(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090224
(43)【公開日】2022-06-17
(54)【発明の名称】浴室乾燥機
(51)【国際特許分類】
F26B 9/02 20060101AFI20220610BHJP
F26B 25/00 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
F26B9/02 A
F26B25/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020202470
(22)【出願日】2020-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】久保 隆志
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA01
3L113AB02
3L113AC16
3L113AC48
3L113AC49
3L113AC51
3L113AC57
3L113AC67
3L113AC73
3L113AC75
3L113BA14
3L113CA09
3L113CB05
3L113CB24
3L113DA22
(57)【要約】
【課題】冬季を避けて点検時期の到来を報知することができる浴室乾燥機を提供すること。
【解決手段】外部から供給される温水を利用して浴室に温風を吹き出す温風手段(11,12)と、浴室の空気を外部に排気する排気手段(13)と、浴室の温度を検知する第1温度センサ(17)と、温風手段(11,12)及び排気手段(13)を制御して乾燥運転及び換気運転を行うと共に使用実績に基づいて点検時期到来を報知手段(22)に報知させる制御手段(21)とを備えた浴室乾燥機(1)において、制御手段(21)は、第1温度センサ(17)の検知温度が予め設定された第1基準温度よりも低いか否かの判定を行い、この検知温度が第1基準温度よりも低い場合に点検時期到来の報知タイミングを延期する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から供給される温水を利用して浴室に温風を吹き出す温風手段と、浴室の空気を外部に排気する排気手段と、浴室の温度を検知する第1温度センサと、前記温風手段及び前記排気手段を制御して乾燥運転及び換気運転を行うと共に使用実績に基づいて点検時期到来を報知手段に報知させる制御手段とを備えた浴室乾燥機において、
前記制御手段は、前記第1温度センサの検知温度が予め設定された第1基準温度よりも低いか否かの判定を行い、この判定において前記検知温度が前記第1基準温度よりも低い場合に前記点検時期到来の報知タイミングを延期することを特徴とする浴室乾燥機。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1温度センサの検知温度が前記第1基準温度以上になるまで前記点検時期到来の報知タイミングを延期することを特徴とする請求項1に記載の浴室乾燥機。
【請求項3】
前記判定には、前記乾燥運転中及び前記乾燥運転後の所定期間を除いた期間の検知温度を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の浴室乾燥機。
【請求項4】
前記乾燥運転後の所定期間は、前記換気運転を行った場合に短縮するように構成されたことを特徴とする請求項3に記載の浴室乾燥機。
【請求項5】
前記制御手段には、外気温と相関する温度を検知するための第2温度センサが通信可能に接続され、
前記制御手段は、前記第2温度センサの検知温度が予め設定された第2基準温度よりも低い場合には、前記判定の実行を延期することを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の浴室乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の換気運転と浴室内に掛けられた衣類を乾燥させる乾燥運転を行う浴室乾燥機に関し、特に使用実績に基づいて点検時期到来をユーザに報知するように構成された浴室乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、使用実績に基づいて点検時期到来を報知するように構成された湯水を加熱する熱源機が知られている。例えば特許文献1の熱源機は、使用実績に基づく点検時期到来の報知の際に季節の判定を行って、冬季を避けるように点検時期到来の報知タイミングを調整する。
【0003】
