(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090381
(43)【公開日】2022-06-17
(54)【発明の名称】液状油組成物
(51)【国際特許分類】
A23D 9/00 20060101AFI20220610BHJP
A23L 5/10 20160101ALN20220610BHJP
A23L 19/18 20160101ALN20220610BHJP
【FI】
A23D9/00
A23D9/00 506
A23L5/10 D
A23L19/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020202749
(22)【出願日】2020-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】石田 栄一
【テーマコード(参考)】
4B016
4B026
4B035
【Fターム(参考)】
4B016LC02
4B016LE03
4B016LG06
4B016LK06
4B016LK12
4B016LP03
4B016LP07
4B026DC01
4B026DC06
4B026DG01
4B026DH05
4B026DP01
4B026DP03
4B026DX01
4B035LC01
4B035LC16
4B035LE17
4B035LG12
4B035LG32
4B035LG34
4B035LP07
(57)【要約】
【課題】本発明は、原料食用液状油由来の風味や健康効果を損なわず、また、乳化剤などの添加物の添加や特別な精製・加工処理をしなくても、低温下で油相部分に白濁や結晶物が発生しない耐冷性に優れた液状油組成物、及び前記液状油組成物を含有する食品を提供することである。
【解決手段】上記課題を解決するために、食用液状油に対して、油溶性オーツ麦抽出物を含有する液状油組成物を提供する。本発明によれば、特別な精製処理や分別処理をすることなく、また、原料液状油由来の風味や健康効果を低下させることなく、さらに乳化剤等の食品添加物を使用することなく、低温下で油相に白濁や結晶物が発生しない液状油組成物、または当該液状油組成物含む食品を提供することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用液状油に対して、油溶性オーツ麦抽出物を含有する液状油組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の液状油組成物を含有する食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温下でも食用液状油の結晶化、または流動性の低下が起こらず、風味に優れた液状油組成物、及び前記液状油組成物を含有する食品に関する。
【背景技術】
【0002】
食用液状油は幅広い食品分野で使用されており、必須脂肪酸などを含む特定の食用液状油については近年の研究により、健康機能に関する様々な効果も注目されている。
一方、こうした食用液状油は低温で保存した際に、白濁や固化、又は結晶物の沈殿が発生しやすい性質があり、食品として利用する場合には、この性質が及ぼす食品への影響を考慮した製品設計が必要であった。
例えば、エキストラバージンオリーブオイルの一般的な保管温度は常温であるが、風味の劣化や酸化の防止を目的に一般消費者の中には、冷蔵で保管することも多く見受けられる。しかし、冷蔵庫等で低温保管すると、製品内部の容器壁面や底部に白濁や結晶物が発生して、商品価値を損なうことがあった。また、この問題を避けるために食用液状油の配合量を減らすと、特有の風味や健康効果が失われてしまい、商品価値を高めることが困難であった。
食用液状油を特別な精製処理や分別処理をすることにより、白濁や固化が発生しにくいサラダ油にすることができるが、新たな精製工程が必要であり、また、風味成分や健康上有用な成分まで取り除かれてしまう場合が多く、食用液状油の原料由来の特有の風味や健康効果を活かすことが困難であった。
こうした課題は食用液状油自体を商品とする食用油やクッキングオイルなどだけでなく、ドレッシングなどの液状調味製品などでも同様に存在する。
