(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089929
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】アブレーションアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
A61B 18/18 20060101AFI20220609BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
A61B18/18 100
A61B18/14
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068749
(22)【出願日】2022-04-19
(62)【分割の表示】P 2020027070の分割
【原出願日】2012-12-21
(31)【優先権主張番号】61/578,738
(32)【優先日】2011-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512023166
【氏名又は名称】ニューウェーブ メディカル,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NEUWAVE MEDICAL,INC.
【住所又は居所原語表記】3529 Anderson Street,Madison,Wisconsin 53704,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】ティール,マット
(72)【発明者】
【氏名】トム,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ブレース,クリストファー リー
(72)【発明者】
【氏名】シェフェルカー,リチャード ダブリュー.
(57)【要約】
【課題】エネルギーを印加することによって組織領域(例えば、腫瘍)を治療する。
【解決手段】本発明は、各種医療行為(例えば、組織アブレーション、切除、焼灼、血管血栓症、不整脈やリズム障害の治療、電気手術、組織回収など)を含めたさまざまな応用分野に用いるための、エネルギーを組織に供給するための包括的なシステム、装置、および、方法に関する。一部の実施形態では、エネルギーを印加することによって組織領域(例えば、腫瘍)を治療するためのシステム、装置、および、方法が提供される。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)内側導電部を有するアンテナと、
b)上記アンテナの遠位端に設けられた導電性チップと、を備えたアブレーションアンテナ装置であって、
上記内側導電部は、上記導電性チップに物理的に結合されていない、
ことを特徴とするアブレーションアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願件に関する記述〕
本発明は、係属中の米国特許仮出願第61/578,738号(出願日2011年12月21日)に基づいて優先権を主張したものであり、該特許仮出願の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、各種医療行為(例えば、組織アブレーション、切除、焼灼、血管血栓症、不整脈やリズム障害の治療、電気手術、組織回収など)を含むさまざまな応用分野に用いるための、エネルギーを組織に供給するための包括的なシステム、装置、および、方法に関する。一部の実施形態では、エネルギーを印加することによって組織領域(例えば、腫瘍)を治療するためのシステム、装置、および、方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
アブレーションは、ある種類の組織(例えば、良性腫瘍および悪性腫瘍、不整脈、リズム障害、ならびに、頻拍など)を治療するための重要な治療法である。もっとも広く認知されているアブレーションシステムは、アブレーションのエネルギー源として高周波(“RF”: radio frequency)エネルギーを利用する。その結果、現在では、さまざまなRFカテーテルや電源装置が医師に利用可能となっている。ただし、表面組織においてエネルギーが急速に放散してしまう結果、浅部で“熱傷”が発生したり、深部の腫瘍や不整脈性の組織まで届かなかったりするといったことを含め、RFエネルギーにはいくつかの制限がある。RFアブレーションシステムのもう1つの制限は、エネルギー放射電極上に焼痂および血餅が形成されやすく、これが、電気エネルギーの印加をさらに制限することである。
【0004】
マイクロ波エネルギーは生体組織を加熱するための効果的なエネルギー源であり、例えば、癌治療や輸血前の血液の予備加熱などの応用分野で使用される。したがって、従来のアブレーション技術の短所を踏まえて、最近は、アブレーションのエネルギー源としてマイクロ波エネルギーを用いることに非常に多くの関心が寄せられている。RFに勝るマイクロ波エネルギーの効果は、組織内により深く貫入すること、焦げ付き(charring)を起こさないこと、グラウンディングが不要であること、エネルギー印加の信頼度が高いこと、組織加熱が速いこと、および、RFに比べてずっと大きな熱損傷域を形成する能力があることであり、これらの効果によって、実際のアブレーション処置が大幅に簡素化される。したがって、アブレーションのエネルギー源としてマイクロ波周波数域の電磁気エネルギーを使用する、開発中の装置が複数存在する(例えば、米国特許第4,641,649号、第5,246,438号、第5,405,346号、第5,314,466号、第5,800,494号、第5,957,969号、第6,471,696号、第6,878,147号、および、第6,962,586号を参照。なお、これらの特許の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0005】
残念ながら、マイクロ波エネルギーを供給するように構成された現在の装置には、短所がある。例えば、現在の装置は、出力および処理時間に実用上の制限があるので、比較的小さな損傷域を形成する。現在の装置は、フィード線の電力伝達容量が小さいという理由で、その出力が制限されている。しかしながら、フィード線の直径を広げることは、経皮的に挿入することが難しくなり、処置合併症発生率が増加する可能性があるので、望ましくない。マイクロ波装置にも単一のアンテナしか使用できないという制限があり、それゆえ、大半の用途では、複数の領域を同時に治療する能力や、複数のアンテナをごく近傍に設置して大きな組織加熱ゾーンを形成する能力が制限されてしまう。さらに、出力を上げるとフィード線が加熱し、装置の挿入領域の周囲で熱傷を引き起こす可能性がある。
【0006】
エネルギーを組織領域に供給するための、より良いシステムおよび装置が必要とされている。また、対応するマイクロ波エネルギーの損失を発生させずに、マイクロ波エネルギーを供給することができるより良いシステムおよび装置が必要とされている。さらに、望ましくない組織の熱傷を発生させずに、マイクロ波エネルギーを経皮的に被験体の組織に供給することができるシステムおよび装置が必要とされている。また、物理的に大きなサイズの侵襲性コンポーネントを必要とせず、所望の量のマイクロ波エネルギーを供給するためのシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、各種医療行為(例えば、組織アブレーション、切除、焼灼、血管血栓症、不整脈やリズム障害の治療、電気手術、組織回収など)を含むさまざまな応用分野に用いるための、エネルギーを組織に供給するための包括的な、単一アンテナおよび複数アンテナを備えたシステム、装置、および、方法に関する。一部の実施形態では、エネルギーを印加することによって組織領域(例えば、腫瘍)を治療するためのシステム、装置、および、方法を提供する。
【0008】
本発明は、組織領域(例えば、腫瘍、管腔、器官など)にエネルギーを供給するためのコンポーネントを採用するシステム、装置、および、方法を提供する。一部の実施形態では、上記システムは、エネルギー供給装置と、プロセッサ、電源装置、出力案内・制御・供給手段(例えば、出力分割器)、映像システム、チューニングシステム、および、温度調節システムのうちの1つ以上の部材とを備えている。本発明は、特定のタイプのエネルギー供給装置に限定されるものではない。本発明では、任意、公知、または、将来開発されるエネルギー供給装置を本発明のシステムにおいて使用してもかまわない。一部の実施形態では、既存の市販のエネルギー供給装置を使用する。別の一部の実施形態では、最適化された特徴(例えば、サイズが小さい、エネルギー供給が最適化されている、インピーダンスが最適化されている、熱放散が最適化されているなど)を有する改善されたエネルギー供給装置を使用する。このような一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置が、エネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー)を組織領域に供給するように構成される。一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、最適化された特性インピーダンスでマイクロ波エネルギーを供給できるように構成される(例えば、50Ωより高い(例えば、50Ω~90Ωであって、例えば、50Ω、...、55Ω、56Ω、57Ω、58Ω、59Ω、60Ω、61Ω、62Ω、...、90Ωより高く、好ましくは77Ω)特性インピーダンスで動作するように構成される)(例えば、米国特許出願第11/728,428号を参照。なお、この特許出願の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0009】
装置にとって望ましくないオーバーヒートの重大な原因の一つは、絶縁体(例えば、同軸ケーブルの絶縁体)の誘電加熱であり、これは、二次的な組織破壊を引き起こす可能性がある。本発明のエネルギー供給装置は、装置の望ましくないオーバーヒートを防止するように設計される。上記エネルギー供給装置は、装置の望ましくない加熱を特定の様式で防止することに限定されるものではない。一部の実施形態では、上記装置では、クーラント(冷却剤)の循環を採用する。一部の実施形態では、上記装置は、装置内部の(例えば、外側導電部にそった部分の)望ましくない温度上昇を検出し、このような望ましくない温度上昇を、クーラント通過流路にクーラントを流すことによって、自動または手動で抑制するように構成される。
【0010】
一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、改善された冷却特性を有する。例えば、一部の実施形態において、上記装置では、当該装置の直径(切断面)を広げなくてもクーラントが使用できる。これは、クーラントを外部のスリーブ部に流したり、または、装置の直径を別の方法で広げることで、クーラントを流すことを可能にする既存の装置とは対照的である。一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、不要な熱放散を抑制するために、1つ以上のクーラント通過流路を内部に有する(例えば、米国特許出願第11/728,460号を参照。なお、この特許出願の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、クーラント材料を循環させることによって装置のオーバーヒートを防止するように設計された、装置の全長にわたって、または、該全長の一部にわたって延びる管(例えば、針やプラスチック製の管など)を内部に有する。一部の実施形態では、同軸ケーブルの内側導電部と外側導電部との間に配置された誘電性コンポーネントの材料が、流路または管に置き換えられる。一部の実施形態では、誘電性材料の全部または一部が、流路または管に取り換えられる。一部の実施形態では、外側導電部の一部が、流路または管に置き換えられる。例えば、一部の実施形態では、外側導電部の一部を除去または削除して、クーラントを流すための流路を形成する。このような1つの実施形態を
図12に示す。本実施形態では、同軸ケーブル900が、外側導電部910、内側導電部920、および、誘電性材料930を備えている。本実施形態では、外側導電部の一部の領域940が除去されて、クーラントが流れるスペースを形成する。残りの外側導電部材料だけが、遠位端領域950および近位端領域960において同軸ケーブルを囲む、または、ほぼ囲む。薄く細い一片の導電性材料970が、遠位端領域950と近位端領域960とを接続する。本実施形態では、薄い流路980が近位端領域960の導電性材料を切除して形成され、こうすることによって、クーラントが、外側導電性材料が除去された(または、製造時に外側導電性材料が設けられていない)領域940に流れ込むことが可能になる。本発明は、クーラントが供給可能である限り、上記流路のサイズや形状は限定されるものではない。例えば、一部の実施形態では、上記流路は、同軸ケーブルの長さ方向に延びる線状の流路である。一部の実施形態では、螺旋状の流路を採用する。一部の実施形態では、上記管または流路は、上記内側導電部の少なくとも一部と置き換えられる、または、該一部の代わりに設けられる。例えば、上記内側導電部の大部分の代わりにクーラント流路を設け、チューニングができるように装置の近位端および遠位端付近に小さな金属部分だけを残して、この金属部分を薄く細長い一片の導電性材料によって相互に接続してもかまわない。一部の実施形態では、内部スペースの一部の領域が内側導電部または外側導電部の内部に形成され、クーラントのための1つ以上の流路を形成する。例えば、内側導電部は、中央部にクーラント流路が設けられた、導電性材料の中空管として設けられてもかまわない。このような実施形態では、上記内側導電部は、クーラントの流入または流出のいずれか一方(あるいは流入および流出の両方)に使用可能である。
【0011】
一部の実施形態では、クーラント管を装置内部に設置した場合、上記管は、装置を介してクーラントを取り込むため、および、排出するために複数の流路を有する。上記装置は、誘電性材料内における管(例えば、クーラント用針)の特定の配置に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記管は、誘電性材料の外側のエッジ、誘電性材料の中央、または、誘電性材料内の任意の位置に配置される。一部の実施形態では、上記誘電性材料は、管を受けて固定するように設計された流路を有するように事前に形成される。一部の実施形態では、取手部が装置に取り付けられ、この取手部は、例えば、管への、および管からのクーラントの出入りを制御するように構成される。一部の実施形態では、上記管は可撓性を有する。一部の実施形態では、上記管は可撓性を有しない。一部の実施形態では、上記管は部分的に可撓性を有し、可撓性を有しない部分もある。一部の実施形態では、上記管は圧縮可能である。一部の実施形態では、上記管は圧縮不可能である。一部の実施形態では、上記管は部分的に圧縮可能であり、圧縮不可能な部分もある。上記管は、特定の形状やサイズに限定されるものではない。一部の実施形態では、上記管は、12ゲージの針以下の直径を有する同軸ケーブルに収まるクーラント用針(例えば、29ゲージまたは等価なサイズの針)である。一部の実施形態では、上記管の外面は、上記管を固定するため、または、装置内部においてスライドさせるために、粘着性材料および/またはグリースで被覆されている。一部の実施形態では、上記管は、その長さ方向にそって、クーラントを装置の所望の領域へ放出することを可能にする1つ以上の空孔を有する。一部の実施形態では、上記空孔は、初期状態では融解可能な材料を用いて塞がれていて、その結果、この材料を融解させて、影響を受ける特定の1つまたは複数の空孔を介してクーラントを放出するためには、特定の閾値の熱が必要とされる。したがって、クーラントは、閾値である熱レベルに達した領域においてのみ放出される。
【0012】
一部の実施形態では、クーラントは、本発明の装置のアンテナ、取手部などのコンポーネントに事前に充填される。別の一部の実施形態では、上記クーラントは、使用中に添加される。事前にクーラントを充填する一部の実施形態では、液体クーラントが、例えば、自己永続的な真空状態を形成するという条件下でアンテナの遠位端に事前に充填される。このような一部の実施形態では、上記液体クーラントが気化すると、さらに多くの流体が真空によって引き込まれる。
【0013】
本発明は、採用するクーラント材料の特徴によって限定されるものではない。クーラントの例としては各種液体や気体などがあげられるが、これらの例に限定されるものではない。クーラント流体の例としては、水、グリコール、空気、不活性気体、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、六フッ化硫黄、イオン性溶液(例えば、カリウムなどのイオンを含む、または、含まない塩化ナトリウム)、水に溶解したブドウ糖、リンゲル乳酸液、有機化合物溶液(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、または、プロピレングリコール)、油(例えば、ミネラルオイル、シリコーンオイル、フルオロカーボンオイル)、液体金属、フレオン、ハロメタン、液化プロパン、その他のハロアルカン、無水アンモニア、二酸化硫黄のうちの1つ以上の流体や、これらの組み合わせなどがあげられるが、これらの例に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記クーラントは、臨界点、または、その近傍まで圧縮された気体である。一部の実施形態では、クーラントの濃度、圧力、または、体積を変更することによって、冷却が少なくとも部分的に発生する。例えば、冷却は、ジュール・トムスン効果を利用して気体クーラントによって実現可能である。一部の実施形態では、上記冷却が化学反応によって発生する。上記装置は、特定のタイプの温度降下性の化学反応に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記温度降下性の化学反応は、吸熱反応(endothermical reaction)である。上記装置は、望ましくない加熱の防止を目的として、特定の様式で吸熱反応を適用することに限定されるものではない。一部の実施形態では、第1の化学材料および第2の化学材料が、互いに反応して装置の温度を降下させるように、上記装置内へ流し込まれる。一部の実施形態では、上記装置は、第1の化学材料および第2の化学材料を装置内へ事前に充填して準備される。一部の実施形態では、上記化学材料は、所望の際には取り外される仕切りによって分離されている。一部の実施形態では、該仕切りは、所定の温度または温度範囲に曝されると融解するように構成される。このような実施形態では、上記装置は、冷却するに値する熱レベルに達したときにのみ吸熱反応を開始する。一部の実施形態では、望ましくない加熱が発生している装置の一部においてのみ、局所的な冷却が発生するように、複数の異なる仕切りが装置の各所に配置される。一部の実施形態では、使用される仕切りは、上記2つの化学材料のうちの一方を包含するビーズである。一部の実施形態では、上記仕切りは、融解して上記2つの化学材料を組み合わせる壁(例えば、ワッシャ形状のディスク)である。一部の実施形態では、上記仕切りは、所定の温度で融解するように構成されたワックスを含んでいる。上記装置は、特定のタイプ、種類、または、量の、融解可能な材料に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記融解可能な材料は生体適合性を有する。上記装置は、第1の化学材料と第2の化学材料との混合物が温度降下性の化学反応を引き起こす限り、特定のタイプ、種類、または、量の、該第1の化学材料および第2の化学材料に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記第1の材料は水酸化バリウム八水和物の結晶を含み、上記第2の材料は乾燥塩化アンモニウムである。一部の実施形態では、上記第1の材料は水であり、上記第2の材料は塩化アンモニウムである。一部の実施形態では、上記第1の材料は塩化チオニル(SOCl2)であり、上記第2の材料は硫酸コバルト(II)七水和物である。一部の実施形態では、上記第1の材料は水であり、上記第2の材料は硝酸アンモニウムである。一部の実施形態では、上記第1の材料は水であり、上記第2の材料は塩化カリウムである。一部の実施形態では、上記第1の材料はエタン酸であり、上記第2の材料は炭酸ナトリウムである。一部の実施形態では、装置の外表面の熱を低減するような様式で融解し流れることによってそれ自体が熱を低減する、融解可能な材料が使用される。
【0014】
一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、温度の上昇にともなって装置から放射されるエネルギーの量を調節することによって(例えば、装置から共振発生するエネルギー波長を調節することによって)、望ましくない加熱を防止し、および/または所望のエネルギー供給特性を維持する。上記装置は、装置から放射されるエネルギーの量を調節する特定の方法に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記装置は、装置がある閾値温度に達すると、または、装置が範囲を超えて発熱すると、装置から共振発生するエネルギー波長を調節するように構成される。上記装置は、装置から共振発生するエネルギー波長を調節する特定の方法に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記装置は、温度の上昇にともなって体積が変化する材料を内部に有する。この体積変化を利用して、エネルギー供給に影響を与える装置のコンポーネントを移動または調節する。例えば、一部の実施形態では、温度の上昇にともなって膨張する材料が使用される。この膨張を利用して、装置の遠位の先端を外部へ向けて移動させ(装置の近位端からの距離を増加させ)て、装置のエネルギー供給特性を変更する。これは、本発明の、CFダイポール(center-fed dipole)を用いた特定の用途であることが分かる。
【0015】
一部の実施形態では、本発明は、エネルギーを組織に供給するように構成されたアンテナを備えた装置であって、該アンテナの遠位端が、導電体を包含する剛性が高い中空管を備えたCFダイポールのコンポーネントを備え、探り針(例えば、チタン製探り針)が中空管内に固定された、装置を提供する。一部の実施形態では、上記中空管の直径が20ゲージの針以下である。一部の実施形態では、中空管の直径が17ゲージの針以下である。一部の実施形態では、上記中空管の直径が12ゲージの針以下である。一部の実施形態では、上記装置は、組織に供給されるエネルギーの量を調節するためのチューニング部材をさらに備えている。一部の実施形態では、上記装置は、組織のアブレーションを実施する、または、血栓症を引き起こすために、十分な量のエネルギーを供給するように構成される。一部の実施形態では、上記導電は中空管の中央部まで延びる。一部の実施形態では、上記中空管はλ/2の長さを有する(ただし、λは組織培地中の電磁場の波長である)。一部の実施形態では、上記装置の温度上昇にともなって、膨張可能な材料が膨張して探り針を押し付け、探り針を移動させて装置のエネルギー供給特性を変更するように、膨張可能な材料が上記探り針付近に配置される。一部の実施形態では、上記膨張可能な材料は、上記CFダイポール装置に対して共振性部材を提供する金属製ディスクの後に(近位に)配置される。該材料の膨張にともなって、該ディスクは遠位に押されて、装置のチューニングを調節する。上記膨張可能な材料は、好ましくは、膨張率が最適な結果を得るために所望のエネルギー供給の変更に合わせて選択される。ただし、所望の方向性における任意の変更が、本発明において使用可能であることは理解されるべきである。一部の実施形態では、上記膨張可能な材料はワックスである。
【0016】
一部の実施形態では、上記装置は装置に取り付けられた取手部を有し、この取手部は、例えば、クーラント流路へのクーラントの出入りを制御するように構成される。一部の実施形態では、上記取手部だけが冷却される。一部の実施形態では、上記取手部は、臨界点、または、その近傍まで圧縮されたガス状クーラントを供給するように構成される。別の一部の実施形態では、上記取手部および取り付けられたアンテナが冷却される。一部の実施形態では、上記取手部は、ある長さの時間の経過後、および/または、装置がある閾値温度に達すると、クーラント流路にクーラントを自動的に出入りさせる。一部の実施形態では、上記取手部は、ある長さの時間の経過後、および/または、装置の温度がある閾値温度未満にまで降下すると、クーラント流路へのクーラントの出入りを自動的に停止させる。一部の実施形態では、上記取手部を通るクーラントの流れを手動で制御する。一部の実施形態では、上記取手部は、1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個など)の点灯部(例えば、表示灯(例えば、LEDランプ))を表面部に有する。一部の実施形態では、該点灯部は、特定することを目的として構成される。例えば、一部の実施形態では、上記点灯部を使用して、異なるプローブ同士を区別する(例えば、第1のプローブを駆動すると1つの点灯部が点灯し、第2のプローブを駆動すると2つの点灯部が点灯し、第3のプローブを駆動すると3つの点灯部が点灯する、あるいは、各プローブが個々に指定された点灯部を有するなど)。一部の実施形態では、上記点灯部を使用して、イベント(例えば、装置を介したクーラントの搬送、装置を介したエネルギーの伝達、個々のプローブの移動、装置内部の設定(例えば、温度や配置)の変更など)の発生を特定する。上記取手部は、特定の様式の表示(例えば、点滅、色の切り替え、無色など)に限定されるものではない。
【0017】
一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、CFダイポールのコンポーネントを内部に有する(例えば、米国特許出願第11/728,457号を参照。なお、この特許出願の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、エネルギーを伝達および放射するための、複数のセグメントを有するカテーテルを備えている(例えば、米国特許出願第11/237,430号、第11/237,136号、および、第11/236,985号を参照。なお、これらの特許出願の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、反射性熱損失を抑制するために、上記エネルギー供給装置は、チューニング能力を最適化した三軸マイクロ波プローブを備えている(例えば、米国特許第7,101,369号を参照。さらに、米国特許出願第10/834,802号、第11/236,985号、第11/237,136号、第11,237,430号、第11/440,331号、第11/452,637号、第11/502,783号、第11/514,628号、および、国際特許出願第PCT/US05/14534号も参照。なお、これらの特許および特許出願の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、空気などの気体を誘電性コアとして有する同軸性伝達線(例えば、同軸ケーブル)を介してエネルギーを放射する(例えば、米国特許出願第11/236,985号を参照。なお、この特許出願の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。このような一部の実施形態では、内側導電部と外側導電部との間の装置構造を支持する材料を、使用に先立って除去してもかまわない。例えば、一部の実施形態では、上記材料は、使用に先立って、または、使用中に除去される溶解可能または融解可能な材料を含んでいる。一部の実施形態では、上記材料は融解可能であり、使用中に(熱に曝された際に)除去され、これにより、装置のエネルギー供給特性が経時的に(例えば、組織における温度変化などに応じて)最適化される。
【0018】
本発明は、特定の同軸性伝達線の形状に限定されるものではない。実際に、一部の実施形態では、上記同軸性伝達線および/または誘電部材の形状は、具体的な必要性に合わせて調節可能である。一部の実施形態では、上記同軸性伝達線および/または誘電部材の断面形状が円形である。一部の実施形態では、上記断面形状が非円形(例えば、卵形)である。このような形状を、同軸ケーブル全体に適用しても、1つ以上のサブコンポーネントだけに適用してもかまわない。例えば、卵形の誘電性材料を、円形の外側導電部の中に設置してもかまわない。これにより、例えば、クーラントを循環させるために使用可能な、例えば、2つの流路が形成できるという効果がある。別の例として、平方/矩形の誘電性材料を、円形の導電体の中に設置してもかまわない。これにより、例えば、4つの流路が形成できるという効果がある。さまざまな多角形の断面形状(例えば、五角形、六角形など)を採用して、さまざまな個数および形状の流路を形成してもかまわない。上記断面形状は、ケーブルの全長を通じて同一である必要はない。一部の実施形態では、上記ケーブルの第1の領域(例えば、近位部)には第1の形状が使用され、上記ケーブルの第2の領域(例えば、遠位部)には第2の形状が使用される。さらに、不規則な形状を採用してもかまわない。例えば、全長にわたって延びる凹形状の溝を有する誘電性材料を円形の外側導電部において採用して、所望のサイズおよび形状の単一流路を形成してもかまわない。一部の実施形態では、上記流路が、装置の最も外側の外径を広げなくても、クーラント、針、または、その他の所望のコンポーネントを装置内へ供給するためのスペースを提供する。
【0019】
同様に、一部の実施形態では、本発明のアンテナが、その全長にわたって、または、全長の1つ以上の部分において、非円形の断面形状を有する。一部の実施形態では、上記アンテナは非円柱状であるが、円柱状の同軸ケーブルを収納する。別の一部の実施形態では、上記アンテナは非円柱状であって、非円柱状の(例えば、アンテナの形状に整合している、または、互いに異なる非円柱形状を有する)同軸ケーブルを収納する。一部の実施形態では、非円柱形状を有する任意の1つ以上のコンポーネント(例えば、カニューレ、アンテナの外殻、同軸ケーブルの外側導電部、同軸ケーブルの誘電性材料、同軸ケーブルの内側導電部)を有することによって、例えば、クーラントを循環させるために使用可能な、1つ以上の流路が装置内に形成できるようになる。非円形の形状、特にアンテナの外径における非円形の形状には、一部の医学、または、その他の応用分野においても用途がある。例えば、可撓性が最大化できるように、または、特定の体内部の部位にアクセスできるように、形状を選んでもかまわない。エネルギー供給が最適化できるように、形状を選んでもかまわない。(特に直径が小さな装置の場合に)装置の剛性および/または強度が最大化できるように、形状(例えば、非円柱形状)を選択してもかまわない。
【0020】
一部の実施形態では、本発明は、アンテナを備えた装置であって、該アンテナが、内側導電部の周囲に巻かれた外側導電部を備え、該内側導電部がエネルギーを受けて伝達するように設計され、該外側導電部が外側導電部にそって円周部に配置された少なくとも1つのギャップ部を内部に有し、このギャップ部の配置によって位置が制御される複数のエネルギーピークがアンテナの長さにそって生成される、装置を提供する。一部の実施形態では、上記エネルギーはマイクロ波エネルギーおよび/または無線周波エネルギーである。一部の実施形態では、上記外側導電部は、上記ギャップ部のうちの2つのギャップ部を内部に有する。一部の実施形態では、上記アンテナは、上記内側導電部と外側導電部との間に設置される誘電層を備えている。一部の実施形態では、上記誘電層は、ほぼゼロの導電率を有する。一部の実施形態では、上記装置は、探り針をさらに備えている。一部の実施形態では、上記内側導電部は、約0.013インチ以下の直径を有する。
