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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089928
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】SiNの堆積
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/318 20060101AFI20220609BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20220609BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20220609BHJP
   C23C 16/42 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
H01L21/318 B
H01L21/31 C
C23C16/455
C23C16/42
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022068713
(22)【出願日】2022-04-19
(62)【分割の表示】P 2021119957の分割
【原出願日】2015-09-17
(31)【優先権主張番号】62/051,867
(32)【優先日】2014-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/180,511
(32)【優先日】2015-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512144771
【氏名又は名称】エーエスエム アイピー ホールディング ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 隆
(72)【発明者】
【氏名】チェン シャン
(72)【発明者】
【氏名】ポレ ヴィルヤミ
(72)【発明者】
【氏名】山田 令子
(72)【発明者】
【氏名】ニスカネン アンッティ ユハニ
(57)【要約】
【課題】窒化シリコン膜を形成するための方法及び前駆体を提供する。
【解決手段】一部の実施形態では、窒化シリコンは、プラズマエンハンストALDのような原子層堆積(ALD)により堆積される。一部の実施形態では、堆積された窒化シリコンは、プラズマ処理で処理されうる。プラズマ処理は、窒素プラズマ処理でありうる。一部の実施形態では、窒化シリコンを堆積するためのシリコン前駆体は、ヨウ素リガンドを含む。窒化シリコン膜は、FinFETSのような三次元構造又は他の種類の複数ゲートFETに堆積されたときに、垂直及び水平部分的に対して相対的に均一なエッチング速度を有してもよい。一部の実施形態では、本開示の各種窒化シリコン膜は、希釈HF(0.5%)による熱酸化膜除去速度の二分の一未満のエッチング速度を有する。一部の実施形態では、窒化シリコン膜を堆積する方法は、マルチステッププラズマ処理を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応空間において基板にSiN薄膜を形成する方法であって、
前記基板の表面に吸着される第1のシリコン種を提供するために、前記基板を、ヨウ素を含むシリコン前駆体と接触するステップと、
前記表面に吸着される前記第1のシリコン種を含む前記基板を、活性化した水素種を含む第1のプラズマと接触し、それにより、前記基板にSiNを形成するステップと、
窒素プラズマ処理を導入するステップであって、前記窒素プラズマ処理は、前記SiN薄膜を形成するために、SiNを含む前記基板を、水素含有種が実質的にないガスを含む窒素から形成される第2のプラズマと接触するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記第1のプラズマは、水素、水素原子、水素プラズマ、水素ラジカル、N*ラジカル、NH*ラジカル及びNH*ラジカルの少なくとも1つを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のプラズマは、第1のパワーを用いて生成され、前記第2のプラズマは、第2のパワーを用いて生成される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のパワーは、前記第1のパワーよりも大きい請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のパワーは、前記第1のパワーよりも小さい請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記基板を前記第1のプラズマと接触するステップは、前記窒素プラズマ処理の期間よりも長い期間で実行される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記窒素プラズマ処理の期間は、前記基板を前記第1のプラズマと接触する期間の5%から75%である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記基板を、ヨウ素を含む前記シリコン前駆体と接触するステップと、前記基板を前記第1のプラズマに接触するステップと、を前記窒素プラズマ処理を導入する前に、2回以上繰り返すステップを更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記窒素プラズマ処理は、少なくとも25回の繰り返し後に導入される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記SiN薄膜は、側壁及び上部領域を含む三次元構造で形成され、前記上部領域の前記SiN薄膜のウェットエッチング速度(WER)に対する前記側壁の前記SiN薄膜のウェットエッチング速度WERの比は、0.5%dHFにおいて0.75から1.5である請求項1に記載の方法。
【請求項11】
熱シリコン酸化膜のエッチング速度に対する前記SiN薄膜のエッチング速度のエッチング速度比は、0.5%HF水溶液において0.5未満である請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記シリコン前駆体は、SiIを含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
反応空間において基板にSiN薄膜を堆積する方法であって、
シリコン種が前記基板の表面に吸着するように、ヨウ素を含むシリコン前駆体に前記基板を暴露するステップと、
前記表面に吸着された前記シリコン種を含む前記基板を、第1の窒素含有プラズマ及び第2の異なるプラズマに暴露するステップと、
を備える方法。
【請求項14】
前記基板を前記窒素含有プラズマに暴露するステップは、水素ガス及び窒素ガスの両方を用いて生成されるプラズマに前記基板を暴露することを含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のプラズマ及び前記第2のプラズマの少なくとも一方とは異なる第3のプラズマに前記基板を暴露するステップを更に備える請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記第1、第2及び第3のプラズマのうちの2つは、水素ガス及び窒素ガスの両方を用いて生成されるプラズマを含み、前記第1、第2及び第3のプラズマのうちの1つは、水素ガスを用いて生成されるプラズマを含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記基板は、第1の期間で前記第1のプラズマに暴露され、前記基板は、第2の期間で前記第2のプラズマに暴露され、前記基板は、第3の期間で前記第3のプラズマに暴露され、前記第1の期間は、前記第2の期間よりも長く、前記第2の期間は、前記第3の期間よりも長い請求項15に記載の方法。
【請求項18】
反応空間において基板にSiN薄膜を堆積する方法であって、
シリコン種が前記基板の表面に吸着するように、前記基板をハロゲン化シリコンに暴露するステップと、
前記基板を、窒素含有かつ水素含有ガスを用いて生成される第1のプラズマに暴露するステップと、
前記基板を、水素含有ガスを用いて生成される第2のプラズマに暴露するステップと、
前記基板を、水素含有ガス及び窒素含有ガスを用いて生成される第3のプラズマに暴露するステップと、
前記基板を、前記ハロゲン化シリコン、前記第1のプラズマ、前記第2のプラズマ及び前記第3のプラズマに暴露するステップを繰り返すステップと、
を備える方法。
【請求項19】
前記基板を前記第1のプラズマに暴露するステップと、前記基板を前記第2のプラズマに暴露するステップとの間に前記反応空間から余剰な反応物質を除去するステップと、
前記基板を前記第2のプラズマに暴露するステップと、前記基板を前記第3のプラズマに暴露するステップとの間に前記反応空間から余剰な反応物質を除去するステップと、
を更に備える請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記余剰な反応物質を除去するステップは、プラズマをオフし、水素ガスを流すことを含む請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記SiN薄膜を堆積するために追加の反応物質が使用されない請求項20に記載の方法。
【請求項22】
反応空間において基板にSiN薄膜を形成する方法であって、
原子層堆積処理を用いて前記基板にSiNを堆積するステップであって、前記原子層堆積処理は、前記基板を、ヨウ素を含むシリコン前駆体と接触することを含む、ステップと、
堆積された前記SiNに窒素プラズマ処理を導入するステップであって、前記窒素プラズマ処理は、前記SiNを含む前記基板を、水素含有種が実質的にないガスを含む窒素から形成された窒素プラズマに接触することを含む、ステップと、
を備える方法。
【請求項23】
前記窒素プラズマ処理を導入するステップは、前記基板上の前記SiNを、水素含有種が実質的にないプラズマと接触することを含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記原子層堆積処理は、PEALD処理を含み、
前記PEALD処理は、
前記基板の表面に吸着される第1のシリコン種を提供するために、前記基板を、ヨウ素を含む前記シリコン前駆体と接触するステップと、
前記表面に吸着される前記第1のシリコン種を含む前記基板を、活性化した水素種を含む第1のプラズマと接触するステップと、を含む請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記窒素プラズマ処理を導入する前に、前記基板を前記シリコン前駆体及び前記第1のプラズマと接触するステップを2回以上繰り返すステップを更に備える請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記活性化した水素種は、水素、水素原子、水素プラズマ、水素ラジカル、N*ラジカル、NH*ラジカル及びNH*ラジカルの少なくとも1つを含む請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記SiNを堆積するステップは、第1のパワーを用いて前記第1のプラズマを生成することを含み、前記窒素プラズマ処理を導入するステップは、第2のパワーを用いて前記窒素プラズマを生成し、前記第2のパワーは、前記第1のパワーよりも大きい請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記原子層堆積処理は、熱ALD処理を含む請求項22に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照本願は、2015年6月16日提出の“DEPOSITION OF SiN,”と題する米国特許仮出願第62/180,511号、及び2014年9月17日提出の“DEPOSITION OF SiN,”と題する米国特許仮出願第62/051,867号の優先権の利益を主張するものであり、このそれぞれは、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、一般的には、半導体デバイス製造の分野に関するものであり、より具体的には、窒化シリコン膜の低温堆積及び窒化シリコン膜の堆積に使用する前駆体に関するものである。
【背景技術】
【0003】
スペーサは、後続の処理ステップに対して保護するための構造として半導体製造に広く使用されている。例えば、ゲート電極の傍に形成される窒化物スペーサは、ドーピング又はインプラントステップ時に下にあるソース/ドレイン領域を保護するためのマスクとして使用されうる。
【0004】
半導体デバイスシュリンクの物理的な幾何学形状として、ゲート電極スペーサは、より小さくなってきている。スペーサ幅は、高密度のゲート電極ラインに亘ってコンフォーマルに堆積されうる窒化物の厚さによって制限される。そのため、窒化物スペーサエッチング処理は、堆積される窒化物層の厚さに対するスペーサ幅の高い比を有することが好ましい。
【0005】
現在の一般的なPEALD窒化シリコン処理は、トレンチ構造のような三次元構造上に堆積されるときに、異方性エッチングに苦しんでいる。言い換えれば、トレンチ又はフィン又は他の三次元構造の側壁に堆積される膜は、構成の上部領域の膜と比べて低い膜特性を表す。膜品質は、トレンチの上部又は構造化されたウェーハの平坦な領域上の対象となる用途に十分であるが、側壁又は他の水平でない又は垂直な表面では十分ではない。
【0006】
図1A及び1Bは、スペーサ用途で使用されうる窒化シリコン膜の典型例を示す。膜は、本願で説明されるものではないPEALD処理を用いて400℃で堆積された。図1Aは、三次元表面に堆積された後であるが、HFによりエッチングされる前の膜を示す。エッチング処理は、その後、約60秒間0.5%HFにワークピースを浸漬することにより行われた。図1Bは、窒化シリコン膜の垂直部分の規模が、膜の水平部分の規模よりも大きいことを示す。膜厚は、ナノメートルで示されている。これらのような構造は、一般的にFinFETスペーサ用途のようなさらなる処理を切り抜けることができない。
【発明の概要】
【0007】
一部の態様では、窒化シリコン膜を堆積する原子層堆積(ALD)方法を提供する。一部の実施形態では、ALD方法は、プラズマエンハンストALD方法又は熱ALD方法であってもよい。当該方法は、良好なステップカバレージ及びパターンローディング効果のような所望の品質を有すると共に、所望のエッチング特性を有する窒化シリコン膜の堆積を可能にする。一部の実施形態によれば、窒化シリコン膜は、三次元構造に堆積されるとき、垂直及び水平部分の両方に対する相対的に均一なエッチング速度を有する。このような三次元構造は、例えば、FinFET又は他の種類の複数ゲートFETを含んでもよいが、これに限定されない。一部の実施形態では、本開示の各種窒化シリコン膜は、希釈HF(0.5%)で分当たり約2-3nmの熱酸化物除去率の半分未満のエッチング速度を有する。
【0008】
一部の実施形態では、反応チャンバにおける基板に窒化シリコン膜を形成する方法は、シリコン種が基板表面上に吸着するように、気相シリコン反応物質を反応空間に導入するステップと、余剰なシリコン反応物質を除去するステップと、吸着されたシリコン種を、シリコン前駆体からプラズマにより生成された反応種と接触するステップと、余剰な反応種及び反応副生成物を除去するステップと、を備える。これらのステップは、所望厚さの窒化シリコン膜を実現するために繰り返される。
【0009】
一部の実施形態では、シリコン前駆体は、本明細書で説明されるように、式(1)-(8)の前駆体を含む。一部の実施形態では、シリコン前駆体は、HSiI、HSiI、HSiI、HSi、HSi、及びHSiIからなる群から選択される。一部の実施形態では、シリコン前駆体は、HSiIである。反応種は、例えば、水素、水素原子、水素プラズマ、水素ラジカル、N*ラジカル、NH*ラジカル又はNH*ラジカルを含んでもよい。一部の実施形態では、反応種は、N含有プラズマ又はNを含むプラズマを含んでもよい。一部の実施形態では、反応種は、N含有種を含むプラズマを含んでもよい。一部の実施形態では、反応種は、窒素原子及び/又はN*ラジカルを含んでもよい。
【0010】
一部の実施形態では、窒化シリコン膜は、三次元構造上に堆積される。一部の実施形態では、窒化シリコン膜は、少なくとも約80%のステップカバレージ及びパターンローディング効果を示す。一部の実施形態では、当該構造は、側壁及び上部領域を含み、上部領域のウェットエッチング速度(wet etch rate)(WER)に対する側壁のウェットエッチング速度WERは、0.5%dHFで約3%未満である。一部の実施形態では、窒化シリコン膜のエッチング速度は、0.5%HF水溶液で約0.4nm/min未満である。
【0011】
一部の実施形態では、窒化シリコン膜を堆積する方法は、1以上の三次元構成を含む基板を反応空間に搬入するステップと、シリコン種が基板の表面上に吸着されるように、反応空間内の基板をシリコン前駆体と接触するステップと、余剰なシリコン前駆体を反応空間からパージするステップと、反応空間内の基板の表面上に吸着されたシリコン種を窒素前駆体と接触するステップと、余剰な窒素前駆体の反応空間をパージするステップと、所望厚さの膜を生成するために前記ステップを繰り返すステップと、を備える。一部の実施形態では、膜は、三次元構成で約50%超のステップカバレージを有する。一部の実施形態では、窒化シリコン膜のウェットエッチング速度は、5%HF水溶液で約5nm/min未満である。一部の実施形態では、上面のエッチング速度に対する三次元構造の側壁における窒化シリコン膜のエッチング速度の比は、約4未満である。一部の実施形態では、ステップカバレージは、少なくとも約80%又は約90%である。
【0012】
一部の実施形態では、基板に窒化シリコン膜を堆積する方法は、シリコン種が基板の表面上に吸着されるように、基板を気相シリコン前駆体に暴露するステップと、基板表面から余剰な前駆体及び反応副生成物を除去するためにパージガス及び/又は真空に基板の表面に吸着されたシリコン種を暴露するステップと、吸着されたシリコン種を、窒素プラズマにより生成された種と接触するステップと、基板表面及び基板表面の近傍から窒素を含むプラズマ及び反応副生成物を除去するためにパージガス及び/又は真空に基板を暴露するステップと、所望厚さの膜を生成するために前記ステップを繰り返すステップと、を備える。
【0013】
一部の実施形態では、基板に窒化シリコン膜を堆積する方法は、シリコン種が基板の表面上に吸着されるように、基板を気相シリコン反応物質に暴露するステップと、基板表面から余剰な前駆体及び反応副生成物を除去するために基板をパージガス及び/又は真空に暴露するステップと、吸着されたシリコン種を窒素前駆体と接触するステップと、基板表面及び基板表面の近傍から余剰な窒素前駆体及び反応副生成物を除去するために基板をパージガス及び/又は真空に暴露するステップと、所望厚さの膜を生成するために前記ステップを繰り返すステップと、を備える。
【0014】
一部の実施形態では、シリコン前駆体は、ヨウ素又は臭素を含む。一部の実施形態では、前記膜は、約50%超のステップカバレージを有する。一部の実施形態では、窒化シリコンのエッチング速度は、0.5%HF水溶液で約5nm/min未満である。一部の実施形態では、三次元構造の上面でのエッチング速度に対する三次元構造の側壁での窒化シリコンのエッチング速度の比は、約4未満である。
【0015】
一態様では、本明細書に説明されるような方法により堆積される窒化シリコン薄膜は、プラズマ処理(トリートメント)に晒されうる。一部の実施形態では、プラズマ処理は、堆積された窒化シリコン薄膜を、水素種がない又は実質的にない窒素含有ガスから生成されたプラズマに暴露するステップを含む。一部の実施形態では、窒化シリコン膜は、複数の窒化シリコン堆積サイクルを用いて堆積されることができ、プラズマ処理は、所定のインターバルにおいて、各堆積サイクル後に、又は所望厚さの窒化シリコン膜が堆積された後に、適用されうる。
【0016】
一部の実施形態では、反応空間内の基板に薄膜を形成する方法は、基板の表面上に吸着された第1のシリコン種を提供するために、基板を第1のハロゲン化シリコンと接触するステップと、基板に材料を堆積するために、表面に吸着された第1の種を含む基板を、第1のプラズマステップと接触するステップと、を含みうる。前記方法は、更に、窒素プラズマ処理を導入するステップを含んでもよく、ここで、窒素プラズマ処理は、薄膜を形成するために、表面に材料を含む基板を、水素含有種が実質的にない窒素含有種から形成された第2のプラズマと接触することを含む。一部の実施形態では、薄膜は、窒化シリコン膜である。
【0017】
一部の実施形態では、反応空間内の基板にSiN薄膜を形成する方法は、基板の表面上に吸着された第1のシリコン種を提供するために、基板を第1のハロゲン化シリコンと接触するステップと、表面に吸着された第1のシリコン種を含む基板を、活性化した水素種を含む第1のプラズマと接触し、それにより、SiNを堆積するステップと、を含みうる。前記方法は、SiN薄膜を形成するために、窒素プラズマ処理を導入するステップを更に含んでもよく、ここで、窒素プラズマ処理は、SiNを含む基板を、水素含有種が実質的にない窒素含有ガスから形成された第2のプラズマと接触することを含む。一部の実施形態では、窒化シリコン堆積サイクルは、基板を第1のシリコン前駆体と接触するステップと、基板の表面に吸着された第1のシリコン種を第2の窒素前駆体と接触するステップと、を含む。一部の実施形態では、基板上の窒化シリコンは、例えば、2,3,4,5,10,25,50又は100回ごとの繰り返し後のような、各窒化シリコン堆積サイクル後、又は窒化シリコンサイクルの様々な繰り返しにおいて、第2のプラズマと接触されうる。
【0018】
一部の実施形態では、第1のプラズマは、水素、水素原子、水素プラズマ、水素ラジカル、N*ラジカル、NH*ラジカル及びNH*ラジカルの少なくとも1つを含む。一部の実施形態では、第1のプラズマは、N含有プラズマ又はNを含むプラズマを含んでもよい。一部の実施形態では、第1のプラズマは、N含有種を含んでもよい。一部の実施形態では、第1のプラズマは、窒素原子及び/又はN*ラジカルを含んでもよい。
【0019】
一部の実施形態では、第1のプラズマは、第1のパワーを用いて生成され、第2のプラズマは、第2のパワーを用いて生成される。第2のパワーは、第1のパワーよりも大きくてもよい。一部の実施形態では、第2のパワーは、第1のパワーの約100%から約900%である。一部の実施形態では、第2のパワーは、第1のパワーの約100%から約200%である。
【0020】
一部の実施形態では、第2のパワーは、一部の実施形態では、第2のパワーは、第1のパワーの約50%から約100%である。一部の実施形態では、第1のパワーは、約50Wから約600Wである。一部の実施形態では、第1のパワーは、約150Wから約250Wであってもよい。一部の実施形態では、第2のパワーは、約100Wから約1000Wである。第2のパワーは、約150Wから約300Wであってもよい。
【0021】
一部の実施形態では、基板を第1のプラズマと接触するステップは、窒素プラズマ処理の期間よりも長い期間で実行される。一部の実施形態では、窒素プラズマ処理の期間は、第1のプラズマステップの期間の約5%から約75%である。窒素プラズマ処理の期間は、第1のプラズマステップの期間の約20%から約50%であってもよい。
【0022】
