(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090262
(43)【公開日】2022-06-17
(54)【発明の名称】無人車両
(51)【国際特許分類】
A62C 27/00 20060101AFI20220610BHJP
H02G 11/00 20060101ALI20220610BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
A62C27/00 507
H02G11/00
H02G3/04 062
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020202535
(22)【出願日】2020-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】599077409
【氏名又は名称】日本特装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】深町 至
【テーマコード(参考)】
2E189
5G357
5G371
【Fターム(参考)】
2E189AA04
2E189AE02
2E189FA02
5G357DC12
5G371CA03
(57)【要約】
【課題】車両に人を乗車させない無人車両において高温環境等の熱的な要因によって車両に取り付けられる有線のケーブルが傷むことを防止または抑制する。
【解決手段】無人車両100は、走行可能に構成された車両10と、車両の周囲を撮像可能な撮像部20と、車両に接続されるケーブル32を備え、車両を操作する操作部30と、車両に取り付けられ、車両から液体を放出可能な第1ホース41を備えた第1放出部40と、車両に取り付けられ、車両から第1放出部と異なる方向に液体を放出可能な第2ホース51を備えた第2放出部50と、ケーブルおよび第2ホースを被覆する保護部60と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能に構成された車両と、
前記車両の周囲を撮像可能な撮像部と、
前記車両に接続されるケーブルを備え、前記車両を操作する操作部と、
前記車両に取り付けられ、前記車両から液体を放出可能な第1ホースを備えた第1放出部と、
前記車両に取り付けられ、前記車両から前記第1放出部と異なる方向に液体を放出可能な第2ホースを備えた第2放出部と、
前記ケーブルおよび前記第2ホースを被覆する保護部と、を有する無人車両。
【請求項2】
前記保護部は、前記ケーブル、前記第1ホース、および前記第2ホースの少なくとも一部を一体に被覆するカバー部材を備える請求項1に記載の無人車両。
【請求項3】
前記保護部は、前記車両から離間する前記カバー部材の地面との設置部位に回転可能に設けられるタイヤ部材を備える請求項2に記載の無人車両。
【請求項4】
前記保護部は、前記ケーブルおよび前記第2ホースの少なくとも一部を前記第1ホースの内部空間に挿入する第1接手部材と、前記第1接手部材と異なる位置において前記ケーブルおよび前記第2ホースを前記第1ホースの前記内部空間に挿入する第2接手部材と、を備える請求項1に記載の無人車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人消防車等の無人車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、火災現場での消火活動を行うために無人で建物などの構造物に対して放水などを行う車両が開発されている。放水を行う無人車両にはタイヤにより走行可能な基台の上にホースを取り付けた車両が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、特許文献1のように人間を乗車させずに車両を操作して消火現場で消火活動等を行う際に車両を操作するケーブルまたは車両に電力を供給するケーブルが傷む事項に着目し、鋭意検討を行っている。
【0005】
本発明は、車両に人を乗車させない無人車両において高温環境等の熱的な要因によって車両に取り付けられる有線のケーブルが傷むことを防止または抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る無人車両は、車両と、撮像部と、操作部と、第1放出部と、第2放出部と、保護部と、を有する。車両は、走行可能に構成している。撮像部は、車両の周囲を撮像可能に構成している。操作部は、車両に接続されるケーブルを備え、車両を操作可能に構成している。第1放出部は、車両に取り付けられ、車両から液体を放出可能な第1ホースを備えるように構成している。第2放出部は、車両に取り付けられ、車両から第1放出部と異なる方向に液体を放出可能な第2ホースを備えるように構成している。保護部は、ケーブルおよび第2ホースを被覆する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様に係る無人車両によれば、車両に人を乗車させない無人車両において高温環境等の熱的な要因によって車両に取り付けられる有線のケーブルが傷むことを防止または抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る無人車両を構造物の近傍に配置した際を示す概略斜視図である。
【
