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特開2022-89837樹脂組成物、積層体、樹脂組成物層付き半導体ウェハ、樹脂組成物層付き半導体搭載用基板及び半導体装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089837
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】樹脂組成物、積層体、樹脂組成物層付き半導体ウェハ、樹脂組成物層付き半導体搭載用基板及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   C08L 71/02 20060101AFI20220609BHJP
   C08K 5/17 20060101ALI20220609BHJP
   C08K 5/20 20060101ALI20220609BHJP
   C08K 5/544 20060101ALI20220609BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20220609BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20220609BHJP
   C08L 33/04 20060101ALI20220609BHJP
   C08K 5/3415 20060101ALI20220609BHJP
   C08L 93/04 20060101ALI20220609BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20220609BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20220609BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
C08L71/02
C08K5/17
C08K5/20
C08K5/544
C08K5/09
C08K3/013
C08L33/04
C08K5/3415
C08L93/04
B32B27/34
H01L23/30 R
H01L21/60 311S
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046826
(22)【出願日】2022-03-23
(62)【分割の表示】P 2018520892の分割
【原出願日】2017-05-29
(31)【優先権主張番号】P 2016108171
(32)【優先日】2016-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016144273
(32)【優先日】2016-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 武紀
(72)【発明者】
【氏名】東口 鉱平
(72)【発明者】
【氏名】木田 剛
(57)【要約】
【課題】
チップとの優れた接着性を有し、アンダーフィル材に用いるのに好適な粘度を有するアンダーフィル材用樹脂組成物、積層体、樹脂組成物層付き半導体ウェハ、樹脂組成物層付き半導体搭載用基板及び半導体装置の提供を目的とする。
【解決手段】
マレイミド化合物(A)及び第2級モノアミノ化合物(B)を含有し、該第2級モノアミノ化合物(B)の沸点が120℃以上である、アンダーフィル材用の樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マレイミド化合物(A)及び第2級モノアミノ化合物(B)を含有し、該第2級モノアミノ化合物(B)の沸点が120℃以上である、アンダーフィル材用の樹脂組成物。
【請求項2】
前記マレイミド化合物(A)が、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル}プロパン、1,2-ビス(マレイミド)エタン、1,4-ビス(マレイミド)ブタン、1,6-ビス(マレイミド)ヘキサン、N,N'-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N'-1,4-フェニレンジマレイミド、N-フェニルマレイミド、下記式(1)で表されるマレイミド化合物、下記式(2)で表されるマレイミド化合物及び下記式(3)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される少なくとも一種を含有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
【化1】
(式中、Rは各々独立に、水素原子又はメチル基を示し、nは1以上の整数を示す。)。
【化2】
(式中、nは1以上30以下の整数を示す。)。
【化3】
(式中、Rは各々独立に、水素原子、メチル基又はエチル基を示し、Rは各々独立に、水素原子又はメチル基を示す。)。
【請求項3】
前記マレイミド化合物(A)が、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル}プロパン、前記式(1)で表されるマレイミド化合物、前記式(2)で表されるマレイミド化合物及び前記式(3)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される少なくとも一種を含有する、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記第2級モノアミノ化合物(B)が、ビス(2-メトキシエチル)アミン、ビス(2-エトキシエチル)アミン、ビス(4-ビフェニリル)アミン、ビス(3-ビフェニリル)アミン、ビンドシェドラーズグリーンロイコ塩基、2-アセトアミドエタノール、アセトアミドメタノール、1-アセトアミドナフタレン、ビス(4-tert-ブチルフェニル)アミン及び下記式(4)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【化4】
(式中、Rはアリール基、アラルキル基、アルキル基又はシクロアルキル基を示し、Rはアルキレン基を示し、Rは各々独立にアルキル基を示し、nは1~3の整数を示す。)。
【請求項5】
前記化合物(B)が、前記式(4)で表される化合物を含有する、請求項4に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記化合物(B)が、トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)プロピル]シラン及び/又は[3-(シクロヘキシルアミノ)プロピル]トリメトキシシランである、請求項5に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記樹脂組成物において、前記化合物(B)の含有量が、前記マレイミド化合物(A)の合計配合量に対し、0.5~30質量%である、請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
さらに、酸性部位を有する有機化合物(C)を含有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
前記化合物(C)が、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、パラストリン酸、ジフェノール酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸及びロジン酸変性樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を含有する、請求項8に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
さらに、無機充填材(D)を含有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
前記無機充填材(D)が、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、ベーマイト、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムからなる群より選択される少なくとも一種を含有する、請求項10に記載の樹脂組成物。
【請求項12】
前記無機充填材(D)が、シリカを含有する、請求項11に記載の樹脂組成物。
【請求項13】
さらに、可撓性付与成分(E)を含有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項14】
前記可撓性付与成分(E)が、アクリルオリゴマー及び/又はアクリルポリマーを含有する、請求項13に記載の樹脂組成物。
【請求項15】
プリアプライドアンダーフィル材用である、請求項1~14のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項16】
支持基材と、該支持基材上に積層された請求項1~15のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる層と、を備える積層体。
【請求項17】
半導体ウェハと、該半導体ウェハに積層された請求項16に記載の積層体における樹脂組成物からなる層と、を備える樹脂組成物層付き半導体ウェハ。
【請求項18】
半導体搭載用基板と、該半導体搭載用基板に積層された請求項16に記載の積層体における樹脂組成物からなる層と、を備える樹脂組成物層付き半導体搭載用基板。
【請求項19】
請求項17に記載の樹脂組成物層付き半導体ウェハ、及び/又は請求項18に記載の樹脂組成物層付き半導体搭載用基板を備える、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンダーフィル材として有用な樹脂組成物、並びに斯かる樹脂組成物を用いた積層体、樹脂組成物層付き半導体ウェハ、樹脂組成物層付き半導体搭載用基板及び本発明の樹脂組成物を使用して作製した半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の小型化や高性能化に伴い、半導体チップ(以下、「チップ」と略す場合がある。)を半導体搭載用基板(以下、「基板」と略す場合がある。)に搭載する方法として、フリップチップ実装が注目されている。フリップチップ実装においては、チップと基板を接合した後、チップと基板の間隙にアンダーフィル材を充填し、硬化させる工法が一般的である。しかし、半導体装置の小型化や高性能化に伴い、チップに配列される電極の狭ピッチ化や電極間の狭ギャップ化が進み、アンダーフィル材の充填の長時間化による作業性の悪化や未充填等の充填不良の発生が問題となっている。これに対し、チップ又は基板にプリアプライドアンダーフィル材を供給した後、チップと基板の接合とアンダーフィル材の充填とを同時に行う工法が検討されている。
