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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090297
(43)【公開日】2022-06-17
(54)【発明の名称】電極棒研磨機
(51)【国際特許分類】
   B24B 5/14 20060101AFI20220610BHJP
   B23K 9/32 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
B24B5/14
B23K9/32 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020202616
(22)【出願日】2020-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】391037308
【氏名又は名称】マツモト機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】青野 日出機
(72)【発明者】
【氏名】蓑原 照晃
【テーマコード(参考)】
3C043
【Fターム(参考)】
3C043CC04
3C043DD05
(57)【要約】
【課題】研磨ロス、研磨時間を少なく電極棒の先端を切頭円錐状に研磨することができ、また、電極棒の先端の研磨角度を調整することができると共に、研磨後の電極棒の先端には、バリを残すことなく、しかも電極棒の軸方向とほぼ同一方向に縞模様が形成され、良好な溶接アークを発生しやすい電極棒を得ることができる電極棒研磨機を提供する。
【解決手段】電動モータ3、研磨ディスク4及び切断ディスク5、電極棒保持部8を有し、電極棒保持部8は、支軸81、揺動アーム82、ホルダ支持プレート83、ホルダガイド84、電極棒ホルダ85を有し、研磨ディスク4の回転軌道接線方向と電極棒9の軸方向とがほぼ一致した箇所で、電極棒9の先端を研磨ディスク4に対し任意の傾斜角度で接触させると共に、ホルダガイド84を移動・固定することにより、電極棒9の研磨量を調整可能としてある。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータと、前記電動モータの回転軸に着脱可能に取り付けられ、前記回転軸を中心として前記回転軸と一体に回転する研磨ディスクと、電極棒保持部とを有する電極棒研磨機であって、前記研磨ディスクとともに前記回転軸に着脱可能に取り付けられ、前記研磨ディスクとともに前記回転軸を中心として前記回転軸と一体に回転する前記研磨ディスクより大径の切断ディスクを備え、前記電極棒保持部は、前記回転軸に対する垂直方向を軸方向とする支軸と、前記支軸に揺動可能に支持され、前記研磨ディスクに対し任意の傾斜角度を取り得る位置に固定可能な揺動アームと、前記揺動アームに支持され、前記揺動アームと一体に揺動・固定可能なホルダ支持プレートと、前記ホルダ支持プレートに支持され、前記ホルダ支持プレートと一体に揺動・固定可能な筒状のホルダガイドと、前記ホルダガイドへの挿入量規制用の係合部を設け、前記電極棒を着脱可能に挿入固定する電極棒ホルダとを有し、前記電極棒ホルダを前記ホルダガイドに着脱可能に挿着することにより、前記研磨ディスクの回転軌道接線方向と前記電極棒の軸方向とがほぼ一致した箇所で、前記電極棒の先端を前記研磨ディスクに対し任意の傾斜角度で接触させると共に、前記ホルダ支持プレートは、前記揺動アームに前記電極棒の軸方向に移動可能、かつ、任意の位置に固定可能に支持され、前記ホルダ支持プレートと一体に前記ホルダガイドを移動・固定することにより、前記電極棒の研磨量を調整可能としてあることを特徴とする電極棒研磨機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接用電極棒の先端を研磨するための電極棒研磨機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電極棒研磨機として、モータと、モータの駆動軸に取り付けられる研磨盤と、研磨盤の回転軌道接線方向と電極棒の軸方向とがほぼ直交する箇所で電極棒の先端を研磨盤に対し所定の傾斜角度で接触させる電極棒ガイドとを有し、電極棒の先端を円錐状に研磨した後、電極棒を電極棒ガイドから引き抜き、電極棒の先端を研磨盤に対し垂直に当接させて平坦に研磨することにより、電極棒の先端を切頭円錐状に研磨する電極棒研磨機が知られている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-234656公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電極棒研磨機は、電極棒の先端を切頭円錐状に研磨する場合、電極棒の先端を円錐状に研磨した後、電極棒の先端を平坦に研磨するので、研磨後の電極棒の先端にはバリが残ると共に、研磨ロスが多く、研磨時間も長くなる。また、研磨盤に対する電極棒の先端の接触角度、すなわち電極棒の先端の研磨角度を調整することができないと共に、研磨後の電極棒の先端には、バリが残るだけでなく、電極棒の軸方向に対しほぼ垂直方向に縞模様が形成され(簡単に言えば、横に筋が入り)、良好な溶接アークを発生しにくいという問題があった。
