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特開2022-90049NPRAアゴニスト、組成物およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090049
(43)【公開日】2022-06-16
(54)【発明の名称】NPRAアゴニスト、組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/22 20060101AFI20220609BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20220609BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20220609BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20220609BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20220609BHJP
   C07K 14/58 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
A61K38/22
A61K47/54
A61K47/65
A61P9/12
A61P9/00
C07K14/58 ZNA
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022070710
(22)【出願日】2022-04-22
(62)【分割の表示】P 2019551608の分割
【原出願日】2018-03-21
(31)【優先権主張番号】62/475,147
(32)【優先日】2017-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510189606
【氏名又は名称】ファーマイン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド エム. カスティロ
(72)【発明者】
【氏名】西本 アシュフィールド 晶子
(72)【発明者】
【氏名】エライジャー ボロティン
(57)【要約】
【課題】式(I)のナトリウム利尿ペプチド誘導体、および式(I)のナトリウム利尿ペプチド誘導体、(脂肪アシル)-(B)-(G)-NP(I)を含む組成物を提供すること。
【解決手段】式中:zは1であり、xは2~4の整数であり、yは3であるか;またはzは0であり、xは0~4の整数であり、そしてyは1~3の整数であり;脂肪アシルは、12~24(例えば、12~18)個の炭素原子を含み;Bはリジンまたはアルギニンであり;Gはグリシンであり;NPはナトリウム利尿ペプチドであり;存在する場合、(脂肪アシル)-は、(B)のN末端に共有結合的に連結され;(脂肪アシル)-(B)-は、(G)のN末端に共有結合的に連結され;そして(脂肪アシル)-(B)-(G)-は、NPのN末端に共有結合的に連結される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2017年3月22日に出願された米国仮特許出願第62/475,147号に対して優先権の利益を主張し、その開示の全体が、参考として本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
背景
環状グアノシン一リン酸(cGMP)のインビボでの増加は、哺乳動物における種々の高血圧症、血管鬱血、または心疾患において多くの適用を有する。インビボでcGMPを増加させて、種々の心血管疾患を処置しようとするかまたは性的能力を高めようとする試みは、ホスホジエステラーゼインヒビター(phosphophodiesterases inhibitors)5、6、および9(ホスホジエステラーゼは、cGMPを分解する酵素である)(例えば、Keravis T, Lugnier C. Br J
Pharmacol. 2012;165:1288-305を参照のこと)またはc
GMPの生成を増加させる化合物(例えば、ニトログリセリン/ニトレートおよびナトリウム利尿ペプチド)の使用をもたらした。
【0003】
心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)および脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は、ナトリウム利尿レセプターA(NPRA)を通じて作用し、c型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)は、ナトリウム利尿レセプターB(NPRB)を通じて作用して(例えば、Silver MA, Curr. Opin. Nephrol. Hypertens., 2006, vol. 15,14-21; Yoshibayashi M.ら, Eur. J. Endocrinol., 1996, vol. 135, 265-268を参照のこと)、細胞内cGMPを増加させ、これはまた、ある程度は血中cGMPの増加によって反映される。ナトリウム利尿レセプターリガンドがナトリウム利尿性膜貫通レセプター(これは、細胞内グアニル酸シクラーゼドメインを有する)に結合する場合、そのグアニル酸シクラーゼ活性が活性化され、増加した細胞内cGMP、種々の生理学的活性の発現、および血中cGMPの増加を生じる。
【0004】
cGMPの増加は、高血圧症および/または血管流体鬱血(vascular fluid congestion)、および/または心疾患において有益な効果を有する。細胞内cGMPは、細胞内の第2メッセンジャーとして広く公知であり、これは、細胞外シグナル(ナトリウム利尿ペプチド(例えば、ANP、BNP、CNP、ウロジランチン(urodilantin))、および亜酸化窒素)から)細胞内作用へ)の媒介を担う。これは、血
管平滑筋緊張の制御において十分に試験される。血管平滑筋細胞における細胞内cGMPの増加が平滑筋を弛緩させ、血圧を下げることは、概して公知である。
【0005】
ANPおよびBNPは、心疾患を有する患者において血圧および心臓への負荷を制御することが公知の薬剤である。ヒトANP(hANP)は、日本において急性心不全の治療剤として臨床で使用されており、BNPは、米国においてうっ血性心不全の治療剤として臨床で使用される。既存のナトリウム利尿ペプチドの医療上の使用は、十分なcGMPを提供するためには、それらの短い半減期および制限された活性によって制限され、それらは、通常、連続静脈内注入によって投与される。
【0006】
ANP、BNP、およびCNPは、ジスルフィド結合の存在によって可能にされるそれらの活性に必要な環状構造を有するペプチドである。ANPは、心房細胞において生成されかつ分泌される28アミノ酸のペプチドである。そのペプチドは、腎臓において利尿作用を示し、血管における血管平滑筋を弛緩させ、血管を拡張する。さらに、ANPは、レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系(RAAS)およびバソプレッシンの作用をアンタゴナイズする。これらの作用は、血圧および体液容積を低下させることによって心臓に対する負荷を包括的に低減する。実際に、ANPの分泌は、うっ血性心不全などにおいて心房充満圧の上昇とともに促進され、ANPは、上述の作用を介してうっ血性心不全の症状を緩和する。
【0007】
BNPは、脳において最初に見出されたが、後に、心筋細胞において主に生成および分泌されることが見出された32アミノ酸のペプチドである。BNPの分泌は、心不全患者において増加され、BNPは、上述の作用を介して心不全と関連する種々の症状を緩和する。
【0008】
ANPおよびBNPは、血管拡張作用、血圧、および利尿作用を通じた血管流体調節の他に種々の生理学的活性を有する。例えば、細菌感染誘発性の炎症および内皮バリア機能における関連の機能不全に対するANPの作用は、報告されている(例えば、Xing J.,ら, J. appl. Physiol., 2011, 110 (1), 213-224を参照のこと)。
増強された半減期および活性を有するナトリウム利尿ペプチドが必要である。本開示は、この必要性を満たそうと努めかつさらに関連する利点を提供する。例えば、本開示は、cGMPの増加によって測定される場合に、驚くほど増強された活性を有する新規な組成物を提供する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Keravis T, Lugnier C. Br J Pharmacol. 2012;165:1288-305
【非特許文献2】Silver MA, Curr. Opin. Nephrol. Hypertens., 2006, vol. 15,14-21
【非特許文献3】Yoshibayashi M.ら, Eur. J. Endocrinol., 1996, vol. 135, 265-268
【非特許文献4】Xing J.,ら, J. appl. Physiol., 2011, 110 (1), 213-224
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
要旨
本開示は、式(I)のナトリウム利尿ペプチド誘導体、または式(I)のナトリウム利尿ペプチド誘導体、
(脂肪アシル)-(B)-(G)-NP (I)、
を含む組成物を提供し、式中:
zは1であり、xは2~4の整数であり、yは3であるか;または
zは0であり、xは0~4の整数であり、そしてyは1~3の整数であり;
脂肪アシルは、12~24(例えば、12~18)個の炭素原子を含み;
Bはリジンまたはアルギニンであり;
Gはグリシンであり;
NPはナトリウム利尿ペプチドであり;
存在する場合、(脂肪アシル)-は、(B)のN末端に共有結合的に連結され;
(脂肪アシル)-(B)-は、(G)のN末端に共有結合的に連結され;そして
(脂肪アシル)-(B)-(G)-は、NPのN末端に共有結合的に連結される。
【0011】
一実施形態において、ナトリウム利尿ペプチド誘導体またはナトリウム利尿ペプチド誘導体を含む組成物は、哺乳動物に非経口投与される場合の血中cGMPのレベルを、等しい用量(例えば、モル/Kg用量、mg/Kg用量、またはモル/Kgおよびmg/Kg用量の両方)で哺乳動物に非経口投与される場合のナトリウム利尿ペプチドNPより高いレベルへと増加する。本明細書で使用される場合、付加誘導体は、等しいmg/Kg用量で与えた場合により低いモル/Kg用量を有することから、活性が同じmg/Kg用量で匹敵する場合、その付加誘導体は、その同じモル/Kg用量に対してより活性であると予測される。
【0012】
NPは、代表的には、生きている生物において天然に見出される親ナトリウム利尿ペプチドである。NPは、ヒトANP(配列番号1)、齧歯類ANP(配列番号19)、ヒトBNP(配列番号41)およびヒトANP(配列番号57)から選択され得る。
【0013】
一実施形態において、NPはヒトANP(配列番号1)である。
【0014】
一実施形態において、Bはリジンである。
【0015】
本開示に従う上記ナトリウム利尿ペプチド誘導体、または上記ナトリウム利尿ペプチド誘導体を含む組成物は、式(II)のナトリウム利尿ペプチド誘導体:
脂肪アシル-(B)-(G)-NP (II)、
を含み得、式中:
上記脂肪アシルは、12~24(例えば、12~18)個の炭素原子を有し;
Bは、リジンまたはアルギニンであり(例えば、Bはリジンである);
xは2~4であり;
Gはグリシンであり;
NPはナトリウム利尿ペプチドであり;
脂肪アシル-は、(B)のN末端に共有結合的に連結され;
脂肪アシル-(B)-は、(G)のN末端に共有結合的に連結され;そして
脂肪アシル-(B)-(G)-は、NPのN末端に共有結合的に連結される。
【0016】
哺乳動物に投与される場合、上記ナトリウム利尿ペプチド誘導体、または上記ナトリウム利尿ペプチド誘導体を含む組成物は、代表的には、血中cGMPを、等しい用量(例えば、モル/Kg用量、mg/Kg用量、またはモル/Kgおよびmg/Kg用量の両方)で投与される場合に対応する親NPより高いレベルに増加させる。
【0017】
一実施形態において、xは2である。一実施形態において、xは3である。一実施形態において、xは4である。
【0018】
いくつかの実施形態において、脂肪アシル-(B)x-(G)3-NPにおいて、x=4であり;NPは、必要に応じて配列番号1、19、41および57から選択される。例えば、いくつかの実施形態において、Bはリジンであり、NPは配列番号1である;Bはリジンであり、NPは配列番号19である;Bはリジンであり、NPは配列番号41である;かつ/またはBはリジンであり、NPは配列番号57である。
【0019】
いくつかの実施形態において、脂肪アシル-(B)x-(G)3-NPにおいて、x=3であり;NPは、必要に応じて配列番号1、19、41および57から選択される。例えば、いくつかの実施形態において、Bはリジンであり、NPは配列番号1である;Bはリジンであり、NPは配列番号19である;Bはリジンであり、NPは配列番号41である;かつ/またはBはリジンであり、NPは配列番号57である。
【0020】
いくつかの実施形態において、脂肪アシル-(B)x-(G)3-NPにおいて、x=2であり;NPは、必要に応じて配列番号1、19、41および57から選択される。例えば、いくつかの実施形態において、Bはリジンであり、NPは配列番号1である;Bはリジンであり、NPは配列番号19である;Bはリジンであり、NPは配列番号41である;かつ/またはBはリジンであり、NPは配列番号57である。
【0021】
いくつかの実施形態において、脂肪アシル-(B)x-(G)3-NPにおいて、x=1であり;NPは、必要に応じて配列番号1、19、41および57のいずれか1つから選択される。例えば、いくつかの実施形態において、Bはリジンであり、NPは配列番号1である;Bはリジンであり、NPは配列番号19である;Bはリジンであり、NPは配列番号41である;かつ/またはBはリジンであり、NPは配列番号57である。
【0022】
一実施形態において、脂肪アシルは、18個の炭素原子を含む。
【0023】
一実施形態において、-(B)-(G)-は、-KKGGG-、-KKKGGG-および-KKKKGGG-から選択される。
【0024】
一実施形態において、ナトリウムペプチド誘導体は、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号18、配列番号56、配列番号82、配列番号52、配列番号113、配列番号68、配列番号122および配列番号72のうちの1つにおいて規定されるとおりである;またはナトリウムペプチド誘導体を含む組成物は、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号18、配列番号56、配列番号82、配列番号52、配列番号113、配列番号68、配列番号122および配列番号72のうちの1つにおいて規定されるとおりのナトリウムペプチド誘導体を含む。
【0025】
一実施形態において、ナトリウムペプチド誘導体は、配列番号14、配列番号18、配列番号56、配列番号82、配列番号52、配列番号68、配列番号122および配列番号72のうちの1つにおいて規定されるとおりである;またはナトリウムペプチド誘導体を含む組成物は、配列番号14、配列番号18、配列番号56、配列番号82、配列番号52、配列番号68、配列番号122および配列番号72のうちの1つにおいて規定されるとおりのナトリウムペプチド誘導体を含む。
【0026】
一実施形態において、ナトリウムペプチド誘導体は、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号120、配列番号121および配列番号122のうちの1つにおいて規定されるとおりである;またはナトリウムペプチド誘導体を含む組成物は、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号120、配列番号121および配列番号122のうちの1つにおいて規定されるとおりのナトリウムペプチド誘導体を含む。
【0027】
一実施形態において、ナトリウムペプチド誘導体は、配列番号18、配列番号34、配列番号56および配列番号72のうちの1つにおいて規定されるとおりである;またはナトリウムペプチド誘導体を含む組成物は、配列番号18、配列番号34、配列番号56および配列番号72のうちの1つにおいて規定されるとおりのナトリウムペプチド誘導体を含む。
【0028】
一実施形態において、ナトリウムペプチド誘導体は、配列番号14、配列番号30、配列番号52および配列番号68のうちの1つにおいて規定されるとおりである;またはナトリウムペプチド誘導体を含む組成物は、配列番号14、配列番号30、配列番号52および配列番号68のうちの1つにおいて規定されるとおりのナトリウムペプチド誘導体を含む。