図4】無人車両を構成するケーブル、第1ホース、第2ホースを被覆する保護部を示す図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る無人車両を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。ここで示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために例示するものであって、本発明を限定するものではない。よって、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者などにより考え得る実施可能な他の形態、使用方法および運用技術などは全て本発明の範囲、要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0010】
また、本明細書に添付する図面は、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺、縦横の寸法比、形状などについて、実物から変更し模式的に表現される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0011】
<第1実施形態>
図1は本発明の第1実施形態に係る無人車両100を災害現場に配置した際を示す概略斜視図、
図2は
図1の側面図、
図3は無人車両100の前方を示す斜視図である。
図4は
図1に係る無人車両100を構成するケーブル32、第1ホース41、第2ホース51を被覆する保護部60を示す背面側から見た図である。
【0012】
無人車両100は、有人での消火活動が困難な災害現場における消火活動等に利用することができる。無人車両100は、
図1から
図3に示すように車両10と、撮像部20と、操作部30と、第1放出部40と、第2放出部50と、保護部60と、を有する。以下、詳述する。
【0013】
<車両10>
車両10は、走行可能に構成している。車両10は、車体11と、移動部材12と、駆動部(図示省略)と、を備えるように構成している。車体11は、火災現場での高温にも耐えることができるように外表面を銀等によって被覆することが好ましい。
【0014】
移動部材12は、車体11を目的地に円滑に移動できるように本実施形態ではベルト状部材と、ベルト状態部材を回転させる複数のタイヤと、を各々左右対になるように構成している。駆動部は、公知のモーターなどによって構成している。駆動部を構成するモーターは左右の移動部材12を各々駆動させるために2つ設けるように構成している。ただし、車両10を並進移動させたり、旋回移動させたりすることができれば、駆動部の具体的な構成は上記に限定されない。
【0015】
<撮像部20>
撮像部20は車両の周囲を撮像可能に構成している。撮像部20は、車両の周囲を撮像できれば特に限定されないが、一例としてCCDカメラ等を利用することができる。撮像部20は、車体11の前方などに取り付けることができるが、これ以外にも車体11の後方や側方に取り付けてもよい。
【0016】
<操作部30>
操作部30は、車両10を操作可能に構成している。操作部30は、
図3、
図4に示すようにコントローラ31と、ケーブル32と、を備える。コントローラ31には、車両10の前後方向への並進移動を制御したり、左右方向への旋回を制御したりするスティックを取り付けることができる。ケーブル32は、コントローラ31からの信号を車両10に伝達可能に構成している。ケーブル32は、コントローラ31と車両10に接続するように構成している。
【0017】
<第1放出部40>
第1放出部40は、構造物Hなどに放水する水等の液体を放出可能に構成している。第1放出部40は、
図3、
図4に示すように第1ホース41と、放出口42と、を備える。第1ホース41は、一端部を車両10に取り付け、他端部を水源に取り付けるように構成している。第1ホース41は、本実施形態において車体11の後方において車体11に取り付けているが、構造物Hに対して放水できれば、車体への取り付け方法は特に限定されない。
【0018】
放出口42は、第1ホース41から流通する液体を車両10から放出可能に構成している。放出口42は、本実施形態において車体11の前方において斜め上方を向くように配置している。ただし、これに限定されず、放出口42は、放出口の向き(角度)を調整可能に構成してもよい。
【0019】
<第2放出部50>
第2放出部50は、第1放出部40と異なる方向に水などの液体を放出可能に構成している。第2放出部50は、
図3、
図4に示すように第2ホース51と、放出口52と、を備える。第2ホース51は、本実施形態において車両10に取り付けるように構成している。
【0020】
第2ホース51は、保護部60によってケーブル32および第1ホース41とともに束ねられるように構成している。放出口52は、本実施形態において車体11の上部において、第1放出部40を構成する放出口42と異なる方向の一例として上方を向くように構成している。これにより、放出口52から放出された液体は車体11に降り注ぎ、車体11を冷却することができる。
【0021】
<保護部60>
保護部60は、ケーブル32および第2ホース51の少なくとも一部を被覆する。保護部60は、
図3に示すようにカバー部材61と、タイヤ部材62と、を備える。カバー部材61は、本実施形態において
図4に示すように車両10の近傍においてケーブル32、第1ホース41および第2ホース51の少なくとも一部を径方向における外方から一体に被覆するように構成している。
【0022】
カバー部材61は、一例として厚さ5ミリ程度の繊維強化プラスチック等によって構成することができる。なお、カバー部材61は、本実施形態において長手方向に交差する断面を略円形状に構成しているが、ケーブル、第1ホースおよび第2ホースを一体に被覆できれば、断面形状は円形状に限定されず、角形等であってもよい。
