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  • 特開-多回転検出装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090211
(43)【公開日】2022-06-17
(54)【発明の名称】多回転検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/20 20060101AFI20220610BHJP
【FI】
G01D5/20 110E
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020202449
(22)【出願日】2020-12-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】新井 真一
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA28
2F077CC02
2F077FF34
2F077PP26
2F077QQ17
2F077TT87
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明の課題は、励磁手段を別個に設けることなく小型化できる回転検出信号処理部を提供すること。
【解決手段】レゾルバ30と共に用いられて回転角度を検出する回転検出信号処理部10であって、回転検出信号処理部10は、レゾルバ30へ供給する励磁信号を出力する励磁アンプ11を一体的に備えるASICとして形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レゾルバ(30)からの回転検出信号を処理する回転検出信号処理部(10)を有する多回転検出装置であって、
前記回転検出信号処理部(10)は、前記レゾルバ(30)へ供給する励磁信号を増幅する励磁信号増幅手段(11)と、バックアップ用励磁信号生成手段(15)とを一体的に備えるASICとして形成されている、多回転検出装置。
【請求項2】
前記回転検出信号処理部(10)は、外部から連続的に供給される電力により作動する通常電源モードと、
前記外部から連続的に供給される電力の供給がない時に、前記回転検出信号処理部(10)に接続されているバックアップ電源(16)により作動するバックアップ電源モードとの2つの作動モードを有しており、
前記バックアップ電源モードでは、前記通常電源モードより少ない電力で回転検出を行う、請求項1に記載の多回転検出装置。
【請求項3】
前記バックアップ電源モードにおいて、レゾルバ(30)に出力される励磁信号の電圧値は、前記通常電源モードにおける励磁信号の電圧値より低い電圧値である、請求項2に記載の多回転検出装置。
【請求項4】
前記バックアップ電源モードにおいて、励磁信号は間欠的に生成される、請求項2又は3に記載の多回転検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多回転検出装置に関し、特に回転検出を行い、ASICからなる回転検出信号処理部に、レゾルバへ供給する励磁信号を増幅する励磁信号増幅手段と、バックアップ用励磁信号生成手段を備える新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された「絶対位置検出方法及び装置」は、通電時にレゾルバ/デジタル変換手段からのAC励磁信号を切換手段を介して1個のレゾルバに入力し、レゾルバ出力信号を得ると共に、停電時にはパルス励磁手段からのパルス励磁信号を前記切換手段を介して前記レゾルバに入力し、レゾルバ出力信号及び前記パルス励磁信号を回転数カウント手段に入力して停電時多回転カウントデータを得るようにした構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4709963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、回転検出信号処理部と励磁信号増幅手段と切換手段は、別個に形成されているため、回路規模が大きく、切換手段の信号が煩雑になるという短所があった。そのため、小型化に限界があった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、励磁手段を別個に設けずに、回転検出信号処理部内に内蔵することにより、多回転検出装置を小型化することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る回転検出信号処理部は、レゾルバへ供給する励磁信号を出力する励磁アンプを一体的に備えるASICとして形成されている。
【0007】
