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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090395
(43)【公開日】2022-06-17
(54)【発明の名称】温調マットの梱包体及び梱包方法
(51)【国際特許分類】
   F24D 3/10 20060101AFI20220610BHJP
   F24D 3/00 20220101ALI20220610BHJP
   F24D 3/16 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
F24D3/10 M
F24D3/00 E
F24D3/16 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020202778
(22)【出願日】2020-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】513026399
【氏名又は名称】三菱ケミカルインフラテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】柴田 一範
(72)【発明者】
【氏名】浅川 和樹
【テーマコード(参考)】
3L070
【Fターム(参考)】
3L070AA02
3L070AA03
3L070AA04
3L070BD15
3L070BD19
(57)【要約】
【課題】ヘッダーを接続してあっても、折り畳んで梱包体としたときに損傷が生じることが防止される温調マットの梱包体及び梱包方法を提供する。
【解決手段】温調マット10の基板A~Hの上面に温水配管14が配設され、温水配管14にヘッダー30,40が接続されている。温調マット10を折り畳んで折り畳み体とし、その周囲にスペーサ51~54を配置する。スペーサ51の開口51aからヘッダー30,40をスペーサ51内に差し込む。その後、梱包材で被包して梱包体とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温調マットの折り畳み体と、
該折り畳み体に沿って配置されたスペーサと、
該折り畳み体とスペーサとを被包する梱包材と
を有する温調マットの梱包体であって、
該温調マットは、上面に配管収容用の溝が設けられた略方形状の複数枚の基板と、該溝に収容された温調配管と、該温調配管が接続されたヘッダーとを有しており、
前記スペーサに開口が設けられており、前記ヘッダーは該スペーサ内に配置されており、該開口に前記温調配管が引き通されている温調マットの梱包体。
【請求項2】
一部の前記基板のコーナー部に切欠部が設けられており、
前記開口は該切欠部に臨むように設けられている請求項1の温調マットの梱包体。
【請求項3】
前記温調マットは、前記切欠部内に配置された、前記温調配管ガイド用のベースプレートを備えており、
前記スペーサに第2の開口が設けられており、
該ベースプレートが該第2の開口を通して該スペーサ内に差し込まれている請求項2の温調マットの梱包体。
【請求項4】
前記スペーサは四角筒状である請求項1~3のいずれかの温調マットの梱包体。
【請求項5】
前記ヘッダーは、ヘッダー本体と、該ヘッダー本体から突設された、前記温調配管に差し込まれる温調配管用ノズルと、該ヘッダー本体から突設された、床下の主配管に差し込まれる主配管用ノズルとを有する請求項1~4のいずれかの温調マットの梱包体。
【請求項6】
前記スペーサの厚みが前記折り畳み体の厚みよりも大きい請求項1~5のいずれかの温調マットの梱包体。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかの温調マットの梱包体を構成するための梱包方法であって、
温調マットを折り畳んで折り畳み体とする工程と、
折り畳み体に沿ってスペーサを配置するとともに、該スペーサの前記開口を通して前記ヘッダーを該スペーサ内に配置する工程と、
梱包材で該折り畳み体及びスペーサを被包する工程と
を有する温調マットの梱包方法。
【請求項8】
温調マットの折り畳み体と、
該折り畳み体に沿って配置されたスペーサと、
該折り畳み体とスペーサとを被包する梱包材と
を有する温調マットの梱包体であって、
該温調マットは、上面に配管収容用の溝が設けられた略方形状の複数枚の基板と、該溝に収容された温調配管と、該温調配管が接続されたヘッダーとを有しており、
前記スペーサの厚みが前記折り畳み体の厚みよりも大きい温調マットの梱包体。