一部の実施形態では、薄膜を堆積する方法は、更に、窒素プラズマ処理を導入する前に、基板を、シリコン前駆体のような第1の前駆体に接触するステップと、基板の表面に吸着されたシリコン種のような種を、第1のプラズマに2回以上接触するステップと、を繰り返すステップを含んでもよい。一部の実施形態では、窒素プラズマ処理は、基板を第1の前駆体に接触するステップと、基板の表面に吸着された種を活性化した水素種と接触するステップと、を少なくとも25回繰り返した後に、導入される。一部の実施形態では、窒素プラズマ処理は、25回繰り返すごとに導入される。一部の実施形態では、窒素プラズマ処理は、50回繰り返すごとに導入される。一部の実施形態では、窒素プラズマ処理は、100回繰り返すごとに導入される。
【0023】
SiN膜は、三次元構造上に形成されてもよい。一部の実施形態では、当該構造は、側壁及び上部領域を含み、ここで、上部領域上のSiN膜のウェットエッチング速度(WER)に対する側壁のSiN薄膜のウェットエッチング速度(WER)の比は、0.5%dHFで約1未満である。一部の実施形態では、当該比は、約0.75から約1.5であり、一部の実施形態では、約0.9から約1.1であってもよい。
【0024】
一部の実施形態では、熱酸化膜のエッチング速度に対するSiN薄膜のエッチング速度のエッチング速度比は、0.5%HF水溶液で約0.5未満である。
【0025】
一部の実施形態では、基板をハロゲン化シリコンと接触することは、ヨウ素を含む。一部の実施形態では、ハロゲン化シリコンは、塩素を含む。シリコン前駆体は、無機物であってもよい。一部の実施形態では、ハロゲン化シリコンは、SiIを含む。
【0026】
一部の態様では、反応空間内の基板にSiN薄膜を堆積する方法は、基板の表面に吸着されたシリコン種を提供するために、基板をハロゲン化シリコンに暴露するステップと、基板に吸着されたシリコン種を含む基板を、第1の窒素含有プラズマ、及び第2の、異なるプラズマに暴露するステップと、を含みうる。一部の実施形態では、ハロゲン化シリコンは、ヨウ素を含む。一部の実施形態では、ハロゲン化シリコンは、塩素を含む。一部の実施形態では、ハロゲン化シリコンは、オクタクロロトリシランを含む。
【0027】
一部の実施形態では、基板を、窒素含有プラズマ及び第2の異なるプラズマに暴露するステップは、水素ガス及び窒素ガスの少なくとも1つを用いて生成されたプラズマに基板を暴露することを含みうる。一部の実施形態では、基板を第1の窒素含有プラズマに暴露するステップは、シリコン種を、水素ガス及び窒素ガスの両方を用いて生成されたプラズマに暴露することを含みうる。
【0028】
一部の実施形態では、基板は、更に、第1のプラズマ及び第2のプラズマの少なくとも1つとは異なる第3のプラズマに暴露されうる。第1、第2、及び第3のプラズマのうちの2つは、水素ガス及び窒素ガスの両方を用いて生成されたプラズマを含んでもよく、第1、第2、及び第3のプラズマのうちの1つは、水素ガスを用いて生成されたプラズマを含んでもよい。
【0029】
一部の実施形態では、基板は、第1の期間に第1のプラズマに暴露され、基板は、第2の期間に第2のプラズマに暴露され、基板は、第3の期間に第3のプラズマに暴露され、第1の期間は、第2の期間よりも長い。第1の期間は、第2の期間よりも長くてもよい。一部の実施形態では、第2の期間は、第3の期間よりも長くてもよい。
【0030】
一部の実施形態では、第1のプラズマ及び第3のプラズマのそれぞれは、水素ガス及び窒素ガスの両方を用いて生成されたプラズマを含みうる。一部の実施形態では、第2のプラズマは、水素ガスを用いて生成されたプラズマを含みうる。
【0031】
薄膜を堆積する方法は、第1のプラズマと第2のプラズマとの間に反応空間から余剰な反応物質を除去するステップと、第2のプラズマと第3のプラズマとの間に反応空間から余剰な反応物質を除去するステップと、を含んでもよい。一部の実施形態では、第1のプラズマと第2のプラズマとの間、及び第2のプラズマと第3のプラズマとの間に反応空間から余剰な反応物質を除去するステップは、それぞれ、水素ガスを流すことを含みうる。一部の実施形態では、反応空間から余剰な反応物質を除去するステップ、第1のプラズマと第2のプラズマとの間の第1のパージステップは、窒素ガスの流速をランプダウン(ramping down)することを含みうる。一部の実施形態では、第2のプラズマと第3のプラズマとの間に反応空間から余剰な反応物質を除去するステップは、水素ガス及び窒素ガスを流すことを含む。一部の実施形態では、第2のプラズマと第3のプラズマとの間に反応空間から余剰な反応物質を除去するステップは、窒素ガスの流速をランプアップ(ramping up)することを含む。
【0032】
一部の態様では、反応空間内の基板に薄膜を堆積する方法は、シリコン種が、基板の表面に吸着するように、基板をハロゲン化シリコンに暴露するステップと、基板を、窒素含有及び水素含有ガスを用いて生成された第1のプラズマに暴露するステップと、基板を、水素含有ガスを用いて生成された第2のプラズマに暴露するステップと、基板を、水素含有ガス及び窒素含有ガスを用いて生成された第3のプラズマに暴露するステップと、基板を、ハロゲン化シリコン、第1のプラズマ、第2のプラズマ及び第3のプラズマに暴露するステップを繰り返すステップと、を含みうる。一部の実施形態では、薄膜は、窒化シリコン薄膜である。一部の実施形態では、薄膜を堆積するステップは、追加の反応物質が実質的にない。
【0033】
一部の実施形態では、第1のプラズマ及び第3のプラズマは、水素ガス及び窒素が明日を用いて生成される。一部の実施形態では、第2のプラズマは、水素ガスを用いて生成される。
【0034】
薄膜を堆積する方法は、薄膜を堆積する方法は、基板を第1のプラズマに暴露するステップと第2のプラズマに暴露するステップとの間に反応空間から余剰な反応物質を除去するステップと、基板を第2のプラズマに暴露するステップと第3のプラズマに暴露するステップとの間に反応空間から余剰な反応物質を除去するステップと、を含んでもよい。一部の実施形態では、余剰な反応物質を除去するステップは、プラズマをオフすることを含んでもよい。一部の実施形態では、余剰な反応物質を除去するステップは、水素ガスを流すことを継続することを含んでもよい。薄膜を堆積する方法は、基板を第1のプラズマに暴露するステップと第2のプラズマに暴露するステップとの間に反応空間から余剰な反応物質を除去する間に、窒素ガスの流れをランプダウンすることを含んでもよい。薄膜を堆積する方法は、基板を第2のプラズマに暴露するステップと第3のプラズマに暴露するステップとの間に反応空間から余剰な反応物質を除去する間に、窒素ガスの流れをランプアップすることを含んでもよい。
【0035】
一部の態様では、反応空間内の基板にSiN薄膜を形成する方法は、原子層堆積処理を用いて基板にSiNを堆積するステップと、堆積されたSiNに窒素プラズマ処理を導入するステップと、を含むことができ、窒素プラズマ処理は、SiNを含む基板を、水素含有種が実質的にない窒素含有ガスから形成された窒素プラズマと接触することを含む。一部の実施形態では、原子層堆積処理は、基板をシリコン前駆体と接触することを含む。一部の実施形態では、シリコン前駆体は、ヨウ素を含む。
【0036】
一部の実施形態では、窒素プラズマ処理を導入するステップは、基板上のSiNを、水素含有種が実質的にないプラズマと接触することを含む。
【0037】
一部の実施形態では、原子層堆積処理は、PEALD処理を含み、PEALD処理は、基板の表面に吸着された第1のシリコン種を提供するために、基板をハロゲン化シリコンと接触するステップと、表面に吸着された第1のシリコン種を含む基板を、活性化した水素種を含む第1のプラズマと接触するステップと、を含みうる。一部の実施形態では、ハロゲン化シリコンは、ヨウ素又は塩素を含みうる。一部の実施形態では、活性化した水素種は、水素、水素原子、水素プラズマ、水素ラジカル、N*ラジカル、NH*ラジカル及びNH*ラジカルの少なくとも1つを含みうる。一部の実施形態では、第1のプラズマは、N含有プラズマ又はNを含むプラズマを含んでもよい。一部の実施形態では、第1のプラズマは、N含有種を含むプラズマを含んでもよい。一部の実施形態では、第1のプラズマは、窒素原子及び/又はN*ラジカルを含んでもよい。一部の実施形態では、SiNを堆積するステップは、第1のパワーを用いて第1のプラズマを生成することを含み、窒素プラズマ処理を導入することは、第2のパワーを用いて窒素のプラズマを生成することを含み、第2のパワーは、第1のパワーよりも大きい。一部の実施形態では、基板をハロゲン化シリコン及び第1のプラズマと接触するステップは、窒素プラズマ処理を導入するステップの前に2回以上繰り返されうる。
【0038】
一部の実施形態では、原子層堆積処理は、熱ALD処理を含む。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明は、例示することを意味し、本発明を限定するものではない、好ましい実施形態の詳細な説明及び添付の図面からよりよく理解されるであろう。
【0040】
図1図1A及び1Bは、窒化シリコン膜上のエッチング処理の結果を示す。
図2図2は、本開示の一部の実施形態に係るALD処理による窒化シリコン膜を形成する方法の概要を示すフローチャートである。
図3図3は、本開示の一部の実施形態に係るPEALD処理による窒化シリコン膜を形成する方法の概要を示すフローチャートである。
図4図4は、本開示の一部の実施形態に係る熱ALD処理による窒化シリコン膜を形成する方法の概要を示すフローチャートである。
図5図5A-5Cは、本開示の一部の実施形態に係る堆積された各種窒化シリコン膜の電界放出形走査電子顕微鏡(FESEM)画像を示す。
図6図6A-6Cは、2分間のdHF浸漬への暴露の後の図5A‐5Bの窒化シリコン膜のFESEM画像を示す。
図7図7は、窒素プラズマ処理と組み合わせたPEALD処理による窒化シリコン膜を形成する方法の概要を示すフローチャートである。
図8図8は、窒素プラズマ処理と組み合わせたPEALD処理による窒化シリコン膜を形成する方法の別の例の概要を示すフローチャートである。
図9図9は、dHFに浸漬される時間の関数として、窒化シリコン膜のウェットエッチング速度、及び熱シリコン酸化膜と比較した窒化シリコン膜のウェットエッチング速度の比を示す。
図10図10は、窒化シリコン膜を堆積するための実験配置を示す。
図11図11は、窒化シリコン膜のウェットエッチング速度、熱窒化シリコン膜のウェットエッチング速度と比較したときの窒化シリコン膜のウェットエッチング速度比、及び基板の位置の関数としての窒化シリコン膜の厚さを示す。
図12図12は、窒化シリコン膜の上からの視点、及び各窒化シリコン膜に加えられる水素適用量を示す対応する概要を示すSEM画像である。
図13図13Aは、dHFに浸漬された時間の関数としての窒化シリコン膜の厚さを示す。図13Bは、熱窒化シリコン膜と比較した図12Aの窒化シリコン膜のウェットエッチング速度の比を示す。
図14図14Aは、窒化シリコン膜組成を示す。図14Bは、熱窒化シリコン膜と比較した図13Aの窒化シリコン膜のウェットエッチング速度比の性能を示す。
図15図15は、熱窒化シリコン膜と比較した窒化シリコン膜の水平表面、及び熱窒化シリコン膜の垂直表面と比較した窒化シリコン膜の垂直表面のウェットエッチング速度比の性能を示す。
図16図16は、PEALD処理による窒化シリコン膜を形成する方法の一例を概説するフローチャートであり、PEALD処理は、マルチ-ステッププラズマ暴露を含む。
図17図17は、PEALD処理による窒化シリコン膜を形成する方法の別の例を概説するフローチャートであり、PEALD処理は、マルチ-ステッププラズマ暴露を含む。
図18図18は、マルチ-ステッププラズマ暴露の一例のための時間の関数としてのガス流速及びプラズマパワーを示すグラフである。
図19図19Aは、マルチ-ステッププラズマ暴露を含むPEALD処理を用いて堆積されたSiN膜の一例の特性を示す表である。図19Bは、図19AのSiN膜を堆積する際に使用されるマルチ-ステッププラズマ暴露のいくつかの条件を挙げた表である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
窒化シリコン膜は、平面ロジック、DRAM及びNANDフラッシュデバイスのような当業者にとって明らかである広範囲の様々な用途を有する。より具体的には、エッチング態様を均一に表示するコンフォーマルな窒化シリコン膜は、半導体産業及び半導体産業以外の両方で広範囲の様々な用途を有する。本開示の一部の実施形態によれば、窒化シリコン膜、前駆体並びに原子層堆積(atomic layer deposition(ALD))によるこれらの膜を堆積するための様々な方法を提供する。重要なのは、一部の実施形態では、窒化シリコン膜は、三次元構造に堆積されたとき、垂直及び水平部の両方について相対的に均一なエッチング速度を有する。このような三次元構造は、例えば、FinFETS又は他の種類のマルチゲートFETsを含んでもよいが、これに限定されない。一部の実施形態では、本開示の各種窒化シリコン膜は、希釈HF(0.5%)による分当たり約2-3nmの熱酸化物除去速度の半分未満のエッチング速度を有する。
【0042】
窒化シリコンを含む膜の層は、プラズマエンハンスト原子層堆積(plasma-enhanced atomic layer deposition(PEALD))型の処理又は熱ALD処理により堆積されうる。一部の実施形態では、窒化シリコン薄膜は、PEALDにより基板に堆積される。一部の実施形態では、窒化シリコン薄膜は、熱ALD処理により基板に堆積される。一部の実施形態では、窒化シリコン薄膜は、finFETデバイスの形成におけるフィン及び/又はspacer defined double patterning(SDDP)及び/又はspacer defined quadruple patterning(SDQP)の用途におけるフィンのような三次元構造に亘って堆積される。
【0043】
窒化シリコン膜の組成式は、便宜上及び簡素化のためにSiNと本明細書では一般的に示される。しかし、当業者は、膜のSi:N比を示し、かつ水素又は他の不純物を除外する窒化シリコン膜の実際の組成式は、SiNで表され、ここで、いくつかのSi-N結合が形成される限り、xは約0.5から約2.0で変化することを理解するであろう。一部の場合には、xは約0.9から約1.7、約1.0から約1.5又は約1.2から約1.4まで変化してもよい。一部の実施形態では、窒化シリコンは、Siが+IVの酸化状態を有し、材料中の窒素の量が変化して形成される。
【0044】
ALD型の処理は、一般的には、制御された、自己制限(self-limiting)表面反応に基づく。気相反応は、典型的には、基板を交互かつ順次反応物質と接触することにより防がれる。気相反応物質は、例えば、余剰な反応物質及び/又は反応パルス間の反応副生成物を除去することにより、反応チャンバ内で互いに隔てられる。反応物質は、パージ及び/又は真空の助けにより基板表面の近傍から除去されてもよい。一部の実施形態では、余剰な反応物質及び/又は反応副生成物は、例えば、不活性ガスをパージすることにより、反応空間から除去される。
【0045】
本明細書で示される方法は、基板表面にSiN薄膜を堆積するために提供する。ALD型の処理の性質により、幾何学的に困難な用途でも可能となる。一部の実施形態によれば、ALD型の処理は、集積回路ワークピースのような基板上、一部の実施形態では、基板上の三次元構造上にSiN薄膜を形成するために使用される。一部の実施形態では、ALD型の処理は、基板をシリコン前駆体及び窒素前駆体と交互かつ順次接触することを含む。一部の実施形態では、シリコン前駆体は、このようなシリコン種が基板の表面に吸着するように、基板と接触する。一部の実施形態では、シリコン種は、シリコン前駆体と同一であってもよく、又は1以上のリガンドの損失による等の吸着ステップにおいて変性されてもよい。
【0046】
図2は、一部の実施形態に係る、窒化シリコン薄膜を堆積するために使用されうる窒化シリコンALD堆積サイクルを概説するフローチャートである。特定の実施形態によれば、窒化シリコン薄膜は、複数の窒化シリコン堆積サイクルを含むALD型処理により基板に形成され、各窒化シリコン堆積サイクル200は、
(1)シリコン種が基板表面に吸着するように、基板をシリコン前駆体と接触すること210、
(2)基板を窒素前駆体と接触すること220、
(3)所望の厚さ及び組成の薄膜を実現するために要求される回数だけステップ210及び220を繰り返すこと、
を含む。
【0047】
余剰な反応物質は、例えば、各接触するステップの後に、不活性ガスにより反応物質からパージすることにより、基板の近傍から除去されてもよい。以下の説明は、これらのステップのそれぞれをより詳細に特定する。
【0048】
PEALD処理
一部の実施形態では、プラズマエンハンストALD(plasma enhanced ALD(PEALD))処理は、SiN膜を堆積するために使用される。簡単に言うと、基板又はワークピースは、反応チャンバに配置され、交互に繰り返される表面反応を受ける。一部の実施形態では、SiN薄膜は、自己制限ALDサイクルの繰り返しにより形成される。好ましくは、SiN膜を形成するために、各ALDサイクルは、少なくとも2つの異なる段階を含む。反応空間からの反応物質の提供及び除去は、一つの段階と見なされてもよい。第1の段階では、シリコンを含む第1の反応物質が提供され、基板表面上にわずかほぼ一つの単層を形成する。この反応物質は、本明細書において“シリコン前駆体”、“シリコン含有前駆体”又は“シリコン反応物質”とも呼ばれ、例えば、HSiIであってもよい。
【0049】
第2の段階では、反応種を含む第2の反応物質が提供され、吸着されたシリコン種を窒化シリコンに変化させてもよい。一部の実施形態では、第2の反応物質は、窒素前駆体を含む。一部の実施形態では、反応種は、励起種を含む。一部の実施形態では、第2の反応物質は、窒素含有プラズマからの種を含む。一部の実施形態では、第2の反応物質は、窒素ラジカル、窒素原子及び/又は窒素プラズマを含む。一部の実施形態では、第2の反応物質は、N含有プラズマ又はNを含むプラズマを含んでもよい。一部の実施形態では、第2の反応物質は、N含有種を含むプラズマを含んでもよい。一部の実施形態では、第2の反応物質は、窒素原子及び/又はN*ラジカルを含んでもよい。第2の反応物質は、窒素前駆体ではない他の種を含んでもよい。一部の実施形態では、第2の反応物質は、水素のプラズマ、水素のラジカル又は何らかの形態の原子状水素を含んでもよい。一部の実施形態では、第2の反応物質は、例えば、ラジカル、プラズマ形態又は元素形態のような、He、Ne、Ar、Kr又はXeのような希ガス、好ましくはAr又はHeを含んでもよい。希ガスからのこれらの反応種は、堆積される膜への材料に寄与する必要はないが、一部の状況では、プラズマの形成及び点火の助けとともに、膜成長に寄与しうる。一部の実施形態では、プラズマを形成するために使用されるガスは、堆積処理を通じて一定に流れるてもよいが、間欠的に活性化されるのみでもよい。一部の実施形態では、第2の反応物質は、Arのような希ガスからの主を含まない。よって、一部の実施形態では、吸着されたシリコン前駆体は、Arからのプラズマにより生成された反応種と接触されない。
【0050】
追加の段階が加えられてもよく、段階は、最終的な膜の組成を調整するために必要に応じて除去されてもよい。
【0051】
反応物質の1以上は、Ar又はHeのようなキャリアガスの助けによって提供されてもよい。一部の実施形態では、シリコン前駆体及び第2の反応物質は、キャリアガスの助けによって提供される。
【0052】
一部の実施形態では、2つの段階は、重複する又は組み合わせられてもよい。例えば、シリコン前駆体及び第2の反応物質は、部分的に又は完全に重複したパルスで同時に提供されてもよい。また、第1及び第2の段階並びに第1及び第2の反応物質として示されるが、段階の順序は、変更されてもよく、ALDサイクルは、段階のいずれか1つで開始してもよい。すなわち、特に特定しないかぎり、反応物質は、任意の順序で提供され、処理は、反応物質のいずれか1つで開始してもよい。
【0053】
以下に詳細に説明されるように、窒化シリコン膜を堆積するための一部の実施形態では、1以上の堆積サイクルは、シリコン前駆体の提供で開始し、後に第2の前駆体が続く。別の実施形態では、堆積は、第2の前駆体の提供で開始し、後にシリコン前駆体が続いてもよい。
【0054】
一部の実施形態では、半導体ワークピースのような堆積が望まれる基板は、リアクタに搬入される。リアクタは、集積回路の形成における様々な異なる処理が実行されるクラスタツールの一部であってもよい。一部の実施形態では、フロー型リアクタが使用される。一部の実施形態では、シャワーヘッド型のリアクタが使用される。一部の実施形態では、空間分割型リアクタ(space divided reactor)が使用される。一部の実施形態では、大量製造可能な枚葉式ALDリアクタが使用される。別の実施形態では、複数の基板を含むバッチリアクタが使用される。バッチリアクタが使用される実施形態については、基板の数は、10から200の範囲が好ましく、50から150の範囲がより好ましく、100から130の範囲が最も好ましい。
【0055】
エンハンスALD処理のために特別に設計された、例示的な枚葉式リアクタは、商品名Pulsar(登録商標)2000及びPulsar(登録商標)3000でASM America,Inc.(アリゾナ州、フェニックス)及び商品名Eagle(登録商標)XP、XP8及びDragon(登録商標)で日本エー・エス・エム株式会社(日本国、東京)から商業的に取得可能である。エンハンスALD処理のために特別に設計された、例示的なバッチリアクタは、商品名A400(登録商標)及びA412(登録商標)でASM Europe B.V(オランダ国、アルメレ)から商業的に取得可能である。
【0056】
一部の実施形態では、必要な場合、ワークピースの露出面は、ALD処理の第1の段階で反応するための反応サイトを提供するために前処理されうる。一部の実施形態では、別の前処理ステップは要求されない。一部の実施形態では、基板は、所望の表面終端を提供するために前処理される。一部の実施形態では、基板は、プラズマで前処理される。
【0057】
余剰な反応物質及び反応副生成物は、もしあれば、基板の近傍、特に反応パルス間の基板表面から除去される。一部の実施形態では、反応チャンバは、例えば、不活性ガスでパージすることにより、反応パルス間にパージされる。各反応物質の流速及び時間は、除去するステップと同様に、調整可能であり、膜の品質及び様々な特性の制御を可能にする。
【0058】
上述したように、一部の実施形態では、ガスは、各堆積サイクル時又は全体のALD処理時に連続的に反応チャンバに提供され、反応種は、反応チャンバ又は反応チャンバの上流のいずれかで、ガスのプラズマを生成することにより、提供される。一部の実施形態では、ガスは、窒素を含む。一部の実施形態では、ガスは、窒素である。他の実施形態では、ガスは、ヘリウム又はアルゴンを含んでもよい。一部の実施形態では、ガスは、ヘリウム又はアルゴンである。ガスを流すことは、第1及び/又は第2の反応物質(又は反応種)に対するパージガスとして機能してもよい。例えば、窒素を流すことは、第1のシリコン前駆体に対するパージガスとして機能してもよく、第2の反応物質として(反応種のソースとして)機能してもよい。一部の実施形態では、窒素、アルゴン又はヘリウムは、第1の前駆体に対するパージガス及びシリコン前駆体を窒化シリコン膜に変化させるための励起種のソースとして機能してもよい。一部の実施形態では、プラズマが生成されるガスは、アルゴンを含まず、吸着されたシリコン前駆体は、Arからのプラズマにより生成された反応種と接触されない。
【0059】
