IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カヤバ工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-気泡含有液体製造装置 図1
  • 特開-気泡含有液体製造装置 図2
  • 特開-気泡含有液体製造装置 図3
  • 特開-気泡含有液体製造装置 図4
  • 特開-気泡含有液体製造装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090168
(43)【公開日】2022-06-17
(54)【発明の名称】気泡含有液体製造装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/23 20220101AFI20220610BHJP
   B01F 27/74 20220101ALI20220610BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20220610BHJP
   B01F 25/40 20220101ALI20220610BHJP
   F04D 31/00 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
B01F3/04 A
B01F7/12
B01F15/02 A
B01F5/06
F04D31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020202380
(22)【出願日】2020-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 太志
(72)【発明者】
【氏名】森 輝海
(72)【発明者】
【氏名】畑山 陽介
【テーマコード(参考)】
3H130
4G035
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
3H130AA02
3H130AA12
3H130AA36
3H130AB22
3H130AB42
3H130AC30
3H130BA61A
3H130BA68A
3H130CA02
3H130CA06
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130EA07A
4G035AB10
4G035AC27
4G035AE13
4G037AA01
4G037EA03
4G078AA03
4G078AA30
4G078AB20
4G078BA01
4G078DA16
4G078EA10
4G078EA15
(57)【要約】
【課題】ケーシング内における空気溜まりの発生を抑制する。
【解決手段】気泡含有液体製造装置1は、ケーシング10及びせん断機構部20を備えている。ケーシング10は、一方の端部10A側に第1流入口13及び第2流入口14(流入口)が形成され、他方の端部10B側に流出口15が形成された筒状をなしている。せん断機構部20はケーシング10内を流通する気体及び液体にせん断力を付与して気泡含有液体を生成する。せん断機構部20は、回転体21、モータ22(回転付与部)、及び対向部材23(対向部)を有している。回転体21は軸周りに回転自在にケーシング10内に配置される。モータ22は回転体21に軸周りの回転力を付与する。対向部材23は回転体21と所定の隙間を介して対向する。流出口15は、回転体21の軸方向の一端面と、この一端面に対向するケーシング10の内面との間に形成される空間Sに臨んで開口している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に気体及び液体が流入する流入口が形成され、他端側に前記流入口から流入して内部を流通した気体及び液体が流出する流出口が形成された筒状のケーシングと、
前記ケーシング内を流通する気体及び液体にせん断力を付与するせん断機構部と、
を備えており、
前記せん断機構部は、
軸周りに回転自在に前記ケーシング内に配置された筒状の回転体と、
前記回転体に軸周りの回転力を付与する回転付与部と、
前記ケーシングの内壁部に設けられ、前記回転体の外周部と所定の隙間を介して対向する筒状の対向部と、
を有しており、
前記流出口は、前記回転体の軸方向の一端面と、前記一端面に対向する前記ケーシングの内面との間に形成される空間に臨んで開口していることを特徴とする気泡含有液体製造装置。
【請求項2】
前記流出口は、前記ケーシングの内面のうち、前記回転体の軸方向に対して交差する方向に沿って延びる内面に開口していることを特徴とする請求項1に記載の気泡含有液体製造装置。
【請求項3】
前記ケーシングは、前記流出口に連通する流出路を形成しており、
前記流出路は、前記回転体の軸方向に沿って延びて形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の気泡含有液体製造装置。
【請求項4】
前記流出路は、前記回転体の軸心から遠心方向に離れた位置に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の気泡含有液体製造装置。
【請求項5】
前記流出口は複数形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の気泡含有液体製造装置。
【請求項6】
前記流入口は、液体が流入する液体流入口を有して構成されており、
