(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090162
(43)【公開日】2022-06-17
(54)【発明の名称】ペット用冷暖房器
(51)【国際特許分類】
A01K 1/015 20060101AFI20220610BHJP
【FI】
A01K1/015 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020202370
(22)【出願日】2020-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】596166472
【氏名又は名称】木戸 平太郎
(72)【発明者】
【氏名】木戸 平太郎
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA13
2B101AA20
2B101BB01
2B101GB01
(57)【要約】
【課題】 本発明は、上面にペットが横たわったときに暖かさまたは冷たさを感じるとともに、継続的に熱供給または吸熱して、ペットの体温低下または体温上昇を抑えることができるペット用暖房器を提供することを目的としている。
【解決手段】 本発明のペット用冷暖房器は、ペットが横たわることができる広さの水平な上面を有する座部と、互いに平行に配置され、前記座部の下面に垂下された複数のフインからなる熱交換部とを有する搭載プレートを備えており、前記前記搭載プレートは熱伝導性の良い素材で一体的に形成されており、前記搭載プレートの下側に位置し、少なくとも前記フインの側面と面接触する側壁を有しており、接触面を介して座部を暖めまたは冷ます熱源部材を備えていることを特徴とするものである。熱源部材として、使い捨てカイロや湯たんぽ、氷が入った水を収容した容器がある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットが横たわることができる広さの水平な上面を有する座部と、互いに平行に配置され、前記座部の下面に垂下された複数のフインを有する熱交換部とを備えた搭載プレートを備えており、
前記搭載プレートは熱伝導性の良い素材で一体的に形成されており、
前記搭載プレートの下側に位置し、多数のフインと嵌合する多数の嵌合溝を上面に有し、嵌合溝の側壁とフインの側面との接触面を介して座部を暖めまたは冷ます熱源部材を備えていることを特徴とする、ペット用冷暖房器。
【請求項2】
前記搭載プレートの座部は、その下面が薄肉部から厚肉部へと繋がる傾斜面で形成されており、前記熱交換部のフインは前記傾斜面から下方へ前記座部の上面と平行な位置まで伸びる下辺を備えており、前記フインの側面は下方に向かって内側に傾斜していることを特徴とする、請求項1記載のペット用冷暖房器。
【請求項3】
前記熱源部材が鉄粉等の発熱組成物を可撓性の袋に詰めて製造された使い捨てカイロであり、前記フインの側面に使い捨てカイロの表面を添着させることを特徴とする、請求項1または2記載のペット用冷暖房器。
【請求項4】
前記熱源部材がその上面に前記熱交換部の多数のフインを収納する多数の嵌合溝を有する湯たんぽまたは蓄冷容器であり、前記湯たんぽまたは蓄冷容器の嵌合溝が前記フインの内側に傾斜している角度と同じ角度で傾斜した側壁を備えており、前記フインを嵌合溝に嵌合したときに、前記フインの側面が前記嵌合溝の側壁に圧着することを特徴とする、請求項1または2記載のペット用冷暖房器。
【請求項5】
前記搭載プレートと前記熱源部材が表面高度の異なる材料で製造されており、前記フインを嵌合溝に嵌合したときに、前記フインの側面と前記凹溝の側壁との面接触を保持する構造であることを特徴とする、請求項4記載のペット用冷暖房器
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上面にペットが横たわったときに暖かさまたは冷たさを長く感じるとともに、横たわった状態のペットに対して継続的に熱を供給しまたは吸熱して、ペットの体温低下または体温上昇を抑えることができるペット用冷暖房器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のペット用暖房器31は、
図5に示すように、湯たんぽ収容用凹窪部32を形成した器体33と、湯たんぽ収容用凹窪部32に収容される湯たんぽ34と、湯たんぽ34が収容された湯たんぽ収容用凹窪部32に嵌合され、多数の通気孔35を形成した中蓋36と、湯たんぽ収容用凹窪部32に中蓋36が嵌合された器体33の上面に載置される座枠37と、器体33及びこれの上面に載置された座枠37を被包する袋状カバー38とからなっている。特許文献1