また、本発明に係る回転検出信号処理部は、外部から連続的に供給される電力により作動する通常電源モードと、回転検出信号処理部に接続されているバックアップ電源により作動するバックアップ電源モードとの2つの作動モードを有しており、バックアップ電源モードは通常電源モードより少ない電力で回転検出を行うように構成されている。
【0008】
また、本発明に係る回転検出信号処理部は、バックアップ電源モードにおける励磁信号の電圧値は、通常電源モードにおける励磁信号の電圧値と比べて低い電圧値となるように構成されている。
【0009】
また、本発明に係る回転検出信号処理部は、バックアップ電源モードでは、励磁信号は間欠的に生成されるように構成されている。
【0010】
したがって、本発明によれば、回路規模を小さくすることができる。よって、小型化できるとともに、部品点数削減、及びコスト低減を図ることができる。
【0011】
したがって、本発明によれば、回転検出信号処理部へ電力を供給する主電源がオフの時にも、低消費電力で長時間回転検出をすることができる。よって、常に回転軸の回転検出を行うことができる。
【0012】
したがって、本発明によれば、低消費電力のため、バックアップ電力を長時間維持することができる。よって、バックアップ電源モードでの回転検出を、長時間続けることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、回路規模を小さくすることができる。よって、小型化できるとともに、部品点数削減、及びコスト低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る回転検出信号処理部を示す回路図である。
図2図1の回転検出信号処理部において、通常電源モードからバックアップ電源モードへ変わる時の励磁波形の変化を示す図である。
図3図1の回転検出信号処理部において、バックアップ電源モードから通常電源モードへ変わる時の励磁波形の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照しながら、本発明の実施の形態に係る回転検出信号処理部10を説明する。回転検出信号処理部10は、RD変換器20と、レゾルバ30とともに、多回転検出装置100を構成している。
【0016】
回転検出信号処理部10は、回転検出において、作動の制御、取得した回転角度情報の演算及び出力、等を担う主要な回路である。回転検出信号処理部10は、励磁アンプ11、切換手段12、回転数検出手段13、回転数計数手段14、バックアップ用励磁信号生成手段15、演算手段17、及び、インターフェース18を備えている。回転検出信号処理部10は、これらを備えるASICとして、1チップICで形成されている。以下に、各々の構成を説明する。
【0017】
励磁アンプ11は、励磁信号を増幅する回路である。励磁アンプ11は、RD変換器20で生成された励磁信号が入力される。励磁アンプ11は、入力された励磁信号を増幅して切換手段12に出力する。励磁アンプ11は、例えば入力された励磁信号を増幅する励磁アンプである。
【0018】
切換手段12は、入力された励磁信号を選択して、レゾルバ30に出力する回路である。切換手段12には、励磁アンプ11とバックアップ用励磁信号生成手段15とが接続されており、後述するように、回転検出信号処理部10の作動モードに応じて生成される励磁信号を選択して、レゾルバ30に出力する。
【0019】
回転数検出手段13は、レゾルバ30から出力される交流波信号を、矩形波信号に変換して出力する回路である。1回転単位の回転数情報を回転数計数手段14に出力する。
【0020】
回転数計数手段14は、回転数検出手段13から入力される回転数情報を保持する回路である。回転数計数手段14は、1回転単位の回転数情報を保持する。回転数計数手段14は、保持している回転数情報を接続されている演算手段17に出力する。
【0021】
バックアップ用励磁信号生成手段15は、回転検出信号処理部10の作動モードに応じてレゾルバ30に出力する励磁信号を生成する回路である。回転検出信号処理部10は、外部からの電力で作動する通常電源モードと、主電源がオフの間に回転検出を行うバックアップ電源モードとを有している。通常は、回転検出信号処理部10は、外部から連続的に供給される電力で作動しており、主電源がオフの間には外部からの電力は供給されない。しかし、回転検出信号処理部10の主電源がオフとなっていても回転検出が行えることが望ましい。そのため、回転検出信号処理部10、具体的にはバックアップ用励磁信号生成手段15にはバックアップ電源としてのバックアップ用動作クロック16が接続されており、バックアップ用励磁信号生成手段15により励磁信号を生成して出力することができる構成になっている。バックアップ用励磁信号生成手段15は切換手段12と接続されており、主電源がオフの間にも切換手段12を介してレゾルバ30に励磁信号を出力できる。
【0022】