【0021】
一部の実施形態では、上記外側導電部または上記装置の外表面における任意のギャップ部、または、非一様形状、または、不規則な形状に材料を充填して、平滑で平らな、または、ほぼ平滑で平らな外表面を提供する。一部の実施形態では、耐熱性樹脂を使用して、ギャップ部、非一様形状、および/または、不規則な形状を埋める。一部の実施形態では、上記樹脂は生体適合性を有する。別の一部の実施形態では、上記樹脂は生体適合性を有していないが、該樹脂を、例えば、生体適合性材料で被覆してもかまわない。一部の実施形態では、上記樹脂は、所望のサイズまたは形状に構成可能である。したがって、上記樹脂が硬化すれば、これを使用して、鋭い探り針の先端を上記装置に提供することも、あるいは、その他の所望の物理的形状を提供することもできる。
【0022】
一部の実施形態では、上記装置は、鋭い探り針の先端を備えている。上記探り針の先端は、任意の材料を含んで形成されてもかまわない。一部の実施形態では、上記先端は硬化樹脂を含んでなる。一部の実施形態では、上記先端は金属である。一部の実施形態では、上記探り針の先端は、チタンまたはチタンの等価物を含んでなる。一部の実施形態では、上記探り針の先端は、ジルコニアまたはジルコニアの等価物に対して真鋳が被覆される。このような一部の実施形態では、上記金属製先端は、アンテナの金属部の延長部分であり、電気的にアクティブである。
【0023】
一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、プロセッサ、電源装置、出力案内・制御・供給手段(例えば、各アンテナへの供給出力を個々に制御する能力を有する出力分割器)、映像システム、チューニングシステム、および/または、温度測定調節システムを備えたシステム内において、エネルギーを組織領域に供給するように構成される。
【0024】
本発明は、特定のタイプのプロセッサに限定されるものではない。一部の実施形態では、上記プロセッサは、例えば、システムのコンポーネント(例えば、温度モニタリングシステム、エネルギー供給装置、組織インピーダンスモニタリングコンポーネントなど)から情報を受信し、このような情報をユーザに表示し、該システムの他のコンポーネントを操作(例えば、制御)できるように設計される。一部の実施形態では、上記プロセッサは、エネルギー供給装置、電源装置、出力案内・制御・供給手段(例えば、出力分割器)、映像システム、チューニングシステム、および/または、温度調節システムを備えたシステム内において動作するように構成される。
【0025】
本発明は、特定のタイプの電源装置に限定されるものではない。一部の実施形態では、本電源装置は、所望のタイプのエネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー、無線周波エネルギー、放射エネルギー、低温エネルギー(cryo energy)、電気穿孔エネルギー、高強度集束超音波、および/または、これらの混合エネルギー)でも提供できるように構成される。一部の実施形態では、上記電源装置は、出力分割器を使用して、エネルギーを2つ以上のエネルギー供給装置に供給することを可能にする。一部の実施形態では、上記電源装置は、出力分割器、プロセッサ、エネルギー供給装置、映像システム、チューニングシステム、および/または、温度調節システムを備えたシステム内において動作するように構成される。
【0026】
本発明は、特定のタイプの映像システムに限定されるものではない。一部の実施形態では、上記映像システムは、映像装置(例えば、内視鏡装置、コンピュータ支援定位的神経外科ナビゲーション装置、熱センサ位置決めシステム、運動速度(motion rate)センサ、操縦用ワイヤシステム、プロシージャ内超音波(intraprocedural ultrasound)、蛍光透視法、コンピュータ断層撮影磁気共鳴画像法、核医学映像装置、三角映像法(triangulation imaging)、間質超音波(interstitial ultrasound)、マイクロ波映像法、音響断層撮影、デュアルエネルギー映像法(dual energy imaging)、熱音響映像法、赤外線および/またはレーザ映像法、電磁気映像法)を使用する(例えば、米国特許第6,817,976号、第6,577,903号、第5,697,949号、および、第5,603,697号、ならびに、国際特許出願第WO 06/005,579号を参照。なお、これらの特許および特許出願の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、上記システムは、本発明のエネルギーシステムとともに使用する任意の部材の設置、位置決め、および/または、モニタリングを可能にする、または、補助する内視鏡カメラ、映像法コンポーネント、および/または、ナビゲーションシステムを使用する。一部の実施形態では、上記映像システムは、エネルギー供給システムの特定のコンポーネントの位置情報(例えば、エネルギー供給装置の位置)を提供するように構成される。一部の実施形態では、上記映像システムは、プロセッサ、エネルギー供給装置、電源装置、チューニングシステム、および/または温度調節システムを備えたシステム内において動作するように構成される。一部の実施形態では、上記映像システムは、上記エネルギー供給装置内に配置される。一部の実施形態では、上記映像システムは、アブレーションゾーンの特性(例えば、直径、長さ、断面積、体積)に関する定性的な情報を提供する。上記映像システムは、定性的な情報を提供する特定の手法に限定されるものではない。一部の実施形態では、定性的な情報を提供するために使用する手法としては、時間領域反射光測定法、飛行時間型パルス検出法、周波数変調距離検出法、固有モードもしくは共振周波数検出法、または、1つの組織内装置だけ、もしくは、その他の組織内装置もしくは外部装置との協調に基づく任意の周波数における反射および伝播などがあげられるが、これらに限定されるものではない。一部の実施形態では、上記組織内装置は、映像法(例えば、電気聴覚映像法、電磁気映像法、電気インピーダンス断層撮影)のための信号および/または検出を提供する。
【0027】
本発明は、特定のチューニングシステムに限定されるものではない。一部の実施形態では、上記チューニングシステムは、上記エネルギー供給システム内の変数(例えば、供給されるエネルギーの量、供給されるエネルギーの周波数、上記システム内に設けられる複数のエネルギー装置のうちの1つ以上のエネルギー装置に供給されるエネルギー、提供されるクーラントの量またはタイプなど)の調節を可能にするように構成される。一部の実施形態では、上記チューニングシステムは、ユーザに、または、エネルギー供給装置の機能を時間について連続的または非連続的にモニターするプロセッサにフィードバックを提供するセンサを備えている。該センサは、任意の個数の特性について記録および/またはレポートしてもかまわない。なお、この特性の例としては、上記システムのコンポーネントの1つ以上の部位における熱(例えば、温度)、組織における熱、組織の性質、領域の定性的な情報などがあげられるが、これらの例に限定されるものではない。上記センサは、映像装置(例えば、CT、超音波、磁気共鳴画像法、蛍光透視法、核医学映像法、または、その他の映像装置)の形態であってもかまわない。一部の実施形態では、特に研究分野への応用の場合に、上記システムは、将来のシステム全般的な最適化に使用するために、および/または、特定の条件(例えば、患者のタイプ、組織のタイプ、標的領域のサイズおよび形状、標的領域の位置など)下においてエネルギー供給を最適化するために、情報を記録および保存する。一部の実施形態では、上記チューニングシステムは、プロセッサ、エネルギー供給装置、電源装置、映像コンポーネント、および/または、温度調節システムを備えたシステム内において動作するように構成される。一部の実施形態では、上記映像コンポーネント、または、その他の制御コンポーネントは、出力(または他の制御パラメータ)を調節して最適な組織応答が得られるように、アブレーション装置にフィードバックを提供する。
【0028】
本発明は、特定の温度調節システムに限定されるものではない。一部の実施形態では、上記温度調節システムは、各種医療行為(例えば、組織アブレーション)を実施するあいだシステムの各コンポーネント(例えば、エネルギー供給装置)の不要な熱を抑制するように、または、標的組織をある温度範囲内で維持するように設計される。一部の実施形態では、上記温度調節システムは、プロセッサ、エネルギー供給装置、電源装置、出力案内・制御・供給手段(例えば、出力分割器)、チューニングシステム、および/または、映像システムを備えたシステム内において動作するように構成される。一部の実施形態では、上記温度調節システムは、上記エネルギー供給装置を、装置を患者の内部組織に一時的に癒着させて、作業(例えば、アブレーション処置)中のエネルギー装置の移動を防止するために十分な温度にまで冷却するように設計される。
【0029】
一部の実施形態では、上記システムは、システムの各種コンポーネント(例えば、エネルギー供給装置)および/または組織領域の温度または反射出力をモニタリングするための温度モニタリングまたは反射出力モニタリングシステムをさらに備えている。一部の実施形態では、上記モニタリングシステムは、例えば、温度または反射エネルギーの量が所定の値を超えると、特定の組織領域へのエネルギーの供給を変更(例えば、防止、抑制)するように設計される。一部の実施形態では、上記温度モニタリングシステムは、組織またはエネルギー供給装置を選択温度または選択温度範囲で維持するために、特定の組織領域へのエネルギーの供給を変更(例えば、強化、抑制、維持)するように設計される。
【0030】
一部の実施形態では、上記システムは、例えば、以前に使用されたコンポーネント(例えば、非滅菌エネルギー供給装置)を使用することが防止できるように、または、システムのあるコンポーネントの特徴を特定し、システムのそれ以外のコンポーネントが適宜調節を行って互換性または最適化された機能を実現できるように構成された、特定または追跡システムをさらに備えている。一部の実施形態では、上記システムは、本発明のシステムのコンポーネントに関連するバーコードなどの情報伝達部材を読み取る。一部の実施形態では、システムのコンポーネント間の接続は、使用後における、さらなる使用を防止するために変更(例えば、切断)される。本発明は、システムにおいて使用するコンポーネントのタイプや採用する使用方法によって限定されるものではない。実際に、上記装置は所望の様式で構成されてかまわない。同様に、上記システムおよび装置は、エネルギー供給が関与する任意の応用分野において使用されてもかまわない。このような用途には、任意の、かつ、すべての医学的、獣医学的、および、研究的応用を含める。ただし、本発明のシステムおよび装置は、エネルギー供給が関与する農業分野、製造分野、機械分野、または、その他の応用分野において使用されてもかまわない。
【0031】
一部の実施形態では、上記システムは、エネルギーを皮膚、血管、心臓、腹腔鏡、または、外科処置を経由して供給できるように構成される。同様に、一部の実施形態では、上記システムは、カテーテル、外科的に形成された開口部、および/または、身体の開口部(例えば、口、耳、鼻部、眼、腟、陰茎、肛門)を介してエネルギーを供給できるようにするように構成される(例えば、N.O.T.E.S.処置)。一部の実施形態では、上記システムは、エネルギーを標的組織または領域に供給できるように構成される。本発明は、標的組織または領域の特徴によって限定されるものではない。使用方法の例としては、心臓の不整脈の治療、腫瘍のアブレーション(良性のものも、悪性のものも含める)、手術中の出血、外傷後の出血、その他の出血の制御、軟部組織の除去、組織の切除および回収、静脈瘤の治療、腔内組織のアブレーション(例えば、バレット食道や食道腺癌などの食道の病態の治療)、骨腫瘍、正常な骨、および、良性の骨の病態の治療、眼内での使用、美容外科における使用、脳腫瘍や電気的障害を含めた中枢神経系の病態の治療、滅菌作業(例えば、ファロピウス管のアブレーション)、任意の目的の血管や組織の焼灼などがあげられるが、これらの例に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記外科的応用分野には、(例えば、凝固壊死を実現するための)アブレーション治療を含める。一部の実施形態では、上記外科的応用分野には、標的、例えば、転移性腫瘍に対する腫瘍アブレーションを含める。一部の実施形態では、上記装置は、組織または生体に与える損傷を最小限に抑えながら所望の位置(例えば、脳、首、胸部郭、腹部、骨盤などが例としてあげられるが、これらの例に限定されるものではない)において移動および位置決めができるように構成される。一部の実施形態では、上記システムは、例えば、コンピュータ断層撮影、超音波、磁気共鳴画像法、蛍光透視法などによって案内供給が実現できるように構成される。
【0032】
一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載する組織領域およびシステム(例えば、エネルギー供給装置、ならびに、プロセッサ、電源装置、出力案内・制御・供給手段(例えば、出力分割器)、温度モニター、画像装置、チューニングシステム、および/または温度降下システムのうちの少なくとも1つのコンポーネント)を準備し、上記エネルギー供給装置の一部を組織領域の近傍において位置決めし、上記装置を用いて、ある量のエネルギーを上記組織領域に供給することを含む、組織領域を治療する方法を提供する。一部の実施形態では、上記組織領域は腫瘍である。一部の実施形態では、上記エネルギーの供給の結果、例えば、組織領域および/または血管血栓症のアブレーション、および/または、組織領域のエレクトロ電気穿孔が起きる。一部の実施形態では、上記組織領域は腫瘍である。一部の実施形態では、上記組織領域には、心臓、肝臓、生殖器、胃、肺、大腸、小腸、脳、首、骨、腎臓、筋肉、腱、血管、前立腺、膀胱、脊髄、皮膚、翅脈、手の指の爪、および、足の指の爪のうちの1つ以上の組織領域を含める。一部の実施形態では、上記プロセッサは、センサから情報を受信し、上記システムのそれ以外のコンポーネントをモニターおよび制御する。一部の実施形態では、上記電源装置のエネルギー出力は、治療を最適化するために所望に応じて変更される。一部の実施形態では、複数のエネルギー供給コンポーネントが設けられ、所望の結果を達成するために、各供給コンポーネントに供給されるエネルギーの量が最適化される。一部の実施形態では、上記システムの温度が温度センサによってモニターされ、閾値レベルに達すると、または、近づくと、上記温度降下システムを駆動することによって下げられる。一部の実施形態では、上記映像システムがプロセッサに情報を提供し、この情報がシステムのユーザに対して表示される。また、該情報が、システムの出力を制御するためのフィードバックループにおいて使用されてもかまわない。
【0033】
一部の実施形態では、エネルギーが、異なる強度で、かつ、装置内部の異なる位置から組織領域に供給される。例えば、組織領域のある領域を装置のある一部を用いて治療する一方で、該組織の別の領域を該装置の別の一部を用いて治療してもかまわない。さらに、上記装置の2つ以上の領域が特定の組織領域にエネルギーを同時に供給して、建設的な位相干渉を実現(例えば、上記放射エネルギーが相乗効果を実現)してもかまわない。別の一部の実施形態では、上記装置の2つ以上の領域が、破壊的な干渉作用を実現できるようにエネルギーを供給してもかまわない。一部の実施形態では、上記方法は、建設的な位相干渉および/または破壊的な位相干渉を実現することを目的とする付加的な装置をさらに提供する。一部の実施形態では、1つ以上の装置間の位相干渉(例えば、建設的な位相干渉や破壊的な位相干渉)が、プロセッサ、チューニング部材、ユーザ、および/または、出力分割器によって制御される。
【0034】
本発明のシステム、装置、および、方法は、その他のシステム、装置、および、方法と組み合わせて使用されてもかまわない。例えば、本発明のシステム、装置、および、方法は、他のアブレーション装置、他の医療機器、医療診断法、および、医療薬、映像方法および映像薬、ならびに、治療方法および治療薬剤とともに使用されてもかまわない。使用は同時でもよく、別の作業後の前または後であってもよい。本発明では、本発明のシステム、装置、および、方法を、他の任意の医療行為と組み合わせて使用してもかまわない。
【0035】
また、フィードバックをユーザに提供し、かつ、各種システムコンポーネント間の通信を可能にする集積アブレーション・映像システムが必要とされている。システムパラメータを上記アブレーション時に調節して、エネルギー供給を最適化してもかまわない。さらに、ユーザは、作業の成功をより高い精度で判断することができ、治療の失敗および/または治療に関連する合併症の可能性が減少する。
【0036】
一部の実施形態では、本発明は、例えば、エネルギー源およびクーラント源を提供する電源コンポーネントと、エネルギーおよびクーラントを電源コンポーネントから患者の処置空間(workspace)に配置された制御ハブ(例えば、制御ポッド)に供給するための輸送コンポーネントと、上記エネルギーおよび/またはクーラントを1つ以上のエネルギー供給装置に供給するように構成された1つ以上のケーブルを取り付けるための複数の接続ポートを有する、エネルギーおよびクーラントを輸送コンポーネントから受ける処置装置ハブとを備えたシステムを提供する。一部の実施形態では、上記輸送コンポーネントは低損失ケーブルである。一部の実施形態では、エネルギーを1つ以上のエネルギー供給装置に供給するように構成された上記1つ以上のケーブルは、可撓性を有する使い捨て型ケーブルである。上記処置装置ハブは、特定の重量に限定されるものではない。一部の実施形態では、処置装置ハブの重量は、害および/または不快感を引き起こさずに処置装置ハブを患者の上に載せることができる重量である。一部の実施形態では、上記処置装置ハブの重量は10ポンド未満である。
【0037】
上記システムは、特定の医療行為における使用に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記システムは、例えば、CTスキャンを実施する医療行為および/または超音波撮像を実施する作業において使用される。
【0038】
上記処置装置ハブは、医療行為時の特定の位置に限定されるものではない。実際に、上記処置装置ハブは、さまざまな構成において位置決めできるように構成される。一部の実施形態では、上記処置装置ハブは、処置台上に(例えば、ストラップを介して処置台上に)(例えば、処置台上に配置された溝を介して)取り付けられるように構成される。一部の実施形態では、上記処置装置ハブは、患者のガウンに取り付けられるように構成される。一部の実施形態では、上記処置装置ハブは、CT用安全ベルトに取り付けられるように構成される。一部の実施形態では、上記処置装置ハブは、処置台リングに取り付けられるように構成される。一部の実施形態では、上記処置装置ハブは、患者の身に着けるように構成された無菌ドレープに取り付けられるように構成される。
【0039】
一部の実施形態では、上記処置装置ハブは処置装置ハブストラップをさらに備え、該処置装置ハブストラップは、医療行為を行う位置(例えば、処置台、患者のガウン、CT用安全ベルト、処置台リング、無菌ドレープなど)に取り付けられるように構成される。
【0040】
上記処置装置ハブは、クーラントをエネルギー供給装置へ特定の様式で供給することに限定されるものではない。一部の実施形態では、上記1つ以上のエネルギー供給装置に供給されるクーラントは、高圧力で供給される気体である(例えば、この高圧力とは、上記クーラントの臨界点、または、その近傍である)。上記クーラントが、臨界点、または、その近傍で供給される気体である一部の実施形態では、上記クーラントはCO2である。
【0041】
一部の実施形態では、上記電源装置は無菌域の外側に配置され、上記処置装置ハブは無菌域の内側に配置される。一部の実施形態では、上記電源装置はマイクロ波エネルギーを供給する。一部の実施形態では、上記電源装置は無線周波エネルギーを供給する。
【0042】
一部の実施形態では、本発明は、1つ以上の冷却(クーラント)管または流路を同軸ケーブル内に有する、エネルギーを組織に供給するように構成されたアンテナを備えた装置であって、該管はクーラントを上記アンテナに供給するように構成され、上記クーラントは臨界点、または、その近傍まで圧縮された気体である、装置を提供する。上記装置は、特定の気体に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記気体はCO2である。一部の実施形態では、上記1つ以上のクーラント管または流路は、上記同軸ケーブルの外側導電部と誘電性材料との間に位置する。一部の実施形態では、上記1つ以上のクーラント管または流路は、上記同軸ケーブルの内側導電部と誘電性材料との間に位置する。一部の実施形態では、上記1つ以上のクーラント管または流路は内側導電部または外側導電部の内部に位置する。一部の実施形態では、上記装置は、近位部、中央部、および、遠位部を内部に有する。一部の実施形態では、上記遠位部は、エネルギーを組織に供給するように構成される。一部の実施形態では、上記近位部および/または中央部は、上記クーラント管または流路を内部に有する。一部の実施形態では、上記遠位部クーラント管または流路を有していない。
【0043】
一部の実施形態では、上記装置は、例えば、エネルギー供給時に装置を所望の位置において安定化するために、付着領域に対する組織の付着を促進するように構成された1つ以上の“付着”領域を内部に有する。一部の実施形態では、上記付着領域は、上記付着領域に対する組織の凍結を可能にする温度を実現および維持するように構成される。一部の実施形態では、上記付着領域は、中央部および/または近位部の内部に配置される。上記付着領域は、組織領域の付着を促進するための特定の温度に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記付着領域は、循環するクーラントを有するエネルギー供給装置のある領域に接触することによって、組織領域の付着を促進するための温度を実現および維持する。一部の実施形態では、上記付着領域の温度は、組織領域が上記付着領域に接触すると付着が起きる(例えば、組織領域が付着領域に凍結して付着する)ために十分に低い温度で維持される。上記付着領域は、特定の材料組成に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記付着領域は、例えば、金属材、セラミック材、プラスチック材、および/または、このような材料の任意の組み合わせである。一部の実施形態では、上記付着領域は、封止部を用いて、上記装置の遠位部に対して曝露されることが防止される。一部の実施形態では、上記封止部は、上記装置の上記付着領域と遠位部との間に配置され、これにより、上記遠位部に対する付着領域の曝露が防止される。一部の実施形態では、上記封止部は、空気も気体も通さない様式で構成される。一部の実施形態では、上記封止部は、上記装置(例えば、同軸性を有する領域)に対してレーザ溶接が実施された部分である。一部の実施形態では、上記封止部は、上記装置(例えば、同軸性を有する領域)に対して誘導半田付けが実施された部分である。一部の実施形態では、上記封止部は、部分的な(例えば、60%:40%、55%:45%、50%:50%)レーザ溶接および誘導半田付けが実施された部分である。
【0044】
一部の実施形態では、上記遠位部および中央部は、上記遠位部の冷却を防止するように設計されたプラグ領域によって離間している。上記プラグ領域は、上記遠位部の冷却防止の特定の様式に限定されるものではない。一部の実施形態では、該プラグ領域は、温度が下げられた領域(例えば、循環するクーラントを有するエネルギー供給装置の中央部)に接触しても、自分の温度は下げないように設計される。一部の実施形態では、上記プラグ領域の素材は、低温の材料に接触しても、自分の温度は大きく下げないでいられる素材(例えば、断熱性材料)である。上記プラグ領域は、特定のタイプの断熱性材料(例えば、合成ポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリアイシネン、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート)、エアロゲル、繊維ガラス、コルク)に限定されるものではない。
【0045】
一部の実施形態では、プラグ領域を有する装置によって、組織が、冷却領域(例えば、上記プラグ領域に近位の装置の領域)と非冷却領域(例えば、上記プラグ領域からは遠位の装置の領域)とに同時に曝されることが可能になる。
【0046】
一部の実施形態では、本発明は、1つ以上の冷却管または流路を同軸ケーブル内に有する、エネルギーを組織に供給するように構成されたアンテナを備えた装置であって、該同軸ケーブルは誘電領域を有し、該誘電領域は可撓性を有する領域および可撓性を有しない領域である、装置を提供する。一部の実施形態では、上記可撓性を有する領域はプラスチック製であり、上記可撓性を有しない領域はセラミック製である。一部の実施形態では、上記可撓性を有しない領域は、出力放射がもっとも高い位置に配置される。
【0047】
一部の実施形態では、本発明は、1つ以上の冷却管または流路を同軸ケーブル内に有する、エネルギーを組織に供給するように構成されたアンテナを備え、かつ、引張りワイヤ繋留部に接続された1つ以上の引張りワイヤを内部に有する装置を提供する。一部の実施形態では、上記引張りワイヤ繋留部に接続された1つ以上の引張りワイヤを縮めることによって、装置の可撓性が低下する。一部の実施形態では、上記1つ以上の引張りワイヤは、特定の温度で屈曲するように設計される(例えば、超弾性ニチノールワイヤ)。
【0048】
本発明の実施形態の発展の過程において実施された実験により、”精密アンテナ”(容量結合されたアンテナ)を既存のアンテナに結合することでアブレーションが改良されることが突きとめられた。例えば、”精密アンテナ”を既存のアンテナに結合することにより、そのような結合がされていないアンテナと比較して、アブレーション領域が大きくなった。例えば、”精密アンテナ”又は”精密プローブ”を既存のアンテナに結合することにより、そのような結合がされていないアンテナと比較して、球状のアブレーション領域が大きくなった。さらに、”精密アンテナ”又は”精密プロ-ブ”を既存のアンテナに結合することにより、そのような結合がされていないアンテナと比較して、電磁界パターンが優れるとともに、反射電力が減少した。
【0049】
したがって、一部の実施形態では、本発明は、既存のアンテナに結合される精密アンテナ又は精密プローブを提供する。このような一部の実施形態では、ここに提供されるものは、内側導電部を有するアンテナと、上記アンテナの遠位端に設けられた導電性チップとを備えたアブレーションアンテナ装置であって、上記内側導電部は、上記導電性チップに物理的に結合されていない(例えば、上記内側導電部は、上記導電性チップに容量結合されている)アブレーションアンテナ装置である。一部の実施形態では、上記アンテナは、上記内側導電部の少なくとも一部を取り囲む導電性の外側導電部を備えている。一部の実施形態では、上記アンテナは、上記内側導電部と上記外側導電部との間に誘電性材料を備えている。一部の実施形態では、上記アンテナは三軸型アンテナである。一部の実施形態では、上記導電性チップは、トロカールを備えている。
【0050】
一部の実施形態では、上記内側導電部は、第2の領域より遠位の第1の領域と、第3の領域より遠位の上記第2の領域とを含み、上記第3の領域は、三軸型アンテナに含まれており、上記第2の領域は、上記三軸型アンテナの外側導電部を含まず、上記第1の領域は、上記三軸型アンテナの外側導電部及び誘電性材料を含んでいない。一部の実施形態では、上記第1の領域は、取付金具又は導電性を有する他の取付具(例えば、真鍮の取付金具)に接着され、該取付金具又は該導電性を有する他の取付具により取り囲まれている。一部の実施形態では、上記取付金具は、上記内側導電部の最遠位端を越えて、遠位に延伸する(すなわち、上記内側導電部は、上記取付金具の近位端を通過するが、遠位端には達しない)。一部の実施形態では、上記取付金具は、上記第2の領域において、上記内側導電部を取り囲む誘電性材料に接している。一部の実施形態では、上記第2の領域は、上記三軸型アンテナの誘電性材料を含む近位部と、上記三軸型アンテナの上記誘電性材料を含まない遠位部と、を含んでいる。一部の実施形態では、上記第2の領域の遠位部は、上記内側導電部を取り囲む非誘電性スリーブ(例えば、PTFEスリーブ)を備えている。一部の実施形態では、上記導電性チップは、絶縁体(例えば、セラミック絶縁体)に取り付けられており、上記絶縁体は、上記取付金具の遠位端に取り付けられている。一部の実施形態では、上記取付金具、絶縁体、及び導電性チップは、上記内側導電部にエネルギーが供給された場合に上記導電性チップへエネルギーを伝達する程度にインピーダンスの重なり(a low impedance overlap)を低くするような(例えば、上記内側導電部が、上記導電
性チップに容量結合されるような)配置及び寸法になっている。一部の実施形態では、上記取付金具は、導電性を有する接着材を介して上記内側導電部に接着される。
【0051】
さらに、本明細書では、そのような精密プローブを用いるシステムが提供される。上記システムは、本明細書に記載された他のコンポーネント(例えば、電源装置及びクーラントシステム)の何れかを含むことが可能であり、上記精密プローブを備える上記アンテナは、本明細書に記載された特徴または機能の何れか(例えば、冷却によって組織にアンテナを固定するための固定機能)を有することができる。これらの装置及びシステムは、本明細書に記載された何れかの方法において用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態におけるエネルギー供給システムの概略図を示している。
【
図2】
図2は、本発明の一部の実施形態における同軸性伝達線および/または誘電部材の各種形状を示している。
【
図3A】
図3Aは、望ましくない装置の加熱(例えば、外側導電部にそった加熱)を防止することを目的して、第1の材料および第2の材料が融解可能な壁によって遮断される、分割セグメントを有する同軸性伝達線の実施形態を示している。
【
図3B】
図3Bは、望ましくない装置の加熱(例えば、外側導電部にそった加熱)を防止することを目的して、第1の材料および第2の材料が融解可能な壁によって遮断される、分割セグメントを有する同軸性伝達線の実施形態を示している。
【
図4A】
図4Aは、望ましくない装置の加熱(例えば、外側導電部にそった加熱)を防止することを目的して、第1の材料および第2の材料(例えば、混合すると温度降下性の化学反応を起こすように構成された材料)を含有する融解可能な壁によって隔離される分割セグメントを有する同軸性伝達線の実施形態を示している。
【
図4B】