上記のような課題、すなわち食用液状油の白濁や結晶化を抑制する方法として、未精製オリーブオイルと高オレイン酸低リノレン酸菜種油とをブレンドすることで、低温時に白濁が発生しないオリーブオイルを得る方法(特許文献1)が開示されている。この技術は単に、白濁が発生しない液状油脂で未精製のオリーブオイルを希釈して、白濁を発生しにくくしているだけであり、油の組み合わせが限定され、汎用性がない技術である。また、炭素数14以下の飽和脂肪酸の含有量が20~80重量%、炭素数16以上の飽和脂肪酸の含有量が20~80重量%であることを特徴とするポリグリセリン脂肪酸エステルを添加する方法(特許文献2)、HLBが2~6であり、構成脂肪酸のうち炭素数10~16の飽和脂肪酸が60質量%以下、炭素数18~22の不飽和脂肪酸が40質量%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを配合する方法(特許文献3)で、油脂の結晶化を抑制する技術が開示されているが、乳化剤由来の好ましくない風味があり、不要な添加物を敬遠する消費者の志向に合うものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-254707号公報
【特許文献2】特開平11-279115号公報
【特許文献3】特開2017-93298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、食用液状油の原料由来の風味や健康効果を損なわず、また、乳化剤などの添加物の添加や特別な精製・加工処理をしなくても、低温下で油相部分に白濁や結晶物が発生しない耐冷性に優れた液状油組成物、及び前記液状油組成物を含有する食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねたところ、食用液状油に対して、油溶性オーツ麦抽出物を含有させることで、食用液状油の原料由来の風味を損なわず、低温下で油相に白濁や結晶物が発生しないことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の[1]、[2]である。
[1]食用液状油に対して、油溶性オーツ麦抽出物を含有する液状油組成物。
[2][1]に記載の液状油組成物を含有する食品。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、特別な精製処理や分別処理をすることなく、また、食用液状油の原料由来の風味や健康効果を低下させることなく、さらに乳化剤等の食品添加物を使用することなく、低温下で油相に白濁や結晶物が発生しない液状油組成物、または当該液状油組成物を含む食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明に係る液状油組成物、当該液状油組成物を含む食品の実施形態を詳細に説明する。
【0008】
[液状油組成物]
本発明の液状油組成物は、(A)食用液状油に対して、(B)油溶性オーツ麦抽出物を含有するものである。
本発明に含有する油溶性オーツ麦抽出物は、低温下で結晶化、または凝集、沈殿しやすい飽和脂肪酸やワックス、その他成分の結晶化、または集積を阻害し、低温下での油相部分における白濁や結晶物の発生を改善することができる。
【0009】
液状油組成物の用途は、本発明の効果が奏されるものであれば、特に制限されるものではない。液状油組成物の用途としては、例えば、生食用液状油、加熱調理用液状油(クッキングオイル)、フライオイル、離型油、製菓製パン用液状油などが挙げられる。液状油組成物の用途は、外観が透明で優れるという観点から生食用液状油が好ましく、さらに冷蔵保存による状態の安定性が優れるという観点から、サラダ油、ドレッシングオイルが特に好ましい。
【0010】
また、本発明の液状油組成物は、加熱による安定性に優れるという特徴を有する。本発明の液状油組成物は、繰り返してフライ調理した場合でも、泡立ちが生じにくいことから、フライオイルとして好適に利用することができる。
【0011】
本発明の液状油組成物の状態は、日本農林規格(JAS)が定める冷却試験の方法及びサラダオイルの規格に準じて、本発明に係る液状油組成物を0℃で5時間30分保管した後の油相中の状態について、白濁や結晶物の発生の有無、及び流動性を所定基準により目視で評価したときに、透明又は僅かな曇りがある液体である。
