IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤマハ発動機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-操船システムおよび船舶 図1
  • 特開-操船システムおよび船舶 図2
  • 特開-操船システムおよび船舶 図3
  • 特開-操船システムおよび船舶 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090257
(43)【公開日】2022-06-17
(54)【発明の名称】操船システムおよび船舶
(51)【国際特許分類】
   B63H 20/00 20060101AFI20220610BHJP
   B63H 21/21 20060101ALI20220610BHJP
   F02D 25/00 20060101ALI20220610BHJP
   F02D 25/04 20060101ALI20220610BHJP
   F02D 25/02 20060101ALI20220610BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
B63H20/00 803
B63H21/21
F02D25/00
F02D25/04 Z
F02D25/02
F02D45/00 380
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020202530
(22)【出願日】2020-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 健人
【テーマコード(参考)】
3G092
3G384
【Fターム(参考)】
3G092AA20
3G092AC09
3G092BA03
3G092CA10
3G092FA47
3G092FA48
3G092GA10
3G092HE01X
3G092HG04Z
3G384AA30
3G384BA03
3G384CA23
3G384DA64
3G384FA56Z
3G384FA78Z
(57)【要約】
【課題】推進機制御部が認識する推進機の台数よりも多い台数の推進機の駆動を制御することが可能な操船システムおよび船舶を提供する。
【解決手段】この操船システム102は、船体100aに取り付けられた複数の船外機101を駆動させるための操作を受け付ける操作装置と、複数の船外機101の各々に対して1つずつ設けられ、操作装置からの操作信号に基づいて船外機101の各々の駆動を制御する複数のリモコンECU3と、一部のリモコンECU3に操作信号を送信する第1通信バス4と、一部のリモコンECU3を除いた他のリモコンECU3に操作信号を送信する第2通信バス5と、第1通信バス4と第2通信バス5とを互いに通信可能に接続するBCU6と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体に取り付けられた複数の推進機を駆動させるための操作を受け付ける操作装置と、
前記複数の推進機の各々に対して1つずつ設けられ、前記操作装置からの操作信号に基づいて前記推進機の各々の駆動を制御する複数の推進機制御部と、
一部の前記推進機制御部に前記操作信号を送信する第1通信バスと、
前記一部の前記推進機制御部を除いた他の前記推進機制御部に前記操作信号を送信する第2通信バスと、
前記第1通信バスと前記第2通信バスとを互いに通信可能に接続するゲートウェイ装置と、を備える、操船システム。
【請求項2】
前記複数の推進機制御部は、
前記第1通信バス、前記第2通信バスおよび前記ゲートウェイ装置を介して、互いに前記推進機の駆動に関する駆動情報を送受信することが可能に構成されるとともに、
前記駆動情報に基づいて前記複数の推進機の駆動を連携させる協調制御を行うように構成されている、請求項1に記載の操船システム。
【請求項3】
前記推進機制御部には、前記協調制御を行うことが可能となる前記推進機の上限台数が設けられており、
前記ゲートウェイ装置は、前記船体に取り付けられた前記推進機の実際の台数が前記上限台数を超えていたとしても、前記複数の推進機を前記第1通信バスと前記第2通信バスとの各々を前記上限台数未満でかつ複数同士の台数に振り分けて、前記推進機制御部に対して、前記船体に取り付けられた前記推進機の台数が前記上限台数以下であると認識させる制御を行うように構成されている、請求項2に記載の操船システム。
【請求項4】
前記ゲートウェイ装置は、前記第1通信バスの前記複数の推進機制御部の各々から前記駆動情報を複数受信した場合、前記駆動情報の数を少なくして前記第2通信バスの前記推進機制御部に送信するとともに、前記第2通信バスの前記複数の推進機制御部の各々から前記駆動情報を複数受信した場合、前記駆動情報の数を少なくして前記第1通信バスの前記推進機制御部に送信することにより、前記推進機制御部に対して、前記船体に取り付けられた前記推進機の台数が前記上限台数以下であると認識させるように構成されている、請求項3に記載の操船システム。
【請求項5】
前記ゲートウェイ装置は、前記第1通信バスおよび前記第2通信バスの一方から他方に前記駆動情報を送信する際、前記駆動情報を統合して、前記駆動情報の数を少なくした状態で、前記第1通信バスおよび前記第2通信バスの他方に前記駆動情報を送信する制御を行うように構成されている、請求項4に記載の操船システム。
【請求項6】
前記ゲートウェイ装置は、すべての前記推進機のエンジンの駆動を確認するために前記駆動情報を送る際に、前記駆動情報が統合された複数の前記推進機のうちのいずれか1台の前記エンジンが停止している場合には、統合された前記駆動情報として1台の前記推進機の前記エンジンが停止しているという情報を送信するように構成されている、請求項5に記載の操船システム。
【請求項7】
前記ゲートウェイ装置は、前記推進機の前記実際の台数が前記推進機の前記上限台数よりも1台多い場合、前記推進機の前記実際の台数から1を差し引いた数が、前記推進機の前記上限台数であると、前記推進機制御部に認識させる制御を行うように構成されている、請求項3~6のいずれか1項に記載の操船システム。
【請求項8】
前記ゲートウェイ装置は、前記船体に取り付けられた前記推進機の台数が5台であり、前記推進機の前記上限台数が4台である場合に、前記第1通信バスおよび前記第2通信バスにそれぞれ3台および2台の前記推進機を振り分けて、前記推進機制御部に対して、前記船体に取り付けられた前記推進機の台数が前記上限台数以下であると認識させる制御を行うように構成されている、請求項7に記載の操船システム。
【請求項9】
実際に前記船体に取り付けられた前記推進機は、前記船体の最左舷位置、左舷中央位置、中央位置、右舷中央位置および最右舷位置の5台であり、
前記第1通信バス側の前記複数の推進機制御部の各々は、前記最右舷位置の前記推進機と、前記最左舷位置の前記推進機と、前記左舷中央位置および前記右舷中央位置の前記推進機の一方との3台が接続されていると認識するように構成され、
前記第2通信バス側の前記複数の推進機制御部の各々は、前記左舷中央位置の前記推進機と、前記右舷中央位置の前記推進機との2台が接続されていると認識するように構成されている、請求項8に記載の操船システム。
【請求項10】
前記ゲートウェイ装置は、所定の操船モードにおいて、前記第1通信バス側の3台の前記推進機のうち、前記推進機制御部により前記左舷中央位置の前記推進機および前記右舷中央位置の前記推進機の一方に接続されていると認識されている1台の前記推進機が、前記中央位置の前記推進機として駆動するように、前記推進機制御部を制御するように構成されている、請求項9に記載の操船システム。
【請求項11】
前記第1通信バス側の基準となる所定の1台の前記推進機は、すべての前記推進機のエンジンの回転数を同じにするために、前記エンジンの回転数に関する前記駆動情報を他の前記推進機に送信するように構成され、
前記ゲートウェイ装置は、すべての前記推進機の前記エンジンの回転数を同じにするために前記駆動情報を送る際に、前記所定の1台の推進機からの前記駆動情報を複数に分割して、前記第2通信バス側の複数の前記推進機に送信するように構成されている、請求項2~10のいずれか1項に記載の操船システム。
【請求項12】