前記流出口の断面積は、前記液体流入口の断面積よりも小さいことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の気泡含有液体製造装置。
【請求項7】
前記流入口は、前記液体流入口とは異なる位置に開口して気体が流入する気体流入口を有して構成されていることを特徴とする請求項6に記載の気泡含有液体製造装置。
【請求項8】
前記気体流入口は、前記回転体の外周部と前記対向部との間の隙間に臨んで開口していることを特徴とする請求項7に記載の気泡含有液体製造装置。
【請求項9】
前記回転体の軸心から遠心方向に向かう流体の流れを生成するポンプ部を更に備え、
前記ポンプ部は、前記回転体における前記空間側とは反対の端部に設けられて前記回転体の回転に伴って回転する翼部を有しており、
前記気体流入口は、前記翼部よりも前記流出口寄りの位置において開口していることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の気泡含有液体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気泡含有液体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の気泡含有液体製造装置を開示している。この気泡含有液体装置は、ケーシング及び回転体を備えている。ケーシングは、内部に流入した気体及び液体を流通させる。回転体は、所定の軸周りに回転自在にケーシング内に配置されている。気泡含有液体製造装置は、回転駆動源により回転体をケーシング内で回転させることによって、ケーシングの内壁と回転体との間を流通する気泡及び液体にせん断応力を印加して気体の泡を微細化し、微細化された気泡を含有した気泡含有液体を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-103970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、気体及び液体は、回転体の軸方向の一端側に形成された送入口からケーシング内に流入し、ケーシングの外周に形成された送出口から流出する。この場合、回転体の軸方向の他端側における回転体とケーシングの内面との間の隙間において、送出口から流出されることなく滞留する気泡含有液体が生じることがあった。気泡含有液体は、滞留すると、微細化された気泡の粒子が再び集まって大きな気泡となり、ひいては空気溜まりとなる。ケーシング内の空間に空気溜まりが生じると、気泡含有液体のケーシング内における流れが不安定になったり、送出口からの吐出圧を高めることができなくなってしまったりといった不具合の生じるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、ケーシング内における空気溜まりの発生を抑制することができる気泡含有液体製造装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る気泡含有液体製造装置は、ケーシング及びせん断機構部を備えている。ケーシングは、一端側に気体及び液体が流入する流入口が形成され、他端側に流入口から流入して内部を流通した気体及び液体が流出する流出口が形成された筒状をなしている。せん断機構部は、ケーシング内を流通する気体及び液体にせん断力を付与する。せん断機構部は、回転体、回転付与部、及び対向部を有している。回転体は、軸周りに回転自在にケーシング内に配置される筒状をなしている。回転付与部は、回転体に軸周りの回転力を付与する。対向部は、ケーシングの内壁部に設けられ、回転体の外周部と所定の隙間を介して対向する筒状をなしている。流出口は、回転体の軸方向の一端面と、この一端面に対向するケーシングの内面との間に形成される空間に臨んで開口している。
【0007】
この気泡含有液体製造装置は、回転体の軸方向の一端面とケーシングの内面との間の空間において流出口が開口している。このため、この空間に進入した気泡含有液体を滞留させることなく流出口から流出させることができる。
【0008】
したがって、本発明の気泡含有液体製造装置は、ケーシング内における空気溜まりの発生を抑制することができる。
【0009】
本発明の気泡含有液体製造装置において、流出口は、ケーシングの内面のうち、回転体の軸方向に対して交差する方向に沿って延びる内面に開口し得る。この場合、回転体の軸方向に沿って流通する気泡含有液体を、流通方向そのままに流出口に導入することができる。これにより、気泡含有液体をケーシング内から効率よく流出させることができる。
【0010】
本発明の気泡含有液体製造装置において、ケーシングは、流出口に連通する流出路を形成し得る。流出路は、回転体の軸方向に沿って延びて形成され得る。この場合、流出路を流通する気泡含有液体の流れを、ケーシング内における流れ方向である軸方向に沿った流れとすることができる。これにより、気泡含有液体をケーシング内から効率よく流出させることができる。
【0011】
本発明の気泡含有液体製造装置において、流出路は、回転体の軸心から遠心方向に離れた位置に形成され得る。この場合、流出口からの気泡の排出を促進できる。すなわち、気泡含有液体を構成する液体は、遠心力によって遠心方向に集まるため、軸心から遠心方向に離れた位置の流出口から排出されやすくなる。このため、ケーシング内における流体(気体、液体共)の滞留が生じにくくなり、その結果として空気溜まりの発生を抑制することができる。
【0012】