【0029】
一実施形態において、ナトリウムペプチド誘導体は、配列番号10、配列番号30、配列番号52および配列番号68のうちの1つにおいて規定されるとおりである;またはナトリウムペプチド誘導体を含む組成物は、配列番号10、配列番号30、配列番号52および配列番号68のうちの1つにおいて規定されるとおりのナトリウムペプチド誘導体を含む。
【0030】
一実施形態において、ナトリウムペプチド誘導体は、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号18、配列番号56および配列番号72のうちの1つにおいて規定されるとおりである;またはナトリウムペプチド誘導体を含む組成物は、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号18、配列番号56および配列番号72のうちの1つにおいて規定されるとおりのナトリウムペプチド誘導体を含む。
【0031】
一実施形態において、ナトリウムペプチド誘導体は、配列番号73、配列番号74、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号83、配列番号84および配列番号85のうちの1つにおいて規定されるとおりである;またはナトリウムペプチド誘導体を含む組成物は、配列番号73、配列番号74、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号83、配列番号84および配列番号85のうちの1つにおいて規定されるとおりのナトリウムペプチド誘導体を含む。
【0032】
一実施形態において、ナトリウムペプチド誘導体は、配列番号87~122のうちの1つにおいて規定されるとおりである;またはナトリウムペプチド誘導体を含む組成物は、配列番号87~122のうちの1つにおいて規定されるとおりのナトリウムペプチド誘導体を含む。
【0033】
本開示に従うナトリウム利尿ペプチド誘導体、または上記ナトリウム利尿ペプチド誘導体を含む組成物は、式(III)のナトリウム利尿ペプチド誘導体:
(B)-(G)-NP (III)、
を含み得、式中:
Bは、リジンまたはアルギニンであり(例えば、Bはリジンである);
xは0~4であり;
Gはグリシンであり;
yは1~3であり;
NPは、ナトリウム利尿ペプチドであり;そして
(B)-(G)-は、NPのN末端に共有結合的に連結される。
【0034】
哺乳動物に投与される場合、(B)-(G)-NP、またはナトリウム利尿ペプチド誘導体(B)-(G)-NPを含む組成物は、血中cGMPを、等しい用量(例えば、モル/Kg用量、mg/Kg用量、またはモル/Kgおよびmg/Kg用量の両方)で投与される場合に対応する親NPより高いレベルに増加させ得る。
【0035】
一実施形態において、xは0である。一実施形態において、xは1である。一実施形態において、xは2である。一実施形態において、xは3である。一実施形態において、xは4である。一実施形態において、yは1である。一実施形態において、yは2である。一実施形態において、yは3である。
【0036】
いくつかの実施形態において、(B)x-(G)-NPにおいて、x=0であり;yは必要に応じて1、2または3であり;NPは、必要に応じて配列番号1、19、41および57から選択される。例えば、NPは配列番号1を有する;NPは配列番号19を有する;NPは配列番号41;または配列番号57を有する。
【0037】
いくつかの実施形態において、(B)x-(G)-NPにおいて、y=3であり;Bは必要に応じてリジンであり、xは必要に応じて1、2、3または4であり;NPは、必要に応じて配列番号1、19、41および57から選択される。例えば、NPは配列番号1を有する;NPは配列番号19を有する;NPは配列番号41;または配列番号57を有する。
【0038】
一実施形態において、yは3である。
【0039】
一実施形態において、(B)x-(G)y-は、G-、GG-、GGG-、KGGG-およびKKKKGGG-から選択される。
【0040】
一実施形態において、ナトリウムペプチド誘導体は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号8および配列番号44のうちの1つにおいて規定されるとおりである;またはナトリウムペプチド誘導体を含む組成物は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号8および配列番号44のうちの1つにおいて規定されるとおりのナトリウムペプチド誘導体を含む。
【0041】
本開示は、本明細書で定義されるとおりのナトリウム利尿ペプチド誘導体および賦形剤を含む薬学的組成物をさらに提供する。
【0042】
上記薬学的組成物は、本開示に従う1またはこれより多くのナトリウム利尿ペプチド誘導体および賦形剤を含み得るか、これらから本質的になり得るか、またはこれらからなり得る。
【0043】
一実施形態において、上記薬学的組成物は、疾患の処置のためにcGMPを増加させるために、1.5mg/Kg 体重/日未満のナトリウム利尿ペプチド誘導体の用量での、または0.3mg/Kg 体重/日未満のナトリウム利尿ペプチド誘導体の用量での非経口投与のためのものである。いくつかの実施形態において、上記疾患は、高血圧症、血管鬱血、および心疾患から選択される。ある種の実施形態において、上記疾患は心疾患である。
【0044】
本開示はまた、疾患の処置における使用のための、本開示に従うナトリウム利尿ペプチド誘導体、または本開示に従うナトリウム利尿ペプチド誘導体を含む組成物を提供する。上記疾患は、高血圧症、血管鬱血、および心疾患から選択される。一実施形態において、上記疾患は心疾患である。
【0045】
一実施形態において、上記疾患の処置は、本開示に従うナトリウム利尿ペプチド誘導体、または本開示に従うナトリウム利尿ペプチド誘導体を含む組成物を、1.5mg/Kg
体重/日未満の用量で患者に非経口投与することを包含する。
【0046】
本開示は、患者において疾患を処置するための方法をさらに提供し、上記方法は、本開示に従うナトリウム利尿ペプチド誘導体、または本開示に従うナトリウム利尿ペプチド誘導体を含む組成物を上記患者に非経口投与することを包含する。
【0047】
上記方法は、本開示に従う1またはこれより多くのナトリウム利尿ペプチド誘導体を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる薬学的組成物を非経口投与することを包含し得る。
【0048】
上記ナトリウム利尿ペプチド誘導体、またはナトリウム利尿ペプチド誘導体を含む組成物は、上記患者において血中cGMPを増加させるために、1.5mg/Kg 体重/日未満の用量で、または0.3mg/Kg 体重/日未満の用量で非経口投与され得る。いくつかの実施形態において、上記疾患は、高血圧症、血管鬱血、および心疾患から選択される。ある種の実施形態において、上記疾患は心疾患である。
【0049】
本開示は、患者において血中cGMPを増加させるための方法をさらに提供し、上記方法は、その必要性のある上記患者に、本開示に従うナトリウム利尿ペプチド誘導体、または本開示に従うナトリウム利尿ペプチド誘導体を含む組成物を非経口投与することを包含する。
【0050】
上記ナトリウム利尿ペプチド誘導体、または上記ナトリウム利尿ペプチド誘導体を含む組成物は、1.5mg/Kg 体重/日未満の用量で、または0.3mg/Kg 体重/日未満の用量で、非経口投与され得る。
【0051】
本開示はまた、疾患を処置するための医薬の製造のための、本開示に従うナトリウム利尿ペプチド誘導体、または本開示に従うナトリウム利尿ペプチド誘導体を含む組成物の使用を提供する。上記疾患は、高血圧症、血管鬱血、および心疾患から選択され得る。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
式(I)のナトリウム利尿ペプチド誘導体、
(脂肪アシル)-(B)-(G)-NP (I)、
を含む組成物であって、式中:
zは1であり、xは2~4の整数であり、yは3であるか;または
zは0であり、xは0~4の整数であり、そしてyは1~3の整数であり;
脂肪アシルは、12~24(例えば、12~18)個の炭素原子を含み;
Bはリジンまたはアルギニンであり;
Gはグリシンであり;
NPはナトリウム利尿ペプチドであり;
存在する場合、(脂肪アシル)-は、(B)のN末端に共有結合的に連結され;
(脂肪アシル)-(B)-は、(G)のN末端に共有結合的に連結され;そして
(脂肪アシル)-(B)-(G)-は、NPのN末端に共有結合的に連結される、
組成物。
(項目2)
前記ナトリウム利尿ペプチド誘導体は、哺乳動物に非経口投与される場合の血中cGMPのレベルを、等しい用量(例えば、モル/Kg用量、mg/Kg用量、またはモル/Kgおよびmg/Kg用量の両方)で哺乳動物に非経口投与される場合の該ナトリウム利尿ペプチドNPより高いレベルへと増加する、項目1に記載の組成物。
(項目3)
NPは、ヒトANP(配列番号1)、齧歯類ANP(配列番号19)、ヒトBNP(配列番号41)およびヒトCNP(配列番号57)から選択される、項目1または2に記載の組成物。
(項目4)
NPはヒトANP(配列番号1)である、項目1~3のいずれか1項に記載の組成物。
(項目5)
NPは齧歯類ANP(配列番号19)である、項目1~3のいずれか1項に記載の組成物。
(項目6)
NPはヒトBNP(配列番号41)である、項目1~3のいずれか1項に記載の組成物。(項目7)
NPはヒトCNP(配列番号57)である、項目1~3のいずれか1項に記載の組成物。(項目8)
Bはリジンである、項目1~7のいずれか1項に記載の組成物。
(項目9)
前記ナトリウム利尿ペプチド誘導体は、式(II):
脂肪アシル-(B)-(G)-NP (II),
のものであり、式中:
該脂肪アシルは、12~24(例えば、12~18)個の炭素原子を含み;
Bはリジンまたはアルギニンであり;
xは2~4の整数であり;
Gはグリシンであり;
NPはナトリウム利尿ペプチドであり;
脂肪アシル-は、(B)のN末端に共有結合的に連結され;
脂肪アシル-(B)-は、(G)のN末端に共有結合的に連結され;そして
脂肪アシル-(B)-(G)-は、NPのN末端に共有結合的に連結される、
項目1~8のいずれか1項に記載の組成物。
(項目10)
xは2である、項目1~9のいずれか1項に記載の組成物。
(項目11)
xは3である、項目1~9のいずれか1項に記載の組成物。
(項目12)
xは4である、項目1~9のいずれか1項に記載の組成物。
(項目13)
脂肪アシルは、18個の炭素原子を含む、項目1~12のいずれか1項に記載の組成物。(項目14)
-(B)-(G)-は、-KKGGG-、-KKKGGG-および-KKKKGGG-から選択される、項目3~13のいずれか1項に記載の組成物。
(項目15)
ナトリウムペプチド誘導体は、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号18、配列番号56、配列番号82、配列番号52、配列番号113、配列番号68、配列番号122および配列番号72のうちの1つにおいて規定されるとおりである、項目3~14のいずれか1項に記載の組成物。
(項目16)
ナトリウムペプチド誘導体は、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号18、配列番号56および配列番号72のうちの1つにおいて規定されるとおりである、項目3~14のいずれか1項に記載の組成物。
(項目17)
ナトリウムペプチド誘導体は、配列番号14、配列番号18、配列番号56、配列番号82、配列番号52、配列番号68、配列番号122および配列番号72のうちの1つにおいて規定されるとおりである、項目3~14のいずれか1項に記載の組成物。
(項目18)
ナトリウムペプチド誘導体は、配列番号73、配列番号74、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号83、配列番号84および配列番号85のうちの1つにおいて規定されるとおりである、項目3~14のいずれか1項に記載の組成物。
(項目19)
ナトリウムペプチド誘導体は、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号120、配列番号121および配列番号122のうちの1つにおいて規定されるとおりである、項目3~14のいずれか1項に記載の組成物。
(項目20)
前記ナトリウム利尿ペプチド誘導体は、式(III):
(B)-(G)-NP (III)
のものであり、式中:
Bは、リジンまたはアルギニンであり;
xは0~4の整数であり;
Gはグリシンであり;
yは1~3の整数であり;
NPはナトリウム利尿ペプチドであり;そして
(B)-(G)-は、NPのN末端に共有結合的に連結される、
項目1~8のいずれか1項に記載の組成物。
(項目21)
xは0である、項目20に記載の組成物。
(項目22)
xは1である、項目20に記載の組成物。
(項目23)
xは2である、項目20に記載の組成物。
(項目24)
xは3である、項目20に記載の組成物。
(項目25)
xは4である、項目20に記載の組成物。
(項目26)
yは1である、項目20~25のいずれか1項に記載の組成物。
(項目27)
yは2である、項目20~25のいずれか1項に記載の組成物。
(項目28)
yは3である、項目20~25のいずれか1項に記載の組成物。
(項目29)
(B)-(G)-は、G-、GG-、GGG-、KGGG-およびKKKKGGG-から選択される、項目20に記載の組成物。
(項目30)
ナトリウム利尿ペプチド誘導体は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号8および配列番号44のうちの1つにおいて規定されるとおりである、項目20~29のいずれか1項に記載の組成物。
(項目31)
賦形剤をさらに含む、項目1~30のいずれか1項に記載の組成物。
(項目32)
疾患の処置における使用のための、項目1~31のいずれか1項に規定されるとおりの組成物。
(項目33)
前記疾患は、高血圧症、血管鬱血、および心疾患から選択される、項目32に記載の組成物。
(項目34)
前記疾患は心疾患である、項目33に記載の使用のための組成物。
(項目35)
前記疾患の処置は、1.5mg/Kg 体重/日未満の用量での前記ナトリウム利尿ペプチド誘導体を患者に非経口投与することを包含する、項目32~34のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
(項目36)
患者において疾患を処置するための方法であって、該方法は、該患者に、項目1~30のいずれか1項に記載の組成物を非経口投与することを包含する方法。
(項目37)
患者において血中cGMPを増加させるための方法であって、該方法は、該患者に、項目1~30のいずれか1項に記載の組成物を非経口投与することを包含する方法。
(項目38)
前記組成物は、1.5mg ナトリウム利尿ペプチド誘導体/Kg 体重/日未満の用量で前記患者に投与される、項目36または項目37に記載の方法。
(項目39)
前記組成物は、0.3mg ナトリウム利尿ペプチド誘導体/Kg 体重/日未満の用量で前記患者に投与される、項目38に記載の方法。
(項目40)
疾患を処置するための医薬の製造のための、項目1~30のいずれか1項に記載の組成物の使用。
(項目41)
前記疾患は、高血圧症、血管鬱血、および心疾患から選択される、項目40に記載の使用。
【発明を実施するための形態】
【0052】
詳細な説明
本開示は、天然のペプチド(例えば、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)または脳型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)またはC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP))と比較して、血中cGMPおよび/または細胞内cGMPをインビボで増加させる、予測外に優れた能力を有するナトリウム利尿ペプチド誘導体またはその組成物に関する。上記のように、ANP、BNP、およびCNPは、ジスルフィド結合の存在によって可能にされるそれらの活性に必要な環状構造を有するペプチドである。本開示のナトリウム利尿ペプチド誘導体はまた、環状構造を生じる分子内ジスルフィド結合を(2個のシステイン残基の間に)有し得る。その分子内ジスルフィド結合は、薄い溶液中で自発的に、または適切な酸化剤で形成し得る。その分子内ジスルフィド架橋形成は、HPLC/MS分析によって確認され得る。
