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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022089998
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】自動薬剤送達システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/145 20060101AFI20220609BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
A61M5/145 508
A61M5/142 506
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069994
(22)【出願日】2022-04-21
(62)【分割の表示】P 2019504096の分割
【原出願日】2017-07-28
(31)【優先権主張番号】62/369,361
(32)【優先日】2016-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/368,797
(32)【優先日】2016-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514028019
【氏名又は名称】アルキオーネ セラピューティクス、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALCYONE THERAPEUTICS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】アナンド・ピージェイ
(72)【発明者】
【氏名】アルズマンド・アーイシャ
(72)【発明者】
【氏名】ブロフィー・モーガン
(72)【発明者】
【氏名】イースト・アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】エベール・グレゴリー・アール
(72)【発明者】
【氏名】シング・ディープ アルジュン
(57)【要約】
【課題】自動薬剤送達システムおよび関連方法を本明細書に開示する。
【解決手段】いくつかの実施形態では、これらのシステムは、注入の矛盾を軽減または排除することができる。例示的なシステムは、注射器アクチュエータを含み得、これは、正確に物質を注入し、かつ/または患者から抜き取るために電気的手段、機械的手段、空気圧手段、および/または水圧手段を介して、制御され得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達システムにおいて、
薬剤送達装置と、
注射器が中に配されたアクチュエータであって、前記注射器は前記薬剤送達装置と流体連通している、アクチュエータと、
を含み、
前記アクチュエータは、物質を前記薬剤送達装置から放出するために作動力を前記注射器に対して及ぼすように構成され、
前記アクチュエータは、
第1のカップ、および、
前記第1のカップに回転可能に連結された第2のカップ、
を含み、
前記第2のカップに対して前記第1のカップを回転させると、前記注射器に対して前記作動力が及ぼされる、薬剤送達システム。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、2016年7月29日出願の米国仮特許出願第62/368,797号および2016年8月1日出願の米国仮特許出願第62/369,361号の優先権を主張する。
【0002】
〔分野〕
自動薬剤送達システムおよび関連方法を本明細書に開示する。
【0003】
〔背景〕
薬剤を患者に送達することが望ましくなり得る実例は多い。いくつかの既存の薬剤送達技術は、プランジャ型注射器を用いた薬剤の手動注入を伴う。これらの技術は、ユーザーの変化の影響を受けやすく、その結果、注入体積、注入圧力、注入のタイミング、および他のパラメータが矛盾する。改善された薬剤送達システムおよび関連方法が必要とされている。
【0004】
〔概要〕
自動薬剤送達システムおよび関連方法を本明細書に開示する。いくつかの実施形態では、これらのシステムは、注入の矛盾を軽減または排除することができる。例示的なシステムは、注射器アクチュエータを含み得、これは、正確に物質を注入し、かつ/または患者から抜き取るために電気的手段、機械的手段、空気圧手段、および/または水圧手段を介して、制御され得る。
【0005】
いくつかの実施形態では、薬剤送達システムは、薬剤送達装置と、注射器が中に配されたアクチュエータであって、注射器は薬剤送達装置と流体連通している、アクチュエータと、を含み得、アクチュエータは、物質を薬剤送達装置から放出するために作動力を注射器に対して及ぼすように構成され、アクチュエータは、第1のカップ、および第1のカップに回転可能に連結された第2のカップを含み、第2のカップに対して第1のカップを回転させると、注射器に対して作動力が及ぼされる。
【0006】
アクチュエータは、その中に配された複数の注射器を含み得る。第1のカップは、第2のカップにねじ接続され得る。第2のカップに対して第1のカップを第1の方向に回転させると、注射器に対して作動力が及ぼされて、物質が薬剤送達装置から放出され得る。第2のカップに対して第1のカップを第2の反対方向に回転させると、注射器に対して第2の作動力が及ぼされて、物質が薬剤送達装置に引き込まれ得る。アクチュエータは、第2のカップに対して第1のカップを回転させるように構成されたモータを含み得る。送達装置は、カテーテルまたは針を含み得る。注射器の外筒が、第1のカップの中心開口部を通って延びていてよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、注射器アクチュエータは、本体と、それぞれのプランジャをそれぞれが有する複数の注射器と、本体に回転可能に連結されたキャップと、キャップ内に配された力連結器(force coupling)と、を含み得、本体に対してキャップを回転させることは、注射器のプランジャのうちのどれを力連結器に動作可能に接続するかを選択するのに有効である。
【0008】
力連結器は流体ラインを含み得る。キャップを回転させると、流体ラインが注射器のプランジャのうちの選択された1つと流体連通し得る。力連結器はソレノイドを含み得る。キャップを回転させると、ソレノイドが注射器のプランジャのうちの選択された1つと連携し得る。本体は、複数の注射器によって画定され得る。複数の注射器は、本体に形成された1つ以上のキャビティ内部に配され得る。アクチュエータは、本体に対してキャップを回転させるように構成されたモータを含み得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、注射器アクチュエータは、近位部分、中間部分、および遠位部分を有し、かつ注射器が中に受容されたキャビティを画定する、本体と、本体内に配されたパワーカートリッジであって、パワーカートリッジが注射器のプランジャを遠位に前進させ得るようにプランジャに動作可能に連結されている、パワーカートリッジと、を含み得る。
【0010】
パワーカートリッジは、パワーカートリッジが注射器のプランジャを近位に後退させ得るように、プランジャに動作可能に連結され得る。パワーカートリッジは、圧縮ガスの容器を含み得る。注射器は、本体の中間部分と遠位部分との間で捕捉され得る。アクチュエータは、パワーカートリッジにより生成された力をプランジャに対して選択的に向けるように構成された制御システムを含み得る。パワーカートリッジは、本体の近位部分および中間部分により画定されたキャビティ内部に配され得る。アクチュエータは、排出モジュールを含み得る。排出モジュールは、マフラーおよびサーマルフィンのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、薬剤送達システムは、コントローラと、薬剤送達装置と、薬剤送達装置と流体連通しているアクチュエータであって、アクチュエータは、薬剤が中に配された流体貯蔵器を含む、アクチュエータと、アクチュエータをコントローラに接続する作動ラインであって、作動ラインは、(i)流体を薬剤送達装置から押し出すための第1の作動力、および(ii)流体を薬剤送達装置に引き込むための第2の作動力、のうちの少なくとも1つを、コントローラからアクチュエータに伝達するように構成されている、作動ラインと、を含み得る。
【0012】
薬剤送達装置は、針およびカテーテルのうちの少なくとも1つを含み得る。いくつかの実施形態では、作動ラインは薬剤を含まない。作動ラインは、外側シース内部に配された可撓性ケーブルを含み得、このケーブルは、外側シースに対して、軸方向に並進運動可能であるか軸方向に回転可能であるかの少なくともいずれかである。コントローラは、アクチュエータが滅菌野内部に配されている間、滅菌野の外側に配されるように構成され得る。システムは、アクチュエータに装着され、かつコントローラに信号を送るように選択的に動作可能である、ユーザー制御部を含み得る。システムは、コントローラとアクチュエータとの間で情報を送信するように構成された信号ラインを含み得る。薬剤送達装置は、信号ラインを介してコントローラに通信可能に連結されたセンサを含み得る。流体貯蔵器は、注射器を含み得る。第1の作動力は、注射器のプランジャを遠位に動かすのに有効となり得、第2の作動力は、プランジャを近位に動かすのに有効となり得る。
【0013】
