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特開2022-89836流体注入器およびそのための患者用セット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089836
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】流体注入器およびそのための患者用セット
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/36 20060101AFI20220609BHJP
【FI】
A61M5/36 500
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022046804
(22)【出願日】2022-03-23
(62)【分割の表示】P 2019502210の分割
【原出願日】2017-07-17
(31)【優先権主張番号】62/363,668
(32)【優先日】2016-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507021757
【氏名又は名称】バイエル・ヘルスケア・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン・ピーター・フランシス・サヴィオ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・スプラダ
(72)【発明者】
【氏名】エリック・シウ
(72)【発明者】
【氏名】バリー・アイドン
(72)【発明者】
【氏名】ビピン・サルンケ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エー・スポーン
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ソコロフ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ジェイ・レロック
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・マクダーモット
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・ピー・コーワン
(57)【要約】
【課題】従来技術の欠点のいくつかまたは全てを克服する、1人または複数の患者に流体を送達するシステムを提供すること。
【解決手段】流体注入器アセンブリ用のシリンジマニホールドは、上部空洞および下部空洞を画定する中間本体部材であって、中間本体部材は中間本体部材の上部表面の少なくとも1つの流体経路および中間本体部材の下部表面の少なくとも1つの流体経路を画定し、中間本体部材は中間本体部材を通じて延在する少なくとも2つの流体経路を画定し、中間本体部材はシリンジマニホールドと少なくとも1つの流体送達装置との接続のための出口を備える、中間本体部材と;中間本体部材の下部空洞内に受容された下部本体部材であって、下部本体部材は下部本体部材とシリンジアセンブリとの接続のための少なくとも1つのコネクタを備える、下部本体部材と;中間本体部材の上部空洞内に受容された上部本体部材と、を含む。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体注入システムのための単回使用使い捨て医療用コネクタであって、
複数患者使用マニホールドアセンブリのポートと解放可能に接続するための第1末端と、
前記複数患者使用マニホールドアセンブリと患者の血管系との間の流体連通を提供するために患者に接続された針、カテーテル、または接続機能部と接続するように構成された第2末端と、
前記医療用コネクタの前記第1末端と前記医療用コネクタの前記第2末端との間の流体連通を提供するチューブラインと、
過剰流体容器と、
を備え、
前記医療用コネクタの前記第2末端が、前記過剰流体容器と最初に流体連通し、
前記過剰流体容器が、いかなる空気も前記過剰流体容器から出ることを可能とするために大気に通気させられ、前記過剰流体容器が、前記チューブラインの完全な流体充填を可能にするのに十分な量を有することを特徴とする医療用コネクタ。
【請求項2】
前記過剰流体容器が、前記流体注入システムのハウジングから延在する結合インターフェースに取り付けるためのコネクタ結合部を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の医療用コネクタ。
【請求項3】
前記コネクタ結合部が、前記コネクタ結合部と前記結合インターフェースとの間の一定の表面接触および一定の接触表面積を維持するために、前記結合インターフェース内に摺動することを特徴とする、請求項2に記載の医療用コネクタ。
【請求項4】
前記チューブラインの一部が、前記過剰流体容器の前記コネクタ結合部を通って延在することを特徴とする、請求項2に記載の医療用コネクタ。
【請求項5】
前記結合インターフェースが、前記コネクタ結合部を通って延在する前記チューブラインの前記一部内に存在する空気を検出するために、空気検出器を備えていることを特徴とする、請求項4に記載の医療用コネクタ。
【請求項6】
前記空気検出器が、超音波空気検出器を備えることを特徴とする、請求項5に記載の医療用コネクタ。
【請求項7】
前記空気検出器が、全ての過剰空気が前記チューブラインから放出されたときを判断するように構成されていることを特徴とする、請求項5または6に記載の医療用コネクタ。
【請求項8】
前記空気検出器が、空気が前記チューブライン内で検出されないと、前記流体注入システムに信号を送信するように構成されていることを特徴とする、請求項7に記載の医療用コネクタ。
【請求項9】
前記第2末端が、空気が前記チューブライン内で検出されないと、前記過剰流体容器から取り外し、患者に接続された前記針、カテーテル、または接続機能部を接続するように構成されていることを特徴とする、請求項8に記載の医療用コネクタ。
【請求項10】
前記空気検出器が、注入シーケンスの間、前記チューブラインを通る流れを監視するようにさらに構成され、空気および流体の量は、前記コネクタ結合部を通って延在する前記流体ラインの前記一部を通過する際に監視されることを特徴とする、請求項5に記載の医療用コネクタ。
【請求項11】
前記流体注入システムは、前記コネクタ結合部を通って延在する前記流体ラインの前記一部を通過する空気の総量が、所定の安全レベルに等しい量に到達したときに、前記注入シーケンスを停止することを特徴とする、請求項10に記載の医療用コネクタ。
【請求項12】
前記コネクタ結合部を通って延在する前記チューブラインの前記一部が、前記患者から遠くに離れた、前記チューブラインの端部に配置されていることを特徴とする、請求項10または11に記載の医療用コネクタ。
【請求項13】
前記コネクタ結合部を通って延在する前記チューブラインの前記一部の場所が、空気の前記総量が前記患者に到達する前に前記流体注入システムが前記注入シーケンスを停止するための最大時間を許容するように構成されている、請求項12に記載の医療用コネクタ。
【請求項14】
前記総量よりも少ない、前記患者に注入された空気の総量が、前記流体注入システムによって記録されることを特徴とする、請求項13に記載の医療用コネクタ。
【請求項15】
前記医療用コネクタが、前記複数患者使用マニホールドアセンブリ内への流体の逆流を防止するために、少なくとも1つの逆止弁を備えていることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の医療用コネクタ。
【請求項16】
前記医療用コネクタが、2つの逆止弁を備えていることを特徴とする、請求項15に記載の医療用コネクタ。
【請求項17】
流体注入システムのための単回使用使い捨て医療用コネクタであって、
複数患者使用マニホールドアセンブリのポートと解放可能に接続するための第1末端と、
前記複数患者使用マニホールドアセンブリと患者の血管系との間の流体連通を提供するために患者に接続された針、カテーテル、または接続機能部と接続するように構成された第2末端と、
前記医療用コネクタの前記第1末端と前記医療用コネクタの前記第2末端との間の流体連通を提供するチューブラインと、
前記複数患者使用マニホールドアセンブリ内への流体の逆流を防止する少なくとも1つの逆止弁と、
過剰流体容器と、
前記過剰流体容器上の結合コネクタであって、前記患者から遠くに離れて配置された前記チューブラインの一部が、前記結合コネクタを通って延在する、結合コネクタと、
を備え、
前記結合コネクタが、前記流体注入システムのハウジングから延在する結合インターフェース内に摺動し、前記コネクタ結合部と前記結合インターフェースとの間の一定の表面接触および一定の接触表面積を維持するように構成され、
前記医療用コネクタの前記第2末端が、前記過剰流体容器と最初に流体連通し、
前記過剰流体容器が、いかなる空気も前記過剰流体容器から出ることを可能とするために大気に通気させられ、前記過剰流体容器が、前記チューブラインの完全な流体充填を可能にするのに十分な量を有することを特徴とする医療用コネクタ。
【請求項18】
前記コネクタ結合部が、前記流体注入システムの前記ハウジング上の前記結合インターフェースと関連する空気検出器と連動することを特徴とする、請求項17に記載の医療用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年7月18日に出願された米国仮特許出願第62/363,668号明細書の恩典を主張し、その開示はその全体がこの参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は主に、1つ以上の医療用流体を患者に送達するための、医療用流体送達システムおよび装置に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの医療診断および治療処置において、内科医などの開業医は、1つ以上の医療用流体を患者に注入する。近年、造影媒体溶液(しばしば単に「造影剤」と呼ばれる)、生理食塩水などのフラッシング剤、およびその他の医療用流体など、医療用流体の加圧注入のための多数の注入器作動型シリンジおよび流体注入器が、血管造影検査、コンピュータ断層撮影(CT)、超音波、磁気共鳴画像法(MRI)、陽電子放出断層撮影法(PET)、およびその他の撮影処置などの処置で使用するために、開発されてきた。一般に、これらの流体注入器は、予め設定された圧力および/または流速で予め設定された量の1つ以上の流体を送達するように設計されている。
【0004】
いくつかの注入処置では、開業医は、カテーテルまたはチューブに接続された針、もしくはその他の流体送達接続部を患者の静脈または動脈内に配置する。カテーテルまたはチューブは、手動または動力付き自動流体注入機構に接続されている。自動流体注入機構は通常、たとえば少なくとも1つの動力付きリニアピストンを有する、流体注入器に接続された少なくとも1つのシリンジを含む。少なくとも1つのシリンジは、造影剤の供給源および/またはフラッシング流体の供給源を含んでもよい。開業医は、固定量の造影剤および/または生理食塩水、各々の注入の固定速度、および1つ以上の流体の各々の注入の特定の時間について、流体注入器の電子制御システムに設定を入力する。
【0005】
注入された造影剤および/または生理食塩水は、患者の上または鼠径部など、患者の身体に挿入されたカテーテルまたは針を通じて患者の血管系に送達される。造影剤の投与量は、ボーラスと称される。造影剤のボーラスが所望の部位に送達されると、その領域は血管造影撮影、CT撮影、超音波、MRI、PET、またはSPECT撮影、および/またはその他の撮影処置など、従来の撮影技術を使用して撮影される。造影剤の存在は、周囲の組織の背景に対してはっきりと見えるようになる。
【0006】
