が、好ましくは40:60~60:40の範囲、特に好ましくは45:55~55:45の範囲にあることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のポリアミド成形コンパウンド。
【請求項6】
(C)が専らドデカン二酸から選択されることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載のポリアミド成形コンパウンド。
【請求項7】
(D)が専らラウロラクタム(LC12)から選択されることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載のポリアミド成形コンパウンド。
【請求項8】
コポリアミドが専らポリアミド単位AB/AC/Dから構成されることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載のポリアミド成形コンパウンド。
【請求項9】
85~100質量%、好ましくは90~100質量%、特に好ましくは95.0~99.9質量%の、少なくともポリアミド単位AB/AC/Dから形成されるコポリアミド、
0~15質量%、好ましくは0~10質量%、特に好ましくは0.1~5.0質量%の添加剤であって、好ましくはコポリアミドAB/AC/Dとは異なるポリアミド;UV安定剤;熱安定剤;フリーラジカルスカベンジャー;加工助剤;混入阻害剤;滑剤;金属が好ましくはマグネシウム、カルシウム、バリウムからなる群から選択されるステアリン酸金属塩又はモンタン酸金属塩を含む離型剤;鉱物油又は脂肪酸アミド;消泡剤;可塑剤;光学的性質、特に屈折率に影響を及ぼすための機能性添加剤;耐衝撃性改良剤;充填剤及び/又は混合剤;光学増白剤;染料又はこれらの混合物の群から選択される添加剤、
から構成され、
充填剤及び/又は混合剤が、好ましくはナノスケールであり、及び/又は以下の群:ガラス繊維、ガラスビーズ、カーボン繊維、カーボンブラック、グラファイト、難燃剤、二酸化チタン、炭酸カルシウムもしくは硫酸バリウムを含む鉱物、又はこれらの混合物から選択される
ことを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載のポリアミド成形コンパウンド。
【請求項10】
添加剤が、粒状充填剤及び/又は繊維状充填剤及び/又は混合剤を含まないことを特徴とする、請求項9に記載のポリアミド成形コンパウンド。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載のポリアミド成形コンパウンドを調製するための方法であって、少なくともポリアミド単位AB/AC/Dから形成されるコポリアミドが、圧力容器において、180℃~330℃の圧力段階、好ましくは270℃~330℃の圧力段階、その後の260℃~350℃での膨張、好ましくは260℃~320℃での膨張、その後の270℃~350℃での脱気、好ましくは260℃~320℃での脱気、およびストランドの形態のポリアミド成形コンパウンドの排出、冷却、ペレット化ならびにペレット化材料の乾燥、任意に、ペレット化材料としての添加剤との混合、およびストランドを形成するための融点250℃~350℃での押出成形機における形成、ペレットを生み出すための好適なペレタイザーを使用する細断により調製されることを特徴とする、前記方法。
【請求項12】
請求項1~10のいずれかに記載のポリアミド成形コンパウンドから作製された成形品であるか、又は少なくとも一部の領域が請求項1~10のいずれかに記載のポリアミド成形コンパウンドから作製された成形品であって、好ましくは融点230℃~320℃で射出成形プロセス及び/又は射出-圧縮成形プロセスにより製造され、金型が温度40℃~130℃に調節され、任意にキャビティ充填後の温度40℃~130℃の金型が熱成形のために圧縮にかけられてもよい前記成形品、特に耐水蒸気性の透明な前記成形品。
【請求項13】
700回超の蒸気サイクル、好ましくは1000回超の蒸気サイクルに対する耐性を有することを特徴とする、請求項12に記載の成形品。
【請求項14】
好ましくは水及び/又は水蒸気と接触するための管又は容器、特に好ましくは加工技術、食品技術における管又は容器、特に、食品の製造及び/又は加工及び/又は加熱のための容器、好ましくは乳児及び/又は幼児食品分野における食品の製造及び/又は加工及び/又は加熱のための容器であることを特徴とする、請求項12又は13に記載の成形品。