本発明の気泡含有液体製造装置において、流出口は複数形成され得る。この場合、流出口全体の断面積の大きさを所望の大きさで得ることができる。例えば、回転体を回転させるための機構の配置等によってスペースに制限があると、十分な大きさの流出口を形成できない場合がある。しかし、複数箇所に形成することによって、流出口における所望の大きさの断面積を容易に確保できる。
【0013】
本発明の気泡含有液体製造装置において、流入口は、液体が流入する液体流入口を有して構成され得る。そして、流出口の断面積は、液体流入口の断面積よりも小さく設けられ得る。この場合、流入する液体の圧力損失を小さくでき、吸込性を向上させることができる。
【0014】
本発明の気泡含有液体製造装置において、流入口は、液体流入口とは異なる位置に開口して気体が流入する気体流入口を有して構成され得る。この場合、液体と気体とを別々の流入口から流入させる構成とすることができるので、圧力の低下を抑制することができる。
【0015】
本発明の気泡含有液体製造装置において、気体流入口は、回転体の外周部と対向部との間の隙間に臨んで開口し得る。この場合、気体をケーシング内に効率よく流入させることができる。
【0016】
本発明の気泡含有液体製造装置は、ポンプ部を更に備え得る。ポンプ部は翼部を有する。翼部は、回転体におけるケーシング内面との間の空間側とは反対の端部に設けられて回転体の回転に伴って回転する。そして、気体流入口は、翼部よりも流出口寄りの位置において開口し得る。この場合、翼部への空気の侵入を防ぎ、圧力の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態1に係る気泡含有液体製造装置の構成を模式的に示す縦断面図である。
図2図1におけるII-II線断面図である。
図3図1におけるIII-III線断面図である。
図4】実施形態2に係る気泡含有液体製造装置の構成を模式的に示す縦断面図である。
図5】実施形態3に係る気泡含有液体製造装置の構成を模式的に示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の気泡含有液体製造装置を具体化した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、気泡含有液体製造装置として、研削加工における加工点に供給されるクーラント(研削液)に空気の微細気泡を含有させる装置を例示する。なお、気泡の大きさとしては、例えば、直径1μm以下のウルトラファインバブル(UFB:ultra fine bubble)、直径100μm以下のマイクロバブル、直径1mm以下のミリバブル等の種類がある。気泡含有液体が含有する気泡の大きさは、いずれの大きさのものであってもよいが、典型的にはUFBである。
【0019】
<実施形態1>
実施形態1の気泡含有液体製造装置1(以下、単に装置1とも表記する)は、図1から図3に示すように、ケーシング10と、せん断機構部20と、ポンプ部30とを備える。
【0020】
ケーシング10は金属材料や合成樹脂材料によって構成される。図1に示すように、ケーシング10は、円筒状をなし、その軸線を水平方向に沿って配置される。ケーシング10は、液体としてのクーラント、及び気体としての空気を軸方向の一方の端部10A側から他方の端部10B側へと流通させる。ケーシング10は、ケース本体11及び蓋部12を有している。ケース本体11は、ケーシング10の軸方向の一方の端部10A側に配置される部材である。ケース本体11は、一端が開口する有底の円筒状である。ケース本体11は、底部11A及び周壁部11Bを有しており、周壁部11Bの一方の軸端を底部11Aによって閉塞した形態の単一部材である。
【0021】
蓋部12は、ケーシング10の軸方向の他方の端部10B側に配置される部材である。蓋部12は、ケース本体11の開口側端部を液密に閉塞する。蓋部12は、ケース本体11と略同等の外径及び内径を有する大径部12Aと、大径部12Aよりも小さい外径及び内径を有する小径部12Bとを軸方向に連結した段差状の筒状をなしている。蓋部12には中心孔12Cが形成されている。中心孔12Cは、蓋部12を軸方向に貫通して形成されている。中心孔12Cには、後述する軸部材24を回転自在に支持する軸受部材Bが挿入される。
【0022】
ケーシング10は、第1流入口13(液体流入口として例示する)、第2流入口14(気体流入口として例示する)、及び流出口15を形成している。第1流入口13及び第2流入口14は、ケーシング10の端部10A側に形成されており、流出口15は、ケーシング10の端部10B側に形成されている。本実施形態において、気泡含有液体製造装置1は、クーラントが流入する第1流入口13と、第1流入口13とは異なる位置に開口して空気が流入する第2流入口14と、の2つの流入口を有している。第1流入口13、第2流入口14、及び流出口15は、それぞれケーシング10の内面に開口しており、ケーシング10の内部空間を介して相互に連通している。第1流入口13及び第2流入口14からは、クーラント及び空気がそれぞれ送入される。第1流入口13から流入したクーラント、及び第2流入口14から流入した空気は、後述するせん断機構部20においてせん断力を付与されつつケーシング10内を流通して気泡含有液体となり、流出口15からケーシング10外に送出される。
【0023】
図1及び図3に示すように、第1流入口13はケーシング10の端部10A側であって、ケース本体11の底部11Aの中心に形成されている。具体的には、底部11Aの中心には第1流入路13Aが軸方向に沿って貫通して形成されている。第1流入口13は、この第1流入路13Aの下流端側の開口である。第1流入路13Aの上流側には、継手部13Bを介して、クーラントが流通する管路(図示省略)が接続される。この管路の上流側は、研削盤の貯留タンク(図示省略)に連通している。