従来の注入器設計は、注入器アセンブリの腕の長さの範囲内にある間にユーザまたは技術者が注入を入力および監視する必要がある注入器アセンブリの面に位置する、ボタンおよび読み出しを含む、コントローラを含む。さらに、流体注入システムに関連する1つ以上のシリンジを充填するとき、流体容器は通常反転されて、隣接するIVスタンドに吊り下げられる。しかしながら、ユーザまたは技術者が治療室全体を自由に移動して1つ以上のシリンジを容易に充填できるようにする利点および使いやすさの特徴を提供する、改良された注入器設計の必要性がある。様々な流体注入システムおよび方法が医療分野で知られているが、ユーザ経験を改善する流体注入器の使用のための改良型設計および方法は、求められ続けている。特に、ユーザの簡単さおよび経験を制限する既存の流体注入システムの利点を考慮して、より良いユーザ経験および改良されたワークフローを提供する改良型流体注入システムの必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本開示の目的は、従来技術の欠点のいくつかまたは全てを克服する、1人または複数の患者に流体を送達するシステムを提供することである。
【0008】
本開示の一態様によれば、流体注入器アセンブリ用のシリンジマニホールドは、上部本体部材であって、上部本体部材は流体容器を穿通するための少なくとも1つの流体誘導要素を備える、上部本体部材と;上部空洞および下部空洞を画定する中間本体部材であって、上部本体部材は中間本体部材の上部空洞と接続しており、中間本体部材は:中間本体部材の上部表面に画定された少なくとも1つの第1流体経路と;中間本体部材の下部表面に画定された少なくとも1つの第2流体経路と;少なくとも1つの第1流体経路によって画定された少なくとも1つの第1ポートと;少なくとも1つの第1流体経路および少なくとも1つの第2流体経路によって画定された少なくとも1つの第2ポートと;シリンジマニホールドと少なくとも1つの流体送達装置との接続のための出口と、をさらに備える、中間本体部材と;中間本体部材の下部空洞と接続された下部本体部材であって、下部本体部材は、下部本体部材とシリンジアセンブリとの接続のための少なくとも1つのコネクタを備える、下部本体部材と、を含み、中間本体部材の少なくとも1つの第1ポートは、少なくとも1つの流体誘導要素と少なくとも1つのコネクタとの間に流体連通を確立し、少なくとも1つの第1流体経路、少なくとも1つの第2流体経路、および少なくとも1つの第2ポートは、少なくとも1つのコネクタと中間本体部材の出口との間に流体連通を確立する。
【0009】
本開示の別の例では、少なくとも1つの流体誘導要素は2つのスパイク部材を備え、下部本体部材は2つのコネクタを備える。中間本体部材は、中間本体部材の下部表面に2つの第2流体経路を備え、中間本体部材は、中間本体部材を通じて延在する2つの第1ポートおよび2つの第2ポートを画定する。少なくとも1つの第1ポートは、中間本体部材の下部表面に画定された少なくとも1つの第2流体経路の第1末端に画定され、少なくとも1つの第2ポートは、中間本体部材の下部表面に画定された少なくとも1つの第2流体経路の第2の対向する末端に画定されている。逆止弁ダイヤフラムは、少なくとも1つの第1ポートおよび少なくとも1つの第2ポートの各々に設けられている。少なくとも1つの流体誘導要素と少なくとも1つのコネクタとの間に位置決めされた第1逆止弁ダイヤフラムは、少なくとも1つの流体誘導要素から少なくとも1つのコネクタへの流体流を可能にし、少なくとも1つのコネクタから少なくとも1つの流体誘導要素への流体流を防止し、少なくとも1つのコネクタと中間本体部材の出口との間に位置決めされた第2逆止弁ダイヤフラムは、少なくとも1つのコネクタから出口への流体流を可能にし、出口から少なくとも1つのコネクタへの流体流を防止する。浮動ディスク弁は、少なくとも1つの第1ポートおよび少なくとも1つの第2ポートの各々に設けられている。少なくとも1つの流体誘導要素と少なくとも1つのコネクタとの間に位置決めされた第1の浮動ディスク弁は、少なくとも1つの流体誘導要素から少なくとも1つのコネクタへの流体流を可能にし、少なくとも1つのコネクタから少なくとも1つの流体誘導要素への流体流を防止し、少なくとも1つのコネクタと中間本体部材の出口との間に位置決めされた第2の浮動ディスク弁は、少なくとも1つのコネクタから出口への流体流を可能にし、出口から少なくとも1つのコネクタへの流体流を防止する。上部本体部材および下部本体部材のうちの少なくとも1つは、中間本体部材に溶接されている。シリンジは、少なくとも1つのコネクタに接続されてもよい。
【0010】
本開示の別の例では、流体注入器アセンブリ用のシリンジマニホールドは:上部本体部材であって、上部本体部材は流体容器を穿通するための少なくとも1つの流体誘導要素を備える、上部本体部材と;上部空洞および下部空洞を画定する中間本体部材であって、上部本体部材は中間本体部材の上部空洞と接続しており、中間本体部材は:中間本体部材の上部表面の少なくとも1つの流体経路と;少なくとも1つの流体経路によって画定された少なくとも1つの第1ポートと;少なくとも1つの流体経路によって画定された少なくとも1つの第2ポートと、をさらに備える、中間本体部材と;中間本体部材の下部空洞と接続された下部本体部材であって、下部本体部材は:下部本体部材とシリンジアセンブリとの接続のための少なくとも1つのコネクタと;少なくとも1つの流体経路と;シリンジマニホールドと少なくとも1つの流体送達装置との接続のための出口と、を備える、下部本体部材と、を備え、中間本体部材によって画定された少なくとも1つの第1ポートは、少なくとも1つの流体誘導要素と少なくとも1つのコネクタとの間に流体連通を確立し、下部本体部材に画定された少なくとも1つの流体経路、中間本体部材に画定された少なくとも1つの第1ポート、中間本体部材の上部表面に画定された少なくとも1つの流体経路、および中間本体部材に画定された少なくとも1つの第2ポートは、少なくとも1つのコネクタと下部本体部材の出口との間に流体連通を確立する。
【0011】
本開示の別の例では、少なくとも1つの流体誘導要素は2つのスパイク部材を備え、下部本体部材は2つのコネクタを備える。下部本体部材は2つの流体経路を備え、中間本体部材は、中間本体部材を通じて延在する4つのポートを備える。中間本体部材に設けられた少なくとも1つの第1ポートは、下部本体部材に画定された少なくとも1つの流体経路の第1末端に隣接して位置決めされ、中間本体部材に設けられた少なくとも1つの第2ポートは、下部本体部材に画定された少なくとも1つの流体経路の第2の対向する末端に隣接して位置決めされている。逆止弁ダイヤフラムまたは浮動ディスク弁は、上部本体部材の少なくとも1つの流体誘導要素と下部本体部材の少なくとも1つのコネクタとの間に位置決めされている。シリンジは、少なくとも1つのコネクタに接続されている。
【0012】
本開示の別の例では、シリンジアセンブリは:円錐形の遠位端から近位端まで延在するバレルと;バレルの遠位端に接続されたアダプタであって、アダプタは、シリンジマニホールドのコネクタに接続するように構成されており、シリンジマニホールドは:流体容器を穿通するための少なくとも1つの流体誘導要素を備える上部本体部材と;上部空洞および下部空洞を画定する中間本体部材であって、上部本体部材は中間本体部材の上部空洞と接続している、中間本体部材と;中間本体部材の下部空洞と接続された下部本体部材であって、下部本体部材は、下部本体部材とアダプタとの接続のための少なくとも1つのコネクタを備える、下部本体部材と、を備える、アダプタと;バレルの遠位端の中に保持されてアダプタを通じて延在する、流れ配向アセンブリと、を備え、流れ配向アセンブリは、バレルの内壁に沿ってシリンジアセンブリ内に引き込まれる流体を配向するように構成されている。
【0013】
本開示の別の例では、流れ配向アセンブリの一部は、遠位端の内部表面から内向きに延在する突起とアダプタの近位端との間に保持される。流れ配向アセンブリは、シリンジアセンブリ内に引き込まれる流体がバレルの内壁に沿って配向されるように傾斜した少なくとも1つの表面を有する、主本体部材を備える。複数の機能部が、バレルの近位端に設けられている。
【0014】
さらなる例は、以下の番号が付された条項に記載される。
【0015】
条項1:流体注入器アセンブリ用のシリンジマニホールドであって、シリンジマニホールドは:上部本体部材であって、上部本体部材は流体容器を穿通するための少なくとも1つの流体誘導要素を備える、上部本体部材と;上部空洞および下部空洞を画定する中間本体部材であって、上部本体部材は中間本体部材の上部空洞と接続しており、中間本体部材は:中間本体部材の上部表面に画定された少なくとも1つの第1流体経路と;中間本体部材の下部表面に画定された少なくとも1つの第2流体経路と;少なくとも1つの第1流体経路によって画定された少なくとも1つの第1ポートと;少なくとも1つの第1流体経路および少なくとも1つの第2流体経路によって画定された少なくとも1つの第2ポートと;シリンジマニホールドと少なくとも1つの流体送達装置との接続のための出口と、をさらに備える、中間本体部材と;中間本体部材の下部空洞と接続された下部本体部材であって、下部本体部材は、下部本体部材とシリンジアセンブリとの接続のための少なくとも1つのコネクタを備える、下部本体部材と、を備え、中間本体部材の少なくとも1つの第1ポートは、少なくとも1つの流体誘導要素と少なくとも1つのコネクタとの間に流体連通を確立し、少なくとも1つの第1流体経路、少なくとも1つの第2流体経路、および少なくとも1つの第2ポートは、少なくとも1つのコネクタと中間本体部材の出口との間に流体連通を確立する、シリンジマニホールド。
【0016】
条項2:少なくとも1つの流体誘導要素は2つのスパイク部材を備え、下部本体部材は2つのコネクタを備える、条項1に記載のシリンジマニホールド。
【0017】
条項3:中間本体部材は、中間本体部材の下部表面に2つの第2流体経路を備え、中間本体部材は、中間本体部材を通じて延在する2つの第1ポートおよび2つの第2ポートを画定する、条項2に記載のシリンジマニホールド。
【0018】
条項4:少なくとも1つの第1ポートは、中間本体部材の下部表面に画定された少なくとも1つの第2流体経路の第1末端に画定され、少なくとも1つの第2ポートは、中間本体部材の下部表面に画定された少なくとも1つの第2流体経路の第2の対向する末端に画定されている、条項1~3のいずれかに記載のシリンジマニホールド。
【0019】
条項5:逆止弁ダイヤフラムは、少なくとも1つの第1ポートおよび少なくとも1つの第2ポートの各々に設けられている、条項1~4のいずれかに記載のシリンジマニホールド。
【0020】
条項6:少なくとも1つの流体誘導要素と少なくとも1つのコネクタとの間に位置決めされた第1逆止弁ダイヤフラムは、少なくとも1つの流体誘導要素から少なくとも1つのコネクタへの流体流を可能にし、少なくとも1つのコネクタから少なくとも1つの流体誘導要素への流体流を防止し、少なくとも1つのコネクタと中間本体部材の出口との間に位置決めされた第2逆止弁ダイヤフラムは、少なくとも1つのコネクタから出口への流体流を可能にし、出口から少なくとも1つのコネクタへの流体流を防止する、条項5に記載のシリンジマニホールド。
【0021】
条項7:浮動ディスク弁は、少なくとも1つの第1ポートおよび少なくとも1つの第2ポートの各々に設けられている、条項1~6のいずれかに記載のシリンジマニホールド。
【0022】
条項8:少なくとも1つの流体誘導要素と少なくとも1つのコネクタとの間に位置決めされた第1の浮動ディスク弁は、少なくとも1つの流体誘導要素から少なくとも1つのコネクタへの流体流を可能にし、少なくとも1つのコネクタから少なくとも1つの流体誘導要素への流体流を防止し、少なくとも1つのコネクタと中間本体部材の出口との間に位置決めされた第2の浮動ディスク弁は、少なくとも1つのコネクタから出口への流体流を可能にし、出口から少なくとも1つのコネクタへの流体流を防止する、条項7に記載のシリンジマニホールド。
【0023】
条項9:上部本体部材および下部本体部材のうちの少なくとも1つは、中間本体部材に溶接されている、条項1~8のいずれかに記載のシリンジマニホールド。
【0024】
条項10:少なくとも1つのコネクタに接続されたシリンジをさらに備える、条項1~9のいずれかに記載のシリンジマニホールド。
【0025】