演算手段17は、回転数計数手段14からの回転角度信号と、RD変換器20からの回転角度信号とを加算して、絶対回転角度情報を演算する回路である。回転数計数手段14から1回転単位の回転角度情報が入力され、RD変換器20からは360°未満の回転角度情報が入力される。演算手段17は、それらの信号を加算することで絶対回転角度を演算する。
【0023】
インターフェース18は、演算手段17により演算された絶対回転角度情報を外部に出力するための装置である。インターフェース18は、接続された各々の外部機器にシリアルパラレルインターフェース等を介して、絶対回転角度情報を出力する。
【0024】
外部電源は、電圧検出手段41と、制御手段42とを備えるリセットIC回路を介して回転検出信号処理部10に接続されており、一定電圧値の直流電流が入力される。
【0025】
RD変換器(レゾルバデジタル変換器)20は、レゾルバ30から出力された交流波信号を、デジタル信号に変換する回路である。RD変換器20は、1チップICとして形成されている。RD変換器20で変換されたデジタル信号は、RD変換器20に接続されている回転検出信号処理部10に出力される。また、本実施の形態では、RD変換器20は、通常電源モード時に、回転検出信号処理部10を介してレゾルバ30に出力される励磁信号となる交流波信号を生成する回路を含んでいる。RD変換器20で生成された交流波信号は、回転検出信号処理部10が有する励磁アンプ11により増幅された後、レゾルバ30に励磁信号として出力される。
【0026】
レゾルバ30は、回転角度に応じた電圧を出力する装置である。レゾルバ30は、周知のように、図示しないロータとステータとを備えている。環状のステータの内周面には、コイルが巻回されているティースが周方向に複数形成されている。複数のコイルは、励磁信号が入力される励磁コイルと、ロータとティース先端との間のギャップの変動に応じた出力電圧が発生する出力コイルとを含んでいる。後述するように、励磁コイルには回転検出信号処理部10が接続され、出力コイルにはRD変換器20と回転検出信号処理部10とが、それぞれ接続されている。
【0027】
図2図3を参照しながら、次に、本発明の回転検出信号処理部10の特徴である、外部から連続的に供給される電力で作動する通常電源モードと、外部電力が供給されない時に、バックアップ電源により作動するバックアップ電源モードとを説明する。通常電源モードと、バックアップ電源モードとでは、励磁信号を発生する回路、及び発生する励磁信号の波形が異なる。
【0028】
<通常電源モード>
まず、通常電源モードを説明する。通常電源モードは、外部から連続的に供給される電力により回転検出信号処理部10が作動する作動モードである。通常電源モードでは、励磁信号はRD変換器20により生成される。RD変換器20により生成された交流波信号は、回転検出信号処理部10の励磁アンプ11に入力される。図2図3には、回転検出信号処理部10に関する主電源状態と、レゾルバに出力される励磁信号の形態が示されている。通常電源モードでは、RD変換器20が励磁信号である交流波信号Aを生成し、励磁アンプ11に出力する。励磁アンプ11は、入力された励磁信号を増幅し、切換手段12に出力する。切換手段12は、励磁アンプ11からの励磁信号を選択してレゾルバ30に出力する。レゾルバ30に励起信号が入力されると、レゾルバ30の回転に応じた交流波出力がレゾルバ30から出力される。出力された交流波信号は、回転検出信号処理部10に入力されるとともに、RD変換器20に入力され、それぞれデジタル信号化されたあと、演算手段17で合算されて、絶対回転角度が算出される。以上が、通常電源モード時の作動である。
【0029】
<バックアップ電源モード>
次に、バックアップ電源モードを説明する。主電源がオフとなっている間は、外部からの電力は回転検出信号処理部10に供給されない。回転検出信号処理部10には、バックアップ用動作クロック16が接続されており、バックアップ電源モード時には、バッテリ(3.6∨)により回転検出信号処理部10に備えられている回路の一部を作動させて、回転検出を行う。バックアップ電源モードでは、バックアップ用励磁信号生成手段15、切換手段12、回転数検出手段13、及び回転数計数手段14が機能するように構成されている。バックアップ電源モードでは、励起信号はバックアップ用励磁信号生成手段15で生成される。バックアップ用励磁信号生成手段15で生成された励起信号は、切換手段12に出力される。切換手段12は、バックアップ用励磁信号生成手段12からの励磁信号を選択してレゾルバ30に出力する。
【0030】
レゾルバ30の作動は、通常電源モードとバックアップ電源モードとでは同じであり、レゾルバ30に励起信号が入力されると、レゾルバ30の回転に応じた交流波出力がレゾルバ30から出力される。出力された交流波信号は、回転数計数手段14に入力され、1回転単位の回転数情報にデジタル信号化されたあと、回転数情報として保持される。バックアップ電源モードでは、演算手段17へ電力は供給されない。したがって、バックアップ電源モードでは、上記のようにして得られた1回転単位の回転数情報に、360°未満の回転角度情報を加算することによる絶対回転角度の演算と、演算された絶対回転角度情報の出力は行われない。1回転単位の回転数情報に、360°未満の回転角度を加算する演算は、後述するように、通常電源モードに復帰した時に行われる。以上が、バックアップ電源モード時の作動である。