【0012】
(A)食用液状油
食用液状油は、食用に適する液状油であれば、特に制限されるものではない。食用液状油としては、例えば、菜種油、大豆油、米油、コーン油、綿実油,ごま油、オリーブオイル、アボカドオイル、アルガンオイル、カメリアオイル、べに花油、椿油、グレープシードオイル、エゴマ油、しそ油、アマニ油、MCT、落花生油、アーモンド油、アルガニアスピノザ核油(アルガン油)、オオアザミ種子油、ククイナッツ油、ひまわり油、サフラワー油、アーモンド油、アボカド油、クルミ油、ボラージシード油、マカダミアナッツ油、魚油、肝油、鯨油などの天然の動植物油脂及びこれらの分別油、硬化油、または精製、加工処理したものでも良い。
また、常温下では固体状、または半固体状の、パーム油、やし油、パーム核油、乳脂、カカオ脂、ラード、牛脂、などを分別、または精製、処理して液状油としたものでも良い。さらに、これらの食用液状油は、単独または、二種以上を組み合わせたものでもよい。
食用液状油としては、エキストラバージンオリーブ油、大豆油、パームダブルオレイン油又は菜種白絞油が好ましく、これらを単独または二種以上組み合わせても良い。
【0013】
(B)油溶性オーツ麦抽出物
本発明で用いる油溶性オーツ麦抽出物は、オーツ麦から抽出された脂質であり、オーツ麦オイルとも呼ばれる。主な成分として、中性脂質であるトリアシルグリセロール、極性脂質であるリン脂質、糖脂質などを含む天然物である。オーツ麦からの抽出方法は、食用に用いられるものであれば、特に制限されるものではないが、極性脂質を40重量%以上含むものが望ましい。油溶性オーツ麦抽出物の市販品としては、例えば、Swedish Oat Fiber AB製の商品名「SWEOAT OIL PL-40 FG」が挙げられる。
【0014】
なお、脂質中の極性脂質の含有量の測定は、例えば、以下の方法により測定することができる。
<極性脂質の含有量の測定方法>
油溶性オーツ麦抽出物0.5g
↓+クロロホルム49.5ml
定容 50ml
↓
分取 2ml
↓
カラムクロマトグラフィー
↓ シリカカートリッジカラム
↓ クロロホルム20mlで溶出
↓ クロロホルム及びメタノールの混液(49:1)5mlで溶出
↓ →合わせて非極性脂質画分とする
↓
↓ メタノール30mlで溶出
↓ →極性脂質画分とする
溶媒留去
↓
各画分の重量測定
油溶性オーツ麦抽出物中の極性脂質の含有量は下記の式により算出する。
極性脂質の含有量(重量%)=極性脂質画分の重量(g)×100/0.5g
【0015】
また、本発明における液状油組成物100質量部に対する油溶性オーツ麦抽出物中の極性脂質の割合は特に制限されるものではないが、例えば液状油組成物100質量部に対して油溶性オーツ麦抽出物中の極性脂質の割合は0.02~1.5質量部が好ましく、0.02~0.3質量部がより好ましい。
【0016】
食用液状油に対する油溶性オーツ麦抽出物の含有量は、特に制限されるものではない。油溶性オーツ麦抽出物の含有量としては、例えば、食用液状油100質量部に対して0.01質量部以上であり、好ましくは0.05~3.0質量部であり、より好ましくは、0.05~0.5質量部である。食用液状油の種類により、油溶性オーツ麦抽出物の含有量に対する本発明の効果の度合いは異なる場合があるため、目的とする効果の度合い、また用途によって含有量は適宜調整することができる。
油溶性オーツ麦抽出物の含有量が食用液状油100質量部に対して0.01質量部以上であれば、食用液状油に由来する結晶化、または凝集、沈殿しやすい飽和脂肪酸やワックス、その他成分の結晶化、または集積化を阻害する効果が得られ、低温下での油相部分における白濁や結晶物の発生を十分に改善することができる。また3.0質量部以下であれば、油溶性オーツ麦抽出物の風味に影響を受けずに、液状油組成物の風味も良好である。
【0017】