図4Bは、望ましくない装置の加熱(例えば、外側導電部にそった加熱)を防止することを目的して、第1の材料および第2の材料(例えば、混合すると温度降下性の化学反応を起こすように構成された材料)を含有する融解可能な壁によって隔離される分割セグメントを有する同軸性伝達線の実施形態を示している。
【
図5】
図5は、クーラントのクーラント流路への、および、クーラント流路からの出入りを制御するように構成された取手部の概略図を示している。
【
図6】
図6は、クーラント流路を有する同軸ケーブルの実施形態の横断面概略図を示している。
【
図7】
図7は、外側導電部および誘電性材料を有するエネルギー放出装置内に配置されるクーラント循環管(例えば、クーラント用針、カテーテル)を示している。
【
図8】
図8は、本発明のCFダイポールのコンポーネントを備えた、本発明の装置(例えば、アブレーション装置のアンテナ)の遠位端を概略的に示している。
【
図9】
図9は、温度測定ステーションの試験用設定状況および位置を示している。該図に示すように、上記アブレーション針のシャフトはすべての実験について20.5cmであった。プローブ1、2、および、3を、ステンレス針の先端より4cm、8cm、および、12cmの位置に配置した。
【
図10】
図10は、異常に高い(6.5%)反射出力を用いて、35%で(13:40~13:50のあいだマイクロ波は“オン”)治療している様子を示している。プローブ3を、まず初めに、肝組織のすぐ外側に空気中に配置した。
【
図11】
図11は、異常に高い(6.5%)反射出力を用いて、45%で(14:58~15:08のあいだマイクロ波はオン)10分間治療した様子を示している。ステーション4におけるピーク温度は40.25℃であった。
【
図12】
図12は、本発明の一実施形態において、クーラントを流すためのスペースを形成するために外側導電部の領域が除去された、同軸ケーブルを示している。
【
図13】
図13は、移入/移出容器、輸送用鞘、および、処置装置ポッドの概略図を示している。
【
図14】
図14は、引張りワイヤ繋留部に接続される2つの引張りワイヤを有するエネルギー供給装置を示している。
【
図15】
図15は、複数の可撓性を有しない領域および1つの可撓性を有する領域を備えたエネルギー供給装置の外観図を示している。
【
図16】
図16は、内側導電部に接続される、アンテナ内に配置されるより大きな同軸性伝達線に接続される狭い同軸性伝達線を有するエネルギー供給装置を示している。
【
図17】
図17は、複数の可撓性を有しない領域および1つの可撓性を有する領域を備えたエネルギー供給装置の断面図を示している。
【
図18】
図18は、処置台ストラップに接続される処置装置ハブを示している。
【
図19】
図19は、開窓、および、この開窓を介して挿入されるケーブルを有する特別製の無菌ドレープを示している。
【
図20】
図20は、ケーブルを介して処置装置ハブに接続される発電機を有する本発明のエネルギー供給システムを示している。なお、処置装置ハブは処置台に固定される。
【
図21】
図21は、エネルギー供給装置を用いて冷却を実際に行ってみた結果である。アンテナの先端より7cmの位置で測定したアブレーション時の温度プロファイルは、120Wを超える入力(上側)が引き起こす発熱を、冷水を用いた冷却によって除去することができることを示した。冷却したアンテナを用いて(125W、5分間)形成した約3cmのアブレーションは、アンテナにそった“尾部”がないことを示している。セラミック製管および切小面を形成した先端によって、経皮導入が可能になる(下側)。
【
図22】
図22は、各種受動的な冷却法を用いてシミュレートしたアンテナシャフトにそった温度分布を示している。熱抵抗器と絶縁性鞘との組み合わせによって、近位の温度がもっとも大幅に降下した。
【
図23】
図23は、正常なブタの肺中に10分間で形成されたマイクロ波アブレーション(左)およびRFアブレーション(右)を、等しいスケールで示している。マイクロ波アブレーションのほうが、RFアブレーションより大きく、より球状に近かった。
【
図24】
図24は、アンテナシャフト(底部)内で35Wの熱を生成しながら、アンテナシャフトにそって温度を測定した実験の設定状況(上側)および結果を示している。わずか1.0stp L/分のCO2の流れを必要としただけで、シャフトにそった任意の点において、8℃を超える温度上昇を防止することができた。10stp L/分で50Wの加熱力を相殺することができた。
【
図25】
図25は、0、13、および23.8stp L/分のNC-CO2の流れ(底部)の場合について、アンテナの先端を150℃で維持しながら、アンテナシャフトにそって温度を測定した実験の設定状況(上側)および結果を示している。なお、この試験では、発熱はアンテナの先端からの熱伝導についてのみ考慮し、内部発熱については考慮しなかった。
【
図26】
図26は、アンテナの先端からの熱伝導性の発熱に10s均衡する場合の、1stp L/分という小さなCO2のパルスを示している。
【
図27】
図27は、従来の画像の解像度、および、高度に限定された画像再構築法(“HYPR”:HighlY-contstrained backPRojection)画像の解像度を、時間の関数として示している。
【
図28】
図28は、複数の期間にわたる、標準的な腫瘍画像および高度に限定された画像再構築法(HYPR)による腫瘍画像を示している。
【
図29】
図29は、エネルギー供給装置の実施形態を示している。
【
図30】
図30は、エネルギー供給装置の実施形態を示している。
【
図31】
図31は、処置状況下におけるエネルギー供給装置の実施形態を示している。
【
図32A】
図32Aは、本発明のエネルギー供給システムのためのユーザインターフェースソフトウェアの例を示している。
【
図32B】
図32Bは、本発明のエネルギー供給システムのためのユーザインターフェースソフトウェアの例を示している。
【
図32C】
図32Cは、本発明のエネルギー供給システムのためのユーザインターフェースソフトウェアの例を示している。
【
図33】
図33は、本発明の三軸マイクロ波プローブの実施形態を示している。
【
図34A】
図34Aは、生体外において作成された組織であって、アブレートされた牛の生きている組織を示しており、容量結合されたアンテナ(例えば、精密プローブ)を用いた場合を示している。
【
図34B】
図34Bは、生体外において作成された組織であって、アブレートされた牛の生きている組織を示しており、容量結合を有していないアンテナを用いた場合を示している。
【
図35】
図35は、容量結合されたアンテナ(例えば、精密プローブ)、及び、そのような結合を有していないアンテナにより実現されたアブレーションの横径の平均値(入射電力を30Wとし、持続時間を様々にした場合)をグラフ形式にまとめたものである。
【
図36】
図36は、内側導電部、誘電体、外側導電部、及びトロカールを有する既存のアンテナに、精密プローブを結合するための工程を示している。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明は、各種医療行為(例えば、組織アブレーション、切除、焼灼、血管血栓症、中空の内臓の腔内アブレーション、不整脈治療のための心臓のアブレーション、電気手術、組織回収、美容外科、眼内での使用など)を含めたさまざまな応用分野に用いるための、エネルギー(例えば、マイクロ波エネルギーや無線周波エネルギー)を組織に供給するための包括的なシステム、装置、および、方法に関する。具体的に、本発明は、電源装置、出力案内・制御・供給手段(例えば、出力分割器)、プロセッサ、エネルギー放出装置、冷却システム、映像システム、温度モニタリングシステム、および/または、追跡システムを備えた、マイクロ波エネルギーを供給するためのシステムを提供する。一部の実施形態では、本発明のエネルギー供給システムを使用することによって組織領域(例えば、腫瘍)を治療するためのシステム、装置、および、方法が提供される。
【0054】
本発明のシステムは、各種システム/キットの実施形態の範囲内で組み合わせてもかまわない。例えば、本発明は、1つ以上の発電機、出力分配システム、出力案内・制御・供給手段(例えば、出力分割器)、エネルギー印加装置、さらに、任意の1つ以上の付属コンポーネント(例えば、手術器具、処置を補助するためのソフトウェア、プロセッサ、温度モニタリング装置など)を備えたシステムを提供する。本発明は、特定の付属コンポーネントに限定されるものではない。
【0055】
本発明のシステムは、組織領域へのエネルギー(例えば、無線周波エネルギー、マイクロ波エネルギー、レーザ、集束超音波など)の供給に関与する任意の医療行為(例えば、経皮処置や外科処置)において使用してもかまわない。上記システムは、特定のタイプまたは種類の組織領域(例えば、脳、肝臓、心臓、血管、足、肺、骨など)の治療に限定されるものではない。例えば、本発明のシステムは、腫瘍領域のアブレーションに適用可能である。他の治療例としては心臓の不整脈の治療、腫瘍のアブレーション(良性のものも、悪性のものも含める)、手術中の出血、外傷後の出血、その他の出血の制御、軟部組織の除去、組織の切除および回収、静脈瘤の治療、腔内組織のアブレーション(例えば、バレット食道や食道腺癌などの食道の病態の治療)、骨腫瘍、正常な骨、および、良性の骨の病態の治療、眼内での使用、美容外科における使用、脳腫瘍や電気的障害を含めた中枢神経系の病態の治療、滅菌作業(例えば、ファロピウス管のアブレーション)、任意の目的の血管や組織の焼灼などがあげられるが、これらの例に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記外科的応用分野には、(例えば、凝固壊死を実現するための)アブレーション治療を含める。一部の実施形態では、上記外科的応用分野には、標的、例えば、原発性腫瘍または転移性腫瘍に対する腫瘍のアブレーションを含める。一部の実施形態では、上記外科的応用分野には、出血の制御(例えば、電気焼灼)を含める。一部の実施形態では、上記外科的応用分野には、組織の切除または除去を含める。一部の実施形態では、上記装置は、組織または生体に与える損傷を最小限に抑えながら所望の位置(例えば、脳、首、胸部郭、腹部、骨盤、四肢などが例としてあげられるが、これらの例に限定されるものではない)において移動および位置決めができるように構成される。一部の実施形態では、上記装置は、例えば、コンピュータ断層撮影、超音波、磁気共鳴画像法、蛍光透視法などによって案内供給が実現できるように構成される。
【0056】
以下において記載する図示された実施形態は、本発明のシステムについて医学的応用(例えば、マイクロ波エネルギーを供給することによる組織のアブレーション)との関連において説明する。ただし、本発明のシステムが医学的応用に限定されるものではないことは理解されるべきである。上記システムは、負荷へのエネルギーの供給を必要とする任意の設定(例えば、農業分野、製造分野、研究分野など)において使用されてもかまわない。上記図示された実施形態は、本発明のシステムについてマイクロ波エネルギーとの関連において説明する。本発明のシステムが特定のタイプのエネルギー(例えば、無線周波エネルギー、マイクロ波エネルギー、集束超音波エネルギー、レーザ、プラズマ)に限定されるものではないことは理解されるべきである。
【0057】
本発明のシステムは、特定のコンポーネントまたはコンポーネントの個数に限定されるものではない。一部の実施形態では、本発明のシステムには、電源装置、出力案内・制御・供給手段(例えば、出力分割器)、プロセッサ、アンテナ付きエネルギー供給装置、冷却システム、映像システム、および/または、追跡システムなどを含めるが、これらに限定されるものではない。複数のアンテナを使用する場合には、上記システムは、各アンテナを個別に別々に制御できるように使用されてもかまわない。
【0058】
図1は、本発明の一例としてのシステムを示している。該図に示すように、上記エネルギー供給システムは、電源装置、伝達線、出力分配コンポーネント(例えば、出力分割器)、プロセッサ、映像システム、温度モニタリングシステム、および、エネルギー供給装置を備えている。一部の実施形態では、該図に示すように、上記エネルギー供給システムの各コンポーネントは、伝達線やケーブルを介して接続される。一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、無菌域仕切りを間に鋏んで、上記電源装置、出力案内・制御・供給手段(例えば、出力分割器)、プロセッサ、映像システム、温度モニタリングシステムから離間している。
【0059】
上記エネルギー供給システムの一例としての各コンポーネントについて、以下に記載する各部(第I部 電源装置、第II部 エネルギー供給装置、第III部 プロセッサ、第IV部 映像システム、第V チューニングシステム、第VI部 温度調節システム、第VII部 特定システム、第VIII部 温度モニタリング装置、第IX部 処置装置ハブ、および、第X部 エネルギー供給システムの使用方法)においてさらに詳細に説明する。
【0060】
〔第I部 電源装置〕
本発明のエネルギー供給システム内で使用するエネルギーは、電源装置を介して供給される。本発明は、特定のタイプまたは種類の電源装置に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記電源装置は、本発明のエネルギー供給システムの1つ以上のコンポーネント(例えば、複数のアブレーション装置)にエネルギーを提供するように構成される。上記電源装置は、特定のタイプのエネルギー(例えば、無線周波エネルギー、マイクロ波エネルギー、放射エネルギー、レーザ、集束超音波など)の提供に限定されるものではない。上記電源装置は、特定の量、または、特定の供給率におけるエネルギーの提供に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記電源装置は、組織アブレーションを実施することを目的として、エネルギーをエネルギー供給装置に提供するように構成される。
【0061】
本発明は、特定のタイプの電源装置に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記電源装置は、所望のタイプのエネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー、無線周波エネルギー、放射エネルギー、低温エネルギー(cryo energy)、電気穿孔エネルギー、高強度集束超音波、および/または、これらの混合エネルギー)を提供するように構成される。一部の実施形態では、上記電源装置によって提供されるエネルギーのタイプは、マイクロ波エネルギーである。一部の実施形態では、上記電源装置は、組織アブレーションを実施することを目的として、マイクロ波エネルギーをアブレーション装置に提供する。組織のアブレーションにおいてマイクロ波エネルギーを使用することには、多数の効果がある。例えば、マイクロ波は、出力密度場(field of power density)が広く(例えば、印加するエネルギーの波長に応じて、アンテナを中心として約2cm)、アクティブな加熱ゾーンがこれに対応して広い。したがって、対象とするゾーン内でも、血管周囲の領域においても、一様な組織アブレーションが可能になる(例えば、国際特許出願公開第WO 2006/004585号を参照。なお、この特許出願の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。さらに、マイクロ波エネルギーは、複数のプローブを用いて、より急速に組織を加熱することによって、広いまたは複数の組織ゾーンをアブレーションする能力を有する。マイクロ波エネルギーは、組織に貫入して、表面での加熱は比較的少ないが、深い損傷域を形成する能力を有する。エネルギー供給時間は、無線周波エネルギーに比べて短く、プローブは、予想可能かつ制御可能な深さの平らで対称性を有する損傷域形成程度まで組織を十分に加熱することができる。マイクロ波エネルギーは、血管付近で使用する場合は、一般に安全である。また、マイクロ波は、組織、流体/血液、さらに空気中を伝播するので、電気伝導性に依存しない。したがって、マイクロ波エネルギーは、組織、管腔、肺、および、血管において使用可能である。
【0062】
一部の実施形態では、上記電源装置は、1つ以上のエネルギー発生機(発電機)を備えている。一部の実施形態では、上記発電機は、915MHz~5.8GHzの周波数の100Wもの高いマイクロ波出力を提供するように構成される。ただし、本発明はこの例に限定されるものではない。一部の実施形態では、電子レンジにおいてよく使用されるタイプの従来からの磁石を発電機として選択する。一部の実施形態では、単一のマグネトロンを基にした発電機(例えば、単一流路を介して、または、複数の流路に分割して300Wを出力する能力を有する発電機)を使用する。ただし、その他の適切なマイクロ波電源装置で代用することもできることは理解すべきである。一部の実施形態では、上記発電機のタイプとしては、Cober-Muegge,LLC社(Norwalk、Connecticut、米国)、Sairem社、および、Gerling Applied Engineering社などから入手可能な発電機が例としてあげられるが、これらの例に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記発電機は、少なくとも約60W(例えば、50W、55W、56W、57W、58W、59W、60W、61W、62W、65W、70W、100W、500W、1000W)の利用可能な出力を有する。さらに高い出力を必要とする動作の場合には、上記発電機は約300W(例えば、200W、280W、290W、300W、310W、320W、350W、400W、750W)を供給することができる。一部の実施形態では、複数のアンテナを使用し、上記発電機は、必要に応じた大きなエネルギー(例えば、400W、500W、750W、1000W、2000W、10,000W)を供給することができる。一部の実施形態では、複数の発電機を使用してエネルギーを供給する(例えば、140Wの増幅器を3台使用する)。一部の実施形態では、上記発電機は、個々に動作することも、位相制御動作をすることも可能な固体増幅器モジュールを備えている。一部の実施形態では、発電機の出力を建設的に組み合わせて、全体の出力を増加させる。一部の実施形態では、上記電源装置は、出力分配システムを用いてエネルギーを分配する(例えば、発電機から回収する)。本発明は、特定の出力分配システムに限定されるものではない。一部の実施形態では、上記出力分配システムは、組織アブレーションを実施することを目的として、エネルギーをエネルギー供給装置(例えば、組織アブレーション用カテーテル)に供給するように構成される。上記出力分配システムは、例えば、発電機からの特定の様式のエネルギー回収に限定されるものではない。上記出力分配システムは、特定の様式でアブレーション装置にエネルギーを供給することに限定されるものではない。一部の実施形態では、上記出力分配システムは、エネルギー供給装置(例えば、組織アブレーション用カテーテル)の特性インピーダンスに合うように、発電機の特性インピーダンスを変換するように構成される。
【0063】
一部の実施形態では、上記出力分配システムは、エネルギー供給装置の複数の領域または複数のエネルギー供給装置(例えば、組織アブレーション用カテーテル)に、さまざまなエネルギーレベルが提供できるように、可変出力分割器を備えて構成される。一部の実施形態では、上記出力分割器は、システムの別の成分として提供される。一部の実施形態では、上記出力分割器は、複数のエネルギー供給装置に別々のエネルギー信号を供給するために使用される。一部の実施形態では、上記出力分割器は、例えば、上記装置のうちの1つが温度変化の増加の結果として大きな負荷を受けた場合、該ユニットに供給されるエネルギーが変更(例えば、低減や停止)される一方で、他の装置に供給されるエネルギーは変更されないように、各エネルギー供給装置に供給されるエネルギーを電気的に隔離する。本発明は、特定のタイプまたは種類の出力分割器に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記出力分割器は、SM Electronics社によって設計される。一部の実施形態では、上記出力分割器は、発電機からエネルギーを受け取り、さらに別のシステムコンポーネント(例えば、エネルギー供給装置)にエネルギーを提供するように構成される。一部の実施形態では、上記出力分割器は、1つ以上(例えば、1台、2台、3台、4台、5台、7台、10台、15台、20台、25台、50台、100台、500台、...)のさらに別のシステムコンポーネントに接続可能である。一部の実施形態では、上記出力分割器は、上記装置の異なる領域から可変量のエネルギーを供給することを目的として、エネルギー供給装置内の異なる領域に可変量のエネルギーを供給するように構成される。一部の実施形態では、上記出力分割器は、組織領域を治療することを目的として、複数のエネルギー供給装置に可変量のエネルギーを提供するために使用される。一部の実施形態では、上記出力分割器は、プロセッサ、エネルギー供給装置、温度調節システム、出力分割器、チューニングシステム、および/または、映像システムを備えたシステム内において動作するように構成される。一部の実施形態では、上記出力分割器は、最大発電機出力に、例えば、25%(例えば、20%、30%、50%)を加えた出力を扱うことができる。一部の実施形態では、上記出力分割器は、1000W定格の2流路~4流路を有する出力分割器である。
【0064】
一部の実施形態では、複数のアンテナが採用され、本発明のシステムは、この複数のアンテナを同時またはシーケンシャルに(例えば、切り替えとともに)動作させるように構成される。一部の実施形態では、上記システムは、建設的な干渉または破壊的な干渉を実現するために、場に対して位相設定(phasing)を実施するように構成される。位相設定を、単一のアンテナ内の異なる部材に適用してもかまわない。一部の実施形態では、切り替えは、複数のアンテナが同時にアクティブであり、位相が制御され、そして、アンテナの組み合わせ新しい組み合わせにスイッチされるように、位相設定と組み合わせられる(例えば、切り替えが完全にシーケンシャルである必要はない)。一部の実施形態では、位相制御は精密に実施される。一部の実施形態では、位相は、空間および時間について建設的な干渉または破壊的な干渉が発生する場所を移動させるように連続的に調節される。一部の実施形態では、上記位相はランダムに調節される。一部の実施形態では、ランダムな位相調節が、機械的干渉および/または磁気的干渉によって実施される。
【0065】
〔第II部 エネルギー供給装置〕
本発明のエネルギー供給システムは、エネルギーを供給(例えば、放射)するように構成された任意のタイプの装置(例えば、アブレーション装置、外科処置装置など)を使用してもかまわない(例えば、米国特許第7,101,369号、第7,033,352号、第6,893,436号、第6,878,147号、第6,823,218号、第6,817,999号、第6,635,055号、第6,471,696号、第6,383,182号、第6,312,427号、第6,287,302号、第6,277,113号、第6,251,128号、第6,245,062号、第6,026,331号、第6,016,811号、第5,810,803号、第5,800,494号、第5,788,692号、第5,405,346号、第4,494,539号、米国特許出願第第11/728,460号、第11/728,457号、第11/728,428号、第11/237,136号、第11/236,985号、第10/980,699号、第10/961,994号、第10/961,761号、第10/834,802号、第10/370,179号、第09/847,181号、英国特許出願第2,406,521号、第2,388,039、ヨーロッパ特許第1395190号、および、国際特許出願第WO 06/008481号、第WO 06/002943号、第WO 05/034783号、第WO 04/112628号、第WO 04/033039号、第WO 04/026122号、第WO 03/088858号、第WO 03/039385号、第WO 95/04385号を参照。なお、これらの特許および特許出願の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。このような装置には、エネルギー放射を実現するように構成された、任意の、かつ、すべての医学的、獣医学的、および、研究的応用に用いる装置、さらに、エネルギー供給が関与する農業分野、製造分野、機械分野、または、その他の応用分野において使用される装置を含める。
【0066】
一部の実施形態では、上記システムは、エネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー、無線周波エネルギー、放射エネルギー)を放射するように構成されたアンテナを内部に有するエネルギー供給装置を使用する。上記システムは、特定のタイプまたは設計のアンテナ(例えば、アブレーション装置、外科処置装置など)に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記システムは、線形形状を有するアンテナを備えたエネルギー供給装置を使用する(例えば、米国特許第6,878,147号、第4,494,539号、米国特許出願第第11/728,460号、第11/728,457号、第11/728,428号、第10/961,994号、第10/961,761号、および、国際特許出願第WO 03/039385号を参照。なお、これらの特許および特許出願の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、上記システムは、線状ではない形状を有するアンテナを備えたエネルギー供給装置を使用する(例えば、米国特許第6,251,128号、第6,016,811号、第5,800,494、米国特許出願第09/847,181、および、国際特許出願第WO 03/088858号を参照。なお、これらの特許および特許出願の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、上記アンテナは、ホーンリフレクタコンポーネントを有する(例えば、米国特許第6,527,768、6,287,302号を参照。なお、これらの特許の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、上記アンテナは、方向性を有する反射シールド(directional reflection shield)を有する(例えば、米国特許第6,312,427号を参照。なお、この特許の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、上記アンテナは、特定の組織領域内において上記エネルギー供給装置を固定する固定コンポーネントを内部に有する(例えば、米国特許第6,364,876および第5,741,249号を参照。なお、これらの特許の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0067】
一般に、エネルギーを放射するように構成されたアンテナは、同軸性伝達線を備えている。上記装置は、同軸性伝達線の特定の構成に限定されるものではない。同軸性伝達線の例としては、Pasternack,Micro-coax,and SRC Cables社によって開発された同軸性伝達線などがあげられるが、これらの例に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記同軸性伝達線は、中央部導電、誘電部材、および、外側導電部(例えば、外側シールド)を有する。一部の実施形態では、上記システムは、(例えば、肺静脈の周囲で、または、管状構造を介して位置決めすることを目的として)可撓性を有する同軸性伝達線を備えたアンテナを使用する(例えば、米国特許第7,033,352号、第6,893,436号、第6,817,999号、第6,251,128号、第5,810,803号、第5,800,494号を参照。なお、これらの特許の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、上記システムは、剛性が高い同軸性伝達線を備えたアンテナを使用する(例えば、米国特許第6,878,147号、米国特許出願第10/961,994号、第10/961,761号、および、国際特許出願第WO 03/039385号を参照。なお、これらの特許出願の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0068】
一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、上記アンテナ内に配置された同軸性伝達線、および、上記アンテナに接続する同軸性伝達線を備えている。一部の実施形態では、上記アンテナ内の同軸性伝達線のサイズは、上記アンテナに接続された同軸性伝達線より大きい。上記アンテナ内の同軸性伝達線および上記アンテナに接続する同軸性伝達線は、特定のサイズに限定されるものではない。例えば、一部の実施形態では、上記アンテナに接続された同軸性伝達線は約0.032インチである一方で、上記アンテナ内の同軸性伝達線のサイズは0.032インチより大きい(例えば、0.05インチ、0.075インチ、0.1インチ、0.5インチ)。一部の実施形態では、上記アンテナ内の同軸性伝達線は、固く厚い内側導電部を有する。一部の実施形態では、上記アンテナ内の同軸性伝達線の末端部は、経皮的に使用するために鋭利な形状を有する。一部の実施形態では、上記アンテナ内の同軸性伝達線の誘電性被覆は、(例えば、カニューレから内側導電部(例えば、薄く鋭い内側導電部)への移行を滑らかにすることを目的として)PTFEである。
図16は、内側導電部1640に接続された、アンテナ1630内に配置された相対的に大きな同軸性伝達線1620に接続された狭い同軸性伝達線1610を有するエネルギー供給装置1600を示している。
【0069】
本発明は、特定の同軸性伝達線の形状に限定されるものではない。実際に、一部の実施形態では、上記同軸性伝達線および/または誘電部材の形状は、具体的な必要性に合わせて選択される、および/または、調節可能である。
図2は、上記同軸性伝達線および/または誘電部材が取ることのできる各種非限定的な形状うちのいくつかを示している。
【0070】
一部の実施形態では、上記外側導電部は、20ゲージの針、または、20ゲージの針に近い直径を有するコンポーネントである。好ましくは、経皮的に使用できるように、上記外側導電部は、17ゲージの針より小さい(例えば、16ゲージの針の大きさを超えない)。一部の実施形態では、上記外側導電部は17ゲージの針である。ただし、一部の実施形態では、これより大きな装置が、所望に応じて使用される。例えば、一部の実施形態では、12ゲージの直径が使用される。本発明は、上記外側導電部のサイズによって限定されるものではない。一部の実施形態では、上記外側導電部は、医療行為において補助(例えば、組織バイオプシーにおいて補助)することを目的として、一連の相対的に大きな針の中に収まるように構成される(例えば、米国特許第6,652,520号、第6,582,486号、第6,355,033号、第6,306,132号を参照。なお、これらの特許の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、上記中央部導電は、エネルギーを所望の位置に供給することを目的として、上記外側導電部越えて延びるように構成される。一部の実施形態では、上記フィード線の特性インピーダンスの一部またはすべてが、該フィード線の遠位端に位置するアンテナのタイプに関わらず、出力の放散を最小にするために最適化される。