【請求項15】
食品容器又はその一部としての、特に台所用品の一部としての、特に水蒸気を使用する食品の製造及び/又は加工及び/又は加熱のための食品容器又はその一部としての、請求項12~14のいずれかに記載の成形品の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂環式ジアミン構造単位および芳香族ジカルボキシル構造単位をベースとし、水蒸気に対する特定の耐性および良好な機械的性質も特徴とする、透明ポリアミドに関する。本発明はさらに、このような透明ポリアミドを調製するための方法、このようなポリアミドの使用、およびこのようなポリアミドから作製される部品に関する。
【背景技術】
【0002】
透明アモルファスコポリアミド成形コンパウンド、およびそこから製造可能な、透明アモルファスポリアミドで成形された物品が先行技術から公知である。透明ポリアミドの分野では、基本的に2種のポリマー、特に、一方の微結晶透明ポリアミド、他方のアモルファス透明ポリアミドの間で区別がなされる。
微結晶透明コポリアミド成形コンパウンド、ならびにその、眼鏡フレーム、器具の覗きガラスとカバー、およびランプカバーへの使用が、例えば独国特許出願公開第43 10 970号より公知である。前記文書に記載されるポリアミドは、ジアミン成分としての4,4’-ジアミノシクロヘキシルメタン、および酸成分としてのドデカン二酸から調製される。
欧州特許出願公開第1 595 907号は、脂環式ジアミンおよびC14ジカルボン酸をベースとする透明アモルファスポリアミドについて記載している。
欧州特許出願公開第0 725 101号はさらに、とりわけ大部分の溶媒中で並外れた応力き裂耐性(stress cracking resistance)を有する、脂環式ジアミンおよびC12ジカルボン酸をベースとする透明アモルファスポリアミドについて開示している。
【0003】
脂環式ジアミンをベースとするこのような透明な系統は、芳香族構造単位も含みうる。例えば欧州特許出願公開第725100号は、MACMI/12型の透明な系統について開示しており、独国特許第2642244号、国際出願公開第2007/087896号および欧州特許出願公開第2 666 803号は、MACMI/MACMT/12型の透明な系統について開示しており、欧州特許出願公開第055 335号は、PACMI/PACMT/12型の透明な系統について開示している。米国特許出願第2009/306308号は、それぞれが高い脂肪族含量および不十分な熱機械的性質を有する、PACMT/PACM10/12型又はPACMT/PACM14/12型およびPACMT/MACM14/12型の透明な系統について開示している。米国特許第5,416,172号は、MACMI/MACMT/MACM6/12型の透明な系統について開示している。
欧州特許出願公開第0603813号は、透明コポリアミドから作製される成形物品、ならびに、9~12個の炭素原子を有する長鎖モノマーおよびランダムに分布した半芳香族ポリアミドのためのモノマーから形成され、条件付きの状態においても剛性、強度、高い靭性および並外れた溶媒安定性を特徴とする透明コポリアミドそのものについて記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第43 10 970号
【特許文献2】欧州特許出願公開第1 595 907号
【特許文献3】欧州特許出願公開第0 725 101号
【特許文献4】欧州特許出願公開第725100号
【特許文献5】独国特許第2642244号
【特許文献6】国際出願公開第2007/087896号
【特許文献7】欧州特許出願公開第2 666 803号
【特許文献8】欧州特許出願公開第055 335号
【特許文献9】米国特許出願第2009/306308号
【特許文献10】米国特許第5,416,172号
【特許文献11】欧州特許出願公開第0603813号
【発明の概要】
【0005】
序文で言及された透明ポリアミドは、配合次第で良好な機械的性質および良好な透明性を有する。しかし、先行技術で公知の透明ポリアミド系統は、繰返しの水蒸気曝露に対し不十分な耐性を示すことが分かっている。特に、公知の系統は概して、これらの条件下で微細なき裂を形成し、結果として共に透明性を失い、機械的性質の低下および場合により、このような材料が互いに空間を区切るのに使用される場合には耐漏洩性の低下にも見舞われることが分かっている。