条項11:流体注入器アセンブリ用のシリンジマニホールドであって、シリンジマニホールドは:上部本体部材であって、上部本体部材は流体容器を穿通するための少なくとも1つの流体誘導要素を備える、上部本体部材と;上部空洞および下部空洞を画定する中間本体部材であって、上部本体部材は中間本体部材の上部空洞と接続しており、中間本体部材は:中間本体部材の上部表面の少なくとも1つの流体経路と;少なくとも1つの流体経路によって画定された少なくとも1つの第1ポートと;少なくとも1つの流体経路によって画定された少なくとも1つの第2ポートと、をさらに備える、中間本体部材と;中間本体部材の下部空洞と接続された下部本体部材であって、下部本体部材は:下部本体部材とシリンジアセンブリとの接続のための少なくとも1つのコネクタと;少なくとも1つの流体経路と;シリンジマニホールドと少なくとも1つの流体送達装置との接続のための出口と、を備える、下部本体部材と、を備え、中間本体部材によって画定された少なくとも1つの第1ポートは、少なくとも1つの流体誘導要素と少なくとも1つのコネクタとの間に流体連通を確立し、下部本体部材に画定された少なくとも1つの流体経路、中間本体部材に画定された少なくとも1つの第1ポート、中間本体部材の上部表面に画定された少なくとも1つの流体経路、および中間本体に画定された少なくとも1つの第2ポートは、少なくとも1つのコネクタと下部本体部材の出口との間に流体連通を確立する、シリンジマニホールド。
【0026】
条項12:少なくとも1つの流体誘導要素は2つのスパイク部材を備え、下部本体部材は2つのコネクタを備える、条項11に記載のシリンジマニホールド。
【0027】
条項13:下部本体部材は2つの流体経路を含み、中間本体部材は、中間本体部材を通じて延在する4つのポートを含む、条項11または12に記載のシリンジマニホールド。
【0028】
条項14:中間本体部材に設けられた少なくとも1つの第1ポートは、下部本体部材に画定された少なくとも1つの流体経路の第1末端に隣接して位置決めされ、中間本体部材に設けられた少なくとも1つの第2ポートは、下部本体部材に画定された少なくとも1つの流体経路の第2の対向する末端に隣接して位置決めされている、条項11~13のいずれかに記載のシリンジマニホールド。
【0029】
条項15:上部本体部材の少なくとも1つの流体誘導要素と下部本体部材の少なくとも1つのコネクタとの間に位置決めされた逆止弁ダイヤフラムまたは浮動ディスク弁をさらに備える、条項11~14のいずれかに記載のシリンジマニホールド。
【0030】
条項16:少なくとも1つのコネクタに接続されたシリンジをさらに備える、条項1~15のいずれかに記載のシリンジマニホールド。
【0031】
条項17:シリンジアセンブリであって:円錐形の遠位端から近位端まで延在するバレルと;バレルの遠位端に接続されたアダプタであって、アダプタは、シリンジマニホールドのコネクタに接続するように構成されており、シリンジマニホールドは:流体容器を穿通するための少なくとも1つの流体誘導要素を備える上部本体部材と;上部空洞および下部空洞を画定する中間本体部材であって、上部本体部材は中間本体部材の上部空洞と接続している、中間本体部材と;中間本体部材の下部空洞と接続された下部本体部材であって、下部本体部材は、下部本体部材とアダプタとの接続のための少なくとも1つのコネクタを備える、下部本体部材と、を備える、アダプタと;バレルの遠位端の中に保持されてアダプタを通じて延在する、流れ配向アセンブリと、を備え、流れ配向アセンブリは、バレルの内壁に沿ってシリンジアセンブリ内に引き込まれる流体を配向するように構成されている、シリンジアセンブリ。
【0032】
条項18:流れ配向アセンブリの一部は、遠位端の内部表面から内向きに延在する突起とアダプタの近位端との間に保持される、条項17に記載のシリンジアセンブリ。
【0033】
条項19:流れ配向アセンブリは、シリンジアセンブリ内に引き込まれる流体がバレルの内壁に沿って配向されるような少なくとも1つの傾斜表面を有する、主本体部材を備える、条項17または条項18に記載のシリンジアセンブリ。
【0034】
条項20:バレルの近位端に設けられた複数の係止機能部をさらに備える、条項17~19のいずれかに記載のシリンジアセンブリ。
【0035】
条項21:シリンジマニホールドは、少なくとも1つの流体誘導要素と少なくとも1つのコネクタとの間に流体連通を確立するために、中間本体部材に画定された少なくとも1つのポートを備える、条項17~20のいずれかに記載のシリンジアセンブリ。
【0036】
条項22:シリンジマニホールドの中間本体部材は、シリンジアセンブリとシリンジマニホールドによって画定された出口との間に流体連通を確立するために、少なくとも1つの流体流経路を画定する、条項17~21のいずれかに記載のシリンジアセンブリ。
【0037】
流体注入および送達システムのいくつかの例が、添付図面に示され、本明細書に詳細に記載されるが、他の例も、本開示の範囲および精神から逸脱することなく、当業者にとって明らかであり、当業者によって容易になされるだろう。たとえば、本開示は、可能な限り、任意の例の1つ以上の特徴が任意の他の例の1つ以上の特徴と組み合わせ可能であることを企図することは、理解されるべきである。したがって、上記の説明は、限定的ではなく例示的であるように意図される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本開示の一実施形態による流体送達システムの正面斜視図である。
図2】一実施形態による図1の流体送達システムの後面斜視図である。
図3】一実施形態による図1の流体送達システムの正面図である。
図4】一実施形態による図1の流体送達システムの分解後面斜視図である。
図5】一実施形態による図1の流体送達システムと共に使用するための例示的なグラフィカルユーザインターフェースの図である。
図6】異なるユーザの到達範囲を示す、一実施形態による図1の流体送達システムの側面図の説明である。
図7】最大高さに設定された、一実施形態による図1の流体送達システムの側面図である。
図8】最小高さに設定された、一実施形態による図1の流体送達システムの側面図である。
図9A】一実施形態による図1の流体送達システムの収納可能スタンドの部分図である。
図9B】収納位置にある、一実施形態による図9Aの収納可能スタンドの部分図である。
図9C】伸長位置にある、一実施形態による図9Aの収納可能スタンドを示す部分図である。
図10A】フック部材が伸長位置へと回転させられている、一実施形態による図9Aの収納可能スタンドの部分図である。
図10B図10Aのフック部材の部分図である。
図10C図10Aのフック部材の部分図である。
図11A】フック部材を使用して図1の流体送達システムにボトルを固定する一実施形態による図9Aの収納可能スタンドを示す部分図である。
図11B】流体ボトルおよび流体バッグを保持する一実施形態による図9Aの収納可能スタンドの部分図である。
図12A】複数回投与量流体ボトルを保持する一実施形態による図9Aの収納可能スタンドを示す部分図である。
図12B】複数回投与量流体ボトルおよび複数回投与量流体バッグを保持する一実施形態による図9Aの収納可能スタンドを示す部分図である。
図13A】一実施形態によるマニホールドアセンブリに接続された複数回投与量流体容器を示す部分図である。
図13B】一実施形態による図13Aのマニホールドアセンブリと共に使用される空気検出器結合部の分解図である。
図14A図1の流体送達システムの一実施形態による流体加温器の部分図である。
図14B図1の流体送達システムの別の実施形態による流体加温器の概略図である。
図15】一実施形態による図1の流体送達システムに設けられた認識システムの一実施形態の部分図である。
図16】一実施形態による図13Aのマニホールドアセンブリの分解図である。
図17A】一実施形態による図16のマニホールドアセンブリの正面斜視図である。
図17B】一実施形態による図16のマニホールドアセンブリの下部本体部材および中間本体部材の分解底面斜視図である。
図17C】一実施形態による図17Bの下部本体部材および中間本体部材の上面斜視図である。
図17D】一実施形態による図16のマニホールドアセンブリの上部本体部材および中間本体部材の分解図である。
図17E】一実施形態による図16の完全に組み立てられたマニホールドアセンブリの正面斜視図である。
図18A】一実施形態によるシリンジアセンブリの分解図である。
図18B】一実施形態による図18Aのシリンジアセンブリの正面斜視図である。
図18C】一実施形態による図18Aのシリンジアセンブリのアダプタおよび流れ配向リングの部分図である。
図19A】一実施形態による単回使用マニホールドアセンブリの分解図である。
図19B】一実施形態による図19Aのマニホールドアセンブリの下部本体部材および中間本体部材の分解図である。
図19C】溶接経路を示す、一実施形態による図19Aのマニホールドアセンブリの分解図である。
図19D】一実施形態による図19Aに示される完全に組み立てられたマニホールドアセンブリの正面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下の説明の目的のために、用語「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「底部」、「横」、「縦」、およびこれらの派生語は、図面に示されるように本開示に関連するものとする。注入器に関して使用されるとき、用語「近位」は、注入器のシリンジポートから最も遠い注入器の部分を指す。用語「遠位」は、注入器のシリンジポートから最も近い部分を指す。しかしながら、本開示は、そうではないと明確に指定された場合を除き、代替の変形形態およびステップシーケンスを想定し得ることは、理解されるべきである。添付図面に示されて以下の明細書に記載される特定の装置およびプロセスは、本開示の単なる説明例であることもまた、理解されるべきである。したがって、本明細書に開示される例(すなわち、例、変形例、変形形態)に関する特定の寸法およびその他の物理的特性は、限定的であると見なされるべきではない。本明細書で使用される際に、用語「複数患者使用」は、異なる患者の体液で複数患者使用物品の部分を相互汚染することなく複数の患者の注入処置に利用されることが可能な物品を意味する。本明細書で使用される際に、用語「単一患者使用」は、新しい単一患者使用物品を利用する第2の患者の注入の準備の前に、単一の患者に対する1つ以上の注入処置の後に廃棄される、単一の患者のための1つ以上の注入処置に利用される物品を意味する。
【0040】
本明細書で使用される際に、用語1つ以上のコンピュータプロセッサ、装置、ユニット、またはオペレーティングシステムに関して使用されるときの用語「通信」および「通信する」は、1つ以上の信号、メッセージ、コマンド、またはその他のタイプのデータの受信または送信を指す。1つのユニットまたは装置が1つ以上の他のユニットまたは装置と通信するとは、その1つのユニットまたは装置が、1つ以上の他のユニットまたは装置からデータを受信および/またはデータを送信することができることを、意味する。通信は、直接または間接接続を使用してもよく、本質的に有線および/または無線であってもよい。加えて、送信されたデータが第1および第2のユニットまたは装置間で修正、処理、ルーティングなどされても、2つ以上のユニットまたは装置が互いに通信してよい。たとえば、第1のユニットが受動的にデータを受信して、第2のユニットに能動的にデータを送信しなくても、第1のユニットは第2のユニットと通信することができる。別の例として、中間ユニットが1つのユニットからのデータを処理して第2のユニットに処理済みデータを送信する場合、第1のユニットは第2のユニットと通信することができる。非限定例では、通信は、1つ以上の配線を通じて、ブルートゥース(登録商標)、近距離無線通信(NFC)、またはその他の無線周波数プロトコルなどの直接的な無線プロトコルを通じて、および/またはローカルWi-Fiネットワークまたは安全なインターネット接続などの間接的な無線通信を通じてなど、1つ以上の有線または無線接続を通じて行われてもよい。無線通信は、これらに限定されるものではないが、Wi-Fiネットワーク経由、ブルートゥース(登録商標)経由の通信、NFC、またはその他の従来の無線システム、またはその他の非無線電磁通信システムなど、2つの通信ユニットまたは装置間の直接有線接触を必要としないあらゆる通信を含んでよい。その他多くの配置も可能であることは、理解されるだろう。