【0071】
一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、近位部および遠位部を有し、該遠位部は取り外し可能であり、コアの近位部に取り付けられるさまざまな異なる配置で設けられる。例えば、一部の実施形態では、上記近位部は、取手部、および、システムの他のコンポーネント(例えば、電源装置)に対するインターフェースを備え、上記遠位部は、所望の特性を有する取り外し可能なアンテナを備えている。異なる用途のために構成された複数の異なるアンテナを、適切な表示とともに、取手ユニットに提供・設置してもかまわない。
【0072】
一部の実施形態では、複数の(例えば、1を超える)(例えば、2、3、4、5、10、20などの)同軸性伝達線および/または三軸伝達線が、より大きな量のエネルギーを長時間にわたって供給することを目的として、各エネルギー供給装置内に配置される。本発明の実施形態の開発時に実施した実験では、出力が相対的に高い同軸性伝達線を備えたエネルギー供給装置に比べて、(例えば、同一プローブ内に配置される)(例えば、13ゲージの針の中に配置される)出力が相対的に低い3つの同軸性伝達線を備えたエネルギー供給装置の方が、大量のエネルギーを長い時間にわたって供給できると判定された。
【0073】
一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、チューニング能力を最適化した三軸マイクロ波プローブを備えている(例えば、米国特許第7,101,369号を参照。さらに、米国特許出願第10/834,802号、第11/236,985号、第11/237,136号、第11,237,430号、第11/440,331号、第11/452,637号、第11/502,783号、第11/514,628号、および、国際特許出願第PCT/US05/14534号も参照。なお、この特許および特許出願の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。上記三軸マイクロ波プローブは、特定の最適化されたチューニング能力に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記三軸マイクロ波プローブは、特定の組織タイプに合わせた、所定の最適化されたチューニング能力を有する。
図33は、第1の導電33100、第1の導電33100の周囲に同軸性に設けられているが絶縁はされている第2の導電33200、および、第1の導電33100および、第2の導電33200の周囲に同軸性に設けられた管状の第3の導電33300を備えた三軸マイクロ波プローブ33000を示している。一部の実施形態では、上記第1の導電33100は、例えば、マイクロ波アブレーションを実施するために三軸マイクロ波プローブ33000の遠位端を身体内に挿入する際には、第2の導電33200越えて組織内へ延びるように構成される。
図33に示すように、上記第1の導電33100が第2の導電33200から延ばされる距離は、アクティブ長33400である。一部の実施形態では、上記第2の導電33200は、第3の導電33300越えて組織内へ延びるように構成される。
図33に示すように、上記第2の導電33200が第3の導電33300から延ばされる距離は、挿入深さ33500である。本発明の実施形態の開発時に実施した実験では、特定の組織タイプの場合の最適な挿入深さおよびアクティブ長を測定して求めた。例えば、三軸マイクロ波プローブを
図33に示すように肺組織に用いると、最適な挿入深さは3.6mmであり、最適なアクティブ長は16mmであった。例えば、三軸マイクロ波プローブを
図33に示すように肝組織に用いると、最適な挿入深さは3.6mmであり、最適なアクティブ長は15mmであった。例えば、三軸マイクロ波プローブを
図33に示すように腎臓組織に用いると、最適な挿入深さは3.6mmであり、最適なアクティブ長は15mmであった。一部の実施形態では、三軸マイクロ波プローブは、より小さな組織領域にアブレーションを実施する(例えば、器官のエッジ部だけをアブレーションしたり、小さな腫瘍をアブレーションしたりする)ように構成される。このような実施形態では、(例えば、ワイヤが先端に接触して小さなアブレーション領域が維持できるように)第1の導電の長さが低減される。
【0074】
一部の実施形態では、本発明の装置は、取り外し可能な取手部に取り付けられるように構成される。本発明は、特定のタイプの取り外し可能な取手部に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記取り外し可能な取手部は、このような装置を介してエネルギー供給を制御することを目的として、複数(例えば、1台、2台、3台、4台、5台、10台、20台、50台、...)の装置に接続するように構成される。一部の実施形態では、上記取手部は、エネルギー供給装置に出力を供給するための出力増幅器を有するように設計される。
【0075】
一部の実施形態では、上記装置は、エネルギーを供給することを目的として、特定の組織領域を物理的に囲むように設計される(例えば、上記装置は、特定の組織領域の周囲に配置される可撓性を有する形状であってもよい)。例えば、一部の実施形態では、上記装置は、上記組織内の領域にエネルギーを精密に供給することを目的として、血管(例えば、肺静脈)の周囲に配置される可撓性を有する形状であってもよい。
【0076】
一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、圧縮力を受けた際に形状が維持できるように構成される。上記エネルギー供給装置は、圧縮力を受けた際に形状を維持するための特定の構成に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、圧縮時に形状を維持することを目的として、引張りワイヤシステムを内部に有する。本発明は、特定のタイプの引張りワイヤシステムに限定されるものではない。一部の実施形態では、上記引張りワイヤシステムは、引張りワイヤ繋留部に接続された1つ以上(例えば、1本、2本、5本、10本、50本)の引張りワイヤを備えている。一部の実施形態では、上記引張りワイヤ繋留部に接続された1つ以上の引張りワイヤを縮める(例えば、押す、引く)(例えば、ユーザが縮める)と、エネルギー供給装置が可撓性を有しない状態になり、その結果、エネルギー供給装置は、圧縮力を受けても形状が維持できるようになる。一部の実施形態では、上記引張りワイヤは、縮めた位置でロック可能であってもかまわない。一部の実施形態では、引張りワイヤ繋留部に接続された1つ以上の引張りワイヤを有するエネルギー供給装置は、引張りワイヤが縮んでいない状態において、可撓性を維持する。
図14は、引張りワイヤ繋留部1430に接続された2つの引張りワイヤ1410、1420を有するエネルギー供給装置1400を示している。一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、対称に配置され、事前に応力を受けた状態の3つの以上の引張りワイヤを備えている。事前に応力を受けることによって、該引張りワイヤは一定の可撓性を有しない形状を形成する。一部の実施形態では、上記引張りワイヤは、(例えば、電気刺激、圧縮刺激)刺激に応じて、自動的に縮むように構成される(例えば、筋肉ワイヤ)。一部の実施形態では、上記引張りワイヤは、圧縮力に応じて均衡力(例えば、反作用力)を提供するように構成される。一部の実施形態では、上記引張りワイヤは、特定の温度で屈曲するように設計される(例えば、超弾性ニチノールワイヤ)。一部の実施形態では、特定の温度における引張りワイヤの屈曲は、処置状態のモニタリングのために使用可能に検出可能イベントである。
【0077】
一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、可撓性を有する領域および可撓性を有しない領域をどちらも有するように構成される。上記エネルギー供給装置は、可撓性を有する領域および可撓性を有しない領域をどちらも有するための特定の構成に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記可撓性を有する領域はプラスチック(例えば、PEEK)を含んでなる。一部の実施形態では、上記可撓性を有しない領域はセラミックを含んでなる。上記可撓性を有する領域および可撓性を有しない領域は、上記エネルギー供給装置内の特定の位置に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記可撓性を有する領域は、マイクロ波場放射の量が比較的低い領域に配置される。一部の実施形態では、上記可撓性を有しない領域は、マイクロ波場放射の量が大きな領域に配置される(例えば、高い誘電性レベルおよび機械的剛性を提供するためにアンテナの近位部に被るように配置される)。
図15は、複数の(例えば、セラミック製の)可撓性を有しない領域1510および1520、ならびに、(例えば、PEEK製の)可撓性を有する領域1530を有するエネルギー供給装置1500の外観図を示している。
図17は、複数の可撓性を有しない領域1710および1720、ならびに、可撓性を有する領域1730を有するエネルギー供給装置1700の断面図を示している。図示するように、上記可撓性を有しない領域1710および1720は、例えば、カニューレと結合するためにより大きな表面積が提供できるように、および、例えば、屈曲力から受ける応力がより大きな表面積にわたって分散できるように、テーパ形状を有する。図示するように、上記可撓性を有する領域1730は、大きな直径によって強度を改善することを目的として、結合部の外側に配置される。一部の実施形態では、上記可撓性を有しない領域のテーパ形状は結合材料で充填され、さらなる強度を提供する。一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、さらなる耐久性が提供できるように遠位部(例えば、アンテナ)に被るように熱収縮部を有する。
【0078】
一部の実施形態では、上記アンテナの素材は耐久性を有し、高い比誘電率を提供する。一部の実施形態では、上記アンテナの素材は、ジルコニウムおよび/またはジルコニウムと機能的に等価な材料である。一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、同一または個々の電源装置に取り付けられた2つ以上の別々のアンテナとして設けられている。一部の実施形態では、上記各アンテナが同一取手部に取り付けられ、別の実施形態では、各アンテナについて異なる取手部が設けられる。一部の実施形態では、複数のアンテナが、患者内において所望の強度および配置でエネルギーを供給するために、患者内において同時にまたは順番に(例えば、切り替え)使用される。一部の実施形態では、上記アンテナは個別に制御可能である。一部の実施形態では、上記複数のアンテナは、一人のユーザによって、コンピュータによって、または、複数のユーザによって操作されてもかまわない。
【0079】
一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、無菌域の内側で動作するように設計される。本発明は、特定の無菌域の状起用に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記無菌域には、被験体の周囲の領域(例えば、手術台)を含める。一部の実施形態では、上記無菌域には、無菌化されたもの(例えば、無菌化装置、無菌化付属物、無菌化身体部位)にのみアクセスを可能にする任意の領域をも含める。一部の実施形態では、上記無菌域には、病原体に感染しやすい任意の領域をも含める。一部の実施形態では、上記無菌域は、無菌域と非滅菌域との間に仕切りを形成する無菌域仕切りを内部に有する。本発明は、特定の無菌域仕切りに限定されるものではない。一部の実施形態では、上記無菌域仕切りは、本発明の(例えば、組織アブレーション)システムを利用した処置を受ける被験体の周囲のドレープである。一部の実施形態では、部屋が無菌であり、無菌域を提供する。一部の実施形態では、上記無菌域仕切りは、本発明のシステムのユーザ(例えば、医師)によって設置される。一部の実施形態では、上記無菌域仕切りは、非滅菌物が無菌域に侵入することを阻害する。一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は無菌域に設けられる一方で、システムの1つ以上の他のコンポーネント(例えば、電源装置)は、無菌域に設けられない。
【0080】
一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、上記エネルギー供給装置の望ましくない使用を防止するように設計された保護センサを内部に有する。上記エネルギー供給装置は、特定のタイプまたは種類の保護センサに限定されるものではない。一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、例えば、上記エネルギー供給装置および/またはエネルギー供給装置に接触する組織の温度を測定するように設計された温度センサを内部に有する。一部の実施形態では、温度があるレベルに達すると、上記センサが、例えば、プロセッサを介してユーザに警告を伝える。一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、エネルギー供給装置の皮膚(例えば、皮膚の外表面)との接触を検出するように設計された皮膚接触センサを内部に有する。一部の実施形態では、所望ではない皮膚と接触すると、上記皮膚接触センサは、例えば、プロセッサを介してユーザに警告を伝える。一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、エネルギー供給装置の周囲の空気との接触を検出する(例えば、上記装置を通過する電気の反射力の測定によって検出する)ように設計された空気接触センサを内部に有する。一部の実施形態では、所望しない空気と接触すると上記皮膚接触センサは、例えば、プロセッサを介してユーザに警告を伝える。一部の実施形態では、上記センサは、望ましくない事象(例えば、皮膚との接触、空気との接触、望ましくない温度上昇/減少)の発生を検出すると、(例えば、出力の供給自動的に抑制または防止することによって)上記エネルギー供給装置の使用を防止するように設計される。一部の実施形態では、上記センサは、望ましくない事象が存在しない状況ではプロセッサが通知を表示(例えば、緑色ランプ)できるように、プロセッサと通信する。一部の実施形態では、上記センサは、プロセッサが望ましくない事象が存在する状況では通知を表示(例えば、赤色ランプ)し、かつ、望ましくない事象を特定できるように、プロセッサと通信する。
【0081】
一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、製造業者が勧める出力定格値を超えて使用される。一部の実施形態では、より大きな出力の供給を可能にするために、本明細書に記載された冷却法が適用される。本発明は、特定の量の出力増加に限定されるものではない。一部の実施形態では、出力定格値は、製造業者の推奨値を5倍以上(例えば、5倍、6倍、10倍、15倍、20倍など)超える。
【0082】
さらに、本発明の装置は、上記装置の異なる領域(例えば、複数の外側導電セグメントギャップ部。詳細な説明については後述する)から、(例えば、ユーザによって制御されて)互いに異なる時刻に、および、(例えば、ユーザによって制御されて)異なるエネルギー強度でエネルギーを供給するように構成される。上記装置に対するこのような制御によって、特定の組織領域における建設的な位相干渉、または、特定の組織領域における破壊的な位相干渉を実現することを目的とする、エネルギー供給場の位相設定が可能になる。例えば、ユーザは、組み合わせたエネルギー強度(例えば、建設的な位相干渉)を実現するために、2つ(または2つ以上)の近接して配置された外側導電セグメントを介したエネルギー供給を採用してもかまわない。このような組み合わせたエネルギー強度は、特に深いまたは高密度な組織領域の場合に有用であり得る。さらに、このような組み合わせたエネルギー強度を、2つ(または2つ以上)の装置を使用することによって実現してもよい。一部の実施形態では、1つ以上の装置間の位相干渉(例えば、建設的な位相干渉、破壊的な位相干渉)が、プロセッサ、チューニング部材、ユーザ、および/または、出力分割器によって制御される。これにより、ユーザは、アブレーションゾーンを精密に彫るために、上記装置の異なる領域を介したエネルギーの放出を制御し、かつ、該装置の各領域を介して供給されるエネルギーの量を制御することができる。
【0083】
一部の実施形態では、本発明のエネルギー供給システムは、特性インピーダンスが最適化されたエネルギー供給装置、冷却路流路を有するエネルギー供給装置、CFダイポールを有するエネルギー供給装置、および、アンテナコンポーネントのリニアアレイを有するエネルギー供給装置を使用する(詳細については、それぞれ、前述または後述されている)。
【0084】
上述の発明の概要に記載するように、本発明は、上記装置を冷却するさまざまな方法を提供する。一部の実施形態では、融解すると、吸熱反応を起こす化学材料が互いに接触することができるようにする、融解可能な仕切りを採用する。このような実施形態の一例を
図3に示す。
図3Aおよび
図3Bは、望ましくない装置の加熱(例えば、外側導電部にそった加熱)を防止することを目的して、分割セグメントを有し、第1の材料および第2の材料が融解可能な壁によって互いから遮断された、同軸性伝達線(例えば、流路)の領域を示している。
図3Aおよび
図3Bは、本発明の任意のエネルギー供給装置内で使用できるように構成された標準的な同軸性伝達線300を示す。
図3Aに示すように、上記同軸性伝達線300は、中央部導電310、誘電性材料320、および、外側導電部330を有する。さらに、上記同軸性伝達線300は、複数の壁350(例えば、融解可能なワックス製壁)によって隔離された4つの分割セグメント340を内部に有する。上記分割セグメント340は、第1の分割セグメント360および第2の分割セグメント370に分割される。一部の実施形態では、
図3Aに示すように、上記第1の分割セグメント360および第2の分割セグメント370は、連続的にスタガー配置されている。
図3Aに示すように、第1の分割セグメント360は第1の材料(タイプ1の影付き部)を収納し、第2の分割セグメント370は第2の材料(タイプ2の影付き部)を収納している。上記壁350は、第1の材料および第2の材料が混ざることを防止する。
図3Bは、
図3Aに示す同軸性伝達線300の、イベント(例えば、分割セグメント340のうちの1つにおける温度上昇)後の様子を示している。図示するように、上記壁350のうちの1つが融解し、これによって、上記領域360に収納された第1の材料と上記領域370に収納された第2の材料が混合可能になる。
図3Bは、さらに、上記温度上昇がある温度閾値を超えなかった、融解していない壁350を示している。
【0085】
図4は、別の実施形態を示している。
図4Aおよび
図4Bは、望ましくない装置の加熱(例えば、外側導電部にそった加熱)を防止することを目的して、融解可能な壁によって隔離された、第1の材料および第2の材料(例えば、混合されると温度降下性の化学反応を起こすように構成された材料)を収納する分割セグメントを有する同軸性伝達線の実施形態を示している。
図4Aおよび
図4Bは、本発明の任意のエネルギー供給装置内で使用できるように構成された同軸性伝達線400を示している。
図4Aに示すように、上記同軸性伝達線400は、中央部導電410、誘電性材料420、および、外側導電部430を有する。さらに、上記同軸性伝達線400は、複数の壁450によって隔離された4つの分割セグメント440を内部に有する。上記各壁450は、第2の材料470から隔離された第1の材料460を収納する。
図4Bは、
図4Aに示す同軸性伝達線400の、イベント(例えば、分割セグメント440のうちの1つにおける温度上昇)後の様子を示している。図示するように、壁450のうちの1つが融解し、これによって、隣り合う分割セグメント440中において上記第1の材料460と上記第2の材料470が混合可能になる。
図4Bは、さらに、上記温度上昇がある温度閾値を超えなかった、融解していない壁450を示している。
【0086】
一部の実施形態では、上記装置は、特定の組織領域において上記アンテナを固定するための繋留部材をさらに備えている。上記装置は、特定のタイプの繋留部材に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記繋留部材は膨張可能なバルーンである(例えば、このバルーンが膨張すると、アンテナが特定の組織領域において固定される)。膨張可能なバルーンを繋留部材として使用することによる別の効果は、バルーンが膨張すると、特定の領域への血流または気流が阻害されることである。このような空気または血流の阻害は、例えば、心臓のアブレーション処置、ならびに、肺組織、血管組織、および、消化管組織が関与するアブレーション処置において、特に有用である。一部の実施形態では、上記繋留部材は、特定の組織領域に嵌合(例えば、ラッチ)するように設計されたアンテナの延長部分である。別の例としては、米国特許第6,364,876号および第5,741,249号に記載の繋留部材などがあげられるが、これらの例に限定されるものではない。なお、これらの特許の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、上記繋留部材は、アンテナと組織との間のインターフェースを凍結させ、これによりアンテナを所定の位置に付着させる循環剤(例えば、臨界点、または、その近傍まで供給される気体;具体的には、例えば、CO2)を備えている。このような実施形態では、組織が融解しても、組織が乾燥しているので、上記アンテナは上記組織領域に固定されたままである。
【0087】
したがって、一部の実施形態では、本発明の装置は、多量の空気および/または血流を有する組織領域(例えば、肺組織、心臓組織、消化管組織、血管組織)のアブレーションにおいて使用される。多量の空気および/または血流を有する組織領域のアブレーションが関与する一部の実施形態では、上記組織領域への空気および/または血流を阻害するための部材がさらに使用される。本発明は、特定の空気および/または血流阻害部材に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記装置は、気管内の管/気管支内の管と組み合わせられる。一部の実施形態では、上記装置を所望の組織領域内で固定し、上記所望の組織領域への血流および/または気流を阻害することを目的として、上記装置に取り付けられたバルーンを組織領域において膨張させてもかまわない。
【0088】
したがって、一部の実施形態では、本発明のシステム、装置、および、方法は、流路を閉塞(例えば、気管支を閉塞)させるコンポーネントと結合されるアブレーション装置を提供する。該閉塞コンポーネント(例えば、膨張可能なバルーン)は、アブレーションシステムに直接取り付けられても、上記システムに関連する別のコンポーネント(例えば、気管内の管、または、気管支内の管)と組み合わせて使用されてもかまわない。一部の実施形態では、本発明の装置は、別の医療処置装置に取り付けられてもかまわない。例えば、上記装置は、内視鏡、血管内カテーテル、または、腹腔鏡に取り付けられてもかまわない。一部の実施形態では、上記装置は、操縦可能なカテーテルに取り付けられる。一部の実施形態では、可撓性を有するカテーテルが、内視鏡、血管内カテーテル、または、腹腔鏡に取り付けられる。例えば、上記可撓性を有するカテーテルは、一部の実施形態では、所望に応じて屈曲および操作し、治療を行いたい所望の位置まで到達できるように、(例えば、ムカデのように)複数の結合部を有する。
【0089】
一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、例えば、エネルギー供給装置の内部を分離して装置の一部分または複数部分の冷却または加熱を防止する一方で、その他の部分の冷却または加熱を可能にするように設計されたプラグ領域を内部に有する。該プラグ領域は、エネルギー供給装置の所望の一領域または複数の領域をその他の領域から分離するように構成される。一部の実施形態では、上記プラグ領域は、エネルギー供給装置の1つ以上の領域の冷却を防止するように設計される。一部の実施形態では、上記プラグ領域は、上記エネルギー供給装置の、アブレーションエネルギー供給するように構成された部分の冷却を防止するように設計される。上記プラグ領域は、上記装置の一部の冷却を防止する特定の様式に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記プラグ領域は、温度を降下させた領域(例えば、循環クーラントを備えたエネルギー供給装置の一領域)に接触するように設計される。一部の実施形態では、上記プラグ領域の素材は、低温の材料または領域に接触しても、自分の温度は大きく下げないでいられるような素材である(例えば、断熱性の材料)である。上記プラグ領域は、特定のタイプの断熱性材料(例えば、合成ポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリアイシネン、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート)、エアロゲル、繊維ガラス、コルク)に限定されるものではない。上記プラグ領域は、特定のサイズに限定されるものではない。一部の実施形態では、上記プラグ領域のサイズは、循環クーラントがエネルギー供給装置の他の領域の温度を降下させる冷却効果が防止できるようなサイズである。一部の実施形態では、上記プラグ領域は、エネルギー供給装置の全体のカニューレ部にそって配置される。一部の実施形態では、上記プラグ領域は、エネルギー供給装置のカニューレ部の遠位部に配置される。一部の実施形態では、上記プラグ領域は、エネルギー供給装置のカニューレ部の外部を回り込むように配置されている。
【0090】
一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、エネルギー供給装置を組織領域に固定できるように設計された“付着”領域を内部に有する。該付着領域は、エネルギー供給装置の組織領域への接着を促進する特定の様式に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記付着領域は、低い温度を実現および維持し、その結果、上記組織領域は組織領域に接触すると付着領域に付着し、これにより、エネルギー供給装置が組織領域に取り付け可能になるように構成される。上記付着領域は、特定の材料組成に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記付着領域は、例えば、金属材、セラミック材、プラスチック材、および/または、このような材料の任意の組み合わせである。一部の実施形態では、上記付着領域は、組織領域に接触すると、付着領域に対する組織領域の付着が誘発されるような温度を実現および維持可能な任意の種類の材料を備えている。上記付着領域は、特定のサイズに限定されるものではない。一部の実施形態では、上記付着領域のサイズは、同時に組織アブレーションを実施する間、および/または、エネルギー供給装置を同時に移動(例えば、位置決め)する間、組織領域の付着を維持できるようなサイズである。一部の実施形態では、2つ以上の付着領域が設けられる。一部の実施形態では、上記付着領域は、封止部を用いて、上記装置の遠位部に対して曝露されることが防止される。一部の実施形態では、上記封止部は、上記装置の上記付着領域と遠位部との間に配置され、これにより、上記遠位部に対する付着領域の曝露が防止される。一部の実施形態では、上記封止部は、空気も気体も通さない様式で構成される。一部の実施形態では、上記封止部は、上記装置(例えば、同軸性を有する領域)に対してレーザ溶接が実施された部分である。一部の実施形態では、上記封止部は、上記装置(例えば、同軸性を有する領域)に対して誘導半田付けが実施された部分である。一部の実施形態では、上記封止部は、部分的な(例えば、60%:40%、55%:45%、50%:50%)レーザ溶接および誘導半田付けが実施された部分である。
【0091】
図29は、本発明のエネルギー供給装置の実施形態を示している。図示するように、エネルギー供給装置100が、アブレーションゾーン105の近傍において配置されている。図示するように、上記エネルギー供給装置100は、取手部130に接続される、冷却管110およびケーブルアッセンブリー120を有し、該取手部130はアンテナ領域150に接続される冷却プローブカニューレ140に接続される。図示するように、冷却プローブカニューレ140とアンテナ領域150との間の領域は、付着領域160およびプラグ領域170を備えている。上記付着領域160は、組織領域が付着領域の表面に付着することを可能にする温度を実現および維持するように設計される。上記プラグ領域170は、冷却プローブカニューレ140および付着領域160によって引き起こされる温度降下が、アンテナ領域150内の温度に影響を及ぼす(例えば、温度を降下させる)ことを防止するように設計される。図示するように、これらの実施形態では、上記アブレーションゾーン105には、上記エネルギー供給装置100の冷却領域(例えば、上記冷却プローブカニューレ140および付着領域160)も、エネルギー供給装置100の非冷却領域(例えば、上記プラグ領域170およびアンテナ領域150)も、どちらも含める。
【0092】
〔特性インピーダンスを最適化したエネルギー供給装置〕
一部の実施形態では、本発明のエネルギー供給システムは、マイクロ波エネルギーを最適化された特性インピーダンスで供給できるように構成された装置を使用する(例えば、米国特許出願第11/728,428号を参照。なお、この特許出願の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。このような装置は、50Ωより高い(例えば、50Ω~90Ωであって、例えば、50Ω、...、55Ω、56Ω、57Ω、58Ω、59Ω、60Ω、61Ω、62Ω、...、90Ωより高く、好ましくは77Ωであるである)特性インピーダンスで動作するように構成される。
【0093】
最適化された特性インピーダンスで動作するように構成されたエネルギー供給装置は、組織アブレーション処置に関して特に有用であり、最適化されていない装置に比べると多数の効果を提供する。例えば、マイクロ波エネルギーを使用する、現在利用可能な医療機器の大きな短所は、伝達線を介した被験体の組織への望ましくないエネルギー放散であり、この結果、望ましくない熱傷が起きる。このようなマイクロ波エネルギーの損失は、現在利用可能な医療機器の設計における制限が原因となって生じる。医療機器内の同軸性伝達線の標準的なインピーダンスは50以下である。一般に、インピーダンスが50Ωより低い同軸性伝達線は、有限な導電率値を有する誘電性材料を含んでいるので、熱損失量が大きい。したがって、インピーダンスが50Ω以下の同軸性伝達線を備えた医療機器は、伝達線にそって発生する熱損失量が大きい。特に、マイクロ波エネルギーを使用する医療機器は、内部の内側導電部の周囲に誘電性材料(例えば、ポリ四フッ化エチレン(“PTFE”:polyfluorothetraethylene))を有する同軸ケーブルを介してエネルギーを伝達する。例えば、PTFEなどの誘電性材料は有限の導電率を有し、その結果、望ましくない伝達線の加熱が起きる。これは、必要な量のエネルギーが組織アブレーションを可能にするために十分な時間を使って供給される場合に、特に当てはまる。最適化された特性インピーダンスで動作するように構成されたエネルギー供給装置は、固体誘電性材料からなる絶縁体を含まない、または、ほぼ含まないことによって、この制限を解消する。例えば、従来の誘電性材料からなる絶縁体の代わりに空気を用いると、その結果、装置が77Ωで効率的に動作する。一部の実施形態では、上記装置は、導電率がほぼゼロである誘電性材料(例えば、空気、水、不活性ガス、真空状態、部分真空状態、または、これらの組み合わせ)を採用する。このような装置内の伝達線の全体的な温度は、導電率がほぼゼロの誘電性材料を有する同軸性伝達線を使用することによって大幅に低減され、したがって、望ましくない組織の加熱を大幅に低減する。