本発明の液状油組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、食用液状油と油溶性オーツ麦抽出物とを公知の混合方法で混合することにより製造することができる。液状油組成物の製造方法としては、例えば、食用液状油を必要により加熱し、油溶性オーツ麦抽出物を添加し、混合機により溶解することが挙げられる。混合機としては、特に制限されるものではなく、例えば、プロペラ攪拌機、ホモミキサー、ホモジナイザーなどが挙げられる。
使用する食用液状油にすでに結晶や沈殿物、曇りなどが発生している場合には、加熱し、完全な透明状態にすることが望ましい。使用する食用液状油に結晶や沈殿物、曇りなどが発生していない場合には、加熱は必須ではないが、油溶性オーツ麦抽出物を食用液状油に添加後、50℃~70℃に加熱することで溶解を早めることができる。なお、混合機で油溶性オーツ麦抽出物を溶解後に熱交換器、またはコンビネーター、パーフェクター、ボテーターなどの冷却混合機により急冷捏和しても良い。
【0018】
[液状油組成物を含有する食品]
本発明の液状油組成物を含有する食品は、(A)食用液状油に対して、(B)油溶性オーツ麦抽出物を含有する液状油組成物を含む食品である。
本発明の液状油組成物を含有する食品の形態は、本発明の効果が奏されるものであれば、特に制限されるものではない。液状油組成物を含有する食品の形態としては、例えば、香辛料や食酢、糖類などの水溶性液体類を含むドレッシングやソース類を始めとする調味製品、本発明の液状油組成物、または本発明の液状油組成物含む食品を使用した菓子やパン類、焼き物、炒め物、揚げ物、煮物、炊飯物、蒸し物などが挙げられる。
液状油組成物を含有する食品における液状油組成物の配合量は、特に制限されるものではない。
液状油組成物を含有する食品おいて、本発明の液状油組成物を配合することで、液状油組成物を含有する食品における油相部分の低温下での白濁や結晶物の発生を改善することができる。
【実施例0019】
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらの実施例のみに制限されるものではなく、本発明の技術的思想内において様々な変形が可能である。
【0020】
(液状油組成物の製造)
表1に示す配合割合のとおり、以下の方法により液状油組成物を製造した。
すなわち、実施例1ではエキストラバージンオリーブ油(商品名「OLIVE OIL EXTRA VIRGIN」(ガルシア製))100gを70℃で加熱したのち、油溶性オーツ麦抽出物(商品名「SWEOAT OIL PL-40 FG」(Swedish Oat Fiber AB製))を0.05g添加し、プロペラ攪拌機にて十分に溶解した。これを30ml容のビン容器に分取し、20℃になるまで恒温槽で冷却した。
実施例2~10、及び比較例1~6は表1及び表2に示す配合割合に従って、同様に製造した。
実施例、比較例で使用した食用液状油及び極性脂質の含有量は以下のとおりである。
大豆油(商品名「大豆油(白絞油)」(サミット製油製))
パームダブルオレイン油(商品名「パームエース10」(不二製油製))
菜種油(商品名「菜種油(サラダ油)」(サミット製油製))
卵黄油(商品名「卵黄レシチン PL-30S」(キユーピー製、極性脂質33質量%含有))
なお、本実施例に使用した油溶性オーツ麦抽出物中の極性脂質の含有量は前記測定方法で測定した結果、47.4質量%であった。
【0021】
(状態の評価方法)
液状油組成物の状態の評価方法としては日本農林規格(JAS)が定める冷却試験の方法及びサラダオイルの規格に準じて、実施例及び比較例に係る液状油組成物を0℃で5時間30分保管した後の油相中の状態について、白濁や結晶物の発生の有無、及び流動性を下記基準により目視で評価した。
◎:透明(流動性あり)
○:僅かな曇り(流動性あり)
△:強い曇り、又は結晶物の沈殿あり(流動性あり)
×:固化(流動性なし)
【0022】
(風味の評価方法)
専門のパネラー10人にて、25℃に調温した実施例及び比較例に係る液状油組成物を約5gスプーンですくい取り、食したときに口腔内に感じる香りについて評価した。評価は、下記基準により採点し、その平均値にて合否判定を行った。
(採点基準)
3点:食用液状油の風味と同等
2点:油溶性オーツ麦抽出物由来の香りを僅かに感じる
1点:油溶性オーツ麦抽出物由来の香りを感じる
(評価基準)
◎:2.6~3.0点