【0023】
タイヤ部材62は、カバー部材61の車両10から離間する地面との設置部位に回転可能に設けている。タイヤ部材62は、カバー部材61の側面に円柱形状を複数設けるように構成している。このように構成することによって、車両10の移動に伴ってカバー部材61が地面を摺動する際の摩擦抵抗を低減することができる。
【0024】
以上説明したように本実施形態に係る無人車両100は、車両10と、撮像部20と、操作部30と、第1放出部40と、第2放出部50と、保護部60と、を有する。車両10は、走行可能に構成している。撮像部20は、車両10の周囲を撮像可能に構成している。操作部30は、車両10に接続されるケーブル32を備え、車両10を操作可能に構成している。第1放出部40は、車両10に取り付けられ、車両10から液体を放出可能な第1ホース41を備える。第2放出部50は、車両10に取り付けられ、車両10から第1放出部40と異なる方向に液体を放出可能な第2ホース51を備える。保護部60は、ケーブル32および第2ホース51を被覆するように構成している。
【0025】
このように構成することによって、消火現場等において無人車両100が構造物Hの内部に進入していった際に車両10を操作等するために用いられるケーブル32が火炎などの熱的要因によって傷むことを防止または抑制することができる。これにより、無人車両100の寿命を延ばし、長期的な使用を可能にすることができる。なお、保護部によって保護されるケーブルは上記以外にも車両に電力を供給するものであってもよい。
【0026】
また、保護部60は、ケーブル32、第1ホース41、および第2ホース51の少なくとも一部を一体に被覆するカバー部材61を備えるように構成している。このように構成することによって、ケーブル32だけでなく、第1ホース41および第2ホース51をも保護することができる。
【0027】
また、保護部60は、カバー部材61の車両10から離間する地面との設置部位に回転可能に設けられるタイヤ部材62を備えるように構成している。このように構成することによって、カバー部材61の地面との設置部位の摩擦抵抗を減少させて保護部60による保護が経時的に減少することを防止または抑制することができる。
【0028】
<第2実施形態>
図5は本発明の第2実施形態に係る無人車両100aを示す側面図、
図6は
図5の平面図である。第1実施形態ではケーブル32および第2ホース51が第1ホース41とともにカバー部材61によって一体に被覆されると説明したが、以下のように構成することもできる。なお、第2実施形態においてケーブル32、第1ホース41および第2ホース51の構成が第1実施形態と異なり、その他の構成は同様であるため、共通する構成の説明を省略する。
【0029】
第1放出部40aは、第1ホース41aを備える。第1ホース41aは、放出口42から放出される液体を流通させるとともに操作部30aを構成するケーブル32aおよび第2放出部50aを構成する第2ホース51aの少なくとも一部を収容する収容空間を設けるように構成している。第1ホース41aは本実施形態において保護部60aを構成する。
【0030】
第1ホース41aには、ケーブル32aおよび第2ホース51aの少なくとも一部を第1ホース41aの内部空間に挿入する接手部材43、44(接手部材43は第1接手部材、接手部材44は第2接手部材に相当)を設けている。
【0031】
接手部材43は、第1ホース41aに取り付けられ、車両10の近傍においてケーブル32aおよび第2ホース51aを第1ホース41aの内部空間に挿入する穴部を備える。接手部材44は、接手部材43よりも車両10から離間した位置において第1ホース41aに取り付けられ、ケーブル32aおよび第2ホース51aを第1ホース41aの内部空間に挿入する穴部を備えるように構成している。
【0032】
接手部材43、44は、ステンレスなどの材料で構成することができる。接手部材43、44におけるケーブル32aおよび第2ホース51aの挿入口にはゴムなどのように第1ホース41aの内部空間を液密にするシール部材を設けることができる。
【0033】
以上、説明したように本実施形態において無人車両100aは、保護部60aがケーブル32aおよび第2ホース51aの少なくとも一部を第1ホース41aの内部空間に挿入する接手部材43、44を備えるように構成している。このように構成することによっても車両10を操作等するために用いられるケーブル32aが火災現場等の熱的要因によって傷むことを防止または抑制することができる。
【0034】
なお、本発明は上述した実施形態にのみ限定されず、特許請求の範囲において種々の変更が可能である。上記では構造物に液体を放出する第1ホース41aの内部空間にケーブル32aおよび第2ホース51aの少なくとも一部を挿入して配置する実施形態について説明した。しかし、車両10を操作などさせるために用いられるケーブルを保護できればこれに限定されず、上記以外にも車両10を冷却する第2ホースの内部空間にケーブル32を収容する場合も本発明の一実施形態に含まれる。
【符号の説明】
【0035】
10 車両、
20 撮像部、
30、30a 操作部、
32、32a ケーブル、
40、40a 第1放出部、
41、41a 第1ホース、
43 接手部材(第1接手部材)、
44 接手部材(第2接手部材)、
50、50a 第2放出部、
51、51a 第2ホース、
60、60a 保護部、
61 カバー部材、
62 タイヤ部材、
100、100a 無人車両。