〔詳細な説明〕
自動薬剤送達システムおよび関連方法を本明細書に開示する。いくつかの実施形態では、これらのシステムは、注入の矛盾を軽減または排除することができる。例示的なシステムは、注射器アクチュエータを含み得、これは、正確に物質を注入し、かつ/または患者から抜き取るために電気的手段、機械的手段、空気圧手段、および/または水圧手段を介して、制御され得る。
【0014】
本明細書に開示する装置および方法の構造、機能、製造、および使用の原理の包括的な理解をもたらすため、特定の例示的な実施形態について説明する。これらの実施形態の1つ以上の実施例を添付図面に例示する。本明細書で具体的に説明され添付図面に例示された装置および方法が、非限定的な例示的な実施形態であることを、当業者は理解するであろう。1つの例示的な実施形態に関連して例示または説明された特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせられ得る。
【0015】
本明細書で使用される用語「薬剤」は、ヒトまたは動物の被験者に送達され得る任意の機能剤を指し、ホルモン、幹細胞、遺伝子療法、化学物質、化合物、小分子および大分子、染料、(撮像もしくはその他のための)トレーサー、抗体、ウイルス、治療薬、オリゴヌクレオチド、アンチセンス療法などを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するシステムおよび方法は、自動的な注射器の作動をもたらし得る。自動的な注射器の作動は、患者の近くに位置付けられ滅菌野内部で外科医または他のユーザーにより直接制御され得る、ハンドヘルドユニットによって達成され得る。本明細書に開示するシステムおよび方法は、複数の注射器もしくは複数の内腔、バイアル、または貯蔵器の自動的な作動の柔軟性を提供し得る。本明細書に記載するシステムおよび方法は、ハンドヘルドアクチュエータからコントローラもしくはコンソールへの感知および/またはフィードバックを含み得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するシステムおよび方法は、自然なCSFの流れと協調して患者の中枢神経系に薬剤を注射するか、または別様に送達するのに使用され得る。例えば、薬剤は、相および/または周波数が自然なCSFパルスと同期した複数の段階において注射され得る。本明細書におけるシステムおよび方法は、薬剤が、従来の技術の場合よりも効率よく患者に送達されることを可能にし得る。例えば、より少量の薬剤が、送達され、依然として標的の目的地に到達することができ、これによって、費用および/または多量の薬剤を送達する場合の起こり得る副作用を減少させる。
【0018】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するシステムおよび方法は、意図した送達標的にアクセスできないか、または低侵襲的にアクセスできないが、意図した送達部位と直接流体連通している、よりアクセスしやすくより安全な注射部位が存在する、適用において使用され得る。例えば、薬剤は、患者の脊椎(例えば、腰部、胸部、頸部など)における注射部位を介して患者の髄腔内の空間(intrathecal space)に送達され得、また、注射部位より頭側(例えば、脳、または脊椎の、より頭側の領域、例えば脊椎頸部もしくは胸部上側(high thoracic region))である標的の場所に、髄腔内の空間を介して輸送され得る。他の実施形態では、薬剤は、注射部位より尾側の場所に輸送され得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するシステムおよび方法は、完全にプログラム可能な、カスタマイズされた注射および/または吸引プロファイルを含み得、これは、心拍数、CSF圧力、CSF拍動率、呼吸数、肺容量、胸郭拡大および収縮、胸腔内圧、腹腔内圧などの、患者の生理学的パラメータのリアルタイムの監視によって同期され得る。これにより、エンドユーザーは、サイクル当たりの注射/吸引用量、各顕微注射の時間の長さおよびプロファイル、顕微注射の相対的なタイミング(または相)、ならびに他のパラメータを微調整することが可能となり得る。本明細書に開示するシステムおよび方法は、薬剤送達の効率を予測し、患者の安全性を確保するために、リアルタイムのインライン圧力感知を含み得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するシステムおよび方法は、既存のプロトコルまたはワークフローをほとんどまたはまったく変更せずに、一貫性が改善された薬剤送達を提供することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するシステムおよび方法は、注入/送達の成功のリアルタイムでの確認を提供することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するシステムおよび方法は、信頼性のある、携帯用のプラグアンドプレイの、使い捨ての、かつ/または基準に準拠した(compliant)薬剤送達プラットホームを提供することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するシステムおよび方法は、緩やかな、一貫した、かつ/またはカスタマイズ可能な、例えばユーザー別もしくは患者別の、パターンでの、例えば少なくとも0.5~30mLの体積を有する、ボーラスの安全な注入を提供することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するシステムおよび方法は、送達の高分解能撮像確認を提供することができる。
【0021】
図1は、例示的な薬剤送達システム100の概略図である。図示のとおり、システム100は、送達装置102(例えば、カテーテル、針など)と、コントローラ104と、ポンプまたはアクチュエータ106と、を含み得る。システム100は、1つ以上のセンサ108を含むこともできる。アクチュエータ106は、送達装置102を通じて、患者110の体内(例えば、患者の髄腔内の空間内)に物質を送るか、注射するか、または別様に送達するように構成され得る。アクチュエータ106は、送達装置102を介して患者から物質を吸引または除去するように構成されてもよい。送達または除去される物質は、流体、薬剤、薬剤含有流体、緩衝剤、CSF、人工CSF、これらの組み合わせなどであってよいか、またはこれらを含み得る。アクチュエータ106は、プロトコルまたはプロファイルに従って物質を送達または除去するように、コントローラ104によって制御され得る。プロファイルは、物質の送達および/または除去を、センサ108またはその他によって測定され得る、患者の生理学的パラメータと同期させるか、または別様に整合させることができる。例示的な生理学的パラメータは、心拍数、CSF圧力、CSF拍動率、呼吸数、肺容量、胸郭拡大および収縮、胸腔内圧、腹腔内圧などを含み得る。コントローラ104は、アクチュエータ106に組み込まれ得るか、または、システム100の別個の構成要素、例えば遠隔コンソールであってよい。
【0022】
送達システム100の1つ以上の構成要素、また、いくつかの実施形態では、送達システムの全構成要素は、患者に植え込まれ得る。送達システム100の一部またはすべての植え込みは、非侵襲的な自宅での処置または外来患者処置を介して、長く続く薬剤送達または長期の薬剤送達(例えば、数日、数週間、数か月、もしくは数年の期間にわたる)を容易にすることができる。
【0023】
送達装置102は、腰椎穿刺針などの針であってよい。送達装置は、カテーテル、例えば、髄腔内もしくは血管内カテーテルであってよい。送達装置は、アクチュエータ106内部に収容された注射器の一部であってよい。例示的な送達装置は、「DRUG DELIVERY SYSTEMS AND METHODS」の名称で2017年6月20日に発行された米国特許第9,682,193号、および「DRUG DELIVERY SYSTEMS AND METHODS」の名称で2016年12月21日に出願された米国仮特許出願第62/437,168号に開示されており、これらはそれぞれ、参照により全体として本明細書に組み込まれる。送達装置は、操縦可能かつ/または通り抜け可能な(threadable)カテーテルであってよい。カテーテルは、1つの内腔または複数の内腔、例えば1~2個の内腔を含み得る。カテーテルは、カテーテルを操縦するためのガイドワイヤまたは内蔵式ワイヤを含み得る。カテーテルは、ボーラス/急性送達のために注射器アクチュエータに接続されるように構成され得る。カテーテルは、十分に植え込み可能であってよく、(例えば、注射器もしくは注射器アクチュエータに接続された針を介して、使い捨てのインジェクターシステムを介して、など)流体を注射するのにアクセス可能なポートを含み得る。送達装置は、被験者の脳または脊椎の脳脊髄液(CSF)腔またはクモ膜下腔内への挿入および/または薬剤送達のために構成され得る。
【0024】
図2は、腰椎穿刺針202の形態をした例示的な送達装置102を示す。針202は、患者の中枢神経系に、患者の髄腔内の空間に、または患者の体内の他の領域もしくは部位に、薬剤を送達するのに使用され得る。針202は、遠位先端部にセンサ108を含み得る。センサ108は、注入前、注入中、または注入後に髄腔内圧を測定するように構成された圧力センサであってよい。センサ108は、さまざまな他のタイプのセンサのいずれか、例えば以下に記載するタイプのセンサであってよい。針202は、針との流体連通を確立するため、例えば針をアクチュエータ106もしくはアクチュエータの注射器に接続するために、近位端部にルアーまたは他のコネクタもしくは管継手(fitting)212を含み得る。