サイクルは、所望厚さ及び組成が得られるまで繰り返される。一部の実施形態では、流速、流れる時間、及び/又は反応物質自体のような堆積パラメータは、所望の特性を有する膜を得るために、ALD処理時に1以上の堆積サイクルで変化されてもよい。一部の実施形態では、水素及び/又は水素プラズマは、堆積サイクル又は堆積処理において提供されない。
【0060】
用語“パルス”は、所定長さの時間に反応チャンバに反応物質を供給することを含むように理解されてもよい。用語“パルス”は、パルスの長さ又は期間を限定せず、パルスは、任意の長さの時間でありうる。
【0061】
一部の実施形態では、シリコン反応物質は、初めに提供される。初期表面終端の後、必要又は希望に応じて、第1のシリコン反応物質パルスは、ワークピースに供給される。一部の実施形態によれば、第1の反応物質パルスは、キャリアガス流及び対象となるワークピース表面と反応するHSiIのような揮発性シリコン種を含む。よって、シリコン反応物質は、これらのワークピース表面に吸着する。第1の反応物質パルスは、第1の反応物質パルスの余剰な成分が、この処理により形成される分子層と更に反応しないように、ワークピース表面で自己飽和する。
【0062】
第1の反応物質パルスは、ガス状形態で供給されることが好ましい。シリコン前駆体ガスは、露出面を飽和するために十分な濃度でワークピースに種を輸送するための処理条件下で種が十分な蒸気圧を示す場合に、本明細書の目的のために“揮発性”であるとみなされる。
【0063】
一部の実施形態では、シリコン反応物質パルスは、約0.05秒から約5.0秒、約0.1秒から約3秒又は約0.2から約1.0秒である。最適なパルス時間は、特定の状況に基づいて当業者により明示的に決定されうる。
【0064】
一部の実施形態では、シリコン反応物質消費速度は、反応空間へ所望の量の前駆体を提供するために選択される。反応物質消費は、反応物質ソースボトルのような反応物質ソースから消費される反応物質の量を示し、堆積サイクルの特定の回数前後の反応物質ソースの重さを測り、サイクルの回数で重さの差を割ることにより、決定されうる。一部の実施形態では、シリコン反応物質消費は、約0.1mg/cycleを超える。一部の実施形態では、シリコン反応物質消費は、約0.1mg/cycleから約50mg/cycle、約0.5mg/cycleから約30mg/cycle、又は約2mg/cycleから約20mg/cycleである。一部の実施形態では、最小限の好ましいシリコン反応物質消費は、リアクタの熱した表面積のようなリアクタの大きさにより少なくとも部分的に規定されてもよい。一部の実施形態では、300mmシリコンウェーハのために設計されるシャワーヘッド型リアクタは、約0.5mg/cycle超又は約2.0mg/cycle超である。一部の実施形態では、シリコン反応物質消費は、300mmシリコンウェーハのために設計されるシャワーヘッド型リアクタにおいて約5mg/cycle超である。一部の実施形態では、シリコン反応物質消費は、300mmシリコンウェーハのために設計されるシャワーヘッド型リアクタにおいて、約400℃未満の反応温度で、約1mg/cycle超、好ましくは約5mg/cycleである。
【0065】
基板表面に吸着するために分子層に対する十分な時間の後に、余剰な第1の反応物質は、その後、反応空間から除去される。一部の実施形態では、余剰な第1の反応物質は、第1の化学物質のフローを停止し、もしあれば、反応空間から余剰な反応物質及び反応副生成物を拡散又はパージするために十分な時間のキャリアガス又はパージガスの流れを継続することにより、パージされる。一部の実施形態では、余剰な第1の反応物質は、ALDサイクルを通じて流れている窒素又はアルゴンのような不活性ガスの助けによってパージされる。
【0066】
一部の実施形態では、第1の反応物質は、約0.1秒から約10秒、約0.3秒から約5秒又は約0.3秒から約1秒パージされる。シリコン反応物質の提供及び除去は、ALDサイクルの第1の又はシリコン段階と見なされうる。
【0067】
第2の段階では、窒素プラズマのような反応種を含む第2の反応物質は、ワークピースに提供される。窒素Nは、一部の実施形態では、各ALDサイクル時に反応チャンバへ連続的に流される。窒素プラズマは、反応チャンバ又は反応チャンバの上流に窒素のプラズマを生成することにより、例えば、窒素をリモートプラズマ発生器を通じて流すことにより、生成されてもよい。
【0068】
一部の実施形態では、プラズマは、H及びNガスを流す際に生成される。一部の実施形態では、H及びNは、プラズマが点火される前に、又は窒素及び水素原子又はラジカルが形成される前に、反応チャンバに提供される。特定の理論に縛られるものではないが、水素は、リガンド除去ステップに有益な効果を有する、すなわち、残存するリガンドのいくつかを除去する又は膜品質上の他の有益な効果を有すると考えられる。一部の実施形態では、H及びNは、反応チャンバに連続的に提供され、窒素及び水素含有プラズマ、原子又はラジカルは、必要なときに生成又は供給される。
【0069】
典型的には、例えば、窒素プラズマを含む第2の反応物質は、約0.1秒から約10秒で提供される。一部の実施形態では、窒素プラズマのような第2の反応物質は、約0.1秒から約10秒、約0.5秒から約5秒又は約0.5秒から約2.0秒で提供される。しかし、リアクタタイプ、基板タイプ及びその表面積に応じて、第2の反応物質をパルスする時間は、約10秒を超えてもよい。一部の実施形態では、パルス時間は、分のオーダーでありうる。最適なパルス時間は、特定状況に基づいて当業者により明示的に決定されうる。
【0070】
一部の実施形態では、第2の反応物質は、2以上のパルスのいずれかの間に別の反応物質を導入することなく、2以上の異なるパルスで提供される。例えば、一部の実施形態では、窒素プラズマは、逐次的なパルス間でSi前駆体を導入することなく、2つ以上、好ましくは2つの、逐次的なパルスで提供される。一部の実施形態では、窒素プラズマ提供時に、2以上の逐次的なプラズマパルスは、第1の期間にプラズマ放電を提供し、例えば、約0.1秒から約10秒、約0.5秒から約5秒又は約1.0秒から約4.0秒の第2の時間にプラズマ放電を消し、別の前駆体の導入前又はSi前駆体等除去ステップの前又はパージステップの前の第3の時間に再び励起することにより生成される。追加のプラズマのパルスは、同様の手法で導入されうる。一部の実施形態では、プラズマは、パルスのそれぞれの等しい時間に点火される。
【0071】
窒素プラズマは、一部の実施形態では、約10Wから約2000W、好ましくは約50Wから約1000W、より好ましくは約100Wから約500WのRFパワーを印加することにより生成されてもよい。一部の実施形態では、RFパワー密度は、約0.02W/cmから約2.0W/cm、好ましくは約0.05W/cmから約1.5W/cmであってもよい。RFパワーは、窒素プラズマパルス時間の間に流れる、反応チャンバを通じて連続的に流れる、及び/又はリモートプラズマ発生器を通じて流れる窒素に印加されてもよい。よって、一部の実施形態では、プラズマは、インサイチュで生成されるが、他の実施形態では、プラズマは、リモートで生成される。一部の実施形態では、シャワーヘッド型リアクタが使用され、プラズマは、サセプタ(その上に基板が配置される)とシャワーヘッドプレートとの間に生成される。一部の実施形態では、サセプタとシャワーヘッドプレートとの間のギャップは、約0.1cmから約20cm、約0.5cmから約5cm、又は約0.8から約3.0cmである。
【0072】
完全に飽和し、以前に吸着された分子層を窒素プラズマパルスと反応するために十分な時間の後、余剰な反応物質及び反応副生成物は、反応空間から除去される。第1の反応物質の除去とともに、このステップは、反応種の生成を停止すること、及び反応空間外に拡散し、反応空間からパージされるために、余剰な反応種及び揮発性の反応副生成物に対して十分な時間で窒素又はアルゴンのような不活性ガスを流すことを継続することを含んでもよい。別の実施形態では、別のパージガスが使用されてもよい。パージは、一部の実施形態では、約0.1から約10秒、約0.1秒から約4秒又は約0.1秒から約0.5秒であってもよい。それと共に、窒素プラズマの提供及び除去は、窒化シリコン原子層堆積サイクルの第2の、反応種段階を示す。
【0073】
第2の段階は、1以上のサイクルを共に示し、これは、所望の厚さの窒化シリコン薄膜を形成するために繰り返される。ALDサイクルは、本明細書において一般的に、シリコン段階を開始するものとして示されるが、他の実施形態では、サイクルは、反応種段階で開始してもよいと考えられる。当業者は、第1の前駆体段階が、以前のサイクルにおける最後の段階により残された終端と反応することを理解するであろう。よって、反応種段階が、第1のALDサイクルにおける第1の段階である場合に、基板表面上には以前に吸着された反応物質がない又は反応空間に反応物質が存在しないが、後続のサイクルでは、反応種段階は、シリコン段階に効果的に続くであろう。一部の実施形態では、1以上の異なるALDサイクルは、堆積処理において提供される。
【0074】
本開示の一部の実施形態によれば、PEALD反応は、約25℃から約700℃、好ましくは約50℃から約600℃、より好ましくは約100℃から約450℃、最も好ましくは約200℃から約400℃の範囲の温度で行われてもよい。一部の実施形態では、最適なリアクタ温度は、熱履歴(thermal budget)を可能にする最大値により制限されてもよい。したがって、一部の実施形態では、反応温度は、約300℃から約400℃である。一部の用途では、最大温度は、約400℃付近であり、したがって、PEALD処理は、当該反応温度で実行される。
【0075】
本開示の一部の実施形態によれば、処理中の反応チャンバの圧力は、約0.01torrから約50torr、好ましくは約0.1torrから約10torrで維持される。
【0076】
Si前駆体
複数の適切なシリコン前駆体は、現在開示されたPEALD処理で使用されうる。シリコン前駆体の少なくともいくつかは、以下の一般式を有してもよい:
(1)H2n+2-y-zSi
ここで、n=1-10、y=1又はそれ以上(及び2n+2-zまで)、z=0又はそれ以上(及び2n+2-y)、XはI又はBr、AはX以外のハロゲンであり、n=1-5であることが好ましく、n=1-3であることがより好ましく、n=1-2であることが最も好ましい。
【0077】
一部の実施形態によれば、シリコン前駆体は、1以上の環状化合物を含んでもよい。このような前駆体は、以下の一般式を有してもよい:
(2)H2n-y-zSi
ここで、式(2)の化合物は、環状化合物であり、n=3-10、y=1又はそれ以上(及び2n-zまで)、z=0又はそれ以上(及び2n-yまで)、XはI又はBr、AはX以外のハロゲンであり、n=3-6であることが好ましい。
【0078】
一部の実施形態によれば、シリコン前駆体は、1以上のヨードシランを含んでもよい。このような前駆体は、以下の一般式を有してもよい:
(3)H2n+2-y-zSi
ここで、n=1-10、y=1又はそれ以上(及び2n+2-zまで)、z=0又はそれ以上(及び2n+2-yまで)、AはI以外のハロゲンであり、n=1-5であることが好ましく、n=1-3であることがより好ましく、n=1-2であることが最も好ましい。
【0079】
一部の実施形態によれば、一部のシリコン前駆体は、1以上の環状ヨードシランを含んでもよい。このような前駆体は、以下の一般式を有してもよい:
(4)H2n-y-zSi
ここで、式(4)の化合物は、環状化合物であり、n=3-10、y=1又はそれ以上(及び2n-zまで)、z=0又はそれ以上(及び2n-yまで)、AはI以外のハロゲンであり、n=3-6であることが好ましい。
【0080】
一部の実施形態によれば、一部のシリコン前駆体は、1以上のブロモシランを含んでもよい。このような前駆体は、以下の一般式を有してもよい:
(5)H2n+2-y-zSiBr
ここで、n=1-10、y=1又はそれ以上(及び2n+2-zまで)、z=0又はそれ以上(及び2n+2-yまで)、AはBr以外のハロゲンであり、n=1-5であることが好ましく、n=1-3であることがより好ましく、n=1-2であることが最も好ましい。
【0081】
一部の実施形態によれば、一部のシリコン前駆体は、1以上の環状ブロモシランを含んでもよい。このような前駆体は、以下の一般式を有してもよい:
(6)H2n-y-zSiBr
ここで、式(6)の化合物は、環状化合物であり、n=3-10、y=1又はそれ以上(及び2n-zまで)、z=0又はそれ以上(及び2n-yまで)、AはBr以外のハロゲンであり、n=3-6であることが好ましい。
【0082】
一部の実施形態によれば、好ましいシリコン前駆体は、1以上のヨードシランを含んでもよい。このような前駆体は、以下の一般式を有してもよい:
(7)H2n+2-ySi
ここで、n=1-5、y=1又はそれ以上(2n+2まで)、n=1-3であることが好ましく、n=1-2であることがより好ましい。
【0083】
一部の実施形態によれば、好ましいシリコン前駆体は、1以上のブロモシランを含んでもよい。このような前駆体は、以下の一般式を有してもよい:
(8)H2n+2-ySiBr
ここで、n=1-5、y=1又はそれ以上(2n+2まで)、n=1-3であることが好ましく、n=1-2であることがより好ましい。
【0084】
PEALD処理の一部の実施形態によれば、適切なシリコン前駆体は、一般式(1)から(8)のいずれか1つを有する1以上の化合物を含みうる。一般式(1)から(8)では、ハライド/ハロゲンは、F、Cl、Br及びIを含みうる。一部の実施形態では、シリコン前駆体は、SiI、HSiI、HSiI、HSiI、Si、HSi、HSi、HSi、HSi、HSiI,又はSiを含む。一部の実施形態では、シリコン前駆体は、HSiI、HSiI、HSiI、HSi、HSi,及びHSiIのうちの1つを含む。一部の実施形態では、シリコン前駆体は、HSiI、HSiI、HSiI、HSi、HSi、及びHSiI並びにその任意の組み合わせのうちの2、3、4、5又は6つを含む。
【0085】
特定の実施形態では、Si前駆体は、HSiIである。
【0086】
一部の実施形態では、式(9)-(28)のSi前駆体は、PEALD処理で使用されうる。
【0087】
N前駆体
上述したように、本開示に係る第2の反応物質は、窒素前駆体を含んでもよい。一部の実施形態では、PEALD処理における第2の反応物質は、反応種を含んでもよい。適切なプラズマ組成物は、窒素プラズマ、窒素のラジカル又は何らかの形態の原子状窒素を含む。一部の実施形態では、反応種は、N含有プラズマ又はNを含むプラズマを含んでもよい。一部の実施形態では、反応種は、N含有種を含むプラズマを含んでもよい。一部の実施形態では、反応種は、窒素原子及び/又はN*ラジカルを含んでもよい。一部の実施形態では、水素プラズマ、水素のラジカル、又は何らかの形態の原子状窒素も提供される。一部の実施形態では、プラズマは、He、Ne、Ar、Kr及びXeのような希ガスも含んでもよく、ラジカルとしてのプラズマ形態又は原子形態でのAr又はHeであることが好ましい。一部の実施形態では、第2の反応物質は、Arのような希ガスからの任意の種を含まない。よって、一部の実施形態では、プラズマは、希ガスを含むガスで生成されない。
【0088】
よって、一部の実施形態では、第2の反応物質は、NH及びN、N/H又はN-H結合を有する他の前駆体の混合物のようなN及びHの両方を有する化合物から形成されるプラズマを含んでもよい。一部の実施形態では、第2の反応物質は、Nから少なくとも部分的に形成されてもよい。一部の実施形態では、第2の反応物質は、N及びHから少なくとも部分的に形成されても良く、ここでN及びHは、約20:1から1:20、好ましくは約10:1から1:10、より好ましくは約5:1から1:5、最も好ましくは約1:2から4:1、一部の場合には1:1の流速比(N/H)で提供される。
【0089】
第2の反応物質は、基板又は反応空間から離れたプラズマ放電(“リモートプラズマ”)を遠隔的に介した一部の実施形態で形成されてもよい。一部の実施形態では、第2の反応物質は、基板付近又は基板の直上で形成されてもよい(“ダイレクトプラズマ”)。
【0090】
図3は、一部の実施形態に係る窒化シリコン膜を堆積するために使用されうる窒化シリコンPEALD堆積サイクルを概説するフローチャートである。特定の実施形態によれば、窒化シリコン薄膜は、複数の窒化シリコン堆積サイクルを含むPEALD型処理により基板上に形成され、各窒化シリコン堆積サイクル300は、
(1)シリコン種が基板表面に吸着するように、気化したシリコン前駆体を基板と接触すること310、
(2)反応空間に窒素前駆体を導入すること320、
(3)窒素前駆体から反応種を生成すること330、及び
(4)基板を反応種と接触し、それにより、吸着されたシリコン化合物を窒化シリコンに変えること340
を含む。
【0091】
窒素は、吸着されたシリコン化合物を窒化シリコンに変えるために、適切な時間に形成された窒素プラズマにより、サイクルを通じて連続的に流れてもよい。
【0092】
上述したように、一部の実施形態では、基板は、シリコン化合物及び反応種と同時に接触されてもよいが、別の実施形態では、これらの反応物は、別々に提供される。
【0093】
接触するステップは、所望の厚さの薄膜及び組成が得られるまで繰り返される350。余剰反応物は、各接触するステップ、すなわち、ステップ310及び340の後に、反応空間からパージされてもよい。
【0094】
一部の実施形態によれば、窒化シリコン薄膜は、FinFET用途のような三次元構造を有する基板にPEALD処理を用いて堆積される。当該処理は、以下のステップを含んでもよい:
(1)三次元構造を含む基板を反応空間に提供する、
(2)シリコン含有種が基板の表面に吸着されるように、SiIのようなシリコン含有前駆体を反応空間に導入する、
(3)余剰シリコン含有前駆体及び反応副生成物を反応空間から除去する、
(4)N、NH、N、又はN及びHのような窒素含有前駆体を反応空間に導入する、
(5)窒素前駆体から反応種を生成する、
(6)基板を反応種と接触する、及び
(7)余剰な窒素原子、プラズマ又はラジカル及び反応副生成物を除去する。
ステップ(2)から(7)は、所望の厚さの窒化シリコン膜が形成されるまで繰り返されてもよい。
【0095】
一部の実施形態では、ステップ(5)及び(6)は、窒素原子、プラズマ又はラジカルが、リモートで形成され、反応空間に提供されるステップにより置き換えられる。
【0096】
一部の実施形態では、PEALD処理は、約200℃から約400℃、約300℃から約400℃、又は約400℃の温度で行われる。
【0097】
熱ALD処理
本明細書に示される方法は、熱ALD処理により基板表面上の窒化シリコン膜の堆積も可能にする。三次元構造のような幾何学的に難易度の高い用途もこれらの熱処理により可能である。一部の実施形態によれば、熱原子層堆積(ALD)型処理は、集積回路ワークピースのような基板上に窒化シリコン膜を形成するために使用される。
【0098】
基板又はワークピースは、反応チャンバに配置され、自己制限表面反応を交互に繰り返し受ける。好ましくは、窒化シリコン膜を形成するために、各熱ALDサイクルは、少なくとも2つの異なる段階を含む。反応空間からの反応物質の提供及び除去は、一つの段階とみなされてもよい。第1の段階では、シリコンを含む第1の反応物質が提供され、基板表面上のわずか約1つの単層を形成する。この反応物質は、本明細書において“シリコン前駆体”又は“シリコン反応物質”とも呼ばれ、例えば、HSiIであってもよい。第2の段階では、窒素含有化合物を含む第2の反応物質が提供され、SiNを形成するために吸着されたシリコン前駆体と反応する。第2の反応物質は、“窒素前駆体”又は“窒素反応物質”とも呼ばれてもよい。第2の反応物質は、NH又は別の適切な窒素含有化合物を含んでもよい。別の段階が加えられてもよく、段階は、最終的な膜の組成を調整するために必要に応じて削除されてもよい。
【0099】
反応物質の1以上は、Ar又はHeのようなキャリアガスの助けによって提供されてもよい。一部の実施形態では、シリコン前駆体及び窒素前駆体は、キャリアガスの助けによって提供される。
【0100】
一部の実施形態では、段階のうちの2つは、重複又は組み合わせられてもよい。例えば、シリコン前駆体及び窒素前駆体は、部分的に又は完全に重複してパルス状で同時に提供されてもよい。また、第1及び第2の段階並びに第1及び第2の反応物質として示されるが、段階の順序及び反応物質を提供する順序は、変更されてもよく、ALDサイクルは、段階のいずれか1つ又は反応物質のいずれか1つで開始してもよい。すなわち、特に明記されていない限り、反応物質は、任意の順序で提供されることができ、処理は、任意の反応物質で提供されてもよい。
【0101】
以下でより詳細に説明するように、窒化シリコン膜を堆積するための一部の実施形態では、1以上の堆積サイクルは、典型的には、シリコン前駆体の提供で開始し、その後に窒素前駆体を提供する。一部の実施形態では、1以上の堆積サイクルは、窒素前駆体の提供で開始し、その後にシリコン前駆体を提供する。
【0102】
また、反応物質の1以上は、Ar又はHeのようなキャリアガスの助けによって提供されてもよい。一部の実施形態では、窒素前駆体は、キャリアガスの助けによって提供される。一部の実施形態では、第1の段階及び第2の段階並びに第1及び第2の反応物質と呼ばれるが、段階の順序及び反応物質の提供の順序は変更されてもよく、ALDサイクルは、段階のいずれか1つで開始してもよい。
【0103】
一部の実施形態では、半導体ワークピースのような堆積しようとする基板は、リアクタに搬入される。リアクタは、集積回路の形成における様々な種類の異なる処理が行われるクラスタツールの一部であってもよい。一部の実施形態では、フロー型リアクタが使用される。一部の実施形態では、シャワーヘッド型リアクタが使用される。一部の実施形態では、空間分割型リアクタが使用される。一部の実施形態では、大容量製造可能な枚葉式ALDリアクタが使用される。別の実施形態では、複数の基板を含むバッチリアクタが使用される。バッチALDリアクタが使用される実施形態については、複数の基板は、10から200の範囲であることが好ましく、50から150の範囲がより好ましく、100から130の範囲が最も好ましい。
【0104】
特にエンハンスALD処理に対して設計される例示的な枚葉式リアクタは、商品名Pulsar(登録商標)2000及びPulsar(登録商標)3000でASM America, Inc.(アリゾナ州フェニックス)、及び商品名Eagle(登録商標)XP、XP8及びDragon(登録商標)で日本エー・エス・エム株式会社(日本国、東京)から商業的に取得可能である。特にエンハンスALD処理に対して設計される例示的なバッチリアクタは、商品名A400(登録商標)及びA412(登録商標)でASM Europe B.V(オランダ国、アルメレ)から商業的に取得可能である。
【0105】
一部の実施形態では、必要に応じて、ワークピースの露出された表面は、反応サイトを提供するために前処理されることができ、ALD処理の第1の段階で反応する。一部の実施形態では、別の前処理ステップは必要とされない。一部の実施形態では、基板は、所望の表面終端を提供するために前処理される。
【0106】
一部の実施形態では、余剰反応物及び反応副生成物は、もしあれば、前駆体の付近、例えば、基板表面から、反応物質パルスと反応物質パルスとの間に除去される。一部の実施形態では、余剰反応物及び反応副生成物は、反応物質パルスと反応物質パルスとの間に、例えば、不活性ガスでパージすることにより、反応チャンバから除去される。各反応物質の流速及び時間は、パージステップと同様に調節可能であり、膜の品質及び特性を制御することが可能となる。一部の実施形態では、余剰反応物及び/又は反応副生成物を除去することは、基板を移動することを含む。