【0024】
図1から図3に示すように、第2流入口14は、ケーシング10の端部10A側であって、ケース本体11の周壁部11Bに形成されている。周壁部11Bには第2流入路14Aが貫通して形成されている。具体的には、第2流入路14Aは、設置状態にあるケーシング10の上端部に対応する位置において、周壁部11Bを上下に貫通して形成されている。第2流入口14は、この第2流入路14Aの下流端側の開口である。第2流入路14Aの上流側には、継手部14Bを介して、圧縮空気が流通する管路(図示省略)が接続される。この管路の上流側は、コンプレッサ等の圧縮空気の供給源に連通している。
【0025】
流出口15は、ケーシング10の内面のうち、ケーシング10の軸方向に対して交差する方向に延びる内面に開口している。具体的には、図1及び図3に示すように、流出口15は、ケーシング10の端部10B側であって、蓋部12の大径部12Aの底部に形成されている。大径部12Aの底部には、流出路15Aが貫通して形成されている。流出口15は、この流出路15Aの上流端側の開口である。図1に示すように、大径部12Aの底部の内面A1は、ケーシング10の軸方向に対して略直交する方向に延びて形成されている。流出口15は、この内面A1に開口している。
【0026】
流出路15Aは、蓋部12の中心軸から遠心方向に離れた位置に形成されている。具体的には、流出路15Aは、蓋部12の中心軸から上方にオフセットした位置において、蓋部12の中心軸に沿って延びて形成されている。なお、蓋部12の中心軸とは、ケーシング10の中心軸と同義であり、ケーシング10の中心軸は、後述する回転体21の回転軸と一致している。
【0027】
流出路15Aの下流端側には、継手部15Bを介して、装置1によって生成した気泡含有液体を研削盤側に送出する管路(図示省略)が接続される。この管路の上流側は、上述の貯留タンクに接続されていてもよいし、クーラントを加工点に吐出する吐出口に直接的に連通していてもよい。流出口15の断面積は、第1流入口13の断面積よりも小さく設けられている。具体的には、流出口15の開口径が25mm程度であるのに対し、第1流入口13の開口径は32mm程度であり、断面積比としては0.6倍程度である。なお、流出口15と第1流入口13の断面積比としては、例えば、0.5倍~0.8倍程度であることができる。
【0028】
せん断機構部20は、ケーシング10内を流通するクーラント及び空気にせん断力を付与する。図1及び図2に示すように、せん断機構部20は、回転体21と、モータ22(回転付与部として例示する)と、対向部材23(対向部として例示する)とを有する。せん断機構部20は、回転体21と対向部材23とを対向して配置して構成される。せん断機構部20は、モータ22によって回転体21を回転させ、回転体21と対向部材23との間に相対回転(相対移動)を生じさせる。回転体21と対向部材23との間にはクーラント及び空気の混合流体が流通する。せん断機構部20は、回転体21と対向部材23との相対移動によって、混合流体に対してせん断力を付与する構成である。
【0029】
図1及び図2に示すように、回転体21は円筒状に形成されている。回転体21は、回転体21の中心軸周りに回転自在にケーシング10内に配置されている。回転体21の中心軸は、ケーシング10の中心軸に対して同軸に配置されている。すなわち、本実施形態において、回転体21は、自身の中心軸をケーシング10の中心軸に一致させて配置される。回転体21は金属材料や合成樹脂材料によって構成される。
【0030】
図1及び図2に示すように、回転体21は、周壁部21A、底壁部21B、及び筒部材21Cを有して構成されている。周壁部21Aは、回転体21の内周部に相当する部位である。周壁部21Aは円筒状をなしている。底壁部21Bは、回転体21の軸方向の一端部に相当する部位である。底壁部21Bは円板状をなしており、周壁部21Aの軸方向の一端を閉塞する。筒部材21Cは、回転体21の外周部に相当する部位である。筒部材21Cは、周壁部21Aよりも大径な円筒状をなし、周壁部21Aの外周に取り付けられている。
【0031】
図1に示すように、回転体21は、底壁部21B側の端面(回転体の軸方向の一端面)をケーシング10の蓋部12の内面に対向させるとともに、筒部材21Cの外周面をケーシング10のケース本体11の内周面に対向させてケーシング10内に収納されている。この状態において、底壁部21Bと蓋部12との間には空間Sが形成されている。流出口15は、この空間Sに臨んで開口している。底壁部21Bと蓋部12との間隔は、回転体21の外径(約150mm)の0.2倍~0.33倍(30mmから50mm)程度としている。
【0032】
また、図1及び図2に示すように、筒部材21Cは、対向部材23との間に所定間隔の環状の隙間Cを形成している。第2流入口14は、この隙間Cに臨んで開口している。環状の隙間Cにおける筒部材21Cと対向部材23との間隔は2mm程度である。この筒部材21Cと対向部材23との間隔の大きさは、回転体21の外径に依らず、流通する液体の粘度等に応じて適宜設定することができる。例えば、隙間Cの間隔は、1mm~4mm程度であることができる。なお、本実施形態において、環状の隙間C全体の断面積の大きさは、第1流入口13の断面積よりも大きい。
【0033】
