(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089994
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H05B 33/22 20060101AFI20220609BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220609BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20220609BHJP
H05B 33/28 20060101ALI20220609BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
H05B33/22 Z
H05B33/14 A
H05B33/02
H05B33/28
H05B33/12 B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069931
(22)【出願日】2022-04-21
(62)【分割の表示】P 2020191437の分割
【原出願日】2015-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000221926
【氏名又は名称】東北パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】田口 淳志
(72)【発明者】
【氏名】丹 博樹
(72)【発明者】
【氏名】和氣 範明
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正樹
(57)【要約】
【課題】透明基材側とは反対側から見た場合の電極の縁を目立ちにくくし、かつ、発光装置の光取出効率が低下しないようにする。
【解決手段】基板100は透光性の基板である。第1電極110は基板100に形成されており、透光性を有している。絶縁層150は基板100及び第1電極110の上に形成されており、かつ、第1電極110と重なる開口152を有している。有機層120は少なくとも開口152内に位置している。第2電極130は有機層120の上に形成されており、透光性を有している。中間層200は、第1電極110の側面のうち第1電極110と重なる領域の少なくとも一部に形成されている。そして中間層200の屈折率は、基板100の屈折率と第1電極110の屈折率の間である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有しており、屈折率がn1である基板と、
前記基板に形成され、透光性を有し、屈折率がn2である第1電極と、
前記基板及び前記第1電極の上に形成され、前記第1電極と重なる開口を有していて屈折率がn3である絶縁層と、
前記開口内に位置する有機層と、
前記有機層の上に形成された透光性の第2電極と、
前記基板と前記第1電極の間の領域の少なくとも一部に形成されており、屈折率がn4である中間層と、
を備え、
n4は、n1とn2との間である発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、有機EL素子を発光部として利用する発光装置の開発が進んでいる。有機EL素子は、有機層を、第1電極及び第2電極で挟んだ構成を有している。このような発光装置には、用途によっては透明であることが要求される場合がある。発光装置を透明にするためには、第1電極及び第2電極を、透明導電材料で形成すればよい。
【0003】
一方、発光装置を透明にした場合、有機EL素子の電極の縁が目立つこともある。これに対して特許文献1には、陰極が形成されていない領域に、陰極と同じ材料及び同一の厚みを有する補正層を設けることが記載されている。陰極の例として、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム等の低仕事関数の金属薄膜が記載されている。この補正層は、絶縁層を挟んで陰極の上に形成されている。
【0004】
なお、特許文献2には、透明基材上に屈折率制御層および透明電極層が順に形成されている透明電極付き基板が記載されている。特許文献2において、屈折率制御層の平均屈折率は1.45~1.60である。また屈折率制御層は、全体の膜厚が1000~2500nmである2層以上の積層体となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-270377号公報
