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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090400
(43)【公開日】2022-06-17
(54)【発明の名称】移動体の音波誘導装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 15/88 20060101AFI20220610BHJP
【FI】
G01S15/88
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020202790
(22)【出願日】2020-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】514222868
【氏名又は名称】新美 博一
(72)【発明者】
【氏名】新美 博一
(72)【発明者】
【氏名】新美 知宏
【テーマコード(参考)】
5J083
【Fターム(参考)】
5J083AA05
5J083AB09
5J083AD04
5J083AD18
5J083AE07
5J083AF15
5J083CA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】移動体運航の自動化、効率化と安全性を確保する。
【解決手段】移動体からの電波パルスに応答して、音波信号を発信する音波標識で構成し、移動体は音波標識の音波信号を離して設置した2台の受波器で受信し、両受波器の受信信号の同相受信方位の検出により、音波標識の置かれた障害物方位又は他の航行移動体を検出する。また、移動体は電波パルスの発信から音波信号の受信までの時間差から移動体と音波標識の距離を検出する。また、海峡等の狭い移動体航路の左右に音波標識を設置し、両音波標識から同時同相の音波を発信し、その音波の同相受信点を検出保持して誘導航路とすることが出来る。各種移動体に受波器を搭載することで、指定誘導路の運航、障害物の検知、移動体相互検出が可能となり、濃霧時のその他各種場面で安全運行の支援ができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波パルスを発信する移動体と、これに応答する音波標識で構成する。音波標識は移動体からの電波パルスの受信と同時に、高周波音波を搬送波として音波パルス及びそれに続く低周波信号を周波数変調した音波信号を発信する。移動体には進行方向に直行し左右に離して2台の音波受波器を配置し、この搬送波を左右受波器で受信し周波数変調波を復調し低周波パスフィルタを経て、復調低周波信号の複数波長を取り出し、この左右複数波長の低周波音波信号は、A/D変換後左右受信出力を乗算して乗算積信号を作り、受信低周波の1/2波長ないし数波長分の乗算積を取り込む移動平均演算を行い、左右信号の受波器入力が同相時に最大となる移動平均出力の極大値を求める。極大値検出は、信号の脈動を抑えるため、数回分の加算平均値を取って平準化し、平準化された時系列信号を前後信号間で比較して、その結果の正負を移動体の修正方位信号として、移動体の操舵制御機構により、左右受信信号の位相を制御する帰還制御ループとして構成し、極大値保持により左右受信信号の同相点を検出保持し、左右各送受波器と音波標識を等距離に制御して、移動体を目標方位に誘導する処理方式とする。ただしこの処理は方位の計測精度は高いが、特に始動時に位相ズレによる誤操作の危険を伴うため、請求項3による2重形の計測システムとして、確実な計測を図るシステムとする。
【請求項2】
想定する移動体の誘導路を中央に挟み、左右に固定配置した2台の音波標識(音源)を配置して、音波標識では移動体からの電波パルスの受信に応じて、音波パルス及びそれに続く低周波信号を高周波の搬送波で周波数変調し、この搬送波を同時に左右送波器から低周波信号の位相を合わせて発信する。移動体ではこの両信号を一台の受波器で受信し、この周波数変調波を復調し低周波パスフィルタを経て、受信時に加算された左右送波器信号の加算低周波信号を複数波長取りだし、更にこの信号の2乗波を作り、受信低周波信号の1/2波長ないし数波長を取り込む移動平均演算を、2乗波について行い、この出力の極大値検出により、左右低周波信号が同相で加算され、且つ移動体から左右音波標識に等距離となる運航進路を検出する。移動平均出力の極大値は、信号の脈動を抑えるため、数回分の加算平均を取って平準化し、その時系列信号の前後信号間で比較して、結果の正負により移動体の運航進路を変更して位相制御する帰還制御ループを構成して行う移動体の誘導運航方式とする。ただし、移動体が誘導運航路の近辺に存在しない場合の制御は波長ズレなどにより誤操作を伴う。このため請求項3により、音波標識を正面に見る地点まで誘導後、本項の方位制御による帰還ループの制御を主とした誘導運航とする。
【請求項3】
移動体からの電波パルスの発信に応じて、音波標識が音波パルスを発信するシステムついて、移動体には、進路方向に直交し、左右に離して配置した2台の受波器を設定する。音波標識から発信される音波パルスを、移動体の左右両受波器で受信し、帯域パスフィルタ―を置いて低周波信号を除去し、左右受信CHの受信音波パルスをトリガーとして、デジタル短パルス回路により短パルスを立ち上げ、この短パルスを、通常は遅延量0に設定した左右遅延量回路を経て、左右パルス着信時間差回路で左右短パルスの着信順位及び左右パルスの着信時間差を検出する。音波標識(音源)が移動体進路正面の場合は、短パルスは左右受波器に同着で時間差0となる。この状態で移動体の電波パルスの発信と音波パルス着信時間差を音波伝搬時間計測により変換し、距離カウンターによって距離を算出する。音波標識(音源)の方位が移動体の進路方位から外れた場合は、左右デジタル短パルは、左右パルス着信時間差回路では、外れた方位で短パルスが先着となり、左右パルスの着信時間差が計測される。移動体進路から外れた方位に音源が存在する場合は、左右時間差回路には,遅れた方位の着信時間差が検出される。この時間差を遅延量設定制御により、左又は右の遅延量回路の遅延量として設定すると、移動体から音源方位がズレた状態で左右受信CHの出力が着信時間差回路出力で同着となり、音源方位、距離を計測出来る。音波標識の方位に移動体進路を修正する場合は、左右遅延量回路の遅延量は0のまま、左右遅延量設定制御から先着信号方位への操舵制御信号を送出する。移動体の操舵による方位旋回で、左右パルスの着信時間差出力は徐々削減され、着信時間差出力が0の時点で、移動体は音波標識の音源方位に正対し、方位、距離の計測ができる。
この機能の活用として、先行移動体に音波標識を配置し、後行移動体での電波パルスの送信と先行移動体の音波標識からの音波パルスの発信による距離計測は、距離カウンタのロックとこれを維持する移動体の速度制御、及び動体の進路方位の操舵制御による左右受信CHの短パルの同着保持制御により、先行、後行移動体の連結運航を実現するシステムを構築する。
更に、請求項2受信系の周波数変調の復調器までを共用し、音波パルを本項の高域パスフィルタに低周波音波を除去し、デジタル短パルス回路に接続すると、本項機能が請求項1、又は請求項2の機能と並列運用が可能となり、それぞれの欠点を補う2重形システムを構成する。この場合には本項の操舵信号と請求項1又は2の方位操舵信号の相互参照により監視警報を発信する効果的な航法運用システムを構築する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
主として、船舶、ドローンなどの移動体の運航が増大し輻輳しており、安全運航の確保と省力化の必要性が増大している。また船舶の衝突事故が多発している
【背景技術】
【0002】
移動体の目標地点への誘導は、GPSなど広域にわたる運航航路の設定が可能とされるが、目標地点への正確な誘導は、詳細なデータ入力と正確な運用操作が必要である。このシステムでは煩雑なデータ入力を必要とせず、目標地点に設置した音波標識により正確な移動体誘導操作を実現する。
また、多発する小型漁船等の大形船舶との衝突事故を縮減するため、漁船、遊漁船にも容易に装備して、利用できる移動体進路の傷害物の自動検出が重要となっており、本システムにより、これが可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特願2020-119548
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
(イ) 現在移動体の誘導運航を可能とする技術として、GPSが有力であるが、特定の地点に対応した航路、目標地点のへの移動体の厳密な誘導には、機材設定の情報入力に高度の知識が必要となる。