図1及び図2に示すように、本実施形態において、回転体21の外周部には第1構造面S1が設けられている。具体的には、第1構造面S1は、筒部材21Cの外周部に設けられている。第1構造面S1は、回転体21の中心軸を軸心とする円筒状の曲面である。第1構造面S1には複数の凹部S10が形成されている。複数の凹部S10は円形のディンプルである。複数の凹部S10は、第1構造面S1上において、軸方向及び周方向に所定の間隔で配列されている。
【0034】
図1に示すように、モータ22は、ケーシング10の端部10B側の外部に配置されている。モータ22には軸部材24の一端が連結されている。軸部材24は、蓋部12の中心孔12Cに配置された軸受部材Bに回転自在に支持されている。軸部材24の他端側はケーシング10内に片持ち状に突出して回転体21に連結されている。軸部材24は、モータ22の回転力を回転体21に伝達する。すなわち、回転体21は、軸部材24を介してモータ22から回転力を付与される。
【0035】
図1及び図2に示すように、対向部材23は、ケーシング10の内壁部に設けられた円筒状の部材である。対向部材23の内周面は、回転体21の筒部材21Cの外周面に対向している。上述のように、対向部材23と筒部材21Cとの間には環状の隙間Cが形成されている。本実施形態において、対向部材23の内周部には第2構造面S2が設けられている。第2構造面S2は、ケース本体11の中心軸を軸心とする円筒状の曲面である。第2構造面S2には複数の凹部S20が形成されている。複数の凹部S20は円形のディンプルであり、第2構造面S2上において軸方向及び周方向に所定の間隔で配列されている点は第1構造面S1と同様である。
【0036】
ポンプ部30は、モータ22の駆動により第1流入口13から流出口15へ向けてクーラントを移送することが可能に構成される。図1及び図3に示すように、ポンプ部30は、ベース部31と、複数の翼部32とを有する。ベース部31は、回転体21における空間Sに対応する端部とは反対側の端部に取り付けられており、回転体21と一体的に回転する。ベース部31は、回転体21における筒部材21Cの外径と同等の外径を有する円板形状をなしている。複数の翼部32は、ケース本体11の底部11A側に向かって突出するようにベース部31と一体的に設けられる。複数の翼部32は、図3に示すように、ベース部31の中心部から周縁部に向かって旋回しながら放射状に延びるように形成される。
【0037】
ポンプ部30は、遠心ポンプ(渦巻きポンプ)を構成し、複数の翼部32は、遠心羽根車に対応する。つまり、ポンプ部30は、ベース部31の中心(回転軸心)からその遠心方向に向かうクーラントの流れを形成する。複数の翼部32は、クーラントに旋回力を与えてエネルギを増加させ、第1流入口13から、ケーシング10の内周面と回転体21の外周面との間の環状の隙間C、流出口15へ向けてクーラントを移送する吐出圧力を形成する。
【0038】
図3に示すように、各翼部32は、その内周側から外周側に向かって幅が大きくなるような流線形状に形成される。これにより、翼部32間に形成される流路33の十分な幅の確保とともに、流路33の幅の一様化が図られている。これにより、流路33を流れるクーラントの低抵抗化を実現することができる。
【0039】
上述のように、第2流入口14は、回転体21の外周面と対向部材23の内周面との間の隙間Cに臨んで開口している。具体的には、第2流入口14の開口位置は、図1に示すように、ケーシング10の軸方向において、ポンプ部30の翼部32よりも流出口15寄りの位置である。したがって、第2流入口14からの空気は、ポンプ部30よりも下流側に流入する。気泡含有液体の製造効率の観点では、第2流入口14は、ポンプ部30よりも流出口15寄りであって、第1構造面S1及び第2構造面S2の最も上流側に対応する位置(第1流入口13により近い位置)に形成されていることが好ましい。
【0040】
次に、上記構成の気泡含有液体製造装置1の動作について説明する。
【0041】
モータ22が起動し、回転体21が所定回転数(例えば、3000rpm)で回転する。これにより、ポンプ部30が回転体21とともに回転し、図示しない研削盤の貯留タンクからクーラントが吸入されて第1流入口13からケーシング10内に導入される。
【0042】
第1流入口13からケーシング10内に導入されたクーラントは、ポンプ部30による旋回作用を受けて所定の吐出圧で隙間Cへ供給される。また、第2流入口14からは、図示しないコンプレッサ等からの圧縮空気がケーシング10内に所定圧力で導入され、隙間Cにおいてクーラントに混入される。空気が混入されたクーラントは、第1構造面S1及び第2構造面S2の間を下流側に向かって流通する。この時、回転体21の第1構造面S1は、対向部材23の第2構造面S2に対して相対回転する。これにより、空気を含んだクーラントがせん断応力を受け、気泡が微細化された気泡含有クーラント(気泡含有液体)となる。
【0043】
特に、本実施形態では、回転体21側の第1構造面S1及びケーシング10(対向部材23)側の第2構造面S2の2つの構造面S1,S2を形成しており、これら2つの構造面S1,S2の凹凸面の間で、クーラントに対してせん断力が付与される。したがって、凹凸面が1つの場合や凹凸面が形成されていない場合と比較して、極めて大きなせん断エネルギをクーラントに付与することができ、気泡の微細化を促進することができる。また、環状の隙間C全体の断面積の大きさは、第1流入口13の断面積の大きさよりも大きいため、隙間Cを流通するクーラントの圧力損失が低減されている。
【0044】