前記ゲートウェイ装置は、前記第1通信バスと前記第2通信バスとを互いに通信可能に接続することに加えて、自動操船モードにおいて、前記複数の推進機を自動で駆動させて前記船体を移動させる制御を行うことが可能に構成されている、請求項1~11のいずれか1項に記載の操船システム。
【請求項13】
前記ゲートウェイ装置は、前記第1通信バスと前記第2通信バスとを互いに通信可能に接続することに加えて、定点保持モードにおいて、前記複数の推進機を自動で駆動させて前記船体の位置および方位を保持する制御を行うことが可能に構成されている、請求項1~12のいずれか1項に記載の操船システム。
【請求項14】
前記第1通信バスは、前記操作装置に直接接続され、
前記第2通信バスは、前記ゲートウェイ装置および前記第1通信バスを介して前記操作装置に間接的に接続されている、請求項1~13のいずれか1項に記載の操船システム。
【請求項15】
前記第1通信バスおよび前記第2通信バスの各々は、CAN通信規格に基づくバスケーブルにより互いに通信可能に接続されている、請求項1~14のいずれか1項に記載の操船システム。
【請求項16】
船体と、
船体に設けられた操船システムとを備え、
前記操船システムは、
船体に取り付けられた複数の推進機を駆動させるための操作を受け付ける操作装置と、
前記複数の推進機の各々に対して1つずつ設けられ、前記操作装置からの操作信号に基づいて前記推進機の各々の駆動を制御する複数の推進機制御部と、
一部の前記推進機制御部に前記操作信号を送信する第1通信バスと、
前記一部の前記推進機制御部を除いた他の前記推進機制御部に前記操作信号を送信する第2通信バスと、
前記第1通信バスと前記第2通信バスとを互いに通信可能に接続するゲートウェイ装置と、を含む、船舶。
【請求項17】
前記複数の推進機制御部は、
前記第1通信バス、前記第2通信バスおよび前記ゲートウェイ装置を介して、互いに前記推進機の駆動に関する駆動情報を送受信することが可能に構成されるとともに、
前記駆動情報に基づいて前記複数の推進機の駆動を連携させる協調制御を行うように構成されている、請求項16に記載の船舶。
【請求項18】
前記推進機制御部には、前記協調制御を行うことが可能となる前記推進機の上限台数が設けられており、
前記ゲートウェイ装置は、前記船体に取り付けられた前記推進機の実際の台数が前記上限台数を超えていたとしても、前記複数の推進機を前記第1通信バスと前記第2通信バスとの各々を前記上限台数未満でかつ複数同士の台数に振り分けて、前記推進機制御部に対して、前記船体に取り付けられた前記推進機の台数が前記上限台数以下であると認識させる制御を行うように構成されている、請求項17に記載の船舶。
【請求項19】
前記ゲートウェイ装置は、前記第1通信バスの前記複数の推進機制御部の各々から前記駆動情報を複数受信した場合、前記駆動情報の数を少なくして前記第2通信バスの前記推進機制御部に送信するとともに、前記第2通信バスの前記複数の推進機制御部の各々から前記駆動情報を複数受信した場合、前記駆動情報の数を少なくして前記第1通信バスの前記推進機制御部に送信することにより、前記推進機制御部に対して、前記船体に取り付けられた前記推進機の台数が前記上限台数以下であると認識させるように構成されている、請求項18に記載の船舶。
【請求項20】
前記ゲートウェイ装置は、前記第1通信バスおよび前記第2通信バスの一方から他方に前記駆動情報を送信する際、前記駆動情報を統合して、前記駆動情報の数を少なくした状態で、前記第1通信バスおよび前記第2通信バスの他方に前記駆動情報を送信する制御を行うように構成されている、請求項19に記載の船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の推進機の駆動により操船を行う操船システムおよび船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の推進機の駆動により操船を行う操船システムおよび船舶が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、複数の推進機の操作装置と、複数の推進機の各々に対して1つずつ設けられた複数のリモコン側ECU(推進機制御部)とを備えた操船システムが開示されている。複数のリモコン側ECUの各々は、操作装置に対する操作に基づいて各推進機の駆動を制御するように構成されている。複数のリモコン側ECUは、共通のCANケーブルを介して互いに通信可能に接続されている。複数のリモコン側ECUの間では、互いに運転情報(駆動情報)を送信して、各推進機のエンジンの回転数などを同じ目標値に収めるように、複数の推進機の駆動を連携させる制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4666492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には明記されていないが、上記特許文献1に記載されたような操船システムでは、複数のリモコン側ECU(推進機制御部)の間で各推進機の駆動を連携させる制御を行うために、各リモコン側ECUに、推進機の総数を認識させるようにシステムが構築される。このような操船システムは、各リモコン側ECUに推進機の総数を認識させることによって、認識した推進機の台数に合わせて、各推進機の駆動力および向きのバランスなどを考慮して、各推進機の駆動を連携させる制御を行うことが可能となる。なお、操船システムにおいて、共通のCANケーブルを介して接続された既存の複数のリモコン側ECUに、各リモコン側ECUが認識する台数を超える推進機を増設した場合、増設したリモコン側ECUと既存の所定のリモコン側ECUとが、CAN通信回線において同一の構成として認識されて2つの推進機の駆動が同様に制御されるものと考えられる。この場合、各推進機の駆動力および向きのバランスが崩れ、船舶を適切に操船することができなくなると考えられる。また、上記特許文献1には明記されていないが、操船システムの分野では、既存のリモコン側ECUが認識する推進機の台数よりも多い台数の推進機を制御する新たなシステムの構築が望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、推進機制御部が認識する推進機の台数よりも多い台数の推進機の駆動を制御することが可能な操船システムおよび船舶を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、この発明の第1の局面による操船システムは、船体に取り付けられた複数の推進機を駆動させるための操作を受け付ける操作装置と、複数の推進機の各々に対して1つずつ設けられ、操作装置からの操作信号に基づいて推進機の各々の駆動を制御する複数の推進機制御部と、一部の推進機制御部に操作信号を送信する第1通信バスと、一部の推進機制御部を除いた他の推進機制御部に操作信号を送信する第2通信バスと、第1通信バスと第2通信バスとを互いに通信可能に接続するゲートウェイ装置と、を備える。
【0008】
この第1の局面による操船システムでは、上記のように、一部の推進機制御部に操作信号を送信する第1通信バスと、一部の推進機制御部を除いた他の推進機制御部に操作信号を送信する第2通信バスと、第1通信バスと第2通信バスとを互いに通信可能に接続するゲートウェイ装置とを設ける。これによって、ゲートウェイ装置により、互いに異なる第1通信バスおよび第2通信バスを互いに通信可能に接続することができる。このため、第1通信バス側の推進機制御部が認識する推進機の台数、および、第2通信バス側の推進機制御部が認識する推進機の台数が、実際に船体に取り付けられた推進機の台数よりも少なくなるように、第1通信バスおよび第2通信バスの間のゲートウェイ装置に情報送信の仲介をさせることができる。したがって、実際に船体に取り付けられた推進機の台数よりも少ない台数の推進機を仮想的に認識させた推進機制御部を用いて、既存の推進機制御部が認識する推進機の台数よりも多い台数の推進機を制御することができる。
【0009】
上記第1の局面による操船システムにおいて、好ましくは、複数の推進機制御部は、第1通信バス、第2通信バスおよびゲートウェイ装置を介して、互いに推進機の駆動に関する駆動情報を送受信することが可能に構成されるとともに、駆動情報に基づいて複数の推進機の駆動を連携させる協調制御を行うように構成されている。このように構成すれば、第1通信バス、第2通信バスおよびゲートウェイ装置を介して、互いに推進機の駆動に関する駆動情報を複数の推進機制御部の間において送受信することによって、協調制御を行い、複数の推進機の駆動を適切に連携させることができる。