(ロ) 輻輳する移動体の安全運航のため、特定の地域では移動体の誘導運航航路の設定が必要。
(ハ) ドローンなどの着陸操作は、高度の技術が必要な上、所定の場所で自由移動して設定できることが必要。
(ニ) 複数航路の音波標識の設定、複数の移動体の輻輳地点では、発信信号の搬送波切り替えによる区分制御が必要
(ホ)船舶の霧中航海に使う霧笛と併用して、進路方向の船舶を検出して,警報を発信し、その相互方位距離を検出する。
(ニ) 搬送波の利用による利用区分化は重用であるが、高周波の数搬送波は振幅変調波は、減衰が大きく、近距離のから長距離の伝搬路では、ダイナミックレンジが広く利得調整回路などが必要で、且つ長距離では外来雑音に影響されやすい、そこで変調は信号レベルに影響されにくい周波数変調の利用とする。
信号の利用区分化のため重要となるが、高周波音波はこのため低周波信号の高周波数による周波数変調が有効となる。、
【課題を解決するための手段】
【0005】
電波パルスを発信する移動体と、これに応答する音波標識で構成する。音波標識は移動体からの電波パルスの受信と同時に、高周波音波を搬送波として音波パルス及びそれに続く低周波信号を周波数変調した音波信号を発信する。移動体には進行方向に直行し左右に離して2台の音波受波器を配置し、この搬送波を左右受波器で受信し周波数変調波を復調し低周波パスフィルタを経て、復調低周波信号の複数波長を取り出し、この左右複数波長の低周波音波信号は、A/D変換後左右受信出力を乗算して乗算積信号を作り、受信低周波の1/2波長ないし数波長分の乗算積を取り込む移動平均演算を行い、左右信号の受波器入力が同相時に最大となる移動平均出力の極大値を求める。極大値検出は、信号の脈動を抑えるため、数回分の加算平均値を取って平準化し、平準化された時系列信号を前後信号間で比較して、その結果の正負を移動体の修正方位信号として、移動体の操舵制御機構により、左右受信信号の位相を制御する帰還制御ループとして構成し、極大値保持により左右受信信号の同相点を検出保持し、左右各送受波器と音波標識を等距離に制御して、移動体を目標方位に誘導する処理方式とする。ただしこの処理は方位の計測精度は高いが、特に始動時に位相ズレによる誤操作の危険を伴うため、請求項3による2重形の計測システムとして、確実な計測を図るシステムとする。

【0006】
想定する移動体の誘導路を中央に挟み、左右に固定配置した2台の音波標識(音源)を配置して、音波標識では移動体からの電波パルスの受信に応じて、音波パルス及びそれに続く低周波信号を高周波の搬送波で周波数変調し、この搬送波を同時に左右送波器から低周波信号の位相を合わせて発信する。移動体ではこの両信号を一台の受波器で受信し、この周波数変調波を復調し低周波パスフィルタを経て、受信時に加算された左右送波器信号の加算低周波信号を複数波長取りだし、更にこの信号の2乗波を作り、受信低周波信号の1/2波長ないし数波長を取り込む移動平均演算を、2乗波について行い、この出力の極大値検出により、左右低周波信号が同相で加算され、且つ移動体から左右音波標識に等距離となる運航進路を検出する。移動平均出力の極大値は、信号の脈動を抑えるため、数回分の加算平均を取って平準化し、その時系列信号の前後信号間で比較して、結果の正負により移動体の運航進路を変更して位相制御する帰還制御ループを構成して行う移動体の誘導運航方式とする。ただし、移動体が誘導運航路の近辺に存在しない場合の制御は波長ズレなどにより誤操作を伴う。このため請求項3により、音波標識を正面に見る地点まで誘導後、本項の方位制御による帰還ループの制御を主とした誘導運航とする。
【0007】
移動体からの電波パルスの発信に応じて、音波標識が音波パルスを発信するシステムついて、移動体には、進路方向に直交し、左右に離して配置した2台の受波器を設定する。音波標識から発信される音波パルスを、移動体の左右両受波器で受信し、帯域パスフィルタ―を置いて低周波信号を除去し、左右受信CHの受信音波パルスをトリガーとして、デジタル短パルス回路により短パルスを立ち上げ、この短パルスを、通常は遅延量0に設定した左右遅延量回路を経て、左右パルス着信時間差回路で左右短パルスの着信順位及び左右パルスの着信時間差を検出する。音波標識(音源)が移動体進路正面の場合は、短パルスは左右受波器に同着で時間差0となる。この状態で移動体の電波パルスの発信と音波パルス着信時間差を音波伝搬時間計測により変換し、距離カウンターによって距離を算出する。音波標識(音源)の方位が移動体の進路方位から外れた場合は、左右デジタル短パルは、左右パルス着信時間差回路では、外れた方位で短パルスが先着となり、左右パルスの着信時間差が計測される。移動体進路から外れた方位に音源が存在する場合は、左右時間差回路には,遅れた方位の着信時間差が検出される。この時間差を遅延量設定制御により、左又は右の遅延量回路の遅延量として設定すると、移動体から音源方位がズレた状態で左右受信CHの出力が着信時間差回路出力で同着となり、音源方位、距離を計測出来る。音波標識の方位に移動体進路を修正する場合は、左右遅延量回路の遅延量は0のまま、左右遅延量設定制御から先着信号方位への操舵制御信号を送出する。移動体の操舵による方位旋回で、左右パルスの着信時間差出力は徐々削減され、着信時間差出力が0の時点で、移動体は音波標識の音源方位に正対し、方位、距離の計測ができる。
更に、請求項2受信系の周波数変調の復調器までを共用し、音波パルを本項の高域パスフィルタに低周波音波を除去し、デジタル短パルス回路に接続すると、本項機能が請求項1、又は請求項2の機能と並列運用が可能となり、それぞれの欠点を補う2重形システムを構成する。この場合には本項の操舵信号と請求項1又は2の方位操舵信号の相互参照により監視警報を発信する効果的な航法運用システムを構築する。


この機能の活用として、先行移動体に音波標識を配置し、後行移動体での電波パルスの送信と先行移動体の音波標識からの音波パルスの発信による距離計測は、距離カウンタのロックとこれを維持する移動体の速度制御、及び動体の進路方位の操舵制御による左右受信CHの短パルの同着保持制御により、先行、後行移動体の連結運航を実現するシステムを構築する。
更に、求項2受信系の周波数変調の復調器までを共用し、音波パルを本項の高域パスフィルタに低周波音波を除去し、デジタル短パルス回路に接続すると、本項機能が請求項1、又は請求項2の機能と並列運用が可能となり、それぞれの欠点を補う2重形システムを構成する。この場合には本項の操舵信号と請求項1又は2の方位操舵信号の相互参照により監視警報を発信する効果的な航法運用システムを構築する。
【発明の効果】
【0008】
(イ) ドローンなど小型の飛行体の広域にわたる無人誘導では、GPSなどによる誘導が有効とされるが、本発明は、目標地点での着陸誘導など、高度の設定制御は必要なく、GPSを補完する詳細位置制御により自動着地制御の可能性となる。
(ロ) 航路に沿って搬送周波数を変えた、複数の対の音響標識対の設定により狭い海峡の対航船舶などに対し、効果的な複数の誘導航路の設定支援ができる。
(ハ) 港湾などの入港船舶に対し音響標識による誘導で細かな入港支援ができる。
(二)移動体の運航に関し、目標への方位維持運航、誘導航路運航により作業効率と安全性確保に大きな効果が期待される。
(&#12793;) ドローンなど着地用音波標識は小型軽量で、着陸地点の設定機材などは持ち運びしての運用できる。
(へ)音波標識の利用により、2台の移動体の連結運航が可能となる。
(ト) 可聴音以上の高周波数数を搬送波として利用し、低周波音波を周波数変調して送信することで、システムの小型化と環境への影響が低減できる。
(ニ)海上においては搬送波の利用はせず、低周波信号は霧笛とも共用し、システムの小型化により小型船舶(漁船、客船)、大型船舶に搭載し、運航進路の障害物を自動検出し衝突等の海難事故を避ける。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】移動体の音波誘導の原理
図2】移動体の進路検出と誘導方式
図3】方位距離計測作動明細
図4】音波標識作動図
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に移動体の音波誘導の原理図を示す。
図1上段の方位検出制御部では、音響標識(音源)17から低周波音波を発信すると、音波波面は各方位に同一の伝搬速度で、円形の波面となり伝搬する。2台の受波器1,11をこの波面上に置いて、この低周波音波を受信すると、左右の受信信号の位相は同相となり、2台の受波器を結ぶ直線中央の直交線方位が音源方位16となる。従って、移動体の左右に設置した受波器1,11の受信低周波音波の同相点を検出すると、移動体の音波標識(音源)17の方向への進路が確認できる。