【0053】
本明細書で使用される場合、その付加誘導体または拡張誘導体(expansion derivative)は、ペプチドの主要な骨格アミノ酸配列が同じままであるが、その主要なアミノ酸配列中の1もしくはこれより多くの反応性部分を使用する、その主要なアミノ酸配列への余分な官能基および/またはアミノ酸の付加が、その付加誘導体またはその拡張誘導体を提供するペプチド誘導体をいう。その付加誘導体または拡張誘導体は、短縮および/または置換ペプチド誘導体であって、ここでそのペプチドの主要な骨格アミノ酸配列における1もしくはこれより多くのアミノ酸が、それぞれ、除去されている、ならびに/または種々の官能基および/もしくはアミノ酸によって置換されている短縮および/または置換ペプチド誘導体とは異なる。
【0054】
ペプチドのアミノ酸配列の変換(alteration)は、それらの生物学的活性に対して推測不能な結果を有し得、ペプチド活性を保存する変換は、自明でなくかつ推測不能であると考えられる。本開示は、天然に存在するナトリウム利尿ペプチド(NP)の特定の構造的な変換を記載する。本明細書で使用される場合、天然に存在するナトリウム利尿ペプチドは、「親ペプチド」または「親NP」として全体にわたって言及され、その非限定的な例は、配列番号1(ヒトANP)、19(齧歯類ANP)、41(ヒトBNP)、および57(ヒトCNP)である。簡潔には、親NPの特定の変換は、インビボでその親NPと比較して、血中cGMP応答によって測定される場合に、驚くほど予測外の増強または増加した効力をもたらした一方で、他の変換は、活性の喪失をもたらした。
【0055】
本明細書で使用される場合、用語「効力(potency)」とは、等しい用量でのその親の天然のペプチドと比較して、ボーラス投与直後(0~2時間)での血中cGMPの増加をいう。
【0056】
本明細書で使用される場合、用語「見かけ上のレセプター枯渇」とは、「レセプター枯渇」と同義であり、そのペプチドが後の時間(すなわち、6時間以降)に上昇した血中cGMPとして認められる「持続した効果」を有する能力の喪失に言及する。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語「持続した効果」とは、「持続したcGMPの上昇」と同義であり、ナトリウム利尿ペプチドが、そのペプチドの単一のボーラス投与後に少なくとも6時間にわたって上昇した血中cGMPレベルを維持する能力に言及する。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「から本質的になる(consisting essentially of)」または
「から本質的になる(consists essentially of)」とは、記載された構成要素および他の構成要素を含むが、ただし他の構成要素が、組成物の必須の特徴(例えば、バイオアベイラビリティー、薬物動態、毒性、および/または活性成分の活性の抑制を誘導する)に本質的に影響を及ぼさない組成物に言及する。
【0059】
本明細書で使用される場合、寸法、測定値、継続時間、量などを記載する場合に、用語「約」は、±5%の起こり得る差異を示す。
【0060】
本明細書で使用される場合、用語「脂肪アシル」とは、飽和および不飽和脂肪酸を含む脂肪酸に由来する任意のアシル基をいう。例えば、不飽和脂肪酸に由来する代表的な脂肪アシル基は、式H2a-b(C)(O)-を有し、ここで「a」は、12~24(例えば、14~24、16~24、18~24、20~24、22~24、12~22、12~20、12~18、12~16、12~14、12、14、16、18、20、22、または24)であり得、「b」は、1、3、5、または7(例えば、1、3、もしくは5;1もしくは3;または1)であり得る。この式は、飽和した分枝状および非分枝状の脂肪酸、ならびに不飽和レベルがなし(すなわち、b=1)から3である(すなわち、脂肪酸炭素鎖が1個の二重結合を有する場合にbは3であり、脂肪酸炭素鎖が2個の二重結合を含む場合にはbは5であり、そして脂肪酸炭素鎖が3個の二重結合を含む場合にはbは7である)脂肪酸に由来する脂肪アシルを表す。例えば、式(I)のナトリウム利尿ペプチド誘導体は、式H2a-b(C)(O)-(B)-(G)-NPを有し、ここで「a」は12~24であり、「b」は1、3、5、または7であり得る。いくつかの実施形態において、飽和脂肪酸に由来する代表的な脂肪アシル基は、12~24個の炭素原子(すなわち、nが10~22の整数である場合)を含む式CH(CHC(O)-を有する。例として、式(I)のナトリウム利尿ペプチド誘導体は、式CH(CHC(O)-(B)-(G)-NPのものであり、ここでnは10~22(例えば、12~22、14~22、16~22、18~22、20~22、10~20、10~18、10~16、10~14、10~12、10、12、14、16、18、20、または22)である。いくつかの実施形態において、nは、10~14、12~16、14~18、16~20、18~22、または14~16である。いくつかの実施形態において、脂肪アシルは、12または18個の炭素原子を含む(すなわち、nは10または16である)。ある種の実施形態において、脂肪アシルは、14または20個の炭素原子を含む(すなわち、nは12または18である)。ある種の実施形態において、脂肪アシルは、16または22個の炭素原子を含む(すなわち、nは14または20である)。ある種の実施形態において、脂肪アシルは、18または24個の炭素原子を含む(すなわち、nは16または22である)。
【0061】
本明細書では、開示される配列すべてにおける文字は、天然に存在するアミノ酸に関する従来の一文字アミノ酸コードを表し、ここで大文字のコードは、Lアミノ酸を示し、小文字のコードはD-アミノ酸を示す。例えば、グリシンはGによって表され得、リジンはKによって表され得、アルギニンはRによって表され得る。
【0062】
0.7という指数(exponent)でのアロメトリックスケーリング(すなわち、他の種における用量=マウス用量/((マウス体重/平均的な他の種の体重)0.7))を使用することによって、マウスにおける15mg/Kgは、約7.5mg/Kg ラット用量、約2.5mg/Kg イヌ用量、および1.5mg/Kg ヒト用量に等価である。本明細書で使用される場合、関連データ例で表されるとおりのマウス用量における15mg/Kgは、約7.5mg/Kg ラット用量に等価であると理解される、これは、約2.5mg/Kg イヌ用量に等価であり、これは、約1.5mg/Kg ヒト用量に等価である。要旨および請求項におけるこの1.5mg/Kgおよび0.3mg/Kg 用量は、別段示されなければ、ヒト用量として解釈される。
【0063】
組成物
本開示は、本明細書で定義されるように、式(I)のナトリウム利尿ペプチド誘導体、またはその組成物を提供する。
【0064】
一実施形態において、式(I)において、zは1であり、xは3または4であり、yは3であり、そしてBはリジンである。式(I)において、NPはヒトANP(配列番号1)であり得る。式(I)において、脂肪アシルは、12個、18個、20個、22個または24個の炭素原子を含み得る。
【0065】
本開示は、本明細書で定義されるとおりの式(II)のナトリウム利尿ペプチド誘導体を提供する。
【0066】
一実施形態において、式(II)において、xは2、3または4であり、そしてBはリジンである。式(II)において、NPはヒトANP(配列番号1)であり得る。式(II)において、脂肪アシルは、12個または18個の炭素原子を含み得る。あるいは、脂肪アシルは、14個または18個の炭素原子、16~18個の炭素原子、または20個もしくは24個の炭素原子を含み得る。
【0067】
一実施形態において、そのナトリウム利尿ペプチド誘導体は、式 脂肪アシル-(B)-(G)-NPのナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体であり、式中:
その脂肪アシルは、12~24(例えば、12~18)個の炭素原子を有し;
Bはリジンまたはアルギニンであり(例えば、Bはリジンである);
xは2~4であり;
Gはグリシンであり;
NPは、生きている生物において天然に見出される親ナトリウム利尿ペプチドであり;
脂肪アシル-は、(B)のN末端に共有結合的に連結され;
脂肪アシル-(B)-は、(G)のN末端に共有結合的に連結され;
脂肪アシル-(B)-(G)-は、NPのN末端に共有結合的に連結され;そして
哺乳動物に投与される場合、そのナトリウム利尿ペプチド誘導体は、血中cGMPを、等しい用量(例えば、モル/Kg用量、mg/Kg用量、またはモル/Kgおよびmg/Kg用量の両方)で投与される場合の対応する親NPより高いレベルへと増加させる。
【0068】
いくつかの実施形態において、式、脂肪アシル-(B)x-(G)3-NPにおいて、x=4であり;NPは、必要に応じて配列番号1、19、41および57から選択される。例えば、いくつかの実施形態において、Bはリジンであり、NPは配列番号1である;Bはリジンであり、NPは配列番号19である;Bはリジンであり、NPは配列番号41である;かつ/またはBはリジンであり、NPは配列番号57である。
【0069】
いくつかの実施形態において、式、脂肪アシル-(B)x-(G)3-NPにおいて、x=3であり;NPは、必要に応じて配列番号1、19、41および57から選択される。例えば、いくつかの実施形態において、Bはリジンであり、NPは配列番号1である;Bはリジンであり、NPは配列番号19である;Bはリジンであり、NPは配列番号41である;かつ/またはBはリジンであり、NPは配列番号57である。
【0070】
いくつかの実施形態において、式、脂肪アシル-(B)x-(G)3-NPにおいて、x=2であり;NPは、必要に応じて配列番号1、19、41および57から選択される。例えば、いくつかの実施形態において、Bはリジンであり、NPは配列番号1である;Bはリジンであり、NPは配列番号19である;Bはリジンであり、NPは配列番号41である;かつ/またはBはリジンであり、NPは配列番号57である。
【0071】
いくつかの実施形態において、式、脂肪アシル-(B)x-(G)3-NPにおいて、x=1であり;NPは、必要に応じて配列番号1、19、41および57のいずれか1つから選択される。例えば、いくつかの実施形態において、Bはリジンであり、NPは配列番号1である;Bはリジンであり、NPは配列番号19である;Bはリジンであり、NPは配列番号41である;かつ/またはBはリジンであり、NPは配列番号57である。
【0072】
本開示は、本明細書で定義されるとおりの式(III)のナトリウム利尿ペプチド誘導体を提供する。
【0073】
一実施形態において、式(III)において、xは0、1、2、3または4であり、Bはリジンである。例えば、式(III)において、xは2~4、例えば、3であり得る。式(III)において、NPはヒトANP(配列番号1)であり得る。
【0074】
一実施形態において、そのナトリウム利尿ペプチド誘導体は、式(B)-(G)-NPのナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体であり、式中:
Bはリジンまたはアルギニンであり(例えば、Bはリジンである);
xは0~4であり;
Gはグリシンであり;
yは1~3であり;
NPは、生きている生物において天然に見出される親ナトリウム利尿ペプチドであり;
(B)-(G)-は、NPのN末端に共有結合的に連結され;そして
哺乳動物に投与される場合、(B)-(G)-NPは、血中cGMPを、等しい用量(例えば、モル/Kg用量、mg/Kg用量、またはモル/Kgおよびmg/Kg用量の両方)で投与される場合の対応する親NPより高いレベルへと増加させる。
【0075】
いくつかの実施形態において、式、(B)x-(G)y-NPにおいて、x=0であり;yは、必要に応じて1、2または3であり;NPは、必要に応じて配列番号1、19、41および57から選択される。例えば、NPは配列番号1を有する;NPは配列番号19を有する;NPは配列番号41;または配列番号57を有する。
【0076】
いくつかの実施形態において、式、(B)x-(G)-NPにおいて、y=3であり;Bは、必要に応じてリジンであり、xは、必要に応じて1、2、3または4であり;NPは、必要に応じて配列番号1、19、41および57から選択される。例えば、NPは配列番号1を有する;NPは配列番号19を有する;NPは配列番号41;または配列番号57を有する。
【0077】
いくつかの実施形態において、Bがリジンまたはアルギニンである場合、(B)xにおける各「B」は、同じであっても異なっていてもよい。例えば、(B)xは、K、R、RR、KK、KR、RK、RRR、KKK、KRR、RKR、RRK、KKR、KRK、RKK、RRRR、KKKK、KRRR、RKRR、RRKR、RRRK、KKRR、RKKR、RRKK、KRRK、KKKR、RKKK、KRKK、KKRK、KKKR、RRRR、またはKKKKであり得る。
【0078】
いくつかの実施形態において、本開示に従うナトリウムペプチド誘導体は、配列番号2~18、20~34、42~56および58~72のうちのいずれか1つにおいて規定されるとおりであるナトリウムペプチド誘導体であり得る。
【0079】
いくつかの実施形態において、本開示に従うナトリウムペプチド誘導体は、配列番号73~86、87~95、96~104、105~113および114~122のうちのいずれか1つにおいて規定されるとおりであるナトリウムペプチド誘導体であり得る。
【0080】
一実施形態において、ナトリウムペプチド誘導体は、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号18、配列番号56および配列番号72のうちの1つにおいて規定されるとおりである。
【0081】
一実施形態において、ナトリウムペプチド誘導体は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号8および配列番号44のうちの1つにおいて規定されるとおりである。
【0082】
いくつかの実施形態において、式 脂肪アシル-(B)-(G)-NPまたは(B)-(G)-NPを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、式X-ペプチドによって一般的に表され得る。
【0083】
一局面において、式X-ペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体、またはその組成物が本明細書で提供され、ここでそのペプチド部分は、(a)ANP、(b)BNP、および(c)CNPから選択され;そしてXは、そのペプチド部分のN末端に結合した、G、GG、GGG、BGGG、BBGGG、BBBGGG、およびBBBBGGGから選択される。いくつかの実施形態において、式X-ペプチドのナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体では、そのペプチド部分は、(a)ANP、(b)BNP、および(c)CNPから選択され、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合した、GG、GGG、BGGG、BBGGG、BBBGGG、およびBBBBGGGから選択される。いくつかの実施形態において、式X-ペプチドのナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体では、そのペプチド部分は、(a)ANP、(b)BNP、および(c)CNPから選択され、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合した、GGG、BGGG、BBGGG、BBBGGG、およびBBBBGGGから選択される。いくつかの実施形態において、式X-ペプチドのナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体において、そのペプチド部分は、(a)ANP、(b)BNP、および(c)CNPから選択され、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合した、BGGG、BBGGG、BBBGGG、およびBBBBGGGから選択される。いくつかの実施形態において、式X-ペプチドのナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体では、そのペプチド部分は、(a)ANP、(b)BNP、および(c)CNPから選択され、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合した、BBGGG、BBBGGG、およびBBBBGGGから選択される。いくつかの実施形態において、式X-ペプチドのナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体では、そのペプチド部分は、(a)ANP、(b)BNP、および(c)CNPから選択され、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合した、BBBGGGおよびBBBBGGGから選択される。いくつかの実施形態において、式X-ペプチドのナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体では、そのペプチド部分は、(a)ANP、(b)BNP、および(c)CNPから選択され、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合したBBBBGGGである。式X-ペプチドのナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体に関する上述の実施形態において、文字Gはグリシンであり、Bはリジンまたはアルギニンである。いくつかの実施形態において、式X-ペプチドのナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体に関する上述の実施形態のうちのいずれかにおいて、文字Gはグリシンであり、Bはリジンである(例えば、配列ID番号5~8、21~26、45~48、および61~64を参照のこと)。式X-ペプチドのナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、それらの親ナトリウム利尿ペプチド(ANP、BNP、またはCNP)に類似かまたはこれより高いレベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させ得る。いくつかの実施形態において、式X-ペプチドのナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、それらの親ナトリウム利尿ペプチド(ANP、BNP、またはCNP)より高いレベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、BNP、およびCNPは、脊椎動物において天然に見出されるか、またはより具体的には、哺乳動物ナトリウム利尿ペプチドにおいて見出される配列(例えば、配列番号1、19、41、または57)を有し得る。