【0010】
この場合、好ましくは、推進機制御部には、協調制御を行うことが可能となる推進機の上限台数が設けられており、ゲートウェイ装置は、船体に取り付けられた推進機の実際の台数が上限台数を超えていたとしても、複数の推進機を第1通信バスと第2通信バスとの各々を上限台数未満でかつ複数同士の台数に振り分けて、推進機制御部に対して、船体に取り付けられた推進機の台数が上限台数以下であると認識させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、推進機制御部に対して、船体に取り付けられた推進機の台数が上限台数以下であると認識させることができるので、既存の推進機制御部が認識する推進機の台数よりも多い台数の推進機をより容易に制御することができる。
【0011】
上記推進機制御部には協調制御を行うことが可能となる推進機の上限台数が設けられている構成において、好ましくは、ゲートウェイ装置は、第1通信バスの複数の推進機制御部の各々から駆動情報を複数受信した場合、駆動情報の数を少なくして第2通信バスの推進機制御部に送信するとともに、第2通信バスの複数の推進機制御部の各々から駆動情報を複数受信した場合、駆動情報の数を少なくして第1通信バスの推進機制御部に送信することにより、推進機制御部に対して、船体に取り付けられた推進機の台数が上限台数以下であると認識させるように構成されている。このように構成すれば、第1通信バス側の複数の推進機制御部が認識する推進機の台数に合わせて、ゲートウェイ装置により、第2通信バス側の駆動情報の数を少なくすることができる。また、第2通信バス側の複数の推進機制御部が認識する推進機の台数に合わせて、ゲートウェイ装置により、第1通信バス側の駆動情報の数を少なくすることができる。
【0012】
上記推進機制御部に対して船体に取り付けられた推進機の台数が上限台数以下であると認識させる構成において、好ましくは、ゲートウェイ装置は、第1通信バスおよび第2通信バスの一方から他方に駆動情報を送信する際、駆動情報を統合して、駆動情報の数を少なくした状態で、第1通信バスおよび第2通信バスの他方に駆動情報を送信する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、ゲートウェイ装置において駆動情報を統合することにより、第1通信バスおよび第2通信バスの一方から他方に送信する駆動情報の数を容易に少なくすることができる。
【0013】
上記ゲートウェイ装置が駆動情報を統合する構成において、好ましくは、ゲートウェイ装置は、すべての推進機のエンジンの駆動を確認するために駆動情報を送る際に、駆動情報が統合された複数の推進機のうちのいずれか1台のエンジンが停止している場合には、統合された駆動情報として1台の推進機のエンジンが停止しているという情報を送信するように構成されている。このように構成すれば、駆動情報が統合された複数の推進機のうちのいずれか1台のエンジンが停止しているにもかかわらず、すべての推進機のエンジンが駆動していると、推進機制御部が誤って認識してしまうことを防止することができる。
【0014】
上記推進機制御部には協調制御を行うことが可能となる推進機の上限台数が設けられている構成において、好ましくは、ゲートウェイ装置は、推進機の実際の台数が推進機の上限台数よりも1台多い場合、推進機の実際の台数から1を差し引いた数が、推進機の上限台数であると、推進機制御部に認識させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、既存の推進機制御部が認識することが可能な推進機の上限台数に、1を加えた台数の推進機の駆動を制御することが可能な操船システムを実現することができる。
【0015】
この場合、好ましくは、ゲートウェイ装置は、船体に取り付けられた推進機の台数が5台であり、推進機の上限台数が4台である場合に、第1通信バスおよび第2通信バスにそれぞれ3台および2台の推進機を振り分けて、推進機制御部に対して、船体に取り付けられた推進機の台数が上限台数以下であると認識させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、推進機制御部が4台の推進機を認識するとともに、第1通信バスに3つの推進機制御部が接続され、第2通信バスに2つの推進機制御部が接続された構成により、推進機の上限台数が4台である場合にも、5台の推進機の駆動を制御することが可能な操船システムを実現することができる。
【0016】
上記第1通信バスおよび第2通信バスにそれぞれ3台および2台の推進機を振り分けて、推進機制御部に対して船体に取り付けられた推進機の台数が上限台数以下であると認識させる構成において、好ましくは、実際に船体に取り付けられた推進機は、船体の最左舷位置、左舷中央位置、中央位置、右舷中央位置および最右舷位置の5台であり、第1通信バス側の複数の推進機制御部の各々は、最右舷位置の推進機と、最左舷位置の推進機と、左舷中央位置および右舷中央位置の推進機の一方との3台が接続されていると認識するように構成され、第2通信バス側の複数の推進機制御部の各々は、左舷中央位置の推進機と、右舷中央位置の推進機との2台が接続されていると認識するように構成されている。このように構成すれば、上限台数が4台であるという認識の下で、最右舷位置の推進機と、最左舷位置の推進機と、左舷中央位置および右舷中央位置の推進機の一方として駆動が制御される3台の推進機を、第1通信バス側の推進機制御部に対して接続することができる。また、上限台数が4台であるという認識の下で、左舷中央位置の推進機と、右舷中央位置の推進機との2台として駆動が制御される2台の推進機を、第2通信バス側の推進機制御部に対して接続することができる。
【0017】
上記実際に船体に取り付けられた推進機が船体の最左舷位置、左舷中央位置、中央位置、右舷中央位置および最右舷位置の5台である構成において、好ましくは、ゲートウェイ装置は、所定の操船モードにおいて、第1通信バス側の3台の推進機のうち、推進機制御部により左舷中央位置の推進機および右舷中央位置の推進機の一方に接続されていると認識されている1台の推進機が、中央位置の推進機として駆動するように、推進機制御部を制御するように構成されている。このように構成すれば、複数の推進機制御部が、推進機の上限台数が4台であると認識している場合に、1台の推進機を、最左舷位置、左舷中央位置、右舷中央位置および最右舷位置の推進機ではなく、中央位置の推進機として駆動させることができる。その結果、所定の操船モードにおいて、各推進機の駆動力および向きのバランスが崩れるのを防止することができる。
【0018】
上記複数の推進機制御部が第1通信バス、第2通信バスおよびゲートウェイ装置を介して互いに推進機の駆動に関する駆動情報を送受信する構成において、好ましくは、第1通信バス側の基準となる所定の1台の推進機は、すべての推進機のエンジンの回転数を同じにするために、エンジンの回転数に関する駆動情報を他の推進機に送信するように構成され、ゲートウェイ装置は、すべての推進機のエンジンの回転数を同じにするために駆動情報を送る際に、所定の1台の推進機からの駆動情報を複数に分割して、第2通信バス側の複数の推進機に送信するように構成されている。このように構成すれば、ゲートウェイ装置により、第1通信バス側の所定の1台の推進機からのエンジンの回転数に関する駆動情報を、複数に分割することができるので、第2通信バス側に向けて送信されたエンジンの回転数に関する1つの駆動情報を、第2通信バス側のすべての推進機制御部が受信することができる。
【0019】
上記第1の局面による操船システムにおいて、好ましくは、ゲートウェイ装置は、第1通信バスと第2通信バスとを互いに通信可能に接続することに加えて、自動操船モードにおいて、複数の推進機を自動で駆動させて船体を移動させる制御を行うことが可能に構成されている。このように構成すれば、ゲートウェイ装置を、第1通信バスと第2通信バスとを互いに通信可能に接続すること、および、自動操船モードにおいて複数の推進機を自動で駆動させて船体を移動させる制御を行うことの2つの用途に兼用することができる。その結果、2つの用途を別々の構成で実現する場合と比較して、部品点数を削減して、装置構成を簡素化することができる。