【0107】
上述したように、一部の実施形態では、ガスは、各堆積サイクル時又はALD処理時全体に連続的に反応チャンバに提供される。別の実施形態では、ガスは、窒素、ヘリウム、又はアルゴンであってもよい。
【0108】
ALDサイクルは、所望厚さ及び組成の膜が得られるまで繰り返される。一部の実施形態では、流速、流れる時間、パージ時間及び/又は前駆体自体のような堆積パラメータは、所望の特性を有する膜を得るために、ALD処理時の1以上の堆積サイクルで変更されてもよい。
【0109】
用語“パルス”は、所定長さの時間に反応物質を反応チャンバに供給することを含むものとして理解されてもよい。用語“パルス”は、パルスの長さ又は間隔を制限するものではなく、パルスは、任意の長さの時間でありうる。
【0110】
一部の実施形態では、シリコン前駆体が初めに提供される。初期表面終端の後、必要又は希望に応じて、第1のシリコン前駆体パルスは、ワークピースに提供される。一部の実施形態によれば、第1のパルスは、キャリアガス流、及び対象となるワークピース表面と反応するHSiIのような揮発性シリコン種を含む。したがって、シリコン前駆体は、ワークピース表面に吸着する。第1の前駆体パルスは、第1の前駆体パルスの余剰構成物が、この処理により形成される分子層と更に実質的な反応をしないように、ワークピース表面を自己飽和(self-saturate)する。
【0111】
第1のシリコン前駆体パルスは、ガス状形態で供給されることが好ましい。シリコン前駆体ガスは、種が、十分な濃度でワークピースへ種を輸送するための処理条件下で十分な蒸気圧を示し、露出された表面を飽和する場合に、本明細書の目的のために“揮発性”とみなされる。
【0112】
一部の実施形態では、シリコン前駆体パルスは、約0.05秒から約5.0秒、約0.1秒から約3秒、又は約0.2秒から約1.0秒である。バッチ処理では、シリコン前駆体パルスは、特定の状況が与えられた当業者によって決定されうるものと実質的に同じ長さでありうる。
【0113】
基板表面に吸着するために分子層のための十分な時間の後、余剰な第1の前駆体は、その後、反応空間から除去される。一部の実施形態では、もしあれば、反応空間から余剰反応物及び反応副生成物を拡散又はパージするために十分な時間キャリアガス又はパージガスを流すことを継続しつつ、第1の前駆体の流れを停止することにより、余剰な第1の前駆体は、パージされる。
【0114】
一部の実施形態では、第1の前駆体は、約0.1秒から約10秒、約0.3秒から約5秒、又は約0.3秒から約1秒パージされる。シリコン前駆体の提供及び除去は、ALDサイクルの第1又はシリコン段階とみなされうる。バッチ処理では、第1の前駆体パージは、特定の状況が与えられた当業者によって決定されうるものと実質的に同じ長さでありうる。
【0115】
第2の、窒素前駆体は、基板表面と接触するために反応空間へパルスされる。窒素前駆体は、キャリアガスの助けによって提供されてもよい。窒素前駆体は、例えば、NH又はNであってもよい。窒素前駆体は、ガス状形態で供給されることも好ましい。窒素前駆体は、種が、十分な濃度でワークピースへ種を輸送するための処理条件下で十分な蒸気圧を示し、露出された表面を飽和する場合に、本明細書の目的のために“揮発性”とみなされる。
【0116】
一部の実施形態では、窒素前駆体パルスは、約0.05秒から約5.0秒、約0.1秒から約3.0秒、又は約0.2秒から約1.0秒である。バッチ処理では、窒素前駆体パルスは、特定の状況が与えられた当業者によって決定されうるものと実質的に同じ長さでありうる。
【0117】
基板表面に吸着するために分子層のための十分な時間の後、第2の、窒素前駆体は、その後、反応空間から除去される。一部の実施形態では、もしあれば、パージガスの約2倍超の反応チャンバ体積が好ましく、約3倍超の反応チャンバ体積が好ましい反応空間から、余剰反応物及び反応副生成物を拡散又はパージするために十分な時間キャリアガス又はパージガスを流すことを継続しつつ、第2の窒素前駆体の流れは停止される。窒素前駆体の提供及び除去は、ALDサイクルの第2の又は窒素段階とみなされうる。
【0118】
一部の実施形態では、窒素前駆体は、約0.1秒から約10.0秒、約0.3秒から約5.0秒、又は約0.3秒から約1.0秒パージされる。バッチ処理では、第1の前駆体パージは、特定の状況が与えられた当業者によって決定されうるものと実質的に同じ長さでありうる。
【0119】
窒素前駆体パルスの流速及び時間は、窒素段階の除去又はパージステップと同様に、窒化シリコン膜における所望の組成を実現するために調節可能である。基板表面上の窒素前駆体の吸着は、結合サイトの制限された数により、典型的には自己制限型であるが、パルスパラメータは、単層未満の窒素が1以上のサイクルで吸着されるように、調整されうる。
【0120】
2つの段階は、1つのALDサイクルを共に示し、これは、所望の厚さの窒化シリコン薄膜を形成するために繰り返される。ALDサイクルが、シリコン段階で開始するとして本明細書において一般的に示されているが、他の実施形態では、サイクルは、窒素段階で開始してもよいと考えられる。第1の前駆体は、前のサイクルの最後の段階により残された終端と一般的に反応することが当業者によって理解されるであろう。一部の実施形態では、1以上の異なるALDサイクルは、堆積処理において提供される。
【0121】
本開示の一部の実施形態によれば、ALD反応は、約25℃から約1000℃、好ましく約100℃から約800℃、より好ましくは約200℃から約650℃、最も好ましくは約300℃から約500℃の範囲の温度で行われてもよい。一部の実施形態では、最適なリアクタ温度は、熱履歴が可能な最大値により制限されてもよい。したがって、反応温度は、約300℃から約400℃でありうる。一部の用途では、最大温度は、約400℃付近であり、したがって、処理は、反応温度で実行される。
【0122】
Si前駆体
複数の適切なシリコン前駆体は、熱ALD処理のような前記開示された熱処理で使用されてもよい。一部の実施形態では、これらの前駆体は、所望の品質(所望のWER、WERR、パターンローディング効果及び/又は以下に説明されるステップカバレージ構成のうちの少なくとも1つ)を有する膜が堆積されるプラズマALD処理でも使用されてもよい。
【0123】
一部の実施形態によれば、一部のシリコン前駆体は、ヨウ素を含み、当該前駆体を用いることにより堆積される膜は、例えば、所望のWER、WERR、パターンローディング効果及び/又は以下に説明されるステップカバレージ構成のうちの少なくとも1つのような1以上の所望の特性を有する。
【0124】
一部の実施形態によれば、1以上のシリコン前駆体は、臭素を含み、当該前駆体を用いることにより堆積される膜は、例えば、所望のWER、WERR、パターンローディング効果及び/又は以下に説明されるステップカバレージ構成のうちの少なくとも1つのような1以上の所望の特性を有する。
【0125】
適切な前駆体の少なくともいくつかは、以下の一般式を有してもよい:
(9)H2n+2-y-z-wSi
ここで、n=1-10、y=1又はそれ以上(及び2n+2-z-wまで)、z=0又はそれ以上(及び2n+2-y-wまで)、w=0又はそれ以上(及び2n+2-y-zまで)、XはI又はBrであり、AはX以外のハロゲンであり、Rは有機リガンドであり、かつアルコキシド、アルキルシリル、アルキル、置換アルキル、アルキルアミン及び不飽和炭化水素からなる群から独立に選択されることができ、n=1-5であることが好ましく、n=1-3であることがより好ましく、n=1-2であることが最も好ましい。好ましくは、Rは、メチル、エチル、n‐プロピル又はイソプロピルのようなC-Cアルキルリガンドである。
【0126】
一部の実施形態によれば、一部のシリコン前駆体は、1以上の環状化合物を含む。このような前駆体は、以下の一般式を含んでもよい:
(10)H2n-y-z-wSi
ここで、n=3-10、y=1又はそれ以上(及び2n-z-wまで)、z=0又はそれ以上(及び2n-y-wまで)、w=0又はそれ以上(及び2n-y-zまで)、XはI又はBrであり、AはX以外のハロゲンであり、Rは有機リガンドであり、かつアルコキシド、アルキルシリル、アルキル、置換アルキル、アルキルアミン及び不飽和炭化水素からなる群から独立に選択されることができ、n=3-6が好ましい。好ましくは、Rは、メチル、エチル、n‐プロピル又はイソプロピルのようなC-Cアルキルリガンドである。
【0127】
一部の実施形態によれば、一部のシリコン前駆体は、1以上のヨードシランを含む。このような前駆体は、以下の一般式を含んでもよい:
(11)H2n+2-y-z-wSi
ここで、n=1-10、y=1又はそれ以上(及び2n+2-z-wまで)、z=0又はそれ以上(及び2n+2-y-wまで)、w=0又はそれ以上(及び2n+2-y-zまで)、AはI以外のハロゲンであり、Rは有機リガンドであり、かつアルコキシド、アルキルシリル、アルキル、置換アルキル、アルキルアミン及び不飽和炭化水素からなる群から独立に選択されることができ、n=1-5であることが好ましく、n=1-3であることがより好ましく、n=1-2であることが最も好ましい。好ましくは、Rは、メチル、エチル、n‐プロピル又はイソプロピルのようなC-Cアルキルリガンドである。
【0128】
一部の実施形態によれば、一部のシリコン前駆体は、1以上の環状ヨードシランを含む。このような前駆体は、以下の一般式を含んでもよい:
(12)H2n-y-z-wSi
ここで、n=3-10、y=1又はそれ以上(及び2n-z-wまで)、z=0又はそれ以上(及び2n-y-wまで)、w=0又はそれ以上(及び2n-y-zまで)、AはI以外のハロゲンであり、Rは有機リガンドであり、かつアルコキシド、アルキルシリル、アルキル、置換アルキル、アルキルアミン及び不飽和炭化水素からなる群から独立に選択されることができ、n=3-6が好ましい。好ましくは、Rは、メチル、エチル、n‐プロピル又はイソプロピルのようなC-Cアルキルリガンドである。
【0129】
一部の実施形態によれば、一部のシリコン前駆体は、1以上のブロモシランを含む。このような前駆体は、以下の一般式を含んでもよい:
(13)H2n+2-y-z-wSiBr
ここで、n=1-10、y=1又はそれ以上(及び2n+2-z-wまで)、z=0又はそれ以上(及び2n+2-y-wまで)、w=0又はそれ以上(及び2n+2-y-zまで)、AはBr以外のハロゲンであり、Rは有機リガンドであり、かつアルコキシド、アルキルシリル、アルキル、置換アルキル、アルキルアミン及び不飽和炭化水素からなる群から独立に選択されることができ、n=1-5であることが好ましく、n=1-3であることがより好ましく、n=1-2であることが最も好ましい。好ましくは、Rは、メチル、エチル、n‐プロピル又はイソプロピルのようなC-Cアルキルリガンドである。
【0130】
一部の実施形態によれば、一部のシリコン前駆体は、1以上の環状ブロモシランを含む。このような前駆体は、以下の一般式を含んでもよい:
(14)H2n-y-z-wSiBr
ここで、n=3-10、y=1又はそれ以上(及び2n-z-wまで)、z=0又はそれ以上(及び2n-y-wまで)、w=0又はそれ以上(及び2n-y-zまで)、AはBr以外のハロゲンであり、Rは有機リガンドであり、かつアルコキシド、アルキルシリル、アルキル、置換アルキル、アルキルアミン及び不飽和炭化水素からなる群から独立に選択されることができ、n=3-6が好ましい。好ましくは、Rは、メチル、エチル、n‐プロピル又はイソプロピルのようなC-Cアルキルリガンドである。
【0131】
一部の実施形態によれば、一部のシリコン前駆体は、ヨウ素又は臭素が化合物中でシリコンと結合しない1以上のヨードシラン又はブロモシランを含む。よって、一部の適切な化合物は、ヨウ素/臭素置換アルキル基を有してもよい。このような前駆体は、以下の一般式を含んでもよい:
(15)H2n+2-y-z-wSiII
ここで、n=1-10、y=1又はそれ以上(及び2n+2-z-wまで)、z=0又はそれ以上(及び2n+2-y-wまで)、w=1又はそれ以上(及び2n+2-y-zまで)、XはI又はBrであり、AはX以外のハロゲンであり、RIIはI又はBrを含む有機リガンドであり、かつI又はBr置換アルコキシド、アルキルシリル、アルキル、置換アルキル、アルキルアミン及び不飽和炭化水素からなる群から独立に選択されることができ、n=1-5であることが好ましく、n=1-3であることがより好ましく、n=1-2であることが最も好ましい。好ましくは、RIIは、ヨウ素置換C-Cアルキルリガンドである。
【0132】
一部の実施形態によれば、一部のシリコン前駆体は、1以上の環状ヨードシラン又はブロモシランを含む。よって、一部の適切な環状化合物は、ヨウ素/臭素置換アルキル基を有してもよい。このような前駆体は、以下の一般式を含んでもよい:
(16)H2n-y-z-wSiII
ここで、n=3-10、y=0又はそれ以上(及び2n+2-z-wまで)、z=0又はそれ以上(及び2n+2-y-wまで)、w=1又はそれ以上(及び2n+2-y-zまで)、XはI又はBrであり、AはX以外のハロゲンであり、RIIはI又はBrを含む有機リガンドであり、かつI又はBr置換アルコキシド、アルキルシリル、アルキル、置換アルキル、アルキルアミン及び不飽和炭化水素からなる群から独立に選択されることができ、n=3-6が好ましい。好ましくは、Rは、ヨウ素置換C-Cアルキルリガンドである。
【0133】
一部の実施形態によれば、一部の適切なシリコン前駆体は、以下の一般式の1以上を含んでもよい:
(17)H2n+2-y-z-wSi(NR
ここで、n=1-10、y=1又はそれ以上(及び2n+2-z-wまで)、z=0又はそれ以上(及び2n+2-y-wまで)、w=1又はそれ以上(及び2n+2-y-zまで)、XはI又はBrであり、AはX以外のハロゲンであり、Nは窒素であり、R及びRは、水素、アルキル、置換アルキル、シリル、アルキルシリル及び不飽和炭化水素からなる群から独立に選択されることができ、n=1-5であることが好ましく、n=1-3であることがより好ましく、n=1-2であることが最も好ましい。好ましくは、R及びRは、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、t‐ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びn-ブチルのような水素又はC-Cアルキル基である。より好ましくは、R及びRは、メチル、エチル、n‐プロピル又はイソプロピルのような水素又はC-Cアルキル基である。(NRリガンドのそれぞれは、互いに独立に選択されうる。
(18)(H3-y-z-w(NRSi)-N
ここで、y=1又はそれ以上(及び3-z-wまで)、z=0又はそれ以上(及び3-y-wまで)、w=1又はそれ以上(及び3-y-zまで)、XはI又はBrであり、AはX以外のハロゲンであり、Nは窒素であり、R及びRは、水素、アルキル、置換アルキル、シリル、アルキルシリル及び不飽和炭化水素からなる群から独立に選択されることができる。好ましくは、R及びRは、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、t‐ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びn-ブチルのような水素又はC-Cアルキル基である。より好ましくは、R及びRは、メチル、エチル、n‐プロピル又はイソプロピルのような水素又はC-Cアルキル基である。(NRリガンドのそれぞれは、互いに独立に選択されうる。3つのH3-y-z-w(NRSiリガンドのそれぞれは、互いに独立に選択されうる。
【0134】
一部の実施形態では、一部の適切なシリコン前駆体は、以下のより具体的な式の1以上を含んでもよい:
(19)H2n+2-y-wSi(NR
ここで、n=1-10、y=1又はそれ以上(及び2n+2-wまで)、w=1又はそれ以上(及び2n+2-yまで)、Nは窒素であり、R及びRは、水素、アルキル、置換アルキル、シリル、アルキルシリル及び不飽和炭化水素からなる群から独立に選択されることができ、n=1-5であることが好ましく、n=1-3であることがより好ましく、n=1-2であることが最も好ましい。好ましくは、R及びRは、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、t‐ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びn-ブチルのような水素又はC-Cアルキル基である。より好ましくは、R及びRは、メチル、エチル、n‐プロピル又はイソプロピルのような水素又はC-Cアルキル基である。(NRリガンドのそれぞれは、互いに独立に選択されうる。
(20)(H3-y-w(NRSi)-N
ここで、y=1又はそれ以上(及び3-wまで)、w=1又はそれ以上(及び3-yまで)、Nは窒素であり、R及びRは、水素、アルキル、置換アルキル、シリル、アルキルシリル及び不飽和炭化水素からなる群から独立に選択されることができる。好ましくは、R及びRは、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、t‐ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びn-ブチルのような水素又はC-Cアルキル基である。より好ましくは、R及びRは、メチル、エチル、n‐プロピル又はイソプロピルのような水素又はC-Cアルキル基である。3つのH3-y-w(NRSiリガンドのそれぞれは、互いに独立に選択されうる。
【0135】
一部の実施形態によれば、一部の適切なシリコン前駆体は、以下の一般式の1以上を含んでもよい:
(21)H2n+2-y-z-wSi(NR
ここで、n=1-10、y=1又はそれ以上(及び2n+2-z-wまで)、z=0又はそれ以上(及び2n+2-y-wまで)、w=1又はそれ以上(及び2n+2-y-zまで)、XはI又はBrであり、AはX以外のハロゲンであり、Nは窒素であり、Rは、水素、アルキル、置換アルキル、シリル、アルキルシリル及び不飽和炭化水素からなる群から独立に選択されることができ、Rは、アルキル、置換アルキル、シリル、アルキルシリル及び不飽和炭化水素からなる群から独立に選択されることができ、n=1-5であることが好ましく、n=1-3であることがより好ましく、n=1-2であることが最も好ましい。好ましくは、Rは、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、t‐ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びn-ブチルのような水素又はC-Cアルキル基である。より好ましくは、Rは、メチル、エチル、n‐プロピル又はイソプロピルのような水素又はC-Cアルキル基である。好ましくは、Rは、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、t‐ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びn-ブチルのようなC-Cアルキル基である。より好ましくは、Rは、メチル、エチル、n‐プロピル又はイソプロピルのような水素又はC-Cアルキル基である。(NRリガンドのそれぞれは、互いに独立に選択されうる。
(22)(H3-y-z-w(NRSi)-N
ここで、y=1又はそれ以上(及び3-z-wまで)、z=0又はそれ以上(及び3-y-wまで)、w=1又はそれ以上(及び3-y-zまで)、XはI又はBrであり、AはX以外のハロゲンであり、Nは窒素であり、Rは、水素、アルキル、置換アルキル、シリル、アルキルシリル及び不飽和炭化水素からなる群から独立に選択されることができ、Rは、アルキル、置換アルキル、シリル、アルキルシリル及び不飽和炭化水素からなる群から独立に選択されることができ、n=1-5であることが好ましく、n=1-3であることがより好ましく、n=1-2であることが最も好ましい。好ましくは、Rは、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、t‐ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びn-ブチルのような水素又はC-Cアルキル基である。より好ましくは、Rは、メチル、エチル、n‐プロピル又はイソプロピルのような水素又はC-Cアルキル基である。好ましくは、Rは、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、t‐ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びn-ブチルのようなC-Cアルキル基である。より好ましくは、Rは、メチル、エチル、n‐プロピル又はイソプロピルのようなC-Cアルキル基である。(NRリガンドのそれぞれは、互いに独立に選択されうる。
【0136】
一部の実施形態では、一部の適切なシリコン前駆体は、以下のより具体的な式の1以上を含んでもよい:
(23)H2n+2-y-wSi(NR
ここで、n=1-10、y=1又はそれ以上(及び2n+2-wまで)、w=1又はそれ以上(及び2n+2-yまで)、Nは窒素であり、Rは、水素、アルキル、置換アルキル、シリル、アルキルシリル及び不飽和炭化水素からなる群から独立に選択されることができ、Rは、アルキル、置換アルキル、シリル、アルキルシリル及び不飽和炭化水素からなる群から独立に選択されることができ、n=1-5であることが好ましく、n=1-3であることがより好ましく、n=1-2であることが最も好ましい。好ましくは、Rは、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、t‐ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びn-ブチルのような水素又はC-Cアルキル基である。より好ましくは、Rは、メチル、エチル、n‐プロピル又はイソプロピルのような水素又はC-Cアルキル基である。好ましくは、Rは、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、t‐ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びn-ブチルのようなC-Cアルキル基である。より好ましくは、Rは、メチル、エチル、n‐プロピル又はイソプロピルのようなC-Cアルキル基である。(NRリガンドのそれぞれは、互いに独立に選択されうる。
(24)(H3-y-w(NRSi)-N
ここで、y=1又はそれ以上(及び3-wまで)、w=1又はそれ以上(及び3-yまで)、Nは窒素であり、Rは、水素、アルキル、置換アルキル、シリル、アルキルシリル及び不飽和炭化水素からなる群から独立に選択されることができ、Rは、アルキル、置換アルキル、シリル、アルキルシリル及び不飽和炭化水素からなる群から独立に選択されることができ、n=1-5であることが好ましく、n=1-3であることがより好ましく、n=1-2であることが最も好ましい。好ましくは、Rは、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、t‐ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びn-ブチルのような水素又はC-Cアルキル基である。より好ましくは、Rは、メチル、エチル、n‐プロピル又はイソプロピルのような水素又はC-Cアルキル基である。より好ましくは、Rは、メチル、エチル、n‐プロピル又はイソプロピルのようなC-Cアルキル基である。より好ましくは、Rは、メチル、エチル、n‐プロピル又はイソプロピルのようなC-Cアルキル基である。(NRリガンドのそれぞれは、互いに独立に選択されうる。