【0041】
別の非限定例では、流体注入システムが提供され、これは、少なくとも1つのシリンジポートを有する注入器アセンブリと、プロセッサと、有線または無線接続されたコントローラと、を有し、これはタッチスクリーンまたはその他のユーザ入力装置、および/または1つ以上の注入パラメータを入力して1つ以上の注入機能を表示するように構成されたディスプレイを有してもよい。適切なプロセッサおよび/またはコントローラは、これらに限定されるものではないが、中央処理装置(CPU)、デスクトップまたはラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、または携帯情報端末装置、またはその他の携帯型コンピュータプロセッサを含んでもよい。プロセッサは、有線または無線通信機構によって、コントローラと通信することができる。
【0042】
付加的な例では、流体注入システムは、少なくとも1つのシリンジポートを有する注入器アセンブリと、任意選択的にコントローラとを有してもよく、注入器アセンブリは、注入器アセンブリの上方に伸長するように構成され、少なくとも1つの流体容器を吊り下げるための少なくとも1つの吊り下げ機能部またはフック部材を有する、格納式ポールまたは収納可能スタンドを、さらに含む。流体容器は、生理食塩水バッグまたは容器、複数回投与量薬液容器、複数回投与量の造影剤またはイメージング剤を収容する容器、単回投与量の造影剤またはイメージング剤を収容する容器、およびこれらの様々な組み合わせであってもよい。
【0043】
本開示の様々な例は、注入処置の間に1つ以上の流体を患者に注入するための流体注入システムを対象とする。流体注入システムの設計および特徴は、たとえば:注入処置のより注意深い監視、進行中の注入処置の1つ以上のパラメータまたは特徴を制御可能でありながら、注入処置の間の一連の注入にわたって移動する能力、たとえば1日を通して複数の注入プロトコルでの使用に適した分量(すなわち、複数患者使用分量)、および廃棄前に単一の注入プロトコルで使用するのに適した分量(すなわち、単回患者使用分量)を含む流体注入システムを提供すること、注入プロトコルの前に、たとえば1つ以上の複数回投与量容器から1つ以上の医療用流体で1つ以上のシリンジを迅速に充填することができる流体注入システムを提供すること、1つ以上のシリンジ内の流体充填レベルを決定し、および/または1つ以上のシリンジ内の流体タイプなど、流体の1つ以上の特性を決定することが可能な流体注入システムを提供すること、医療用流体による1つ以上のシリンジの充填、およびプロセスおよび/またはプロセッサへのユーザ入力によって決定されたとおりの制御された量、投与量、および流速での医療用流体の患者への送達を可能にするために、1つ以上のシリンジを1つ以上の複数回投与量容器に接続し、1つ以上のシリンジを患者に接続する流体経路に1つ以上のシリンジを接続するためのマニホールドを提供すること、のうちの1つ以上を可能にすることによって、使いやすさおよび改良されたユーザ経験を提供する。さらなる特徴は、流体注入システムに関連する1つ以上のシリンジを充填および/または再充填するときの容易なアクセスのため、流体注入システムに1つ以上の複数回投与量流体容器を吊り下げることを可能にする。特定の例では、本開示の流体注入システムは、たとえばCTスキャン、MRI、およびその他の撮影処置などの撮影処置における1つ以上のイメージング剤の注入に使用され得る。
【0044】
具体的な例では、流体注入システムは、米国特許第5,383,858号明細書、米国特許第7,553,294号明細書、米国特許第7,666,169号明細書、米国特許第9,173,995号明細書、米国特許第9,199,033号明細書、および国際公開第PCT/US12/374891号パンフレット、国際公開第PCT/US15/10825パンフレット、国際公開第PCT/US15/27582パンフレット、国際公開第PCT/US16/28824パンフレット、国際公開第PCT/US16/34140パンフレット、および米国特許出願公開第2014/0027009号明細書および米国特許出願第14/925,722号明細書、および米国仮出願第62/259,708号明細書、米国仮出願第62/259,891号明細書、米国仮出願第62/259,906号明細書に開示された注入器の様々な例と類似の前面装填流体注入システムであってもよく、これらの開示内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。他の例は、本明細書に記載されるインターフェースの様々な例を含むように設計された、新しい流体注入器システムを含み得る。
【0045】
図1図4は、本開示の非限定例による、タッチスクリーンを含むコントローラ150を含む流体注入システム10を示す。図1を参照すると、自動または動力付き流体注入器などの流体送達装置または注入器100(以下、「注入器100」と称される)は、少なくとも1つのシリンジ(図示せず)と連動してこれを作動させるようになっており、このシリンジは、所望の濃度または独自性を有する造影媒体、生理食塩溶液、またはその他の所望の医療用流体などの医療用流体で独立して充填される。注入器100は、撮影処置などの医療処置中に、流体制御装置(図示せず)によって操作される少なくとも1つのシリンジ(図示せず)から患者の体内に医療用流体を注入するために使用されてもよく、流体制御装置は少なくとも部分的に注入器100の内部にあってもよい。非限定例では、注入器100はマルチシリンジ注入器であってもよく、複数のシリンジが、並んでまたは別の配置で配向され、注入器100に関連するそれぞれのピストンによって個別に作動されて流体制御装置によって制御されるプランジャを含んでもよい。1つの非限定例では、2つのシリンジが並んで配置され、造影剤および生理食塩溶液など2つの異なる医療用流体で充填されてもよく、注入器100は、逐次的にまたは同時に、一方または両方のシリンジから患者に流体を送達するように構成されてもよい。他の配置も可能であることは、理解されるだろう。
【0046】
引き続き図1図4を参照すると、注入器100は、プラスチック、複合材料、および/または金属などの適切な構造材料から形成されたハウジング125を有してもよい。ハウジング125は、所望の用途に応じて様々な形状およびサイズであってもよい。たとえば、流体送達システム10は、注入器100が床の上で移動可能なように、1つ以上のローラまたはホイールを有する基部244に接続された1つ以上の支持部分118および120を有する自立構造であってもよい。注入器100は、少なくとも1つのシリンジをそれぞれのピストン要素に解放可能に接続するための、少なくとも1つのシリンジポート126を含んでもよい。様々な例では、少なくとも1つのシリンジは、注入器100のシリンジポート126内にシリンジを保持するように構成された、少なくとも1つのシリンジ保持部材(図示せず)を含む。非限定例では、少なくとも1つのシリンジ保持部材は、注入器100へのシリンジの自己配向装填および/または取り外しを容易にするために、注入器100のシリンジポート126上またはその中に設けられた係止機構と動作可能に係合するように、構成されている。シリンジ保持部材および係止機構は共に、注入器100にシリンジを接続するための接続インターフェースを画定する。様々な接続インターフェースの非限定例は、米国特許第9,173,995号明細書、および米国特許第9,199,033号明細書に記載されている。他の実施形態では、シリンジポート126は、圧縮性シリンジまたはローリングダイヤフラムシリンジを収容するようになっている圧力ジャケットの、たとえば国際公開第PCT/US15/57747号パンフレットおよび国際公開第PCT/US15/57751号パンフレットに記載されている注入器100との自己配向装填および/または取り外しを容易にすることができ、これらの開示はその全てが参照により本明細書に組み込まれる。
【0047】
特定の非限定例では、たとえばシリンジポート内へのシリンジの装填および/または医療用流体によるシリンジの充填を容易にする、略垂直位置(すなわち、1つまたは複数のシリンジポートが上を向いている)と、たとえば流体経路に侵入しないようにシリンジ内に収容された医療用流体中の気泡の最小化、または注入処置の実行を容易にする反転位置との間で、シリンジポートを含む注入器ハウジング125を一時的に回転および/または反転させることが、望ましい。したがって、本開示の非限定例では、ハウジング125は、ハウジング125が支持部分118および格納式ポール200に対して回転可能なように、回転可能に支持部分118に接続されてもよい。図4に示されるように、ハウジング125は注入器100から取り外し可能であってもよい。さらに、後部アクセスカバー122は、注入器100の構成要素の後面に取り外し可能に接続されてもよい。後部アクセスカバー122は、修理または交換のために注入器100の内部エレクトロニクス、機械的機能部、およびケーブルにアクセスするために、技術者によって取り外し可能であってもよい。後部アクセスカバー122は、単一の構成要素、またはいくつかの個別のカバー構成要素であってもよい。
【0048】
図6図8に示されるように、下部支持部材120は、たとえばオペレータの身長および/または到達範囲(図6参照)に応じて流体送達システム10の高さを調節するために、垂直方向に伸長または格納されてもよい。オペレータは、下部支持部材120と下部支持部材120上に設けられた流体加温器500(本明細書により詳細に記載される)との間の係止接続を解除するために、ハンドル124を押し下げてもよい。ハンドル124が押下されると、オペレータは、注入器100の高さを調節するために、流体加温器500および関連する注入器スタンド118を持ち上げるかまたは下げることができる。流体送達システム10の高さを調節するために、下部支持部材120に油圧リフト(図示せず)が設けられてもよい。下部支持部材120は、流体送達システム10の高さの調節を可能にするために、伸縮式に配置された複数の部材を含んでもよい。一例では、注入器100の高さは最大250mm以上まで調整されることが可能であり、たとえば高さは0~500mmまで、または別の実施形態では0~400mmまで、他の実施形態では0~250mmまで調節されることが可能である。流体送達システム10の最大高さは図7に示されている。流体送達システム10の最小高さは図8に示されている。
【0049】
非限定例では、少なくとも1つの流体経路セット(図示せず)は、医療用流体を少なくとも1つのシリンジから、患者の血管アクセス部位に挿入されたカテーテル、針、またはその他の流体送達接続部(図示せず)まで送達するために、少なくとも1つのシリンジの遠位端と流体連通していてもよい。少なくとも1つのシリンジからの流体流は、取り外し可能なタッチスクリーンコントローラ150またはその他の適切な装置など、コントローラまたはプロセッサによって操作される流体制御モジュールによって調整されてもよい。流体制御モジュールは、注入流速、持続時間、総注入量、および/または造影媒体および生理食塩水の比率などの、1つ以上のユーザ選択注入パラメータまたは標準的な注入プロトコルに基づいて、生理食塩溶液および造影剤などの医療用流体の患者への送達を調整するために、様々なピストン、弁、および/または流量調整装置を操作することができる。
【0050】
流体送達システム10の構造および機能を一般的に説明してきたが、ここで図面を参照して、本開示に関連する様々な特徴が記載される。図1図4は、本開示の非限定例による注入器100を示す。注入器100は、コントローラ150によって制御され得る内部流体制御装置(図示せず)を含んでもよい。
【0051】