【請求項9】
前記ヘッダーは、ヘッダー本体と、該ヘッダー本体から突設された、前記温調配管に差し込まれる温調配管用ノズルと、該ヘッダー本体から突設された、床下の主配管に差し込まれる主配管用ノズルとを有する請求項8の温調マットの梱包体。
【請求項10】
前記温調マットの折り畳み体の上面に、前記ヘッダーが配置されている請求項8又は9の温調マットの梱包体。
【請求項11】
前記折り畳み体の最上面の前記基板のコーナー部に切欠部が設けられており、
前記ヘッダーは該切欠部に配置されている請求項8~10のいずれかの温調マットの梱包体。
【請求項12】
前記スペーサは四角筒状である請求項8~11のいずれかの温調マットの梱包体。
【請求項13】
前記スペーサの厚みは、前記折り畳み体の底面から前記ヘッダーの最上部までの距離以上である請求項8~12のいずれかの温調マットの梱包体。
【請求項14】
前記ヘッダーの上面に保護シートが配置されている請求項8~13のいずれかの温調マットの梱包体。
【請求項15】
請求項8~14のいずれかの温調マットの梱包体を構成するための梱包方法であって、
温調マットを折り畳んで折り畳み体とする工程と、
折り畳み体に沿ってスペーサを配置する工程と、
梱包材で該折り畳み体及びスペーサを被包する工程と
を有する温調マットの梱包方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の室の床、壁、天井等の暖房や冷房を行うための温調マットの梱包体に係り、特に、この温調マットを折り畳んで梱包した梱包体に関する。また、本発明は、この梱包体を構成するための梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
床暖房構造として、板状のベースの上面の溝に温水配管を引き回した温水マットがある。この温水マットとして、折り重ねる如く折り畳んだものが広く用いられている。温水マットを折り畳むことにより、運搬時等の取り扱い性が良好なものとなる。
【0003】
この折り畳み体の従来例として、特許文献1(特開2009-30939号公報)に記載のものがある。
【0004】
特許文献1の温調マット(特許文献1では温水パネルと称されている。)は、屏風のように山折りと谷折りを繰り返すことにより、複数枚の基板が積重された折り畳み体とされる。なお、谷折りとは、隣接する基板の上面を重ね合わせる折り方であり、山折りとは隣接する基板の下面同士を重ね合わせる折り方である。積重された折り畳み体を段ボールで梱包することにより梱包体とされる。
【0005】
温調マットの一部の基板には切欠部が設けられており、温調用配管の端部が該切欠部に延出している。温調マットを床上に展開させて敷設した後、該切欠部内に配置されたヘッダーに該温調用配管が接続される。
【0006】
温調マットのヘッダーとして、特許文献2には、直方体形状のヘッダー本体と、該ヘッダー本体の一側面から突設された温調配管用ノズルと、ヘッダー本体の下面(床下側の面)から突設された、床下の主配管が接続される主配管用ノズルとを備えたものがある。
【0007】
この特許文献2には、床下に配設された主配管とこの床暖房パネルの温水配管とを接続した構造として、床上にベースプレートを配置し、温水配管を該ベースプレートでガイドして床開口付近に導き、分岐ヘッダーを介して主配管に接続した構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009-30939号公報
【特許文献2】特開2013-228138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ヘッダーを予め温調マットの温調用配管に接続しておき、施工現場に搬入して施工するようにすれば、現場での配管接続作業量が減少し、作業効率が向上する。
【0010】
しかし、ヘッダーとして特許文献2のようにヘッダー本体から主配管用ノズルが下方に突出したヘッダーを備えた温調マットの折り畳み体にあっては、ヘッダー本体の角縁部や、主配管用ノズルが、積み重なった温調マットに突き当たり、温調マットの均熱シート材等に損傷が生じるおそれがある。
【0011】
本発明は、ヘッダーを接続してあっても、折り畳んで梱包体としたときに損傷が生じることが防止される温調マットの梱包体及び梱包方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の要旨は、次の通りである。
【0013】
[1] 温調マットの折り畳み体と、