したがって、とりわけ、先行技術と比較して改善された透明ポリアミド成形コンパウンド、特に、脂環式ジアミン、芳香族ジカルボン酸、さらに脂肪族構造単位をベースとし、水蒸気に対する高い耐性を示す透明成形コンパウンドを提供することが本発明の目的である。部品はさらに掻き傷耐性であり、水をほとんど吸収せず、かつ高い化学的安定性を有し、このことは、例えば食品又は染料を含む化学物質に曝露された場合、部品が染みを残すことなく容易に洗浄されうることも意味する。
したがって本発明は、請求項1に記載のポリアミド成形コンパウンド、およびこのようなポリアミド成形コンパウンドの使用、このようなポリアミド成形コンパウンドを調製するための方法、および前記材料から製造される成形品を提供する。
【0006】
特に、本発明は、少なくとも1種のコポリアミドを含むポリアミド成形コンパウンドに関する。このコポリアミドは、少なくとも以下で定義されるポリアミド単位AB/AC/Dから形成される。さらなるポリアミド単位もこのコポリアミド中に存在してよいが、好ましくはこれらのポリアミド単位のみが存在する。特に、例えば以下で定義される(A)について2種の異なる系統が選択される場合、複雑な構造が形成されてよい。
例えば、2種の異なる系統A’およびA’’が(A)について選択される場合、ポリアミドは略してA’B/A’’C/Dと表記されてよいが、より詳しく調べれば、これは以下のポリアミド単位:A’B/A’C/A’’B/A’’C/Dを有する系統である。
少なくともポリアミド単位AB/AC/Dから形成されるコポリアミドの構造単位は、以下の通り定義される:
(A)は、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)およびビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)の群から少なくとも1種の脂環式ジアミンとして選択され、
(B)は、イソフタル酸(I)、ナフタレンジカルボン酸、およびテレフタル酸(T)の群から少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸として選択され、
(C)は、デカン二酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸の群から少なくとも1種の脂肪族ジカルボン酸として選択され、
(D)は、ラウロラクタム(LC12)、ウンデカノラクタム(LC11)、12-アミノドデカン酸、および11-アミノウンデカン酸の群から少なくとも1種のラクタム又は1種のα,ω-アミノカルボン酸として選択される。
【0007】
ここでは以下の条件が当てはまる:
ポリアミド単位ABの割合は30~45mol%の範囲にあり、
ポリアミド単位ACの割合は30~40mol%の範囲にあり、
ポリアミド単位Dの割合は20~32mol%の範囲にあり、
ポリアミド単位AB、ACおよびDの合計は100mol%である。
このコポリアミドから作製されるポリアミド成形コンパウンドが、先行技術から公知の透明成形コンパウンドの欠点を克服しうること、および良好な透明性とともに良好な熱機械的性質を提供しうること、および特に温度100℃の水蒸気との頻繁な接触に関して安定でもあり、すなわち、例えあったとしても、わずかな曇りにのみに見舞われ、及び/又は例えあったとしてもごく少ない微細なき裂のみを形成することが分かっている。したがって、このような成形品は、台所分野および食器洗い機での使用に好適であるだけでなく、水蒸気処理を使用するフードプロセッサーにも好適である。
【0008】
特に、これらの性質が、少なくとも1種の脂環式ジアミンおよび少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸と組み合わせて、長鎖ラクタム又はα,ω-アミノカルボン酸に加えて長鎖脂肪族ジカルボン酸が構造単位として存在する厳密な事例でのみ達成されうることが分かっている。これらの構造単位のうち1種が省かれた場合、この性質は達成されえない。さらに、請求項で主張される割合で成分が使用されない場合、例示的な実施形態に基づいて以下で実証されるように、同様に性質は達成されえない。