第1構造面S1及び第2構造面S2の間で生成された気泡含有液体は、回転体21の底壁部21Bとケーシング10の蓋部12との間の空間Sに到達し、流出口15から流出する。流出口15は、この空間Sに臨んで開口していることから、空間S内における空気溜まりを生じさせることなく気泡含有液体を流出させることができる。また、流出口15は、第1流入口13の断面積よりも小さい断面積で設けられているため、ポンプ部30による十分な吐出圧力をもって図示しない研削盤側へ送出される。
【0045】
また、気泡含有液体は、流出口15から流出路15Aに進入し、この流出路15Aを経てケーシング10の外部に流出する。流出路15Aは、回転体21の軸方向に沿って延びている。すなわち、流出路15Aは、ケーシング10内における気泡含有液体の流れ方向と同じ方向に延びている。このため、気泡含有液体のケーシング10からの流出が促進される。
【0046】
また、流出口15は、回転体21の軸方向の一端面である底壁部21B側の端面と、この端面に対向するケーシング10の内面である蓋部12の内面との間に形成される空間Sに臨んで開口している。この空間Sは、せん断機構部20の下流に位置している。したがって、空間Sに到達した気泡含有液体は、上流側のせん断機構部20において気泡の微細化処理が完了したものである。このため、流出口15からは、気泡の微細化処理が完了した気泡含有液体のみが流出し、処理途中のものが流出することはない。
【0047】
以上のように、実施形態1に係る気泡含有液体製造装置1は、ケーシング10及びせん断機構部20を備えている。ケーシング10は、一方の端部10A側に第1流入口13及び第2流入口14が形成され、他方の端部10B側に、第1流入口13及び第2流入口14から流入して内部を流通したクーラント及び空気が流出する流出口15が形成された筒状をなしている。せん断機構部20は、ケーシング10内を流通するクーラント及び空気にせん断力を付与して気泡含有液体を生成する。せん断機構部20は、回転体21、回転付与部としてのモータ22、及び対向部としての対向部材23を有している。回転体21は、軸周りに回転自在にケーシング10内に配置される筒状をなしている。モータ22は、回転体21に軸周りの回転力を付与する。対向部材23は、ケーシング10の内壁部に設けられ、回転体21の外周部と所定の隙間を介して対向する筒状をなしている。流出口15は、回転体21の軸方向の一端面である底壁部21B側の端面と、この端面に対向するケーシング10の内面である蓋部12の内面との間に形成される空間Sに臨んで開口している。
【0048】
気泡含有液体製造装置1は、流出口15が空間Sにおいて開口している。空間Sは、回転体21の一方の端面とケーシング10の内面との間の空間であり、ケーシング10の内部空間における軸方向末端の空間である。このため、この空間Sに進入した気泡含有液体を滞留させることなく流出口15から流出させることができる。
【0049】
したがって、気泡含有液体製造装置1は、ケーシング10内における空気溜まりの発生を抑制することができる。
【0050】
また、流出口15は空間Sにおいて開口しており、この空間Sは、せん断機構部20の下流側に位置している。このため、気泡含有液体製造装置1は、気泡の微細化処理途中の気泡含有液体を流出させることなく、処理済みのものを好適に流出させることができる。
【0051】
また、流出口15は、ケーシング10の内面のうち、ケーシング10の軸方向に対して直交する方向に沿って延びる内面A1に開口している。このため、回転体21の軸方向と同方向であるケーシング10の軸方向に沿って流通する気泡含有液体を、流通方向そのままに流出口15に導入することができる。これにより、気泡含有液体をケーシング10内から効率よく流出させることができる。
【0052】
また、ケーシング10は、流出口15に連通する流出路15Aを形成している。この流出路15Aは、回転体21の軸方向に沿って延びて形成されている。このため、流出路15Aを流通する気泡含有液体の流れを、ケーシング10内における流れ方向である軸方向に沿った流れとすることができる。これにより、気泡含有液体をケーシング10内から効率よく流出させることができる。
【0053】
また、流出路15Aは、蓋部12の中心軸(回転体21の軸心)から遠心方向に離れた位置に形成されている。具体的には、流出路15Aは、中心軸を水平方向に沿って配置したケーシング10において、蓋部12の中心軸から上方にオフセットした位置において、蓋部12の中心軸に沿って延びて形成されている。このため、空気の排出を促進することができ、空気溜まりの発生を抑制することができる。すなわち、気泡含有液体を構成する液体であるクーラントは、遠心力によって遠心方向に集まるため、流出口15から排出されやすくなる。このため、ケーシング10内における流体(気体、液体共)の滞留が生じにくくなり、その結果として、空気溜まりの発生を抑制することができる。
【0054】
また、流入口は、液体が流入する液体流入口としての第1流入口13を有して構成されている。そして、流出口15の断面積は、第1流入口13の断面積よりも小さく設けられている。このため、流入する液体の圧力損失を小さくでき、吸込性を向上させることができる。
【0055】
また、流入口は、気体流入口としての第2流入口14を有して構成されている。第2流入口14は、第1流入口13とは異なる位置に開口して空気が流入する。このため、クーラントと空気とを別々の流入口から流入させる構成となり、圧力の低下を抑制することができる。
【0056】