【0003】
このペット用暖房器31は、湯たんぽ収容用凹窪部32に湯たんぽ34を収容し、中蓋36を嵌合し、その上に座枠37を載置して袋状カバー38で被包した器体33の上面側にペットを横たわらせて暖をとらせるようにしたものである。このペット用暖房器は、犬などを家の中に置きっ放しにして外出する時にも火災の心配がなく安全に使用でき、維持コストもかからないという長所がある。
【0004】
しかし、前記のペット用暖房器は、対流熱伝達により暖められるものである。即ち、湯たんぽと中蓋の間や中蓋と袋カバーの間に存在する空気層を介して熱移動が起きるものであり、また、中蓋、座枠および袋カバーなどの熱伝導性の良くない素材を介して熱を伝えるものであるから、中蓋、座枠および袋カバーへと熱が速やかに伝わらず、身体の冷えたペットが暖房器に横たわっときにすぐに暖まることができないという問題があった。
【0005】
また、年老いたペットが暖房器の上で尿等を漏らすことがあり、中蓋、座枠および袋カバーを器体3から取り外して、たびたび洗濯しなければならないという問題があった。
【0006】
一方、従来のペット用冷房器41は、
図6に示すように、冷却板本体42の下面に複数の凸条43を設けるとともに、冷却板本体の縁部の折り曲げ部43に4つの脚部44を設けて、凸条が床面に接触しないようにするとともに、脚部の間に外気と通ずる開口部45が形成されたものがある。特許文献2
【0007】
このペット用冷房器41は、冷却板本体42として熱伝導性の高い材質を用い、複数の凸部43を冷却板本体の下面に一体的に形成したものである。複数の凸部43は、互いに略平行に設けられた凸条である。
【0008】
前記ペット用冷房器41を床面に設置したとき、4隅に配置された脚部44によって凸部43が床面に接することがなく、冷却板本体42の下面と床面との間に一つの連続した空間45が形成され、かつ、空間は凸条の両端部側に設けられた横長の開口46を介して外気と連通している。このため、前記連続した空間の空気がペットの体温により暖められたとき、暖められた空気が外気に放出されて、冷却板の下面に熱気が籠るのを回避できるというものである。
【0009】
しかし、前記のペット用冷房器は、床面に設置したときに、冷却板本体および複数の凸部(凸条)が水平状態となり、ペットの体温で暖められた空気が冷却板本体の下面および複数の凸条に沿って成層状態を形成し、その状態が保持されやすいので、冷却板の下面に熱気が籠るのを回避できない。特に、熱気が籠る状態は、ペットが横たわっている中央部において顕著である。このため、上面に横たわっているペットの体温上昇を抑えることができないとう問題がある。
【0010】
また、冷却板本体は薄肉に作られているので熱容量が小さく、ペットが横たわったときに、その体温ですぐに冷却板本体が暖められてしまい、ペットが冷たさを長く実感できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実用新案登録第3105837
【特許文献2】実用新案登録第3121950
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このような問題があるため、飼い主は、ペットが生活している部屋全体を暖房または冷房して、ペットの体温が過度に低下し、または上昇するのを抑えてペットの健康を保持していた。しかし、ペットの健康のために長時間にわたり部屋全体を冷暖房することは効率が悪く、経済的な負担が大きいという問題がある。
本発明は、ペットが上面に横たわったときにその身体が暖まりやすくまたは冷めやすく、更に、横たわっている状態で、長時間にわたってペットの体温の低下または上昇を抑えることができるペット用冷暖房器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1記載のペット用冷暖房器は、ペットが横たわることができる広さの水平な上面を有する座部と、互いに平行に配置され、前記座部の下面に垂下された多数のフインを有する熱交換部とを備えた搭載プレートを備えており、前記搭載プレートは熱伝導性の良い素材で一体的に形成されており、搭載プレートの下側に位置し、多数のフインと嵌合する多数の嵌合溝を上面に有し、嵌合溝の側壁とフインの側面との接触面を介して座部を暖めまたは冷ます熱源部材を備えていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のペット用冷暖房器において、前記搭載プレートの座部は、その下面が薄肉部から厚肉部へと繋がる傾斜面で形成されており、前記熱交換部のフインは前記傾斜面から下方へ前記搭載プレートの上面と平行な位置まで伸びる下辺を備えており、前記フインの側面は下方に向かって内側に傾斜していることを特徴とするものである。