【0020】
上記第1の局面による操船システムにおいて、好ましくは、ゲートウェイ装置は、第1通信バスと第2通信バスとを互いに通信可能に接続することに加えて、定点保持モードにおいて、複数の推進機を自動で駆動させて船体の位置および方位を保持する制御を行うことが可能に構成されている。このように構成すれば、ゲートウェイ装置を、第1通信バスと第2通信バスとを互いに通信可能に接続すること、および、定点保持モードにおいて複数の推進機を自動で駆動させて船体の位置および方位を保持する制御を行うことの2つの用途に兼用することができる。その結果、2つの用途を別々の構成で実現する場合と比較して、部品点数を削減して、装置構成を簡素化することができる。
【0021】
上記第1の局面による操船システムにおいて、好ましくは、第1通信バスは、操作装置に直接接続され、第2通信バスは、ゲートウェイ装置および第1通信バスを介して操作装置に間接的に接続されている。このように構成すれば、複数の推進機制御部および操作装置を、共通の第1通信バスを介してゲートウェイ装置に接続することができる。このため、装置構成を簡素化することができる。
【0022】
上記第1の局面による操船システムにおいて、好ましくは、第1通信バスおよび第2通信バスの各々は、CAN通信規格に基づくバスケーブルにより互いに通信可能に接続されている。このように構成すれば、CAN通信規格に基づくバスケーブルにより、複数の推進機制御部の間での相互通信を容易に実現することができる。
【0023】
この発明の第2の局面による船舶は、船体と、船体に設けられた操船システムとを備え、操船システムは、船体に取り付けられた複数の推進機を駆動させるための操作を受け付ける操作装置と、複数の推進機の各々に対して1つずつ設けられ、操作装置からの操作信号に基づいて推進機の各々の駆動を制御する複数の推進機制御部と、一部の推進機制御部に操作信号を送信する第1通信バスと、一部の推進機制御部を除いた他の推進機制御部に操作信号を送信する第2通信バスと、第1通信バスと第2通信バスとを互いに通信可能に接続するゲートウェイ装置と、を含む。
【0024】
この第2の局面による船舶では、上記のように、一部の推進機制御部に操作信号を送信する第1通信バスと、一部の推進機制御部を除いた他の推進機制御部に操作信号を送信する第2通信バスと、第1通信バスと第2通信バスとを互いに通信可能に接続するゲートウェイ装置とを設ける。これによって、ゲートウェイ装置により、互いに異なる第1通信バスおよび第2通信バスを互いに通信可能に接続することができる。このため、第1通信バス側の推進機制御部が認識する推進機の台数、および、第2通信バス側の推進機制御部が認識する推進機の台数が、実際に船体に取り付けられた推進機の台数よりも少なくなるように、第1通信バスおよび第2通信バスの間のゲートウェイ装置に情報送信の仲介をさせることができる。したがって、実際に船体に取り付けられた推進機の台数よりも少ない台数の推進機を仮想的に認識させた推進機制御部を用いて、既存の推進機制御部が認識する推進機の台数よりも多い台数の推進機を制御することが可能な船舶を提供することができる。
【0025】
上記第2の局面による船舶において、好ましくは、複数の推進機制御部は、第1通信バス、第2通信バスおよびゲートウェイ装置を介して、互いに推進機の駆動に関する駆動情報を送受信することが可能に構成されるとともに、駆動情報に基づいて複数の推進機の駆動を連携させる協調制御を行うように構成されている。このように構成すれば、第1通信バス、第2通信バスおよびゲートウェイ装置を介して、互いに推進機の駆動に関する駆動情報を複数の推進機制御部の間において送受信することによって、協調制御を行い、複数の推進機の駆動を適切に連携させることができる。
【0026】
この場合、好ましくは、推進機制御部には、協調制御を行うことが可能となる推進機の上限台数が設けられており、ゲートウェイ装置は、船体に取り付けられた推進機の実際の台数が上限台数を超えていたとしても、複数の推進機を第1通信バスと第2通信バスとの各々を上限台数未満でかつ複数同士の台数に振り分けて、推進機制御部に対して、船体に取り付けられた推進機の台数が上限台数以下であると認識させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、推進機制御部に対して、船体に取り付けられた推進機の台数が上限台数以下であると認識させることができるので、既存の推進機制御部が認識する推進機の台数よりも多い台数の推進機をより容易に制御することができる。
【0027】
上記推進機制御部には協調制御を行うことが可能となる推進機の上限台数が設けられている構成において、好ましくは、ゲートウェイ装置は、第1通信バスの複数の推進機制御部の各々から駆動情報を複数受信した場合、駆動情報の数を少なくして第2通信バスの推進機制御部に送信するとともに、第2通信バスの複数の推進機制御部の各々から駆動情報を複数受信した場合、駆動情報の数を少なくして第1通信バスの推進機制御部に送信することにより、推進機制御部に対して、船体に取り付けられた推進機の台数が上限台数以下であると認識させるように構成されている。このように構成すれば、第1通信バス側の複数の推進機制御部が認識する推進機の台数に合わせて、ゲートウェイ装置により、第2通信バス側の駆動情報の数を少なくすることができる。また、第2通信バス側の複数の推進機制御部が認識する推進機の台数に合わせて、ゲートウェイ装置により、第1通信バス側の駆動情報の数を少なくすることができる。
【0028】
上記推進機制御部に対して船体に取り付けられた推進機の台数が上限台数以下であると認識させる構成において、好ましくは、ゲートウェイ装置は、第1通信バスおよび第2通信バスの一方から他方に駆動情報を送信する際、駆動情報を統合して、駆動情報の数を少なくした状態で、第1通信バスおよび第2通信バスの他方に駆動情報を送信する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、ゲートウェイ装置において駆動情報を統合することにより、第1通信バスおよび第2通信バスの一方から他方に送信する駆動情報の数を容易に少なくすることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、上記のように、推進機制御部が認識する推進機の台数よりも多い台数の推進機の駆動を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】実施形態による船外機および操船システムを備えた船舶を模式的に示した斜視図である。
図2】実施形態による船外機の構成を説明するための側面図である。
図3】実施形態による操船システムの操作パネルを模式的に示した図である。
図4】実施形態による操船システムを示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
(船舶の全体構成)
図1図4を参照して、本実施形態による操船システム102を備えた船舶100の構成について説明する。なお、図中、FWDは、船舶100の前進方向(船体100aを基準とした前方)を示しており、BWDは、船舶100の後進方向(船体100aを基準とした後方)を示している。
【0033】
図1に示すように、船舶100は、船体100aと、複数(5台)の船外機101(101a~101e)と、操船システム102とを備えている。船外機101は、特許請求の範囲の「推進機」の一例である。
【0034】
(船体の構成)
船体100aのトランサムには、複数の船外機101が取り付けられている。すなわち、船舶100は、複数の船外機101を有する船外機艇として構成されている。
【0035】
(船外機の構成)
図2に示すように、船外機101は、エンジン10と、プロペラ11と、シフトアクチュエータ12と、ECU(Electronic Control Unit)13とを含んでいる。船外機101は、ステアリングSにより左右方向の向きが変わるように操作される。また、船外機101は、リモコンレバー20により、エンジン10の回転数(推進速度)が変わるように操作される。
【0036】