ASTM D1003に従って光透過率として測定される、透明成形コンパウンドから製造された厚さ2mmを有する板の透明性は、好ましくは90%超、特に好ましくは少なくとも92%であり、曇りは好ましくは最大5%、特に好ましくは最大3%である。本発明による成形コンパウンドの望ましい使用について、剛性(引張弾性係数1500MPa超)および高い靭性(好ましくは23℃および-30℃での耐衝撃性:破断なし)が達成される。
【0009】
本出願の文脈において透明性の尺度として使用される光透過率についての値は、常にASTM D1003:2013(CIE-Cイルミナント)法に従って決定されるものと理解されるべきである。以下で実施される実験では、BYK Gardner社(ドイツ)のHaze Guard Plus機器において、70x2mmの円盤又は寸法60x60x2mmの板で光透過率の測定を実施した。透過率は、CIE-Cにより定義される可視波長域、すなわちおおよそ400~770nmの間の重要な強度について与えられる。70x2mmの円盤又は60x60x2mmの正方形の板は、例えばArburg射出成形機において、研磨された金型で、シリンダー温度200℃~340℃の間、金型温度20℃~140℃の間で、この目的のために製造される。
さらに好ましい実施形態によれば、コポリアミドはガラス転移温度(Tg)150℃~200℃、特に好ましくは160℃~180℃を有する。
ポリアミド成形コンパウンドの第1の好ましい実施形態は、脂肪族ポリアミド単位ACおよびDの合計が55~65mol%の範囲、好ましくは58~64mol%の範囲にあることを特徴とする。この範囲内の脂肪族単位の特定の選択により、特に高温の水蒸気に対する耐性が増大することが分かっている。好ましくは、ポリアミド単位ABの割合は35~45mol%の範囲、好ましくは36~42mol%の範囲にある。
【0010】
さらに好ましくは、ポリアミド単位ACの割合は31~38mol%の範囲、好ましくは32~35mol%の範囲にある。
さらに好ましい実施形態によれば、ポリアミド単位Dの割合は22~31mol%の範囲、好ましくは25~30mol%の範囲にある。
コポリアミドAB/AC/Dがアモルファスであり、かつ(A)が専ら、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)として選択される場合に、ポリアミド成形コンパウンドについての特に良好な性質が得られる。本発明の文脈においてアモルファスは、コポリアミドが、ISO 11357-3(2012)に従って決定される融解エンタルピー、3J/g以下を有することを意味する。
(B)は、好ましくはイソフタル酸(I)およびテレフタル酸(T)の混合物として選択される。テレフタル酸(T)に対するイソフタル酸(I)の比は、好ましくは40:60~60:40の範囲、特に好ましくは45:55~55:45の範囲にある。2種の構造単位は通常、1:1の比で基本的に使用される。
言及されたように、効果の達成には、長鎖ジカルボン酸が使用されることが重要である。(C)が専らドデカン二酸から選択される場合に、特に良好な性質が得られる。
(C)が専らドデカン二酸から選択され、かつ(D)が専らラウロラクタム(LC12)から選択されることがさらに好ましい。
【0011】
コポリアミドが専らポリアミド単位AB/AC/Dから構成される場合に、特に安定な性質が得られる。先に言及されたように、これは、ここでは短い形として理解されるべきであり、例えば2種の異なる脂環式ジアミンが(A)に使用される場合、このように専ら短い形として存在する構造A’B/A’’C/Dが、実際には以下のポリアミド単位:A’B/A’C/A’’B/A’’C/Dとともに存在する系統も含むことが考慮されるべきである。
ポリアミド成形コンパウンドの特に非常に好ましい実施形態は、以下の構造:MACMT/MACMI/MACM12/12を有する、すなわち、専らMACM、テレフタル酸、イソフタル酸、ドデカン二酸およびラウロラクタムから形成される。この事例でのポリアミド単位は、好ましくは以下の通り配分され、パーセンテージはモルパーセンテージであり、合計100%になる:
MACMT/MACMI/MACM12/12:17~22%/17~22%/31~36%/24~31%。