【0084】
別の局面において、式X-ペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体、またはその組成物が本明細書で提供され、ここでそのペプチド部分は、(a)ANP、(b)BNP、および(c)CNPから選択され;そしてXは、そのペプチド部分のN末端に結合した、CH(CH10COKKKKGGG、CH(CH12COKKKKGGG、CH(CH14COKKKKGGGおよびCH(CH16COKKKKGGGから選択される。いくつかの実施形態において、式X-ペプチドのナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体では、そのペプチド部分は、(a)ANP、(b)BNP、および(c)CNPから選択され、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合した、CH(CH10COKKKKGGGおよびCH(CH16COKKKKGGGから選択される。いくつかの実施形態において、式X-ペプチドのナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体では、そのペプチド部分は、(a)ANP、(b)BNP、および(c)CNPから選択され、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合した、CH(CH16COKKKKGGGである。式X-ペプチドのナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体に関する上述の実施形態において、文字Gはグリシンであり、Kはリジンであり、CH(CH[10、12、14、または16]CO基は、アルキルカルボニルの標準的化学式であり、下付文字[10、12、14、または16]は、アルキル鎖におけるCH基の数を表す。式X-ペプチドのナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、それらの親ナトリウム利尿ペプチド(ANP、BNP、またはCNP)に類似かまたはこれより高いレベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させ得る。いくつかの実施形態において、式X-ペプチドのナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、それらの親ナトリウム利尿ペプチド(ANP、BNP、またはCNP)より高いレベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、BNP、およびCNPは、脊椎動物において天然に見出されるか、またはより具体的には、哺乳動物ナトリウム利尿ペプチドにおいて見出される配列(例えば、配列番号1、19、41、または57)を有し得る。
【0085】
なお別の局面において、式X-ペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体、またはその組成物が本明細書で提供され、ここでそのペプチド部分は、(a)ANP、(b)BNP、および(c)CNPから選択され;そしてXは、そのペプチド部分のN末端に結合した、CH(CH10CORRRRGGG、CH(CH12CORRRRGGG、CH(CH14CORRRRGGGおよびCH(CH16CORRRRGGGから選択される。いくつかの実施形態において、式X-ペプチドのナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体では、そのペプチド部分は、(a)ANP、(b)BNP、および(c)CNPから選択され、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合した、CH(CH10CORRRRGGGおよびCH(CH16CORRRRGGGから選択される。いくつかの実施形態において、式X-ペプチドのナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体では、そのペプチド部分は、(a)ANP、(b)BNP、および(c)CNPから選択され、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CH16CORRRRGGGである。式X-ペプチドのナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体に関する上述の実施形態において、文字Gはグリシンであり、Rはアルギニンであり、CH(CH[10、12、14、または16]CO基は、アルキルカルボニルの標準的化学式であり、[10、12、14、または16]は、アルキル鎖におけるCH基の数を表す。式X-ペプチドのナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、それらの親ナトリウム利尿ペプチド(ANP、BNP、またはCNP)に類似かまたはこれより高いレベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させ得る。いくつかの実施形態において、式X-ペプチドのナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、それらの親ナトリウム利尿ペプチド(ANP、BNP、またはCNP)より高いレベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、BNP、およびCNPは、脊椎動物において天然に見出されるか、またはより具体的には、哺乳動物ナトリウム利尿ペプチドにおいて見出される配列(例えば、配列番号1、19、41、または57)を有し得る。
【0086】
いくつかの実施形態において、式X-ペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体;または式X-ペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体を含むか、これから本質的になるか、もしくはこれからなる組成物が本明細書で提供され;ここでそのペプチド部分は、ANP、BNP、またはCNPであり;Xはそのペプチド部分のN末端に結合したGG(G=グリシン)である。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はANPである。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はBNPである。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はCNPである。そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドに類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させ得る。例えば、そのX-ペプチドが配列番号3である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、SLRRSSCFGGRMDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号1)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。別の例として、そのX-ペプチドは配列番号21であり、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、SLRRSSCFGGRIDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号1)に類似かまたはこれより高いレベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。例として、そのX-ペプチドが配列番号43である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるBNP、SPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCKVLRRH(配列番号41)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。例として、そのX-ペプチドが配列番号59である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるCNP、GLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号57)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。
【0087】
いくつかの実施形態において、式X-ペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体;または式X-ペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体を含むか、これから本質的になるか、もしくはこれからなる組成物が本明細書で提供され;ここでそのペプチド部分は、ANP、BNP、またはCNPであり;Xはそのペプチド部分のN末端に結合したG(グリシン)である。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はANPである。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はBNPである。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はCNPである。そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドに類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させ得る。例として、そのX-ペプチドが配列番号2である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、SLRRSSCFGGRMDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号1)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。別の例として、そのX-ペプチドが配列番号20である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、SLRRSSCFGGRIDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号19)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。例として、そのX-ペプチドが配列番号42である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるBNP、SPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCKVLRRH(配列番号41)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。例として、そのX-ペプチドが配列番号58である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるCNP、GLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号57)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。
【0088】
いくつかの実施形態において、式X-ペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体;または式X-ペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体を含むか、これから本質的になるか、もしくはこれからなる組成物が本明細書で提供され;ここでそのペプチド部分は、ANP、BNP、またはCNPであり;Xはそのペプチド部分のN末端に結合したGGG(G=グリシン)である。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はBNPである。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はCNPである。そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドに類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させ得る。例として、そのX-ペプチドが配列番号4である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、SLRRSSCFGGRMDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号1)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。ある例として、そのX-ペプチドが配列番号22である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、SLRRSSCFGGRIDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号19)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。例として、そのX-ペプチドが配列番号44である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるBNP、SPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCKVLRRH(配列番号41)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。別の例として、そのX-ペプチドが配列番号60である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるCNP、GLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号57)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。