エンジン10は、内燃機関であり、燃料を燃焼させて、クランクシャフト(図示せず)を回転させることにより、駆動力を発生させるように構成されている。そして、エンジン10は、発生させた駆動力により、プロペラ11を回転させるように構成されている。
【0037】
シフトアクチュエータ12は、操船システム102の後述するリモコンレバー20を前進位置、ニュートラル位置(中立位置)、および、後進位置のいずれかに切り換える操作に基づいて、船外機101の「シフト状態」を前進状態(F)、ニュートラル状態(N)、および、後進状態(R)のいずれかに切り換えるように構成されている。
【0038】
上記「シフト状態」とは、ドライブシャフト14aからプロペラシャフト14bへの駆動力の伝達状態であり、前進状態(F)ではプロペラ11が船体100aを前進させる所定方向に回転し、後進状態(R)ではプロペラ11が船体100aを後進させる所定方向とは逆方向に回転し、ニュートラル状態(N)ではプロペラ11が回転しない。
【0039】
ECU13は、Central Processing Unit(CPU)およびメモリを含む制御回路である。ECU13は、操船システム102の指令に基づいて、エンジン10の駆動およびシフトアクチュエータ12の駆動を制御するように構成されている。ECU13は、メモリ内に記憶されたプログラムを実行することにより各種の駆動制御処理を行うように構成されている。
【0040】
船外機101の台数は、最左舷位置(P:Port Side)の船外機101a、左舷中央位置(CP:Center Port Side)の船外機101b、中央位置(C:Center)の船外機101c、右舷中央位置(CS:Center Starboard)の船外機101d、および、最右舷位置(S:Starboard)の船外機101eの5台である。
【0041】
船外機101a、101cおよび101dは、リモコンECU3を介して、第1通信バス4に接続されている。船外機101bおよび101dは、リモコンECU3を介して、第2通信バス5に接続されている。
【0042】
(操船システムの構成)
図4に示す操船システム102は、船舶100(図1参照)の操船を行うシステムである。すなわち、操船システム102は、操作者の操作ユニット2に対する操作に基づいて、複数の船外機101の駆動を制御するシステムである。
【0043】
操船システム102は、操作ユニット2と、リモコンECU(Electronic Control Unit)3と、第1通信バス4と、第2通信バス5と、BCU(Boat Control Unit)6とを備えている。なお、リモコンECU3は、特許請求の範囲の「推進機制御部」の一例である。また、BCU6は、特許請求の範囲の「ゲートウェイ装置」の一例である。
【0044】
(操船システムの「操作ユニット」の構成)
操作ユニット2は、船体100aに取り付けられた複数の船外機101を駆動させるための操作を受け付けるリモコンレバー20、ジョイスティック21および操作パネル22と、方位センサ23と、GPS装置24とを備えている。リモコンレバー20、ジョイスティック21および操作パネル22は、特許請求の範囲の「操作装置」の一例である。
【0045】
〈ジョイスティックの構成〉
ジョイスティック21は、ジョイスティックモードにおいて、船外機101(図3参照)の推進力を変化させる推進力操作と、船外機101を駆動させて船舶100を転舵させる転舵操作との両方の操作を受け付けるように構成されている。すなわち、ジョイスティック21は、概して、ステアリングS(図1参照)およびリモコンレバー20の両方の操作機能を兼ねる装置である。
【0046】
ジョイスティックモードとは、ステアリングSおよびリモコンレバー20により船舶100を操作する通常操船モードとは異なり、ステアリングSおよびリモコンレバー20に代えて、ジョイスティック21により船舶100を操作することが可能になるモードである。なお、ジョイスティック21からの操作信号は、BCU6に送信される。
【0047】
〈リモコンレバーの構成〉
リモコンレバー20は、エンジン10のスロットルの開度を調整して推進速度を加減速させる操作が行われるように構成されている。リモコンレバー20は、左舷側の船外機101(101a、101b)に対する操作を受け付けるレバー部20a(図1参照)と、右舷側の船外機101(101d、101e)に対する操作を受け付けるレバー部20b(図1参照)とを含んでいる。なお、中央位置の船外機101cは、レバー部20aに対する操作量と、レバー部20bに対する操作量との平均により駆動される。
【0048】
レバー部20aおよび3bは、前後方向に傾倒可能に構成されている。すなわち、左舷および右舷の船外機101は、個別に駆動が操作されるように構成されている。なお、リモコンレバー20は、図示しない所定の操作ボタンを押すことにより、一方のレバー部20a(3b)によって、すべての船外機101を同様に駆動させることも可能である。
【0049】
また、リモコンレバー20は、船外機101の中立状態と前進状態と後進状態とを切り換えるように構成されている。なお、リモコンレバー20からの操作信号は、BCU6に送信される。
【0050】
〈操作パネルの構成〉
図3に示すように操作パネル22には、自動操船モードに遷移するための各種の操作ボタンが設けられている。具体的には、操作パネル22には、自動操船モードとしての目標方位保持モードに遷移するためのボタン22aが設けられている。また、操作パネル22には、自動操船モードとしての目標進路保持モードに遷移するためのボタン22bが設けられている。また、操作パネル22には、定点保持モードに遷移するためのボタン22cが設けられている。
【0051】
目標方位保持モードは、複数の船外機101(図1参照)を自動で駆動させて、船舶100(図1参照)の目標方位を保持する操船モードである。目標方位保持モードでは、風や波などにより船舶100が流された場合、船舶100の目標方位の先に位置するポイントは変動するが、目標方位は変わらず保持される。
【0052】
目標進路保持モードは、船舶100の直線状の目標進路を保持する操船モードである。目標進路保持モードでは、風や波などにより船舶100が流された場合(直線状の目標進路から船舶100が外れた場合)、直線状の目標進路に復帰する所定の制御が行われる。
【0053】
定点保持モードは、複数の船外機101を自動で駆動させて、船体100a(図1参照)の位置および方位を保持する操船モードである。なお、操作パネル22からの操作信号は、BCU6(図4参照)に送信される。
【0054】
〈方位センサの構成〉
図4に示す方位センサ23は、船舶100が向かう現在の方位を検知可能に構成されている。なお、方位センサ23からの検知信号は、BCU6に送信される。
【0055】
〈GPS装置の構成〉
GPS装置24は、船舶100の現在位置に関するGPS信号を衛星から取得可能に構成されている。そして、GPS装置24は、取得したGPS信号に基づいて、船舶100の現在位置を特定するように構成されている。
【0056】
(操船システムの「第1通信バス」の構成)
図4に示す第1通信バス4は、一部のリモコンECU3に操作ユニット2からの操作信号および検知信号を送信するように構成されている。また、第1通信バス4は、船外機101a、船外機101cおよび船外機101eに操作信号および検知信号を送信するように構成されている。
【0057】
第1通信バス4は、操作ユニット2(リモコンレバー20、ジョイスティック21、操作パネル22、方位センサ23およびGPS装置24)に直接接続されている。
【0058】
(操船システムの「第2通信バス」の構成)
第2通信バス5は、上記の「一部のリモコンECU3」を除いた他のリモコンECU3に操作ユニット2からの操作信号および検知信号を送信するように構成されている。また、第1通信バス4は、船外機101bおよび船外機101dに操作信号および検知信号を送信するように構成されている。
【0059】
第2通信バス5は、BCU6および第1通信バス4を介して操作ユニット2(リモコンレバー20、ジョイスティック21、操作パネル22、方位センサ23およびGPS装置24)に間接的に接続されている。
【0060】
第1通信バス4および第2通信バス5の各々は、CAN(Controller Area Network)通信規格に基づくバスケーブル4aおよび4bにより互いに通信可能に接続されている。
