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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090151
(43)【公開日】2022-06-17
(54)【発明の名称】室外機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/22 20110101AFI20220610BHJP
【FI】
F24F1/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020202354
(22)【出願日】2020-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】吉仕 彰
(72)【発明者】
【氏名】山崎 真吾
(57)【要約】
【課題】 外気温センサを収納するセンサカバー内部へ水の侵入を防止し、外気温センサに水が付着し続けることを防止する室外機を提供する。
【解決手段】 センサカバー2の前面板2a、側面板2b又は2cに複数の通気孔10を設けると共に、通気孔10の断面がセンサカバー2の外部へ向かって下り傾斜することで、センサカバー2の外壁を伝って通気孔10から雨水等の水の侵入を防ぐことができる。更に、センサカバー2の内部に外気温センサ20を保持するセンサ保持部を設け、当該センサ保持部はセンサカバー2の前面板2a、側面板2b又は2cの内壁に取り付けられていると共に、センサ保持部が取り付けられている内壁へ向け下り傾斜することで、室外熱交換器3からの結露水の水が外気温センサ20に付着した場合でも、センサ保持部を伝ってセンサカバー2の内壁へ流れていくため、外気温センサに水が付着し続けることを防止できる。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略箱状の筐体と、
当該筐体の外部から流入する外気との間で熱交換を行う熱交換器と、
当該熱交換器へ流入する外気の温度を測定する外気温センサと、
当該外気温センサを収納するセンサカバーと、を有し、
当該センサカバーは前記筐体の外気流入側に配置され、少なくとも上面板、前面板及び側面板を備え、
前面板又は側面板に複数の通気孔を設けると共に、当該通気孔の断面が前記センサカバーの外部へ下り傾斜していることを特徴とする室外機。
【請求項2】
前記センサカバーの内部に前記外気温センサを保持するセンサ保持部を設け、当該センサ保持部は、前記センサカバーの前面板又は側面板の内壁に取り付けられていると共に、前記センサ保持部が取り付けられている前記内壁へ向け下り傾斜していることを特徴とする請求項1記載の室外機。
【請求項3】
前記センサカバーの下面板に通気孔を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、室内の暖冷房を実施する空気調和機等の室外機、特に外気温センサを収納するセンサカバーを備えた室外機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは、室外機に外気温を検出するためのサーミスタ(外気温センサに相当)を備え、当該外気温センサを収納する収納部のカバーに、外気を取り入れるための穴を設けたものがあった。(例えば、特許文献1)
【0003】
また、外気温を検出する温度センサを収納しているケースに、外気を取り入れるためのスリット孔を設け、当該スリット孔に指等が容易に入らないよう孔を覆う庇状の覆い壁を設けたものがあった。(例えば、特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許5213844号公報
【特許文献2】特開平11-237080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来技術の特許文献1では、カバーの外から雨水が侵入した場合、内部の外気温センサに雨水が付着し、更に冬季で外気温が低いときはセンサに付着した水が凍結する虞があり、その結果正確な外気温の検出ができない可能性があった。
【0006】
また、従来技術の特許文献2では、庇状の覆い壁でケースの外からの雨水の侵入を防ぐことはできるが、一方で通気口の流路面積が小さくなるため、通風抵抗が増大し、通気性が悪くなる虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、略箱状の筐体と、
当該筐体の外部から流入する外気との間で熱交換を行う熱交換器と、
当該熱交換器へ流入する外気の温度を測定する外気温センサと、
当該外気温センサを収納するセンサカバーと、を有し、
当該センサカバーは前記筐体の外気流入側に配置され、少なくとも上面板、前面板及び側面板を備え、
前面板又は側面板に複数の通気孔を設けると共に、当該通気孔の断面が前記センサカバーの外部へ下り傾斜していることを特徴としている。
【0008】