【0003】
アンダーフィル材はチップと直接接触する部材であることから、アンダーフィル材に求められる重要な特性の一つとして、半導体装置が使用される環境において長期的な使用にも耐え得るチップとの接着性(以下、「チップ接着性」と略す場合がある。)が挙げられる。
【0004】
特許文献1には、主樹脂にラジカル重合性モノマーを使用したプリアプライドアンダーフィル材が記載されている。この特許文献1には、チップとの接着性向上を目的にしたシランカップリング剤の配合についての記述がある。
【0005】
特許文献2には、エポキシ樹脂、イミダゾール化合物、マレイミド化合物を含むアンダーフィル材が記載されている。
【0006】
特許文献3には、エポキシ化合物、カルボキシル基含有フラックス成分を使用するプリアプライドアンダーフィル材が記載されており、接着について言及されている。
【0007】
特許文献4には、マレイミド化合物、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤を必須成分とする樹脂組成物が記載されており、熱硬化後の樹脂組成物において高い密着性が得られたと記述されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2015-503220号公報
【特許文献2】特表2014―521754号公報
【特許文献3】特開2013-112730号公報
【特許文献4】特許第4587631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、一般的にラジカル重合性モノマーは硬化が速く、配合したシランカップリング剤の接着部位の運動性がチップ表面のシラノール基と十分な数の結合を形成する前に重合が進んだ主樹脂により律速されてしまう。その結果、特許文献1に記載のプリアプライドアンダーフィル材では、十分なチップ接着性が得られない。また、ラジカル重合性モノマーは硬化が速いため、樹脂組成物がチップ表面に存在する凹凸に埋まる前に硬化してしまう。その結果、特許文献1に記載のプリアプライドアンダーフィル材では、接着性向上の上で有用となるアンカー効果が十分に得られないという問題がある。
【0010】
また、特許文献2に記載の材料は、ポリイミドパッシベーション膜にしか作用しないことから適用範囲が狭い。
【0011】
さらに特許文献3に記載の技術において、室温であってもカルボキシル基含有化合物はエポキシ化合物とわずかに反応が進行し、保管中にフラックス活性が経時的に低下する。そのため、特許文献3に記載のプリアプライドアンダーフィル材は、接合安定性が低く、量産性に乏しいという欠点がある。
【0012】
そして、特許文献4に記載の技術においては、マレイミド樹脂の吸水率が高いため、吸湿処理後のチップ接着性が大幅に低下するという欠点がある。
【0013】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的はチップとの優れた接着性を有し、アンダーフィル材に用いるのに好適な粘度を有するアンダーフィル材用樹脂組成物、積層体、樹脂組成物層付き半導体ウェハ、樹脂組成物層付き半導体搭載用基板及び半導体装置を提供することにある。好ましくは、チップとの優れた接着性を有し、アンダーフィル材に用いるのに好適な粘度を有し、優れたフラックス活性を有し、可撓性に優れるアンダーフィル材用樹脂組成物、積層体、樹脂組成物層付き半導体ウェハ、樹脂組成物層付き半導体搭載用基板及び半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、斯かる問題点の解決のため鋭意検討した結果、マレイミド化合物(A)及び第2級モノアミノ化合物(B)を含有し、該第2級モノアミノ化合物(B)の沸点が120℃以上である樹脂組成物が上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0015】
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
【0016】
[1]
マレイミド化合物(A)及び第2級モノアミノ化合物(B)を含有し、該第2級モノアミノ化合物(B)の沸点が120℃以上である、アンダーフィル材用の樹脂組成物。
【0017】
[2]
前記マレイミド化合物(A)が、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル}プロパン、1,2-ビス(マレイミド)エタン、1,4-ビス(マレイミド)ブタン、1,6-ビス(マレイミド)ヘキサン、N,N'-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N'-1,4-フェニレンジマレイミド、N-フェニルマレイミド、下記式(1)で表されるマレイミド化合物、下記式(2)で表されるマレイミド化合物及び下記式(3)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される少なくとも一種を含有する、[1]に記載の樹脂組成物。
【0018】
【化1】
【0019】
(式中、Rは各々独立に、水素原子又はメチル基を示し、nは1以上の整数を示す。)。
【0020】
【化2】
【0021】
(式中、nは1以上30以下の整数を示す。)。
【0022】
【化3】
【0023】
(式中、Rは各々独立に、水素原子、メチル基又はエチル基を示し、Rは各々独立に、水素原子又はメチル基を示す。)。
【0024】
[3]
前記マレイミド化合物(A)が、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル}プロパン、前記式(1)で表されるマレイミド化合物、前記式(2)で表されるマレイミド化合物及び前記式(3)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される少なくとも一種を含有する、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
【0025】
[4]
前記第2級モノアミノ化合物(B)が、ビス(2-メトキシエチル)アミン、ビス(2-エトキシエチル)アミン、ビス(4-ビフェニリル)アミン、ビス(3-ビフェニリル)アミン、ビンドシェドラーズグリーンロイコ塩基、2-アセトアミドエタノール、アセトアミドメタノール、1-アセトアミドナフタレン、ビス(4-tert-ブチルフェニル)アミン及び下記式(4)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種を含有する、[1]~[3]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【0026】
【化4】
【0027】
(式中、Rはアリール基、アラルキル基、アルキル基又はシクロアルキル基を示し、Rはアルキレン基を示し、Rは各々独立にアルキル基を示し、nは1~3の整数を示す。)。
【0028】
[5]
前記化合物(B)が、前記式(4)で表される化合物を含有する、[4]に記載の樹脂組成物。
【0029】
[6]
前記化合物(B)が、トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)プロピル]シラン及び/又は[3-(シクロヘキシルアミノ)プロピル]トリメトキシシランである、[5]に記載の樹脂組成物。
【0030】
[7]
前記樹脂組成物において、前記化合物(B)の含有量が、前記マレイミド化合物(A)の合計配合量に対し、0.5~30質量%である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【0031】
[8]
さらに、酸性部位を有する有機化合物(C)を含有する、[1]~[7]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【0032】
[9]
前記化合物(C)が、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、パラストリン酸、ジフェノール酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸及びロジン酸変性樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を含有する、[8]に記載の樹脂組成物。
【0033】
[10]
さらに、無機充填材(D)を含有する、[1]~[9]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【0034】
[11]
前記無機充填材(D)が、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、ベーマイト、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムからなる群より選択される少なくとも一種を含有する、[10]に記載の樹脂組成物。
【0035】
[12]
前記無機充填材(D)が、シリカを含有する、[11]に記載の樹脂組成物。
【0036】
[13]
さらに、可撓性付与成分(E)を含有する、[1]~[12]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【0037】
[14]
前記可撓性付与成分(E)が、アクリルオリゴマー及び/又はアクリルポリマーを含有する、[13]に記載の樹脂組成物。
【0038】
[15]
プリアプライドアンダーフィル材用である、[1]~[14]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【0039】
[16]
支持基材と、該支持基材上に積層された[1]~[15]のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる層と、を備える積層体。