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のペット用冷暖房器において、前記熱源部材が鉄粉等の発熱組成物を可撓性の袋に詰めて製造された使い捨てカイロであり、前記フインの側面に使い捨てカイロの表面を添着させることを特徴とするものである。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1または2記載のペット用冷暖房器において、前記熱源部材がその上面に前記フインと嵌合する嵌合溝を有する湯たんぽまたは蓄冷容器であり、前記湯たんぽまたは蓄冷容器の嵌合溝が前記フインの内側に傾斜している角度と同じ角度で傾斜した側壁を備えており、前記フインを嵌合溝に嵌合したときに、前記フインの側面が前記嵌合溝の側壁に圧着することを特徴とするものである。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のペット用冷暖房器において、前記搭載プレートのフインと前記熱源部材が表面硬度の異なる材料で製造されており、前記フインを嵌合溝に嵌合したときに、前記フインの側面と前記凹溝の側壁との面接触(密着)を保持する構造であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1のペット用冷暖房器は、前記搭載プレートは熱伝導性の良い素材で一体的に形成されており、少なくとも搭載プレートの多数のフインと熱源部材の多数の嵌合溝が面接触しているので、搭載プレートと熱源部材が広い面積で接触することができ、熱源部材の熱を搭載プレートに速やかに熱伝導させ、伝導熱により座部を暖めまたは冷ますことができる。ここで熱伝導により伝わる伝導熱とは、高温または低温の物質(熱源部材)が別の物質と直接接触している場合に伝わる熱であり、固体>液体>気体の順に低くなる。搭載プレートと熱源部材はともに固体であり、固体同士の接触面積を大きくすることにより、伝導熱の移動量を多くすることができる。
【0019】
請求項2記載のペット用冷暖房器は、厚肉部を有しているから、搭載プレートの熱容量を大きくすることができるので、冷えた体または熱した体のペットが横たわったときに、ペットに継続して熱供給または吸熱することができる。特に搭載プレートを熱伝導率の高いアルミニウム等の金属で製造してやれば、熱供給ないし吸熱が速やかになる。
【0020】
請求項3記載のペット用冷暖房器は、熱源部材として使い捨てカイロを用いたので、簡易な操作でフインに熱源部材を装着することができるとともに、最高温度が70℃以下で暖めることができ、低温やけどを防止することができる。更に、搭載プレートの傾斜面に沿って、加熱された空気が上昇(縦断勾配効果)して、熱交換部に空気の流れを発生すので、新鮮な空気を使い捨てカイロに供給することができる。なお、使い捨てカイロの発熱量は小さいので、多数個装着する必要がある。
【0021】
請求項4記載のペット用冷暖房器は、熱源部材として湯たんぽまたは蓄冷容器を使用したので、繰り返して使用することができ、経済的負担を低く抑えることができるとともに、犬などを家の中に置きっ放しにして外出する時にも火災の心配がなく安全に使用できる。また、湯たんぽにおいては、嵌合溝が上面にあるから、熱交換により冷えた湯が自重で下方に移動して湯たんぽ内で対流が起こり、嵌合溝に継続してより暖かい湯が供給される。蓄冷容器として氷の入った水を収容したプラスチック容器を使用することができ、繰り返して使用して、経済的負担を低く抑えることができる。
【0022】
請求項5記載の発明は、前記搭載プレートと前記熱源部材が表面硬度の異なる材料で製造されており、多数のフインを多数の嵌合溝に嵌合したあと、搭載プレートの自重およびペットの体重により密着方向に作用(くさび効果)して、前記フインの側面と前記嵌合溝の側壁との面接触を常に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1実施例のペット用冷暖房器の搭載プレートの斜視図である。
【
図2】
図1の区画領域におけるA-A断面の斜視図である
【
図3】第2実施例のペット用冷暖房器の斜視図である。