【0137】
熱ALD処理の一部の実施形態によれば、適切なシリコン前駆体は、一般式(9)から(24)のうちのいずれか1つを有する少なくとも化合物を含みうる。一般式(9)から(18)と共に一般式(21)及び(22)では、ハライド/ハロゲンは、F、Cl、Br及びIを含みうる。
【0138】
一部の実施形態では、シリコン前駆体は、以下、SiI、HSiI、HSiI、HSiI、Si、HSi、HSi、HSi、HSi、HSiI、Si、HSi、HSi、HSi、HSi、HSiI、MeSiI、MeSiI、MeSiI、MeSi、MeSi、MeSi、MeSi、MeSiI、HMeSiI、HMeSiI、HMeSi、HMeSi、HMeSi、HMeSiI、HMeSiI、HMeSi、HMeSi、HMeSiI、HMeSi、HMeSiI、HMeSiI、EtSiI、EtSiI、EtSiI、EtSi、EtSi、EtSi、EtSi、EtSiI、HEtSiI、HEtSiI、HEtSi、HEtSi、HEtSi、HEtSiI、HEtSiI、HEtSi、HEtSi、HEtSiI、HEtSi、HEtSiI,及びHEtSiIのうちの1以上を含む。
【0139】
一部の実施形態では、シリコン前駆体は、以下、EtMeSiI2、EtMeSiI、EtMeSiI、EtMeSi、EtMeSi、EtMeSi、EtMeSi、EtMeSi、EtMeSi、EtMeSiI、EtMeSiI、EtMeSiI、EtMeSiI、HEtMeSiI、HEtMeSi、HEtMeSi、HEtMeSi、HEtMeSiI、HEtMeSiI、HEtMeSiI、HEtMeSi、HEtMeSiI、HEtMeSiI、HEtMeSiIのうちの1以上を含む。
【0140】
一部の実施形態では、シリコン前駆体は、以下、HSiI、HSiI、HSiI、HSi、HSi、HSiI、MeSiI、MeSiI、MeSiI、MeSi、MeSi、HMeSiI、HMeSi、EtSiI、EtSiI、EtSiI、EtSi、EtSi、及びHEtSiIのうちの1以上を含む。一部の実施形態では、シリコン前駆体は、HSiI、HSiI、HSiI、HSi、HSi、HSiI、MeSiI、MeSiI、MeSiI、MeSi、MeSi、HMeSiI、HMeSi、EtSiI、EtSiI、EtSiI、EtSi、EtSi、及びHEtSiI、それらの任意の組み合わせを含むものから選択された2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又はそれ以上の化合物を含む。特定の実施形態では、シリコン前駆体は、HSiIである。
【0141】
一部の実施形態では、シリコン前駆体は、シリコンに結合される、3つのヨウ素及び1つのアミン又はアルキルアミンリガンドを含む。一部の実施形態では、シリコン前駆体は、以下、(SiI)NH、(SiI)NHMe、(SiI)NHEt、(SiI)NHPr、(SiI)NHBu、(SiI)NMe、(SiI)NMeEt、(SiI)NMePr、(SiI)NMeBu、(SiI)NEt、(SiI)NEtPr、(SiI)NEtBu、(SiI)NPr、(SiI)NPrBu、及び(SiI)NBuのうちの1以上を含む。一部の実施形態では、シリコン前駆体は、(SiI)NH、(SiI)NHMe、(SiI)NHEt、(SiI)NHPr、(SiI)NHBu、(SiI)NMe、(SiI)NMeEt、(SiI)NMePr、(SiI)NMeBu、(SiI)NEt、(SiI)NEtPr、(SiI)NEtBu、(SiI)NPr、(SiI)NPrBu、(SiI)NBu、及びそれらの組み合わせから選択された2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又はそれ以上の化合物を含む。一部の実施形態では、シリコン前駆体は、シリコンに結合される、2つのヨウ素及び2つのアミン又はアルキルアミンリガンドを含む。一部の実施形態では、シリコン前駆体は、以下、(SiI)(NH、(SiI)(NHMe)、(SiI)(NHEt)、(SiI)(NHPr)、(SiI)(NHBu)、(SiI)(NMe、(SiI)(NMeEt)、(SiI)(NMePr)、(SiI2)(NMeBu)、(SiI)(NEt、(SiI)(NEtPr)、(SiI)(NEtBu)、(SiI)(NPr、(SiI)(NPrBu),及び(SiI)(NBu)のうちの1以上を含む。一部の実施形態では、シリコン前駆体は、(SiI)(NH、(SiI)(NHMe)、(SiI)(NHEt)、(SiI)(NHPr)、(SiI)(NHBu)、(SiI)(NMe、(SiI)(NMeEt)、(SiI)(NMePr)、(SiI2)(NMeBu)、(SiI)(NEt、(SiI)(NEtPr)、(SiI)(NEtBu)、(SiI)(NPr、(SiI)(NPrBu)、(SiI)(NBu)及びそれらの組み合わせから選択された2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又はそれ以上の化合物を含む。
【0142】
一部の実施形態では、シリコン前駆体は、シリコンに結合される、2つのヨウ素、1つの水素及び1つのアミン又はアルキルアミンリガンドを含む。一部の実施形態では、シリコン前駆体は、以下、(SiIH)NH、(SiIH)NHMe、(SiIH)NHEt、(SiIH)NHPr、(SiIH)NHBu、(SiIH)NMe、(SiIH)NMeEt、(SiIH)NMePr、(SiIH)NMeBu、(SiIH)NEt、(SiIH)NEtPr、(SiIH)NEtBu、(SiIH)NPr、(SiIH)N Bu,及び (SiIH)NBuのうちの1以上を含む。一部の実施形態では、シリコン前駆体は、(SiIH)NH、(SiIH)NHMe、(SiIH)NHEt、(SiIH)NHPr、(SiIH)NHBu、(SiIH)NMe、(SiIH)NMeEt、(SiIH)NMePr、(SiIH)NMeBu、(SiIH)NEt、(SiIH)NEtPr、(SiIH)NEtBu、(SiIH)NPr、(SiIH)NPrBu、(SiIH)NBu及びそれらの組み合わせから選択された2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又はそれ以上の化合物を含む。
【0143】
一部の実施形態では、シリコン前駆体は、シリコンに結合される、1つのヨウ素、1つの水素及び2つのアミン又はアルキルアミンリガンドを含む。一部の実施形態では、シリコン前駆体は、以下、(SiIH)(NH、(SiIH)(NHMe)、(SiIH)(NHEt)、(SiIH)(NHPr)、(SiIH)(NHBu)、(SiIH)(NMe、(SiIH)(NMeEt)、(SiIH)(NMePr)、(SiIH)(NMeBu)、(SiIH)(NEt、(SiIH)(NEtPr)、(SiIH)(NEtBu)、(SiIH)(NPr、(SiIH)(NPrBu)及び (SiIH)(NBu)のうちの1以上を含む。一部の実施形態では、シリコン前駆体は、(SiIH)(NH、(SiIH)(NHMe)、(SiIH)(NHEt)、(SiIH)(NHPr)、(SiIH)(NHBu)、(SiIH)(NMe、(SiIH)(NMeEt)、(SiIH)(NMePr)、(SiIH)(NMeBu)、(SiIH)(NEt、(SiIH)(NEtPr)、(SiIH)(NEtBu)、(SiIH)(NPr、(SiIH)(NPrBu)、及び(SiIH)(NBu)、及びそれらの組み合わせから選択された2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又はそれ以上の化合物を含む。
【0144】
一部の実施形態では、シリコン前駆体は、シリコンに結合される、1つのヨウ素、2つの水素及び1つのアミン又はアルキルアミンリガンドを含む。一部の実施形態では、シリコン前駆体は、(SiIH)NH、(SiIH)NHMe、(SiIH)NHEt、(SiIH)NHPr、(SiIH)NHBu、(SiIH)NMe、(SiIH)NMeEt、(SiIH)NMePr、(SiIH)NMeBu、(SiIH)NEt、(SiIH)NEtPr、(SiIH)NEtBu、(SiIH)NPr、(SiIH2)NPrBu及び(SiIH)NBuのうちの1以上を含む。一部の実施形態では、シリコン前駆体は、(SiIH)NH、(SiIH)NHMe、(SiIH)NHEt、(SiIH)NHPr、(SiIH)NHBu、(SiIH)NMe、(SiIH)NMeEt、(SiIH)NMePr、(SiIH)NMeBu、(SiIH)NEt、(SiIH)NEtPr、(SiIH)NEtBu、(SiIH)NPr、(SiIH)NPrBu、(SiIH)NBu及びそれらの組み合わせから選択された2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又はそれ以上の化合物を含む。
【0145】
一部の実施形態では、シリコン前駆体は、シリコンに結合される、1つのヨウ素、及び3つのアミン又はアルキルアミンリガンドを含む。一部の実施形態では、シリコン前駆体は、(SiI)(NH、(SiI)(NHMe)、(SiI)(NHEt)、(SiI)(NHPr)、(SiI)(NHBu)、(SiI)(NMe、(SiI)(NMeEt)、(SiI)(NMePr)、(SiI)(NMeBu)、(SiI)(NEt、(SiI)(NEtPr)、(SiI)(NEtBu)、(SiI)(NPr、(SiI)(NPrBu)及び(SiI)(NBu)のうちの1以上を含む。一部の実施形態では、シリコン前駆体は、(SiI)(NH、(SiI)(NHMe)、(SiI)(NHEt)、(SiI)(NHPr)、(SiI)(NHBu)、(SiI)(NMe、(SiI)(NMeEt)、(SiI)(NMePr)、(SiI)(NMeBu)、(SiI)(NEt、(SiI)(NEtPr)、(SiI)(NEtBu)、(SiI)(NPr、(SiI)(NPrBu)、(SiI)(NBu)及びそれらの組み合わせから選択された2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又はそれ以上の化合物を含む。
【0146】
特定の実施形態では、シリコン前駆体は、シリコンに結合される、2つのヨウ素、1つの水素及び1つのアミン又はアルキルアミンリガンド又は2つのヨウ素及び2つのアルキルアミンリガンドを含み、アミン又はアルキルアミンリガンドは、アミンNH-、メチルアミンMeNH-、ジメチルアミンMeN-、エチルメチルアミンEtMeN-、エチルアミンEtNH-及びジエチルアミンEtN-から選択される。一部の実施形態では、シリコン前駆体は、以下、(SiIH)NH、(SiIH)NHMe、(SiIH)NHEt、(SiIH)NMe、(SiIH)NMeEt、(SiIH)NEt、(SiI)(NH、(SiI)(NHMe)、(SiI)(NHEt)、(SiI)(NMe、(SiI)(NMeEt)及び(SiI)(NEtのうちの1以上を含む。一部の実施形態では、シリコン前駆体は、(SiIH)NH、(SiIH)NHMe、(SiIH)NHEt、(SiIH)NMe、(SiIH)NMeEt、(SiIH)NEt、(SiI)(NH、(SiI)(NHMe)、(SiI)(NHEt)、(SiI)(NMe、(SiI)(NMeEt)、(SiI)(NEt及びそれらの組み合わせから選択された2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又はそれ以上の化合物を含む。
【0147】
I又はBrを含む他の種類のSi前駆体
ヨウ素又は臭素置換シラザン又は硫黄のような窒素を含む複数の適切なシリコン前駆体は、前述された熱及びプラズマALD処理で使用されてもよい。一部の実施形態では、ヨウ素又は臭素置換シラザン又は硫黄のような窒素を含む複数の適切なシリコン前駆体は、前述された熱及びプラズマALD処理で使用されてもよく、所望の品質、例えば、以下に説明される所望のWER、WERR、パターンローディング効果及び/又はステップカバレージ構成のうちの少なくとも1つを有する膜が堆積される。
【0148】
適切なヨウ素又は臭素置換シリコン前駆体のうちの少なくともいくつかは、以下の一般式を有してもよい:
(25)H2n+2-y-z-wSi(EH)n-1
ここで、n=2-10、y=1又はそれ以上(及び2n+2-z-wまで)、z=0又はそれ以上(及び2n+2-y-wまで)、w=0又はそれ以上(及び2n+2-y-zまで)、XはI又はBr、EはN又はS、好ましくはN、AはX以外のハロゲンであり、Rは、有機リガンドであり、かつアルコキシド、アルキルシリル、アルキル、置換アルキル、アルキルアミン及び不飽和炭化水素からなる群から独立に選択されることができ、n=2-5であることが好ましく、n=2-3であることがより好ましく、n=1-2であることが最も好ましい。好ましくは、Rは、メチル、エチル、n‐プロピル又はイソプロピルのようなC-Cアルキル基である。
【0149】
適切なヨウ素又は臭素置換シラザン前駆体のうちの少なくともいくつかは、以下の一般式を有してもよい:
(26)H2n+2-y-z-wSi(NH)n-1
ここで、n=2-10、y=1又はそれ以上(及び2n+2-z-wまで)、z=0又はそれ以上(及び2n+2-y-wまで)、w=0又はそれ以上(及び2n+2-y-zまで)、XはI又はBr、AはX以外のハロゲンであり、Rは、有機リガンドであり、かつアルコキシド、アルキルシリル、アルキル、置換アルキル、アルキルアミン及び不飽和炭化水素からなる群から独立に選択されることができ、n=2-5であることが好ましく、n=2-3であることがより好ましく、n=2であることが最も好ましい。好ましくは、Rは、メチル、エチル、n‐プロピル又はイソプロピルのようなC-Cアルキル基である。
【0150】
一部の実施形態では、シリコン前駆体は、I又はBrを含む複素環式Si化合物のようなSi化合物を含む。このような環状前駆体は、以下の部分構造を含んでもよい:
(27)-Si-E-Si-
ここで、EはN又はSであり、Nが好ましい。
【0151】
一部の実施形態では、シリコン前駆体は、式(27)に係る部分構造を含み、この種の化合物の例は、例えば、ヨウ素又は臭素置換シクロトリシラザンのようなヨウ素又は臭素置換シクロシラザンである。
【0152】
一部の実施形態では、シリコン前駆体は、I又はBrを含むシリルアミンベースの化合物のようなSi化合物を含む。このようなシリルアミンベースのSi前駆体は、以下の一般式を有してもよい:
(28)(H3-y-z-wSi)-N
ここで、y=1又はそれ以上(及び3-z-wまで)、z=0又はそれ以上(及び3-y-wまで)、w=0又はそれ以上(及び3-y-zまで)、XはI又はBr、AはX以外のハロゲンであり、Rは、有機リガンドであり、かつアルコキシド、アルキルシリル、アルキル、置換アルキル、アルキルアミン及び不飽和炭化水素からなる群から独立に選択されることができる。好ましくは、Rは、メチル、エチル、n‐プロピル又はイソプロピルのようなC-Cアルキル基である。3つのH3-y-z-wSiリガンドのそれぞれは、互いに独立に選択されうる。
【0153】
N前駆体
一部の実施形態によれば、熱ALDにおける第2の反応物質又は窒素前駆体は、NH、N、又はN-H結合を有する任意の数の他の適切な窒素化合物であってもよい。
【0154】
図4は、一部の実施形態に係る窒化シリコン薄膜を堆積するために使用されうる窒化シリコン熱ALD堆積サイクルを概説するフローチャートである。特定の実施形態によれば、窒化シリコン薄膜は、複数の窒化シリコン堆積サイクルを含むALD型処理により基板に形成され、各窒化シリコン堆積サイクル400は、
(1)シリコン化合物が基板表面に吸着するように、基板を気化したシリコン前駆体と接触すること410、
(2)余剰シリコン前駆体及び反応副生成物を除去すること420、
(3)基板を窒素前駆体と接触すること430、及び
(4)余剰窒素前駆体及び反応副生成物を除去すること440
を含む。
【0155】
接触するステップは、所望の厚さ及び組成の薄膜が得られるまで繰り返される450。上述したように、一部の実施形態では、基板は、シリコン化合物及び窒素前駆体と同時に接触してもよいが、別の実施形態では、これらの反応物質は、別々に提供される。
【0156】
一部の実施形態によれば、窒化シリコン薄膜は、FinFET用途のような三次元構造を有する基板上に熱ALD処理を用いて堆積される。当該処理は、以下のステップを含んでもよいが、この順序で行われる必要はない:
(1)基板を反応空間に搬入する、
(2)シリコン含有前駆体が基板の表面に吸着するように、HSiIのようなシリコン含有前駆体を反応空間に導入する、
(3)パージ等により、余剰なシリコン含有前駆体及び反応副生成物を除去する、
(4)シリコン含有前駆体を基板上のシリコン含有前駆体と反応するために、NH又はNのような窒素含有前駆体を反応空間に導入する、
(5)パージ等により、余剰な窒素含有前駆体及び反応副生成物を除去する、及び
(6)所望厚さの窒化シリコン膜が形成されるまでステップ(2)から(5)が繰り返される。
【0157】
一部の実施形態では、ALD処理は、約100℃から約800℃、又は約200℃から約600℃、又は約300℃から約500℃の温度で行われる。一部の用途では、反応温度は、約400℃である。
【0158】
SiN膜特性
本明細書で説明される実施形態の幾つかに係る窒化シリコン薄膜(シリコン前駆体が臭素又はヨウ素を含むかどうかに関わらず)は、約3at-%未満、好ましくは約1at-%未満、より好ましくは約0.5at-%未満、最も好ましくは約0.1at-%未満の不純物レベル又は濃度を実現してもよい。一部の薄膜では、水素を除く総不純物レベルは、約5at-%未満、好ましくは約2at-%未満、より好ましくは約1at-%未満、最も好ましくは約0.2at-%であってもよい。また、一部の薄膜では、水素の不純物レベルは、約30at-%未満、好ましくは約20at-%未満、より好ましくは約15at-%未満、最も好ましくは約10at-%であってもよい。
【0159】
一部の実施形態では、堆積されるSiN膜は、相当量の炭素を含まない。しかし、一部の実施形態では、炭素を含むSiN膜が堆積される。例えば、一部の実施形態では、ALD反応は、炭素を含むシリコン前駆体を用いて行われ、炭素を含む窒化シリコン薄膜が堆積される。一部の実施形態では、炭素を含むSiN膜は、アルキル基又は他の炭素を含むリガンドを含む前駆体を用いて堆積される。一部の実施形態では、アルキル基を含む、式(9)-(28)のうちの1つのシリコン前駆体は、上述したように、炭素を含むSIN膜を堆積するために、PEALD又は熱ALD処理で使用される。Me又はEtのような異なるアルキル基又は他の炭素含有リガンドは、異なる反応メカニズムのために、膜の異なる炭素濃度を生じる。よって、異なる前駆体は、堆積されるSiN膜の異なる濃度を生じるために選択されうる。一部の実施形態では、炭素を含むSiN薄膜は、例えば、low-kスペーサとして使用されてもよい。一部の実施形態では、薄膜は、アルゴンを含まない。
【0160】
図5A-5Bは、本開示に係る堆積された各種の窒化シリコン薄膜のFESEM画像を示す。膜型移籍された後、それらは、2分間HFに浸漬される(HF-dipped)。図6A-6Cは、dHF浸漬処理の後の同一の窒化シリコン膜を示す。均一なエッチングが観察されることができる。
【0161】
一部の実施形態によれば、窒化シリコン薄膜は、約50%を超える、好ましくは約80%、より好ましくは約90%、最も好ましくは約95%を超えるステップカバレージ及びパターンローディング効果を示してもよい。一部の場合には、ステップカバレージ及びパターンローディング効果は、約98%を超えることができ、一部の場合には、(測定ツール又は方法の精度内で)100%になることができる。これらの値は、2を超えるアスペクト比、好ましくは3を超えるアスペクト比、より好ましくは5を超えるアスペクト比、最も好ましくは8を超えるアスペクト比、で実現されることができる。
【0162】
本明細書で使用されるような“パターンローディング効果(pattern loading effect)”は、本技術分野におけるその通常の意味に従って用いられる。パターンローディング効果が不純物含有量、密度、電気特性及びエッチング速度に対して観察されるが、パターンローディング効果という用語を特に示さないかぎり、本明細書で使用されるときには、基板が存在する基板の領域における膜の厚さのばらつきをいう。よって、パターンローディング効果は、オープンフィールドに面する三次元構造/構成の側壁又は底部の膜厚に対する三次元構造の内側の構成の側壁又は底部における膜厚として与えられうる。本明細書で使用されるような、100%のパターンローディング効果(又は比率1)は、構成にかかわらず基板を通じてほぼ完全に均一な特性を示すつまり、言い換えれば、パターンローディング効果(例えば、オープンフィールドに対する構成における厚さのような特性の膜特性のばらつき)がない。
【0163】
一部の実施形態では、窒化シリコン膜は、約3nmから約50nm、好ましくは約5nmから約30nm、より好ましくは約5nmから約20nmの厚さで堆積される。これらの厚さは、約100nm、好ましくは約50nm、より好ましくは約30nm、最も好ましくは約20nm、一部の場合には、約15nm未満の構成のサイズ(幅)で実現されうる。一部の実施形態によれば、SiN膜は、三次元構造で堆積され、側壁での厚さは、わずか10nmを超えてもよい。
【0164】
一部の実施形態によれば、様々なウェットエッチング速度(wet etch rates(WER))を有する窒化シリコン膜が堆積されてもよい。0.5%dHF(nm/min)のブランケットWERを使用するとき、窒化シリコン膜は、約5未満、好ましくは約4未満、より好ましくは約2未満、最も好ましくは約1未満のWER値を有してもよい。一部の実施形態では、約0.3未満でありうる。
【0165】
熱酸化のWERに対する0.5%dHF(nm/min)におけるブランケットWERは、約3未満、好ましくは約2未満、より好ましくは約1未満、最も好ましくは約0.5未満であってもよい。
【0166】
一部の実施形態では、フィン又はトレンチのような三次元構造の上部領域WERに対するフィン又はトレンチのような三次元構造の側壁WERは、約4未満、好ましくは約3未満、より好ましくは約2未満、最も好ましくは約1未満であってもよい。
【0167】
本開示の窒化シリコン薄膜を使用する際に、上部と側面との厚さの差は、改善された膜品質及びエッチング特性によって、一部の用途では重要ではない場合もある。それでもなお、一部の実施形態では、側壁に沿う厚さの勾配は、その後の用途又は処理に対して非常に重要な場合もある。
【0168】
一部の実施形態では、本開示に係る窒化シリコン膜のエッチング量は、0.5%HF浸漬処理において熱SiO(TOX)について観察されたエッチング量の約1又は2倍未満であってもよい(例えば、約2から約3nmのTOXが除去される処理で、本明細書で開示される方法に従って堆積されるとき、1又は2倍未満のSiNが除去される)。好ましいい窒化シリコン膜のWERは、熱酸化膜の前のもの未満であってもよい。
【0169】
SiN膜の使用のための具体的な量
本明細書で説明される方法及び材料は、水平ソース/ドレイン(S/D)及びゲート面を有する従来の横方向のトランジスタ設計についての向上した品質及び改善されたエッチング速度を有する膜を提供しうるだけでなく、水平でない(例えば、垂直)面で、及び複雑な三次元(3D)構造で使用するための改善されたSiN膜も提供しうる。特定の実施形態では、SiN膜は、集積回路製造時に三次元構造で開示される方法により堆積される。三次元トランジスタは、例えば、ダブルゲートフィールドエフェクトトランジスタ(DG FET)、及びFinFETを含む他の種類の複数ゲートFETを含んでもよい。例えば、本開示の窒化シリコン薄膜は、FinFETのような非平面複数ゲートトランジスタで有益であってもよく、ゲート、ソース及びドレイン領域の上に追加して、垂直壁にシリサイドを形成することが望ましい。