図1下段の移動体誘導制御部では、誘導路を挟んで2台の音波標識(音源)17を設置し、両音波標識(音源)から同時に同相の低周波音波を発信し、移動体の受波器21で、左右音波標識からの音源音波の同相受信点を検出して運航することで、左右音波標識17に対し、等距離を取った移動体誘導進路60を運航できる。

図2は上記原理に基くシステム構成図である。
(イ)方位検出制御CH
本機能は図2の中段の方位検出制御CHで、移動体に配置された左右2台の受波器1、11は音波標識17からの高周波で周波数変調された音波パルスと数波長以上の低周信号を受信し、増幅器2,12で増幅後、周波数復調器3.13を経て、低周波パスフィルタ4,14,により搬送波を除去した、低周波信号を取り出しして、A/D変換器5,15により信号のデジタル化をする。デジタル化した左右信号は、左右信号乗算6で乗算する。この左右乗算信号は、乗算前の低周波信号の1/2長波ないし数波長分の出力を取り込む移動平均演算7を行う。移動平均演算7の出力の極大値を求めると、その極大値出力点が、受波器の受信信号の位相一致点となり、この出力の脈動を抑えて検出するため、連続的に出力される移動平均演算7の出力数回分を加算平均8によって平準化し、平準化された信号を、時系列信号比較9で、前後信号の正負を順次比較し、その結果を修正方位信号10として、移動体の操舵機構に送出し、移動体の方位制御により受波器の入力位相を変更する信号帰還ループを構成し、移動平均演算7の極大値7の極大値出力を保持して移動体の運航方位を保持する。
(ロ) 移動体誘導制御CH
本機能は図2の下段部に示し、想定する移動体の誘導路を中央に挟み、左右に固定配置した2台の音波標識(音源)17から、高周波を搬送波としで周波数変調した音波パルスと数波長以上の低周波音波信号を同一位相で同時に発信し、移動体ではこの両信号を1台の受波器21で受信し、増幅器22で増幅後、周波数復調器23を経て低周波パスフィルタ24により搬送波信号を除去し、左右音波標識(音源)17の低周波音波を、受波器21の受信時に、加算受信された加算信号として取りだし、これをA/D変換器25でデジタル信号に変換し、更に、この信号の2乗波を2乗波演算部26で作り、受信低周波信号の1/2波長ないし数波長を取り込む、移動平均演算27を、2乗波について行うと、この出力は左右の入力信号が同相で加算されたとき極大となる。この極大出力点を得るため、加算出力の数回分の加算平均28により出力の脈動を抑え、平準化して出力され信号の前後信号間で大小を時系列信号比較29により比較し、結果の正負で、移動体の修正方位信号30の出力として方位制御機構に送り、移動体の進路変更により受波器21の入力信号の位相が制御される帰還ループを構成し、移動平均演算出力28の極大値を検出保持して、これの継続的な操舵保持による移動体の誘導運航方式となる

(ハ)音波伝搬時間による方位距離検出CH
移動体からの電波パルスの発信に応じて、音波標識が、音波パルスと数波長以上の低周波信号で周波数変調した高周波音波の搬送波を発信するシステムついて、移動体には、進路方向に直交し、左右に離して配置した2台の受波器を設定する。音波標識から発信された周波数変調された搬送波信号を復調し、左右に帯域パスフィルタ31,34により、低周波音波を除去し、音波パルスを取りだし、これをトリガーとして、デジタル短パルス回路32,35にで短パルスを立ち上げ、この短パルスを、通常は遅延量0に設定されている左右遅延量回路33,36を経て、左右パルス着信時間差回路37で左右短パルスの着信順位及び左右パルス時間差を検出する。音波標識(音源)が移動体正面の場合は、短パルスは左右受波器1,11に同着で時間差0となる、この状態で移動体の電波パルスの発信と音波パルス受信時間差を音波伝搬時間計測41によって計測し、距離カウンター42によって距離を算出する。音波標識(音源)の方位が移動体の進路方位から外れた場合は、左右デジタル短パルは、左右パルス時間差計測37では外れた方位の短パルスが先着となり、その時間差が計測される。この移動体進路から外れた音波方位を計測する場合は、左右遅延量設定制御38により、左又は右の外れた方位の遅延量回路33又は36の遅延量として、この時間差を設定し、左右パル同着として外れた方位の音源の方位距離を計測できる。音波標識の方位に移動体進路を修正する場合は、左右遅延量回路33、36の遅延量は0のまま、左右遅延量設定制御38により修正操舵方位信号39の出力として先着信号方位へ修正操舵信号を送出する。移動体の操舵による方位旋回で、左右パルスの着信時間差37の時間差出力は徐々削減され、時間差出力が0の時点で、移動体は音波標識の音源方位に正対し、距離方位の精測ができる。
この機能の活用として、先行移動体に音波標識を配置し、後行移動体での電波パルスの送信に応じて、先行移動体の音波標識から発信される音波パルスの受信により距離カウンタ42での措定の距離計測と、距離ロック・速度修正43による距離ロックで、この距離を基準に後行移動体の速度制御を行い、同時に移動体の進路操作による左右短パルスの同着を保持して先行、後行移動体の連結運航を実現するシステムを構築する。
更に、請求項1、2ともに請求項1の左右受波器出力を共用して、左右受波器の出力を、本項の高域パスフィルタを通してデジタル短パルス回路に接続すると、本項機能が請求項1、又は請求項2の機能と並列運用が可能となり、それぞれの欠点を補う2重形システムを構成する。この場合には本項の操舵信号と請求項1又は2の方位操舵信号の相互参照により監視警報を発信する効果的な航法運用システムを構築する。
また、使用搬送波の切り替えにより、同一地域での複数の移動体での活用が可能となる
図3に方位距離計測に関しての作動明細を示す。ここでは電波パルスの発信と音波パルスの終了を制御するフリップフロップ45による距離計測と先着音波パルスと後着音波パルスで制御されるフリップフロップ47よる方位着信時間差計測の作動が中心となる。図3では電波パルスの入力により、フリップフロップ45の出力Qが1となりAND ゲート46が開き、システムクロックが距離カウンター42に送られ、距離カウンタ42により距離計測がされる。一方左右受波器の出力でデジタル短パルスとして処理された、左右短パルスは、フリップフロップ47のS及びRに接続され、先着パルスの入力により入力側のANDゲ^-ト48又は49が開き、電波パルスにより開いたシステムクロックが左又は右先着遅延カウンター50、51に遅延量として送られる。電波パルス、音波パルスの終了は後着短パルスと先着パルスの同着によるAND ゲート53によって終了するが、同着の時間延長のため、AND ゲート53入力の前に両パルスのパルス長拡大52を設定し、同着時間の幅を広げて、フリップフロップ45によるシステムリセットを容易とする。
また、このシステムは船舶の霧笛と連携することにより、船舶の運航保安に大変有効なシステムとしても利用できる。対象の移動体を本項の音波標識相当の機能を持たせ霧笛音波をの発信時に音波パルスを入れて、数周波長以上の低周波音波を霧笛相当としいて、上記システムに適用して、移動体航路以外の検出目標に対して、目標方位、距離をロックして運行することで、危険を回避した安全運航ができる。
(二)音波標識
図3に音波標識の構成図を示す。音波標識は移動体からの電波パルスの受信入力に応じて、電波パルス受信部54で増幅し、信号コード解析55で搬送波周波数、音波パルス、低周波信号の発信の間隔などを信号コード解析55により解析し、その結果により必要な搬送波周波数、音波パルス及び連続する低周波信号を発信信号生成部56で生成し、生成された搬送波信号により、音波パルス及び低周波信号を周波数変調部58で周波数変調して、発信制御部57で発信間隔を制御して、送波器59から音波信号として発信する。

【符号の説明】
【0011】
1 受波器
2 増幅器
3 周波数変調器
4 低周波パスフィルタ
5 A/D変換器
6 左右信号乗算
7 移動平均演算
8 加算平均
9 時系列信号比較
10 修正方位信号
11 受波器
12増幅器
13 周波数変調器
14 低周波パスフィルタ
15 A/D変換器
16 音源方位
17 音波標識(音源)
18 音波伝搬距離
19 音波波動面
20 移動体誘導進路
21 受波器
2 2 増幅器
23 周波数変調器
24 低周波パスフィルタ
25 A/D変換器
26 2乗演算
27 移動平均演算
28 加算平均
29 時系列信号比較
30 修正方位信号
31 帯域パスフィルタ
32 デジタル短パルス
33 右遅延回路
34 帯域パスフィルタ
35デジタル短パルス
36 左遅延量回路
37 着信時間差回路
38左右遅延量設定制御
39修正操舵方位信号
40 方位機能選択と作動監視警告
41 音波伝搬時間計測
42 距離カウンタ
43 距離ロック・速度修正
44 コード化電波