また、特許文献2には、暖房機、暖房用ボイラのような外気温が低い場合に使用されることが多い機器が、外気温が低いときに機器の寿命に達した場合には、外気温が高くなるまで使用可能にすることが記載されている。一方、湯水を加熱するものではないが、特許文献3の暖房装置は、使用実績に基づいて点検要否を報知する。
【0004】
浴室内で衣類を乾燥させるための浴室乾燥機にも、上記と同様に使用実績に基づいて点検時期の到来を報知するように構成することが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6597004号公報
【特許文献2】特許第4937706号公報
【特許文献3】特開2019-128092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、特許文献1の熱源機や特許文献2,3の暖房用の機器は、外気温が低い冬季に使用機会が増加するので、不具合発生による修理、点検が冬季に集中する傾向がある。一方、特許文献1の熱源機は、使用機会は変動するが通年で給湯に使用されるので、使用実績に基づく点検時期到来は冬季に集中するものではない。それ故、この熱源機は、暖房用の機器等の修理、点検が集中して繁忙期となる冬季を避けて点検時期の到来を報知することにより、ユーザと点検作業者にとって点検スケジュールを調整し易くする効果がある。
【0007】
浴室乾燥機は、例えば雨天時の衣類の乾燥運転に使用され、入浴中及び入浴後の換気運転、又は常時行う連続換気運転(24時間換気)に使用される。従って、浴室乾燥機は通年で使用されるものであり、特許文献1のように、暖房用の機器等の修理、点検が集中する冬季を避けて使用実績に基づく点検時期到来を報知することが要求されている。しかし、浴室乾燥機は温度が高くなる浴室に設置されるため、特許文献1のように冬季か否かの季節の判定を行うことが困難であり、冬季を避けて点検時期到来を報知することが困難であった。
【0008】
本発明の目的は、冬季を避けて使用実績に基づく点検時期の到来を報知することができる浴室乾燥機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明の浴室乾燥機は、外部から供給される温水を利用して浴室に温風を吹き出す温風手段と、浴室の空気を外部に排気する排気手段と、浴室の温度を検知する第1温度センサと、前記温風手段及び前記排気手段を制御して乾燥運転及び換気運転を行うと共に使用実績に基づいて点検時期到来を報知手段に報知させる制御手段とを備えた浴室乾燥機において、前記制御手段は、前記第1温度センサの検知温度が予め設定された第1基準温度よりも低いか否かの判定を行い、この判定において前記検知温度が前記第1基準温度よりも低い場合に前記点検時期到来の報知タイミングを延期することを特徴とする浴室乾燥機。
【0010】
上記構成によれば、浴室の温度が予め設定された第1基準温度よりも低い場合には、浴室乾燥機の使用実績に基づく点検時期到来の報知タイミングが延期されるので、浴室の温度が低い冬季を避けて点検時期到来を報知することができる。それ故、暖房用の機器及び熱源機の修理、点検が集中しないときに浴室乾燥機の点検時期到来が報知されるので、ユーザ及び点検作業者は、点検スケジュールを調整し易くなる。
【0011】
請求項2の発明の浴室乾燥機は、請求項1の発明において、前記制御手段は、前記第1温度センサの検知温度が前記第1基準温度以上になるまで前記点検時期到来の報知タイミングを延期することを特徴としている。
上記構成によれば、浴室の温度が予め設定された第1基準温度よりも低い場合には、浴室乾燥機の点検時期到来の報知タイミングが第1基準温度以上になるまで延期されるので、冬季が終わってから点検時期到来を報知することができる。それ故、暖房用の機器及び熱源機の修理、点検が集中しないときに浴室乾燥機の点検時期到来が報知されるので、ユーザ及び点検作業者は、点検スケジュールを調整し易くなる。
【0012】
請求項3の発明の浴室乾燥機は、請求項1又は2の発明において、前記判定には、前記乾燥運転中及び前記乾燥運転後の所定期間を除いた期間の検知温度を用いることを特徴としている。
上記構成によれば、第1温度センサの検知温度に基づいて判定する際に、乾燥運転によって上昇した浴室の温度を除外して判定することができるので、冬季ではないと誤判定されることを防止できる。
【0013】
請求項4の発明の浴室乾燥機は、請求項3の発明において、前記乾燥運転後の所定期間は、前記換気運転を行った場合に短縮するように構成されたことを特徴としている。
上記構成によれば、乾燥運転によって温度が上昇した浴室の空気を換気運転によって排気して浴室外の空気を導入した場合には、判定から除外される期間が短縮される。それ故、乾燥運転による浴室の使用機会が多い場合でも、第1温度センサの検知温度に基づく判定機会を確保し易くすることができる。