【0170】
本明細書で教示されるSiN堆積技術についての別の3D構造は、Shifrenらによる米国特許公開第2009/0315120A1号で教示される3D高架ソース/ドレイン構造(3D elevated source/drain structure)で特に有益であり、その開示はその全体が参照により本明細書に援用される。Shifrenらは、垂直側壁を含む高架ソース/ドレイン構造を教示している。
【0171】
実施例1
窒化シリコン薄膜は、シラン前駆体としてHSiIを用い窒素前駆体としてH+Nプラズマを用いたPEALD処理により、本開示に従って400℃で堆積された。この膜は、両方のALD反応タイプの最良の品質のいくつかの組み合わせを示した:典型的に高品質なPEALD SiN膜及び熱ALD膜の等方性エッチング作用。これらの結果は完全に解明されていないが、膜の特性及びエッチング作用は、それにもかかわらず、高品質スペーサ層の用途のためのスペック内にある。
【0172】
この用途のために、アスペクト比が2のトレンチ構造でのステップカバレージ及びパターンローディング効果は、95%を超えるべきであり、ウェットエッチング速度(WER)は、熱酸化シリコン(SiO,TOX)のWERの50%未満であるべきであり、エッチング速度は、トレンチ構造の水平及び垂直壁でほぼ同じになるべきである。最後に、成長速度は、0.5nm/minを超えるべきであり、不純物量はできるだけ少なくするべきである。
【0173】
400℃における膜成長速度は、0.52Å/cycleであり、膜の不均一性は6.2%(1-σ)であった。屈折率は、0.7%(1-σ)の膜の不均一性で2.04であった。一分当たりの成長速度は、最適化されていないが、0.13nm/minであった。
【0174】
平坦な膜のウェットエッチング速度は、1.13nm/minuteであり、これは、ToxのWERの46.7%であった(2.43nm/min)。トレンチ構造では、膜のコンフォーマリティは、約91.0から約93.1%であり、パターンローディング効果は、堆積されたときの約95.7から99.3%であった(エッチング前)。2分間の希釈(0.5%)HFエッチングの後、コンフォーマリティ値は、約91.5から約94.6%であり、パターンローディング効果は、約97.4から約99.5%であった。トレンチの上部領域のウェットエッチング速度は、A 4.32nm/min、トレンチ側壁ではB 2.98nm/min、及びトレンチ底部ではC 3.03nm/minであった。フィールド領域は、D 2.63nm/minのエッチング速度を示した。
【0175】
特定の理論に縛られることはないが、ヨウ素又は臭素のリガンド除去ステップは、プラズマ放電前に完了していることが有効であると考えられる。それは、残りのリガンドを分解らふせぎ、不純物として膜に再度侵入することを防ぎ、ハロゲン化物の場合には、プラズマ活性化したハロゲン化物の形成も防がれる。
【0176】
本開示に係る、堆積された窒化シリコン薄膜の組成は、HFS-RBSによって分析された。その結果が以下の表1に示される。また、XXRデータが同一の膜から得られた。膜の厚さは、約117nmであった。質量密度は、2.63(±0.1)g/cmであった。また、表面のRMS粗さは、1.76(±0.1)nmであった。
【表1】
【0177】
実施例2
改善されたエッチング特性及び不純物量(実施例1との比較)を有する窒化シリコン薄膜は、本開示に係るPEALD処理によりダイレクトプラズマALDシャワーヘッド型リアクタで堆積された。200℃及び400℃のサセプタ温度が使用された。HSiIは、シリコン前駆体として使用され、H+Nプラズマは、窒素前駆体はとして使用された。プラズマパワーは、約200Wから約220Wであり、シャワーヘッドプレートとサセプタとの間のギャップ(すなわち、プラズマが生成されるスペース)は、10mmであったプラズマはArを含まなかった。窒素は、キャリアガスとして使用され、堆積処理を通じて流された。HSiI消費量は、約9.0mg/cycleであった。
【0178】
400℃では、膜の成長速度は、0.7Å/cycleであり、堆積された膜は、コンフォーマルであった。屈折率は1.92-1.93であった。100:1 dHFにおける平坦な膜のウェットエッチング速度(WER)は、熱酸化物(SiO)のWERの約20から30%であった。トレンチ構造では、トレンチ上部に対するトレンチ側壁の膜のウェットエッチング速度比は、約0.8から約1.0で変化した。
【0179】
200℃で堆積された窒化シリコン薄膜の不純物量は、TXRFによって分析された。cm当たり8.43×1012のヨウ素原子を含む膜は、H+Nプラズマに加えて、Arを含むプラズマを用いて堆積される膜の不純物量(cm当たり1.418×1013のヨウ素原子)よりも僅かに少ない。また、Arを含むプラズマを用いて400℃で堆積された膜は、TXRF分析によって証明されるように、不純物としてArを有していた(cm当たり8.067×1013アルゴン原子)。特定の理論に縛られることはないが、アルゴンが膜内にトラップされ、アルゴンを含まないプラズマを用いることにより、これを防ぐことができると考えられる。
【0180】
プラズマ処理
本明細書で説明されるように、プラスマ処理ステップは、膜特性を向上するために、様々な材料の形成に使用されてもよい。特に、例えば、窒素プラズマを用いるようなプラズマ高密度化ステップは、SiN膜のような窒化膜の特性を向上してもよい。一部の実施形態では、SiN膜を形成するための処理は、SiNを堆積し、堆積されたSiNをプラズマ処理で処理することを含む。一部の実施形態では、SiNは、熱ALD処理により堆積され、次に、プラズマ処理を受ける。例えば、SiNは、シリコン種が基板の表面に吸着されるように、基板がシリコン前駆体と接触される第1の段階と、基板の表面に吸着されたシリコン種が窒素前駆体と接触する第2の段階と、を含む複数の堆積サイクルを有する熱ALD処理により堆積されてもよい。本明細書で説明されるように、熱ALD処理により堆積されるSiNは、例えば、エッチング堆積サイクルの後、堆積処理時のインターバル、又はSiN堆積処理の完了に続いてプラズマ処理を受けてもよい。一部の実施形態では、SiNは、PEALD処理により堆積される。一部の実施形態では、PEALD堆積処理は、第1の段階と、第2の段階とを含む。例えば、SiN PEALD処理の第1の段階は、シリコン種が、対象となる基板の表面に吸着されるように、対象となる基板をシリコン前駆体と接触することを含んでもよく、SiN PEALD処理の第2の段階は、SiNを形成するために、対象となる基板の表面に吸着されたシリコン種を、窒素を含むプラズマと接触することを含んでもよい。堆積処理のこの部分では、プラズマは、水素イオンを含んでもよい。例えば、PEALD窒化シリコン堆積サイクルは、対象となる基板を、本明細書で説明されるもののようなシリコン前駆体及び例えば、窒素のプラズマのような活性化した窒素前駆体、及び水素ガスと接触することを含んでもよい。対象となる基板は、このステップにおいて、活性化した水素含有種(例えば、H及び/又はH イオン)に暴露されてもよく、これは、例えば、表面反応をしやすくする。しかし、窒化シリコン膜を活性化した水素含有種に暴露することは、窒化シリコン膜の堆積を容易にする(例えば、窒化シリコン膜のコンフォーマルな堆積のための1以上の表面反応を容易にする)が、このような暴露は、膜の剥離及び/又は窒化シリコン膜におけるブリスター欠陥のような1以上の欠陥の形成をもたらす場合があることがわかっている。よって、一部の実施形態では、PEALD窒化シリコン堆積サイクルにおける第1のプラズマステップ(窒素プラズマ前駆体ステップともいう)は、大きな欠陥形成又は剥離を防ぐために十分低いプラズマパワー及び十分短い時間で行われる。
【0181】
一部の実施形態では、PEALDによりSiNの堆積に続いて、プラズマ処理ステップが実行される。第2のプラズマ処理ステップは、各PEALDサイクルの後、SiN堆積時のインターバル、又はPEALD SiN堆積処理が完了した後に実行されてもよい。第2のプラズマ処理ステップは、窒素プラズマ処理ステップであってもよい。第2のプラズマ処理ステップは、例えば、堆積されたSiN膜の高密度化又は他の膜特性の改善をもたらしてもよい。よって、第2の窒素プラズマ処理ステップは、高密度化ステップとも呼ばれてもよい。プラズマパワー及び/又は時間は、以下により詳細に説明されるように、第1の窒素プラズマ前駆体ステップよりも、高密度化ステップ(第2の窒素プラズマ処理ステップ)のほうが大きくてもよい。重要なのは、第2の窒素プラズマ処理ステップは、H又はH のような活性化した水素種の提供を含まないことである。高密度化ステップは、以下により詳細に説明されるように、PEALD処理の各サイクルの後、又はPEALD堆積処理の各種インターバルの後に、行われてもよい。
【0182】
よって、一部の実施形態では、1以上の窒化シリコン膜堆積サイクルに続いて窒素プラズマ処理が行われる。窒素プラズマ処理を用いることは、窒化シリコン膜の剥離等の欠陥の形成及び/又は窒化シリコン膜のブリスター欠陥の形成を低減又は抑制しつつ、特定の所望の特性を有する窒化シリコン膜の形成を容易にする。窒素プラズマ処理を用いることは、所望のエッチング速度(例えば、希釈HFにおけるウェットエッチング速度)のような所望の特性を示す膜を得て、膜に大きな欠陥を導入せずに、窒化シリコン膜のコンフォーマルな堆積のための窒化シリコン膜の堆積における活性化した水素含有種の使用を可能にする。特定の理論又は動作のモードに制限されることはないが、窒素プラズマ処理の適用は、窒化シリコン膜堆積サイクルにより形成される窒化シリコン膜の密度を増加させてもよい。一部の実施形態では、窒素プラズマ処理の適用は、増加したウェットエッチング耐性を示す窒化シリコン膜の形成を容易にしうる(例えば、窒素プラズマ処理なしの場合に形成される窒化シリコン膜との比較。上部層は、容易に酸化され、熱酸化シリコンのものと同様のWERRを示す。)。一部の実施形態では、窒素プラズマ処理の適用は、3D構成上の垂直表面に対する水平表面の増加したエッチング速度の均一性、減少したウェットエッチング速度(WER)、及び/又は熱酸化(TOX)に対する減少したウェットエッチング速度比(WERR)を有する窒化シリコン膜の形成を容易にしうる。
【0183】
一部の実施形態では、本明細書で説明される1以上の処理に係る3D構成に形成される窒化シリコン薄膜は、0.5%dHFで約1未満の3D構成の上部領域での窒化シリコン薄膜のウェットエッチング速度(WER)に対する、3D構成の側壁の窒化シリコン薄膜のウェットエッチング速度(WER)の比を示しうる。一部の実施形態では、比は、0.5% dHFで約0.75から約1.5であり、一部の実施形態では、約0.9から約1.1であってもよい。
【0184】
一部の実施形態では、窒素プラズマ処理を用いることは、犠牲層、FiNFETのような最先端の半導体装置におけるゲートスペーサ及び/又はspacer defined double/quadruple patterning(SDDP/SDQP)及び他のマルチゲートトランジスタのような用途において有益な窒化シリコン膜の形成を容易にする。
【0185】
本明細書で説明される実施形態は、窒化シリコン膜のPEALD堆積について言及しているが、他の堆積技術も適用可能であること(例えば、熱ALD、及び/又はラジカルエンハンストALD)が理解されるであろう。更に、窒素プラズマ処理は、他の材料の堆積に提供されてもよい(例えば、金属材料、誘電体材料及び/又は窒化チタン(TiN)のような他の窒化材料)。
【0186】
図7は、一部の実施形態に係る、窒化シリコンPEALD堆積処理760に続いて窒素プラズマ処理740を含む窒化シリコン膜形成処理の一例を概説するフローチャート700である。本明細書で説明されるように、窒化シリコン膜堆積処理760は、対象となる基板を1以上のシリコン前駆体と接触すること710(例えば、シリコン前駆体ステップ)、及び、それに続いて、対象となる基板を1以上の窒素前駆体に接触すること720(例えば、窒素前駆体ステップ)の1以上のサイクル730を含みうる。一部の実施形態では、窒素前駆体は、活性化した水素種を含んでもよい窒素プラズマである。
【0187】
対象となる基板を窒素プラズマ処理に暴露すること740は、対象となる基板を1以上のシリコン前駆体と接触すること710と、対象となる基板を1以上の窒素前駆体と接触すること720との1以上のサイクル730に続きうる。窒素プラズマ処理740は、各堆積サイクル730後、又は例えば、2、3、4、5、6、7等のサイクルごとの堆積処理を通じて間欠的に、実行されうる。
【0188】
一部の実施形態では、窒化シリコン膜堆積処理760の後に、対象となる基板を窒素プラズマ処理に暴露する740が行われ、当該処理は、複数回繰り返される750。例えば、完了した窒化シリコン膜形成処理770は、対象となる基板を1以上のシリコン前駆体と接触すること710、対象となる基板を1以上の窒素前駆体と接触すること720、及び対象となる基板を窒素プラズマ処理740に暴露すること740の複数のサイクルう730を含みうる。
【0189】
特定の実施形態によれば、反応空間において窒化シリコン膜を基板に形成するための処理は、以下のステップの複数の繰り返しを含む。
【0190】
(1)シリコン含有種が基板の表面に吸着されるように、SiIのようなシリコン含有前駆体を反応空間に導入すること、
(2)必要に応じて、余剰なシリコン含有前駆体及び/又は反応副生成物を反応空間から除去すること、
(3)N、NH、N又はN及びHのような窒素含有前駆体を反応空間に導入すること、
(4)窒素前駆体から反応種を生成すること、
(5)基板を反応種と接触すること、
(6)必要に応じて、余剰な窒素原子、プラズマ又はラジカル及び/又は反応副生成物を除去すること、
(7)基板を窒素プラズマ処理に適用すること。
ステップ(1)から(6)は、所望の厚さの窒化シリコン膜が形成されるまで繰り返されてもよい。
【0191】
一部の実施形態では、ステップ(6)は、窒素プラズマ処理の適用の前に行われない。例えば、窒素前駆体から生成された反応種に基板を接触することに続いて、パージ処理のない又は実質的にない窒素プラズマ処理の適用が行われてもよく、窒素前駆体ステップからの1以上の反応種の残りは、窒素プラズマ処理において存在してもよい。例えば、水素種の残りが存在してもよい。
【0192】
一部の実施形態では、ステップ(4)及び(5)は、窒素原子、プラズマ又はラジカルがリモート形成され、反応空間に提供されるステップと置き換えてもよい。
【0193】
図8は、一部の実施形態に係る、窒化シリコンPEALD堆積処理860に続く窒素プラズマ処理840を含む窒化シリコン膜形成処理870の別の例を概説するフローチャート800である。本明細書で説明されるように、窒化膜堆積処理860は、対象となる基板を1以上のシリコン前駆体に接触すること810に続く(例えば、基板を1以上の窒素前駆体と接触するステップの一部として)対象となる基板を活性化した水素含有種を含む窒素プラズマに接触すること820の1以上のサイクル830を含みうる。
【0194】
対象となる基板を、窒素プラズマがない又は実質的にない活性化した水素含有種と接触すること840(例えば、窒素プラズマ処理の一部として)は、対象となる基板を1以上のシリコン前駆体と接触すること810、及び対象となる基板を活性化した水素含有種を含む窒素プラズマと接触すること820の1以上のサイクル830に続きうる。対象となる基板を、窒素プラズマがない又は実質的にない活性化した水素含有種と接触すること840は、各堆積サイクル830の後、又は例えば、2、3、4、5、6、7等のサイクルごとの堆積処理を通じて間欠的に行われうる。
【0195】
一部の実施形態では、窒化膜堆積処理860に続いて、対象となる基板を、活性化した水素種がない又は実質的にない窒素プラズマと接触すること840は、複数回繰り返されうる850。例えば、完全な窒化シリコン膜形成処理870は、窒化膜堆積処理860に続いて、対象となる基板を、活性化した水素種がない又は実質的にない窒素プラズマと接触すること840の複数回のサイクルを含みうる。
【0196】
本明細書で説明されるように、PEALD処理は、約200℃から約400℃、約300℃から約400℃、又は約400℃の温度で行われてもよい。
【0197】
一部の実施形態では、窒素プラズマ処理は、基板を、窒素及び1以上の不活性ガスを含む反応物質から形成したプラズマと接触することを含みうる。例えば、窒素プラズマ処理は、基板を、窒素(N)及びアルゴン(Ar)のような1以上の希ガスから形成したプラズマと接触することを含みうる。窒素プラズマ処理は、ダイレクトプラズマ処理を含んでもよい。例えば、PEALD窒化シリコン堆積処理の1以上のサイクルに続いて、窒素プラズマ処理が行われてもよい。プラズマ窒素前駆体ステップを含むPEALD窒化シリコン堆積処理の1以上のサイクルは、所望の化学及び/又は物理特性(例えば、所望のウェットエッチング特性及び剥離欠陥がない又は実質的にない)を有するコンフォーマルな窒化シリコン膜の形成を容易にするために、窒素プラズマ処理と組み合わせられうる。
【0198】
一部の実施形態では、窒素プラズマ処理は、大量の活性化した水素含有種(例えば、水素イオン(H))を含まない。一部の実施形態では、窒素プラズマ処理は、活性化した水素含有種がない又は実質的にない。一部の実施形態では、窒素処理は、対象となる基板を窒素前駆体と接触するための窒化膜堆積処理(例えば、窒素前駆体ステップ)におけるサイクルからのような、反応チャンバで行われた前の処理から残る、活性化した水素含有種の残存物を含みうる。本明細書で説明されるように、一部の実施形態では、パージ処理は、僅かな量の水素含有種が反応チャンバに残るように、窒素プラズマ処理の前には行われなくてもよい。例えば、窒素プラズマ処理は、水素含有成分を反応チャンバに供給しないが、前の処理ステップからの僅かな量の水素含有種は、窒素プラズマ処理の少なくとも一部の間に処理チャンバ内に残る。
【0199】
一部の実施形態では、窒化シリコンを堆積するためのPEALD処理におけるプラズマパワーは、膜の欠陥及び/又は剥離の形成を低減又は防ぐために十分低い。しかし、プラズマパワーは、窒素プラズマ処理において高くてもよい。よって、一部の実施形態では、窒素プラズマ処理で使用されるプラズマパワーは、窒化シリコンを堆積するためのPEALD処理(例えば、PEALD処理の窒素前駆体ステップ)で使用されるもの以上である。例えば、SiNを形成するためのPEALDサイクルは、低減されたプラズマパワーを用いて窒素及び水素を含むガスで形成されるが、水素含有種がない又は水素含有種のみが残存する窒素プラズマ処理において、相対的に高いプラズマパワーが用いられてもよい。一部の実施形態では、窒素プラズマ処理中に印加されるプラズマパワーは、活性化した水素種が形成されるSiNを形成するためのPEALD処理中(例えば、PEALD処理の窒素前駆体ステップ時)に印加されるプラズマパワーの約900%までである。一部の実施形態では、窒素プラズマ処理のためのプラズマパワーは、窒素前駆体ステップで使用されるプラズマパワーの約400%までが好ましく、窒素前駆体ステップで使用されるプラズマパワーの約100%から約250%がより好ましく、窒素前駆体ステップで使用されるプラズマパワーの約100%から約200%が最も好ましい。
【0200】
一部の実施形態では、窒素プラズマ処理で使用されるプラズマパワーは、窒素前駆体ステップで使用されるもの未満である。例えば、窒素プラズマ処理で使用されるプラズマパワーは、窒素前駆体ステップで使用されるプラズマパワーの約50%から100%でありうる。
【0201】
PEALD堆積処理で使用されるプラズマパワーは、窒化シリコンが堆積される対象となる基板の構造の形状及び/又は材料を含む様々な要因に依存しうる。本明細書で説明されるように、PEALD窒化シリコン堆積で使用されるプラズマパワーは、(例えば、300ミリメートル(mm)ウェーハ基板を処理するように構成される反応チャンバにおいて)例えば、約100Wから約300W、及び約150Wから約250Wを含む、約50ワット(W)から約600Wであってもよい。本明細書で説明されるように、窒素プラズマ処理時に印加されるプラズマパワーは、窒素前駆体処理時に印加されるプラズマパワー以上であってもよく、例えば、約100Wから約1000W、好ましくは約125Wから約60W、より好ましくは約150Wから約300Wであってもよい。一部の実施形態では、窒素プラズマ処理時に印加されるプラズマパワーの出力密度(例えば、300ミリメートル(mm)ウェーハ基板を処理するように構成される反応チャンバにおいて)は、約0.07 Watts per cubic centimeter(W/cm)、好ましくは約0.08W/cmから0.4W/cm、より好ましくは約約0.1W/cmから0.2W/cmでありうる。
【0202】
窒素プラズマ処理の期間は、所望の結果を得るように選択されうる。一部の実施形態では、当該期間は、処理される窒化シリコン膜の厚さに一部基づく。例えば、短い窒素プラズマ処理は、各PEALDサククル後に印加される窒素プラズマ処理で使用されうるが、長い窒素プラズマ処理は、窒素プラズマ処理が、より少ない頻度で印加されるときに、使用されうる。
【0203】
本明細書で説明されるように、窒化シリコン形成処理は、窒化シリコン膜を堆積するための複数の堆積サイクルと、各堆積サイクルが、シリコン前駆体ステップに続いて窒素前駆体ステップを含みうる1以上の窒素プラズマ処理と、を含んでもよい。一部の実施形態では、複数の堆積サイクル(例えば、シリコン前駆体ステップに続いて窒素前駆体ステップを含む堆積サイクル)及び1以上の窒素プラズマ処理ステップを含むサイクルは、複数回繰り返されうる。一部の実施形態では、複数の堆積サイクルは、所望のシリコン膜厚を実現するために繰り返されることができ、その後、1以上の窒素プラズマ処理ステップに続きうる。
【0204】
一部の実施形態では、PEALD窒化シリコン膜堆積における窒素前駆体ステップの総期間は、窒素プラズマ処理の総期間以上である。窒素プラズマ処理の総期間は、窒化シリコン形成処理で行われる窒素プラズマ処理の全ての長さの合計であり、窒素前駆体ステップの総期間は、窒化シリコン膜形成処理で行われる窒素前駆体ステップの全ての長さの合計でありうる。
【0205】
窒素前駆体ステップの期間は、膜欠陥(例えば、ブリスター欠陥)の形成を低減又は防ぎつつ、所望の膜成長及び/又は所望のコンフォーマルな膜の堆積を実現するように選択されてもよい。一部の実施形態では、窒素前駆体ステップの期間は、窒素前駆体ステップで使用されるプラズマパワーの大きさ、及び/又はプラズマパワーが印加される期間に依存しうる。一部の実施形態では、大きなプラズマパワーは、ブリスター及び/又は剥離がない又は実質的にない窒化シリコン膜の形成を容易にするために、短い期間印加されてもよい。例えば、特定の理論又は動作のモードに限定されるものではないが、印加されるプラズマパワー及び/又は窒素前駆体ステップの期間の増加は、ブリスター及び/又は剥離のような膜欠陥の形成に寄与してもよい。例えば、約200Wのパワーでの窒素前駆体ステップの6秒間のプラズマ期間は、ブリスターが生じない又は実質的に生じないが、約200Wの同一のパワーでの窒素前駆体ステップの8秒間のプラズマ期間は、ブリスターの形成をもたらす。例えば、約200Wのパワーでの6秒間のプラズマ期間は、ブリスターの形成をもたらす。
【0206】
一部の実施形態では、水素を含む窒素前駆体ステップは、約5000W*s未満、好ましくは2500W*s未満、及び最も好ましくは約1000W*s未満のワット(W)をプラズマ期間(秒)と掛けたプラズマエネルギーを有しうる。