【0040】
[17]
半導体ウェハと、該半導体ウェハに積層された[16]に記載の積層体における樹脂組成物からなる層と、を備える樹脂組成物層付き半導体ウェハ。
【0041】
[18]
半導体搭載用基板と、該半導体搭載用基板に積層された[16]に記載の積層体における樹脂組成物からなる層と、を備える樹脂組成物層付き半導体搭載用基板。
【0042】
[19]
[17]に記載の樹脂組成物層付き半導体ウェハ、及び/又は[18]に記載の樹脂組成物層付き半導体搭載用基板を備える、半導体装置。
【0043】
[1]~[15]のいずれか一項に記載の樹脂組成物を、支持基材上に塗布して得られる樹脂積層体。
【0044】
[16]に記載の樹脂積層体と半導体ウェハを使用して形成する、樹脂組成物層付き半導体ウェハ。
【0045】
[16]に記載の樹脂積層体と半導体搭載用基板を使用して形成する、樹脂組成物層付き半導体搭載用基板。
【0046】
[17]に記載の樹脂組成物層付き半導体ウェハ、及び/又は[18]に記載の樹脂組成物層付き半導体搭載用基板を用いて作製される半導体装置。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、チップとの優れた接着性を有し、アンダーフィル材に用いるのに好適な粘度を有するアンダーフィル材用樹脂組成物、積層体、樹脂組成物層付き半導体ウェハ、樹脂組成物層付き半導体搭載用基板及び半導体装置を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
【0049】
本実施形態の一態様によれば、アンダーフィル材用の樹脂組成物は、マレイミド化合物(A)及び第2級モノアミノ化合物(B)を含有し、該第2級モノアミノ化合物(B)の沸点が120℃以上である。該樹脂組成物は、プリアプライドアンダーフィル材用であることが、本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から好ましい。
【0050】
また、本実施形態の別の態様は、上記樹脂組成物成分に加え、酸性部位を有する有機化合物(C)を含む樹脂組成物である。
【0051】
さらに、本実施形態の別の態様は、上記樹脂組成物成分に加え、無機充填材(D)を含む樹脂組成物である。
【0052】
さらに、本実施形態の別の態様は、上記樹脂組成物成分に加え、可撓性付与成分(E)を含む樹脂組成物である。
【0053】
さらに、本実施形態の別の態様においては、本実施形態による樹脂組成物を使用して得られる積層体(以下、「樹脂積層体」ともいう)、積層体を使用して作製される樹脂組成物層付き半導体ウェハ、積層体を使用して作製される樹脂組成物層付き半導体搭載用基板、及び本発明の樹脂組成物を使用して作製した半導体装置も提供される。
【0054】
〔I.樹脂組成物〕
本実施形態の樹脂組成物は、好適にはチップのフリップチップ実装に使用されるアンダーフィル材として用いられる樹脂組成物であって、マレイミド化合物(A)及び第2級モノアミノ化合物(B)を含有し、該第2級モノアミノ化合物(B)の沸点が120℃以上である。さらに、本実施形態の樹脂組成物は、酸性部位を有する有機化合物(C)、無機充填材(D)及び可撓性付与成分(E)の少なくともいずれか一つを含んでいてもよい。
【0055】
〔I-1.マレイミド化合物(A)〕
本実施形態の樹脂組成物におけるマレイミド化合物(A)は、分子中に1個以上のマレイミド基を有する化合物であれば、特に限定されるものではない。その具体例としては、N-フェニルマレイミド、N-ヒドロキシフェニルマレイミド、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、4,4-ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(3,5-ジメチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5-ジエチル-4-マレイミドフェニル)メタン、フェニルメタンマレイミド、o-フェニレンビスマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、p-フェニレンビスマレイミド、o-フェニレンビスシトラコンイミド、m-フェニレンビスシトラコンイミド、p-フェニレンビスシトラコンイミド、2,2-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)-フェニル)プロパン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、1,6-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、4,4-ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4-ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3-ビス(3-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、4,4-ジフェニルメタンビスシトラコンイミド、2,2-ビス[4-(4-シトラコンイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス(3,5-ジメチル-4-シトラコンイミドフェニル)メタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-シトラコンイミドフェニル)メタン、ビス(3,5-ジエチル-4-シトラコンイミドフェニル)メタン、ポリフェニルメタンマレイミド、ノボラック型マレイミド化合物、ビフェニルアラルキル型マレイミド化合物、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル}プロパン、1,2-ビス(マレイミド)エタン、1,4-ビス(マレイミド)ブタン、1,6-ビス(マレイミド)ヘキサン、N,N'-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N'-1,4-フェニレンジマレイミド、N-フェニルマレイミド、下記式(1)で表されるマレイミド化合物、下記式(2)で表されるマレイミド化合物及び下記式(3)で表されるマレイミド化合物が挙げられる。
【0056】
マレイミド化合物(A)は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することが可能である。
【0057】
その中でも、有機溶剤への溶解性の観点から、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル}プロパン、1,2-ビス(マレイミド)エタン、1,4-ビス(マレイミド)ブタン、1,6-ビス(マレイミド)ヘキサン、N,N'-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N'-1,4-フェニレンジマレイミド、N-フェニルマレイミド、下記式(1)で表されるマレイミド化合物、下記式(2)で表されるマレイミド化合物及び下記式(3)で表されるマレイミド化合物が好ましく、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル}プロパン、下記式(1)で表されるマレイミド化合物、下記式(2)で表されるマレイミド化合物及び下記式(3)で表されるマレイミド化合物がより好ましい。下記式(3)で表されるマレイミド化合物としては、ビス-(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタンが、好ましい。
【0058】
【化5】
【0059】
前記式(1)中、Rは各々独立に、水素原子又はメチル基を示し、水素原子であることが好ましい。
前記式(1)中、nは1以上の整数を示し、nの上限値は、通常は10であり、有機溶剤への溶解性の観点から、好ましくは7である。
【0060】
【化6】
【0061】
前記式(2)中、nは1以上30以下の整数を示し、平均的な値は7から30の範囲である。本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、好ましくは、7から18の範囲である。
【0062】
【化7】
【0063】
前記式(3)中、Rは各々独立に、水素原子、メチル基又はエチル基を示す。
前記式(3)中、Rは各々独立に、水素原子又はメチル基を示す。
【0064】
また、本実施形態の樹脂組成物におけるマレイミド化合物(A)としては、有機溶剤への溶解性及び可撓性の観点から、前記式(2)で表されるマレイミド化合物を必須成分として含有し、それと共に、さらに2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル}プロパン、前記式(1)で表されるマレイミド化合物及び前記式(3)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される少なくとも一種のマレイミド化合物を含有することがより好ましい。
【0065】
本実施形態の樹脂組成物におけるマレイミド化合物(A)は、特に限定されないが、有機溶剤への良好な溶解性及び良好な可撓性が得られる点から、マレイミド化合物(A)100質量部に対して、式(2)で表されるマレイミド化合物を5~40質量部、好ましくは10~35質量部、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル}プロパンを5~50質量部、好ましくは10~35質量部、式(1)で表されるマレイミド化合物を5~40質量部、好ましくは5~25質量部及び式(3)で表されるマレイミド化合物を5~50質量部、好ましくは、10~35質量部の範囲で含むことが好ましい。
【0066】
マレイミド化合物(A)は、マレイミド化合物を重合して得られるプレポリマー、もしくはマレイミド化合物をアミン化合物等の他の化合物と重合して得られるプレポリマー等の形で、樹脂組成物に含有させることもできる。
マレイミド化合物(A)は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
【0067】
〔I-2.沸点が120℃以上である、第2級モノアミノ化合物(B)〕
本実施形態の樹脂組成物における化合物(B)は、分子中にマレイミド化合物(A)と反応する官能基として第2級アミノ基を一つのみ有し、沸点が120℃以上である化合物であれば、特に限定されるものではない。