【0005】
本発明は、従来の電極棒研磨機に比べて、研磨ロス、研磨時間を少なく電極棒の先端を、切断時にバリが生じたとしてもそのバリを除去しながら、切頭円錐状に研磨することができ、また、電極棒の先端の研磨角度を調整することができると共に、研磨後の電極棒の先端には、バリを残すことなく、電極棒の軸方向とほぼ同一方向に縞模様が形成され(簡単に言えば、縦に筋が入り)、良好な溶接アークを発生しやすい電極棒を得ることができる電極棒研磨機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係る電極棒研磨機は、電動モータと、前記電動モータの回転軸に着脱可能に取り付けられ、前記回転軸を中心として前記回転軸と一体に回転する研磨ディスクと、電極棒保持部とを有する電極棒研磨機であって、前記研磨ディスクとともに前記回転軸に着脱可能に取り付けられ、前記研磨ディスクとともに前記回転軸を中心として前記回転軸と一体に回転する前記研磨ディスクより大径の切断ディスクを備え、前記電極棒保持部は、前記回転軸に対する垂直方向を軸方向とする支軸と、前記支軸に揺動可能に支持され、前記研磨ディスクに対し任意の傾斜角度を取り得る位置に固定可能な揺動アームと、前記揺動アームに支持され、前記揺動アームと一体に揺動・固定可能なホルダ支持プレートと、前記ホルダ支持プレートに支持され、前記ホルダ支持プレートと一体に揺動・固定可能な筒状のホルダガイドと、前記ホルダガイドへの挿入量規制用の係合部を設け、前記電極棒を着脱可能に挿入固定する電極棒ホルダとを有し、前記電極棒ホルダを前記ホルダガイドに着脱可能に挿着することにより、前記研磨ディスクの回転軌道接線方向と前記電極棒の軸方向とがほぼ一致した箇所で、前記電極棒の先端を前記研磨ディスクに対し任意の傾斜角度で接触させると共に、前記ホルダ支持プレートは、前記揺動アームに前記電極棒の軸方向に移動可能、かつ、任意の位置に固定可能に支持され、前記ホルダ支持プレートと一体に前記ホルダガイドを移動・固定することにより、前記電極棒の研磨量を調整可能としてあることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る電極棒研磨機では、電極棒を電極棒ホルダに挿着し、電極棒の先端を切断ディスクにより切断して平坦にした後、電極棒ホルダをホルダガイドに挿着し、研磨ディスクの回転軌道接線方向と電極棒の軸方向とがほぼ一致した箇所で、電極棒の先端を研磨ディスクに対し任意の傾斜角度で接触させ、電極棒ホルダを電極棒の軸周りに回しながら、係合部がホルダガイドに係合するまでホルダガイドに押し込むことにより、電極棒の先端を、切断時にバリが生じたとしてもそのバリを除去しながら、切頭円錐状に研磨することができる。その際、切頭の大きさは、ホルダガイドの位置で調整することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来の電極棒研磨機に比べて、電極棒の研磨ロス、研磨時間を少なく電極棒の先端を、切断時にバリが生じたとしてもそのバリを除去しながら、切頭円錐状に研磨することができ、また、電極棒の先端の研磨角度を調整することができると共に、研磨後の電極棒の先端には、バリを残すことなく、しかも電極棒の軸方向とほぼ同一方向で縞模様が形成され(簡単に言えば、縦に筋が入り)、良好な溶接アークを発生しやすい電極棒を得ることができる電極棒研磨機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る電極棒研磨機を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る電極棒研磨機をカバーを外した状態で示す斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係る電極棒研磨機をカバーを外した状態で示す他の斜視図である。
図4】本発明の実施の形態に係る電極棒研磨機をカバーを外した状態で示す平面図である。
図5】本発明の実施の形態に係る電極棒研磨機の電極棒保持部の研磨前の断面図である。
図6】本発明の実施の形態に係る電極棒研磨機の電極棒保持部の研磨後の断面図である。
図7】本発明の実施の形態に係る電極棒研磨機の電極棒ホルダの断面図である。
図8】本発明の実施の形態に係る電極棒研磨機の電極棒ホルダからの電極棒突出量設定方法を示す平面説明図である。