【0207】
一部の実施形態では、窒化シリコン堆積処理の窒素プラズマ処理は、活性化した水素含有種が窒素前駆体ステップに提供される総期間の約1%から約100%の総期間、好ましくは、活性化した水素含有種が窒素前駆体ステップに提供される総期間の約5%から約75%の総期間、及びより好ましくは、活性化した水素含有種が窒素前駆体ステップに提供される総期間の約10%から約50%の総期間を有しうる。
【0208】
一部の実施形態では、窒化シリコン堆積処理の窒素プラズマ処理は、活性化した水素含有種が窒素前駆体ステップに提供される総期間の約40%の総期間を有しうる。例えば、窒化シリコン堆積処理は、シリコン前駆体ステップに続く窒素前駆体ステップの25回のサイクルを含むことができ、各サイクルは、活性化した水素含有種が提供される6秒間の窒素前駆体ステップを含み、活性化した水素含有種が提供される150秒間の窒素前駆体ステップを含む窒化シリコン処理を提供する。活性化した水素含有種が提供される窒素前駆体ステップの40%である窒素プラズマ処理の総期間は、約60秒でありうる。
【0209】
対象となる基板が窒素プラズマ処理に曝露される頻度は、所望の最終的な膜特性を実現するように選択されうる。例えば、1以上の窒素プラズマ処理は、対象となる基板が1以上のシリコン前駆体に暴露されることに続いて窒化シリコン膜成長のための窒素前駆体の、サイクルの複数の繰返しに続きうる。一部の実施形態では、対象となる基板を1以上のシリコン前駆体に暴露することに続く窒素前駆体のサイクルは、各窒素プラズマ処理前に、25回繰り返されうる。例えば、窒素プラズマ処理は、対象となる基板を1以上のシリコン前駆体に暴露することに続く窒素前駆体の25回のサイクルの繰り返しごとに続きうる。一部の実施形態では、窒素プラズマ処理は、対象となる基板を1以上のシリコン前駆体に暴露することに続く窒素前駆体の50回のサイクルの繰り返しごとに続きうる。一部の実施形態では、窒素プラズマ処理は、対象となる基板を1以上のシリコン前駆体に暴露することに続く窒素前駆体の100回のサイクルの繰り返しごとに続きうる。
【0210】
特定の理論又は動作のモードに限定されるものではないが、プラズマ窒素処理は、例えば、窒化シリコン膜のイオン衝突を通じて、窒化シリコン膜の高密度化のために適用されうる。例えば、窒素プラズマ処理時のシリコン膜をプラズマに暴露することの増加は、イオン衝突の量を増加し、膜の高密度化を増大させうる。水素がない又は実質的にない窒素プラズマ処理は、剥離欠陥のない又は実質的にない窒化シリコン膜の形成を促進しつつ、増加したプラズマパワーの使用を促進にする。その間、水素含有種は、窒化シリコン膜の表面反応及び/又はコンフォーマルな堆積を促進するために、窒化シリコン成長サイクルで使用されてもよい。高密度化した窒化シリコン膜は、例えば、3D構造の垂直面及び水平面での構成のエッチング速度における均一性の増加を含む、ウェットエッチング速度の減少及び/又はウェットエッチング均一性の増加を示しうる。
【0211】
一部の実施形態では、-NH表面官能基を提供する処理は、窒素プラズマ処理に続いて行われうる。特定の理論又は動作のモードに限定されるものではないが、窒化シリコン膜成長のための-NH表面官能基の量は、窒素プラズマ処理時に生じる対象となる基板のイオン衝突により除去されてもよい。-NH表面官能基を提供する処理は、窒素プラズマ処理時に除去されている-NH表面官能基を対象となる基板に提供するために、窒素プラズマ処理に続いて行われうる。一部の実施形態では、-NH表面官能基を提供する処理は、プラズマ処理と、1以上の窒素含有及び水素含有成分を含みうる。一部の実施形態では、-NH表面官能基を提供する処理は、窒素前駆体を提供するための処理と同一でありうる。-NH表面官能基を提供する処理は、対象となる基板を、窒素含有ガスで生成されるプラズマに暴露することを含みうる。一部の実施形態では、プラズマは、活性化した水素含有及び窒素含有種に提供することと同様に、水素を含んでもよい。例えば、PEALD窒化シリコン処理の窒素前駆体ステップと同様又は同一の処理は、-NH表面官能基を提供する窒素プラズマ処理に続いて行われうる。
【0212】
PEALD窒化シリコン堆積と組み合わせた窒素トリートメント処理の実施例
実施例1
窒化シリコン膜形成処理のサイクルの2つの実施例が以下に提供される。各処理は、窒素プラズマトリートメントを有するPEALD窒化シリコン堆積処理と、以下に説明されるような図9でグラフ化される各シーケンスを用いて形成される窒化シリコン膜のウェットエッチング性能と、の組み合わせを含む。
【0213】
実施例a)
窒化シリコン膜形成処理のサイクルは、総計18秒間の対象となる基板をプラズマに暴露することが含まれていた:対象となる基板をシリコン前駆体に2秒間暴露すること、続いて、対象となる基板を、窒素(N)及び水素(H)により窒素前駆体のために生成されるプラズマに、約50Wのパワーで、6秒間暴露すること、続いて、対象となる基板を、窒素プラズマ処理のために窒素(N)及びアルゴン(Ar)により生成されるプラズマに、約200Wのプラズマパワーで、6秒間暴露すること、続いて、対象となる基板を、窒素(N)及び水素(H)から生成されたプラズマに、約50Wのパワーで、6秒間暴露すること(例えば、対象となる基板に-NH表面官能基を提供するために)。
【0214】
実施例b)
窒化シリコン膜形成処理のサイクルは、総計30秒間の対象となる基板をプラズマに暴露することが含まれていた:対象となる基板をシリコン前駆体に2秒間暴露すること、続いて、対象となる基板を、窒素(N)及び水素(H)を用いて窒素前駆体のために生成されたプラズマに、約50Wのパワーで、12秒間暴露すること、続いて、対象となる基板を、窒素プラズマ処理のために窒素(N)及びアルゴン(Ar)により生成されるプラズマに、約200Wのプラズマパワーで、6秒間暴露すること、続いて、対象となる基板を、窒素(N)及び水素(H)から生成されたプラズマに、約50Wのパワーで、12秒間暴露すること(例えば、対象となる基板に-NH表面官能基を提供するために)。
【0215】
実施例のサイクルのそれぞれは、所望の窒化シリコン膜を取得し、所望の特性を有する窒化シリコン膜を実現するために、複数回繰り返された。窒素プラズマ処理を行う前、及び対象となる基板を窒素前駆体に接触するステップに続くパージガス処理は、省略されたが、パージガス処理は、シリコン前駆体と窒素前駆体とのステップの間に行われた。
【0216】
両方の実施例のサイクルを用いて形成した窒化シリコン膜は、ブリスター及び/又は剥離欠陥のない又は実質的にない膜を提供したことがわかった。両方の実施例のサイクルあたりの窒化シリコン膜成長速度は、サイクルあたり約0.2オングストローム(Å/c)であり、膜成長のための表面反応が、窒素及び水素の総計12秒、50Wの処理を含むサイクルで飽和したことを示した。特定の理論又は動作のモードに限定されるものではないが、実施例a)で提供されるものを超える追加のプラズマ暴露は、追加の膜成長ではなく、窒化シリコン膜の高密度化に寄与する。
【0217】
図9は、実施例a)及びb)で示されるシーケンスの複数のサイクルを用いて形成された2つの窒化シリコン膜の、分単位(min)における、希釈HF溶液(dHF)の浸漬時間の関数としての、熱酸化シリコン(TOX)と比べた、nanometers per minute(nm/min)でのウェットエッチング速度(WER)及びウェットエッチング速度比(WERR)を示す。WER及びWERRデータは、窒素プラズマ処理を含む処理を用いて形成された窒化シリコン膜が、優れたWER(例えば、約0.1nm/min未満)及びWERR(例えば、約0.06未満)を有しうることを示す。このようなWER及びWERR値は、窒素プラズマ処理を含まない従来の処理を用いて形成された窒化シリコン膜により示されるものよりも、ほぼ一桁の大きさで低くなりうる。
【0218】
実施例2
図10は、ラジカル誘導膜成長から隔てたイオン衝突により誘起される膜成長を示すように構成されるダイレクトプラズマ反応チャンバでのテストセットアップを示す。プラズマから離れて面した研磨表面を有するシリコンサンプル(例えば、図10の下に示される)は、シリコンウェーハに搭載されうる(例えば、反応チャンバのシャワーヘッド)。ギャップは、シリコンサンプルとウェーハとの間に維持されうる。ギャップは、約0.7mmから約2.1mmの間で変化されうる。例えば、このようなセットアップにおいて、イオンは、研磨されたシリコンサンプル表面にわずか又は全く到達しないが、ラジカルは、研磨されたシリコンサンプル表面に拡散しうる。テストセットアップを用いて行われるSiI+N/H PEALD窒化シリコン堆積処理は、シリコンサンプル表面にフェースダウンで膜を成長しうる。この成長は、主に、N*、H*、NH*及び/又はNH*のようなラジカルにより生じると考えられる。形成されたシリコンサンプル表面上の膜成長は、ラジカル誘導膜成長を決定するために測定されうる。
【0219】
図11は、nm/minにおけるウェットエッチング速度(WER)、及びSiI+N/H PEALD処理を用いて成長された窒化シリコン膜に対して熱酸化シリコンのウェットエッチング速度を比較したウェットエッチング速度比(WERR)を示し、ここで、窒化シリコン膜は、図10の実験セットアップで示されるセットアップにおいてシリコンサンプルの研磨された表面上に成長される。シリコンウェーハとシリコンサンプルとの間のギャップは、約1.4mmであった。結果は、非常に均一な膜質を示したが、膜の初期厚さは、おそらく拡散時のラジカルフラックス(flux)低減のために異なっている。図11は、ラジカルエンハンスとALDによるSiサンプル上に成長された窒化シリコン膜が、均一なWERを示することができ、例えば、膜の品質上、均一であることを示すことを示している。図11における挿入図は、30秒間のdHFウェットエッチング前後の窒化シリコン膜厚を示す。サンプルにわたる膜厚は、窒化シリコンが、例えば、SiIの高い反応性により、SiI前駆体を用いるのみ又は実質的にSiI前駆体を用いるのみで成長されうることを示す。
【0220】
図10に示されるセットアップを用いて、SiIの代わりに、別のシリコン前駆体、ビス(トリクロロシリル)エタンが使用されるとき、研磨されたシリコンサンプル表面には膜成長が観察されなかった。膜成長は、ダイレクトイオン衝突に晒されたシリコンウェーハの上面にのみ観察された。よって、これは、SiIが、ビス(トリクロロシリル)エタンよりも反応性の高い前駆体であり、ラジカルエンハンストALDが可能であると結論付けられうる。
【0221】
実施例3
本明細書で説明されるように、窒化シリコン膜品質は、処理温度の増加、プラズマパワーの増加及び/又は長いプラズマパルス期間を適用することにより、改善されてもよい。しかし、活性化した水素含有種を含むプラズマのような、プラズマパワー及び/又はプラズマパルス期間の増加は、ブリスター及び/又は剥離欠陥を示す窒化シリコン膜を提供する可能性がある。
【0222】
図12は、ポスト水素プラズマ処理における活性化した水素種(例えば、Hイオン)の量を変化させて、窒化シリコン膜が暴露された異なる膜厚の窒化シリコン膜におけるブリスター欠陥の形成を示す。窒化シリコン膜は、異なるプラズマパワー及び異なる期間を有する水素プラズマに暴露され、各窒化シリコン膜でのブリスター欠陥形成の度合いが観察された。図12は、以下の処理に対応する、SEMによる、様々な厚さを有するSiN膜の平面図を示す:(1)20nm SiN+200W、30分間のHプラズマ、(2)20nm SiN+200W、15分間のHプラズマ、(3)20nm SiN+100W、30分間のHプラズマ、(4)10nm SiN+100W、35分間のHプラズマ。
【0223】
図12に示されるように、例えば、窒化シリコン膜剥離により生じる、ブリスター欠陥の増加は、プラズマパワー及び/又は活性化した水素種の量の増加で増加しうる。ブリスター欠陥の低減のような膜品質の改善は、高いエネルギーによる膜衝撃及び高用量の活性化した水素種により、促進されてもよい。
【0224】
実施例4
本明細書で説明されるように、窒素プラズマ処理が適用される頻度は、所望の窒化シリコン膜特性を実現するように変化されうる。窒素プラズマ処理頻度の窒化シリコン膜特性上の効果は、膜堆積後にのみ処理される窒化シリコン膜をエッチングすることにより、近似され、1つの窒素プラズマ処理は30分間であった。図13Aは、希釈HF(dHF)での分単位の浸漬時間の関数としての、nm単位の膜厚を示し、図13Bは、希釈HF(dHF)での分単位の浸漬時間の関数としての、熱酸化シリコン(TOX)と比較した膜のウェットエッチング速度比(WERR)を示す。図13Bは、この膜のエッチング速度が、約1nmがエッチングされたエッチング時間の初めの4分間では非常に低かったことを示す。10分間の浸漬時間の後、エッチング速度は、窒素プラズマ処理を受けなかった窒化シリコン膜と同じレベルで増加した。これは、窒化シリコン膜の少なくとも約1nmから約2nmは、窒素プラズマ処理を用いて高いエッチング耐性(例えば、“スキンエフェクト(skin effect)”)をなしうると結論付けられうる。一部の実施形態では、窒素トリートメント処理の“スキンエフェクト”は、約2nmから約3nmの深さを実現しうる。
【0225】
例えば、窒化シリコン耐性処理の成長速度は、約0.4Å/cycleであることができ、25から50サイクルの窒化シリコン膜堆積は、約1nmから約2nmの膜を堆積するために適用されうる。窒素プラズマ処理が適用されうる頻度は、窒化シリコン厚さのほとんど又は全てのdHFにおけるエッチング速度が、窒素プラズマ処理の適用後に減少されうるように、窒化シリコン膜堆積の約25回ごとから約50回ごとのサイクル(例えば、シリコン前駆体ステップに続く窒素前駆体ステップを含む各サイクル)後でありうる。
【0226】
一部の実施形態では、窒素プラズマ処理が窒化シリコン膜形成処理時に適用されうる頻度は、窒化シリコン膜堆積のほぼ少なくとも100回のサイクルごとの後、好ましくは少なくとも50回のサイクルごとの後、最も好ましくは少なくとも25回のサイクルごとの後でありうる。
【0227】
一部の実施形態では、形成される窒化シリコン膜の厚さは、約3nm未満、好ましくは約2nm未満、より好ましくは約1nmであり、例えば、窒化シリコン膜厚さのほとんど又は全てのエッチング速度は、窒素プラズマ処理により処理された後に改善されうる。一部の実施形態では、窒化シリコン膜厚さは、約0.5nm未満でありうる。
【0228】
図14A及び14Bは、窒化シリコン膜堆積の25回、50回又は100回後に1分間窒素プラズマ処理を用いて処理された膜の膜組成及びdHFウェットエッチング速度比(WERR)をそれぞれ示す。図14Aは、窒素プラズマ処理を適用した頻度が増加されるときにH含有量が非常に減少されうることを示す。Si及びN含有量は、ほぼ同一に維持される。WERRは、窒素プラズマ処理間のサイクル数が増加するときに、増加する。例えば、窒化シリコン膜堆積の100サイクルは、約4nmの膜堆積に対応することができ、処理は、25回及び50回後の約1nm及び2nmの膜堆積後に適用される窒素プラズマ処理と比較して、ウェットエッチング速度の低減には効果的ではない。
【0229】
一部の実施形態では、窒素プラズマ処理間のサイクルの回数は、窒化シリコン膜エッチング特性とスループットとのトレードオフに基づいて選択されうる。例えば、良好なエッチング特性は、各堆積サイクル後に適用される窒素プラズマ処理で実現されうるが、スループットを非常に低下させるであろう。よって、当業者は、最も効率的な方法で適切な膜を形成するために、処理比を調整しうる。一部の実施形態では、パージ処理は、ブリスター形成を抑制又は防ぐために、各エッチングサイクルにおいて窒素プラズマ処理を適用する前にHをパージするために適用されてもよいが、他の実施形態では、パージ処理及び/又は窒素プラズマ処理は、所望の膜品質を維持しつつ、スループットを増大させるために、低減された頻度で提供される。
【0230】
実施例5
図15は、窒化シリコン形成処理の1つのサイクルに含まれる、秒単位の、窒素プラズマ処理の期間に対する、3D構成の水平面(図15に“上面”と付される)及び垂直面(図15に“側面”と付される)に形成される窒化シリコン膜の熱酸化(TOX)と比較した、ウェットエッチング速度比(WERR)を示す。窒化シリコン膜は、窒素プラズマ処理と組み合わせたPEALD窒化シリコン膜堆積処理を用いて成長された。窒化シリコン形成処理の1つのサイクルは、以下のようなシーケンスである:0.3秒間のシリコン前駆体、並びに水素及び窒素が反応チャンバに供給されるシリコン前駆体ステップ、続いて0.5秒間の窒素及び水素が反応チャンバに供給されるパージ処理、続いて3.3秒間、約165Wのプラズマパワー(約0.11W/cmの出力密度)で、窒素及び水素が反応チャンバに供給されるプラズマ窒素前駆体ステップ、続いて10秒間の窒素が反応チャンバに供給されるパージ処理、続いて約220W(約0.15W/cm)のプラズマパワーで、窒素が反応チャンバに供給される窒素プラズマ処理、続いて10秒間の水素及び窒素が反応チャンバに供給されるパージ処理。図15に対応する窒化シリコン膜は、550℃の温度で、シーケンスの約190サイクルを用いて形成された。
【0231】
図15に示されるように、水平及び垂直面のWERRは、各サイクルにおいて窒素プラズマ処理の期間を変化させることにより、少なくとも部分的に調整されうる。図15は、均一な水平面及び垂直面のエッチング速度が、上記のシーケンスにおいて約0.9秒の期間を有する窒素プラズマ処理を用いて実現されうることを示す。
【0232】
マルチステッププラズマ暴露
一部の実施形態では、SiN薄膜の堆積のための処理は、マルチステッププラズマ暴露を含む。例えば、SiN薄膜の堆積のためのPEALD処理のサイクルは、基板をシリコン前駆体に接触することを含む第1の段階を含んでもよい。一部の実施形態では、シリコン前駆体は、本明細書で説明されるように、1以上のシリコン前駆体を含む。一部の実施形態では、シリコン前駆体は、オクタクロロトリシラン(octachlorotrisilane(OCTS))のような塩素含有前駆体を含む。
【0233】
SiN薄膜の堆積のためのPEALD処理は、基板を窒素前駆体と接触することを含む第2の段階を含む。一部の実施形態では、PEALD処理の第2の段階は、マルチステッププラズマ処理を含む。一部の実施形態では、シリコン前駆体は、塩素含有前駆体を含む。例えば、一部の実施形態では、シリコン前駆体は、ジクロロシラン(dichlorosilane(DCS))、ヘキサクロロジシラン(hexachlorodisilane(HCDS))及び/又はテトラクロロシラン(tetrachlorosilane(SiCl))を含んでもよい。
【0234】
図16を参照すると、堆積処理1600の一例は、反応チャンバ内の基板上のSiN薄膜を形成するために示される。堆積処理1600は、PEALD処理を含んでもよい。ブロック1602では、基板は、シリコン前駆体に暴露されうる。例えば、基板は、オクタクロロトリシラン(octachlorotrisilane(OCTS))に暴露されうる。一部の実施形態では、基板は、本明細書で説明される1以上の他のシリコン前駆体に暴露されうる。基板は、続いて、マルチステッププラズマ暴露に晒されてもよい。ブロック1604では、基板は、少なくとも1つの窒素含有プラズマ及び少なくとも1つの他の異なるプラズマに暴露されうる。マルチステッププラズマ暴露は、基板を1以上の窒素含有プラズマに暴露することを含んでもよい。例えば、マルチステッププラズマ暴露の1以上のステップは、基板を、窒素ガス(N)により生成されるプラズマに暴露することを含んでもよい。
【0235】
一部の実施形態では、PEALD処理のサイクルは、ブロック1602及び1604を含む。例えば、サイクルの第1の段階は、ブロック1602を含んでもよく、サイクルの第2の段階は、ブロック1604を含んでもよい。一部の実施形態では、ブロック1602及び1604を含むサイクルは、1606において、所望の厚さのSiN膜を実現するために複数回繰り返されてもよい。
【0236】
一部の実施形態では、マルチステッププラズマ暴露の1以上のプラズマステップは、窒素含有及び/又は水素含有ガスを用いてプラズマを生成することと、基板をプラズマと接触することと、を含む。例えば、マルチステッププラズマ暴露の1以上のプラズマステップは、基板を、窒素ガス(N)及び/又は水素ガス(H)を用いて生成されたプラズマに暴露することを含んでもよい。一部の実施形態では、プラズマステップの1以上は、基板を、窒素ガス(N)及び水素ガス(H)の両方を用いて生成されたプラズマに暴露することを含んでもよい。一部の実施形態では、プラズマステップの1以上は、水素ガス(H)のみ又は実質的に水素ガスのみにより生成されたプラズマを含む。
【0237】
マルチステッププラズマ暴露は、基板がプラズマ反応物質と接触される2以上のステップを含みうる。一部の実施形態では、マルチステッププラズマ暴露は、3つのプラズマステップを含みうる。例えば、マルチステッププラズマ暴露は、それぞれが、基板を、窒素ガス(N)及び水素ガス(H)の両方を用いて生成されたプラズマに暴露することを含む2つのプラズマステップと、基板を、水素ガス(H)を用いて生成されたプラズマに暴露することを含む1つのプラズマステップと、を含んでもよい。
【0238】
図17を参照すると、堆積処理1700の別の例は、反応チャンバ内の基板上にSiN薄膜を形成するために示される。堆積処理1700は、PEALD処理を含んでもよい。ブロック1702では、基板は、シリコン前駆体に暴露されうる。例えば、シリコン前駆体は、オクタクロロトリシラン(octachlorotrisilane(OCTS))を含んでもよい。一部の実施形態では、基板は、本明細書で説明される1以上の他のシリコン前駆体に暴露されてもよい。基板は、その後、複数のプラズマに暴露されてもよい。ブロック1704では、基板は、窒素ガス(N)及び水素ガス(H)の両方を用いて生成された第1のプラズマに暴露されうる。その後、ブロック1706では、基板は、水素ガス(H)を用いて生成された第2のプラズマに暴露されうる。例えば、第2のプラズマは、水素ガス(H)のみ又は実質的に水素ガスのみにより生成されてもよい。ブロック1708では、基板は、窒素ガス(N)及び水素ガス(H)の両方を用いて生成された第3のプラズマに暴露されうる。
【0239】
一部の実施形態では、PEALD処理のサイクルは、ブロック1702、1704、1706及び1708を含む。例えば、サイクルの第1の段階は、ブロック1702を含んでもよく、サイクルの第2の段階は、ブロック1704、1706及び1708を含んでもよい。一部の実施形態では、ロック1702、1704、1706及び1708を含むサイクルは、所望厚さのSiN膜を実現するために複数回繰り返される一部の実施形態では、マルチステッププラズマ暴露は、基板を非プラズマ反応物質に暴露する前に完了される。一部の実施形態では、マルチステッププラズマ暴露は、完了され、別の非プラズマ反応物質は、基板をシリコン反応物質と再び接触する前に、反応チャンバに提供されない。例えば、SiN膜を堆積するための処理は、ブロック1702において基板をシリコン前駆体に再び暴露する前に、ブロック1704、1706及び1708において基板をプラズマに暴露することを完了することを含んでもよい。
【0240】
一部の実施形態では、プラズマが生成されないインターバルは、プラズマ暴露に続きうる。一部の実施形態では、当該インターバルは、反応チャンバから余剰な反応物質及び/又は反応副生成物を除去するステップを含みうる。例えば、基板の近傍から余剰な反応物質及び/又は反応副生成物を除去するステップは、マルチステッププラズマ暴露の1以上に続いてもよい。一部の実施形態では、除去するステップは、反応チャンバから排出すること及び/又は反応チャンバを通じてパージガスを流すことを含んでもよい。一部の実施形態では、基板は、除去するステップ中に反応物質がない又は実質的にない空間に移動されてもよい。