【0061】
第1通信バス4と第2通信バス5とは、BCU6により互いに通信可能に接続されている。
【0062】
(操船システムの「リモコンECU」の構成)
リモコンECU3は、CPUおよびメモリを含む制御回路である。リモコンECU3は、複数の船外機101の各々に対して1つずつ設けられている。リモコンECU3は、操作ユニット2からの操作信号および検知信号に基づいて船外機101の各々の駆動を制御するように構成されている。
【0063】
リモコンECU3と船外機101とは、ドライブバイワイヤ方式の通信ケーブル3aにより接続されている。すなわち、リモコンECU3は、通信ケーブル3aを介して船外機101に電気信号を送信して、船外機101の駆動を制御するように構成されている。
【0064】
複数のリモコンECU3は、第1通信バス4、第2通信バス5およびBCU6を介して、互いに船外機101の駆動に関する駆動情報を送受信することが可能に構成されている。また、複数のリモコンECU3は、駆動情報に基づいて複数の船外機101の駆動を連携させる協調制御を行うように構成されている。
【0065】
なお、「協調制御」には、たとえば、すべての船外機101の回転数を連携させる制御(スピードコントロール)がある。この他、「協調制御」には、自動操船モード、および、ジョイスティックモードなどにおいて、一部またはすべての船外機101の回転数および向きなどを連携させる制御がある。すなわち、「協調制御」とは、他の船外機の101の駆動情報に基づいて、複数の船外機101間で駆動を調整して連携させる制御である。
【0066】
リモコンECU3には、協調制御を行うことが可能となる船外機101の上限台数が設けられている。具体的には、リモコンECU3が協調制御を行うことが可能となる船外機101の上限台数は、4台である。
【0067】
すなわち、リモコンECU3は、船体100aに取り付けられた船外機101の台数が4台であると認識して、協調制御を行うように構成されている。
【0068】
ここで、船体100aに取り付けられた船外機101の実際の台数は、5台である。そこで、BCU6は、船体100aに取り付けられた船外機101の実際の台数(5台)が上限台数(4台)を超えていたとしても、複数の船外機101を第1通信バス4と第2通信バス5との各々を上限台数未満でかつ複数同士の台数に振り分けて(3台と2台とに振り分けて)、リモコンECU3に対して、船体100aに取り付けられた船外機101の台数が上限台数以下(4台)であると認識させる制御を行うように構成されている。
【0069】
そして、第1通信バス4側の複数(3台)のリモコンECU3の各々は、船体100aに取り付けられた船外機101の台数が4台であるという認識の下、最左舷位置(P)の船外機101と、最右舷位置(S)の船外機101と、左舷中央位置(CP)の船外機101との3台が接続されていると認識するように構成されている。
【0070】
なお、実際には、第1通信バス4側の複数(3台)のリモコンECU3の各々には、最左舷位置(P)の船外機101aと、最右舷位置(S)の船外機101eと、中央位置(C)の船外機101cとの3台が接続されている。
【0071】
また、第2通信バス5側の複数(3台)のリモコンECU3の各々は、船体100aに取り付けられた船外機101の台数が4台であるという認識の下、左舷中央位置(CP)の船外機101と、右舷中央位置(CS)の船外機101との2台が接続されていると認識するように構成されている。
【0072】
なお、実際には、上記認識と同様に、第2通信バス5側の複数(2台)のリモコンECU3の各々には、左舷中央位置(CP)の船外機101bと、右舷中央位置(CS)の船外機101dとの2台が接続されている。
【0073】
(操船システムの「BCU」の構成)
BCU6は、CPUおよびメモリを含む制御回路である。BCU6は、自動操船モードにおいて、複数の船外機101を自動で駆動させて船体100aを移動させる制御を行うことが可能に構成されている。すなわち、BCU6は、自動操船モードにおいて複数の船外機101の駆動を制御する制御装置である。
【0074】
BCU6は、定点保持モードにおいて、複数の船外機101を自動で駆動させて船体100aの位置および方位を保持する制御を行うことが可能に構成されている。すなわち、BCU6は、定点保持モードにおいて複数の船外機101の駆動を制御する制御装置である。
【0075】
また、BCU6は、第1通信バス4と第2通信バス5とを互いに通信可能に接続している。すなわち、BCU6は、プロトコルの異なるネットワーク同士を接続するいわゆるゲートウェイとしての機能を有している。
【0076】
BCU6は、第1通信バス4の複数のリモコンECU3の各々から駆動情報を複数受信した場合、駆動情報の数を少なくして第2通信バス5のリモコンECU3に送信するように構成されている。また、BCU6は、第2通信バス5の複数のリモコンECU3の各々から駆動情報を複数受信した場合、駆動情報の数を少なくして第1通信バス4のリモコンECU3に送信するように構成されている。以上の結果、BCU6は、リモコンECU3に対して、船体100aに取り付けられた船外機101の台数(5台)が上限台数以下(4台)であると認識させるように構成されている。
【0077】
詳細には、BCU6は、第1通信バス4および第2通信バス5の一方から他方に駆動情報を送信する際、駆動情報を統合して、駆動情報の数を少なくした状態で、第1通信バス4および第2通信バス5の他方に駆動情報を送信する制御を行うように構成されている。
【0078】
より詳細には、BCU6は、船外機101の実際の台数(5台)が船外機101の上限台数(4台)よりも1台多い場合、船外機101の実際の台数(5台)から1を差し引いた数が、船外機101の上限台数(4台)であると、リモコンECU3に認識させる制御を行うように構成されている。
【0079】
すなわち、BCU6は、実際に船体100aに取り付けられた船外機101の台数が5台であり、船外機101の上限台数が4台である場合に、第1通信バス4および第2通信バス5にそれぞれ3台および2台の船外機101を振り分けて、リモコンECU3に対して、船体100aに取り付けられた船外機101の台数(5台)が上限台数以下(4台)であると認識させる制御を行うように構成されている。
【0080】
具体的には、BCU6は、第1通信バス4から第2通信バス5に駆動情報を送信する際、第1通信バス4が認識している最左舷位置(P)の船外機101の駆動情報と、左舷中央位置(CP)の船外機101の駆動情報とを統合して、最左舷位置(P)の船外機101の1つの駆動情報として第2通信バス5に送信するとともに、最右舷位置(S)の船外機101の駆動情報をそのまま第2通信バス5に送信するように構成されている。要するに、BCU6は、第1通信バス4側には船外機101が2台しか存在しないという内容の情報を第2通信バス5に送信するように構成されている。
【0081】
また、BCU6は、第2通信バス5から第1通信バス4に駆動情報を送信する際、第2通信バス5が認識している左舷中央位置(CP)の船外機101の駆動情報と、右舷中央位置(CS)の船外機101の駆動情報とを統合して、右舷中央位置(CS)の船外機101の1つの駆動情報として第2通信バス5に送信するように構成されている。要するに、BCU6は、第2通信バス5側には船外機101が1台しか存在しないという内容の情報を第1通信バス4に送信するように構成されている。
【0082】
BCU6は、所定の操船モード(たとえば、ジョイスティックモード)において、第1通信バス4側の3台の船外機101(101a、101cおよび101e)のうち、リモコンECU3により左舷中央位置(CP)の船外機101に接続されていると認識されている1台の船外機101cが、中央位置(C)の船外機101として駆動する(振る舞う)ように、中央位置のリモコンECU3を制御するように構成されている。
【0083】
具体的な一例として、ジョイスティックモードにおいて右舷方向に船体100aの方位を維持しながら移動する操作がジョイスティック21に対して行われた場合、BCU6は、左舷側の2台の船外機101(101a、101b)のシフト状態が前進状態となり、右舷側の2台の船外機101(101d、101e)のシフト状態が後進状態となるように協調制御を行う。