【0068】
化合物(B)とマレイミド化合物(A)による付加反応は、マレイミド化合物(A)同士の重合反応より高い反応性を示す。この付加反応が進行することにより、化合物(B)が付加したマレイミド化合物(A)のマレイミド基は他のマレイミド化合物(A)と重合する機能を消失し、また化合物(B)もマレイミド基と反応できる官能基を第2級アミノ基一つのみしか有しないため、他のマレイミド化合物(A)と付加反応を起こす能力を失う。結果として、マレイミド化合物(A)同士が重合してできる高分子量体の割合を低く抑えることになるため、樹脂組成物の溶融粘度を低く、かつ低粘度となる時間を長時間化することができる。なお、第2級アミノ基を2つ以上有するアミノ化合物など2官能以上のアミノ化合物では、化合物(B)とマレイミド化合物(A)による付加反応のサイトが多くなり、結果として重合が過剰に進むため、樹脂組成物の粘度が上昇し、アンダーフィル材に求められる最低溶融粘度に達することができない。樹脂組成物の低粘度化は、樹脂組成物のチップとの接着性に寄与する極性官能基の運動性向上をもたらし、さらにチップ表面に存在する凹凸に樹脂組成物を追従しやすくし、樹脂組成物の埋め込み性を改善する。その結果、樹脂組成物とチップとは、樹脂組成物の持つ極性官能基とチップのシラノール基との化学的結合、そしてチップの凹凸への樹脂組成物の埋め込みによるアンカー効果により十分な接着性を得ることになる。また樹脂組成物層からの溶剤除去を容易とする観点から、化合物(B)の沸点は120℃以上が好ましい。
【0069】
そのような化合物(B)の具体例としては、ビス(2-メトキシエチル)アミン、ビス(2-エトキシエチル)アミン、ビス(4-ビフェニリル)アミン、ビス(3-ビフェニリル)アミン、ビンドシェドラーズグリーンロイコ塩基、2-アセトアミドエタノール、アセトアミドメタノール、1-アセトアミドナフタレン、ビス(4-tert-ブチルフェニル)アミン、及び下記式(4)で表される化合物が挙げられる。
これらの化合物(B)は、1種もしくは2種以上を適宜混合して使用することが可能である。
【0070】
その中でも、樹脂組成物の接着性向上の観点から、加水分解反応により接着性に寄与するシラノール基を生成する下記式(4)で表される化合物が好ましい。
【0071】
【化8】
【0072】
式(4)中、Rはアリール基、アラルキル基、アルキル基又はシクロアルキル基を示す。
【0073】
アリール基及びアラルキル基としては、フェニル基、ベンジル基、フェニチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などが挙げられる。好ましくは、フェニル基、ベンジル基である。
【0074】
アルキル基としては、炭素原子数1~20のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素原子数1~10のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、オクチル基などが挙げられる。
シキロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。好ましくは、シクロヘキシル基である。
【0075】
式(4)中、Rは、アルキレン基を示し、炭素原子数1~10のアルキレン基が好ましく、より好ましくは炭素原子数1~8のアルキレン基であり、さらに好ましくはエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、オクチレン基である。
式(4)中、Rは、各々独立に、アルキル基を示し、炭素原子数1~10のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素原子数1~5のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基である。
式(4)中、nは1~3の整数を示す。
【0076】
式(4)で表される化合物のうち、トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)プロピル]シラン、トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)オクチル]シラン及び[3-(シクロヘキシルアミノ)プロピル]トリメトキシシランが、特に好ましい。
【0077】
本実施形態の樹脂組成物において、上記化合物(B)の含有量は、特に限定されるものではないが、チップ接着性と樹脂組成物の硬化速度を両立する観点から、上記マレイミド化合物(A)の合計配合量に対し、0.5~30質量%であることが好ましく、1~15質量%であることがより好ましく、1~10質量%であることがさらに好ましい。
【0078】
〔I-3.酸性部位を有する有機化合物(C)〕
本実施形態の樹脂組成物は、フリップチップ実装中においてフラックス活性を発現させるため、化合物(C)を含有することが好ましい。化合物(C)は、分子中に1個以上の酸性部位を有する有機化合物であれば、特に限定されるものではない。酸性部位としては、リン酸基、カルボキシル基及びスルホン酸基等が好ましく、本実施形態の樹脂組成物をアンダーフィル材、好ましくはプリアプライドアンダーフィル材として用いた半導体装置において、接合部を構成するはんだや銅等の金属のマイグレーション及び腐食をより有効に防止する観点から、カルボキシル基がより好ましい。
【0079】
また、本実施形態の樹脂組成物における化合物(C)は、フリップチップ実装中においてフラックス活性が発現する前に揮発してしまうこと、すなわち接合部の酸化膜を除去する前に化合物(C)が揮発してしまうことを防ぐ観点から、分子量が200以上であることが好ましく、250以上であることがより好ましい。また酸としての運動性を有し、十分なフラックス活性を得るためには、分子量8000以下であることが好ましく、1000以下であることがより好ましく、500以下であることがさらに好ましい。
【0080】
化合物(C)は、接合部の酸化膜の除去を十分行うために、酸性部位の官能基当量が10000g/eq.以下であることが好ましく、さらに本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、5000g/eq.以下であることがより好ましく、1000g/eq.以下であることがさらに好ましく、500g/eq.以下であることがさらにより好ましい。下限値は、特に限定されないが、例えば、50g/eq.である。
【0081】
化合物(C)としては、ロジン酸類などのフラックス活性を有する成分が好ましく、分子量が200~3000のカルボン酸類を含むロジン酸がより好ましい。ロジン酸類としては、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、パラストリン酸、ジフェノール酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸及びロジン酸変性樹脂から選ばれる少なくとも1種を含むロジン酸類が好ましく、ジヒドロアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸及びロジン酸変性樹脂から選ばれる少なくとも1種を含むロジン酸類がより好ましい。
【0082】
これらの化合物は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して使用することができる。
【0083】
その中でも、マレイミド化合物(A)による失活を防ぐ観点からは、ジフェノール酸、ジヒドロアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸及びロジン酸変性樹脂がより好ましい。特にデヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸及びロジン酸変性樹脂は、反応性の高い非芳香族の炭素-炭素不飽和結合を有しないことから、マレイミド化合物(A)との反応がほとんど起こらず、酸化膜の除去に必要となる十分なフラックス活性が維持される観点から特に好ましい。
【0084】
化合物(C)は市販のものを使用してもよく、例えば、和光純薬工業(株)製のアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸及びジヒドロアビエチン酸等、及び荒川化学工業(株)製のロジン酸変性樹脂が挙げられる。
【0085】
本実施形態の樹脂組成物における化合物(C)の含有量は、限定されるものではないが、樹脂組成物のフラックス活性と、積層体を形成して使用する際に重要な特性の一つとなる可撓性を両立する観点から、前記樹脂組成物において、マレイミド化合物(A)の合計配合量に対し、5~50質量%であることが好ましく、10~40質量%であることがより好ましく、15~30質量%であることがさらに好ましい。
【0086】
〔I-4.無機充填材(D)〕
本実施形態の樹脂組成物は、耐燃性の向上、熱伝導率の向上及び熱膨張率の低減のため、無機充填材(D)を含有することができる。無機充填材を使用することにより、樹脂組成物等の耐燃性及び熱伝導率を向上させ、熱膨張率を低減することができる。
【0087】
無機充填材(D)の種類としては、特に限定されないが、例えば、シリカ(例えば、天然シリカ、溶融シリカ、アモルファスシリカ、中空シリカ等)、アルミニウム化合物(例えば、ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、窒化アルミニウム等)、マグネシウム化合物(例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等)、カルシウム化合物(例えば、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等)、モリブデン化合物(例えば、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛等)、窒化ホウ素、硫酸バリウム、タルク(例えば、天然タルク、焼成タルク等)、マイカ(雲母)、ガラス(例えば、短繊維状ガラス、球状ガラス、微粉末ガラス(例えばEガラス、Tガラス、Dガラス等)等)等が挙げられる。また、樹脂組成物に導電性又は異方導電性を付与したい場合には、無機充填材(D)として金属粒子(例えば、金、銀、ニッケル、銅、錫合金、パラジウム)を使用してもよい。