図9】本発明の実施の形態に係る電極棒研磨機の電極棒ホルダからの電極棒突出量設定方法を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係る電極棒研磨機(以下、単に「電極棒研磨機」という。)について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1図4は電極棒研磨機を示す斜視図であり、図1図4に示すように、電極棒研磨機は、本体ケース1、研磨フレーム2、電動モータ3、研磨ディスク4、切断ディスク5、安全カバーである固定カバー6及び可動カバー7、電極棒保持部8などを有し、アーク溶接用のタングステン電極である電極棒9の先端の切断・研磨を行うものである。
【0012】
本体ケース1は、鋼板により上面が開放された箱型に形成され、本体ケース1の上面には研磨フレーム2が固定されている。研磨フレーム2はダイカスト製である。研磨フレーム2は、本体ケース1の上面を覆う形で本体ケース1の上面に締結される四角いベース盤21と、ベース盤21の左右端部から本体ケース1の左右側板に沿って立ち上げられる低背の左右側壁22とを有している。電動モータ3は、本体ケース1の内部に収容されている。電動モータ3の回転軸31は、ベース盤21の中心部を貫通してベース盤21の上面中心部に垂直に突出している。電動モータ3は、一般の商用電源を電源として駆動される。
【0013】
研磨ディスク4はダイヤモンド砥石製である。切断ディスク5はCBN(立方晶窒化ホウ素:Cubic boron nitride)砥石製である。切断ディスク5は研磨ディスク4より大径である。研磨ディスク4と切断ディスク5は、切断ディスク5を下にした二枚重ねの状態で、回転軸31に螺着する固定ねじ41により回転軸31に着脱可能に取り付けられ、左右側壁22の間で回転軸31を中心として回転軸31と一体に一方向(図4の矢印方向)に回転する。
【0014】
固定カバー6はステンレス鋼板製である。固定カバー6は、左右側壁22に螺着する2個のノブ61により研磨フレーム2に着脱可能に取り付けられ、研磨フレーム2の上面側、前面側、後面側を覆って研磨フレーム2とで研磨ディスク4と切断ディスク5とを収容する研磨室を形成している。固定カバー6の左側部には、電極棒9の先端の研磨状態を確認するための前部開口62と、後述する電極棒ホルダ85を研磨室に挿入するための後部開口63が設けられている。固定カバー6の右側部には、電極棒切断ガイドで前後方向に延び、電極棒9を垂直に挿入可能な長孔64が切断ディスク5の外周縁と立体交差する形で設けられている。ベース盤21には、電極棒切断台23が長孔64と対向して設けられている。
【0015】
可動カバー7もステンレス鋼板製である。可動カバー7は、後部開口63を覆う形で固定カバー6の左側部に設けられている。可動カバー7には左右方向に延びる長孔71が設けられている。可動カバー7は、ノブ72を長孔71を通してベース盤21の前端面に螺着することにより、研磨フレーム2に着脱可能に取り付けられている。可動カバー7は、ノブ72の締め付けを緩めることにより、長孔71の範囲内で左右方向にスライド移動させることができる。可動カバー7には、いずれの移動位置においても後部開口63を閉じないように開口73が設けられると共に、開口73の左右側縁には後述するホルダガイド84を左右から挟む左右一対の係合片74が折り曲げで立設されている。可動カバー7は、左右一対の係合片74により後述する電極棒ホルダ85及びホルダガイド84の左右方向のスライド移動に連動して左右方向にスライド移動させることができる。
【0016】
電極棒保持部8は、研磨フレーム2に支持されて可動カバー7の上方に配置され、開口73及び後部開口63を通して後述する電極棒ホルダ85を研磨室に挿入し、研磨ディスク4の回転軌道接線方向と電極棒9の軸方向とがほぼ一致した箇所で、電極棒9の先端を研磨ディスク4に対し任意の傾斜角度で接触させるものである。本実施形態では、電極棒9の先端は、研磨ディスク4の中心を左右方向に通過する図4に示す一点鎖線L1上において研磨ディスク4に対し任意の傾斜角度で接触する。研磨ディスク4の回転軌道接線方向と電極棒9の軸方向は、研磨ディスク4の中心を前後方向に通過し、図4に示す一点鎖線L1と直交する図4に示す一点鎖線L2と平行な方向となる。
【0017】
電極棒研磨機は、縦型・横型のいずれでも使用できるもので、本体ケース1の下面の四隅部と背面(後側面)の四隅部とに、それぞれ、ゴム足11が取り付けられており、縦型では、本体ケース1の下面に取り付けられた4個のゴム足11を接地させ、回転軸31を縦(鉛直)にし、研磨ディスク4の研磨面を水平面内で回転させながら、電極棒9の先端の研磨作業を行う。一方、横型では、本体ケース1の背面(後側面)に取り付けられた4個のゴム足11を接地させ、回転軸31を横(水平)にし、研磨ディスク4の研磨面を鉛直面内で回転させながら、電極棒9の先端の研磨作業を行う。本体ケース1の正面(前側面)には持ち運び用の取手12が取り付けられ、本体ケース1の右側面には、電源スイッチ13と、図示しない電源コードの引き出し用の開口14とが設けられている。