【0094】
さらに、導電率がほぼゼロの誘電性材料を有する同軸性伝達線を設けて、典型的な誘電体ポリマーの使用を回避することによって、上記同軸性伝達線を、小さな針(例えば、18ゲージ~20ゲージの針)の内部に収まるように設計してもかまわない。通常、マイクロ波エネルギーを供給するように構成される医療機器は、誘電性材料が嵩高いので、大きな針の内部に収まるように設計される。従来、マイクロ波アブレーションは、プローブのサイズ(14ゲージ)が大きく、唯一市販されている装置(Microtaze、Nippon Shoji社、大阪、日本、2.450MHz、プローブ直径1.6mm、70Wで60秒間の照射)が形成する壊死ゾーンが比較的小さい(直径が1.6cm)ので、臨床的には広く適用されてこなかった(Seki T et al,Cancer 74:817(1994))。他の装置では、同様にプローブサイズを増加させ、組織破壊を増加させかねない冷却用外部水ジャケット部が使用される。これらの大きなプローブサイズによって、胸部郭および腹部において使用されると、合併症のリスクが増大する。
【0095】
〔クーラント通過流路を備えたエネルギー供給装置〕
一部の実施形態では、本発明のエネルギー供給システムは、クーラント通過流路を有するエネルギー供給装置を使用する(例えば、米国特許第6,461,351号および米国特許出願第11/728,460号を参照。なお、この特許および特許出願の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。特に、本発明のエネルギー供給システムは、上記同軸性コンポーネントの誘電体および/または内側導電部または外側導電部に冷却材料を流すことによって冷却することができる同軸性伝達線を備えた装置を使用する。一部の実施形態では、上記装置は装置の直径を最小化する一方で、クーラントの出し入れを可能にするように構成される。これは、一部の実施形態では、細長い一片の内側導電部または外側導電部および/または固体誘電性材料を、クーラントが搬送される通り道となる流路に置き換えることによって実現される。一部の実施形態では、上記流路は、上記外側導電部または内側導電部および/または固体誘電性材料を1つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ)のゾーンから同軸ケーブルの長さ方向に剥がすことによって形成される。上記外側導電部または内側導電部および/または固体誘電性材料が剥がされた部分がクーラントを搬送するための流路を形成することによって、剥がされたコンポーネントは、外側導電部または内側導電部および/または固体誘電性材料を除去する前に比べてより小さな外側導電部内に収まる。これにより、より小さな装置が、ここから得られるすべての効果とともに提供できるようになる。一部の実施形態では、複数の流路が採用され、クーラントは、1つ以上の流路を介して別の向きに搬送されてもかまわない。このような装置の1つの効果は、クーラントを収容するために、上記同軸ケーブルの直径を増加させなくてもよいことである。これにより、侵襲性が最低限に抑えられ、他の装置では全くアクセス不可能か、または、アクセスできても望ましくないリスクを必ずともなう身体領域へのアクセスを可能にする、冷却された装置を使用することができるようになる。クーラントを使用することによって、より大きなエネルギーの供給および/または長い時間を要するエネルギーの供給を実施することも可能になる。さらに別の冷却の実施形態については、上述の発明の概要において記載した。
【0096】
一部の実施形態では、上記装置は、装置に取り付けられた取手部を有し、該取手部は、例えば、クーラントのクーラント流路への、および、クーラント流路からの出入りを制御するように構成される。一部の実施形態では、上記取手部は、ある長さの時間の経過後、および/または、装置がある閾値温度に達すると、クーラントをクーラント流路へ、および、クーラント流路から自動的に流す。一部の実施形態では、上記取手部は、ある長さの時間の経過後、および/または、装置の温度がある閾値温度未満にまで降下すると、クーラント流路への、および、クーラント流路からのクーラントの出入りを自動的に停止させる。一部の実施形態では、上記取手部は、クーラントの流れを調節するために手動で制御される。
【0097】
一部の実施形態では、上記取手部は、1つ以上の(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個など)の点灯部(例えば、表示灯(例えば、LEDランプ))を表面部に有する。一部の実施形態では、該点灯部は、特定することを目的として構成される。例えば、一部の実施形態では、上記点灯部を使用して、装置の特定の機能がアクティブであるか、アクティブではないかを示す。例えば、装置が複数のプローブを有する場合、1つ以上の点灯部を使用して、任意の個々のプローブに電力が供給されているかいないかを示す。一部の実施形態では、上記点灯部を使用して、イベント(例えば、装置を介したクーラントの搬送、装置を介したエネルギーの伝達、個々のプローブの移動、装置内部の設定(例えば、温度や配置)の変更など)の発生を特定する。上記取手部は、特定の様式の表示(例えば、点滅、色の切り替え、無色など)に限定されるものではない。
図30は、3つのLEDランプ31000、32000、および、33000を備えた装置30000を示している。
図31は、このような装置30000を使用している様子を示しており、該装置は3つのLEDランプ31000、32000、および、33000を備えている。
【0098】
図5は、クーラントのクーラント流路への、および、クーラント流路からの出入りを制御するように構成された取手部の概略図を示している。
図5に示すように、上記取手部500は、クーラント流路520を有する同軸性伝達線510に嵌合する。上記取手部500は、クーラント流入流路530、クーラント流出流路540、流路520を通る流れがブロッキングコンポーネントの向こう側へは達しないように構成された第1のブロッキングコンポーネント550(例えば、スクリューやピン)および第2のブロッキングコンポーネント560を内部に有する。上記クーラント流入流路530は、クーラント流路520へクーラントを流すように構成される。上記クーラント流出流路540は、(例えば、循環して、装置から熱を取り除いた後の)クーラントをクーラント流路520から取り出すように構成される。上記クーラント流入流路530およびクーラント流出流路540は、クーラントを供給および取り出すための特定のサイズまたは手段に限定されるものではない。上記第1のブロッキングコンポーネント550および第2のブロッキングコンポーネント560は、特定のサイズまたは形状に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記第1のブロッキングコンポーネント550および第2のブロッキングコンポーネント560は、それぞれ、円形状であって、クーラント流入流路530およびクーラント流出流路540の直径に合うサイズを有する。一部の実施形態では、上記第1のブロッキングコンポーネント550および第2のブロッキングコンポーネント560を使用して、取手部500のある領域へのクーラントの逆流を遮断する。一部の実施形態では、上記ブロッキングコンポーネントは、上記流路の一部(例えば、1%、5%、10%、20%、50%、75%、85%、95%、99%)だけが遮断されるように構成される。一部だけを遮断することによって、ユーザが、例えば、クーラント流路520内の圧力勾配を変更することができるようになる。
【0099】
クーラント通過流路を有するエネルギー供給装置によって、上記同軸性伝達線の特性インピーダンスを調節することができるようになる。特に、上記クーラント(または、流路を通過する非クーラント材料)の誘電特性を調節して、外側導電部と内側導電部とを分離する誘電性媒体のバルクの複素誘電率を、変更してもかまわない。したがって、上記特性インピーダンスの変更は、処置中に、例えば、システム、装置、または、応用事例のエネルギー供給、組織に対する効果、温度、または、その他の所望の特性を最適化するために実施される。別の一部の実施形態では、流す材料を処置に先立って所望のパラメータに基づいて選択し、処置全体を通して維持する。これにより、このような装置によって、変化する誘電性環境中で放射しているアンテナを変化する環境中で共振するように調節し、例えば、アンテナの適応チューニングを可能にして、動作ピーク効率が保証できるようになる。所望に応じて、上記流体は、同軸ケーブルへの、および、同軸ケーブルからの熱伝達も可能にする。一部の実施形態では、上記流路(つまり中空領域)は、真空部または部分真空部を有する。一部の実施形態では、上記真空部に材料(例えば、所望の結果をもたらす任意の材料)を充填することによって、インピーダンスを変更する。調節は、1つ以上の時点または連続的に実施される。
【0100】
クーラント通過流路を有するエネルギー供給装置は、特定の態様の流路に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記流路は、流れる材料が上記内側導電部または外側導電部のいずれか、および、残存する誘電性材料に接触するように、外側導電部または内側導電部および/または固体誘電性材料の一部だけを切除して形成される。一部の実施形態では、上記流路は、同軸ケーブルの長さ方向に延びる線状の流路である。一部の実施形態では、上記流路は線状ではない。一部の実施形態では、複数の流路が使用され、上記流路は互いに平行に延びる。別の一部の実施形態では、上記流路は平行ではない。一部の実施形態では、上記流路は互いに交差する。一部の実施形態では、上記流路は、外側導電部または内側導電部および/または固体誘電性材料の50%(例えば、60%、70%、80%など)を除去する。一部の実施形態では、上記流路は、上記外側導電部または内側導電部および/または固体誘電性材料のほぼすべてを除去する。
【0101】
クーラント通過流路を有するエネルギー供給装置は、上記外側導電部または内側導電部および/または固体誘電性材料に流される材料の特徴によって限定されるものではない。一部の実施形態では、上記材料は、装置の特性インピーダンスを制御する能力を最大化する、上記同軸ケーブルへの、または、同軸ケーブルからの熱伝達を最大化する、または、特性インピーダンスの制御と熱伝達の制御との組み合わせを最適化するように選択される。一部の実施形態では、上記外側導電部または内側導電部および/または固体誘電性材料に流される材料は液体である。一部の実施形態では、上記材料は気体である。一部の実施形態では、上記材料は液体または気体の組み合わせである。本発明は、液体または気体の使用に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記材料はスラリー、ゲルなどである。一部の実施形態では、冷却流体が使用される。現在公知または将来開発される任意の冷却流体を使用してもかまわない。冷却流体の例としては、水、グリコール、空気、不活性気体、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、六フッ化硫黄、イオン性溶液(例えば、カリウムなどのイオンを含む、または、含まない塩化ナトリウム)、水に溶解したブドウ糖、リンゲル乳酸液、有機化合物溶液(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、または、プロピレングリコール)、油(例えば、ミネラルオイル、シリコーンオイル、フルオロカーボンオイル)、液体金属、フレオン、ハロメタン、液化プロパン、その他のハロアルカン、無水アンモニア、二酸化硫黄のうちの1つ以上の流体や、これらの組み合わせなどがあげられるが、これらの例に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記冷却流体は、エネルギー供給装置への供給に先立って事前に冷却される。一部の実施形態では、上記冷却流体は、エネルギー供給装置に入った後に冷却ユニットで冷却される。一部の実施形態では、上記誘電性材料を通して流される材料は、別の材料に接触すると吸熱反応を起こすように設計される。
【0102】
クーラント通過流路を有するエネルギー供給装置は、上記装置を介する流体注入のパラメータを制御できるように構成される。一部の実施形態では、上記装置は、所望に応じてユーザ(例えば、治療にあたる医師または技師)によって手動で調節される。一部の実施形態では、上記調節は自動化されている。一部の実施形態では、上記装置は、情報をユーザに提供するセンサ、または、(例えば、情報を受信し、これに応じて、流体注入、または、その他の装置パラメータを調節するように構成されるプロセッサおよび/またはソフトウェアを備えた)自動化システムとともに構成または使用される。調整されてもよいパラメータとしては、流体の注入速度、イオン、または、その他の流体の特性に影響を及ぼす成分の濃度(例えば、誘電特性、熱伝達特性、流速など)、流体の温度、流体のタイプ、混合比(例えば、精密なチューニングまたは冷却を行うための気体と流体との混合物)などがあげられるが、これらの例に限定されるものではない。これにより、クーラント通過流路を有するエネルギー供給装置は、上記装置、該装置の一部、または、被験体の組織が望ましくない温度に達した(または、ある温度が望ましくない期間続いた)場合、1つ以上の所望のパラメータを変更して上記装置(例えば、アンテナ)をさらに精度よくチューニングする、または、流体の注入をスピードアップするフィードバックループを採用するように構成される。
【0103】
クーラント通過流路を有するエネルギー供給装置は、現在利用可能なシステムおよび装置と比較すると、多数の効果を提供する。例えば、固体誘電性材料の一部および大部分を取り除いて形成された流路を同軸性伝達線に設けることによって、該同軸性伝達線を非常に小さな針(例えば、18ゲージ~20ゲージ、または、さらに小さな針)に収められるように設計できるようになる。通常、マイクロ波エネルギーを供給するように構成される医療機器は、誘電性材料が嵩高いので、大きな針の内部に収まるように設計される。他の装置では、同様にプローブサイズを増加させ、組織破壊を増加させかねない冷却用外部水ジャケット部が使用される。これらの大きなプローブサイズによって、胸部郭および腹部において使用されると、合併症のリスクが増加する。本発明の一部の実施形態では、被験体内に侵入する装置部分の最大外径は、16ゲージ~18ゲージ以下(20ゲージ以下)である。
【0104】
図6は、標準的な同軸ケーブルの実施形態、および、クーラント流路を有する本発明の実施形態の横断面概略図を示している。
図6に示すように、従来の同軸ケーブル600、ならびに、本発明の2つの例としての同軸ケーブル610および620が提供される。同軸ケーブルは、一般に、金属製内側導電部630、金属製外側導電部650、および、これらの導電部間のスペースとの、3つの分離されたスペースからなる。上記導電部間のスペースは、通常、内側導電部を機械的に支持し、外側導電部とともに内側導電部を維持するために、低損失性誘電性材料640(例えば、ポリ四フッ化エチレン(“PTFE”:
polyfluorotetraethylene))で充填される。同軸ケーブルの特性インピーダンスは、内側導電部の直径と誘電性材料の直径(つまり、外側導電部の内径)との比、および、内側導電部と誘電性材料との間のスペースの誘電率によって固定される。上記スペースが固体ポリマーを備えているので、通常、上記誘電率は固定される。ただし、本発明の実施形態では、可変誘電率(または導電率)を有する流体が、このスペースを少なくとも部分的に占め、上記ケーブルの特性インピーダンスを調節することを可能にする。
【0105】
再度
図6を参照すると、本発明の一実施形態では、上記同軸ケーブル610は、上記誘電性材料の外側の一部が除去されて、上記誘電性材料640と外側導電部650との間に流路を形成する。図示された実施形態では、上記形成されたスペースは、上記外側導電部650と固体誘電性材料640との間のスペースを維持するように構成された支持線660を追加することによって4つの別々の流路670に分解される。上記支持線660は所望の材料を含んでなってもよく、固体誘電性材料640と同じ材料であっても、異なる材料であってもよい。一部の実施形態では、上記装置の望ましくない加熱(例えば、外側導電部の望ましくない加熱)を回避するために、上記支持線660は、生体適合性を有し、融解可能な材料(例えば、ワックス)を含んでなる。複数の流路が存在することによって、1つ以上の流路がある一方向の流れ(ケーブルの近位端に向かう流れ)を可能にし、1つ以上のその他の流路が逆方向の流れ(ケーブルの遠位端に向かう流れ)を可能にすることができるようになる。
【0106】
再度
図6を参照すると、別の一実施形態では、上記同軸ケーブル620は、固体誘電性材料640のかなり大きな部分が除去される。このような一実施形態は、例えば、4つの各側面上で固体誘電性材料640を内側導電部630の表面に到るまで剥がすことによって、生成されればよい。別の一実施形態では、細長い一片の誘電性材料640を内側導電部630に設けることによって、上記構造が形成される。本実施形態では、4つの流路670が形成される。上記誘電性材料640大量に除去することによって、外側導電部650の直径は、大幅に削減される。残存する誘電性材料640が形成する角部は、内側導電部630に対する外側導電部650の位置を維持する支持を提供する。本実施形態では、上記同軸ケーブル620および装置の全体的な直径が、大幅に削減される。
【0107】
一部の実施形態では、上記装置は、本発明のエネルギー放出装置のうちの任意の装置の誘電体部または内側導電部もしくは外側導電部を通してクーラントを循環させるように構成された管を挿入することによって形成されるクーラント流路を有する。
図7は、外側導電部720、誘電性材料730、および、内側導電部740を有するエネルギー放出装置710内に配置されるクーラント循環管700(例えば、クーラント用針、カテーテルなど)を示している。
図7に示すように、上記管700は、誘電性材料730外側のエッジ、および、外側導電部720の内側のエッジにそって配置され、上記内側導電部740は誘電性材料730のほぼ中央部に配置される。一部の実施形態では、上記管700は、外側導電部720に接触しないように、誘電性材料730内に配置される。一部の実施形態では、上記管700は、クーラントを誘電性材料730および/または外側導電部720へ通さずに、クーラントを管700内で再循環させ、これにより、管700の外面を用いて誘電性材料730および/または外側導電部720を冷却することを目的として、複数の流路(図示せず)を有する。
【0108】
〔CFダイポールを備えたエネルギー供給装置〕
一部の実施形態では、本発明のエネルギー供給システムは、CFダイポールのコンポーネントを採用するエネルギー供給装置を使用する(例えば、米国特許出願第11/728,457号を参照。なお、この特許出願の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。上記装置は、特定の構成に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記装置は、エネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー)を印加することによって組織領域を加熱するためのCFダイポールを内部に有する。一部の実施形態では、このような装置は、中空管(例えば、内部の直径は外面の直径の少なくとも50%であり、例えば、内部の直径は外面の直径にほぼ等しい)に接続される同軸ケーブルを有する。上記同軸ケーブルは標準的な同軸ケーブルであってもよく、導電率がほぼゼロである誘電性コンポーネント(例えば、空気)を内部に有する同軸ケーブルであってもよい。上記中空管は、特定の設計に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記中空管は、例えば、20ゲージの針の形状(例えば、直径)を有する。好ましくは、上記中空管は、中実の剛性が高い導電性材料(例えば、任意の種類数の金属、導電で被覆したセラミック、または、ポリマーなど)を含んでなる。一部の実施形態では、上記中空管は、鋭利な形状を有する点または追加された探り針が該管の遠位端に位置するように構成され、これにより、例えば、カニューレを使用しなくても、上記装置を組織領域に直接挿入することができるようになる。上記中空管は、特定の組成(例えば、金属、プラスチック、セラミック)に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記中空管は、例えば、銅または銅とその他の硬化用金属との合金、銀または銀とその他の硬化用金属との合金、金メッキされた銅、金属メッキされたマコール(Macor)(機械加工可能なセラミック)、金属メッキされた硬化ポリマー、および/または、これらの組み合わせを含有する。上記探り針の先端は、任意の材料を含んでなってもかまわない。一部の実施形態では、上記先端は、硬化樹脂を含んでなる。一部の実施形態では、上記先端は金属である。一部の実施形態では、上記探り針の先端は、チタンまたはチタンの等価物を含んでなる。一部の実施形態では、上記探り針の先端は、ジルコニアまたはジルコニアの等価物に対して真鋳が被覆される。このような一部の実施形態では、上記金属製先端は、アンテナの金属部の延長部分であり、電気的にアクティブである。
【0109】
一部の実施形態では、上記CFダイポールは、プロセスの期間を通じてより最適なエネルギー供給が提供できるように、エネルギー供給特性を加熱に応じて調節するように構成される。一部の実施形態では、この構成は、温度変化に応じてそれ自体の体積を変化させ、この体積変化が装置のエネルギー供給特性を変化させる材料を使用することによって実現される。一部の実施形態では、例えば、上記CFダイポールのコンポーネントまたは探り針の共振部が加熱に応じて装置にそって遠位側に向かって押されるように、膨張可能な材料が上記装置中に配置される。これにより、より最適なエネルギー供給を維持するための装置のチューニングが変化する。所望であれば、例えば、特定の点越えて延びることを防止するロック機構を設けることによって、最大移動量を制限してもかまわない。CFダイポールのコンポーネントを採用するエネルギー供給装置は、上記中空管が同軸ケーブルに接続される様式によって限定されるものではない。一部の実施形態では、上記同軸ケーブルフィード線の遠位端に位置する外側導電部の一部が除去されて、固体誘電性材料の一部が露出する。上記中空管を露出した誘電性材料上に配置し、任意の手段によって取り付けてもかまわない。一部の実施形態では、上記外側導電部と中空管との間に物理的なギャップ部が設けられる。一部の実施形態では、上記中空管は、組織内に挿入されると、周波数共振構造を該管の電気的な長さ方向に形成することができるように、該管の中央の点においてフィード線に容量結合または導電結合される。
【0110】
使用時には、CFダイポールのコンポーネントを採用するエネルギー供給装置は、電場の最大値が中空管の開放された遠位端において生成されるように構成される。一部の実施形態では、上記中空管の遠位端は、被験体を介する組織領域への装置の挿入を補助できるように、尖った形状を有する。一部の実施形態では、標的部位へまっすぐに直接挿入しやすいように、上記装置全体が硬い。一部の実施形態では、上記構造は、この周波数における(上記フィード線の近位端において測定した)反射係数の最小値によって特徴付けられるように、例えば、約2.45GHzで共振する。上記装置のサイズ(例えば、長さ、供給点、直径、ギャップ部など)、および、アンテナの素材(誘電性材料、導電など)変更することによって、上記共振周波数を変更してもかまわない。所望の周波数における反射係数が低ければ、アンテナからその周囲の媒体への効率的なエネルギー伝送が保証される。
【0111】
好ましくは、上記中空管はλ/2の長さを有する(ただし、λは、注目している媒体中における、媒体中で共振する電磁場の波長(例えば、肝臓内で2.45GHzの場合は約18cm)である)。一部の実施形態では、中空管の長さが約λ/2である(ただし、λは、近位端における出力反射の最小値が測定できるような、注目している媒体中における、媒体中で共振する電磁場の波長である)。ただし、(例えば、周囲の材料の変化時に)この長さのずれを用いて、共振波長生成してもかまわない。好ましくは、同軸ケーブルの内側導電部は、その遠位端が管の中央部(例えば、管の端部からλ/4の位置)に位置する状態で延び、さらに、この位置からのずれは(例えば、共振波長が生成できるように)許容されるが、上記内側導電部が管の中央部における電気的な接触を維持できるように構成される。
【0112】
本発明の中空管部分はさまざまな形状を有してもかまわない。一部の実施形態では、上記管は、長さ方向全体にわたって円柱状である。一部の実施形態では、上記管は、端部では中央部に比べて直径が小さくなるように、中央部から端部にわたってテーパ形状を有する。より小さな点を遠位端において有することによって、標的領域に到達するまで被験体を貫通することが補助される。一部の実施形態では、上記中空管の形状が円柱形状から逸脱し、上記管は、その長軸方向の中央部のいずれの側においても対称構造を維持する。ただし、機能的特性(つまり、所望のエネルギーを標的領域に供給する能力)が実現される限り、上記装置は中空管の形状によって限定されるものではない。
【0113】
一部の実施形態では、上記CFダイポールのコンポーネントは、本明細書に記載する利点が提供できるように、さまざまなアブレーション装置の遠位端に追加されてもかまわない。同様に、さまざまな装置を、本発明のCFダイポールのコンポーネントを設置できるように改造してもかまわない。
【0114】
一部の実施形態では、上記装置は小さな外径を有する。一部の実施形態では、本発明のCFダイポールのコンポーネントを直接使用して、上記装置の侵襲性コンポーネントを被験体に挿入する。このような一部の実施形態では、上記装置は、侵襲性コンポーネントの外径を小さくできるカニューレを備えていない。例えば、上記侵襲性コンポーネントを、非常に小さな針(例えば、18ゲージ~20ゲージ以下の針)の内部に収まるように、または、この針のサイズを有するように設計してもかまわない。
【0115】
図8は、本発明のCFダイポールのコンポーネント810を備えた本発明の装置800(例えば、アブレーション装置のアンテナ)の遠位端を概略的に示している。当業者であれば、本発明の物理的なおよび/または機能的な態様を実現する別の構成が無数にあることが理解できるであろう。図示するように、上記CFダイポール装置800は、中空管815、同軸性伝達線820(例えば、同軸ケーブル)、および、探り針890を内部に有する。CFダイポール装置800は、特定のサイズに限定されるものではない。一部の実施形態では、上記CFダイポール装置800のサイズは、エネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー)を組織領域へ供給することを目的として、該組織領域(例えば、肝臓)に配置され得る程度に十分に小さい。
【0116】
再度
図8を参照すると、上記中空管815は、特定の材料材(例えば、プラスチック、セラミック、金属など)に限定されるものではない。上記中空管815は、特定の長さに限定されるものではない。一部の実施形態では、上記中空管の長さはλ/2である(ただし、λは、注目している媒体中における電磁場の波長(例えば、肝臓内で2.45GHzの場合は約18cm)である)。上記中空管815は、中空管815が同軸性伝達線820取り付けられるように、同軸性伝達線820に嵌合する(詳細な説明については後述する)。上記中空管815は、中空管材料860を内部に有する。上記中空管815は、特定のタイプの中空管材料に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記中空管材料860は空気、流体、または、気体である。
【0117】
再度
図8を参照すると、上記中空管815は、特定の形状(例えば、円柱状、三角形状、正方形状、矩形状など)に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記中空管815の形状は針状(例えば、20ゲージの針、18ゲージの針など)である。一部の実施形態では、上記中空管815は、それぞれさまざまな長さの2つの部分に分割される。図示するように、上記中空管815は、等しい長さ(例えば、各部分の長さがλ/4である)の2つの部分に分割される。このような実施形態では、各部分の形状が対称形状である。一部の実施形態では、上記中空管は、20ゲージの針、17ゲージの針、12ゲージの針など以下の直径を有する。
【0118】
再度
図8を参照すると、上記中空管815の遠位端は探り針890に嵌合する。上記装置800は、特定の探り針890に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記探り針890は、装置800が経皮挿入しやすくなるように設計される。一部の実施形態では、上記探り針890は、中空管815の内側を滑ることによって中空管815に嵌合し固定される。一部の実施形態では、上記探り針890は、任意の材料を含んでなってもかまわない。一部の実施形態では、上記探り針890は、硬化樹脂を含んでなる。一部の実施形態では、上記探り針890は金属である。一部の実施形態では、上記探り針890は、チタンまたはチタンの等価物を含んでなる。一部の実施形態では、上記探り針890は、ジルコニアまたはジルコニアの等価物に対して真鋳が被覆される。このような一部の実施形態では、上記探り針890は、アンテナの金属部の延長部分であり、電気的にアクティブである。
【0119】
再度
図8を参照すると、上記同軸性伝達線820は、特定のタイプの材料に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記近位の同軸性伝達線820は、市販の標準的な0.047インチの半剛体の同軸ケーブルから作製される。一部の実施形態では、上記同軸性伝達線820は、金属メッキ(例えば、銀メッキ、銅メッキなど)される。ただし、本発明はこれらのメッキに限定されるものではない。上記近位の同軸性伝達線820は、特定の長さに限定されるものではない。
【0120】
再度