45フリップフロップ距離計測
46 ANDゲート距離カウント
47フリップフロップ遅延計測
48 AND ゲート遅延カウント
49 AND ゲート遅延カウント
50左先発遅延カウンタ
51 右先発遅延カウンタ¥
52 パルス長拡大
53 ANDゲートパルス長拡大
54電波パルス受信部
55 信号コード解析
56 発信信号生成部
57 発信制御部
58周波数変調器
59音波送波器
60動体誘導進路

図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-04-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波パルスを発信する移動体と、これに応答する音波標識(音源)で構成する。音波標識は移動体からの電波パルスの受信と同時に、数波長以上の低周波音波を、高周波音波を搬送波として周波数変調波として発信する。移動体には中心線に直交して左右に離した2台の音波受波器を配置し、この搬送波信号を左右受波器でそれぞれ受信し、周波数変調波を復調して低周波音波信号を取りだし、これをA/D変換後、左右受信低周波信号の出力を乗算して乗算積信号を作り、受信低周波の1/2波長ないし数波長分の乗算積を取り込む移動平均演算を行う。移動平均出力は左右低周波信号が同相時に極大なり、その点で左右受波器の直交線方位が音源方位となる。移動平均出力は、信号の脈動を抑えるため、数回分の加算平均値を取って平準化し、平準化された時系列信号を前後信号間で比較して、その結果の正負を移動体の修正方位信号として、移動体の操舵制御機構により、左右受信信号の位相を制御する帰還制御ループを構成し、極大値保持により左右受信信号の同相点を検出保持する。この状態が左右各送受波器と音波標識を等距離に制御して、移動体を目標方位に誘導する処理方式。ただしこの処理は方位の計測精度は高いが、特に始動時に位相ズレによる誤操作の危険を伴うため、請求項3による2重形の計測システムとして、確実な計測を図るシステムとする。
【請求項2】
想定する移動体の誘導進を中央に挟み、左右に固定配置した2台の音波標識(音源)を配置して、音波標識では移動体からの電波パルスの受信に応じて、低周波信号を高周波の搬送波で周波数変調し、左右音波標識の送波器から低周波信号の位相を合わせて同時同相で発信する。移動体ではこの両信号を一台の受波器で受信し、この周波数変調波を、復調して受信時に左右信号が加算された
低周波音波信号を取りだし、これをA/D変換後、加算低周波信号の2乗波を作り、信低周波信号の1/2波長ないし数波長を取り込む、移動平均演算を、2乗波について行い、出力の極大値検出により、左右受信信号が同相で加算され、移動体から左右音波標識に等距離となる運航進路を検出する。移動平均出力の極大値は、信号の脈動を抑えるため、数回分の加算平均を取って平準化し、その時系列信号の前後信号間で比較して、結果の正負により移動体の運航進路を変更する位相制御により帰還制御ループを構成して行う移動体の誘導運航方式とする。ただし、移動体が誘導運航路の近辺に存在しない場合の制御は波長ズレなどにより誤操作を伴う。このため請求項3により、音波標識を正面に見る地点まで誘導後、本項の方位制御による帰還ループの制御を主とした誘導運航とする。
【請求項3】
移動体からの電波パルスの発信に応じて、音波標識がら搬送波と同一高周波数の音波パルスを搬送波から数ミリ秒先行して発信する。移動体には、中心線方向に直交し、左右に離して配置した2台の受波器を設定する。音波標識(音源)から発信される音波パルスは、移動体の左右両受波器で受信し、帯域パスフィルタ―を経て音波パルス信号の立ち上がりを、トリガーとして、デジタル短パルス回路で短パルスを立ち上げる。この短パルスを、通常は遅延量0に設定した左右遅延量回路を経て、左右パルス時間差計測で左右受波器の短パルスの着信順位及び短パルス時間差を検出する。音波標識(音源)が移動体正面の場合は、短パルスは左右受波器に同着で時間差0となる。この状態で移動体の電波パルスの発信と音波パルス受信時間差を音波伝搬時間計測によって計測し、距離カウンターによって距離を算出する。移動体の進路方位の外に音源がある場合は、左右受波器による短パルスの着信順位及び着信時間に差が生じる。この着信時間差と先着パルス方位を検出して、その時間差を左右遅延量設定制御により遅延量として、左又は右の先着方位の遅延量回路に設定して、左右パルス着信時間差を0とすれば、音源の方位、距離を計測できる。
音波標識の方位に移動体進路を修正する場合は、左右遅延量回路の遅延量は0のまま、左右遅延量設定制御から先着信号方位への操舵信号を送出する。移動体の操舵による方位旋回で、左右パルス時間差計測の時間差出力は徐々削減され、時間差出力が0の時点で、移動体は音波標識の音源方位に正対する。
本請求項は、請求項2の左右受波器出力と共用でき、左右受波器の出力を、本請求項の方位検出機能は請求項1、又は2の方位検出機能と並列運用が可能で、それぞれの欠点を補う2重形システムを構成できる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体からの電波パルスによって1台の音波標識を起動して音波信号を発信させ、この信号を移動体の中心線と直交して配置した左右2台の受波器で受信し、受信信号の左右同相点受信点を検出により音波標識(音源)の方位を確認して運航進路とする。これと逆に運航航路を挟み2台の音波標識を設置し、移動体からの電波パルスにより、この2台の標識から音波信号を同時同相発信させ。移動体は同相受信点を検出して、、誘導運航航路とするものである。
更に 電波パルス発信後、音波標識の発信する音波パルスの受信までの時間差から音波標識までの距離を算出した上、移動体の左右に設けた受波器の音波信号の受信時間差から音源方位を検出して音源方位の2重検知により、方位測定の精度を上げ、この方位測定と測距離計測を併せて移動体のの安全運航をも実現とするものである。
【背景技術】
【0002】
船舶の運航時、周囲環境の監視はレーダーが主体となるが、狭い海峡、港湾での入出港時には目視と経験が重要となる。ドローンの飛行誘導路の設定は、GPSでの設定となるが、誘導航路の設定は高度の技術を要し特定ポイント着地は人の目視操作が必要となる。また音波の利用による自動車を含む各種移動体の連結運航に関しては、各種の試みはされているが実用化には至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2021-025925
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
(イ) 船舶の海峡、港湾の入出港には2航路が必要な場合が多く、海図が基本で、レーダー、GPS測深義、など多くの電子機器が利用されるが、各機材に捜査員が必要となり、総合判断は船長の責任で、負担が大きい。
(ロ) 港湾近辺、入港前後の海域は輻輳する船舶は規則に沿っての安全運航が必要で、特定の港湾では移動体の厳密な誘導運航航路の設定が必要となる。
(ハ) ドローンなどの運航はGPSが有力であるが、障害物を回避しての特定運航航路の設定、着地ポイントの厳密設定乃至は微細な変更調整には高度の技術を要する。
(ニ) 大小各種の船舶が航行する海域では、目視、又はレーダーが有効であるが、目視は濃霧発生時には無効となり、レーダーも木造船など確認できない場合がある。
(ホ) 大型船舶の航路付近では浅瀬、障害物地点への音波標識を設置し、警報を発して誤っての危険水域への接近を避ける必要がある。
(ヘ) 自動車等で音波ソーナーによる離隔距離を測定しによる衝突予防が実用化されているが、少し距離を離すと音波の減衰、及び先行車両以外からの反射波に阻害され、連結運航の試みもあるが実用化は出来ていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
電波パルスを発信する移動体と、これに応答する音波標識(音源)で構成する。音波標識は移動体からの電波パルスの受信と同時に、数波長以上の低周波音波を、高周波音波を搬送波として周波数変調波として発信する。移動体には中心線に直交して左右に離した2台の音波受波器を配置し、この搬送波信号を左右受波器でそれぞれ受信し、周波数変調波を復調して低周波音波信号を取りだし、これをA/D変換後、左右受信低周波信号の出力を乗算して乗算積信号を作り、受信低周波の1/2波長ないし数波長分の乗算積を取り込む移動平均演算を行う。移動平均出力は左右低周波信号が同相時に極大なり、その点で左右受波器の直交線方位が音源方位となる。移動平均出力は、信号の脈動を抑えるため、数回分の加算平均値を取って平準化し、平準化された時系列信号を前後信号間で比較して、その結果の正負を移動体の修正方位信号として、移動体の操舵制御機構により、左右受信信号の位相を制御する帰還制御ループを構成し、極大値保持により左右受信信号の同相点を検出保持する。この状態が左右各送受波器と音波標識を等距離に制御して、移動体を目標方位に誘導する処理方式。ただしこの処理は方位の計測精度は高いが、特に始動時に位相ズレによる誤操作の危険を伴うため、請求項3による2重形の計測システムとして、確実な計測を図るシステムとする。