【0018】
図5図6は電極棒研磨機の電極棒保持部8の断面図であり、図1図6に示すように、電極棒保持部8は、支軸81、揺動アーム82、ホルダ支持プレート83、ホルダガイド84、電極棒ホルダ85、研磨角度調整用の第1クランプレバー86(平座金付)、研磨量調整用の第2クランプレバー87(平座金付)、研磨位置左右調整用の第3クランプレバー(平座金付)88、電極棒ホルダ85からの電極棒突出量設定用の第1ゲージ溝89及び第2ゲージ溝90などを有して構成されている。図7は電極棒研磨機の電極棒ホルダ85の断面図、図8図9は電極棒研磨機の電極棒ホルダ85からの電極棒突出量設定方法を示す説明図である。
【0019】
支軸81は金属製である。支軸81は、回転軸31に対する垂直方向(左右方向)を軸方向とする固定軸である。支軸81は、支軸81の一端側が左側壁22に螺着され、左側壁22の外側面から水平に突出した状態で、研磨フレーム2に着脱可能に固定されている。固定状態の支軸81の軸芯線は、図4に示す一点鎖線L1が、研磨ディスク4の研磨面(上表面)を含む一平面内で、研磨ディスク4の中心を左右方向に通過するとき、その一点鎖線L1と一致する。本実施形態では、第1クランプレバー86のねじ部(おねじ部)が支軸81になっている。
【0020】
揺動アーム82は金属製である。揺動アーム82は、支軸81にスリーブ(金属筒)を介して揺動可能に支持され、研磨ディスク4に対し任意の傾斜角度を取り得る位置に固定可能になっている。揺動アーム82は、揺動アーム82の前端部が支軸81周りに回動可能に支持され、支軸81から左側壁22の外側面に沿って後斜め上方に延ばされている。揺動アーム82は、揺動アーム82の前端部に設けられたねじ挿通孔を通して左側壁22に設けられたねじ孔に螺着されている支軸81(第1クランプレバー86のねじ部)を第1クランプレバー86のレバーを一方向に回して緩めることにより、揺動アーム82の前端部の左側壁22に対する押し付けが解除され、左側壁22の外側面に沿って揺動アーム82の後端部が支軸81(第1クランプレバー86のねじ部)を支点として上下方向に揺動(回動)可能となり、揺動アーム82の傾斜角度が変更可能となる。また、揺動アーム82は、第1クランプレバー86のレバーを逆方向に回して支軸81(第1クランプレバー86のねじ部)を締め付けることにより、揺動アーム82の前端部が左側壁22に押し付けられ、任意の傾斜角度で研磨フレーム2に固定されることになる。
【0021】
揺動アーム82の前端部には段面からなる指針82aが設けられており、指針82aを左側壁22の外側面に設けられた角度調整用の目盛り82bに合わせることにより、揺動アーム82の傾斜角度を正確に調整できるようになっている。本実施形態では、目盛り82bが、15度~60度の範囲で、15度刻みで表示されており、揺動アーム82の傾斜角度を、特に7.5度、15度、22.5度、30度、45度に正確に調整できるようになっている。
【0022】
ホルダ支持プレート83は金属製で四角形状に形成されている。ホルダ支持プレート83は、揺動アーム82に支持され、揺動アーム82と一体に揺動・固定可能なものである。ホルダ支持プレート83は、可動カバー7の上方に位置して揺動アーム82の後部上方から開口73の上方に跨って配置されている。ホルダ支持プレート83の下面左側部には下向きに開口した断面コ字状の第1ガイド溝83aがホルダ支持プレート83の前端から後端に亘って設けられ、第1ガイド溝83aの天面にはホルダ支持プレート83の上面に貫通した状態で前後方向に延びる第1長孔83bが設けられている。ホルダ支持プレート83は、揺動アーム82の後部上側縁に第1ガイド溝83aを嵌合させた状態で揺動アーム82に取り付けられ、第2クランプレバー87を第1長孔83bを通して揺動アーム82に設けられたねじ孔に螺着させている。ホルダ支持プレート83は、第2クランプレバー87のレバーを一方向に回してねじを緩めることにより、第1ガイド溝83aの天面の揺動アーム82に対する押し付けが解除され、揺動アーム82の傾斜に沿って第1長孔83bの範囲内で前後方向にスライド移動可能となり、前後位置が変更可能となる。また、ホルダ支持プレート83は、第2クランプレバー87のレバーを逆方向に回してねじを締め付けることにより、第1ガイド溝83aの天面が揺動アーム82に押し付けられ、揺動アーム82の傾斜に沿って傾斜状態で揺動アーム82に固定され、揺動アーム82と一体に揺動・固定されることになる。ホルダ支持プレート83の右側部には、ホルダ支持プレート83の上下面に貫通した状態で左右方向に延びる第2長孔83cが設けられている。
【0023】