図8を参照すると、一部の実施形態では、上記同軸性伝達線820は、同軸性中央部導電830、同軸性誘電性材料840、および、同軸性外側導電部850を有する。一部の実施形態では、上記同軸性中央部導電830は、長さ方向に冷却流体を流すように構成される。一部の実施形態では、上記同軸性中央部導電830は中空である。一部の実施形態では、上記同軸性中央部導電830の直径は、例えば、0.012インチである。一部の実施形態では、上記同軸性誘電性材料840は、ポリ四フッ化エチレン(“PTFE”: polyfluorotetraethylene)である。一部の実施形態では、上記同軸性誘電性材料840の導電率はほぼゼロである(例えば、空気、流体、気体である)。
【0121】
再度
図8を参照すると、上記同軸性伝達線820の遠位端は、中空管815の近位端に嵌合するように構成される。一部の実施形態では、上記同軸性中央部導電830および同軸性誘電性材料840は、中空管815の中央部の中へ延びる。一部の実施形態では、上記同軸性中央部導電820は、同軸性誘電性材料840より、中空管815の中へさらに延びる。上記同軸性中央部導電820は、中空管815の中へ延びる長さが特定の量に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記同軸性中央部導電820は、中空管815の中へ./4の長さで延びる。上記同軸性伝達線820の遠位端は、中空管815の近位端との特定の様式の嵌合に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記中空管の近位端は同軸性誘電性材料840に嵌合して、中空管815を同軸性伝達線820に固定する。一部の実施形態では、上記同軸性誘電性材料840の導電率がほぼゼロであり、上記中空管815は、同軸性伝達線820に固定されていない。一部の実施形態では、上記同軸性中央部導電830の遠位端は、中空管815の壁に、直接または導電性材料870との接触を介して嵌合する。なお、上記導電性材料870は、上記同軸性中央部導電と同じ材料を含んでなってもよく、異なる材料(例えば、別の導電性材料)を含んでなってもよい。
【0122】
再度
図8を参照すると、一部の実施形態では、ギャップ部880が、同軸性伝達線外側導電部850の遠位端と中空管815との間に存在し、これにより同軸性誘電性材料840が露出される。上記ギャップ部880は、特定のサイズまたは長さに限定されるものではない。一部の実施形態では、上記ギャップ部880によって、上記同軸性伝達線880の近位端および中空管815の開放された遠位端において電場が最大になることが保証される。一部の実施形態では、上記CFダイポール装置810は、この周波数における反射係数の最小値によって特徴付けられるように、約2.45GHzで共振する。上記装置のサイズ(長さ、供給点、直径、ギャップ部など)および素材(誘電性材料、導電など)を変更することによって、上記共振周波数を変更してもかまわない。この周波数における反射係数が低ければ、アンテナからその周囲の媒体への効率的なエネルギー伝達が保証される。
【0123】
再度
図8を参照すると、一部の実施形態では、上記ギャップ部880は、材料(例えば、エポキシ)で充填され、同軸性伝達線820と中空管815とを繋ぐ。上記装置は、特定のタイプまたは種類の実際の素材に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記実際の素材は、上記装置によるエネルギー場の生成または放射に干渉しない。一部の実施形態では、上記素材は生体適合性および熱耐性を有する。一部の実施形態では、上記素材は導電率がゼロまたはほぼゼロである。一部の実施形態では、上記素材は、さらに、上記同軸性伝達線820および中空管815を同軸性中央部導電830に繋ぐ。一部の実施形態では、上記実際の素材は硬化可能な樹脂である。一部の実施形態では、上記素材は歯エナメル質(例えば、XRV Herculiteエナメル;さらに、米国特許第6,924,325号、第6,890,968号、第6,837,712号、第6,709,271号、第6,593,395号、および、第6,395,803号も参照。なお、これらの特許の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)である。一部の実施形態では、上記実際の素材は硬化している(例えば、硬化光、例えば、L.E. Demetron II硬化光を用いて硬化させる)(例えば、米国特許第6,994,546号、第6,702,576号、第6,602,074号、および、第6,435,872号を参照)。これにより、本発明は、硬化したエナメル樹脂を備えたアブレーション装置を提供する。このような樹脂は生体適合性を有し、剛性が高く、丈夫である。
【0124】
〔アンテナコンポーネントのリニアアレイを有するエネルギー供給装置〕
一部の実施形態では、本発明のエネルギー供給システムは、アンテナコンポーネントのリニアアレイを有するエネルギー供給装置を使用する(例えば、米国特許仮出願第60/831,055号を参照。なお、この特許仮出願の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。上記装置は、特定の構成に限定されるものではない。一部の実施形態では、アンテナコンポーネントのリニアアレイを有するエネルギー供給装置は、内側導電部および外側導電部を備えたアンテナを内部に有する。上記外側導電部は、セグメントの長さおよび位置が、アンテナの遠位端におけるエネルギーの供給を最適化できるように構成されるように、ギャップ部によって分離された2つ以上の線状のセグメント中に設けられる。例えば、一部の実施形態では、アンテナは、アンテナの近位端を遠位端近傍の領域に繋ぐ外側導電部の第1のセグメント、および、第1のセグメントに対して遠位の外側導電部の第2のセグメントを備えている。ギャップ部は上記第1のセグメントと上記第2のセグメントとを分離する、または、部分的に分離する。上記ギャップ部は、外側導電部の全体に外接してもよく、外側導電部の一部にだけ外接してもよい。一部の実施形態では、上記第2のセグメントの長さはλ/2、λ/4などである、ただし、本発明はこれらの長さに限定されるものではない。一部の実施形態では、1つ以上の別の(例えば、第3の、第4の、第5の)セグメントが第2のセグメントに対して遠位に設けられ、各セグメントはギャップ部によって他のセグメントから分離されている。一部の実施形態では、上記アンテナは、上記内側導電部と電子通信を行う導電性の末端部を有する。一部の実施形態では、上記導電性の末端部は、上記外側導電部の直径とほぼ同一の直径を有するディスクを備えている。このようなアンテナは、アンテナの遠位端の長さ方向に複数のエネルギー供給ピークを提供し、組織のより大きな領域を標的とするために、より広いエネルギー供給領域を提供する。上記ピークの位置は、上記外側導電部セグメントの長さを選択することによって、および、供給されるエネルギー量を制御することによって制御される。
【0125】
アンテナコンポーネントのリニアアレイを有するエネルギー供給装置は、アンテナの各種コンポーネントの特徴によって限定されるものではない。最適な性能を提供するために、さまざまなコンポーネントを使用してもかまわない。この最適な性能には、さまざまな素材を内側導電部および外側導電部に対して使用すること、さまざまな素材および構成を上記内側導電部と外側導電部との間の誘電性材料に対して使用すること、さらに、さまざまな異なる方法によって提供されるクーラントを使用することを含めるが、限定されるものではない。
【0126】
一部の実施形態では、上記装置は直線状アンテナを備えている。該直線状アンテナは、内側導電部の周囲に巻かれた外側導電部を備えている。該内側導電部はエネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー)を受けて伝達するように設計され、該外側導電部は、外側導電部にそって配置された一連の(例えば、少なくとも2つの)ギャップ部領域を内部に有する。また、上記内側導電部は、ギャップ部領域において露出する。上記内側導電部にそったエネルギー伝達は、ギャップ部領域を介して放射される。上記装置は、特定の個数のギャップ部領域(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、10個、20個、50個)に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記ギャップ部の位置決めが、例えば、線状アブレーションが実施できるように構成される。一部の実施形態では、上記内側導電部は、中心の伝達線を包む誘電層を備えている。一部の実施形態では、上記誘電部材の導電率はほぼゼロである。一部の実施形態では、上記装置は、探り針をさらに備えている。一部の実施形態では、上記装置は、上記ギャップ部領域を介して供給されるエネルギー量を調節するためのチューニング部材をさらに備えている。一部の実施形態では、上記装置は、組織アブレーション設定において使用される際には、組織領域に対してアブレーションを実施する、または、血栓症を引き起こすために十分な量エネルギーが供給できるように構成される。
【0127】
アンテナコンポーネントのリニアアレイを有するエネルギー供給装置は、現在利用可能なシステムおよび装置と比較すると、多数の効果を提供する。例えば、マイクロ波エネルギーを使用する、現在利用可能な医療機器の大きな短所は、放射エネルギーが局所的に提供されることであり、これによって、エネルギーをより深く密度の高いスケールで供給することができなくなる。本発明の装置は、エネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー)を(例えば、局所的な供給と対照的に)より広く深いスケールで供給するように構成されたアンテナコンポーネントのリニアアレイを有する印加装置を提供することによって、この制限を解消する。このような装置は、高密度および/または厚い組織領域(例えば、腫瘍、器官管腔)、および、特に深い組織領域(例えば、大きな心臓の領域、脳、骨)の組織アブレーションにおいて特に有用である。
【0128】
〔容量結合されたアンテナ/精密プローブ〕
本発明の実施形態の発展の過程において実施された実験によって、”精密アンテナ”を既存のアンテナに結合する(例えば、三軸型アンテナの遠位端に、当該アンテナの内側導電部に容量結合されているトロカールを設ける)ことでアブレーションが改良されることが突き止められた。例えば、”精密アンテナ”を既存のアンテナに結合することにより、そのような結合がされていないアンテナと比較して、アブレーション領域が大きくなった。例えば、”精密アンテナ”又は”精密プローブ”を既存のアンテナに結合することにより、そのような結合がされていないアンテナと比較して、球状のアブレーション領域が大きくなった。さらに、”精密アンテナ”又は”精密プロ-ブ”を既存のアンテナに結合することにより、そのような結合がされていないアンテナと比較して、電磁界パターン(field pattern)が優れるとともに、反射電力が減少した。
【0129】
例えば、
図34は、生体外において作成された組織であって、アブレートされた牛の生きている組織を示し、
図34Aは、容量結合されたアンテナ(例えば、精密プローブを備えたアンテナ)を用いた場合を示し、
図34Bは、そのような結合を有していないアンテナを用いた場合を示している。
図34に示すように、精密プローブによるアブレーションにより、組織の焦げ付き、及びキャビテーション(cavitation)が抑えられた。実際に、
図34Bに示すように、アンテナは、当該アンテナのトロカール領域の周囲における組織の焦げ付き、及びキャビテーションの広い領域を示した。トロカール領域は、除去が困難な乾燥した組織に接着している。トロカールの領域における温度は、トロカールを覆うことが可能な低摩擦の熱可塑性材料(例えば、PTFE、FEP、及びPET)の限界を越えた。しかしながら、
図34Aに示すように、精密プローブは、トロカールとのオーバーラップ量に加え、トロカールに対するエネルギー共役の量を、トロカールのアンテナ管の直径に対する比率によって制御できるようにする。実際に、正確な寸法を選択することにより、トロカールに対するエネルギー共役は、所望の(例えば、安全な)レベルの最大トロカール温度を維持するように選択される。
【0130】
図35は、容量結合されたアンテナ(例えば、精密プローブ)、及び、そのような結合を有していないアンテナにより実現されたアブレーションの横径の平均値(入射パワーを30Wとし、持続時間を様々にした場合)をグラフ形式にまとめたものである。実際に、
図35に示すように、精密プローブは、例えば、優れた電磁界パターンにより、及び、結合されていないアンテナでは反射電力が10%であるのに対して精密プローブでは反射電力が1%未満であるという、より高い効率性により、同じ入射電力でより大きなアブレーションを引き起こした。
【0131】
したがって、一部の実施形態では、本発明は、既存のアンテナに結合される精密アンテナ又は精密プローブを提供する。
【0132】
精密プローブは、特定のタイプのアンテナに結合されたものに限定されない。一部の実施形態では、アンテナは、内側導電部を有している。一部の実施形態では、アンテナは、三軸型アンテナである(例えば、米国特許第7,101,369号を参照。さらに、米国特許出願第10/834,802号、第11/236,985号、第11/237,136号、第11/237,430号、第11/440,331号、第11/452,637号、第11/502,783号、第11/514,628号、及び、国際特許出願第PCT/US05/14534号も参照。なお、これらの特許および特許出願の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態において、アンテナは、同軸アンテナである。一部の実施形態では、アンテナは、エネルギーを供給(例えば、放射)するように構成された任意のタイプの装置(例えば、アブレーション装置や外科装置等)である(例えば、米国特許第7,101,369号、第7,033,352号、第6,893,436号、第6,878,147号、第6,823,218号、第6,817,999号、第6,635,055号、第6,471,696号、第6,383,182号、第6,312,427号、第6,287,302号、第6,277,113号、第6,251,128号、第6,245,062号、第6,026,331号、第6,016,811号、第5,810,803号、第5,800,494号、第5,788,692号、第5,405,346号、第4,494,539号、米国特許出願第第11/728,460号、第11/728,457号、第11/728,428号、第11/237,136号、第11/236,985号、第10/980,699号、第10/961,994号、第10/961,761号、第10/834,802号、第10/370,179号、第09/847,181号、英国特許出願第2,406,521号、第2,388,039号、ヨーロッパ特許第1395190号、および、国際特許出願第WO 06/008481号、第WO 06/002943号、第WO 05/034783号、第WO 04/112628号、第WO 04/033039号、第WO 04/026122号、第WO 03/088858号、第WO 03/039385号、第WO 95/04385号を参照。なお、これらの特許および特許出願の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0133】
精密プローブは、特定の構成に限定されるものではない。構成の一例、及び、アブレーションアンテナを有する精密プローブを組み立てる方法は、
図36に示されている。この図は、同軸アンテナの内側導電部への金属トロカールの容量結合を示している。同軸アンテナの内側導電部の遠位端は、導電性(例えば、金属、例えば、真鍮、銀、及び金など)の取付金具に取り付けられている。この取付金具は、その近位端がアンテナの誘電性材料(例えば、同軸ケーブルの誘電性材料、又は、内側導電部を覆うように挿入されたスリーブの誘電性材料)に接している。一部の実施形態では、取付金具は、該取付金具の内部の内側導電部が該取付金具の遠位端に達しないように提供される。取付金具の遠位端は、該取付金具をトロカールから分離する絶縁体であって、該取付金具をトロカールに取り付ける絶縁体(例えば、セラミック絶縁体)に接触している。コンポーネントは、扱われる標本(例えば、組織標本)に所望のエネルギープロファイルを提供するような配置及び寸法になっている。一部の実施形態では、アンテナが、そのような容量結合を有していないアンテナと比較して(例えば、内側導電部とトロカールとの物理的結合を有するアンテナと比較して)、より大きな球状のアブレーション領域、より球状のアブレーション領域、及び/又は抑制された反射電力を有することを許容するように、上記装置が構成される。
【0134】
精密プローブは、特定の形状及び/又はデザインに限定されるものではない。一部の実施形態では、精密プローブの形状は、アンテナの内側導電部を覆うことが可能な形状である。一部の実施形態では、精密プローブの形状及び/又はデザインは、円柱状である。一部の実施形態では、精密プローブの形状及び/又はデザインは、管状である。
【0135】
精密プローブは、アンテナ内部における配置が特定の配置に限定されるものではない。一部の実施形態では、精密プローブを収納するために、アンテナの外側導電部及び誘電体を取り除くことによって、精密プローブが配置される部分を内側導電部に沿って作り出す(例えば、その結果として、露出した内側導電部領域が生成される)。このような一部の実施形態では、精密プローブは、露出した内側導電部領域の全体に沿って配置される。このような一部の実施形態では、アンテナスリーブ(例えば、ポリフルオロテトラエチレン(polyfluorothetraethylene)またはPTFEのアンテナスリーブ)は、露出した内側導電部の一部に沿って配置され、精密プローブは、露出した内側導電部の残りの部分に沿って配置される。例えば、
図36は、内側導電部、誘電体、外側導電部、及びトロカールを有する既存のアンテナに精密プローブを結合するための工程を示している。
【0136】
精密プローブの導電性のある取付具は、アンテナの内側導電部への結合の態様が特定の様態に限定されるものではない。一部の実施形態では、取付具は、内側導電部に半田付けされている。一部の実施形態では、取付具は、内側導電部に蝋付けされている。一部の実施形態では、取付具は、内側導電部にクリンプされている。一部の実施形態では、取付具は、内側導電部に溶接されている。一部の実施形態では、精密プローブと内側導電部との間のアタッチメントは、導電性を有している。
【0137】
精密プローブの寸法は、特定の寸法に限定されるものではない。一部の実施形態では、精密プローブの寸法は、任意のタイプまたはサイズのアンテナ(例えば、内側導電部、またはアンテナ)を収納するように構成される。一部の実施形態では、精密プローブの直径を可能な限り大きくすることにより、外側トロカールキャップの内部において発生するインピーダンスを最小化する。
【0138】
本発明は、精密プローブが結合されたアンテナの特定の使用方法に限定されるものではない。実際に、精密プローブが結合されたアンテナは、本明細書に記載された任意の使用方法により使用できる(例えば、第X部を参照)。
【0139】
〔第III部 プロセッサ〕
一部の実施形態では、本発明のエネルギー供給システムは、上記システムの1つ以上のコンポーネントに関するフィードバックをモニターおよび/または制御および/または提供するプロセッサを使用する。一部の実施形態では、上記プロセッサは、コンピュータモジュール内に設けられる。上記コンピュータモジュールは、1つ以上の機能を実施するためにプロセッサが使用するソフトウェアをさらに備えている。例えば、一部の実施形態では、本発明のシステムは、上記組織領域の1つ以上の特性のモニタリングを介して(例えば、フィードバック系を介して)組織領域に供給されるマイクロ波エネルギーの大きさを調整するためのソフトウェアを提供する。この特性には、標的組織のサイズおよび形状、組織領域の温度などがあげられるが、これらの例に限定されるものではない(例えば、米国特許出願第第11/728,460号、第11/728,457号、および、第11/728,428号を参照。なお、これらの特許出願の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、上記ソフトウェアは、情報(例えば、モニタリング情報)をリアルタイムに供給するように構成される。一部の実施形態では、上記ソフトウェアは、本発明のエネルギー供給システムと相互作用して、組織領域に供給されるエネルギー量を増加させるまたは減少させる(例えば、チューニングする)ことができるように構成される。一部の実施形態では、上記ソフトウェアは、エネルギー供給装置する使用前に、クーラントが所望の温度であるように、例えば、エネルギー供給装置内へ供給するために、クーラントを準備するように設計される。一部の実施形態では、特定のタイプの組織領域に合わせて事前に較正した方法に基づいて、プロセッサが組織領域へのマイクロ波エネルギーの供給を調整(例えば、チューニング)できるようにすることを目的として、治療する組織(例えば、肝臓)のタイプが上記ソフトウェアに入力される。別の一部の実施形態では、上記プロセッサは、チャートまたは図を特定のタイプの組織領域に基づいて作成し、システムのユーザにとって有用な特性を表示する。一部の実施形態では、上記プロセッサは、例えば、ゆっくりと出力を増加させて、高温によって形成される急速な脱気によって組織が割れることを回避することを目的として、エネルギー供給アルゴリズムを提供する。一部の実施形態では、上記プロセッサは、ユーザが出力、処置時間の長さ、異なる組織タイプに対する異なる治療アルゴリズム、複数のアンテナモードにおけるアンテナへの出力の同時供給、複数のアンテナ間での出力供給の切り替え、干渉性位相設定および非干渉性位相設定などを選択することを可能にする。一部の実施形態では、上記プロセッサは、特定の組織領域に対するアブレーション治療に関する情報データベース(例えば、特定の患者の特性に基づく、必要なエネルギーレベルや組織領域に対する処置時間的の長さ)を、患者特性が類似または異なる以前の治療に基づいて生成するように構成される。一部の実施形態では、上記プロセッサは、遠隔制御によって動作する。
【0140】
一部の実施形態では、上記プロセッサを使用して、例えば、組織特性(例えば、腫瘍タイプ、腫瘍サイズ、腫瘍の位置、周囲の血管に関する情報、血流情報など)の入力に基づいてアブレーションチャートを生成する。このような実施形態では、上記プロセッサは、上記アブレーションチャートに基づいて、所望のアブレーションを実現するためにエネルギー供給装置を直接配置することができる。
【0141】
一部の実施形態では、治療する組織のパラメータ(例えば、アブレーションを実施する腫瘍または組織切片のタイプ、サイズ、存在する場所、血管または脆弱な構造の位置、および、血流に関する情報)をユーザが入力して、そして、所望の結果をもたらすために、所望のアブレーションゾーンをCT、または、その他の画像上に描くことを可能にする上記プロセッサと相互作用できるように、ソフトウェアパッケージが提供される。上記プローブは、組織内に設置されてもよく、このとき、上記コンピュータは、得られる情報に基づいて予想されるアブレーションゾーンを生成する。このような応用事例にはフィードバックを組み込んでもよい。例えば、CT、MRI、または、超音波撮像、または、温度測定法をアブレーション時に使用してもかまわない。このデータはコンピュータにフィードバックされ、所望の結果が得られるようにパラメータが再調節される。
【0142】
一部の実施形態では、エネルギー供給システムの各コンポーネントをモニターおよび/または操作するためのユーザインターフェースソフトウェアが提供される。一部の実施形態では、上記ユーザインターフェースソフトウェアは、タッチスクリーンインターフェースによって操作される。一部の実施形態では、上記ユーザインターフェースソフトウェアは、無菌設定(例えば、処置室)または非滅菌設定内で実行および操作されてもよい。一部の実施形態では、上記ユーザインターフェースソフトウェアは、処置装置ハブ内において(例えば、プロセッサを介して)実行および操作される。一部の実施形態では、上記ユーザインターフェースソフトウェアは、処置用カート内において(例えば、プロセッサを介して)実行および操作される。上記ユーザインターフェースソフトウェアは、特定の機能に限定されるものではない。上記ユーザインターフェースソフトウェアに関連する機能の例としては、上記エネルギー供給システム内のコンポーネント当たりの使用回数の追跡(例えば、エネルギー供給装置が使用された回数の追跡)、各コンポーネントまたは各コンポーネントの一部のリアルタイムの温度の提供および追跡(例えば、エネルギー供給装置にそった異なる位置(例えば、取手部、付着領域、先端)のリアルタイムの温度の提供)(例えば、上記エネルギー供給システムに関連するケーブルのリアルタイムの温度の提供)、治療中の組織のリアルタイムの温度の提供および追跡、上記エネルギー供給システムの一部または全体の自動シャットダウン(例えば、緊急シャットダウン)の提供、例えば、処置の前、処置中、および、処置後に蓄積されたデータに基づくレポートの作成、ユーザに対する音声および/または光による警告(例えば、処置が始まったおよび/または終わったことを示唆する警告、温度が異常なレベルに達したことを示唆する警告、処置の長さが初期設定値を越えたことを示唆する警告など)の提供などがあげられるが、これらの例に限定されるものではない。
図32A、
図32B、および、
図32Cは、本発明のエネルギー供給システムのためのユーザインターフェースソフトウェアの例を示している。
図32Aに示すように、上記ユーザインターフェースソフトウェアは、時刻、温度、動作のタイプ(例えば、試験、付着、アブレーション停止、および、焼灼)、および、各プローブ(例えば、エネルギー供給装置)の出力の調節を表示し可能にするように設計される。
図32Bは、上記ユーザインターフェースソフトウェアを用いて生成され、出力、経過時間、および、目標時間、および、関連するメッセージ示すレポートを示している。
図32Cは、注意書き付きのシステムログ、システム診断ログ、処置歴、時間の初期設定値、出力の初期設定値、モニターの明るさ、時刻設定、および、追加機能(例えば、時刻表示の選択肢、時間帯の選択肢、自宅へ電話連絡する選択肢、時刻設定の選択肢、および、音声ボリュームの選択肢)を含めた、上記ユーザインターフェースソフトウェアに関連するユーザインターフェースツールを示している。
【0143】
ここでは、”コンピュータメモリ”および”コンピュータメモリ装置”という用語は、コンピュータプロセッサによって読み取り可能な任意の記憶媒体を指す。コンピュータメモリの例としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、コンピュータチップ、光学ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)やデジタルビデオディスク(DVD)など)、磁気ディスク(例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、フロッピー(登録商標)ディスク、ZIP.RTM.ディスクなど)、磁気テープ、および、半導電記憶装置(例えば、メモリカード、”フラッシュ”メモリなど)などがあげられるが、これらの例に限定されるものではない。
【0144】
ここでは、”コンピュータ読み取り可能な媒体”という用語は、情報(例えば、データや命令)を保存、および、コンピュータプロセッサに提供するための任意の装置またはシステムを指す。コンピュータ読み取り可能な媒体の例としては、光学ディスク、磁気ディスク、磁気テープ、半導電メディア、および、ネットワーク経由のストリーミング媒体のためのサーバなどがあげられるが、これらの例に限定されるものではない。ここでは、”プロセッサ”および”中央演算処理装置”または”CPU”という用語は互換的に使用され、コンピュータメモリ装置(例えば、ROM、または、その他のコンピュータメモリ)からプログラムを読み取り、プログラムにしたがって1組のステップを実効することができる装置を指す。
【0145】
〔第IV部 映像システム〕
一部の実施形態では、本発明のエネルギー供給システムは、映像装置を備えた映像システムを使用する。上記エネルギー供給システムは、特定のタイプの映像装置(例えば、内視鏡装置、コンピュータ支援定位的神経外科ナビゲーション装置、熱センサ位置決めシステム、運動速度(motion rate)センサ、操縦用ワイヤシステム、プロシージャ内超音波(intraprocedural ultrasound)、間質超音波、マイクロ波映像法、音響断層撮影、デュアルエネルギー映像法(dual energy
imaging)、蛍光透視法、コンピュータ断層撮影磁気共鳴画像法、核医学映像装置、三角映像法(triangulation imaging)、熱音響映像法、赤外線および/またはレーザ映像法、電磁気映像法)(例えば、米国特許第6,817,976号、第6,577,903号、第5,697,949、および、5,603,697、ならびに、国際特許出願第WO 06/005,579号を参照。なお、これらの特許および特許出願の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記システムは、本発明のエネルギーシステムとともに使用される部材のうちのいずれかの部材の設置、位置決め、および/または、モニタリング可能にする、または、補助する内視鏡カメラ、映像法コンポーネント、および/または、ナビゲーションシステムを使用する。
【0146】
一部の実施形態では、上記エネルギー供給システムは、映像機器(例えば、CT、MRI、超音波)を使用するために構成されたソフトウェアを提供する。一部の実施形態では、上記映像機器ソフトウェアは、組織、脈管構造、および、アンテナの位置の既知の熱力学的特性および電気特性に基づいて、ユーザが予測することを可能にする。一部の実施形態では、上記映像ソフトウェアは、組織領域(例えば、腫瘍、不整脈)の位置およびアンテナの位置の三次元マップを生成すること、および、アブレーションゾーンの予測マップを生成することを可能にする。
【0147】