コントローラ150は、1つ以上のプロセッサ、メモリ、ネットワークインターフェースなどを含んでもよく、グラフィカルユーザインターフェース(「GUI」)(図5に示す)を備えるディスプレイを生成するように構成されてもよく、これによってユーザは、ディスプレイ上に作り出されたグラフィカルアイコンおよび視覚的インジケータを通じて様々な注入パラメータを閲覧および/またはこれらと対話することができる。非限定例では、コントローラ150は、取り外し可能なタッチスクリーンコントローラとして形成されてもよい。コントローラ150はまた、注入器100に取り外し不可能に取り付けられてもよい。コントローラ150は、患者固有の情報(年齢、体重、性別、撮影される臓器、イメージング剤の投薬量など)を含む、1つまたは複数の注入パラメータを監視するために使用されてもよく、この情報は、ユーザによって入力されるか、あるいはデータベース、ネットワーク、メモリ、または有線または無線通信プロセスによってシステムと通信しているコントローラから呼び出し/ダウンロードされてもよい。コントローラ150は、データベースからダウンロードされるかまたはユーザによって入力されたデータに基づいて、ユーザによって入力され、および/またはコントローラ150、流体制御装置、および/または流体制御装置および/またはコントローラ150と通信している別のコントローラまたはプロセッサによって実行される1つ以上のアルゴリズム計算によって計算された、様々な注入パラメータを制御するように、さらに構成されてもよい。あるいは、コントローラ150は、1つ以上のプロセッサと通信してもよく、ここで注入パラメータのうちの1つ以上が入力または記憶され、次いで有線または無線通信インターフェースによってコントローラ150と通信してもよい。
【0052】
注入流速、注入開始時間、持続時間、1つ以上の流体の各々の総注入量、注入すべき残量、注入流体の速度、注入処置後に複数回投与量医療用流体容器内に残っている1つ以上の流体の量、ならびに造影媒体および生理食塩水注入流体に関連する様々なその他のパラメータなど、ユーザが選択した様々な注入パラメータ170(図5参照)および注入指示は、コントローラ150のタッチスクリーンに入力され、および/または表示されて、たとえばコントローラ150と通信しているタッチスクリーンおよび/または1つ以上の追加コントローラを利用してパラメータを変更するなど、少なくとも1つの入力または出力機構によってユーザに要求されるように、操作、閲覧、または記録されてもよい。プランジャ位置、使い捨て品の検出確認、患者ライン内で検出された空気の量、基板温度、医療用流体情報、および準備手順完了の確認が、コントローラ150上に表示されてもよい。充填、パージ、準備、および注入ボタンならびに注入開始/停止ボタンなどの手動または仮想のボタンが、注入器100の動作パラメータを調節するためにコントローラ150上に含まれてもよい。コントローラ150は、注入器ポートに接続されたシリンジの低流体レベル、注入器ポート内で検出されたシリンジのサイズまたはタイプ、1つ以上のシリンジの流体量、1つ以上のシリンジの内容物、1つ以上のシリンジ内の空気検出、シリンジが以前使用されたという表示、シリンジの有効な保存期間を過ぎているか否かの表示、ロット番号、製造日、または施設などの事象をユーザに通知するために、流体制御装置または注入システムによって決定された可聴警告またはその他の情報を、表示または生成してもよい。
【0053】
図示される非限定例では、コントローラ150は、注入器ハウジング125上で調節可能であってもよく、注入器ハウジング125に取り付けられている間に流体送達システム10を操作するために利用されてもよい。図7および図8に示されるように、コントローラ150のディスプレイ角度は、異なる身長の異なるオペレータに適合するために調整可能であってもよい。コントローラ150の底部または上部は、0°~15°の範囲で注入器ハウジング125から上方または下方に回転することができる。コントローラ150を回転させる際に付加的な角度範囲が使用されてもよいことが考えられる。別の例では、コントローラ150は、注入器ハウジング125から取り外し可能であってもよく、室内の別の位置から、および/または他の部屋から、流体注入システムを遠隔で操作するために利用されてもよい。
【0054】
コントローラ150は、1つ以上の配線を通じて、ブルートゥース(登録商標)、近距離無線通信(NFC)、またはその他の無線周波数プロトコルなどの直接的な無線プロトコルを通じて、および/またはローカルWi-Fiネットワークまたは安全なインターネット接続などの間接的な無線通信を通じてなど、1つ以上の有線または無線通信接続を通じて流体注入システムと通信してもよい。しかしながら、様々な有線および無線通信機構が本開示にしたがって使用されてよいことは、理解されるだろう。様々な例によれば、コントローラ150は、内蔵の充電式電池を含んでもよく、コントローラ150と注入器100との間に電気接続を提供する1つ以上のポート(図示せず)を介して注入器100に接続されながら、その電荷を充電または補充するように構成されてもよい。付加的または代替的に、コントローラ150は、独立型充電ステーションまたはコントローラによって、もしくはコンセントへの接続によって、充電されてもよい。
【0055】
注入器100の操作は、タッチスクリーン(モノリシックまたは取り外し可能)、ソフトタッチキー、およびコントローラ150上に位置するハードタッチキー、注入器100、もしくは有線または無線ローカル操作ステーション(図示せず)の、いずれかの組み合わせの使用を含むことができる。特定の例では、スキャナからの1つ以上の画像は、ユーザによる閲覧のためにコントローラ150上に表示されてもよい。たとえば、撮影プロセスを強化するために、スキャナ内の患者の正しい配向または配置を決定するのを助けるため、または造影剤のボーラスが対象部位に到達したことを突き止めるかまたは確認するためのテスト画像が撮影されてもよい。さらに、特定の例では、撮影処置が成功したこと、写像性が十分であることをユーザが確認できるようにするため、および/または画像の迅速な解析を可能にするために、コントローラ150上に画像が表示されてもよい。
【0056】
図5は、タッチスクリーンなどの画面上に表示された、注入処置のための様々な注入パラメータ170を示す、本開示の非限定例によるコントローラ150のグラフィカルユーザインターフェース(GUI)151の一例を示す。本明細書に記載されるように、様々なパラメータ170は、たとえばタッチスクリーン上の適切なフィールドに触れて、タッチスクリーン上に現れるキーパッドなどの電子データ入力機能を使用して適切なデータを入力することによって、注入処置の前、最中、および/または後にユーザによって監視、変更、削除、および/または入力されてもよい。特定の例では、パラメータのいくつかまたは全ては保存されて、コントローラ150または別のコントローラからたとえば病院情報システムまたはネットワークへの無線または有線接続によって、患者記録データベースにアップロードされてもよい。非限定的な構成では、様々なパラメータは、自動的におよび/またはユーザコマンドに応答して保存およびアップロードされてもよい。
【0057】
図9A図11Bを参照すると、他の非限定例によれば、本開示の流体送達システム10は、注入器ハウジング125の上方に伸長するように構成され、たとえば注入器アセンブリの上方の適切な位置に複数回投与量流体容器などの少なくとも1つの容器を吊り下げるための1つ以上の枢動可能なフック250など、少なくとも1つの吊り下げ機能部またはフック部材を有する、1つ以上の伸長/格納式ポール200を備える、1つ以上の収納可能スタンドを含んでもよい。様々な例によれば、本開示の流体送達システム10は、複数の逐次注入処置のために使用されてもよく、システムは、複数患者使用部分および単一患者使用部分を含む。これらの例では、少なくとも1つのシリンジは、生理食塩水バッグまたは容器、バルク造影剤ボトル、またはその他の適切なバルク医療容器など、少なくとも1つの複数回投与量流体容器からの一連の流体注入処置の間に適切な医療用流体で繰り返し再充填されることが可能な、複数回使用シリンジであってもよい。
【0058】
使いやすさおよび利便性のため、少なくとも1つの複数回投与量流体容器は、少なくとも1つのシリンジを充填または再充填している間、または付加的に流体容器が少なくとも1つのシリンジと流体連通していない注入処置の間、フック、トレイ、またはその他の特記などの吊り下げ機能部250から、ハウジング125の上の反転位置に吊り下げられてもよい。したがって、複数回投与量流体容器は、少なくとも1つのシリンジを再充填し、1つ以上の新しいシリンジを充填し(単回投与プロトコルの場合)、および/または後の注入処置のために流体注入システムを準備するために、注入処置の後に容易に利用可能となる。
【0059】
図9A図9Cは、本開示の流体注入システムの非限定例による格納式ポール200を備える収納可能スタンドを有する注入器100の一実施形態を示す。図9Cを参照すると、収納のため、および注入器100の高さを最小化するとともに1つ以上の医療用流体容器を吊り下げる別個の転動式IVポールの必要性を排除するための、格納または収納位置にある格納式ポール200が示されている。格納式ポール200は、ユーザによって把持され、支持部分118の上方へのポール200の伸長および/または格納を容易にするための、ハンドル210またはその他の把持表面を含む。あるいは、格納式スタンドは、収納位置と展開位置との間で移動するように、バネ付勢式、電動式、または油圧式で操作されてもよい。特定の例では、格納式ポール200は、ハンドル210を動かす前にまたはこれと同時にボタン230を押すことによって解除される特定の位置に、保持または係止されてもよい。格納式スタンド220が電動式または油圧式である他の実施形態では、ポールを伸長および/または格納するためにコントローラのGUI上のボタンが使用され得る。
【0060】
図9Cは、伸長または展開位置にある格納式ポール200を有する注入器100の一実施形態を示す。図示される非限定例では、格納式ポール200には、フック250が実質的にハンドル210内に収容されるかまたはこれと平行に揃えられている格納位置から、フック250の少なくとも一部が少なくとも1つのシリンジを超えるかまたは注入器の後に伸長するようにハンドル210に対して垂直に回転して伸長する展開位置まで枢動可能な、少なくとも1つのフック部材250を有する複数の枢動可能なフック250または吊り下げ機能部が設けられている。図10A図10Cを参照すると、フック250がハンドル210に対して垂直に回転した後、ポール200上のフック250の高さは、特定の医療用流体容器を保持するための所望の高さに応じて独立して調節されてもよい。各フック250は、フック部材を解放して、所望の高さに到達するまでオペレータがポール200上で下方および/または上方にフック250を摺動させられるようにするためにオペレータによって作動され得る、ボタンまたは解放キャッチ251を含んでもよい。以下に記載されるように、フック250は、注入器100内のシリンジのうちの1つ以上を充填するために使用されるバルク容器を締め付けるかまたは保持するために移動させられてもよく(たとえば図11A参照)、または1つ以上のバルク容器とそれぞれの1つ以上のシリンジとの接続またはその間の流体連通を可能にするために、フック250および複数回投与量バルク流体容器(252、254、および256)を注入器100の1つ以上のシリンジに対して適切な位置に持って行くために移動させられてもよい(たとえば図11B図12A図12B、および図13A参照)。オペレータはまた、注入器100内のシリンジから遠ざけるようにフック250を上方に移動させるためにボタン251を作動してもよい。
【0061】