ホルダガイド84は金属製で筒状に形成されている。ホルダガイド84は、ホルダ支持プレート83に支持され、ホルダ支持プレート83と一体に揺動・固定可能なものである。ホルダガイド84は、ホルダ支持プレート83と開口73との間で前後方向を軸方向として配置されている。ホルダガイド84の平坦な上面には上向き開口した断面コ字状の第2ガイド溝84aがホルダガイド84の左端から右端に亘って設けられている。ホルダガイド84は、ホルダ支持プレート83の下面右側部に第2ガイド溝84aを嵌合させた状態でホルダ支持プレート83に取り付けられ、第3クランプレバー88を第2長孔83cを通してホルダガイド84に設けられたねじ孔に螺着させている。ホルダガイド84は、第3クランプレバー88のレバーを一方向に回してねじを緩めることにより、第2ガイド溝84aの底面のホルダ支持プレート83に対する押し付けが解除され、第2長孔83cの範囲内で左右方向にスライド移動可能となり、左右位置が変更可能となる。また、ホルダガイド84は、第3クランプレバー88のレバーを逆方向に回してねじを締め付けることにより、第2ガイド溝84aの底面がホルダ支持プレート83に押し付けられ、ホルダ支持プレート83の傾斜に沿って傾斜状態でホルダ支持プレート83に固定され、ホルダ支持プレート83と一体に揺動・固定されることになる。
【0024】
ホルダガイド84は、ホルダガイド84の後端部が左右一対の係合片74の間に嵌り込み、ホルダガイド84の軸孔が開口73及び後部開口63を通して研磨室に開放された状態で、ホルダ支持プレート83に支持されている。
【0025】
電極棒ホルダ85は、図7にも示すように、ホルダガイド84への挿入量規制用の係合部を設け、電極棒9を着脱可能に挿入固定するものである。電極棒ホルダ85は、ホルダガイド84に着脱可能に挿入される筒状を呈し、軸方向中間部の外周面から張り出してホルダガイド84の前端面に当接可能なフランジ状の係合部85aを有するチャックガイド85bと、チャックガイド85bの先端側に着脱可能に挿入されるコレットチャック85cと、コレットチャック85cの先端側を挿通させた状態でチャックガイド85bの先端側に螺着される筒状のチャックねじ85dとを有して構成されており、コレットチャック85cの中心部に設けられた電極棒挿入孔に電極棒9を挿通した状態で、チャックねじ85dを一方向に回して締め付けることにより、コレットチャック85cが縮径し、電極棒9がコレットチャック85cの電極棒挿入孔内で把持されて固定されるようになっている。電極棒ホルダ85には、コレットチャック85cを電極棒9の外径に合ったものに交換することにより、外径が異なる数種の電極棒9を着脱可能に挿入固定することができるようになっている。具体的には外径が1.0~3.2mmの電極棒9がそれぞれ挿入固定することができるようになっている。より具体的には外径が1.0、1.6,2.4、3.2mmの電極棒9がそれぞれ挿入固定することができるようになっている。
【0026】
電極棒ホルダ85は、ホルダガイド84に着脱可能に挿着することにより、ホルダガイド84の後端から突出する電極棒ホルダ85の先端側を開口73及び後部開口63を通して研磨室に挿入し、電極棒ホルダ85の先端側から所定長さだけ突出した電極棒9の先端を、研磨ディスク4の回転軌道接線方向と電極棒9の軸方向とがほぼ一致した箇所である、図4に示す一点鎖線L1上において研磨ディスク4の研磨面に対し任意の傾斜角度(図例では30度)で接触させることにより、係合部85aをホルダガイド84の前端面から離して図5に示すように電極棒ホルダ押し込み代91を確保した状態で、ホルダガイド84に対し電極棒9の軸周りに回動可能、かつ係合部85aが図6に示すようにホルダガイド84の前端面に係合するまで、電極棒9の軸方向に沿ってホルダガイド84に押し込み可能に保持されている。電極棒9の研磨量は電極棒ホルダ押し込み代91によって決定されることになり、電極棒ホルダ押し込み代91は、ホルダ支持プレート83の前後位置調整によって任意に調整できるようになっている。
【0027】
第1ゲージ溝89及び第2ゲージ溝90は、図8図9にも示すように、電極棒ホルダ85に保持された電極棒9の突出量を所定の値にそれぞれ設定するものであり、第1ゲージ溝89は、電極棒9の先端を7.5度を超えた角度(例えば15度、22.5度、30度、45度)で研磨する際の突出量(本実施形態では10mm)に設定し、第2ゲージ溝90は、電極棒9の先端を7.5度の角度で研磨する際に、電極棒9の先端を7.5度を超えた角度で研磨する際の突出量よりも長い突出量(本実施形態では20mm)に設定するもので、電極棒9の先端を任意の角度で研磨する際に、研磨角度によって電極棒ホルダ85の先端が研磨ディスク4の研磨面に接触するのを防止できるようになっている。第1ゲージ溝89及び第2ゲージ溝90は、ホルダ支持プレート83に設けられた第1長孔83bと第2長孔83cとの間においてホルダ支持プレート83の上下面に貫通した状態で前後方向に延び、前端がホルダ支持プレート83の前端面に開放された平面視コ字状の切り欠き83dからなる。