【0025】
アクチュエータ106は、1つ以上の注射器が中に装填された注射器アクチュエータであってよい。アクチュエータは、作動力を注射器に与え、例えば物質を注射器から放出するか、または物質を注射器に引き込むように構成され得る。作動力は、注射器の移動可能なプランジャ構成要素に加えられ得る。作動力は、アクチュエータ106内部で開始され得るか、または他の場所、例えばコントローラ104において開始されて、アクチュエータに伝達され得る。アクチュエータ106はポンプを含み得る。アクチュエータ106は、流体、例えば薬剤、緩衝剤などの1つ以上のバイアル、貯蔵器、またはコンテナを含み得る。アクチュエータ106は、薬剤もしくは薬剤含有流体を送達装置102に供給し、かつ/または流体を送達装置から吸引するように構成され得る。
【0026】
アクチュエータ106は、1つ以上のポンプを含み得る。例えば、アクチュエータ106は、それぞれが送達装置102の対応する内腔と関連付けられ、かつ流体連通している、複数のポンプを含み得る。ポンプは、ある体積の流体を保持するためのそれぞれの貯蔵器と関連付けられ、かつ流体連通していてもよい。いくつかの実施形態では、アクチュエータ106は、コントローラ104から受信された制御信号に応じて注射器ポンプのプランジャを前進または後退させるように構成された電子リニアアクチュエータに連結された第1および第2の注射器ポンプを含み得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータ106は、蠕動ポンプ、オーガーポンプ、ギアポンプ、ピストンポンプ、ブラダーポンプなどを含み得る。アクチュエータ106の1つ以上の部分が、患者に植え込まれ得る。アクチュエータ106は、さまざまな植え込み可能または体外ポンプのいずれかを含み得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータ106は、完全に植え込まれたプログラム可能なポンプと、システムを使用して送達される流体を収容する完全に植え込まれた流体貯蔵器と、を含み得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータ106全体が、植え込み可能で、例えば長く続く治療方法を容易にすることができる。
【0027】
アクチュエータ106は、あつらえまたは既製の注射器が装填されていてよく、また、注射器に力を加えて、流体を注射器の遠位端部から放出し、かつ/または流体を注射器の遠位端部に引き込むことができる。アクチュエータ106は、単一の注射器または複数の注射器を保持し得る。複数の注射器の場合、各注射器は、独立して、または同期的に駆動され得る。1つ以上の注射器は、アクチュエータ106と一体的に形成され得る。アクチュエータ106は、コントローラ104を含み得るか、またはコントローラ104に連結され得る。例えば、アクチュエータ106は、有線または無線接続を介してコントローラ104に接続され得る。あるいは、またはさらに、アクチュエータ106は、以下に記載するように作動ラインおよび/または信号ラインを介してコントローラ104に接続され得る。アクチュエータ106は、CSF吸引および薬剤注入のために独立した注射器を含み得る。アクチュエータ106は、CSF吸引および薬剤注入の両方に使用される単一の注射器を含み得る。
【0028】
アクチュエータ106の遠位端部は、送達装置102を含み得るか、または送達装置102に連結され得る。例えば、アクチュエータ106内に装填された注射器の遠位端部は、患者に挿入されるように構成された針、または例えば中間の管を介して、送達装置102に接続される、流体管継手もしくは他の管継手を画定し得る。
【0029】
アクチュエータ106は、ハンドヘルド装置であってよい。アクチュエータ106は、ユーザーにより作動され得る制御部を含み得る。例えば、アクチュエータ106は、ユーザー制御を提供するためのボタン、トリガー、または他の要素を含み得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータ106は、スリットまたは調整器を含み得、これは、例えば、ユーザーの指で異なる量を塞ぐことによって、注射器に加えられる空気圧力を制御するように、ユーザーによって選択的に塞がれ得る。これにより、手動モードでシステムを動作させることができる。
【0030】
システムは、ユーザーに安定性およびエルゴノミクスを提供するためのさまざまな特徴を含み得る。例えば、アクチュエータ106は、重みをつけられ得るか、または、患者もしくはユーザーに対する位置を安定させるための支持体を含み得る。
【0031】
アクチュエータ106は、アクチュエータの動作要素、例えばアクチュエータの1つ以上の注射器のプランジャ、またはその駆動要素の位置を決定するための、ポテンショメータまたは他のセンサを含み得る。センサから得られた位置情報は、例えばコントローラの電子ディスプレイを介して、コントローラ104および/またはユーザーに伝達され得る。
【0032】
アクチュエータ106は、注射器に作動力を与えるためのさまざまな要素または構造体を含み得る。作動力は、注射器のプランジャを前進させて物質を注射器から放出するために加えられ得る。あるいは、またはさらに、作動力は、注射器のプランジャを後退させて物質を注射器に引き込むために加えられ得る。作動力は、線形の作動力であってよい。作動力は、回転作動力であってよい。作動力は、例えば注射器のプランジャまたはこれに動作可能に連結された構成要素に対して圧力下で液体またはガスを向けることによって、水圧または空気圧で生成され得る。作動力は、例えば、レバー、ギア、リンク装置、ねじなどを介して、機械的に生成され得る。作動力は、例えば、ソレノイド、ステッパモータなどを介して、電気的にまたは電磁気的に生成され得る。作動力は、前述した原理の任意の組み合わせを用いて生成され得る。
【0033】
図3は例示的なアクチュエータ306を示す。アクチュエータ306は、システム100において使用され、例えば、圧力、体積、タイミング、パルス状の注入/吸引などといった、プログラム可能な注入パラメータで、制御され一貫した様式で薬剤を注入することができる。
【0034】
アクチュエータ306は、1つ以上の注射器314と共に使用され得るか、または1つ以上の注射器314を含み得る。注射器314は、既製またはあつらえの注射器であってよい。注射器314は、外筒316と、外筒内にスライド可能に配されたプランジャ318と、出口ポートまたはノズル320と、を含み得る。出口ポート320は、注射器の針に形成され得、針に取り付けられるように構成され得、かつ/または、流体管継手(例えばルアーフィット)もしくは他の連結器であってよい。注射器314の外筒316は、フランジまたはショルダー322を画定し得る。注射器のプランジャ318は、遠位向き作動表面318dおよび近位向き作動表面318pを含み得る。遠位向き表面318dに加えられる力により、外筒316に対して近位にプランジャ318を動かし、物質を注射器314に引き込むことができる。近位向き表面318pに加えられる力により、外筒316に対して遠位にプランジャ318を動かし、物質を注射器314から放出することができる。
【0035】
アクチュエータ306は、下方または遠位カップ324を含み得る。下方カップ324は、中を通して注射器314の外筒316を受容するようなサイズの開口部を含み得る。この開口部は、注射器のショルダー322が開口部を遠位方向に通過するのを防ぐようなサイズにされ得る。したがって、下方カップ324の一部、例えば下方カップの床部は、ショルダー322に接触し、これを押すことができる。アクチュエータ306は、上方または近位カップ326を含み得る。上方カップ326の一部は、注射器314のプランジャ318に接触し、これを押すことができる。例えば、上方カップ326の第1の係合表面が、プランジャ318の遠位向き表面318dに接触することができ、上方カップの第2の係合表面が、プランジャの近位向き表面318pに接触することができる。いくつかの配置では、上方カップ326が近位向き表面318pに接触するのみである。
【0036】
上方カップ326および下方カップ324は、注射器を作動させるために互いに対して移動可能であってよい。アクチュエータ306に力が加えられて、上方カップ326を下方カップ324に対して動かすことができる。この力は、水圧で、空気圧で、機械的に、電気的に、またはそれらの組み合わせを用いることを含めて、本明細書に記載される方法のいずれかで、生成され得る。例えば、下方カップ324は、上方カップ326内に螺入され得、または、逆もまた同様であってよく、水圧、空気圧、もしくは電気モータを使用して、回転力を加えて一方のカップを他方のカップに対して回転させることができる。上方カップ326および下方カップ324は、ねじ式インターフェース(threaded interface)を介して互いに嵌合され得る。上方カップ326および下方カップ324を第1の方向に相対的に回転させることは、カップを互いに向けて動かして物質を注射器314から放出するのに有効となり得る。上方カップ326および下方カップ324を第2の反対方向に相対的に回転させることは、カップを互いから離れるように動かして物質を注射器314に引き込むのに有効となり得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、下方カップ324は、ねじ山付き内部を有し得、上方カップは、下方カップ内部に回転可能に装着されるねじ山付きプラグと置き換えられ得る。したがって、プラグに与えられる回転力により、下方カップ324に対するプラグの長さ方向並進運動が生じ得、これによって、プランジャ318が押し下げられて物質を注射器314から放出し、かつ/またはプランジャが持ち上げられて物質を注射器に引き込む。作動力は、作動ライン328を介してアクチュエータ306に提供され得る。作動ライン328の一端部は、アクチュエータ306に連結され得、作動ラインの別の端部は、コントローラ104またはシステム100の別の構成要素に連結され得る。例示的な作動ラインについては以下で説明する。