【0014】
請求項5の発明の浴室乾燥機は、請求項1~4の何れか1項の発明において、前記制御手段には、外気温と相関する温度を検知するための第2温度センサが通信可能に接続され、前記制御手段は、前記第2温度センサの検知温度が予め設定された第2基準温度よりも低い場合には、前記判定の実行を延期することを特徴としている。
上記構成によれば、第2温度センサの検知温度が第2基準温度以上であるため冬季でないと判定した場合に、第1温度センサが検知する浴室の温度に基づいて判定することができる。従って、冬季ではないと誤判定されることを一層確実に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の浴室乾燥機によれば、暖房用の機器及び熱源機の修理、点検が集中する冬季を避けて点検時期の到来を報知することができ、ユーザ及び点検作業者が点検スケジュールを調整し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る浴室乾燥機を有する浴室周辺の説明図である。
【
図2】
図1の浴室乾燥機内の空気の流れを示す図である。
【
図3】実施例1,2に係る使用実績算出フローチャートである。
【
図4】実施例1に係る点検時期到来報知制御のフローチャートである。
【
図5】実施例2に係る点検時期到来報知制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例0018】
図1は住宅における浴室乾燥機1が設置された浴室Bとその周辺を示し、
図2は浴室乾燥機1の内部を示している。浴室Bの天井Baには、例えば天井カセット式の浴室乾燥機1が設置されている。また、浴室乾燥機1の下側の浴室B内の天井Baに近い位置には、例えば洗濯後の湿った衣類L等を掛けて乾燥させるためのランドリーパイプ2が配設されている。浴室乾燥機1の外部(屋外)には、浴室Bのシャワー3、浴槽4、浴室乾燥機1等に温水を供給する熱源機5が設置されている。熱源機5は、温水として上水を加熱した湯水をシャワー3、浴槽4に供給し、浴室乾燥機1には温水として加熱した熱媒水(不凍液)を供給する。
【0019】
また、浴室Bに隣接させて脱衣室Cが設けられている。この脱衣室Cと浴室Bとは、壁及び図示外のドアによって仕切られ、このドアを閉じた状態でも空気が通ることができる通気路がこのドアに設けられている。脱衣室Cには、外気を取り入れるための自然通気口6が設けられている。
【0020】
浴室乾燥機1は、浴室Bの換気運転と、ランドリーパイプ2に掛けられた衣類Lを乾燥させる乾燥運転を行うように構成され、これらの運転を制御する制御部21(制御手段)を備えている。制御部21には、浴室乾燥機1を操作するための操作リモコン22が通信可能に接続されている。操作リモコン22は、脱衣室Cの壁に固定され、脱衣室Cの温度を検知する温度センサ22aを備えている。
【0021】
熱源機5は、例えば燃焼式の給湯装置であり、湯水を加熱する加熱運転を制御するための熱源機制御部9を有する。熱源機制御部9には熱源機5を操作するために浴室Bの壁に固定された浴室リモコン9aと、外気温を検知する外気温センサ5aと、上水源から供給される上水の入水温を検知する入水温センサ5bが接続されている。また、熱源機制御部9と制御部21とが、通信線CCによって接続されている。
【0022】
浴室乾燥機1は、ケース10内に、循環ファン11と熱交換器12によって構成された温風手段と、排気手段として換気ファン13を備えている。ケース10の下面には、浴室Bの空気の吸気口10aと、可動ルーバ10bを備えた送風口10cと、排気口10dを有する。循環ファン11の駆動により、浴室Bの空気が吸気口10aからケース10内に導入されて熱交換器12と循環ファン11を通過し、送風口10cから浴室B内に送風される。可動ルーバ10bは、送風方向を調整可能なように図示外の駆動機構によって駆動される。
【0023】
吸気口10aと熱交換器12の間には、熱交換器12で加熱される前の空気の温度(浴室Bの温度)を検知するための第1温度センサ17と、この空気の湿度を検知するための湿度センサ18が配設されている。制御部21は、第1温度センサ17の検知温度と湿度センサ18の検知湿度を受信する。
【0024】