図11Aは、少なくとも1つのフック250が少なくとも1つのシリンジ253の上で垂直に展開される完全展開位置にある注入器100の格納式ポール200の一例を示す。図11Aに示されるこの位置では、1つ以上の複数回投与量ボトル252は、注入器ハウジング125内に保持されたシリンジ253に接続されてもよい。フック250は、シリンジ253に接続されたときにボトル252を安定化するためにフック250をボトル252の底部表面に接触させるために、ポール200上で下方に移動させられてもよい。一例では、ボトル252は、バルク量の造影媒体を保持することができる。図11Bに示される別の例では、1つ以上の複数回投与量流体バッグ254は、少なくとも1つのシリンジ253の上の反転位置にある枢動可能なフック250から吊り下げられ、複数回投与量流体容器252または複数回投与量流体バッグ254から少なくとも1つのシリンジ253への医療用流体の流体連通および流体流を可能にするために、流体経路によってシリンジ253の流体ポートに取り付けられてもよい(たとえば、図12B参照)。一例では、複数回投与量流体バッグ254は生理食塩水を保持してもよい。図11Bの一例に示されるように、複数回投与量流体ボトル252は、第1のシリンジ253に流体を供給するために注入器100上に設けられてもよく、複数回投与量流体バッグ254もまた、第2のシリンジ253に流体を供給するために設けられてもよい。
【0062】
図12Aおよび図12Bの非限定例を参照すると、注入器100は、1人の患者用の単回投与量流体容器の組み合わせ(図12A)および/または1人の患者用の複数回投与量流体容器(図12B)とともに使用され得る。図12Aに示される一例では、少なくとも1つのシリンジ253は、たとえばスパイクまたはその他の適切な流体経路によって少なくとも1つのシリンジ253と流体連通している単回投与量流体容器256からの流体が充填されてもよい。シリンジ253が単回投与量流体容器256からの流体で充填された後、単回投与量流体容器256は、注入器100から取り外されて、別の単回投与量流体容器と交換されてもよい。フック250は、単回投与量流体容器256をシリンジ253上に安定化させるか、またはシリンジ253の上の適切な高さで単回投与量流体容器256を保持することができる。図12Bに示される別の例では、少なくとも1つのシリンジ253は、複数回投与量バルク流体容器252および/または複数回投与量バルク流体バッグ254からの流体が充填されてもよい。シリンジ253は、その間で流体を移送するために、たとえばスパイクによって、一端がシリンジ253に、他端が複数回投与量流体容器252に接続されている移送セット257を介して、複数回投与量流体容器252またはバッグ254に接続され、これと流体連通していてもよい。複数回投与量流体容器252は、(バルク量の造影媒体またはその他の医療用流体を収容できる)ボトル、または(生理食塩水を含むことができる)バッグであってもよい。別の例では、1つのシリンジ253が複数回投与量流体ボトル252に接続され、第2のシリンジ253が複数回投与量流体バッグ254に接続されてもよい。複数回投与量流体バッグ254は、ポール200上に支持されたフック250から吊り下げられてもよい。様々な実施形態において、複数回投与量流体ボトル252は、シリンジ253に対する所望の高さに複数回投与量流体ボトル252を維持し、複数回投与量流体ボトル252内の流体、たとえば複数回投与量流体ボトル252内の造影媒体の温度を維持するために、ポール200上に受容される断熱または加熱スリーブ260を含んでもよい。複数回投与量流体ボトル252は、断熱または加熱スリーブ260内に取り外し可能に設けられてもよい。別の例によれば、1つのシリンジ253が単回投与量流体ボトル256に接続され、第2のシリンジ253が複数回投与量流体バッグ254に接続されてもよい。
【0063】
図13Aおよび図13Bを参照すると、注入器100を含む流体注入システム10の実施形態は、ある期間にわたって一連の注入処置、たとえば2つ以上の注入処置で複数の患者に流体を供給するために使用されてもよい。上述のように、複数回投与量流体容器252、254は、複数の注入処置の経過にわたって複数回投与量流体容器252、254からの流体で1つ以上のシリンジ253を繰り返し充填するために、注入器ハウジング125と係合した1つ以上のシリンジ253に接続されてもよい。一例では、複数回投与量流体ボトル252は第1のシリンジ253に接続されてもよく、複数回投与量流体バッグ254は第2のシリンジ253に接続されてもよい。一例では、複数回投与量流体ボトル252および複数回投与量流体バッグ254は、複数の注入処置にわたって使用され得る複数患者使用マニホールドアセンブリ300を介して、シリンジ253に接続されてもよい(本明細書でより詳細に記載される)。マニホールドアセンブリ300およびこれに接続された1つ以上のシリンジ253は、複数の注入処置の経過にわたって複数回投与量流体ボトル252および/または複数回投与量流体バッグ254からの流体を複数の患者に供給するように構成されてもよい。マニホールド300内に画定された出口302は、マニホールドとの解放可能な接続のための第1末端と、マニホールドと患者の血管系との間の流体連通を提供するために患者に接続された針、カテーテル、またはその他の接続機能部(図示せず)と接続するように構成された第2末端と、を有する単一患者使い捨て流体経路セット(単回使用使い捨てセットまたは「SUDS」)などの接続ラインを介して、マニホールド300からの流体を複数の患者に向けて配向する。適切な単回使用使い捨てセットは、国際公開第WO2015/106107号パンフレットに詳細に記載されており、その開示は全内容が参照により本明細書に組み込まれる。単一患者使い捨て流体経路セットは、適切なコネクタアセンブリと、単一患者使い捨て流体経路セットから複数患者使用マニホールドアセンブリ300内への汚染された可能性のある流体の逆流を防止するための1つまたは2つ以上の逆止弁とを含んでもよい。
【0064】
図13Bに示されるように、空気検出器結合部400は、マニホールド300とのライン結合部を検出するライン存在検出器を提供し、自動準備ルーチンを開始するために、一例による注入器100上に設けられてもよい。自動準備ルーチンは、SUDSなどの患者ライン内に供給された大量の空気を除去するのを支援する。空気検出器結合部400は、単一患者使用チューブセットまたはライン結合部(SUDS)402を含んでもよい。SUDS結合部402の一端はマニホールドアセンブリ300に接続されてもよく、SUDS結合部402の反対端は、過剰流体容器403に接続されるか、または適切な容器に流体を放出するための所定位置に保持されてもよい。SUDS結合部402の追加部分は、過剰流体容器403上に保持されてもよい。過剰流体容器403は、注入器ハウジング125から延在する結合インターフェース404内に摺動することによって、注入器ハウジング125上に保持されてもよい。一例では、結合インターフェース404は、SUDS結合部402内に存在し得る空気を検出するために、超音波空気検出器などの空気検出器を含んでもよい。準備動作中に、空気検出器は、全てまたはほぼ全ての過剰空気がSUDS結合部402から放出されたときを判断し、システムが準備されて注入処置の容易が整ったことを示す。
【0065】
SUDS結合部402は、患者の血管系へのSUDS結合部402の取付けの前に準備されてもよい。SUDS結合部402を結合インターフェース404に挿入すると、自動準備プロセスが開始されてもよい。流体は、マニホールドアセンブリ300からSUDS結合部402を通じて押されてもよく、これによってSUDS結合部402内に存在するいかなる空気も過剰流体容器403内に押し込む。過剰流体容器403内に貯蔵された空気は、その後大気中に放出されてもよい。空気がSUDS結合部402を通じて押されると、SUDS結合部402内のいかなる過剰流体もまた過剰流体容器403内に押し込まれ得る。SUDS結合部402の準備プロセスの間、結合インターフェース404は、SUDS結合部402内のいかなる空気の存在も監視して検出することができる。もはやSUDS結合部402内に空気は存在しないと結合インターフェース404が判断したら、SUDS結合部402は過剰流体容器403から取り外され、患者の血管系と流体接続するように配置されてもよい。
【0066】
空気検出器結合部400は、自動準備ルーチンの間にSUDS結合部402を通過する空気および流体を監視する。一定の流体流がSUDS結合部402を通過するのが検出されると、システムは、SUDS結合部402のコイル状部分の完全な流体充填を保証するために、十分なさらなる量の流体を送達する。過剰流体容器403は、最初の空気/流体混合物送達からのあらゆる過剰流体、またはSUDS結合部402のコイル状部分におけるあらゆる製造公差および精度の余裕を捕捉することができる。注入シーケンスの間、空気および流体は、空気検出器結合部400を通過する際に常に監視されている。システムは、危険な量の空気/流体混合物を患者に注入しないよう保護するために、空気検出器結合部400を通過する空気の量が所定の安全レベルに到達した時点で注入を停止する。空気検出器結合部400は、システムが空気検出器結合部400に反応して、空気が患者に到達する前に注入を停止するための最大時間を許容するために、SUDS結合部402の遠位端に(たとえば、患者からより遠くに)位置してもよい。注入される空気の量は、システムによって記録され、処置報告に含まれてもよい。正確な空気検出は、SUDS結合部402と空気検出器結合部400の結合インターフェース404との間の一定の表面接触および一定の接触表面積を必要とし得る。SUDS結合部は、チューブを検出領域内に押し込むことによって、空気検出器の検出領域に挿入され得る。たとえばチューブを空気検出器に挿入するのに不十分な力を印加することによってチューブが検出器に完全に挿入されていない場合、完全な表面接触およびチューブと検出器表面との間に存在する空気の読み取りの欠如のため、不正確な空気検出が生じる可能性がある。特定の例では、本システムは、たとえば上から下に向かって、SUDS結合部402のチューブを空気検出器結合部400の結合インターフェース404内に摺動させて、SUDS結合部402のチューブ表面と空気検出器結合部400の結合インターフェース404との間の改善された一定の接触をもたらし、こうして空気検出が主にチューブ内にある空気を検出することを保証する。
【0067】
図14Aを参照すると、特定の例によれば、流体送達システム10はまた、それぞれ複数回投与量および/または単回投与量医療用流体容器252または256、およびその中に収容された医療用流体を加温するための、流体加温器500を含んでもよい。特定の造影流体などの特定の医療用流体は、室温で高い粘度を有してもよく、これは注入処置中の流体流および注入圧力に影響を及ぼす可能性がある。医療用流体の粘度は、体温またはそれに近い温度など、室温より高い温度まで流体を暖めることによって低下し得る。一例では、流体加温器500は、注入器ハウジング125の下の流体送達システム10上に位置決めされてもよく、下部支持部分120上に支持されてもよい。流体加温器500は、複数回投与量流体ボトル252内の流体を本明細書に記載されるようなシリンジ253内に移送する前に、少なくとも1つの複数回投与量流体ボトル252または少なくとも1つの単回投与量流体ボトル256を暖めるために、技術者によって使用されてもよい。複数回投与量流体ボトル252は、流体加温器500内に画定された開口部を介して、流体加温器500に挿入されてそこから取り出されてもよい。一例では、複数回投与量流体ボトル252は、流体加温器500で暖められることが可能な造影媒体を保持してもよい。一例では、複数回投与量流体ボトル252は、流体加温器500内に設けられたボトル格納トレイ(図示せず)内に保持されてもよい。一例では、流体加温器500は、2つ以上の複数回投与量流体ボトル252を暖めるように構成されている。技術者は、暖められた複数回投与量流体ボトル252を流体加温器500から取り出して注入処置用のシリンジを装填するために使用してもよく、第2の複数回投与量流体ボトルを暖め始めるために、暖められた複数回投与量流体ボトル252を、流体加温器500に追加された第2の複数回投与量流体ボトルと交換してもよい。図14Bに示される一例では、流体加温器500は、流体加温器500内の空気空洞を最小化するために、円筒形であってもよい。流体加温器500は、異なるサイズのボトルに適合するように構成されてもよい。デモンストレータエレクトロニクス501は、複数回投与量流体ボトル252を暖めるために使用される加熱要素(図示せず)を制御するために、流体加温器500の内部に設けられてもよい。