【0038】
図4は、例示的なアクチュエータ406を示す。以下で示すものを除き、また、本開示を鑑みれば当業者には容易に認識されるように、アクチュエータ406の構造および動作は、アクチュエータ306と同じである。アクチュエータ406は、本明細書に記載するアクチュエータ306の特徴または態様のうちのいずれかを含み得る。
【0039】
アクチュエータ406は、小型のフォームファクタの、カスタマイズされた注射器414を含み得る。注射器414の外筒416および/またはプランジャ418は、アクチュエータ406のカップ426に直接嵌合され得る。例えば、外筒416は、カップ426に固定されるか、またはカップ426と一体的に形成され得る。別の実施例として、プランジャ418またはその周りに配されたブッシュが、カップ426内に直接螺入され得る。他の配置では、アクチュエータ406は、例えば注射器のプランジャと連絡している加圧流体ラインを介して、空気圧で駆動され得る。
【0040】
前述のとおり、本明細書に記載するアクチュエータのいずれも、複数の注射器を含み得る。図5は、例示的な多重チャネルアクチュエータ506を示す。以下で示すことを除き、また、本開示を鑑みれば当業者には容易に認識されるように、アクチュエータ506の構造および動作は、アクチュエータ306、406と同じである。アクチュエータ506は、本明細書に記載するアクチュエータ306、406の特徴または態様のいずれかを含み得る。
【0041】
アクチュエータ506は、独立して制御されるそれぞれのプランジャ518をそれぞれが有する第1および第2の注射器514を含み得る。プランジャ518に加えられる作動力は、水圧で、空気圧で、機械的に、電気的に、またはそれらの組み合わせを用いることを含めて、本明細書に記載される方法のいずれかで、生成され得る。例えば、プランジャ518は、空気圧で制御され得、また、図示のとおり、それぞれの独立した流体ライン528に連結され得る。流体、例えば空気またはCO2を、陽圧下でプランジャ518に加えると、プランジャは遠位に付勢されて、物質を注射器514から放出し得る。流体を陰圧または真空圧下でプランジャ518に加えると、プランジャは近位に付勢されて、物質を注射器514に引き込み得る。注射器514の流体貯蔵器は、図示のとおり、アクチュエータ506の遠位出口520に隣接して流体連通していてよく、または、例えば一方向弁などの1つ以上の弁によって、互いから分離されてよい。2つの注射器514が図示されているが、アクチュエータ506が、任意の数の注射器、例えば3個以上、5個以上、10個以上などを含み得ることが、認識されるであろう。
【0042】
いくつかの実施形態では、多重チャネルアクチュエータの1つの注射器、貯蔵器、またはチャネルが、薬剤で満たされてよく、その他のものが緩衝剤で満たされてよい。コントローラは、独立したプランジャの作動を調整して、薬剤および緩衝剤を患者にプログラムで送達することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、多重チャネルアクチュエータの1つの注射器、貯蔵器、またはチャネルは、第1の薬剤で満たされてよく、その他のものが第2の薬剤で満たされてよい。コントローラは、独立したプランジャの作動を調整して、第1および第2の薬剤を患者にプログラムで送達することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、多重チャネルアクチュエータの1つの注射器、貯蔵器、またはチャネルは、患者に送達される物質を保管するのに使用され得、その他の貯蔵器は、患者から除去された物質を保管するのに使用され得る。コントローラは、独立したプランジャの作動を調整して、物質をプログラムで送達し、かつ患者から除去することができる。
【0045】
多重チャネルアクチュエータは、複数のプランジャのうちのどれに作動力を加えるのかを選択する特徴部を含み得る。例えば、アクチュエータは、回転可能機構を含み得、これは、アクチュエータの本体または他の構成要素に対して軸を中心として回転すると、作動力が連動させられるか、または作動力が加えられるプランジャが変更される。この軸は、アクチュエータの長さ方向軸であってよい。この軸は、アクチュエータの中心長さ方向軸であってよい。
【0046】
図6は、回転可能な選択機構を備えた例示的な多重チャネルアクチュエータ606を示す。以下で示すことを除き、本開示を鑑みれば当業者には容易に認識されるように、アクチュエータ606の構造および動作は、アクチュエータ306、406、506と同じである。アクチュエータ606は、本明細書に記載するアクチュエータ306、406、506の特徴または態様のいずれかを含み得る。
【0047】
アクチュエータ606は、回転可能なキャップ630を含み得る。キャップ630は、アクチュエータ606の本体632に回転可能に装着されてよく、例えば、キャップは、アクチュエータ606の近位-遠位軸または長さ方向軸を中心として本体に対して回転され得る。本体632は、1つ以上の注射器614によって画定され得るか、または、1つ以上の注射器614を含み得る。キャップ630は、力連結器634を含み得る。キャップ630を本体632に対して回転させることは、注射器614のどれを力連結器634と連携させ、接触させ、かつ/または動作可能に連結させるかを選択するのに有効となり得る。力連結器634の構造は、注射器614を作動させるのに使用される作動力の性質に応じて変化し得る。力連結器634は、ガスライン、流体ライン、充填もしくは加圧されたシリンダ、バッテリ、コンデンサー、導電性素子、ソレノイド、ばね、入れ子式に拡張可能な支柱、ピストン、磁石、および/またはそれらの組み合わせであってよいか、あるいはこれらを含み得る。作動力は、注射器のプランジャを遠位に動かすか、注射器のプランジャを近位に動かすか、または注射器のプランジャを遠位および近位の両方に動かすために、加えられ得る。
【0048】
キャップ632の回転、よって、作動力を加える注射器614の選択は、(例えば、ユーザーの手動操作によって)手動で、または、コントローラ104もしくはシステム100の別の構成要素の制御下で、実行され得る。例えば、キャップ632は、コントローラ104により制御される電磁ドライブ、ステッパモータ、ギアシステム、または他の駆動要素に動作可能に連結され得る。コントローラ104は、事前にプログラムされた送達プロファイルに従ってキャップ632を回転させるように構成され得る。コントローラ104は、ユーザーの入力、例えば、アクチュエータ606上のボタンもしくはスイッチを押すこと、またはコントローラの電子ディスプレイ上に表示されるグラフィカルユーザーインターフェース要素との相互作用に応じて、キャップ632を回転させるように構成され得る。
【0049】
図7は、例示的なアクチュエータ706を示す。以下で示すことを除き、また、本開示を鑑みれば当業者には容易に認識されるように、アクチュエータ706の構造および動作は、アクチュエータ306、406、506、606と同じである。アクチュエータ706は、本明細書に記載するアクチュエータ306、406、506、606の特徴または態様のいずれかを含み得る。
【0050】
アクチュエータ706は、つながれていない自動注入ハンドセットであってよい。アクチュエータ706は、近位部分706Aと、中間部分706Bと、遠位部分706Cと、を有する本体を含み得る。
【0051】
本体の遠位部分706Cは、注射器保持器として役立ち得る。遠位部分706Cは、アクチュエータ706内部で注射器714を保持するように構成され得る。注射器714は、遠位出口ポート720と、外筒716と、フランジまたはショルダー722と、プランジャまたはピストン718と、を含み得る。遠位部分706Cおよび中間部分706Bは、注射器714のフランジ722をそれらの間に捕捉して、注射器をアクチュエータ706に固定するように構成され得る。
【0052】
本体の中間部分706Bは、パワーカートリッジ738を収容するチャンバ736を画定し得る。チャンバ736の少なくとも一部は、本体の近位部分706Aによって画定され得る。パワーカートリッジ738は、作動力を注射器714のプランジャ718に提供するための任意の要素または構造体であってよい。パワーカートリッジ738は、圧縮ガス、例えば二酸化炭素を満たされた容器であってよいか、またはこれを含み得る。パワーカートリッジ738は、ガスライン、流体ライン、充填もしくは加圧されたシリンダ、バッテリ、コンデンサー、導電性素子、ソレノイド、ばね、入れ子式に拡張可能な支柱、ピストン、磁石、および/またはそれらの組み合わせであってよいか、あるいはこれらを含み得る。パワーカートリッジ738は電気機械的であってよい。パワーカートリッジ738は、モータ、例えば小型モータ、マイクロリニアモータ、ステッパモータなどを含み得る。パワーカートリッジ738は、バッテリ、例えば再充電可能または使い捨ての高性能バッテリを含み得る。パワーカートリッジ738は、モータの回転をプランジャ718の線形運動に変えるための伝動装置、ギア装置、クランク、またはカムを含み得る。