熱交換器12は、温水が流通する複数の屈曲させた伝熱管に複数のフィンが接続されて形成され、空気がこれらの間を流動する。この熱交換器12には、熱源機5との間で温水が循環するように湯水配管5c,5dが接続されている。熱交換器12では、熱源機5から供給される温水と循環ファン11によりケース10内に導入された浴室Bの空気との間で熱交換が行われる。熱交換器12で加熱された空気は、浴室Bに送風される。熱交換器12で空気の加熱に利用された温水は、熱源機5に戻って再加熱される。
【0025】
循環ファン11は、ケース10内に浴室Bの空気を導入して浴室Bに送風することにより、浴室B内に矢印A0で示すような循環する空気の流れを生成する。この循環ファン11は、例えば回転数制御により送風量を調整して広い範囲(幅)に送風可能なクロスフローファンである。
【0026】
また、ケース10内には、排気口10dから浴室Bの空気を吸い込んで排気するための浴室排気通路15が形成され、吸気ダクト8を介して脱衣室Cの空気を吸い込んで排気するための脱衣室排気通路16が浴室排気通路15に接続されている。浴室排気通路15は、屋外に延びる排気ダクト7に接続されている。
【0027】
換気ファン13は、例えば回転数制御により換気能力を調整可能な遠心ファンであり、浴室排気通路15に介装されている。換気運転では、換気ファン13によって矢印E1で示すように吸気される浴室Bの空気と、矢印E2で示すように吸気ダクト8を介して吸気される脱衣室Cの空気とが、矢印E3で示すように排気ダクト7を介して屋外に排気される。排気されて気圧が低い状態(負圧)になる脱衣室Cには、矢印A1,A2で示す自然通気口6からの外気、脱衣室Cに連なる屋内の空気が供給される。また、排気されて負圧になる浴室Bには、矢印A3で示すように図示外のドアの通気路を介して、脱衣室Cの空気が供給される。
【0028】
乾燥運転では、制御部21は熱源機制御部9に温水要求信号を送信して所定温度の温水を供給させる。そして、第1温度センサ17の検知温度と湿度センサ18の検知湿度に基づいて、循環ファン11と換気ファン13の駆動回転数を夫々制御すると共に、可動ルーバ10bによる送風方向調整等を行う。
【0029】
このとき、熱源機5から例えば80℃の温水が熱交換器12に供給されて空気が60℃程度に温められ、この空気が温風として浴室Bに送風される。湿った衣類Lから温風によって水分が蒸発し、この水分が浴室Bの空気と共に屋外に排気される。制御部21は、湿度センサ18の検知湿度の変化によって衣類Lの乾燥具合を推定して、乾燥運転を制御する。そして、制御部21は湿度センサ18の検知湿度の変化に基づいて衣類Lが乾燥したと判断したときに、乾燥運転を終了する。乾燥運転終了後に換気運転を一定時間実行してもよく、連続換気運転が設定されている場合にはこれに従う。
【0030】
浴室乾燥機1は、換気ファン13の駆動を伴わない乾燥運転を浴室Bの暖房運転として実行することもできる。言い換えると、乾燥運転は換気運転と暖房運転を同時に実行する運転である。また、制御部21は、湿度センサ18が検知する湿度の変化によって、浴室Bの状態が入浴時なのか非入浴時なのかを区別(判定)することもできる。
【0031】
制御部21は、通電状態において浴室乾燥機1の使用実績の算出を行う。使用実績には浴室乾燥機1の各種運転だけでなく、総通電時間を含むことができる。この使用実績算出について、
図3のフローチャートに基づいて説明する。図中のSi(i=1,2,・・・)はステップを表す。
【0032】
S1において、通電状態の時間(通電時間)をカウント(計時)すると共に、各種運転時間(換気運転時間、乾燥運転時間、暖房運転時間)を夫々カウントしてS2に進む。
【0033】
S2において、カウントした通電時間と各種運転時間に基づいて使用実績を算出してS3に進む。各種運転時間は、浴室乾燥機1に換気運転、乾燥運転、暖房運転に応じた負荷がかかることを考慮して、例えば通電時間に対して換気運転では1.1倍、乾燥運転では1.4倍、暖房運転では1.3倍の時間として使用実績(使用時間)を算出するが、使用実績算出はこれに限られるものではない。
【0034】
S3において、S2で算出した使用実績が、例えば浴室乾燥機1の通電時間10年相当に到達したか否か判定する。通電時間10年相当は、高温高湿の空気を扱う浴室乾燥機1の部品類の劣化を考慮して定められるものであり、例えば浴室乾燥機1の仕様に合わせて適宜設定される。S3の判定がNoの場合はS1に戻る。S3の判定がYesの場合はS4に進む。
【0035】
S4において、浴室乾燥機1の点検を促すために点検時期到来を報知して終了する。気温が低い冬季は、暖房用の機器及び熱源機の使用機会が増えて不具合発生が増加するため、修理、点検が集中する傾向がある。それ故、浴室乾燥機1の使用実績に基づく点検時期到来を報知する際には季節の判定を行って、暖房用の機器等の修理、点検の繁忙期となる冬季を避けて報知する。この点検時期到来報知制御について、