この切り欠き83dの後端には、上下中間部に水平段面83eを有して切り欠き83dの前端開口から見て手前側に位置する下部奥壁83fと奥側に位置する上部奥壁83gが設けられており、切り欠き内の水平段面より下部の領域が第1ゲージ溝89であり、切り欠き83d内の水平段面より上部の領域が第2ゲージ溝90になっている。また、チャックねじ85dは、チャックねじ85dの先端部が切頭円錐状に形成されると共に、その切頭円錐部の周面には二面幅部を構成するチャックねじ85dの軸方向に平行な二平面85eが設けられ、チャックねじ85dの先端二面幅部が二平面85eを介して切り欠き83dの前端開口部に着脱可能に挿嵌できるになっており、切り欠き83dをチャックねじ85の緩め、締め付けを行うスパナとして使用できるようになっている。
【0028】
次に、電極棒研磨機を用いて電極棒9の先端を研磨する場合について説明する。
【0029】
例えば溶接作業を行っている間に先端が消耗したり、先端に溶着金属が付着したり、先端が曲がった電極棒9を再使用するために、電極棒9の先端を切頭円錐状に研磨する場合、先ず、電極棒9の先端を切断ディスク5により切断して(切り落として)平坦(フラット)にする。尚、この切断工程は、未使用で先端が平坦な長さ150mmの電極棒9では省略される。
【0030】
具体的には、電極棒9を電極棒ホルダ85のコレットチャック85cに挿入し、電極棒9をコレットチャック85cの先端から目安で所定長さ(20mm前後)だけ突出した後、チャックねじ85dを手で一方向に回して軽く締め付け、電極棒9を摺動可能な状態で保持する。この際、極短い電極棒9(本実施形態では研磨角度が7.5度の場合には最小長さ25mm、研磨角度が7.5度を超える場合には最小長さ15mm)や先端に溶着金属が付着した電極棒9或いは曲がった電極棒9は、チャックねじ85dの先端から突出したコレットチャック85cの先端から挿入することができる。また、長い電極棒9は、コレットチャック85cの先端或いはチャックガイド85bを通してコレットチャック85の基端のいずれからでも挿入することができる。
【0031】
そして、図8図9の実線で示すように、コレットチャック85cの先端から突出した電極棒9の先端を第1ゲージ溝89の奥壁(下部奥壁)83fに当接した状態で、電極棒ホルダ85のチャックねじ85dの二面幅部を切り欠き83dの前端開口部に挿入し、電極棒9をコレットチャック85c内に押し込み、チャックねじ85dの二面幅部が切り欠き83dの前端開口部に完全に嵌合された時点で、チャックガイド85bを手で一方向に回してチャックねじ85dを完全に締め込み、電極棒9を保持固定する。これにより、電極棒9の突出量が10mmに設定される。
【0032】
電源スイッチ13をONにして、電動モータ3によって研磨ディスク4と切断ディスク5とを図4の矢印方向に一体に高速回転させると共に、電極棒ホルダ85のコレットチャック85cの先端から突出した電極棒9を長孔64の前端部から研磨室に挿入し、電極棒9の先端を電極棒切断台23の上面に垂直に当接した状態で、電極棒ホルダ85をそのまま後方にスライド移動させる。これにより、電極棒9は、図4の矢印で示すように、長孔64に沿って後方にスライド移動し、電極棒9の先端から所定寸法(本実施形態では5mm)だけ持ち上がった箇所の外周面が切断ディスク5の外周縁に直角に当接して切断され、電極棒9の先端が平坦(フラット)にされる。電極棒9の切断後は電源スイッチ13をOFFにして、電動モータ3による研磨ディスク4と切断ディスク5の回転を停止する。
【0033】
次に、先端が平坦にされた電極棒9(未使用の電極棒9を含む)の電極棒ホルダ85からの突出量を設定する。
【0034】
具体的には、先端が平坦にされた電極棒9を保持固定した電極棒ホルダ85のチャックねじ85dの二面幅部を切り欠き83dの前端開口部に挿入し、チャックガイド85bを手で逆方向に回してチャックねじ85dを緩め、先端が平坦にされた電極棒9をコレットチャック85cの先端から目安で所定長さ(例えば30mm)だけ突出した後、チャックねじ85dを手で一方向に回して軽く締め付け、先端が平坦にされた電極棒9を摺動可能な状態で保持する。
【0035】
そして、後工程で電極棒9の先端を7.5度を超えた角度で研磨する際は、図8図9の実線で示すように、コレットチャック85cの先端から突出した電極棒9の平坦な先端を第1ゲージ溝89の奥壁(下部奥壁)83fに当接した状態で、電極棒ホルダ85のチャックねじ85dの二面幅部を切り欠き83dの前端開口部に挿入し、電極棒9をコレットチャック85c内に押し込み、チャックねじ85dの二面幅部が切り欠き83dの前端開口部に完全に嵌合された時点で、チャックガイド85bを手で一方向に回してチャックねじ85dを完全に締め込み、先端が平坦にされた電極棒9を保持固定する。これにより、先端が平坦にされた電極棒9の突出量が10mmに設定される。
【0036】