該折り畳み体に沿って配置されたスペーサと、
該折り畳み体とスペーサとを被包する梱包材と
を有する温調マットの梱包体であって、
該温調マットは、上面に配管収容用の溝が設けられた略方形状の複数枚の基板と、該溝に収容された温調配管と、該温調配管が接続されたヘッダーとを有しており、
前記スペーサに開口が設けられており、前記ヘッダーは該スペーサ内に配置されており、該開口に前記温調配管が引き通されている温調マットの梱包体。
【0014】
[2] 一部の前記基板のコーナー部に切欠部が設けられており、
前記開口は該切欠部に臨むように設けられている[1]の温調マットの梱包体。
【0015】
[3] 前記温調マットは、前記切欠部内に配置された、前記温調配管ガイド用のベースプレートを備えており、
前記スペーサに第2の開口が設けられており、
該ベースプレートが該第2の開口を通して該スペーサ内に差し込まれている[2]の温調マットの梱包体。
【0016】
[4] 前記スペーサは四角筒状である[1]~[3]のいずれかの温調マットの梱包体。
【0017】
[5] 前記ヘッダーは、ヘッダー本体と、該ヘッダー本体から突設された、前記温調配管に差し込まれる温調配管用ノズルと、該ヘッダー本体から突設された、床下の主配管に差し込まれる主配管用ノズルとを有する[1]~[4]のいずれかの温調マットの梱包体。
【0018】
[6] 前記スペーサの厚みが前記折り畳み体の厚みよりも大きい[1]~[5]のいずれかの温調マットの梱包体。
【0019】
[7] [1]~[6]のいずれかの温調マットの梱包体を構成するための梱包方法であって、
温調マットを折り畳んで折り畳み体とする工程と、
折り畳み体に沿ってスペーサを配置するとともに、該スペーサの前記開口を通して前記ヘッダーを該スペーサ内に配置する工程と、
梱包材で該折り畳み体及びスペーサを被包する工程と
を有する温調マットの梱包方法。
【0020】
[8] 温調マットの折り畳み体と、
該折り畳み体に沿って配置されたスペーサと、
該折り畳み体とスペーサとを被包する梱包材と
を有する温調マットの梱包体であって、
該温調マットは、上面に配管収容用の溝が設けられた略方形状の複数枚の基板と、該溝に収容された温調配管と、該温調配管が接続されたヘッダーとを有しており、
前記スペーサの厚みが前記折り畳み体の厚みよりも大きい温調マットの梱包体。
【0021】
[9] 前記ヘッダーは、ヘッダー本体と、該ヘッダー本体から突設された、前記温調配管に差し込まれる温調配管用ノズルと、該ヘッダー本体から突設された、床下の主配管に差し込まれる主配管用ノズルとを有する[8]の温調マットの梱包体。
【0022】
[10] 前記温調マットの折り畳み体の上面に、前記ヘッダーが配置されている[8]又は[9]の温調マットの梱包体。
【0023】
[11] 前記折り畳み体の最上面の前記基板のコーナー部に切欠部が設けられており、
前記ヘッダーは該切欠部に配置されている[8]~[10]のいずれかの温調マットの梱包体。
【0024】
[12] 前記スペーサは四角筒状である請求項[8]~[11]のいずれかの温調マットの梱包体。
【0025】
[13] 前記スペーサの厚みは、前記折り畳み体の底面から前記ヘッダーの最上部までの距離以上である[8]~[12]のいずれかの温調マットの梱包体。
【0026】
[14] 前記ヘッダーの上面に保護シートが配置されている[8]~[13]のいずれかの温調マットの梱包体。
【0027】
[15] [8]~[14]のいずれかの温調マットの梱包体を構成するための梱包方法であって、
温調マットを折り畳んで折り畳み体とする工程と、
折り畳み体に沿ってスペーサを配置する工程と、
梱包材で該折り畳み体及びスペーサを被包する工程と
を有する温調マットの梱包方法。
【発明の効果】
【0028】
本発明の温調マットの梱包体にあっては、ヘッダーが直接に強く当ることによる温調マットの損傷が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施の形態に係る温調マットの平面図である。
図2】実施の形態に係る温調マットの折り畳み方法を示す概略斜視図である。
図3】実施の形態に係る温調マットの折り畳み体の概略斜視図である。
図4】実施の形態に係る温調マットの一部の断面図である。
図5】ベースプレートの平面図である。
図6図5のVI-VI線断面図である。
図7図5のVII-VII線断面図である。
図8】ベースプレートの側面図である。
図9】ヘッダーの斜視図である。
図10】温調マットの設置構造を示す断面図である。