また、請求項2では、前記センサカバーの内部に前記外気温センサを保持するセンサ保持部を設け、当該センサ保持部は前記センサカバーの前面板又は側面板の内壁に取り付けられていると共に、前記センサ保持部が取り付けられている前記内壁へ向け下り傾斜していることを特徴としている。
【0009】
また、請求項3では、前記センサカバーの下面板に通気孔を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、センサカバーの前面板又は側面板に複数の通気孔を設けると共に、通気孔の断面がセンサカバーの外部へ向かって下り傾斜しているので、センサカバーの外壁を伝って通気孔から雨水が侵入しようとした場合、センサカバーの断面の傾斜を重力に逆らって上がらないと内部へは侵入できない。従って、通気孔によって通気性を確保しつつ、センサカバー内部へ雨水が侵入するのを防ぐことができる。
【0011】
また、センサカバーの内部に外気温センサを保持するセンサ保持部を設け、当該センサ保持部はセンサカバーの前面板又は側面板の内壁に取り付けられていると共に、センサ保持部が取り付けられている内壁へ向け下り傾斜しているので、水が内部へ侵入し外気温センサに付着した場合でも、センサ保持部を伝ってセンサカバーの内壁へ流れていくため、外気温センサに水が付着し続けて凍結するのを防ぐことができる。
【0012】
また、センサカバーの下面板に通気孔を設けたので、センサカバーの内部へ侵入した水を下面の通気孔から外部へ排出することができるため、センサカバー内部に水が滞留し続けるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の一実施形態の室外機の外観を表す背面斜視図
図2】同実施形態のセンサカバーの取り付け状態を表す斜視図
図3】同実施形態のセンサカバーの取り付け状態と、熱交換器の断面を表した斜視図
図4】同実施形態のセンサカバーの内部を表す斜視図
図5】同実施形態のセンサカバーの正面図
図6】同実施形態のセンサカバーの背面図
図7】同実施形態の図6のA-A線断面図
図8】同実施形態の図7のB部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、この発明の一実施形態における室外機を図に基づいて説明する。
【0015】
1は屋外に設置され、略箱状の筐体で構成された空気調和機の室外機である。当該室外機1は、図示しない圧縮機及び膨張弁、室外熱交換器3を有し、これらは図示しない室内に設置される室内機と、図示しない冷媒配管で接続される。当該室外熱交換器3はフィンチューブ型の熱交換器であり、空気を流通させる複数枚のフィン3aと、このフィンを貫通する複数本の伝熱管3bと、を有する。また、室外熱交換器3は、図示しない送風ファンによって流入する空気との間で熱交換を行う。2は外気温を検出するための外気温センサ20を収納し固定するセンサカバーである。当該センサカバー2は、外気温センサ20を外部からの接触や衝撃から保護している。また、センサカバー2は室外機1の背面で室外熱交換器3の外気流入側に設置される。4は室外機1の上面に配置された天板であり、5は室外機1の側面に配置されその一部が背面まで回り込むように配置された側板である。
【0016】
センサカバー2の具体的な構造について説明する。
図2から図5を参照する。センサカバー2は、前面板2a、左右の側面板としての右側面板2b及び左側面板2c、上面板2d及び下面板2eを有しており、室外熱交換器3と対向する背面は有していない。またセンサカバー2は、通気孔10(10a及び10b)と、上部固定片11と、側部固定片12と、係止部13と、を有する。通気孔10a及び10bは、センサカバー2の前面板2aに設けられている。また、図示しない送風ファンにより室外熱交換器3に流入する外気の一部が通気孔10a及び10bを流通し、センサカバー2内を通って室外熱交換器3へ流入することで、外気温センサ20は正確な外気温を計測することができる。上部固定片11、側部固定片12、及び係止部13は、センサカバー2の動きを規制し、室外熱交換器3に固定するための固定板である。上部固定片11は天板4と室外熱交換器3の間に挿入し、側部固定片12は側板5と室外熱交換器3の間に挿入して固定する。係止部13は、室外熱交換器3のフィン3a間に挿入して伝熱管3bを挟持し、固定する。
【0017】
図4及び図6を参照する。センサカバー2の内部には、外気温センサ20を固定し保持するためのセンサ保持部としての爪部14と、台座15(15a及び15b)と、を有する。爪部14は、外気温センサ20を挟持し固定する。台座15a及び15bは、外気温センサ20を支えて固定する。外気温センサ20のリード線21は、上部固定片11の背面側に形成された凹状の溝部11aを通って、図示しない室外機1内部の制御回路基板へ接続される。またセンサカバー2の下面板2eには、下部通気孔16が設けられている。
【0018】
次に、この一実施形態における、センサカバー内部へ雨水の侵入を防止し、外気温センサに付着した水による凍結を防止する構造について説明する。
【0019】