【
図4】第2実施例のペット用冷暖房器の熱源部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
請求項1記載のペット用冷暖房器は、ペットが横たわることができる広さの水平な表面を有する座部と、互いに平行に配置され、前記座部の下面に垂下された複数のフインからなる熱交換部とを有する搭載プレートを備えており、前記搭載プレートは熱伝導性の良い素材で一体的に形成されている。更に、前記搭載プレートの下側に位置し、多数のフインと嵌合する多数の嵌合溝を上面に有し、嵌合溝の側壁とフインの側面との接触面を介して座部に熱を伝える熱源部材を備えている。搭載プレートと熱源部材とはともに固体であり、両者を面接触させるには、熱源部材を柔軟な材質で形成して、硬い材質で製造された搭載プレートのフインに添着する方法や、フインの側面を下方に向かって内側に傾斜させるとともに、フインの傾斜角と同じ角度の側壁を嵌合溝に形成して、くさび作用および変形により面接触(密着)させる方法がある。
【0025】
請求項2記載のペット用冷暖房器は、前記搭載プレートの座部は、その下面が薄肉部から厚肉部へと繋がる傾斜面で形成されており、前記熱交換部のフインは前記傾斜面から下方へ前記座部の上面と平行な位置まで伸びる下辺を備えており、前記フインの側面は下方に向かって内側に傾斜していることを特徴とするものである。前記座部の薄肉部から厚肉部へと繋がる傾斜面は、座部の一端から他端に向かう片側傾斜でもよく、座部の中央部から両端へと繋がる両側傾斜でもより。隣接するフインとその間の区画領域とにより形成される凹溝の断面形状は門形でもアーチ形でもよい。
【0026】
請求項3記載のペット用冷暖房器は、前記熱源部材が鉄粉等の発熱組成物を可撓性の袋に詰めて製造された使い捨てカイロであり、隣接するフインの側面(凹溝内)に使い捨てカイロの表面を添着させることを特徴とするものである。使い捨てカイロを折り曲げてフイン間の凹溝に挿入し、カイロに塗布されている粘着層を利用して添着する。また、フイン間にかけ渡すような脚台で凹溝に介装された使い捨てカイロを支持する構造としてもよい。
【0027】
請求項4記載のペット用冷暖房器は、前記熱源部材がその上面に多数のフインを収納する多数の嵌合溝を有する湯たんぽまたは蓄冷容器であり、前記湯たんぽまたは蓄冷容器の嵌合溝が前記フインの内側に傾斜している角度と同じ角度で傾斜した側壁を備えており、前記フインを嵌合溝に嵌合したときに、前記フインの側面が前記嵌合溝の側壁に圧着することを特徴とするものである。湯たんぽに使用する材料としては、100℃に耐えること、搭載プレートの重量およびペットの体重に耐えることおよび製造コストのかからない素材であることが要求される。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、アルミニウムを使用することができる。ポリエチレンのブロー成型によれば湯たんぽを安価に製造することができる。蓄冷容器もポリエチレンのブロー成型が好適であるが、注入口は家庭用冷蔵庫で作られた氷を投入できる大きさが必要である。
【0028】
請求項5記載のペット用冷暖房器は、前記搭載プレートと前記熱源部材が表面硬度の異なる材料で製造されており、前記フインを凹溝に嵌合したときに、前記フインの側面と前記嵌合溝の側壁との面接触を保持することができるものである。面接触を保持する態様としては、一方が変形して他方に添着するものや、楔のように一方に他方が食い込んでいく形状を採用することができる。搭載プレートを金属材料ないし硬質プラスチックで製造し、熱源部材の容器を硬質プラスチックないし軟質プラスチックで製造する方法などがある。
【実施例0029】
図1および
図2は、本発明の第1実施例を示したものである。本実施例のペット用冷暖房器1は、平面視長方形の座部2と、軸直角方向の断面形状が逆台形のフイン3が多数平行に配置された熱交換部4とを有する搭載プレート5を備えており、この搭載プレートの下側に位置し、多数のフイン3と嵌合する多数の嵌合溝を上面に有し、嵌合溝の側壁とフインお側面との面接触を介して座部2に熱を伝える熱源部材(後述する)6を備えている。
【0030】
搭載プレートの座部2の上面5aはペットが横たわることができる広さの平坦な面を有しており、その下面5bは、一方の長辺側が厚肉部7とされており、他方の長辺側は薄肉部8とされている。したがって、座部の下面5bは、全体としては厚肉部7から薄肉部8に向かう傾斜面9(片側傾斜)となっている。座部2および熱交換部4は、アルミニウムのような伝導性の良い素材(熱伝導率の高い素材)で一体的に形成されている。