【0089】
いくつかの実施形態において、式X-ペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体;または式X-ペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体を含むか、これから本質的になるか、もしくはこれからなる組成物が本明細書で提供され;ここでそのペプチド部分は、ANP、BNP、またはCNPであり;Xはそのペプチド部分のN末端に結合したKGGG(K=リジン、G=グリシン)である。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はBNPである。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はCNPである。そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドに類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させ得る。例として、そのX-ペプチドが配列番号5である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、SLRRSSCFGGRMDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号1)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。例として、そのX-ペプチドが配列番号23である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、SLRRSSCFGGRIDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号19)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。例として、そのX-ペプチドが配列番号45である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるBNP、SPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCKVLRRH(配列番号41)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。別の例として、例として、そのX-ペプチドが配列番号61である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるCNP、GLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号57)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。
【0090】
いくつかの実施形態において、式X-ペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体;または式X-ペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体を含むか、これから本質的になるか、もしくはこれからなる組成物が本明細書で提供され;ここでそのペプチド部分は、ANP、BNP、またはCNPであり;Xはそのペプチド部分のN末端に結合したKKGGG(K=リジン、G=グリシン)であ
る。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はANPである。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はBNPである。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はCNPである。そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドに類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させ得る。例として、そのX-ペプチドが配列番号6である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、SLRRSSCFGGRMDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号1)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。例として、そのX-ペプチドが配列番号24である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、SLRRSSCFGGRIDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号19)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。例として、そのX-ペプチドが配列番号46である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるBNP、SPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCKVLRRH(配列番号41)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。別の例として、そのX-ペプチドが配列番号62である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるCNP、GLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号57)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。
【0091】
いくつかの実施形態において、式X-ペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体;または式X-ペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体を含むか、これから本質的になるか、もしくはこれからなる組成物が本明細書で提供され;ここでそのペプチド部分は、ANP、BNP、またはCNPであり;Xはそのペプチド部分のN末端に結合したKKKGGG(K=リジン、G=グリシン)である。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はANPである。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はBNPである。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はCNPである。そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドに類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させ得る。例として、そのX-ペプチドが配列番号7である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるSLRRSSCFGGRMDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号1)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。別の例として、そのX-ペプチドが配列番号25である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、SLRRSSCFGGRIDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号19)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。なお別の例として、そのX-ペプチドが配列番号47である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるBNP、SPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCKVLRRH(配列番号41)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。例として、そのX-ペプチドが配列番号63である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるCNP、GLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号57)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。
【0092】
いくつかの実施形態において、式X-ペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体;または式X-ペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体を含むか、これから本質的になるか、もしくはこれからなる組成物が本明細書で提供され;ここでそのペプチド部分は、ANP、BNP、またはCNPであり;Xはそのペプチド部分のN末端に結合したKKKKGGG(K=リジン、G=グリシン)で
ある。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はANPである。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はBNPである。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はCNPである。そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドに類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させ得る。例として、そのX-ペプチドが配列番号8である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、SLRRSSCFGGRMDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号1)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。別の例として、そのX-ペプチドが配列番号26である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、SLRRSSCFGGRIDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号19)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。なお別の例として、そのX-ペプチドが配列番号48である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるBNP、SPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCKVLRRH(配列番号41)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。別の例として、そのX-ペプチドが配列番号64である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるCNP、GLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号57)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。
【0093】
いくつかの実施形態において、式X-ペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体;または式X-ペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体を含むか、これから本質的になるか、もしくはこれからなる組成物が本明細書で提供され;ここでそのペプチド部分は、ANP、BNP、またはCNPであり;そしてXは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CHCOKKGGGである(K=リジン、G=グリシンであり、CH(CHCOは、アルキルカルボニルの標準的化学式を表し、ここでpは10~22(例えば、または10~16)であり、アルキル鎖における反復するCH基の数を表す)。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分は、ANPまたはBNPである。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はANPである。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はBNPである。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はCNPである。そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドに類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させ得る。いくつかの実施形態において、ANPは、SLRRSSCFGGRMDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号1)であり、ナトリウム利尿ペプチドのいくつかの代表的なcGMPを増強する誘導体は、配列番号9、10、73および74である。例として、そのX-ペプチドが配列番号9(ペプチド部分はANPであり、そしてXは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CH10COKKGGGである)である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、SLRRSSCFGGRMDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号1)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。例として、そのX-ペプチドが配列番号10(ペプチド部分はANPであり、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CH16COKKGGGである)である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、SLRRSSCFGGRMDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号1)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。いくつかの実施形態において、その親ナトリウム利尿ペプチドは、ANP、SLRRSSCFGGRIDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号19)であり、ナトリウム利尿ペプチドのいくつかの代表的なcGMPを増強する誘導体は、配列番号75~78である。例として、そのX-ペプチドが配列番号75(ペプチド部分はANPであり、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CH10COKKGGGである)である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、SLRRSSCFGGRIDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号19)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。別の例として、そのX-ペプチドが配列番号78(ペプチド部分はANPであり、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CH16COKKGGGである)である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、SLRRSSCFGGRIDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号19)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。いくつかの実施形態において、その親ナトリウム利尿ペプチドは、BNP、SPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCKVLRRH(配列番号41)であり、ナトリウム利尿ペプチドのいくつかの代表的なcGMPを増強する誘導体は、配列番号79~82である。例として、そのX-ペプチドが配列番号79(ペプチド部分はBNPであり、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CH10COKKGGGである)である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるBNP、SPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCKVLRRH(配列番号41)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。別の例として、そのX-ペプチドが配列番号82(ペプチド部分はBNPであり、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CH16COKKGGGである)である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるBNP、SPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCKVLRRH(配列番号41)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。