【0053】
アクチュエータ706は、制御および/または調整システム740を含み得る。制御システム740は、アクチュエータ706の中間部分706B内部に配され得る。制御システム740は、アクチュエータ706の動作を制御し得る。制御システム740は、作動力がプランジャ718にいつ加えられるか、また、その力を加える方向またはベクトルを制御し得る。例えば、制御システム740は、1つ以上の流体ラインと、1つ以上の弁と、を含み得る。制御システム740は、弁を選択的に開いて、圧縮ガスをパワーカートリッジ738からプランジャ718上に向ける、プランジャ上にガスを向けるのを止める、プランジャの近位向き表面に対してガスを向ける、プランジャの遠位向き表面に対してガスを向けるなどを行うことができる。制御システム740は、ガスピストン748を含み得る。ガスピストン748は、注射器714のプランジャ718に連結され得る。例えば、ガスピストン748は、プランジャ718に固定されて、それらの間の軸方向並進運動を防ぐことができ、それにより、プランジャに対して一方向または双方向に力を加えることができる。ガスピストン748は、さまざまな方法で近位に戻ることができる。例えば、ガスピストン748は、パワーカートリッジ738からの圧縮ガスによって、手動で(例えば、プランジャをアクチュエータ706に挿入することによって)、ばねの付勢を受けて、レバー、ボルト、または他のコッキング機構によって、ベンチュリ吸引などによって、戻り得る。
【0054】
アクチュエータ706は、排出モジュール742を含み得る。排出モジュール742は、本体の近位部分706Aであってよいか、またはこの内部に収容され得る。排出モジュール742は、1つ以上のサーマルフィン744を含み得る。フィン744は、クロスドリルで穿孔されるか(cross-drilled)、または通気孔をつけられ(vented)てよい。フィン744は、アクチュエータ706による圧縮ガスの拡張により生じる冷却効果の一部またはすべてを放散させるように構成され得る。排出モジュール742は、1つ以上のマフラー746を含み得る。マフラー746は、アクチュエータ706による圧縮ガスの拡張により生じる、冷却効果の一部もしくはすべてを放散させ、かつ/または音の一部もしくはすべてを減少させるように構成され得る。マフラー746は、焼結金属から形成され得る。マフラー746は、初期冷却放散器(initial cooling dissipater)として作用し得る。アクチュエータ706の接触表面(Touch surfaces)は、熱的絶縁物質から形成されるか、または熱的絶縁物質によりコーティングされ得る。
【0055】
本体の近位部分706A、中間部分706B、および/または遠位部分706Cは、互いから選択的に分離可能であってよい。例えば、これらの部分は、ねじ山付きインターフェース、4分の1回転インターフェース(quarter-turn interface)、スナップまたは摩擦嵌めインターフェースなどによって、連結され得る。遠位部分706Cは、注射器714がアクチュエータ706内に装填されることができるように取り外され得る。近位部分706Aまたは遠位部分706Cは、例えば制御システム740を外部コントローラまたはコンソール104とドッキングするために、制御システム740へのアクセスを可能にするように取り外され得る。制御システム740は、コントローラまたはコンソール104と無線でドッキングされ得る。近位部分706Aは、パワーカートリッジ738が置き換えられるか、または再充電されることができるように、取り外され得る。
【0056】
アクチュエータ706は、アクチュエータ706とコントローラ104との間に機能的通信および/または電力通信を確立するために、例えば無線連結、有線連結、または直接電気的連結を介して、コントローラまたはコンソール104にドッキングされ得る。アクチュエータ706は、パワーカートリッジ738が設置されていても、設置されていなくても、ドッキングされ得る。コントローラ104は、アクチュエータ706のバッテリを再充電することができ、または、逆もまた同様であってよい。コントローラ104は、プログラム注入パラメータもしくはプロファイルをアクチュエータ706にダウンロードすることができ、または、逆もまた同様であってよい。コントローラ104は、注入ログ、動作データ、センサ出力情報、もしくは他のデータをアクチュエータ706からアップロードすることができ、または、逆もまた同様であってよい。コントローラ104は、アクチュエータ706をプログラムし、アクチュエータファームウェアをアップデートするなどが可能であり、または、逆もまた同様であってよい。
【0057】
ドッキングは、無線で、かつ/または、アクチュエータ706のハンドル内に引っ込んだハンドルコネクタにより、医療グレードの嵌合ロッキングプッシュ/プルシュラウドピンケーブルコネクタ(medical-grade mated locking push/pull shrouded pin cable connector)に接続することによって、クレードルまたはドックにおいて実行され得る。ドッキングは、アクチュエータ706の実行および診断データをアップロードし、注入プログラムデータをダウンロードし、バッテリを充電し、機能的診断チェックを実行し、情報交換を実行し、症例データをアップロードし、注入がどのように進行したかを検討し、次の注入プロファイル/パラメータセットをダウンロードするなどのために、実行され得る。
【0058】
アクチュエータ706は、ハンドヘルド装置であってよい。アクチュエータ706は、コントローラ/コンソール104から完全に切り離され得、例えば、いかなるチューブ、ケーブル、または他の構造体もこれらの間に延びない。
【0059】
アクチュエータ706は、さまざまな付属品を備えることができる。アクチュエータ706は、使用後にガスカートリッジを取り扱うために、熱的に絶縁された「冷たいパッド」を含み得る。アクチュエータ706は、使用後にガススプリングを近位に戻すように本体の遠位端部に挿入可能な復帰プランジャを含み得る。アクチュエータ706は、電気的接続ドックまたはドッキングステーションを含み得る。アクチュエータ706は、カートリッジの取り外しを助けるために把持ツールを含み得る。アクチュエータ706は、ハンズフリー操作または歪みの少ない操作を容易にするために、アクチュエータを台に、床に、患者に、外科医もしくはユーザーに、または別の支持体に装着するための支持アームを含み得る。支持アームは、複数のアクチュエータ706を保持するように構成され得る。
【0060】
複数のアクチュエータ706は、物質を注入し、かつ/または同じ患者から抜き取るために、同時に使用され得る。複数のアクチュエータ706は、事前プログラミング、直接的な配線、共通のコンソールへの配線、無線同期、および/またはクライアント-サーバもしくはクラウドベースモデルによって、調整され得る。
【0061】
アクチュエータ706は、1つ以上のユーザー制御部またはインターフェース要素を含み得る。例えば、アクチュエータ706は、触覚表面スイッチを含み得る。アクチュエータ706は、電子ディスプレイを含み得る。アクチュエータ706は、LEDなどの、1つ以上のライトを含み得る。インターフェース要素は、例えば、装置の準備ができている、装置が動作している、拍動性注入モード、スロー注入モード、標準注入モード、注入完了、警報などの、装置動作パラメータおよびステータスをユーザーに通信することができる。アクチュエータ706は、キーオーバーライドまたはパラメータ機能のために操作スイッチを含み得る。
【0062】
図8A図8Bは例示的なアクチュエータ806を示す。以下で示すことを除き、本開示を鑑みれば当業者には容易に認識されるように、アクチュエータ806の構造および動作は、アクチュエータ306、406、506、606、706と同じである。アクチュエータ806は、本明細書に記載するアクチュエータ306、406、506、606、706の特徴部または態様のいずれかを含み得る。
【0063】
図8Aに示すように、アクチュエータ806は、小さいハンドヘルド注射器アクチュエータであってよい。アクチュエータ806は、1つ以上の注射器814を中に受容するようなサイズのキャビティを画定する本体を含み得る。注射器814は、図8Aに示すような遠位流体管継手もしくは他のコネクタ、または図8Bに示すような遠位針を含み得る。針は、一体的なセンサ108、例えば圧力センサを含み得る。アクチュエータ806は、押しボタンまたは他の制御部850を含み得る。制御部850は、ユーザーによって作動されて、注入を開始するか、注入を停止するか、または、アクチュエータ806の何らかの他の制御を実行することができる。アクチュエータ806は、以下に記載するように、作動ライン852および/または信号ライン854を介して、コントローラ104に動作可能に連結され得る。
【0064】
システム100は、プロセッサおよびデジタルディスプレイまたは注入パラメータを特定するための他のユーザーインターフェースを備えたコントローラ104を含み得る。コントローラ104は、例えば作動力または命令をアクチュエータ106に適用することによって、システム100の動作を制御し得る。コントローラ104は、コントローラが作動力をアクチュエータに自動的に加えることができるように、アクチュエータ106に動作可能に接続され得る。