【0031】
図2に示すように、搭載プレート5は、薄肉部8と厚肉部7とからなる縦断面直角三角形の座部2と、前述した薄肉部側の背丈が高く、かつ厚肉部側の背丈が低い、側面視で横長四角形のフイン3とを有する熱交換部4とを備えている。本実施例のペット用冷暖房器1は、ペットの冷えた身体が座部に接触した時に、熱容量が大きな肉厚部7によって暖める時間を長くすることができる。座部の下面5bであってフインのない領域は、対向するフイン3の間にある傾斜した区画領域(傾斜面の一部である)11となっている。この区画領域とこれに隣接するフインにより門形の凹溝12が形成されている。
【0032】
凹溝12の薄肉部側には、区画領域11から表面5aに鉛直に延びる横断面矩形の貫通孔15が設けられている。貫通孔15は凹溝12と連通しているので、貫通孔の周縁部が熱で暖められると、この熱が貫通孔内の空気に移動(対流熱伝達)して暖め、浮力を発生させて上昇気流を起こす(煙突効果)。
【0033】
前記熱交換部4のフイン3の側面3aは下方に向かって内側に傾斜している。詳細には、フインの両側面3aが上方に7度の開き角(抜き勾配)を有している。フイン3は、座部2の短辺5cと平行に一定の間隔を隔てて多数配列されている。フイン3は座部の傾斜面9から下方に垂下され、その下辺3aが座部の上面5aと平行な位置まで延びている。
【0034】
図2は
図1の区画領域におけるA-A断面図である。フイン3の形状から明らかなように、凹溝12は、薄肉部側においては縦方向に高く開口した薄肉側開口13と、厚肉部側において縦方向に低く開口した厚肉側開口14を有している。また、凹溝12の区画領域11は、薄肉部側において幅が狭く、厚肉部側において幅が広くなっている。
【0035】
図2を用いてペット用冷暖房器の暖房作用を説明する。熱源部材6となる使い捨てカイロを手もみして化学反応を開始させ、カイロの本体部を渦巻状に折りたたんで凹溝12に挿入し、その表面に設けられた粘着層を利用してカイロをフインの側面に添着する。使い捨てカイロの発熱量は小さいので、できるだけ多くのフイン間(凹溝12)に挿入するのがよい。できれば、座部をあらかじめ40℃に加熱しておき、カイロでペット用冷暖房器の温度低下を防止するのが実用的である。なお、身体の冷えたペットが座部に横たわっても、厚肉部7の熱容量が大きく、固体間の熱伝導により座部の急激な温度低下は生じない。
【0036】
凹溝12の収容された使い捨てカイロは、燃焼反応を継続するためには、新鮮な空気が必要である。ペット用暖房器1にペットが横たわると、座部2の中央部が最初に暖められる。次に、凹溝12内の暖められた空気は、その浮力により薄肉側に移動し、速やかに大気中に排出(前述の縦断勾配効果および煙突効果)されて、中央部の底面に滞留することがない。排出された空気を補うように、外気が厚肉側開口14を介して凹溝12に導入される。これにより、使い捨てカイロに新鮮な外気が継続的の供給されることになる。
本実施例のペット用冷暖房器21は、搭載プレート25の下側に位置し、少なくともフイン23の側面と面接触(密着)して座部22に熱を伝える熱源部材26を有している。この熱源部材は、その上面26aに前記熱交換部のフイン23と嵌合する嵌合溝27を有するプラスチック容器28と、この容器に収納される熱媒体(温熱媒体または冷却媒体)を備えている。前記プラスチック容器の嵌合溝27が前記フインの内側傾斜角と同じ角度で傾斜した側壁27aを備えており、前記フインを嵌合溝27に嵌合したときに、搭載プレートの自重およびペットの体重により、前記フインの側面23aが前記嵌合溝27の側壁27aに圧着するものである。フインと嵌合溝とを多数設けることにより、搭載プレートと熱源部材の接触面を広く確保することができる。ここで、熱媒体として、温熱媒体(熱湯)を用いれば湯たんぽとなり、冷却媒体(氷を入れた水)を用いれば蓄冷容器となる。
前記搭載プレートと熱源部材の表面硬度について述べる。フイン23を嵌合溝27に嵌合したときに、フインの側面23aが前記凹溝の側壁27aに面接触(密着)している状態を保持するためには、搭載プレート25と熱源部材26とを表面高度の異なる材料で製造するのがよい。例えば、一方が変形して他方に添着するものや、楔のように一方に他方が食い込んで一方が変形するものを採用することができる。搭載プレート25を熱伝導性の良い金属材料ないし硬質プラスチックで製造し、熱源部材26を硬質プラスチックないし軟質プラスチックで製造することができる。