【0241】
一部の実施形態では、各プラズマステップにパージステップが続きうる。例えば、ブロック1704における基板を第1のプラズマに暴露すること、ブロック1706における基板を第2のプラズマに暴露すること、及びブロック1708における基板を第3のプラズマに暴露することのそれぞれにパージステップが続いてもよい。一部の実施形態では、マルチステッププラズマ暴露のプラズマステップの一部のみにパージステップが続く。例えば、マルチステッププラズマ暴露の最後のプラズマステップにはパージステップが続かなくてもよい。
【0242】
一部の実施形態では、パージステップのパージガスは、不活性ガスを含みうる。例えば、パージガスは、希ガス含みうる。一部の実施形態では、パージガスは、アルゴン(Ar)を含みうる。
【0243】
一部の実施形態では、パージステップのパージガスは、プラズマステップに続く1以上のガスを含みうる。例えば、パージステップにおいて流されるパージガスは、直後のプラズマステップで使用されるガスに基づいて選択されうる。一部の実施形態では、パージステップにおいて流されるガスは、直後のプラズマステップにおけるプラズマを生成するために使用されるガスと同一でありうる。例えば、プラズマパワーは、パージステップ時にオフされ、パージステップの前のプラズマステップ及びパージステップの直後のプラズマステップにおいてプラズマを生成するために使用される1以上のガスの流れは、パージステップ時に継続され、必要に応じて、パージステップの直後のプラズマステップにおいてプラズマを生成するために使用されない1以上のガスは、パージステップ時にランプダウン(ramped down)及び/又はオフされうる。
【0244】
一部の実施形態では、マルチステッププラズマ暴露におけるプラズマステップのそれぞれの期間は、1以上の所望のSiN膜品質を実現するために選択されうる。一部の実施形態では、プラズマステップの期間は、直後のプラズマステップのものよりも長い。例えば、第1のプラズマステップは、約4秒から約8秒、例えば、6秒間の期間を有してもよい。例えば、第2のプラズマステップは、約2秒から約6秒、例えば、4秒間の期間を有してもよい。例えば、第3のプラズマステップは、約1秒から約3秒、例えば、2秒間の期間を有してもよい。一部の実施形態では、プラズマステップの期間は、直後のプラズマステップものよりも長くなくてもよい。例えば、マルチステッププラズマ暴露におけるプラズマステップのそれぞれの期間は、等しい又は略等しい期間を有してもよい。一部の実施形態では、プラズマステップの期間は、直後のプラズマステップものよりも短くてもよい。
【0245】
一部の実施形態では、マルチステッププラズマ暴露における1以上のプラズマステップ時の反応チャンバの圧力は、約2torrから約6torr又は約2torrから約4torrを含む約2torrから約8torrでありうる。
【0246】
一部の実施形態では、マルチステッププラズマ暴露の1以上のステップのためのプラズマパワーは、例えば、約100Wから約800W、約100Wから約600W、及び約100Wから約500W等の約50ワット(W)から約800Wでありうる。プラズマパワーは、使用されるシリコン前駆体、プラズマステップの反応チャンバ圧力及び/又はプラズマステップの期間に基づいて選択されうる。一部の実施形態では、マルチステッププラズマ暴露における任意の一つのステップのプラズマパワーは、マルチステッププラズマ暴露の1以上の他のステップと同一であってもよい。一部の実施形態では、マルチステッププラズマ暴露における任意の一つのステップのプラズマパワーは、マルチステッププラズマ暴露の1以上の他のステップと異なってもよい。
【0247】
SiN薄膜を堆積するためのPEALD処理におけるマルチステッププラズマ暴露のための例示的なシーケンスは、3つのプラズマステップと、プラズマがオフされる各プラズマステップ後のインターバルと、を含みうる。各インターバルは、パージステップを含んでもよい。例えば、マルチステッププラズマ暴露は、基板を、窒素ガス(N)及び水素ガス(H)の両方を用いて生成された第1のプラズマに暴露することを含んでもよい。第1のプラズマステップには、プラズマがオフされ、かつ第1のパージステップが行われるインターバルが続いてもよい。第1のパージステップは、水素ガス(H)及び/又は1以上の他のパージガスのフローを含んでもよい。基板は、その後、水素ガス(H)のみから生成された第2のプラズマに暴露される。第2のプラズマステップには、プラズマがオフされ、第2のパージステップが行われるインターバルが続いてもよい。第2のパージステップは、窒素ガス(N)及び水素ガス(H)の両方及び/又は1以上の他のパージガスのフローを含んでもよい。続いて、基板は、窒素ガス(N)及び水素ガス(H)の両方を用いることにより生成された第3のプラズマに暴露されうる。第3のプラズマステップには、プラズマがオフされ、第3のパージステップが行われるインターバルが続いてもよい。第3のパージステップは、窒素ガス(N)及び水素ガス(H)の両方及び/又は1以上の他のパージガスのフローを含んでもよい。一部の実施形態では、第3のパージステップは、省略されてもよい。
【0248】
パージステップ時のガスの流速及びパージステップの期間は、余剰な反応物質及び/又は反応副生成物の所望の除去を促進するために選択されてもよい。一部の実施形態では、パージガスの1以上のガスの流速は、直前の又は直後のプラズマステップ時のガスの流速と同一であってもよい。一部の実施形態では、パージステップは、約2秒から約8秒を含む約1秒から約10秒の期間を有してもよい。例えば、パージステップの期間は、約4秒又は約6秒の期間を有しうる。
【0249】
図18は、マルチステッププラズマ暴露の一例についての時間の関数としてのプラズマパワー及びガス流を示すグラフである。y軸は、基板における反応ガスの量を示し、x軸は、時間を示す。図18は、基板が水素含有及び窒素含有プラズマに暴露され、続いて、水素含有プラズマに暴露され、続いて、水素含有及び窒素含有プラズマに暴露される3つのステップのプラズマ暴露の一例を示す。図18に示される例は、水素ガス(H)及び/又は窒素ガス(N)を用いて生成されるプラズマを含み、ここで、プラズマパワーは、3つのプラズマステップのそれぞれでオンされ、窒素ガス(N)フローは、第1及び第3のプラズマステップ時にオンされるが、水素ガス(H)は、マルチステッププラズマ暴露を通じて継続される。
【0250】
本明細書で説明されるように、図18のグラフは、プラズマがオン又は3つのプラズマステップの3つの期間を示す。図18は、直前のプラズマステップのものよりも短い期間を有してもよい。例えば、0に等しい時間で開始する第1のプラズマステップは、続く第2のプラズマステップのよりも長い期間を有し、第2のプラズマステップは、第3のプラズマステップよりも長い期間を有しうる。一部の実施形態では、各プラズマステップは、他のプラズマステップと等しい期間を有しうる。一部の実施形態では、各プラズマステップは、直前のプラズマステップよりも短い期間を有する。
【0251】
図18は、窒素ガス(N)及び水素ガス(H)の両方のフローを含んでもよく、第2のプラズマステップは、水素ガス(H)のフローを含んでもよい。図18に示されるように、水素ガス(H)のフローは、マルチステッププラズマ暴露を通じて継続されてもよい。例えば、水素ガス(H)のフローは、マルチステッププラズマ暴露を通じて一定又はほぼ一定であるが、窒素ガス(N)のフローは、プラズマステップ間のインターバル時にランプアップされる又はランプダウンされてもよい。例えば、図18に示されるように、窒素ガス(N)は、第1及び第2のプラズマステップ間のインターバル時にリニアランプのようにランプダウンされてもよく、第2の及び第3のプラズマステップ間のインターバル時にリニアランプのようにランプアップされてもよい。例えば、プラズマステップ間のインターバルは、窒素ガス(N)の増加した量のフロー又は窒素ガス(N)の減少した量のフロー、及び一定又はほぼ一定の水素ガス(H)のフローを含んでもよい。
【0252】
図18に示されるように、第1のプラズマステップと第2のプラズマステップとの間のインターバルは、水素ガス(H)及び窒素ガス(N)の両方のフローで開始してもよく、窒素ガス(N)がランプダウンされ、その後オフにされると、水素ガス(H)のみ又は実質的に水素ガス(H)のみのフローで終了してもよい。第2のプラズマステップに続く第2のインターバル時の窒素ガス(N)フローは、ランプアップされてもよい。例えば、第2のプラズマステップと第3のプラズマステップとの間のインターバルは、窒素ガス(N)のフローのランプアップで開始してもよく、水素ガス(H)及び窒素ガス(N)の両方のフローで終了してもよい。例えば、第2のインターバル時の窒素ガス(N)フローは、第3のプラズマステップのために使用される速度までランプアップされてもよい。
【0253】
一部の実施形態では、3つのステップのプラズマ暴露の第1及び第3のプラズマステップは、窒素ガス(N)及び水素ガス(H)の両方のフローを含んでもよく、第2のプラズマステップは、窒素ガス(N)のフローを含んでもよい。例えば、窒素ガス(N)のフローは、マルチステッププラズマ暴露を通じて継続されてもよい。一部の実施形態では、窒素ガス(N)のフローは、暴露を通じて一定又はほぼ一定であるが、水素ガス(H)のフローは、プラズマステップ間のインターバル時にランプアップされる又はランプダウンされてもよい。例えば、水素ガス(H)は、第1及び第2のプラズマステップ間のインターバル時にリニアランプのようにランプダウンされてもよく、第2の及び第3のプラズマステップ間のインターバル時にリニアランプのようにランプアップされてもよい。プラズマステップ間のインターバルは、水素ガス(H)の増加した量のフロー又は水素ガス(H)の減少した量のフロー、及び一定又はほぼ一定の窒素ガス(N)のフローを含んでもよい。例えば、第1のプラズマステップと第2のプラズマステップとの間のインターバルは、水素ガス(H)及び窒素ガス(N)の両方のフローで開始してもよく、水素ガス(H)がランプダウンされ、その後オフにされると、窒素ガス(N)のみ又は実質的に窒素ガス(N)のみのフローで終了してもよい。第2のプラズマステップに続く第2のインターバル時の水素ガス(H)フローは、ランプアップされてもよい。例えば、第2のプラズマステップと第3のプラズマステップとの間のインターバルは、水素ガス(H)のフローのランプアップで開始してもよく、水素ガス(H)及び窒素ガス(N)の両方のフローで終了してもよい。例えば、第2のインターバル時の水素ガス(H)フローは、第3のプラズマステップのために使用される速度までランプアップされてもよい。
【0254】
一部の実施形態では、3つのステップのプラズマ暴露は、水素ガス(H)のフローを含む第1のプラズマステップと、窒素ガス(N)のフローを含む第2のプラズマステップと、水素ガス(H)及び窒素ガス(N)の両方のフローを含む第3のプラズマステップと、を含んでもよい。一部の実施形態では、窒素ガス(N)は、ランプアップされてもよく、水素ガス(H)は、窒素ガス(N)のみ又は実質的に窒素ガス(N)が第2のプラズマステップ時に流れるように、第1のプラズマステップと第2のプラズマステップとの間のインターバル時にランプダウンされることができる。窒素ガス(N)は、第2のプラズマステップと第3のプラズマステップとの間のインターバル時に継続されてもよいが、水素ガス(H)は、窒素ガス(N)及び水素ガス(H)の両方が第3のプラズマステップ時に供給されるように、インターバル時にランプアップされる。一部の実施形態では、窒素ガス(N)のフローは、第2のプラズマステップの開始から第3のプラズマステップの終了まで一定又はほぼ一定に位置されうる。一部の実施形態では、水素ガス(H)及び/又は窒素ガス(N)のフローのランピング(ramping)は、リニアランプでありうる。
【0255】
一部の実施形態では、3つのステップのプラズマ暴露は、水素ガス(H)及び窒素ガス(N)の両方のフローを含む第1のプラズマステップと、水素ガス(H) のフローを含む第1のプラズマステップと、窒素ガス(N)のフローを含む第3のプラズマステップと、を含んでもよい。一部の実施形態では、窒素ガス(N)フローは、第1のプラズマステップと第2のプラズマステップとの間のインターバル時にランプダウンされることができるが、水素ガス(H)フローは、水素ガスのみ又は実質的に水素ガスのみが第2のプラズマステップ時に流れるように、継続される。一部の実施形態では、水素ガス(H)のフローは、第1のプラズマステップの開始から第2のプラズマステップの終了まで一定又はほぼ一定に位置されうる。一部の実施形態では、水素ガス(H)は、第2のプラズマステップと第3のプラズマステップとの間のインターバル時にランプダウンされるが、窒素ガス(N)は、第3のプラズマステップが窒素ガス(N)のみ又は実質的に窒素ガス(N)のみが流れるように、ランプアップされる。一部の実施形態では、窒素ガス(N)及び/又は水素ガス(H)のフローのランピングは、リニアランプであってもよい。
【0256】
一部の実施形態では、マルチステッププラズマ暴露を含むSiN薄膜を堆積するためのPEALD処理には、上述したように、1以上の他のプラズマ処理が続きうる。
【0257】
マルチステッププラズマ暴露を用いて堆積されたSiN膜の膜特性の例
図19Aは、2つのSiN薄膜の特性を示す表である。図19Aの表は、各SIN膜それぞれの、angstroms per cycle(Å/cycle)の成長速度、屈折率、及びnanometers per minute(nm/min)のウェットエッチング速度(WER)のリストである。当該表は、SiN膜のそれぞれのウェットエッチング速度を熱酸化物(TOX)のものと比べたウェットエッチング速度比(WERR)のリストでもある。図19Aに示されるウェットエッチング速度及びウェットエッチング速度比は、0.5重量%のフッ化水素酸hydrofluoric acid(HF)溶液(希釈HF溶液又はdHF)に膜を暴露した後に測定された。
【0258】
図19Aの表の第1の列に示されるSiN膜は、約120℃の処理温度を有するPEALD処理を用いて形成された。PEALD処理のサイクルは、基板が、オクタクロロトリシラン(OCTS)を含むシリコン前駆体と接触された第1の段階を含んでいた。PEALD処理サイクルの第2の段階は、基板が、窒素ガス(N)及び水素ガス(H)の両方を用いて生成されたプラズマと接触された単一のプラズマステップを含んでいた。
【0259】
図19Aの表の第2の列に説明されるSiN膜は、約120℃の処理温度を有するPEALD処理を用いて形成された。PEALD処理のサイクルは、基板が、オクタクロロトリシラン(OCTS)を含むシリコン前駆体と接触された第1の段階を含んでいた。PEALD処理サイクルの第2の段階は、基板が、第3のプラズマステップに暴露されるマスチステッププラズマ暴露を含んでいた。表の第2の列に示されるSiN膜を形成するために使用されるマスチステッププラズマ暴露のシーケンスは、図19Bの表に提供される。図19Bに示されるように、PEALD処理サイクルの第2の段階は、プラズマが窒素ガス(N)及び水素ガス(H)の両方を用いて生成される、6秒間の第1のプラズマステップを含んでいた。第1のプラズマステップには、約4秒間の第1のパージステップが続いた。プラズマは、第1のパージステップ時にオフされ、第1のパージステップは、水素ガス(H)のフローを含んでいた。その後、基板は、第2のプラズマに約4秒間暴露され、ここで、第2のプラズマは、水素ガス(H)を用いて生成された。その後、約4秒間の第2のパージステップが行われ、ここで、第2のパージステップは、窒素ガス(N)及び水素ガス(H)のフローを含んでいた。第2のパージステップには、第3のプラズマステップが続いた。第3のプラズマステップは、約2秒間であり、基板は、窒素ガス(N)及び水素ガス(H)を用いて生成されたプラズマに暴露された。PEALD処理の完全なサイクルは、約37ナノメートルの厚さを有するSiN膜を実現するために約500回繰り返された。
【0260】
図19Aの表に示されるように、2つのPEALDサイクルのサイクル当たりのSiN膜成長速度及び2つのSiN膜の屈折率は、同様であった。第1の列に示されるSiN膜を形成するためのPEALD処理は、約0.73Å/cycleの膜成長速度を示し、堆積されたSiN膜は、約1.78の屈折率を示した。第2の列に示されるSiN膜を形成するためのPEALD処理は、約0.74Å/cycleの膜成長速度を示し、堆積されたSiN膜は、約1.80の屈折率を示した。その一方で、図19Aの表の第2の列に示され、かつマルチステッププラズマ暴露を用いて堆積されたSiN膜は、dHF(0.5%)において、第1の列に示されるSiN膜のものと比べて、非常に低いウェットエッチング速度を示した。図19Aの表に示されるように、マルチステッププラズマ暴露を用いて形成された、第2の列のSiN膜のウェットエッチング速度は、第1の列に示されるSiN膜のものの約半分であった。図19Aの表は、マルチステッププラズマ暴露を用いて形成されたSiNのウェットエッチング速度比が、マルチステッププラズマ暴露を用いずに形成されたSiN膜のものの約半分であった。
【0261】
特定の理論又は動作のモードに限定されるものではないが、マルチステッププラズマ暴露を含むSiN薄膜を形成するためのPEALD処理は、0.5重量%のHF溶液の所望のウェットエッチング速度を含む、所望のウェットエッチング速度を有するSiN膜の形成を促進することができる。例えば、マルチステッププラズマ暴露を含むPEALD処理は、所望の膜堆積速度及び/又は膜の屈折率のような他の所望の膜特性を有する膜を提供しつつ、所望のウェットエッチング速度を有するSiN膜の形成を促進することができる。
【0262】
多数又は様々な変更が本発明の趣旨から逸脱することなくなされうることが当業者によって理解されるであろう。説明された構成、構造、特性及び前駆体は、任意の適切な態様で組み合わせられうる。したがって、本発明の形態は、例示的なもののみであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが明確に理解されるべきである。全ての変更及び変形は、添付の特許請求の範囲により規定されるような、本発明の範囲内に含むことが意図される。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2022-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応空間において基板の表面にSiN薄膜を形成する方法であって、
記基板を、SiI を含むシリコン前駆体と接触するステップと、
記基板を、第1のプラズマパワーを用いて生成される、活性化した水素種を含む第1のプラズマと接触するステップと、
記基板を、前記第1のプラズマパワーよりも小さい第2のプラズマパワーを用いてN を含むガスから形成される、水素種が実質的にない第2のプラズマと接触するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記第1のプラズマは、水素、水素原子、水素プラズマ、水素ラジカル、N*ラジカル、NH*ラジカル及びNH*ラジカルの少なくとも1つを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のプラズマは、N 含有ガス及び希ガスから形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のパワーは、前記第1のパワーの50%から100%である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のパワーは、50Wから600Wである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のパワーは、100Wから1000Wである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のプラズマは、2500W*s未満のプラズマエネルギーを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のプラズマは、約0.07W/cm から約70W/cm のパワー密度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記基板は、第1の期間で前記第1のプラズマと接触し、前記第1の期間よりも短い第2の期間で前記第2のプラズマと接触する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の期間は、前記第1の期間の5%から75%である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記基板を、SiI を含む前記シリコン前駆体と接触するステップと、前記基板を前記第1のプラズマに接触するステップと、を前記第2のプラズマと接触する前に、2回以上繰り返すステップを更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記基板を前記シリコン前駆体と接触するステップと、前記基板を前記第1のプラズマと接触するステップと、を前記第2のプラズマと接触する前に、少なくとも25回繰り返す、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記基板を前記第1のプラズマに接触させる総期間は、前記基板を前記第2のプラズマに接触させる総期間以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のプラズマ及び前記第2のプラズマの少なくとも一方とは異なる第3のプラズマに前記基板を暴露するステップを更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記SiN薄膜を形成するために追加の反応物質が使用されない請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記反応空間から余剰な反応物質を除去するステップを更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記SiN薄膜は、側壁及び上部領域を含む三次元構造で形成され、前記上部領域の前記SiN薄膜のウェットエッチング速度(WER)に対する前記側壁の前記SiN薄膜のウェットエッチング速度(WER)の比は、0.5%dHFにおいて0.75から1.5である請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記SiN薄膜は、0.5%dHFにおいて5nm/min未満のブランケットウェットエッチング速度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記SiN薄膜のエッチング量は、0.5%dHF浸漬処理において熱SiO 膜のエッチング量の1倍から2倍未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
熱シリコン酸化膜のエッチング速度に対する前記SiN薄膜のエッチング速度のエッチング速度比は、0.5%HF水溶液において0.5未満である請求項1に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
一部の実施形態では、第1のプラズマ及び第3のプラズマは、水素ガス及び窒素ガスを用いて生成される。一部の実施形態では、第2のプラズマは、水素ガスを用いて生成される。
【外国語明細書】