【0065】
コントローラ104は、例えば、ガスチャンバ、バッテリ、ばねなどといったアクチュエータ106のエネルギー源を充電するために、またはアクチュエータにデータをダウンロードするか、もしくはアクチュエータからデータをアップロードするために、ドッキングステーションを含み得る。
【0066】
図9は、コントローラ104の例示的な実施形態の物理的構成要素のブロック図を示す。例示的なコントローラ104が描かれ本明細書で説明されるが、これは、普遍性および便宜のためであることが認識されるであろう。他の実施形態では、コントローラ104は、ここで図示および説明するものとは、構造および動作が異なっていてよい。コントローラ104は、タブレット型コンピュータ、モバイル機器、スマートフォン、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、クラウドベースのコンピュータ、サーバーコンピュータなどであってよい。コントローラ104の1つ以上の部分が、患者に植え込まれ得る。送達制御ソフトウェアは、コントローラ104上で実行され得る。このソフトウェアは、ローカルハードウェア構成要素(例えば、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、ラップトップコンピュータなど)の上で実行されてよく、あるいは、遠隔で(例えば、コントローラと通信連結している(communications coupling)、サーバまたはクラウド接続されたコンピューターデバイス上で)実行され得る。
【0067】
例示されたコントローラ104は、プロセッサ156を含み、これは、例えば、組み込みソフトウェア、オペレーティングシステム、デバイスドライバ、アプリケーションプログラムなどを実行することによって、コントローラ104の動作を制御する。プロセッサ156は、プログラム可能な汎用もしくは特殊用途のプロセッサおよび/またはさまざまな専売もしくは市販のシングルもしくはマルチプロセッサシステムのいずれかを含む、任意の種類のマイクロプロセッサもしくは中央処理装置(CPU)を含み得る。本明細書で使用されるプロセッサという用語は、内部もしくは外部のメモリもしくはレジスタなどからのプログラム命令を読み取り解釈する、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ASIC、FPGA、PIC、プロセッサを指し得る。コントローラ104はメモリ158も含み、これは、プロセッサ156により実行されるコードまたはプロセッサにより処理されるデータの一時的または永続的な保存を提供する。メモリ158は、リードオンリーメモリ(ROM)、フラッシュメモリ、1つ以上の種類のランダムアクセスメモリ(RAM)、および/またはメモリテクノロジーの組み合わせを含み得る。コントローラ104のさまざまな構成要素は、任意の1つ以上の別々のトレース、物理的バス、通信回線などを介して、相互接続され得る。
【0068】
コントローラ104は、通信インターフェースまたはI/Oインターフェースなどのインターフェース160を含んでもよい。通信インターフェースは、コントローラ104がネットワークまたは通信バス(例えば、ユニバーサルシリアルバス)を通じて遠隔装置(例えば、他のコントローラもしくはコンピュータシステム)と通信することを可能にし得る。I/Oインターフェースは、コントローラ104の1つ以上の入力装置、1つ以上の出力装置、およびさまざまなその他の構成要素の間の通信を容易にし得る。例示的な入力装置は、タッチスクリーン、機械式ボタン、キーボード、およびポインティングデバイスを含む。コントローラ104は、記憶装置162を含んでもよく、これは、不揮発的および/または非一時的にデータを記憶するための任意の従来の媒体を含み得る。よって、記憶装置162は、データおよび/または命令を固執的状態に保持することができる(すなわち、コントローラ104への電力の中断にもかかわらず、値が保持される)。記憶装置162は、1つ以上のハードディスクドライブ、フラッシュドライブ、USBドライブ、光学ドライブ、さまざまなメディアディスクもしくはカード、および/またはそれらの任意の組み合わせを含み得、またコントローラ104のその他の構成要素に直接接続されるか、または、通信インターフェースを通じるなどして、これらに遠隔的に接続され得る。コントローラ104は、ディスプレイ164も含み得、また、ディスプレイに表示される画像を生成し得る。いくつかの実施形態では、ディスプレイ164は、真空蛍光ディスプレイ(VFD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、または、液晶ディスプレイ(LCD)であってよい。コントローラ104は、電源166と、適切な調節および調整回路(regulating and conditioning circuitry)と、を含んでもよい。例示的な電源は、ポリマーリチウムイオンバッテリなどのバッテリ、またはコントローラ104をDCもしくはAC電源に連結するためのアダプタ(例えば、USBアダプタもしくはウォールアダプタ)を含む。
【0069】
コントローラ104によって実行されるさまざまな機能は、論理的には、1つ以上のモジュールによって実行されるものとして説明され得る。このようなモジュールは、ハードウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせにおいて実装され得ることが、認識されるであろう。ソフトウェアにおいて実装される場合、モジュールは、1つのプログラムまたは1つ以上の別々のプログラムの一部であってよく、さまざまな状況で(例えば、組み込みソフトウェアパッケージ、オペレーティングシステム、デバイスドライバ、スタンドアロンのアプリケーション、および/またはそれらの組み合わせの一部として)実装され得ることが、さらに認識されるであろう。さらに、1つ以上のモジュールを具体化するソフトウェアは、1つ以上の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体において実行可能なプログラムとして記憶され得る。特定のモジュールにより実行されるものとして本明細書に開示される機能は、任意の他のモジュールまたはモジュールの組み合わせにより実行されてもよく、コントローラは、図示され本明細書に記載されたものより少ないかまたは多いモジュールを含み得る。図10は、コントローラ104の1つの例示的な実施形態のモジュールの概略図である。
【0070】
図10に示すように、コントローラ104は、センサ108から情報を受信するように構成されたセンサ入力モジュール168を含み得る。センサ入力モジュール168は、例えばプロセッサの汎用入力/出力ピンを介して、センサ108からプロセッサ156に供給される出力信号を読み取り解釈することができる。センサ入力モジュール168は、オプションとして、周波数検出、相検出、デバウンシング、アナログ-デジタル変換、フィルタリングなどといったさまざまな処理を、センサ信号に対して実行し得る。
【0071】
コントローラ104は、流体を注入するか、もしくは患者から吸引し、かつ/または送達装置102を制御するために、ポンプまたはアクチュエータ106を制御するように構成された送達制御モジュール170を含むこともできる(例えば、オーガー、ピストン、トランスデューサー、超音波システムなど)。例えば、「注入」命令が出されると、送達制御モジュール170は、電力もしくは作動力をアクチュエータ106に供給して、送達装置102を通じた注入液のポンプ供給を開始するか、または、圧力下で保管された注入液が送達装置と流体連通し、それを通って流れるように、電子的に作動される弁を開くことができる。いくつかの実施形態では、送達制御モジュール170は、システム内の圧力が所定の閾値量に達したことを圧力センサが示したときに、アクチュエータ106への電力を止めるか、弁を閉じるか、または、アクチュエータに供給される作動力を別様に除去もしくは軽減するように構成され得る。「吸引」命令が出されたら、送達制御モジュール170は、電力または作動力をアクチュエータ106に供給して、送達装置102からの流体のポンプ供給を開始し得る。
【0072】
コントローラ104は、例えばインターフェース160を介してユーザーによって供給されるような、1つ以上のユーザー入力を受信するように構成されたユーザー入力モジュール172を含み得る。例示的なユーザー入力は、注入パラメータ、患者情報、治療プロトコルなどを含み得る。
【0073】
コントローラ104は、グラフィカルもしくはテキストユーザーインターフェース、メニュー、ボタン、命令、および他のインターフェース要素などの、さまざまな情報をディスプレイ164上でユーザーに表示するように構成されたディスプレイモジュール174を含むこともできる。ディスプレイモジュール174は、命令、警告、エラー、測定値、および計算結果を表示するように構成されてもよい。
【0074】
コントローラ104は、カスタマイズされた送達を達成するためにさまざまな注入および/または吸引パラメータを制御するように構成され得る。これにより、送達が治療適用に基づいて適合されることが可能となり得る。コントローラ104によって制御され得る例示的なパラメータは、注入タイプ、注入速度、注入体積、注入と注入との間の時間、振動速度(oscillatory rate)、注入と抜き取りとの比率、注入相タイミング、吸引タイプ、吸引速度、吸引と吸引との間の時間、吸引体積などを含む。