【0094】
いくつかの実施形態において、式X-ペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体;または式X-ペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体を含むか、これから本質的になるか、もしくはこれからなる組成物が本明細書で提供され;ここでそのペプチド部分は、ANP、BNP、またはCNPであり;そしてXは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CHCOKKKGGGである(K=リジン、G=グリシン、CH(CHCO基は、アルキルカルボニルの標準的化学式であり、ここでpは10~22(例えば、または10~16)であり、アルキル鎖における反復するCH基の数を表す)。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分は、ANPまたはBNPである。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はANPである。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はBNPである。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はCNPである。そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドに類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させ得る。いくつかの実施形態において、その親ナトリウム利尿ペプチドは、配列 GLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号57)を有するCNPであり、ナトリウム利尿ペプチドのいくつかの代表的なcGMPを増強する誘導体は、配列番号83~85である。例として、そのX-ペプチドが配列番号83(ペプチド部分はCNPであり、そしてXは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CH10COKKKGGGである)である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるCNP、GLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号57)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。別の例として、そのX-ペプチドが配列番号85(ペプチド部分はCNPであり、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CH16COKKKGGGである)である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるCNP、GLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号57)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。いくつかの実施形態において、その親ナトリウム利尿ペプチドは、配列 SLRRSSCFGGRMDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号1)を有するANPであり、ナトリウム利尿ペプチドのいくつかの代表的なcGMPを増強する誘導体は、配列番号11~14である。例として、そのX-ペプチドが配列番号11(ペプチド部分はANPであり、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CH10COKKKGGGである)である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、SLRRSSCFGGRMDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号1)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。例として、そのX-ペプチドが配列番号14(ペプチド部分はANPであり、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CH16COKKKGGGである)である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、SLRRSSCFGGRMDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号1)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。いくつかの実施形態において、その親ナトリウム利尿ペプチドは、配列 SLRRSSCFGGRIDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号19)を有するANPであり、ナトリウム利尿ペプチドのいくつかの代表的なcGMPを増強する誘導体は、配列番号27~30である。例として、そのX-ペプチドが配列番号27(ペプチド部分はANPであり、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CH10COKKKGGGである)である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、SLRRSSCFGGRIDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号19)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。例として、そのX-ペプチドが配列番号30(ペプチド部分はANPであり、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CH16COKKKGGGである)である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、SLRRSSCFGGRIDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号19)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。いくつかの実施形態において、その親ナトリウム利尿ペプチドは、配列 SPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCKVLRRH(配列番号41)を有するBNPであり、ナトリウム利尿ペプチドのいくつかの代表的なcGMPを増強する誘導体は、配列番号49~52である。例として、そのX-ペプチドが配列番号49(ペプチド部分はBNPであり、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CH10COKKKGGGである)である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるBNP、SPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCKVLRRH(配列番号41)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。例として、そのX-ペプチドが配列番号52(ペプチド部分はBNPであり、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CH16COKKKGGGである)である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるBNP、SPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCKVLRRH(配列番号41)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。いくつかの実施形態において、その親ナトリウム利尿ペプチドは、配列 GLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号57)を有するCNPであり、ナトリウム利尿ペプチドのいくつかの代表的なcGMPを増強する誘導体は、配列番号65~68である。例として、そのX-ペプチドが配列番号65(ペプチド部分はCNPであり、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CH10COKKKGGGである)である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるCNP、GLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号57)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。例として、そのX-ペプチドが配列番号68(ペプチド部分はCNPであり、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CH16COKKKGGGである)である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるCNP、GLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号57)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。
【0095】
いくつかの実施形態において、式X-ペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体;または式X-ペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体を含むか、これから本質的になるか、もしくはこれからなる組成物が本明細書で提供され;ここでそのペプチド部分は、ANP、BNP、またはCNPであり;そしてXは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CHCOKKKKGGGである(K=リジン、G=グリシン、CH(CHCO基は、アルキルカルボニルの標準的化学式であり、ここでpは10~22(例えば、または10~16)であり、アルキル鎖における反復するCH基の数を表す)。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分は、ANPまたはBNPである。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はANPである。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はBNPである。いくつかの実施形態において、そのペプチド部分はCNPである。そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドに類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させ得る。いくつかの実施形態において、その親ナトリウム利尿ペプチドは、配列 SLRRSSCFGGRMDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号1)を有するANPであり、ナトリウム利尿ペプチドのいくつかの代表的なcGMPを増強する誘導体は、配列番号15~18である。例として、そのX-ペプチドが配列番号15(ペプチド部分はANPであり、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CH10COKKKKGGGである)である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、SLRRSSCFGGRMDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号1)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。例として、そのX-ペプチドが配列番号18(ペプチド部分はANPであり、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CH16COKKKKGGGである)である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、SLRRSSCFGGRMDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号1)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。いくつかの実施形態において、その親ナトリウム利尿ペプチドは、配列 SLRRSSCFGGRIDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号19)を有するANPであり、ナトリウム利尿ペプチドのいくつかの代表的なcGMPを増強する誘導体は、配列番号31~34である。例として、そのX-ペプチドが配列番号31(ペプチド部分はANPであり、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CH10COKKKKGGGである)である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、SLRRSSCFGGRIDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号19)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。例として、そのX-ペプチドが配列番号34(ペプチド部分はANPであり、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CH16COKKKKGGGである)である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるANP、SLRRSSCFGGRIDRIGAQSGLGCNSFRY(配列番号19)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。