また、後工程で電極棒9の先端を7.5度の角度で研磨する際は、図8図9の二点鎖線で示すように、コレットチャック85cの先端から突出した電極棒9の平坦な先端を第2ゲージ溝90の奥壁(上部奥壁)83gに当接した状態で、電極棒ホルダ85のチャックねじ85dの二面幅部を切り欠き83dの前端開口部に挿入し、電極棒9をコレットチャック85c内に押し込み、チャックねじ85dの二面幅部が切り欠き83dの前端開口部に完全に嵌合された時点で、チャックガイド85bを手で一方向に回してチャックねじ85dを完全に締め込み、先端が平坦にされた電極棒9を保持固定する。これにより、先端が平坦にされた電極棒9の突出量が20mmに設定される。
【0037】
次に、電極棒9の先端を研磨ディスク4により任意の角度で研磨する。
【0038】
具体的には、先ず、電極棒9の先端が研磨ディスク4の研磨面に対し所望の角度で接触するように、電極棒保持部8の傾斜角度を設定する。すなわち、第1クランプレバー86のレバーを一方向に回して支軸81(第1クランプレバー86のねじ部)を緩めて支軸81を支点として揺動アーム82を揺動させ、指針82aが目盛り82bの所望の角度を指した位置で、第1クランプレバー86のレバーを逆方向に回して支軸81(第1クランプレバー86のねじ部)を締め付ける。これにより、揺動アーム82の傾斜角度が変更され、揺動アーム82と一体にホルダ支持プレート83とホルダガイド84の傾斜角度も変更されて、図1図5に示すように、電極棒保持部8の傾斜角度が設定される。図1図5では、揺動アーム82の傾斜角度が30度に変更され、揺動アーム82と一体にホルダ支持プレート83とホルダガイド84の傾斜角度も30度に変更されて、電極棒保持部8の傾斜角度が30度に設定されている。
【0039】
そして、電源スイッチ13を再びONにして、電動モータ3によって研磨ディスク4と切断ディスク5とを図4の矢印方向に一体に高速回転させると共に、図1図5に示すように、電極棒ホルダ85からの突出量が設定された電極棒9を保持固定した電極棒ホルダ85を傾斜角度が設定された電極棒保持部8のホルダガイド84に挿着し、研磨ディスク4の回転軌道接線方向と電極棒9の軸方向とがほぼ一致した箇所(図1図5では、図4に示す一点鎖線L1上)で、電極棒9の先端を研磨ディスク4の研磨面に対し任意の傾斜角度(図1図5では30度)で接触させ、図5に示すように、電極棒ホルダ5を、係合部85aをホルダガイド84の前端面から離して電極棒ホルダ押し込み代91を確保した状態から、図1図4図6に示すように、ホルダガイド84に対し電極棒9の軸周りに回しながら、係合部85aがホルダガイド84に係合するまでホルダガイド84に押し込む。これにより、電極棒9の先端が切頭円錐状に研磨される。
【0040】
研磨が終了すると、電源スイッチ13をOFFにして、電動モータ3による研磨ディスク4と切断ディスク5の回転を停止し、電極棒ホルダ85をホルダガイド84から引き抜くと共に、切り欠き83dを用いてチャックねじ85dを緩め、電極棒ホルダ85から電極棒9を取り外す。
【0041】
以上のように電極棒研磨機では、電極棒9の先端を円錐状に研磨した後、電極棒9の先端を平坦に研磨するのではなく、電極棒9の先端を切断ディスク5により切断して平坦にした後、研磨ディスク4の回転軌道接線方向と電極棒9の軸方向とがほぼ一致した箇所で、電極棒9の先端を研磨ディスク4に対し任意の傾斜角度で接触させ、電極棒9の先端を切頭円錐状に研磨するので、電極棒9の研磨ロス、研磨時間を少なく電極棒9の先端を、切断時にバリが生じたとしてもそのバリを除去しながら、切頭円錐状に研磨することができる。また、電極棒9の先端の研磨角度を調整することができると共に、研磨後の電極棒9の先端には、バリを残すことなく、しかも電極棒9の軸方向とほぼ同一方向で縞模様が形成されるため、より良好な溶接アークを発生しやすい電極棒9を得ることができる。
【0042】
また、研磨方向が電極棒9の軸方向とほぼ同一方向であるため、研磨抵抗による電極棒9のブレ・振動等を大幅に抑制し、短くなった電極棒9(本実施形態では研磨角度が7.5度の場合には最小長さ25mm、研磨角度が7.5度を超える場合には最小長さ15mm)も安全に研磨することができる。
【0043】
また、電極棒保持部8は、研磨ディスク4の研磨面に対する電極棒9の先端の接点を支点として電極棒9を揺動させ、研磨ディスク4の研磨面に対する電極棒9の先端の接触角度、すなわち電極棒9の先端の研磨角度を調整するため、研磨角度にかかわらず、常に、研磨ディスク4の回転軌道接線方向と電極棒9の軸方向とがほぼ一致した箇所で、電極棒9の先端を研磨ディスク4に対し任意の傾斜角度で接触させ、研磨後の電極棒9の先端に電極棒9の軸方向とほぼ同一方向で縞模様が形成される研磨が可能となるため、より良好な溶接アークを発生しやすい電極棒9を得ることができる。
【0044】