【0075】
センサ108は、1つのセンサまたは複数のセンサであってよい。例示的なセンサは、圧力センサ、心電図センサ、心拍数センサ、温度センサ、PHセンサ、呼吸数センサ、呼吸体積センサ、肺容量センサ、胸郭拡大および収縮センサ、胸腔内圧センサ、腹腔内圧センサなどを含む。センサ108のうちの1つ以上が患者に植え込まれ得る。センサ108のうちの1つ以上は、送達装置102上に装着されるか、送達装置102を通って挿入されるか、または送達装置102の中もしくは上に形成され得る。センサ108は、送達装置102から離れていてもよい。いくつかの実施形態では、センサ108は、送達装置に隣接してCSF圧力を測定するための、送達装置102の中もしくは上に配された圧力センサと、患者の心拍数を測定するためのECGセンサと、を含み得る。センサ108は、コントローラ104のセンサ入力モジュール168に(ワイヤを介して、または無線接続を介して)接続され得る。
【0076】
システム100の1つ以上の構成要素は、滅菌野内部(例えば、患者の周りに定められる滅菌野内)に配され得る。システム100は、全体が滅菌野に配されてよく、あるいは、システム100の1つ以上の構成要素が、滅菌野の外側に配されてよい。
【0077】
例えば、図11Aに示すように、コントローラ104は、アクチュエータ106および送達装置102から離れて配され得る。アクチュエータ106および送達装置102が、滅菌野内部に、例えば患者Pに非常に近接して、配されている間、コントローラ104は滅菌野の外側に配され得る。
【0078】
コントローラ104は、作動ライン152によって、アクチュエータ106、またはその注射器モジュールに連結され得る。作動ライン152は、コントローラ104によって生成される作動力をアクチュエータ106に伝達するように構成され得る。言い換えれば、作動ライン152は、滅菌野の外側からの作動エネルギーおよび/または力を滅菌野の内側に移動させるかまたは運ぶことができる。図11Bに示すように、例示的な作動ライン152は、外側スリーブ178によって支持された内側アクチュエータケーブル、ロッド、またはワイヤ176を含み得る。アクチュエータケーブル176は、高い柱強度を有し得、ケーブルが曲げられたり湾曲したりした場合であっても、ケーブルは軸方向および/または回転作動力を伝達することができる。外側スリーブ178は可撓性であってよい。外側スリーブ178は編まれていてよい。外側スリーブ178は軸方向に剛性であってよい。他の構造では、作動ライン152は、空気圧で、水圧で、機械的に、電気的になど、他の手段を介して作動力を運ぶことができる。いくつかの実施形態では、作動ライン152はいかなる薬剤も含まないので、システムの薬剤体積効率が改善される。
【0079】
コントローラ104は、信号ライン154によってアクチュエータ106に連結され得る。信号ライン154により、アクチュエータ106は、スイッチ、ボタン、トリガー、制御部、センサのデータ、注入/吸引プロファイル、診断データ、または他の命令、情報、もしくは信号をコントローラ104に返すことができ、逆もまた同様であってよい。信号ライン154は導電性ワイヤであってよい。信号ライン154は無線通信リンクであってよい。
【0080】
アクチュエータ106は、ボタンまたは他のトリガー制御部150を含み得、これは、例えば、注入を開始する、注入を停止する、吸引を開始する、吸引を停止する、注入/吸引パラメータを調節するなどのために、コントローラ104に信号を送るように、ユーザーによって作動され得る。
【0081】
図11Aに示す構造は、患者Pに送達され、かつ/または患者Pから除去される薬剤または他の物質を収容する1つまたは複数のラインが、コントローラ104とアクチュエータ106との間を接近させることを必要とせずに、短くされ得る点で、有利となり得る。これにより、薬剤体積効率が提供され得る。このような構造により、滅菌野内部からの直接的なアクチュエータ106の制御または操作も可能となり、例えば、外科医、患者、または患者に近接している他のユーザーがシステム100と相互作用することができる。いくつかの構造では、アクチュエータ106は、滅菌野の外側に配され得、ユーザー制御部150は、滅菌野内部に配され得る。例えば、ユーザー制御部150は、アクチュエータ106に動作可能に連結される別個のハウジングまたは別個の構成要素内に設けられ得る。
【0082】
コントローラ104は、再利用可能な構成要素であってよい。アクチュエータ106、作動ライン152、信号ライン154、および/または送達装置102は、再利用可能であってよいか、または使い捨てであってよい。
【0083】
本明細書のシステムおよび方法は、「DRUG DELIVERY SYSTEMS AND METHODS」の名称で2017年6月20日に発行された米国特許第9,682,193号および「DRUG DELIVERY SYSTEMS AND METHODS」の名称で2016年12月21日に出願された米国仮特許出願第62/437,168号に開示される特徴のいずれかを含み得、これらはそれぞれ、参照により全体として本明細書に組み込まれる。例えば、本明細書のシステムおよび方法は、拍動性送達を使用して、自然なCSFの拍動、心拍数、呼吸数、またはそれらの組み合わせなどの患者の生理学的パラメータと注入を整合させることができる。
【0084】
本明細書のシステムおよび方法は、半自動であるか、または完全に自動化されていてよい。本明細書のシステムは、完全または部分的に使い捨てであってよい。本明細書のシステムおよび方法は、幼児および小児を含む、任意のヒトまたは動物患者を治療するのに使用され得る。本明細書のシステムおよび方法は、標準的な腰椎穿刺または髄腔内注射/注入処置で使用され得る。注入パラメータは、現場でプログラムされ得るか、または予めプログラムされていてよい。注入パラメータは、患者から測定されたデータに基づいて、部分的または全体的に制御され得る。システムは、AC主電源もしくは他の電源に直接接続され得るか、またはバッテリで動くことができる。システムは、システムの動作を制御するためのユーザー入力装置(例えば、注入を開始するか、停止するか、または別様に制御するためのフットペダル)を含み得る。本明細書のシステムおよび方法は、腰椎穿刺針または髄腔内カテーテルと共に使用され得る。本明細書のシステムおよび方法は、注入、吸引、またはそれらの組み合わせのために使用され得る。
【0085】
本明細書のシステムおよび方法を用いて送達され得る例示的な薬剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(antisense oligonulceotides)、アデノウイルス、AAVおよび非AAVを含む遺伝子療法、遺伝子編集、遺伝子スイッチ、腫瘍崩壊性免疫療法、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、立体化学的に純粋な核酸(stereopure nucleic acids)、小分子、メトトレキサート、エダラボン抱合体(edavarone-conjugate)、コノトキシン、アポモルヒネ(abomorphine)、プレドニゾロンヘミスクシナートナトリウム(prednisolone hemisuccinate sodium)、カルビドパ/レボドパ(carbidopa/levodopa)、テトラベナジン、ジアゼパムおよびミダゾラムなどのベンゾジアゼピン、アルファキサロンもしくは他の誘導体、シクロホスファミド、イデュルスルファーゼ(エラプレース)、イズロニダーゼ(アルドラザイム)、トポテカン、ブスルファン(buslfan)、ならびに/またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0086】
本明細書のシステムおよび方法は、パーキンソン病、フリートライヒ運動失調症、キャナヴァン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、先天的な発作(congenital seizures)、ドラベ症候群、疼痛、脊髄性筋萎縮症(SMA)、タウオパチー、ハンチントン病、脳/脊椎/中枢神経系(CNS)腫瘍、炎症、ハンター症候群、アルツハイマー病、水頭症(例えば、水頭症の治療)、サンフィリポ症候群、A型サンフィリポ症候群、B型サンフィリポ症候群、てんかん、visualase前のてんかん(epilepsy pre-visualase)、原発性中枢神経系リンパ腫(PCNSL)、多発性硬化症(MS)、一次性進行型MS(PPMS)、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、進行したパーキンソン病患者における運動変動、急性反復性発作(ARS)、てんかん重積持続状態、酵素補充療法(ERT)、および/または腫瘍性髄膜炎を含む、さまざまな疾患または状態を治療するのに使用され得る。
【0087】
前述した明細書または添付図面に示されるか、または示唆されている方法ステップの任意の順序づけは、開示された方法を、その順序でステップを実行するように制限するものとして解釈されるものではないことに注目されたい。むしろ、本明細書に開示する方法それぞれのさまざまなステップは、さまざまなシーケンスのうちのいずれでも実行され得る。さらに、記載された方法は単に例示的な実施形態であるので、追加のステップを含むか、またはより少ないステップを含む、さまざまな他の方法も、本開示の範囲内に含まれる。