多くの用途において、このようなポリアミド成形コンパウンドは、性質を調節するのに必要な添加剤を加えて混合されてよく、通常は混合される。ゆえに本発明によるポリアミド成形コンパウンドは、通常、例えば15質量%未満、好ましくは10質量%未満、特に好ましくは0.1~5.0質量%未満などの低い割合で慣例の添加剤を含んでいてよい。
【0012】
したがって、さらに好ましい実施形態における本発明は、
85~100質量%、好ましくは90~100質量%、特に好ましくは95.0~99.9質量%の、少なくとも先に提示されるポリアミド単位AB/AC/Dから形成されるコポリアミド、
0~15質量%、好ましくは0~10質量%、特に好ましくは0.1~5.0質量%の、好ましくは本発明によるコポリアミドAB/AC/Dとは異なるポリアミド;UV安定剤;熱安定剤;フリーラジカルスカベンジャー;加工助剤;混入阻害剤(inclusion inhibitor);滑剤;金属が好ましくはマグネシウム、カルシウム、バリウムからなる群から選択されるステアリン酸金属塩又はモンタン酸金属塩を含む離型剤(mould release aids);鉱物油又は脂肪酸アミド;消泡剤;可塑剤;光学的性質、特に屈折率に影響を及ぼすための機能性添加剤;耐衝撃性改良剤;充填剤及び/又は混合剤(admixture);光学増白剤(optical brightener);染料又はこれらの混合物の群から選択される添加剤から構成され、充填剤及び/又は混合剤が、好ましくはナノスケールである、及び/又は以下の群:ガラス繊維、ガラスビーズ、カーボン繊維、カーボンブラック、グラファイト、難燃剤、二酸化チタン、炭酸カルシウムもしくは硫酸バリウムを含む鉱物、又はこれらの混合物から選択される、
このようなポリアミド成形コンパウンドに関する。
【0013】
本発明によるコポリアミドAB/AC/Dとは異なる好ましいポリアミドは、PA11、PA12、PA610、PA612、PA614、PA616、PA1010、PA1012、PA1014およびPA1016であり、PA12が特に優先される。
好ましい耐衝撃性改良剤は、酸修飾又は酸無水物修飾エチレン-α-オレフィンコポリマー、エチレン-グリシジル-メタクリル酸コポリマーおよびメタクリレート-ブタジエン-スチレンコポリマーから選択される群由来である。
ゆえに、充填剤又は強化剤も、本発明による成形コンパウンドに添加されてよい。この事例では、成形コンパウンドから製造される成形品は当然、必ずしも透明である必要はない。ガラス繊維およびカーボン繊維と並行して使用可能な強化剤は、特に再生可能な原料および50%超の生体由来材料(biocontent)をベースとするものである。天然繊維、例えばセルロース繊維、麻繊維、亜麻繊維、綿繊維、羊毛繊維又は木質繊維を使用することが特に好ましい。
しかし、好ましくは、このようなポリアミド成形コンパウンドは、粒状及び/又は繊維状充填剤及び/又は混合剤の形態の添加剤を一切含まない。
【0014】
本発明はさらに、先に記載されるポリアミド成形コンパウンドを調製するための方法に関し、この方法は、少なくともポリアミド単位AB/AC/Dから形成されるコポリアミドが、圧力容器において、270℃~330℃の圧力段階、その後の260℃~320℃での膨張、その後の260℃~320℃での脱気、およびストランドの形態のポリアミド成形コンパウンドの排出、冷却、ペレット化ならびにペレット化材料の乾燥、任意に、ペレット化材料としての添加剤との配合、およびストランドを形成するための融点250℃~350℃での押出成形機における形成、ペレットを生み出すための好適なペレタイザーを使用する細断により調製されることを好ましくは特徴とする。
好ましくは、本発明によるコポリアミドは、20℃でISO 307(2013)に従ってポリマー0.5gのm-クレゾール100ml溶液について決定される、1.5~2.5の間、特に好ましくは1.6~2.0の間、特に非常に好ましくは1.65~1.85の間の溶液粘度(ηrel)を有する。
【0015】
20℃でのポリマー0.5gのm-クレゾール100ml溶液において測定される望ましい相対粘度にするため、0.01~3mol%だけわずかに超過するジアミン又はジカルボン酸のいずれかを使用することが可能である。調整プロセスでは好ましくは、0.01%~2.0質量%、好ましくは0.05%~0.5質量%のモノアミン又はモノカルボン酸を使用する。好適な調整剤は、安息香酸、酢酸、プロピオン酸、ステアリルアミン又はこれらの混合物である。アミン又はカルボン酸基を含み、例えばトリアセトンジアミン又はイソフタル酸-ジトリアセトンジアミン誘導体などの、HALS型又はtert-ブチルフェノール型の安定剤群をさらに含む調整剤が特に優先される。過剰量のジアミンおよびモノカルボン酸の組合せで粘度を調整することが特に優先される。
