(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090215
(43)【公開日】2022-06-17
(54)【発明の名称】防犯用ダイヤル照合機構付電気シリンダ
(51)【国際特許分類】
E05B 37/02 20060101AFI20220610BHJP
E05B 47/00 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
E05B37/02 C
E05B47/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020202458
(22)【出願日】2020-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】591244063
【氏名又は名称】酒井 信世
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】酒井 信世
(57)【要約】
【課題】先行の防犯用ダイヤル照合機構付電気シリンダ錠において、ハウジングを分解することなしに、メインハウジングの外部からプッシュピンバーの操作によりダイヤル番号変更レバーを作動させ、新たに暗証番号を迅速に設定できるものとすることである。
【解決手段】防犯用ダイヤル照合機構付電気シリンダ錠において、メインハウジングにプッシュピンバー挿入孔を設け、通常にはこの挿入孔はロックプレート遮断機構によって遮蔽されていて、プッシュピンバーを挿入できなく、ダイヤル番号が揃った場合のみにロックプレートの移動により挿入孔を開放させ、プッシュピンバーを挿入してダイヤル番号変更レバーを作動させ、新たな暗証番号を設定できることを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤル照合機構をダイヤルモジュール内に納めてメインハウジングに設置して取付けており、ダイヤル番号変更レバーにより番号を選定し、設定番号に合わせたときに、ロックプレートが移動してダイヤルモジュール上部の制御基盤上に取付けられたリミットスイッチがオンになり、電気シリンダが作動するものであり、制御基盤にタイマー機能を持たせてダイヤル照合によりリミットスイッチがオンになっても、一定時間電気シリンダに出力しない防犯用ダイヤル照合機構付電気シリンダ錠であって、メインハウジングにプッシュピンバー挿入孔を設け、通常にはこの挿入孔はロックプレート遮蔽機構によって遮蔽されていてプッシュピンバーを挿入できなく、ダイヤル番号が揃った場合にのみ、ロックプレートの移動により挿入孔を解放され、プッシュピンバーを挿入してダイヤル番号変更レバーを操作できることを特徴とする防犯用ダイヤル照合機構付電気シリンダ錠。
【請求項2】
請求項1に記載の防犯用ダイヤル照合機構付電気シリンダ錠であって、ダイヤル照合機構には、4桁のダイヤルを使用して、一定時間タイマーの時間を制御基盤により任意とすることを特徴とする防犯用ダイヤル照合機構付電気シリンダ錠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子制御により動作する電気シリンダと非常用ダイヤル照合機構を一体化して、ダイヤル番号操作により電気シリンダを開錠連動状態にできる一体型のダイヤル照合機構付電気シリンダに関する。さらに、このダイヤル照合機構付電気シリンダにおいてハウジング外部からプッシュピンバーによりダイヤルの暗証番号を設定できるものに関する。
【背景技術】
【0002】
今日までの電気シリンダ錠では、非常時開錠が必要となる条件、即ちIC錠等で制御部が故障した場合、電池式IC錠の液漏れ等による電圧の急低下の場合、外部電源に接続されている電子錠の電源線の断線や停電、電源部故障等による電源の切断の場合、カードキーやスマートフォン等の使用キーの紛失の場合には、非常用の金属キーをキーシリンダーに差し入れて解錠することが一般的である。しかし、非常用の金属キーを常に所持していることは稀であり、通常、集合住宅やアパート等では、管理室に保管されており、緊急時に部屋ごとに金属キーを探し出すには時間がかかり、見つけ出せないこともあった。
この非常時の解錠が必要となる場合には、迅速に対応して解錠できるとともに防犯対策も万全とすることが求められて、防犯対策としてダイヤル照合機構に動作スイッチ機構を連動させてコンデンサを介して作動解錠するようにした防犯用ダイヤル照合機構付電気シリンダを発明した。
【0003】
この防犯用ダイヤル照合機構付電気シリンダでは、ダイヤル照合機構において暗証番号を新たに選定し直すためには、ダイヤル照合機構をダイヤルモジュール内に納めたメインハウジングを分解して、ダイヤル番号変更レバーにより行なわなければならなかったので、不便であった。その不便を解消するためハウジングの外部からプッシュピンバー操作で暗証番号を再設定できるものとしたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3782812号明細書
【特許文献2】米国特許第8341986号明細書