図4図7及び図8を参照する。なお、図8では説明のため、下り傾斜の角度α及びβを強調して図示している。センサカバー2に設けられた通気孔10a及び10bは、縦断面視した際に、上縁及び下縁がセンサカバー2の外部に向けて下り傾斜になっている。例えば通気孔10aでは、図8における角度αで示すような傾斜である。なお、通気孔10bにおいても同様な傾斜となっている。
【0020】
ここで、屋外に設置された室外機1及びセンサカバー2が雨水にさらされた時、センサカバー2の上面板2dに滴下した雨水は、外壁を伝って下方へ落下する。その際、一部の雨水は前面板2aの開口部である通気孔10a及び10bから内部へ侵入しようとするが、上縁及び下縁がセンサカバー2の外部に向けて下り傾斜になっているため、センサカバー2の断面の傾斜を重力に逆らって上がらないと内部へは侵入できない。従って、雨水等の水がセンサカバー2の通気孔10a及び10bから侵入するのを防ぐことができる。
【0021】
また、センサカバー2内部に設けられた爪部14、台座15a及び15bについても、縦断面視した際に、その上面及び下面がセンサカバー2の外部に向けて下り傾斜になっている。例えば台座15aでは、図8における角度βで示すような傾斜である。なお、ツメ部14、台座15bにおいても同様な傾斜となっている。なお、図8における角度αと角度βは、成形品の製造工程の簡略化の面から、略同一の角度であることが好ましい。
【0022】
ここで、センサカバー2の背面は室外熱交換器3の通気性を確保するため、開口となっているが、一方で室外熱交換器3の結露水がセンサカバー2の内部へ侵入する場合があり、その際侵入した水が外気温センサ20に付着する場合がある。外気温センサ20に付着した水は外気温センサ20を伝って下方へ落下するが、その途中で外気温センサ20を保持している爪部14、台座15a及び15bに突き当たり、水の落下が妨げられる。この時、爪部14、台座15a及び15bの影響を大きく受けずに落下し続けた水は、外気温センサ20から離れてセンサカバー2の下部へ落下する。一方で、それ以外の水、即ち爪部14、台座15a及び15bの影響を受けて留まった水は、爪部14、台座15a及び15bが取り付けられている内壁へ向け下り傾斜となっているため、内壁へ向かって移動し、内壁からセンサカバー2の下部へ落下する。従って、結露水等の水が外気温センサ20に付着しても、そのまま付着し続けるのを防ぐことができ、さらに凍結により外気温センサ20が正確な外気温を検知できないことを防止することができる。
【0023】
また、センサカバー2の下面板2eには、下部通気孔16が設けられているため、室外熱交換器3の結露水等の水が内部に侵入し、外気温センサ20を伝って下部へ落下した水や、内壁を伝って下部へ落下した水を、センサカバー2の外部へ容易に排出することができ、センサカバー2の内部に水が滞留し続けるのを防ぐことができる。
【0024】
なお、本実施形態では、通気孔10a及び10b、爪部14、台座15a及び15bはセンサカバー2の前面板2aに設けられているが、右側面板2b又は左側面板2cであっても良く、これらの場合でも同様の効果を発生することができる。
【0025】
また、本実施形態では、通気孔は2つ設けられているが、これ以外の数量であっても良い。また、センサ保持部としての爪部、台座は本実施形態で示すような数量、構成に限られるものではなく、外気温センサ20を保持するための構造物であれば良い。
【0026】
以上のように、センサカバー2の前面板2a、側面板2b又は2cに複数の通気孔10を設けると共に、通気孔10の断面がセンサカバー2の外部へ向かって下り傾斜することで、通気孔10によりセンサカバー2の通気性を確保しつつ、センサカバー2の外壁を伝って通気孔10から雨水等の水が侵入しようとした場合、その侵入を防ぐことができる。
【0027】
更に、センサカバー2の内部に外気温センサ20を保持するセンサ保持部としての爪部14、台座15a及び15bを設け、当該センサ保持部はセンサカバー2の前面板2a、側面板2b又は2cの内壁に取り付けられていると共に、当該センサ保持部が取り付けられている内壁へ向け下り傾斜することで、センサカバー2と室外熱交換器3の通気性を確保しつつ、室外熱交換器3からの結露水の侵入があり外気温センサ20に付着した場合でも、当該センサ保持部を伝ってセンサカバー2の内壁へ流れていくため、外気温センサ20に水が付着し続けるのを防ぐことができ、更に凍結により正確な外気温を検知できないことを防止することができる。
【0028】
更に、センサカバー2の下面板2eに下部通気孔16を設けることで、センサカバー2の内部へ侵入した水を容易に外部へ排出することができる。
【0029】
なお、本実施形態で用いた構成は一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
1 室外機(筐体)
2 センサカバー
3 室外熱交換器(熱交換器)
10a 通気孔
10b 通気孔
14 爪部(センサ保持部)
15a 台座(センサ保持部)
15b 台座(センサ保持部)
16 下部通気孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8