【0088】
これらの無機充填材(D)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
無機充填材(D)は、シランカップリング剤で表面処理されたものを用いても良い。
【0089】
シランカップリング剤としては、一般に無機物の表面処理に使用されているシランカップリング剤であれば、特に限定されるものではない。具体例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、γ-メタアクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのビニルシラン系シランカップリング剤、トリメトキシフェニルシランなどのフェニルシラン系シランカップリング剤、イミダゾールシラン系シランカップリング剤が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、1種を単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することも可能である。
【0090】
これらの中でも、樹脂組成物の耐燃性の向上及び熱膨張率の低減の観点から、無機充填材(D)としては、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、ベーマイト、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムが好ましく、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素がより好ましく、その中でも溶融シリカが特に好ましい。溶融シリカの具体例としては、デンカ(株)製のSFP-120MC、SFP-130MC等、(株)アドマテックス製のSC1050-MLQ、SC2050-MNU、SC2050-MTX、SE2053-SQ、YA050C-MJF及びYA050C-MJA等が挙げられる。
【0091】
無機充填材(D)の平均粒径は、限定されるものではないが、本実施形態の樹脂組成物をアンダーフィル材として、好ましくはプリアプライドアンダーフィル材として使用する場合、チップに配列される電極の狭ピッチ化や電極間の狭ギャップ化に対応する観点からは、3μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。その平均粒径の下限値は、特に限定されないが、例えば、10nmである。なお、本明細書において無機充填材(D)の「平均粒径」とは、無機充填材(D)のメジアン径を意味するものとする。ここでメジアン径とは、ある粒径を基準として粉体の粒度分布を2つに分けた場合に、より粒径が大きい側の粒子の体積と、より粒径が小さい側の粒子の体積とが、全粉体の夫々50%を占めるような粒径を意味する。無機充填材(D)の平均粒径(メジアン径)は、湿式レーザー回折・散乱法により測定される。
【0092】
無機充填材(D)を使用する場合の樹脂組成物における含有量は、樹脂組成物の耐燃性の向上及び熱膨張率の低減をしつつ、アンダーフィル材の、好適にはプリアプライドアンダーフィル材の接合時の流動性を確保する観点からは、マレイミド化合物(A)、化合物(C)及び可撓性付与成分(E)の合計量(100質量%)に対し、300質量%以下とすることが好ましく、200質量%以下とすることがより好ましい。また、その含有量は、10質量%以上とすることが好ましく、20質量%以上とすることがより好ましく、50質量%以上とすることがさらに好ましくい。なお、2種以上の無機充填材(D)を併用する場合には、これらの合計量が上記含有量の範囲を満たすことが好ましい。
【0093】
無機充填材(D)を使用する場合の樹脂組成物における含有量は、樹脂組成物の耐燃性の向上及び熱膨張率の低減をしつつ、アンダーフィル材の、好適にはプリアプライドアンダーフィル材の接合時の流動性を確保する観点から、マレイミド化合物(A)の合計配合量に対し、300質量%以下とすることが好ましく、200質量%以下とすることがより好ましい。また、10質量%以上とすることが好ましく、20質量%以上とすることがより好ましく、40質量%以上とすることがさらに好ましくい。なお、2種以上の無機充填材(D)を併用する場合には、これらの合計量が上記比率を満たすことが好ましい。
【0094】
〔I-5.可撓性付与成分(E)〕
本実施形態の樹脂組成物における可撓性付与成分(E)は、樹脂組成物からなる層に対して可撓性を付与できるような成分であれば、特に限定されないが、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ポリウレタン、ポリプロピレン、アクリルオリゴマー、アクリルポリマー及びシリコーン樹脂等の熱可塑性の高分子化合物が挙げられる。
これらの可撓性付与成分(E)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
【0095】
これらの中でも、樹脂組成物を製造する際に用いる有機溶剤への溶解性、マレイミド化合物との相溶性、樹脂組成物の溶融粘度の制御性及び可撓性付与の観点から、アクリルオリゴマー又はアクリルポリマーが好ましい。アクリルオリゴマー又はアクリルポリマーの具体例としては、東亞合成(株)の「ARUFON(登録商標)」シリーズ、綜研化学(株)の「アクトフロー(登録商標)」シリーズ、根上工業(株)の「PARACRON(登録商標)」シリーズ、(株)クラレの「KURARITY(登録商標)」シリーズ等が挙げられる。
【0096】
可撓性付与成分(E)の分子量は、限定されるものではないが、樹脂組成物に可撓性を付与するという観点からは、重量平均分子量が1000以上であることが好ましく、2000以上であることがより好ましい。また、樹脂組成物をアンダーフィル材として、好適にはプリアプライドアンダーフィル材として使用する場合、金属接合部内に樹脂組成物の噛み込みがなく、良好かつ安定した形状の接合を得るためには、樹脂組成物の溶融粘度を低く制御し、接合時の樹脂組成物の流動性を確保する必要がある。そのような観点から、可撓性付与成分(E)の重量平均分子量が1000000以下であることが好ましく、800000以下がより好ましく、100000以下がさらに好ましく、10000以下がさらにより好ましい。この好ましい範囲の重量平均分子量を有する可撓性付与成分(E)を使用することにより、樹脂組成物の可撓性と、アンダーフィル材として、好適にはプリアプライドアンダーフィル材として使用する場合の接合性をより良好なバランスで両立することができる。なお、本明細書において可撓性付与成分(E)の「重量平均分子量」とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法による、ポリスチレンスタンダード換算の重量平均分子量を意味する。
【0097】
可撓性付与成分(E)を使用する場合、その樹脂組成物における含有量は、溶融粘度の制御性の観点から、マレイミド化合物(A)の合計配合量に対し、100質量%以下とすることが好ましく、50質量%以下とすることがより好ましく、30質量%以下とすることがより好ましい。また、可撓性付与成分(E)の樹脂組成物における含有量は、1質量%以上とすることが好ましく、5質量%以上とすることがより好ましい。なお、2種以上の可撓性付与成分(E)を併用する場合には、これらの合計量が上記比率を満たすことが好ましい。
【0098】
〔I-6.その他の成分〕
本実施形態の樹脂組成物は、マレイミド化合物(A)、化合物(B)、化合物(C)、無機充填材(D)及び可撓性付与成分(E)の他に、その他の成分を一種又は2種以上含んでいてもよい。
【0099】
例えば、本実施形態の樹脂組成物は、樹脂とフィラーの界面の接着性の向上及び吸湿耐熱性の向上の目的で、カップリング剤を含んでいてもよい。カップリング剤は、化合物(B)と異なる。その具体例としては、ビニルシラン系シランカップリング剤(例えばビニルトリメトキシシラン、γ-メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン等)、フェニルシラン系シランカップリング剤(例えばトリメトキシフェニルシラン等)、イミダゾールシラン系シランカップリング剤等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0100】
カップリング剤を使用する場合、樹脂組成物におけるその含有量は限定されるものではないが、吸湿耐熱性の向上及びフリップチップ実装時の揮発量の低減観点から、マレイミド化合物(A)と無機充填材(D)の合計配合量に対し、0.4~15質量%とするのが好ましく、0.8~10質量%とするのがより好ましい。
【0101】
本実施形態の樹脂組成物は、積層体の製造性向上及び充填材の分散性等の目的で、湿潤分散剤を含有してもよい。湿潤分散剤としては、一般に塗料等に使用されている湿潤分散剤であれば、限定されない。具体例としては、ビッグケミー・ジャパン(株)製のDisperbyk(登録商標)-110、同-111、同-180、同-161、BYK-W996、同-W9010、同-W903等が挙げられる。これらの湿潤分散剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0102】
湿潤分散剤を使用する場合、樹脂組成物におけるその含有量は限定されるものではないが、積層体の製造性向上の観点からは、無機充填材(D)に対して、湿潤分散剤の比率を0.1~5質量%とするのが好ましく、0.5~3質量%とするのがより好ましい。
なお、2種以上の湿潤分散剤を併用する場合には、これらの合計量が上記比率を満たすことが好ましい。
【0103】
本実施形態の樹脂組成物は、硬化速度の調整等の目的で、硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤としては、マレイミド化合物の硬化促進剤として公知であり、一般に使用されるものであれば、特に限定されない。硬化促進剤の具体例として、イミダゾール類及びその誘導体(例えば2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、2,4,5-トリフェニルイミダゾール等)、第3級アミン(例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン等)等が挙げられる。これらの硬化促進剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0104】