【特許文献2】特開2014-198423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2によれば、屈折率制御層により透明基材側からみた場合の透明電極層の非視認性が向上する。しかし、一般的に発光部を形成する絶縁層と電極の屈折率は異なる。このため、屈折率制御層と絶縁層の界面と、屈折率制御層と電極との界面において、それぞれの屈折率差が異なる。このため、透明基材側とは反対側から視認した場合、電極の縁が目立つことがある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題としては、透明基材側とは反対側から見た場合の電極の縁を目立ちにくくし、かつ、発光装置の光取出効率が低下しないようにすることが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、透光性を有しており、屈折率がn1である基板と、
前記基板に形成され、透光性を有し、屈折率がn2である第1電極と、
前記基板及び前記第1電極の上に形成され、前記第1電極と重なる開口を有していて屈折率がn3である絶縁層と、
前記開口内に位置する有機層と、
前記有機層の上に形成された透光性の第2電極と、
前記基板と前記第1電極の間の領域の少なくとも一部に形成されており、屈折率がn4である中間層と、
を備え、
n4は、n1とn2との間である発光装置である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0010】
【
図1】実施形態に係る発光装置の構成を示す平面図である。
【
図2】
図1から隔壁、絶縁層、及び第2電極を取り除いた図である。
【
図6】第2の実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図である。
【
図7】第2の実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図である。
【
図8】第2の実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図である。
【
図9】第3の実施形態に係る発光装置の構成を示す平面図である。
【
図10】第3の実施形態に係る発光装置の構成を示す平面図である。
【
図11】第3の実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図である。
【
図12】第3の実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図である。
【
図13】第3の実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、以下の説明において、透光性を有するとは、少なくとも可視光を透過することを意味する。
【0012】
図1は、実施形態に係る発光装置10の構成を示す平面図である。
図2は、
図1から隔壁170、絶縁層150、及び第2電極130を取り除いた図である。
図3は
図1のA-A断面図であり、
図4は
図1のB-B断面図であり、
図5は
図1のC-C断面図である。
【0013】
実施形態に係る発光装置10は、基板100、第1電極110、絶縁層150、有機層120、第2電極130、及び中間層200を備えている。基板100は透光性の基板である。第1電極110は基板100に形成されており、透光性を有している。絶縁層150は基板100及び第1電極110の上に形成されており、かつ、第1電極110と重なる開口152を有している。有機層120は少なくとも開口152内に位置している。第2電極130は有機層120の上に形成されており、透光性を有している。中間層200は、第1電極110の側面のうち絶縁層150と重なる領域の少なくとも一部に形成されている。そして中間層200の屈折率は、第1電極110の屈折率と絶縁層150の屈折率の間である。
【0014】
また、発光装置10は配線116を有している。配線116は基板100の上に形成されており、透光性を有している。絶縁層150は、配線116の上にも形成されている。そして中間層200は、配線116の側面のうち絶縁層150と重なる領域の少なくとも一部に形成されている。中間層200の屈折率は、配線116の屈折率と絶縁層150の屈折率の間である。以下、詳細に説明する。
【0015】
実施形態に係る発光装置10は、表示装置であり、基板100、第1電極110、複数の第1端子112、複数の第2端子132、発光部140、絶縁層150、複数の開口152、複数の開口154、複数の引出配線114、有機層120、第2電極130、複数の引出配線134、及び複数の隔壁170を有している。
【0016】