だしこの処理は方位の計測精度は高いが、特に始動時に位相ズレによる誤操作の危険を伴うため、請求項3による2重系の方位計測とした上、全船舶に音波標識を搭載することで、船舶の輻輳海域での航行時、船首方向の障害物、航行する他船舶を検出し、警報を発し回避できる外、濃霧時で目視、レーダーの効かない木造船舶等の検出にも有効となる。また、ドローン運航航路に関し、航路に沿って音波標識を配備することで、安全な運航航路の設定ができ、方位検出精度が高く着陸誘導にも有効である。なお、濃霧時を除くけば、移動体にる電波パルスによる、音波標識の音波発信の呼び出しは、光パルスとすればより簡易なシステムとしても構成成できる。
【0006】
想定する移動体の誘導進を中央に挟み、左右に固定配置した2台の音波標識(音源)を配置して、音波標識では移動体からの電波パルスの受信に応じて、低周波信号を高周波の搬送波で周波数変調し、左右音波標識の送波器から低周波信号の位相を合わせて同時同相で発信する。移動体ではこの両信号を一台の受波器で受信し、この周波数変調波を、復調して受信時に左右信号が加算された
低周波音波信号を取りだし、これをA/D変換後、加算低周波信号の2乗波を作り、信低周波信号の1/2波長ないし数波長を取り込む、移動平均演算を、2乗波について行い、出力の極大値検出により、左右受信信号が同相で加算され、移動体から左右音波標識に等距離となる運航進路を検出する。移動平均出力の極大値は、信号の脈動を抑えるため、数回分の加算平均を取って平準化し、その時系列信号の前後信号間で比較して、結果の正負により移動体の運航進路を変更する位相制御により帰還制御ループを構成して行う移動体の誘導運航方式とする。ただし、移動体が誘導運航路の近辺に存在しない場合の制御は波長ズレなどにより誤操作を伴う。このため請求項3により、音波標識を正面に見る地点まで誘導後、本項の方位制御による帰還ループの制御を主とした誘導運航とする。

本方位検出方式は、航路設定の精度が高く、艦船の海峡、搬送周波数の切り替えにより、2航路の誘導航路の設定が出来る。また、航路周辺の浅海域、害物地点に、音波標識の設置によ危険警報標識標識としても利用出来る。

【0007】
移動体からの電波パルスの発信に応じて、音波標識がら搬送波と同一高周波数の音波パルスを搬送波から数ミリ秒先行して発信する。移動体には、中心線方向に直交し、左右に離して配置した2台の受波器を設定する。音波標識(音源)から発信される音波パルスは、移動体の左右両受波器で受信し、帯域パスフィルタ―を経て音波パルス信号の立ち上がりを、トリガーとして、デジタル短パルス回路で短パルスを立ち上げる。この短パルスを、通常は遅延量0に設定した左右遅延量回路を経て、左右パルス時間差計測で左右受波器の短パルスの着信順位及び短パルス時間差を検出する。音波標識(音源)が移動体正面の場合は、短パルスは左右受波器に同着で時間差0となる。この状態で移動体の電波パルスの発信と音波パルス受信時間差を音波伝搬時間計測によって計測し、距離カウンターによって距離を算出する。移動体の進路方位の外に音源がある場合は、左右受波器による短パルスの着信順位及び着信時間に差が生じる。この着信時間差と先着パルス方位を検出して、その時間差を左右遅延量設定制御により遅延量として、左又は右の先着方位の遅延量回路に設定して、左右パルス着信時間差を0とすれば、音源の方位、距離を計測できる。
音波標識の方位に移動体進路を修正する場合は、左右遅延量回路の遅延量は0のまま、左右遅延量設定制御から先着信号方位への操舵信号を送出する。移動体の操舵による方位旋回で、左右パルス時間差計測の時間差出力は徐々削減され、時間差出力が0の時点で、移動体は音波標識の音源方位に正対する。
この機能の活用として、先行後行移動体に音波標識を配置し、後行移動体の電波パルスの送信と、先行移動体の音波標識からの音波パルスの発信による距離計測に関し、後行移動体の距離カウンターのロックと速度補正により先行、後行移動体を一定離隔距離に保持し、併せて後航行移動体の進路方位を操舵により左右受波器の低周波音信号の同着同相点に制御保持により、先行、後行移動体の連結運航を実現するシステムを構築できる。。
また、本請求項は音波標識からの応信信号の発信に関し、音波パルスと、低周波で変調された搬送波送信の間に左右受波器間の音波伝搬時間相当の休止時間を入れることにより、請求項2の左右受波器出力が、本請求項3の受信出力として共用でき、左右受波器の出力を、本項機能が請求項1、又は請求項2の機能と並列運用が可能となる。、それぞれの欠点を補う2重形システムを構成できる。
【発明の効果】
【0008】
(イ)ドローンなどの小型の飛行体の広域にわたる無人誘導には、GPSなどによる誘導が有効的とされるが、本発明は、目標地点での着地誘導など、高度の設定制御は必要なく、詳細位置制御により自動着地が可能性もある。
(ロ) 航路に沿って搬送周波数を変えた、複数対の音波標識の設置により狭い海域の対向船舶などに対し、効果的な複数の誘導航路の設定支援が出来る。
(ハ) 港湾などの入港船舶に対し音波標識による誘導で細かな入港支援ができる。
(ニ) 移動体の運航に関し、目標への方位維持運航、誘導路運航により作業効率と安全確保に
大きな効率が期待できる。
(ホ) ドローンなどなど着地用音波標識は小型軽量で、着地点の設定などは持ち運びしての運用ができる。
(ヘ) 音波標識の利用により、2台の移動体の連結運航が可能となる・
(ト) 可聴音以上の高周波を搬送波として利用し、低周波音波を周波数変調して送信することによりシステムの小型化と環境への影響の低減ができる。
(チ) 船舶の航路近辺の浅瀬、岩礁とうの障害物地点に警報発信の音響標的として設置しその位置を知らせることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】移動体の音波誘導の原理
図2移動体の進路検出と誘導方式
図3方位距離計測作動明細
図4】音波標識作動図
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に移動体の音波誘導の原理図を示す。
図1上段の方位検出制御部では、音響標識(音源)17から低周波音波を発信すると、音波波面は各方位に同一の伝搬速度で、円形の波面となり伝搬する。2台の受波器1,11をこの波面上に置いて、この低周波音波を受信すると、左右の受信信号の位相は同相となり、2台の受波器を結ぶ直線中央の直交線方位が音源方位16となる。従って、移動体の左右に設置した受波器1,11の受信低周波音波の同相点を検出すると、移動体の音波標識(音源)17の方向への進路が確認できる。
図1下段の移動体誘導制御部では、誘導路を挟んで2台の音波標識(音源)17を設置し、両音波標識(音源)から同時に同相の低周波音波を発信し、移動体の受波器21で、左右音波標識からの音源音波の同相受信点を検出して運航することで、左右音波標識17に対し、等距離を取った移動体誘導進路60を運航できる。

図2は上記原理に基くシステム構成図である。
(イ)目標方位検出制御CH
本機能は図2の中段の方位検出制御CHで、移動体に配置された左右2台の受波器1、11は音波標識17からの高周波を搬送波として低周波信号で周波数変調された搬送波音波を受信し、増幅器2,12で増幅後、周波数復調器3.13及び、低域パスフィルタ4,14,により高周波音波信号を除去した、低周波信号を取り出しして、A/D変換器5,15により信号のデジタル化をする。デジタル化した左右信号は、左右信号乗算6で乗算する。この左右乗算信号は、乗算前の低周波信号の1/2長波ないし数波長分の出力を取り込む移動平均演算7を行う。移動平均演算7の出力の極大値を求めると、その極大値出力点が、受波器の受信信号の位相一致点となり、この出力の脈動を抑えて検出するため、連続的に出力される移動平均演算7の出力数回分を加算平均8によって平準化し、平準化された信号を、時系列信号比較9で、前後信号の正負を順次比較し、その結果を修正方位信号10として、移動体の操舵機構に送出し、移動体の方位制御により受波器の入力位相を変更する信号帰還ループを構成し、動平均演算7の極大値7出力を保持して移動体の運航方位を運航保持する。
(ロ) 移動体誘導制御CH