【0084】
この際、BCU6は、左舷側の2台の船外機101(101a、101b)の推進力の大きさと右舷側の2台の船外機101(101d、101e)の推進力の大きさとが釣り合った状態でこれら4台の船外機101(101a、101b、101d、101e)がV字状に配置されるように協調制御を行う。
【0085】
また、この際、BCU6は、中央位置のリモコンECU3により左舷中央位置(CP)の船外機101に接続されていると認識されている1台の船外機101cが、中央位置(C)の船外機101として駆動するように、中央位置(C)の船外機101のシフト状態が中立状態となるように協調制御を行う。
【0086】
なお、右舷方向に船体100aの方位を維持しながら移動する際に、BCU6は、中央位置(C)の船外機101を停止させる(中立状態にする)のではなく、左舷側の2台の船外機101(101a、101b)の推進力の大きさと右舷側の3台の船外機101(101c、101d、101e)の推進力の大きさとが釣り合うように協調制御を行ってもよい。
【0087】
要するに、実際には中央位置(C)に配置されている船外機101cが、リモコンECU3により左舷中央位置(CP)の船外機101として認識されたままだと、所定の操船モードにおいて、複数の船外機101の推進力などのバランスが崩れてしまう。そこで、BCU6は、船外機101cが、中央位置(C)の船外機101として駆動するように、中央位置の船外機101cに接続されたリモコンECU3を制御するように構成されている。
【0088】
スピードコントロールモードにおいて、第1通信バス4側の基準となる所定の1台の船外機101aは、すべての船外機101a~101eのエンジン10の回転数を同じにするために、エンジン10の回転数に関する駆動情報を他の船外機101b~101eに送信するように構成されている。そして、BCU6は、すべての船外機101a~101eのエンジン10の回転数を同じにするために駆動情報を送る際に、所定の1台の船外機101aからの駆動情報を複数(2つ)に分割して、第2通信バス5側の複数の船外機101(101bおよび101d)に送信するように構成されている。
【0089】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0090】
本実施形態では、上記のように、一部のリモコンECU3に操作信号を送信する第1通信バス4と、一部のリモコンECU3を除いた他のリモコンECU3に操作信号を送信する第2通信バス5と、第1通信バス4と第2通信バス5とを互いに通信可能に接続するBCU6とを設ける。これによって、BCU6により、互いに異なる第1通信バス4および第2通信バス5を互いに通信可能に接続することができる。このため、第1通信バス4側のリモコンECU3が認識する船外機101の台数、および、第2通信バス5側のリモコンECU3が認識する船外機101の台数が、実際に船体100aに取り付けられた船外機101の台数よりも少なくなるように、第1通信バス4および第2通信バス5の間のBCU6に情報送信の仲介をさせることができる。したがって、実際に船体100aに取り付けられた船外機101の台数よりも少ない台数の船外機101を仮想的に認識させたリモコンECU3を用いて、既存のリモコンECU3が認識する船外機101の台数よりも多い台数の船外機101を制御することができる。
【0091】
本実施形態では、上記のように、複数のリモコンECU3は、第1通信バス4、第2通信バス5およびBCU6を介して、互いに船外機101の駆動に関する駆動情報を送受信することが可能に構成されるとともに、駆動情報に基づいて複数の船外機101の駆動を連携させる協調制御を行うように構成されている。これによって、第1通信バス4、第2通信バス5およびBCU6を介して、互いに船外機101の駆動に関する駆動情報を複数のリモコンECU3の間において送受信することによって、協調制御を行い、複数の船外機101の駆動を適切に連携させることができる。
【0092】
この場合、好ましくは、リモコンECU3には、協調制御を行うことが可能となる船外機101の上限台数が設けられており、BCU6は、船体100aに取り付けられた船外機101の実際の台数が上限台数を超えていたとしても、複数の船外機101を第1通信バス4と第2通信バス5との各々を上限台数未満でかつ複数同士の台数に振り分けて、リモコンECU3に対して、船体100aに取り付けられた船外機101の台数が上限台数以下であると認識させる制御を行うように構成されている。これによって、リモコンECU3に対して、船体100aに取り付けられた船外機101の台数が上限台数以下であると認識させることができるので、既存のリモコンECU3が認識する船外機101の台数よりも多い台数の船外機101をより容易に制御することができる。
【0093】
本実施形態では、上記のように、BCU6は、第1通信バス4の複数のリモコンECU3の各々から駆動情報を複数受信した場合、駆動情報の数を少なくして第2通信バス5のリモコンECU3に送信するとともに、第2通信バス5の複数のリモコンECU3の各々から駆動情報を複数受信した場合、駆動情報の数を少なくして第1通信バス4のリモコンECU3に送信することにより、リモコンECU3に対して、船体100aに取り付けられた船外機101の台数が上限台数以下であると認識させるように構成されている。これによって、第1通信バス4側の複数のリモコンECU3が認識する船外機101の台数に合わせて、BCU6により、第2通信バス5側の駆動情報の数を少なくすることができる。また、第2通信バス5側の複数のリモコンECU3が認識する船外機101の台数に合わせて、BCU6により、第1通信バス4側の駆動情報の数を少なくすることができる。
【0094】
本実施形態では、上記のように、BCU6は、第1通信バス4および第2通信バス5の一方から他方に駆動情報を送信する際、駆動情報を統合して、駆動情報の数を少なくした状態で、第1通信バス4および第2通信バス5の他方に駆動情報を送信する制御を行うように構成されている。これによって、BCU6において駆動情報を統合することにより、第1通信バス4および第2通信バス5の一方から他方に送信する駆動情報の数を容易に少なくすることができる。
【0095】
本実施形態では、上記のように、BCU6は、すべての船外機101のエンジン10の駆動を確認するために駆動情報を送る際に、駆動情報が統合された複数の船外機101のうちのいずれか1台のエンジン10が停止している場合には、統合された駆動情報として1台の船外機101のエンジン10が停止しているという情報を送信するように構成されている。これによって、駆動情報が統合された複数の船外機101のうちのいずれか1台のエンジン10が停止しているにもかかわらず、すべての船外機101のエンジン10が駆動していると、リモコンECU3が誤って認識してしまうことを防止することができる。
【0096】
本実施形態では、上記のように、BCU6は、船外機101の実際の台数が船外機101の上限台数よりも1台多い場合、船外機101の実際の台数から1を差し引いた数が、船外機101の上限台数であると、リモコンECU3に認識させる制御を行うように構成されている。これによって、既存のリモコンECU3が認識することが可能な船外機101の上限台数に、1を加えた台数の船外機101の駆動を制御することが可能な操船システム102を実現することができる。
【0097】
本実施形態では、上記のように、BCU6は、船体100aに取り付けられた船外機101の台数が5台であり、船外機101の上限台数が4台である場合に、第1通信バス4および第2通信バス5にそれぞれ3台および2台の船外機101を振り分けて、リモコンECU3に対して、船体100aに取り付けられた船外機101の台数が上限台数以下であると認識させる制御を行うように構成されている。これによって、リモコンECU3が4台の船外機101を認識するとともに、第1通信バス4に3つのリモコンECU3が接続され、第2通信バス5に2つのリモコンECU3が接続された構成により、船外機101の上限台数が4台である場合にも、5台の船外機101の駆動を制御することが可能な操船システム102を実現することができる。
【0098】