図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0036】
点検時期到来報知制御がスタートすると、S11において、乾燥(温風)運転中か否か判定する。温風運転は、温風手段によって浴室Bに温風を吹き出す運転であり、乾燥運転と暖房運転を含む。このステップは、乾燥(温風)運転によって浴室Bの温度が上昇した状態であるため、浴室Bの温度に基づいて冬季か否かの季節の判定を正しく行うことができないことを回避するための判定ステップである。S11の判定がYesの場合には、S11に戻る。S11の判定がNoの場合は、S12に進む。
【0037】
S12において、乾燥(温風)運転後の所定期間外か否かを判定する。所定期間は、乾燥(温風)運転後の暖まった浴室Bが浴室B外の温度程度まで自然に冷える時間に予め設定されており、例えば12時間である。湿度センサ18の検知湿度に基づき浴室Bの入浴使用を検知して、入浴によって浴室Bの温度が上昇した場合も所定期間の判定を行うようにしてもよい。所定期間外であるためS12の判定がYesの場合は、S17に進む。所定期間中であるためS12の判定がNoの場合には、S13に進む。
【0038】
S13において、換気運転中か否か判定する。換気運転では、暖まった浴室Bの空気を排気して浴室B外の空気に入れ替えるので、浴室Bは自然に冷える場合よりも早期に冷える。S13の判定がYesの場合はS14に進む。そして、S14において所定期間を短縮してS15に進む。所定期間は、例えば自然に冷える時間の半分の6時間に短縮されるが、1/3の4時間に短縮されてもよい。換気運転を実行していないため、S13の判定がNoの場合は、所定期間を短縮せずにS15に進む。
【0039】
S15において、乾燥(温風)運転後の経過時間をカウントしてS16に進む。そして、S16において、経過時間が所定期間以上になったか否か判定する。S16の判定がNoの場合はS15に戻り、経過時間が所定期間以上になるまで経過時間のカウントを行う。S16の判定がYesの場合は、S17に進む。このとき、所定期間が短縮されている場合は元の所定期間に戻す。
【0040】
S17において、第1温度センサ17が検知する浴室Bの温度(浴室温度)が第1基準温度未満か否か判定する。浴室温度に基づいて冬季か否か判定するステップである。第1基準温度は、例えば15℃に予め設定されており、浴室乾燥機1の設置環境に応じて適宜設定される。浴室温度が第1基準温度未満であるためS17の判定がYesの場合は、冬季であるとしてS18に進む。一方、浴室温度が第1基準温度以上であるためS17の判定がNoの場合は、冬季ではないとしてS20に進む。
【0041】
S18において、S17で冬季であると判定したので点検時期到来の報知タイミングを延期して、S19に進む。このとき延期期間として例えば1日延期して、延期期間だけ報知を待機すると共に延期日数をカウントする。そしてS19において、延期日数が第1基準日数に到達したか否か判定する。使用実績が一定以上になって、点検が推奨される状態の浴室乾燥機1を使用し続けることは好ましくないので、延期日数の上限となる第1基準日数が設定されている。
【0042】
第1基準日数は、例えば冬季の長さに相当する90日に設定されているが、浴室乾燥機1の設置環境に応じて適宜設定可能である。延期日数が第1基準日数に到達していないためS19の判定がNoの場合は、S11に戻る。延期日数が第1基準日数に到達したためS19の判定がYesの場合は、S20に進む。尚、延期期間を第1基準日数と同じにすることにより、冬季であると判定された場合には第1基準日数だけ延期してS20に進むようにしてもよい。
【0043】
S17の判定がNoの場合(冬季でない場合)又は延期日数が第1基準日数に到達した場合(冬季終了に相当する場合)に、S20において点検時期到来を報知してリターンする。この報知は、報知手段として、操作リモコン22の例えばランプ点灯、エラーコード表示によって視覚的に報知するが、操作リモコン22からの音声案内によって報知してもよい。
【0044】
以上のように、浴室乾燥機1は、使用実績が一定以上になった場合に、第1温度センサ17の検知温度に基づいて判定を行って、冬季を避けるように点検時期到来の報知タイミングを調整して、点検時期到来の報知を行う。このとき、浴室乾燥機1の運転状況に応じて第1温度センサ17の検知温度に基づく判定が正しく行われるように判定のタイミングを調整するので、冬季であるとの誤判定を防ぎ、冬季を避けて点検時期到来の報知を行うことができる。