硬化促進剤を使用する場合、樹脂組成物におけるその含有量は限定されるものではないが、硬化速度の調整の観点から、マレイミド化合物(A)の合計配合量に対し、硬化促進剤の比率を0.01~10質量%とするのが好ましく、0.05~2質量部とするのがより好ましく、0.1~1質量%とするのがよりさらに好ましい。なお、2種以上の硬化促進剤を併用する場合には、これらの合計量が上記比率を満たすことが好ましい。
【0105】
本実施形態の樹脂組成物には、所期の特性が損なわれない範囲において、種々の目的により、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤の例としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤、光増感剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、レベリング剤、光沢剤、難燃剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本実施形態の樹脂組成物において、その他の添加剤の含有量は、特に限定されないが、通常、マレイミド化合物(A)の合計配合量に対し、それぞれ0.1~10質量%である。
【0106】
本実施形態の樹脂組成物は、マレイミド化合物(A)、化合物(B)を必須成分とし、必要に応じて、化合物(C)、無機充填材(D)、可撓性付与成分(E)及びその他の成分を混合することにより調製される。必要に応じて、これらの成分を有機溶剤に溶解又は分散させたワニスの形態としてもよい。斯かる本実施形態の樹脂組成物のワニスは、後述する本実施形態の積層体を作製する際のワニスとして、好適に使用することができる。有機溶剤は、上述の成分を各々好適に溶解又は分散させることができ、且つ、本実施形態の樹脂組成物の所期の効果を損なわないものであれば限定されない。有機溶剤の具体例としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール等)、ケトン類(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、アミド類(例えばジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等)、芳香族炭化水素類(例えばトルエン、キシレン等)等が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0107】
本実施形態の樹脂組成物は、チップとの接着性、フラックス活性、可撓性及び低熱膨張性に優れる。また、樹脂組成物を支持基材上に塗布することにより、チップとの接着性に優れた樹脂層を有する積層体を提供することができる。本実施形態の樹脂組成物を積層体の形態で使用するプリアプライドアンダーフィル材として用いた場合、チップ接着性、フラックス活性、可撓性及び低熱膨張性に優れ、加えて、接合性、吸湿耐熱性にも優れる等、その他の好適な効果も発揮し得る。このように、本実施形態の樹脂組成物は、各種の優れた特徴を有し、特にチップと接着性、フラックス活性、可撓性及び低熱膨張性を高い水準で両立させることができることから、アンダーフィル材、特にプリアプライドアンダーフィル材として極めて有用である。
【0108】
〔II.積層体、積層体を使用して作製される樹脂組成物層付き半導体ウェハ、積層体を使用して作製される樹脂組成物層付き基板及び半導体装置〕
本実施形態の積層体、樹脂組成物層付き半導体ウェハ、樹脂組成物層付き半導体搭載用基板などの樹脂組成物層付き基板及び半導体装置は、いずれも上述した本発明の樹脂組成物を用いて形成される。
【0109】
〔II-1.積層体〕
本実施形態の積層体は、支持基材と、該支持基材上に積層された本実施形態の樹脂組成物からなる層とを備えるものである。このような積層体は、上述した本実施形態の樹脂組成物が、支持基材に添着されたものである。支持基材としては、特に限定されないが、高分子フィルムを使用することができる。高分子フィルムの材質の具体例としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリウレタン、エチレン‐酸化ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート及びポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン‐プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリイミド及びポリアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の樹脂を含有するフィルム、並びにこれらのフィルムの表面に離型剤を塗布した離型フィルムが挙げられる。これらの中でも、特にポリエステル、ポリイミド、及びポリアミドが好ましく、その中でもポリエステルの一種である、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0110】
本実施形態の支持基材の厚さは限定されないが、積層体の製造性、例えば支持基材に樹脂組成物を塗布する場合の塗布厚の安定性の観点から、10~100μmであることが好ましい。また、積層体の搬送性の観点からも、その厚さは10~100μmであることが好ましい。また、その厚さの下限としては、積層体製造する際の歩留り確保の点から、さらに好ましくは12μm以上、特に好ましくは25μm以上であり、30μm以上であることが極めて好ましい。また、その厚さの上限としては、支持基材が最終的に半導体装置の構成部材として存在することなく、工程の途中で剥離されることから、積層体の製造コストの観点から、50μm以下であることが好ましい。
【0111】
上述の支持基材上に、本実施形態の樹脂組成物からなる層(以下、単に「樹脂組成物層」ともいう。)を形成して本実施形態の積層体を製造する方法としては、限定されるものではない。そのような製造方法として、例えば、本実施形態の樹脂組成物を有機溶剤に溶解又は分散させたワニスを、上述の支持基材の表面に塗布し、加熱及び/又は減圧下で乾燥し、溶媒を除去して本実施形態の樹脂組成物を固化させ、樹脂組成物層を形成する手法等が挙げられる。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層に対する有機溶剤の含有比率が、樹脂組成物層の総量(100質量%)に対して、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。斯かる乾燥を達成する条件は、ワニス中の有機溶媒の種類と配合量によっても異なる。例えば、マレイミド化合物(A)及び化合物(B)の樹脂組成物における合計含有量に対し、好ましくはマレイミド化合物(A)、化合物(B)及び化合物(C)の樹脂組成物における合計含有量に対し、20~120質量%のメチルエチルケトンを含むワニスの場合、1気圧下で90~160℃の加熱条件下で3~10分程度の乾燥が目安となる。本実施形態の積層体における樹脂組成物層の厚さは限定されないが、樹脂組成物層の乾燥時に軽揮発分をより良好に除去する観点、及び積層体としての機能をより有効かつ確実に奏する観点から、5~500μmの範囲が好適であり、10~100μmの範囲がより好ましい。
【0112】
〔II-2.積層体を使用して作製される樹脂組成物層付き半導体ウェハ、積層体を使用して作製される樹脂組成物層付き基板〕
本実施形態の樹脂組成物層付き半導体ウェハは、半導体ウェハと、その半導体ウェハに積層された上述の積層体における樹脂組成物層とを備え、上述した本実施形態の積層体と半導体ウェハから形成されたものである。また、本実施形態の樹脂組成物層付き基板は、基板と、その基板に積層された上述の積層体における樹脂組成物層とを備え、上述した本実施形態の積層体と基板から形成されたものである。
【0113】
本実施形態の樹脂組成物層付き半導体ウェハを作製する方法は限定されないが、例えば、半導体ウェハの電極が形成された面、すなわち基板との接合が行われる面に、本実施形態の積層体の樹脂組成物層が対向するよう貼り合わせることで得られる。また、本実施形態の樹脂組成物層付き基板を作製する方法は限定されないが、例えば、基板のチップ搭載側の面に、本実施形態の積層体の樹脂組成物層が対向するよう貼り合わせることで得られる。
【0114】
本実施形態の積層体を半導体ウェハ又は基板に貼り合わせる方法としては特に限定されないが、真空加圧式ラミネータを好適に使用することができる。この場合、本実施形態の積層体に対してゴム等の弾性体を介して加圧し、貼り合わせる方法が好ましい。ラミネート条件としては、当業界で一般に使用されている条件であれば特に限定されないが、例えば50~140℃の温度、1~11kgf/cmの範囲の接触圧力、並びに20hPa以下の雰囲気減圧下で行われる。ラミネート工程の後に、金属板による熱プレスにより、貼り合わされた積層体の平滑化を行ってもよい。上記ラミネート工程及び平滑化工程は、市販されている真空加圧式ラミネータによって連続的に行うことができる。半導体ウェハ又は基板に貼り付けられた積層体は、いずれの場合もチップのフリップチップ実装前までに支持基材の除去が行われる。
【0115】
〔II-3.半導体装置〕
本実施形態の半導体装置は、本実施形態の樹脂組成物層付き半導体ウェハ、及び/又は本実施形態の樹脂組成物層付き基板を備えるものであり、本実施形態の樹脂組成物層、チップ及び基板等から構成される。本実施形態の半導体装置を製造する方法は、限定されるものではないが、例えば、本実施形態の樹脂組成物層付き半導体ウェハを研削等の手段で薄化及びダイシングソー等による個片化を行い、樹脂組成物層付きチップとし、これを基板に搭載する手法等が挙げられる。また、本実施形態の樹脂組成物層付き基板に、チップを搭載してもよい。樹脂組成物層付きチップを基板に搭載する方法及び半導体チップを樹脂組成物層付き基板に搭載する方法では、熱圧着工法に対応したフリップチップボンダを好適に使用することができる。また、本実施形態ではチップを基板にフリップチップ実装する場合を便宜的に説明しているが、チップをフリップチップ実装しつつ、本実施形態の樹脂組成物を適用する対象は基板以外とすることも可能である。例えば、本実施形態の樹脂組成物は、半導体ウェハ上へチップを搭載する際の半導体ウェハとチップとの接合部や、TSV(Through Silicon Via)等を経由してチップ間接続を行うチップ積層体の、各チップ間の接合部に使用することも可能であり、いずれの場合も本発明による優位性を得ることができる。