いくつかの実施形態において、その親ナトリウム利尿ペプチドは、配列 SPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCKVLRRH(配列番号41)を有するBNPであり、ナトリウム利尿ペプチドのいくつかの代表的なcGMPを増強する誘導体は、配列番号53~56である。例として、そのX-ペプチドが配列番号53(ペプチド部分はBNPであり、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CH10COKKKKGGGである)である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるBNP、SPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCKVLRRH(配列番号41)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。例として、そのX-ペプチドが配列番号56(ペプチド部分はBNPであり、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CH16COKKKKGGGである)である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるBNP、SPKMVQGSGCFGRKMDRISSSSGLGCKVLRRH(配列番号41)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。いくつかの実施形態において、その親ナトリウム利尿ペプチドは、配列 GLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号57)を有するCNPであり、ナトリウム利尿ペプチドのいくつかの代表的なcGMPを増強する誘導体は、配列番号69~72である。例として、そのX-ペプチドが配列番号69(ペプチド部分はCNPであり、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CH10COKKKKGGGである)である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるCNP、GLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号57)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。例として、そのX-ペプチドが配列番号72(ペプチド部分はCNPであり、Xは、そのペプチド部分のN末端に結合したCH(CH16COKKKKGGGである)である場合、そのX-ペプチドは、その親ナトリウム利尿ペプチドであるCNP、GLSKGCFGLKLDRIGSMSGLGC(配列番号57)に類似かまたはこれより高い(例えば、より高い)レベルに、哺乳動物における投与後の血中cGMPのレベルを増加させる。
【0096】
薬学的組成物および使用方法
本開示は、本開示に従うナトリウム利尿ペプチドおよび賦形剤を含む薬学的組成物を提供する。その薬学的組成物は、疾患の処置のためにcGMPを増加させるために、1.5mg/Kg 体重/日未満のナトリウム利尿ペプチド誘導体の用量での、または0.3mg/Kg 体重/日未満のナトリウム利尿ペプチド誘導体の用量での非経口投与のために、上記の1またはこれより多くのナトリウム利尿ペプチド誘導体および賦形剤を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる薬学的組成物であり得る。
【0097】
いくつかの実施形態において、ナトリウム利尿ペプチド誘導体の用量は、0.0001mg/Kg 体重/日を超える。例えば、ナトリウム利尿ペプチド誘導体の用量は、0.0001mg/Kg 体重/日を超え得る、および/または1.5mg/Kg 体重/日未満であり得る。いくつかの実施形態において、ナトリウム利尿ペプチド誘導体の用量は、0.0001mg/Kg 体重/日を超える、および/もしくは1.0mg/Kg 体重/日未満であるか、または0.0001mg/Kg 体重/日を超える、および/もしくは0.5mg/Kg 体重/日未満である。いくつかの実施形態において、ナトリウム利尿ペプチド誘導体の用量は、0.0001mg/Kg 体重/日を超える、および/または0.3mg/Kg 体重/日未満である。
【0098】
いくつかの実施形態において、その疾患は、高血圧症、血管鬱血、および心疾患から選択される。ある種の実施形態において、その疾患は心疾患である。
【0099】
なおさらなる局面において、本開示は、患者において疾患を処置するための方法を特徴とし、その方法は、その患者に、上記の1もしくはこれより多くのナトリウム利尿ペプチド誘導体、または上記の1もしくはこれより多くのナトリウム利尿ペプチド誘導体を含むか、これから本質的になるか、もしくはこれからなる薬学的組成物を、1.5mg/Kg
体重/日未満のナトリウム利尿ペプチド誘導体の用量で、または0.3mg/Kg 体重/日未満のナトリウム利尿ペプチド誘導体の用量で非経口投与して、その患者における血中cGMPを増加させることを包含するか、これから本質的になるか、またはこれからなる。いくつかの実施形態において、その疾患は、高血圧症、血管鬱血、および心疾患から選択される。ある種の実施形態において、その疾患は心疾患である。
【0100】
なおさらなる局面において、本開示は、患者において血中cGMPを増加させるための方法を特徴とし、その方法は、その必要性のある患者に、上記の1もしくはこれより多くのナトリウム利尿ペプチド誘導体(natriuretic derivative)、または上記の1もしく
はこれより多くのナトリウム利尿ペプチド誘導体を含むか、これから本質的になるか、もしくはこれからなる薬学的組成物を、1.5mg/Kg 体重/日未満のナトリウム利尿ペプチド誘導体の用量で、または0.3mg/Kg 体重/日未満のナトリウム利尿ペプチド誘導体の用量で非経口投与することを包含するか、これから本質的になるか、またはこれからなる。
【0101】
なお別の局面において、本開示は、cGMPを増加させるために、例えば、cGMP(例えば、血中cGMP)を増加させることによって改善され得る疾患を処置するために、哺乳動物においてcGMPを増加させるために、(cGMPを増強する誘導体の)1.5mg/Kg 体重/日未満の(例えば、0.3mg/Kg 体重/日未満の)用量での非経口および/または皮下使用のための、1もしくはこれより多くの適切な賦形剤と一緒に、上記の式X-ペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体のうちのいずれかを含む(か、これらから本質的になるか、もしくはこれらからなる)薬学的組成物を記載する。cGMP(例えば、血中cGMP)を増加させることによって改善され得る疾患の処置のための、および/またはcGMP(例えば、血中cGMP)を増加させるための方法がまた提供され、その方法は、1もしくはこれより多くの適切な賦形剤と一緒に、上記の式X-ペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体のうちのいずれかを、(cGMPを増強する誘導体)の1.5mg/Kg 体重/日未満の(例えば、0.3mg/Kg 体重/日未満の)用量で非経口および/または皮下投与することを包含する(これから本質的になるか、またはこれからなる)。いくつかの実施形態において、cGMP(例えば、血中cGMP)を増加させることによって改善され得る疾患は、高血圧症、血管鬱血、心疾患が挙げられるか、これらから本質的になるか、またはこれらからなる;そして処置は、1もしくはこれより多くの適切な賦形剤と一緒に、上記の式X-ペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体のうちのいずれかを、(cGMPを増強する誘導体の)1.5mg/Kg 体重/日未満の(例えば、0.3mg/Kg 体重/日未満の)用量で非経口および/または皮下投与することを包含し得るか、これから本質的になり得るか、またはこれからなり得る。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号2~18、20~35、37、38、42~56および58~85から選択され、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号2~8、20~26、42~48および58~64、から選択され、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号9~18、27~35、37、38、49~56および65~122、から選択され、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号9、10、73~89、96~98、105~107および114~116、から選択され、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号9、75、79および83、から選択され、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号10、78、82および86、から選択され、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号10であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号78であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号82であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号86であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号11~14、27~30、49~52、65~68、90~92、99~101、108~110および117~119から選択され、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号11、14、27、30、49、52、65および68、から選択され、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号96~122、から選択され、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号102~104、から選択され、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号11、27、49および65、から選択され、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号11であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号27であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号49であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号65であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号14、30、52および68、から選択され、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号14であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号30であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号52であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号68であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号15~18、31~34、53~56、69~72、93~95、102~104、111~113および120~122、から選択され、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号15、18、31、34、53、56、69および72、から選択され、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号15、31、53および69、から選択され、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号15であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号31であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号53であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号69であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号18、34、56および72、から選択され、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号18であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号34であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号56であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号72であり、上記の容量で投与される。
【0102】
いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号93、102、111および120、から選択され、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号93であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号102であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号111であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号120であり、上記の容量で投与される。
【0103】
いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号94、103、112および121、から選択され、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号94であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号103であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号112であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号121であり、上記の容量で投与される。
【0104】
いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号95、104、113および122、から選択され、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号95であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号104であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号113であり、上記の容量で投与される。いくつかの実施形態において、薬学的組成物におけるまたは処置方法において使用される式Xのペプチドを有するナトリウム利尿ペプチドのcGMPを増強する誘導体は、配列番号122であり、上記の容量で投与される。
【0105】
以下の実施例は、記載される実施形態を限定ではなく、例証する目的のために、含む。
【実施例0106】
多くの可能な経路が、外因性cGMP、または内因性cGMP生成を増加させるかまたはそれらの分解を減少させるリガンドを投与するなど、治療目的で、インビボでcGMPを増加させるために利用可能である。その外因性リガンドは、亜酸化窒素経路を刺激すること、cGMPを分解するホスホジエステラーゼを阻害すること、または種々のナトリウム利尿ペプチドレセプター(NPRAもしくはNPRB)を刺激することを含め、多くの異なる内因性標的/レセプターに影響を与えることをめざし得る。