本機能は図2の下段部に示し、想定する移動体の誘導路を中央に挟み、左右に固定配置した2台の音波標識(音源)17から、高周波を搬送波として周波数変調された搬送波中の低周波信号を同一位相で同時に発信し、移動体ではこの両信号を1台の受波器21で受信し、増幅器22で増幅後、周波数復調器23及び低域パスフィルタ24により搬送波信号を除去し、受波器21の受信時に、加算受信された左右の復調低周波信号を、加算信号として取りだし、これをA/D変換器25でデジタル信号に変換し、更に、この信号の2乗波を2乗波演算部26で作り、受信低周波信号の1/2波長ないし数波長を取り込む、移動平均演算27を、2乗波について行うと、この出力は左右の入力信号が同相で加算されたとき極大となる。この極大出力点を得るため、加算出力の数回分の加算平均28により出力の脈動を抑え、平準化して出力され信号の前後信号間で大小を時系列信号比較29により比較し、結果の正負で、移動体の修正方位信号30の出力として方位制御機構に送り、移動体の進路変更により受波器21の入力信号の位相が制御される帰還ループを構成し、移動平均演算出力28の極大値を検出保持して、これの継続的な操舵保持による移動体の誘導運航方式となる

(ハ)距離計測方位計測制御CH
本機能は図2の上段の距離計測方位制御CHで、移動体の中心線の左右に離して配置した2台の受波器1,11配置及び増幅器2,12を(イ)と共用し、搬送波に先行する受信音波パルスを帯域パスフィルタ31,32により不要信号を除去し、この左右受信音波パルスをトリガーとして、デジタル短パルス回路32,35により短パルスを立ち上げ、この短パルスを、通常は遅延量0に設定されている左右遅延量回路33,36を経て、左右パルス着信時間差回路37で左右短パルスの着信順位及び左右パルスの時間差検出をする。音波標識(音源)が移動体正面の場合は、短パルスは左右受波器1,11に同着で時間差0となる、この状態で移動体の電波パルスの発信と音波パルス受信時間差を音波伝搬時間計測41によって計測し、距離カウンター42によって距離を算出する。音波標識(音源)の方位が移動体の進路方位から外れた場合は、左右デジタル短パルは、左右パルス時間差計測37では外れた方位の短パルスが先着となり、その時間差が計測される。この移動体進路から外れた音波方位を計測する場合は、左右遅延量設定制御38により、左又は右の外れた方位の遅延量回路33又は36の遅延量として、この時間差を設定し、左右パル同着として外れた方位の音源の方位距離を計測できる。音波標識の方位に移動体進路を修正する場合は、左右遅延量回路33、36の遅延量は0のまま、左右遅延量設定制御38により修正操舵方位信号39の出力として先着信号方位へ修正操舵信号を送出する。移動体の操舵による方位旋回で、左右パルスの着信時間差37の時間差出力は徐々に削減され、時間差出力が0の時点で、移動体は音波標識の音源方位に正対する。
本請求項3は、請求項2の左右受波器出力を共用でき、左右受波器の出力を、本項の帯域パスフィルタに通してデジタル短パルス回路に接続すると、本項機能が請求項1、又は請求項2の機能と並列運用が可能で、それぞれの欠点を補う2重形システムを構成し、合わせて本項の操舵信号と請求項1又は2の方位操舵信号の相互参照による監視警報を発信する効果的な航法運用システムも構築出来る。

図3に方位距離計測に関しての作動明細を示す。ここでは電波パルスの発信と音波パルスの終了を制御するフリップフロップ45による距離計測と先着音波パルスと後着音波パルスで制御されるフリップフロップ47よる方位計測の作動が中心となる。図3では電波パルスの入力により、フリップフロップ45の出力Qが1となりAND ゲート46が開き、システムクロックが距離カウンター42に送られ、距離カウンタ42により距離計測がされる。一方左右受波器の出力でデジタル短パルスとして処理された、左右短パルスは、フリップフロップ47のS及びRに接続され、先着パルスの入力により入力側のANDゲ^-ト48又は49が開き、電波パルスにより開いたシステムクロックが左又は右先着遅延カウンター50、51に遅延量として送られる。電波パルス、音波パルスの終了は後着短パルスと先着パルスの同着によるAND ゲート53によって終了するが、同着の時間延長のため、AND ゲート53入力の前に両パルスのパルス長拡大52を設定し、同着時間の幅を広げて、フリップフロップ45によるシステムリセットを容易とする。
(二)音波標識
図3に音波標識の構成図を示す。音波標識は移動体よりの電波パルスの入力により電波パルスを受信部54で受信増幅し、信号コード解析部55で搬送波周波数、音波パルス、低周波信号の発信の順序と組み合わせなど電波コードの解析で指定された信号を発信信号生成56により生成し、低周波信号を生成し、この信号を発信制御部57の搬送波により、周波数変調部58で変調して、送波器器59から発信する。
【符号の説明】
【0011】
1 受波器
2 増幅器
3 周波数変調器
4 低域パスフィルタ
5 A/D変換器
6 左右信号乗算
7 移動平均演算
8 加算平均
9 時系列信号比較
10 修正方位信号
11 受波器
12増幅器
13 周波数変調器
14 低域パスフィルタ
15 A/D変換器
16 音源方位
17 音波標識(音源)
18 音波伝搬距離
19 音波波動面
20 移動体誘導進路
21 受波器
2 2 増幅器
23 周波数変調器
24 低域パスフィルタ
25 A/D変換器
26 2乗演算
27 移動平均演算
28 加算平均
29 時系列信号比較
30 修正方位信号
31 帯域パスフィルタ
32 デジタル短パルス
33 右遅延回路
34 帯域パスフィルタ
35デジタル短パルス
36 左遅延量回路
37 着信時間差回路
38左右遅延量設定制御
39修正操舵方位信号
40 方位機能選択と作動監視警告
41 音波伝搬時間計測
42 距離カウンタ
43 距離ロック・速度修正
44 コード化電波
45フリップフロップ距離計測
46 ANDゲート距離カウント
47フリップフロップ遅延計測
48 AND ゲート遅延カウンタ
49 AND ゲート遅延カウンタ
50左先発遅延カウンタ¥
51 右先発遅延カウンタ¥
52 パルス長拡大
53 ANDゲートパルス長拡大
54電波パルス受信部
55 信号コード解析
56 発信信号生成部
57 発信制御部
58周波数変調部
59音波送波器
60動体誘導進路


【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2
【手続補正書】
【提出日】2021-05-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波パルスを発信する移動体と、これに応答する音波標識(音源)で構成する。音波標識は移動体からの電波パルスの受信と同時に、高周波音波を数波長以上の低周波音波で周波数変調波した搬送波音波と、搬送波から数ミリ秒先行する高周波音波パルスを発信する。移動体には進路方向中心線に直交して左右に離した2台の音波受波器を配置し、この搬送波信号を左右受波器でそれぞれ受信し、周波数変調波を復調して低周波音波信号を取りだし、これをA/D変換後、左右受信低周波信号の出力を乗算して乗算積信号を作り、受信低周波の1/2波長ないし数波長分の乗算積を取り込む移動平均演算を行う。移動平均出力は左右低周波信号が同相時に極大なり、その点で左右受波器の直交線方位が音源方位となる。移動平均出力は、信号の脈動を抑えるため、数回分の加算平均値を取って平準化し、平準化された時系列信号を前後信号間で比較して、その結果の正負を移動体の修正方位信号として、移動体の操舵制御機構により、左右受信信号の位相を制御する帰還制御ループを構成し、極大値保持により左右受信信号の同相点を検出保持する。この状態で左右各送受波器と音波標識を等距離に制御して、移動体を目標方位に誘導する処理方式。ただし、音波標識が移動体の正面に存在しない場合は、本項の低周波音波の移動平均処理方式は、方位の計測精度は高いが、特に初動時に位相ズレによる誤操作の危険を伴う。このため請求項3の処理で、移動体の左右受波器の受信音波パルスが同着にとなる方位に移動体を初期誘導の上、本項の方位制御による帰還ループの制御方式と2重監視システムとする。
【請求項2】
想定する移動体の誘導進路を中央に挟み、左右に固定配置した2台の音波標識(音源)を配置して、音波標識では移動体からの電波パルスの受信に応じて、高周波音波を数波長以上の低周波音波で周波数変調波した搬送波音波と、搬送波音波から数ミリ秒先行する高周波音波パルスを、左右音波標識から低周波音波の位相を合わせて同時同相で発信する。移動体ではこの両信号を一台の受波器で受信し、この周波数変調波を、復調して受信時に左右信号が加算された低周波音波信号を取りだし、これをA/D変換後、加算低周波信号の2乗波を作り、受信低周波信号の1/2波長ないし数波長を取り込む、移動平均演算を、2乗波について行い、出力の極大値検出により、左右受信信号が同相で加算され、移動体から左右音波標識に等距離となる運航進路を検出する。移動平均出力の極大値は、信号の脈動を抑えるため、数回分の加算平均を取って平準化し、その時系列信号の前後信号間で比較して、結果の正負により移動体の運航進路を変更する位相制御により帰還制御ループを構成して行う移動体の誘導運航方式とする。