重縮合反応を加速させるための好適な触媒は、H3PO2、H3PO3、H3PO4、これらの塩又は有機誘導体などのリン含有酸であり、これらは同時に、処理中の変色を低減させる。添加される触媒の量は0.01質量%~0.5質量%の範囲、好ましくは0.03質量%~0.1質量%の範囲にある。脱気プロセス中の発泡を回避するための好適な消泡剤は、10%乳剤に対して、0.001質量%~1.0質量%の範囲の、好ましくは0.01質量%~0.10質量%の範囲の量のシリコーン又はシリコーン誘導体を含む水性乳剤である。
【0016】
重縮合プロセスの前に、0.01質量%~0.5質量%の量の好適な熱安定剤又は好適なUV安定剤が、既に混合物に添加されていてよい。高融点の種類を使用することが好ましい。Irganox1098を使用することが特に好ましい。
本発明はさらに、このようなポリアミド成形コンパウンドから作製される成形品に関する。特に、本発明は、先に記載されるポリアミド成形コンパウンドから作製されるか又はポリアミド成形コンパウンドから作製される少なくとも1つの領域を有し、好ましくは融点230℃~320℃で射出成形プロセス及び/又は射出-圧縮成形プロセスにより製造され、金型が温度40℃~130℃に調節され、キャビティ充填後の温度40℃~130℃の金型が熱成形のために圧縮にかけられてもよい、耐水蒸気性の透明な成形品に関する。
膨張-射出-圧縮成形プロセスは、本発明による透明ポリアミド成形コンパウンドから作製される成形品、例えば眼鏡用のレンズ又は高価値の外被部品などの、無欠陥で低応力の表面を製造するための特に好適なプロセスであり、そのプロセスにおいて、1~5mmの肉厚を有するキャビティが充填され、次いで、充填が継続している間、金型のキャビティがより大きな肉厚に拡張される。
【0017】
本発明による透明ポリアミド成形コンパウンドから、単層又は多層設計のフィルム、管および半製品を製造するための好適なプロセスは、250℃~350℃の間の融点を使用する一軸スクリュー又は多軸スクリュー押出成形機での押出しプロセスを含み、そこでは、異なる層の適合性次第で、適切なコポリマー又はブレンドの形態の好適な接着促進剤が使用可能である。
その後、成形品は、浸漬浴として公知のものによりバルク染色又は着色されてよい。成形品の任意の機械的作業では、磨砕、穿孔、粉砕、レーザーマーキング、レーザー切断及び/又はレーザー溶接を使用する。
この種の成形品は、特に好ましくは、700回超の、好ましくは1000回超の蒸気サイクルに対する耐性を有することを特徴とする。
好ましくはこのような成形品は、好ましくは水及び/又は水蒸気と接触するための管又は容器であってよい。特に好ましくは、これは食品技術での加工技術(加熱技術を含む)における管又は容器、特に、好ましくは乳児及び/又は幼児食品分野における、食品の製造及び/又は加工及び/又は加熱のための容器である。
【0018】
この種の成形品は、好ましくは、ASTM D1003(2013)に従って測定され、CIEイルミナントCを使用するByk Gardner社のHaze Gard Plus測定機器を使用して、温度23℃で、寸法2x60x60mmを有する板又は寸法2x70mmを有する円盤で決定される光透過率を特徴とし、光透過率は少なくとも88%、好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも92%である。
最後に、本発明は、家庭用品の一部、特に食品容器又はその一部としての、特に台所用品の一部としての、特に水蒸気を使用する食品の製造及び/又は加工及び/又は加熱のための、このような成形品の使用にも関する。
さらなる実施形態が、従属請求項に明記される。
説明のためだけに機能し、制限するものと解釈されるべきではない図に基づいて、本発明の好ましい実施形態が以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】耐水蒸気性を決定するための成形品を示す図である。
図2】耐水蒸気性を決定するための装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