図11】梱包方法を示す平面図である。
図12図11のXII-XII線断面図である。
図13】スペーサの一部斜視図である。
図14】梱包体の斜視図である。
図15】別の実施の形態に係る梱包体を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。なお、この実施の形態では合計8枚の基板A~Hが用いられているが、4~20枚程度であってもよい。また、図1には各基板A~Hの幅寸法(単位mm)が記入されているが、これに限定されない。また、この実施の形態では温調用配管は温水配管であるが、冷水が通水される冷水配管であってもよい。
【0031】
この温調マット10は、略長方形状の8枚の基板A~Hと、各基板A~Hの上面に設けられた溝に配材された温調配管としての温水配管14(図1,4等)と、該温水配管14が連なるヘッダー30,40(図1,5,9,10等)と、各基板A~Hの上面を覆うように配置され、各基板A~Hの上面に付着された均熱シート材15(図4)等を備えている。なお、図2,3では、溝や温水配管の図示は省略されている。
【0032】
各基板A~Hは、発泡合成樹脂製のボード(盤体)11と、ボード11間に介在された小根太12等を有する。基板Aのコーナー部(基板B,Eから最も離隔したコーナー部)に切欠部16が設けられている。切欠部16に各温水配管14の端部が延出しており、ヘッダー30,40の温水配管用ノズル33,43が接続される。
【0033】
基板A~Dはこの順に図1の左から右に向って配列され、折り返し可能に連なっている。基板E~Hもこの順に図1の左から右に向って配列され、折り返し可能に連なっている。
【0034】
この実施の形態では、基板B,C,F,Gは幅(長方形の短辺方向の長さ)が他の基板よりも大きい。基板A,Eは、基板B,C,F,Gよりも幅が小さく、基板D,Hよりも幅が大きい。基板A,Eは等幅であり、基板B,C,F,Gは等幅であり、基板D,Hは等幅である。
【0035】
左右に隣接する基板A,B同士、B,C同士、C,D同士、E,F同士、F,G同士及びG,H同士はそれぞれ温水配管14によって折り返し可能に連結されている。
【0036】
図1で上下に隣接する基板A,E同士は温水配管14によって折り返し可能に連なっている。基板Bと基板Fとは連なっていない。基板Cと基板Gとは連なっていない。基板Dと基板Hとは連なっていない。
【0037】
折り返し可能に連なっている隣接する基板同士に跨がって温水配管14が引き回されており、該基板同士は温水配管14によって連結されている。折り返し可能に連なっている基板同士の突き合わせ部にあっては、温水配管14は、突き合わせ辺方向に沿って延在している。そのため、基板同士を山折り又は谷折りする際に温水配管14が基板側面に露呈した溝から引き出されるので、該基板の突き合わせ部に沿って温調マット10を山折り又は谷折りすることができる。
【0038】
この実施の形態では、温調マット10は、全体として3本の温水配管14が引き回され、3回路の温水循環配管構成となっている。
【0039】
基板Aの切欠部16内にベースプレート20が配置されている。図10の通り、建物の部屋の床4に直径又は一辺50~150mm程度の床孔3が設けられ、この床孔3付近の床4上にベースプレート20が設置されている。後に詳述する通り、このベースプレート20の後側にヘッダー30,40が配置され、各ヘッダー30,40の温水配管用ノズル33,43に各温水配管14の末端が接続されている。
【0040】
[ヘッダーの説明]
図9は、この温調マットに用いるのに好適なヘッダーの一例を示している。このヘッダー30,40は、直方体形状のヘッダー本体31,41と、ヘッダー本体31,41の側面から突設された温水配管用ノズル33,43と、ヘッダー本体31,41の下面から突設された主配管用ノズル32,42とを有する。温水配管用ノズル33,43を温水配管14に差し込み、バンドで締め付けることにより両者が接続される。なお、床下配管は、ボイラからの温水の往送用主配管と、返送用主配管であり、ヘッダー30,40としては図9のように、主配管用ノズル32,42の位置が異なる往送用と返送用の2個が用いられる。いずれのヘッダー30,40も切り欠き部16内に配置される。
【0041】
[ベースプレートの説明]
図5~8に示すように、ベースプレート20は略長方形の平盤状であり、前半側すなわち温水配管延在方向(図5の上下方向、図8の左右方向)の一半側が薄板部21となっており、後辺中央部付近に厚盤部23が設けられている。ベースプレート20の後縁部の上面は薄板部21の上面よりも後述の押えプレート46の厚み分だけ低くなっている。