基板100は、例えばガラスや透光性の樹脂などの透光性の材料で形成されている。基板100は、例えば矩形などの多角形である。基板100は可撓性を有していてもよい。基板100が可撓性を有している場合、基板100の厚さは、例えば10μm以上1000μm以下である。特に基板100がガラスである場合、基板100の厚さは、例えば200μm以下である。基板100が樹脂である場合、基板100は、例えばPEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルホン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、又はポリイミドを用いて形成されている。また、基板100が樹脂である場合、水分が基板100を透過することを抑制するために、基板100の少なくとも一面(好ましくは両面)に、SiNxやSiONなどの無機バリア膜が形成されている。基板100がガラス基板の場合、基板100の屈折率n1は、例えば1.4以上1.6以下である。
【0017】
発光部140は基板100に形成されており、有機EL素子を有している。この有機EL素子は、第1電極110、有機層120、及び第2電極130をこの順に積層させた構成を有している。
【0018】
第1電極110は、基板100の上に形成されており、透光性を有する透明電極である。透明電極を構成する透明導電材料は、金属を含む材料、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IWZO(Indium Tungsten Zinc Oxide)、ZnO(Zinc Oxide)等の金属酸化物である。第1電極110の厚さは、例えば10nm以上500nm以下である。第1電極110は、例えばマスクを用いたスパッタリング法又は蒸着法を用いて形成される。なお、第1電極110は、薄い金属材料(例えばAgまたはAg合金)、カーボンナノチューブ、又はPEDOT/PSSなどの導電性有機材料であってもよい。第1電極110の屈折率n2は基板100の屈折率n1よりも大きく、例えば1.8以上2.2以下である。
【0019】
第1電極110は、第1方向(
図1及び
図2におけるY方向)にライン状に延在している。そして第1電極110の端部は、引出配線114に電気的かつ物理的に接続している。引出配線114は、第1電極110と同様の材料を用いて形成されている。このため、引出配線114は透光性を有している。本実施例では、引出配線114は第1電極110と一体になっている。そして、引出配線114は第1端子112に接続している。本図に示す例では、引出配線114の端部が第1端子112になっている。
【0020】
複数の第1電極110となる導体パターン上及びその間に位置する基板100の上には、絶縁層150が形成されている。絶縁層150は、第1電極110となる導体パターンの上面の一部を覆っている。絶縁層150は、例えばポリイミド系樹脂などの、透光性を有する感光性の樹脂材料を用いて形成されている。絶縁層150は、ポリイミド系樹脂以外の樹脂、例えばエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂を用いて形成されていてもよい。絶縁層150の屈折率n3は、基板100の屈折率n1と第1電極110の屈折率n2の間に位置しており、例えば1.6以上1.8以下である。
【0021】
有機層120の上には、第2電極130が形成されている。第2電極130は、第1電極110と同様に、透光性を有する透明電極である。第2電極130を構成する材料には、第1電極110を構成する材料として例示した材料を用いることができる。ただし、第1電極110と第2電極130は互いに異なる材料を用いて形成されていてもよいし、互いに同じ材料を用いて形成されていてもよい。また、第2電極130の膜厚及び第2電極130の形成方法は、第1電極110の膜厚及び第2電極130の形成方法と同様である。ただし、第2電極130の膜厚は第1電極110の膜厚と異なっていてもよい。
【0022】
第2電極130は、第1方向と交わる第2方向(
図1におけるX方向)に延在している。そして隣り合う第2電極130の間には、隔壁170が形成されている。隔壁170は、第2電極130と平行すなわち第2方向に延在しており、第2電極130を互いに分離するために設けられている。
【0023】
詳細には、隔壁170は、断面が台形の上下を逆にした形状(逆台形)になっている。すなわち隔壁170の上面の幅は、隔壁170の下面の幅よりも大きい。このため、隔壁170を第2電極130より前に形成しておくと、蒸着法やスパッタリング法を用いて、第2電極130を基板100の一面側に形成することで、複数の第2電極130を一括で形成することができる。また、隔壁170は、有機層120を分断する機能も有している。
【0024】
隔壁170の下地は、例えば絶縁層150である。隔壁170は、例えばポリイミド系樹脂などの感光性の樹脂であり、露光及び現像されることによって、所望のパターンに形成されている。なお、隔壁170はポリイミド系樹脂以外の樹脂、例えばエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂、二酸化珪素等の無機材料で構成されていても良い。