また、電極棒研磨機では、電極棒9の先端を切頭円錐状に研磨する場合に、切頭(平坦面)の大きさ(平坦径)は、ホルダガイド84の位置で調整することができる。具体的には、第2クランプレバー87のレバーを一方向に回してねじを緩めてホルダ支持プレート83と一体にホルダガイド84を第1長孔83bの範囲内で前後方向にスライド移動させ、ホルダ支持プレート83と一体にホルダガイド84の前後位置を変更することにより、電極棒ホルダ押し込み代(電極棒9の先端の研磨量)91が変更され、切頭の大きさも変更される。より具体的には、ホルダガイド84の前後位置を前にするほど、電極棒ホルダ押し込み代(電極棒9の先端の研磨量)91が増やされ、切頭の大きさは小さくなり、逆に、ホルダガイド84の前後位置を後にするほど、電極棒ホルダ押し込み代(電極棒9の先端の研磨量)91が減らされ、切頭の大きさは大きくなる。
【0045】
また、電極棒研磨機では、切頭(平坦面)を無くすように、ホルダガイド84の位置を調整することにより、電極棒9の先端を、円錐状に研磨することができる。一方、電極棒9の先端を2段研磨する(先端部に研磨角度の異なる二つのテーパ面を形成する)必要のある場合には、先ず、電極棒9の先端に任意の角度のテーパ面が形成されるように電極棒保持部8の傾斜角度を調整し、この状態で電極棒9の先端を切頭円錐状に研磨する。次に、電極棒9の先端に先の角度よりもきい任意の角度のテーパ面が形成されるように電極棒保持部8の傾斜角度を調整し、この状態で電極棒9の先端を研磨する。これにより、電極棒9の先端は、2段に研磨される。そして、電極棒9の先端を、円錐状に研磨する場合も、2段に研磨する場合も、いずれにしても、研磨ディスク4の回転軌道接線方向と電極棒9の軸方向とがほぼ一致した箇所で、電極棒9の先端を研磨ディスク4に対し任意の傾斜角度で接触させ、研磨後の電極棒9の先端に電極棒9の軸方向とほぼ同一方向で縞模様が形成される研磨が可能となるため、より良好な溶接アークを発生しやすい電極棒9を得ることができる。
【0046】
さらに、電極棒研磨機では、第3クランプレバー88のレバーを一方向に回してねじを緩めてホルダガイド84を第2長孔83cの範囲内で左右方向にスライド移動させ、ホルダガイド84の左右位置を変更することにより、研磨ディスク4の研磨面に対する電極棒9の先端の接触位置を図4に示す一点鎖線に沿って研磨ディスク4の径方向に変更し、研磨ディスク4の内周から外周までの任意の位置に調整することができるため、研磨ディスク4の研磨面全面を無駄なく使用することができる。
【0047】
以上から明らかなように電極棒研磨機は、電動モータ3と、電動モータ3の回転軸31に着脱可能に取り付けられ、回転軸31を中心として回転軸31と一体に回転する研磨ディスク4と、電極棒保持部8とを有する電極棒研磨機であって、前記研磨ディスク4とともに前記回転軸31に着脱可能に取り付けられ、前記研磨ディスク4とともに前記回転軸31を中心として前記回転軸31と一体に回転する前記研磨ディスク4より大径の切断ディスク5を備え、電極棒保持部8は、回転軸31に対する垂直方向を軸方向とする支軸81と、支軸81に揺動可能に支持され、研磨ディスク4に対し任意の傾斜角度を取り得る位置に固定可能な揺動アーム82と、揺動アーム82に支持され、揺動アーム82と一体に揺動・固定可能なホルダ支持プレート83と、ホルダ支持プレート83に支持され、ホルダ支持プレート83と一体に揺動・固定可能な筒状のホルダガイド84と、ホルダガイド84への挿入量規制用の係合部85aを設け、電極棒9を着脱可能に挿入固定する電極棒ホルダ85とを有し、電極棒ホルダ85をホルダガイド84に着脱可能に挿着することにより、研磨ディスク4の回転軌道接線方向と電極棒9の軸方向とがほぼ一致した箇所で、電極棒9の先端を研磨ディスク4に対し任意の傾斜角度で接触させると共に、ホルダ支持プレート83は、揺動アーム82に電極棒9の軸方向に移動可能、かつ、任意の位置に固定可能に支持され、ホルダ支持プレート83と一体にホルダガイド84を移動・固定することにより、電極棒9の研磨量を調整可能としてあることを特徴とするもので、従来の電極棒研磨機に比べて、電極棒9の研磨ロス、研磨時間を少なく電極棒9の先端を、切断時にバリが生じたとしてもそのバリを除去しながら、切頭円錐状に研磨することができ、また、電極棒9の先端の研磨角度を調整することができると共に、研磨後の電極棒9の先端には、バリを残すことなく、しかも電極棒9の軸方向とほぼ同一方向で縞模様が形成され(簡単に言えば、縦に筋が入り)、良好な溶接アークを発生しやすい電極棒9を得ることができる電極棒研磨機を提供することができる。
【符号の説明】
【0048】
3・・・電動モータ、31・・・回転軸、4・・・研磨ディスク、5・・・切断ディスク、8・・・電極棒保持部、9・・・電極棒、81・・・支軸、82・・・揺動アーム、83・・・ホルダ支持プレート、84・・・ホルダガイド、85・・・電極棒ホルダ、85a・・・係合部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9