第2流入口14は、回転体21の外周部と対向部材23との間の環状の隙間Cに臨んで開口している。このため、空気をケーシング10内に効率よく流入させることができる。また、第2流入口14は、ケーシング10内における端部10A寄りの位置において隙間Cに開口している。このため、せん断機構部20によるせん断力をより長い距離に亘って付与することができる。
【0057】
また、気泡含有液体製造装置1は、ポンプ部30を更に備える。ポンプ部30は翼部32を有する。翼部32は、回転体21におけるケーシング10内面との間の空間S側とは反対の端部に設けられて回転体21の回転に伴って回転する。そして、第2流入口14は、翼部32よりも流出口15寄りの位置において開口している。このため、翼部32への空気の侵入を防ぎ、圧力低下を防止することができる。すなわち、気泡含有液体製造装置1は、翼部32よりも下流側においてケーシング10内に空気が導入される。このため、翼部32では、第2流入口14からの空気が混入される前のクーラントが流通し、圧力の低下を抑制できる。
【0058】
また、気泡含有液体製造装置1は、ポンプ部30を備えているため、第1流入口13へクーラントを送入する管路側、又は流出口15から気泡含有液体を送出する管路側にポンプを別途設置する必要がない。このため、気泡含有液体製造装置1が備えられるシステムの簡素化を図ることができる。
【0059】
<実施形態2>
次に、実施形態2に係る気泡含有液体製造装置201について説明する。図4に示すように、気泡含有液体製造装置201は、実施形態1と同様の流出口15に加えて第2流出口216を有している点において、実施形態1の気泡含有液体製造装置1と相違する。その他の点において、実施形態1と同様の構成には同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0060】
図4に示すように、気泡含有液体製造装置201において、第2流出口216は、流出口15と同様に、空間Sに臨んで開口しているとともに、大径部12Aの底部の内面A1に開口している。第2流出口216は、ケーシング10の端部10B側であって、蓋部12の大径部12Aの底部に形成されている。大径部12Aの底部には、第2流出路216Aが貫通して形成されている。第2流出口216は、この第2流出路216Aの上流端側の開口である。第2流出路216Aは、蓋部12の中心軸から下方にオフセットした位置において、蓋部12の中心軸に沿って延びて形成されている。第2流出路216Aは、蓋部12の中心軸を挟んで、流出路15Aと上下に対称に形成されている。なお、第2流出路216Aの下流側には管路(図示省略)が接続される。この管路は、下流側において、流出路15Aの下流側に接続される管路と合流する。
【0061】
図4に示すように、気泡含有液体製造装置201において、蓋部12の中心には回転体21に連結される軸部材24が挿通されるとともに、この軸部材24を回転自在に支持する軸受部材Bが配置される。このように、気泡含有液体製造装置201において、ケーシング10の端部10B側には、回転体21を回転支持する機構部が設けられるためスペース的な制約が生じる。このため、1つの流出口のみでは、所望の大きさの断面積を確保できないおそれがある。しかし、流出口15及び第2流出口216のように、流出口を複数形成することによって、所望の大きさの断面積を容易に確保することができる。
【0062】
<実施形態3>
次に、実施形態3に係る気泡含有液体製造装置301について説明する。図5に示すように、気泡含有液体製造装置301は、実施形態1の流出口15に替えて、流出口315を有している点において実施形態1の気泡含有液体製造装置1と相違する。その他の点において、実施形態1と同様の構成には同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0063】
図5に示すように、気泡含有液体製造装置301において、流出口315は、空間Sに臨んで開口している点は流出口15と同様である。流出口315は、ケーシング10の内面のうち、ケーシング10の軸方向に沿った方向に延びる内面に開口している点において、実施形態1の流出口15と相違する。具体的には、流出口315は、ケーシング10の端部10B側であって、蓋部12の大径部12Aの周壁部に形成されている。流出口315は、設置状態にある気泡含有液体製造装置301において、ケーシング10の内部空間における最も上部、且つ最も端部10B寄りの位置に開口している。大径部12Aの周壁部には、流出路315Aが貫通して形成されている。流出口315は、この流出路315Aの上流端側の開口である。図5に示すように、大径部12Aの周壁部の内面A2は、ケーシング10の軸方向に沿った方向に延びて形成されている。流出口315は、この内面A2に開口している。流出路315Aは、大径部12Aの周壁部のうち、大径部12Aの底部に近接した位置において上下方向に延びて形成されている。なお、流出路315Aの延伸方向としては、蓋部12の中心軸と交差する方向であってもよいし、蓋部12の周壁部の接線方向等、蓋部12の中心軸に対してねじれの関係となる方向において延びるものであってもよい。
【0064】
気泡含有液体製造装置301は、流出口315が空間Sにおいて開口している。空間Sは、ケーシング10の内部空間における軸方向末端の空間であるため、この空間Sに進入した気泡含有液体を滞留させることなく流出口315から流出させることができる。
【0065】