デモンストレータエレクトロニクス501は、流体加温器500内のボトルの温度を記録するための少なくとも1つの赤外線温度センサを含んでもよい。デモンストレータエレクトロニクス501は、流体送達システム10から後部アクセスカバー122を取り外すことで、技術者によってアクセスされ得る。一例では、流体加温器500は、複数回投与量流体ボトル252内の流体を室温から患者の体温またはその付近まで暖めるように構成されてもよい。別の例では、流体加温器500は、複数回投与量流体ボトル252内の流体を20℃~37℃の範囲の温度まで暖めるように構成されてもよい。特定の例では、流体は、最初に20℃から少なくとも41℃の範囲の温度など、より高い温度まで暖められて、注入処置で利用される前に所望の温度まで冷却されてもよく、もしくはシリンジ内で、または1つ以上のチューブセットを流れる間に、所望の温度まで冷却されてもよいことも、考えられる。技術者は、流体加温器500内の温度を制御することができる。流体加温器500および/またはコントローラGUIは、流体加温器500内の現在の温度および/または流体加温器500内の最終加熱温度を示すための温度ディスプレイを含んでもよい。特定の実施形態では、コントローラは、流体の測定温度が、体温より高いなど、所望の範囲外にあるときに、注入処置を防止してもよい。流体加温器500はまた、流体加温器500内に提供された温度を記録して、流体送達システム10の残部と共にこの情報を使用してもよい。一例では、流体加温器500は、ボトルが所望の温度に加熱されることを保証するために、所定の温度を維持するように構成されてもよい。一例では、流体加温器500は、ボトルを加熱するために必要なエネルギーを提供するために、マイクロ波または赤外線加熱を使用してもよい。別の例では、流体加温器500は、ボトルを加熱するために抵抗加熱を利用してもよい。流体加温器500内の加熱を改善するためにファン強制空気が使用されてもよく、これは下流の加熱システムと共に使用されてもよい。流体加温器500はまた、注入器100と共に使用される前に、複数回投与量流体ボトル252を滅菌するかまたはその滅菌状態を維持するのを支援することもできる。複数回投与量流体ボトル252内の流体を暖めることで、患者への流体の注入を、患者にとってより快適にすることもできる。流体の粘度は、流体加温器500によって発生する高温によって低下するので、複数回投与量流体ボトル252内の流体を暖めることで、注入中の流速をより高くすることもできる。一例では、複数回投与量流体ボトル252内の流体は、ほぼ患者の体温まで暖められるので、患者に流体が注入されると、流体は患者の身体と同じかそれに近い温度になる。一例では、流体加温器500は、技術者によって手動で操作され、技術者によって必要に応じて作動/停止されてもよい。あるいは、流体加温器500は、流体加温器500内への複数回投与量流体ボトル252の挿入時に自動的に作動され、流体加温器500から複数回投与量流体ボトル252が取り外されると自動的に停止されてもよい。流体加温器500は、1つまたは複数のボトルが空になったときに停止されてもよい。流体加温器500はまた、複数回投与量流体バッグ254もしくは単回投与量ボトルまたはバッグを受容するように構成されてもよい。さらに、システムは、ボトルの加熱の最終温度および/または持続時間など、加熱されたボトル252の詳細をバーコードスキャナ(図示せず)によって記録してもよい。この情報は、コンプライアンス要件のための記録に保存されてもよい。注入時の温度もまた、シリンジのセンサ(図示せず)によって記録されてもよく、処置報告に含まれてもよい。シリンジでの流体温度を測定するための非限定的な構造および直接的な方法は、たとえば米国仮特許出願第62/005,346号明細書に見出すことができる。シリンジ内の流体の温度感知はまた、赤外線読み取りなどの間接的な方法を用いて実行されてもよい。
【0068】
図15を参照すると、認識システム600も注入器100に設けられてよい。認識システム600は、注入器100の支持部分118上に取り外し可能に設けられてもよい。一例では、認識システム600は、シリンジ253が単回または複数回投与量流体ボトルまたはバッグからの流体で充填されたときに、シリンジ253の後に位置決めされてもよい。認識システム600は、各シリンジ253内の流体の様々な特徴および/または特性、ならびに使い捨てシリンジのタイプを識別するように構成されてもよい。認識システム600によって識別された情報に基づいて、注入器100は、所望の充填および注入パラメータを実現するために、その動作パラメータを調整することができる。適切な認識システムの例は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2017/0056603号明細書に記載されている。
【0069】
図16図18Cを参照して、様々な例によるマニホールドアセンブリ300およびシリンジアセンブリ700の例が記載される。マニホールドアセンブリ300およびシリンジアセンブリ700は、複数患者、複数回投与量注入器100で使用するために構成されてもよい。マニホールドアセンブリ300は、少なくとも1つの複数回投与量流体ボトルまたはバッグからの医療用流体によるシリンジアセンブリ700内の少なくとも1つのシリンジの充填を可能にするため、および第1末端でマニホールドアセンブリ300の出口302に接続され、第2末端で患者に接続された、単一患者使用チューブセット(SUDS、図示せず)を介して少なくとも1つのシリンジから患者への医療用流体の送達を可能にするために、少なくとも1つの複数回投与量流体ボトルまたはバッグを少なくとも1つのシリンジアセンブリ700に流体的に接続するように構成されてもよい。特定の実施形態によれば、マニホールドアセンブリ300は、下部本体部材303、中間本体部材304、および上部本体部材305を含んでもよい。下部本体部材303は、中間本体部材304の下部分に嵌め込まれるかまたは取り付けられるように構成されている。上部本体部材305は、中間本体部材304の上部分に嵌め込まれるかまたは取り付けられるように構成されている。図17Aに示されるように、上部本体部材305は、流体ボトルまたはバッグの隔壁またはキャップを穿通または接続するために使用される、スパイク部材306などの少なくとも1つの流体誘導要素を含む。流体コネクタなどのスパイク部材以外の流体誘導要素も使用され得ることは、理解されるべきである。少なくとも1つのスパイク部材306は、流体ボトルまたはバッグとマニホールドアセンブリ300との間の流体連通を作り出す。少なくとも1つのスパイク部材306は、流体ボトルの隔壁またはキャップを穿通するために使用される尖端部、および流体ボトルまたはバッグとマニホールドアセンブリ300との間の流体連通を可能にするための少なくとも1つの流体経路を有する。一例では、少なくとも1つのスパイク部材306は、流体ボトルまたはバッグの内部の圧力を均等化するために空気またはその他のガスを流体ボトルまたはバッグ内に通すための第2流体経路を、さらに含んでもよい。
【0070】
図17Bおよび図17Dを参照すると、中間本体部材304は、上部空洞308(図17D)および下部空洞309(図17B)を画定する。上部空洞308は、上部本体部材305を受容または取り付けるように構成され、下部空洞309は下部本体部材303を受容または取り付けるように構成されている。中間本体部材304はまた、マニホールドアセンブリ300を、患者の血管系に流体的に接続された単一患者使用流体ラインに接続するように構成された、出口開口部302も画定する。中間本体部材304はまた、上部空洞308を下部空洞309から分離する分割板310も含む。図17Bに示されるように、少なくとも1対の流体経路311a、311bは、分割板310の下部表面に画定されてもよい。各流体経路311a、311bは、分割板310に1対のポート312a~312dを画定してもよい。逆止弁ダイヤフラム313a、313bは、分割板310の底部表面の2つのポート312a、312dに設けられてもよい。他の例では、逆止弁ダイヤフラム313a、313bを設ける代わりに、分割板310の底部表面の2つのポート312a、312dに浮動ディスク弁が設けられてもよい。このような浮動ディスク弁のいくつかの例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第9,526,829号明細書に開示および説明されている。
【0071】
図17Dに示されるように、分割板310の上部表面には、複数の流体経路314a~314cが画定されてもよい。1つの流体経路314bは、逆止弁ダイヤフラム315a、315bを受容するための2つのポートを画定してもよい。別の例では、逆止弁ダイヤフラム315a、315bを設ける代わりに、米国特許第9,526,829号明細書に開示された浮動ディスク弁の例のような浮動ディスク弁が、2つのポート312b、312cに設けられてもよい。2つのポート312b、312cはまた、流体経路311a、311bによって画定されてもよい。以下に記載される、上部本体部材305のスパイク部材306および下部本体部材303のコネクタ317a、317bとの流体連通を確立するために、ポート312a、312dを有する分割板310に2つの追加ポート316a、316bが画定されてもよい。
【0072】
図17Bに示されるように、下部本体部材303は、マニホールドアセンブリ300とシリンジアセンブリとの間に流体連通を確立するように構成されたコネクタ317a、317bを含んでもよい。適切なコネクタの他の例は、米国仮特許出願第62/259,891号明細書に記載されている。コネクタ317a、317bは、分割板310に画定されたポート312a、312dと流体連通して設けられる。逆止弁ダイヤフラム313a、313bは、コネクタ317a、317bとポート312a、312dとの間に位置決めされている。逆止弁ダイヤフラム313a、313bは、流体がマニホールドアセンブリ300上のスパイク部材306からシリンジアセンブリに流れることを可能にするが、シリンジアセンブリからマニホールドアセンブリ300のコネクタ317a、317bを通じてスパイク部材306に取り付けられた単回または複数回投与量流体ボトルまたはバッグ内には流体を逆流させない。代わりに、患者への流体の注入中に、流体は、逆止弁ダイヤフラム313a、313bの底部表面に接触して、流体経路311a、311b、ポート312a、312b、逆止弁ダイヤフラム315a、315bを通じて、分割板310の上部表面に画定された流体経路314bに沿って、および患者ラインへの出口302を通じて、マニホールドアセンブリ300内に逆方向に向けられる。逆止弁ダイヤフラム315a、315bは、流体を出口302に向けて配向し、コネクタ317a、317bへの逆流を防止する。流体経路311a、311b、ポート312b、312c、および流体経路314bは、コネクタ317a、317bと出口302との間に流体連通を確立する。
【0073】
図17B図17Eを参照して、マニホールドアセンブリ300のアセンブリが一例にしたがって記載される。第1のステップでは、逆止弁ダイヤフラム313a、313bは、分割板310に画定されたポート312a、312d内に挿入される。次のステップで、下部本体部材303は、中間本体部材304上に位置決めされる。続いて、下部本体部材303および中間本体部材304はひっくり返される。次いで下部本体部材303は、流体経路311a、311bから流体が流出するのを防止するために分割板310に画定された流体経路311a、311bを取り囲む溶接または接着経路318に沿って、中間本体部材304に溶接または接着される。一例では、それぞれの構成要素に集中した熱源を形成して構成要素が互いに溶接および形成できるようにするために、レーザ溶接が使用されてもよい。一例では、レーザ溶接方向は、分割板310の頂部表面から分割板310を通って下部本体部材303内へと配向されてもよい。あるいは、適切な熱溶接プロトコルまたは適切な接着剤の塗布によって、下部本体部材303を分割板310に固定してもよい。次に、逆止弁ダイヤフラム315a、315bは、分割板310の上面の流体経路314a、314cに画定されたポート内に位置決めされる。次いで流体経路314a、314c、および314bは、たとえばレーザ溶接、熱溶接、またはその他の接着プロセスによって、溶接経路319a~319cに沿って分割板310の頂部表面を通じて溶接または接着される。次いで上部本体部材305は、溶接または接着プロセスによって形成された接着に基づいて2つの要素を互いに形成するために、中間本体部材304上に押しつけられる。得られたマニホールドアセンブリ300は、図17Eに示される。