【0025】
なお、発光装置10は隔壁170を有していなくてもよい。この場合、第2電極130は、スパッタリング時又は蒸着時にマスクを用いることにより、所定のパターンに形成される。
【0026】
また、絶縁層150には、複数の開口152及び複数の開口154が形成されている。開口152は、基板100と平行な面において、第1電極110と第2電極130の交点に位置している。具体的には、複数の開口152は、第1電極110が延在する方向(
図1におけるY方向)に並んでいる。また、複数の開口152は、第2電極130の延在方向(
図1におけるX方向)にも並んでいる。このため、複数の開口152はマトリクスを構成するように配置されていることになる。
【0027】
そして、開口152と重なる領域には、有機層120が形成されている。有機層120は発光層を有している。このため、発光部140は、開口152と重なる領域それぞれに位置していることになる。
【0028】
詳細には、有機層120は、例えば、正孔注入層、発光層、及び電子注入層を積層させた構成を有している。正孔注入層と発光層との間には正孔輸送層が形成されていてもよい。また、発光層と電子注入層との間には電子輸送層が形成されていてもよい。有機層120は蒸着法で形成されてもよい。また、有機層120のうち少なくとも一つの層、例えば第1電極110と接触する層は、インクジェット法、印刷法、又はスプレー法などの塗布法によって形成されてもよい。なお、この場合、有機層120の残りの層は、蒸着法によって形成されている。また、有機層120のすべての層が、塗布法を用いて形成されていてもよい。そして、有機層120の正孔注入層は第1電極110に接しており、有機層120の電子注入層は第2電極130に接している。
【0029】
なお、
図3及び
図4に示す例では、有機層120を構成する各層は、いずれも開口152の外側まではみ出している場合を示している。そして
図4に示すように、有機層120は、隔壁170が延在する方向において、隣り合う開口152の間にも連続して形成されていてもよいし、連続して形成していなくてもよい。ただし、
図5に示すように、有機層120は、開口154には形成されていない。
【0030】
また、上記したように、発光部140は、開口152と重なる領域それぞれに位置していることになる。このため、
図3に示すように、第1電極110は、厳密には、第1電極110となる導体パターンが延在する方向において、第1電極110となる導体パターンのうち開口152と重なる領域と定義することができる。この定義に従った第1電極110において、上面のうち幅方向の縁(
図4における第1電極110の両端)は、絶縁層150で覆われている。そして、第1電極110となる導体パターンのうち隣り合う第1電極110の間に位置する部分は、配線116と定義することができる。配線116は、絶縁層150によって覆われている。
【0031】
開口154は、平面視で複数の第2電極130のそれぞれの一端側と重なる領域に位置している。また開口154は、開口152が構成するマトリクスの一辺に沿って配置されている。そしてこの一辺に沿う方向(例えば
図1におけるY方向、すなわち第1電極110に沿う方向)で見た場合、開口154は、所定の間隔で配置されている。開口154からは、引出配線134の一部分が露出している。そして、引出配線134は、開口154を介して第2電極130に接続している。
【0032】
引出配線134は、第2電極130を第2端子132に電気的に接続する配線であり、第1電極110と同一の材料からなる層を有している。引出配線134の一端側は開口154の下に位置しており、引出配線134の他端側は、絶縁層150の外部に引き出されている。そして本図に示す例では、引出配線134の他端側は第2端子132となっている。
【0033】
第1端子112及び第2端子132には、FPC(Flexible Printed Circuit)などの導通部材が接続される。本図に示す例では、第1端子112及び第2端子132は基板100の同一の辺に沿って配置されている。このため、導通部材としてFPCを用いた場合、第1端子112及び第2端子132を、一つのFPCに接続することができる。
【0034】
また、発光装置10は中間層200を有している。中間層200は、第1電極110の側面のうち絶縁層150と重なる領域の少なくとも一部(好ましくは全部)、及び、配線116の側面のうち絶縁層150と重なる領域の少なくとも一部(好ましくは全部)に形成されている。本図に示す例において、中間層200は、第1端子112の側面、引出配線114の側面、第2端子132の側面、及び引出配線134の側面にも形成されている。中間層200の厚さは、例えば50nm以上500nm以下である。