【0088】
本明細書に開示するシステムは、さまざまな既知の物質のいずれかから構成され得る。例示的な物質は、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、コバルトクロム、またはそれらの合金および組み合わせなどの金属、PEEKなどのポリマー、セラミック、炭素繊維など、を含む、外科適用または医療適用に使用されるのに適切なものを含む。本明細書に開示するシステムのさまざまな構成要素は、剛性または可撓性であってよい。システムの1つ以上の構成要素または部分は、X線透視法および他の撮像技術での可視化を容易にするため放射線不透過性物質から、または他の構造体の可視化を妨げないように放射線透過性物質から、形成され得る。例示的な放射線透過性物質は、炭素繊維および高強度ポリマーを含む。
【0089】
特定の実施形態について前述したが、説明した概念の趣旨および範囲内で、多くの変更が行われ得ることを理解されたい。
【0090】
〔実施の態様〕
(1) 薬剤送達システムにおいて、
薬剤送達装置と、
注射器が中に配されたアクチュエータであって、前記注射器は前記薬剤送達装置と流体連通している、アクチュエータと、
を含み、
前記アクチュエータは、物質を前記薬剤送達装置から放出するために作動力を前記注射器に対して及ぼすように構成され、
前記アクチュエータは、
第1のカップ、および、
前記第1のカップに回転可能に連結された第2のカップ、
を含み、
前記第2のカップに対して前記第1のカップを回転させると、前記注射器に対して前記作動力が及ぼされる、薬剤送達システム。
(2) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記アクチュエータは、その中に配された複数の注射器を含む、システム。
(3) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記第1のカップは、前記第2のカップにねじ接続されている、システム。
(4) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記第2のカップに対して前記第1のカップを第1の方向に回転させると、前記注射器に対して前記作動力が及ぼされて、物質が前記薬剤送達装置から放出され、
前記第2のカップに対して前記第1のカップを第2の反対方向に回転させると、前記注射器に対して第2の作動力が及ぼされて、物質が前記薬剤送達装置に引き込まれる、システム。
(5) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記アクチュエータは、前記第2のカップに対して前記第1のカップを回転させるように構成されたモータを含む、システム。
【0091】
(6) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記送達装置は、カテーテルまたは針を含む、システム。
(7) 実施態様1に記載のシステムにおいて、
前記注射器の外筒が、前記第1のカップの中心開口部を通って延びる、システム。
(8) 注射器アクチュエータにおいて、
本体と、
それぞれのプランジャをそれぞれが有する複数の注射器と、
前記本体に回転可能に連結されたキャップと、
前記キャップ内に配された力連結器と、
を含み、
前記本体に対して前記キャップを回転させることは、前記注射器のプランジャのうちのどれを前記力連結器に動作可能に接続するかを選択するのに有効である、注射器アクチュエータ。
(9) 実施態様8に記載のアクチュエータにおいて、
前記力連結器は流体ラインを含み、
前記キャップを回転させると、前記流体ラインが前記注射器のプランジャのうちの選択された1つと流体連通する、アクチュエータ。
(10) 実施態様8に記載のアクチュエータにおいて、
前記力連結器はソレノイドを含み、
前記キャップを回転させると、前記ソレノイドが前記注射器のプランジャのうちの選択された1つと連携する、アクチュエータ。
【0092】
(11) 実施態様8に記載のアクチュエータにおいて、
前記本体が、前記複数の注射器によって画定されている、アクチュエータ。
(12) 実施態様8に記載のアクチュエータにおいて、
前記複数の注射器は、前記本体に形成された1つ以上のキャビティ内部に配されている、アクチュエータ。
(13) 実施態様8に記載のアクチュエータにおいて、
前記アクチュエータは、前記本体に対して前記キャップを回転させるように構成されたモータを含む、アクチュエータ。
(14) 注射器アクチュエータにおいて、
近位部分、中間部分、および遠位部分を有し、かつ注射器が中に受容されたキャビティを画定する、本体と、
前記本体内に配されたパワーカートリッジであって、前記パワーカートリッジが前記注射器のプランジャを遠位に前進させ得るように前記プランジャに動作可能に連結されている、パワーカートリッジと、
を含む、注射器アクチュエータ。
(15) 実施態様14に記載のアクチュエータにおいて、
前記パワーカートリッジは、前記パワーカートリッジが前記プランジャを近位に後退させ得るように、前記注射器の前記プランジャに動作可能に連結されている、アクチュエータ。
【0093】
(16) 実施態様14に記載のアクチュエータにおいて、
前記パワーカートリッジは、圧縮ガスの容器を含む、アクチュエータ。
(17) 実施態様14に記載のアクチュエータにおいて、
前記注射器は、前記本体の前記中間部分と前記遠位部分との間で捕捉されている、アクチュエータ。
(18) 実施態様14に記載のアクチュエータにおいて、
前記アクチュエータは、前記パワーカートリッジにより生成された力を前記プランジャに対して選択的に向けるように構成された制御システムを含む、アクチュエータ。
(19) 実施態様14に記載のアクチュエータにおいて、
前記パワーカートリッジは、前記本体の前記近位部分および前記中間部分により画定されたキャビティ内部に配されている、アクチュエータ。
(20) 実施態様14に記載のアクチュエータにおいて、
前記アクチュエータは、排出モジュールを含む、アクチュエータ。
【0094】
(21) 実施態様20に記載のアクチュエータにおいて、
前記排出モジュールは、マフラーおよびサーマルフィンのうちの少なくとも1つを含む、アクチュエータ。
(22) 薬剤送達システムにおいて、
コントローラと、
薬剤送達装置と、
前記薬剤送達装置と流体連通しているアクチュエータであって、前記アクチュエータは、薬剤が中に配された流体貯蔵器を含む、アクチュエータと、
前記アクチュエータを前記コントローラに接続する作動ラインであって、前記作動ラインは、(i)流体を前記薬剤送達装置から押し出すための第1の作動力、および(ii)流体を前記薬剤送達装置に引き込むための第2の作動力、のうちの少なくとも1つを、前記コントローラから前記アクチュエータに伝達するように構成されている、作動ラインと、
を含む、薬剤送達システム。
(23) 実施態様22に記載のシステムにおいて、
前記薬剤送達装置は、針およびカテーテルのうちの少なくとも1つを含む、システム。
(24) 実施態様22に記載のシステムにおいて、
前記作動ラインは、薬剤を含まない、システム。
(25) 実施態様22に記載のシステムにおいて、
前記作動ラインは、外側シース内部に配された可撓性ケーブルを含み、前記ケーブルは、前記外側シースに対して、軸方向に並進運動可能であるか軸方向に回転可能であるかの少なくともいずれかである、システム。
【0095】
(26) 実施態様22に記載のシステムにおいて、
前記コントローラは、前記アクチュエータが滅菌野内部に配されている間、前記滅菌野の外側に配されるように構成されている、システム。
(27) 実施態様22に記載のシステムにおいて、
前記アクチュエータに装着され、かつ前記コントローラに信号を送るように選択的に動作可能である、ユーザー制御部をさらに含む、システム。
(28) 実施態様22に記載のシステムにおいて、
前記コントローラと前記アクチュエータとの間で情報を送信するように構成された信号ラインをさらに含む、システム。
(29) 実施態様28に記載のシステムにおいて、
前記薬剤送達装置は、前記信号ラインを介して前記コントローラに通信可能に連結されたセンサを含む、システム。
(30) 実施態様22に記載のシステムにおいて、
前記流体貯蔵器は、注射器を含み、
前記第1の作動力は、前記注射器のプランジャを遠位に動かすのに有効であり、前記第2の作動力は、前記プランジャを近位に動かすのに有効である、システム。
【図面の簡単な説明】
【0096】
図1】薬剤送達システムの概略図である。
図2】送達装置の斜視図である。
図3】注射器アクチュエータの斜視図である。
図4】別の注射器アクチュエータの斜視図である。
図5】別の注射器アクチュエータの断面側面図である。
図6】別の注射器アクチュエータの断面側面図である。
図7】別の注射器アクチュエータの断面側面図である。
図8A】流体管継手と共に示された別の注射器アクチュエータの斜視図である。
図8B】針と共に示された図8Aの注射器アクチュエータの斜視図である。
図9】コントローラの概略的なハードウェア図である。
図10図9のコントローラの機能的ブロック図である。
図11A】一部が滅菌野内部に配され、かつ一部が滅菌野の外側に配された、薬剤送達システムの概略図である。
図11B図11Aの送達システムの作動ラインの断面側面図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B