【0074】
図18A図18Cを参照して、マニホールドアセンブリ300への接続のために構成された1つ以上のシリンジ253のシリンジアセンブリ700の一例が記載される。シリンジアセンブリ700は、シリンジアセンブリ700を注入器100内に固定するように構成された、たとえば米国特許第6,652,489号明細書、米国特許第9,173,995号明細書、および米国特許第9,199,033号明細書に記載されるように、バレル701、円錐形の遠位端702、および係止機能部703を含む。プランジャ(図示せず)は、流体をシリンジアセンブリ700内に引き込みそこから放出するために、バレル701内に摺動可能に収容されてもよい。シリンジアセンブリ700はまた、円錐形の遠位端702に画定された開口部に設けられた、アダプタ704および流れ配向アセンブリ705も含んでよい。適切なアダプタおよび流れ配向アセンブリの例は、国際公開第WO2017/091635号パンフレット、国際公開第WO2017/091636号パンフレット、および国際公開第WO2017/091643号パンフレットに記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。アダプタ704は、マニホールドアセンブリ300のコネクタ317a、317bとの接続のために構成されている。流れ配向アセンブリ705は、流れ配向アセンブリ705の一部が突起706とアダプタ704との間に保持されるように、円錐形の遠位端702の内部表面から延在する突起706上に着座してもよい。アダプタ704は、円錐形の遠位端702内の流れ配向アセンブリ705の上に位置決めされてもよい。アダプタ704および流れ配向アセンブリ705は、たとえば本明細書に記載されるレーザ溶接方向またはその他のプロセスによって、線Aに沿って配向された溶接またはその他の接着を使用して、互いにおよび円錐形の遠位端702に接続されてもよい。流れ配向アセンブリ705は、シリンジアセンブリ700内で乱流を生じるのを回避するため、バレル701の内壁に沿ってシリンジアセンブリ700内に引き込まれている流体を配向するように構成されている。流体は、バレル701内へのさらなる層流を作り出すためにバレル701の内壁に沿って配向され、これによってシリンジアセンブリ700内の乱流からの気泡の形成を回避する。流れ配向アセンブリ705は、バレル701の内壁に向けて流体を配向する2つの傾斜表面707a、707bを有する主本体を含んでもよい。
【0075】
図19A図19Dを参照して、単回投与量注入器と共に使用するのに適した例によるマニホールドアセンブリ800が記載される。マニホールドアセンブリ800は、下部本体部材801、中間本体部材802、および上部本体部材803を含む。下部本体部材801は、中間本体部材802の下部分に嵌め込まれるかまたは取り付けられるように構成されている。上部本体部材803は、中間本体部材802の上部分に嵌め込まれるかまたは取り付けられるように構成されている。図19Aに示されるように、上部本体部材803は、流体ボトルの隔壁またはキャップを穿通または接続するために使用される、スパイク部材804などの少なくとも1つの流体誘導要素を含む。流体コネクタなどのスパイク部材以外の流体誘導部材も使用され得ることは、理解されるべきである。スパイク部材804は、流体ボトルとマニホールドアセンブリ800との間の流体連通を作り出す。スパイク部材804は、流体ボトルの隔壁またはキャップを穿通するために使用される尖端部、および流体ボトルまたはバッグとマニホールドアセンブリ800との間の流体連通を可能にするための少なくとも1つの流体経路を有する。一例では、少なくとも1つのスパイク部材804は、流体ボトルまたはバッグの内部の圧力を均等化するために空気またはその他のガスを流体ボトルまたはバッグ内に通すための第2流体経路を、さらに含んでもよい。上部本体部材803はまた、少なくとも1つのポート805を画定してもよい。
【0076】
中間本体部材802は、上部空洞806および下部空洞807を画定する。上部空洞806は上部本体部材803を受容する用意構成され、下部空洞807は下部本体部材801を受容するように構成されている。中間本体部材802はまた、上部空洞806を下部空洞807から分離する分割板808も含む。図19Aに示されるように分割板808の上部表面に、流体経路809が画定されてもよい。流体経路809は、分割板808に1対のポート810a、810bを画定してもよい。患者ラインからシリンジへの逆流を防止するために、ポート810a、810bに逆止弁ダイヤフラム811a、811bが設けられてもよい。他の例では、逆止弁ダイヤフラム811a、811bを設ける代わりに、2つのポート810a、810bに浮動ディスク弁が設けられてもよい。このような浮動ディスク弁のいくつかの例は、米国特許第9,526,829号明細書に開示および説明されている。2つの追加ポート812a、812bが分割板808に画定されてもよい。ポート812a、812bは、上部本体部材803のスパイク部材804と流体連通している。ポート812a、812bは、シリンジから流体ボトルまたはバッグ内への流体の逆流を防止するために、底部分に逆止弁ダイヤフラム818a、818bを有してもよい。逆止弁ダイヤフラム818a、818bの代わりに浮動ディスク弁が使用されることも考えられる。
【0077】
下部本体部材801は、少なくとも2つの流体経路813a、813bを画定してもよい。下部本体部材801はまた、流体が患者に向けて配向される流体経路809と流体連通している出口ポート814も画定する。出口ポート814は、流体経路813a、813b間に画定されてもよい。上部本体部材803上にスパイクされた流体ボトルまたはバッグからの流体は、シリンジ充填プロセスの間、中間本体部材802のポート812a、812bを通り、下部本体部材801に画定された流体経路817a、817bを通じてシリンジ内へ、配向される。次いで流体は、シリンジから流体経路813a、813b内へ、分割板808のポート810a、810bおよび逆止弁ダイヤフラム811a、811bを通って中間本体部材802に画定された流体経路809内へ、放出される。逆止弁ダイヤフラム811a、811bは、下部本体部材801に画定された流体経路813a、813bから中間本体部材802に画定された流体経路809への流体の流れを可能にするが、逆方向の流体の逆流(すなわち、中間本体部材802に画定された流体経路809から下部本体部材801に画定された流体経路813a、813bへの流体の流れ)は防止する。流体経路809内に流体が流れた後、流体は、下部本体部材801に画定された出口ポート814を通じて、カテーテルまたはIVラインなどの患者ライン(図示せず)を介して患者に向けて配向される。
【0078】
図19B図19Dを参照して、マニホールドアセンブリ800を組み立てる方法が記載される。第1のステップにおいて、下部本体部材801は、中間本体部材802によって画定された下部空洞807内に位置決めされる。逆止弁ダイヤフラムは、ポート812a、812bの下面に挿入され、次いで下部本体部材801は、たとえばレーザ溶接によって、中間本体部材802の分割板808に溶接または接着される。一例では、溶接または接着は、中間本体部材802への下部本体部材801の接着を可能にするために、下部本体部材801に画定された流体経路813a、813bの周りには移行された溶接/接着経路815a、815bに沿って実行される。次いで逆止弁ダイヤフラム811a、811bは、分割板808に画定されたポート810a、810b内に挿入される。次いで上部本体部材803は、中間本体部材802の上部空洞806内の分割板808に対して位置決めされる。次いで上部本体部材803は、たとえばレーザ溶接によって、流体経路809およびポート810a、810bの周りには移行された溶接経路816に沿って、中間本体部材802に溶接または接着される。これらのステップが完了した後、マニホールドアセンブリ800(図19D)は完全に組み立てられている。
【0079】
注入器100、マニホールドアセンブリ300、800、およびシリンジアセンブリ700の様々な例が本説明において提供されたが、当業者は、本開示の範囲および精神から逸脱することなく、これらの例に修正および変更を加えることができる。たとえば、本開示は、可能な範囲で、任意の例の1つ以上の特徴が任意の他の例の1つ以上の特徴と組み合わせられてもよいことを企図することは、理解されるべきである。したがって、上記の説明は、限定的ではなく例示的であるように意図される。本明細書における開示は、添付請求項によって定義される。請求項の均等物の意味および範囲に含まれる本開示への全ての変更は、その範囲内に包含されるべきである。
【符号の説明】
【0080】
10 流体送達システム、流体注入システム
100 複数回投与量注入器
118 支持部分、注入器スタンド
120 下部支持部材、下部支持部分
122 後部アクセスカバー
124 ハンドル
125 注入器ハウジング
126 シリンジポート
150 タッチスクリーンコントローラ
170 注入パラメータ
200 格納式ポール
210 ハンドル
220 格納式スタンド
230 ボタン
244 基部
250 フック、フック部材、吊り下げ機能部
251 ボタン、解放キャッチ
252 複数回投与量バルク流体容器、複数回投与量ボトル、複数回投与量流体容器、複数回投与量流体ボトル
253 シリンジ
254 複数回投与量流体容器、複数回投与量バルク流体バッグ、複数回投与量流体バッグ
256 単回投与量流体容器、単回投与量医療用流体容器、単回投与量流体ボトル
257 移送セット
260 加熱スリーブ
300 複数患者使用マニホールドアセンブリ
302 出口、出口開口部
303 下部本体部材
304 中間本体部材
305 上部本体部材
306 スパイク部材
308 上部空洞
309 下部空洞
310 分割板
311a 流体経路
311b 流体経路
312a ポート
312b ポート
312c ポート
312d ポート
313a 逆止弁ダイヤフラム
313b 逆止弁ダイヤフラム
314a 流体経路
314b 流体経路
314c 流体経路
315a 逆止弁ダイヤフラム
315b 逆止弁ダイヤフラム
316a 追加ポート
316b 追加ポート
317a コネクタ
317b コネクタ
318 接着経路
319a 溶接経路
400 空気検出器結合部
402 SUDS結合部
403 過剰流体容器
404 結合インターフェース
500 流体加温器
501 デモンストレータエレクトロニクス
600 認識システム
700 シリンジアセンブリ
701 バレル
702 遠位端
703 係止機能部
704 アダプタ
705 配向アセンブリ
706 突起
707a 傾斜表面
707b 傾斜表面
800 マニホールドアセンブリ
801 下部本体部材
801b ポート
802 中間本体部材
803 上部本体部材
804 スパイク部材
805 ポート
806 上部空洞
807 下部空洞
808 分割板
809 流体経路
810a ポート
810b ポート
811a 逆止弁ダイヤフラム
811b 逆止弁ダイヤフラム
812a 追加ポート
812b 追加ポート
813a 流体経路
813b 流体経路
814 出口ポート
815a 接着経路
815b 接着経路
816 溶接経路
817a 流体経路
817b 流体経路
818a 逆止弁ダイヤフラム
818b 逆止弁ダイヤフラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E
図18A
図18B
図18C
図19A
図19B
図19C
図19D
【外国語明細書】