【0042】
厚盤部23には、上面から凹陥する幅広溝状の凹所24が設けられている。この凹所24の底面24aは、ベースプレート20の後縁(図8の左側の縁部)に向って下り勾配となっている。凹所24は、ベースプレート20の後面に臨んでいる。
【0043】
凹所24からベースプレート20の前縁部(図8の右側の縁部)にかけてスリット27が複数本(この実施の形態では6本)延設されていてもよい。スリット27同士の間は細長く延在した仕切壁28となっている。スリット27同士の間隔は、凹所24からベースプレート20の前縁に近づくほど大きくなっている。ベースプレート20には、該ベースプレート20を床4に留め付けるためのビス挿通孔29が設けられている。
【0044】
なお、ベースプレートは図示のものに限定されるものではなく、特開2013-228138号公報に記載のものなど、温水配管をガイドすることができる各種のものを用いることができる。
【0045】
ヘッダー30,40と温水配管14とを接続した後、温調マット10を折り畳んでもよく、温調マット10を折り畳んだ後にヘッダー30,40と温水配管14とを接続してもよい。
【0046】
[温調マット10の折り畳み方法]
この温調マット10を折り畳むには、図2に示すように、まず基板A,B間及び基板E,F間を谷折りし、基板B,C間及び基板F,G間を山折りし、基板C,D間及び基板G,H間を谷折りする。これにより、基板A~D及び基板E~Hがそれぞれ積重体(第1積重体と第2積重体)となる。次に、基板A~Eよりなる第1積重体の下側に重なるように基板E~Hよりなる第2積重体を折り重ねる。即ち、基板A,E間を山折りする。
【0047】
これにより、図3(なお、図3では、基板A~Hの厚みは拡大して図示されている。)の通り、上側から基板D,C,B,A,E,F,G,Hの順に積重された積重体が形成される。そして、基板A,Eの幅が基板B,C,F,Gよりも小さいので、基板A,Eの一方の長側辺(図1の左辺)が積重体の側面から引っ込む。基板Aのコーナー部に設けられた切欠部16は、この積重体から引っ込んだ部分に設けられている。
【0048】
[梱包方法]
温調マット10の厚さは約5~9mm程度である。また、ヘッダー30,40のヘッダー本体31,41の厚さH(図9)は5~15mm程度であり、主配管接続ノズル32,42の長さは10~30mm程度である。図12における基板B,F間の間隔は基板2枚分の厚さである10~18mm程度となる。そのため、図12において、基板B,F間にヘッダー30,40を挟んだ場合、ヘッダー30,40(特にノズル32,42)が基板B,Fに直に当り、基板B,Fが損傷するおそれがある。
【0049】
そこで、この実施の形態では、温調マット10の折り畳み体に沿ってスペーサを配置する。図11,12は、折り畳み体の4周(4辺)に沿ってスペーサ51~54を配置した例である。ただし、スペーサは、折り畳み体の辺のうち、ヘッダー30,40が近接する辺に沿って配置されていればよく、当該一辺にのみ配置されてもよく、当該一辺を含む2辺又は3辺に配置されてもよい。2辺に配置する場合、向かい合う2辺に配置されてもよく、隣接2辺に配置されてもよい。
【0050】
スペーサ51~54は、段ボールを四角筒状に折って形成したものである。好ましくは、スペーサ51~54の厚さtを折り畳み体の厚さ(図12において基板Hの底面から基板Dの上面までの距離)よりも大きくする。
【0051】
折り畳み体の左側辺に配置されるスペーサ51に、切欠部16に臨む位置に開口51aを設ける。各ヘッダー30,40を、該開口51aを通してスペーサ51内に配置する。温水配管14は開口51aに引き通される。このようにスペーサ51~54を配置し、スペーサ51内にヘッダー30,40を配置する。
【0052】
また、この実施の形態では、好ましくは開口51aの近傍に、スリット状の第2開口51bを設けておく。そして、ベースプレート20を基板Cの上面に配置し、その一部(特に厚盤部23)を第2開口51bからスペーサ51内に差し込む。また、押え板46を折り畳み体の基板C上面に配置する。しかる後、温調マット10の折り畳み体とスペーサ51~54とを段ボールで包んで図14に示す梱包体50とする。
【0053】
この梱包体50にあっては、ヘッダー30,40がスペーサ51内に収容されているので、基板A~Hが損傷しない。
【0054】
[温調マット10の設置施工手順]