○:2.0~2.5点
△:1.0~1.9点
【0023】
状態及び風味の評価については、◎、○を合格とし、△、×を不合格とした。
また、風味の評価については、状態の評価において合格であった液状油組成物のみ実施した。
【0024】
【0025】
【0026】
実施例1~10に係る液状油組成物は、いずれの液状油組成物においても油相の状態の評価が「◎」又は「○」という白濁や結晶物の発生もなく、かつ、流動性も有するという良好な結果を示した。また、風味の評価においても「◎」又は「○」という優れた風味を有していた。
【0027】
(B)油溶性オーツ麦抽出物を含まず、(A)食用液状油のみで製造された比較例1~4に係る液状油組成物は、油相の状態評価において、比較例1が「×」という固化し流動性がないという不良な結果を示した。また、比較例2~4についても「△」となり、流動性はあるもの、強い曇り又は結晶物の沈殿が発生するという不良な結果となった。
【0028】
(A)食用液状油に対して(B)油溶性オーツ麦抽出物ではなく、卵黄油を含有した比較例5~6に係る液状油組成物は、油相の状態評価において「△」となり、比較例2~4と同様、流動性はあるものの、強い曇り又は結晶物の沈殿が発生するという不良な結果となった。
【0029】
比較例に係る液状油組成物の全ては、油相の状態評価において合格することができず、風味の評価を行うことができなかった。
【0030】
(液状油組成物を含有する食品の製造1)
実施例7の液状油組成物、または比較例2の液状油組成物を用いて揚げたフライドポテトを下記方法にて製造した。フライドポテトはじゃが芋を四角柱形にカットした物100質量部を、実施例7に係る液状油組成物、または比較例2に係る液状油組成物3000質量部を用いて190℃で5分間揚げ、室温にて20分間冷却した。同様の方法にて同じ液状油組成物でフライドポテトを10回製造し、10回目に製造したフライドポテトのうち実施例7の液状油組成物で揚げたフライドポテトを実施例11、比較例2の液状油組成物で揚げたフライドポテトを比較例7とした。
【0031】
(風味の評価方法)
実施例11及び比較例7に係るフライドポテトについて専門のパネラー10人にて下記基準により採点し、その平均値にて評価した。
(採点基準)
実施例11に係るフライドポテトの風味について、油溶性オーツ麦抽出物を添加していない比較例2の液状油組成物を使用した比較例7に係るフライドポテトの風味を基準として
3点:同等の風味
2点:油溶性オーツ麦抽出物由来の香りを僅かに感じる
1点:油溶性オーツ麦抽出物由来の香りを感じる
(評価基準)
◎:2.6~3.0点
○:2.0~2.5点
△:1.0~1.9点
【0032】
(調理適性の評価)
フライドポテトを10回製造した後の実施例7に係る液状油組成物及び比較例2に係る液状油組成物の上面を観察し、下記基準により評価した。
(評価基準)
泡立ちがない:○
泡立ちが見られる:×
なお、風味の評価、及び調理適性の評価については、◎、○を合格とし、△、×は不合格とした。
【0033】
【0034】
実施例11に係るフライドポテトは、風味の評価が「◎」であり、油溶性オーツ麦抽出物由来の香りを感じさせることはなく良好な風味を有していた。また、フライドポテトを10回製造した後の実施例7に係る液状油組成物は、調理適性の評価が「○」で、10回使用した後においても泡立ちがなく、優れた調理適性を示した。
【0035】
(液状油組成物を含有する食品の製造2)
表4に示す配合割合のとおり液状油組成物を含有する食品の一例として油水二相系で構成する分離状ドレッシングを製造して、実施例12~15とした。
【0036】
【0037】
液状油組成物の評価方法と同様に、実施例12~15に係るドレッシングを0℃で5時間30分保管した後に油相中の状態や風味について評価したが、いずれも油相に結晶や沈殿物は発生せず、また、風味にも優れていた。
【0038】
以上の結果から、本発明に係る液状油組成物及び当該液状油組成物を含有する食品は、食用液状油の原料由来の風味や健康効果を低下させることなく、さらに乳化剤等の食品添加物を使用することなく、低温下で油相部分に白濁や結晶物が発生しない耐冷性に優れるという効果を発揮することが分かった。