【0031】
図2図3には、バックアップ電源モード時に生成される励磁信号であるパルス信号Bが示されている。バックアップ用励磁信号生成手段15により生成される励起信号の電圧値は、通常電源モード時に励磁アンプ11が出力する交流波の励起信号電圧より低い電圧値であり、励磁アンプ11による増幅は行われない。また、通常電源モード時に生成される励起信号は連続した交流波であるのに対し、バックアップ電源モード時の励起信号は、間欠的に生成される。間欠的な励磁信号とは、例えば図2図3に示されているパルス信号Bである。
【0032】
図2は、通常電源モードからバックアップ電源モードに変わる場合、すなわちオン状態であった主電源がオフになる場合を示している。励磁信号は、通常電源モード時には交流波信号Aが生成されるが、主電源がオフになった後、バックアップ電源モード時にはパルス信号Bが生成されるように変わる。主電源がオフになる前後において励磁信号は連続的に生成されており、連続的な回転検出が可能である。
【0033】
図3は、バックアップ電源モードから通常電源モードに変わる場合、すなわちオフ状態であった主電源がオンとなる場合を示している。励磁信号は、バックアップ電源モード時にはパルス信号Bが生成されるが、通常電源モード時には交流波信号Aが生成される。主電源がオンになる前後において励磁信号は連続的に生成されているため、主電源オフ時にも回転角度検出が可能である。すなわち、主電源のオンオフに関わらず、連続的な回転検出が可能である。
【0034】
バックアップ電源モード中では、回転検出はされるが、回転検出信号処理部10から外部への回転角度情報の出力は行われない。また回転検出について、1回転単位の回転角度情報のみが回転数計数手段14にて検出、及び保持される。主電源がオンになり、外部からの電力が回転検出信号処理部10とRD変換器20とに供給されると、その時点での1回転未満の回転角度の検出が開始され、回転数計数手段14が保持している1回転単位の回転数情報とが演算手段17で合算され、絶対回転角度として出力されるようになる。
【符号の説明】
【0035】
10 回転検出信号処理部、 11 励磁アンプ、 16 バックアップ用動作クロック、 30 レゾルバ。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-01-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明に係る回転検出装置は、レゾルバからの回転検出信号を処理する回転検出信号処理部を有する多回転検出装置であって、前記回転検出信号処理部は、前記レゾルバへ供給する励磁信号を増幅する励磁アンプと、バックアップ用励磁信号生成手段と、前記励磁アンプと前記バックアップ用励磁信号生成手段に接続された切換手段と、を一体的に備えるASICとして1チップICで形成され、前記回転検出信号処理部は、外部から連続的に供給される電力により作動する通常電源モードと、前記外部から連続的に供給される電力の供給がない時に、前記回転検出信号処理部に接続されているバックアップ電源により作動するバックアップ電源モードとの2つの作動モードを有しており、前記バックアップ電源モードでは、前記通常電源モードより少ない電力で回転検出を行い、前記バックアップ電源モードにおいて、レゾルバに出力される励磁信号の電圧値は、前記通常電源モードにおける励磁信号の電圧値より低い電圧値であり、前記バックアップ電源モードにおいて、前記励磁信号は間欠的なパルス信号に生成され、前記切換手段は、入力された励磁信号を選択して、前記レゾルバに出力する回路であり、かつ、前記回転検出信号処理部の作動モードに応じて生成される励磁信号を選択して、前記レゾルバに出力する構成である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
<通常電源モード>
まず、通常電源モードを説明する。通常電源モードは、外部から連続的に供給される電力により回転検出信号処理部10が作動する作動モードである。通常電源モードでは、励磁信号はRD変換器20により生成される。RD変換器20により生成された交流波信号は、回転検出信号処理部10の励磁アンプ11に入力される。図2図3には、回転検出信号処理部10に関する主電源状態と、レゾルバに出力される励磁信号の形態が示されている。通常電源モードでは、RD変換器20が励磁信号である交流波信号Aを生成し、励磁アンプ11に出力する。励磁アンプ11は、入力された励磁信号を増幅し、切換手段12に出力する。切換手段12は、励磁アンプ11からの励磁信号を選択してレゾルバ30に出力する。レゾルバ30に励信号が入力されると、レゾルバ30の回転に応じた交流波出力がレゾルバ30から出力される。出力された交流波信号は、回転検出信号処理部10に入力されるとともに、RD変換器20に入力され、それぞれデジタル信号化されたあと、演算手段17で合算されて、絶対回転角度が算出される。以上が、通常電源モード時の作動である。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