また、流出口315は、ケーシング10の内部空間における最も上部、且つ最も端部10B寄りの位置に開口している。このため、仮に空間Sに空気溜まりが生じたとしても、流出口315から速やかに排出することができる。
【0066】
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施形態1~3に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0067】
(1)上記各実施形態では、回転体が円筒形状に形成された形態を例示したが、これは必須ではない。回転体は、例えば、円錐台形状、外周に段差の形成された形状等であってもよい。この場合、回転体の外周部と所定の隙間を介して対抗する対向部もまた、回転体の外周部の形状に倣った形状であるとよい。
【0068】
(2)上記各実施形態では、気泡含有液体を構成する液体及び気体として、クーラント及び空気を例示したが、これは必須ではない。気泡を形成する気体としては、例えば、空気、窒素、酸素、オゾン、二酸化炭素等を挙げることができる。気泡含有液体を構成する液体としては、例えば、クーラント、切削油、水(水道水、精製水、海水等)等を挙げることができる。これら気泡含有液体を構成する気体及び液体は、用途に応じて適宜選択可能である。
【0069】
(3)上記各実施形態では、せん断機構部が、第1構造面と、この第1構造面に対向して配置される第2構造面とを有する形態を例示したが、これは必須ではない。せん断機構部は、例えば、第1構造面及び第2構造面のうちの一方のみを有していてもよいし、第1構造面及び第2構造面のいずれも有していなくてもよい。すなわち、せん断機構部は、互いに相対回転する回転体及びケーシングの各相対回転部位の間を流通する気体及び液体に対してせん断力を付与する形態であればよく、その具体的な構成は特に問わない。せん断機構部は、回転体及びケーシングの各相対回転部位の少なくとも一方において、当該部位における互いに対向する面に凹状、凸状等の起伏が形成されていることが好ましい。
【0070】
(4)上記各実施形態では、第1構造面及び第2構造面が円形状の複数の凹部をそれぞれ有する形態を例示したが、これは必須ではない。第1構造面及び第2構造面が凹部を有する場合、その大きさ、深さ、外形形状、配列間隔等は特に限定されない。凹部の外形形状としては、例えば、三角形、四角形等の多角形状であってもよい。特に、六角形状のハニカム構造の場合、複数の凹部を高密度で形成することができる。また、凹部としては、独立した形状に限らず、例えば、溝状や格子状、放射状等の凹凸面を形成できる各種形状であってもよい。
【0071】
(5)上記各実施形態では、筒部材を回転体の周壁部とは別部材で設ける形態を例示したが、回転体の周壁部に一体に設けてもよい。
【0072】
(6)上記各実施形態では、対向部が対向部材としてケーシングの周壁部とは別部材で設けられる形態を例示したが、対向部は、ケーシングの内壁部にケーシングと一体に設けられていてもよい。この場合、第2構造面は、ケーシングの内壁部に直接的に形成されていることができる。
【0073】
(7)上記各実施形態では、液体流入口としての第1流入口及び気体流入口としての第2流入口の2つの流入口を有する形態を例示したが、これは必須ではない。流入口は、例えば、気体が予め混入された液体が流入する1つ又は複数の流入口を有する形態や、液体が流入する1つ又は複数の液体流入口と、気体が流入する1つ又は複数の気体流入口とを有する形態等であってもよい。
【0074】
(8)上記各実施形態では、ポンプ部を備える形態を例示したが、これは必須ではない。ポンプ部の機能は、例えば、流入口の上流側配管や流出口の下流側配管に別途ポンプが設けられた構成によって実現することができる。この場合、気泡含有液体製造装置がポンプ部を備えている必要はない。また、ポンプ部の構造としては、遠心ポンプに限らず、ベーンポンプやカスケードポンプ(渦流ポンプ)などの他のポンプ構造が採用されてもよい。
【0075】
(9)上記各実施形態では、流出口が、回転体の端面とケーシング内面との間の空間における軸端面又は周壁面の一方に臨んで形成される形態を例示したが、これは必須ではない。流出口は、例えば、回転体の端面とケーシング内面との間の空間における軸端面及び周壁面の両方に臨んで開口した形態、すなわち、ケーシングの周壁及び端壁に跨って形成されていてもよい。また、複数の流出口が形成されている場合には、回転体の端面とケーシング内面との間の空間における軸端面に臨んで開口する流出口と、周壁面に臨んで開口する流出口との両方が形成されていてもよい。
【0076】
流出口が、ケーシングの内面のうち、回転体の軸方向に対して交差する方向に沿って延びる内面に開口して形成される場合、この「内面」の延びる方向は、回転体の軸方向に対して略直交する方向に延びていることが好ましい。気泡含有液体のケーシング内における流通方向である軸方向から見た場合の開口の投影面積を最大にでき、気泡含有液体をケーシング内から一層効率よく流出させることができるからである。
【符号の説明】
【0077】
1,201,301…気泡含有液体製造装置、10…ケーシング、13,14…流入口(13…第1流入口(液体流入口)、14…第2流入口(気体流入口))、15,216,315…流出口、15A,216A,315A…流出路、20…せん断機構部、21…回転体、22…モータ(回転付与部)、23…対向部材(対向部)、30…ポンプ部、32…翼部、C…(回転体の外周部と対向部との間の)隙間、S…(回転体の軸方向の一端面とケーシングの内面との間の)空間
図1
図2
図3
図4
図5