説明のためだけに機能し、制限するものと解釈されるべきではない例示的な実施形態に基づいて、本発明の好ましい実施形態が以下に記載される。
本発明による透明コポリアミドは、貯蔵容器および反応容器を有する公知の撹拌可能な圧力オートクレーブにおいて、それ自体公知の方法で調製される:
まず、貯蔵容器を脱イオン水で充填し(表1の混合物に基づいて25質量%)、モノマーおよび添加剤を添加する。これに続き、窒素ガスで繰り返し不活性化する。混合物を180~230℃に加熱し、その間、均一な溶液を得るために確立された圧力下で撹拌する。この溶液を、ふるいを通して反応容器にポンプで注入し、そこで、圧力30bar以下で望ましい反応温度260~350℃まで加熱する。2~4時間の圧力段階において、反応温度で混合物を維持する。その後の膨張段階で、圧力を1~2時間以内に大気圧まで減少させ、その過程で温度がわずかに下降しうる。
その後の脱気段階で、大気圧で0.5~1時間、温度270~350℃で混合物を維持する。ポリマーメルトをストランドの形態で排出し、15~80℃の水浴で冷却し、ペレット化する。ペレット化材料を、窒素下又は減圧下で12時間、80~120℃で水含量0.1質量%未満になるまで乾燥させる。
【0021】
実施例および比較例に記載されるコポリアミドを調製するのに以下のモノマーを使用する。
3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン(MACM):ASTM D1015-55による凝固範囲:-7~-0.6℃;製造業者:BASF AG社、ドイツ。
ドデカン二酸(DDS):融解範囲:128~132℃;製造業者:Invista Nederland B.V.社、オランダ。
イソフタル酸(IPS):融解範囲:345~348℃;製造業者:Flint Hills Resources社、スイス。
テレフタル酸(TPS):融解範囲:400℃超;製造業者:BP Amoco Chemical Company社、USA。
ラウロラクタム(LL):融解範囲:149~153℃;製造業者:EMS-CHEMIE AG社、スイス。
さらに、おおよそ0.15質量%の安息香酸を鎖調整剤として使用し、おおよそ0.01質量%のAntifoam RDを消泡剤(10質量%乳剤、Dow Corning S.A.社、ベルギー)として使用し、各事例における濃度は、表1の混合物に基づいた。
【0022】
以下の基準および以下の試験片によって測定を実施した。
引張弾性係数:
ISO 527(2012)引張速度1mm/分による;
ISO引張試験片、基準:ISO/CD3167、A1型、170x20/10x4mm;
温度23℃。
破断強度および破断時の伸び:
ISO 527(2012)引張速度50mm/分による;
ISO引張試験片、基準:ISO/CD3167、A1型、170x20/10x4mm;
温度23℃。
Charpyノッチ付き耐衝撃性:
ISO179/*eA(*2=機器装着済み)(2011);ISO試験片、基準:ISO/CD3167、B1型、80x10x4mm;温度23℃。
【0023】
ガラス転移温度(Tg)、融点および融解熱:
ISO基準11357-1、11357-2、11357-3(2013);ペレット化材料;TA Instruments社のDSC2920機器を使用して、加熱速度20K/分および冷却速度5K/分で、示差走査熱量測定(DSC)を実施した。TA Instruments社のUniversal Analysis2000プログラムを使用して、サーモグラムを分析した。ガラス転移温度を決定するため、1回目の加熱運転後にドライアイス中で試料を急冷した。2回目の加熱運転でガラス転移温度(Tg)を決定した。ガラス転移温度(Tg)として報告されたガラス転移範囲の中間点は、「半値(half-height)」法により確認した。
透明性:
ASTM D 1003(2013);70mm円盤又は60x60mm板、2mm厚さ、温度23℃;CIEイルミナントCを使用する、Byk Gardner社のHaze Gard plus測定機器。光透過率の値は入射光の量の%として報告する。
相対粘度:
ISO 307(2007);m-クレゾールの100ml溶媒中0.5g;
温度20℃;基準のセクション11に従っての、RV=t/t0による相対粘度(RV)の算出。
【0024】
HDT A(1.8MPa)およびHDT B(0.45MPa):