上記梱包体を解梱した後、温調マット10を建物の床4の所定位置に展開して配置する。温調マット10の配置前又は配置後に、図10の通り、切欠部16の位置に合わせて床4に床孔3を開ける。この床孔3を通して床下の主配管1,2を床上に引き出す。そして、主配管1,2をヘッダー30,40の主配管用ノズル32,42に装着し、バンド(図示略)によって締め付ける。
【0055】
次に、ベースプレート20の厚盤部23を床孔3に差し込み、薄板部21を床4上に重ねる。そして、主配管1,2を床4の下側に戻しつつ、温水配管14をスリット27及び凹所24に係合させ、ヘッダー30,40を床孔3内に配置する。なお、ヘッダー30に連なる温水配管14は、図5の左側から偶数番目のスリット27に係合する。ヘッダー40に連なる温水配管14は図5の左側から奇数番目のスリット27に係合する。
【0056】
この際、ヘッダー30,40のヘッダー本体31,41を床孔3内に位置させ、ヘッダー30の温水配管用ノズル33を凹所24内に差し込むことが好ましい。また、ヘッダー40の温水配管用ノズル43をヘッダー30のヘッダー本体31の上側に配置することが好ましい。ヘッダー30,40のヘッダー本体31,41の下方にはベースプレート20は存在しない。
【0057】
次いで、ビス挿通孔29を通してビスを床4にねじ込むことにより、ベースプレート20を床4に固定する。その後、図10の通り、ベースプレート20の後方側の床孔3を塞ぐように押えプレート46を配置し、該押えプレート46を床4にビスで固定する。この実施の形態では、押えプレート46の左右幅はベースプレート20の左右幅とほぼ等しい。この実施の形態では、押えプレート46の前縁はベースプレート20の後縁に重ねられているが、両者を重ね合わせることなく突き合わせてもよい。
【0058】
このように、ベースプレート20の設置前に主配管1,2を床孔3を通して床上に引き出し、ヘッダー30,40と主配管1,2との接続を行うので、床孔3を大きくすることなく、ヘッダー30,40と主配管1,2との接続作業を容易に行うことができる。
【0059】
[別の実施の形態]
図15を参照して第2発明の実施の形態について説明する。
【0060】
第2発明では、温調マットの折り畳み体の厚さよりも十分に厚さtの大きいスペーサを折り畳み体に沿って配置する。図15は、折り畳み体の4周(4辺)に沿ってスペーサ51~54を配置した例である。ただし、スペーサは、折り畳み体の辺のうち、ヘッダー30,40が近接する辺に沿って配置されていればよく、当該一辺にのみ配置されてもよく、当該一辺を含む2辺又は3辺に配置されてもよい。2辺に配置する場合、向かい合う2辺に配置されてもよく、隣接2辺に配置されてもよい。
【0061】
また、切欠部16を有する基板Aが、図15のように、折り畳み体の上面となるように折り畳む。例えば、前記図1において、基板A,B間及びE,F間を山折り、基板B,C間及びF,G間を谷折りし、基板C,D間及び基板G,Hを山折りする。また、基板A,E間を山折りする。
【0062】
この折り畳み体の上面に存在する切欠部16付近の基板Bの上面に、段ボール紙片や保護シート等を敷いた後、その上に、温水配管14が接続されたヘッダー30,40及びベースプレート20を配置し、ヘッダー30,40及びベースプレート20の上側に保護シート、好ましくはシート状気泡緩衝材を被せ、粘着テープ等で仮留めした後、段ボールで梱包して図14と同様の梱包体とする。スペーサ51~54の厚みは、温調マット10の折り畳み体の底面からヘッダー30,40の最上部までの距離以上である。
【0063】
この梱包体にあっては、十分に厚さの大きいスペーサを折り畳み体に沿って配置しているので、ヘッダー30,40が基板Bに強く押し付けられることがなく、基板Bの損傷が防止される。
【符号の説明】
【0064】
A~H 基板
10 温調マット
11 ボード
12 小根太
14 温水配管
15 均熱シート材
16 切欠部
20 ベースプレート
30,40 ヘッダー
31,41 ヘッダー本体
32,42 主配管用ノズル
33,43 温水配管用ノズル
51~54 スペーサ
51a 開口
51b 第2開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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図12
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図14
図15