【実施例0116】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
【0117】
1.樹脂組成物及び樹脂積層体の作製
【0118】
実施例1:
第1のマレイミド化合物(A)として、式(1)におけるRがすべて水素原子であり、nが1~3であるマレイミド化合物(BMI-2300、大和化成工業(株)製)のメチルエチルケトン(以下、「MEK」と略す場合がある。)溶液(不揮発分50質量%)26質量部(不揮発分換算で13質量部)、第2のマレイミド化合物(A)として、式(2)で表されるマレイミド化合物(式(2)中のnは、14(平均値)である、BMI-1000P、ケイ・アイ化成(株)製)のMEK溶液(不揮発分50質量%)50質量部(不揮発分換算で25質量部)、第3のマレイミド化合物(A)として、ビス-(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70、ケイ・アイ化成(株)製)のMEK溶液(不揮発分50質量%)52質量部(不揮発分換算で26質量部)、更に第4のマレイミド化合物(A)として、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル}プロパン(BMI-80、ケイ・アイ化成(株)製)のMEK溶液(不揮発分50質量%)52質量部(不揮発分換算で26質量部)、化合物(B)として、トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)プロピル]シラン(KBM-573、信越化学工業(株)製)1質量部、化合物(C)として、デヒドロアビエチン酸(分子量:300.44、酸性部位の官能基当量:300g/eq.、和光純薬工業(株)製)のMEK溶液(不揮発分50質量%)40質量部(不揮発分換算で20質量部)、無機充填材(D)として、スラリーシリカ(SC-1050MLQ((株)アドマテックス製)、平均粒径:0.3μm、不揮発分60質量%、(株)アドマテックス製)166.7質量部(不揮発分換算で100質量部)、可撓性付与成分(E)として、アクリルポリマー(ARUFON US-6170、東亞合成(株)製、Mw:3000)10質量部、硬化促進剤として、2-エチル-4-メチルイミダゾール(2E4MZ、四国化成工業(株)製)のMEK溶液(不揮発分10質量%)1質量部(不揮発分換算で0.1質量部)を混合し、高速攪拌装置を用いて30分間撹拌して、ワニスを得た。このワニスを、表面に離型剤をコートした厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(TR1-38、ユニチカ(株)製)に塗布し、100℃で5分間加熱乾燥して、本発明の樹脂組成物層の厚さが30μmである樹脂積層体を得た。このとき、化合物(B)の含有量は、マレイミド化合物(A)合計配合量に対し、1.1質量%となった。
【0119】
実施例2:
化合物(B)である、トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)プロピル]シラン(KBM-573)の使用量を1質量部から3質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてワニスを調製し、樹脂積層体を得た。このとき、化合物(B)の含有量は、マレイミド化合物(A)に対し3.3質量%となった。
【0120】
実施例3:
化合物(B)である、トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)プロピル]シラン(KBM-573)の使用量を1質量部から5質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてワニスを調製し、樹脂積層体を得た。このとき、化合物(B)の含有量は、マレイミド化合物(A)に対し5.6質量%となった。
【0121】
実施例4:
第1のマレイミド化合物(A)である、式(1)におけるRがすべて水素原子であり、nが1~3であるマレイミド化合物(BMI-2300)のMEK溶液(不揮発分50質量%)の使用量を26質量部(不揮発分換算で13質量部)から39質量部(不揮発分換算で19.5質量部)に変更し、第3のマレイミド化合物(A)を、ビス-(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70、ケイ・アイ化成(株)製)のMEK溶液(不揮発分50質量%)52質量部(不揮発分換算で26質量部)から、ビス-(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70)のMEK溶液(不揮発分50質量%)39質量部(不揮発分換算で19.5質量部)に変更した以外は、実施例3と同様にしてワニスを調製し、樹脂積層体を得た。このとき、化合物(B)の含有量は、マレイミド化合物(A)合計配合量に対し、5.6質量%となった。
【0122】
実施例5:
第一のマレイミド化合物(A)である、式(1)におけるRがすべて水素原子であり、nが1~3であるマレイミド化合物(BMI-2300)のMEK溶液(不揮発分50質量%)の使用量を26質量部(不揮発分換算で13質量部)から52質量部(不揮発分換算で26質量部)に変更し、第3のマレイミド化合物(A)を、ビス-(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70、ケイ・アイ化成(株)製)のMEK溶液(不揮発分50質量%)52質量部(不揮発分換算で26質量部)から、ビス-(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70)のMEK溶液(不揮発分50質量%)26質量部(不揮発分換算で13質量部)に変更した以外は、実施例3と同様にしてワニスを調製し、樹脂積層体を得た。このとき、化合物(B)の含有量は、マレイミド化合物(A)合計配合量に対し、5.6質量%となった。
【0123】
実施例6:
化合物(C)である、デヒドロアビエチン酸のMEK溶液を使用しなかった以外は、実施例3と同様にしてワニスを調製し、樹脂積層体を得た。このとき、化合物(B)の含有量は、マレイミド化合物(A)に対し5.6質量%となった。
【0124】
実施例7:
可撓性付与成分(E)である、アクリルポリマー(US-6170)を使用せず、マレイミド化合物(A)として、式(1)におけるRがすべて水素原子であり、nが1~3であるマレイミド化合物(BMI-2300)のMEK溶液(不揮発分50質量%)の使用量を28.8質量部(不揮発分換算で14.4質量部)に変更し、第2のマレイミド化合物(A)として、式(2)で表されるマレイミド化合物(BMI-1000P)のMEK溶液(不揮発分50質量%)55.6質量部(不揮発分換算で27.8質量部)に変更し、第3のマレイミド化合物(A)として、ビス-(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン(BMI-70)のMEK溶液(不揮発分50質量%)57.8質量部(不揮発分換算で28.9質量部)に変更し、更に第4のマレイミド化合物(A)として、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル}プロパン(BMI-80)のMEK溶液(不揮発分50質量%)57.8質量部(不揮発分換算で28.9質量部)に変更した以外は、実施例3と同様にしてワニスを調製し、樹脂積層体を得た。このとき、化合物(B)の含有量は、マレイミド化合物(A)に対し5.0質量%となった。
【0125】
実施例8:
化合物(C)として、デヒドロアビエチン酸のMEK溶液の代わりに、ジヒドロアビエチン酸(分子量:300.47、酸性部位の官能基当量:300g/eq.、和光純薬工業(株)製)のMEK溶液(不揮発分50質量%)40質量部(不揮発分換算で20質量部)を使用した以外は実施例3と同様にしてワニスを調製し、樹脂積層体を得た。このとき、化合物(B)の含有量は、マレイミド化合物(A)に対し5.6質量%となった。
【0126】
実施例9:
化合物(C)として、デヒドロアビエチン酸のMEK溶液の代わりに、ロジン酸変性樹脂(マルキードNo.32、重量平均分子量:2000、酸性部位の官能基当量:414g/eq.、荒川化学工業(株)製)のMEK溶液(不揮発分50質量%)40質量部(不揮発分換算で20質量部)を使用した以外は実施例3と同様にしてワニスを調製し、樹脂積層体を得た。このとき、化合物(B)の含有量は、マレイミド化合物(A)に対し5.6質量%となった。
【0127】
比較例1:
化合物(B)である、トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)プロピル]シラン(KBM-573、信越化学工業(株)製)を使用せず、硬化促進剤として、2-エチル-4-メチルイミダゾール(2E4MZ、四国化成工業(株)製)のMEK溶液(不揮発分10質量%)1質量部(不揮発分換算で0.1質量部)を2-フェニル-4-メチルイミダゾール(2P4MZ、四国化成工業(株)製)のMEK溶液(不揮発分10質量%)0.1質量部(不揮発分換算で0.01質量部)に変更した以外は、実施例1と同様にしてワニスを調製し、樹脂積層体を得た。
【0128】
比較例2:
さらに、第1級アミノ基を有するモノアミノ化合物として、3―アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM-903、信越化学工業(株)製)5質量部を添加した以外は、比較例1と同様にしてワニスを調製し、樹脂積層体を得た。
【0129】
比較例3:
さらに、ビニルトリメトキシシラン(KBM-1003、信越化学工業(株)製)5質量部を添加した以外は、比較例1と同様にしてワニスを調製し、樹脂積層体を得た。
【0130】
比較例4:
さらに、トリメトキシフェニルシラン(KBM-103、信越化学工業(株)製)5質量部を添加した以外は、比較例1と同様にしてワニスを調製し、樹脂積層体を得た。
【0131】
比較例5:
化合物(B)である、トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)プロピル]シラン(KBM-573、信越化学工業(株)製)を使用しなかった以外は、実施例1と同様にしてワニスを調製し、樹脂積層体を得た。