【0035】
中間層200の屈折率n4は、第1電極110の屈折率n2と絶縁層150の屈折率n3の間である。このようにするためには、中間層200を、例えば第1電極110を構成する材料と絶縁層150を構成する材料の双方を用いて形成すればよい。この場合、中間層200における第1電極110と同じ材料の体積含有率は、例えば30%以上70%以下である。なお、第1電極110と同じ材料の体積含有率は、例えば中間層200の断面写真における第1電極110と同じ材料の面積比率と置き換えることができる。
【0036】
また中間層200を酸窒化シリコンなど、シリコン、酸素、及び窒素を含む材料を用いて形成してもよい。この場合、中間層200の酸素含有率に対する中間層200の窒素含有率の比率は、例えば2以上9以下である。なお、この比率は、例えばXRF(X‐ray Fluorescence)や、EDX(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)におけるピーク高さの比と置き換えることもできる。
【0037】
次に、本実施形態における発光装置10の製造方法を説明する。まず、基板100上に第1電極110、配線116、第1端子112、第2端子132、及び引出配線114,134を形成する。これらは、例えばマスクを用いたスパッタリング法又は蒸着法を用いて形成される。ただし、これらは他の方法を用いて形成されてもよい。
【0038】
次いで、第1電極110の側面、第1端子112の側面、第2端子132の側面、配線116の側面、及び引出配線114,134の側面に、中間層200を形成する。中間層200が第1電極110を構成する材料と絶縁層150を構成する材料を用いて形成されている場合、中間層200は、例えば第1電極110を構成する材料を塗布し、かつ絶縁層150を構成する材料を塗布し、その後これらを加熱処理することにより、形成される。なお、第1電極110を構成する材料を含む塗布材料と、絶縁層150を構成する塗布材料とを予め混ぜておき、この混合材料を塗布して加熱処理しても、中間層200を形成することができる。
【0039】
また、中間層200がシリコン、酸素、及び窒素を含む材料を用いて形成されている場合、中間層200は、例えばCVD法などの気相法及びリソグラフィー法を用いて形成される。
【0040】
次いで、基板100、第1電極110の上に、絶縁層150となる感光性の絶縁膜を、例えば塗布法を用いて形成する。その後、この絶縁膜を露光及び現像する。これにより、絶縁層150が形成される。この工程において、開口152,154も形成される。次いで、隔壁170、有機層120、及び第2電極130を、この順に形成する。
【0041】
本実施形態において、基板100、第1電極110、及び第2電極130は透光性を有している。従って、発光装置10は透明なディスプレイになる。ただし、第1電極110の屈折率n2と絶縁層150の屈折率n3は異なるため、第1電極110の側面と絶縁層150の界面で光が散乱し、その結果、第1電極110の縁にユーザが気づく可能性がある。これに対して本実施形態において、第1電極110の側面のうち絶縁層150に面する領域の少なくとも一部(好ましくは全部)は、中間層200で覆われている。中間層200の屈折率n4は、第1電極110の屈折率n2と絶縁層150の屈折率n3の間に位置している。このため、中間層200が設けられない場合と比較して、第1電極110の側面と絶縁層150の間で光は散乱しにくくなる、従って、ユーザは、第1電極110の縁に気づきにくくなる。
【0042】
また、中間層200は、配線116の側面、引出配線114のうち絶縁層150で覆われている部分の側面、及び引出配線134のうち絶縁層150で覆われている部分の側面にも形成されている。従って、これらの各側面と絶縁層150の間でも光は散乱しにくくなる。従って、ユーザは、配線116の縁、引出配線114の縁、及び引出配線134の縁にも気づきにくくなる。
【0043】
(第2の実施形態)
図6、
図7、及び
図8は、第2の実施形態に係る発光装置10の断面図であり、それぞれ第1の実施形態における
図3、
図4、及び
図5に対応している。本実施形態に係る発光装置10は、中間層200のレイアウトを除いて、第1の実施形態に係る発光装置10と同様の構成を有している。
【0044】
本実施形態において、絶縁層150は、実施形態と同様に、第1電極110の上面のうち幅方向の縁(
図7における第1電極110の両端)を覆っている。そして、中間層200は、
図6及び
図7に示すように、第1電極110の上面のうち絶縁層150で覆われている領域の少なくとも一部(好ましくは全部)に形成されている。