ただし、移動体が誘導運航路の近辺に存在しない場合は、波長ズレなどによる誤操作の危険を伴うため、受信増幅器出力の画像監視により、左右音波標識の高周波パルスの同着方位地点まで、移動体を初期誘導し、以後、低周波音波の移動平均処理での運航とし、併せて画像での音波パルスの同着点監視による2重系の方位検出誘導システムとする。
【請求項3】
移動体からの電波パルスの発信に応じて、音波標識がら高周波音波パルを発信する。移動体には、進路方向の中心線方向に直交し、左右に離して配置した2台の受波器を設定する。音波標識(音源)から発信される音波パルスは、移動体の左右両受波器で受信し、帯域パスフィルタ―を経て音波パルス信号の立ち上がりを、トリガーとして、デジタル短パルス回路で短パルスを立ち上げる。この短パルスを、通常は遅延量0に設定した左右遅延量回路を経て、左右パルス時間差計測で左右受波器の短パルスの着信順位及び着信時間差を検出する。音波標識(音源)が移動体正面の場合は、短パルスは左右受波器に同着で時間差0となる。この状態で移動体の電波パルスの発信と音波パルス受信時間差を音波伝搬時間計測によって計測し、距離カウンターによって距離を算出する。移動体の進路方位の外に音源がある場合は、左右受波器による短パルスの着信順位及び着信時間に差が生じる。この着信時間差と先着パルス方位を検出して、その時間差を左右遅延量設定制御により遅延量として、左又は右の先着方位の遅延量回路に設定して、左右パルス着信時間差を0とすれば、音源方位、距離を計測できる。
音波標識の方位に移動体進路を修正する場合は、左右遅延量回路の遅延量は0のまま、左右遅延量設定制御から先着信号方位への操舵信号を送出する。移動体の操舵による方位旋回で、左右パルス時間差計測の時間差出力は徐々削減され、時間差出力が0の時点で、移動体は音波標識の音源方位に正対する。本請求項は、請求項2の左右受波器出力と共用でき、左右受波器の出力を、本請求項の方位検出機能は請求項1、又は2の方位検出機能と並列運用が可能で、それぞれの欠点を補う
2重系の方位検出システムとする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
電波パルスを発信する移動体と、これに応答する音波標識(音源)で構成する。音波標識は移動体からの電波パルスの受信と同時に、高周波音波を数波長以上の低周波音波で周波数変調波した搬送波音波と、搬送波から数ミリ秒先行する高周波音波パルスを発信する。移動体には進路方向中心線に直交して左右に離した2台の音波受波器を配置し、この搬送波信号を左右受波器でそれぞれ受信し、周波数変調波を復調して低周波音波信号を取りだし、これをA/D変換後、左右受信低周波信号の出力を乗算して乗算積信号を作り、受信低周波の1/2波長ないし数波長分の乗算積を取り込む移動平均演算を行う。移動平均出力は左右低周波信号が同相時に極大なり、その点で左右受波器の直交線方位が音源方位となる。移動平均出力は、信号の脈動を抑えるため、数回分の加算平均値を取って平準化し、平準化された時系列信号を前後信号間で比較して、その結果の正負を移動体の修正方位信号として、移動体の操舵制御機構により、左右受信信号の位相を制御する帰還制御ループを構成し、極大値保持により左右受信信号の同相点を検出保持する。この状態で左右各送受波器と音波標識を等距離に制御して、移動体を目標方位に誘導する処理方式。ただし、音波標識が移動体の正面に存在しない場合は、本項の低周波音波の移動平均処理方式は、方位の計測精度は高いが、特に初動時に位相ズレによる誤操作の危険を伴う。このため請求項3の処理で、移動体の左右受波器の受信音波パルスが同着にとなる方位に移動体を初期誘導の上、本項の方位制御による帰還ループの制御方式と2重監視システムとする。
本衰ステムを、全船舶に音波標識を搭載することで、船舶の輻輳海域での航行時、船首方向の障害物、航行する他船舶を検出し、警報を発し回避できる外、濃霧時で目視、レーダーの効かない木造船舶等の検出にも有効となる。また、ドローン運航航路に関し、航路に沿って音波標識を配備することで、安全な運航航路の設定ができ、方位検出精度が高く着陸誘導にも有効である。
なお、濃霧時を除けば、移動体の電波パルスによる、音波標識の音波発信の呼び出しは、光パルスとすればより簡易なシステムとして構成もできる。また、航路周辺の浅海域,障害物地点への音波標識の設置により危険警報発信用の音波標識標識としても利用出来る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
想定する移動体の誘導進路を中央に挟み、左右に固定配置した2台の音波標識(音源)を配置して、音波標識では移動体からの電波パルスの受信に応じて、高周波音波を数波長以上の低周波音波で周波数変調波した搬送波音波と、搬送波音波から数ミリ秒先行する高周波音波パルスを、左右音波標識から低周波音波の位相を合わせて同時同相で発信する。移動体ではこの両信号を一台の受波器で受信し、この周波数変調波を、復調して受信時に左右信号が加算された低周波音波信号を取りだし、これをA/D変換後、加算低周波信号の2乗波を作り、受信低周波信号の1/2波長ないし数波長を取り込む、移動平均演算を、2乗波について行い、出力の極大値検出により、左右受信信号が同相で加算され、移動体から左右音波標識に等距離となる運航進路を検出する。移動平均出力の極大値は、信号の脈動を抑えるため、数回分の加算平均を取って平準化し、その時系列信号の前後信号間で比較して、結果の正負により移動体の運航進路を変更する位相制御により帰還制御ループを構成して行う移動体の誘導運航方式とする。
ただし、移動体が誘導運航路の近辺に存在しない場合は、波長ズレなどによる誤操作の危険を伴うため、受信増幅器出力の画像監視により、左右音波標識の高周波パルスの同着方位地点まで、移動体を初期誘導し、以後、低周波音波の移動平均処理での運航とし、併せて画像での音波パルスの同着点監視による2重系の方位検出誘導システムとする。
また、本方式の音波誘導方式は、航路設定の精度が高く、艦船の海峡などで、音波標識の搬送周波数の切り替えと、誘導航路を中央に挟む左右音波標識の1方の音波標識の搬送波音波発信タイミングの調整によって誘導航路の位置調整設定が出来る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
移動体からの電波パルスの発信に応じて、音波標識がら高周波音波パルを発信する。移動体には、進路方向の中心線方向に直交し、左右に離して配置した2台の受波器を設定する。音波標識(音源)から発信される音波パルスは、移動体の左右両受波器で受信し、帯域パスフィルタ―を経て音波パルス信号の立ち上がりを、トリガーとして、デジタル短パルス回路で短パルスを立ち上げる。この短パルスを、通常は遅延量0に設定した左右遅延量回路を経て、左右パルス時間差計測で左右受波器の短パルスの着信順位及び着信時間差を検出する。音波標識(音源)が移動体正面の場合は、短パルスは左右受波器に同着で時間差0となる。この状態で移動体の電波パルスの発信と音波パルス受信時間差を音波伝搬時間計測によって計測し、距離カウンターによって距離を算出する。移動体の進路方位の外に音源がある場合は、左右受波器による短パルスの着信順位及び着信時間に差が生じる。この着信時間差と先着パルス方位を検出して、その時間差を左右遅延量設定制御により遅延量として、左又は右の先着方位の遅延量回路に設定して、左右パルス着信時間差を0とすれば、音源方位、距離を計測できる。
音波標識の方位に移動体進路を修正する場合は、左右遅延量回路の遅延量は0のまま、左右遅延量設定制御から先着信号方位への操舵信号を送出する。移動体の操舵による方位旋回で、左右パルス時間差計測の時間差出力は徐々削減され、時間差出力が0の時点で、移動体は音波標識の音源方位に正対する。本請求項は、請求項2の左右受波器出力と共用でき、左右受波器の出力を、本請求項の方位検出機能は請求項1、又は2の方位検出機能と並列運用が可能で、それぞれの欠点を補う
2重系の方位検出システムとする。
この機能の活用として、先行後行移動体に音波標識を配置し、後行移動体の電波パルスの送信と、先行移動体の音波標識からの応答音波パルスの受信による距離計測で、後行移動体の速度制御により所定ロック距離を保持し、且つ後航行移動体の進路方位を左右受波器の低周波音信号の同着同相点の検出で、先行移動体方位を保持して、先行、後行移動体の連結運航を実現する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