浴室乾燥機1の制御部21には、熱源機制御部9を介して第2温度センサが通信接続されている。例えば浴室乾燥機1の制御部21は、第2温度センサの検知温度として、熱源機制御部9を介して屋外の熱源機5に装備された外気温センサ5aの検知温度を取得する。また、第2温度センサは、熱源機5に供給される上水の温度を検知する入水温センサ5bであってもよく、制御部21に接続された操作リモコン22に装備されている脱衣室Cの温度を検知する温度センサ22aであってもよい。尚、浴室乾燥機1を例えば外出先から操作するための図示外の通信ネットワークを介して外気温又は上水の検知温度を取得可能に接続された温度検知手段を第2温度センサとすることもできる。
点検時期到来報知制御をスタートすると、S30において、第2温度センサの検知温度が第2基準温度以上か否か判定する。第2温度センサが外気温センサ5aの場合には、検知した外気温が第2基準温度以上か否か判定する。第2温度センサが入水温センサ5bの場合には、検知した入水温度が第2基準温度以上か否か判定する。第2基準温度は、例えば15℃に設定されている。S30の判定がYesの場合はS11に進む。S11以降は実施例1と同じなので説明を省略するが、第1温度センサ17の検知温度に基づく季節の判定も行って、一層確実に冬季を避けて点検時期到来を報知して終了する。
一方、S30の判定がNoの場合はS31に進む。S31において、第1温度センサ17の検知温度に基づく季節の判定の実行を例えば第2延期期間として1日延期すると共に、使用実績が一定以上になってからの延期日数(第2延期日数)をカウントしてS32に進む。そしてS32において、第2延期日数が第2基準日数に到達したか否か判定する。使用実績が一定以上になって点検が推奨される状態の浴室乾燥機1を使用し続けることは好ましくないので、第2延期日数の上限となる第2基準日数が設定されている。
第2基準日数は、例えば冬季の長さに相当する90日に設定されている。S32の判定がNoの場合はS30に戻る。S32の判定がYesの場合はS11に進む。S11以降は実施例1と同じなので説明を省略するが、第1温度センサ17の検知温度に基づく季節の判定も行って、一層確実に冬季を避けて点検時期到来を報知して終了する。尚、第2延期期間を第2基準日数と同じにすることにより、冬季であると判定された場合には、第1温度センサの検知温度に基づく季節の判定の実行を第2基準日数だけ延期してS11に進むようにしてもよい。
以上のように浴室乾燥機1は、例えば浴室乾燥機1が設置された建物内が暖かいため、第1温度センサ17が検知する浴室温度に基づいて冬季か否か判定が困難な場合でも、第2温度センサの検知温度に基づいて判定を行う。それ故、冬季でないとの誤判定を防いで、冬季を避けて点検時期到来の報知を行うことができる。
また、浴室Bの温度が予め設定された第1基準温度よりも低い場合には、第1基準温度以上になるまで浴室乾燥機1の点検時期到来の報知タイミングが延期されるので、冬季が終わってから点検時期到来を報知することができる。それ故、暖房用の機器及び熱源機の点検が集中しないときに浴室乾燥機1の点検時期到来が報知されるので、ユーザ及び点検作業者は、点検スケジュールを調整し易くなる。
浴室Bの温度を第1基準温度と比較して季節の判定を行う際に、乾燥運転中及び乾燥運転後の所定期間を除いた期間の検知温度を用いることにより、乾燥運転によって上昇した浴室Bの温度を除外して季節の判定を行うことができる。それ故、浴室Bの温度が高いため冬季ではないと誤判定されることを防止できる。また、この所定期間は、乾燥運転によって温度が上昇した浴室Bの空気を換気運転によって排気して浴室B外の空気を導入した場合に短縮される。それ故、乾燥運転による浴室Bの使用機会が多い場合でも、季節の判定機会を確保し易くすることができる。
制御部21には、外気温又は上水温を検知するための第2温度センサが通信可能に接続され、第2温度センサの検知温度が予め設定された第2基準温度よりも低い場合には、浴室Bの温度に基づく季節の判定の実行を延期する。それ故、第2温度センサの検知温度に基づいて冬季でないと判定した場合に浴室Bの温度に基づいて季節の判定を行うことができるので、冬季ではないと誤判定されることを一層確実に防ぐことができる。
浴室乾燥機1の操作リモコン22に脱衣室Cの温度を検知する温度センサ22aが装備されている場合には、この温度センサ22aを第1温度センサ又は第2温度センサとすることもできる。この場合、入浴及び乾燥運転による浴室Bの使用時間が長いため浴室温度に基づく季節の判定が困難な場合に、浴室外の温度に基づいて季節の判定を行うことができる。その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。