【0132】
2.樹脂組成物の評価
(1)溶融粘度(Pa・s)
実施例1~9及び比較例1~5で得られた樹脂積層体から樹脂組成物層のみを剥離し、粉砕することで得られた樹脂粉を1g量り取り、錠剤成形器(ハンドプレスSSP-10A、(株)島津製作所製)にて直径25mmの錠剤を作製した。作製した錠剤について、レオメーター(ARES-G2、TAインスツルメンツ社製)を用いて、パラレルプレート法により溶融粘度を測定した。詳細には、角周波数:10rad/s、歪み:0.1%、昇温速度:10℃/分の条件にて、40℃から250℃の範囲で溶融粘度を測定し、その際に得られる80℃から100℃までの範囲での粘度の最低値を最低溶融粘度とした。
【0133】
(2)チップ接着性
チップ接着性をJIS K5600-5-6に準じて評価を実施した。具体的には、実施例1~9及び比較例1~5で得られた樹脂積層体を4cm×4cmに個片化したチップに真空加圧式ラミネータにより貼り付けることで樹脂組成物層付きチップを得た。その樹脂組成物層付きチップを、オーブンを使用し、200℃で3時間加熱した。室温に戻した後、樹脂組成物層チップに縦、横それぞれに1mm間隔で各6本の切り込みを互いに直交するように入れ、25マスの直角格子パターンを作製した。切り込み入り樹脂組成物層付きチップに対して、プレッシャークッカー(温度:121℃、湿度:100%RH、圧力:2atm)により96時間まで加圧吸湿処理を施した後に、室温環境下にて透明付着テープによる剥離試験を行った。
剥離試験の結果、全く剥離が確認されなかったものをA、極一部のみに剥離が確認されたものをB、大きく剥離が確認されたものをCとして記載した。
【0134】
(3)フラックス活性
実施例1~9及び比較例1~5で得られたワニスを、厚さ12μmの電解銅箔(3EC-III、三井金属鉱業(株)製)の光沢面に塗布し、100℃で5分間乾燥し、樹脂組成物層付き銅箔を得た。樹脂組成物層付き銅箔の上に、直径0.5mmのはんだボール(エコソルダー(登録商標)ボールM705、Sn-3.0Ag-0.5Cu合金、千住金属工業(株)製)を置き、更に厚さ12μmの電解銅箔(3EC-III)を光沢面が対向するように置いた。これを、235℃に加熱されたホットプレートの上に置き、銅箔上ではんだを溶融させ、はんだボールの銅箔への濡れ広がり率からフラックス活性を評価した。はんだボールの濡れ広がり率は、加熱前のはんだボールの高さ(a)および加熱後のはんだボールの高さ(b)から下記式によって算出した。
【0135】
はんだボールの濡れ広がり率={(a)-(b)}/(a)×100
【0136】
また、はんだボールの濡れ広がり率が50%以上のものをA、25%以上50%未満のものをB、25%未満のものをCとして記載した。
【0137】
(4)可撓性
実施例1~9及び比較例1~5で得られた樹脂積層体を5cm×10cmの短冊状に断裁した後、オーブンを使用し、150℃で90分間加熱処理した。得られた熱処理済み樹脂積層体を室温に戻した後、支持基材のポリエチレンテレフタレートフィルムが内側になるように折り曲げ、裏面同士が接触するまで折り曲げた。この作業の後、本実施形態の樹脂組成物層のクラックの有無を確認し、可撓性の評価を行った。クラックの発生が全く認められないものをA、クラックの発生が認められたものをCとして記載した。
【0138】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0139】
本実施形態の樹脂組成物は、チップ接着性、フラックス活性、可撓性及び低熱膨張性に優れる等、各種の効果を発揮することから、アンダーフィル材として、好適にはプリアプライドアンダーフィル材料として有用である。特に本実施形態の樹脂組成物はチップ接着性に優れることから、チップと基板の接合や、チップと半導体ウェハの接合、更にはチップとチップの接合によって得られる積層体においても使用される環境において長期的な使用にも耐え得る高いチップとの接着性を付与することができ、極めて有用である。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マレイミド化合物(A)と、第2級モノアミノ化合物(B)と、可撓性付与成分(E)と、を含有し、
前記第2級モノアミノ化合物(B)の沸点が120℃以上であり、
前記可撓性付与成分(E)が、アクリルオリゴマー及び/又はアクリルポリマーを含有する、
アンダーフィル材用の樹脂組成物。
【請求項2】
前記マレイミド化合物(A)が、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル}プロパン、1,2-ビス(マレイミド)エタン、1,4-ビス(マレイミド)ブタン、1,6-ビス(マレイミド)ヘキサン、N,N'-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N'-1,4-フェニレンジマレイミド、N-フェニルマレイミド、下記式(1)で表されるマレイミド化合物、下記式(2)で表されるマレイミド化合物及び下記式(3)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される少なくとも一種を含有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
【化1】
(式中、Rは各々独立に、水素原子又はメチル基を示し、nは1以上の整数を示す。)。
【化2】
(式中、nは1以上30以下の整数を示す。)。
【化3】
(式中、Rは各々独立に、水素原子、メチル基又はエチル基を示し、Rは各々独立に、水素原子又はメチル基を示す。)。
【請求項3】
前記マレイミド化合物(A)が、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル}プロパン、前記式(1)で表されるマレイミド化合物、前記式(2)で表されるマレイミド化合物及び前記式(3)で表されるマレイミド化合物からなる群より選択される少なくとも一種を含有する、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記第2級モノアミノ化合物(B)が、ビス(2-メトキシエチル)アミン、ビス(2-エトキシエチル)アミン、ビス(4-ビフェニリル)アミン、ビス(3-ビフェニリル)アミン、ビンドシェドラーズグリーンロイコ塩基、2-アセトアミドエタノール、アセトアミドメタノール、1-アセトアミドナフタレン、ビス(4-tert-ブチルフェニル)アミン及び下記式(4)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【化4】
(式中、Rはアリール基、アラルキル基、アルキル基又はシクロアルキル基を示し、Rはアルキレン基を示し、Rは各々独立にアルキル基を示し、nは1~3の整数を示す。)。
【請求項5】
前記化合物(B)が、前記式(4)で表される化合物を含有する、請求項4に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記化合物(B)が、トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)プロピル]シラン及び/又は[3-(シクロヘキシルアミノ)プロピル]トリメトキシシランである、請求項5に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記樹脂組成物において、前記化合物(B)の含有量が、前記マレイミド化合物(A)の合計配合量に対し、0.5~30質量%である、請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前記樹脂組成物において、前記可撓性付与成分(E)の含有量が、前記マレイミド化合物(A)の合計配合量に対し、1~100質量%である、請求項1~7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
さらに、酸性部位を有する有機化合物(C)を含有する、請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
前記化合物(C)が、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、パラストリン酸、ジフェノール酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸及びロジン酸変性樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を含有する、請求項に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
さらに、無機充填材(D)を含有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項12】
前記無機充填材(D)が、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、ベーマイト、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムからなる群より選択される少なくとも一種を含有する、請求項11に記載の樹脂組成物。
【請求項13】
前記無機充填材(D)が、シリカを含有する、請求項12に記載の樹脂組成物。
【請求項14】
プリアプライドアンダーフィル材用である、請求項1~13のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項15】
支持基材と、該支持基材上に積層された請求項1~14のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる層と、を備える積層体。
【請求項16】
半導体ウェハと、該半導体ウェハに積層された請求項15に記載の積層体における樹脂組成物からなる層と、を備える樹脂組成物層付き半導体ウェハ。
【請求項17】
半導体搭載用基板と、該半導体搭載用基板に積層された請求項15に記載の積層体における樹脂組成物からなる層と、を備える樹脂組成物層付き半導体搭載用基板。
【請求項18】
請求項16に記載の樹脂組成物層付き半導体ウェハ、及び/又は請求項17に記載の樹脂組成物層付き半導体搭載用基板を備える、半導体装置。