(イ)ドローンなどの小型の飛行体の広域にわたる無人誘導には、GPSなどによる誘導が有効的とされるが、本発明は、目標地点での着地誘導など、高度の設定制御は必要なく、詳細位置制御により自動着地が可能性もある。
(ロ) 航路に沿って搬送周波数を変えた、複数対の音波標識の設置により狭い海域の対向船舶などに対し、効果的な複数の誘導航路の設定支援が出来る。
(ハ) 港湾などの入港船舶に対し音波標識による誘導で細かな入港支援ができる。
(ニ) 移動体の運航に関し、目標への方位維持運航、誘導路運航により作業効率と安全確保に
大きな効率が期待できる。
(ホ) ドローンなどなど着地用音波標識は小型軽量で、着地点の設定などは持ち運びしての運用ができる。
(ヘ) 音波標識の利用により、2台の移動体の連結運航が可能となる・
(ト) 可聴音以上の高周波を搬送波として利用し、低周波音波を周波数変調して送信することによりシステムの小型化と環境への影響の低減ができる。、
(チ) 船舶の航路近辺の浅瀬、岩礁とうの障害物地点に警報発信の音響標的として設置しその位置を知らせることが出来る。
(り)周波数変調を利用により、伝搬損失の大きい、音波利用のダイナミックレンジが拡大ができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
図1に移動体の音波誘導の原理図を示す。
図1上段の方位検出制御部では、音響標識(音源)17から低周波音波を発信すると、音波波面は各方位に同一の伝搬速度で、円形の波面となり伝搬する。2台の受波器1,11をこの波面上に置いて、この低周波音波を受信すると、左右の受信信号の位相は同相となり、2台の受波器を結ぶ直線中央の直交線方位が音源方位16となる。従って、移動体の左右に設置した受波器1,11の受信低周波音波の同相点を検出すると、移動体の音波標識(音源)17の方向への進路が確認できる。
図1下段の移動体誘導制御部では、誘導路を挟んで2台の音波標識(音源)17を設置し、両音波標識(音源)から同時に同相の低周波音波を発信し、移動体の受波器21で、左右音波標識からの音源音波の同相受信点を検出して運航することで、左右音波標識17に対し、等距離を取った移動体誘導進路60を運航できる。

図2は上記原理に基くシステム構成図である。
(イ)目標方位検出制御CH
本機能は図2の中段の方位検出制御CHで、移動体に配置された左右2台の受波器1、11は音波標識17からの高周波を搬送波として低周波信号で周波数変調された搬送波音波を受信し、増幅器2,12で増幅後、周波数復調器3.13及び、低域パスフィルタ4,14,により高周波音波信号を除去した、低周波信号を取り出しして、A/D変換器5,15により信号のデジタル化をする。デジタル化した左右信号は、左右信号乗算6で乗算する。この左右乗算信号は、乗算前の低周波信号の1/2長波ないし数波長分の出力を取り込む移動平均演算7を行う。移動平均演算7の出力の極大値を求めると、その極大値出力点が、受波器の受信信号の位相一致点となり、この出力の脈動を抑えて検出するため、連続的に出力される移動平均演算7の出力数回分を加算平均8によって平準化し、平準化された信号を、時系列信号比較9で、前後信号の正負を順次比較し、その結果を修正方位信号10として、移動体の操舵機構に送出し、移動体の方位制御により受波器の入力位相を変更する信号帰還ループを構成し、動平均演算7の極大値7出力を保持して移動体の運航方位を運航保持する。
(ロ) 移動体誘導制御CH
本機能は図2の下段部に示し、想定する移動体の誘導路を中央に挟み、左右に固定配置した2台の音波標識(音源)17から、高周波を搬送波として周波数変調された搬送波中の低周波信号を同一位相で同時に発信し、移動体ではこの両信号を1台の受波器21で受信し、増幅器22で増幅後、周波数復調器23及び低域パスフィルタ24により搬送波信号を除去し、受波器21の受信時に、加算受信された左右の復調低周波信号を、加算信号として取りだし、これをA/D変換器25でデジタル信号に変換し、更に、この信号の2乗波を2乗波演算部26で作り、受信低周波信号の1/2波長ないし数波長を取り込む、移動平均演算27を、2乗波について行うと、この出力は左右の入力信号が同相で加算されたとき極大となる。この極大出力点を得るため、加算出力の数回分の加算平均28により出力の脈動を抑え、平準化して出力され信号の前後信号間で大小を時系列信号比較29により比較し、結果の正負で、移動体の修正方位信号30の出力として方位制御機構に送り、移動体の進路変更により受波器21の入力信号の位相が制御される帰還ループを構成し、移動平均演算出力28の極大値を検出保持して、これの継続的な操舵保持により移動体の誘導運航方式となる
また、受信増幅器22の出力信号を表示部に表示し、左右音波標識の音波パルスの重畳入力点を観測し保持ることで、左右音波信号の同相性を確認する2受系の方位計測システムを構成する。
(ハ)距離・方位計測制御CH
本機能は図2の上段の距離・方位制御CHで、移動体の進路方向中心線に交して左右に離して配置した2台の受波器1,11配置及び増幅器2,12を(イ)と共用し、搬送波に先行する受信音波パルスを帯域パスフィルタ31,32により不要信号を除去し、この左右受信音波パルスをトリガーとして、デジタル短パルス回路32,35により短パルスを立ち上げ、この短パルスを、通常は遅延量0に設定されている左右遅延量回路33,36を経て、左右パルス着信時間差回路37で左右短パルスの着信順位及び左右パルスの時間差検出をする。音波標識(音源)が移動体正面の場合は、短パルスは左右受波器1,11に同着となり時間差0となる、この状態で移動体の電波パルスの発信と音波パルス受信時間差を音波伝搬時間計測41によって計測し、距離カウンター42によって距離を算出する。音波標識(音源)の方位が移動体の進路方位から外れた場合は、左右デジタル短パルは、左右パルス時間差計測37では外れた方位の短パルスが先着となり、その時間差が計測される。この移動体進路から外れた音波方位を計測する場合は、左右遅延量設定制御38により、左又は右の外れた方位の遅延量回路33又は36の遅延量として、この時間差を設定し、左右パル同着として外れた方位の音源の方位距離を計測できる。音波標識の方位に移動体進路を修正する場合は、左右遅延量回路33、36の遅延量は0のまま、左右遅延量設定制御38により修正操舵方位信号39の出力として先着信号方位へ修正操舵信号を送出する。移動体の操舵による方位旋回で、左右パルスの着信時間差37の時間差出力は徐々に削減され、時間差出力が0の時点で、移動体は音波標識の音源方位に正対する。
本請求項3は、請求項2の左右受波器出力を共用でき、左右受波器の出力を、本項の帯域パスフィルタに通してデジタル短パルス回路に接続すると、本項機能が請求項1、又は請求項2の機能と並列運用が可能で、それぞれの欠点を補う2重形システムを構成し、合わせて本項の操舵信号と請求項1又は2の方位操舵信号の相互参照による監視警報を発信する効果的な航法運用システムも構築出来る。
図3に方位距離計測に関しての作動明細を示す。ここでは電波パルスの発信と音波パルスの終了を制御するフリップフロップ45による距離計測と先着音波パルスと後着音波パルスで制御されるフリップフロップ47よる方位計測の作動が中心となる。図3では電波パルスの入力により、フリップフロップ45の出力Qが1となりAND ゲート46が開き、システムクロックが距離カウンター42に送られ、距離カウンタ42により距離計測がされる。一方左右受波器の出力でデジタル短パルスとして処理された、左右短パルスは、フリップフロップ47のS及びRに接続され、先着パルスの入力により入力側のANDゲ-ト48又は49が開き、電波パルスにより開いたシステムクロックが左又は右先着遅延カウンター50、51に遅延量として送られる。電波パルス、音波パルスの終了は後着短パルスと先着パルスの同着によるAND ゲート53によって終了するが、同着の時間延長のため、AND ゲート53入力の前に両パルスのパルス長拡大52を設定し、同着時間の幅を広げて、フリップフロップ45によるシステムリセットを容易とする。
(二)音波標識
図3に音波標識の構成図を示す。音波標識は移動体よりの電波パルスの入力により電波パルスを受信部54で受信増幅し、信号コード解析部55で搬送波周波数、音波パルス、低周波信号の発信の順序と組み合わせなど電波コードの解析で指定された信号を発信信号生成56により生成し、低周波信号を生成し、この信号を発信制御部57の搬送波により、周波数変調部58で変調して、送波器器59から発信する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2