【特許文献3】特許出願第2019年155136号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、先行技術である防犯用ダイヤル照合機構付電気シリンダを改善して、ハウジングの外部からプッシュピンバーを挿入して変更レバーを操作できるようにし、かつそのプッシュピンバー挿入孔は通常には遮断機構を備えて挿入できないようにした。したがって、このプッシュピンバー挿入孔の遮断機構はダイヤル暗証番号をそろえた場合にのみ開放される。先行技術の防犯用ダイヤル照合機構付電気シリンダに外部からプッシュピンバー操作で新たにダイヤル暗証番号を設定できる構成を付与した。
【0006】
本発明は、先行技術の防犯用ダイヤル照合機構付電気シリンダにハウジングの外部からプッシュピンバー操作によって新たにダイヤル暗証番号を設定できかつ防犯性も優れている構成を備える電気シリンダ錠を提供できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の防犯用ダイヤル照合機構付電気シリンダ錠は、ダイヤル照合機構をダイヤルモジュール内に納めてメインハウジングに設置して取付けており、ダイヤル番号変更レバーにより番号を選定し、設定番号に合わせたときに、ロックプレートが移動してダイヤルモジュール上部の制御基盤上に取付けられたリミットスイッチがオンになり、電気シリンダが作動するものであり、制御基盤にタイマー機能を持たせてダイヤル照合によりリミットスイッチがオンになっても、一定時間電気シリンダに出力しない防犯用ダイヤル照合機構付電気シリンダ錠において、メインハウジングの外部からプッシュピンバーを挿入して変更レバーを操作できるように、メインハウジングにプッシュピンバー挿入孔を設けられ、このプッシュピンバー挿入孔は通常には遮断機構によって遮蔽されていてプッシュピンバーを挿入できなく、この遮蔽機構はダイヤル番号が揃った場合のみに開放され、プッシュピンバーを挿入して変更レバーを操作できることを特徴とする。
【0008】
本発明のダイヤル照合機構付電気シリンダは、ダイヤル照合機構には、4桁のダイヤルを使用して、一定時間タイマー時間は制御基盤で任意とするタイマー機能を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明のダイヤル照合機構付電気シリンダは、電源が入らないときに、コンデンサを介して、電圧が一回のみ印加されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、防犯性の優れた構成を備えたダイヤル照合機構付電気シリンダにおいて、メインハウジングを分解することなしに、ハウジングの外部からプッシュピンバー操作によって新たにダイヤル暗証番号を迅速に設定できる。
【0011】
本発明によると、電気シリンダ錠において非常時解錠が必要となったときに、キーを紛失したとしても、また金属キーを持っていなくとも、ダイヤル照合によって解錠することができる。
【0012】
本発明によると、ダイヤル照合によりリミットスイッチをオンとなしても、更に制御基盤にタイマー機能を持たせ、一定時間電気シリンダに出力電圧を供給しなくして、防犯機能を向上させた。
【0013】
本発明によると、停電、電池切れ等により電源供給が遮断されても、ダイヤル照合によってリミットスイッチがオンになった時に、コンデンサの電圧で、電気シリンダに出力を供給できる。
【0014】
本発明によると、電気シリンダにダイヤル照合機構を備える錠のみに限らずに、電気シリンダを電気錠に変えても、適用される防犯対策を提供する錠である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】先行技術発明のダイヤル照合機構付電気シリンダをドア扉に取付けた状態の斜視図を示す。
【
図2】先行技術の電気シリンダの上部断面図を示す。
【
図4】ダイヤル照合機構においてダイヤル軸の中心を通して切断された本発明のダイヤル照合機構の断面斜視図を示す。
【
図5】ダイヤル番号変更レバーをプッシュピンバーにより押した状態を開示する本発明のダイヤル照合機構の断面斜視図を示す。
【
図6】本発明のロックプレートとシャッタの関係における作動状態を示す。
【
図8】ダイヤル解錠を行う電気シリンダ錠のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、この発明の好ましい実施の形態は、添付図面に基づいて詳細に説明される。
【0017】
図1はドア扉に先行技術発明のダイヤル照合機構付電気シリンダ錠を取付けた状態の斜視図であり、
図2は先行技術の電気シリンダの上部断面図であり、
図3は本発明の電気シリンダの分解図であり、
図4は本発明のダイヤル照合機構においてダイヤル軸の中心を通して切断された本発明のダイヤル照合機構の断面斜視図であり、
図5はダイヤル番号変更レバーをダイヤル番号変更レバープッシュピンバーで押した状態を示す本発明のダイヤル照合機構の断面斜視図であり、
図6は本発明のロックプレートとシャッタとの関係における作動状態を示し、
図7は制御基板略図であり、
図8はダイヤル解錠を行う電気シリンダ錠のフロー図である。
【0018】
図1には、先行技術発明においてダイヤル照合機構付電気シリンダ3・4をドア扉17に取付けた状態を示し、公知のダイヤルモジュール機構8と電気シリンダ3・4を組合せた錠であり、電気シリンダ3・4が電気的に作動可能であり、錠前と連動されれば、電気錠になる。更に、ドア扉17の表面にカード読取器19を備えており、カードキーをその読取器19により読み取り解錠するものである。
【0019】