一部の実施形態では、本発明の映像システムは、アブレーション処置(例えば、マイクロ波を用いた熱アブレーション処置、無線周波を用いた熱アブレーション処置など)をモニターするために使用される。本発明は、特定のタイプのモニタリングに限定されるものではない。一部の実施形態では、上記映像システムは、熱アブレーション処置を受けた特定の組織領域内で発生するアブレーションの大きさをモニターするために使用される。一部の実施形態では、上記モニタリングは、上記アブレーション装置(例えば、エネルギー供給装置)とともに、特定の組織領域に供給されるエネルギーの量が該組織領域の映像に依存するように作動する。上記映像システムは、特定のタイプのモニタリングに限定されるものではない。本発明は、映像装置が何をモニタリングしているかに限定されるものではない。一部の実施形態では、上記モニタリングは、例えば、熱アブレーション処置の前に、熱アブレーション処置中に、および、熱アブレーション処置後に特定領域の変化を検出するための、該領域の血液潅流の映像である。一部の実施形態では、上記モニタリングとしては、MRI映像法、CT映像法、超音波撮像、核医学映像法、および、蛍光透視映像法などがあげられるが、これらの例に限定されるものではない。例えば、一部の実施形態では、熱アブレーション処置に先立って、造影剤(例えば、ヨウ素もしくはその他の適切なCT用造影剤、ガドリニウムのキレートもしくはその他の適切なMRI用造影剤、微小気泡、または、その他の適切な超音波用造影剤など)が被験体(例えば、患者)に供給され、血液潅流の変化を確認するために、アブレーション処置を受ける特定の組織領域を通って流れる造影剤がモニターされる。一部の実施形態では、上記モニタリングは、上記アブレーションゾーンの特性に関する定性的な情報(例えば、直径、長さ、断面積、体積)である。上記映像システムは、定性的な情報をモニタリングするための特定の手法に限定されるものではない。一部の実施形態では、定性的な情報モニターするために使用される手法としては、映像法ではない技術(例えば、時間領域反射光測定法、飛行時間型パルス検出法、周波数変調距離検出法、固有モードもしくは共振周波数検出法、または、1つの組織内装置だけ、もしくは、その他の組織内装置もしくは外部装置との協調に基づく任意の周波数における反射および伝播)などがあげられるが、これらの例に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記組織内装置は、映像法(例えば、電気聴覚映像法、電磁気映像法、電気インピーダンス断層撮影)のための信号および/または検出を提供する。一部の実施形態では、映像法ではない技術がアンテナの周囲の媒体の誘電特性をモニターするために使用され、アブレーションされる領域と正常組織との間のインターフェースを、共振周波数検出法、反射光測定もしくは測距法、組織内のアンテナまたは外部のアンテナからの出力反射/伝播などを含めたいくつかの手段を用いて検出する。一部の実施形態では、上記定性的な情報は、出力が印加されていることを保証するための、アブレーション状態、出力の供給状態、および/または、単純な異常なし/異常ありのチェックの推定値である。一部の実施形態では、上記映像システムは、特定の組織領域を所望の頻度(例えば、1秒間隔、1分間隔、10分間隔、1時間間隔など)で自動的にモニターするように設計される。一部の実施形態では、本発明は、組織領域の画像を自動的に取得(例えば、MRI映像法、CT映像法、超音波撮像、核医学映像法、蛍光透視映像法)し、組織領域(例えば、血液潅流、温度、壊死組織の量など)における任意の変化を自動的に検出し、上記エネルギー供給装置を介して組織領域に供給されるエネルギーの量を、検出に基づいて自動的に調節するように設計されたソフトウェアを提供する。同様に、上記システムが、領域を効果的に治療できるアブレーションプローブのタイプ、個数、および、位置を推薦するように、アブレーションを実施する組織領域の形状およびサイズ(例えば、腫瘍形状)を予測するために、アルゴリズムが適用される。一部の実施形態では、上記システムは、ナビゲーションシステムまたは案内システムを用いて(例えば、三角法、または、その他の位置決め手順を採用して)、プローブの配置およびその使用を補助する、または直接指示するように構成される。
【0148】
例えば、このような手順では、造影剤のボーラスの強調または強調の欠如を利用して、アブレーション、または、その他の処置過程の進行具合を追跡してもかまわない。減算法も使用可能である(例えば、デジタルサブトラクション血管造影に使用される減算法と同様の方法)。例えば、第1の画像を第1の時刻で撮影する。これに続く画像で、すべてまたは一部の情報を第1の画像から引く。その結果、組織の変化が容易に観察できるようになる。同様に、(ナイキストサンプリングに対する)“アンダーサンプリング”法を適用する加速映像技術を使用してもかまわない。このような手法は、経時的に得られる複数の低解像度画像を用いて、優れた信号対雑音比を提供する。例えば、MRIには、HYPER(highly constrained projection reconstruction)と呼ばれるアルゴリズムが利用可能であり、本発明のシステムの実施形態に適用可能である。
【0149】
組織温度が、例えば、50℃を超えると、主に熱を利用する治療法では血管が凝固するので、完全に凝固した領域への血液供給は凝固によって減少する。凝固が起こった組織領域は、造影剤の投与後に強調されない。一部の実施形態では、本発明は、例えば、造影剤を試験的に少量注射することによって、アブレーション処置の進行を自動的に追跡し、対象である組織領域に造影剤が到着する時刻を決定し、ベースラインの強調を確立するために映像システムを使用する。一部の実施形態では、次に、アブレーション処置の開始後に、一連の少量の造影剤注射が実施される(例えば、CTの場合であれば、300mgI/mlの水溶性造影剤の一連の最大で15回までの10mlのボーラスが注入される)。さらに、注射後の所望の適切な時刻に(例えば、試験注射に基づく決定にしたがって)スキャンが実施され、対象とする領域造影剤の強調が、例えば、着目領域(ROI)を用いて決定され、複数のパラメータのうちのいずれか1つを追跡する。このパラメータとしては、CTの減衰(ハウンスフィールド値[HU])、信号(MRI)、エコー輝度(超音波)などがあげられるが、これらの例に限定されるものではない。上記映像データは、特定の様式の提示に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記映像データは色コード化マップまたは階調マップもしくは減衰/信号/エコー輝度の変化の重ね合わせ画像、対象とする組織と対象としない組織との間の差異、治療時における造影剤ボーラスの到着時刻の差異、組織灌流における変化、および、造影剤の注射の前後に測定可能な任意のその他の組織の特性として提示される。本発明の方法は選択されたROIに限定されるものではなく、任意の画像内のすべての画素に一般化可能である。組織の変化が発生した場所、および、発生しつつある場所を実証するために、上記画素は色コード化してもよく、重ね合わせ画像を使用してもよい。上記画素は、組織の特性の変化にともなって、色(または、その他の特性)を変化させてもよく、これにより、治療の進行をほぼリアルタイムに表示できるようになる。この方法も、3d/4d画像表示法に一般化可能である。
【0150】
一部の実施形態では、上記治療する領域は、コンピュータによる重ね合わせ画像上に設置され、色または影付けが異なる第2の重ね合わせ画像によって、治療の進捗状況のほぼリアルタイムな表示が得られる。一部の実施形態では、治療技術に対してフィードバックループが存在し、出力(または、任意のその他の制御パラメータ)を映像からの知見に基づいて変更できるように、上記設置および映像が自動化される(RF、マイクロ波、HIFU、レーザ、低温、など)。例えば、対象領域への灌流が目標レベルまで減少すれば、出力は減少または停止する可能性がある。例えば、このような実施形態は、複数の印加装置を備えたシステムに適用可能である。これは、出力/時間/頻度/負荷サイクルなどが、精密に切除された組織治療ゾーンが形成できるように、位相配列システムにおける個々の印加装置または部材に対して変更されるからである。反対に、一部の実施形態では、上記方法は、処置しない領域を選択するために使用される(例えば、胆管、腸などの避けるべき脆弱な構造)。このような実施形態では、上記方法は、避けるべき領域における組織の変化をモニターし、警告装置(例えば、光による警告装置および/または音声による警告装置)を用いて、保存すべき構造を破壊する可能性があると、ユーザ(例えば、治療にあたる医師)に警告する。一部の実施形態では、上記フィードバックループ使用して、出力またはその他のパラメータを修正し、処置を実施しないとして選択された組織領域を連続的に破壊することを回避する。一部の実施形態では、組織領域をアブレーションから保護することは、脆弱な領域において閾値(例えば、目標ROI)を設定することによって、または、コンピュータによる重ね合わせ画像を用いてユーザが所望に応じて“処置対象外”ゾーンを規定することによって実現される。
【0151】
〔第V部 チューニングシステム〕
一部の実施形態では、本発明のエネルギー供給システムは、組織領域に供給されるエネルギーの量を調節するためのチューニング部材を使用する。一部の実施形態では、上記チューニング部材は、システムのユーザによって手動で調節される。一部の実施形態では、所望に応じてユーザが装置のエネルギー供給を調節できるように、チューニングシステムがエネルギー供給装置に組み込まれる(例えば、米国特許第5,957969号、第5,405,346号を参照。なお、これらの特許の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、上記装置は、所望の組織に合わせて事前にチューニングされ、処置過程全体を通じて固定され。一部の実施形態では、上記チューニングシステムは、発電機とエネルギー供給装置との間でインピーダンスを合わせるように設計される(例えば、米国特許第5,364,392号を参照。なお、この特許の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、上記チューニング部材は、本発明のプロセッサによって自動的に調節・制御される(例えば、米国特許第5,693,082号を参照。なお、この特許の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、任意の個数の所望の因子を考慮に入れて、プロセッサはエネルギー供給を経時的に調節し、処置過程全体を通じて一定のエネルギーを供給する。この因子としては、熱、標的組織の特性および/または位置、所望の損傷域のサイズ、処理時間の長さ、傷つきやすい器官の領域または血管からの近さなどがあげられるが、これらの例に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記システムは、ユーザに、または、上記装置の機能を連続的または非連続的にモニターするプロセッサにフィードバックを供給するセンサを備えている。該センサは、任意の個数の特性について記録および/またはレポートしてもかまわない。この特性の例としては、上記システムのコンポーネントの1つ以上の部位における熱、組織における熱、組織の特性、などがあげられるが、これらの例に限定されるものではない。上記センサは、映像装置(例えば、CT、超音波、磁気共鳴画像法、または、その他の映像装置)の形態であってもかまわない。一部の実施形態では、特に研究分野への応用の場合に、上記システムは、将来のシステム全般的な最適化に使用するために、および/または、特定の条件(例えば、患者のタイプ、組織のタイプ、標的領域のサイズおよび形状、標的領域の位置など)下においてエネルギー供給を最適化するために、情報を記録および保存する。
【0152】
〔第VI部 温度調節システム〕
一部の実施形態では、本発明のエネルギー供給システムはクーラントシステムを使用して、エネルギー供給装置(例えば、組織アブレーション用カテーテル)内およびこれにそった望ましくない加熱を抑制する。本発明のシステムは、特定の冷却システム機構に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記システムは、エネルギー供給装置全体にわたってクーラントを(例えば、空気、液体など)循環させて、同軸性伝達線およびアンテナの温度を低下させるように設計される。一部の実施形態では、上記システムは、クーラント循環を収納するように設計された流路を内部に有するエネルギー供給装置を使用する。一部の実施形態では、上記システムは、アンテナを外部から冷却することを目的として、上記アンテナまたはアンテナの一部の周囲に巻かれたクーラント鞘を提供する(例えば、米国特許出願第11/053,987号を参照。なお、この特許出願の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、上記システムは、周囲の組織への熱の放散を抑制することを目的として、上記アンテナの周囲に導電性の覆いを有するエネルギー供給装置を使用する(例えば、米国特許第5,358,515号を参照。なお、この特許の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、クーラントを循環させる際に、クーラントが、例えば、廃棄物貯蔵容器に移出される。一部の実施形態では、クーラントの循環時に、クーラントが再循環される。一部の実施形態では、上記クーラントは、その臨界点、または、その近傍で循環する気体である。一部の実施形態では、臨界点、または、その近傍で供給される気体は、二酸化炭素ガスである。一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、搬送されるクーラントを臨界点、または、その近傍で維持できように、該クーラント(例えば、臨界点、または、その近傍にある二酸化炭素ガス)を所望の圧力で圧縮するように構成される。
【0153】
一部の実施形態では、上記システムは、上記アンテナの表面から組織を遠ざけることを目的として、エネルギー供給装置と協働して膨張可能なバルーンを使用する(例えば、米国特許出願第11/053,987号を参照。なお、この特許出願の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0154】
一部の実施形態では、上記システムは、エネルギー供給装置内およびこれにそった望ましくない加熱を抑制することを目的として、エネルギー供給装置に取り付けられるように構成された装置を使用する(例えば、米国特許出願第11/237,430号を参照。なお、この特許出願の内容は全て参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0155】
〔第VII部 特定システム〕
一部の実施形態では、本発明のエネルギー供給システムは、システムの1つ以上のコンポーネントに関連する特定部材(例えば、RFID部材、特定のリング(例えば、基準点)、バーコードなど)を使用する。一部の実施形態では、上記特定部材は、上記システムの特定のコンポーネントについて情報を伝達する。本発明は、伝達される情報によって限定されるものではない。一部の実施形態では、上記伝達される情報としては、コンポーネントのタイプ(例えば、製造業者、サイズ、エネルギー定格値、組織構成など)、(例えば、非滅菌コンポーネントが使用されないことを保証するために)コンポーネントが以前に使用されたことがあるかどうか、コンポーネントの位置、患者に特異的な情報などがあげられるが、これらの例に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記情報は、本発明のプロセッサによって読み取られる。このような一部の実施形態では、上記プロセッサは、システムの他のコンポーネントを、上記特定部材を有するコンポーネントとともに使用または最適に使用できるように構成する。
【0156】
一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、特定のエネルギー供給装置の特定を向上させる(例えば、類似の概観を有する他の装置の近傍に配置された特定の装置の特定を向上させる)ために、1つ以上の標識(例えば、引っ掻き傷、色分け、エッチング(例えば、レーザエッチング)、塗布された造影剤の標識、特定のリング(例えば、基準点)、および/または周縁部)を有する。上記標識には、複数の装置が患者に挿入される場合に特定の用途がある。このような場合には、特に上記装置がさまざまな角度で互いに交差する場合には、患者身体の外部に配置された装置のどの近位端が患者身体の内部に配置された装置のどの遠位端に対応するのかを、治療にあたる医師が対応させることは困難である。一部の実施形態では、身体の内部に存在する場合に映像装置によって視認できるように、標識(例えば、番号)が医師の眼によって視認できるように装置の近位端に存在し、別の標識(例えば、番号に対応する標識)が装置の遠位端に存在する。一部の実施形態では、1組のアンテナが採用され、該組の個々の部材には近位端と遠位端との両方で番号が振られている(例えば、1、2、3、4など)。一部の実施形態では、取手部に番号が振られており、整合する番号が振られた取り外し可能な(例えば、使い捨て)アンテナが、使用前にこの取手部に接続される。一部の実施形態では、上記システムのプロセッサによって、上記取手部およびアンテナが(例えば、RFIDタグ、または、その他の手段によって)確実に正しく整合される。一部の実施形態では、上記アンテナは使い捨て型であり、廃棄すべき使い捨て型コンポーネントを再使用しようとすると、上記システムは警告を行う。一部の実施形態では、上記標識は、MRI、CT、および、超音波検出を含めるが、これらに限定されるものではない任意のタイプの検出システムにおいて特定を改善する。
【0157】
本発明のエネルギー供給システムは、特定のタイプの追跡装置に限定されるものではない。一部の実施形態では、GPSおよびGPSに関連する装置が使用される。一部の実施形態では、RFIDおよびRFIDに関連する装置が使用される。一部の実施形態では、バーコードが使用される。
【0158】
このような実施形態では、装置を特定部材とともに使用する前の認可(例えば、コードの入力、バーコードのスキャン)が、このような装置を使用する前に要求される。一部の実施形態では、上記情報部材は以前に使用されたコンポーネントを特定し、上記プロセッサに情報を送って、新しい無菌コンポーネントが装備されるまでシステムの使用を禁止する(例えば、ブロックする)。
【0159】
〔第VIII部 温度モニタリングシステム〕
一部の実施形態では、本発明のエネルギー供給システムは温度モニタリングシステムを使用する。一部の実施形態では、エネルギー供給装置の温度を(例えば、温度センサを用いて)モニターするために、温度モニタリングシステムが使用される。一部の実施形態では、組織領域(例えば、治療中の組織、周囲の組織)の温度をモニターするために、温度モニタリングシステムが使用される。一部の実施形態では、上記温度モニタリングシステムは、温度情報をユーザに提供できるように、または、プロセッサに提供してプロセッサがシステムを適宜調節できるように、プロセッサと通信するように設計される。一部の実施形態では、アンテナにそった複数の点で温度をモニターし、アブレーションの状態、冷却状態、または、安全性チェックを推定する。一部の実施形態では、アンテナにそった複数の点でモニターされる上記温度を使用して、例えば、アブレーションゾーンの形状的な特徴(例えば、直径、深さ、長さ、密度、幅など)を(例えば、組織のタイプ、および、エネルギー供給装置内で使用される出力量に基づいて)決定する。一部の実施形態では、アンテナにそった複数の点でモニターされる温度を使用して、例えば、処置過程の状態(例えば、処置過程の終了)を決定する。一部の実施形態では、熱電対または電磁気的手段を組織内のアンテナを介して用いて、温度がモニターされる。
【0160】
〔第IX部 処置装置ハブ〕
本発明のシステムは、さらに、本発明の特徴を直接的または間接的に利用または補助する1つ以上の別のコンポーネントを採用してもかまわない。例えば、一部の実施形態では、1つ以上のモニタリング装置を使用して、システムの任意の1つ以上のコンポーネントの機能についてモニターおよび/またはレポートする。また、本発明の装置と組み合わせて直接的または間接的に使用されてもかまわない任意の医療機器またはシステムを、システムに設けてもかまわない。このようなコンポーネントとしては、滅菌システム、装置、および、コンポーネント、その他の外科、診断、または、モニタリング装置またはシステム、コンピュータ設備、ハンドブック、指示、ラベルおよび指針、ロボットの設備などがあげられるが、これらの例に限定されるものではない。
【0161】
一部の実施形態では、上記システムは、本発明のシステムの各種コンポーネントの結合部に材料を供給するポンプ、貯蔵所、チュービング、配線、および/または、その他のコンポーネントを採用する。例えば、任意のタイプのポンプを使用して、気体または液体クーラントを本発明のアンテナに供給してもかまわない。クーラントを収納する気体または液体取り扱いタンクを、システム中に設けてもかまわない。一部の実施形態では、複数(例えば、2台、3台、4台、5台、6台、7台、8台、9台、10台、20台、50台、100台など)のタンクが同時に、順番に、または、必要に応じて使用される。一部の実施形態では、複数のタンクが使用され、1つのタンクが空になると、別のタンクが自動的に使用されて処置の中断を防止する(例えば、1つのCO2タンクが空になると、2つめのCO2タンクが自動的に使用され、これにより処置の中断が防止される)。一部の実施形態では、CO2が採用され、標準規格EサイズのCO2シリンダーを使用して、CO2が供給される。
【0162】
一部の実施形態では、上記システムは、1つ以上の外部加熱装置を採用する。上記システムは、外部加熱装置の特定の用途に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記外部加熱装置を使用して、上記システムのある部材が特定の温度範囲内で維持される。例えば、一部の実施形態では、外部加熱装置を使用して、クーラントを1つ以上の装置に供給する気体または液体取り扱いタンク(例えば、CO2を収納するタンク)が、特定の温度範囲内で維持される。実際に、一部の実施形態では、外部加熱装置によって、内容物を放出する際にタンクが自然に起こす温度降下が防止され、これにより、装置に供給されるクーラントが一定の温度または温度範囲にあることが保証される。上記システムは、特定の外部加熱装置に限定されるものではない。上記外部加熱装置は、温度を特定範囲で維持する特定の様式に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記外部加熱装置は、気体または液体取り扱いタンク(例えば、CO2を収納するタンク)内の圧力を特定範囲内で維持する(例えば、CO2を含有するタンク(例えば、標準規格EサイズのCO2シリンダー)を、該タンクがCO2を850ポンド/平方インチで放出する際に圧力が維持できるように、1000ポンド/平方インチで加熱する)。
【0163】
一部の実施形態では、上記エネルギー供給システム(例えば、上記エネルギー供給装置、プロセッサ、電源装置、映像システム、温度調節システム、温度モニタリングシステム、および/または、特定システム)、および、関連するすべてのエネルギー供給システム利用源(例えば、エネルギー、気体、クーラント、液体、圧力、および、通信項目を供給するケーブル、ワイヤ、コード、管、パイプ)は、望ましくない設置問題(例えば、組織化されていないエネルギー供給システム利用源に関する、もつれ、散乱、および、無菌状態における妥協)を抑制する様式で設けられる。ただし、本発明は、望ましくない設置問題を抑制するように、上記エネルギー供給システムおよびエネルギー供給システム利用源を設置する特定の様式に限定されるものではない。一部の実施形態では、
図13に示すように、上記エネルギー供給システムおよびエネルギー供給システム利用源は、移入/移出容器1300、輸送用鞘1310、および、処置装置ポッド1320とともに組織されている。一部の実施形態では、移入/移出容器、輸送用鞘、および、処置装置ポッドとともに組織化されたエネルギー供給システムおよびエネルギー供給システム利用源は、いくつかの効果を奏する。このような効果には、発電機(例えば、マイクロ波発生機)と患者との間で延びるコードの本数の減少(例えば、床上のコードの本数の減少)、無菌環境および処置室の整理整頓、上記エネルギー供給システムが患者とともに“移動”し、これにより装置の脱落(例えば、アンテナの脱落)を防止することによる患者の安全性の増加、上記エネルギー供給装置内でエネルギーが伝播する距離を抑制することによる出力の供給効率の増加、ならびに、使い捨て型ケーブルの長さを短縮することによる使い捨てコストの低減などがあげられるが、これらの例に限定されるものではない。
【0164】
本発明は、特定のタイプまたは種類の移入/移出容器に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記移入/移出容器は上記電源装置およびクーラント源を収納する。一部の実施形態では、上記移入/移出容器は、患者が治療を受けている無菌域の外側に配置される。一部の実施形態では、上記移入/移出容器は、患者が治療を受けている部屋の外側に配置される。一部の実施形態では、上記移入/移出容器は、患者が治療を受けている部屋の内側に配置され、無菌状態で維持される。一部の実施形態では、1つ以上のケーブルが、上記移入/移出容器を処置装置ポッドに接続される。一部の実施形態では、単一のケーブルが使用される(例えば、輸送用鞘)。例えば、このような一部の実施形態では、輸送用鞘が、上記移入/移出容器へ、および/または、移入/移出容器からエネルギーおよびクーラントをどちらも供給するためのコンポーネントを収納する。一部の実施形態では、上記輸送用鞘は、医師に対して物理的な障壁を発生させずに、処置装置ポッドに接続する(例えば、床の下や頭上に配置される)。一部の実施形態では、上記ケーブルは、低損失ケーブルである(例えば、上記電源装置を処置装置ハブに接続する低損失ケーブル)。一部の実施形態では、上記低損失ケーブルは(例えば、処置装置ハブ、処置台、天井に)固定されて、偶発的にケーブルを引っ張ってしまった際の怪我を防止する。一部の実施形態では、上記ケーブルは、上記発電機(例えば、マイクロ波発電機)に接続され、上記処置装置ハブは再使用可能な低損失ケーブルである。一部の実施形態では、上記処置装置ハブをエネルギー供給装置に接続するケーブルは、可撓性を有する使い捨て型ケーブルである。一部の実施形態では、上記処置装置ハブをエネルギー供給装置に接続するケーブルは、“記憶”特性を有する高い可撓性を有する(例えば、上記ケーブルは、1つ以上の所望の位置が維持できるように成形されてもよい)。一部の実施形態では、上記処置装置ハブをエネルギー供給装置に接続するケーブルは、シリコーンで覆われたガラス繊維製ケーブルである。
【0165】
本発明は、特定のタイプまたは種類の処置装置ポッドに限定されるものではない。一部の実施形態では、上記処置装置ポッドは、出力、クーラント、または、その他の部材を、上記移入/移出容器、または、その他の供給源から受け取るように構成される。一部の実施形態では、上記処置装置ポッドは、エネルギーを医療機器に供給する動作、クーラントを循環させて医療機器へ届ける動作、データ(例えば、映像データ、エネルギー供給データ、安全性モニタリングデータ、温度データなど)を収集および処理する動作、および、医療行為を容易にするその他の機能を提供する動作のうちの、任意の1つ以上の動作のために、物理的に患者の近傍に配置された制御センター部を提供する。一部の実施形態では、上記処置装置ポッドは、輸送用鞘に嵌合し、関連するエネルギー供給システム利用源を受けるように構成される。一部の実施形態では、上記処置装置ポッドは、上記各種エネルギー供給システム利用源を受けて、適用可能な装置(例えば、エネルギー供給装置、映像システム、温度調節システム、温度モニタリングシステム、および/または、特定システム)に分配するように構成される。例えば、一部の実施形態では、上記処置装置ポッドは、マイクロ波エネルギーおよびクーラントをエネルギー供給システム利用源から受け取って、このマイクロ波エネルギーおよびクーラントをエネルギー供給装置に分配するように構成される。一部の実施形態では、上記処置装置ポッドは、所望に応じて、特定のエネルギー供給システム利用源の量を(例えば、自動的に、または、手動で)オンまたはオフ、較正、および、調節するように構成される。一部の実施形態では、上記処置装置ポッドは、所望に応じて特定のエネルギー供給システム利用源の量を調節(例えば、手動で、または、自動的にオン、オフ、較正)するための出力分割器を内部に有する。一部の実施形態では、上記処置装置ポッドは、エネルギー供給システム利用源を所望の様式で供給するように設計されたソフトウェアを内部に有する。一部の実施形態では、上記処置装置ポッドは、各エネルギー供給システム利用源について関連特性(例えば、どの装置が現在使用されているか/使用されてないか、特定の身体領域の温度、特定のCO2タンク中に存在する気体の量など)を示唆する表示領域を有する。一部の実施形態では、上記表示領域は、タッチ能力(例えば、タッチスクリーン)を有する。一部の実施形態では、上記エネルギー供給システムに関連するプロセッサは、処置装置ポッド中に配置される。一部の実施形態では、上記エネルギー供給システムに関連する電源装置は、処置装置ポッド内に配置される。一部の実施形態では、上記処置装置ポッドは、望ましくないイベント(例えば、望ましくない加熱、望ましくない漏れ、望ましくない圧力変化など)の発生時に、1つ以上のエネルギー供給システム利用源の動作を自動的に禁じるように構成されたセンサを有する。一部の実施形態では、上記処置装置ハブの重量は、患者に対して不快感および/または害を引き起こさずに患者の上に載せることができるような重量である(例えば、15ポンド未満、10ポンド未満、5ポンド未満)。
【0166】
本発明の処置装置ポッドは、特定の用途、または、特定の設定における使用に限定されるものではない。実際に、上記処置装置ポッドは、エネルギー放射が関与する任意の設定において使用できるように設計される。このような用途には、任意の、かつ、すべての医学的、獣医学的、および、研究的応用を含める。さらに、上記処置装置ポッドは、エネルギー供給が関与する農業分野、製造分野、機械分野、または、その他の応用分野において使用されてもかまわない。一部の実施形態では、上記処置装置ポッドは、患者の移動性が制限されない医療行為(例えば、CTスキャン、超音波撮像など)において使用される。
【0167】
一部の実施形態では、上記処置装置ポッドは、無菌設定内に配置されるように設計される。一部の実施形態では、上記処置装置ポッドは、患者のベッドの上(例えば、ベッド上、ベッドの枠の上)、患者を上に載せた台の上(例えば、CT映像法、超音波撮像、MRI映像法などに使用される台の上)、または、患者の近傍の他の構造物の上(例えば、CT用ガントリの上)に配置される。一部の実施形態では、上記処置装置ポッドは、別の台の上に配置される。一部の実施形態では、上記処置装置ポッドは、天井に取り付けられる。一部の実施形態では、上記処置装置ポッドは、ユーザ(例えば、医師)が該処置装置ポッドを所望の位置へ移動させられるように、天井に取り付けられる(これにより、上記エネルギー供給システム利用源(例えば、エネルギー、気体、クーラント、液体、圧力、および、通信項目を供給するケーブル、ワイヤ、コード、管、パイプ)を、使用中に、患者の上または近傍に配置する必要がなくなる)。一部の実施形態では、上記処置装置ハブは、患者の上(例えば、患者の脚、大腿、ウエスト、胸部郭の上)に載せて配置される。一部の実施形態では、上記処置装置ハブは、患者の頭上または患者の足の下に配置される。一部の実施形態では、上記処置装置ハブは、所望の領域(例えば、処置台、患者のドレープ、および/または、ガウン)に取り付けることを可能にするマジックテープ(登録商標)を有する。
【0168】
一部の実施形態では、上記処置装置ハブは、医療行為に使用される処置用ストラップ(例えば、CT用の安全ベルト)に取り付けることができるように構成される。一部の実施形態では、上記処置用ストラップは、処置台(例えば、CT用の台)に(例えば、処置台の側面の溝を介して、マジックテープを介して、粘着性材料を介して、吸引を介して)取り付けられ、患者を処置台に(例えば患者に巻き、例えばマジックテープを用いて繋ぐことによって)固定するために使用される。上記処置装置ハブは、処置用ストラップを用いた特定の様式の取り付けに限定されるものではない。一部の実施形態では、上記処置装置ハブは、上記処置用ストラップに取り付けられる。一部の実施形態では、上記処置装置ハブは、上記処置用ストラップとの置き換えが可能な別のストラップに取り付けられる。一部の実施形態では、上記処置装置ハブは、上記処置用ストラップに取り付けられるように構成された別のストラップに取り付けられる。一部の実施形態では、上記処置装置ハブは、上記処置台の任意の領域に取り付けられるように構成された別のストラップに取り付けられる。一部の実施形態では、上記処置装置ハブは、患者の快適さを確保するために断熱材および/またはパッドを有する別のストラップに取り付けられる。