ISO 75;ISO衝撃試験片、80x10x4。
耐水蒸気性(蒸気サイクルに耐える能力):
成形品1、一方の端にフランジを有する管状の切片(図1を参照のこと)は、記載される材料から射出成形により製造され、以下の通り与えられる寸法を有する:管長さL1=100mm、管の内径D1=20mm、管およびフランジの肉厚W=2mm、フランジ直径F1=100mm、管およびフランジ間の半径=5mm。試験のため、耐水蒸気性2を決定するべく、管1-1が装置の内部に突き出し、フランジ1-2が開口部2-1(開口部の直径D2=50mm)に対して外側で中心に引っかかるように、成形品4つを上から装置の開口部に配置する(図2を参照のこと)。試験中、成形品がこの位置を維持するように、ガイドエレメントを試験器具の上側に装着する。成形品1つにつき1本の水蒸気導入パイプ2-2が下から器具内に突き出し、5cmの距離で中心の位置で成形品の下に垂直に配置される。水蒸気の供給はバルブにより制御される。耐水蒸気性2を決定するための装置は、外形寸法60x20x15(L2xHxT)cmを有する。
【0025】
試験の第1の部分、水蒸気処理の間、成形品を温度100℃の水蒸気の流れに75分間曝露する。この事例での水蒸気供給パイプの水蒸気の流れは0.3g/分である。凝縮された水蒸気は試験器具下部の開口部2-3を通って流れ出ることができ、その一方で水蒸気の凝縮されていない部分は、成形品の開口部を通って逃げることができる。
75分の水蒸気処理の後、水蒸気の供給を停止し、成形品を75分間冷却させることが可能である。ここでの周囲温度は23℃であり、相対空気湿度は60%である。
冷却段階が終了した後、成形品の水蒸気への曝露により新たなサイクルが再度開始される。
試験の過程において、微細なき裂の形成について成形品を視覚的に評価する。微細なき裂は特に、水蒸気供給パイプに近い管、およびフランジに変わる領域で形成される。表には、成形品に微細なき裂が最初に観察された各試験サイクルの回数を列挙する。1001サイクル後でも成形品が微細なき裂を示さない場合、試験を終了させる。
試験片はArburg社のAllrounder420 C 1000-250モデル射出成形機で製造する。ここでは230~320℃の間のシリンダー温度を使用する。金型温度は80℃である。透過率測定のための板、および耐水蒸気性の決定のための成形品には研磨された金型を使用する。
【0026】
以下に提示される表1では、本発明による実施例(E1およびE2)を比較例(CE1~CE4)と比較している。
【表1】

【0027】
(熱)機械的性質(特にHDT、弾性係数ならびに破断時の伸び、およびさらにノッチ付き耐衝撃性についての良好な値)および蒸気サイクルに耐える良好な能力の良好な組合せが、本発明によるポリアミド成形コンパウンドでのみ達成されうることが、実施例および比較例から分かる。特に、CE1との比較は、ドデカン二酸(又は請求項で主張される、対応する長鎖二酸)が構造単位として非常に重要であることを示し、CE2との比較は、ラウロラクタム(又は請求項で主張される、対応する長鎖ラクタム)が構造単位として非常に重要であることを示している。これらの構造単位がなければ、本発明の性質は達成されえない。さらに、CE3およびCE4との比較は、割合の特定の設定が非常に重要であることを示している。例えば(CE3と比較)、ドデカン二酸が少なすぎ、かつ芳香族ジカルボン酸が多すぎる成形コンパウンドは、蒸気サイクルに耐える能力を確実にできない。さらに、CE4との比較は、過剰に高い割合の脂肪族ブロックが、蒸気サイクルに耐える十分な能力を同様に示さないことを示している。
【0028】
ゆえに実施例は、比較例と比較して、不可欠な性質を確実にするのに個々のポリアミド単位又は構造単位が決定的に寄与すること、および、不可欠な性質を効果的に提供するためにも、割合が請求項で主張される狭い領域の範囲内でのみ許容可能であることを示している。
【符号の説明】
【0029】
参照記号のリスト
1 耐水蒸気性を決定するための成形品
1-1 1の管
1-2 1のフランジ
2 耐水蒸気性を決定するための装置
2-1 1のための、2における開口部
2-2 水蒸気導入パイプ
2-3 排水開口部
D1 1-1の内径
F1 1-2の直径
L1 1の長さ
W 1-1の肉厚
D2 2.1の直径
H 2の高さ
L2 2の長さ
図1
図2
【外国語明細書】