<バックアップ電源モード>
次に、バックアップ電源モードを説明する。主電源がオフとなっている間は、外部からの電力は回転検出信号処理部10に供給されない。回転検出信号処理部10には、バックアップ用動作クロック16が接続されており、バックアップ電源モード時には、バッテリ(3.6∨)により回転検出信号処理部10に備えられている回路の一部を作動させて、回転検出を行う。バックアップ電源モードでは、バックアップ用励磁信号生成手段15、切換手段12、回転数検出手段13、及び回転数計数手段14が機能するように構成されている。バックアップ電源モードでは、励信号はバックアップ用励磁信号生成手段15で生成される。バックアップ用励磁信号生成手段15で生成された励信号は、切換手段12に出力される。切換手段12は、バックアップ用励磁信号生成手段12からの励磁信号を選択してレゾルバ30に出力する。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
レゾルバ30の作動は、通常電源モードとバックアップ電源モードとでは同じであり、レゾルバ30に励信号が入力されると、レゾルバ30の回転に応じた交流波出力がレゾルバ30から出力される。出力された交流波信号は、回転数計数手段14に入力され、1回転単位の回転数情報にデジタル信号化されたあと、回転数情報として保持される。バックアップ電源モードでは、演算手段17へ電力は供給されない。したがって、バックアップ電源モードでは、上記のようにして得られた1回転単位の回転数情報に、360°未満の回転角度情報を加算することによる絶対回転角度の演算と、演算された絶対回転角度情報の出力は行われない。1回転単位の回転数情報に、360°未満の回転角度を加算する演算は、後述するように、通常電源モードに復帰した時に行われる。以上が、バックアップ電源モード時の作動である。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
図2図3には、バックアップ電源モード時に生成される励磁信号であるパルス信号Bが示されている。バックアップ用励磁信号生成手段15により生成される励信号の電圧値は、通常電源モード時に励磁アンプ11が出力する交流波の励信号電圧より低い電圧値であり、励磁アンプ11による増幅は行われない。また、通常電源モード時に生成される励信号は連続した交流波であるのに対し、バックアップ電源モード時の励信号は、間欠的に生成される。間欠的な励磁信号とは、例えば図2図3に示されているパルス信号Bである。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
10 回転検出信号処理部、 11 励磁アンプ、12 切換手段、 16 バックアップ用動作クロック、 30 レゾルバ。
【手続補正13】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レゾルバ(30)からの回転検出信号を処理する回転検出信号処理部(10)を有する多回転検出装置であって、
前記回転検出信号処理部(10)は、前記レゾルバ(30)へ供給する励磁信号を増幅する励磁アンプ(11)と、バックアップ用励磁信号生成手段(15)と、前記励磁アンプ(11)と前記バックアップ用励磁信号生成手段(15)に接続された切換手段(12)と、を一体的に備えるASICとして1チップICで形成され
前記回転検出信号処理部(10)は、外部から連続的に供給される電力により作動する通常電源モードと、
前記外部から連続的に供給される電力の供給がない時に、前記回転検出信号処理部(10)に接続されているバックアップ電源(16)により作動するバックアップ電源モードとの2つの作動モードを有しており、
前記バックアップ電源モードでは、前記通常電源モードより少ない電力で回転検出を行い、
前記バックアップ電源モードにおいて、レゾルバ(30)に出力される励磁信号の電圧値は、前記通常電源モードにおける励磁信号の電圧値より低い電圧値であり、
前記バックアップ電源モードにおいて、前記励磁信号は間欠的なパルス信号に生成され、
前記切換手段(12)は、入力された励磁信号を選択して、前記レゾルバ(30)に出力する回路であり、かつ、前記回転検出信号処理部(10)の作動モードに応じて生成される励磁信号を選択して、前記レゾルバ(30)に出力することを特徴とする多回転検出装置。