図18は、処置台ストラップに接続された処置装置ハブを示している。
【0169】
一部の実施形態では、上記処置装置ハブは、処置用リングに取り付けられるように構成される。本発明は、特定のタイプまたは種類の処置用リングに限定されるものではない。一部の実施形態では、上記処置用リングは、患者の周囲(例えば、患者の胴体、頭、足、腕などの周囲)に設置できるように構成される。一部の実施形態では、上記処置用リングは、処置台(例えば、CT用の台)に取り付けられるように構成される。上記処置装置用リングは、特定の形状に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記処置装置用リングは、例えば、卵形、円形、矩形、斜形などである。一部の実施形態では、上記処置装置用リングは、円形の約半分の形状(例えば、円形の25%、円形の40%、円形の45%、円形の50%、円形の55%、円形の60%、円形の75%)である。一部の実施形態では、上記処置用リングは、例えば、金属、プラスチック、グラファイト、木材、セラミック、または、これらの任意の組み合わせである。上記処置装置ハブは、処置用リングへの特定の様式の取り付けに限定されるものではない。一部の実施形態では、上記処置装置ハブは、処置用リングに(例えば、マジックテープ、スナップ、粘着剤を用いて)取り付けられる。低損失ケーブルを使用する一部の実施形態では、該低損失ケーブルが、さらに、上記処置用リングに取り付けられる。一部の実施形態では、患者のサイズに合うように、上記処置用リングのサイズの調節(例えば、引き込みや延長)が可能である。一部の実施形態では、上記処置用リングに、さらに別の部材を取り付けてもかまわない。一部の実施形態では、上記処置用リングを、患者の近傍へ、および、近傍から容易に移動させることができてもかまわない。
【0170】
一部の実施形態では、上記処置装置ハブは、特別製の無菌ドレープに取り付けられるように構成される。本発明は、特定のタイプまたは種類の特別製の無菌ドレープに限定されるものではない。一部の実施形態では、上記特別製の無菌ドレープは、患者の上(例えば、患者の胴体、頭、足、腕、全身などの上)に配置できるように構成される。一部の実施形態では、上記特別製の無菌ドレープは、処置台(例えば、CT用の台)に取り付けられるように構成される。上記特別製の無菌ドレープは、特定の形状に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記特別製の無菌ドレープは、例えば、卵形、円形、矩形、斜形などである。一部の実施形態では、上記特別製の無菌ドレープの形状は、患者の特定の身体領域を収容できるような形状である。一部の実施形態では、上記処置用リングは、例えば、布、プラスチック、または、これらの任意の組み合わせである。上記処置装置ハブは、特別製の無菌ドレープの特定の様式の取り付けに限定されるものではない。一部の実施形態では、上記処置装置ハブは、特別製の無菌ドレープに(例えば、マジックテープ、スナップ、粘着剤、クランプ(例えば、ワニ口式のクランプ)を用いて)取り付けられる。低損失ケーブルを使用する一部の実施形態では、該低損失ケーブルが、さらに、上記特別製の無菌ドレープに取り付けられる。一部の実施形態では、上記特別製の無菌ドレープに、さらに別の部材を取り付けてもかまわない。一部の実施形態では、上記特別製の無菌ドレープを、患者の近傍へ、および、近傍から容易に移動させることができてもかまわない。一部の実施形態では、上記特別製の無菌ドレープは、医療行為を実施するためにもう1つの開窓を有する。
図19は、開窓、および、この開窓を介して挿入されたケーブルを備えた特別製の無菌ドレープを示している。
図20は、ケーブルを介して処置装置ハブに接続された発電機を有する本発明のエネルギー供給システムを示しており、該処置装置ハブは、処置台に(例えば、処置台ストラップを介して)固定されている。また、
図20に示すように、処置台に横たわっている患者の上に特別製の無菌ドレープが配置され、特別製の無菌ドレープは開窓を有する。
【0171】
一部の実施形態では、上記処置装置ハブは、患者の近傍において上記ハブを位置決めするための脚部を有して構成される。一部の実施形態では、上記処置装置ハブは、調節可能な脚部を有する(例えば、これにより、上記処置装置ハブをさまざまな位置において位置決めすることが可能になる)。一部の実施形態では、上記処置装置ハブは3つの調節可能な脚部を有し、これにより、三脚を用いたさまざまな位置に該装置を配置することが可能になる。一部の実施形態では、上記脚部は、所望の領域(例えば、処置台、患者のドレープおよび/またはガウン)に取り付けることを可能にするマジックテープを内部に有する。一部の実施形態では、上記脚部は、処置台(例えば、CT用台)の上で円弧を形成し、処置台のレールを押し付けるように構成されたバネ状素材から形成される。一部の実施形態では、上記脚部は、処置台のレールに取り付けられるように構成される。
【0172】
一部の実施形態では、上記処置装置ポッドは、プロセッサ(例えば、コンピュータ、インターネット、携帯電話、PDA)と(無線または有線で)通信するように構成される。一部の実施形態では、上記処置装置ハブは、遠隔制御で操作されてもかまわない。一部の実施形態では、上記処置装置ポッドは、表面部に1つ以上のランプを有する。一部の実施形態では、上記処置装置ハブは、出力が上記処置装置ハブからエネルギー供給装置へ流れる場合に、検出可能な信号(例えば、音声、光(例えば、パルス状の光))を供給する。一部の実施形態では、上記処置装置ハブは音声入力が可能である(例えば、MP3プレーヤ)。一部の実施形態では、上記処置装置ハブは、音声を生成するためのスピーカを有する(例えば、MP3プレーヤからの音声)。一部の実施形態では、上記処置装置ハブは、音声を外部のスピーカシステムに供給するための音声出力が可能である。一部の実施形態では、処置装置ポッドを使用することによって、比較的短いケーブル、ワイヤ、コード、管、および/または、パイプ(例えば、4フィート未満、3フィート未満、2フィート未満)を使用することができるようになる。一部の実施形態では、上記処置装置ポッド、および/または、該処置装置ポッドに接続されたもう1つのコンポーネント、または、その一部が、無菌鞘によって覆われている。一部の実施形態では、上記処置装置ハブは、出力を(例えば、エネルギー供給装置へ)供給するための出力増幅器を有する。
【0173】
一部の実施形態では、上記処置装置ポッドは、例えば、クーラントを所望の圧力(例えば、気体の臨界点)で維持し、冷却状態または温度の維持を改善できるように、搬送されるクーラント(例えば、CO2)を所望の圧力で圧縮するように構成される。例えば、一部の実施形態では、装置、線、ケーブル、または、その他のコンポーネントの温度を一定の規定温度、または、その近傍で維持するために、気体が臨界点、または、その近傍で供給される。このような一部の実施形態では、コンポーネントそのものは冷却されず、その温度は開始温度(例えば、室温)から降下しないが、その代わりに、上記の介入がなければコンポーネントが取るであろうと考えられる温度より低い一定の温度で維持される。例えば、上記システムのコンポーネントが組織に熱傷を生じさせない程度に十分に冷たく、同様に、室温または体温より大幅に低く、該コンポーネントに接触する皮膚が凍結などによって低温損傷を起こすほどの低温には冷却または維持されないように、CO2を臨界点(例えば、78.21kPaなら31.1℃)、または、その近傍で使用して温度を維持してもかまわない。このような構成を用いることによって、必ずヒトまたは周囲の環境から遮断しなければならない“低温の”コンポーネントが存在しないので、断熱材をそれほど使用する必要がない。一部の実施形態では、上記処置装置ポッドは、エネルギー、気体、クーラント、液体、圧力、および/または、通信項目を供給する使用後のおよび/または未使用のケーブル、ワイヤ、コード、管、および、パイプを巻き取るように設計された引き込部材を有する。一部の実施形態では、上記処置装置ポッドは、例えば、エネルギー供給装置の使用前にクーラントが所望の温度になるように、クーラントをエネルギー供給装置中へ分離させる準備するように構成される。一部の実施形態では、上記処置装置ポッドは、例えば、エネルギー供給装置の使用前にシステムが所望の温度になるように、クーラントをエネルギー供給装置中へ分離させる準備するように構成されたソフトウェアを内部に有する。一部の実施形態では、臨界点、または、その近傍におけるクーラントの循環によって、別の冷却機構(例えば、送風機)を使用しなくても、エネルギー供給装置の電子部材を冷却することが可能になる。
【0174】
1つの例示としての実施形態において、移入/移出容器は、1つ以上のマイクロ波電源装置およびクーラント源(例えば、加圧二酸化炭素ガス)を収納する。この移入/移出容器は、マイクロ波エネルギーおよびクーラントの両方を処置装置ポッドに供給する単一の輸送用鞘に接続される。上記輸送用鞘それ自体を最大限に冷却するために、輸送用鞘内のクーラント路またはエネルギー供給路が互いの周囲に巻きつけられていてもよい。上記輸送用鞘は、患者を担当する医療チームの移動に干渉しない位置で床上を通って、処置が行われる無菌域内へ延びる。上記輸送用鞘は、患者が横たわる映像台付近に配置された台に接続される。該台は移動可能型(例えば、車輪付き)の台であって映像台に接続可能であり、映像台と一緒に移動できる。上記台は腕部を有し、この腕部は、腕部を患者の上の空間で位置決めができるように可撓性を有し、または、テレスコープ機能を内臓していてもよい。上記輸送用鞘に接続される輸送用鞘またはケーブルは、該腕部にそって頭上の部位まで延びる。腕部の端部には、上記処置装置ポッドがある。一部の実施形態では、2つ以上の腕部が、2つ以上の処置装置ポッド、または、単一の処置装置ポッドの2つ以上のサブコンポーネントとともに設けられる。上記処置装置ポッドは小さく(例えば、1立方フィート未満、10cm3未満など)、患者の上方で容易に移動および位置決めができる。上記処置装置ポッドは、システムのすべての演算機能を制御するためのプロセッサを備えている。上記装置ポッドは、エネルギー供給装置につながるケーブルを接続するための1つ以上の接続ポートを備えている。ケーブルは上記ポートに接続される。上記ケーブルは、引き込み可能であって、長さは3フィート未満である。短いケーブルを使用することによって、費用が軽減され、出力損失が防止される。上記ケーブルは、使用されないときには、患者の身体とは接触しないで患者の上方で吊り下げられる。上記ポートは、使用されないとき(例えば、エネルギー供給装置が特定のポートに接続されていないとき)には擬似負荷を有して構成される。上記処置装置ポッドは、処置中にコンピュータのつまみを調節し、表示情報をリアルタイムで見ることができるように、治療にあたる医師の手が届くところにある。
【0175】
一部の実施形態では、上記エネルギー供給システムは、システム部材を1つの領域内に保持するための処置用カートを使用する。例えば、一部の実施形態では、上記システムは、装置を冷却することを目的とするクーラント源(例えば、気体または液体クーラントを本発明の装置に供給する複数のタンク)(例えば、標準規格EサイズのCO2シリンダー)を格納するように構成された処置用カート、上記クーラント源を所望の圧力で維持する外部加熱装置、1つ以上の電源装置、1つ以上の関連するエネルギー供給システム利用源(例えば、エネルギー、気体、クーラント、液体、圧力、および、通信項目を供給するケーブル、ワイヤ、コード、管、パイプ)、および/または、上記処置装置ハブを提供する。実際に、上記処置用カートは、特定の設計または目的に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記処置用カートは、無菌設定環境(例えば、処置室)内で使用するように構成され、冷却タンク、関連する外部加熱装置、および、処置装置ポッド/ハブを内部に有する。一部の実施形態では、上記処置用カートは、非滅菌設定環境内でのみ使用するように構成される。一部の実施形態では、上記処置用カートは、容易に移動できるように構成される(例えば、車輪を有するように設計される)。上記処置用カートは、本発明のエネルギー供給システムの任意のコンポーネント(例えば、上記移入/移出容器、輸送用鞘、および/または、処置装置ハブ)に接続するように構成される。一部の実施形態では、上記処置用カートは、エネルギー供給システムのコンポーネント(例えば、ユーザインターフェースソフトウェア)を操作および/またはモニターするための表示領域を内部に有する。一部の実施形態では、上記処置用カートは、プロセッサ(例えば、コンピュータ、インターネット、携帯電話、PDA)と(無線または有線で)通信するように構成される。一部の実施形態では、上記処置用カートは、エネルギー供給システムに関する情報(例えば、各コンポーネントの使用回数、どの装置が使用されているか、など)を(無線または有線で)送受信するように構成される。
【0176】
〔第X部 エネルギー供給システムの用途〕
本発明のシステムは、特定の用途に限定されるものではない。実際に、本発明のエネルギー供給システムは、エネルギー放射が関与する任意の設定において使用できるように設計される。このような用途には、任意の、かつ、すべての医学的、獣医学的、および、研究的応用を含める。さらに、本発明のシステムおよび装置は、エネルギー供給が関与する農業分野、製造分野、機械分野、または、その他の応用分野において使用されてもかまわない。
【0177】
一部の実施形態では、上記システムは、観血的手術によって、皮膚内を通じて、血管内を通じて、心臓内を通じて、内視鏡によって、腔内を通じて、腹腔鏡によって、または、外科的に、エネルギーを供給できるように構成される。一部の実施形態では、上記エネルギー供給装置は、カテーテル、外科的に形成された開口部、および/または、身体の開口部(例えば、口、耳、鼻部、眼、腟、陰茎、肛門)を介して患者の身体内に配置されてもよい(例えば、N.O.T.E.S.処置)。一部の実施形態では、上記システムは、エネルギーを標的組織または領域に供給できるように構成される。一部の実施形態では、本発明のエネルギー供給システムを用いた経皮的、血管内、心臓内、腹腔鏡、および/または外科的なエネルギー供給を向上させるために、位置決め板が設置される。本発明は、特定のタイプおよび/または種類の位置決め板に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記位置決め板は、経皮的、血管内、心臓内、腹腔鏡、および/または、外科的なエネルギー供給が実施できるように、1つ以上のエネルギー供給装置を所望の身体領域に固定するように設計される。一部の実施形態では、上記位置決め板の組成は、エネルギー供給システムからの望ましくない熱に身体領域が曝されることが防止できるような組成である。一部の実施形態では、上記プレートは、エネルギー供給装置の位置決めに対する補助として案内部を提供する。本発明は、標的組織または領域の特性によって限定されるものではない。用途としては、心臓の不整脈の治療、腫瘍のアブレーション(良性のものも、悪性のものも含める)、手術中の出血、外傷後の出血、その他の出血の制御、軟部組織の除去、組織の切除および回収、静脈瘤の治療、腔内組織のアブレーション(例えば、バレット食道や食道腺癌などの食道の病態の治療)、骨腫瘍、正常な骨、および、良性の骨の病態の治療、眼内での使用、美容外科における使用、脳腫瘍や電気的障害を含めた中枢神経系の病態の治療、滅菌作業(例えば、ファロピウス管のアブレーション)、任意の目的の血管や組織の焼灼などがあげられるが、これらの例に限定されるものではない。一部の実施形態では、上記外科的応用分野には、(例えば、凝固壊死を実現するための)アブレーション治療法を含める。一部の実施形態では、上記外科的応用分野には、例えば、転移性腫瘍を標的とする腫瘍のアブレーションを含める。一部の実施形態では、上記装置は、組織または生体に対する損傷は最小に抑制して、脳、首、胸部郭、腹部、骨盤などを含めた(ただし、これらの例に限定されるものではない)所望の位置における移動および位置決めするように構成される。一部の実施形態では、上記システムは、例えば、コンピュータ断層撮影、超音波、磁気共鳴画像法、蛍光透視法などによって案内供給するように構成される。
【0178】
一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載する組織領域およびシステム(例えば、エネルギー供給装置、ならびに、プロセッサ、電源装置、温度モニター、画像装置、チューニングシステム、および/または、温度降下システムのうちの少なくとも1つのコンポーネント)を準備し、上記エネルギー供給装置の一部を組織領域の近傍において位置決めし、上記装置を用いて、ある量のエネルギーを上記組織領域に供給する、組織領域を治療する方法を提供する。一部の実施形態では、上記組織領域は腫瘍である。一部の実施形態では、上記エネルギーの供給の結果、例えば、組織領域および/または血管血栓症のアブレーション、および/または、組織領域の電気穿孔が起きる。一部の実施形態では、上記組織領域は腫瘍である。一部の実施形態では、上記組織領域には、心臓、肝臓、生殖器、胃、肺、大腸、小腸、脳、首、骨、腎臓、筋肉、腱、血管、前立腺、膀胱、および、脊髄のうちの1つ以上を含める。
【0179】
〔実験〕
〔実施例I〕
本実施例は、クーラント流路を通してクーラントを循環させる本発明のエネルギー供給装置を使用することによって望ましくない組織の加熱を実際に回避した結果である。アブレーション針のシャフトは、どの実験についても20.5cmであった。取手部アッセンブリーの冷却は極わずかであった。これは、取手部冷却作用が良好に隔離されていたことを示唆している。温度プローブ1、2、および、3を、ステンレス針の先端より4cm、8cm、および、12cmの位置に配置した(
図9を参照)。ブタの肝臓内に挿入した後の出力が35%の場合の測定、および、ブタの肝臓内に挿入した後の出力が45%の場合の測定について、温度を測定した。出力が35%の場合の測定には、プローブ4を取手部それ自体の上に配置した。また、出力が45%の場合の測定には、プローブ4を、ステンレス針の先端から約16cm戻った、針と皮膚との境界に配置した。
【0180】
図10に示すように、異常に高い(6.5%)反射出力を用いて出力35%で10分間治療したところ、プローブ1、2、3、および、取手部において組織を破壊しない温度で装置が維持できることが実証された。
【0181】
図11に示すように、異常に高い(6.5%)反射出力を用いて出力45%で10分間治療したところ、プローブ1、2、3、および、4において組織を破壊しない温度で装置が維持できることが実証された。異常に高い(6.5%)反射出力を用いて出力45%で10分間アブレーションを実施した後に皮膚および脂肪層を観察したところ、目に見える熱傷または熱的な損傷はないことが実証された。
【0182】
〔実施例II〕
本実施例は、発電機の較正を実際に行ってみた結果である。Cober-Muegge社の工場で発電機の較正を実施し、150Wを超える出力についてもっとも精度が高くなるように設定した。マグネトロンは、まさしくダイオードのように振る舞い、陰極電圧を増加させても、ある臨界閾値に達するまでは真空電流は増加せず(出力に比例)、該臨界閾値に達すると真空電流は電圧の増加とともに急速に増加した。マグネトロン源の制御は、陰極電圧を上記臨界点付近において高精度で制御することによって行った。したがって、発電機は0%~10%の出力に対しては設定しなかった。また、出力と理論力率(%)入力との相関は、15%未満と低かった。
【0183】
発電機の較正をテストするために、出力制御ダイアルを、0.25%から始めて1%の増分(3Wの増分における0W~75Wの理論出力に対応する)で変更して、発電機の出力表示を記録し、出力を測定した。室温における同軸ケーブル、カプラー、および、負荷の測定損失について、測定出力を補正した。出力表示も、オフセット誤差(つまり、ダイアルを0.0%にセットすると、発電機は2.0%を示していた)について補正した。
【0184】
ダイアルと発電機出力表示との間の誤差は、ダイアルを低出力に設定した場合に大きかった。以上の2つの値を補正することによって、ダイアル設定が15%を超える場合には誤差百分率が5%未満に収めることができた。同様に、測定出力は、ダイアル設定が15%未満の場合に理論出力から大きく異なっていたが、ダイアル設定が15%を超える場合には比較的精度がよかった。
【0185】
〔実施例III〕
本実施例は、製造時のアンテナの設定および試験について説明する。この設定および試験によって、製造環境における設定・試験方法が提供できるようになる。本方法はでは、組織ではなく、組織に相当する液体模型を採用する。
【0186】
アンテナについてすでに実施した実験的な数値測定の結果から、L2を約1mm変化させると、反射出力が-30dB未満~約-20dBから25dBまで増加することがわかっていた。この増加はアブレーション時に発生した組織特性の変化によって小さくなった可能性が高かったので、我々は、長さL2に対する0.5mmの相対的許容誤差は妥当であると考える。同様に、反射係数全体がL2ほどにはL1に依存しないが、長さL1に対して0.5mmの許容誤差を使用する。
【0187】
品質管理を目的とするアンテナのチューニングの試験は、肝臓、肺、または、腎臓の誘電特性を模倣するように設計された液体15の溶液を用いて実施可能である(例えば、Guy AW (1971) IEEE Trans.Microw.Theory Tech.19:189-217を参照。なお、この文献の内容は全て参照によって本明細書
に組み込まれる)。上記アンテナを模型に浸漬する。また、1つのポートを有する測定装置または全てのベクターネットワークアナライザ(“VNA”:vector network analyzer)を用いて、反射係数を記録する。適切なチューニングを保証するために、-30dB未満の反射係数の検証が選択される。
【0188】
〔実施例IV〕
本実施例は、三軸型およびCFダイポール型アンテナの効率、加熱能力、および、製造能力を比較した。さらに剛性が高く鋭く、容易に挿入可能な先端を形成するためには、もとの三軸設計を修正することが必要であった。まず初めに、コンピュータモデリングを使用して、アルミナ製鞘および切小面を形成した金属製先端を追加したことにともなってアンテナの長さをどう変更することが必要であるのかを決定した。モデリングによって、アンテナの長さを伸ばすことが必要であると考えられること、および、金属製先端は性能を劣化させないと考えられることを確認した後、エキソビボ肝組織において試験を実施するためにアンテナを作製した。この試験は、設計を修正したことによって高い効率が維持できた一方で、経皮的構成の場合に十分な機械的な強度が提供できることを示していた。CFダイポールの設計のコンピュータモデリングからは、大した結果が得られなかった。また、次の装置製作は、再現が困難であることがわかった。そこで、挿入可能な三軸型装置をリードアンテナの設計として選択した。
【0189】
コンピュータモデリングによって、耐熱性被覆も本格的な断熱層も、どちらも、アンテナの遠位側の先端からアンテナの近位部分に流れることができる熱量を低減することがわかった。ただし、効果的な水冷溶液であれば、0.020”同軸ケーブルの出力のスループットを、約8W~150Wを超える値まで増加させることができる。150Wの入力を用いる場合には、水冷によって、アンテナの先端から近位部分に向かって延びる任意のシャフトの発熱も取り除かれた(
図21)。ただし、実施には、高価な0.020”同軸ケーブルを使用して、十分な水流速度(約30ml/分)を提供することが必要であった。さらに、0.020”ケーブルは、先に使用した0.047”ケーブルに比べて損失が2倍~3倍大きく、出力のスループットが15Wも減少し、このさらなる出力損失を冷却することが必要であった。最終的なアンテナの設計では、金属製アンテナと周囲の組織との間で発生しかねない付着を低減するために、アッセンブリー全体の周囲にPEEK鞘を組み込一方で、熱伝導性の発熱を低減することが示されている熱緩衝材も設置した。
【0190】
Valleylab/Covidien社の冷却済みの17ゲージの試作アンテナまたは17ゲージの冷却済みRF電極のいずれかを用い、正常なインビボのブタの肺モデルにおいてアブレーションを生成して、経皮的に調査を実施した。アブレーションは、RFのグループにはインピーダンス制御をともなう200W、および、マイクロ波のグループには135Wの臨床規格を用いて10分間実施した。マイクロ波のグループで生成したアブレーションは、RFのグループに比べてかなり大きく、アブレーションの平均直径(平均の±標準偏差)は、それぞれ3.32±0.19cmおよび2.7±0.27cmであった(P<0.0001、
図9)。アブレーションの真円度も、マイクロ波グループの方が、RFグループよりかなり高かった(それぞれ、0.90±0.06および0.82±0.09、P<0.05)。調査全体を通じて、大きな合併症は観察されなかった。2回のアブレーション中にそれぞれ1匹の動物において、軽微な気胸が観察された。どちらの動物もRFグループであり、介入しなくても安定した状態が継続した。この調査から、マイクロ波の方がRF電流より効果的であり、肺組織の加熱について通常は速いことが結論された。
【0191】
〔実施例V〕
本実施例は、シミュレートした加熱環境における冷却について調べた。三軸型アンテナの第3の導電とほとんど同一の17ゲージのステンレス針に、ヒータコイルを通した。4つの熱電対を針の外側にそって設置し、独立気泡フォームを用いてシステム全体を熱的に隔離した。この設定が、血流および生体組織の高い熱伝導度がいくらかのアンテナ冷却効果をもたらす傾向があるので、最悪の場合であると思われた。上記コイルを0W~50Wで加熱し、0stp L/分~10stp L/分の流速で動作するNC-CO
2を用いて温度を記録した。試験結果は、加熱された管を周囲温度のまま維持できるように50Wの入力全体を冷却するためには、CO
2の中程度の流れで十分であることを示していた(
図24)。
【0192】
冷却をせずに上記針の外表面で記録された温度は100℃を超えたが、10stp L/分~20stp L/分のNC-CO
2で冷却を実施することよって、表面温度は30℃未満にまで降下した(
図24)。これらの試験は、アブレーションアンテナの内側からの50Wもの熱を、中程度の量のNC-CO
2(約10stp L/分)で効果的に冷却できることを示した。
【0193】
〔実施例VI〕
この実験では、加熱されたアンテナの先端から近位部分への熱伝導効果を測定した。ヒータとアンテナとの間の良好な熱接触を保証するために、修正型アンテナ(セラミック製放射セグメントを、熱伝導性を有する銅製管で置き換えた)を、熱ペーストを用いて電気ヒータ内に設置した(
図25)。NC-CO
2の流速に対する温度を測定するために、アンテナの外表面にそっていくつかの点に熱電対を設置した。
【0194】
冷却を行う前には、外側導電部にそった温度が、ヒータより1cmの位置で80℃を超えた。冷却を開始したところ、たとえ13stp L/分という低い速度であっても、温度は上記NC-CO
2ガスの入力温度まで(約0℃)降下した(
図25)。流速を増加させると、温度はさらに降下した。ガスは、上記針のシャフトへの“付着”機能の可能性について、凍結融解壊死治療プローブに用いたのと同様に試験するために、熱交換器においてわずかに事前冷却した。この事前冷却によって、臨界点に近い動作にとって必要とされる温度より低い温度である31℃が得られた。これ以上の実施については、この調査の対象外である。
【0195】
必要な冷却力の下限を評価するために、同じ設定およびヒータを用いて、追加試験も実施した。この調査では、10stp L/分の初期の流れによって、温度が約0℃まで降下することが示された。次に、シャフト温度が上昇して30℃を超えると、この流れを取り除き、CO
2の1stp L/分のパルスを約10秒間注入した。冷却を実施せず温度が急速に上昇したにも関わらず、温度上昇を消してシステムを周囲温度で維持するためには、CO
2小さなパルスしか必要ではなかった(
図26)。これらの結果は、例えば、少量のCO
2を使用するだけでも、処置時にアンテナをISO60601-1標準規格未満で維持できることを示唆している。温度フィードバック/モニタリングシステムを採用して、処置時のCO
2の使用を最小化してもかまわない。臨界点に近いCO
2は、マイクロ波アブレーションアンテナ内側の液体冷却の実現可能かつ効果的な代替手段である。NC-CO
2の高い熱容量によって、アブレーションアンテナを安全レベルまで冷却するために、わずかな体積の流体しか必要ではないことが保証される。50Wもの熱を生成するアンテナを冷却するためであっても、低い流速(約10stp L/分)で十分であることが示された。
【0196】
〔実施例VII〕
本実施例は、造影剤の投与量を抑制しながら、アブレーションゾーンの可視化を改善する新しい再構築法を用いて、アブレーション過程中にわずかな量のヨウ素標識済み造影剤を周期的に注射することの実現可能性を評価した。汎用性の高い効果的な内処置映像技術が存在しないことが、熱的腫瘍アブレーション分野にとって深刻な制限になっている。超音波撮像では、加熱中に形成される気泡によって画像がぼやけてしまう可能性がある。また、造影CTは、通常多量の造影剤を注射して行う1回のスキャンに限定される。
【0197】
雌の飼育ブタを準備して麻酔を注射した。RFアブレーションを、内部冷却した3つの切り替え電極を用いて20分間実施した。アブレーション時に、15mlのヨウ素標識済み造影剤(300mg/ml)を2分ごとに供給し、各回の注射から所定の肝臓造影時間(90秒)に腹腔CTを収集した。従来のオンライン再構築および画像再構築法(“HYPR”:HighlY-contstrained backPRojection)に
よるオフライン再構築の両方を用いて、CT画像を生成した。従来の画像およびHYPRによって再構築した画像を比較して、アブレーションゾーン部とバックグラウンドの肝臓との画像コントラストおよび信号対雑音比を求めた。
【0198】
アブレーションゾーンの成長は、2分の時間分解能で視覚化することができた。アブレーションゾーンは2分~6分で容易に視認できるようになり、累積コントラスト量は15ml~45mlであった。画質は累積コントラスト量とともに向上した。HYPRによって再構築した画像の信号対雑音比は、標準的な再構築に比べて約3倍~4倍良好であった。また、HYPRによって、アブレーションゾーンとバックグラウンドの肝臓との間の信号のコントラストが6倍まで向上した(
図27および
図28)。
【0199】
上記明細書において言及したすべての文献および特許は、参照によって本明細書に組み込まれる。記載した本発明の方法およびシステムの各種修正および変形が本発明の技術的範囲および精神から逸脱するものではないことは、当業者にとって明らかであろう。本発明について特定の実施形態との関連において説明してきたが、請求項に記載の発明がこのような特定の実施形態に過度に限定されるべきでないことは理解されるべきである。実際に、記載した本発明を実施するためのモードにおける、関連分野の当業者にとって自明な各種修正は、以下の請求項の技術的範囲に包含されるものである。