【0045】
また、中間層200は、
図6に示すように、配線116の上面のうち絶縁層150で覆われている領域の少なくとも一部に形成されている。
図6及び
図7に示す例において、配線116が延在する方向に直交する方向(
図1のY方向)の断面において、絶縁層150及び中間層200は配線116の全面に形成されている。言い換えると、中間層200は配線116のうち絶縁層150で覆われている領域の全面に形成されている。
【0046】
また、
図8に示すように、中間層200は、引出配線134のうち絶縁層150で覆われている領域の全面に形成されている。同様に、中間層200は、引出配線114のうち絶縁層150で覆われている領域の全面に形成されている。
【0047】
本実施形態によっても、ユーザは、第1電極110の縁、配線116の縁、引出配線114の縁、及び引出配線134の縁に気づきにくくなる。また、中間層200が第1電極110の上面、配線116の上面、引出配線114の上面、及び引出配線134の上面にも形成されているため、中間層200の位置に要求される精度は低くなる。従って、発光装置10の製造コストを低くすることができる。
【0048】
なお、第1の実施形態及び第2の実施形態において、中間層200は、基板100のうち、第1電極110の周囲に位置する部分、第1端子112の周囲に位置する部分、引出配線114の周囲に位置する部分、配線116の周囲に位置する部分、第2端子132の周囲に位置する部分、及び引出配線134の周囲に位置する部分に形成されていてもよい。
【0049】
【0050】
本実施形態に係る発光装置10は、基板100のうち発光部140が形成されている面にも中間層200を有している点を除いて、第1の実施形態に係る発光装置10と同様の構成である。このため、中間層200は、基板100と第1電極110の間の少なくとも一部(図に示す例では全部)、基板100と配線116の間の少なくとも一部(図に示す例では全部)、第1電極110の隣に位置する絶縁層150と基板100の間の少なくとも一部(図に示す例では全部)、配線116の隣に位置する絶縁層150と基板100の間の少なくとも一部(図に示す例では全部)、基板100と引出配線114の間の少なくとも一部(図に示す例では全部)、及び、基板100と引出配線134の間の少なくとも一部(図に示す例では全部)に形成されている。そして、基板100に形成された中間層200の屈折率n4は、基板100の屈折率n1と第1電極110の屈折率n2の間に位置している。
【0051】
さらに詳細には、絶縁層150の屈折率n3は、第1電極110の屈折率n2と基板100の屈折率n1の間であり、中間層200の屈折率n4は第1電極110の屈折率n2と絶縁層150の屈折率n3の間であるのが好ましい。また、n4は、√(n1×n2)と(n2+n3)/2の間であるのが好ましい。さらに、有機層120の発光スペクトルの最大ピークの波長をλとして、中間層200の厚さをdとしたとき、0.9λ/4≦n4×d≦1.1λ/4であり、かつ、√(n1×n2)≦n4≦(n2+n3)/2であるのが好ましい。
【0052】
なお、基板100の上に形成されている中間層200の材料は、第1の実施形態に示した中間層200の材料と同じである。ただし、基板100の上に形成されている中間層200は、第1電極110の側面を覆う中間層200の材料と異なっていてもよい。また、基板100の上に形成されている中間層200の厚さは、例えば50nm以上500nm以下である。
【0053】
本実施形態によれば、第1電極110と基板100の間には中間層200が形成されている。中間層200の屈折率n4は、基板100の屈折率n1と第1電極110の屈折率n2の間に位置している。このため、ここに中間層200を設けない場合と比較して、有機層120からの光の取り出し効率は向上する。n4が√(n1×n2)である場合、有機層120からの光の取り出し効率は、さらに向上する。また、0.9λ/4≦n4×d≦1.1λ/4であり、かつ、n4が√(n1×n2)である場合も、有機層120からの光の取り出し効率は、さらに向上する。
【0054】
また、中間層200の屈折率n4は第1電極110の屈折率n2と絶縁層150の屈折率n3の間であるため、ユーザは、第1電極110の側面のうち絶縁層150と接する部分を視認しにくくなる。n4が(n2+n3)/2の場合、第1電極110の側面のうち上記した部分は最も視認されにくくなる。従って、√(n1×n2)≦n4≦(n2+n3)/2が、有機層120からの光の取り出し効率が良く、かつ第1電極110の側面のうち絶縁層150と接する部分を視認しにくい条件である。
【0055】
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。