【0107】
血液中のANPの長期間の存在が、cGMP血液濃度の上昇によって反映される持続した薬力学的効果を有するかどうかを決定するために、およびその上昇がANPのレベルに比例するかどうかを決定するために調査を行った。ANPに対する血中cGMPのレベルを決定した。驚くべきことに、2時間および8時間での上昇したANPレベルにも拘わらず、cGMPのレベルは、上昇したままではなかった。このことは、上昇したレベルで血中ANPレベルを維持するための天然のANPの長時間作用製剤が、予測するほどは機能しない可能性があることを示す。この問題は、文献中には記録されておらず、この以前に未知だった問題を解決する理由が存在しなかった。この観察を説明するには、2つの可能性があった:1)その検出されたANPが不活性であり得るか、または2)ANPレセプターを無力にする(swamping)と、レセプター枯渇が生じ得る。ANPレセプターを無力にすると、後の時点で応答の喪失が生じ、第1の可能性を同時に排除するかどうかを調査するために、調査を行って、新鮮なおよび(既知の(known-to-be))活性なANPの第2の投与後に血漿cGMP上昇が回復され得るかどうかを研究した。この研究のために、4群のBalb/cマウス(n=3/群;雌性、5~6週齢;18~25g)を使用し、第2のANP投与ありおよびなしでの、ANP投与後の種々の時点でのcGMPレベルを評価した。高用量を意図的に使用して、レセプター枯渇が起こっているのであれば、これが第1の用量で起こり、かつ第2の用量後に応答が全くまたは最小限に起こることを確実にした。(インビボ安定性を増加させるために)ポリマー賦形剤中に製剤化されたANPの2回のその後のs.c.(皮下)投与を、評価した。血液の収集を、投与の前(投与する前;0時間)、投与の2時間後および8時間後に行った。その2つの投与群に、6時間で第2の用量を与えた。血液(約100μL/時点)サンプルを、眼窩後静脈洞から採取し、EDTA二カリウムを含む冷やした試験管の中に入れた。血液サンプルを、13,000rpmにおいて10分間、4℃で遠心分離して、血漿を分離した。その血漿サンプルを、cGMP ELISAキット(GE Healthcare Life Sciences, Marlborough, MA)を製造業者のプロトコルに従って使用して、cGMPについて分析した。その全体的な手順は、以下を含んだ:1)投与前にベースラインcGMPを測定する;2)ANPを注射し、2時間で最大応答を測定する;3)6時間で第2のANPを注射し、8時間で最大cGMP応答を測定して、cGMPのさらなる上昇が達成されるかどうかを確かめる。2時間の時点に少なくとも等しいかまたはこれより大きいさらなる上昇が存在した場合、応答の喪失が存在せず、そのレセプターは、高用量ですら枯渇していない可能性がある。8時間での応答が2時間の応答より小さかった場合、レセプター枯渇が起こっていると想定することは合理的であった;4)より高用量を注射して、用量応答を確かめる。用量応答が観察されなかった場合、レセプターは枯渇または飽和していた。しかし、レセプターの供給が制限された場合に、枯渇をもたらし得る、細胞によってANP-レセプター複合体が内部移行されることは、公知であった。cGMPと関連したANPのレベルも測定して、レセプター枯渇が、あるとすれば応答性の欠如の結果であることをさらに確認した。関連したANPレベルを、ELISAアッセイキット(GE Healthcare Life Sciences, Marlborough, MA)を製造業者のプロトコルに従って使用して測定した。この研究の結果を、表1に示す。
【0108】
その結果は、NPRA刺激を、外因的に投与した心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)を使用して試みた場合、ナトリウム利尿ペプチドがインビボでcGMPを増加させる能力が高用量での連続リガンド刺激の際に、見かけ上のレセプター枯渇によって制限されるようであることを示した。マウスに、ANPのボーラス(12mg/Kg; s.c.)を与えた場合、その血中cGMPレベルは、2時間でベースラインを約80pmol/ml上回って増加し、8時間でベースライン(40pmol/ml)に戻った。しかし、ANPの第2のボーラスを6時間で与えた場合、その血中cGMPレベルは、レセプター枯渇が起こっていない場合に、8時間で、その予測されたさらなる80pmol/mlが増加しなかった(表1を参照のこと)。
【0109】
【表1】

*単一用量の投与後2時間での血中cGMPレベルのレベルが113pmol/mlであり、対応するANPレベルが67ng/mlであったことに留意されたい。しかし、レセプター枯渇が存在しなかった場合、6時間での2回目の投与の際に、8時間(2回目の投与の2時間後)でのcGMPレベルは、113pmol/mlより遙かに高い(同じでない場合)と予測される。代わりに、cGMPは遙かに低かった。より低いcGMPレベルは、レセプター枯渇を示し、測定されたcGMPレベルによって反映されるとおり、生理学的応答の欠如または制限を生じた。
【0110】
2時間でのANPのレベルは、同じ用量を受けたすべての群の平均であった。なぜならすべての場合に、それら群が同じ処置を2時間まで受けたからである。2回目の投与を受けたそれら群における8時間のANPレベルは、1回の投与群からの2時間および8時間のレベルの合計に一致した。
【0111】
この新規の所見は、おそらくNPRA(ANPレセプター)が高用量のANPでの連続刺激の際に枯渇し得ることを示した。レセプター枯渇/内部移行効果が、生物学的システムの天然の負のフィードバック機構の一部であり得ることは、当該分野で公知である。このシステムを変換する唯一の公知の方法は、NPRAレセプター発現を増加させることであった。これは、現時点では、血中cGMPを増加させるために処置を必要とした非組換え生物において可能ではない。これは、cGMPを増加させるのに潜在的により強力であり、表1で観察される見かけ上のレセプター枯渇を制限し得る新たなリガンドの調査を促した。レセプター内部移行に起因して刺激の際に(発現レベルが低いことから)枯渇することが公知であったレセプターを標的とすることは直感に反するが、例えば、既存のANPリガンドの活性を維持または増強すると同時に、レセプター内部移行/枯渇を遅らせ得るかまたは防止し得る改変を用いてそのANPリガンドを変換することによって、レセプター内部移行/枯渇を遅らせ得るリガンドを発見することは有用である。しかし、既存のANPペプチドの変換は、活性に関して推定不能なかつ自明でない結果を有するので、制限された見かけ上のレセプター内部移行効果で血中cGMPを増加させるための強力なリガンドを発見する唯一の方法は、個々のナトリウム利尿ペプチドの変換をインビボで反復して試験することであった。
【0112】
ANPの種々の誘導体を作製し、特定の時点で血中cGMPのレベルを調べることによって、見かけ上のレセプター枯渇効果を制限しながら(またはおそらく、別のcGMP増強レセプターに対して作用し得る)、インビボ効力の増加についてスクリーニングした。親ANPペプチドコントロールと比較して、強力であり(2時間の血中cGMPレベルによって示される)かつレセプター内部移行を引き起こさなかった(6時間のcGMPレベルによって示される)任意の新規な誘導体は、新規の潜在的血中cGMP増強因子として適格である。種々の誘導体を作製し血中cGMPを増加させるために治療上有用であった誘導体を見出すという目的で、インビボ試験を行い、マウスにおいて15mg/Kg(これは、1.5mg/Kgというヒト用量にアロメトリー的に等価であった)の皮下投与の2時間後および6時間後の血中cGMPのレベルを決定した。
【0113】
本開示のANPの種々の誘導体を合成するのに有用な保護されたアミノ酸残基の多くは、アミノ酸供給業者から市販されていた。さらに、本開示の主題であるすべてのペプチドは、外部の特注のペプチド提供業者(例えば、Anaspec, San Jose CA. USA、Polypeptide laboratories, Torrance, CA、またはChemPep Inc, Miami, FL)によって合成され得る。本開示の主題であるすべてのペプチドは、デザイン仕様書に従って合成し、詳細な指示に従って作製、精製、および処理した。本開示のペプチドの合成は、当業者によって、好ましくは、固相合成を介して容易に行われ得る。簡潔には、作製されるべきペプチドのC末端に対応する(当該分野で公知であるように、FmocまたはBocによって)保護されたアミノ酸を、カルボキシル基を通じて樹脂に最初に固定するか、またはそれに結合体化する。これに続いて、αアミノ基の脱保護が行われて、最後のN末端アミノ酸または脂肪酸が付加されるまで、第2の保護されたアミノ酸のその後の付加、続いて、αアミノ基の脱保護、第3の保護されたアミノ酸の付加、続いて、第2のアミノ酸の脱保護などを可能にする。その樹脂からの切断、アミノ酸官能基の脱保護、および精製は、当該分野で公知であるとおりの従来のペプチド合成に類似である。精製は、標準的なアプローチのうちのいずれか(例えば、アルキル化シリカカラム(例えば、C-C18シリカ)での逆相高速液体クロマトグラフィー(RP HPLC))を使用して達成され得る。このようなカラムでの分画は概して、水性緩衝液(通常は少量(例えば、0.1%)のイオン対合剤(例えば、トリフルオロ酢酸(TFA)またはトリエチルアミン(TEA))を含む)中での有機溶媒(例えば、アセトニトリル)の%を漸増させる線形勾配(例えば、10~90%)を行うことによって達成される。あるいは、イオン交換HPLCを使用して、それらの電荷特性に基づいてペプチド種を分離し得る。カラム画分は集められ、所望の/必要とされる純度のペプチドを含む画分は、必要に応じて、タンデム質量分析検出器のガイドでプールされる。そのペプチドは次いで、開裂酸(cleaving acid)(例えば、TFA)を薬学的に受容可能な酸性アニオンと交換し、分子内ジスルフィド架橋形成を希釈溶液中で適切な酸化剤の下で可能にする確立された様式で処理される。この分子内ジスルフィド架橋形成は、HPLC/MS分析によって確認され得る。
【0114】
種々の誘導体の2点cGMP評価のために、試験サンプルを、凍結乾燥する前に水(Lonza, Wakersville, MD)に溶解した。使用前に、その凍結乾燥した試験サンプルを、食塩水中に溶解し、次いで、15mg/Kgを、雌性CD-1マウス6~8週齢(n=3)に皮下注射した。血液サンプルを、K2EDTA血液収集チューブを用いて2時間および6時間で集めた。次いで、その収集チューブを、13,000rpmにおいて10分間、4℃で遠心分離して、血漿を分離した。その血漿を、cGMP Direct Biotrak EIA(GE Healthcare Life Sciences, Marlborough, MA)を使用して分析した。0.7の指数でのアロメトリックスケーリング[他の種での用量=マウス用量/((マウス体重/平均的な他の種の体重)0.7)]を使用することによって、マウスにおける15mg/Kgが、約7.5mg/Kg ラット用量、約2.5mg/Kg イヌ用量、および1.5mg/Kg ヒト用量に等価であることに留意されたい。本開示の目的で、関連データ例で示されるとおりのマウスにおける15mg/Kgは、約7.5mg/Kg ラット用量に等価と理解されるべきであり、これは、約2.5mg/Kg イヌ用量に等価であり、これは約1.5mg/Kg ヒト用量に等価である。その新たに開示された誘導体の15mg/Kg 用量に対するマウスのcGMP応答(表2を参照のこと)が極めて高かったので、マウスに関しては15mg/Kg未満、ラットに関しては7.5mg/Kg未満、イヌに関しては2.5mg/Kg未満、およびヒトに関しては1.5mg/Kg未満である1日用量を使用することは、賢明である。なぜなら任意のより高い用量は、cGMPの過度の増加を生じ得、このことによって、非常に遅い放出送達システムに製剤化されなければ、血圧の過度のまたは危険ですらある低下を生じ得るからである。実際にcGMP応答に基づいて、マウスに関しては5mg/Kg未満、ラットに関しては1.5mg/Kg未満、イヌに関しては0.5mg/Kg未満、およびヒトに関しては0.3mg/Kg未満である1日用量を使用することは、より好ましい。さらに、血中cGMPのレベルは、好ましくは、正常のベースラインレベルの1.5~3倍の間である。血液または血漿のcGMP正常ベースラインレベルは、約20~50pmol/mlであったが、そのレベルを測定するために使用されるアッセイキットに依存して、僅かに変動し得る。
【0115】
その結果を表2に示す。反復試験およびC末端での改変またはN末端に近いL-アルギニンをD-アルギニンに変更する(配列番号39および40)ことから、活性の喪失または減少が生じた。さらに、C末端におけるアミノ酸を変化させる(配列番号37および38)ことで、活性の制限された増加が生じた。種々の数のグリシンおよび塩基性アミノ酸でN末端を伸長する(配列番号2~8、44、42、60、58)ことで、ANPと比較して、予測外にも活性が減少しなかった。しかし、グリシン、塩基性アミノ酸、および脂肪酸の付加を使用する種々のN末端伸長ANPは、予測外にも効力を増加させ(表2の2時間データを参照のこと;配列番号9、10、11、14、15、18、56、72)、見かけ上のレセプター枯渇/内部移行を防止した(表2の6時間データを参照のこと;配列番号15、18)。類似の結果を、他のナトリウム利尿ペプチド(伸長したBNPおよびCNP; 配列番号56、72)で観察した。グリシンなしの脂肪酸での改変は、活性が僅かに増加したが、ANPコントロールと比較して、見かけ上のレセプター内部移行に対して有意な効果は有しなかった(表2の6時間データを参照のこと;配列番号35)。
【0116】
【表2-1】

【表2-2】

【表2-3】

【表2-4】

【表2-5】
【0117】
本明細書で使用される場合、ヒトの1.5mg/kg用量はまた、関連データ例で示されるとおり、マウスにおける15mg/Kgに等価であるはずであり、これは約7.5mg/Kg ラット用量に等価であり、これは約2.5mg/Kg イヌ用量に等価であり、これは約1.5mg/Kg ヒト用量に等価である。15mg/Kgに対するマウスの応答は、新たに発見された誘導体に対して極めて高かった(表2を参照のこと)ので、マウスに関しては15mg/Kg未満、ラットに関しては7.5mg/Kg未満、イヌに関しては2.5mg/Kg未満、およびヒトに関しては1.5mg/Kg未満の用量を使用することは賢明である。なぜなら任意のより高い用量は、cGMPの過度の増加を生じ得、このことによって、非常に遅い放出送達システムに製剤化されなければ、血圧の過度のまたは危険ですらある低下を生じ得るからである。事実、2時間でのcGMPのレベルがバックグラウンド差し引き前に約5倍であることから、マウスに関して3mg/Kg未満、ラットに関して1.5mg/Kg未満、イヌに関して0.5mg/Kg未満、およびヒトに関して0.3mg/Kg未満を使用することは、安全性の目的でさらにより賢明である。これらの用量は、超えないという点で保守的なガイドラインであり、確実にここで提示される。これらの新たに開示された組成物は、より高い効力が原因で、類似の処置条件の下では天然のナトリウム利尿ペプチドの用量より低い用量で使用されるべきである。このより高い効力は、より少ない材料またはより低いコスト、および投与される薬物のより小さな容積もしくは患者にとってより少ない疼痛を要件とするという点で、利点になる。しかし、体重当量の(weight equivalent)親ナトリウム利尿ペプチド用量(parent natriuretic dose)をどれだけ下回るかのその正確なヒト治療用量は推
測できず、ヒトの臨床上の安全性の治験データが入手可能になるまで明らかではない。アロメトリックスケーリングのプロセスは動物からヒトへと用量を調節するにあたって概して予測性があるが、ヒトにおける安全性の目的でのその用量の細かい調整は、アロメトリックスケーリング単独を使用して行うことはできない。にも拘わらず、アロメトリックスケーリングは、治療効果を得るために、安全性が最も高いと考えられる出発用量を概算するには十分である。
【0118】
本開示の好ましい実施形態は、例証され、記載されてきたが、種々の変更が、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなくこれら実施形態において行われ得ることは、認識される。
排他的所有権または特権が請求される開示の実施形態は、以下のとおり規定される:
【配列表】
2022090049000001.app
【外国語明細書】