本実施形態では、上記のように、実際に船体100aに取り付けられた船外機101は、船体100aの最左舷位置、左舷中央位置、中央位置、右舷中央位置および最右舷位置の5台であり、第1通信バス4側の複数のリモコンECU3の各々は、最右舷位置の船外機101と、最左舷位置の船外機101と、左舷中央位置および右舷中央位置の船外機101の一方との3台が接続されていると認識するように構成され、第2通信バス5側の複数のリモコンECU3の各々は、左舷中央位置の船外機101と、右舷中央位置の船外機101との2台が接続されていると認識するように構成されている。これによって、上限台数が4台であるという認識の下で、最右舷位置の船外機101と、最左舷位置の船外機101と、左舷中央位置および右舷中央位置の船外機101の一方として駆動が制御される3台の船外機101を、第1通信バス4側のリモコンECU3に対して接続することができる。また、上限台数が4台であるという認識の下で、左舷中央位置の船外機101と、右舷中央位置の船外機101との2台として駆動が制御される2台の船外機101を、第2通信バス5側のリモコンECU3に対して接続することができる。
【0099】
本実施形態では、上記のように、BCU6は、所定の操船モードにおいて、第1通信バス4側の3台の船外機101のうち、リモコンECU3により左舷中央位置の船外機101および右舷中央位置の船外機101の一方に接続されていると認識されている1台の船外機101が、中央位置の船外機101として駆動するように、リモコンECU3を制御するように構成されている。これによって、複数のリモコンECU3が、船外機101の上限台数が4台であると認識している場合に、1台の船外機101を、最左舷位置、左舷中央位置、右舷中央位置および最右舷位置の船外機101ではなく、中央位置の船外機101として駆動させることができる。その結果、所定の操船モードにおいて、各船外機101の駆動力および向きのバランスが崩れるのを防止することができる。
【0100】
本実施形態では、上記のように、第1通信バス4側の基準となる所定の1台の船外機101は、すべての船外機101のエンジン10の回転数を同じにするために、エンジン10の回転数に関する駆動情報を他の船外機101に送信するように構成され、BCU6は、すべての船外機101のエンジン10の回転数を同じにするために駆動情報を送る際に、所定の1台の船外機101からの駆動情報を複数に分割して、第2通信バス5側の複数の船外機101に送信するように構成されている。これによって、BCU6により、第1通信バス4側の所定の1台の船外機101からのエンジン10の回転数に関する駆動情報を、複数に分割することができるので、第2通信バス5側に向けて送信されたエンジン10の回転数に関する1つの駆動情報を、第2通信バス5側のすべてのリモコンECU3が受信することができる。
【0101】
本実施形態では、上記のように、BCU6は、第1通信バス4と第2通信バス5とを互いに通信可能に接続することに加えて、自動操船モードにおいて、複数の船外機101を自動で駆動させて船体100aを移動させる制御を行うことが可能に構成されている。これによって、BCU6を、第1通信バス4と第2通信バス5とを互いに通信可能に接続すること、および、自動操船モードにおいて複数の船外機101を自動で駆動させて船体100aを移動させる制御を行うことの2つの用途に兼用することができる。その結果、2つの用途を別々の構成で実現する場合と比較して、部品点数を削減して、装置構成を簡素化することができる。
【0102】
本実施形態では、上記のように、BCU6は、第1通信バス4と第2通信バス5とを互いに通信可能に接続することに加えて、定点保持モードにおいて、複数の船外機101を自動で駆動させて船体100aの位置および方位を保持する制御を行うことが可能に構成されている。これによって、BCU6を、第1通信バス4と第2通信バス5とを互いに通信可能に接続すること、および、定点保持モードにおいて複数の船外機101を自動で駆動させて船体100aの位置および方位を保持する制御を行うことの2つの用途に兼用することができる。その結果、2つの用途を別々の構成で実現する場合と比較して、部品点数を削減して、装置構成を簡素化することができる。
【0103】
本実施形態では、上記のように、第1通信バス4は、リモコンレバー20、ジョイスティック21および操作パネル22に直接接続され、第2通信バス5は、BCU6および第1通信バス4を介して、リモコンレバー20、ジョイスティック21および操作パネル22に間接的に接続されている。これによって、複数のリモコンECU3と、リモコンレバー20、ジョイスティック21および操作パネル22とを、共通の第1通信バス4を介してBCU6に接続することができる。このため、装置構成を簡素化することができる。
【0104】
本実施形態では、上記のように、第1通信バス4および第2通信バス5の各々は、CAN通信規格に基づくバスケーブル4aおよび5aにより互いに通信可能に接続されている。これによって、CAN通信規格に基づくバスケーブル4aおよび5aにより、複数のリモコンECU3の間での相互通信を容易に実現することができる。
【0105】
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0106】
たとえば、上記実施形態では、船体に5台の船外機を取り付けた例を示したが、本発明ではこれに限られない。本発明では、船体に5台以外の複数の船外機を取り付けてもよい。
【0107】
また、上記実施形態では、本発明の推進機として、エンジンにより駆動する船外機を船体に取り付けた例を示したが、本発明ではこれに限られない。本発明では、推進機として、電動推進機を船体に取り付けてもよい。
【0108】
また、上記実施形態では、本発明の操作装置と本発明のゲートウェイ装置と本発明の推進機制御部とを、第1通信バスにより接続した例を示したが、本発明ではこれに限られない。本発明では、ゲートウェイ装置と推進機制御部とを、第1通信バスにより接続するとともに、ゲートウェイ装置と操作装置とを、第1通信バスとは別個のケーブルにより接続してもよい。
【0109】
また、上記実施形態では、本発明の推進機制御部が認識する船外機の台数が4台であり、実際に船体に取り付けられた船外機の数が5台である例を示したが、本発明ではこれに限られない。本発明では、たとえば、本発明の推進機制御部が認識する船外機の台数が4台であり、実際に船体に取り付けられた船外機の数が6台であってもよい。この場合、第1通信バス側に3つの推進機制御部が接続され(3台の船外機が設けられ)、第2通信バス側に3つの推進機制御部が接続される(3台の船外機が設けられる)。
【0110】
また、上記実施形態では、本発明の操作装置を、リモコンレバー、ジョイスティックおよび操作パネルにより構成した例を示したが、本発明ではこれに限られない。本発明では、操作装置を、リモコンレバー、ジョイスティックおよび操作パネルのいずれか1つまたは2により構成してもよい。また、リモコンレバー、ジョイスティックおよび操作パネルとは異なる操作装置を備えていてもよい。
【0111】
また、上記実施形態では、本発明のゲートウェイ装置を、BCUの機能(自動操船モードおよび定点保持モードにより操船する機能)を備えるように構成した例を示したが、本発明ではこれに限られない。本発明では、ゲートウェイ装置を、BCUの機能(自動操船モードおよび定点保持モードにより操船する機能)を備えない装置として構成してもよい。
【0112】
また、上記実施形態では、複数の推進機を自動で駆動させて船体を移動させる自動操船モードには、目標方位保持モードと、目標進路保持モードとが含まれる例を示したが、本発明ではこれに限られない。本発明では、自動操船モードには、船舶を所定のポイントを通過するように移動させるトラックポイントモードや、船舶をジグザク状(またはスパイラル状)に移動させる移動モード、などの種々のモードが含まれていてもよい。
【符号の説明】
【0113】
3 リモコンECU(推進機制御部)
4 第1通信バス
4a バスケーブル
5 第2通信バス
5a バスケーブル
6 BCU(ゲートウェイ装置)
20 リモコンレバー(操作装置)
21 ジョイスティック(操作装置)
22 操作パネル(操作装置)
100 船舶
100a 船体
101、101a、101b、101c、101d、101e 船外機(推進機)
102 操船システム
図1
図2
図3
図4