図2は、先行技術の電気シリンダ上部断面図を示し、左側の上部断面図はリミットスイッチ11がオン位置にある状態を開示し、右側の上部断面図はリミットスイッチ11がオフ位置にある状態を開示する。メインハウジング1におけるダイヤルカバー2を開放して、ダイヤルモジュール8におけるダイヤル15の4桁を合わせて、ダイヤル15が設定番号となると、ロックプレート12が矢印方向20へ移動し、制御基盤上に取付けられたリミットスイッチ11がオンになる。このリミットスイッチがオンになると、制御基盤7に回路化された電子技術により電気シリンダ3・4が動作する。
【0020】
図3は、本発明の電気シリンダの分解図を示し、プロテクタ4がメインハウジング1の開口に挿入されて、電気シリンダ3を覆う。このメインハウジング1にはダイヤルカバー2も取付けられている。ダイヤルモジュール8上に設置された制御基盤7はメインハウジング1内に収容される。電気シリンダ3はスペーサリング6を介して裏板9にビスによって締結され、更にバックカバー10によって覆われる。
【0021】
なお、ロックプレート12はダイヤルモジュール8の後方においてメインハウジング1に収納されており、ロックプレート12は、ダイヤル15が設定番号に設定されると、矢印方向20へ移動する。それにより制御基盤7上のリミットスイッチ11がオンになる。
【0022】
図4は、本発明の電気シリンダ3のダイヤル照合機構においてダイヤル軸25の中心を通して切断した状態のダイヤル照合機構の断面斜視図であり、ダイヤル15とロックプレート施解錠用カムブッシュ23がかみ合い状態でダイヤル15を回すとロックプレート施解錠用カムブッシュ23が追従し、ロックプレート12の施解錠動作を行う。このかみ合い状態では、ロックプレート施解錠用カムブッシュ23の突起24がダイヤル25の溝26に係合されている。
【0023】
図5は、ダイヤル番号変更レバー13をダイヤル番号変更レバープッシュピンバー21で押した状態を示す本発明のダイヤル照合機構の断面斜視図であり、ダイヤル照合機構において暗証番号に選択整合されると、ロックプレート12の遮蔽機構を開放して、メインハウジング1のプシュッピンバー挿入孔22を挿入して、ダイヤル番号変更レバー13を押して、ロックプレート施解錠用カムブッシュ23の突起24がダイヤル15の溝26から外れ、ダイヤル15がフリー回転できる状態となり、新たな暗証番号を設定できる。
【0024】
図6は、ロックプレート12とダイヤル番号変更レバープッシュピンバー21との関係から本発明のロックプレート12とシャッタ27の作動状態を示し、上段図ではメインハウジング1の一部を分解して、ロックプレート12を見えるようにした分解斜視図であり、中段図ではプッシュピンバー21を挿入孔22に挿入する作動態様を示す上部から見た切断断面図であり、下段図ではメインハウジング1の上部を縦切断した断面図である。
図6の左側の図はリミットスイッチ11がオン位置にある状態を開示し、右側の図はリミットスイッチ11がオフ位置にある状態を開示し、中段の右側図の状態ではロックプレート12に取付けられたシャッタ27が挿入孔22を遮蔽していて、プッシュピンバーバー21を挿入孔23に挿入できない。中段の左側図の状態ではシャッタ27が挿入孔22の遮蔽を開放して、プッシュピンバー21が挿入孔22に挿入できる。
【0025】
図7は制御基盤略図を示し、ダイヤル番号変更レバー13を押した動作した後に、ダイヤル15を新たに選び設定する。設定番号に合わせた時、ロックプレート12が矢印方向20に移動し、ダイヤルモジュール8の上部に置かれている制御基盤7上に取付けられたリミットスイッチ11がオンになる。リミットスイッチ11がオンになれば、制御基盤7に回路化された電子技術により電気シリンダ3を動作する。
【0026】
図8は、ダイヤル解錠する電気シリンダ3のフロー図を示し、まず、電源からの電圧が供給されると、制御機能がダイヤルスイッチをオンに作動し、タイマーを介して電気シリンダ3に連動されて解錠させる。また、電源から電圧が供給されないと、すでに、コンデンサにチャージされた電源で働かし、ダイヤルスイッチがオンとして電気シリンダ3に連動されて解錠作用を行う。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明では、防犯対策を備えたダイヤル照合機構付電気シリンダにおいてハウジング外部からのプッシュピンバー操作によって新たにダイヤル暗証番号を迅速に設定できる。
【0028】
本発明では、防犯対策としてダイヤル照合時にスイッチ機構を作動させ、一定時間電気シリンダに出力の解錠を遅延させ、ダイヤル照合を疑似的に扱う機能も持ち合わせている。
【0029】
本発明では、電源供給(バッテリーも含む)が切れた時もダイヤル照合させることにより、スイッチ機構を動作させ、コンデンサを介して電気シリンダを解錠させることができる。
【符号の説明】
【0030】
1……メインハウジング
2……ダイヤルカバー
3……電気シリンダ
4……プロテクタ
5……テールピース
6……スペーサリング
7……制御基盤
8……ダイヤルモジュール
9……裏板
10…バックカバー
11…リミットスイッチ
12…ロックプレート
13…ダイヤル番号変更レバー
14…コンデンサ
15…ダイヤル
16…電気シリンダモータ線
17…ドア扉
18…ドアハンドル
19…カード読取器
20…矢印方向
21…ダイヤル番号変更レバープッシュピンバー
22…挿入孔
23…ロックプレート施解錠用カムブッシュ
24…突起
25…ダイヤル軸
26…溝
27…シャッタ